(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083177
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20240613BHJP
【FI】
G06Q20/24
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197546
(22)【出願日】2022-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】山下 智彦
(72)【発明者】
【氏名】町田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】オシュ スブラタ
(72)【発明者】
【氏名】梅田 卓志
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA52
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】ユーザが分割支払を行う場合に設定される分割支払条件をより適切な条件とすることを課題とする。
【解決手段】情報処理システムに、ユーザに係る属性データ群に基づいて、ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定部23と、信用スコアによって示されるユーザの信用度に基づいて、ユーザが分割支払を行う場合にユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定部25と、を備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに係る属性データ群に基づいて、該ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定手段と、
前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザが分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定手段と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記条件設定手段は、前記分割支払条件として、分割支払の可否、分割支払の金利、分割支払の分割回数上限、分割支払対象額の上限、及び初回支払額の下限、の少なくとも何れかを設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記条件設定手段は、前記分割支払の分割回数上限を、該分割支払の対象となる商品又はサービスのライフサイクルの長さに更に基づいて設定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記条件設定手段は、前記分割支払の金利を、予め設定された所定の上限又は下限を有する範囲内で設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記条件設定手段によって設定された、前記ユーザが選択可能な分割支払条件を、該ユーザに対して通知する通知手段を更に備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記条件設定手段は、前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザがモバイル端末の購入代金について分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定し、
前記通知手段は、前記ユーザに対して、前記モバイル端末のための通信サービスへの加入提案を更に通知する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記信用スコア推定手段は、前記属性データ群を入力値とし、該属性データ群が共通するユーザに係る後払い決済の支払履歴に基づいて決定された前記信用スコアを出力値とする教師データを用いて生成及び/又は更新された信用スコア推定モデルを用いて、前記ユーザに設定される信用スコアを推定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記信用スコア推定モデルの出力値は、前記ユーザが後払い決済を利用した場合に後払い決済の精算が該ユーザによって正しく履行されない後払いリスクに応じて変化するスコアである、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記ユーザについて、前記後払いリスクに応じて変化する信用スコアに基づくことなく分割支払条件を設定する処理に適した量の与信データが蓄積されているか否かを判定する与信データ判定手段を更に備え、
前記信用スコア推定手段は、少なくとも前記与信データの蓄積量が不足していると判定されたユーザについて、前記後払いリスクに応じて変化する信用スコアを推定し、
前記通知手段は、少なくとも前記与信データの蓄積量が不足していると判定されたユーザに対して、前記分割支払条件を通知する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記信用スコア推定手段は、勾配ブースティング決定木に基づく機械学習フレームワークを用いて生成及び/又は更新された前記信用スコア推定モデルを用いて、前記信用スコアを推定する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記ユーザ自身から提供されたユーザ提供データ又は該ユーザの履歴データに基づいて、該ユーザについて事実であると確認可能な事実属性を決定する事実属性決定手段と、
少なくとも該ユーザに係る前記事実属性に基づいて、該ユーザについて推定された推定属性を決定する推定属性決定手段と、を更に備え、
前記信用スコア推定手段は、前記対象ユーザに係る前記事実属性及び推定属性を含む属性データ群に基づいて、前記対象ユーザの信用スコアを推定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータが、
ユーザに係る属性データ群に基づいて、該ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定ステップと、
前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザが分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
ユーザに係る属性データ群に基づいて、該ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定手段と、
前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザが分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの信用度を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの行動を示す行動情報を取得するユーザ情報取得部と、行動情報に基づいて、将来のユーザの融資に対する返済能力に関する信用度を判定する信用度判定部と、を備える判定装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、従来、商品の販売状況を少なくとも含む商品情報を取得する商品情報取得部と、サービスサーバから検索履歴を取得すると共に、電子商取引サーバから購買履歴を取得するユーザ情報取得部と、商品情報に基づいて、ユーザが商品を分割払いで購入する場合の金利を設定する金利設定部と、を備える情報処理装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-174039号公報
【特許文献2】特開2022-077048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、商品情報に基づいてユーザが商品を分割払いで購入する場合の金利を設定する技術が提案されている。しかし、従来設定される金利等の分割支払の条件は、必ずしも適切なものとなっていなかった。
【0006】
本開示は、上記した問題に鑑み、ユーザが分割支払を行う場合に設定される分割支払条件をより適切な条件とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例は、ユーザに係る属性データ群に基づいて、該ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定手段と、前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザが分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定手段と、を備える、情報処理システムである。
【0008】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピュータによって実行される方法又はコンピュータに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザが分割支払を行う場合に設定される分割支払条件をより適切な条件とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
【
図3】実施形態に係る信用スコア推定処理の簡略図である。
【
図4】実施形態において採用される機械学習モデルの決定木の概念を簡略図である。
【
図5】実施形態における信用度の所定の範囲を示す図である。
【
図6】実施形態に係る機械学習処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係るスコア算出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る支払条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】バリエーションに係る情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。本発明は、後述する実施形態、バリエーションの夫々における構成の少なくとも一部を適宜、互いに採用することができる。
【0012】
本実施形態では、本開示に係る技術を、新規のモバイル通信サービスの加入者を増やすことを目的として、又は既存のモバイル通信サービスの加入者の利便性を高めることを目的として、ユーザに対してモバイル端末の購入代金の分割支払条件を設定し、通知するために実施した場合の態様について説明する。但し、本開示に係る技術は、ユーザに対して分割支払条件を設定するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。例えば、本開示に係る技術は、その他の商品やサービスの購入代金の分割支払条件をユーザ毎に設定するために実施されてもよい。また、分割支払条件は、代金を一括ではなく分割して支払う場合に設定される各種条件であり、条件の種類は限定されない。
【0013】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの構成を示す概略図である。本実施形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置1と、1又は複数のサービス提供システム5と、が互いに通信可能に接続されている。ユーザは、サービス提供システム5によって提供されるサービスの利用者であり、ユーザ端末からサービス提供システム5にアクセスすることでサービスの提供を受ける。
【0014】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、NIC(Network Interface Card)等の通信ユニット15、等を備えるコンピュータである。但し、情報処理装置1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、情報処理装置1は、単一の筐体からなる装置に限定されない。情報処理装置1は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0015】
サービス提供システム5は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。また、これらのシステム及び端末は、いずれも、単一の筐体からなる装置に限定されない。これらのシステム及び端末は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0016】
サービス提供システム5によって提供されるサービスは、例えば、オンラインショッピングサービス、オンライン予約サービス、モバイル端末販売サービス、モバイル通信サービス銀行サービス、クレジットカード/後払い決済サービス、電子マネー決済サービス、広告サービス、オペレーションセンターサービス、又は地図情報サービス等である。なお、「後払い決済」には、所謂Buy Now Pay Later(BNPL)と称されるサービスに限定されず、あらゆる後払いによる商品/サービスの購入が含まれてよいものとする。
【0017】
サービス提供システム5によって提供されるサービスは本実施形態における例示に限定されない。そして、サービス提供システム5は、サービスの提供に際してユーザ関連データを情報処理装置1に通知する。ここで、ユーザ関連データには当該ユーザによるサービスの利用履歴データが含まれる。サービスの利用履歴データの内容はサービスの内容に応じて様々であり、例えば、ユーザの位置情報の履歴データ、クレジットカード利用額/後払い決済利用額の支払履歴データ、電子マネー利用履歴データ、取引履歴データ(商品等の購入履歴データを含む)、予約履歴データ、オペレーションセンターからのユーザに対するオペレーション履歴データ等が含まれてよい。
【0018】
本実施形態では、サービス提供システム5によって提供される各種サービスのうち、モバイル端末販売サービス及びモバイル通信サービスについて、ユーザに対してモバイル端末の購入代金の分割支払条件を設定する態様を説明する。但し、ユーザに対して分割支払条件が設定される対象となる商品又はサービスは、モバイル端末の購入代金に限定されず、様々な商品又はサービスが対象とされてよい。
【0019】
分割支払条件としては、1)分割支払の可否、2)分割支払の金利、3)分割支払の分割回数上限、4)分割支払対象額の上限(信用枠)、及び5)初回支払額の下限(頭金や1回目の分割支払額の下限)、等が挙げられる。本実施形態に係るシステムでは、例えば、以下に例示するような分割支払条件の設定が行われてよい。
1)分割支払の可否については、信用スコアによって示される信用度が所定の信用度以上のユーザの分割支払を許可に設定し、信用スコアによって示される信用度が所定の信用度未満のユーザの分割支払を拒否に設定する。
2)分割支払の金利については、信用スコアによって示される信用度が高いほど低い金利を設定し、信用スコアによって示される信用度が低いほど高い金利を設定する(但し、金利には予め設定された上限及び/又は下限があってもよい)。
3)分割支払の分割回数上限については、信用スコアによって示される信用度が高いほど多い分割回数上限を設定し、信用スコアによって示される信用度が低いほど少ない分割回数上限を設定する(但し、分割回数上限には予め設定された上限及び/又は下限があってもよい)。
4)分割支払対象額の上限については、信用スコアによって示される信用度が高いほど高い上限を設定し、信用スコアによって示される信用度が低いほど低い上限を設定する(但し、分割支払対象額の上限には予め設定された上限及び/又は下限があってもよい)。
5)初回支払額の下限については、信用スコアによって示される信用度が高いほど低い下限を設定し、信用スコアによって示される信用度が低いほど高い下限を設定する(但し、初回支払額の下限には予め設定された上限及び/又は下限があってもよい)。
【0020】
本開示に係る情報処理装置では、ユーザ属性データ等を入力として信用スコア(本実施形態では、後払いリスクを示すスコア)を出力する機械学習モデルを用いる。なお、ここで入力として用いられる属性データにはデフォルト(債務不履行)を示すデータも含まれてよい。様々な属性データを入力として用いることで、本開示に係る情報処理装置1によれば、ユーザの属性全般が統一的に反映されることで生成された普遍的(universal)且つ一般化された(generalized)信用スコアを算出する。算出された信用スコアは、後払い決済サービス等における与信審査(後払い決済の承認又は却下を伴う判定)に用いることが可能であるが、上述の通り、本実施形態では、算出された信用スコアを、ユーザによって選択可能な分割支払条件の設定に用いる。
【0021】
ここで、ユーザ属性データには、事実属性データ及び推定属性データが含まれる。属性データは、例えば、スコア(例えば、0以上1以下の連続的な値)又はラベル(例えば、有無や是非に応じた二値)等のデータ形式で表されるデータが含まれる。但し、属性データのフォーマットは本開示における例示に限定されない。また、属性データには、例えば、オンラインサービス利用状況、ポイントを含む電子的バリューの利用状況が含まれてよい。また、オンラインサービス利用状況には、オンラインショッピングサービス又はオンライン予約サービスにおけるキャンセル数、キャンセル率、及びオーダー数の少なくともいずれかが含まれてよい。
【0022】
事実属性データは、ユーザ自身から提供されることで得られたユーザ提供データやユーザについて収集された履歴データ等に基づいて、当該ユーザについて事実であると確認可能な事実属性(factual attribute)を示すデータである。ユーザ提供データとしては、例えば、ユーザ自身によって登録された氏名やメールアドレス、電話番号、住所、勤務先、就学先等を含む登録データや、アンケート等にユーザ自身が回答した結果得られたデータが挙げられる。履歴データとしては、例えば、上述した、サービス提供システム5によって提供される電子商取引サービスの利用履歴データが挙げられる。事実属性データは、先述のユーザ提供データや履歴データが、マーケティング及び/又は分析目的に適したデータ形式に変換されたデータであることが好ましい。例えば、利用履歴データに基づいて得ることができる事実属性データとして、ユーザが頻繁に利用する商品/サービスのジャンル/カテゴリやブランドの他、ユーザが頻繁に訪れる商業地や行楽地、観光地等が挙げられる。
【0023】
また、推定属性データは、ユーザ提供データや履歴データ、事実属性データ等に基づいて推定されることで得られる推定属性(inferred attribute)を示すデータである。本実施形態において、推定属性データは、機械学習技術を用いて推定又は予測されたユーザの性格等を含む。推定属性データは、ターゲティングに用いられた場合にユーザの行動(振る舞い)に影響する属性についてのデータであることが好ましい。
【0024】
本実施形態において、各属性データには、重みが設定される。重みは、信用スコアの算出にあたって属性データが用いられる際の、属性データと信用スコアとの相関性の高さを示すものであり、後述する機械学習部24によって信用スコアの適切性が評価される毎に、モデルのパラメータが、信用スコアがより適切な値となるように調整される。各属性データと対応する重みは、例として、後述の決定モデル等の信用スコア算出のためのモデルにおける各ノード(各回帰木)と対応する重みに相当し、信用スコアが算出される過程で適宜、決定される。なお、信用スコアは、例として、各ノードの重みに基づいて決定される。
【0025】
ここで、属性データ群には、デモグラフィック属性、ビヘイビオラル属性、又はサイコグラフィック属性が含まれてよい。デモグラフィック属性は、例えば、ユーザの性別(ジェンダー)、家族構成、年齢等であり、ビヘイビオラル属性は、サービスの利用履歴データに基づいてよく、例えば、キャッシング利用有無、リボ払い利用有無、所定の口座に係る入出金履歴、賭博又はくじを含む何らかの商品/サービスに係る商取引履歴(オンラインマーケットプレイス等におけるオンライン取引履歴を含んでよい)、位置情報や場所情報を用いたユーザの移動履歴等であり、サイコグラフィック属性は、例えば、賭博又はくじに係る趣向等である。但し、利用可能なユーザの属性は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、オペレーションセンターサービス等からの「オペレーション(架電等)に要する時間」、「クレジットカード利用額/後払い決済利用額」も、属性として用いられてよい。デモグラフィック属性及びビヘイビオラル属性は、事実属性として扱われてよい。サイコグラフィック属性は、推定属性として扱われてよい。なお、デモグラフィック属性に類する属性がユーザ提供データ又は履歴データを根拠とする事実属性に基づいて推定された推定属性であってよい。同様に、ビヘイビオラル属性に類する属性がユーザ提供データ又は履歴データを根拠とする事実属性に基づいて推定された推定属性であってよい。サイコグラフィック属性は、ユーザによる意思入力の結果を一例として含むユーザ提供データを根拠とする事実属性であってよい。
【0026】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成の概略を示す図である。情報処理装置1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、情報処理装置1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、事実属性決定部21、推定属性決定部22、信用スコア推定部23、機械学習部24、条件設定部25及び通知部26を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、情報処理装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0027】
事実属性決定部21は、ユーザ自身から提供されたユーザ提供データ及び/又は当該ユーザの履歴データに基づいて、当該ユーザについて事実であると確認可能な事実属性データを決定する。本実施形態において、事実属性決定部21は、ユーザ提供データ及び/又は履歴データを集計する、マップ等の他のデータを参照して該当する属性を決定する、ユーザ提供データ及び/又は履歴データをそのまま用いる、等の手法を用いて、当該ユーザに係る事実属性データを決定する。なお、本実施形態では、ユーザに係る事実属性データをユーザ提供データ及び/又は当該ユーザの履歴データに基づいて決定する方法を採用しているが、ユーザに係る事実属性データはその他の方法で取得されてもよい。
【0028】
推定属性決定部22は、少なくとも、事実属性決定部21によって対象ユーザについて決定された1又は複数の事実属性データを含むユーザ関連データに基づいて、当該ユーザについて推定された推定属性データを決定する。本実施形態において、推定属性決定部22は、対象ユーザに係る1又は複数の事実属性データを含むユーザ関連データを機械学習モデルである属性推定モデルに入力して得られた出力値に基づいて、推定属性を決定する。なお、本実施形態において、属性推定モデルからの出力値は対象ユーザが所定の推定属性を有する蓋然性を示す値であり、推定属性決定部22は、属性推定モデルから得られた出力値が所定の範囲内にある場合に、対象ユーザが当該推定属性を有すると決定する。対象ユーザが所定の推定属性を有すると決定された場合、推定属性決定部22は、対象ユーザについて推定された属性データのラベルを、属性の有無又は属性の種類を示す値に設定する。また、推定属性データはラベルではなくスコアで示されてもよい。この場合、推定属性決定部22は、対象ユーザについて推定された属性データのスコアに、推定された属性が適用され得る度合い(確率)を示す値を設定する。当該度合いは、属性推定モデルの出力値であってよい。
【0029】
信用スコア推定部23は、対象ユーザに係る事実属性及び推定属性を含む属性データ群に基づいて、対象ユーザの信用スコア(本実施形態では、後払いリスクに基づいて算出された信用スコア)を推定する。ここで、後払いリスクとは、対象ユーザが後払い決済を利用した場合に後払い決済の精算が当該対象ユーザによって正しく履行されないリスクを何らかの指標(本実施形態では、後払いリスクの大きさに応じて変化する信用スコア)で表したものである。この際、信用スコア推定部23は、決定された事実属性及び/又は推定属性に対して何らかの加工(正規化やランク化、ラベル化等)を施して属性データ群の一部としてもよいし、決定された事実属性及び/又は推定属性を用いて算出された他の種類のスコア(例えば、所謂信用スコア等)又はラベルを属性データ群の全部又は一部としてもよい。ここで、他の種類のスコア又はラベルの算出には、他の機械学習モデルが介在してもよい。
【0030】
図3は、本実施形態に係る信用スコア推定処理の簡略図である。本実施形態において、信用スコア推定部23は、ユーザの属性データ群を信用スコア推定モデルに入力することで、当該ユーザの信用スコアを推定(算出)する。ここで、信用スコア推定モデルの出力値は、例として、0を最小値、1を最大値として正規化/規格化された信用スコアである。
【0031】
機械学習部24は、信用スコア推定部23による信用スコア推定に用いられる信用スコア推定モデルを生成及び/又は更新する。信用スコア推定モデルは、対象ユーザに係る1又は複数の属性データ(属性データ群)が入力された場合に、対象ユーザが後払い決済を利用した場合に後払い決済の精算が当該対象ユーザによって正しく履行されないリスクの程度を示す信用スコアを出力する機械学習モデルである。このような機械学習モデルを用いることで、本実施形態では、単なる信用スコアではなく、後払いに特化したファクターが考慮された出力を、信用スコアとして得ることが出来る。また、本実施形態では、信用スコアの値が大きいほど信用度が高く(リスクが低い)、信用スコアの値が小さいほど信用度が低い(リスクが高い)信用スコアを採用する例を示して説明するが、スコアの値の大小とリスクの高低との関係は逆であってもよい。
【0032】
信用スコア推定モデルの生成及び/又は更新にあたって、機械学習部24は、ユーザ毎に、当該ユーザの属性データ群を入力値とし当該属性データ群が共通するユーザに係る信用スコアを出力値として定義した教師データを作成する。そして、機械学習部24は、当該教師データに基づいて、信用スコア推定モデルを生成及び/又は更新する。上述の通り、信用スコア推定モデルに入力される属性データ群には、事実属性決定部21によって決定された事実属性データと、事実属性データを含むユーザ関連データに基づいて推定属性決定部22によって推定された推定属性データが含まれ、対応するユーザの信用スコアと組み合わせられて、教師データとして機械学習部24に入力される。本実施形態において、教師データに設定される信用スコアは、入力値としてのユーザ属性の組み合わせに相当するユーザの、後払い決済の支払い履歴データに基づいて決定された信用スコアであある。ここで、後払い決済の支払い履歴データは、後払い決済におけるデフォルト(債務不履行)の有無やデフォルト額を示すデータ等を含む。この際、信用スコアは、ルールベースで決定された信用スコアであってよく、マニュアルで設定された(アノテーションがなされた)信用スコアであってもよい。また、信用スコア推定モデルによって過去に出力された後で、管理者等によって修正された信用スコアであってもよい。
【0033】
本開示に係る技術を実装するにあたり信用スコア推定モデル等として採用可能な機械学習モデル生成/更新のフレームワークは、例として、アンサンブル学習アルゴリズムに基づく。当該フレームワークには、例えば、勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree:GBDT)に基づく機械学習フレームワーク(例えば、LightGBM)が採用されてよい。換言すると、当該フレームワークは、前後の弱学習器(弱分類器)間で正解と予測値との誤差を引き継がせるような決定木モデルに基づく機械学習フレームワークが採用されてよい。ここでの予測値とは、例として、信用スコアの予測値を指す。なお、当該フレームワークは、LightGBMの他、XGBoostやCatBoost等のブースティング手法を採用してよい。決定木を用いるフレームワークによれば、ニューラルネットワークを用いるフレームワークと比較して少ないパラメータ調整の手間で、比較的高い性能を有する機械学習モデルを生成/更新することができる。但し、本開示に係る技術を実装するにあたり採用可能な機械学習モデル生成/更新のフレームワークは、本実施形態における例示に限定されない。例えば、学習器として勾配ブースティング決定木に代えてランダムフォレスト等の他の学習器が採用されてよいし、ニューラルネットワーク等の所謂弱学習器とは称されない学習器が採用されてもよい。また、特にニューラルネットワーク等の所謂弱学習器とは称されない学習器が採用される場合には、アンサンブル学習が採用されなくてもよい。
【0034】
図4は、本実施形態において信用スコア推定モデル等として採用される機械学習モデルの決定木の概念を簡略図である。決定木アルゴリズムに基づいた勾配ブースティングの機械学習フレームワークを採用する場合、決定木の各ノードの分岐条件の最適化が行われる。具体的には、決定木アルゴリズムに基づいた勾配ブースティングの機械学習フレームワークでは、一つの親のノードから分岐した二つの子のノードの夫々が示す属性を有するユーザ群について信用スコアを夫々算出し、この信用スコアの差分が大きくなるように(例えば、差分が最大になるように、又は所定の閾値以上になるように)、即ち、二つの子のノードがきれいに分岐するように、親のノードの分岐条件が最適化される。例えば、ノードの分岐条件として示される属性が年齢である場合、分岐の閾値に設定される年齢を変更したり、分岐条件を年齢以外の属性に変更したりしてもよい。このようにして、決定木の全ノードの分岐条件を再帰的に最適化することで、属性データ群に基づく信用スコアの推定精度を向上させることができる。
【0035】
条件設定部25は、信用スコアによって示されるユーザの信用度に基づいて、当該ユーザが分割支払を行う場合に当該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する。上述の通り、条件設定部25は、分割支払条件として、1)分割支払の可否、2)分割支払の金利、3)分割支払の分割回数上限、4)分割支払対象額の上限、及び5)初回支払額の下限、の少なくとも何れかを設定する。なお、本実施形態では、分割支払の対象がモバイル端末の購入代金である場合を例に挙げて説明するが、上述の通り、本開示にかかる技術を適用可能な商品又はサービスは、本実施形態における例示に限定されない。
【0036】
本実施形態において分割支払条件として「1)分割支払の可否」が設定される場合、条件設定部25は、分割支払の可否を、当該ユーザの信用スコアと所定の閾値とを比較することによって判定する。本実施形態において用いられる信用スコアは、値が大きいほど信用度が高いことを示すスコアである。このため、条件設定部25は、信用スコアが所定の閾値以上である場合に当該ユーザの分割支払を許可に設定し、信用スコアが所定の閾値未満である場合に当該ユーザの分割支払を拒否に設定する。
【0037】
ここで、分割支払の可否を判定するための閾値は、信用スコアに対応するユーザの分割支払がデフォルトする可能性に応じて決定されることが好ましい。即ち、当該閾値は、分割支払がデフォルトする(未払いとなる)可能性を所定以上有するユーザを除外可能な値に設定されることが好ましい。
【0038】
本実施形態において分割支払条件として「2)分割支払の金利」が設定される場合、条件設定部25は、分割支払の金利を、予め設定された所定の上限又は下限を有する範囲内で設定する。ここで、信用スコアに対応する金利を算出するための具体的な手法は限定されないが、少なくとも信用スコアが入力された場合に出力として金利が得られる処理が実行されればよく、例えば、所定の計算式、信用スコアと金利との関係を定義したマップ、信用スコアと適切な金利との関係が学習された機械学習モデル、等を用いることが出来る。金利の上限及び/又は下限を定めておくことで、信用スコアに応じて際限なく金利が高くなったり低くなったりすることを防止し、適切な範囲内で金利を設定することが出来る。
【0039】
図5は、本実施形態における信用度と金利との関係を示す図である。
図5に示された例によれば、分割支払の金利が、予め設定された上限及び/又は下限の範囲内で、信用スコアによって示される信用度が高いほど低く、信用スコアによって示される信用度が低いほど高く設定され、信用スコアが第一の閾値以上であるユーザには下限の金利が、信用スコアが第二の閾値未満であるユーザには上限の金利が設定されることがわかる。
【0040】
本実施形態において分割支払条件として「3)分割支払の分割回数上限」が設定される場合、条件設定部25は、分割支払の金利を、予め設定された所定の上限又は下限を有する、分割上限回数を設定可能な範囲内で設定する。ここで、信用スコアに対応する金利を算出するための具体的な手法は限定されないが、少なくとも信用スコアが入力された場合に出力として金利が得られる処理が実行されればよく、例えば、所定の計算式、信用スコアと金利との関係を定義したマップ、信用スコアと適切な金利との関係が学習された機械学習モデル、等を用いることが出来る。
【0041】
ここで、分割上限回数を設定可能な範囲は、当該分割支払の対象となる商品又はサービスについて予め定義されたライフサイクル(商品又はサービスの更新サイクル)の長さに更に基づいて設定されてよい。例えば、モバイル端末の更新サイクル(機種変更のサイクル、最新機種のリリースサイクル、等)が3年から4年である場合、分割上限回数を設定可能な範囲についても、当該サイクルの長さに近い分割支払期間となるように設定されてよい(例えば、毎月払いで48回払いを上限とする、等。)。また、例えばより高額でライフサイクルの長い商品又はサービス(高級服飾品、高級鞄、身飾品、不動産、等)については、より長い分割支払期間となるように分割上限回数を設定可能な範囲が設定されてよいし、より定額でライフサイクルの短い商品又はサービス(日用品等)については、より短い分割支払期間となるように分割上限回数を設定可能な範囲が設定されてよい。商品又はサービスのライフサイクルは商品又はサービスの種類毎に異なるため、分割上限回数を設定可能な範囲を当該ライフサイクルに適合するように設定することで、適切且つ安全な分割支払条件を設定することが可能となる。
【0042】
本実施形態において分割支払条件として「4)分割支払対象額の上限」が設定される場合、条件設定部25は、分割支払対象額の上限を、予め設定された所定の範囲内で設定する。ここで、「4)分割支払対象額の上限」は、具体的には、リボルビング払いの上限等の信用枠であり、信用払い可能な額の上限である。信用スコアに対応する分割支払対象額の上限を算出するための具体的な手法は限定されないが、少なくとも信用スコアが入力された場合に出力として分割支払対象額の上限が得られる処理が実行されればよく、例えば、所定の計算式、信用スコアと分割支払対象額の上限との関係を定義したマップ、信用スコアと適切な分割支払対象額の上限との関係が学習された機械学習モデル、等を用いることが出来る。
【0043】
本実施形態において分割支払条件として「5)初回支払額の下限」が設定される場合、条件設定部25は、初回支払額の下限を、予め設定された所定の範囲内で設定する。ここで、「5)初回支払額の下限」は、具体的には、頭金、又は1回目の分割支払額の下限、等である。信用スコアに対応する初回支払額の下限を算出するための具体的な手法は限定されないが、少なくとも信用スコアが入力された場合に出力として初回支払額の下限が得られる処理が実行されればよく、例えば、所定の計算式、信用スコアと初回支払額の下限との関係を定義したマップ、信用スコアと適切な初回支払額の下限との関係が学習された機械学習モデル、等を用いることが出来る。
【0044】
なお、本実施形態では、信用スコアのみを用いて分割支払条件の設定を行う例を説明しているが、分割支払条件の設定に際しては、信用スコアに加えて、その他の信用情報が参照されてもよい。例えば、条件設定部25は、信用スコアに加えてユーザ属性データ(上述した事実属性データ及び推定属性データを含んでよい。)に基づいて分割支払条件の設定を行ってもよく、信用スコアに加えて従来の信用情報に基づいて分割支払条件の設定を行ってもよく、信用スコアに加えて本人認証(例えば、eKYCを用いた本人認証が用いられてよい。)の結果を考慮して分割支払条件の設定を行ってもよく、信用スコアに加えて分割支払の詳細(金額や分割回数等)を考慮して分割支払条件の設定を行ってもよい。
【0045】
信用スコアに加えて本人認証結果を考慮して分割支払条件を設定する場合、本人認証は、情報処理装置1又はサービス提供システム5が有する認証部(図示は省略する)が、ユーザが所有する端末により運転免許証等のユーザの本人確認書類が撮像されることで得られる第1の顔画像と、当該認証部からユーザへのインストラクションが当該端末上で表示されることを契機として当該端末によりユーザ自身が撮像されることで得られる第2の顔画像と、からそれぞれ特徴ベクトルを抽出し各特徴ベクトルが類似するか否かを判定することで行われてよい。このとき、条件設定部25は、各特徴ベクトルが類似していることを条件として、ユーザに対して分割支払条件を優遇してよい。例えば、条件設定部25は、各特徴ベクトルが類似していることを条件として、「1)分割支払の可否」に関連して分割支払を許可に設定してよく、「2)分割支払の金利」に関連して分割支払の金利を基準となる金利から引き下げてよく、「3)分割支払の分割回数上限」に関連して分割上限回数を基準となる回数から引き上げてよく、「4)分割支払対象額の上限」に関連して分割支払対象額を基準となる額から引き上げてよく、「5)初回支払額の下限」に関連して初回支払額の下限を基準となる額から引き下げてよい。ここで、「基準」とは、当該本人認証の結果を考慮せず信用スコアに基づいて設定された分割支払条件であってよい。また、本人認証結果等の他の情報を考慮して分割支払条件を設定する処理のために用いられる機械学習モデルは、入力に分割払いが行われたか否か等を示す支払履歴が本人認証結果等の信用スコア以外の情報にさらにラベリングされた教師データを用いて学習されてよい。
【0046】
通知部26は、条件設定部25によって設定された、ユーザが選択可能な分割支払条件を、当該ユーザに対して通知する。ここで、本開示に係る技術をモバイル端末の購入代金の分割支払条件の設定のために実施するにあたって、分割支払条件の通知対象ユーザは既存ユーザ(回線契約済ユーザ)群に限定されてもよいし、新規ユーザ(回線未契約ユーザ)群に限定されてもよいし、いずれのユーザ群にも限定されなくてもよい。このため、本実施形態において通知部26は、ユーザに対して更に、モバイル端末のための通信サービスへの加入提案を通知してもよい。このようにすることで、信用情報が蓄積されていない可能性が高いサービス未加入のユーザに対しても、後払いリスクの信用スコアを用いて、サービスへの新規加入を効果的に訴求することが出来る。なお、ユーザが通信サービスへ加入済みである場合、上述の本人認証が完了している状態としてあつかってよい。
【0047】
また、通知部26によるユーザへの具体的な通知方法は特定の通知方法に限定されない。通知部26によるユーザへの通知方法には、例えば、広告配信による通知、アプリ内メッセージによる通知、汎用のメッセージサービス(ソーシャルネットワークシステム、ショートメッセージサービス等)による通知等、が採用されてよい。また、広告配信による通知は、ユーザがオンラインショッピングサービスのサイト(対象の商品がモバイル端末である場合、モバイル端末又は通信サービスの紹介サイト)を閲覧している際に行われてよい。
【0048】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る情報処理装置によって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0049】
図6は、本実施形態に係る機械学習処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、定期的に、又は管理者によって指定されたタイミングで実行される。
【0050】
本実施形態において、機械学習処理では、信用スコア推定モデルが生成及び/又は更新される。機械学習部24は、過去に蓄積されたユーザ毎の属性データ群と、対応するユーザについて予め決定された信用スコアと、の組み合わせを含む教師データを作成する(ステップS101)。そして、機械学習部24は、作成された教師データを信用スコア推定モデルに入力し、信用スコア推定部23による信用スコア推定に用いられる信用スコア推定モデルを生成及び/又は更新する(ステップS102)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0051】
図7は、本実施形態に係るスコア算出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、定期的に、又は指定されたタイミングで、対象ユーザ毎に実行される。
【0052】
ステップS201及びステップS202では、事実属性データ及び推定属性データが決定される。事実属性決定部21は、対象ユーザのユーザ提供データ及び/又は履歴データに基づいて、対象ユーザに係る事実属性データを決定する(ステップS201)。そして、推定属性決定部22は、少なくともステップS201で決定された事実属性データに基づいて、対象ユーザに係る推定属性データを決定する(ステップS202)。その後、処理はステップS203へ進む。
【0053】
ステップS203及びステップS204では、信用スコアが決定され、出力される。信用スコア推定部23は、ステップS201で決定された事実属性データ及びステップS202で決定された推定属性データを含む属性データ群を決定する(ステップS203)。そして、信用スコア推定部23は、ステップS203で決定された属性データ群を信用スコア推定モデルに入力し、出力された値を、対象ユーザが後払い決済を利用した場合に後払い決済の精算が当該対象ユーザによって正しく履行されないリスクに応じて変化する信用スコアとして取得する(ステップS204)。但し、信用スコアの推定方法は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、信用スコアは、属性データ群を機械学習モデルではない所定の関数や統計モデル等に入力して算出された値を含むものであってもよい。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0054】
図8は、本実施形態に係る支払条件設定処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、広告表示や広告メッセージ送信等の対象となる対象ユーザ毎に実行される。支払条件設定処理の実行タイミングは限定されず、予め設定されたタイミング、管理者によって指定されたタイミング、広告等送信の契機となる対象ユーザによる操作(例えば、広告が埋め込まれるWebページのデータ要求等)が検知されたタイミング、等のいずれであってもよい。
【0055】
ステップS301及びステップS302では、対象ユーザの信用スコアに基づいて、ユーザが選択可能な分割支払条件が設定される。条件設定部25は、スコア算出処理で推定された対象ユーザの信用スコアを取得し(ステップS301)、信用スコアによって示されるユーザの信用度に基づいて、当該ユーザが分割支払を行う場合に当該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する(ステップS302)。分割支払条件の設定の詳細については、条件設定部25の説明において上述したとおりであるため、説明を省略する。その後、処理はステップS303へ進む。
【0056】
ステップS303では、対象ユーザに対して分割支払条件が通知される。通知部26は、条件設定部25によって設定された、ユーザが選択可能な分割支払条件を、当該ユーザに対して通知する。この際、通知部26が更に、モバイル端末のための通信サービスへの加入提案を通知してもよいことは、上述の通りである。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0057】
<効果>
本実施形態によれば、ユーザがモバイル端末等の代金を分割支払する場合にユーザが選択可能な分割支払条件を、ユーザの信用スコアに応じたより適切な内容に設定することが可能となる。
【0058】
<バリエーション>
上記説明した実施形態では、特に対象となるユーザ群を絞らずに後払いリスクに基づく信用度判定を行い、信用度が所定の範囲内であると判定されたユーザに対して分割支払条件の設定及び通知を行う例を説明したが、信用データ(クレジットヒストリーや通信サービスの支払履歴等)が十分に蓄積されているユーザ群については、後払いリスクに基づく分割支払条件の設定及び通知を行わず、信用データが十分に蓄積されてないユーザ群について、後払いリスクに基づく分割支払条件の設定及び通知を行うこととしてもよい。ここで、信用データが十分に蓄積されていないユーザ群とは、例えば若年層等の、資金力や信用度が比較的低いために分割支払のニーズが高いユーザ群である。以下、本バリエーションに係る情報処理装置1bについて、上記説明した第一のバリエーションと共通する部分については説明を省略し、上記説明した第一のバリエーションとの差異について説明する。
【0059】
図9は、バリエーションに係る情報処理装置1bの機能構成の概略を示す図である。情報処理装置1bのハードウェア構成については、
図1を参照して説明した情報処理装置1と同様であるため、説明を省略する。情報処理装置1bは、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、情報処理装置1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、事実属性決定部21、推定属性決定部22、信用スコア推定部23、機械学習部24、条件設定部25、通知部26及び与信データ判定部27を備える情報処理装置として機能する。即ち、本バリエーションに係る情報処理装置1bは、与信データ判定部27を更に備える。
【0060】
与信データ判定部27は、ユーザについて、後払いリスクに応じて変化する信用スコアに基づくことなく分割支払条件を設定する処理に適した量の与信データ(例えば、クレジットヒストリーや通信サービスの支払履歴等)が蓄積されているか否かを判定する。具体的には、与信データ判定部27は、ユーザについて蓄積されたクレジットヒストリーの種類及び/又は分量に基づいて、予め設定された所定の基準を満たしているか否かを判定する。ここで、所定の基準とは、例えば、必要とされている特定の種類のクレジットヒストリーの有無、又はクレジットヒストリーの分量の閾値、である。
【0061】
そして、本バリエーションにおいて、信用スコア推定部は、少なくとも与信データの蓄積量が不足していると判定されたユーザについて、後払いリスクに応じて変化する信用スコアを推定する。また、通知部26は、少なくとも与信データの蓄積量が不足していると判定されたユーザに対して、分割支払条件を提案する。信用スコアの算出及び分割支払条件の通知の処理の流れについては、上記説明した実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。
【0062】
本バリエーションによれば、信用データが十分に蓄積されてないユーザ群に対して、後払いリスクに基づく分割支払条件の設定及び通知を行うことで、分割支払のニーズが高いユーザ群に対して、適切な条件に従って分割支払の利便性を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 情報処理装置
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに係る属性データ群に基づいて、該ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定手段と、
前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザが分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定手段と、を備え、
前記条件設定手段は、前記分割支払の金利を、予め設定された所定の上限又は下限を有する範囲内で設定する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記条件設定手段は、前記分割支払条件として、分割支払の可否、分割支払の金利、分割支払の分割回数上限、分割支払対象額の上限、及び初回支払額の下限、の少なくとも何れかを設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記条件設定手段は、前記分割支払の分割回数上限を、該分割支払の対象となる商品又はサービスのライフサイクルの長さに更に基づいて設定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記条件設定手段によって設定された、前記ユーザが選択可能な分割支払条件を、該ユーザに対して通知する通知手段を更に備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記条件設定手段は、前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザがモバイル端末の購入代金について分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定し、
前記通知手段は、前記ユーザに対して、前記モバイル端末のための通信サービスへの加入提案を更に通知する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記信用スコア推定手段は、前記属性データ群を入力値とし、該属性データ群が共通するユーザに係る後払い決済の支払履歴に基づいて決定された前記信用スコアを出力値とする教師データを用いて生成及び/又は更新された信用スコア推定モデルを用いて、前記ユーザに設定される信用スコアを推定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記信用スコア推定モデルの出力値は、前記ユーザが後払い決済を利用した場合に後払い決済の精算が該ユーザによって正しく履行されない後払いリスクに応じて変化するスコアである、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記ユーザについて、前記後払いリスクに応じて変化する信用スコアに基づくことなく分割支払条件を設定する処理に適した量の与信データが蓄積されているか否かを判定する与信データ判定手段と、
前記条件設定手段によって設定された、前記ユーザが選択可能な分割支払条件を、該ユーザに対して通知する通知手段と、を更に備え、
前記信用スコア推定手段は、少なくとも前記与信データの蓄積量が不足していると判定されたユーザについて、前記後払いリスクに応じて変化する信用スコアを推定し、
前記通知手段は、少なくとも前記与信データの蓄積量が不足していると判定されたユーザに対して、前記分割支払条件を通知する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記信用スコア推定手段は、勾配ブースティング決定木に基づく機械学習フレームワークを用いて生成及び/又は更新された前記信用スコア推定モデルを用いて、前記信用スコアを推定する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記ユーザ自身から提供されたユーザ提供データ又は該ユーザの履歴データに基づいて、該ユーザについて事実であると確認可能な事実属性を決定する事実属性決定手段と、
少なくとも該ユーザに係る前記事実属性に基づいて、該ユーザについて推定された推定属性を決定する推定属性決定手段と、を更に備え、
前記信用スコア推定手段は、前記対象ユーザに係る前記事実属性及び推定属性を含む属性データ群に基づいて、前記対象ユーザの信用スコアを推定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
コンピュータが、
ユーザに係る属性データ群に基づいて、該ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定ステップと、
前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザが分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定ステップと、を実行し、
前記条件設定ステップでは、前記分割支払の金利を、予め設定された所定の上限又は下限を有する範囲内で設定する、
情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
ユーザに係る属性データ群に基づいて、該ユーザに設定される信用スコアを推定する信用スコア推定手段と、
前記信用スコアによって示される前記ユーザの信用度に基づいて、該ユーザが分割支払を行う場合に該ユーザが選択可能な分割支払条件を設定する条件設定手段と、として機能させ、
前記条件設定手段は、前記分割支払の金利を、予め設定された所定の上限又は下限を有する範囲内で設定する、
プログラム。