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  • 特開-風力発電装置のメンテナンスシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083164
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】風力発電装置のメンテナンスシステム
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20240613BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20240613BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240613BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D13/25
G01N21/88 Z
G08B21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197529
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
【テーマコード(参考)】
2G051
3H178
5C086
【Fターム(参考)】
2G051AA88
2G051AB02
2G051AC15
2G051CA04
3H178AA20
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB41
3H178BB59
3H178DD52X
3H178DD61Z
3H178DD70X
5C086AA34
5C086BA13
5C086CA13
5C086CA15
5C086CA21
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
(57)【要約】
【課題】風力発電装置の予防保全、及び異常発生時の迅速な対応を可能にする。
【解決手段】風力発電装置のメンテナンスシステム10は、弾性材料を用いて中空に形成された浮体14を有する支持部16にタワー18が立設されタワー18に設けられた風車20の回転力を受けて発電する風力発電装置のメンテナンスシステムであって、浮体14に設けられ、浮体14が受けた外力を見積もるための外力センサ22と、外力センサ22からのデータと浮体14が受けた紫外線暴露量とから浮体14の劣化状況を予測し、外力センサ22からのデータと浮体14の撮影データとから浮体14の異常を検出する制御部24と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料を用いて中空に形成された浮体を有する支持にタワーが立設され前記タワーに設けられた風車の回転力を受けて発電する風力発電装置のメンテナンスシステムであって、
前記浮体に設けられ、前記浮体が受けた外力を見積もるための外力センサと、
前記外力センサからのデータと前記浮体が受けた紫外線暴露量とから前記浮体の劣化状況を予測し、前記外力センサからのデータと前記浮体の撮影データとから前記浮体の異常を検出する制御部と、
を有する風力発電装置のメンテナンスシステム。
【請求項2】
前記外力センサは、前記浮体の内圧を検知する圧力センサ、及び前記浮体に設けられた加速度センサの少なくとも一方である、請求項1に記載の風力発電装置のメンテナンスシステム。
【請求項3】
前記外力センサとして、前記浮体に設けられたひずみセンサを更に有する、請求項2に記載の風力発電装置のメンテナンスシステム。
【請求項4】
前記紫外線暴露量として、紫外線センサからのデータ又は気象データを利用する、請求項1に記載の風力発電装置のメンテナンスシステム。
【請求項5】
前記撮影データは、前記風力発電装置に設けられたカメラ、人工衛星のカメラ及びドローンカメラの少なくとも1つから得る請求項1に記載の風力発電装置のメンテナンスシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記浮体の劣化状況及び前記浮体の異常をメンテナンス当事者へ連絡する請求項1~請求項5の何れか1項に記載の風力発電装置のメンテナンスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置のメンテナンスシステムに係り、特に浮体式洋上風力発電装置のメンテナンスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置として、例えば、特許文献1に記載の浮体式洋上風力発電装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許第110080952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洋上風力発電装置は、陸上風力発電装置と比べて効率的な発電や風車の大型化が可能であり、実用化が進んでいる。特に浮体式洋上風力発電装置においては、着床式洋上風力発電のような水深の制限がなく、特に日本のような海洋国においては非常に高いポテンシャルを持った再生可能エネルギーとして注目されている。
【0005】
しかしながら、浮体式の場合、設置場所が沿岸から遠いこともあり、適切なメンテナンス頻度を割り出すことが難しく、また異常発生時における迅速な対応が難しい。また、ドローンによる画像診断を活用したメンテナンス技術が低床されているが、画像解析だけでは正確な診断が難しい。
【0006】
本発明は、風力発電装置の予防保全、及び異常発生時の迅速な対応を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る風力発電装置のメンテナンスシステムは、弾性材料を用いて中空に形成された浮体を有する支持にタワーが立設され前記タワーに設けられた風車の回転力を受けて発電する風力発電装置のメンテナンスシステムであって、前記浮体に設けられ、前記浮体が受けた外力を見積もるための外力センサと、前記外力センサからのデータと前記浮体が受けた紫外線暴露量とから前記浮体の劣化状況を予測し、前記外力センサからのデータと前記浮体の撮影データとから前記浮体の異常を検出する制御部と、を有する。
【0008】
この風力発電装置のメンテナンスシステムでは、弾性材料を用いた浮体の劣化状況を、浮体に設けられた外力センサからのデータと、浮体が受けた紫外線暴露量とからリアルタイムで予測できる。浮体の最適な交換タイミングが分かるので、予防保全が可能である。したがって、設備に異常が発生するリスクを低減できる。
【0009】
また、外力センサからのデータと浮体の撮影データとから、浮体の異常を検出できるので、異常に対して迅速に対応することができる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係る風力発電装置のメンテナンスシステムにおいて、前記外力センサが、前記浮体の内圧を検知する圧力センサ、及び前記浮体に設けられた加速度センサの少なくとも一方である。
【0011】
この風力発電装置のメンテナンスシステムでは、圧力センサ及び加速度センサの少なくとも一方により、浮体が波や衝突物等から受けた外力を見積もることができる。
【0012】
第3の態様は、第2の態様に係る風力発電装置のメンテナンスシステムにおいて、前記外力センサとして、前記浮体に設けられたひずみセンサを更に有する。
【0013】
この風力発電装置のメンテナンスシステムでは、更に外力センサとしてのひずみセンサにより、浮体が波や衝突物等から受けた外力を見積もることができる。
【0014】
第4の態様は、第1の態様に係る風力発電装置のメンテナンスシステムにおいて、前記紫外線暴露量として、紫外線センサからのデータ又は気象データを利用する。
【0015】
この風力発電装置のメンテナンスシステムでは、紫外線センサからのデータ又は気象データを紫外線暴露量として利用することで、紫外線による浮体の劣化状況を予測することができる。
【0016】
第5の態様は、第1の態様に係る風力発電装置のメンテナンスシステムにおいて、前記撮影データが、前記風力発電装置に設けられたカメラ、人工衛星のカメラ及びドローンカメラの少なくとも1つから得る。
【0017】
この風力発電装置のメンテナンスシステムでは、上記カメラの少なくとも1つにより得られた撮影データから浮体の状況を確認することができる。
【0018】
第6の態様は、第1~第5の態様の何れか1態様に係る風力発電装置のメンテナンスシステムにおいて、前記制御部は、前記浮体の劣化状況及び前記浮体の異常をメンテナンス当事者へ連絡する。
【0019】
この風力発電装置のメンテナンスシステムでは、制御部がメンテナンス当事者に対し、浮体の劣化状況及び浮体の異常を連絡するので、風力発電装置の予防保全及び異常時の迅速な対応を可能にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、風力発電装置の予防保全、及び異常発生時の迅速な対応を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】風力発電装置のメンテナンスシステムを模式的に示す図である。
図2】風力発電装置のメンテナンスシステムを模式的に示す図である。
図3】制御部の機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0023】
図1から図3において、本実施形態に係る風力発電装置のメンテナンスシステム10は、例えば洋上で使用される浮体式の風力発電装置12のメンテナンスシステムである。風力発電装置12では、弾性材料を用いて中空に形成された浮体14を有する支持部16にタワー18が立設されている。弾性材料とは、例えばゴムである。風力発電装置12は、タワー18に設けられた風車20の回転力を受けて発電する。風力発電装置のメンテナンスシステム10は、外力センサ22と、制御部24と、を有している。
【0024】
外力センサ22は、浮体14に設けられ、浮体14が受けた外力を見積もるためのセンサであり、例えば圧力センサ22A、加速度センサ22B及びひずみセンサ22Cの少なくとも1種類が用いられる。外力センサ22として、圧力センサ22A、加速度センサ22B及びひずみセンサ22Cの何れか1種類を用いてもよいし、2種類又は3種類を用いてもよい。圧力センサ22Aは、浮体14の内圧を検知するセンサである。加速度センサ22B及びひずみセンサ22Cは、浮体14に設けられる。浮体14が複数設けられている場合には、これらの外力センサ22は各浮体14に設けられる。これにより、浮体14毎に、受けた外力を見積もることが可能となっている。
【0025】
制御部24は、外力センサ22からのデータと浮体14が受けた紫外線暴露量とから浮体14の劣化状況を予測する。これが、図3における予防保全機能24Aである。また制御部24は、外力センサ22からのデータと浮体14の撮影データとから浮体14の異常を検出する。これが図3における異常発生時通知機能24Bである。つまり、制御部24は、予防保全機能24A及び異常発生時通知機能24Bを有する。
【0026】
紫外線暴露量として、例えば紫外線センサ26からのデータ又は気象データを利用することができる。紫外線センサ26は、浮体14、支持部16、タワー18等、浮体14の近傍(浮体14と同様に紫外線が当たる部位)に設けられる。気象データは、例えば天候や日照時間のデータであり、専門業者から提供される。風力発電装置12の設置場所の気象データを独自に蓄積して用いてもよい。
【0027】
図2において、撮影データは、風力発電装置12に設けられたカメラ28、人工衛星30のカメラ32及びドローンカメラ34の少なくとも1つから得ることができる。カメラ28は、タワー18等、浮体14の近傍に設けられ、例えば昼間の時間帯に浮体14を常時撮影している。人工衛星30のカメラ32は、風力発電装置12全体、又は浮体14の部分を撮影する。撮影タイミングは、定期的でもよいし、遠隔地からの操作により任意のタイミングで撮影することもできる。ドローンカメラ34は、操縦者が遠隔地から、又は風力発電装置12の近くに赴いて、ドローンを操作して撮影を行う。
【0028】
風力発電装置12における外力センサ22(圧力センサ22A、加速度センサ22B、ひずみセンサ22C)、紫外線センサ26、カメラ28及びドローンカメラ34からのデータは、通信機36により通信衛星31、基地局38を経由してサーバ40に送信される。人工衛星30のカメラ32からのデータは、通信衛星31及び基地局38を経由してサーバ40に送信される。制御部24は、例えばこのサーバ40にインストールされたプログラムにより実現されている。なお、制御部24(サーバ)をどこに設けるかは任意である。人工衛星30と通信衛星31は、1つの人口衛星であってもよい、互いに異なる人工衛星であってもよい。
【0029】
制御部24は、浮体14の劣化状況及び浮体14の異常をメンテナンス当事者へ連絡するように構成されていてもよい。図1には、その連絡の流れと、メンテナンス当事者の動きの一例が示されている。メンテナンス当事者とは、例えばユーザ(発電事業者)42、部品供給会社44及び建設会社46である。サーバ40(制御部24)からの連絡は、電気通信回線を通じて、これらのメンテナンス当事者に送信されるようになっている。
【0030】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図2において、本実施形態に係る風力発電装置のメンテナンスシステム10では、浮体14に設けられた外力センサ22(圧力センサ22A、加速度センサ22B、ひずみセンサ22Cの少なくとも1種類)からのデータと、浮体14が受けた紫外線暴露量とをモニタリングし、これらのデータから、弾性材料を用いた浮体14の劣化状況をリアルタイムで予測できる。具体的には、外力センサ22により、浮体14が波や衝突物等から受けた外力を見積もることができる。また、紫外線センサ26からのデータにより、浮体14が受けた紫外線暴露量を見積もることができる。この際、紫外線センサ26からのデータ又は気象データを紫外線暴露量として利用することができる。
【0031】
制御部24は、浮体14が受けた外力と紫外線暴露量から、浮体14の劣化状況を予測することができる。これにより、浮体14の最適な交換タイミングが分かるので、予防保全が可能である。したがって、設備に異常が発生するリスクを低減できる。
【0032】
一方、制御部24は、外力センサ22からのデータと浮体14の撮影データとから、浮体14の異常を検出できるので、異常に対して迅速に対応することができる。撮影データは、風力発電装置12に設けられたカメラ28、人工衛星30のカメラ32及びドローンカメラ34の少なくとも1つから得ることができる。撮影データについては、監視員が目視により異常発生の有無を監視するようにしてもよい。
【0033】
図1において、制御部24(サーバ40)からメンテナンス当事者への連絡の流れと、メンテナンス当事者の動きの一例について説明する。異常が発生していないときには、予防保全機能24A(図3)が機能する。具体的には、制御部24(サーバ40)がメンテナンス当事者に対し、浮体14の劣化状況を連絡する。浮体14の劣化が進んでいて部品の交換が必要な場合、部品供給会社44は部品を建設会社46に送付する。ユーザ42は、制御部24(サーバ40)から連絡を受けてメンテナンスの必要性を認識し、建設会社46に修理を依頼する。建設会社46は、制御部24(サーバ40)から連絡やユーザ42の依頼を受けてメンテナンスの必要性を認識し、送付された部品を用いて、浮体14の修理、交換、補修等のメンテナンスを行うことができる。また、メンテナンスをユーザ42自身が行う場合もある。この場合、建設会社46は、部品供給会社44から送付された部品をユーザ42に転送する。ユーザ42は、送付された部品を用いて、浮体14の修理、交換、補修等のメンテナンスを行うことができる。
【0034】
次に、異常発生時通知機能24B(図3)が機能する場合について説明する。この場合も、制御部24(サーバ40)がメンテナンス当事者に対し、異常通知の連絡を行う。部品の交換が必要な場合、部品供給会社44は部品を建設会社46に送付する。ユーザ42は、制御部24(サーバ40)から連絡を受けて異常発生及び異常発生箇所等を認識し、建設会社46に修理を依頼する。建設会社46は、制御部24(サーバ40)から連絡やユーザ42の依頼を受けて異常発生及び異常発生箇所等を認識し、送付された部品を用いて、浮体14の修理、交換、補修等を行うことができる。また、これらの作業をユーザ42自身が行う場合もある。この場合、建設会社46は、部品供給会社44から送付された部品をユーザ42に転送する。ユーザ42は、送付された部品を用いて、浮体14の修理、交換、補修等を行うことができる。
【0035】
このように、予防保全機能24Aと異常発生時通知機能24Bの何れを使用する場合でも、制御部24(サーバ40)がメンテナンス当事者に対し、浮体14の劣化状況及び浮体14の異常を通知することで、風力発電装置12の予防保全及び異常時の迅速な対応を可能にすることができる。
【0036】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
10…風力発電装置のメンテナンスシステム、12…風力発電装置、14…浮体、16…支持部、18…タワー、20…風車、22…外力センサ、22A…圧力センサ、22B…加速度センサ、22C…ひずみセンサ、24…制御部、26…紫外線センサ、28…カメラ、32…人工衛星のカメラ、34…ドローンカメラ、40…サーバ、42…ユーザ(メンテナンス当事者)、44…部品供給会社(メンテナンス当事者)、46…建設会社(メンテナンス当事者)
図1
図2
図3