(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083192
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】増幅回路および高周波回路
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20240613BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H03F1/02 188
H03F3/68 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022860
(22)【出願日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2022196703
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】竹中 功
(72)【発明者】
【氏名】浪江 寿典
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA63
5J500AA65
5J500AC36
5J500AF10
5J500AF15
5J500AF18
5J500AH06
5J500AH10
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5J500AH39
5J500AK16
5J500AK42
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5J500AK46
5J500AK66
5J500AS14
5J500AT02
5J500AT05
5J500AT07
5J500CK06
5J500CK07
5J500RG09
(57)【要約】
【課題】高効率な増幅特性を有する増幅回路を提供する。
【解決手段】増幅回路10は、増幅器11に接続されたインダクタ23と、増幅器12に接続されたインダクタ24と、増幅器11およびインダクタ23を結ぶ第1出力経路に直列配置されたインダクタ21と、第1出力経路およびグランドに接続されたキャパシタ31と、増幅器12およびインダクタ24を結ぶ第2出力経路に直列配置されたキャパシタ32と、第2出力経路およびグランドに接続されたインダクタ22と、インダクタ21および23を結ぶ第1経路と、キャパシタ32およびインダクタ24を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、第1回路は、第1経路および第2経路に接続される抵抗41と、第1経路と第2経路とを抵抗41を介して接続する、および、抵抗41を介さずに接続する、を切り替えるスイッチ61と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1増幅器および第2増幅器と、
出力端子と、
前記第1増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記第2増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記第1増幅器の出力端および前記第1移相回路を結ぶ第1出力経路に直列配置された第1インダクタと、
前記第1出力経路およびグランドの間に接続された第1キャパシタと、
前記第2増幅器の出力端および前記第2移相回路を結ぶ第2出力経路に直列配置された第2キャパシタと、
前記第2出力経路およびグランドの間に接続された第2インダクタと、
前記第1インダクタおよび前記第1移相回路を結ぶ第1経路と、前記第2キャパシタおよび前記第2移相回路を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、
前記第1回路は、
一端が前記第1経路に接続され、他端が前記第2経路に接続される第1抵抗と、
前記第1経路と前記第2経路とを前記第1抵抗を介して接続する、および、前記第1抵抗を介さずに接続する、を切り替える第1スイッチと、を有する、
増幅回路。
【請求項2】
第1増幅器および第2増幅器と、
出力端子と、
前記第1増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記第2増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記第1増幅器の出力端および前記第1移相回路に接続され、第1位相量で高周波信号を移相する第3移相回路と、
前記第2増幅器の出力端および前記第2移相回路に接続され、前記第1位相量との差が90°である第2位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、
前記第3移相回路および前記第1移相回路を結ぶ第1経路と、前記第4移相回路および前記第2移相回路を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、
前記第1回路は、
一端が前記第1経路に接続され、他端が前記第2経路に接続される第1抵抗と、
前記第1経路と前記第2経路とを前記第1抵抗を介して接続する、および、前記第1抵抗を介さずに接続する、を切り替える第1スイッチと、を有する、
増幅回路。
【請求項3】
前記第1スイッチは、共通端子、第1選択端子および第2選択端子を有し、
前記第1抵抗は第1端および第2端を有し、
前記第1端は前記第1選択端子に接続され、
前記共通端子は、前記第1経路および前記第2経路の一方に接続され、
前記第2端は、前記第1経路および前記第2経路の他方に接続され、
前記第2選択端子は、抵抗を介さずに前記第1経路および前記第2経路の前記他方に接続される、
請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第2選択端子と前記第1経路および前記第2経路の前記他方とは短絡される、
請求項3に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記第1経路と前記第2経路とが短絡された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はC級動作し、
前記第1経路と前記第2経路とが短絡されず、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はAB級動作する、
請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記増幅回路にローパワーモードが適用される場合、前記第1経路と前記第2経路とが短絡されず、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続され、
前記増幅回路にハイパワーモードが適用される場合、前記第1経路と前記第2経路とが短絡される、
請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記第1回路は、さらに、インダクタまたはキャパシタである第1回路素子を有し、
前記第1スイッチは、さらに、第3選択端子を有し、
前記第1回路素子の一端は、前記第3選択端子に接続され、
前記第1回路素子の他端は、前記第1経路および前記第2経路の前記他方に接続される、
請求項4に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記第1経路と前記第2経路とが短絡された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はC級動作し、
前記第1回路素子が前記第1経路および前記第2経路と接続された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はC級動作し、
前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路と接続された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はAB級動作する、
請求項7に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記増幅回路がパワークラス1.5に対応する場合、前記第1回路素子が前記第1経路および前記第2経路に接続され、
前記増幅回路がパワークラス2に対応する場合、前記第1経路と前記第2経路とが短絡され、
前記増幅回路がパワークラス3に対応する場合、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続される、
請求項7に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記増幅回路にローパワーモードが適用される場合、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続される、
請求項7に記載の増幅回路。
【請求項11】
キャリアアンプおよびピークアンプと、
出力端子と、
前記キャリアアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記ピークアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記第1移相回路を結ぶ第1出力経路に直列配置された第1インダクタと、
前記第1出力経路およびグランドの間に接続された第1キャパシタと、
前記ピークアンプの出力端および前記第2移相回路を結ぶ第2出力経路に直列配置された第2キャパシタと、
前記第2出力経路およびグランドの間に接続された第2インダクタと、を備え、
前記第1移相回路は第3インダクタを含み、
前記第2移相回路は第4インダクタを含む、
増幅回路。
【請求項12】
前記第1移相回路は、第1位相量で高周波信号を移相し、
前記第2移相回路は、第2位相量で高周波信号を移相し、
前記第1位相量と前記第2位相量とは等しい、
請求項11に記載の増幅回路。
【請求項13】
前記第3インダクタは、前記第1インダクタと前記出力端子とを結ぶ経路に直列配置され、
前記第4インダクタは、前記第2キャパシタと前記出力端子とを結ぶ経路に直列配置され、
前記第3インダクタのインダクタンス値と前記第4インダクタのインダクタンス値とは等しい、
請求項11に記載の増幅回路。
【請求項14】
さらに、
前記第1インダクタおよび前記第1移相回路を結ぶ経路と、前記第2キャパシタおよび前記第2移相回路を結ぶ経路との間に接続された第3移相回路を備え、
前記第3移相回路は、第5インダクタを含む、
請求項11~13のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項15】
前記第1移相回路は、第1位相量で高周波信号を移相し、
前記第2移相回路は、第2位相量で高周波信号を移相し、
前記第3移相回路は、第3位相量で高周波信号を移相し、
前記第1位相量および前記第2位相量のそれぞれは、前記第3位相量よりも大きい、
請求項14に記載の増幅回路。
【請求項16】
キャリアアンプおよびピークアンプと、
出力端子と、
前記キャリアアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記ピークアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記第1移相回路に接続され、第4位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、
前記ピークアンプの出力端および前記第2移相回路に接続され、前記第4位相量との差が90°である第5位相量で高周波信号を移相する第5移相回路と、を備え、
前記第1移相回路は、前記第2移相回路と同じ位相回転量となるよう構成されている、
増幅回路。
【請求項17】
請求項1または2に記載の増幅回路と、
第1バンドの少なくとも一部を含む通過帯域を有する第1フィルタと、
第2バンドの少なくとも一部を含む通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1フィルタと前記出力端子との接続および前記第2フィルタと前記出力端子との接続を切り替える第2スイッチと、を備える、
高周波回路。
【請求項18】
さらに、
互いに対向する第1主面および第2主面を有するモジュール基板と、
前記第2主面に配置された外部接続端子と、を備え、
前記第1増幅器および前記第2増幅器は前記第1主面に配置され、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは前記第2主面に配置される、
請求項17に記載の高周波回路。
【請求項19】
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、1つの第1半導体ICに含まれる、
請求項18に記載の高周波回路。
【請求項20】
前記第1抵抗は前記第1主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、
前記第1抵抗と前記第1半導体ICとは、少なくとも一部重なっている、
請求項19に記載の高周波回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路および高周波回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バランスアンプを構成する第1増幅器および第2増幅器と、第1増幅器の出力端および出力端子を結ぶ第1出力経路に配置された第1移相回路と、第2増幅器の出力端および出力端子を結ぶ第2出力経路に配置された第2移相回路と、第1移相回路の出力端および第2移相回路の出力端に接続された抵抗と、第1移相回路の出力端および出力端子の間に接続された第1インダクタと、第2移相回路の出力端および出力端子の間に接続された第2インダクタと、を備える半導体装置(増幅回路)が開示されている。これによれば、抵抗、第1インダクタおよび第2インダクタで構成される電力結合器における電力合成の損失を低減できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話の高出力化要求に伴い、より高効率な増幅回路が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、高効率な増幅特性を有する増幅回路および高周波回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る増幅回路は、第1増幅器および第2増幅器と、出力端子と、第1増幅器の出力端および出力端子の間に接続された第1移相回路と、第2増幅器の出力端および出力端子の間に接続された第2移相回路と、第1増幅器の出力端および第1移相回路を結ぶ第1出力経路に直列配置された第1インダクタと、第1出力経路およびグランドの間に接続された第1キャパシタと、第2増幅器の出力端および第2移相回路を結ぶ第2出力経路に直列配置された第2キャパシタと、第2出力経路およびグランドの間に接続された第2インダクタと、第1インダクタおよび第1移相回路を結ぶ第1経路と、第2キャパシタおよび第2移相回路を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、第1回路は、一端が第1経路に接続され、他端が第2経路に接続される第1抵抗と、第1経路と第2経路とを第1抵抗を介して接続する、および、第1抵抗を介さずに接続する、を切り替える第1スイッチと、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様に係る増幅回路は、第1増幅器および第2増幅器と、出力端子と、第1増幅器の出力端および出力端子の間に接続された第1移相回路と、第2増幅器の出力端および出力端子の間に接続された第2移相回路と、第1増幅器の出力端および第1移相回路に接続され、第1位相量で高周波信号を移相する第3移相回路と、第2増幅器の出力端および第2移相回路に接続され、第1位相量との差が90°である第2位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、第3移相回路および第1移相回路を結ぶ第1経路と、第4移相回路および第2移相回路を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、第1回路は、一端が第1経路に接続され、他端が第2経路に接続される第1抵抗と、第1経路と第2経路とを第1抵抗を介して接続する、および、第1抵抗を介さずに接続する、を切り替える第1スイッチと、を有する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る増幅回路は、キャリアアンプおよびピークアンプと、出力端子と、キャリアアンプの出力端および出力端子の間に接続された第1移相回路と、ピークアンプの出力端および出力端子の間に接続された第2移相回路と、キャリアアンプの出力端および第1移相回路を結ぶ第1出力経路に直列配置された第1インダクタと、第1出力経路およびグランドの間に接続された第1キャパシタと、ピークアンプの出力端および第2移相回路を結ぶ第2出力経路に直列配置された第2キャパシタと、第2出力経路およびグランドの間に接続された第2インダクタと、を備え、第1移相回路は第3インダクタを含み、第2移相回路は第4インダクタを含む。
【0009】
また、本発明の一態様に係る増幅回路は、キャリアアンプおよびピークアンプと、出力端子と、キャリアアンプの出力端および出力端子の間に接続された第1移相回路と、ピークアンプの出力端および出力端子の間に接続された第2移相回路と、キャリアアンプの出力端および第1移相回路に接続され、第4位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、ピークアンプの出力端および第2移相回路に接続され、第4位相量との差が90°である第5位相量で高周波信号を移相する第5移相回路と、を備え、第1移相回路は、第2移相回路と同じ位相回転量となるよう構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高効率な増幅特性を有する増幅回路および高周波回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る増幅回路、高周波回路および通信装置の回路構成図である。
【
図2】比較例1に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図3A】実施の形態1に係る増幅回路の第1モードにおける回路状態図である。
【
図3B】実施の形態1に係る増幅回路の第2モードにおける回路状態図である。
【
図4】実施の形態1に係る増幅回路の増幅方法を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1の変形例1に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図6】実施の形態1の変形例1に係る増幅回路の第1モード、第2モードおよび第3モードにおける負荷インピーダンス、電源電流、利得および電力付加効率を示す図である。
【
図7】実施の形態1の変形例1に係る増幅回路のローパワーモードにおける負荷インピーダンス、電源電流、利得および電力付加効率を示す図である。
【
図8】実施の形態1の変形例2に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図9】実施の形態1の変形例1に係る高周波回路の平面図および断面図である。
【
図10】実施の形態2に係る増幅回路、高周波回路および通信装置の回路構成図である。
【
図11】比較例2に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図12A】実施の形態2に係る増幅回路の低入力電力時における回路状態図である。
【
図12B】実施の形態2に係る増幅回路の高入力電力時における回路状態図である。
【
図13】実施の形態2の変形例1に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図14A】実施の形態2の変形例1に係る増幅回路の低入力電力時における回路状態図である。
【
図14B】実施の形態2の変形例1に係る増幅回路の高入力電力時における回路状態図である。
【
図15】実施の形態2の変形例2に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図16】実施の形態2、従来および比較例に係る各増幅回路の効率特性を比較したグラフである。
【
図17】実施の形態2の変形例1に係る高周波回路の平面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施例および変形例における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する場合がある。
【0013】
また、本開示において、平行および垂直等の要素間の関係性を示す用語、および、矩形状等の要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する。
【0014】
また、本開示において、「接続される」とは、接続端子および/または配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路素子を介して電気的に接続される場合も含むことを意味する。また、「AとBとの間に接続される」、「AおよびBの間に接続される」とは、AおよびBを結ぶ経路上でAおよびBと接続されることを意味する。
【0015】
また、本開示において、基板の平面視とは、基板および基板に実装された回路素子を基板の主面に平行な平面に正投影して見ることを意味する。
【0016】
また、本開示の部品配置において、「部品が基板に配置される」とは、部品が基板の主面上に配置されること、および、部品が基板内に配置されることを含む。「部品が基板の主面上に配置される」とは、部品が基板の主面に接触して配置されることに加えて、部品が主面と接触せずに当該主面の上方に配置されること(例えば、部品が主面と接触して配置された他の部品上に積層されること)を含む。また、「部品が基板の主面上に配置される」は、主面に形成された凹部に部品が配置されることを含んでもよい。「部品が基板内に配置される」とは、部品がモジュール基板内にカプセル化されることに加えて、部品の全部が基板の両主面の間に配置されているが部品の一部が基板に覆われていないこと、および、部品の一部のみが基板内に配置されていることを含む。
【0017】
また、本開示において、「経路」とは、高周波信号が伝搬する配線、当該配線に直接接続された電極、および当該配線または当該電極に直接接続された端子等で構成された伝送線路であることを意味する。
【0018】
また、本開示において、「部品Aが経路Bに直列配置される」とは、部品Aの信号入力端および信号出力端の双方が、経路Bを構成する配線、電極、または端子に接続されていることを意味する。
【0019】
(実施の形態1)
[1.1 増幅回路、高周波回路および通信装置の回路構成]
本実施の形態に係る増幅回路10、高周波回路1および通信装置4の回路構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る増幅回路10、高周波回路1および通信装置4の回路構成図である。
【0020】
[1.1.1 通信装置4の回路構成]
まず、通信装置4の回路構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る通信装置4は、高周波回路1と、アンテナ2と、RF信号処理回路(RFIC:Radio Frequency Integrated Circuit)3と、を備える。
【0021】
高周波回路1は、アンテナ2とRFIC3との間で高周波信号を伝送する。高周波回路1の詳細な回路構成については後述する。
【0022】
アンテナ2は、高周波回路1のアンテナ接続端子100に接続され、高周波回路1から出力された高周波信号を送信する。なお、アンテナ2は、外部から高周波信号を受信して高周波回路1へ出力してもよい。
【0023】
RFIC3は、高周波信号を処理する信号処理回路の一例である。具体的には、RFIC3は、ベースバンド信号処理回路(BBIC、図示せず)から入力された送信信号をアップコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された送信信号を、高周波回路1の送信経路に出力する。また、RFIC3は、高周波回路1の受信経路を介して入力された受信信号をダウンコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をBBICへ出力する。また、RFIC3は、高周波回路1を制御する制御部を有する。なお、RFIC3の制御部としての機能の一部または全部は、RFIC3の外部に実装されてもよく、例えば、BBICまたは高周波回路1に実装されてもよい。
【0024】
RFIC3は、増幅回路10が有する各増幅器に供給される電源電圧Vccおよびバイアス電流を制御する制御部としての機能も有する。具体的には、RFIC3は、制御信号を電源回路(図示せず)およびバイアス回路(図示せず)に出力する。なお、電源回路およびバイアス回路は、高周波回路1または増幅回路10に配置されてもよい。増幅回路10の各増幅器には、上記制御信号により制御された電源電圧Vccが電源回路から供給され、また、上記制御信号により制御されたバイアス電流がバイアス回路から供給される。
【0025】
また、RFIC3は、使用される通信バンド(周波数帯域)に基づいて、高周波回路1が有するスイッチ61、62および63の接続を制御する制御部としての機能も有する。
【0026】
なお、本実施の形態に係る通信装置4において、アンテナ2は、必須の構成要素ではない。
【0027】
[1.1.2 高周波回路1の回路構成]
次に、高周波回路1の回路構成について説明する。
図1に示すように、高周波回路1は、増幅回路10と、フィルタ71、72、73および74と、スイッチ62および63と、低雑音増幅器13および14と、インダクタ25、26および27と、アンテナ接続端子100と、を備える。
【0028】
増幅回路10は、高周波入力端子101から入力されたバンドAおよびバンドBの高周波送信信号(以下、送信信号と記す。)を増幅する回路である。なお、高周波回路1は、増幅回路10の代わりに、バンドAの送信信号を増幅する第1増幅回路と、バンドBの送信信号を増幅する第2増幅回路と、を備えてもよい。
【0029】
なお、本実施の形態において、バンドAおよびバンドBのそれぞれは、無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて構築される通信システムのために、標準化団体など(例えば3GPP(登録商標:3rd Generation Partnership Project)、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)等)によって予め定義された周波数バンドを意味する。本実施の形態では、通信システムとしては、例えば4G(4th Generation)-LTE(Long Term Evolution)システム、5G(5th Generation)-NR(New Radio)システム、およびWLAN(Wireless Local Area Network)システム等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0030】
フィルタ71は、第1フィルタの一例であり、スイッチ62および63の間に接続され、増幅回路10で増幅された送信信号のうち、バンドA(第1バンド)の送信帯域の送信信号を通過させる。また、フィルタ72は、第2フィルタの一例であり、スイッチ62および63の間に接続され、増幅回路10で増幅された送信信号のうち、バンドB(第2バンド)の送信帯域の送信信号を通過させる。
【0031】
フィルタ73は、低雑音増幅器13およびスイッチ63の間に接続され、アンテナ2で受信した受信信号のうち、バンドAの受信帯域の信号を通過させる。また、フィルタ74は、低雑音増幅器14およびスイッチ63の間に接続され、アンテナ2で受信した受信信号のうち、バンドBの受信帯域の信号を通過させる。
【0032】
なお、フィルタ71および73は、バンドAの信号を送受信するデュプレクサを構成していてもよいし、時分割複信(TDD:Time Division Duplex)方式で伝送する1つのフィルタであってもよい。フィルタ72および74は、バンドBの信号を送受信するデュプレクサを構成していてもよいし、TDD方式で伝送する1つのフィルタであってもよい。フィルタ71および73がTDD用のフィルタである場合には、上記1つのフィルタの前段および後段の少なくとも一方に、送信および受信を切り替えるスイッチが配置される。また、フィルタ72および74がTDD用のフィルタである場合には、上記1つのフィルタの前段および後段の少なくとも一方に、送信および受信を切り替えるスイッチが配置される。
【0033】
低雑音増幅器13は、フィルタ73およびRFIC3の間に接続され、バンドAの受信信号を増幅してRFIC3へ出力する。低雑音増幅器14は、フィルタ74およびRFIC3の間に接続され、バンドBの受信信号を増幅してRFIC3へ出力する。
【0034】
スイッチ62は、第2スイッチの一例であり、共通端子62a、選択端子62bおよび62cを有する。共通端子62aは増幅回路10の高周波出力端子102に接続されている。選択端子62bはフィルタ71に接続され、選択端子62cはフィルタ72に接続されている。この接続構成において、スイッチ62は、高周波出力端子102とフィルタ71との接続、および、高周波出力端子102とフィルタ72との接続を切り替える。
【0035】
スイッチ63は、アンテナスイッチの一例であり、アンテナ接続端子100に接続され、アンテナ接続端子100とフィルタ71および73との接続および非接続を切り替え、また、アンテナ接続端子100とフィルタ72および74との接続および非接続を切り替える。
【0036】
インダクタ25は、スイッチ63とフィルタ71および73とを結ぶ経路に直列配置されている。インダクタ27は、上記経路とグランドとの間に接続されている。インダクタ25および27は、スイッチ63とフィルタ71および73とのインピーダンス整合をとる。インダクタ26は、スイッチ63とフィルタ72および74とを結ぶ経路に直列配置されている。インダクタ26は、スイッチ63とフィルタ72および74とのインピーダンス整合をとる。なお、インダクタ25、26および27の少なくとも1つは無くてもよい。
【0037】
また、高周波回路1は、アンテナ2から受信された受信信号を、RFIC3へ伝送するための受信回路を備えていなくてもよい。この場合には、高周波回路1は、低雑音増幅器13および14、ならびにフィルタ73および74を備えなくてよい。
【0038】
上記回路構成によれば、高周波回路1は、バンドAおよびバンドBのいずれかの高周波信号を、送信および/または受信することが可能である。さらに、高周波回路1は、バンドAおよびバンドBの高周波信号を、同時送信、同時受信、および同時送受信の少なくともいずれかで実行することも可能である。
【0039】
なお、本発明に係る高周波回路1は、
図1に示された回路構成のうち、増幅回路10、スイッチ62、フィルタ71および72を、少なくとも有していればよい。
【0040】
[1.1.3 増幅回路10の回路構成]
次に、増幅回路10の回路構成について、詳細に説明する。
【0041】
図1に示すように、増幅回路10は、増幅器11および12と、90°ハイブリッド50と、インダクタ21、22、23および24と、キャパシタ31、32、33、34および35と、抵抗41と、移相線路51および52と、スイッチ61と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。
【0042】
高周波入力端子101は、RFIC3に接続されている。高周波出力端子102は、出力端子の一例であり、スイッチ62および63ならびにフィルタ71および72を介してアンテナ接続端子100に接続されている。なお、高周波入力端子101、高周波出力端子102およびアンテナ接続端子100のそれぞれは、金属電極および金属バンプなどの金属導体であってもよく、また、金属配線上の一点(ノード)であってもよい。
【0043】
増幅器11は、第1増幅器の一例であり、90°ハイブリッド50の一方の出力端から出力された高周波信号を増幅し、第1高周波信号(以降、第1信号と記す)を出力する電力増幅器である。増幅器12は、第2増幅器の一例であり、90°ハイブリッド50の他方の出力端から出力された高周波信号を増幅し、第2高周波信号(以降、第2信号と記す)を出力する電力増幅器である。
【0044】
増幅器11および12のそれぞれは、増幅トランジスタを有する。上記増幅トランジスタは、例えば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタ、または、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)等の電界効果トランジスタである。なお、上記増幅トランジスタがバイポーラトランジスタである場合、増幅器11および12の入力端は、例えば当該バイポーラトランジスタのベース端となり、増幅器11および12の出力端は、例えば当該バイポーラトランジスタのコレクタ端となる。なお、上記増幅トランジスタが電界効果トランジスタである場合、増幅器11および12の入力端は、例えば当該電界効果トランジスタのゲート端となり、増幅器11および12の出力端は、例えば当該電界効果トランジスタのドレイン端となる。
【0045】
90°ハイブリッド50は、入力端が高周波入力端子101に接続され、一方の出力端が増幅器11の入力端に接続され、他方の出力端が増幅器12の入力端に接続されている。90°ハイブリッド50は、入力端から一方の出力端を通過する高周波信号に対して入力端から他方の出力端を通過する高周波信号の位相を略90°シフトさせるよう構成されている。
【0046】
なお、90°ハイブリッド50に代えて、他の回路構成を有する移相回路が配置されていてもよい。
【0047】
インダクタ23は、第1移相回路の一例であり、増幅器11の出力端および高周波出力端子102の間に接続されている。インダクタ23は、その両端での高周波信号の位相差を、例えば90°とする。インダクタ24は、第2移相回路の一例であり、増幅器12の出力端および高周波出力端子102の間に接続されている。インダクタ24は、その両端での高周波信号の位相差を、例えば90°とする。
【0048】
なお、第1移相回路としてはインダクタ23でなくてもよく、高周波信号の位相を90°シフトさせる回路素子であればよい。また、第2移相回路としてはインダクタ24でなくてもよく、高周波信号の位相を90°シフトさせる回路素子であればよい。
【0049】
インダクタ21は、第1インダクタの一例であり、増幅器11の出力端およびインダクタ23を結ぶ第1出力経路に直列配置されている。キャパシタ31は、第1キャパシタの一例であり、上記第1出力経路およびグランドの間に接続されている。インダクタ21およびキャパシタ31は、ローパスフィルタを構成しており、高周波信号の位相を略45°遅らせる。
【0050】
キャパシタ32は、第2キャパシタの一例であり、増幅器12の出力端およびインダクタ24を結ぶ第2出力経路に直列配置されている。インダクタ22は、第2インダクタの一例であり、上記第2出力経路およびグランドの間に接続されている。キャパシタ32およびインダクタ22は、ハイパスフィルタを構成しており、高周波信号の位相を略45°進ませる。
【0051】
なお、増幅回路10は、インダクタ21およびキャパシタ31で構成されたローパスフィルタの代わりに、第1信号を第1位相量で移相する第3移相回路を第1出力経路に直列配置し、キャパシタ32およびインダクタ22で構成されたハイパスフィルタの代わりに、第2信号を第1位相量との差が90°である第2位相量で移相する第4移相回路を第2出力経路に直列配置してもよい。
【0052】
なお、本実施の形態において、高周波信号の位相および位相差の数値は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば30%程度の差異をも含むことを意味する。
【0053】
スイッチ61および抵抗41は、第1回路を構成する。抵抗41は、第1抵抗の一例であり、第1端および第2端を有する。
【0054】
第1回路は、インダクタ21および23を結ぶ第1経路と、キャパシタ32およびインダクタ24を結ぶ第2経路との間に接続されている。抵抗41の一端(第1端)は、スイッチ61を介して第1経路に接続され、抵抗41の他端(第2端)は、第2経路に接続されている。
【0055】
スイッチ61は、第1スイッチの一例であり、共通端子61a、選択端子61bおよび61cを有するSPDT(Single-Pole Double-Throw)型のスイッチである。共通端子61aは第1経路に接続され、選択端子61bは抵抗41の第1端に接続され、選択端子61cは第2経路に接続されている。この接続構成によれば、スイッチ61は、第1経路と第2経路とを抵抗41を介して接続する、および、抵抗41を介さずに接続する、を切り替える。より具体的には、共通端子61aと選択端子61bとが接続されることにより、上記第1経路と上記第2経路とは抵抗41を介して接続され、共通端子61aと選択端子61cとが接続されることにより、第1経路と第2経路とは抵抗41を介さずに接続される(短絡される)。
【0056】
なお、スイッチ61と抵抗41との接続関係が逆であってもよい。つまり、共通端子61aは上記第2経路に接続され、選択端子61bは抵抗41の第1端に接続され、選択端子61cは上記第1経路に接続されてもよい。
【0057】
また、スイッチ61は、SPST(Single-Pole Single -Throw)型のスイッチであってもよい。この場合には、スイッチ61は第1経路と第2経路との間で抵抗41と並列接続される。この接続構成であっても、スイッチ61は、第1経路と第2経路とを抵抗41を介して接続する、および、抵抗41を介さずに(抵抗41を短絡して)接続する、を切り替える。より具体的には、スイッチ61の両端子が非接続となることにより、第1経路と第2経路とは抵抗41を介して接続され、スイッチ61の両端子が接続されることにより、第1経路と第2経路とは抵抗41を介さずに接続される(短絡される)。
【0058】
抵抗41、インダクタ23および24は、ウィルキンソン型の電力合成器を構成する。
【0059】
キャパシタ33は、第1経路に直列配置され、増幅器11に供給される直流の電源電圧を高周波出力端子102側へ漏洩することを抑制する。キャパシタ35は、インダクタ23および24と高周波出力端子102とを結ぶ経路に接続されたインピーダンス整合用の回路素子である。なお、キャパシタ35は、上記経路とグランドとの間に接続されてもよいし、また、上記経路に直列配置されてもよい。
【0060】
移相線路51は、増幅器11の出力端と電源電圧(Vcc)端子との間に直列配置され、増幅器11から出力される第1信号がVcc端子に漏洩することを抑制する。移相線路52は、増幅器12の出力端と電源電圧(Vcc)端子との間に直列配置され、増幅器12から出力される第2信号がVcc端子に漏洩することを抑制する。キャパシタ34は、Vcc端子とグランドとの間に接続され、第1信号および第2信号の漏洩成分がVcc端子に侵入することを抑制し、また、電源電圧がグランドに落ちてしまうことを防止する。
【0061】
なお、本実施の形態に係る増幅回路10において、増幅器11および12、高周波出力端子102、インダクタ21、22、23および24、キャパシタ31および32、抵抗41、ならびにスイッチ61は、必須の構成要素であり、90°ハイブリッド50、キャパシタ33、34および35、移相線路51および52はなくてもよい。
【0062】
[1.1.4 比較例1に係る増幅回路500の回路構成]
ここで、比較例1に係る増幅回路500の回路構成について説明する。
図2は、比較例1に係る増幅回路500の回路構成図である。同図に示された増幅回路500は、従来のバランスアンプ回路である。増幅回路500は、増幅器11および12と、90°ハイブリッド50と、インダクタ21、22、23および24と、キャパシタ31、32、33、34および35と、抵抗41と、移相線路51および52と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。比較例1に係る増幅回路500は、実施の形態1に係る増幅回路10と比較して、スイッチ61が無い点が異なる。以下、比較例1に係る増幅回路500について、実施の形態1に係る増幅回路10と異なる点を中心に説明する。
【0063】
抵抗41の一端は、インダクタ21および23を結ぶ第1経路に接続され、抵抗41の他端は、キャパシタ32およびインダクタ24を結ぶ第2経路に接続されている。
【0064】
上記構成によれば、増幅器11から出力される第1信号と、増幅器12から出力される第2信号とは位相差が90°となっている。具体的には、90°ハイブリッド50により、増幅器11の出力端での第1信号の位相は+45°となり、増幅器12の出力端での第2信号の位相は-45°となる。
【0065】
インダクタ21およびキャパシタ31はローパスフィルタを構成しているため、当該ローパスフィルタにより第1信号の位相は45°遅れることとなり、当該ローパスフィルタの出力端での第1信号の位相は0°となる。また、キャパシタ32およびインダクタ22はハイパスフィルタを構成しているため、当該ハイパスフィルタにより第2信号の位相は45°進むこととなり、当該ハイパスフィルタの出力端での第2信号の位相は0°となる。つまり、抵抗41と第1経路とを接続するノードn1における第1信号の位相と、抵抗41と第2経路とを接続するノードn2における第2信号の位相とは揃っている。
【0066】
位相が揃っている第1信号および第2信号は、それぞれインダクタ23および24を通過して合成され、当該合成された高周波信号が高周波出力端子102から出力される。このとき、増幅器12から出力された第2信号は、高周波出力端子102に接続された負荷により反射され、第2信号の反射成分がノードn2へ返ってくる。第2信号の反射成分は、インダクタ24を往復するため、ノードn2では位相が+180°となっている。一方、増幅器11から出力された第1信号のうち、ノードn1から抵抗41へ向かう成分のノードn2における位相は0°である。これにより、逆相の関係となる第2信号の反射成分と第1信号とが抵抗41で相殺される。同様にして、逆相の関係となる第1信号の反射成分と第2信号とが抵抗41で相殺される。これによれば、負荷変動があっても、増幅器11の出力端と増幅器12の出力端とのアイソレーションを大きく確保できる。
【0067】
しかしながら、高周波信号の出力電力が高くなるにつれ、反射成分の電力も大きくなると、抵抗41の耐電力性が問題となる。また、高周波信号の出力電力が高くなるにつれ、電力付加効率(PAE:Power Added Efficiency)の低下が懸念される。
【0068】
[1.1.5 増幅回路10の動作モード]
本実施の形態に係る増幅回路10は、比較例1に係る増幅回路500と比較して、負荷変動耐性を有する負荷変動優先モード、および、電力付加効率(以降、効率と記す)を向上させる効率優先モードの双方を両立できる。
【0069】
図3Aは、実施の形態1に係る増幅回路10の第1モードにおける回路状態図である。第1モードはバランスモードであり、言い換えれば負荷変動優先モードである。同図に示すように、第1モードの場合、共通端子61aと選択端子61bとが接続され、共通端子61aと選択端子61cとが非接続となり、抵抗41がノードn1およびノードn2に接続された状態となる。このとき、増幅器11および12の双方はAB級動作する。具体的には、増幅器11および12には、AB級動作可能なバイアス電流が供給される。
【0070】
上記構成によれば、増幅器11の出力端での第1信号の位相は+45°となり、増幅器12の出力端での第2信号の位相は-45°となる。
【0071】
インダクタ21およびキャパシタ31はローパスフィルタを構成しているため、当該ローパスフィルタにより第1信号の位相は45°遅れることとなり、当該ローパスフィルタの出力端(ノードn1)での第1信号の位相は0°となる。また、キャパシタ32およびインダクタ22はハイパスフィルタを構成しているため、当該ハイパスフィルタにより第2信号の位相は45°進むこととなり、当該ハイパスフィルタの出力端(ノードn2)での第2信号の位相は0°となる。つまり、ノードn1における第1信号の位相とノードn2における第2信号の位相とは揃っている。
【0072】
位相が揃っている第1信号および第2信号は、それぞれインダクタ23および24を通過して合成され、当該合成された高周波信号が高周波出力端子102から出力される。このとき、増幅器12から出力された第2信号は、高周波出力端子102に接続された負荷により反射され、第2信号の反射成分がノードn2へ返ってくる。第2信号の反射成分は、インダクタ24を往復するため、ノードn2では位相が+180°となっている。一方、増幅器11から出力された第1信号のうち、ノードn1から抵抗41へ向かう成分のノードn2における位相は0°である。これにより、逆相の関係となる第2信号の反射成分と第1信号とが抵抗41で相殺される。同様にして、逆相の関係となる第1信号の反射成分と第2信号とが抵抗41で相殺される。これによれば、負荷変動があっても、増幅器11の出力端と増幅器12の出力端とのアイソレーションを大きく確保できる。つまり、第1モードによれば、負荷変動に対する耐性を向上できる。
【0073】
図3Bは、実施の形態1に係る増幅回路10の第2モードにおける回路状態図である。第2モードはドハティモードであり、言い換えれば効率優先モードである。同図に示すように、第2モードの場合、共通端子61aと選択端子61cとが接続され、共通端子61aと選択端子61bとが非接続となり、ノードn1とノードn2とが短絡された状態となる。このとき、増幅器11はAB級動作し、キャリアアンプとして動作する。一方、増幅器12はC級動作し、ピークアンプとして動作する。具体的には、増幅器12には、増幅器11に供給されるバイアス電流よりも小さなバイアス電流が供給される。
【0074】
なお、キャリアアンプとは、ドハティ型の増幅回路において、高周波信号の入力電力が低くても高くても動作する増幅素子を意味し、主としてAB級動作する。ピークアンプとは、ドハティ型の増幅回路において、高周波信号の入力電力が高い場合に主として動作する増幅素子を意味し、主としてC級動作する。したがって、高周波信号の入力電力が低い場合は、高周波信号は主としてキャリアアンプで増幅され、高周波信号の入力電力が高い場合には、高周波信号はキャリアアンプおよびピークアンプで増幅され合成される。このような動作により、ドハティ型の増幅回路では、低出力電力においてキャリアアンプからみた負荷インピーダンスが増大し、特に低出力電力における効率が向上し、高出力電力ではキャリアアンプおよびピークアンプの双方が動作しているので信号歪が抑制されて線形性が向上する。
【0075】
上記構成において、増幅器11の出力端での第1信号の位相は、例えば+45°であり、増幅器12の出力端での第2信号の位相は、例えば-45°である。
【0076】
インダクタ21およびキャパシタ31はローパスフィルタを構成しているため、当該ローパスフィルタにより第1信号の位相は45°遅れることとなり、当該ローパスフィルタの出力端(ノードn1)での第1信号の位相は0°となる。また、キャパシタ32およびインダクタ22はハイパスフィルタを構成しているため、当該ハイパスフィルタにより第2信号の位相は45°進むこととなり、当該ハイパスフィルタの出力端(ノードn2)での第2信号の位相は0°となる。つまり、ノードn1における第1信号の位相とノードn2における第2信号の位相とは揃っている。
【0077】
高周波信号の入力電力が低い場合、増幅器11および12のうち増幅器11のみが増幅動作し、高効率動作となる。高周波信号の入力電力が高い場合、増幅器11および12の双方が増幅動作し、第1信号と第2信号とがノードn1およびn2にて電流合成され、線形性が向上する。これにより、増幅器11および12がオン状態である高出力領域から、増幅器11のみがオン状態である低出力領域までのバックオフを有する動作が実現される。
【0078】
また、増幅回路10がローパワーモードで動作する場合、第1モードが選択され、増幅回路10がハイパワーモードで動作する場合、第2モードが選択されてもよい。
【0079】
これによれば、ローパワーモードの場合には、抵抗41がノードn1およびノードn2に接続されて負荷変動優先モードとなり、ハイパワーモードの場合には、ノードn1およびノードn2が短絡されて効率優先モードとなり、抵抗41の耐電力性を緩和できる。
【0080】
なお、ローパワーモードとは、増幅回路10の最大出力パワーが相対的に小さいモードであり、例えば、パワークラス3で許容される最大出力パワーよりも小さい最大出力パワーを有するモードである。また、ハイパワーモードとは、増幅回路10の最大出力パワーが相対的に大きいモードであり、例えば、パワークラス3で許容される最大出力パワー以上の最大出力パワーを有するモードである。
【0081】
また、パワークラスとは、最大出力パワーなどで定義されるUEの出力パワーの分類であり、パワークラスの値が小さいほど高いパワーの出力を許容することを示す。例えば、3GPP(登録商標)では、パワークラス1で許容される最大出力パワーは31dBmであり、パワークラス1.5で許容される最大出力パワーは29dBmであり、パワークラス2で許容される最大出力パワーは26dBmであり、パワークラス3で許容される最大出力パワーは23dBmである。
【0082】
図4は、実施の形態1に係る増幅回路10の増幅方法を示すフローチャートである。同図に示すように、増幅回路10の動作モードは、第1モードおよび第2モードを含む。
【0083】
増幅器11に入力される高周波信号と増幅器12に入力される高周波信号との位相差は略90°である。
【0084】
まず、増幅回路10は、増幅器11で増幅された第1信号のノードn1における位相および増幅器12で増幅された第2信号のノードn2における位相を揃える(S10)。
【0085】
次に、増幅回路10は、第1モード(S20の第1モード)では、位相が揃えられた第1信号が伝送する第1経路(のノードn1)と位相が揃えられた第2信号が伝送する第2経路(のノードn2)とを、抵抗41を介して接続し、第1信号および第2信号を合成する(S31)。
【0086】
一方、増幅回路10は、第2モード(S20の第2モード)では、位相が揃えられた第1信号が伝送する第1経路(のノードn1)と位相が揃えられた第2信号が伝送する第2経路(のノードn2)とを、抵抗41を介さずに接続し、第1信号および第2信号を合成する(S32)。
【0087】
これによれば、第1モードでは負荷変動耐性を向上でき、第2モードでは効率を向上できる。
【0088】
[1.1.6 変形例1に係る増幅回路10Aの回路構成]
次に、変形例1に係る増幅回路10Aの回路構成について説明する。
【0089】
図5は、実施の形態1の変形例1に係る増幅回路10Aの回路構成図である。同図に示すように、増幅回路10Aは、増幅器11および12と、90°ハイブリッド50と、インダクタ21、22、23、24および28と、キャパシタ31、32、33、34および35と、抵抗41と、移相線路51および52と、スイッチ64と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。本変形例に係る増幅回路10Aは、実施の形態1に係る増幅回路10と比較して、第1回路の構成が異なる。以下、本変形例に係る増幅回路10Aについて、実施の形態1に係る増幅回路10と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0090】
スイッチ64、抵抗41およびインダクタ28は、第1回路を構成する。抵抗41は、第1抵抗の一例であり、第1端および第2端を有する。インダクタ28は、第1回路素子の一例である。なお、インダクタ28に代えて、第1回路素子としてキャパシタが配置されてもよい。
【0091】
第1回路は、インダクタ21および23を結ぶ第1経路と、キャパシタ32およびインダクタ24を結ぶ第2経路との間に接続されている。抵抗41の一端(第1端)は、スイッチ64を介して第1経路(ノードn1)に接続され、抵抗41の他端(第2端)は、第2経路(ノードn2)に接続されている。インダクタ28の一端は、スイッチ64を介して第1経路(ノードn1)に接続され、インダクタ28の他端は、第2経路(ノードn2)に接続されている。
【0092】
スイッチ64は、第1スイッチの一例であり、共通端子64a、選択端子64b、64cおよび64dを有するSP3T(Single-Pole 3-Throw)型のスイッチである。共通端子64aは第1経路(ノードn1)に接続され、選択端子64bは抵抗41の第1端に接続され、選択端子64cは第2経路(ノードn2)に接続され、選択端子64dはインダクタ28の一端に接続されている。この接続構成によれば、スイッチ64は、(1)第1経路と第2経路とを抵抗41を介して接続する、(2)第1経路と第2経路とを短絡する、および(3)第1経路と第2経路とをインダクタ28を介して接続する、を切り替える。より具体的には、共通端子64aと選択端子64bとが接続されることにより第1経路と第2経路とは抵抗41を介して接続され、共通端子64aと選択端子64cとが接続されることにより第1経路と第2経路とは抵抗41を介さずに短絡され、共通端子64aと選択端子64dとが接続されることにより第1経路と第2経路とはインダクタ28を介して接続される。
【0093】
なお、スイッチ64と抵抗41およびインダクタ28との接続関係が逆であってもよい。つまり、共通端子64aはが第2経路に接続され、選択端子64bが抵抗41の第1端に接続され、選択端子64dがインダクタ28の一端に接続され、選択端子64cが第1経路に接続されてもよい。
【0094】
また、スイッチ64は、2つのSPST型のスイッチであってもよい。この場合には、2つのSPST型のスイッチの一方は第1経路と第2経路との間で抵抗41と並列接続される。また、2つのSPST型のスイッチの他方は第1経路と第2経路との間でインダクタ28と並列接続される。この接続構成であっても、2つのSPST型のスイッチは、(1)第1経路と第2経路とを抵抗41を介して接続する、(2)第1経路と第2経路とを短絡する、および(3)第1経路と第2経路とをインダクタ28を介して接続する、を切り替えることが可能となる。
【0095】
また、抵抗41、インダクタ23および24は、ウィルキンソン型の電力合成器を構成している。
【0096】
なお、本変形例に係る増幅回路10Aにおいて、増幅器11および12、高周波出力端子102、インダクタ21、22、23、24および28、キャパシタ31および32、抵抗41、ならびにスイッチ64は、必須の構成要素であり、90°ハイブリッド50、キャパシタ33、34および35、移相線路51および52はなくてもよい。
【0097】
[1.1.7 変形例1に係る増幅回路10Aの動作モード]
本変形例に係る増幅回路10Aは、比較例1に係る増幅回路500と比較して、負荷変動耐性を有する負荷変動優先モード、および、効率を向上させる効率優先モードの双方を両立できる。
【0098】
図5において、第1モード(バランスモード)の場合、共通端子64aと選択端子64bとが接続され、共通端子64aと選択端子64cとが非接続となり、共通端子64aと選択端子64dとが非接続となり、抵抗41がノードn1およびノードn2に接続された状態となる。このとき、増幅器11および12の双方はAB級動作する。具体的には、増幅器11および12には、AB級動作可能なバイアス電流が供給される。
【0099】
上記構成によれば、増幅器11の出力端での第1信号の位相は+45°であり、増幅器12の出力端での第2信号の位相は-45°である。インダクタ21およびキャパシタ31はローパスフィルタを構成しているため、当該ローパスフィルタの出力端(ノードn1)での第1信号の位相は0°となる。キャパシタ32およびインダクタ22はハイパスフィルタを構成しているため、当該ハイパスフィルタの出力端(ノードn2)での第2信号の位相は0°となる。つまり、ノードn1における第1信号の位相とノードn2における第2信号の位相とは揃っている。
【0100】
ノードn1およびノードn2において位相が揃っている第1信号および第2信号は、それぞれインダクタ23および24を通過して合成され、当該合成された高周波信号が高周波出力端子102から出力される。このとき、高周波出力端子102に接続された負荷により反射され、第2信号の反射成分がノードn2へ返ってくる。第2信号は、インダクタ24を往復するため、第2信号の反射成分のノードn2における位相は+180°となっている。一方、増幅器11から出力された第1信号のうち、ノードn1から抵抗41へ向かう成分のノードn2における位相は0°である。これにより、逆相の関係となる第2信号の反射成分と第1信号とが抵抗41で相殺される。同様にして、逆相の関係となる第1信号の反射成分と第2信号とが抵抗41で相殺される。これによれば、負荷変動があっても、増幅器11の出力端と増幅器12の出力端とのアイソレーションを大きく確保できる。つまり、第1モードによれば、負荷変動に対する耐性を向上できる。
【0101】
また、
図5において、第2モード(ドハティモード)の場合、共通端子64aと選択端子64cとが接続され、共通端子64aと選択端子64bとが非接続となり、共通端子64aと選択端子64dとが非接続となり、ノードn1とノードn2とが短絡された状態となる。このとき、増幅器11はAB級動作し、キャリアアンプとして動作する。一方、増幅器12はC級動作し、ピークアンプとして動作する。具体的には、増幅器12には、増幅器11に供給されるバイアス電流よりも小さなバイアス電流が供給される。
【0102】
上記構成によれば、増幅器11の出力端での第1信号の位相は+45°であり、増幅器12の出力端での第2信号の位相は-45°である。インダクタ21およびキャパシタ31はローパスフィルタを構成しているため、当該ローパスフィルタの出力端(ノードn1)での第1信号の位相は0°となる。また、キャパシタ32およびインダクタ22はハイパスフィルタを構成しているため、当該ハイパスフィルタの出力端(ノードn2)での第2信号の位相は0°となる。つまり、ノードn1における第1信号の位相とノードn2における第2信号の位相とは揃っている。
【0103】
高周波信号の入力電力が低い場合、増幅器11および12のうち増幅器11のみが増幅動作し、高効率動作となる。高周波信号の入力電力が高い場合、増幅器11および12の双方が増幅動作し、第1信号と第2信号とがノードn1およびn2にて電流合成され、線形性が向上する。これにより、増幅器11および12がオン状態である高出力領域から、増幅器11のみがオン状態である低出力領域までのバックオフを有する動作が実現される。
【0104】
また、
図5において、第3モード(ドハティモード)の場合、共通端子64aと選択端子64dとが接続され、共通端子64aと選択端子64bとが非接続となり、共通端子64aと選択端子64cとが非接続となり、ノードn1とノードn2とがインダクタ28を介して接続された状態となる。このとき、増幅器11はAB級動作し、キャリアアンプとして動作する。一方、増幅器12はC級動作し、ピークアンプとして動作する。具体的には、増幅器12には、増幅器11に供給されるバイアス電流よりも小さなバイアス電流が供給される。
【0105】
上記構成によれば、増幅器11の出力端での第1信号の位相は+45°であり、増幅器12の出力端での第2信号の位相は-45°である。インダクタ21およびキャパシタ31はローパスフィルタを構成しているため、当該ローパスフィルタの出力端(ノードn1)での第1信号の位相は0°となる。また、キャパシタ32およびインダクタ22はハイパスフィルタを構成しているため、当該ハイパスフィルタの出力端(ノードn2)での第2信号の位相は0°となる。つまり、ノードn1における第1信号の位相とノードn2における第2信号の位相とは揃っている。
【0106】
高周波信号の入力電力が低い場合、増幅器11および12のうち増幅器11のみが増幅動作し、高効率動作となる。高周波信号の入力電力が高い場合、増幅器11および12の双方が増幅動作し、第1信号と第2信号とがノードn1およびn2にて電流合成され、線形性が向上する。これにより、増幅器11および12がオン状態である高出力領域から、増幅器11のみがオン状態である低出力領域までのバックオフを有する動作が実現される。
【0107】
また、
図5において、増幅回路10Aにローパワーモードが適用される場合、共通端子64aと選択端子64bとが接続され、共通端子64aと選択端子64cとが非接続となり、共通端子64aと選択端子64dとが非接続となり、抵抗41がノードn1およびノードn2に接続された状態となる。または、共通端子64aと選択端子64dとが接続され、共通端子64aと選択端子64bとが非接続となり、共通端子64aと選択端子64cとが非接続となり、インダクタ28がノードn1およびn2に接続された状態となる。このとき、増幅器11はAB級動作する。また、増幅器12は増幅動作しない。具体的には、増幅器11には、AB級動作可能なバイアス電流が供給され、増幅器12には、バイアス電流の供給が停止される。
【0108】
上記構成によれば、ローパワーモードでは増幅器11のみが増幅動作するので、負荷変動に対する耐性を向上できる。また、増幅器11および12のうち増幅器11のみが増幅動作し、高効率動作となる。
【0109】
なお、ローパワーモードにおいて、第1モード(バランスモード)を適用してもよい。この場合、共通端子64aと選択端子64bとが接続され、共通端子64aと選択端子64cとが非接続となり、共通端子64aと選択端子64dとが非接続となり、抵抗41がノードn1およびn2に接続された状態となる。このとき、増幅器11および12の双方はAB級動作する。具体的には、増幅器11および12には、AB級動作可能なバイアス電流が供給される。
【0110】
これによれば、ローパワーモードにおいて、負荷変動に対する耐性を向上できる。
【0111】
図6は、変形例1に係る増幅回路10Aの第1(バランス)モード、第2(ドハティ)モードおよび第3(ドハティ)モードにおける負荷インピーダンス、電源電流、利得および電力付加効率を示す図である。同図の(a)には増幅器11の負荷インピーダンスが示され、(b)には増幅器12の負荷インピーダンスが示され、(c)には増幅器11の電源電流が示され、(d)には増幅器12の電源電流が示され、(e)には増幅回路10Aの利得が示され、(f)には増幅回路10Aの電力付加効率(PAE)が示されている。
【0112】
図6の(a)および(b)に示すように、第1(バランス)モードでは、入力電力が増加しても負荷インピーダンスは、ほぼ変動しない。つまり、第1(バランス)モードでは、増幅回路10Aは、高い負荷変動耐性を有している。
【0113】
また、
図6の(f)に示すように、第2(ドハティ)モードおよび第3(ドハティ)モードでは、第1モードと比較して出力電力の全範囲において高効率となっている。また、第3モードのほうが第2モードよりも高効率となっている。
【0114】
上記観点より、増幅回路10Aがパワークラス1.5に対応する場合、第3モードが適用され、増幅回路10Aがパワークラス2に対応する場合、第2モードが適用され、増幅回路10Aがパワークラス3に対応する場合、第1モードが適用されてもよい。
【0115】
これによれば、増幅回路10Aがハイパワーレベルの出力電力を出力する場合、効率を優先でき、増幅回路10Aがローパワーレベルの出力電力を出力する場合、負荷変動耐性を優先できる。
【0116】
図7は、変形例1に係る増幅回路10Aのローパワーモード時における負荷インピーダンス、電源電流、利得および電力付加効率を示す図である。同図には、(1)ノードn1およびノードn2が抵抗41を介して接続されたバランスモード、(2)ノードn1およびノードn2が抵抗41を介して接続され、増幅器11のみが増幅動作したモード(第4モード)、および(3)ノードn1およびノードn2がインダクタ28を介して接続され、増幅器11のみが増幅動作したモード(第5モード)における、各特性が示されている。同図の(a)には増幅器11の負荷インピーダンスが示され、(b)には増幅器12の負荷インピーダンスが示され、(c)には増幅器11の電源電流が示され、(d)には増幅器12の電源電流が示され、(e)には増幅回路10Aの利得が示され、(f)には増幅回路10Aの電力付加効率(PAE)が示されている。
【0117】
図7の(a)および(b)に示すように、第1(バランス)モード、第4モードおよび第5モードでは、入力電力が増加しても負荷インピーダンスは、ほぼ変動しない。つまり、ローパワーモード時の第1モード、第4モードおよび第5モードは、高い負荷変動耐性を有している。
【0118】
また、
図7の(f)に示すように、第4モードおよび第5モードでは、第1モードと比較して、低出力領域において高効率となっている。また、第5モードのほうが第4モードよりも高効率となっている。
【0119】
上記観点より、増幅回路10Aがローパワーモードに対応する場合、第4モードおよび第5モードのいずれかが適用されてもよい。
【0120】
これによれば、増幅回路10Aがローパワーレベルの出力電力を出力する場合、負荷変動耐性および効率の双方を向上できる。
【0121】
[1.1.8 変形例2に係る増幅回路10Bの回路構成]
次に、変形例2に係る増幅回路10Bの回路構成について説明する。
【0122】
図8は、実施の形態1の変形例2に係る増幅回路10Bの回路構成図である。同図に示すように、増幅回路10Bは、増幅器11および12と、90°ハイブリッド50と、λ/4伝送線路53と、インダクタ23、24および28と、キャパシタ33、34、35および36と、抵抗41と、移相線路51および52と、スイッチ64と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。本変形例に係る増幅回路10Bは、変形例1に係る増幅回路10Aと比較して、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタの構成が異なる。以下、本変形例に係る増幅回路10Bについて、変形例1に係る増幅回路10Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0123】
λ/4伝送線路53は、第3移相回路の一例であり、増幅器11の出力端およびインダクタ23を結ぶ第1出力経路に直列配置されている。λ/4伝送線路53は、第1信号を第1位相量で移相する。この場合、第1位相量は、90°である。
【0124】
増幅器12の出力端およびインダクタ24を結ぶ第2出力経路は、DCカット用のキャパシタを除き、配線で構成されている。上記配線は、第4移相回路の一例であり、第2信号を第2位相量で移相する。この場合、第2位相量は、0°である。
【0125】
キャパシタ36は、第2出力経路に直列配置され、増幅器12に供給される直流の電源電圧を高周波出力端子102側へ漏洩することを抑制する。
【0126】
なお、本変形例に係る増幅回路10Bにおいて、増幅器11および12、高周波出力端子102、λ/4伝送線路53、インダクタ23、24および28、抵抗41、ならびにスイッチ64は、必須の構成要素であり、90°ハイブリッド50、キャパシタ33、34、35および36、移相線路51および52はなくてもよい。
【0127】
これによれば、バランスモードおよびドハティモードを選択できるので、負荷変動耐性を向上させるだけでなく、高効率を実現できる。
【0128】
[1.2 増幅回路および高周波回路の部品配置]
次に、変形例1に係る増幅回路10Aおよび高周波回路1Aの部品配置について説明する。
【0129】
図9は、変形例1に係る高周波回路1Aの平面図および断面図である。
図9の(a)には、モジュール基板90の主面90aをz軸正方向側から透視した場合の回路部品の配置が示されている。また、
図9の(b)には、
図9の(a)のVIII-VIII線における断面図が示されている。なお、
図9において、モジュール基板90および各回路部品を接続する配線の図示が一部省略されている。
【0130】
高周波回路1Aは、
図1に示された高周波回路1に対して、増幅回路10が増幅回路10Aに置き換わった構成を有する。高周波回路1Aは、さらに、モジュール基板90と、樹脂部材91および92と、シールド電極層95と、複数の外部接続端子150と、を有している。
【0131】
モジュール基板90は、互いに対向する主面90aおよび90bを有し、高周波回路1Aを構成する回路部品を実装する基板である。モジュール基板90としては、例えば、複数の誘電体層の積層構造を有する低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)基板、高温同時焼成セラミックス(High Temperature Co-fired Ceramics:HTCC)基板、部品内蔵基板、再配線層(Redistribution Layer:RDL)を有する基板、または、プリント基板等が用いられる。
【0132】
樹脂部材91は、主面90aに配置され、複数の回路部品の一部および主面90aを覆っており、上記複数の回路部品の機械強度および耐湿性などの信頼性を確保する機能を有している。樹脂部材92は、主面90bに配置され、回路部品の一部および主面90bを覆っており、上記回路部品の機械強度および耐湿性などの信頼性を確保する機能を有している。
【0133】
シールド電極層95は、樹脂部材91の表面および側面、ならびに樹脂部材92の側面を覆い、かつ、グランド電位に設定されている。これにより、外部回路との電磁界遮蔽機能が向上する。
【0134】
なお、樹脂部材91および92、ならびにシールド電極層95は、高周波回路1Aに必須の構成要素ではない。
【0135】
複数の外部接続端子150は、主面90bに配置されている。高周波回路1Aは、高周波回路1Aのz軸負方向側に配置される外部基板と、複数の外部接続端子150を経由して、電気信号のやりとりを行う。また、複数の外部接続端子150のいくつかは外部基板のグランド電位に設定されている。
【0136】
図9に示すように、モジュール基板90の主面90aには、増幅器11および12、90°ハイブリッド50、フィルタ71~74、インダクタ21~28、抵抗41、ならびにキャパシタ31~35が配置されている。
【0137】
また、モジュール基板90の主面90bには、低雑音増幅器13および14、ならびにスイッチ62~64が配置されている。
【0138】
これによれば、モジュール基板90の主面90aおよび90bに回路部品が振り分けられて配置されているので、高周波回路1Aを小型化できる。
【0139】
増幅器11、12、および90°ハイブリッド50は、半導体IC82に含まれている。低雑音増幅器13および14、ならびにスイッチ63は、半導体IC81に含まれている。スイッチ64および62は、半導体IC83に含まれている。
【0140】
これによれば、増幅器11および12が1チップ化され、低雑音増幅器13および14、ならびにスイッチ63が1チップ化され、スイッチ64および62が1チップ化されているので、高周波回路1Aを小型化できる。
【0141】
半導体IC81、82および83は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いて構成され、具体的にはSOI(Silicon on Insulator)プロセスにより製造されてもよい。また、半導体ICは、GaAs、SiGe及びGaNのうちの少なくとも1つで構成されてもよい。なお、半導体IC81~83の半導体材料は、上述した材料に限定されない。
【0142】
ここで、モジュール基板90を平面視した場合、抵抗41と半導体IC83とは、少なくとも一部重なっている。
【0143】
これによれば、抵抗41とスイッチ64とを接続する配線を短くできるので、高周波回路1Aの伝送損失を低減できる。
【0144】
なお、実施の形態1に係る高周波回路1は、高周波回路1Aの上記部品配置と、(1)スイッチ61に代えてスイッチ64が配置される、(2)インダクタ28が配置されない、ことを除き同じである。
【0145】
[1.3 効果など]
以上、本実施の形態に係る増幅回路10は、増幅器11および12と、高周波出力端子102と、増幅器11の出力端および高周波出力端子102の間に接続されたインダクタ23と、増幅器12の出力端および高周波出力端子102の間に接続されたインダクタ24と、増幅器11の出力端およびインダクタ23を結ぶ第1出力経路に直列配置されたインダクタ21と、第1出力経路およびグランドの間に接続されたキャパシタ31と、増幅器12の出力端およびインダクタ24を結ぶ第2出力経路に直列配置されたキャパシタ32と、第2出力経路およびグランドの間に接続されたインダクタ22と、インダクタ21および23を結ぶ第1経路と、キャパシタ32およびインダクタ24を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、第1回路は、一端が第1経路に接続され、他端が第2経路に接続される抵抗41と、第1経路と第2経路とを抵抗41を介して接続する、および、抵抗41を介さずに接続する、を切り替えるスイッチ61と、を有する。
【0146】
これによれば、ノードn1およびノードn2が抵抗41を介して接続されたバランスモードにおいて負荷変動耐性を向上でき、また、ノードn1およびノードn2が抵抗41を介さずに接続されたドハティモードにおいて効率を向上できる。よって、負荷変動耐性を向上させるだけでなく、高効率を実現できる。
【0147】
また例えば、本実施の形態に係る増幅回路10および変形例2に係る増幅回路10Bは、増幅器11および12と、高周波出力端子102と、増幅器11の出力端および高周波出力端子102の間に接続されたインダクタ23と、増幅器12の出力端および高周波出力端子102の間に接続されたインダクタ24と、増幅器11の出力端およびインダクタ23に接続され、第1位相量で高周波信号を移相する第3移相回路と、増幅器12の出力端およびインダクタ24に接続され、第1位相量との差が90°である第2位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、第3移相回路およびインダクタ23を結ぶ第1経路と、第4移相回路およびインダクタ24を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、第1回路は、一端が第1経路に接続され、他端が第2経路に接続される抵抗41と、第1経路と第2経路とを抵抗41を介して接続する、および、抵抗41を介さずに接続する、を切り替えるスイッチ61と、を有する。
【0148】
これによれば、ノードn1およびノードn2が抵抗41を介して接続されたバランスモードにおいて負荷変動耐性を向上でき、また、ノードn1およびノードn2が抵抗41を介さずに接続されたドハティモードにおいて効率を向上できる。よって、負荷変動耐性を向上させるだけでなく、高効率を実現できる。
【0149】
また例えば、増幅回路10において、スイッチ61は、共通端子61a、選択端子61bおよび61cを有し、抵抗41の第1端は選択端子61bに接続され、共通端子61aは第1経路および第2経路の一方に接続され、抵抗41の第2端は第1経路および第2経路の他方に接続され、選択端子61cは、抵抗を介さずに第1経路および第2経路の他方に接続される。
【0150】
これによれば、SPDT型のスイッチにより、第1経路および第2経路が抵抗41を介して接続される場合と第1経路および第2経路が抵抗41を介さずに接続される場合とを切り替えることが可能となる。
【0151】
また例えば、増幅回路10において、選択端子61cと第1経路および第2経路の他方とは短絡される。
【0152】
これによれば、第1経路および第2経路が抵抗41を介して接続されるバランスモードと、第1経路および第2経路が短絡されるドハティモードとを、選択的に実行できる。
【0153】
また例えば、増幅回路10において、第1回路により第1経路と第2経路とが短絡された場合、増幅器11はAB級動作し、かつ、増幅器12はC級動作し、第1回路により第1経路と第2経路とが短絡されず、抵抗41が第1経路および第2経路に接続された場合、増幅器11はAB級動作し、かつ、増幅器12はAB級動作する。
【0154】
これによれば、第1経路および第2経路が抵抗41を介して接続されるバランスモードと、第1経路および第2経路が短絡されるドハティモードとを、選択的に実行できる。
【0155】
また例えば、増幅回路10において、ローパワーモードが適用される場合、第1回路により第1経路と第2経路とが短絡されず、抵抗41が第1経路および第2経路に接続され、ハイパワーモードが適用される場合、第1回路により第1経路と第2経路とが短絡される。
【0156】
これによれば、ローパワーモードではバランスモードとなり、ハイパワーモードではドハティモードとなるので、低出力領域では負荷変動耐性を向上でき、高出力領域では高効率を実現できる。
【0157】
また例えば、変形例1に係る増幅回路10Aにおいて、第1回路は、さらに、インダクタ28またはキャパシタである第1回路素子を有し、スイッチ64は、共通端子64a、選択端子64b、64cおよび64dを有し、抵抗41の第1端は選択端子64bに接続され、共通端子64aは第1経路および第2経路の一方に接続され、抵抗41の第2端は第1経路および第2経路の他方に接続され、選択端子61cは第1経路および第2経路の他方に接続され、第1回路素子の一端は選択端子64dに接続され、第1回路素子の他端は第1経路および第2経路の前記他方に接続される。
【0158】
これによれば、ノードn1およびノードn2が抵抗41を介して接続されたバランスモードにおいて負荷変動耐性を向上でき、また、ノードn1およびノードn2が短絡されたドハティモードまたはノードn1およびノードn2が第1回路素子を介して接続されたドハティモードにおいて効率を向上できる。よって、負荷変動耐性を向上させるだけでなく、高効率を実現できる。
【0159】
また例えば、増幅回路10Aにおいて、第1経路と第2経路とが短絡された場合、増幅器11はAB級動作し、かつ、増幅器12はC級動作し、第1回路素子が第1経路および第2経路と接続された場合、増幅器11はAB級動作し、かつ、増幅器12はC級動作し、抵抗41が第1経路および第2経路と接続された場合、増幅器11はAB級動作し、かつ、増幅器12はAB級動作する。
【0160】
これによれば、第1経路および第2経路が抵抗41を介して接続されるバランスモードと、第1経路および第2経路が短絡されるドハティモードと、第1経路および第2経路が第1回路素子を介して接続されるドハティモードとを、選択的に実行できる。
【0161】
また例えば、増幅回路10Aにおいて、パワークラス1.5に対応する場合、第1回路素子が第1経路および第2経路に接続され、パワークラス2に対応する場合、第1経路と第2経路とが短絡され、パワークラス3に対応する場合、抵抗41が第1経路および第2経路に接続される。
【0162】
これによれば、パワークラス3では負荷変動耐性を向上でき、パワークラス1.5および2では高効率を実現できる。
【0163】
また例えば、増幅回路10Aにおいて、ローパワーモードが適用される場合、抵抗41が第1経路および第2経路に接続される。
【0164】
これによれば、ローパワーモードでは負荷変動耐性を向上できる。
【0165】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1および変形例1に係る高周波回路1Aは、増幅回路10(または10A)と、バンドAの少なくとも一部を含む通過帯域を有するフィルタ71と、バンドBの少なくとも一部を含む通過帯域を有するフィルタ72と、フィルタ71と高周波出力端子102との接続およびフィルタ72と高周波出力端子102との接続を切り替えるスイッチ62と、を備える。
【0166】
これによれば、マルチバンドに対応可能な高周波回路1(および1A)を提供できる。
【0167】
また例えば、高周波回路1および1Aは、さらに、互いに対向する主面90aおよび90bを有するモジュール基板90と、主面90bに配置された外部接続端子150と、を備え、増幅器11および12は主面90aに配置され、スイッチ61(または64)およびスイッチ62は主面90bに配置される。
【0168】
これによれば、モジュール基板90の主面90aおよび90bに回路部品が振り分けられて配置されているので、高周波回路1(および1A)を小型化できる。
【0169】
また例えば、高周波回路1および1Aにおいて、スイッチ61(または64)およびスイッチ62は、1つの半導体IC83に含まれる。
【0170】
これによれば、スイッチ61(または64)および62が1チップ化されているので、高周波回路1(および1A)を小型化できる。
【0171】
また例えば、高周波回路1および1Aにおいて、抵抗41は主面90aに配置され、モジュール基板90を平面視した場合、抵抗41と半導体IC83とは、少なくとも一部重なっている。
【0172】
これによれば、抵抗41とスイッチ61(または64)とを接続する配線を短くできるので、高周波回路1(および1A)の伝送損失を低減できる。
【0173】
また、本実施の形態に係る通信装置4は、高周波信号を処理するRFIC3と、RFIC3とアンテナ2との間で高周波信号を伝送する増幅回路10と、を備える。
【0174】
これによれば、増幅回路10の効果を通信装置4で実現することができる。
【0175】
また、本実施の形態に係る増幅方法は、増幅器11で増幅された第1信号および増幅器12で増幅された第2信号の位相を揃え、第1モードでは、上記位相が揃えられた第1信号を伝送する第1経路と上記位相が揃えられた第2信号を伝送する第2経路とを抵抗41を介して接続し、第1信号および第2信号を合成し、第2モードでは、上記位相が揃えられた第1信号を伝送する第1経路と上記位相が揃えられた第2信号を伝送する第2経路とを抵抗41を介さずに接続し、第1信号および前記第2信号を合成する。
【0176】
これによれば、第1モードはバランスモードとなり負荷変動耐性を向上でき、第2モードはドハティモードとなり効率を向上できる。
【0177】
(実施の形態2)
実施の形態1では、バランスモードおよびドハティモードの双方で高効率動作可能な増幅回路について説明したのに対して、実施の形態2では、ドハティモードで高効率動作可能な増幅回路について説明する。
【0178】
[2.1 増幅回路、高周波回路および通信装置の回路構成]
本実施の形態に係る増幅回路210、高周波回路5および通信装置7の回路構成について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、実施の形態2に係る増幅回路210、高周波回路5および通信装置7の回路構成図である。
【0179】
[2.1.1 通信装置7の回路構成]
まず、通信装置7の回路構成について説明する。
図10に示すように、本実施の形態に係る通信装置7は、高周波回路5と、アンテナ2と、RFIC6と、を備える。本実施の形態に係る通信装置7は、実施の形態1に係る通信装置4と比較して、増幅回路210の構成が異なる。よって以下では、本実施の形態に係る通信装置7について、実施の形態1に係る通信装置4と同じ構成については説明を省略し、増幅回路210の回路構成を中心に説明する。
【0180】
高周波回路5は、アンテナ2とRFIC6との間で高周波信号を伝送する。
【0181】
アンテナ2は、高周波回路5のアンテナ接続端子100に接続され、高周波回路5から出力された高周波信号を送信する。なお、アンテナ2は、外部から高周波信号を受信して高周波回路5へ出力してもよい。
【0182】
RFIC6は、高周波信号を処理する信号処理回路の一例である。具体的には、RFIC6は、BBICから入力された送信信号をアップコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された送信信号を、高周波回路5の送信経路に出力する。また、RFIC6は、高周波回路5の受信経路を介して入力された受信信号をダウンコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をBBICへ出力する。
【0183】
なお、本実施の形態に係る通信装置7において、アンテナ2は、必須の構成要素ではない。
【0184】
[2.1.2 高周波回路5の回路構成]
図10に示すように、高周波回路5は、増幅回路210と、フィルタ71、72、73および74と、スイッチ62および63と、低雑音増幅器13および14と、インダクタ25、26および27と、アンテナ接続端子100と、を備える。
【0185】
増幅回路210は、高周波入力端子201から入力されたバンドAおよびバンドBの送信信号を増幅する回路である。
【0186】
なお、フィルタ71~74、スイッチ62および63、低雑音増幅器13および14、ならびにインダクタ25~27は、実施の形態1に係る高周波回路1が備える回路部品と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0187】
上記回路構成によれば、高周波回路5は、バンドAおよびバンドBのいずれかの高周波信号を、送信および/または受信することが可能である。さらに、高周波回路5は、バンドAおよびバンドBの高周波信号を、同時送信、同時受信、および同時送受信の少なくともいずれかで実行することも可能である。
【0188】
なお、本発明に係る高周波回路5は、
図10に示された回路構成のうち、増幅回路210、スイッチ62、フィルタ71および72を、少なくとも有していればよい。
【0189】
[2.1.3 増幅回路210の回路構成]
次に、増幅回路210の回路構成について、詳細に説明する。
【0190】
図10に示すように、増幅回路210は、キャリアアンプ211およびピークアンプ212と、90°ハイブリッド250と、インダクタ221、222、223および224と、キャパシタ231、232、233、234および235と、移相線路251および252と、高周波入力端子201と、高周波出力端子202と、を備える。本実施の形態に係る増幅回路210は、実施の形態1に係る増幅回路10と比較して、スイッチ61および抵抗41がなく、増幅器11および12がドハティモード専用のキャリアアンプ211およびピークアンプ212となっている点が異なる。よって以下では、本実施の形態に係る増幅回路210について、実施の形態1に係る増幅回路10と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0191】
高周波入力端子201は、RFIC6に接続されている。高周波出力端子202は、出力端子の一例であり、スイッチ62および63ならびにフィルタ71および72を介してアンテナ接続端子100に接続されている。
【0192】
キャリアアンプ211は、90°ハイブリッド250の一方の出力端から出力された第1高周波信号の全ての電力レベルに対して増幅動作可能なA級(またはAB級)増幅回路であり、特に、低出力領域および中出力領域において高効率な増幅動作が可能である。
【0193】
ピークアンプ212は、90°ハイブリッド250の他方の出力端から出力された第2高周波信号の電力レベルが高い領域で増幅動作可能なC級増幅回路である。ピークアンプ212が有する増幅トランジスタには、キャリアアンプ211が有する増幅トランジスタに印加されるバイアス電圧よりも低いバイアス電圧が印加されているため、第2高周波信号の電力レベルが高くなるほど、出力インピーダンスが低くなる。これにより、ピークアンプ212は、高出力領域において低歪の増幅動作が可能である。
【0194】
キャリアアンプ211およびピークアンプ212のそれぞれは、増幅トランジスタを有する。上記増幅トランジスタは、例えば、HBT等のバイポーラトランジスタ、または、MOSFET等の電界効果トランジスタである。
【0195】
90°ハイブリッド250は、入力端が高周波入力端子201に接続され、一方の出力端がキャリアアンプ211の入力端に接続され、他方の出力端がピークアンプ212の入力端に接続されている。
【0196】
インダクタ223は、第3インダクタの一例であり、キャリアアンプ211の出力端および高周波出力端子202の間に接続されている。インダクタ223は、その両端での高周波信号の位相差を、例えば45°とする。インダクタ224は、第4インダクタの一例であり、ピークアンプ212の出力端および高周波出力端子202の間に接続されている。インダクタ224は、その両端での高周波信号の位相差を、例えば45°とする。
【0197】
なお、キャリアアンプ211の出力端および高周波出力端子202の間に接続される回路部品としては、インダクタ223でなくてもよく、高周波信号の位相を45°シフトさせる第1移相回路であってもよい。第1移相回路は、例えば、インダクタ223を含む回路または1/8波長伝送線路である。
【0198】
また、ピークアンプ212の出力端および高周波出力端子202の間に接続される回路部品としては、インダクタ224でなくてもよく、高周波信号の位相を45°シフトさせる第2移相回路であってもよい。第2移相回路は、例えば、インダクタ224を含む回路または1/8波長伝送線路である。
【0199】
なお、第1移相回路は、第1位相量で第1高周波信号を移相し、第2移相回路は、第2位相量で第2高周波信号を移相する場合、第1位相量と第2位相量とは等しいことが望ましい。
【0200】
これによれば、90°ハイブリッド250、キャリアアンプ211、インダクタ221および第1移相回路を経由した第1高周波信号と、90°ハイブリッド250、ピークアンプ212、キャパシタ232および第2移相回路を経由した第2高周波信号とを、高周波出力端子202において低損失で電流合成することが可能となる。
【0201】
また、第1移相回路がインダクタ221と高周波出力端子202とを結ぶ経路に直列配置されたインダクタ223であり、第2移相回路がキャパシタ232と高周波出力端子202とを結ぶ経路に直列配置されたインダクタ224である場合、インダクタ223のインダクタンス値とインダクタ224のインダクタンス値とは等しいことが望ましい。
【0202】
これによれば、90°ハイブリッド250、キャリアアンプ211、インダクタ221および223を経由した第1高周波信号と、90°ハイブリッド250、ピークアンプ212、キャパシタ232およびインダクタ224を経由した第2高周波信号とを、高周波出力端子202において低損失で電流合成することが可能となる。
【0203】
インダクタ221は、第1インダクタの一例であり、キャリアアンプ211の出力端およびインダクタ223を結ぶ第1出力経路に直列配置されている。キャパシタ231は、第1キャパシタの一例であり、上記第1出力経路およびグランドの間に接続されている。インダクタ221およびキャパシタ231は、ローパスフィルタを構成しており、高周波信号の位相を略45°遅らせる。
【0204】
キャパシタ232は、第2キャパシタの一例であり、ピークアンプ212の出力端およびインダクタ224を結ぶ第2出力経路に直列配置されている。インダクタ222は、第2インダクタの一例であり、上記第2出力経路およびグランドの間に接続されている。キャパシタ232およびインダクタ222は、ハイパスフィルタを構成しており、高周波信号の位相を略45°進ませる。
【0205】
なお、増幅回路210は、インダクタ221およびキャパシタ231で構成されたローパスフィルタの代わりに、第1高周波信号を第4位相量で移相する第4移相回路を第1出力経路に直列配置し、キャパシタ232およびインダクタ222で構成されたハイパスフィルタの代わりに、第2高周波信号を第4位相量との差が90°である第5位相量で移相する第5移相回路を第2出力経路に直列配置するよう構成されていてもよい。
【0206】
なお、本実施の形態において、高周波信号の位相および位相差の数値は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば30%程度の差異をも含むことを意味する。
【0207】
なお、本実施の形態に係る増幅回路210において、インダクタ221とインダクタ223とを結ぶ経路、および、キャパシタ232とインダクタ224とを結ぶ経路の間に、抵抗は接続されない。
【0208】
キャパシタ233は、第1経路に直列配置され、キャリアアンプ211に供給される直流の電源電圧を高周波出力端子202側へ漏洩することを抑制する。キャパシタ235は、インダクタ223および224と高周波出力端子202とを結ぶ経路に接続されたインピーダンス整合用の回路素子である。なお、キャパシタ235は、上記経路とグランドとの間に接続されてもよいし、また、上記経路に直列配置されてもよい。
【0209】
移相線路251は、キャリアアンプ211の出力端と電源電圧(Vcc)端子との間に直列配置され、キャリアアンプ211から出力される第1高周波信号がVcc端子に漏洩することを抑制する。移相線路252は、ピークアンプ212の出力端と電源電圧(Vcc)端子との間に直列配置され、ピークアンプ212から出力される第2高周波信号がVcc端子に漏洩することを抑制する。キャパシタ234は、Vcc端子とグランドとの間に接続され、第1高周波信号および第2高周波信号の漏洩成分がVcc端子に侵入することを抑制し、また、電源電圧がグランドに落ちてしまうことを防止する。
【0210】
なお、本実施の形態に係る増幅回路210において、キャリアアンプ211、ピークアンプ212、高周波出力端子202、インダクタ221、222、223および224、ならびにキャパシタ231および232は、必須の構成要素であり、90°ハイブリッド250、キャパシタ233、234および235、移相線路251および252はなくてもよい。
【0211】
[2.1.4 比較例2に係る増幅回路600の回路構成]
ここで、比較例2に係る増幅回路600の回路構成について説明する。
図11は、比較例2に係る増幅回路600の回路構成図である。同図に示された増幅回路600は、従来のドハティ型増幅回路(ドハティハーフ増幅回路)である。増幅回路600は、キャリアアンプ211およびピークアンプ212と、90°ハイブリッド250と、インダクタ221および222と、キャパシタ231、232、233、234および235と、移相線路251および252と、高周波入力端子201と、高周波出力端子202と、を備える。比較例2に係る増幅回路600は、実施の形態2に係る増幅回路210と比較して、インダクタ223および224が配置されていない点が異なる。
【0212】
上記構成において、90°ハイブリッド250により、キャリアアンプ211から出力される第1高周波信号と、ピークアンプ212から出力される第2高周波信号とは位相差が90°となっている。例えば、キャリアアンプ211から出力される第1高周波信号の位相は90°であり、ピークアンプ212から出力される第2高周波信号の位相は0°である。
【0213】
インダクタ221およびキャパシタ231はローパスフィルタを構成しているため、当該ローパスフィルタにより第1高周波信号の位相は略45°遅れることとなり、当該ローパスフィルタの出力端での第1高周波信号の位相は略45°となる。また、キャパシタ232およびインダクタ222はハイパスフィルタを構成しているため、当該ハイパスフィルタにより第2高周波信号の位相は略45°進むこととなり、当該ハイパスフィルタの出力端での第2高周波信号の位相は略45°となる。つまり、高周波出力端子202において、第1高周波信号の位相と第2高周波信号の位相とは揃っており、低損失で電流合成される。
【0214】
ここで、高周波入力端子201から入力される高周波信号の電力が相対的に低い場合(低入力電力時)、ピークアンプ212はオフ状態となる。このため、キャリアアンプ211の出力端から負荷側(高周波出力端子202側)を見たインピーダンス(以降、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスと記す)は高くなる。これにより、低入力電力領域における増幅回路600の効率を向上させることが可能となる。
【0215】
次に、高周波入力端子201から入力される高周波信号の電力が相対的に高くなった場合(高入力電力時)、ピークアンプ212はオン状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは低くなる。これにより、高入力電力領域において低歪の増幅動作が可能となり、ピークパワーを向上できる。
【0216】
つまり、ドハティ型の増幅回路600を構成するキャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態となる領域での効率(バックオフ効率)の向上と、ピークアンプ212がオン状態である領域でのピークパワーの確保との両立が可能となる。
【0217】
しかしながら、比較例2に係る増幅回路600では、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、キャリアアンプ211から出力された第1高周波信号と、当該第1高周波信号が負荷で反射されてキャリアアンプ211の出力端に反射してきた第1高周波信号との位相差は、ローパスフィルタを往復した分の位相差であり、略90°(45°×2)となる。つまり、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、180°の位相シフト(位相反転)ではなく90°の位相シフトに対応した負荷インピーダンスシフトに留まる。これにより、比較例2に係る増幅回路600では、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態へと移行したことに起因する3dB程度のバックオフ量しか確保できず、低入力電力時の効率が十分に改善されないという問題がある。
【0218】
[2.1.5 増幅回路210の動作モード]
本実施の形態に係る増幅回路210は、比較例2に係る増幅回路600と比較して、第1移相回路(インダクタ223)および第2移相回路(インダクタ224)が付加されていることで、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトを大きく確保できる。
【0219】
図12Aは、実施の形態2に係る増幅回路210の低入力電力時における回路状態図である。また、
図12Bは、実施の形態2に係る増幅回路210の高入力電力時における回路状態図である。
【0220】
増幅回路210において、90°ハイブリッド250により、キャリアアンプ211から出力される第1高周波信号と、ピークアンプ212から出力される第2高周波信号とは位相差が90°となっている。例えば、キャリアアンプ211から出力される第1高周波信号の位相は90°であり、ピークアンプ212から出力される第2高周波信号の位相は0°である。
【0221】
インダクタ221およびキャパシタ231で構成されたローパスフィルタにより第1高周波信号の位相は略45°遅れることとなり、さらに、インダクタ223により第1高周波信号の位相は略45°遅れることとなり、高周波出力端子202での第1高周波信号の位相は0°となる。また、キャパシタ232およびインダクタ222で構成されたハイパスフィルタにより第2高周波信号の位相は略45°進むこととなり、さらにインダクタ224により第2高周波信号の位相は略45°遅れることとなり、高周波出力端子202での第2高周波信号の位相は0°となる。つまり、高周波出力端子202において、第1高周波信号の位相と第2高周波信号の位相とは揃っており、低損失で電流合成される。
【0222】
ここで、
図12Aに示すように、低入力電力時では、ピークアンプ212はオフ状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは高くなる。これにより、低入力電力領域における増幅回路210の効率を向上させることが可能となる。
【0223】
次に、
図12Bに示すように、高入力電力時では、ピークアンプ212はオン状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは低くなる。これにより、高入力電力領域において低歪の増幅動作が可能となり、ピークパワーを向上できる。
【0224】
つまり、ドハティ型の増幅回路210を構成するキャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態となる領域での効率(バックオフ効率)の向上と、ピークアンプ212がオン状態である領域でのピークパワーの確保との両立が可能となる。
【0225】
さらに、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、キャリアアンプ211から出力された第1高周波信号と、当該第1高周波信号が負荷で反射されてキャリアアンプ211の出力端に反射してきた第1高周波信号との位相差は、ローパスフィルタおよびインダクタ223を往復した分の位相差であり、略180°((45°+45°)×2)となる。つまり、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、180°の位相シフト(位相反転)に対応した負荷インピーダンスシフトとなる。これにより、実施の形態2に係る増幅回路210では、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態へと移行したことに起因するバックオフ量と、位相反転による負荷インピーダンスシフトに起因するバックオフ量とが加算された6dB程度のバックオフ量を確保でき、低入力電力時の効率(バックオフ領域の効率)を改善できる。
【0226】
これによれば、6dB程度の大きいPAPR(Peak-to-Average Power Ratio)を有する変調方式では、比較例2に係る増幅回路600よりも本実施の形態に係る増幅回路210の方が、広範囲の入力電力レベルにおいて高効率を確保できる。
【0227】
[2.1.6 変形例1に係る増幅回路210Aの回路構成]
図13は、実施の形態2の変形例1に係る増幅回路210Aの回路構成図である。同図に示すように、増幅回路210Aは、キャリアアンプ211およびピークアンプ212と、90°ハイブリッド250と、インダクタ221、222、223、224および225と、キャパシタ231、232、233、234および235と、移相線路251および252と、高周波入力端子201と、高周波出力端子202と、を備える。本変形例に係る増幅回路210Aは、実施の形態2に係る増幅回路210と比較して、インダクタ225が付加されている点が異なる。よって以下では、本変形例に係る増幅回路210Aについて、実施の形態2に係る増幅回路210と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0228】
インダクタ223は、第3インダクタの一例であり、キャリアアンプ211の出力端および高周波出力端子202の間に接続されている。インダクタ223の両端での高周波信号の位相差は、インダクタ225の両端での高周波信号の位相差よりも大きいことが望ましい。
【0229】
インダクタ224は、第4インダクタの一例であり、ピークアンプ212の出力端および高周波出力端子202の間に接続されている。インダクタ224の両端での高周波信号の位相差は、インダクタ225の両端での高周波信号の位相差よりも大きいことが望ましい。
【0230】
これによれば、インダクタ225によるキャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトを効果的に実現できる。
【0231】
なお、キャリアアンプ211の出力端および高周波出力端子202の間に接続される回路部品としては、インダクタ223でなくてもよく、第1移相回路であってもよい。第1移相回路は、例えば、インダクタ223を含む回路または伝送線路である。第1移相回路の両端での高周波信号の位相差は、インダクタ225の両端での高周波信号の位相差よりも大きいことが望ましい。
【0232】
これによれば、インダクタ225によるキャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトを効果的に実現できる。
【0233】
また、ピークアンプ212の出力端および高周波出力端子202の間に接続される回路部品としては、インダクタ224でなくてもよく、第2移相回路であってもよい。第2移相回路は、例えば、インダクタ224を含む回路または伝送線路である。第2移相回路の両端での高周波信号の位相差は、インダクタ225の両端での高周波信号の位相差よりも大きいことが望ましい。
【0234】
なお、第1移相回路は、第1位相量で第1高周波信号を移相し、第2移相回路は、第2位相量で第2高周波信号を移相する場合、第1位相量と第2位相量とは等しいことが望ましい。
【0235】
これによれば、90°ハイブリッド250、キャリアアンプ211、インダクタ221および第1移相回路を経由した第1高周波信号と、90°ハイブリッド250、ピークアンプ212、キャパシタ232および第2移相回路を経由した第2高周波信号とを、高周波出力端子202において低損失で電流合成することが可能となる。
【0236】
また、第1移相回路がインダクタ221と高周波出力端子202とを結ぶ経路に直列配置されたインダクタ223であり、第2移相回路がキャパシタ232と高周波出力端子202とを結ぶ経路に直列配置されたインダクタ224である場合、インダクタ223のインダクタンス値とインダクタ224のインダクタンス値とは等しいことが望ましい。
【0237】
これによれば、90°ハイブリッド250、キャリアアンプ211、インダクタ221および223を経由した第1高周波信号と、90°ハイブリッド250、ピークアンプ212、キャパシタ232およびインダクタ224を経由した第2高周波信号とを、高周波出力端子202において低損失で電流合成することが可能となる。
【0238】
インダクタ225は、第5インダクタの一例であり、インダクタ221および第1移相回路(インダクタ223)を結ぶ経路と、キャパシタ232および第2移相回路(インダクタ224)を結ぶ経路との間に接続されている。より具体的には、インダクタ225の一端はインダクタ221および第1移相回路(インダクタ223)を結ぶ経路上のノードに接続され、インダクタ225の他端はキャパシタ232および第2移相回路(インダクタ224)を結ぶ経路上のノードに接続されている。
【0239】
インダクタ225は、その両端での高周波信号の位相差を、例えば45°とする。なお、インダクタ225の両端での高周波信号の位相差は、0°よりも大きく、かつ、90°よりも小さくてもよい。
【0240】
なお、インダクタ221および第1移相回路(インダクタ223)を結ぶ経路と、キャパシタ232および第2移相回路(インダクタ224)を結ぶ経路との間に接続される回路部品としては、インダクタ225でなくてもよく、第3移相回路であってもよい。第3移相回路は、例えば、インダクタ225を含む回路または1/8波長伝送線路である。
【0241】
なお、本変形例に係る増幅回路210Aにおいて、キャリアアンプ211、ピークアンプ212、高周波出力端子202、インダクタ221、222、223、224および225、ならびにキャパシタ231および232は、必須の構成要素であり、90°ハイブリッド250、キャパシタ233、234および235、移相線路251および252はなくてもよい。
【0242】
[2.1.7 増幅回路210Aの動作モード]
変形例1に係る増幅回路210Aは、比較例2に係る増幅回路600と比較して、第1移相回路(インダクタ223)、第2移相回路(インダクタ224)および第3移相回路(インダクタ225)が付加されていることで、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトを大きく確保できる。
【0243】
図14Aは、実施の形態2の変形例1に係る増幅回路210Aの低入力電力時における回路状態図である。また、
図14Bは、実施の形態2の変形例1に係る増幅回路210Aの高入力電力時における回路状態図である。
【0244】
増幅回路210Aにおいて、90°ハイブリッド250により、キャリアアンプ211から出力される第1高周波信号と、ピークアンプ212から出力される第2高周波信号とは位相差が90°となっている。例えば、キャリアアンプ211から出力される第1高周波信号の位相は90°であり、ピークアンプ212から出力される第2高周波信号の位相は0°である。
【0245】
インダクタ221およびキャパシタ231で構成されたローパスフィルタにより第1高周波信号の位相は略45°遅れることとなり、さらに、インダクタ223により第1高周波信号の位相はX°遅れることとなり、高周波出力端子202での第1高周波信号の位相は(90-45-X)°となる。また、キャパシタ232およびインダクタ222で構成されたハイパスフィルタにより第2高周波信号の位相は略45°進むこととなり、さらにインダクタ224により第2高周波信号の位相はX°遅れることとなり、高周波出力端子202での第2高周波信号の位相は(0+45-X)°となる。つまり、高周波出力端子202において、第1高周波信号の位相と第2高周波信号の位相とは揃っており、低損失で電流合成される。
【0246】
ここで、
図14Aに示すように、低入力電力時では、ピークアンプ212はオフ状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは高くなる。これにより、低入力電力領域における増幅回路210Aの効率を向上させることが可能となる。
【0247】
次に、
図14Bに示すように、高入力電力時では、ピークアンプ212はオン状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは低くなる。これにより、高入力電力領域において低歪の増幅動作が可能となり、ピークパワーを向上できる。
【0248】
つまり、ドハティ型の増幅回路210Aを構成するキャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態となる領域での効率(バックオフ効率)の向上と、ピークアンプ212がオン状態である領域でのピークパワーの確保との両立が可能となる。
【0249】
さらに、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、キャリアアンプ211から出力された第1高周波信号と、当該第1高周波信号が負荷で反射されてキャリアアンプ211の出力端に反射してきた第1高周波信号との位相差は、ローパスフィルタおよびインダクタ225を往復した分の位相差となり、略180°((45°+45°)×2)となる。つまり、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、180°の位相シフト(位相反転)に対応した負荷インピーダンスシフトとなる。これにより、本変形例に係る増幅回路210Aでは、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態へと移行したことに起因するバックオフ量と、位相反転による負荷インピーダンスシフトに起因するバックオフ量とが加算された6dB程度のバックオフ量を確保でき、低入力電力時の効率(バックオフ領域の効率)を改善できる。
【0250】
なお、インダクタ225(第3移相回路)の位相回転量が45°でない場合であっても、0°より大きく、かつ、90°より小さい範囲であれば、増幅回路210Aは、3dBよりも大きいバックオフ量を確保できる。
【0251】
これによれば、6dB程度の大きいPAPRを有する変調方式では、比較例2に係る増幅回路600よりも本変形例に係る増幅回路210Aの方が、広範囲の入力電力レベルにおいて高効率を確保できる。
【0252】
また、ピークアンプ212がオン状態の場合において、インダクタ225は、キャリアアンプ211とピークアンプ212との間のバランスインダクタとして機能するので、高入力電力時における増幅動作を安定化することが可能となる。
【0253】
[2.1.8 変形例2に係る増幅回路210Bの回路構成]
図15は、実施の形態2の変形例2に係る増幅回路210Bの回路構成図である。本変形例に係る増幅回路210Bは、1つのキャリアアンプと2つのピークアンプとを備える、いわゆる3ウェイドハティ増幅回路を構成している。
図15に示すように、増幅回路210Bは、キャリアアンプ211と、ピークアンプ212および213と、90°ハイブリッド250と、インダクタ221、222、223、224、225、226、227および228と、キャパシタ231、232、233、234、235および236と、移相線路251、252および253と、高周波入力端子201と、高周波出力端子202と、を備える。本変形例に係る増幅回路210Bは、変形例1に係る増幅回路210Aと比較して、ピークアンプ213、インダクタ226~228、およびキャパシタ236が付加されている点が異なる。よって以下では、本変形例に係る増幅回路210Bについて、変形例1に係る増幅回路210Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0254】
キャリアアンプ211は、90°ハイブリッド250の第1の出力端から出力された第1高周波信号の全ての電力レベルに対して増幅動作可能なA級(またはAB級)増幅回路であり、特に、低出力領域および中出力領域において高効率な増幅動作が可能である。
【0255】
ピークアンプ212は、90°ハイブリッド250の第2の出力端から出力された第2高周波信号の中出力領域および高出力領域において増幅動作可能なC級増幅回路である。ピークアンプ212が有する増幅トランジスタには、キャリアアンプ211が有する増幅トランジスタに印加されるバイアス電圧よりも低いバイアス電圧が印加されているため、第2高周波信号の電力レベルが高くなるほど、出力インピーダンスが低くなる。これにより、ピークアンプ212は、中出力領域および高出力領域において低歪の増幅動作が可能である。
【0256】
ピークアンプ213は、90°ハイブリッド250の第3の出力端から出力された第3高周波信号の高出力領域において増幅動作可能なC級増幅回路である。ピークアンプ213が有する増幅トランジスタには、キャリアアンプ211が有する増幅トランジスタに印加されるバイアス電圧よりも低いバイアス電圧が印加されているため、第3高周波信号の電力レベルが高くなるほど、出力インピーダンスが低くなる。これにより、ピークアンプ213は、高出力領域において低歪の増幅動作が可能である。
【0257】
キャリアアンプ211、ピークアンプ212および213のそれぞれは、増幅トランジスタを有する。上記増幅トランジスタは、例えば、HBT等のバイポーラトランジスタ、または、MOSFET等の電界効果トランジスタである。
【0258】
90°ハイブリッド250は、入力端が高周波入力端子201に接続され、第1の出力端がキャリアアンプ211の入力端に接続され、第2の出力端がピークアンプ212の入力端に接続され、第3の出力端がピークアンプ213の入力端に接続されている。
【0259】
キャパシタ236は、ピークアンプ213の出力端およびインダクタ228を結ぶ第3出力経路に直列配置されている。インダクタ227は、上記第3出力経路およびグランドの間に接続されている。キャパシタ236およびインダクタ227は、ハイパスフィルタを構成しており、高周波信号の位相を略45°進ませる。
【0260】
インダクタ228は、ピークアンプ213の出力端および高周波出力端子202の間に接続されている。インダクタ228の両端での高周波信号の位相差は、インダクタ226の両端での高周波信号の位相差よりも大きいことが望ましい。
【0261】
なお、ピークアンプ213の出力端および高周波出力端子202の間に接続される回路部品としては、インダクタ228でなくてもよく、第6移相回路であってもよい。第6移相回路は、例えば、インダクタ228を含む回路または伝送線路である。第6移相回路の両端での高周波信号の位相差は、インダクタ226の両端での高周波信号の位相差よりも大きいことが望ましい。
【0262】
なお、第1移相回路(インダクタ223)は、第1位相量で第1高周波信号を移相し、第2移相回路(インダクタ224)は、第2位相量で第2高周波信号を移相し、第6移相回路(インダクタ228)は、第6位相量で第3高周波信号を移相する場合、第1位相量と第2位相量と第6位相量とは等しいことが望ましい。
【0263】
これによれば、90°ハイブリッド250、キャリアアンプ211、インダクタ221および第1移相回路を経由した第1高周波信号と、90°ハイブリッド250、ピークアンプ212、キャパシタ232および第2移相回路を経由した第2高周波信号と、90°ハイブリッド250、ピークアンプ213、キャパシタ236および第6移相回路を経由した第3高周波信号とを、高周波出力端子202において低損失で電流合成することが可能となる。
【0264】
インダクタ226は、キャパシタ232および第2移相回路(インダクタ224)を結ぶ経路と、キャパシタ236および第6移相回路(インダクタ228)を結ぶ経路との間に接続されている。より具体的には、インダクタ226の一端はキャパシタ232および第2移相回路(インダクタ224)を結ぶ経路上のノードに接続され、インダクタ226の他端はキャパシタ236および第6移相回路(インダクタ228)を結ぶ経路上のノードに接続されている。
【0265】
インダクタ226は、その両端での高周波信号の位相差を、例えば45°とする。なお、インダクタ226の両端での高周波信号の位相差は、0°よりも大きく、かつ、90°よりも小さくてもよい。
【0266】
なお、キャパシタ232および第2移相回路(インダクタ224)を結ぶ経路と、キャパシタ236および第6移相回路(インダクタ228)を結ぶ経路との間に接続される回路部品としては、インダクタ226でなくてもよく、第7移相回路であってもよい。第7移相回路は、例えば、インダクタ226を含む回路または1/8波長伝送線路である。
【0267】
なお、本変形例に係る増幅回路210Bにおいて、キャリアアンプ211、ピークアンプ212および213、高周波出力端子202、インダクタ221、222、223、224、225、226、227および228、ならびにキャパシタ231、232および236は、必須の構成要素であり、90°ハイブリッド250、キャパシタ233、234および235、移相線路251、252および253はなくてもよい。
【0268】
ここで、低入力電力時では、ピークアンプ212および213はオフ状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは高くなる。これにより、低入力電力領域における増幅回路210Bの効率を向上させることが可能となる。
【0269】
また、高入力電力時では、ピークアンプ212および213はオン状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは低くなる。これにより、高入力電力領域において低歪の増幅動作が可能となり、ピークパワーを向上できる。
【0270】
また、中入力電力時では、ピークアンプ213はオフ状態となり、ピークアンプ212はオン状態となる。このため、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、低入力電力時の負荷インピーダンスよりも低くなり、高入力電力時の負荷インピーダンスよりも高くなる。これにより、中入力電力領域における増幅回路210Bの効率を向上させることが可能となる。
【0271】
さらに、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、高入力電力時から中入力電力時および低入力電力時に移行した場合、略180°の位相シフト(位相反転)に対応した負荷インピーダンスシフトとなる。これにより、本変形例に係る増幅回路210Bでは、ピークアンプ212および213がオン状態からオフ状態へと移行したことに起因するバックオフ量と、位相反転による負荷インピーダンスシフトに起因するバックオフ量とが加算された9.5dB程度のバックオフ量を確保でき、低入力電力時および中入力電力時の効率(バックオフ領域の効率)を改善できる。
【0272】
なお、インダクタ225(第3移相回路)および226(第7移相回路)の位相回転量が45°でない場合であっても、0°より大きく、かつ、90°より小さい範囲であれば、増幅回路210Bは、3dBよりも大きいバックオフ量を確保できる。
【0273】
これによれば、6dB以上の大きいPAPRを有する変調方式では、比較例2および変形例1に係る増幅回路よりも本変形例に係る増幅回路210Bの方が、広範囲の入力電力レベルにおいて高効率を確保できる。
【0274】
また、ピークアンプ212がオン状態の場合において、インダクタ225は、キャリアアンプ211とピークアンプ212との間のバランスインダクタとして機能するので、中入力電力時および高入力電力時における増幅動作を安定化することが可能となる。さらに、ピークアンプ212および213がオン状態の場合において、インダクタ226は、ピークアンプ212とピークアンプ213との間のバランスインダクタとして機能するので、高入力電力時における増幅動作を安定化することが可能となる。
【0275】
[2.1.9 バックオフ量と効率との関係]
図16は、実施の形態2、従来および比較例に係る増幅回路の効率特性を比較したグラフである。同図には、(1)1つのアンプで構成された従来の増幅回路(バックオフ無し)の効率特性、(2)比較例2に係る増幅回路600の効率特性、(3)実施の形態2に係る増幅回路210および変形例1に係る増幅回路210Aの効率特性、ならびに(4)変形例2に係る増幅回路210Bの効率特性が示されている。
【0276】
実施の形態2に係る増幅回路210および変形例1に係る増幅回路210Aでは、従来および比較例に係る増幅回路と比較して、6dBバックオフ領域での効率が改善される。また、変形例2に係る増幅回路210Bでは、従来および比較例に係る増幅回路と比較して、9.5dBバックオフ領域での効率が改善される。
【0277】
[2.2 増幅回路および高周波回路の部品配置]
次に、変形例1に係る増幅回路210Aおよび高周波回路5Aの部品配置について説明する。
【0278】
図17は、変形例1に係る高周波回路5Aの平面図および断面図である。
図17の(a)には、モジュール基板90の主面90aをz軸正方向側から透視した場合の回路部品の配置が示されている。また、
図17の(b)には、
図17の(a)のXVII-XVII線における断面図が示されている。なお、
図17において、モジュール基板90および各回路部品を接続する配線の図示が一部省略されている。
【0279】
高周波回路5Aは、
図10に示された高周波回路5に対して、増幅回路210が増幅回路210Aに置き換わった構成を有する。高周波回路5Aは、さらに、モジュール基板90と、樹脂部材91および92と、シールド電極層95と、複数の外部接続端子150と、を有している。
【0280】
なお、モジュール基板90、樹脂部材91および92、シールド電極層95、および複数の外部接続端子150は、実施の形態1の
図9で示されたものと同じ構成であるため、ここではそれらの説明を省略する。
【0281】
図17に示すように、モジュール基板90の主面90aには、キャリアアンプ211およびピークアンプ212、90°ハイブリッド250、フィルタ71~74、インダクタ25~27および221~225、ならびにキャパシタ231~235が配置されている。
【0282】
また、モジュール基板90の主面90bには、低雑音増幅器13および14、ならびにスイッチ62および63が配置されている。
【0283】
これによれば、モジュール基板90の主面90aおよび90bに回路部品が振り分けられて配置されているので、高周波回路5Aを小型化できる。
【0284】
キャリアアンプ211、ピークアンプ212、および90°ハイブリッド250は、半導体IC85に含まれている。低雑音増幅器13および14、ならびにスイッチ63は、半導体IC84に含まれている。スイッチ62は、半導体IC86に含まれている。
【0285】
これによれば、キャリアアンプ211およびピークアンプ212が1チップ化され、低雑音増幅器13および14、ならびにスイッチ63が1チップ化され、スイッチ62が1チップ化されているので、高周波回路5Aを小型化できる。
【0286】
半導体IC84、85および86は、例えばCMOSを用いて構成され、具体的にはSOIプロセスにより製造されてもよい。また、半導体ICは、GaAs、SiGe及びGaNのうちの少なくとも1つで構成されてもよい。なお、半導体IC84~86の半導体材料は、上述した材料に限定されない。
【0287】
なお、実施の形態2に係る高周波回路5は、高周波回路5Aの上記部品配置と比較して、インダクタ225が配置されない、ことを除き同じである。
【0288】
[2.3 効果など]
以上、本実施の形態に係る増幅回路210は、キャリアアンプ211およびピークアンプ212と、高周波出力端子202と、キャリアアンプ211の出力端および高周波出力端子202の間に接続された第1移相回路と、ピークアンプ212の出力端および高周波出力端子202の間に接続された第2移相回路と、キャリアアンプ211の出力端および第1移相回路を結ぶ第1出力経路に直列配置されたインダクタ221と、第1出力経路およびグランドの間に接続されたキャパシタ231と、ピークアンプ212の出力端および第2移相回路を結ぶ第2出力経路に直列配置されたキャパシタ232と、第2出力経路およびグランドの間に接続されたインダクタ222と、を備え、第1移相回路はインダクタ223を含み、第2移相回路はインダクタ224を含む。
【0289】
これによれば、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態となる領域での効率(バックオフ効率)の向上と、ピークアンプ212がオン状態である領域でのピークパワーの確保との両立が可能となる。さらに、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、180°の位相シフト(位相反転)に対応した負荷インピーダンスシフトとなる。これにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態へと移行したことに起因するバックオフ量と、位相反転による負荷インピーダンスシフトに起因するバックオフ量とが加算された6dB程度のバックオフ量を確保でき、低入力電力時の効率(バックオフ領域の効率)を改善できる。よって、高効率な増幅特性を有する増幅回路210を提供できる。
【0290】
また例えば、増幅回路210において、第1移相回路は、第1位相量で高周波信号を移相し、第2移相回路は、第2位相量で高周波信号を移相し、第1位相量と第2位相量とは等しい。
【0291】
これによれば、キャリアアンプ211、インダクタ221および第1移相回路を経由した第1高周波信号と、ピークアンプ212、キャパシタ232および第2移相回路を経由した第2高周波信号とを、高周波出力端子202において低損失で電流合成することが可能となる。
【0292】
また例えば、インダクタ223はインダクタ221と高周波出力端子202とを結ぶ経路に直列配置され、インダクタ224はキャパシタ232と高周波出力端子202とを結ぶ経路に直列配置され、インダクタ223のインダクタンス値とインダクタ224のインダクタンス値とは等しい。
【0293】
これによれば、キャリアアンプ211、インダクタ221および223を経由した第1高周波信号と、ピークアンプ212、キャパシタ232およびインダクタ224を経由した第2高周波信号とを、高周波出力端子202において低損失で電流合成することが可能となる。
【0294】
また例えば、変形例1に係る増幅回路210Aは、さらに、インダクタ221および第1移相回路を結ぶ経路と、キャパシタ232および第2移相回路を結ぶ経路との間に接続された第3移相回路を備え、第3移相回路はインダクタ225を含む。
【0295】
これによれば、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態となる領域での効率(バックオフ効率)の向上と、ピークアンプ212がオン状態である領域でのピークパワーの確保との両立が可能となる。
【0296】
さらに、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、略180°の位相シフト(位相反転)に対応した負荷インピーダンスシフトとなる。これにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態へと移行したことに起因するバックオフ量と、位相反転による負荷インピーダンスシフトに起因するバックオフ量とが加算された6dB程度のバックオフ量を確保でき、低入力電力時の効率(バックオフ領域の効率)を改善できる。また、ピークアンプ212がオン状態の場合において、インダクタ225は、キャリアアンプ211とピークアンプ212との間のバランスインダクタとして機能するので、高入力電力時における増幅動作を安定化することが可能となる。
【0297】
また例えば、変形例1に係る増幅回路210Aにおいて、第1移相回路は第1位相量で高周波信号を移相し、第2移相回路は第2位相量で高周波信号を移相し、第3移相回路は第3位相量で高周波信号を移相し、第1位相量および第2位相量のそれぞれは、第3位相量よりも大きい。
【0298】
これによれば、第3移相回路によるキャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトを効果的に実現できる。
【0299】
また、本実施の形態に係る増幅回路210は、キャリアアンプ211およびピークアンプ212と、高周波出力端子202と、キャリアアンプ211の出力端および高周波出力端子202の間に接続された第1移相回路と、ピークアンプ212の出力端および高周波出力端子202の間に接続された第2移相回路と、キャリアアンプ211の出力端および第1移相回路に接続され、第4位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、ピークアンプ212の出力端および第2移相回路に接続され、第4位相量との差が90°である第5位相量で高周波信号を移相する第5移相回路と、を備え、第1移相回路は第2移相回路と同じ位相回転量となるよう構成されている。
【0300】
これによれば、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスシフトにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態となる領域での効率(バックオフ効率)の向上と、ピークアンプ212がオン状態である領域でのピークパワーの確保との両立が可能となる。さらに、キャリアアンプ211の負荷インピーダンスは、高入力電力時から低入力電力時に移行した場合、180°の位相シフト(位相反転)に対応した負荷インピーダンスシフトとなる。これにより、ピークアンプ212がオン状態からオフ状態へと移行したことに起因するバックオフ量と、位相反転による負荷インピーダンスシフトに起因するバックオフ量とが加算された6dB程度のバックオフ量を確保でき、低入力電力時の効率(バックオフ領域の効率)を改善できる。よって、高効率な増幅特性を有する増幅回路210を提供できる。
【0301】
また、本実施の形態に係る通信装置7は、高周波信号を処理するRFIC6と、RFIC6とアンテナ2との間で高周波信号を伝送する増幅回路210と、を備える。
【0302】
これによれば、増幅回路210の効果を通信装置7で実現することができる。
【0303】
(その他の実施の形態など)
以上、本発明の実施の形態に係る増幅回路、高周波回路、通信装置および増幅方法について、実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本発明に係る増幅回路、高周波回路、通信装置および増幅方法は、上記実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態および変形例に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記増幅回路、高周波回路、および通信装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0304】
例えば、上記実施の形態および変形例に係る増幅回路、高周波回路、および通信装置において、図面に開示された各回路素子および信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子および配線などが挿入されていてもよい。
【0305】
以下に、上記各実施の形態に基づいて説明した増幅回路、高周波回路、通信装置および増幅方法の特徴を示す。
【0306】
<1>
第1増幅器および第2増幅器と、
出力端子と、
前記第1増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記第2増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記第1増幅器の出力端および前記第1移相回路を結ぶ第1出力経路に直列配置された第1インダクタと、
前記第1出力経路およびグランドの間に接続された第1キャパシタと、
前記第2増幅器の出力端および前記第2移相回路を結ぶ第2出力経路に直列配置された第2キャパシタと、
前記第2出力経路およびグランドの間に接続された第2インダクタと、
前記第1インダクタおよび前記第1移相回路を結ぶ第1経路と、前記第2キャパシタおよび前記第2移相回路を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、
前記第1回路は、
一端が前記第1経路に接続され、他端が前記第2経路に接続される第1抵抗と、
前記第1経路と前記第2経路とを前記第1抵抗を介して接続する、および、前記第1抵抗を介さずに接続する、を切り替える第1スイッチと、を有する、増幅回路。
【0307】
<2>
第1増幅器および第2増幅器と、
出力端子と、
前記第1増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記第2増幅器の出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記第1増幅器の出力端および前記第1移相回路に接続され、第1位相量で高周波信号を移相する第3移相回路と、
前記第2増幅器の出力端および前記第2移相回路に接続され、前記第1位相量との差が90°である第2位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、
前記第3移相回路および前記第1移相回路を結ぶ第1経路と、前記第4移相回路および前記第2移相回路を結ぶ第2経路との間に接続された第1回路と、を備え、
前記第1回路は、
一端が前記第1経路に接続され、他端が前記第2経路に接続される第1抵抗と、
前記第1経路と前記第2経路とを前記第1抵抗を介して接続する、および、前記第1抵抗を介さずに接続する、を切り替える第1スイッチと、を有する、増幅回路。
【0308】
<3>
前記第1スイッチは、共通端子、第1選択端子および第2選択端子を有し、
前記第1抵抗は第1端および第2端を有し、
前記第1端は前記第1選択端子に接続され、
前記共通端子は、前記第1経路および前記第2経路の一方に接続され、
前記第2端は、前記第1経路および前記第2経路の他方に接続され、
前記第2選択端子は、抵抗を介さずに前記第1経路および前記第2経路の前記他方に接続される、<1>または<2>に記載の増幅回路。
【0309】
<4>
前記第2選択端子と前記第1経路および前記第2経路の前記他方とは短絡される、<3>に記載の増幅回路。
【0310】
<5>
前記第1経路と前記第2経路とが短絡された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はC級動作し、
前記第1経路と前記第2経路とが短絡されず、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はAB級動作する、<1>~<4>のいずれかに記載の増幅回路。
【0311】
<6>
前記増幅回路にローパワーモードが適用される場合、前記第1経路と前記第2経路とが短絡されず、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続され、
前記増幅回路にハイパワーモードが適用される場合、前記第1経路と前記第2経路とが短絡される、<1>~<4>のいずれかに記載の増幅回路。
【0312】
<7>
前記第1回路は、さらに、インダクタまたはキャパシタである第1回路素子を有し、
前記第1スイッチは、さらに、第3選択端子を有し、
前記第1回路素子の一端は、前記第3選択端子に接続され、
前記第1回路素子の他端は、前記第1経路および前記第2経路の前記他方に接続される、<4>に記載の増幅回路。
【0313】
<8>
前記第1経路と前記第2経路とが短絡された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はC級動作し、
前記第1回路素子が前記第1経路および前記第2経路と接続された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はC級動作し、
前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路と接続された場合、前記第1増幅器はAB級動作し、かつ、前記第2増幅器はAB級動作する、<7>に記載の増幅回路。
【0314】
<9>
前記増幅回路がパワークラス1.5に対応する場合、前記第1回路素子が前記第1経路および前記第2経路に接続され、
前記増幅回路がパワークラス2に対応する場合、前記第1経路と前記第2経路とが短絡され、
前記増幅回路がパワークラス3に対応する場合、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続される、<7>に記載の増幅回路。
【0315】
<10>
前記増幅回路にローパワーモードが適用される場合、前記第1抵抗が前記第1経路および前記第2経路に接続される、<7>に記載の増幅回路。
【0316】
<11>
キャリアアンプおよびピークアンプと、
出力端子と、
前記キャリアアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記ピークアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記第1移相回路を結ぶ第1出力経路に直列配置された第1インダクタと、
前記第1出力経路およびグランドの間に接続された第1キャパシタと、
前記ピークアンプの出力端および前記第2移相回路を結ぶ第2出力経路に直列配置された第2キャパシタと、
前記第2出力経路およびグランドの間に接続された第2インダクタと、を備え、
前記第1移相回路は第3インダクタを含み、
前記第2移相回路は第4インダクタを含む、
増幅回路。
【0317】
<12>
前記第1移相回路は、第1位相量で高周波信号を移相し、
前記第2移相回路は、第2位相量で高周波信号を移相し、
前記第1位相量と前記第2位相量とは等しい、<11>に記載の増幅回路。
【0318】
<13>
前記第3インダクタは、前記第1インダクタと前記出力端子とを結ぶ経路に直列配置され、
前記第4インダクタは、前記第2キャパシタと前記出力端子とを結ぶ経路に直列配置され、
前記第3インダクタのインダクタンス値と前記第4インダクタのインダクタンス値とは等しい、<11>または<12>に記載の増幅回路。
【0319】
<14>
さらに、
前記第1インダクタおよび前記第1移相回路を結ぶ経路と、前記第2キャパシタおよび前記第2移相回路を結ぶ経路との間に接続された第3移相回路を備え、
前記第3移相回路は、第5インダクタを含む、<11>~<13>のいずれかに記載の増幅回路。
【0320】
<15>
前記第1移相回路は、第1位相量で高周波信号を移相し、
前記第2移相回路は、第2位相量で高周波信号を移相し、
前記第3移相回路は、第3位相量で高周波信号を移相し、
前記第1位相量および前記第2位相量のそれぞれは、前記第3位相量よりも大きい、<14>に記載の増幅回路。
【0321】
<16>
キャリアアンプおよびピークアンプと、
出力端子と、
前記キャリアアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第1移相回路と、
前記ピークアンプの出力端および前記出力端子の間に接続された第2移相回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記第1移相回路に接続され、第4位相量で高周波信号を移相する第4移相回路と、
前記ピークアンプの出力端および前記第2移相回路に接続され、前記第4位相量との差が90°である第5位相量で高周波信号を移相する第5移相回路と、を備え、
前記第1移相回路は、前記第2移相回路と同じ位相回転量となるよう構成されている、
増幅回路。
【0322】
<17>
<1>~<10>のいずれかに記載の増幅回路と、
第1バンドの少なくとも一部を含む通過帯域を有する第1フィルタと、
第2バンドの少なくとも一部を含む通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1フィルタと前記出力端子との接続および前記第2フィルタと前記出力端子との接続を切り替える第2スイッチと、を備える、高周波回路。
【0323】
<18>
さらに、
互いに対向する第1主面および第2主面を有するモジュール基板と、
前記第2主面に配置された外部接続端子と、を備え、
前記第1増幅器および前記第2増幅器は前記第1主面に配置され、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは前記第2主面に配置される、<17>に記載の高周波回路。
【0324】
<19>
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、1つの第1半導体ICに含まれる、<18>に記載の高周波回路。
【0325】
<20>
前記第1抵抗は前記第1主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、
前記第1抵抗と前記第1半導体ICとは、少なくとも一部重なっている、<19>に記載の高周波回路。
【0326】
<21>
高周波信号を処理する信号処理回路と、
前記信号処理回路とアンテナとの間で前記高周波信号を伝送する、<1>~<16>のいずれかに記載の増幅回路と、を備える、通信装置。
【0327】
<22>
第1増幅器で増幅された第1高周波信号および第2増幅器で増幅された第2高周波信号の位相を揃え、
第1モードでは、前記位相が揃えられた前記第1高周波信号を伝送する第1経路と前記位相が揃えられた前記第2高周波信号を伝送する第2経路とを第1抵抗を介して接続し、前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を合成し、
第2モードでは、前記位相が揃えられた前記第1高周波信号を伝送する第1経路と前記位相が揃えられた前記第2高周波信号を伝送する第2経路とを前記第1抵抗を介さずに接続し、前記第1高周波信号および前記第2高周波信号を合成する、増幅方法。
【産業上の利用可能性】
【0328】
本発明は、フロントエンド部に配置される増幅回路および通信装置として、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0329】
1、1A、5、5A 高周波回路
2 アンテナ
3、6 RF信号処理回路(RFIC)
4、7 通信装置
10、10A、10B、210、210A、210B、500、600 増幅回路
11、12 増幅器
13、14 低雑音増幅器
21、22、23、24、25、26、27、28、221、222、223、224、225、226、227、228 インダクタ
31、32、33、34、35、36、231、232、233、234、235、236 キャパシタ
41 抵抗
50、250 90°ハイブリッド
51、52、251、252、253 移相線路
53 λ/4伝送線路
61、62、63、64 スイッチ
61a、62a、64a 共通端子
61b、61c、62b、62c、64b、64c、64d 選択端子
71、72、73、74 フィルタ
81、82、83、84、85、86 半導体IC
90 モジュール基板
90a、90b 主面
91、92 樹脂部材
95 シールド電極層
100 アンテナ接続端子
101、201 高周波入力端子
102、202 高周波出力端子
150 外部接続端子
211 キャリアアンプ
212、213 ピークアンプ