(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083180
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】成形条件導出装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/78 20060101AFI20240613BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240613BHJP
B29C 49/64 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B29C49/78
G06N20/00
B29C49/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197549
(22)【出願日】2022-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】大竹 七勢
(72)【発明者】
【氏名】田所 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大紀
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AH55
4F208AM23
4F208LA02
4F208LA09
4F208LB01
4F208LH06
4F208LH10
(57)【要約】
【課題】適正なブロー成形条件を容易に導出することができる成形条件導出装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法を得る。
【解決手段】成形条件導出装置6は、成形体4の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データに基づいて、目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データを求める。目標成形条件は、ブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を導出する成形条件導出装置であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データに基づいて、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データを求める
成形条件導出装置。
【請求項2】
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
請求項1に記載の成形条件導出装置。
【請求項3】
前記ボトル形状情報には、前記成形体の設計図面情報、前記成形体のイメージ情報、及び、前記成形体の設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つが含まれている
請求項1に記載の成形条件導出装置。
【請求項4】
前記プリフォーム形状情報には、前記プリフォームの設計図面情報、前記プリフォームのイメージ情報、及び、前記プリフォームの設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つが含まれている
請求項2に記載の成形条件導出装置。
【請求項5】
前記ブロー成形工程は、前記プリフォームを加熱する工程である加熱工程を含んでおり、
前記1つ以上のブロー成形条件には、前記加熱工程における前記プリフォームの加熱温度条件、及び、前記加熱工程における前記プリフォームの温度制御条件の少なくともいずれか1つが含まれている
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
【請求項6】
前記ブロー成形工程は、加熱された前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程を含んでおり、
前記1つ以上のブロー成形条件には、前記プレブロー工程における設定条件であるプレブロー条件が含まれている
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
【請求項7】
前記ブロー成形工程は、前記プリフォーム内にメインブロー流体を導入する工程であるメインブロー工程を含んでおり、
前記1つ以上のブロー成形条件には、前記メインブロー工程における設定条件であるメインブロー条件が含まれている
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
【請求項8】
前記入力データが入力されると、前記入力データと前記出力データとの相関関係が機械学習により学習された学習モデルを用いて、前記目標成形条件を決定し、決定された前記目標成形条件に関する情報を前記出力データとして出力する
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
【請求項9】
前記入力データが入力されると、所定の演算アルゴリズムからなる数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を決定し、決定された前記目標成形条件に関する情報を前記出力データとして出力する
請求項1又は請求項3に記載の成形条件導出装置。
【請求項10】
前記所定の演算アルゴリズムは、
前記入力データの前記ボトル形状情報の各変数である入力ボトル変数のベクトルデータと、前記入力ボトル変数に対応する既存の前記ボトル形状情報の各変数である既存ボトル変数のベクトルデータとの距離である第1ベクトル距離を算出し、前記第1ベクトル距離に基づいて、既存ボトル形状情報を特定し、当該既存ボトル形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第1成形条件情報を抽出し、
前記第1成形条件情報を目標成形条件情報として選択するものである
請求項9に記載の成形条件導出装置。
【請求項11】
前記入力データが入力されると、所定の演算アルゴリズムからなる数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を決定し、決定された前記目標成形条件に関する情報を前記出力データとして出力する
請求項2又は請求項4に記載の成形条件導出装置。
【請求項12】
前記所定の演算アルゴリズムは、
前記入力データの前記ボトル形状情報の各変数である入力ボトル変数のベクトルデータと、前記入力ボトル変数に対応する既存の前記ボトル形状情報の各変数である既存ボトル変数のベクトルデータとの距離である第1ベクトル距離を算出し、前記第1ベクトル距離に基づいて、既存ボトル形状情報を特定し、当該既存ボトル形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第1成形条件情報を抽出し、
前記入力データの前記プリフォーム形状情報の各変数である入力プリフォーム変数のベクトルデータと、前記入力プリフォーム変数に対応する既存の前記プリフォーム形状情報の各変数である既存プリフォーム変数のベクトルデータとの距離である第2ベクトル距離を算出し、前記第2ベクトル距離に基づいて、既存プリフォーム形状情報を特定し、当該既存プリフォーム形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第2成形条件情報を抽出し、
特定の指標に基づいて、前記第1成形条件情報及び前記第2成形条件情報のいずれかを目標成形条件情報として選択するものである
請求項9に記載の成形条件導出装置。
【請求項13】
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習された前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と
を備えている機械学習装置。
【請求項14】
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
請求項13に記載の機械学習装置。
【請求項15】
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備え、ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論する推論装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データを取得する情報取得処理と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を推論する推論処理と、
推論された前記目標成形条件を含む出力データを出力する出力処理と
を実行する推論装置。
【請求項16】
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
請求項15に記載の推論装置。
【請求項17】
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を導出するための情報処理方法であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データに基づいて、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データを求める
情報処理方法。
【請求項18】
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
請求項17に記載の情報処理方法。
【請求項19】
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論するための学習モデルを生成する機械学習方法であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程において学習された前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶させる学習済みモデル記憶工程と
を実行する機械学習方法。
【請求項20】
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
請求項19に記載の機械学習方法。
【請求項21】
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備える推論装置により実行されて、ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論する推論方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データを取得する情報取得工程と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を推論する推論工程と、
推論された前記目標成形条件を含む出力データを出力する出力工程と
を実行する推論方法。
【請求項22】
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
請求項21に記載の推論方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形条件導出装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の容器肉厚設計システムでは、ブロー成形される容器の形状に関するCADデータに基づいて、容器の力学特性が算出され、これにより容器の理想肉厚が求められる。理想肉厚は、既定の条件を満たす力学特性が得られる肉厚である。そして、この理想肉厚と、シミュレーションモデルを用いて算出された容器の肉厚とが一致又は近似するようなブロー成形条件が求められる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の容器肉厚設計システムでは、ブロー成形条件に基づいて、シミュレーションモデルを用いて算出される容器の肉厚と、実際にブロー成形される容器の肉厚とを整合させることが難しく、整合させるために、シミュレーションモデルの改良に多くの時間を費やす必要があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するために為されたものであり、適正なブロー成形条件を容易に導出することができる成形条件導出装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る成形条件導出装置は、ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を導出する成形条件導出装置であって、成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データに基づいて、目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データを求める。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る成形条件導出装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法によれば、適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る容器成形システムの一例を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係るブロー成形装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る成形ユニットの一例を示す概略構成図である。
【
図4】ブロー成形工程の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る機械学習装置の一例を示すブロック図である。
【
図7】第1の実施形態に係る学習モデル及び学習用データの一例を示す図である。
【
図8】機械学習装置により実行される機械学習ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係る成形条件導出装置の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図9の成形条件導出装置の機能の一例を示す機能説明図である。
【
図11】コンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【
図12】第2の実施形態に係る成形条件導出装置の一例を示す機能説明図である。
【
図13】
図12の成形条件導出装置の機能の一例を示す機能説明図である。
【
図14】数理最適化モデルによる推論のアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る容器成形システムの一例を示す概略図である。容器成形システム1は、金型20を使用して、ブロー成形により中空状の成形体4を生産する生産システムとして機能する。本実施形態では、二軸延伸ブロー成形法により、プリフォーム3から中空状の成形体4の一形態としてのブロー成形容器(PETボトル)を生産する場合について説明する。プリフォーム3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む合成樹脂を原材料とする被成形体の一形態である。
【0011】
容器成形システム1は、その主要な構成として、射出成形装置1000、プリフォーム取出装置1100、プリフォーム搬送コンベア1200、プリフォーム供給装置1300、ブロー成形装置2、成形体取出装置1400、及び、成形体搬送コンベア1500を備えている。
【0012】
容器成形システム1において、原材料である合成樹脂が射出成形装置1000に投入されると、射出成形装置1000は、投入された合成樹脂をプリフォーム3に成形する。プリフォーム取出装置1100は、射出成形装置1000からプリフォーム3を取り出し、プリフォーム搬送コンベア1200に移送する。プリフォーム搬送コンベア1200には、加熱装置1210が設けられている。加熱装置1210は、加熱装置1210内をプリフォーム搬送コンベア1200に搬送されることにより通過するプリフォーム3を加熱する。
【0013】
プリフォーム供給装置1300は、加熱されたプリフォーム3をブロー成形装置2に順次供給する。ブロー成形装置2は、プリフォーム3を成形体4(PETボトル)に成形する。その後、成形体取出装置1400は、成形体4をブロー成形装置2から取り出し、成形体搬送コンベア1500に移送する。
【0014】
図2は、第1の実施形態に係るブロー成形装置の一例を示すブロック図である。また、
図3は、第1の実施形態に係る成形ユニットの一例を示す概略構成図である。ブロー成形装置2は、その主要な構成要素として、ロータリユニット21、複数の成形ユニット22、及び、制御ユニット23を備えている。
【0015】
ロータリユニット21は、ロータリ支持部及び回転機構部を有している。ロータリ支持部は、円板状に形成されており、ロータリ支持部の周方向へ等間隔に配置された複数の成形ユニット22を支持している。回転機構部は、ロータリ支持部を既定の回転速度で回転させる。
【0016】
各成形ユニット22は、金型支持機構部220、シール支持部221、ストレッチロッド222、ストレッチロッド支持機構部223、ブロー流体給排部224、及び、温調機構部225を有している。
【0017】
金型支持機構部220は、金型20を開閉可能に支持している。シール支持部221は、プリフォーム3を支持している。金型20は、金型支持機構部220によって閉じられたとき、プリフォーム3を挟み込む。これにより、プリフォーム3は、金型20内で密閉状態になる。ストレッチロッド222は、プリフォーム3の開口部からプリフォーム3の内部に挿入可能に配置されている。ストレッチロッド支持機構部223は、ストレッチロッド222を進退移動可能に支持している。
【0018】
ブロー流体給排部224は、プリフォーム3に対するブロー流体の供給又は排出を行う。本実施の形態では、ブロー流体として空気(エア)が用いられている。温調機構部225は、金型20の温度を調節する。なお、本実施の形態では、ブロー流体は、空気であるものとして説明するが、空気以外の任意の気体であってもよいし、液体であってもよい。
【0019】
ブロー流体給排部224は、主配管2240と、3つの分岐配管2241A、2241B及び2241Cと、モジュール群と、センサ群とを有している。モジュール群は、プレブローバルブ2242、メインブローバルブ2243、及び排気バルブ2244を含んでいる。センサ群は、圧力センサ2245、流量センサ2246、及び温度センサ2247を含んでいる。
【0020】
主配管2240は、シール支持部221を介してストレッチロッド222に接続されている。3つの分岐配管2241A、2241B及び2241Cは、主配管2240から分岐されている。分岐配管2241Aは、図示しないプレブローエア供給源に接続されている。プレブローエア供給源は、プレブロー流体としてのプレブローエアの供給源である。分岐配管2241Bは、図示しないメインブローエア供給源に接続されている。メインブローエア供給源は、メインブロー流体としてのメインブローエアの供給源である。メインブローエア供給源の圧力は、プレブローエア供給源の圧力よりも高い。分岐配管2241Cは、図示しない排気系統に接続されている。
【0021】
プレブローバルブ2242は、分岐配管2241Aに設けられている。メインブローバルブ2243は、分岐配管2241Bに設けられている。排気バルブ2244は、分岐配管2241Cに設けられている。
【0022】
圧力センサ2245は、主配管2240に設けられている。圧力センサ2245は、プリフォーム3内に供給されるエアの圧力を所定の時間間隔で測定し、その結果を制御ユニット23へ出力する。流量センサ2246は、主配管2240に設けられている。流量センサ2246は、プリフォーム3内に供給されるエアの流量を所定の時間間隔で測定し、その結果を制御ユニット23へ出力する。温度センサ2247は、プリフォーム3の温度を所定の時間間隔で測定し、その結果を制御ユニット23へ出力する。
【0023】
なお、
図3において、金型支持機構部220、シール支持部221及びストレッチロッド支持機構部223の具体的な構成は省略されている。これらの機構は、例えば、サーボモータ、シリンダ等の駆動力発生用のモジュールと、リニアガイド、ボールスクリュ、ギヤ、カム、ベルト、カップリング、軸受等の駆動力伝達機構と、リニアセンサ、エンコーダセンサ、リミットセンサ等のセンサとが適宜組み合わされて構成されている。
【0024】
また、
図3において、温調機構部225の具体的な構成は省略されている。温調機構部225は、例えば、電熱ヒータ等の温度調節用のモジュールと、温度センサ等のセンサとが適宜組み合わされて構成されている。また、圧力センサ2245及び流量センサ2246は、主配管2240ではなく、シール支持部221に設けられていてもよい。
【0025】
制御ユニット23は、ロータリユニット21が備えるモジュール群及びセンサ群と電気的に接続されている。また、制御ユニット23は、各成形ユニット22が備えるモジュール群及びセンサ群と電気的に接続されている。
【0026】
制御ユニット23は、例えば、汎用又は専用のコンピュータで構成されている。制御ユニット23は、その主要な構成要素として、制御部230、通信部231、入力部232、出力部233及び記憶部234を有している。
【0027】
制御部230は、例えば、演算処理装置又はシーケンサにより構成されている。制御部230は、例えば、記憶部234に記憶されているブロー成形プログラム2340を実行することにより、ブロー成形制御部2300、圧力監視部2301、流量監視部2302、及び、温度監視部2303として機能する。
【0028】
ブロー成形制御部2300は、ロータリユニット21が備えるモジュール群及び各成形ユニット22が備えるモジュール群を動作させる。圧力監視部2301は、各圧力センサ2245による測定結果を監視し、ブロー成形制御部2300にエアの圧力の監視結果を通知する。流量監視部2302は、各流量センサ2246による測定結果を監視し、ブロー成形制御部2300にエアの流量の監視結果を通知する。温度監視部2303は、各温度センサ2247による測定結果を監視し、ブロー成形制御部2300にエアの温度の監視結果を通知する。また、温度監視部2303は、加熱装置1210内に設けられた温度センサ(図示せず)による測定結果を監視している。
【0029】
通信部231は、通信ネットワークに接続され、例えば、ブロー成形装置2のユーザが使用する端末装置との間において各種のデータを送受信する通信インタフェースとして機能する。入力部232は、ブロー成形装置2のユーザによる各種の入力操作を受け付ける。出力部233は、画面の表示、シグナルタワーの点灯、及び、ブザーの鳴動を介して各種の情報をユーザに出力することにより、ユーザインタフェースとして機能する。
【0030】
記憶部234は、ブロー成形装置2の動作において使用される各種のプログラム及びデータを記憶する。プログラムには、オペレーティングシステム及びブロー成形プログラム2340が含まれる。データには、装置設定情報2341が含まれる。装置設定情報2341は、ブロー成形装置2がブロー成形処理を実行するときの各種の動作条件を登録可能な情報であり、例えば、表示画面を介してユーザにより編集可能に構成されている。
【0031】
図4は、ブロー成形工程の流れを示すフローチャートである。ブロー成形工程は、ブロー成形処理を実行する工程であり、プリフォーム3を加熱し、加熱されたプリフォーム3を金型20にセットし、セットされたプリフォーム3をブロー成形し、成形体4を得るための工程である。ブロー成形工程は、加熱工程と、プレブロー工程と、メインブロー工程とを含んでいる。
【0032】
加熱工程は、プリフォーム3を加熱する工程(ステップS0)である。プレブロー工程は、加熱されたプリフォーム3内にプレブローエアを導入する工程である。プレブロー工程は、プリフォーム3のセット(ステップS1)、金型20の閉動作(ステップS2)、ストレッチ(ステップS3)、プレブローエア供給開始(ステップS4)、プレブロー圧力維持(ステップS5)の順に実行される。メインブロー工程は、プレブロー工程に続いて、プリフォーム3内にメインブローエアを導入する工程である。プレブロー圧力は、プレブローエアの圧力である。メインブロー工程は、メインブローエア供給開始(ステップS6)、メインブロー圧力維持(ステップS7)、ブローエア排気開始(ステップS8)、金型20の開動作(ステップS9)、成形体の取出し(ステップS10)の順に実行される。メインブロー圧力は、メインブローエアの圧力である。
【0033】
より具体的に述べると、ステップS0において、加熱装置1210は、プリフォーム3が加熱装置1210内を通過する間、プリフォーム3を加熱する。
【0034】
ステップS1において、ブロー成形制御部2300は、加熱されたプリフォーム3を、シール支持部221に支持させる。ステップS2において、ブロー成形制御部2300は、金型支持機構部220に金型20を閉じさせる。ステップS3において、ブロー成形制御部2300は、ストレッチロッド222をプリフォーム3の中心軸に沿って進出させることにより、プリフォーム3を延伸させる。
【0035】
ステップS4において、ブロー成形制御部2300は、プレブローバルブ2242を開く。ステップS5において、ブロー成形制御部2300は、ストレッチロッド222を進出させながら、プレブローエアの供給を継続させることによりプレブロー圧力を維持させる。
【0036】
ステップS6において、ブロー成形制御部2300は、プレブローバルブ2242を閉じて、プレブローエアの供給を停止するとともに、メインブローバルブ2243を開いてメインブロー圧力を上昇させる。ステップS7において、ブロー成形制御部2300は、メインブローエアの供給を継続させることにより、メインブロー圧力を目標圧力に維持させる。ステップS8において、ブロー成形制御部2300は、メインブローバルブ2243を閉じるとともに、排気バルブ2244を開いてブロー流体を主配管2240から外部へ排出させる。
【0037】
ステップS9において、ブロー成形制御部2300は、ストレッチロッド222をプリフォーム3内部から退出させながら、金型支持機構部220により金型20を開かせる。ステップS10において、ブロー成形制御部2300は、シール支持部221により成形体が固定されている状態を解除する。これにより、成形体は、シール支持部221から取出し可能にされる。
【0038】
即ち、プレブロー工程は、ブロー成形工程のうち、加熱されたプリフォーム3にストレッチロッド222をプリフォーム3の中心軸に沿って挿入することによりプリフォーム3を中心軸方向に延伸させるとともに、プリフォーム3内にエアを導入する工程である。
【0039】
プレブロー工程におけるプレブロー条件としては、プレブロー圧力、圧力維持期間、プレブロー圧力が維持されているときのプレブローエアの流量、プリフォーム3の延伸量、及び、プリフォーム3の延伸速度が挙げられる。圧力維持期間は、プレブロー圧力を維持している期間であり、
図4のステップS5の期間に相当する。プリフォーム3の延伸量は、プリフォーム3が中心軸方向に延伸する量である。プリフォーム3の延伸速度は、プリフォーム3が中心軸方向に延伸する速度である。
【0040】
図5は、延伸量を説明するための図である。
図5の左側の図は、
図4のステップS2におけるプリフォーム3とストレッチロッド222の相対位置関係を示している。
図5の中央の図は、
図4のステップS3において、進出中のストレッチロッド222がプリフォーム3に突き当たった状態を示している。
図5の右側の図は、
図4のステップS5において、ストレッチロッド222が停止したときの状態を示している。このように、延伸量Lxは、プリフォーム3にストレッチロッド222を挿入することによりプリフォーム3が延伸する量である。
【0041】
図6は、第1の実施形態に係る機械学習装置の一例を示すブロック図である。機械学習装置5は、制御部50、通信部51、学習用データ記憶部52、及び、学習済みモデル記憶部53を備えている。
【0042】
制御部50は、学習用データ取得部500及び機械学習部501として機能する。通信部51は、ネットワーク7を介して外部装置と接続され、各種のデータを送受信する通信インタフェースとして機能する。外部装置は、例えば、ブロー成形装置2及び作業者端末装置8である。
【0043】
学習用データ取得部500は、通信部51及びネットワーク7を介して、ブロー成形装置2及び作業者端末装置8と接続されており、ブロー成形装置2及び作業者端末装置8の少なくともいずれか1つから学習用データ13を取得する。学習用データ13は、入力データと出力データとにより構成されている。
【0044】
入力データは、ボトル形状情報とプリフォーム形状情報とから構成されている。ボトル形状情報は、成形体4の形状に関する情報であり、成形体4についての図面情報、成形体4のイメージ情報、及び、成形体4についての設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つを含んでいる。図面情報には、例えば、CADデータ及び三面図が含まれる。イメージ情報には、画像データが含まれる。
【0045】
設計パラメータ情報には、成形体4の種類、強度特性、計量特性、材料特性、及び、その他の特性が含まれる。成形体4の種類は、例えば、炭酸飲料用及びアセプティック飲料用に分けられる。強度特性には、例えば、圧縮強度、落下強度、及び、環境応力亀裂耐性が挙げられる。
【0046】
計量特性には、胴径、最小胴径、肉厚、特性分布、容量、高さ、及び、上げ底高さが挙げられる。材料特性には、電流電圧特性、透明度、熱特性、結晶化度、及び、炭酸ガス透過性が挙げられる。その他の特性には、例えば、転倒角度、垂直性、縦延伸倍率、横延伸倍率、容積倍率、及び、周長倍率が挙げられる。縦延伸倍率、横延伸倍率、容積倍率、及び、周長倍率は、いずれもプリフォーム3に対する成形体4の倍率である。
【0047】
プリフォーム形状情報は、プリフォーム3の形状に関する情報であり、プリフォーム3についての図面情報、プリフォーム3のイメージ情報、及び、プリフォーム3についての設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つを含んでいる。
【0048】
設計パラメータ情報には、プリフォーム3の種類、計量特性、及び、材料特性が含まれる。プリフォーム3の種類は、例えば、炭酸飲料用、アセプティック飲料用、及び、炭酸飲料用及びアセプティック飲料用にそれぞれに対応した複数のサイズに分けられる。計量特性には、胴径、肉厚、特性分布、容量、及び、高さが挙げられる。材料特性には、電流電圧特性、透明度、熱特性、結晶化度、及び、炭酸ガス透過性が挙げられる。
【0049】
出力データは、成形条件情報により構成されている。成形条件情報は、プリフォーム条件、プレブロー条件、メインブロー条件を含んでいる。
【0050】
プリフォーム条件は、プリフォーム温度及びプリフォーム温度制御条件の少なくともいずれか1つを含んでいる。プリフォーム温度は、プリフォーム搬送コンベア1200において加熱され、プリフォーム供給装置1300によりブロー成形装置2に供給されたときのプリフォーム3の温度である。プリフォーム温度制御条件には、例えば、加熱装置1210におけるヒータの温度、加熱区間の長さ、及び、プリフォーム搬送コンベア1200の搬送速度が含まれる。
【0051】
プレブロー条件は、プレブロー圧力、プレブロー時間(プレブロー開始タイミング、プレブロー維持時間)、プレブローエア流量、プリフォーム3のストレッチロッド222による延伸量、ストレッチロッド222による延伸速度の少なくともいずれか1つを含んでいる。メインブロー条件は、メインブロー圧力、メインブロー時間(メインブロー開始タイミング、メインブロー維持時間)、メインブローエア流量、メインブロー維持時間の少なくともいずれか1つを含んでいる。
【0052】
学習用データ13は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、成形条件情報は、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0053】
学習用データ記憶部52は、学習用データ取得部500において取得された複数組の学習用データ13のセットを記憶するデータベースである。なお、学習用データ記憶部52を構成しているデータベースの具体的な構成は、適宜設計される。
【0054】
機械学習部501は、学習用データ記憶部52に記憶されている複数組の学習用データ13のセットを用いて機械学習を実施する。すなわち、機械学習部501は、学習モデル12に複数組の学習用データ13のセットを入力し、学習用データ13に含まれる入力データ、即ち、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報と、出力データ、即ち、成形条件情報との相関関係を学習モデル12に学習させることにより、学習済みの学習モデル12を生成する。
【0055】
学習済みモデル記憶部53は、機械学習部501により生成された学習済みの学習モデル12を記憶するデータベースである。学習済みの学習モデル12は、具体的には、調整済みの重みパラメータ群である。学習済みモデル記憶部53に記憶されている学習済みの学習モデル12は、ネットワーク7又は記録媒体を介して実システム、例えば、ブロー成形装置2に提供される。なお、
図6において、学習用データ記憶部52及び学習済みモデル記憶部53は別々の記憶部として示されているが、これらは、単一の記憶部により構成されていてもよい。
【0056】
図7は、第1の実施形態に係る学習モデル12及び学習用データ13の一例を示す図である。学習モデル12の機械学習に用いられる学習用データ13は、ボトル形状情報とプリフォーム形状情報とにより構成されている。
【0057】
学習用データ取得部500は、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を、ブロー成形装置2又は作業者端末装置8から受信する。これにより、学習用データ取得部500は、学習用データ13を取得する。また、学習用データ取得部500は、正解ラベルとしての目標成形条件情報を、ブロー成形装置2又は作業者端末装置8から受信する。
【0058】
目標成形条件情報は、目標成形条件に関する情報である。目標成形条件は、例えば、プリフォーム温度条件、プリフォーム温度制御条件、プレブロー条件、及びメインブロー条件に対する熟練作業者による調整結果に基づいている。
【0059】
学習モデル12には、例えば、ニューラルネットワークの構造が採用されている。学習モデル12は、入力層120、中間層121、及び、出力層122を備えている。入力層120、中間層121、及び、出力層122の間には、複数のニューロンをそれぞれ接続する複数のシナプスが張られており、各シナプスには、重みがそれぞれ対応付けられている。各シナプスの重みからなる重みパラメータ群が、機械学習により調整される。
【0060】
入力層120は、入力データとしてのボトル形状情報及びプリフォーム形状情報に対応する数のニューロンを有している。入力層120には、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報の各値が、各ニューロンにそれぞれ入力される。出力層122は、出力データとしての成形条件情報に対応する数のニューロンを有している。出力層122からは、成形条件情報に対する目標成形条件情報の予測結果、即ち、推論結果が出力データとして出力される。
【0061】
図8は、機械学習装置5により実行される機械学習ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図8のルーチンが開始されると、ステップS100において、学習用データ取得部500は、機械学習を開始するための事前準備として、複数の学習用データ13を取得し、取得された学習用データ13を学習用データ記憶部52に記憶する。ここで、準備のために取得される学習用データの数については、最終的に得られる学習モデル12に求められる推論精度を考慮して設定されればよい。
【0062】
次いで、ステップS110において、機械学習部501は、機械学習を開始するために、学習前の学習モデル12を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル12は、
図7に例示したニューラルネットワークモデルにより構成されている。この時点において、各シナプスの重みは、初期値に設定されている。
【0063】
次いで、ステップS120において、機械学習部501は、学習用データ記憶部52に記憶されている複数組の学習用データ13から、例えば、ランダムに1組の学習用データ13を取得する。
【0064】
次いで、ステップS130において、機械学習部501は、1組の学習用データ13に含まれるボトル形状情報及びプリフォーム形状情報(入力データ)を、準備された学習前又は学習中の学習モデル12の入力層120に入力する。その結果、学習モデル12の出力層122から推論結果として目標成形条件情報(出力データ)が出力される。この出力データは、学習前又は学習中の学習モデル12によって生成されたデータであるため、推論結果として出力された出力データは、学習用データ13に含まれる目標成形条件情報(正解ラベル)とは異なる情報を示す。
【0065】
次いで、ステップS140において、機械学習部501は、ステップS120において取得された1組の学習用データ13に含まれる目標成形条件情報(正解ラベル)と、ステップS130において出力層122から推論結果として出力された目標成形条件情報(出力データ)とを比較する。機械学習部501は、正解ラベルと出力データとの比較結果に基づいて、各シナプスの重みを調整する処理、即ち、バックプロパゲーションを実施することにより、機械学習を行う。これにより、機械学習部501は、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報と、目標成形条件情報との相関関係を学習モデル12に学習させる。
【0066】
次いで、ステップS150において、機械学習部501は、学習終了条件が成立したか否かを判定する。例えば、機械学習部501は、正解ラベルと出力データとに基づく誤差関数の評価値、及び、学習用データ記憶部52内に記憶されている未学習の学習用データ13の残数の少なくともいずれか一方に基づいて、学習終了条件が成立したか否かを判定する。
【0067】
ステップS150において、学習終了条件が成立していない場合、機械学習部501は、学習中の学習モデル12に対し、未学習の学習用データ13を用いて、ステップS120~S140の処理を複数回実施する。一方、ステップS150において、学習終了条件が成立している場合、機械学習部501は、ステップS160において、生成された学習済みの学習モデル12(調整済みの重みパラメータ群)を学習済みモデル記憶部53に記憶させ、本ルーチンを一旦終了する。
【0068】
機械学習方法において、ステップS100が学習用データ記憶工程、ステップS110~ステップS150が機械学習工程、ステップS160が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0069】
図9は、第1の実施形態に係る成形条件導出装置の一例を示すブロック図である。成形条件導出装置6は、目標成形条件を導出する。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。成形条件導出装置6は、通信部61、制御部60及び学習済みモデル記憶部62を備えている。
【0070】
通信部61は、ネットワーク7を介して外部装置と接続されており、各種のデータを送受信する通信インタフェースとして機能する。外部装置は、例えば、ブロー成形装置2及び作業者端末装置8である。
【0071】
制御部60は、情報取得部600、推論部601及び出力処理部602として機能する。
【0072】
情報取得部600は、通信部61及びネットワーク7を介して外部装置と接続されており、外部装置から入力データを取得する情報取得処理を実行する。具体的には、情報取得部600は、ブロー成形装置2又は作業者端末装置8から、入力データとして、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を取得する。
【0073】
推論部601は、情報取得部600により取得されたボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を、入力データとして学習モデル12に入力する。推論部601は、学習済みモデル記憶部62に記憶されている学習モデル12を用いて推論処理を実行する。
【0074】
学習済みモデル記憶部62は、推論部601において用いられる学習済みの学習モデル12を記憶するデータベースである。なお、学習済みモデル記憶部62に記憶される学習モデル12の数は1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、ボトル形状、プリフォーム形状のように、条件が異なる複数の学習済みモデルが記憶され、選択的に利用されてもよい。
【0075】
また、学習済みモデル記憶部62は、外部コンピュータの記憶部によって代用されてもよく、その場合には、推論部601は、当該外部コンピュータにアクセスすればよい。外部コンピュータとしては、例えば、サーバ型コンピュータ及びクラウド型コンピュータが挙げられる。
【0076】
出力処理部602は、推論部601において推論された目標成形条件を含む出力データを外部装置に出力する出力処理を実行する。例えば、出力処理部602は、生成された目標成形条件情報をブロー成形装置2に送信してもよいし、作業者端末装置8に送信してもよい。
【0077】
このように、制御部60は、ボトル形状情報とプリフォーム形状情報とからなる入力データに基づいて、目標成形条件情報からなる出力データを求める。
【0078】
図10は、
図9の成形条件導出装置6の機能の一例を示す機能説明図である。成形条件導出装置6において、情報取得部600は、入力データとしてボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を取得し、推論部601に入力する。推論部601は、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を学習モデル12に入力し、学習モデル12による推論結果として目標成形条件情報を生成する。
【0079】
入力データとしては、例えば、ボトル形状情報と、プリフォーム形状情報とが情報取得部600に与えられる。ボトル形状情報は、成形体4の形状に関する情報である。プリフォーム形状情報は、プリフォーム3の形状に関する情報である。以上のように、成形条件導出装置6は、入力データが入力されると、入力データと出力データとの相関関係が機械学習により学習された学習モデルを用いて、目標成形条件を決定し、決定された目標成形条件に関する情報を出力データとして出力する。
【0080】
図11は、コンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。制御ユニット23、機械学習装置5、及び、成形条件導出装置6は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0081】
コンピュータ900は、
図11に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インタフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備えている。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0082】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成されており、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶しており、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とにより構成される。
【0083】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等により構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等により構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等により構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD(Solid State Drive)等により構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶している。
【0084】
通信I/F部922は、インターネット、イントラネット等のネットワーク940(
図6のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続されており、所定の通信規格に従って外部機器950との間においてデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続されており、I/Oデバイス960との間において、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置により構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0085】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式によりメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由によりダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することにより実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウェアにより実現するものでもよい。
【0086】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータにより構成されており、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、制御ユニット23、機械学習装置5、及び、成形条件導出装置6以外の装置に適用されてもよい。
【0087】
なお、上記の実施形態において、入力データは、ボトル形状情報とプリフォーム形状情報とから構成されていたが、入力データは、ボトル形状情報のみから構成されていてもよい。即ち、この場合、機械学習部501は、ボトル形状情報と目標成形条件情報との相関関係を学習モデル12に学習させればよい。
【0088】
このように、第1の実施形態に係る成形条件導出装置6は、目標成形条件を導出する装置である。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。成形条件導出装置6は、ボトル形状情報からなる入力データに基づいて、目標成形条件情報からなる出力データを求める。ボトル形状情報は、成形体4の形状に関する情報である。目標成形条件情報は、目標成形条件に関する情報である。
【0089】
これによれば、成形体4についての形状情報に基づいて、目標成形条件を導出することができる。即ち、適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。また、例えば、成形体4の種類が変更された場合であっても、熟練作業者の技能に頼ることなく、目標成形条件を決定することができる。
【0090】
また、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。プリフォーム形状情報は、プリフォーム3の形状に関する情報である。
【0091】
これによれば、成形体4についての形状情報と、プリフォーム3についての形状情報とに基づいて、目標成形条件を導出することができる。即ち、より適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。
【0092】
また、ボトル形状情報には、成形体4の設計図面情報、成形体4のイメージ情報、及び、成形体4の設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つが含まれている。
【0093】
成形体4の設計図面情報、成形体4のイメージ情報、及び、成形体4の設計パラメータ情報は、成形条件導出装置6のユーザが、いずれも容易に入手可能な情報である。従って、これによれば、適正なブロー成形条件をより容易に導出することができる。
【0094】
また、プリフォーム形状情報には、プリフォーム3の設計図面情報、プリフォーム3のイメージ情報、及び、プリフォーム3の設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つが含まれている。
【0095】
プリフォーム3の設計図面情報、プリフォーム3のイメージ情報、及び、プリフォーム3の設計パラメータ情報は、成形条件導出装置6のユーザが、いずれも容易に入手可能な情報である。従って、これによれば、適正なブロー成形条件をより容易に導出することができる。
【0096】
また、ブロー成形工程は、加熱工程、プレブロー工程、及び、メインブロー工程を含んでいる。加熱工程は、プリフォーム3を加熱する工程である。プレブロー工程は、加熱されたプリフォーム3内にプレブロー流体を導入する工程である。メインブロー工程は、プレブロー工程に続いて、プリフォーム3内にメインブロー流体を導入する工程である。
【0097】
1つ以上のブロー成形条件には、加熱工程におけるプリフォーム3の加熱温度条件、加熱工程におけるプリフォーム3の温度制御条件、プレブロー工程における設定条件であるプレブロー条件、及び、メインブロー工程における設定条件であるメインブロー条件の少なくともいずれか1つが含まれている。
【0098】
成形体4の形状は、プリフォーム3の加熱温度条件、プリフォーム3の温度制御条件、プレブロー条件、及び、メインブロー条件に大きく依存している。従って、これらのパラメータの少なくとも1つを成形条件として設定し、少なくとも1つのパラメータを調整することにより、熟練作業者の技能に頼ることなく、成形体4の形状をより適正な形状とすることができる。
【0099】
また、成形条件導出装置6は、入力データが入力されると、入力データと出力データとの相関関係が機械学習により学習された学習モデル12を用いて、目標成形条件を決定し、決定された目標成形条件に関する情報を出力データとして出力する。
【0100】
これによれば、学習された学習モデル12により、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。
【0101】
また、機械学習装置5は、目標成形条件を推論するための学習モデル12を生成する。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。機械学習装置5は、学習用データ記憶部52と、機械学習部501と、学習済みモデル記憶部53とを備えている。学習用データ記憶部52は、ボトル形状情報からなる入力データと、入力データに対応付けられ、目標成形条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する。機械学習部501は、学習用データのセットが複数組入力されることにより、入力データと出力データとの相関関係を学習モデル12に学習させる。学習済みモデル記憶部53は、機械学習部501により学習された学習モデル12を記憶する。
【0102】
これによれば、適正なブロー成形条件を推論するための学習モデル12を容易に生成することができる。
【0103】
また、機械学習装置5において、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。
【0104】
これによれば、適正なブロー成形条件を推論するための学習モデル12をより容易に生成することができる。
【0105】
また、推論装置は、メモリ914と、少なくとも1つのプロセッサ912とを備え、目標成形条件を推論する。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。少なくとも1つのプロセッサ912は、情報取得処理と、推論処理と、出力処理とを実行する。情報取得処理は、成形体4の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データを取得する処理である。推論処理は、入力データを取得すると、メモリ914に格納されている機械学習による学習モデル12を用いて、目標成形条件を推論する処理である。出力処理は、推論された目標成形条件を含む出力データを出力する処理である。
【0106】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に推論することができる。
【0107】
また、推論装置において、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。
【0108】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件をより容易に推論することができる。
【0109】
また、情報処理方法は、目標成形条件を導出するための方法である。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。情報処理方法は、ボトル形状情報からなる入力データに基づいて、目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データを求める。
【0110】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。
【0111】
また、情報処理方法において、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。
【0112】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件をより容易に導出することができる。
【0113】
また、機械学習方法は、目標成形条件を推論するための学習モデルを生成する方法である。機械学習方法は、学習用データ記憶工程と、機械学習工程と、学習済みモデル記憶工程とを実行する。学習用データ記憶工程は、ボトル形状情報からなる入力データと、目標成形条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する工程である。機械学習工程は、学習用データのセットが複数組入力されることにより、入力データと出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる工程である。学習済みモデル記憶工程は、機械学習工程において学習された学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶させる工程である。
【0114】
これによれば、適正なブロー成形条件を推論するための学習モデル12を容易に生成することができる。
【0115】
また、機械学習方法において、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。
【0116】
これによれば、適正なブロー成形条件を推論するための学習モデル12をより容易に生成することができる。
【0117】
また、推論方法は、推論装置により実行されて、目標成形条件を推論する方法である。推論装置は、メモリ914と、少なくとも1つのプロセッサ912とを備えている。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。少なくとも1つのプロセッサ912は、情報取得工程と、推論工程と、出力工程とを実行する。情報取得工程は、ボトル形状情報からなる入力データを取得する工程である。推論工程は、入力データを取得すると、メモリ914に格納されている機械学習による学習モデルを用いて、目標成形条件を推論する工程である。出力工程は、推論された目標成形条件を含む出力データを出力する工程である。
【0118】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に推論することができる。
【0119】
また、推論方法において、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。
【0120】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件をより容易に推論することができる。
【0121】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、成形条件導出装置6は、機械学習装置5を用いて作成された学習モデル12を学習済みモデル記憶部62に記憶し、記憶された学習モデル12により、ボトルの目標成形条件を推論していた。第2の実施形態では、第1の実施形態のような機械学習による学習モデル12に代えて、成形条件導出装置が、所定の演算アルゴリズムからなる数理最適化モデルを用いて目標成形条件を決定する点において、第1の実施形態と相違している。
【0122】
第2の実施形態に係る成形条件導出装置では、入力データは、数理最適化モデルに入力され、出力データは、数理最適化モデルから出力される。言い換えると、成形条件導出装置6において、メモリ914に、学習モデル12に代えて数理最適化モデルが格納される。プロセッサ912がメモリ914に格納されている数理最適化モデルを用いて目標成形条件を演算する。
【0123】
図12は、第2の実施形態に係る成形条件導出装置の一例を示すブロック図である。成形条件導出装置6は、通信部61、既存ボトル情報記憶部63及び制御部60を備えている。通信部61は、ネットワーク7を介して外部装置と接続されており、各種のデータを送受信する通信インタフェースとして機能する。外部装置は、例えば、ブロー成形装置2及び作業者端末装置8である。
【0124】
既存ボトル情報記憶部63は、過去に製造された成形体4についてのプリフォーム形状情報を既存プリフォーム形状情報として記憶するとともに、過去に製造された成形体4についてのボトル形状情報を既存ボトル形状情報として記憶するデータベースである。
【0125】
また、既存ボトル情報記憶部63は、1つの種類の成形体4についての既存プリフォーム形状情報と、当該既存プリフォーム形状情報に対応する既存ボトル形状情報とを互いに紐付けて記憶している。なお、既存ボトル情報記憶部63には、既存プリフォーム形状情報における変数の値及び既存ボトル形状情報における変数の値は、それぞれベクトルデータの形式で記憶されている。なお、本実施形態では、ベクトルデータの形式でそれぞれの変数の値を記憶しているが、それぞれの変数の値をリレーショナルデータベースとして記憶してもよい。
【0126】
制御部60は、情報取得部600、推論部601及び出力処理部602として機能する。
【0127】
情報取得部600は、通信部61及びネットワーク7を介して外部装置と接続されており、外部装置から入力データを取得する情報取得処理を実行する。具体的には、情報取得部600は、ブロー成形装置2又は作業者端末装置8から、入力データとして、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を取得する。
【0128】
推論部601は、機能ブロックとして、数理最適化モデル14を有している。推論部601は、情報取得部600により取得されたボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を、数理最適化モデル14に入力する。また、推論部601は、既存ボトル情報記憶部63に記憶されている既存ボトル情報を数理最適化モデル14に入力する。推論部601は、数理最適化モデル14を用いて、目標成形条件を演算する。
【0129】
出力処理部602は、推論部601において演算された目標成形条件を含む出力データを外部装置に出力する出力処理を実行する。例えば、出力処理部602は、生成された目標成形条件情報をブロー成形装置2に送信してもよいし、作業者端末装置8に送信してもよい。
【0130】
このように、制御部60は、ボトル形状情報とプリフォーム形状情報とからなる入力データに基づいて、目標成形条件情報からなる出力データを求める。成形条件導出装置6は、入力データが入力されると、所定の演算アルゴリズムからなる数理最適化モデルを用いて、目標成形条件を決定し、決定された目標成形条件に関する情報を出力データとして出力する。
【0131】
図13は、
図12の成形条件導出装置6の機能の一例を示す機能説明図である。成形条件導出装置6において、情報取得部600は、入力データとしてボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を取得し、推論部601に入力する。推論部601は、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を数理最適化モデル14に入力し、数理最適化モデル14による演算結果として目標成形条件情報を生成する。
【0132】
図14は、数理最適化モデル14による演算のアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。数理最適化モデル14には、例えば、以下の成形条件導出アルゴリズムが用いられる。
【0133】
推論部601は、ステップS101において、情報取得部600から、入力データとして、ボトル形状情報及びプリフォーム形状情報を取得する。なお、入力データは、ボトル種類、例えば、飲料用ボトル、及び、洗浄剤ボトル等の内容物の種類、又は、2リットル用、1リットル用、及び、500ミリリットル用等の容量の種類等で抽出したものを用いてもよい。即ち、ルールベースにより抽出したものを入力データに用いることもできる。その場合には、ルールベースによる入力データを抽出するステップを追加してもよい。
【0134】
次いで、推論部601は、ステップS102において、入力ボトル変数の値及び入力プリフォーム変数の値を、それぞれベクトルデータに変換する。入力ボトル変数は、入力データのボトル形状情報の各変数である。入力プリフォーム変数は、入力データのプリフォーム形状情報の各変数である。
【0135】
次いで、推論部601は、ステップS103において、入力ボトル変数の各値と、入力ボトル変数の各値に対応する既存ボトル変数の各値とのベクトル距離をそれぞれ算出する。既存ボトル変数は、既存ボトル形状情報の各変数である。本実施形態では、ベクトル距離は、マンハッタン距離として演算される。マンハッタン距離は、各座標の差の絶対値の総和を2点間の距離とするものである。また、入力ボトル変数、及び、既存ボトル変数の種類に基づいて、ベクトル距離の算出における重みを適宜調整することができる。なお、ベクトル距離は、マンハッタン距離ではなく、ユークリッド距離として演算されてもよい。
【0136】
さらに、推論部601は、ボトル形状情報の各変数についてのベクトル距離から第1ベクトル距離を算出する。第1ベクトル距離は、マンハッタン距離として演算される。また、第1ベクトル距離は、ユークリッド距離として演算されてもよい。例えば、ボトル形状情報の各変数についてのベクトル距離の二乗和平方根を第1ベクトル距離として算出する。即ち、入力ボトル変数が、ボトル種類、強度特性、計量特性、及び、材料特性の4つであった場合、推論部601は、4つの変数の二乗和平方根を第1ベクトル距離として算出する。また、例えば、10種類のボトルについての既存ボトル形状情報が、既存ボトル情報記憶部63に記憶されている場合、推論部601は、10通りの第1ベクトル距離をそれぞれ算出する。つまり、第1ベクトル距離は、入力ボトル変数のベクトルデータと、当該入力ボトル変数に対応する既存ボトル変数のベクトルデータとの距離である。また、第1ベクトル距離は,変数ごとのベクトル距離を合成したものでもよい。例えば、ベクトルデータ=[胴径|延伸倍率|・・・]である場合、第1ベクトル距離=胴径のベクトル距離+延伸倍率のベクトル距離+・・・としてもよい。
【0137】
次いで、推論部601は、ステップS104において、入力プリフォーム変数の各値と、入力プリフォーム変数の各値に対応する既存プリフォーム変数の各値とのベクトル距離をそれぞれ算出する。既存プリフォーム変数は、既存プリフォーム形状情報の各変数である。
【0138】
さらに、推論部601は、プリフォーム形状情報の各変数についてのベクトル距離から第2ベクトル距離を算出する。第2ベクトル距離は、マンハッタン距離として演算される。また、第2ベクトル距離は、ユークリッド距離として演算されてもよい。例えば、プリフォーム形状情報の各変数についてのベクトル距離の二乗和平方根を第2ベクトル距離として算出する。即ち、入力プリフォーム変数が、プリフォーム種類、計量特性、及び、材料特性の3つであった場合、推論部601は、3つの変数の二乗和平方根を第2ベクトル距離として算出する。また、例えば、5種類のプリフォームについての既存プリフォーム形状情報が、既存ボトル情報記憶部63に記憶されている場合、推論部601は、5通りの第2ベクトル距離をそれぞれ算出する。つまり、第2ベクトル距離は、入力プリフォーム変数のベクトルデータと、当該入力プリフォーム変数に対応する既存プリフォーム変数のベクトルデータとの距離である。また、第2ベクトル距離は,変数ごとのベクトル距離を合成したものでもよい。例えば、ベクトルデータ=[胴径|透明度|・・・]である場合、第2ベクトル距離=胴径のベクトル距離+透明度のベクトル距離+・・・としてもよい。
【0139】
次いで、推論部601は、ステップS105において、10通りの第1ベクトル距離のうち、最短の第1ベクトル距離に対応する既存ボトル形状情報を抽出する。また、推論部601は、5通りの第2ベクトル距離のうち、最短の第2ベクトル距離に対応する既存プリフォーム形状情報を抽出する。なお、本実施形態では、既存ボトル形状情報、及び、既存プリフォーム形状情報として、最短の第1ベクトル距離、及び、最短の第2ベクトル距離に対応するものが抽出されている。しかし、例えば、コサイン類似度を用いて既存ボトル形状情報、及び、既存プリフォーム形状情報を抽出してもよい。即ち、ボトル形状情報の各変数と既存ボトル形状情報の各変数との類似度、及び、プリフォーム形状情報の各変数と既存プリフォーム形状情報の各変数との類似度を演算してもよい。コサイン類似度は、2つのベクトルの距離が近いほど類似度が高く、その値が大きくなる。従って、複数の第1ベクトル距離の中でコサイン類似度が最大の第1ベクトル距離に対応する既存ボトル形状情報を抽出してもよい。また、複数の第2ベクトル距離の中でコサイン類似度が最大の第2ベクトル距離に対応する既存プリフォーム形状情報を抽出してもよい。このように、ステップS105では、第1ベクトル距離に基づいて、最適な既存ボトル形状情報を特定し、第2ベクトル距離に基づいて、最適な既存プリフォーム形状情報を特定する。また、例えば、10通りの各第1ベクトル距離に対応する各既存ボトル形状情報について加重平均をとったものを最終的な既存ボトル形状情報として特定してもよい。この場合の既存ボトル形状情報は、10通りの第1ベクトル距離を合成したものに基づいて特定されたものといえる。また、例えば、5通りの各第2ベクトル距離に対応する各既存プリフォーム形状情報について加重平均をとったものを最終的な既存プリフォーム形状情報として特定してもよい。この場合の既存プリフォーム形状情報は、5通りの第2ベクトル距離を合成したものに基づいて特定されたものといえる。即ち、既存ボトル形状情報、及び、既存プリフォーム形状情報は、複数のベクトルを合成したものに基づいて特定されてもよい。なお、上記の例では最終的な既存ボトル形状情報、及び、既存プリフォーム形状情報を特定するために加重平均をとるものとしたが、好適な算術演算を用いてもよい。
【0140】
次いで、推論部601は、ステップS106において、抽出された既存ボトル形状情報に対応するボトルを類似ボトルとして抽出する。また、推論部601は、抽出された既存プリフォーム形状情報に対応するプリフォームを類似プリフォームとして抽出する。なお、複数の第1ベクトル距離を合成して抽出された既存ボトル形状情報から類似ボトルを抽出する場合には、当該既存ボトル形状情報に最も類似したものを類似ボトルとして抽出する。また、複数の第2ベクトル距離を合成して抽出された既存プリフォーム形状情報から類似プリフォームを抽出する場合には、当該既存プリフォーム形状情報に最も類似したものを類似プリフォームとして抽出する。
【0141】
次いで、推論部601は、ステップS107において、類似ボトルに対応する成形条件情報を、第1成形条件情報として既存ボトル情報記憶部63から取得する。また、推論部601は、類似プリフォームに対応する成形条件情報を、第2成形条件情報として既存ボトル情報記憶部63から取得する。なお、複数の第1ベクトル距離を合成して第1成形条件情報を取得することもできる。この場合、各第1ベクトル距離に対応する既存ボトル形状情報を抽出し、抽出された各既存ボトル形状情報に対応する各類似ボトルを抽出し、抽出された各類似ボトルに対応する各成形条件情報について加重平均をとったものを第1成形条件情報としてもよい。また、複数の第2ベクトル距離を合成して第2成形条件情報を取得してもよい。この場合、各第2ベクトル距離に対応する既存プリフォーム形状情報を抽出し、抽出された各既存プリフォーム形状情報に対応する各類似プリフォームを抽出し、抽出された各類似プリフォームに対応する各成形条件情報について加重平均をとったものを第2成形条件情報としてもよい。なお、上記の例では最終的な第1成形条件情報、及び、第2成形条件情報を取得するために加重平均をとるものとしたが、好適な算術演算を用いてもよい。
【0142】
次いで、推論部601は、ステップS108において、第1成形条件情報に含まれる各成形条件と、第2成形条件情報に含まれる各成形条件とを特定の指標に基づいて評価する。そして、推論部601は、より適正な成形条件を含んでいる成形条件情報を第1成形条件情報及び第2成形条件情報のいずれかから目標成形条件情報として選択する。
【0143】
次いで、推論部601は、ステップS109において、選択された成形条件情報を演算結果として出力処理部602へ出力する。
【0144】
なお、上記の実施形態において、入力データは、ボトル形状情報とプリフォーム形状情報とから構成されていたが、入力データは、ボトル形状情報のみから構成されていてもよい。即ち、この場合、数理最適化モデル14は、ボトル形状情報と既存ボトル形状情報とから、成形体4の目標成形条件を算出すればよい。
【0145】
このように、第2の実施形態に係る成形条件導出装置6は、入力データが入力されると、所定の演算アルゴリズムからなる数理最適化モデル14を用いて、目標成形条件を決定し、決定された目標成形条件に関する情報を出力データとして出力する。
【0146】
これによれば、数理最適化モデル14により、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。
【0147】
また、所定の演算アルゴリズムは、第1ベクトル距離を算出する。第1ベクトル距離は、入力ボトル変数のベクトルデータと、入力ボトル変数に対応する既存ボトル変数のベクトルデータとの距離である。入力ボトル変数は、入力データのボトル形状情報の各変数である。既存ボトル変数は、既存のボトル形状情報の各変数である。所定の演算アルゴリズムは、第1ベクトル距離に基づいて、既存ボトル形状情報を特定し、当該既存ボトル形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第1成形条件情報を抽出する。所定の演算アルゴリズムは、第1成形条件情報を目標成形条件情報として選択する。
【0148】
これによれば、成形条件導出装置6に、成形体4のボトル形状情報を入力することにより、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。
【0149】
また、所定の演算アルゴリズムは、第1ベクトル距離を算出する。所定の演算アルゴリズムは、第1ベクトル距離に基づいて、既存ボトル形状情報を特定し、当該既存ボトル形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第1成形条件情報を抽出する。
【0150】
所定の演算アルゴリズムは、さらに、第2ベクトル距離を算出する。第2ベクトル距離は、入力プリフォーム変数のベクトルデータと、入力プリフォーム変数に対応する既存プリフォーム変数のベクトルデータとの距離である。入力プリフォーム変数は、入力データのプリフォーム形状情報の各変数である。既存プリフォーム変数は、既存のプリフォーム形状情報の各変数である。
【0151】
所定の演算アルゴリズムは、第2ベクトル距離に基づいて、既存プリフォーム形状情報を特定し、当該既存プリフォーム形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第2成形条件情報を抽出する。所定の演算アルゴリズムは、特定の指標に基づいて、第1成形条件情報及び第2成形条件情報のいずれかを目標成形条件情報として選択する。
【0152】
これによれば、成形条件導出装置6に、成形体4のボトル形状情報及びプリフォーム3のプリフォーム形状情報を入力することにより、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に導出することができる。
【0153】
また、推論装置は、メモリ914と、少なくとも1つのプロセッサ912とを備え、目標成形条件を推論する。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。少なくとも1つのプロセッサ912は、情報取得処理と、推論処理と、出力処理とを実行する。情報取得処理は、成形体4の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データを取得する処理である。推論処理は、入力データを取得すると、メモリに格納されている数理最適化モデル14を用いて、目標成形条件を推論する処理である。出力処理は、推論された目標成形条件を含む出力データを出力する処理である。
【0154】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に推論することができる。
【0155】
また、推論装置において、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。
【0156】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件をより容易に推論することができる。
【0157】
また、推論方法は、推論装置により実行されて、目標成形条件を推論する方法である。推論装置は、メモリ914と、少なくとも1つのプロセッサ912とを備えている。目標成形条件は、ブロー成形によりプリフォーム3から成形体4を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である。少なくとも1つのプロセッサ912は、情報取得工程と、推論工程と、出力工程とを実行する。情報取得工程は、ボトル形状情報からなる入力データを取得する工程である。推論工程は、入力データを取得すると、メモリ914に格納されている数理最適化モデル14を用いて、目標成形条件を推論する工程である。出力工程は、推論された目標成形条件を含む出力データを出力する工程である。
【0158】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件を容易に推論することができる。
【0159】
また、推論方法において、入力データは、さらに、プリフォーム形状情報を含んでいる。
【0160】
これによれば、プリフォーム3から成形体4を得るための適正なブロー成形条件をより容易に推論することができる。
【0161】
なお、本実施形態において、ベクトル距離は、マンハッタン距離として算出されたが、ベクトル距離は、ユークリッド距離、標準化ユークリッド距離、チェビシェフ距離、ミンコフスキー距離、マハラノビス距離、及び、へリンジャー距離のいずれかとして算出されてもよい。
【0162】
また、変数によっては、ベクトル距離の計算に代えて、上述したように、2つのベクトルのなす角度から、ボトル形状情報の各変数と既存ボトル形状情報の各変数との類似度、及び、プリフォーム形状情報の各変数と既存プリフォーム形状情報の各変数との類似度を演算してもよい。類似度の演算には、コサイン類似度のほかに、例えば、偏差パターン類似度、及び、ピアソンの相関係数等も用いることができる。
【0163】
また、推論部601は、第1成形条件情報に含まれる各成形条件と、第2成形条件情報に含まれる各成形条件とを評価し、各成形条件について、それぞれより適正な成形条件を選択してもよい。
【0164】
また、推論部601は、プリフォーム形状情報を用いずにボトル形状情報のみで成形条件情報を抽出してもよい。この場合、
図14のステップS104の処理及びステップS108の処理は不要となる。つまり、この場合、数理最適化モデル14は、第1成形条件情報を選択することになる。
【0165】
(他の実施形態)
本発明は、上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれる。
【0166】
例えば、ストレッチロッド222の外部又は内部には、ストレッチロッド222を加熱するための装置が設けられ、ストレッチロッド222が加熱されてもよい。この場合、ストレッチロッド222の温度条件に関する情報及びストレッチロッド222の温度制御条件に関する情報の少なくともいずれか1つが、目標成形条件情報に含まれてもよい。
【0167】
また、各成形ユニット22におけるプリフォーム3の温度監視は必須ではないため、各成形ユニット22に温度センサ2247が設けられていなくてもよい。
【0168】
また、上記実施形態では、プレブロー条件に、延伸量が含まれていたが、延伸量に代えて、ストレッチロッド222が進出する量が含まれていてもよい。
【0169】
また、第1の実施形態では、機械学習部501による機械学習を実現する学習モデル12として、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルが採用されてもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM(Long Short Term Memory)等のニューラルネット型(ディープラーニングを含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラスタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0170】
また、本発明は、機械学習装置5が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(機械学習プログラム)や、機械学習方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)の態様で提供することもできる。
【0171】
また、本発明は、成形条件導出装置6が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、成形条件導出装置(推論プログラム)としては、メモリ914と、プロセッサ912とを含み、このうちのプロセッサ912が、一連の処理を実行するものとすることができる。
【0172】
当該一連の処理とは、1つ以上のボトル形状に関する情報であるボトル形状情報と、1つ以上のプリフォーム形状に関する情報であるプリフォーム形状情報とを取得する情報取得処理(情報取得工程)と、情報取得処理によりボトル形状情報とプリフォーム形状情報とを取得すると、メモリ914に格納されている学習モデルを用いて、目標成形条件を推論する推論処理(推論工程)とを含んでいる。
【0173】
成形条件導出装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することにより、容易に種々の装置への適用が可能となる。成形条件導出装置(推論方法又は推論プログラム)が目標成形条件を推論する際、上記実施形態に係る機械学習装置5及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデル12を用いて、推論部601が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【0174】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0175】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0176】
(付記1)
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を導出する成形条件導出装置であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データに基づいて、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データを求める
成形条件導出装置。
(付記2)
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
付記1に記載の成形条件導出装置。
(付記3)
前記ボトル形状情報には、前記成形体の設計図面情報、前記成形体のイメージ情報、及び、前記成形体の設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つが含まれている
付記1又は付記2に記載の成形条件導出装置。
(付記4)
前記プリフォーム形状情報には、前記プリフォームの設計図面情報、前記プリフォームのイメージ情報、及び、前記プリフォームの設計パラメータ情報の少なくともいずれか1つが含まれている
付記2又は付記3に記載の成形条件導出装置。
(付記5)
前記ブロー成形工程は、前記プリフォームを加熱する工程である加熱工程を含んでおり、
前記1つ以上のブロー成形条件には、前記加熱工程における前記プリフォームの加熱温度条件が含まれている
付記1から付記4までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
(付記6)
前記ブロー成形工程は、加熱された前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程を含んでおり、
前記1つ以上のブロー成形条件には、前記プレブロー工程における設定条件であるプレブロー条件が含まれている
付記1から付記5までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
(付記7)
前記ブロー成形工程は、前記プリフォーム内にメインブロー流体を導入する工程であるメインブロー工程を含んでおり、
前記1つ以上のブロー成形条件には、前記メインブロー工程における設定条件であるメインブロー条件が含まれている
付記1から付記6までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
(付記8)
前記入力データが入力されると、前記入力データと前記出力データとの相関関係が機械学習により学習された学習モデルを用いて、前記目標成形条件を決定し、決定された前記目標成形条件に関する情報を前記出力データとして出力する
付記1から付記7までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
(付記9)
前記入力データが入力されると、所定の演算アルゴリズムからなる数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を決定し、決定された前記目標成形条件に関する情報を前記出力データとして出力する
付記1から付記7までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
(付記10)
前記所定の演算アルゴリズムは、
前記入力データの前記ボトル形状情報の各変数である入力ボトル変数のベクトルデータと、前記入力ボトル変数に対応する既存の前記ボトル形状情報の各変数である既存ボトル変数のベクトルデータとの距離である第1ベクトル距離を算出し、前記第1ベクトル距離に基づいて、既存ボトル形状情報を特定し、当該既存ボトル形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第1成形条件情報を抽出し、
前記第1成形条件情報を目標成形条件情報として選択するものである
付記9に記載の成形条件導出装置。
(付記11)
前記入力データが入力されると、所定の演算アルゴリズムからなる数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を決定し、決定された前記目標成形条件に関する情報を前記出力データとして出力する
付記1から付記7までのいずれか1項に記載の成形条件導出装置。
(付記12)
前記所定の演算アルゴリズムは、
前記入力データの前記ボトル形状情報の各変数である入力ボトル変数のベクトルデータと、前記入力ボトル変数に対応する既存の前記ボトル形状情報の各変数である既存ボトル変数のベクトルデータとの距離である第1ベクトル距離を算出し、前記第1ベクトル距離に基づいて、既存ボトル形状情報を特定し、当該既存ボトル形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第1成形条件情報を抽出し、
前記入力データの前記プリフォーム形状情報の各変数である入力プリフォーム変数のベクトルデータと、前記入力プリフォーム変数に対応する既存の前記プリフォーム形状情報の各変数である既存プリフォーム変数のベクトルデータとの距離である第2ベクトル距離を算出し、前記第2ベクトル距離に基づいて、既存プリフォーム形状情報を特定し、当該既存プリフォーム形状情報に紐付いた成形条件情報に基づいて、第2成形条件情報を抽出し、
特定の指標に基づいて、前記第1成形条件情報及び前記第2成形条件情報のいずれかを目標成形条件情報として選択するものである
付記9に記載の成形条件導出装置。
(付記13)
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習された前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と
を備えている機械学習装置。
(付記14)
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
付記13に記載の機械学習装置。
(付記15)
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備え、ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論する推論装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データを取得する情報取得処理と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を推論する推論処理と、
推論された前記目標成形条件を含む出力データを出力する出力処理と
を実行する推論装置。
(付記16)
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
付記15に記載の推論装置。
(付記17)
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を導出するための情報処理方法であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データに基づいて、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データを求める
情報処理方法。
(付記18)
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
付記17に記載の情報処理方法。
(付記19)
ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論するための学習モデルを生成する機械学習方法であって、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標成形条件に関する情報である目標成形条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程において学習された前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶させる学習済みモデル記憶工程と
を実行する機械学習方法。
(付記20)
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
付記19に記載の機械学習方法。
(付記21)
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備える推論装置により実行されて、ブロー成形によりプリフォームから成形体を得るためのブロー成形工程において設定される1つ以上のブロー成形条件の目標値である目標成形条件を推論する推論方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記成形体の形状に関する情報であるボトル形状情報からなる入力データを取得する情報取得工程と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標成形条件を推論する推論工程と、
推論された前記目標成形条件を含む出力データを出力する出力工程と
を実行する推論方法。
(付記22)
前記入力データは、さらに、前記プリフォームの形状に関する情報であるプリフォーム形状情報を含んでいる
付記21に記載の推論方法。
【符号の説明】
【0177】
2 ブロー成形装置、3 プリフォーム、4 成形体、5 機械学習装置、6 成形条件導出装置、12 学習モデル、13 学習用データ、14 数理最適化モデル、52 学習用データ記憶部、53 学習済みモデル記憶部、501 機械学習部、912 プロセッサ、914 メモリ。