(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083138
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】蓄電装置、及びバッテリ温度制御システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20240613BHJP
F24V 50/00 20180101ALI20240613BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240613BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240613BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240613BHJP
H01M 10/627 20140101ALI20240613BHJP
【FI】
H01M10/6568
F24V50/00
H01M10/615
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/627
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197487
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(71)【出願人】
【識別番号】522144103
【氏名又は名称】未貴インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】汪 偉
(72)【発明者】
【氏名】菅野 重樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 聡
(72)【発明者】
【氏名】安部 朋行
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031KK08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バッテリの性能低下を抑制する蓄電装置及びバッテリ温度制御システムを提供する。
【解決手段】バッテリ温度制御システム30において、蓄電装置40は、屋外に立てられる柱状ポール42と、柱状ポール42の内部に収容されるバッテリ50と、熱媒が流れる熱媒流路66を有し、柱状ポール42の内部にバッテリ50と熱交換可能に収容される熱交換器60と、を備える。バッテリ50及び熱交換器60は、柱状ポール42の高さ方向に沿って配置され、熱交換器60は、バッテリの外側面を被覆し、内側にバッテリ50が配置される中空状に形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に立てられる柱状ポールと、
前記柱状ポールの内部に収容されるバッテリと、
熱媒が流れる熱媒流路を有し、前記柱状ポールの内部に前記バッテリと熱交換可能に収容される熱交換器と、
を備える蓄電装置。
【請求項2】
前記バッテリ及び前記熱交換器は、前記柱状ポールの高さ方向に沿って配置され、
前記熱交換器は、前記バッテリの外側面を被覆する、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記熱交換器は、内側に前記バッテリが配置される中空状に形成される、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記柱状ポールの内部に収容され、平断面視にて、前記熱交換器を取り囲む断熱材を備える、
請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記柱状ポールには、架空電線から分岐する架空引込線が接続される、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の蓄電装置と、
熱媒を貯留するタンクと、
前記熱交換器と前記タンクとの間で熱媒を循環させる循環ポンプと、
を備えるバッテリ温度制御システム。
【請求項7】
熱媒を加熱する加熱器を備える、
請求項6に記載のバッテリ温度制御システム。
【請求項8】
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサと、
前記熱交換器に供給される熱媒の温度を検出する熱媒温度センサと、
前記バッテリ温度センサで検出された前記バッテリの温度、及び前記熱媒温度センサで検出された熱媒の温度に基づいて、前記循環ポンプ及び前記加熱器を制御する制御装置と、
を備える請求項7に記載のバッテリ温度制御システム。
【請求項9】
熱媒は、水とされる、
請求項6に記載のバッテリ温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置、及びバッテリ温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
街路灯の照明設備が知られている(例えば、特許文献1~特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-087332号公報
【特許文献2】特開2004-204599号公報
【特許文献3】特開2007-126892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された照明装置では、屋外に立てられた柱の内部にバッテリが収納されている。このような場合、例えば、夏期ではバッテリの温度が上昇し易く、また、冬期では、バッテリの温度が低下し易いため、バッテリの性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、バッテリの性能低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る蓄電装置は、屋外に立てられる柱状ポールと、前記柱状ポールの内部に収容されるバッテリと、熱媒が流れる熱媒流路を有し、前記柱状ポールの内部に前記バッテリと熱交換可能に収容される熱交換器と、を備える。
【0007】
上記態様によれば、柱状ポールは、屋外に立てられる。この柱状ポールの内部には、バッテリが収容される。また、柱状ポールの内部には、熱交換器が収容される。
【0008】
熱交換器は、熱媒が流れる熱媒流路を有し、柱状ポールの内部にバッテリと熱交換可能に収容される。この熱交換器の熱媒流路に熱媒を流すことにより、熱媒によってバッテリが冷却又は加温されるため、バッテリの温度を所定範囲に制御することができる。したがって、バッテリの性能低下を抑制することができる。
【0009】
第2態様に係る蓄電装置は、第1態様に係る蓄電装置において、前記バッテリ及び前記熱交換器は、前記柱状ポールの高さ方向に沿って配置され、前記熱交換器は、前記バッテリの外側面を被覆する。
【0010】
上記態様によれば、バッテリ及び熱交換器は、柱状ポールの高さ方向に沿って配置されている。この熱交換器は、バッテリの外側面を被覆する。
【0011】
このようにバッテリ及び熱交換器を柱状ポールの高さ方向に沿って配置することにより、熱交換器とバッテリとの接触面積を確保し易くなる。したがって、熱交換器とバッテリとの熱交換効率を高めることができる。
【0012】
第3態様に係る蓄電装置は、第1態様又は第2態様に係る蓄電装置において、前記熱交換器は、内側に前記バッテリが配置される中空状に形成される。
【0013】
上記態様によれば、熱交換器は、中空状に形成される。この熱交換器の内側にバッテリを配置することにより、熱交換器とバッテリとの接触面積を確保しつつ、柱状ポールの内部にバッテリ及び熱交換器をコンパクトに収容することができる。
【0014】
第4態様に係る蓄電装置は、第1態様~第3態様の何れか1つに係る蓄電装置において、前記柱状ポールの内部に収容され、平断面視にて、前記熱交換器を取り囲む断熱材を備える。
【0015】
上記態様によれば、柱状ポールの内部には、断熱材が収容される。断熱材は、平断面視にて、熱交換器、及び当該熱交換器の内側に配置されたバッテリを取り囲む。これにより、気温(外気温)によるバッテリの温度変化が抑制される。したがって、バッテリの性能低下をさらに抑制することができる。
【0016】
第5態様に係る蓄電装置は、第1態様~第4態様の何れか1つに係る蓄電装置において、前記柱状ポールには、架空電線から分岐する架空引込線が接続される。
【0017】
上記態様によれば、柱状ポールには、架空電線から分岐する架空引込線が接続される。このように柱状ポールに架空引込線を接続し、例えば、柱状ポールから地中を介して建物に架空引込線を引き込むことにより、建物の外観を良好することができる。
【0018】
第6態様に係るバッテリ温度制御システムは、第1態様~第5態様の何れか1つに係る蓄電装置と、熱媒を貯留するタンクと、前記熱交換器と前記タンクとの間で熱媒を循環させる循環ポンプと、を備える。
【0019】
上記態様によれば、循環ポンプによって、熱交換器とタンクとの間で熱媒を循環させることにより、バッテリが冷却又は加温される。したがって、バッテリの性能低下を抑制することができる。
【0020】
第7態様に係るバッテリ温度制御システムは、第6態様に係るバッテリ温度制御システムにおいて、熱媒を加熱する加熱器を備える。
【0021】
上記態様によれば、熱媒を加熱する加熱器を備える。加熱器は、例えば、熱媒の温度が下がり易い冬期に熱媒を加熱する。これにより、熱交換器の熱媒流路を流れる熱媒によってバッテリが加温される。したがって、冬期等におけるバッテリの性能低下を抑制することができる。
【0022】
第8態様に係るバッテリ温度制御システムは、第7態様に係るバッテリ温度制御システムにおいて、前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサと、前記熱交換器に供給される熱媒の温度を検出する熱媒温度センサと、前記バッテリ温度センサで検出された前記バッテリの温度、及び前記熱媒温度センサで検出された熱媒の温度に基づいて、前記循環ポンプ及び前記加熱器を制御する制御装置と、を備える。
【0023】
上記態様によれば、バッテリ温度センサは、バッテリの温度を検出する。また、熱媒温度センサは、熱交換器に供給される熱媒の温度を検出する。そして、制御装置は、バッテリ温度センサで検出されたバッテリの温度、及び熱媒温度センサで検出された熱媒の温度に基づいて、循環ポンプ及び加熱器を制御する。
【0024】
ここで、例えば、バッテリ温度センサで検出されたバッテリの温度が上限値を超え、かつ、熱媒温度センサで検出された熱媒の温度がバッテリ温度センサで検出されたバッテリの温度未満の場合、制御装置は、循環ポンプを作動し、熱交換器とタンクとの間で熱媒を循環させる。これにより、熱交換器の熱媒流路を流れる熱媒によって、バッテリが冷却される。
【0025】
また、バッテリ温度センサで検出されたバッテリの温度が下限値未満で、かつ、熱媒温度センサで検出された熱媒の温度が下限値以上の場合、制御装置は、循環ポンプを作動し、熱交換器とタンクとの間で熱媒を循環させる。これにより、熱交換器の熱媒流路を流れる熱媒によって、バッテリが加温される。
【0026】
一方、バッテリ温度センサで検出されたバッテリの温度が下限値未満で、かつ、熱媒温度センサで検出された熱媒の温度が下限値未満の場合、制御装置は、加熱器を作動し、熱交換器に供給される熱媒を加熱する。
【0027】
そして、制御装置は、例えば、熱媒温度センサで検出された熱媒の温度が下限値以上の場合、循環ポンプを作動し、熱交換器とタンクとの間で熱媒を循環させる。これにより、熱交換器の熱媒流路を流れる熱媒によって、バッテリが加温される。
【0028】
このように本発明では、バッテリの温度を効率的に制御することができる。
【0029】
第9態様に係るバッテリ温度制御システムは、第6態様~第8態様の何れか1つに係るバッテリ温度制御システムにおいて、熱媒は、水とされる。
【0030】
上記態様によれば、熱媒は、水とされる。つまり、熱媒には、水道水等を利用することができる。したがって、低コストでバッテリの温度を制御することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、バッテリの性能低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】一実施形態に係るバッテリ温度制御システムが適用された建物を示す立面図である。
【
図2】
図1に示される蓄電装置を示す拡大立面図である。
【
図4】
図3に示される熱交換器を示す斜視図である。
【
図5】
図2に示される制御装置のハードウェア構成図である。
【
図6】気温(外気温)と、屋外に設置されたタンク内の水温との関係を示すグラフである。
【
図7】年間の気温(最低値及び最高値)と、屋外に設置されたタンク内の水温(最低値及び最高値)との関係を示すグラフである。
【
図8】一実施形態に係る熱交換器の変形例を示す平断面図である。
【
図9】一実施形態に係る熱交換器の変形例を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る蓄電装置、及びバッテリ温度制御システムについて説明する。
【0034】
(バッテリ温度制御システム)
図1には、本実施形態に係るバッテリ温度制御システム30が適用された建物10が示されている。バッテリ温度制御システム30は、一例として、住宅等の建物10の敷地内に設置されている。このバッテリ温度制御システム30は、蓄電装置40と、バッテリ制御装置56と、タンク90と、循環ポンプ96と、熱媒温度センサ98と、加熱器100と、制御装置32とを備えている。
【0035】
(蓄電装置)
図2に示されるように、蓄電装置40は、柱状ポール42と、複数のバッテリ50と、熱交換器60と、バッテリ制御装置56とを有している。
【0036】
柱状ポール42は、一例として、建物10の敷地内(隣地境界壁12の内側)に立てられた住宅用電柱とされている。この柱状ポール42の上端部には、電柱20の架空電線22から分岐した架空引込線24が接続されている。架空引込線24は、柱状ポール42、及び地中に埋設された地中ケーブル26を介して、建物10内の分電盤14等に接続されている。なお、地中には、柱状ポール42の基礎43が設けられている。
【0037】
図3に示されるように、柱状ポール42は、円筒状に形成されている。この柱状ポール42の内部には、前述した架空引込線24と接続される図示しないケーブル等の配線スペース48が設けられている。また、柱状ポール42の内部には、複数のバッテリ50が収容されている。
【0038】
なお、柱状ポール42の断面形状は、円形状に限らず、例えば、楕円形状や矩形状、多角形状等でも良い。
【0039】
(バッテリ)
複数のバッテリ(バッテリモジュール)50は、柱状ポール42の高さ方向に配列されている。各バッテリ50は、複数のバッテリセル52を有している。各バッテリセル52は、円柱状に形成されており、柱状ポール42の高さ方向に沿って配置されている。また、本実施形態では、平断面視にて、3つのバッテリセル52が柱状ポール42の周方向に間隔を空けて配列されている。
【0040】
平断面視にて、3つのバッテリセル52の中央部は、バッテリ50用の配線スペースとされている。この配線スペースには、配線管44が配置されている。配線管44は、柱状ポール42の高さ方向に沿って配置されている。この配線管44の内部には、複数のバッテリセル52を接続する図示しない配線が収容される。
【0041】
図2に示されるように、バッテリ50には、バッテリセル52(
図3参照)の温度を検出するバッテリ温度センサ54が設けられている。バッテリ温度センサ54には、バッテリ制御装置56が電気的に接続されている。このバッテリ温度センサ54は、バッテリセル52の温度を検出し、検出したバッテリセル52の温度情報をバッテリ制御装置56に出力する。
【0042】
なお、バッテリ50及びバッテリセル52の配置や形状、数は、適宜変更可能である。
【0043】
(バッテリ制御装置)
バッテリ制御装置56は、バッテリ50の充電、及び電池残量等を制御する制御装置(BMS)とされている。このバッテリ制御装置56には、複数のバッテリセル52が接続されている。また、バッテリ制御装置56には、一例として、建物10に設置された太陽光パネル16が電気的に接続されている。これにより、太陽光パネル16が発電された電力が、バッテリ50に充電可能とされている。
【0044】
バッテリ制御装置56には、後述する制御装置32が電気的に接続されている。このバッテリ制御装置56は、バッテリ温度センサ54から入力されたバッテリセル52の温度情報を制御装置32に出力する。
【0045】
(熱交換器)
図3及び
図4に示されるように、熱交換器60は、バッテリ50と熱交換することにより、バッテリ50を冷却又は加温するものである。この熱交換器60は、熱伝導率が高い金属等によって形成されており、柱状ポール42の内部に、バッテリ50と熱交換可能に収容されている。
【0046】
具体的には、熱交換器60は、内側にバッテリセル52を収容可能な中空状に形成されており、軸方向を柱状ポール42の高さ方向として配置されている。この熱交換器60の内側には、柱状ポール42の高さ方向に複数のバッテリ50が収容されている。
【0047】
熱交換器60は、円筒状の3つの収容部62を有している。3つの収容部62は、柱状ポール42の中心側が開口された断面C字形状に形成されており、柱状ポール42の周方向に間隔を空けて配列されている。隣り合う収容部62は、連結壁64を介して連結されている。3つの連結壁64の中央部には、前述した配線管44が配置されている。
【0048】
各収容部62の内側には、バッテリセル52が嵌め込まれた状態で収容されている。これにより、収容部62の内側面(内周面)とバッテリセル52の外側面(外周面)とが熱交換可能に接触(密着)される。また、各収容部62は、複数の熱媒流路66を有している。
【0049】
複数の熱媒流路66は、収容部62を軸方向に貫通する円形状の貫通孔とされている。また、複数の熱媒流路66は、収容部62の周方向に間隔を空けて配置されている。これらの熱媒流路66の下端部には、
図2に示されるように、送り配管92を介して後述するタンク90が接続されている。これにより、タンク90から送り配管92を介して複数の熱媒流路66の下端部に熱媒が供給される。なお、送り配管92は、図示しない集合ヘッダ等を介してタンク90に接続されている。
【0050】
熱媒流路66に供給された熱媒は、バッテリセル52と熱交換しながら熱媒流路66を上昇する。また、
図4に示されるように、複数の熱媒流路66の上端部には、戻り配管94を介して後述するタンク90(
図2参照)に接続されている。これにより、複数の熱媒流路66の上端部から、戻り配管94を介してタンク90に冷媒が戻される。なお、戻り配管94は、図示しない集合ヘッダを介してタンク90に接続されている。
【0051】
なお、
図4では、複数の熱媒流路66のうち、一部の熱媒流路66に接続された戻り配管94のみが示されており、他の熱媒流路66に接続された戻り配管94の図示が省略されている。
【0052】
複数の戻り配管94は、収容部62の外側の配線スペース48(
図3参照)に配管されている。また、複数の戻り配管94は、熱交換器60の柱状ポール42の上端部から、柱状ポール42の下端部に亘って配管されている。
【0053】
なお、本実施形態では、1つの戻り配管94に1つの熱媒流路66が接続されている。しかし、幅が広い1つの戻り配管に複数の熱媒流路66に接続しても良い。
【0054】
(タンク)
図2に示されるように、タンク90は、一例として、柱状ポール42の周辺に設置されている。また、タンク90には、一例として、熱媒としての水が貯留されている。このタンク90には、前述した送り配管92及び戻り配管94が接続されている。また、タンク90には、循環ポンプ96が設けられている。また、
図2に示される矢印は、熱媒の循環方向を示している。
【0055】
なお、熱媒は、水に限らず、他の熱媒でも良い。また、タンク90は、地上に限らず、地下に設置さても良い。また、タンク90の設置場所は、適宜変更可能である。さらに、熱交換器60(熱媒流路66)の上端部に送り配管92を介してタンク90を接続し、熱交換器60(熱媒流路66)の下端部に戻り配管94を介してタンク90を接続しても良い。つまり、
図2に示される矢印と逆方向に熱媒を循環させても良い。
【0056】
また、タンク90の内部に設けられた熱交換器に、送り配管92及び戻り配管94を接続しても良い。この場合、戻り配管94から熱交換器に供給された熱媒が、タンク90内の水と熱交換(冷却又は加温)した後、送り配管92を介して熱交換器60に供給される。また、タンク90と熱交換器60との間を循環する熱媒は、水に限らず、他の熱媒でも良い。
【0057】
(循環ポンプ)
循環ポンプ96は、タンク90と熱交換器60との間で熱媒を循環させる液送ポンプとされている。この循環ポンプ96は、一例として、タンク90内に設けられている。また、循環ポンプ96には、後述する制御装置32が電気的に接続されている。
【0058】
なお、循環ポンプ96の設置場所は、タンク90内に限らない。循環ポンプ96は、タンク90と熱交換器60との間で熱媒を循環可能であれば良く、例えば、送り配管92に設けられても良い。
【0059】
(熱媒温度センサ)
タンク90内には、熱媒温度センサ98が設けられている。熱媒温度センサ98は、タンク90に貯留された水の温度を検出する。この熱媒温度センサ98には、後述する制御装置32が電気的に接続されている。
【0060】
なお、熱媒温度センサ98の設置場所は、タンク90内に限らない。熱媒温度センサ98は、タンク90から熱交換器60に供給される熱媒の温度を検出可能であれば良く、例えば、送り配管92に設けられても良い。
【0061】
(加熱器)
タンク90内には、加熱器100が設けられている。加熱器100は、例えば、液体加熱ヒータとされている。この加熱器100が作動することにより、タンク90内の熱媒が加熱される。また、加熱器100には、後述する制御装置32が電気的に接続されている。
【0062】
なお、加熱器100の設置場所は、タンク90内に限らない。加熱器100は、熱交換器60に供給される水を加熱可能であれば良く、例えば、送り配管92に設けられても良い。
【0063】
(制御装置)
制御装置32は、バッテリ温度制御システム30の全体の動作を制御する。また、バッテリセル52の温度が、上限値を越え又は下限値未満になると、バッテリ50の性能が低下する可能性がある。そこで、制御装置32は、バッテリセル52の温度が、下限値以上、かつ、上限値以下となるように、バッテリセル52の温度を制御する。
【0064】
なお、本実施形態では、バッテリセル52の温度の許容範囲が、一例として、15℃~35℃とされている。すなわち、本実施形態では、バッテリセル52の上限値が35℃となり、バッテリセル52の下限値が15℃となる。
【0065】
制御装置32は、例えば、
図5に示されるコンピュータ70で実現される。コンピュータ70は、CPU(Central Processing Unit)72と、一時記憶領域としてのメモリ74と、不揮発性の記憶部76とを備えている。また、コンピュータ70は、入力装置78、及び表示装置80を備えている。これらのCPU72、メモリ74、記憶部76、入力装置78、及び表示装置80は、バス82を介して互いに接続されている。なお、CPU72は、制御部の一例である。
【0066】
記憶部76は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記録媒体としての記憶部76には、コンピュータ70を、制御装置32として機能させるための制御プログラムが予め記憶されている。
【0067】
入力装置78は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。表示装置80は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。
【0068】
CPU72は、制御プログラムを記憶部76から読み出してメモリ74に展開し、制御プログラムが有する各工程を順次実行する。これにより、制御プログラムを実行したコンピュータ70が、制御装置32として機能する。
【0069】
図2に示されるように、制御装置32には、バッテリ制御装置56、循環ポンプ96、熱媒温度センサ98、及び加熱器100が電気的に接続されている。
【0070】
(バッテリ温度制御システムの制御方法)
次に、制御装置32の動作を説明しつつ、バッテリ温度制御システム30の制御方法の一例について説明する。
【0071】
制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50(バッテリセル52)の温度、及び熱媒温度センサ98で検出されたタンク90内の熱媒の温度に基づいて、循環ポンプ96及び加熱器100を制御する。
【0072】
先ず、夏期等のように、バッテリ50の温度を上限値以下に制御(冷却)する場合について説明する。
【0073】
本実施形態では、熱媒としての水によってバッテリ50を冷却する。ここで、
図6には、一例として、夏期等の日中(8時~16時)における気温(外気温)と、屋外に設置されたタンク90内の水温との関係を示すグラフが示されている。
【0074】
図6のグラフから分かるように、夏期等の日中においても、タンク90内の水温は、バッテリ50の温度の上限値である35℃未満に維持される。そこで、本実施形態では、バッテリ50を冷却する熱媒として水を使用する。
【0075】
具体的には、制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50の温度が下限値以上、かつ、上限値以下の場合、循環ポンプ96及び加熱器100を作動せず、待機する。なお、制御装置32は、循環ポンプ96又は加熱器100が作動している場合、循環ポンプ96又は加熱器100を停止する。
【0076】
一方、制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50の温度が上限値を越え、かつ、熱媒温度センサ98で検出されたタンク90内の水温がバッテリ50の温度未満の場合、循環ポンプ96を作動し、タンク90と熱交換器60との間で水を循環させる。これにより、熱交換器60の熱媒流路66を流れる水によって、バッテリ50が冷却される。
【0077】
なお、制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50の温度が上限値を越え、かつ、熱媒温度センサ98で検出されたタンク90内の水温がバッテリ50の温度以上の場合、例えば、表示装置80にエラーメッセージ等を表示する。
【0078】
次に、冬期等のように、バッテリ50の温度を下限値以上に制御(加温)する場合について説明する。
【0079】
図7には、一例として、年間の気温(最低値及び最高値)と、屋外に設置されたタンク90内の水温(最低値及び最高値)との関係を示すグラフが示されている。
【0080】
図7のグラフから分かるように、冬期等では、タンク90内の水温がバッテリ50の温度の下限値である15℃未満になる可能性がある。そこで、本実施形態では、タンク90内の水温が、バッテリ50の温度の下限値未満の場合、加熱器100によってタンク90内の水を加熱し、バッテリ50を加温する熱媒として使用する。
【0081】
具体的には、制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50の温度が下限値以上、かつ、上限値以下の場合、循環ポンプ96又は加熱器100を作動せず、待機する。なお、制御装置32は、循環ポンプ96又は加熱器100が作動している場合、循環ポンプ96又は加熱器100を停止する。
【0082】
一方、制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50の温度が下限値未満の場合、かつ、熱媒温度センサ98で検出されたタンク90内の水温がバッテリ50の下限値以上の場合、循環ポンプ96を作動し、タンク90と熱交換器60との間で水を循環させる。これにより、熱交換器60の熱媒流路66を流れる水によって、バッテリ50が加温される。なお、制御装置32は、加熱器100が作動している場合には、加熱器100を停止する。
【0083】
また、制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50の温度が下限値未満の場合、かつ、熱媒温度センサ98で検出されたタンク90内の水温がバッテリ50の下限値未満の場合、加熱器100を作動し、タンク90内の水を加熱する。
【0084】
そして、タンク90内の水温が下限値以上になると、制御装置32は、前述したように、循環ポンプ96を作動し、タンク90と熱交換器60との間で水を循環させる。これにより、熱交換器60の熱媒流路66を流れる水によって、バッテリ50が加温される。
【0085】
なお、バッテリ温度制御システム30の制御方法は、上記に限らず、適宜変更可能である。例えば、制御装置32は、バッテリ制御装置56で検出されたバッテリ50の温度に応じて循環ポンプ96の出力を増減し、熱交換器60とタンク90との間を循環する熱媒の循環速度を調整しても良い。
【0086】
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0087】
(蓄電装置)
先ず、蓄電装置40の効果について説明する。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る蓄電装置40によれば、柱状ポール42は、建物10の屋外に立てられている。この柱状ポール42の内部には、バッテリ50が収容されている。バッテリ50には、一例として、太陽光パネル16で発電された電力が蓄電される。
【0088】
このように建物10の屋外に建てられた柱状ポール42にバッテリ50を収容することにより、建物10内にバッテリ50を設置する場合と比較して、建物10内のスペースの有効利用を図ることができる。また、建物10の屋外に建てられた柱状ポール42にバッテリ50を収容することにより、騒音が低減されるとともに、建物10の火災リスクが低減される。
【0089】
また、
図3に示されるように、柱状ポール42の内部には、熱交換器60が収容されている。熱交換器60は、熱媒が流れる複数の熱媒流路66を有し、柱状ポール42の内部にバッテリ50と熱交換可能に収容されている。これらの熱媒流路66に熱媒を流すことにより、バッテリ50が冷却又は加温されるため、バッテリ50の温度を所定範囲に制御することができる。したがって、バッテリ50の性能低下を抑制することができる。
【0090】
また、バッテリ50及び熱交換器60は、柱状ポール42の高さ方向に沿って配置さている。そして、熱交換器60は、バッテリ50の外側面を被覆している。
【0091】
このようにバッテリ50及び熱交換器60を柱状ポール42の高さ方向に沿って配置することにより、熱交換器60とバッテリ50との接触面積を確保し易くなる。したがって、熱交換器60とバッテリ50との熱交換効率を高めることができる。
【0092】
さらに、熱交換器60は、中空状に形成されている。この熱交換器60の内側にバッテリ50を配置することにより、熱交換器60とバッテリ50との接触面積を確保しつつ、柱状ポール42の内部にバッテリ50及び熱交換器60をコンパクトに収容することができる。
【0093】
また、柱状ポール42の内部には、断熱材46が収容されている。断熱材46は、平断面視にて、熱交換器60、及び当該熱交換器60の内側に配置されたバッテリ50を取り囲んでいる。これにより、気温(外気温)によるバッテリ50の温度変化が抑制される。したがって、バッテリ50の性能低下をさらに抑制することができる。
【0094】
さらに、
図1に示されるように、柱状ポール42には、架空電線22から分岐する架空引込線24が接続されている。このように柱状ポール42に架空引込線24を接続し、柱状ポール42から地中を介して建物10に架空引込線24を引き込むことにより、建物10の外観を良好にすることができる。
【0095】
(バッテリ温度制御システム)
次に、バッテリ温度制御システム30の効果について説明する。
図2に示されるように、本実施形態に係るバッテリ温度制御システム30によれば、前述したように、循環ポンプ96によって、熱交換器60とタンク90との間で熱媒としての水を循環させることにより、バッテリ50が冷却又は加温される。したがって、バッテリ50の性能低下を抑制することができる。
【0096】
また、バッテリ温度制御システム30は、タンク90内の熱媒(水)を加熱する加熱器100を備えている。加熱器100は、例えば、熱媒の温度が下がり易い冬期に、熱交換器60に供給される熱媒を加熱する。これにより、熱交換器60の熱媒流路66を流れる熱媒によってバッテリ50が加温される。したがって、冬期等におけるバッテリ50の性能低下を抑制することができる。
【0097】
さらに、バッテリ温度制御システム30は、バッテリ温度センサ54及び熱媒温度センサ98を備えている。バッテリ温度センサ54は、バッテリ50(バッテリセル52)の温度を検出する。一方、熱媒温度センサ98は、熱交換器60に供給される熱媒としての水の温度を検出する。
【0098】
そして、制御装置32は、前述したように、バッテリ温度センサ54で検出されたバッテリ50の温度、及び熱媒温度センサ98で検出された熱媒(水)の温度に基づいて、循環ポンプ96及び加熱器100を制御する。したがって、本実施形態では、バッテリ50の温度を効率的に制御することができる。
【0099】
また、本実施形態では、熱媒が水とされる。つまり、本実施形態では、熱媒には、水道水等を利用することができる。したがって、低コストでバッテリ50の温度を制御することができる。
【0100】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0101】
上記実施形態では、熱交換器60に複数の熱媒流路66が形成されている。しかし、熱媒流路66の構造や数等は、適宜変更可能である。例えば、
図8に示される変形例では、熱交換器60に幅が広い熱媒流路68が形成されている。このように熱媒流路68の幅を広げることにより、当該熱媒流路68を流れる熱媒とバッテリ50との熱交換効率を高めることができる。
【0102】
また、
図9に示される変形例では、熱交換器110が、収容部112と、複数の配管114とを有している。収容部112は、熱伝導率が高い金属によって形成されており、バッテリ50(バッテリセル52)の外側面を被覆している。この収容部112の外側面(外周面)に、複数の配管114が接着剤等によって接合されている。複数の配管114は、収容部62の軸方向に沿って配置されている。これらの配管114の内部に、熱媒流路116が形成されている。
【0103】
このように収容部112の外側面に複数の配管114を取り付けることにより、熱交換器60の製造コスト等を削減することができる。
【0104】
また、柱状ポール42の内部に結露が生じると、バッテリ50が破損等する可能性がある。そのため、バッテリ温度制御システム30には、柱状ポール42の内部の結露を抑制するファン等を設けても良い。
【0105】
具体的には、柱状ポール42に、当該柱状ポール42の内部に風を送るファンを設ける。また、柱状ポール42に、温湿度センサを設ける。温湿度センサは、柱状ポール42の内部の温度及び湿度を検出し、検出した温湿度情報を制御装置32に出力する。そして、制御装置32は、温湿度センサによって検出された柱状ポール42の内部の温湿度情報に基づいてファンを作動させる。これにより、柱状ポール42の内部の結露を効率的に抑止することができる。
【0106】
また、上記実施形態では、バッテリ50に太陽光パネル16が接続されている。しかし、バッテリ50には、太陽光パネル16に限らず、例えば、電気自動車の充電システムが接続されている。
【0107】
また、上記実施形態の建物10は、住宅とされている。しかし、建物は、住宅に限らず、集合住宅や、オフィス、商業施設、工場等にも適宜適用可能である。
【0108】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0109】
22 架空電線
24 架空引込線
30 バッテリ温度制御システム
32 制御装置
40 蓄電装置
42 柱状ポール
46 断熱材
50 バッテリ
54 バッテリ温度センサ
60 熱交換器
66 熱媒流路
68 熱媒流路
90 タンク
96 循環ポンプ
98 熱媒温度センサ
100 加熱器
110 熱交換器
116 熱媒流路