(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083157
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】急速充電用・小規模受電用等の受電システム、受電盤、電力制御プログラム、及び、電力制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240613BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240613BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240613BHJP
H02B 7/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J7/00 P
H02J7/35 K
H02B7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197517
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】522095610
【氏名又は名称】株式会社力電
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】本家 正雄
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB08
5G066HB09
5G066HB11
5G066JA05
5G066JA07
5G066JB02
5G066JB03
5G066JB10
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA10
5G503DA07
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】受電力より大きい電力を消費する大電力負荷と系統の間に接続された変圧器の高圧側等で、大電力負荷に、受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路を介して接続した蓄電装置等からの電力を消費させて「コストの低減」や「感電事故のリスク低減」などを実現する。
【解決手段】系統Kからの受電力より大きい電力を消費する大電力負荷2と、大電力負荷2と系統Kの間に接続された変圧器3を有した受電システム1等では、変圧器3の高圧側等で大電力負荷2に受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路4を介して接続された蓄電装置5からの電力等を消費させる。又、変圧器3の高圧側等で大電力負荷2に大電力電路4を介して接続された発電装置6からの電力等を消費させたり、大電力負荷2が充電器2Aを含む等でも良い。その他、受電盤10は、盤筐体11内で変圧器3が大電力電路4と各遮断器より上方に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統(K)から受電する受電力より大きい電力を消費する大電力負荷(2)と、前記大電力負荷(2)と系統(K)の間に接続された変圧器(3)を有した受電システムであって、
前記変圧器(3)は、前記大電力負荷(2)側の電圧が、前記系統(K)側の電圧以上であり、
前記変圧器(3)と大電力負荷(2)の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路(4)を介して接続され、
前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)に蓄電装置(5)が接続され、
前記蓄電装置(5)からの電力、及び/又は、前記系統(K)から変圧器(3)を経ての電力を、前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)が消費することを特徴とする受電システム。
【請求項2】
前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)に発電装置(6)も接続され、
前記発電装置(6)からの電力、前記蓄電装置(5)からの電力、及び/又は、前記系統(K)から変圧器(3)を経ての電力を、前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)が消費することを特徴とする請求項1に記載の受電システム。
【請求項3】
前記大電力負荷(2)には、充電器(2A)が含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の受電システム。
【請求項4】
前記変圧器(3)と大電力電路(4)は、盤筐体(11)内に設けられ、
前記盤筐体(11)内には、前記系統(K)と変圧器(3)の間の電路を遮断可能な系統遮断器(7a)と、前記大電力電路(4)と大電力負荷(2)の間の電路を遮断可能な大電力負荷遮断器(7b)と、前記大電力電路(4)と蓄電装置(5)の間の電路を遮断可能な蓄電遮断器(7c)も設けられ、
前記盤筐体(11)内で、前記変圧器(3)は、前記大電力電路(4)と系統遮断器(7a)と大電力負荷遮断器(7b)と蓄電遮断器(7c)より上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の受電システム。
【請求項5】
盤筐体(11)と、前記盤筐体(11)内に設けられた変圧器(3)を有した受電盤であって、
前記変圧器(3)は、系統(K)から受電する受電力より大きい電力を消費し且つ前記盤筐体(11)外の大電力負荷(2)と、前記系統(K)の間に接続され、
前記変圧器(3)は、前記大電力負荷(2)側の電圧が、前記系統(K)側の電圧以上であり、
前記変圧器(3)と大電力負荷(2)の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能で且つ前記盤筐体(11)内に設けられた大電力電路(4)を介して接続され、
前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)に、前記盤筐体(11)外の蓄電装置(5)が接続され、
前記盤筐体(11)内には、前記系統(K)と変圧器(3)の間の電路を遮断可能な系統遮断器(7a)と、前記大電力電路(4)と大電力負荷(2)の間の電路を遮断可能な大電力負荷遮断器(7b)と、前記大電力電路(4)と蓄電装置(5)の間の電路を遮断可能な蓄電遮断器(7c)も設けられ、
前記盤筐体(11)内で、前記変圧器(3)は、前記大電力電路(4)と系統遮断器(7a)と大電力負荷遮断器(7b)と蓄電遮断器(7c)より上方に配置されていることを特徴とする受電盤。
【請求項6】
系統(K)から受電する受電力より大きい電力を消費する大電力負荷(2)と、前記大電力負荷(2)と系統(K)の間に接続された変圧器(3)を有した受電システム(1)の電力制御プログラムであって、
前記変圧器(3)は、前記大電力負荷(2)側の電圧が、前記系統(K)側の電圧以上であり、
前記変圧器(3)と大電力負荷(2)の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路(4)を介して接続され、
前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)に蓄電装置(5)が接続され、
前記蓄電装置(5)からの電力、及び/又は、前記系統(K)から変圧器(3)を経ての電力を、前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)に消費させることを特徴とする電力制御プログラム。
【請求項7】
系統(K)から受電する受電力より大きい電力を消費する大電力負荷(2)と、前記大電力負荷(2)と系統(K)の間に接続された変圧器(3)を有した受電システム(1)の電力制御方法であって、
前記変圧器(3)は、前記大電力負荷(2)側の電圧が、前記系統(K)側の電圧以上であり、
前記変圧器(3)と大電力負荷(2)の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路(4)を介して接続され、
前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)に蓄電装置(5)が接続され、
前記蓄電装置(5)からの電力、及び/又は、前記系統(K)から変圧器(3)を経ての電力を、前記大電力電路(4)を介して、前記大電力負荷(2)に消費させることを特徴とする電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電力より大きい電力を消費する大電力負荷と変圧器を有した受電システムや、受電盤、電力制御プログラム、及び、電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受電システムの一例として、車両充電システムが知られている(特許文献1参照)。
この車両充電システムは、電力会社からの受電電力を変圧する変圧器を所有する事業施設の駐車場に駐車された車両を、前記受電電力を使用して充電するための事業施設用の車両充電システムであって、充電用端末と、前記充電用端末と電力供給線によって接続され、前記変圧器から前記充電用端末への電力供給を制御する継電器と、利用者による前記充電用端末の充電開始要求を受け付ける受付部と、前記受電電力の使用量を検出する電力検出部と、前記充電開始要求に基づく充電開始要求時刻において、前記受電電力の前記使用量に前記充電用端末での充電電力の必要量を加えた合算量が、前記変圧器の変圧容量に応じた上限量以下である充電余力有りか否かを判断する余力判断部と、前記充電用端末を除く一般負荷の電力の使用量についての時間経過に伴う変化情報が記憶される記憶部と、前記充電開始要求に基づく充電開始要求時刻において、前記充電余力有りの場合には、前記充電開始要求時刻に前記充電用端末による充電を開始し、且つ、当該充電が完了する時刻を前記変化情報に基づき推定しその充電完了推定時刻に応じた報知動作を行い、前記充電余力無しの場合には前記充電余力有りになるまで前記充電用端末による充電を待機するよう前記継電器を制御する制御部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1の車両充電システムが作られたのは、近年、地球温暖化防止や化石燃料への依存等に対する問題意識の高まりから排気ガスが出ない電気自動車が広く普及し始めているためであり、電気自動車の走行により蓄電池の充電量が低下した際には、従来の自動車販売店や給油所などに設置された充電スタンド等にて、蓄電池を充電する必要がある。
ここで、この充電時間を実用的な数分~数十分などにするためには、50kW以上(100kW以上など)の電力供給を行う充電器(急速充電器など)が必要となる。
【0005】
そのため、特許文献1の車両充電システムは、段落0002に記載されたように、50kW以上の高圧受電(高圧契約)による変圧器を有する事業施設用のシステムとなっている。
しかしながら、従来の自動車販売店や給油所などは、50kW未満の低圧受電を行っていることが一般的であることから、電気自動車の充電器を設置するには、設置費用や運用費用等が高額な高圧受電設備(高圧キュービクル)に改修しなければならず、コスト高となる問題がある。
【0006】
又、高圧受電設備の1次側には高圧の電流が配電されるため、感電事故が発生するリスクが高まる問題もある。
このような問題は、充電器以外であったり、小規模な負荷設備であっても、受電する電力より大きい電力を消費する負荷設備を設置する場合には、同様である。
【0007】
本発明は、このような点に鑑み、受電力より大きい消費電力の大電力負荷と系統の間に接続された変圧器の高圧側等で、大電力負荷に、受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路を介して接続した蓄電装置等からの電力を消費させることで、「コストの低減」や「感電事故のリスク低減」などを実現し得る受電システムや受電盤、発電制御プログラム、発電制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る受電システム1は、系統Kから受電する受電力より大きい電力を消費する大電力負荷2と、前記大電力負荷2と系統Kの間に接続された変圧器3を有した受電システムであって、前記変圧器3は、前記大電力負荷2側の電圧が、前記系統K側の電圧以上であり、前記変圧器3と大電力負荷2の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路4を介して接続され、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2に蓄電装置5が接続され、前記蓄電装置5からの電力、及び/又は、前記系統Kから変圧器3を経ての電力を、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2が消費することを第1の特徴とする。
【0009】
本発明に係る受電システム1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2に発電装置6も接続され、前記発電装置6からの電力、前記蓄電装置5からの電力、及び/又は、前記系統Kから変圧器3を経ての電力を、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2が消費する点にある。
【0010】
本発明に係る受電システム1の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記大電力負荷2には、充電器2Aが含まれている点にある。
【0011】
本発明に係る受電システム1の第4の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記変圧器3と大電力電路4は、盤筐体11内に設けられ、前記盤筐体11内には、前記系統Kと変圧器3の間の電路を遮断可能な系統遮断器7aと、前記大電力電路4と大電力負荷2の間の電路を遮断可能な大電力負荷遮断器7bと、前記大電力電路4と蓄電装置5の間の電路を遮断可能な蓄電遮断器7cも設けられ、前記盤筐体11内で、前記変圧器3は、前記大電力電路4と系統遮断器7aと大電力負荷遮断器7bと蓄電遮断器7cより上方に配置されている点にある。
【0012】
これらの特徴により、系統Kからの受電力より大きい電力を消費する大電力負荷2と、大電力負荷2と系統Kの間に接続された変圧器3を有し、変圧器3の高圧側等で、大電力負荷2に、受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路4を介して接続された蓄電装置5からの電力等を消費させることによって、特許文献1とは異なり、50kW未満の低圧受電であっても、蓄電装置5からの電力分だけ受電力より大きい電力を大電力負荷2に消費させることが可能となり、従来の自動車販売店や給油所などでも50kW以上の充電器2Aを使用できる。
これと同時に、自動車販売店や給油所などに充電器2Aを設置しても、設置費用や運用費用等が高額な高圧受電設備は不要となって、「コストの低減」が図れると共に、当該受電システム1における1次側の電圧も低圧となるため、「感電事故のリスク低減」を実現できる。
尚、大電力負荷2は、充電器2Aに限定されることはなく、受電力より大きい電力を消費する負荷設備を設置する際には「コストの低減」や「感電事故のリスク低減」を実現できる。
特に、受電システム1としての受電力が50kWより小さい小規模な負荷設備(例えば、10kWや、30kWなど)である場合には、本発明に係る受電システム1は、「小規模受電用等の受電システム」であるとも言える。
【0013】
又、変圧器3における高圧側等で、大電力負荷2に、蓄電装置5等からだけでなく、大電力電路4を介して接続した発電装置6からの電力等も消費させることによって、発電装置6からの電力分だけ、更に受電する電力より大きい電力を大電力負荷2に消費させることが可能となり、より充電時間の短い充電器2Aを使用できると共に、「コストの低減」や「感電事故のリスク低減」を実現できる。
【0014】
更に、大電力負荷2に急速充電器などの充電器2Aが含まれていることによって、大電力負荷2は、充電器2Aと、その他の負荷設備を含んでいても良いことから、本発明に係る受電システム1は、「急速充電用等の受電システム」であるとも言える。
【0015】
そして、盤筐体11内で、変圧器3を、大電力電路4と系統遮断器7aと大電力負荷遮断器7bと蓄電遮断器7cより上方に配置することによって、変圧器3における鉄心やコイルの表面が高温となり易く、仮に、鉄心やコイル周辺で熱せられた空気が上方に流れたとしても、変圧器3の下方にある大電力電路4や各遮断器7a~7cに影響を及ぼさないため、受電システム1の主な部分(変圧器3や大電力電路4や各遮断器7a~7c)を一体化して、既存の自動車販売店や給油所などに後から設置し易くなる(「後設置の容易化」)。
【0016】
本発明に係る受電盤10は、盤筐体11と、前記盤筐体11内に設けられた変圧器3を有した受電盤であって、前記変圧器3は、系統Kから受電する受電力より大きい電力を消費し且つ前記盤筐体11外の大電力負荷2と、前記系統Kの間に接続され、前記変圧器3は、前記大電力負荷2側の電圧が、前記系統K側の電圧以上であり、前記変圧器3と大電力負荷2の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能で且つ前記盤筐体11内に設けられた大電力電路4を介して接続され、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2に、前記盤筐体11外の蓄電装置5が接続され、前記盤筐体11内には、前記系統Kと変圧器3の間の電路を遮断可能な系統遮断器7aと、前記大電力電路4と大電力負荷2の間の電路を遮断可能な大電力負荷遮断器7bと、前記大電力電路4と蓄電装置5の間の電路を遮断可能な蓄電遮断器7cも設けられ、前記盤筐体11内で、前記変圧器3は、前記大電力電路4と系統遮断器7aと大電力負荷遮断器7bと蓄電遮断器7cより上方に配置されていることを第1の特徴とする。
【0017】
この特徴により、受電盤10としてでも、盤筐体11内で変圧器3を大電力電路4と系統遮断器7aと大電力負荷遮断器7bと蓄電遮断器7cより上方に配置することによって、「後設置の容易化」が図れる。
【0018】
本発明に係る電力制御プログラムは、系統Kから受電する受電力より大きい電力を消費する大電力負荷2と、前記大電力負荷2と系統Kの間に接続された変圧器3を有した受電システム1の電力制御プログラムであって、前記変圧器3は、前記大電力負荷2側の電圧が、前記系統K側の電圧以上であり、前記変圧器3と大電力負荷2の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路4を介して接続され、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2に蓄電装置5が接続され、前記蓄電装置5からの電力、及び/又は、前記系統Kから変圧器3を経ての電力を、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2に消費させることを第1の特徴とする。
【0019】
本発明に係る電力制御方法は、系統Kから受電する受電力より大きい電力を消費する大電力負荷2と、前記大電力負荷2と系統Kの間に接続された変圧器3を有した受電システム1の電力制御方法であって、前記変圧器3は、前記大電力負荷2側の電圧が、前記系統K側の電圧以上であり、前記変圧器3と大電力負荷2の間は、前記受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路4を介して接続され、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2に蓄電装置5が接続され、前記蓄電装置5からの電力、及び/又は、前記系統Kから変圧器3を経ての電力を、前記大電力電路4を介して、前記大電力負荷2に消費させることを第1の特徴とする。
【0020】
これらの特徴によっても、系統Kからの受電力より大きい電力を消費する大電力負荷2と、大電力負荷2と系統Kの間に接続された変圧器3を有し、変圧器3の高圧側等で、大電力負荷2に、受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路4を介して接続された蓄電装置5からの電力等を消費させることによって、特許文献1とは異なり、50kW未満の低圧受電であっても、蓄電装置5からの電力分だけ受電力より大きい電力を大電力負荷2に消費させることが可能となり、従来の自動車販売店や給油所などでも50kW以上の充電器2Aを使用できると同時に、自動車販売店や給油所などに充電器2Aを設置しても、設置費用や運用費用等が高額な高圧受電設備は不要となって、「コストの低減」が図れると共に、当該受電システム1における1次側の電圧も低圧となるため、「感電事故のリスク低減」を実現できる。
尚、大電力負荷2に急速充電器などの充電器2Aが含まれている場合や、大電力負荷2は、充電器2Aと、その他の小規模な負荷設備を含んでいても良いことから、本発明に係る電力制御プログラムや電力制御方法も、「急速充電用・小規模受電用等の電力制御プログラム」や「急速充電用・小規模受電用等の電力制御方法」であるとも言える。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る受電システムや受電盤、発電制御プログラム、発電制御方法によると、受電力より大きい消費電力の大電力負荷と系統の間に接続された変圧器の高圧側等で、大電力負荷に、受電力より大きい電力を導通可能な大電力電路を介して接続した蓄電装置等からの電力を消費させることで、「コストの低減」や「感電事故のリスク低減」などを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る受電システムを例示する概要図である。
【
図2】本発明に係る受電盤の外装を示す正面図である。
【
図5】本発明に係る発電制御プログラム、発電制御方法を例示するフローチャートであり、(a)は第1実施形態のフローチャートの例を示し、(b)は第2実施形態のフローチャートの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<受電システム1の全体構成>
図1~4に示されたように、本発明に係る受電システム1は、後述する大電力負荷2と、後述する変圧器3を有し、変圧器3と大電力負荷2の間は、後述する大電力電路4を介して接続され、大電力電路4を介して大電力負荷2に、後述する蓄電装置5が接続されている。
受電システム1は、蓄電装置5からの電力、及び/又は、系統Kから変圧器3を経ての電力を、大電力電路4を介して、大電力負荷2が消費する。
【0024】
ここで、本発明における「蓄電装置5からの電力、及び/又は、系統Kから変圧器3を経ての電力を、大電力電路4を介して、大電力負荷2が消費する」とは、蓄電装置5からの電力と、系統Kから変圧器3を経ての電力のうち、少なくとも一方を、大電力電路4を介して、大電力負荷2が消費することを意味する。
又、本発明における「蓄電装置5からの電力」とは、蓄電装置5から出力(放電)される電力(蓄電力)T全てだけでなく、蓄電力Tの少なくとも一部との意味であり、本発明における「系統Kから変圧器3を経ての電力」とは、系統Kから変圧器3を経ての電力(系統Kから受電した電力(受電力))R全てだけでなく、受電力Rの少なくとも一部との意味であり、(R→3)とする。
尚、受電システム1において、蓄電装置5が大電力電路4を介して大電力負荷2に接続された際に蓄電力Tが0(ゼロ)である場合には、大電力負荷2が消費するのは受電力Rのみとなるものの、蓄電装置5が大電力電路4を介して大電力負荷2に接続された時から既に蓄電力Tが0より大きい(他の所で蓄電装置5に幾らかの電力を充電した後に接続した)場合には、大電力負荷2は少なくとも蓄電力Tを消費するとし、必要に応じて受電力Rも合わせて消費することとしても良い。
【0025】
受電システム1は、大電力電路4を介して、大電力負荷2に、後述する発電装置6も接続されていても良く、この場合、受電システム1は、発電装置6からの電力、蓄電装置5からの電力、及び/又は、系統Kから変圧器3を経ての電力を、大電力電路4を介して、大電力負荷2が消費しても良い。
【0026】
ここで、本発明における「発電装置6からの電力、蓄電装置5からの電力、及び/又は、系統Kから変圧器3を経ての電力を、大電力電路4を介して、大電力負荷2が消費する」とは、発電装置6からの電力と、蓄電装置5からの電力と、系統Kから変圧器3を経ての電力のうち、少なくとも1つを、大電力電路4を介して、大電力負荷2が消費することを意味する。
又、本発明における「発電装置6からの電力」とは、発電装置6から出力される電力(発電力)H全てだけでなく、発電力Hの少なくとも一部との意味である。
尚、受電システム1において、発電装置6の発電力Hが0(ゼロ)である場合には、大電力負荷2が消費するのは、上述したような蓄電力Tと受電力Rのうち、少なくとも一方となるものの、発電装置6の発電力Hが0より大きい場合には、大電力負荷2は少なくとも発電力H及び蓄電力Tを消費するとし、必要に応じて受電力Rも合わせて消費することとしても良い。
【0027】
受電システム1は、後述する系統遮断器7aなどの各遮断器を有していたり、後述する変圧器3に一般動力負荷20aや、一般電灯負荷20bが接続されていても良く、その他、後述する大電力電路4に、予備の負荷設備を接続可能な予備端子20cが設けられていても構わない。
受電システム1は、後述する受電盤10や、逆電力継電器30a、同期検定器30b、開閉器31などを有していても良い。
ここで、本発明における電力、電圧、電流、容量は、定格範囲の値であっても良く、この場合、定格電力、定格電圧、定格電流、定格容量と言える。これら定格電力等とは、電気製品を安全に使用するために製造者によって補償された電力等の限度値であるとも言え、更に、定格とは、機器や装置で、安全・適性な動作が保証される使用限度や条件であるとも言える。
又、本発明における電流が交流の場合、電力の値(電力値)、電圧の値(電圧値)、電流の値(電流値)、容量の値(容量値)は、実効値であっても良い。
このような受電システム1が受電力Rを受電する系統Kについて、まず述べる。
【0028】
<系統K>
図1に示されたように、系統Kは、受電システム1に送電する(受電させる)ものであって、電力会社などが電気を消費者に供給するためのシステム全体のことを言い、電力系統Kとも言える。
系統Kは、具体的には、変電所・送電線・配電線などの設備を備え、発電所が含まれる場合もある。
このような系統Kで扱われる電力は、交流、直流の何れでも良いが、以下は、交流であるとして述べる。
【0029】
系統Kでは、送電される電力の多くが交流であるため、送電線で三相3線(3φ3W)式により送電され、その送電の際の送電ロスを減らすため、基幹的な長距離送電の区間は出来るだけ高電圧(例えば、6600Vや22000Vなど)で送電される。
系統Kで送電される電力は、消費地に近い場所で何段かに分けて電圧が変圧(降圧)され、柱上変圧器等以降は単相2線(1φ2W)などでの配電も行なわれる。
系統Kは、電力会社などの系統(商用電力系統)であったり、企業・自治体などの組織が独自に有するシステムやプラント内部の系統(独立電力系統)であっても良い。
【0030】
このような系統Kから電力を引き込む際には、電力が50kW未満の低圧契約(低圧受電)の場合、動力引込(200V、三相3線式)であったり、単相2線式(1φ2W、100V)や、単相3線(1φ3W、100V以上200V以下)等であっても良く、電力が50kW以上の高圧契約(高圧受電、高圧引込)の場合は、その電圧は6600Vなどであり、電力が20000kW以上の特別高圧(特高)契約(特高受電)の場合は、その電圧は22000Vなどである。
【0031】
<大電力負荷2>
図1に示されたように、大電力負荷2は、上述した系統Kから受電する受電力Rより大きい電力を消費する負荷(負荷設備)である。つまり、大電力負荷2の消費電力(容量)Sの値は、受電システム1が系統Kから受電する受電力Rの値より大きい。
従って、受電システム1が50kW未満の低圧契約(受電力Rが50kW未満)である場合、大電力負荷2の消費電力Sは、具体的な契約電力(受電力R、10kWや30kWなど)より大きかったり、50kW以上となり、例えば、30kWや50kWであったり、100kWや180kWであったり、500kWや1000kWなどであったり、10kW以上2000kW以下、好ましくは30kW以上1500kW以下、更に好ましくは50kW以上1000kW以下であっても良い。
つまり、大電力負荷2は、従来であれば、契約電力がより大きい契約(高圧契約など)をしなければ使用できなかった負荷設備(中小規模の工場やビルの負荷設備など)を含んでいても構わない。
【0032】
尚、受電システム1が50kW以上の高圧契約の小口(受電力Rが50kW以上500kW未満)である場合や、高圧契約の大口(受電力Rが500kW以上2000kW未満)である場合、特高契約(受電力Rは2000kW以上)である場合なども同様である。
又、受電システム1が何れの契約であっても、大電力負荷2の消費電力Sは、後述する蓄電装置5の蓄電力Tと略同じであるか、又は、蓄電力Tより小さくとも良い。
以下、受電システム1は、低圧契約であっても良いし、低圧契約でも契約電力(受電力R)が50kWより小さい(10kWや、30kWなど)であるとして主に述べる。
【0033】
大電力負荷2は、自動車販売店や給油所などであったり、レンタカー店舗(レンタカー屋)であったり、工場・作業所における電気・電子機器などの電力を使用する機器設備(エアコン、モータ、ポンプなど一般の動力負荷や、一般の電灯負荷など)であっても良く、工場・作業所そのものを意味しても良い。
又、大電力負荷2は、会社等の法人・団体や個人、官公署・組合などの事務所、住宅、店舗、倉庫・車庫・駐車場・駐輪場、校舎・講堂・体育館、研究施設、病院・診療所、旅館・ホテル、劇場・映画館・競技場・野球場などにおける電気・電子機器などの電力を使用する機器や、会社などの事務所等そのものを意味しても良く、これらが組み合わさったものでも構わない。
1つの受電システム1において、大電力負荷2の個数は、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
【0034】
<充電器2A>
図1に示されたように、ここまで述べた大電力負荷2には、充電器2Aが含まれていても良く、この充電器2Aは、急速充電器や、普通充電器、超急速充電器など何れの構成でも構わない。尚、大電力負荷2は、充電器2Aだけであったり、充電器2Aが含まれていなかったり、充電器2Aと充電器2A以外の負荷設備であっても良い。
ここで、本発明における「充電器2A」とは、電気自動車や、プラグインハイブリッド車などの他、電電動二輪車などのバッテリ(蓄電池)を有した乗り物の充電に用いる設置型の充電装置または充電施設であって、充電スタンドや、充電ステーション、充電スポット等とも言う。
【0035】
充電器2Aから電気自動車などへの出力は、直流の電流であっても、交流の電流であっても良く、何れか一方のみ出力可能であったり、両方を出力可能であっても構わない。
一方、電気自動車などは、プラグ等を介して、直流の電流を入力したり、交流の電流を入力しても良く、何れか一方のみ入力可能であったり、両方入力可能であっても構わない。
尚、充電器2Aは、充電器2Aからの出力が直流の電流である場合は、急速充電を行い、充電器2Aからの出力が交流の電流である場合は、普通充電を行う構成であっても良い。
充電器2Aは、蓄電装置5からの電力や受電力Rなどを蓄電する蓄電部を有していたり、蓄電装置5からの電流を、交流から直流に又は直流から交流に変換する変換部(AC/DCコンバータや、DC/ACインバータ(DC/ACコンバータ)、DC/DCコンバータなど)を有していても良い。
【0036】
1つの受電システム1において、充電器2Aの個数も、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
充電器2Aの容量は、上述した各契約における消費電力Sの値であったり、その他、30kWや50kWであったり、100kWや180kW(90kW×2)、200kW以上などであっても構わない。
充電器2Aの充電時間は、電気自動車などのバッテリの容量によるが、バッテリが満充電となるまで、急速充電器であれば、例えば、約10分や約20分、約30分、約40分などであったり、10分以上120分以下などであっても良く、普通充電器であれば、例えば、約5時間や約7時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約24時間であったり、2時間以上30時間以下などであっても良く、超急速充電器(例えば、蓄電部を有し、蓄電部に蓄電した電力を高電圧で出力する等)であれば、約3分や約5分、約10分などであったり、1分以上10分以下などであっても構わない。
尚、電気自動車などのバッテリの容量も、特に限定はないが、例えば、100kWhや180kWh(90kWh×2)であったり、50kWh以上2000kWh以下、好ましくは70kWh以上1500kWh以下、更に好ましくは90kWh以上1000kWh以下であっても良い。
【0037】
<変圧器3>
図1、3、4に示されたように、変圧器3は、上述した系統Kからの交流電流を、後述する大電力電路4を介して、上述した大電力負荷2に適した電圧の交流電流に変圧するものであり、所謂、トランスである。尚、トランスとは、トランスフォーマーの略である。
変圧器3は、大電力負荷2と系統Kの間に接続されており、大電力負荷2側の電圧が、系統K側の電圧以上であり、大電力負荷2側の電圧が系統K側の電圧より高い場合は、変圧器3は、大電力負荷2と系統Kの間については、昇圧変圧器であるとも言え、大電力負荷2側の電圧が系統K側の電圧と同じである場合は、ある意味、変圧器3は、大電力負荷2と系統Kの間を絶縁しているとも言える。
変圧器3において、大電力負荷2側の電圧と系統K側の電圧の差(電位差)は、特に限定はないが、例えば、0Vであったり、230Vや335Vなどであったり、0V以上2000V以下、好ましくは10V以上1000V以下、更に好ましくは50V以上500V以下(0Vや、44V、335Vなど)であっても良い。
【0038】
変圧器3の容量(単位はVA)も、特に限定はないが、例えば、契約電力と略同じであったり、50kVAなどであったり、5kVA以上2000kVA以下、好ましくは30kVA以上1500kVA以下、更に好ましくは50kVA以上1000kVA以下であっても良い。
尚、変圧器3の容量は、上述した大電力負荷2の消費電力(容量)Sや、後述する大電力電路4の導通電力(容量)Dより小さくとも良い。
【0039】
変圧器3は、その構成に限定はないが、例えば、三巻線変圧器であったり、二巻線変圧器(例えば、1次側が系統K側で、2次側が大電力負荷2側)であったり、四巻線以上の変圧器であっても良い。
ここで、既存の自動車販売店や給油所、レンタカー店舗などで、系統Kである動力引込(200V)に一般動力負荷20aを接続しつつ、動力引込(200V)の一部を一般電灯負荷20b用に105Vなどに降圧する等の二巻線変圧器を使用している場合でも、変圧器3が三巻線変圧器であれば、既存の動力引込(200V)や一般動力負荷20a、一般電灯負荷20bは、そのまま使用しつつ、充電器2Aなどの大電力負荷2を新たに追加できるとも言える。
以下、変圧器3は、三巻線変圧器であるとして主に述べる。
【0040】
三巻線変圧器である変圧器3は、その1~3次側が何れに接続するかは特に限定はないが、例えば、その1次側は、系統K側であり、一般動力負荷20a側であるとも言え、その2次側が、一般電灯負荷20b側であり、その3次側が、大電力負荷2側であっても良い。
この場合、3次側の電圧が、1次側の電圧以上となり、具体的な値は特に制限はないが、例えば、系統K側である1次側の電圧が、210Vや200V、105V、100Vなどであったり、90V以上300V以下、好ましくは100V以上250V以下、更に好ましくは150V以上220V以下であったり、大電力負荷2側である3次側の電圧が、210Vや200V、105V、100Vなどであったり、440Vなどであったり、90V以上1000V以下、好ましくは100V以上800V以下、更に好ましくは150V以上600V以下であっても構わない。
尚、この場合、一般電灯負荷20b側である2次側の電圧は、何れの値でも良いが、例えば、2次側の電圧が、1次側の電圧と略同じか又は1次側の電圧より低くても良く、具体的な値も特に制限はないが、例えば、2次側の電圧が、105V以上210V以下や、105V、210V、100Vなどであったり、70V以上260V以下、好ましくは80V以上240V以下、更に好ましくは90V以上220V以下であっても構わない。
【0041】
変圧器3は、その1~3次側の結線方式についても特に制限はないが、例えば、系統K側である1次側が三角形結線(Δ結線)で、大電力負荷2側である3次側が星型結線(Y結線)で(つまり、Δ-Y結線)であっても良く、その他、1次側・3次側の順で、Δ-Δ結線やY-Δ結線、Y-Y結線であっても構わない。尚、2次側の結線方式は特に制限はない(例えば、単相3線や単相2線でも良い)。
ここで、1つの変圧器3においては、系統K側である1次側の容量と、大電力負荷2側である3次側の容量は、同じであっても良く、例えば、1次側・3次側共に、例えば、50kVAなど契約電力と略同じであっても構わない。
尚、1つの変圧器3においては、一般電灯負荷20b側である2次側の容量は、系統K側(契約電力)の電力と同じ、又は、系統K側の電力より小さくとも良く、結線方式が単相2線である場合、20kVA×2であったり、5kVA以上100kVA以下、好ましくは10kVA以上70kVA以下、更に好ましくは15kVA以上40kVA以下であっても構わない。
その他、変圧器3は、乾式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であっても良く、その他、油入式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であっても構わない。
【0042】
<大電力電路4>
図1に示されたように、大電力電路4は、上述した変圧器3と大電力負荷2の間を接続する電路であり、上述した系統Kから受電する受電力Rより大きい電力を導通可能な電路である。つまり、大電力電路4の導通電力(容量)Dの値は、受電システム1が系統Kから受電する受電力Rの値より大きい。
従って、受電システム1が50kW未満の低圧契約(受電力Rが50kW未満)である場合、大電力電路4の導通電力Dは、具体的な契約電力(受電力R、10kWや30kWなど)より大きかったり、50kW以上となり、例えば、50kWや100kWであったり、300kWであったり、500kWや1000kWなどであったり、20kW以上2000kW以下、好ましくは30kW以上1500kW以下、更に好ましくは50kW以上1000kW以下であっても良い。
【0043】
又、大電力電路4の導通電力Dは、後述する蓄電装置5の蓄電力Tと略同じであるか、又は、蓄電力Tより大きくとも良い。
このような大電力電路4を介して、大電力負荷2に、後述する蓄電装置5や発電装置6が接続されていて、蓄電装置5からの電力や、発電装置6からの電力、系統Kから変圧器3を経ての電力は、この大電力電路4を介して、大電力負荷2が消費することとなる。
尚、本発明における「電路」とは、電気を流すものであって、銅、アルミニウム、銀、金、ニクロム等の導体や、この導体を絶縁物で覆ったケーブル、一般的な電線などを含む。
【0044】
大電力電路4の電圧も、系統K側の電圧以上であると言え、大電力電路4の電圧と系統K側の電圧の差(電位差)は、特に限定はないが、上述した変圧器3の場合と同様に、例えば、0Vであったり、230Vや335Vなどであったり、0V以上2000V以下、好ましくは10V以上1000V以下、更に好ましくは50V以上500V以下(0Vや、44V、335Vなど)であっても良い。
大電力電路4で導通される電流は、三相3線(3φ3W)で60Hz又は50Hz等の交流であったり、その他、単相2線(1φ2W)や、単相3線(1φ3W)等の交流であっても良い。
【0045】
<蓄電装置5>
図1に示されたように、蓄電装置5は、上述した系統Kから変圧器3を経ての電力や、後述する発電装置6からの電力(発電力)Hなどを蓄電する装置である。
蓄電装置5は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などの蓄電池(バッテリ)であったり、発電装置6からの発電力H等を用いた水の電気分解等により生成した水素を貯蔵し、必要なときに燃料電池等にて電力を取り出す他、フライホール等にて運動エネルギーとしての蓄電(貯蔵)や、揚水にて位置エネルギーとしての蓄電(貯蔵)、キャパシタ等にてそのまま電気エネルギーとしての蓄電(貯蔵)などをする装置であっても構わない。
蓄電装置5は、上述した大電力電路4を介して、上述した大電力負荷2に接続されていて、この蓄電装置5からの電力は、大電力電路4を介して、大電力負荷2に消費される。
【0046】
1つの受電システム1において、蓄電装置5の個数は、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
蓄電装置5の畜電力Tも、特に限定はないが、例えば、50kWや100kWであったり、200kW(100kW×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは50kW以上1500kW以下、更に好ましくは70kW以上1000kW以下であっても良い。
蓄電装置5の畜電力量(容量)Tも、特に限定はないが、例えば、100kWhや200kWhであったり、390kWh(195kWh×2)であったり、50kWh以上2000kWh以下、好ましくは100kWh以上1500kWh以下、更に好ましくは200kWh以上1000kWh以下であっても良い。
尚、蓄電装置5の蓄電力Tは、上述した大電力負荷2の消費電力Sより大きくとも良く、後述する大電力電路4の導通電力Dより小さくとも構わない。
尚、蓄電装置5は、自立運転機能を有していたり、後述する開閉器31の開閉を制御しても良い。
【0047】
<蓄電変換部5a>
図1に示されたように、上述した蓄電装置5への蓄電や、蓄電装置5からの放電は、直流の電流にて行われるため、蓄電装置5と大電力電路4との間には、大電力電路4からの交流電流を直流電流に変換したり、蓄電装置5からの直流電流を大電力電路4への交流電流に変換する蓄電変換部5aが接続されていても良い。
蓄電変換部5aは、大電力電路4からの交流電流を直流電流に変換するコンバータと、蓄電装置5からの直流電流を交流電流に変換するインバータを備えていても良く、その他、これらのコンバータやインバータが変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機や、気中遮断機(ACB)等を備えていても構わない。蓄電変換部5aの制御機で、蓄電装置5としての自立運転や、開閉器31の開閉を制御しても良い。
尚、蓄電変換部5aは、パワコン(パワーコンディショナーの略)とも呼ばれる。
【0048】
1つの受電システム1において、蓄電変換部5aの個数も、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良く、上述した蓄電装置5の個数と同じであっても構わない。
蓄電変換部5aの変換できる蓄電変換電力(容量)T’も、特に限定はないが、例えば、50kWや100kWであったり、200kW(100kW×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは100kW以上1500kW以下、更に好ましくは200kW以上1000kW以下であっても良い。
尚、蓄電変換部5aの蓄電変換電力T’は、上述した蓄電装置5の蓄電力Tより小さくとも良く、その他、上述した大電力負荷2の消費電力Sより大きかったり、後述する大電力電路4の導通電力Dより小さくとも構わない。
【0049】
<発電装置6>
図1に示されたように、発電装置6は、発電するのであれば、何れの構成でも良く、発電装置6は、上述した大電力電路4を介して、上述した大電力負荷2に接続されていて、この発電装置6からの電力は、大電力電路4を介して、大電力負荷2に消費される。
発電装置6は、例えば、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、太陽熱発電、大気中の熱その他の自然界に存する熱による発電、バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの)による発電などを行うものであっても良い。
この他、発電装置6は、海洋温度差や波力、潮流(海流)、潮汐による発電を行うものであっても良い。
【0050】
1つの受電システム1において、発電装置6の個数は、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
発電装置6の発電力(容量)Hも、特に限定はないが、例えば、50kWや100kWであったり、100kW以上200kW以下や、200kW以上400kW以下(100kW以上200kW以下×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは100kW以上1500kW以下、更に好ましくは200kW以上1000kW以下であっても良い。
尚、発電装置6の発電力Hは、上述した大電力負荷2の消費電力Sと略同じであったり、より大きくとも良く、後述する大電力電路4の導通電力Dより小さくとも構わない。
以下は、特に、太陽光発電を行う太陽光発電装置6Aについて述べる。
【0051】
<太陽光発電装置6A>
図1に示されたように、太陽光発電装置6Aは、太陽電池6Aaと、この太陽電池6Aaからの直流電流を交流電流に変換する太陽光発電変換部6Abを備えている。
この他、太陽光発電装置6Aは、日射強度を測定する日射計や、太陽光発電変換部6Abや送電部を収容する配電盤や、この配電盤内の空調を行うエアコン、太陽電池6Aaや接続箱等からの直流電流を集めて太陽光発電変換部6Abへ送る集電部などを有していても良い。
太陽光発電装置6Aにおける太陽電池6Aaは複数であっても良く、これら複数の太陽電池6Aaが直列に繋がって太陽電池ストリングを形成していても良い。
太陽光発電装置6Aにおいて、複数の太陽電池ストリングが並列に接続された接続箱を有していても良く、このような接続箱は複数であっても構わない。
【0052】
<太陽電池6Aa>
図1に示されたように、太陽電池6Aaそれぞれは、光が照射されることによって、正極(+極)と負極(-極)の間に直流電力を発生し、発生する電力は、100W以上300W以下(例えば、250Wなど)である。
太陽電池6Aaは、通常パネル状であり、その設置する際の角度(水平方向から太陽電池6Aaのパネルまでの角度、以下、設置角度)θによって、発電量が異なる(例えば、設置角度θ=30°のときの発電量を100%とすれば、θ=20°で約99%、θ=10°で約95%、θ=0°で約90%)。
又、複数ある太陽電池6Aaのうち、ある太陽電池6Aaの+極に別の太陽電池6Aaの-極を接続し、別の太陽電池6Aaの+極にまた別の太陽電池6Aaの-極を接続し、以下、これを繰り返して、複数(例えば、5枚以上20枚以下)の太陽電池6Aaを直列に接続して、1本の太陽電池ストリングとなる。
【0053】
このように、複数の太陽電池6Aaが直列に繋がった太陽電池ストリング全体としての+極(電力出力端)と、-極(グランド端)の間の電圧は、各太陽電池6Aaで発生された直流電圧の和であって、天候、時刻などで変動するが、200V以上1000V以下となる。
太陽電池ストリングの電力出力端から出力される電力は、各太陽電池6Aaの電力の和であって、500W以上6000W以下(例えば、出力電力が250Wの太陽電池6Aaを14枚接続した場合、3500W=3.5kW)となる。
上述した複数(例えば、5本以上15本以下)の太陽電池ストリングが、1個の接続箱へ並列に接続されている。
従って、それぞれの太陽電池ストリングの電力出力端(+極)とグランド端(-極)の間の電圧は、同一となり、上述したように、約0.5kW以上6kW以下である。
但し、1個の接続箱に対して、複数の太陽電池ストリングの電流が流れ込むため、接続箱に集まる電力は、2.5kW以上90kW以下(例えば、接続箱に、出力電力が3.5kWの太陽電池ストリングを、6本接続していれば21kW、12本接続していれば42kW)である。
よって、複数の接続箱を持つ太陽光発電装置6Aであれば、その太陽光発電力HAは、上述したように、50kWや100kWであったり、100kW以上200kW以下や、200kW以上400kW以下(100kW以上200kW以下×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは100kW以上1500kW以下、更に好ましくは200kW以上1000kW以下となると言える。
【0054】
<太陽光発電変換部6Ab>
図1に示されたように、上述した太陽電池6Aaからの出力は、直流の電流にて行われるため、太陽電池6Aaと大電力電路4との間には、太陽電池6Aaからの直流電流を大電力電路4への交流電流に変換する太陽光発電変換部6Abが接続されていても良い。
太陽光発電変換部6Abは、太陽電池6Aaからの直流電流を交流電流に変換するインバータ等を備えていても良く、その他、このインバータが変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機や、気中遮断機(ACB)等を備えていても構わない。
尚、太陽光発電変換部6Abも、パワコン(パワーコンディショナーの略)とも呼ばれる。
【0055】
1つの受電システム1において、太陽光発電変換部6Abの個数も、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良く、1つの太陽光発電装置6Aに1つずつ存在しても構わない。
太陽光発電変換部6Abの変換できる発電変換電力(太陽光発電変換電力、容量)H’も、特に限定はないが、例えば、10kWや30kWであったり、50kWや、62.5kW、100kW(50kW×2)、125kW(62.5kW×2)であったり、5kW以上1000kW以下、好ましくは10kW以上750kW以下、更に好ましくは20kW以上500kW以下であっても良い。
尚、太陽光発電変換部6Abの発電変換電力H’も、上述した大電力負荷2の消費電力Sと略同じであったり、より大きくとも良く、後述する大電力電路4の導通電力Dより小さくとも構わない。
更に、太陽光発電変換部6Abの発電変換電力H’は、上述した太陽光発電装置6Aとしての太陽光発電力HAより小さく(換言すれば、太陽光発電力HAが、発電変換電力H’より大きく)とも良く、この場合、太陽電池6Aaは、太陽光発電変換部6Abに対して過積載であるとも言え、過積載であれば、太陽光発電装置6Aからの電力で、大電力負荷2の消費電力Sをほぼ供給でき易くなるとも言える。
【0056】
<各遮断器7a~7f、21a、21b>
図1、3に示されたように、受電システム1は、系統遮断器7aや、大電力負荷遮断器7b、蓄電遮断器7cを有していたり、主幹遮断器7dや、発電遮断器7e、予備遮断器7fを有していても良く、その他、動力負荷遮断器(一般動力負荷遮断器)21aや、電灯負荷遮断器(一般電灯負荷遮断器)21bを有していても構わない。
系統遮断器7aは、上述した系統Kと変圧器3の間の電路を遮断可能な遮断器であり、大電力負荷遮断器7bは、上述した大電力電路4と大電力負荷2の間の電路を遮断可能な遮断器であり、蓄電遮断器7cは、上述した大電力電路4と蓄電装置5の間の電路を遮断可能な遮断器である。
【0057】
又、主幹遮断器7dは、上述した変圧器3と大電力電路4の間の電路を遮断可能な遮断器であり、発電遮断器7eは、上述した大電力電路4と発電装置6の間の電路を遮断可能な遮断器であり、予備遮断器7fは、上述した大電力電路4と予備端子20cの間の電路を遮断可能な遮断器であり、その他、動力負荷遮断器21aは、上述した系統Kと変圧器3の間の電路から一般動力負荷20aへ分岐する電路(動力分岐電路20a’)を遮断可能な遮断器であり、電灯負荷遮断器21bは、上述した変圧器3(三巻線変圧器の2次側)と一般電灯負荷20bの間の電路を遮断可能な遮断器である。
これらの遮断器のうち、大電力負荷遮断器7bや、蓄電遮断器7c、発電遮断器7e、予備遮断器7fは、漏電遮断器(ELCB、Earth Leakage Circuit Breaker)であっても良く、その他の系統遮断器7aや、主幹遮断器7d、動力負荷遮断器21a、電灯負荷遮断器21bは、配線用遮断器(MCCB、Molded Case Circuit Break )であっても良い。
【0058】
これら遮断器の定格電流も、特に限定はないが、例えば、100Aや150A、175A、300Aであったり、30A以上1000A以下、好ましくは50A以上600kW以下、更に好ましくは70A以上400A以下であっても良い。
詳解すれば、大電力負荷遮断器7bは、他の遮断器より最も定格電流が大きくても(300Aなど)良く、蓄電遮断器7cが、その次に定格電流が大きくても(175Aなど)良く、動力負荷遮断器21aが、更にその次に定格電流が大きくても(150Aなど)良く、その他の系統遮断器7aや、主幹遮断器7d、発電遮断器7e、電灯負荷遮断器21bは、略同じ定格電流(100Aなど)であっても構わない。尚、系統遮断器7aは、契約電力に応じた定格電流としても良い。
1つの各遮断器を介して、複数の大電力負荷2や複数の蓄電装置5、複数の発電装置6等が、大電力電路4に接続されていても良く、又、1つの各遮断器を介して、1つの大電力負荷2や1つの蓄電装置5、1つの発電装置6等が、大電力電路4に接続されていても構わない。
【0059】
<逆電力継電器30a、同期検定器30b、開閉器31など>
図1に示されたように、逆電力継電器(RPR、Reverse Power Relay )30aは、逆電力を検知する継電器である。ここで、逆電力とは、受電システム1から系統Kへ逆流する電力であり、逆流電力とも言える。
逆電力継電器30aは、何れの構成であっても良いが、例えば、系統Kと変圧器3の間の電路における、上述した系統遮断器7aと、後述する開閉器31の間に設けられていても良い。
逆電力継電器30aで検知される逆電力が0より大きくなると、上述した系統遮断器7aや主幹遮断器7dを遮断し、又は、上述した蓄電装置5の蓄電変換部5aや、発電装置6(太陽光発電装置6A)の太陽光発電変換部6Abの変換を停止しても良い。
尚、逆電力継電器30aで逆電力が検知された際、系統遮断器7aや主幹遮断器7dをハードウェア的に(例えば、引外しトリップコイル等を介して)遮断しても良い。
【0060】
図1に示されたように、同期検定器30bは、複数の交流回路の間の位相差及び同調を検出する計器であり、後述する開閉器31が開いた(解放された)際、開閉器31より系統K側の交流回路と、変圧器3(一般動力負荷20a)側の交流回路の間の位相差及び同調を検出する。
この同調検定器30bにより、受電システム1が、無瞬断で系統Kに再び連系可能となる。
尚、この同様検定器30bや、上述した逆電力継電器30aは、受電システム1における電流の流れや電力を制御する制御装置30であるとも言え、この制御装置30は、その他の機器(スマートロガーや、シーケンサ、コンピュータ等)を有していても良く、後述する電力制御プログラム、電力制御方法を行っても構わない。
【0061】
図1に示されたように、開閉器(MC)31は、電路を開閉する機器であり、上述した系統Kと変圧器3の間の電路(詳解すれば、同調検定器30bにおける系統K側の接点と、系統Kと変圧器3の間の電路から動力分岐電路20a’が分岐する分岐点の間の電路)に設けられている。又、開閉器31は、ラッチ式であっても良く、その他、オルタネイト式であっても構わない。
この開閉器31の定格電流も、特に限定はないが、例えば、150Aであったり、30A以上1000A以下、好ましくは50A以上600kW以下、更に好ましくは70A以上400A以下であっても良い。
開閉器31は、上述した同期検定器30bの同期検定により、開閉器31を閉じる構成であっても良く、上述した蓄電装置5(蓄電変換部5aの制御機等)が開閉器31の開閉を制御しても構わない。
尚、系統Kの停電時には、大電力負荷2の電力や、一般動力負荷20aや一般電灯負荷20bの電力を、蓄電装置5からの蓄電力Tや、発電装置6からの発電力Hによって給電しても良い。
又、これらの制御は、上述した制御装置30が行っても良い。
【0062】
<受電盤10>
図1~4に示されたように、受電盤10は、後述する盤筐体11と、盤筐体11内に設けられた変圧器3を有した盤であり、盤筐体11内には、上述した大電力電路4と、上述した系統遮断器7a、大電力負荷遮断器7b及び蓄電遮断器7cも設けられている。
受電盤10の盤筐体11内では、変圧器3が、大電力電路4、系統遮断器7a、大電力負荷遮断器7b及び蓄電遮断器7cより上方に配置されている。
【0063】
その他、受電盤10は、盤筐体11内に、上述した主幹遮断器7dや、発電遮断器7e等が設けられていたり、その他、動力負荷遮断器21aや電灯負荷遮断器21b、制御装置30が設けられていても良い。
この場合も、受電盤10の盤筐体11内では、変圧器3が、主幹遮断器7dや、発電遮断器7e、動力負荷遮断器21a、電灯負荷遮断器21b及び制御装置30等より上方に配置されていても良い。
【0064】
<盤筐体11>
図1~4に示されたように、盤筐体11は、上述した受電盤10の機器を内蔵する筐体であって、1つの受電システム1において、系統Kに接続されるために1つだけ存在するものであるとも言える。
盤筐体11は、受電盤10の機器を内蔵するのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、全体として略直方体状や、立方体状等に形成されていても良く、キュービクルとも呼ばれる。
以下、盤筐体11は、主に略直方体状であるとして述べる。
盤筐体11は、開閉自在な扉11aを1つ又は複数有していても良く、扉11aは、盤筐体11の前面側に設けられていても構わず、この場合、受電盤10の操作を前面から行うことが出来ると言える。
【0065】
盤筐体11の大きさは、特に限定はないが、例えば、左右長さ(幅)が800mmで、前後長さ(奥行)が600mmで、上下長さ(高さ)が2000mmであったり、左右長さが500mm以上1400mm以下、好ましくは600mm以上1200mm以下、更に好ましくは700mm以上1000mm以下であったり、前後長さが450mm以上900mm以下、好ましくは500mm以上800mm以下、更に好ましくは550mm以上700mm以下であったり、上下長さが1400mm以上3000mm以下、好ましくは1600mm以上2700mm以下、更に好ましくは1800mm以上2400mm以下であっても良く、受電盤10は、変圧器3や大電力電路3、各遮断器等を一体化したコンパクトな盤であるとも言える。
盤筐体11は、その外部から内部へ空気を吸入する吸気スペース(吸気口)11bや、盤筐体11内部から外部へ吸気を排出する排気スペース(排気口)11cを有していても良く、吸気スペース11bは、盤筐体11の下部に設けられ、排気スペース11cは、盤筐体11の上部(変圧器3より上方)に設けられていても良い。
その他、盤筐体11は、その内部に、母線プラグインブレーカ(BPM、Bus Plug in Mccb(Molded Case Circuit Break))の差込部11dや、外線ケーブルを配置するスペース(外線ケーブルスペース)11eを有していても良い。
【0066】
<受電システム1の制御>
上述した制御装置10等によって行われる電力制御プログラム、電力制御方法は、<1>第1実施形態では、蓄電装置5からの電力、及び/又は、系統Kから変圧器3を経ての電力を、大電力電路4を介して、大電力負荷2に消費させ、<2>第2実施形態では、発電装置6からの電力、蓄電装置5からの電力、及び/又は、系統Kから変圧器3を経ての電力を、大電力電路4を介して、大電力負荷2に消費させるものであって、後述するステップP1-1~P1-3や、P2-1~P2-3で表現されていても良い。
図5には、その受電システム1の制御処理のフローチャートが例示されている。
【0067】
図5(a)に示されたように、第1実施形態は、ステップP1-1で、蓄電装置5の蓄電力Tが、大電力負荷2の消費電力S以上であれば(T≧S)、後述のステップP1-2に移り、蓄電装置5の蓄電力Tが、大電力負荷2の消費電力Sより小さければ(T<S)、後述のステップP1-3に移る。
ステップP1-2では、蓄電装置5の蓄電力Tの全部又は一部(つまり、蓄電装置5からの電力)を、大電力負荷2に消費させ、ステップP1-1に戻る。尚、ステップP1-2では、系統Kから変圧器3を経ての電力(R→3)は0(ゼロ)となり、系統Kから買電(受電)する電力が大幅に減るため、電気代が非常に低減される。
ステップP1-3では、蓄電装置5の蓄電力Tの全部又は一部と、系統Kから変圧器3を経ての電力(R→3)の和を、大電力負荷2に消費させ、ステップP1-1に戻る。尚、ステップP1-3では、系統Kから変圧器3を経ての電力(R→3)は0より大きくなるが、蓄電装置5の蓄電力Tの全部又は一部も消費させる分だけ、系統Kから買電する電力が減るため、電気代の低減が図れる。
【0068】
図5(b)に示されたように、第2実施形態は、ステップP2-1で、蓄電装置5の蓄電力Tと発電装置6の発電力Hの和が、大電力負荷2の消費電力S以上であれば(T+H≧S)、後述のステップP2-2に移り、蓄電装置5の蓄電力Tと発電装置6の発電力Hの和が、大電力負荷2の消費電力Sより小さければ(T+H<S)、後述のステップP2-3に移る。
ステップP2-2では、蓄電装置5の蓄電力Tの全部又は一部(つまり、蓄電装置5からの電力)と発電装置6の発電力Hの全部又は一部(つまり、発電装置6からの電力)の和を、大電力負荷2に消費させ、ステップP2-1に戻る。尚、ステップP2-2でも、系統Kから変圧器3を経ての電力(R→3)は0(ゼロ)となり、系統Kから買電(受電)する電力が大幅に減るため、電気代が非常に低減される。
ステップP2-3では、畜電装置5の蓄電力Tの全部又は一部と、発電装置6の発電力Hの全部又は一部と、系統Kから変圧器3を経ての電力(R→3)の和を、大電力負荷2に消費させ、ステップP2-1に戻る。尚、ステップP2-3でも、系統Kから変圧器3を経ての電力(R→3)は0より大きくなるが、蓄電装置5の蓄電力Tの全部又は一部や発電装置6の発電力Hの全部又は一部も消費させる分だけ、系統Kから買電する電力が減るため、電気代の低減が図れる。
【0069】
上述した第1、2実施形態の処理(ステップP1-1~P1-3や、ステップP2-1~P2-3)は、所定時間おき(例えば、1分おき等)に繰り返される。
又、この所定時間は、常に同じ時間間隔でなくても良く、日中で、日射強度が安定している時間帯は、もう少し長い所定時間おき(例えば、5分や1時間おき等)に繰り返し、朝夕など、日射強度の変化が大きい時間帯には、短い所定時間ごとに処理を行うこととしても良い。
【0070】
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。受電システム1や受電盤10、電力制御プログラム、電力制御方法等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
受電システム1は、発電装置6や、一般動力負荷20a、一般電灯負荷20b、予備端子20cを有していなくとも良い。
受電システム1は、上述したように、受電盤10を有していても良いが、当該受電盤10の盤筐体11内に変圧器3が設けられていない(盤筐体11外に変圧器3が設けられたり、盤筐体11に外から取り付けられている)一方で、盤筐体11内には、大電力電路4や、各遮断器7a~7c等は設けられていても構わない。
【0071】
大電力負荷2の消費電力Sは、蓄電装置5の蓄電力Tより大きくとも良い。
変圧器3の容量は、大電力負荷2の消費電力(容量)Sや、大電力電路4の導通電力(容量)Dと略同じであったり、より大きくとも良い。
大電力電路4の導通電力Dは、蓄電装置5の蓄電力Tより小さくとも良い。
蓄電装置5の蓄電力Tは、大電力負荷2の消費電力Sと略同じであったり、より小さくとも良く、大電力電路4の導通電力Dと略同じであったり、より大きくとも構わない。
蓄電変換部5aの蓄電変換電力T’は、蓄電装置5の蓄電力Tと略同じであったり、より大きくとも良く、その他、大電力負荷2の消費電力Sと略同じであったり、より小さくったり、大電力電路4の導通電力Dと略同じであったり、より大きくとも構わない。
発電装置6の発電力Hは、大電力負荷2の消費電力Sより小さくとも良く、大電力電路4の導通電力Dと略同じであったり、より大きくとも構わない。
太陽光発電変換部6Abの発電変換電力H’は、大電力負荷2の消費電力Sより小さくとも良く、大電力電路4の導通電力Dと略同じであったり、より大きくとも構わない。
太陽光発電変換部6Abの発電変換電力H’は、太陽光発電装置6Aの太陽光発電力HAと略同じであったり、より大きくとも良い。
【0072】
受電システム1や受電盤10は、変圧器3と大電力電路4の間に、変圧器3からの交流電流を大電力電路4への直流電流に変換したり、大電力電路4からの直流電流を変圧器3への交流電流に変換する変換部が接続される等によって、大電力電路4に直流の電流を導通させても良く、この場合、充電器2Aなどの大電力負荷2中の変換部や、蓄電装置5中の蓄電変換部5a、発電装置6中の太陽光発電変換部6Ab等を有していなくとも構わない。
遮断器のうち、大電力負荷遮断器7bや、蓄電遮断器7c、発電遮断器7e、予備遮断器7fも、配線用遮断器であっても良い。又、その他の系統遮断器7aや、主幹遮断器7d、動力負荷遮断器21a、電灯負荷遮断器21bが、漏電遮断器であっても良い。
受電システム1や受電盤10は、主幹遮断器7dや、発電遮断器7e、予備遮断器7fを有していなくとも良い。
受電盤10は、盤筐体11内に、主幹遮断器7dや、発電遮断器7e、予備遮断器7fが設けられていなかったり、その他、動力負荷遮断器21aや電灯負荷遮断器21b、制御装置30が設けられていなくとも良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
受電システム、受電盤、電力制御プログラム、及び、電力制御方法は、大電力負荷が充電器だけでなく、その他何れの負荷設備に対しても利用でき、又、何れの電力契約や引込態様であっても使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 受電システム
2 大電力負荷
2A 充電器
3 変圧器
4 大電力電路
5 蓄電装置
6 発電装置
7a 系統遮断器
7b 大電力負荷遮断器
7c 蓄電遮断器
10 受電盤
11 盤筐体
K 系統