(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083173
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】机付収納ベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 19/12 20060101AFI20240613BHJP
A47C 19/22 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A47C19/12 Z
A47C19/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197541
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】508240007
【氏名又は名称】合資会社 江戸建工匠
(74)【代理人】
【識別番号】100216286
【弁理士】
【氏名又は名称】篠崎 史典
(72)【発明者】
【氏名】黒田 晋
(57)【要約】
【課題】 オープン状態時に、ベッド本体部の手前側において、鉛直方向への荷重がかかった場合でも、ベッド本体部と床面との平行状態を維持しやすく、かつ使用者の転倒を低減できる机付収納ベッドを提供すること。
【解決手段】 本発明に係る机付収納ベッドは、所定の、ベッド本体部(1)と机部(2)とベッドサイドパネル(3)と回転軸(4)と当該机部(2)と連結体(5)を有し、連結体(5)は、第一の連結部(5a)と、第二の連結部(5b)と連結ロッド(5c)とから構成され、連結ロッド(5c)は、その側面にローラー部(を有し、当該ローラ部を介して溝部(3a)に沿って移動可能な状態でベッドサイドパネル(3)と連結していることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードパネル(1a)およびマットレスおよび/または布団収納スペース(1b)を有するベッド本体部(1)と天板(2a)を有する机部(2)とを備え、
ベッド本体部(1)を表出し、かつ机部(2)が収納された状態であるベッドオープン状態と、ベッド本体部(1)が収納され、かつ机部(2)が表出する状態であるベッドクローズ状態に変更可能な机付収納ベッドであって、
前記ボードパネル(1a)は、溝部(1c)を有し、
ベッドサイドパネル(3)、当該ベッドサイドパネル(3)に連結された回転軸(4)、および当該机部(2)とベッド部本体(1)とを連結する連結体(5)を有し、
前記ベッド部本体(1)は、ベッドサイドパネル(3)と当該回転軸(4)を介して、奥側から手前側への方向に略90度回転できるよう連結され、
前記連結体(5)は、第一の連結部(5a)と、第二の連結部(5b)と連結ロッド(5c)とから構成され、
前記第一の連結部(5a)では、端部がボードパネル(1a)側面に固定されるとともに、もう一方の端部が机部(2)側面において回転可能に連結され、
前記第二の連結部(5b)では、端部が机部(2)側面に固定されるとともに、もう一方の端部が連結ロッド(5c)に回転可能に連結され、
前記連結ロッド(5c)は、第二の連結部(5b)と連結された端部とは別の端部において、ボードパネル(1a)と回転可能に連結されるとともに、ローラー部(5d)を介して溝部(3a)に沿って移動可能な状態でボードパネル(1a)と連結し、
オープン状態の際には、第一の連結部(5a)および第二の連結部(5b)のうち、机部(2)に連結した側の底面において床面に接地できるようになっており、
クローズ状態からオープン状態にした場合、ベッド本体部(1)の底面と机部本体(2)の底面と床面とが平行状態となっていることを特徴とする机付収納ベッド。
【請求項2】
前記ベッドクローズ状態において、第一の連結部(5a)の外周部の一部とおよび第二の連結部(5b)の外周部の一部とが噛み合うことを特徴とする請求項1に記載の机付収納ベッド。
【請求項3】
前記机部(2)は、天板(2a)の床面側に引き出し部(2b)を有することを特徴とする請求項1に記載の机付収納ベッド。
【請求項4】
ベッドクローズ状態の際に、ベッド本体(1)と机部(2)との隙間部分に、防振手段を有することを特徴とする請求項1に記載の机付収納ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机付収納ベッドに関し、より具体的には、オープン状態時に、ベッド本体部の奥側において、鉛直方向への荷重がかかった場合でも、ベッド本体部と床面との平行状態を維持しやすく、かつ使用者の転倒を低減できる机付収納ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベッドは、使用時および未使用時の区別なく、同じ形態で部屋に接地されている。そのため、住宅や宿泊施設の部屋面積の制約から、占有面積が大きいベッドの省スペース化の要請がある。
【0003】
省スペース化を目的としたベッドとしては、いわゆる「壁面収納ベッド」が知られている。この壁面収納ベッドは、スペースセイビングベッドなどの名称で販売されていることもある。
【0004】
壁面収納ベッドは、使用時(オープン時)すなわち、使用者が、睡眠や仮眠等のためにベッドに横たわるときに、ベッドが表出したオープン状態となっている。
【0005】
対して、未使用時(クローズ時)には、手動又は電動などにより当該ベッド本体の壁遠位の部分(辺、隅)が上方に(天井近位に)、かつ奥側の部分が下方(床近位)に位置するように、ベッド本体部が壁側に閉じられる状態(クローズ状態)となる。
【0006】
このように、使用者が任意に、オープン状態またはクローズ状態とすることで、限られた室内空間を有効に活用できるものである。
【0007】
特許文献1では、クローズ時における衝撃や騒音が解消又は低減できる壁面収納ベッドが開示されている(特許文献1:要約、明細書[考案の効果]など)。具体的には、かかる壁面収納ベッドは、未使用時にクローズ状態として、壁面側に収納可能であるとともに、使用時にオープン状態として、壁面に対して略垂直になるように、マットレスおよび/または布団を収納するためのベッド本体部Aが表出する壁面収納ベッドであって、ベッド本体部Aと、側板Bと、回転軸として軸部Cと、衝撃吸収手段Dとを有し、クローズ状態において、ベッド本体部Aと衝撃吸収手段Dとが接触してクローズ時の衝撃を低減および吸収することを特徴とする(特許文献1:要約、実用新案登録請求の範囲など)。
【0008】
また、狭小住宅の部屋(特に子供部屋)では、ベッドのみならず、机(学習机、事務机)などの省スペース化の需要もあるため、位置を高くしたベッドの下側(床面側)に机やタンス、本棚を配置するスペースを設けることもある。しかしながら、ベッドの位置を高くしてその床面側にスペースを設けたとしても、依然として省スペース化について改善の余地がある。一方、壁面収納ベッドに机を付加させた態様では、省スペース化に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、壁面収納ベッドに机を付加させた態様では、強度、安定性などの観点から改善の余地が依然としてある。特に、従来の机付収納ベッドでは、オープン状態においてベッドと床面との平行状態を維持すること困難という問題がある。特に、ベッドにおいて、手前側の部分に荷重がかかった場合、この問題は著しくなり、安定性について改善の余地があった。
【0011】
すなわち、本発明は、オープン状態時に、ベッド本体部の手前側において、鉛直方向への荷重がかかった場合でも、ベッド本体部と床面との平行状態を維持しやすく、かつ使用者の転倒を低減できる机付収納ベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る机付収納ベッドは、マットレスおよび/または布団を収納するためのベッド本体部(1)と天板(2a)を有する机部(2)とを備え、
ベッド本体部(1)を表出し、机部が収納された状態であるオープン状態と、ベッド本体部が収納され、かつ机部が表出する状態であるクローズ状態に変更可能な机付収納ベッドであって、
溝部(3a)を有するベッドサイドパネル(3)と当該ベッドサイドパネル(3)に連結された回転軸(4)と当該机部(2)とベッド部本体(1)とを連結する連結体(5)を有し、
前記ベッド部本体(1)は、ベッドサイドパネル(3)と当該回転軸(4)を介して、奥側から手前側への方向に略90度回転できるよう連結され、
前記連結体(5)は、第一の連結部(5a)と、第二の連結部(5b)と連結ロッド(5c)とから構成され、
前記第一の連結部(5a)では、端部がベッド部(2)側面に固定されるとともに、もう一方の端部が机部(2)側面において回転可能に連結され、
前記第二の連結部(5b)では、端部が机部(2)側面に固定されるとともに、もう一方の端部が連結ロッド(5c)に回転可能に連結され、
前記連結ロッド(5c)は、その側面にローラー部を有し、当該ローラ部を介して溝部(3a)に沿って移動可能な状態でベッドサイドパネル(3)と連結し、
オープン状態の際には、第一の連結部(5a)および第二の連結部(5b)のうち、机部(2)に連結した側の底面において床面に接地できるようになっており、
クローズ状態からオープン状態にした場合、ベッド本体部の底面と机部本体の底面と床面とが平行状態となっていることを特徴とする。
【0013】
本発明の机付収納ベッドにおいては、前記クローズ状態において、第一の連結部(5a)の外周部の一部とおよび第二の連結部(5b)の外周部の一部とが噛み合うことが好ましい。
【0014】
本発明の机付収納ベッドにおいては、前記机部(2)は、天板(2a)の床面側に引き出し部(2b)を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の机付収納ベッドは、オープン状態時に、ベッド本体部の手前側において、鉛直方向への荷重がかかった場合でも、ベッド本体部と床面との平行状態を維持しやすく、かつ使用者の転倒を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る机付収納ベッドの側面図である。
図1Aは、ベッドクローズ状態における机付収納ベッドを示し、
図1Bは、ベッドオープン状態における机付収納ベッドを示す。なお、
図1AおよびBの左図は外観を示し、右図は各部材を示すために、内部構造を示した透視状態の図である。
【
図2】
図2(A)は、ベッドオープン状態における連結体5の拡大図である(他の部材は省略して示している)。また、
図2(B)は、ベッドクローズ状態において、第一の連結部(5a)の外周部の一部とおよび第二の連結部(5b)の外周部の一部とが噛み合っている状態を示すための図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る机付収納ベッドにおいて、ベッドオープン状態にする過程を示すための図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る机付収納ベッドの斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る机付収納ベッドの一態様を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る机付収納ベッドの一態様(収納棚付きタイプ)を示す斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の机付収納ベッドの一態様(2段ベッド型)を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の机付収納ベッドの一態様(2段ベッド型)を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の机付収納ベッドの使用図を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る机付収納ベッドについて、図面を適宜参照しながら説明する。なお、本明細書において、「奥側」とは、
図3の付番Bに示されるように、ベッド本体部1が収納される側(収納されて近位になる側)を言うのに対して、「手前側」とは、「奥側」とは逆方向の側であり、
図3の付番Fに示されるように、本発明に係る机付収納ベッドにおいて、ベッドクローズ状態からベッドオープン状態に変更した際に、ベッド本体部が展開される側を言う。なお、本発明の机付収納ベッドが、ベッドサイドパネルにより壁面に固定されている場合、「奥側」とは壁面近位側であり、「手前側」とは壁面遠位側となる。
【0018】
本発明に係る机付収納ベッドは、
図1および
図4に示されるように、ベッド本体部1と机部2とベッドサイドパネル3とを有する。使用方法については、後述するが、ベッド本体部1を表出し、かつ机部2が収納された状態であるベッドオープン状態(机クローズ状態)と、ベッド本体部1が収納され、かつ机部2が表出する状態であるベッドクローズ状態(机オープン状態)の2態様に適宜変更することができる。すなわち、使用者が学習などで机を使用する場合においては、ベッドクローズ状態(机オープン状態)の態様にするのに対して、使用者が就寝時には、ベッドが使用可能な状態であるベッドオープン状態(机クローズ状態)の態様にすることになる。
なお、「表出」とは、机又はベッド本体部が使用可能な状態をいい、「収納」とは机又はベッド本体部が使用不可能の状態をいう。
【0019】
ここで、ベッド本体部1は、マットレスおよび/または布団収納スペース1bを有する。このスペース1bは、マットレスや布団(敷布団、掛布団)を載置するためのスペースである。通常、寸法は、使用者の年齢、身長、使用人数などを考慮して適宜設定することができる。たとえば、幅寸97cm、長さ(丈寸)195cmがシングルサイズとして一般的である。なお、特に図示はしないが、使用者(就寝者)がベッドからの落下を防止するなど安全性を考慮して、丈寸側の側面に、サイドフレームを設けていてもよい。
【0020】
また、ベッド本体部1は、
図1の付番1aに示されるように、ボードパネル(ヘッドボードパネル、フットボードパネル)を有する。ここで、ボードパネル1aは、ヘッドボードパネルとして就寝者の頭側かつ幅方向の側面に有していてもよく、一方で、フットボードパネルとして就寝者の足側かつ幅方向の側面に有していてもよい。後述するベッドオープン又はベッドクローズの状態にする際に、安定性を確保する観点からボードパネル1aは2つ有すること(すなわち、ヘッドボードパネルおよびフットボードパネルを備えること)が望ましい。
なお、後に詳述するが、ベッド本体部1は溝部1cを有する。
【0021】
また、
図1の付番2は、机部を示す。この机部2は、少なくとも、天板2aを有し、付番2bに示すように引き出し部などその他の部材を有していてもよい。
【0022】
ベッドサイドパネル3は、壁面W(コンクリート壁や木製の板壁など)に連結(固定)されていることが一般的であるが、
図7に示されるように、壁面を使用せず、ベッドサイドパネル3を柱などの部材に固定することも可能である。なお、固定手段としては、特に限定されず、釘、ネジなどが挙げられ、ベッド本体部1や机部2などの重量などや、本発明の机付収納ベッドの態様を変更(たとえば、ベッドクローズ状態からベッドオープン状態への変更またはその逆への変更)の際の衝撃を考慮して適宜選択される。また、ベッドサイドパネル3は壁面Wのみならず床面Fにも固定されていることが望ましい。
【0023】
また、付番4に示すように、回転軸は、ベッドサイドパネル3とベッド部本体1とを、奥側から手前側の方向に略90度回転できるように連結している。
すなわち、ベッドクローズ状態においては、ベッド部本体は、ベッドサイドパネルが壁面に固定されている場合は、壁面に略平行な状態(床面に略垂直な状態)で壁面に近位な位置にあるが、回転軸4を軸として、ベッドオープン状態においては、壁面遠位側に90度回転し、ベッド部本体は床面に略平行な状態(壁面に略垂直な状態)となる。
ここで、回転軸4は、ベッドクローズ状態およびベッドオープン状態において、ベッド本体部1が床面または壁面に接触しないような位置に設けることが望ましい。
【0024】
図1(A)~(B)および
図2(A)の付番5a~5cに示すように、連結体5は、第一の連結部5aと、第二の連結部5bと連結ロッド5cとから構成されている。
第一の連結部5aは、
図1(B)に示されるように、端部(床面遠位側の端部)がボードパネル1a側面に固定されるとともに、もう一方の端部(床面近位側の端部)が机部2側面において、回転軸などを用いて回転可能に連結されている。
図1Bに示されるように、ベッドオープン状態時においては、就寝者がベッドサイド(壁側遠位側のベッドサイド)に移動しても、生じる鉛直方向への荷重を床面に接触する部分で支えることができるため、ベッド本体部1が斜め下方向に傾くことを低減・防止することができる。第一の連結部5aは、正方形状板や長方形状板であってもよいが、このような効果を高めるためには、
図1に示されるように、望ましくは逆L字形状の板であることが望ましい。
また、
図1(A)に示されるように、ベッドクローズ状態時においては、第一の連結部5aは、回転軸などを用いて回転可能に連結されている部分において、机を上方向(天井方向)に引き上げる機能を有する。
【0025】
図1の付番5bに示されるように、第二の連結部は、端部が机部(2)側面に固定されるとともに、もう一方の端部が連結ロッド5cに回転軸などを介して回転可能に連結されている。さらには、連結ロッド5cは、第二の連結部5bと連結された端部とは別の端部において、ボードパネル1aと回転可能に連結されるとともに、ローラー部5dを介して溝部3aに沿って移動可能な状態でボードパネル1aと連結している。ここで、溝部3aは、アーチ状であってもよいし、直線状であってもよい。
なお、
図1に示されるように連結ロッド5cは、L字状の形状を有しており、第二の連結部と連結している端部とは異なる端部において、ボードパネル1aと回転軸などで連結されていてもよい。
【0026】
図2(A)および(B)は、ベッドクローズ状態からベッドオープン状態にする途中の状態を示している。
図3に示されるように、矢印A1およびA2が示す方向に、ベッド本体部1の手前側(
図3では固定された壁面から遠位側)に降ろされて、ベッド本体部1が開放される(オープンになる)。その際、回転軸4、連結ロッド5cと第二の連結部5bとの連結部分、連結ロッド5cと第二の連結部5bとの連結部分、および第一の連結部5aと第二の連結部5bとの連結部分からなる4点の連結部分がある。
図3(A)では、この4点を結んだ仮想の線が描かれ、この線からなる平行四辺形の形状を有している。
図3(A)および(B)に示すように、ベッドオープン状態が完成するまで、上記平行四辺形における対辺の平行状態を維持しつつ、角度を変えながら変形する。
【0027】
また、連結部を介して机部とベッド本体部とが連結されているため、ベッドオープン状態の際には、第一の連結部5aおよび第二の連結部5bのうち、机部2に連結した側の底面において床面に接地できるようになっている。この接地面積が大きいほど、ベッド本体部1が斜め下方向に傾くことを低減・防止する効果の向上が期待できる。
また、更にこの効果の向上を図るため、ベッドオープン状態に床面に接触(接地)する部分(すなわち「底面」部分)にゴム、エラストマーなどの衝撃吸収材が設けられていることが望ましい(
図1 付番6)。
ここで、第一の連結部5aおよび第二の連結部5bのうち、机部2に連結した側の底面において床面に接地するようにするためには、第一の連結部5aおよび第二の連結部5bの大きさを適宜調整することで達成することができる。
【0028】
また、
図1(B)に示されるように、ベッドクローズ状態からベッドオープン状態にした場合、ベッド本体部1の底面と机部本体2の底面と床面とが平行状態となっている。この平行状態にするには、回転軸4から床面への垂線の長さL1と、第二の連結部において、回転軸5と同じ高さの位置(付番P)から床面への垂線の長さL2とが同じにすることで達成できる。
【0029】
図1および
図2(A)に示されるように、連結部の各部材は、ベッドオープン状態からベッドクローズ状態に変更すると、第一の連結部5aの外周部の一部と第二の連結部5b外周部の一部が噛み合う(接触する)ことが望ましい。この接触する面積(噛み合っている面積)が大きいほど、ベッドクローズ状態(机オープン状態)において机の安定性が増加する。
【0030】
また、
図2(B)では、ベッド本体がクローズ状態となっている。矢印Sで示される、ベッド本体と机部との隙間部分(特に狭小な隙間部分)においては、防振手段を有することが望ましい。このように構成することで、ベッドクロース状態(デスクオープン状態)における横揺れ、共振を有効に低減することができるためである。
【0031】
ここで、防振手段としては、たとえば、ゴム、防振樹脂などのシート材などを使用することができる。すなわち、ベッド本体および/または机部に上記シート材を貼付する(すなわち、上記隙間部分において上記シート材を挟み込むような構成とする)とすることが挙げられる。
【0032】
あるいは、摩擦を付与したり、机の左右運動を低減させるためのロック機構を設けることも有効である。
また、机部の奥側両端(壁側の頂点部分2つ)がベッドサイドパネルに摩擦を伴い入り込むような構成も採用できる。この場合、1cm以上入り込む構成とすることが好ましい。
【0033】
このような防振手段を設けない場合、床やベッドの僅かな振動が机部まで伝達し共振作用を起こすことがある。使用している素材の種類により振幅の幅や収束時間の長短はあるが、その共振作用による振幅は大きく横揺れを発生してしまうことがある。そのため、机部の使用の際の快適性などや、机付州のベッド全体の長期的な耐久性の向上を期する上で、上記防振手段を備えることが望ましい。
【0034】
なお、本発明に係る机付収納ベッドの各部材(ベッド部本体、ベッドサイドパネル、机部など)の材質は特に限定されないが、強度や意匠性などを考慮して、木材、金属などが適宜選択することができる。
【0035】
図5~8は、それぞれ、本発明に係る机付収納ベッドの態様を示している。
本発明の机付収納ベッドは、必須部材のみならず、適宜任意の部材を有していてもよい。たとえば、
図4では、机部の奥側(壁側)に床面と水平な台部を有している態様であり、
図6では、さらに大型の収納スペースを台部に設置した態様を示す。
図7では、2段ベッド形式として、本発明の机付収納ベッドの上部(天井側)に別のベッド部を設けた態様を示す。なお、この態様では、上部ベッド(天井川のベッド)も回転軸を介してベッドサイドパネルに回転可能に連結されているため、上部ベッドを適宜オープン状態にしたり、クローズ状態にしたりすることができる。
図8では、2段ベッド形式として、本発明の机付収納ベッドの上部(天井側)に別のベッド部を設けた態様である。この態様では、上部ベッドは、床部から垂直に立設された柱部に連結されているため、常にオープン状態となっている。
【0036】
なお、具体的な使用例については
図9に示す。かかる図に示されるように、ベッドクローズ状態では、机部がオープンとなっており、学習机として使用でき、ベッドオープン状態においては、ベッドとして使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るオープン状態時に、ベッド本体部の手前側において、鉛直方向への荷重がかかった場合でも、ベッド本体部と床面との平行状態を維持しやすく、かつ使用者の転倒を低減でき、特に、狭小住宅(特に子供部屋など)、ホテル、旅館等においてその利用可能性は高いものである。
【符号の説明】
【0038】
1:ベッド本体部
1a: ボードパネル
1b: マットレスおよび/または布団収納スペース
1c:溝部
2:机部
2a:天板
2b:引き出し部
3:ベッドサイドパネル
4:回転軸
5:連結体
5a:第一の連結部
5b:第二の連結部
5c:連結ロッド
5d:ローラ部
W:壁
F:床面
B:奥側
F:手前側