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特開2024-83171少量ガス供給方法、少量ガス供給装置、リーク検査方法、及び、リーク検査装置
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  • 特開-少量ガス供給方法、少量ガス供給装置、リーク検査方法、及び、リーク検査装置 図1
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  • 特開-少量ガス供給方法、少量ガス供給装置、リーク検査方法、及び、リーク検査装置 図3
  • 特開-少量ガス供給方法、少量ガス供給装置、リーク検査方法、及び、リーク検査装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083171
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】少量ガス供給方法、少量ガス供給装置、リーク検査方法、及び、リーク検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G01M3/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197539
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】森脇 遼介
(72)【発明者】
【氏名】米倉 慎吾
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA01
2G067AA21
2G067CC13
2G067DD02
(57)【要約】
【課題】真空状態とした内部空間に少量のガスを供給することができる少量ガス供給方法及び少量ガス供給装置、並びに、それを利用したリーク検査方法、及び、リーク検査装置を提供する。
【解決手段】トレーサーガス供給路22に上流側から順に第1の開閉弁23及び第2の開閉弁24を設けると共に、第1の開閉弁23と第2の開閉弁24との間に充填タンク25及び圧力検出手段26を設ける。検査対象Mの内部空間を真空状態とした後、第2の開閉弁24を閉じると共に第1の開閉弁23を開けて充填タンク25にトレーサーガスを充填し、圧力検出手段26により検出された圧力が所定の値まで上昇した後、第1の開閉弁23を閉じると共に第2の開閉弁24を開けて、検査対象Mの内部空間にトレーサーガスを供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空状態とした内部空間に少量のガスを供給する少量ガス供給方法であって、
前記内部空間に前記ガスをガス供給源から供給するガス供給路に、上流側から順に第1の開閉弁及び第2の開閉弁を設けると共に、前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁との間に、前記ガスを充填可能な充填タンク及び圧力検出手段を設け、
前記ガス供給路を介して前記ガス供給源から前記内部空間に前記ガスを供給する際に、前記第2の開閉弁を閉じると共に前記第1の開閉弁を開けて前記充填タンクに前記ガスを充填し、前記圧力検出手段により検出された圧力が所定の値まで上昇した後、前記第1の開閉弁を閉じると共に前記第2の開閉弁を開けて、前記内部空間に前記ガスを供給する
ことを特徴とする少量ガス供給方法。
【請求項2】
検査対象を検査室に収容し、前記検査対象の内部空間を真空状態とした後、前記検査対象の内部空間にトレーサーガスを供給すると共に、前記検査室の内部空間を真空状態として、前記検査対象から漏れたトレーサーガスを検出するリーク検査方法であって、
請求項1記載の少量ガス供給方法を用い、前記内部空間を前記検査対象の内部空間とし、前記ガスを前記トレーサーガスとし、前記ガス供給源をトレーサーガス供給源とし、前記ガス供給路をトレーサーガス供給路として、前記検査対象の内部空間に前記トレーサーガスを供給する
ことを特徴とするリーク検査方法。
【請求項3】
真空状態とした内部空間に少量のガスを供給する少量ガス供給装置であって、
ガス供給源と、
前記ガス供給源から前記ガスを前記内部空間に案内するガス供給路と、
前記ガス供給路に配設された第1の開閉弁と、
前記第1の開閉弁よりも下流側において、前記ガス供給路に配設された第2の開閉弁と、
前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁との間において前記ガス供給路に連通して配設され、前記ガス供給源から供給されたガスを充填可能な充填タンクと、
前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁との間において前記ガス供給路に配設され、前記ガス供給路の圧力を検出する圧力検出手段と
を備えたことを特徴とする少量ガス供給装置。
【請求項4】
検査対象を収容する検査室と、
前記検査室に収容された検査対象の内部を真空状態とする検査対象内排気手段と、
前記検査対象の内部にトレーサーガスを供給するトレーサーガス供給手段と、
前記検査室の内部を真空状態とし、前記検査対象から漏れたトレーサーガスを検出する検出手段とを備え、
前記トレーサーガス供給手段は、請求項3記載の少量ガス供給装置を有し、
請求項3記載の少量ガス供給装置において、前記内部空間は前記検査対象の内部空間であり、前記ガスは前記トレーサーガスであり、前記ガス供給源はトレーサーガス供給源であり、前記ガス供給路はトレーサーガス供給路である
ことを特徴とするリーク検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空状態とした内部空間に少量のガスを供給する少量ガス供給方法及び少量ガス供給装置、並びに、それを利用したリーク検査方法、及び、リーク検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トルクコンバータの製造においては、例えば、プレスした部品を溶接した後に、溶接部分に孔が開いていないかを検査している。検査方法としては、例えば、溶接したトルクコンバータを検査室の内部に収容し、トルクコンバータの内部空間を真空状態とした後、トルクコンバータの内部空間にヘリウムガスを供給すると共に、検査室の内部空間を真空状態として、トルクコンバータからのヘリウムガスのリーク量を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
具体的には、例えば、トルクコンバータの内部空間を真空状態とした後、トルクコンバータの内部空間にヘリウムガス供給路を介してヘリウムガスを供給し、トルクコンバータの内部空間及びヘリウムガス供給路の全体を正圧となるようにしている。そのため、検査に必要なヘリウムガスの封入範囲が広く、高価なヘリウムガスを必要以上に使用してしまうという問題があった。なお、トルクコンバータの内部空間及びヘリウムガス供給路へのヘリウムガスの封入を負圧設定とすればヘリウムガスの使用量は低減できるものの、トルクコンバータの内部空間及びヘリウムガス供給路の昇圧原因が経路の孔あきによる外部からのリークによるものか、又は、ヘリウムガスの充填によるものかを判別することができず、正しく検査することが難しい。
【0004】
なお、特許文献1,2には、ヘリウムガスの使用量を低減する方法として、ヘリウムガスの回収機構を設けることが記載されているが、回収機構を新たに設ける必要があり、設備コストが増加するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-311770号公報
【特許文献2】特開2019-35608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、真空状態とした内部空間に少量のガスを供給することができる少量ガス供給方法及び少量ガス供給装置、並びに、それを利用したリーク検査方法、及び、リーク検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少量ガス供給方法は、真空状態とした内部空間に少量のガスを供給するものであって、内部空間にガスをガス供給源から供給するガス供給路に、上流側から順に第1の開閉弁及び第2の開閉弁を設けると共に、第1の開閉弁と第2の開閉弁との間に、ガスを充填可能な充填タンク及び圧力検出手段を設け、ガス供給路を介してガス供給源から内部空間にガスを供給する際に、第2の開閉弁を閉じると共に第1の開閉弁を開けて充填タンクにガスを充填し、圧力検出手段により検出された圧力が所定の値まで上昇した後、第1の開閉弁を閉じると共に第2の開閉弁を開けて、内部空間にガスを供給するものである。
【0008】
本発明のリーク検査方法は、検査対象を検査室に収容し、検査対象の内部空間を真空状態とした後、検査対象の内部空間にトレーサーガスを供給すると共に、検査室の内部空間を真空状態として、検査対象から漏れたトレーサーガスを検出するものであって、本発明の少量ガス供給方法を用い、内部空間を検査対象の内部空間とし、ガスをトレーサーガスとし、ガス供給源をトレーサーガス供給源とし、ガス供給路をトレーサーガス供給路として、検査対象の内部空間にトレーサーガスを供給するものである。
【0009】
本発明の少量ガス供給装置は、真空状態とした内部空間に少量のガスを供給するものであって、ガス供給源と、ガス供給源からガスを内部空間に案内するガス供給路と、ガス供給路に配設された第1の開閉弁と、第1の開閉弁よりも下流側において、ガス供給路に配設された第2の開閉弁と、第1の開閉弁と第2の開閉弁との間においてガス供給路に連通して配設され、ガス供給源から供給されたガスを充填可能な充填タンクと、第1の開閉弁と第2の開閉弁との間においてガス供給路に配設され、ガス供給路の圧力を検出する圧力検出手段とを備えたものである。
【0010】
本発明のリーク検査装置は、検査対象を収容する検査室と、検査室に収容された検査対象の内部を真空状態とする検査対象内排気手段と、検査対象の内部にトレーサーガスを供給するトレーサーガス供給手段と、検査室の内部を真空状態とし、検査対象から漏れたトレーサーガスを検出する検出手段とを備え、トレーサーガス供給手段は、本発明の少量ガス供給装置を有し、本発明の少量ガス供給装置において、内部空間は検査対象の内部空間であり、ガスはトレーサーガスであり、ガス供給源はトレーサーガス供給源であり、ガス供給路はトレーサーガス供給路であるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、真空状態とした内部空間にガスを供給するガス供給路に、上流側から順に第1の開閉弁及び第2の開閉弁を設けると共に、第1の開閉弁と第2の開閉弁との間に、ガスを充填可能な充填タンク及び圧力検出手段を設けるようにしたので、第2の開閉弁を閉じると共に第1の開閉弁を開けて充填タンクにガスを充填し、圧力検出手段により検出された圧力が所定の値まで上昇した後、第1の開閉弁を閉じると共に第2の開閉弁を開けることにより、圧力検出手段により充填タンクへのガスの充填を確認し、充填タンクに充填されたガスを真空状態とした内部空間に供給することができる。よって、少量のガスを確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る少量ガス供給装置を用いたリーク検査装置の構成を表す図である。
図2図1に示したリーク検査装置を用いたリーク検査方法の手順を説明する図である。
図3図2に続く手順を説明する図である。
図4図3に続く手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係るリーク検査装置1の構成を表す図である。このリーク検査装置10は、例えば、部品等の検査対象Mの接合部や溶接部に孔が開いていないかを検査することができるものである。検査対象Mとしては、例えば、内部に内部空間を有する中空状のものが挙げられる。
【0015】
このリーク検査装置10は、例えば、検査対象Mを収容する検査室11と、検査室11に収容された検査対象Mの内部空間を真空状態とする検査対象内排気手段12と、検査対象Mの内部空間にトレーサーガスを供給するトレーサーガス供給手段13と、検査室11の内部空間を真空状態とし、検査対象Mから漏れたトレーサーガスを検出する検出手段14とを備えている。検査室11は、内部に検査対象Mを収容可能な収容部を有している。収容部は、検査対象Mを収容した際に、内壁と検査対象Mとの間に隙間ができるように構成されている。検査対象内排気手段12は、例えば、検査対象用の真空ポンプ12aと、真空ポンプ12aと検査対象Mの内部空間とを連通する検査対象内排気路12bとを有している。
【0016】
トレーサーガス供給手段13は、少量ガス供給装置20を有している。少量ガス供給装置20は、真空状態とした内部空間に少量のガスを供給するものであり、このリーク検査装置10においては、真空状態とした内部空間である検査対象Mの内部空間に、少量のガスとしてトレーサーガスを供給するように構成されている。トレーサーガスとしては、ヘリウムガス等が挙げられる。少量ガス供給装置20は、例えば、ガス供給源であるガスボンベ等のトレーサーガス供給源21と、トレーサーガス供給源21からトレーサーガスを検査対象Mの内部空間に案内するガス供給路であるトレーサーガス供給路22とを備えている。なお、トレーサーガス供給路22の一部は、例えば、検査対象内排気路12bと連通されていてもよい。
【0017】
少量ガス供給装置20は、また、トレーサーガス供給路22に配設された第1の開閉弁23と、第1の開閉弁23よりも下流側において、トレーサーガス供給路22に配設された第2の開閉弁24とを備えている。すなわち、トレーサーガス供給路22には、上流側から順に第1の開閉弁23及び第2の開閉弁24が設けられている。なお、トレーサーガス供給路22の上流側というのは、トレーサーガス供給源21の側である。第1の開閉弁23及び第2の開閉弁24は、例えば、電磁弁により構成することが好ましく、第1の開閉弁23と第2の開閉弁24とによる閉鎖範囲ができるだけ狭くなる位置に配設することが好ましい。例えば、第1の開閉弁23と第2の開閉弁24との間に、検査対象内排気路12bや後述する空気供給路15b等の他の経路との結合部分が存在しないようにすることが好ましい。
【0018】
少量ガス供給装置20は、更に、第1の開閉弁23と第2の開閉弁24との間においてトレーサーガス供給路22に連通して配設され、トレーサーガス供給源21から供給されたトレーサーガスを充填可能な充填タンク25と、第1の開閉弁23と第2の開閉弁24との間においてトレーサーガス供給路22に配設され、トレーサーガス供給路22の圧力を検出する圧力スイッチ等のトレーサーガス用の圧力検出手段26とを備えている。充填タンク25は、第2の開閉弁24を閉じた状態で第1の開閉弁23を開けてトレーサーガスを充填し、第1の開閉弁23を閉じて第2の開閉弁24を開けることにより、充填したトレーサーガスを拡散させて検査対象Mの内部空間に供給するためのものである。
【0019】
少量ガス供給装置20は、例えば、第1の開閉弁23及び第2の開閉弁24等の開閉を制御する制御手段(図示せず)を備えていることが好ましい。制御手段は、例えば、まず、第1の開閉弁23、後述する空気用開閉弁15c、後述する開放弁16は閉じ、第2の開閉弁24は開けた状態とし、真空ポンプ12aにより、検査対象Mの内部空間、及び、検査対象Mの内部空間に連通する経路の閉鎖された範囲、例えば、検査対象内排気路12b、トレーサーガス供給路22、及び、空気供給路15bの閉鎖された範囲を真空引きし、真空状態とし、この状態で、圧力検出手段26により検出された圧力が所定の値(負圧)まで下降し、その圧力を一定時間、維持できていることを監視するように構成されていることが好ましい。また、制御手段は、例えば、検査対象Mの内部空間にトレーサーガスを供給する際に、第2の開閉弁24を閉じると共に第1の開閉弁23を開けて充填タンク25にトレーサーガスを充填し、圧力検出手段26により検出された圧力が所定の値まで上昇した後、第1の開閉弁23を閉じ、この状態で圧力検出手段26により圧力が所定の値を一定時間、維持できていることを監視するように構成されていることが好ましい。更に、制御手段は、例えば、第2の開閉弁24を開けてトレーサーガスを拡散させ、この際にも、圧力検出手段26により検出された圧力が所定の値(負圧)まで下降したことを確認するように構成されていることが好ましい。
【0020】
検出手段14は、検査室11の内部空間、すなわち、検査室11と検査対象Mとの間の内部空間を真空状態とし、検査室11からの排気についてトレーサーガスを検出することにより、検査対象Mの漏れを検出するものである。検出手段14は、例えば、検査室用の真空ポンプ14aと、真空ポンプ14aと検査室11の内部空間とを連通する検査室内排気路14bと、検査室11からの排気に含まれるトレーサーガスの量を測定する測定手段14cとを有している。検出手段14では、例えば、測定したトレーサーガスの量が所定の閾値よりも多い場合に漏れ有とし、所定の閾値以下の場合に漏れなしと判断するようにしてもよい。
【0021】
このリーク検査装置10は、また、例えば、検査対象Mの内部空間に空気を供給し、検査対象Mの内部空間の圧力を高くする空気供給手段15を備えていることが好ましい。検査対象Mからの漏れを容易に検出することができるからである。空気供給手段15は、例えば、空気を注入する圧縮ポンプ15aと、圧縮ポンプ15aと検査対象Mの内部空間とを連通する空気供給路15bと、空気供給路15bに配設された空気用開閉弁15cと、空気供給路15bに配設され、空気供給路15bの圧力を検出する圧力スイッチ等の空気用の圧力検出手段15dとを備えている。空気供給手段15は、例えば、検査対象Mの内部空間にトレーサーガスを供給した後に、検査対象Mの内部空間に空気を供給するように制御されることが好ましい。空気供給路15bの一部は、例えば、トレーサーガス供給路22及び検査対象内排気路12bと連通されていてもよい。
【0022】
なお、トレーサーガス供給路22、検査室内排気路14b、又は、空気供給路15bには、例えば、検査対象Mの内部空間を大気に開放する開放弁16が設けられている。
【0023】
このリーク検査装置10は、例えば、次のようにしてリーク検査に用いられる。図2から図4は、リーク検査装置10を用いたリーク検査方法の手順を説明するものであり、検査対象Mの内部空間にトレーサーガスを供給する手順を表している。なお、図2から図4では、検査対象Mの内部空間、検査対象内排気路12b、トレーサーガス供給路22、及び、空気供給路15bにおけるトレーサーガスの供給状態を表しており、真空状態の領域には梨地を付し、トレーサーガスが高濃度で供給されている領域にはグレーを付し、トレーサーガスが低濃度で供給されている領域には網掛けを付して示している。
【0024】
まず、検査室11に検査対象Mを収容する。なお、第1の開閉弁23、空気用開閉弁15c、開放弁16は閉じ、第2の開閉弁24は開けた状態とする。次いで、真空ポンプ12aにより、検査対象Mの内部空間、及び、検査対象Mの内部空間に連通する経路の閉鎖された範囲、例えば、検査対象内排気路12b、トレーサーガス供給路22、及び、空気供給路15bの閉鎖された範囲を真空引きし、真空状態とする(図2参照)。
【0025】
続いて、第2の開閉弁24を閉じると共に、第1の開閉弁23を開けて、充填タンク25にトレーサーガス供給源21からトレーサーガスを充填する(図3参照)。次に、圧力検出手段26により検出された圧力が所定の値まで上昇した後、第1の開閉弁23を閉じると共に、第2の開閉弁24を開けて、充填タンク25に充填したトレーサーガスを拡散させて検査対象Mの内部空間に供給する(図4参照)。よって、圧力検出手段26により充填タンク25へのトレーサーガスの充填を確認することができ、充填タンク25に充填した所定量のトレーサーガスを確実に検査対象Mの内部空間に供給することができる。
【0026】
次いで、空気用開閉弁15cを開けて検査対象Mの内部空間に空気を供給し、圧力を上昇させる。また、真空ポンプ14aにより、検査室11の内部空間を真空引きして真空状態とし、測定手段14cにより、検査室11からの排気に含まれるトレーサーガスの量を測定し、検査対象Mの漏れを検出する。具体的には、例えば、トレーサーガスの量が所定の閾値よりも多い場合に漏れ有とし、所定の閾値以下の場合に漏れなしと判断する。
【0027】
このように本実施の形態によれば、真空状態とした検査対象Mの内部空間にトレーサーガスを供給するトレーサーガス供給路22に、上流側から順に第1の開閉弁23及び第2の開閉弁24を設けると共に、第1の開閉弁23と第2の開閉弁24との間に、トレーサーガスを充填可能な充填タンク25及び圧力検出手段26を設けるようにしたので、第2の開閉弁24を閉じると共に第1の開閉弁23を開けて充填タンク25にトレーサーガスを充填し、圧力検出手段26により検出された圧力が所定の値まで上昇した後、第1の開閉弁23を閉じると共に第2の開閉弁24を開けることにより、圧力検出手段26により充填タンク25へのトレーサーガスの充填を確認し、充填タンク25に充填されたトレーサーガスを検査対象Mの内部空間に供給することができる。よって、少量のトレーサーガスを確実に供給することができる。
【0028】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、リーク検査装置10において少量ガス供給装置20を用いる場合について説明したが、少量ガス供給装置20をリーク検査装置10以外に用いることもできる。すなわち、少量ガス供給装置20は、真空状態とした内部空間に少量のガスを供給する場合に広く用いることができる。例えば、スパッタリング装置、エッチング装置(ドライエッチング)、CVD装置のように、真空中にガスを供給する装置でガス供給量の制御に使用されるマスフローコントローラーや積算流量計の代替手段として応用することができる。
【0029】
また、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、各構成要素の具体的な構造や形状は異なっていてもよい。更に、上述した構成要素を全て備えていなくてもよく、他の構成要素を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10…リーク検査装置、11…検査室、12…検査対象内排気手段、12a…真空ポンプ、12b…検査対象内排気路、13…トレーサーガス供給手段、14…検出手段、14a…真空ポンプ、14b…検査室内排気路、14c…測定手段、15…空気供給手段、15a…圧縮ポンプ、15b…空気供給路、15c…空気用開閉弁、15d…圧力検出手段、16…開放弁、20…少量ガス供給装置、21…トレーサーガス供給源、22…トレーサーガス供給路、23…第1の開閉弁、24…第2の開閉弁、25…充填タンク、26…圧力検出手段、M…検査対象
図1
図2
図3
図4