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  • 特開-全自動解除式シートベルト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083186
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】全自動解除式シートベルト
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/20 20060101AFI20240613BHJP
   B60R 22/48 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B60R22/20 108
B60R22/48 104
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022210871
(22)【出願日】2022-12-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】515279083
【氏名又は名称】鈴木 幸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸一
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018BA12
3D018CA04
3D018CD00
(57)【要約】
【課題】 つい外し忘れたまま降車動作に移った時に、シートベルトの強い引き戻し反発力で、高齢者の肩胸腕にしつこく残って持病化するような日常的小事故を防ぎ、複雑な追加的電子回路構造もタング側の改造も要せずに、エンジンを切ると自動的に解除されるシートベルトを提供する。
【解決手段】 バックルに内設された双方向保持型ソレノイドを、バックル機構部と一体的に組み込んで成るバックル体を備え、エンジンスイッチのON-OFFのみで自動的にロック-解除されて、降車時の高齢運転者を護り、業務運転者の作業効率化も助けることを特徴とする、全自動解除式シートベルト。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電時と非通電時に相互反対方向に移動する可動鉄芯即ちプランジャーを有する双方向保持型のソレノイド部を、バックル機構部と一体的に組み込んで成るバックル体を備えるシートベルトであって、
バックル機構部におけるロック機構庫の中にプランジャーロック機構片が設けられて、ソレノイド部側から延設されたプランジャー基軸部と連続一体的に形成さて成るバックル体を備えたことを特徴とする全自動解除式シートベルト。
【請求項2】
プランジャーロック機構片が、プランジャータング応接部とロック槽とロック解除片とで構成されることを特徴とする、請求項1における全自動解除式シートベルト。
【請求項3】
バックル機構部のバックル基壁において、タングロック孔の厚み幅に相当する長さでロック機構庫側へその尖端が突き出る形でロック爪が設けてあることを特徴とする、請求項1における全自動解除式シートベルト。
【請求項4】
プランジャーロック機構片において、ロックされた状態では、ロック解除片側においてバックル基壁と密接して、機構隔壁側との間に余裕の空間を生ぜしめ、ロック解除された状態では、バックル基壁との間に余裕の空間を生ぜしめつつ、機構隔壁に密接する形に変位するのであり、前者の変位は通電時に照応し、後者の変位は非通電時に照応し、この様にして走行中継続して高熱を発生し続けるという厄介な問題を解消し、スムーズに自動的ロック⇔解除機能が遂行されることを特徴とする、請求項1における全自動解除式シートベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車の座席から降りようとする際に、手動に依らず自動的にベルトが外れるシートベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートベルトに関しては、衝突等の事故における衝撃でも容易に外れないための予防・工夫に主眼が置かれた。装着の面倒さや解り辛さを軽減するための種々の小品目も販売されている。しかし、自動車から降りる時に、シートベルトを掛けていることをつい忘れ、バックルのロックを解除する動作手順をスルーして思わず無造作に降りようとして、肩や首やあばらを痛めてしまい、何度も病院通いを強いられてしまうという中高年者が増えており、高齢化社会の新しい日常的小事故、命にかかわる事故ではないが中高年者にはかなり厄介で尾を引く軽視できない事故として注目されている。
バックルのロック解除を手動による面倒から解放するべく目途したシートベルト装置も知られている(特許文献1参照)。
レリーズボタンの操作を要せずにロック解除できるようなバックル装置の自動解離機構も知られている(特許文献2参照)。
上記先行技術に共通する問題点を批判的に検討しつつ、独自の角度から解決手段を提起した自動脱着式シートベルトも知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-040964号公報
【特許文献2】公開実用s59-147653号公報
【特許文献3】特許7073572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本格的な高齢化社会の到来で、車が高齢者の移動、通院、買い物等の生活必需品となり、運転者の高齢化は止めようがない。ペダル踏み間違いによる致命的な急発進事故等の大事故ニュースの陰に隠れて、身の周りで日常的に着実頻繁に増加している「シートベルト外し忘れ」による一見「小さな」身体損壊事故が、その後の継続的な身体苦痛の持病化を増進させている。高齢化社会の新しい「車関連事故」の事象に対応する予防グッズの先駆け商品が待たれている。
従来、シートベルトの自動解除化に関わる技術開発は、主として業務効率化を目途したものであった。
特許文献1及び特許文献2に示される先行技術は、本願出願と出願人同一に係る特許文献3において詳細な批判的検討を加えられ、その帰結として「複雑な追加的な困難・コストを要する回路機構やスイッチ機構を要せず、ソレノイドの特性をロックそのものに利用することによって、単純明快で使い易いタング・バックル間のロック・解除機構を備えたシートベルト」が提供されていた。
本願においては、上記特許文献3に示された先行技術を、同一出願人の責任においてその更なる問題点を析出し、その解決手段が提示される。
問題点のポイントは、走行中にロックされたシートベルトのロック機構内がずっと熱を発生し続けることであった。発生蓄積した高熱の危険への対処法として、高耐熱性素材によって機構を外装するか(それは可能ではあるが高コストが見込まれる)、それともロック状態に於ける熱発生蓄積そのものをなくす・又は最小化(無害化)するか、であった。
本願は後者を任務として採り上げ、解決へ尽力した。
ここに実施化へのより現実的な道筋をつけるべく、ソレノイド利用のシートベルトロック-解除に係る一層効果的な自動解除手段を備えたシートベルトを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
通電時と非通電時に相互反対方向に移動する可動鉄芯即ちプランジャーを有する双方向保持型ソレノイドを、バックル機構部と一体的に組み込んで成るバックル体を備えるシートベルトであって、運転座席の右側に設置されて、ソレノイド部がドア側に、バックル機構部が身体側にある状態において、以下バックル体を説明する。
外郭L字型BOX状バックルケースは、その内部のL字縦片側にバックル機構部を、横片側にソレノイド部を、一体的に組み合わされた形で設置され、縦横両片はケース底面を共有している。
バックルケースの左端は少し分厚く形成されてバックル基壁を成し、右端はソレノイド部基壁を成す。バックル基壁と、それに対面し共にバックル機構部の外郭を成しつつソレノイド部との間を仕切る機構隔壁と、閉じられたケース底面と、中央部にタングプレートを挿し込むタング挿入孔を有するロック機構庫天井面とで囲われた空間は、タングプレートをロック-解除する機構部分が設置されるロック機構庫を形成する。
以下、バックルケース内部のソレノイド部とバックル機構部の、各々の構造と両者の連関を説明する。
ソレノイド部において、中心部を横に貫く可動鉄芯プランジャー基軸部を取り巻く形で、バックル機構部側から順に、通電時変位方向部、永久磁石部、非通電時変位方向部が、3区分状に形成され、プランジャー基軸部は、左端側へ機構隔壁を貫通して、バックル機構部の中へ延設された左端において、ロック機構庫の内部で上下に立設されているプランジャーロック機構片と直交する形で連続一体的に結合形成されている。
プランジャーロック機構片において、プランジャー基軸部に接合して直交的に立ち上がった側は、ロック機構庫の高さ空間の大半を占める高さを有してプランジャータング応接部を成し、反対側のバックル基壁に対面する側は、その半分程の高さで、厚みが上部の倍程に成っており、且つその厚み幅の上端面において、上から挿し込まれて来るタング先端部即ちタングプレートにおけるロック孔の先方端域を受け入れられる幅で、溝状に凹んでロック槽を形成してあり、ロック槽におけるバックル基壁に面する縁はロック解除片として機能する。そのロックされた時に、タングプレートにおけるロック孔の下端(先方端)に丁度当たる高さ位置において、バックル基壁側から突き出て先方へ斜降する形で、ロック爪が設けてある。
斯くして、プランジャーロック機構片は、ロックされた状態では、ロック解除片側においてバックル基壁と密接して、機構隔壁側との間に余裕の空間を生じ、ロック解除された状態では、バックル基壁との間に余裕の空間を生じて機構隔壁に密接する形に変位する。前者の変位は通電時に照応し、後者の変位は非通電時に照応し、この様にして走行中継続して高熱を発生し続けるという厄介な問題を解消し、スムーズに自動的ロック⇔解除機能が遂行される。
以上の様なバックル体を備えることを特徴とする全自動解除式シートベルトである。
【発明の効果】
【0006】
現状において、車は高齢者にとっては生活必需品化しており、降車時のシートベルト外し忘れによる「小さな、しかし深刻な持病化にも繋がる」事故の多発化を何としてもくい止めるべく、特許文献3の発明考案が提起されていた。それは実施されれば間違いなく社会貢献に資するものであったが、実施化の現実的な検討の進行のなかで、尚改良できる余地が明確化され、同一出願人によって本願提出に至ったものであった。
本願によって、特許文献3におけるタングプレート側の改良が必要無くなり、従来のタングプレートをそのまま使用できることとなった。
勿論特許文献1あるいは特許文献2の様な、複雑且つ実施化にとって非現実的な解除機構は毛頭必要ない。特許文献3における殆ど唯一最大の懸念課題であった「走行中の継続的ロック状態」が、ソレノイドの通電状態によって維持される構造に由来することを真正面から摘出し、長時間の継続的通電による高熱発生の処理問題が解決に至った。ソレノイドの電磁力は、車のエンジンスイッチのON(ロック方向)とOFF(解除方向)のタッチした時に限り、一方向又は他方向に作用し、その間のロック状態の維持は永久磁石部によって継続され、高熱の発生契機そのものを除去したのである。
これによって、実施化の実現可能性を格段にアップさせ、高齢者が日常的に降車時につい外し忘れて「ア痛ッタタッ!」となる情景を確実に減らせることができる。特許文献3の発明「実施化」で危惧された「タングプレートが抜き出された時に、たまたま手かどこかに触れて「熱っチッチ!」となる心配もない。また、業務ドライバーにとっても、確実な効率化が実感できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の使用時におけるロック状態の内部を分かりやすく示した構造図(図4におけるA-A′切断)
図2図1に示された本発明の使用時におけるロック解除に向かう端緒状態を示した内部構造図
図3】一般に使用されているタングプレートの正面図
図4】本発明において、使用状態における外観斜視図
図5】本発明の外観平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に使用されるバックル体(1)を、運転座席の右側に設置された状態に於いて、その実施形態と使用方法を説明する。
略L字型状のバックル体(1)であって、L字縦片側にバックル機構部(3)を、横片側にソレノイド部(4)を、一体的に組み合わせた形で、外郭L字型BOX状バックルケース(2)で覆われており、ソレノイド部(4)がドア側に、バックル機構部が身体側にある状態で設置される。
バックルケース(2)は、略L字状の縦横両片が底面を共有し、左端は少し分厚く形成されてバックル基壁(5)を成し、右端はソレノイド部基壁(6)を成し、バックル基壁(5)と、それに対面し共にバックル機構部(3)の外郭を成しつつソレノイド部(4)との間を仕切る機構隔壁(7)と、閉じられたケース底面(8)と、中央部にタングプレート(p)を挿し込むタング挿入孔(20)を有するロック機構庫天井面(19)とで囲われた空間は、タングプレート(p)をロック-解除する機構部分が設置されるロック機構庫(9)を形成している。
以下、バックルケース(2)内部のソレノイド部(4)とバックル機構部(3)の各々の構造と両者の連関を説明する。
ソレノイド部(4)において、中心部を横に貫く可動鉄芯プランジャー基軸部(10)を取り巻く形で、バックル機構部(3)側から順に、通電時変位方向部(11)、永久磁石部(13)、非通電時変位方向部(12)の3区分状に形成され、プランジャー基軸部(10)は、左端側へ機構隔壁(7)を貫通して、バックル機構部(3)の中へ延設された左端において、ロック機構庫(7)内部で上下に立設されているプランジャーロック機構片(14)と直交する形で、連続一体的に結合形成されている。
プランジャーロック機構片(14)において、プランジャー基軸部(10)に接合して直交的に立ち上がった側は、ロック機構庫(9)の高さ空間の大半を占める高さを有してプランジャータング応接部(15)を成し、反対側のバックル基壁(5)に対面する側は、その半分程の高さで、厚みが上部の倍程に成っており、且つその厚み幅の上端面において、上から挿し込まれて来るタング先端部(t)即ちタングプレート(p)におけるタングロック孔(r)を挟む先方端域を受け入れられる幅で、溝状に凹んでロック槽(16)を形成してあり、ロック槽(16)におけるバックル基壁(5)に面する縁はロック解除片(17)として機能する。そのロックされた時に、タングロック孔(r)の下端(先方端)に丁度当たる高さ位置において、バックル基壁(5)側から突き出て先方へ斜降する形で、ロック爪(18)が設けてある。
斯くして、プランジャーロック機構片(14)は、ロックされた状態では、ロック解除片(17)側においてバックル基壁(5)と密接して、機構隔壁(7)側との間に余裕の空間を生ぜしめ、ロック解除された状態では、バックル基壁(5)との間に余裕の空間を生ぜしめて、機構隔壁(7)に密接する形に変位する。前者の変位は通電時に照応し、後者の変位は非通電時に照応し、この様にして走行中継続して高熱を発生し続けるという厄介な問題が解消され、スムーズに自動的ロック⇔解除機能が遂行される。
これを実際に使用する時は、
普通の手順でエンジンスイッチボタンを押しながら、タングプレート(p)をタング挿入孔(h)に挿し当てつつ一押し軽くグイッと押し込む。この時プランジャー基軸部(5)が通電時変位方向部(11)の作動によって左方へ押されて、プランジャーロク機構片(14)が、挿入降下して来たタングプレート(p)をバックル基壁(5)側へと押しつける形となって、タング先端部(t)は、ロック槽(16)に入り込み、ロック爪(18)尖端部がプランジャータング応接部(15)とロック爪(18)との間で挟まれて窮屈になるが、ロック爪(18)の斜面に介助されて上から軽く一押しで簡単に降下し、タングロック孔(r)に嵌入しロックされる。同時にプランジャー基軸部(10)は永久磁石部(13)によって強力に磁着固定され、プランジャーロック機構片(14)を介してタングプレート(p)は外れようがない形で、車の走行中を通して、エンジンスイッチがOFFになるまで、ロック状態を固く保持する。
停車して、エンジンスイッチをOFFにされると同時に、非通電時変位方向部(12)が作動し、プランジャー基軸部(10)によって右方即ちソレノイド部基壁(6)側へ引き戻される。その時、ロック解除片(17)がタング先端部(t)を引掛けてロック爪(18)から解放し、同時にタングプレート(p)はスルスルっとバックル体から脱出していく。その間全て自動的機能のプロセスとなる。高齢運転者もシートベルトを外さねばと意図する必要もない。業務運転者もスイッチを切るだけで即降車して業務に取り掛かかることができて、作業効率は間違いなくアップすることに繋がる。
【符号の説明】
【0009】
1 バックル体, 2 バックルケース, 3 バックル機構部,
4 ソレノイド部, 5 バックル基壁, 6 ソレノイド部基壁,
7 機構隔壁, 8 ケース底面, 9 ロック機構庫,
10 プランジャー基軸部, 11 通電時変位方向部,
12 非通電時変位方向部, 13 永久磁石部,
14 プランジャーロック機構片, 15 プランジャータング応接部,
16 ロック槽, 17 ロック解除片, 18 ロック爪,
19 ロック機構庫天井面, 20 タング挿入孔,
p タングプレート, t タング先端部,
r タングロック孔, b ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電時と非通電時に相互反対方向に移動する可動鉄芯即ちプランジャーを有する双方向保持型のソレノイド部を、バックル機構部と一体的に組み込んで成るバックル体を備えるシートベルトであって、バックル機構部におけるロック機構庫の中にプランジャータング応接部とロック槽とロック解除片とで構成されるプランジャーロック機構片が設けられて、ソレノイド部側から延設されたプランジャー基軸部と連続一体的に形成して成るバックル体を備えたことを特徴とする全自動解除式シート。
【請求項2】
バックル機構部のバックル基壁において、タングロック孔の厚み幅に相当する長さでロック機構庫側へその尖端が突き出る形でロック爪が設けてあることを特徴とする、請求項1における全自動式シートベルト。
【請求項3】
プランジャーロック機構片において、ロックされた状態では、ロック解除片側においてバックル基壁と密接して、機構隔壁側との間に余裕の空間を生ぜしめ、ロック解除された状態では、バックル基壁との間に余裕の空間を生ぜしめつつ、機構隔壁に密接する形に変位するのであり、前者の変位は通電時に照応し、後者の変位は非通電時に照応し、この様にして走行中継続して、高熱を発生し続けるという厄介な問題を解消し、スムーズに自動的ロック解除機能が遂行されることを特徴とする、請求項1における全自動解除式シートベルト。