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特開2024-83194シートバックフレーム及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083194
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】シートバックフレーム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027957
(22)【出願日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】63/386,578
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 崇大
(72)【発明者】
【氏名】若山 周平
(72)【発明者】
【氏名】福田 直慶
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB02
3B087DB04
3B087DB05
3B087DE06
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により高い強度でシートベルトを支持する。
【解決手段】シートベルト巻取装置Bから繰り出されたシートベルトB1を挿通する第1ベルトガイド15と、シートベルト巻取装置Bから繰り出されたシートベルトB1を挿通する、第1ベルトガイド15とは別の第2ベルトガイド16とを備える。
第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16とによってシートベルトB1からの荷重を分散して受けることで、高い強度でシートベルトを支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルト巻取装置から繰り出されたシートベルトを挿通する第1ベルトガイドと、
前記シートベルト巻取装置から繰り出された前記シートベルトを挿通する、前記第1ベルトガイドとは別の第2ベルトガイドと、
を備えることを特徴とするシートバックフレーム。
【請求項2】
パイプフレームを備え、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、前記パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のシートバックフレーム。
【請求項3】
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、U字状のワイヤからなり、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、前記ワイヤの一端部と他端部とが前記パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付けられ、
前記シートバックフレームを挟んで一方側を前、他方側を後とした場合に、前記第1ベルトガイドのシートベルトの挿通部が前記シートベルト巻取装置の中心より前側まで延出され、前記第2ベルトガイドのシートベルトの挿通部が前記シートベルト巻取装置の中心より前側まで延出されていないことを特徴とする請求項2に記載のシートバックフレーム。
【請求項4】
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、U字状のワイヤからなり、
前記シートバックフレームを挟んで一方側を前、他方側を後とした場合に、前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、前記ワイヤの一端部と他端部とが前記パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付けられ、
前記第1ベルトガイドのシートベルトの挿通部側の端部が前記パイプフレームのパイプ周面の上部から前側に延出され、前記第2ベルトガイドのシートベルトの挿通部側の端部が前記パイプフレームのパイプ周面の下部から前側に延出されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシートバックフレーム。
【請求項5】
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、同一形状の部材からなることを特徴とする請求項4に記載のシートバックフレーム。
【請求項6】
前記パイプフレームは、前記シートバックフレームの外縁に沿って設けられ、
前記パイプフレームの内側において上下方向に沿って配置された連結部材を有し、
前記連結部材は、前記第1ベルトガイド又は前記第2ベルトガイドを迂回するように屈曲して上端部が前記パイプフレームに連結されていることを特徴とする請求項2に記載のシートバックフレーム。
【請求項7】
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、一体化された単一の部材からなることを特徴とする請求項2に記載のシートバックフレーム。
【請求項8】
前記パイプフレームに接合されたパネルフレームを備え、
前記パネルフレームは、前記パイプフレームにおける前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドの取付部に対して、前記第1ベルトガイド及び前記第2ベルトガイドを避ける逃げ部を有することを特徴とする請求項2に記載のシートバックフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックフレーム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-184037号公報には、乗物用シートのシートバックフレームを構成するパイプフレームの上部中央にシートベルトをガイドするガイドワイヤを設けていた。ガイドワイヤは、その下方に設けられたベルト巻取り機構から繰り出されたシートベルトを下から通している。そして、ガイドワイヤは、シートベルトを前側下方に折り返すようにガイドしていた(特許文献1参照)。
【0003】
また、特開2017-226376号公報には、シートバックフレームをパネルフレームとパイプフレームで構成し、パイプフレームの上部とパネルフレームとの隙間にシートベルトを通していた(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-184037号公報
【特許文献2】特開2017-226376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシートバックフレームは、ガイドワイヤでシートベルトを支持している。このため、シートベルトから加わる大きな荷重に対して、十分な支持強度を確保することが困難だった。
また、特許文献2のシートバックフレームは、パイプフレームとパネルフレームとの隙間にシートベルトを通す構造である。従って、シートバックには、パイプフレームとパネルフレームとにシートベルトが直接摺接しないように、パイプフレーム側とパネルフレーム側とにそれぞれ樹脂の保護部品が必要となり、シートベルトを支持する構造の複雑化が問題となっていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、簡易な構成により高い剛性でシートベルトを支持することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、シートバックフレームにおいて、
シートベルト巻取装置から繰り出されたシートベルトを挿通する第1ベルトガイドと、
前記シートベルト巻取装置から繰り出された前記シートベルトを挿通する、前記第1ベルトガイドとは別の第2ベルトガイドと、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートバックフレームにおいて、
パイプフレームを備え、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、前記パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシートバックフレームにおいて、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、U字状のワイヤからなり、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、前記ワイヤの一端部と他端部とが前記パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付けられ、
前記シートバックフレームを挟んで一方側を前、他方側を後とした場合に、前記第1ベルトガイドのシートベルトの挿通部が前記シートベルト巻取装置の中心より前側まで延出され、前記第2ベルトガイドのシートベルトの挿通部が前記シートベルト巻取装置の中心より前側まで延出されていないことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のシートバックフレームにおいて、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、U字状のワイヤからなり、
前記シートバックフレームを挟んで一方側を前、他方側を後とした場合に、前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、いずれも、前記ワイヤの一端部と他端部とが前記パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付けられ、
前記第1ベルトガイドのシートベルトの挿通部側の端部が前記パイプフレームのパイプ周面の上部から前側に延出され、前記第2ベルトガイドのシートベルトの挿通部側の端部が前記パイプフレームのパイプ周面の下部から前側に延出されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシートバックフレームにおいて、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、同一形状の部材からなることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のシートバックフレームにおいて、
前記パイプフレームは、前記シートバックフレームの外縁に沿って設けられ、
前記パイプフレームの内側において上下方向に沿って配置された連結部材を有し、
前記連結部材は、前記第1ベルトガイド又は前記第2ベルトガイドを迂回するように屈曲して上端部が前記パイプフレームに連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載のシートバックフレームにおいて、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドは、一体化された単一の部材からなることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載のシートバックフレームにおいて、
前記パイプフレームに接合されたパネルフレームを備え、
前記パネルフレームは、前記パイプフレームにおける前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドの取付部に対して、前記第1ベルトガイド及び前記第2ベルトガイドを避ける逃げ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明は、シートベルト巻取装置から繰り出されたシートベルトを挿通する、第1ベルトガイドと第2ベルトガイドとを有する。従って、シートベルトに大きな荷重が加えられた場合でも、シートベルトから加わる荷重を第1ベルトガイドと第2ベルトガイドとに分散することができ、簡易な構成で支持強度の向上を図ることが可能となる。
【0016】
請求項2記載の発明は、第1ベルトガイドと第2ベルトガイドがパイプフレームのパイプ周面に沿って取り付けられているので、取付面の面積を広く確保して取り付け強度の向上を図ることが可能となる。また、各ベルトガイドをパイプ周面に沿って取り付けることで、各ベルトガイドに特定の方向に荷重が加わる場合に、パイプフレームとの取付面には、当該取付面が剥離する方向ではなく取付面である周面に沿った方向に力が加わりやすくなる。このため、各ベルトガイドがパイプフレームから外れにくく、荷重に対する強度を向上させることが可能である。
【0017】
請求項3記載の発明は、第1ベルトガイドと第2ベルトガイドのそれぞれの挿通部がシートベルト巻取装置の中心に対して前側と後側とに位置している。このため、シートベルト巻取装置から第2ベルトガイド、第1ベルトガイドを通じてシートバックフレームの前側に繰り出される場合に、各ベルトガイドが良好にガイドすることができる。
また、第1ベルトガイドの挿通部と第2ベルトガイドの挿通部とがシートベルトから荷重が加えられた場合に、各ベルトガイドに加わる荷重の偏りを抑えて適度に分散することが可能となる。従って、荷重に対する強度を向上させることが可能である。
さらに、第2ベルトガイドがシートベルト巻取装置の中心より後側に位置しているため、シートベルトに大きな荷重が加わった場合に、シートベルトを通じてシートベルト巻取装置を取付位置から分離させる荷重を低減することができる。従って、シートベルト巻取装置Bの取り付け強度を向上させることが可能である。
【0018】
請求項4記載の発明は、第1ベルトガイドのシートベルトの挿通部側の端部がパイプフレームのパイプ周面の上部から前側に延出され、第2ベルトガイドのシートベルトの挿通部側の端部がパイプフレームのパイプ周面の下部から前側に延出されている。
このため、シートベルトに荷重が加えられた場合に、各ベルトガイドに加わる力がパイプフレームのパイプ周面からの剥離を促す方向に生じ難く、パイプ周面に沿った方向に向かせることができ、荷重に対する強度を向上させることが可能である。
【0019】
請求項5記載の発明は、第1ベルトガイドと第2ベルトガイドとが同一形状の部材からなるので、部品の共通化により製造容易化及び製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0020】
請求項6記載の発明は、パイプフレームがシートバックフレームの外縁に沿って設けられ、パイプフレームの内側に配置された連結部材は、第1ベルトガイド又は第2ベルトガイドを迂回するように屈曲して上端部がパイプフレームに連結されている。このため、第1ベルトガイド又は第2ベルトガイドの取付位置を適正に確保することが可能となる。また、第1ベルトガイド又は第2ベルトガイドの配置に拘わらず、パイプフレームの内側に連結部材を配置することが可能となり、フレーム強度の向上をはかることが可能となる。
【0021】
請求項7記載の発明は、第1ベルトガイドと第2ベルトガイドは、一体化された単一の部材からなるので、部品点数の低減、製造コストの低減、軽量化等を図ることが可能となる。
【0022】
請求項8記載の発明は、パイプフレームにおける第1ベルトガイドと第2ベルトガイドの取付部に対して、パネルフレームが逃げ部を有するので、各ベルトガイドとパネルフレームとの干渉を回避することが可能となる。また、パネルフレームは、パネル材であることから凹凸による逃げ部の形成が容易であり、各ベルトガイドの取付部の確保が容易であり、また、取付部の配置の自由度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態にかかるシートバックフレームの正面図である。
図2】シートバックフレームの背面図である。
図3】シートバックフレームの斜視図である。
図4】シートバックフレームの上部中央における部分的な斜視図である。
図5】シートバックフレームの上端中央部の拡大正面図
図6図1におけるシートバックフレームのA-A線に沿った断面図である。
図7】第2実施形態にかかるシートバックフレームの正面図である。
図8】第3実施形態にかかるベルトガイドの斜視図である。
図9】第4実施形態にかかるシートバックフレームの正面図である。
図10】第5実施形態にかかるシートバックフレームの正面図である。
図11】第6実施形態にかかるシートバックフレームの正面図である。
図12】第7実施形態にかかるシートバックフレームの正面図である。
図13】第8実施形態にかかるシートバックフレームの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1図6に基づいてシートバックフレームに関する実施の形態について説明する。
但し、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が以下の実施形態に付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態は、乗物用のベンチシートの背もたれに適用されるシートバックフレームである。
以下に示すシートバックフレームを適用するベンチシートを備える乗物は、船舶、飛行体、車両等、人間が搭乗して移動を行うあらゆる乗物を含むが、本実施形態では、車両、特に、自動車のベンチシートにシートバックフレームを適用する場合を例示する。
【0025】
例えば、自動車のベンチシートは、座部となるシートクッションと、背もたれとなるシートバックと、ヘッドレストとを有する。
例えば、三人掛けのベンチシートの場合、シートバックは、中央のシートと左側のシートのシートバックを構成する左側のシートバックと、右側のシートのシートバックとによって構成される。
各シートバックは、骨格となるシートバックフレームと、クッション材からなるパッド材と、これらを被覆する布地などからなる表皮材で構成されている。
以下の各実施形態として説明するのは、左側のシートバックに使用されるシートバックフレームである。
【0026】
図1は第1実施形態にかかるシートバックフレーム100の正面図、図2は背面図、図3は斜視図である。
なお、本実施形態に示す各図において、上下左右前後の各方向は、車両に取り付けられた状態での方向を示している。以下、シートバックフレーム100の各部の説明については、上記取付け状態での方向に基づいて説明する。図1では紙面手前側が「前」、奥側が「後」を示し、前を向いた状態で左手側が「左」、右手側が「右」となる。
また、各シートバックフレーム100は、厳密には、その上端部が後方に幾分傾斜した状態で車両に取り付けられるが、特にことわりがない場合には、説明の便宜上、各シートバックフレーム100の板面は、上下方向及び左右方向に沿った状態であるものとする。
【0027】
シートバックフレーム100は、パイプフレーム20、板状部材であるバックパネルとしてのパネルフレーム30、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40、ロック装置の取付ブラケット50、ヘッドレストフレーム11,12、アームレストブラケット13,14、第1ベルトガイド15、第2ベルトガイド16、テザー部材17、セットブラケット18を主に備えて構成されている。
【0028】
[パイプフレーム]
パイプフレーム20は、第1~第4パイプ部材21~24を有する。
【0029】
第1パイプ部材21は、左フレーム部211と右フレーム部212と上フレーム部213とを有する。第1パイプ部材21は、一本のパイプ材の曲げ加工によって左フレーム部211、右フレーム部212及び上フレーム部213を形成している。これにより、部品点数の低減及びパイプフレーム20の製造の容易化とコスト低減を図っている。
左フレーム部211と右フレーム部212は、それぞれ、シートバックフレーム100の左端部と右端部とに配置されている。左フレーム部211と右フレーム部212は、いずれも、上下方向に平行に向けられている。
上フレーム部213は、左フレーム部211の上端部と右フレーム部212の上端部とを連結している。上フレーム部213は、シートバックフレーム100の上端部おいて、左右方向に平行に向けられて配置されている。
【0030】
左フレーム部211、右フレーム部212及び上フレーム部213は、断面円形であってスチール等の一本の金属パイプを略U字状に曲成して形成されている。このため軽量化が図られ、製造の容易化及び低コスト化が図られている。
【0031】
また、第1~第4パイプ部材21~24の内、第2~第4パイプ部材22~24は外径が等しい金属パイプが使用され、第1パイプ部材21は、第2~第4パイプ部材22~24よりも外径が大きな金属パイプが使用されている。
第1パイプ部材21は、シートバックフレーム100における上端部及び左右の両端部に位置している。また、シートバックフレーム100は、下端部が自動車の車体に支持されている。従って、シートバックフレーム100は、車体に支持される下端部から離隔する上端部及び左右の両端部に、より剛性の高い第1パイプ部材21を配置することで、シートバックフレーム100全体について高い剛性を維持している。
また、第1パイプ部材21は、シートバックフレーム100の平面全体を囲むように配置されているので、シートバックフレーム100の平面全体の剛性も高めている。
【0032】
第2パイプ部材22は、断面円形であってスチール等の直線状の金属パイプからなる。
第2パイプ部材22は、シートバックフレーム100の下端部において、左右方向に平行に向けられて配置されている。第2パイプ部材22は、下フレームに相当する。
第2パイプ部材22は、左右のそれぞれの端部が第1パイプ部材21の左フレーム部211の下端部と右フレーム部212の下端部とに接合されている。これにより、第1パイプ部材21と第2パイプ部材22とは、シートバックフレーム100の外縁に沿った矩形枠状のフレームを構成する。
【0033】
第2パイプ部材22は、左右の端部がいずれも圧縮されて平坦に加工されている。これに対応して、左フレーム部211及び右フレーム部212の下端部も、各々の外周面であるパイプ周面の後部が平坦となるように加工されている。そして、第2パイプ部材22と左フレーム部211及び右フレーム部212とは、互いの平坦面が溶接により接合されている。
このように、第1パイプ部材21と第2パイプ部材22とは、平面同士の接合により高い強度で接合されている。
【0034】
なお、以下の記載において、「接合」という場合には、溶接、より好ましくは、レーザー溶接により接合されているものとする。但し、レーザー溶接に限らず、スポット溶接等の抵抗溶接やアーク溶接等の他の溶接を行ってもよいし、溶接以外の接合方法を用いてもよい。
【0035】
また、第2パイプ部材22の左右方向中間部と左端部との間の一部が圧縮されて平坦部221が形成されている。この平坦部221は、前後左右方向に沿った平面状である。平坦部221の前面には、後述するテザー部材17の下端部が接合されている。
【0036】
第3パイプ部材23は、断面円形であってスチール等の直線状の金属パイプからなる。第3パイプ部材23は、パイプフレーム20の内側において上下方向に沿って配置されている。
第3パイプ部材23の上端部は、第1パイプ部材21の上フレーム部213に接合されている。第3パイプ部材23の下端部は、第2パイプ部材22に接合されている。第3パイプ部材23は、上フレーム部213の中間部と下フレーム部としての第2パイプ部材22の中間部とを連結する連結部材に相当する。
【0037】
第3パイプ部材23は、上下の端部がいずれも圧縮されて平坦に加工されている。これに対して、上フレーム部213における第3パイプ部材23との接合部位も、外周面であるパイプ周面の後部が平坦となるように加工されている。同様に、第2パイプ部材22における第3パイプ部材23との接合部位も、外周面であるパイプ周面の後部が平坦となるように加工されている。
これらにより、第3パイプ部材23と第1パイプ部材21及び第2パイプ部材22とは、平面同士の接合により高い強度で接合されている。
【0038】
第3パイプ部材23は、パイプフレーム20の内側において、上下方向に沿った状態で固定されている。これにより、シートバックフレーム100に対して、パイプフレーム20の内側領域において、左右方向を軸とする曲げ応力に対する剛性を付与することができる。
また、パイプフレーム20における上フレーム部213と第2パイプ部材22との間隔が拡大又は縮小する撓みを抑制することができる。
【0039】
第4パイプ部材24は、断面円形であってスチール等の直線状の金属パイプからなる。
第4パイプ部材24は、第1パイプ部材21の左フレーム部211と第3パイプ部材23との間で左右方に平行に向けられて配置されている。
第4パイプ部材24の左端部は、左フレーム部211の上下方向の中間部に接合されている。第4パイプ部材24の右端部は、第3パイプ部材23の上下方向の中間部に接合されている。第4パイプ部材24は、連結部材と左右いずれかのフレーム(サイドフレーム)との間を横断し、各々の中間部を連結する横断部材に相当する。
【0040】
第4パイプ部材24は、左右の端部がいずれも圧縮されて平坦に加工されている。これに対して、左フレーム部211における第4パイプ部材24との接合部位も、外周面であるパイプ周面の後部が平坦となるように加工されている。同様に、第3パイプ部材23における第4パイプ部材24との接合部位も、外周面であるパイプ周面の後部が平坦となるように加工されている。
これらにより、第4パイプ部材24と第1パイプ部材21及び第3パイプ部材23とは、平面同士の接合により高い強度で接合されている。
【0041】
第4パイプ部材24は、パイプフレーム20の内側であって第3パイプ部材23より左側において、左右方向に沿った状態で固定されている。これにより、シートバックフレーム100に対して、パイプフレーム20の内側における第3パイプ部材23より左側領域において、上下方向を軸とする曲げ応力に対する剛性を付与することができる。
なお、パイプフレーム20の内側における第3パイプ部材23より右側領域は、左側領域よりも左右幅が狭い。このため、当該右側領域は、第1パイプ部材21の上フレーム部213と第2パイプ部材22により、上下方向を軸とする曲げ応力に対する十分な剛性を確保することができる。
一方、パイプフレーム20の左側領域は、左側領域よりも左右幅が広い。このため、上フレーム部213と第2パイプ部材22に加えて、第4パイプ部材24により、高い剛性を確保している。
【0042】
また、第4パイプ部材24により、パイプフレーム20における左フレーム部211と第3パイプ部材23との間隔が拡大又は縮小する撓みを抑制することができる。
【0043】
[パネルフレーム]
図1図3に示すように、パネルフレーム30は、パイプフレーム20の後側に配置されている。
パネルフレーム30は、スチールやアルミ合金等の金属板である。パネルフレーム30は、正面視で概ね矩形の板面形状を呈する。パネルフレーム30は、上下の幅及び左右の幅がパイプフレーム20と概ね等しい。従って、パネルフレーム30は、前後方向についてパイプフレーム20が殆どはみ出すことなく重合した状態で一体的に接合される。
【0044】
パネルフレーム30は、図2に示すように、その外縁部の周囲のほぼ全体に渡って前方に立ち上げられた丈の低い周壁状のフランジ部301が形成されている。なお、このフランジ部301は、一部が切り欠き等によって除去されている。このフランジ部301により、パネルフレーム30には、全体が平面形状を維持する剛性が付与される。
【0045】
パネルフレーム30は、図2に示すように、その平板面を、第1部位P1と第2部位P2と第3部位P3と第4部位P4とを含む複数の領域に区画することができる。
【0046】
第1部位P1は、パネルフレーム30の正面視において、第1パイプ部材21の右フレーム部212、上フレーム部213、第2パイプ部材22、第3パイプ部材23に囲まれた領域である。第1部位P1は、シートバックフレーム100が三人掛けのベンチシートに組み込まれた状態で中央のシートに座った着座者の後方に位置する。
【0047】
第2部位P2は、パネルフレーム30の正面視において、第1パイプ部材21の左フレーム部211、上フレーム部213、第2パイプ部材22、第3パイプ部材23に囲まれた領域である。第2部位P2は、シートバックフレーム100が三人掛けのベンチシートに組み込まれた状態で左側のシートに座った着座者の後方に位置する。
【0048】
第3部位P3は、パネルフレーム30の正面視において、第3パイプ部材23の後方に位置する領域である。
第4部位P4は、パネルフレーム30の正面視において、第1パイプ部材21及び第2パイプ部材22の後方に位置する部位である。第4部位P4は、パネルフレーム30の外縁部全周に相当する。
【0049】
パネルフレーム30は、最も後方に位置する面を基準面とした場合に、第1~第3部位P1~P3内に、基準面に対して帯状に前方に膨出した凸部としての複数の第1補強部311を有する。第1補強部311は、後面側から見て前方に窪んでいる。
複数の第1補強部311の中には、上下の丈や左右の幅が異なるものも含まれるが、いずれも上下方向に沿ったビード状に形成されている。
このように上下方向に沿って前方に膨出した第1補強部311を設けることで、第1補強部311の長手方向に直交する左右方向を軸とする曲げ応力に対して高い剛性をパネルフレーム30に付与することができる。
【0050】
なお、以下の説明において、「~補強部」という場合には、凸条、枠状、凸部、折曲部等の立体的な構造により、平板よりも高い剛性を有する部分や部材を示すものとする。
【0051】
第1部位P1内には、上下に長い第1補強部311が左右に三本並んで形成されている。これらの内の真ん中に位置する第1補強部311は、両側の第1補強部311よりも幅が広い。そして、真ん中に位置する第1補強部311は、複数の円形の貫通孔311aが上下に均一間隔で並んで形成されている。この複数の貫通孔311aにより、パネルフレーム30の軽量化を図っている。また、各貫通孔311aは、第1補強部311の膨出範囲の面内に形成されているため、第1補強部311そのものが貫通孔311aによる剛性の低下が生じないように補強している。
【0052】
第2部位P2内には、第1補強部311が左右に四本並んで形成されている。最も右に位置する第1補強部311は、上下丈が短く、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40の取付位置の下側に形成されている。この第1補強部311にも複数の貫通孔311aが上下に並んで複数形成されている。
また、左側の二本の第1補強部311は、後述する開口部32によって上下に分断されている。また、これら二本の第1補強部311にも複数の貫通孔311aが上下に並んで複数形成されている。
【0053】
第2部位P2内における右端部であって、前述した最も右に位置する第1補強部311の上側には、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40の後面側が接合される第1接合補強部312が形成されている。この第1接合補強部312は、パネルフレーム30の平面全体におけるほぼ中央、厳密には、中央より僅かに上側、中央より僅かに左側、即ち、第2部位P2の左端部に位置している。また、第1接合補強部312は、上下方向について、第3部位P3に上下に並んで設けられた後述する二つの第2接合補強部314の間に位置している。
このため、二つの第2接合補強部314によって剛性が高められた範囲内に第1接合補強部312が配置され、第1接合補強部312が支持するシートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40の撓みや向き変動を抑制することができる。
【0054】
第1接合補強部312は、正面視円形であって前方に向かって突出している。第1接合補強部312は、後面側から見て前方に窪んでいる。
第1接合補強部312は、中央に円形の平坦面を有し、当該平坦面が最も前方に位置している。第1接合補強部312の周囲は、中央の平坦面に近い程、前方への突出量が多くなるように傾斜している。なお、第1接合補強部312の正面視形状は円形に限定されず、矩形や多角形状でもよいが、円形が最も加工しやすい。
また、第1接合補強部312は、球面状に形成してもよい。その場合でも、中央に平坦面を設けることが好ましい。
【0055】
第1接合補強部312の中央の平坦面は、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40の後面が接合される。
第1接合補強部312は、パネルフレーム30の板面に対する凹凸構造であるため、第1接合補強部312とその周囲の剛性が高くなっている。このため、支持ブラケット40を介してシートベルト巻取装置Bを強固に支持する。また、シートベルトB1からシートベルト巻取装置Bを通じて荷重を受ける場合に、第1接合補強部312は、その周囲の撓みや変形を抑制することができる。
【0056】
第2部位P2内における左端部寄りであって、上下方向の中間より幾分下側には、略矩形の開口部32が前後に貫通形成されている。この開口部32周縁の前面側には、テザー部材17が設けられている。
【0057】
テザー部材17は、チャイルドシートを、シートバックフレーム100を備えるシートに取り付けるための部材である。テザー部材17は、チャイルドシートが備えるフックを係止することが可能な棒状部を有する。テザー部材17は、硬度の高い略U字状のワイヤからなり、横棒部とその両端部から下方に延びる左右一対の縦棒部を有する。左側の縦棒部は、右側よりも長さが短く、第1パイプ部材21の左フレーム部211の外周面であるパイプ周面上に接合されている。右側の縦棒部は、第2パイプ部材22に達する程度に長く、その下端部が第2パイプ部材22の平坦部221に接合されている。また、テザー部材17は、開口部32の周縁の前面側であって、開口部32の左右両側にも接合されている。
テザー部材17は、横棒部がパネルフレーム30の第2部位P2の開口部32の前面側において当該開口部32の上下方向中間部を左右に横切るように配置されている。即ち、開口部32は、チャイルドシートのフックを係止する際にパネルフレーム30が干渉しないようにするための逃げ穴である。
【0058】
開口部32は、二本の第1補強部311を分断するように、当該二本の第1補強部311の上下方向の中間部に位置している。
開口部32の周囲には、当該開口部32を囲繞するように前方に膨出した周囲補強部313が形成されている。周囲補強部313は、後面側から見て前方に向かって窪んでいる。
従って、この周囲補強部313により、板面を貫通する開口部32による剛性の低下が生じないように補強されている。
【0059】
第3部位P3の下部には、二本の第1補強部311が左右に並んで形成されている。
また、第3部位P3における二本の第1補強部311の上側には、パイプフレーム20の第3パイプ部材23のパイプ周面が接合される第2接合補強部314が上下に二つ並んで形成されている。
平面視において、第2接合補強部314に接合された第3パイプ部材23は、二本の第1補強部311の間を通る配置となっている。この場合、二本の第1補強部311の前方突出高さを、第3パイプ部材23のパイプ周面に当接する高さとして、相互間を接合してもよい。これにより、第3パイプ部材23が二本の第1補強部311の間で保持される。従って、第3パイプ部材23の傾きが抑制され、シートバックフレーム100に荷重が加わったときの撓みを抑制することができる。
【0060】
上下の第2接合補強部314は、いずれも、正面視円形であって前方に向かって突出している。第2接合補強部314は、後面側から見て前方に窪んでいる。また、各第2接合補強部314は、前述した第1接合補強部312よりも径が大きい。
各第2接合補強部314も、中央に円形の平坦面を有し、当該平坦面が最も前側に突出している。各第2接合補強部314の周囲は、中央の平坦面に近い程、前方への突出量が多くなるように傾斜している。なお、各第2接合補強部314の正面視形状も円形に限定されず、矩形や多角形状でもよい。また、各第2接合補強部314も、球面状に形成してもよいが、中央に平坦面を設けることが好ましい。
【0061】
各第2接合補強部314の中央の平坦面は、前述したように、第3パイプ部材23の上下二か所でパイプ周面の後部が接合される。このとき、第3パイプ部材23のパイプ周面後部における接合部位は、加圧して平坦面を形成してもよい。これにより平坦面同士の接合が行われ、各第2接合補強部314と第3パイプ部材23とをより強固に連結することができる。
また、第2接合補強部314は、上下に二つ設けられているので、第3パイプ部材23を上下二か所で保持する。このため、第3パイプ部材23が上下に平行となる姿勢を強固に保持することができる。これに伴い、パイプフレーム20の上下又は左右方向に沿った各部が傾斜する方向に撓むことを効果的に抑制することができる。
また、各第2接合補強部314も、パネルフレーム30の板面に対する凹凸構造であるため、各第2接合補強部314とその周囲の剛性を高める。このため、第3パイプ部材23を強固に支持し、周囲の撓みや変形を抑制することができる。
【0062】
第4部位P4は、第1~第3部位P1~P3を囲繞する矩形枠状の領域である。第4部位P4の上部における平面と下部における平面とは、基準面に対して前方に位置している。このため、第4部位P4の上部と他の部位P1~P3との境界近傍と、第4部位P4の下部と他の部位P1~P3との境界近傍とには、左右方向に沿った段部補強部315が形成されている。上下それぞれの段部補強部315は、左右方向に沿っているため、上下方向を軸とする曲げ応力に対して高い剛性をパネルフレーム30に付与することができる。
【0063】
また、第4部位P4の上端部の左側と右側とには、それぞれ第3接合補強部316が形成されている。第4部位P4の上端部は、基準面よりも前方に位置しているが、各第3接合補強部316は、さらにそこから前方に突出している。また、第3接合補強部316は、後面側から見て前方に窪んでいる。
各第3接合補強部316は、正面視矩形であって周囲に対して前斜め上に起伏した傾斜面を有する。各第3接合補強部316は、この傾斜面が第1パイプ部材21の上フレーム部213の外周面であるパイプ周面に接合され、第1パイプ部材21を固定している。
第3接合補強部316は、パネルフレーム30の板面に対する凹凸構造であるため、第3接合補強部316とその周囲の剛性が高くなっている。また、第3接合補強部316は、傾斜面であるため、第1パイプ部材21の上下動を抑制することができる。
【0064】
また、第4部位P4の左端部の下部と右端部の上部及び下部には、それぞれ第4接合補強部317が形成されている。各第4接合補強部317は、前方に向かって突出している。第4接合補強部317は、後面側から見て前方に窪んでいる。
第4接合補強部317は、中央に概ね矩形の平坦面を有し、当該平坦面が最も前側に突出している。
【0065】
各第4接合補強部317の平坦面は、第1パイプ部材21の左フレーム部211又は右フレーム部212の外周面であるパイプ周面が接合される。第4接合補強部317は、パネルフレーム30の板面に対する凹凸構造であるため、第4接合補強部317とその周囲の剛性が高くなっている。
第1パイプ部材21の外周面であるパイプ周面における第4接合補強部317との接合部位は、加圧して平坦面を形成してもよい。これにより、相互の接合強度を高めることができる。また、これに伴い、パイプフレーム20とパネルフレーム30の相互の撓みを抑制することができる。
【0066】
また、第4部位P4の下端部には、左右に並んで三か所に第5接合補強部318が形成されている。各第5接合補強部318は、前方に向かって突出している。第5接合補強部318は、後面側から見て前方に窪んでいる。
第5接合補強部318は、中央に概ね矩形の平坦面を有し、当該平坦面が最も前側に突出している。
【0067】
各第5接合補強部318の平坦面は、第2パイプ部材22の外周面であるパイプ周面が接合される。第5接合補強部318は、パネルフレーム30の板面に対する凹凸構造であるため、第5接合補強部318とその周囲の剛性が高くなっている。
第2パイプ部材22のパイプ周面における第5接合補強部318との接合部位は、加圧して平坦面を形成してもよい。これにより、相互の接合強度を高めることができる。また、これに伴い、パイプフレーム20とパネルフレーム30の相互の撓みを抑制することができる。
【0068】
また、第4部位P4の下端部における第1部位P1の真下となる範囲には、左右に並んで二か所に、逆さ略U字状の切り欠きによりその内側部分を前斜め上側に起伏させた起伏連結部33が形成されている。各起伏連結部33は、前斜め上側に起伏した傾斜面が第2パイプ部材22のパイプ周面に接合され、第2パイプ部材22を固定している。
【0069】
第4部位P4の上端部の左右方向中央には、上縁部から下方に向かって略矩形の切り欠き34が形成されている。この切り欠き34は、第2部位P2及び第3部位P3の上端部にまで達している。
この切り欠き34の前側となる配置で、第1パイプ部材21の上フレーム部213に第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16が取り付けられている。
略矩形の切り欠き34は、第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16にシートベルトやシートベルトに取り付けられた部材を通す際に、パネルフレーム30の上端部との干渉を回避するための逃げ部となっている。
【0070】
図4はシートバックフレーム100の上部中央における部分的な斜視図である。
前述したように、第4部位P4の上部平面は、基準面に対して前方に位置しているが、当該上部平面に対して、切り欠き34の左右両側は、後方に突出した凸部からなる第2補強部319となっている。第2補強部319は、前面側から見て後方に窪んでいる。
第2補強部319により、切り欠き34の周囲の剛性を高く維持し、切り欠き34による剛性の低下を抑制している。
さらに、第2補強部319は、その平板面が、第4部位P4の上部平面よりも後方に位置している。また、切り欠き34及び第2補強部319は、いずれも、パネルフレーム30の外縁部に形成されたフランジ部301が部分的に除去されている。これらの構造により、第2補強部319は、その平板面が、第1パイプ部材21の上フレーム部213のパイプ周面に対して後方に離隔している。さらに、第2補強部319は、後方に離隔した構造により、上フレーム部213に接合された第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16との干渉を回避する逃げ部として機能する。
【0071】
[シートベルト巻取装置の支持ブラケット]
図5はシートバックフレーム100の上端中央部の拡大正面図である。
図1図5に示すように、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40は、パネルフレーム30の前面における中央部より幾分上側に設けられている。
支持ブラケット40は、スチールやアルミ合金等の金属板を板金加工することにより形成されている。支持ブラケット40は、シートベルト巻取装置Bを固定支持する支持部41と、第3パイプ部材23と接合される連結部42とを有する。
支持部41は、平板状であってボルト43の挿通孔が形成され、後方から挿入されたボルト43の頭部が支持部41の後面側に溶接によって固定されている。シートベルト巻取装置Bは前方に突出したボルト43の軸部と図示しないナットによって支持部41に固定される。
また、支持部41は、その後面が、第1接合補強部312の平坦面に接合されている。支持部41における第1接合補強部312との接合部以外の部位は、パネルフレーム30に対して隙間が形成されている。
【0072】
支持ブラケット40は、第3パイプ部材23の左側に位置する。
連結部42は、支持部41の右端部から右斜め前側に延出されている。連結部42の延出端部は、第3パイプ部材23のパイプ周面における前側部分に巻き付くように第3パイプ部材23を抱持している。連結部42の延出端部の後面が第3パイプ部材23に接合されている。
また、連結部42の上下それぞれの端部には、延出方向に沿って前側に膨出したビード状の補強部421が形成されている。これらの補強部421は、延出方向に直交する上下方向を軸とする曲げ応力に対して高い剛性を連結部42に付与することができる。
【0073】
支持ブラケット40は、シートベルト巻取装置Bを支持するだけでなく、連結部42により、パネルフレーム30とパイプフレーム20の連結強度の向上に寄与する。また、連結部42により、第3パイプ部材23の撓みや傾動を抑制し、シートバックフレーム100の剛性向上に寄与する。
さらに、支持ブラケット40は、連結部42により、第3パイプ部材23に支持されるので、従来のように、パイプフレーム20の左右両端部に渡る支持フレームで支持する必要がなくなり、当該支持フレームを省略することができる。これにより、ベンチシートの着座者が受ける支持フレームによる異物感を解消することができる。
また、支持ブラケット40を後から支持する第1接合補強部312が凸となる構造であるため、支持ブラケット40の支持と共にパネルフレーム30の剛性の向上の両立を図ることができる。
【0074】
シートベルト巻取装置Bは、円筒状の本体部が横向きの状態で支持ブラケット40に固定される。
シートベルト巻取装置Bは、本体の内部に巻き取りバネに連結された巻き取り軸が設けられ、シートベルトB1を巻き取ることができる。また、シートベルト巻取装置Bは、本体上部からシートベルトB1を引き出すことができ、巻き取りバネは、引き出されたシートベルトB1に対して本体部に引き込む張力を常に付与する。さらに、シートベルト巻取装置Bは、急なシートベルトB1の引き出しを阻止する阻止機構を内蔵している。
【0075】
シートベルト巻取装置Bの本体の上部には、シートベルトB1の繰り出し口が形成され、そのすぐ上側に、スリットを有する板状のシートベルトB1の挿通ガイドB2を有する。挿通ガイドB2が、シートベルト巻取装置Bの繰り出し口から繰り出されたシートベルトB1を上方に案内する。
【0076】
[第1及び第2ベルトガイド]
図6図1のA-A線に沿った断面図である。
図4図6に示すように、第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16は、いずれも、シートベルト巻取装置Bから繰り出されたシートベルトB1を挿通して所定の繰り出し方向にガイドする。
【0077】
第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16は、いずれも、硬質の金属ワイヤを同一形状に曲げ加工を行って形成された同一の部材である。
第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16は、いずれも第1パイプ部材21の上フレーム部213における左右方向中央部に取り付けられている。第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16は、図5及び図6に示すように、シートベルト巻取装置Bの繰り出し口と左右方向について配置がほぼ一致する。
【0078】
第1及び第2ベルトガイド15,16は、略U字状に形成されたワイヤからなる。
第1ベルトガイド15は、同方向に延出されたワイヤの一端部及び他端部からなる一対の腕部151と、一対の腕部151を連結する挿通部152とを有する。挿通部152は、一方の腕部151から他方の腕部151に連なり、これらの間でシートベルトB1を挿通する環状部を構成する。
第2ベルトガイド16は、同方向に延出されたワイヤの一端部及び他端部からなる一対の腕部161と、一対の腕部161を連結する挿通部162とを有する。挿通部162も、一方の腕部161と他方の腕部161との間で環状部を構成する。
【0079】
第1ベルトガイド15の一対の腕部151と第2ベルトガイド16の一対の腕部161とは、いずれも同心となる円弧状に曲成されている。そして、それぞれの腕部151,161が、第1パイプ部材21の上フレーム部213における左右方向中間部のパイプ周面に接合されている。それぞれの腕部151,161の内径は、上フレーム部213の外径に略一致している。このため、それぞれの腕部151,161は、その内周側が上フレーム部213のパイプ周面に広い範囲で当接し、強固に接合することができる。
なお、第1ベルトガイド15の一対の腕部151と第2ベルトガイド16の一対の腕部161とは、相互に干渉しないように、左右方向に僅かにオフセットして接合されている。
【0080】
第1ベルトガイド15は、上フレーム部213の左右方向中央部において、挿通部152側が上フレーム部213のパイプ周面の上部から前方であって僅かに下側に向かって延出されている。
第2ベルトガイド16は、上フレーム部213の中央部において、挿通部162側が上フレーム部213のパイプ周面の下部から前方であって下側に向かって延出されている。第2ベルトガイド16の挿通部162の方が第1ベルトガイド15の挿通部152よりも下側への傾斜が大きくなっている。
【0081】
また、図6に示すように、第1ベルトガイド15の挿通部152の延出端部は、シートベルト巻取装置Bの中心B3より前側まで延出されている。
また、第2ベルトガイド16の挿通部162の延出端部は、パネルフレーム30よりも前側に延出されているが、シートベルト巻取装置Bの中心B3より前側までには達していない。
なお、シートベルト巻取装置Bの中心B3とは、シートベルト巻取装置Bの外形が略円筒状である場合には、その中心軸位置を示す。また、シートベルトB1の巻き取り軸の回転中心の位置を中心B3としてもよい。
本実施形態の場合には、どちらを中心B3とした場合でも、第1ベルトガイド15の挿通部152の延出端部及び第2ベルトガイド16の挿通部162の延出端部の前後方向の位置関係が成立している。
【0082】
シートベルト巻取装置Bをシートバックフレーム100に設ける場合、シートベルト巻取装置Bから繰り出されたシートベルトB1は、一旦、着座者の肩よりも上方に導いてから進路を屈曲させて前斜め下側にガイドする必要がある。
第2ベルトガイド16は、挿通部162が上述した配置であることから、シートベルト巻取装置Bの上端後部に設けられた繰り出し口から上方に繰り出されたシートベルトB1を後から前に挿通し易くなっている。挿通部162は、先端部に左右方向に沿った丸棒部分を有するので、内側を挿通させたシートベルトB1を当該丸棒部分の外周面に沿わせて前方に進路を屈曲させるようにガイドすることができる。
第1ベルトガイド15も、挿通部152の先端部に左右方向に沿った丸棒部分を有する。そして、第1ベルトガイド15は、挿通部152が前述した配置であることから、第2ベルトガイド16の挿通部162よりも上方前側に位置している。このため、挿通部162によって前方に案内されたシートベルトB1を、第1ベルトガイド15の挿通部152は、挿通部162よりも高位置から丸棒部分に沿わせて下方に進路を屈曲させるようにガイドすることができる。
従って、第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16によって、着座者に対して適正にシートベルトB1を案内することができる。
【0083】
[ヘッドレストフレーム]
ヘッドレストフレーム11,12は、図1及び図3に示すように、第1パイプ部材21の上フレーム部213において、左側と右側とに設けられている。
ヘッドレストフレーム11,12は、いずれも、比較的外径の大きな金属ワイヤから形成されている。ヘッドレストフレーム11,12は、略U字状に形成されたワイヤからなり、上方に延出された一対の棒状部分がいずれも下側に折り返されるように屈曲されている。ヘッドレストフレーム11,12は、折り返された棒状部分が上フレーム部213の外周面の前側部分に接合されている。
【0084】
左側のヘッドレストフレーム11は、折り返された一対の棒状部分の下端部近傍がいずれも後方に湾曲し、当該湾曲部分より上側の後部が上フレーム部213に接合されている。上フレーム部213におけるヘッドレストフレーム11との接合部位は、ヘッドレストフレーム11の棒状部分に沿うように平坦に加工してもよい。
上フレーム部213に接合された状態でヘッドレストフレーム11の一対の棒状部分の下端部は、パネルフレーム30の前面側に当接している。ヘッドレストフレーム11の一対の棒状部分の下端部は、パネルフレーム30の前面に接合してもよい。
【0085】
右側のヘッドレストフレーム12は、折り返された一対の棒状部分の下端部がいずれも後方に円弧状に湾曲し、当該円弧状に湾曲した部分の内周側が上フレーム部213の外周面に接合されている。ヘッドレストフレーム12の円弧状に湾曲した部分の内径は、上フレーム部213の外径と略一致している。このため、ヘッドレストフレーム12の下端部は、上フレーム部213の外周面に広い範囲で接合を行うことができる。
【0086】
各ヘッドレストフレーム11,12の上部は、最終的には、クッション材からなるパッド材で覆われ、さらにその上から、布地等の表皮材で覆われる。そして、これらによってヘッドレストが構成される。
【0087】
なお、ヘッドレストフレーム11とヘッドレストフレーム12は、一対の棒状部分の形状が異なっているが、いずれか一方の形状に揃えてもよい。
また、各ヘッドレストフレーム11,12は、上フレーム部213に対して直接的に接合せずに、上フレーム部213に接合された筒状の支持部材に挿入して取り付ける構成としてもよい。
【0088】
[アームレストブラケット]
アームレストブラケット13,14は、いずれも、一枚の金属板からプレス加工により形成されている。
左側のアームレストブラケット13は、第3パイプ部材23の下端部近傍の外周面の前側に接合された基端部と、基端部から前方に延出された支持腕部と、基端部及び支持腕部の外縁に沿って形成されたフランジ部とを備えている。
右側のアームレストブラケット14は、第1パイプ部材21の右フレーム部212の下端部近傍の外周面の前側に接合された基端部と、基端部から前方に延出された支持腕部と、基端部及び支持腕部の外縁に沿って形成されたフランジ部とを備えている。
左右のアームレストブラケット13,14には、それぞれの先端部に、左右方向から見て同一となる位置にアームレストの支持孔が形成されている。左右のアームレストブラケット13,14は、左右両側から図示しないアームレストの下端部を回動可能に支持する。
【0089】
[ロック装置の取付ブラケット]
取付ブラケット50は、図示しないロック装置の支持を行う。
シートバックフレーム100は、車体に対して下端部が左右方向に沿った軸回りに回動可能に支持される。そして、シートバックフレーム100は、通常は起伏状態とされ、必要に応じて、前方に傾倒状態とされる。
ロック装置は、車体側から右方に延出された長円状のワイヤからなるストライカーを係止してシートバックフレーム100を起伏状態に維持することができる。また、ロック装置は、外部操作によりストライカーの係止と解除とを切り替えることができる。
【0090】
取付ブラケット50は、図1及び図3に示すように、シートバックフレーム100の左端上部前面側に配置されている。取付ブラケット50は、パイプフレーム20の第1パイプ部材21の左フレーム部211とパネルフレーム30の前面とに接合されている。
取付ブラケット50は、水平断面が略U字状となる開断面構造を有し、開口側をパネルフレーム30の前面側に向けて接合されている。取付ブラケット50は、スチールやアルミ合金等の一枚の金属板からプレス加工により形成されている。
【0091】
取付ブラケット50は、左側にロック装置の取付面51を有する。取付面51の後側縁部には、前方に向かって切り欠き52が形成されている。
シートバックフレーム100を起伏させるために後方に回動させると、車体側に設けられたストライカーが相対的に前方に移動してロック装置に係止される。この切り欠き52は、相対的に前方に移動するストライカーの逃げ部となる。なお、パネルフレーム30の左側縁部にも、切り欠き52に対応する切り欠き35が形成されており、同様にストライカーの逃げ部となっている。
【0092】
取付ブラケット50は、パネルフレーム30の前面に対向する平面を有するフランジ部と、左フレーム部211の外周面に対向する曲面部を有するフランジ部とを有する構成としてもよい。これらを接合面とすることにより、取付ブラケット50をパイプフレーム20及びパネルフレーム30に対してより強固に接合することができる。
【0093】
[セットブラケット]
図1及び図3に示すように、シートバックフレーム100の前面側下部の左端部には、セットブラケット18が設けられている。
セットブラケット18は、パネルフレーム30の左下角部と第1パイプ部材21の左フレーム部211の下端部外周面前側とに接合されている。
セットブラケット18は、一枚の金属板からプレス加工により形成されている。
【0094】
セットブラケット18は、パネルフレーム30側に接合される平面部と当該平面部から前方に立ち上げられて左フレーム部211の外周面に接合される曲面部とを有する。これらにより、セットブラケット18は、広面積でパネルフレーム30及び左フレーム部211に接触することができ、接合強度を高く維持することができる。
また、セットブラケット18の上縁部と下縁部とには、板面から前方に立ち上げられた補強構造としてのリブが形成されている。
セットブラケット18の平面部の前面には上下に二つ並んでプロジェクションナットがプロジェクション溶接によって固定装備されている。これらのプロジェクションナットのネジ穴に対応して、セットブラケット18の平面部とパネルフレーム30とに貫通孔が形成されている。各プロジェクションナットは、シートバックフレーム100を車体に固定する際に、固定用のボルトが螺入される。
【0095】
[第1実施形態の技術的効果]
上記シートバックフレーム100は、第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16とを有する。このため、シートベルトB1に大きな荷重が加えられた場合でも、シートベルトB1から加わる荷重を第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16とに分散することができ、簡易な構成で各ベルトガイド15,16の支持剛性とシートベルトB1の支持剛性の双方の向上を図ることが可能となる。
【0096】
また、シートバックフレーム100は、第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16がパイプフレーム20の上フレーム部213のパイプ周面に沿って取り付けられている。従って、パイプ周面に対して各ベルトガイド15,16を、広い面積で接合することができ、高い接合強度を得ることができ、シートベルトB1からのより大きな荷重に耐久することができる。
また、各ベルトガイド15,16をパイプ周面に沿って取り付けることで、各ベルトガイド15,16の挿通部152の延出方向に沿って荷重が加わる場合に、上フレーム部213との取付面には、当該取付面が剥離する方向ではなく取付面である周面に沿った方向に力が加わりやすくなる。このため、各ベルトガイド15,16がパイプフレーム20から剥離しにくくなり、荷重に対する強度を向上させることが可能である。
また、各ベルトガイド15,16の腕部151,161をパイプ周面に沿った円弧状とすることにより、腕部151,161そのものがフックとしても機能する。このため、シートベルトB1からのさらに大きな荷重に耐久することができる。
【0097】
また、シートバックフレーム100は、第1ベルトガイド15の挿通部152の延出端部と第2ベルトガイド16の挿通部162の延出端部がそれぞれシートベルト巻取装置Bの中心B3に対して前側と後側とに位置している。
このため、シートベルト巻取装置Bから第2ベルトガイド16、第1ベルトガイド15を通じてシートバックフレームの前側に繰り出される場合に、各ベルトガイド15,16が良好にガイドすることができる。
即ち、シートベルトB1は、シートベルト巻取装置Bから上方に繰り出され、さらに、折り返されて前斜め下側に繰り出される。このため、第2ベルトガイド16の挿通部162から第1ベルトガイド15の挿通部152へと段階的に進路を変えるようにシートベルトB1をガイドすることができ、シートベルトB1を円滑に引き出すことが可能となる。
【0098】
また、各挿通部152,162の上記配置により、シートベルトB1から荷重が加えられた場合に、各ベルトガイドに加わる荷重の偏りを抑えて適度に分散することが可能となる。従って、荷重に対する各ベルトガイド15,16の取り付け強度と耐久性とを向上させることが可能である。
【0099】
さらに、第2ベルトガイド16の挿通部162がシートベルト巻取装置Bの中心B3より後側に位置しているため、シートベルトB1に大きな荷重が加わった場合に、シートベルトB1を通じてシートベルト巻取装置Bを支持ブラケット40から引き剥がす荷重を低減することができる。従って、シートベルト巻取装置Bの取り付け強度と耐久性とを向上させることが可能である。
【0100】
また、シートバックフレーム100は、第1ベルトガイド15の挿通部152の延出端部が上フレーム部213のパイプ周面の上部から前側に延出され、第2ベルトガイド16の挿通部162の延出端部が上フレーム部213のパイプ周面の下部から前側に延出されている。
このため、シートベルトB1に荷重が加えられた場合に、各ベルトガイド15,16に加わる力が上フレーム部213のパイプ周面からの剥離を促す方向ではなく、パイプ周面に沿った方向に向かせることができ、荷重に対する強度を向上させることが可能である。
【0101】
また、第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16とが同一形状の部材からなるので、部品の共通化により製造容易化及び製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0102】
また、シートバックフレーム100は、上フレーム部213に設けられた第1及び第2ベルトガイド15,16に対する逃げ部としての第2補強部319を有するので、各ベルトガイド15,16とパネルフレーム30との干渉を回避することが可能となる。パネルフレーム30のようなパネル材は、凹凸による逃げ部の形成が容易であり、各ベルトガイド15,16の取付位置の確保が容易であり、また、取付位置の配置の自由度を高く維持することが可能である。
【0103】
また、シートバックフレーム100は、パネルフレーム30が、前方に突出した第2接合補強部314、第3接合補強部316、第4接合補強部317及び第5接合補強部318により、パイプフレーム20の複数個所に接合されている。そして、パネルフレーム30は、前方に突出したこれらの接合箇所以外については、パイプフレーム20に対して前後に離隔して隙間を形成している。従って、パネルフレーム30とパイプフレーム20の間で生じるビビリ音などの異音の発生を抑制することができる。
【0104】
[第2実施形態]
第2実施形態では、パイプフレーム20とは一部の構成が異なるパイプフレーム20Aを備えるシートバックフレーム100Aを例示する。図7はシートバックフレーム100Aの正面図である。
なお、シートバックフレーム100Aについて、前述したシートバックフレーム100と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。シートバックフレーム100Aについては、主に、シートバックフレーム100と異なる点について説明する。
【0105】
シートバックフレーム100Aは、パネルフレーム30とその前面側に設けられたパイプフレーム20Aとを有する。
パイプフレーム20Aは、第3パイプ部材23に替えて第3パイプ部材23Aを備える点と、新たに第5パイプ部材25Aを備える点がパイプフレーム20と異なっている。
【0106】
第3パイプ部材23Aは、断面円形であってスチール等の金属パイプからなる。第3パイプ部材23Aは、第3パイプ部材23と外径が等しい。第3パイプ部材23Aは、パイプフレーム20Aの内側において概ね上下方向に沿って配置されている。
第3パイプ部材23Aは、上フレーム部213の中間部と下フレームとしての第2パイプ部材22の中間部とを連結する連結部材に相当する。
但し、第3パイプ部材23Aの上フレーム部213に対する連結位置は、前述した第3パイプ部材23と異なっている。第3パイプ部材23Aの上フレーム部213に対する連結位置は、第1及び第2ベルトガイド15,16を回避するように、その連結位置から右方に離隔した位置となっている。第3パイプ部材23Aの上フレーム部213に対する連結位置は、第1及び第2ベルトガイド15,16の連結位置とヘッドレストフレーム12の連結位置との中間位置である。
【0107】
第3パイプ部材23Aの下端部側の第2パイプ部材22に対する連結位置は、第3パイプ部材23と同じである。このため、第3パイプ部材23Aは、上部に二か所の屈曲部231A,232Aを有し、上フレーム部213に対する連結位置の変更を実現している。
下側の屈曲部231Aは、第3パイプ部材23Aにおける上側の第2接合補強部314との接合位置より幾分上側に位置している。第3パイプ部材23Aは、屈曲部231Aよりも下側部分が直線状であって、上下方向に平行に向けられている。そして、屈曲部231Aは、それより上側の部分を右斜め上側に傾斜させる。
上側の屈曲部232Aは、第3パイプ部材23Aの上端部近傍に位置している。上側の屈曲部232Aは、それより上側部分を左斜め上側に傾斜させる。この屈曲部232Aは、当該屈曲部232Aより上側の部分を上下方向に平行に向けた状態に矯正する。
【0108】
第3パイプ部材23Aの上端部は、二か所の屈曲部231A,232Aにより、第1及び第2ベルトガイド15,16を迂回してその連結位置から右方に離隔した位置で上フレーム部213に接合されている。
第3パイプ部材23Aの上下の端部も、いずれも圧縮されて平坦に加工されており、上フレーム部213及び第2パイプ部材22に対して高強度で接合されている。
【0109】
また、第3パイプ部材23Aは、二か所の屈曲部231A,232Aを有するが、これらがいずれも上側の第2接合補強部314よりも上となるように設けられている。このため、第3パイプ部材23Aは、パネルフレーム30に変更を加えることなく二つの第2接合補強部314に接合することができる。また、支持ブラケット40に変更を加えることなく連結部42にも接合することができる。さらに、第4パイプ部材24に変更を加えることなく第4パイプ部材24にも接合することができる。
従って、パイプフレーム20Aとパネルフレーム30との高強度の連結状態を維持し、相互の結合によるシートバックフレーム100Aの剛性向上の効果を維持している。
【0110】
第5パイプ部材25Aは、断面円形であってスチール等の金属パイプからなる。第5パイプ部材25Aは、パイプフレーム20Aの内側において斜め上方向に沿って配置されている。
第5パイプ部材25Aは、第4パイプ部材24の中間部より幾分右側部分と第1パイプ部材21の左上角部、即ち、左フレーム部211と上フレーム部213の境界部分とを連結する。
第5パイプ部材25Aは、第1パイプ部材21と第3パイプ部材23と第4パイプ部材24とによって構成される矩形フレームの略対角線上となる配置で角部近傍と角部近傍とを連結する筋交いフレームとして機能する。
【0111】
第5パイプ部材25Aの両端部は、いずれも圧縮されて平坦に加工されており、第4パイプ部材24の外周面後部と第1パイプ部材21の外周面後部とに高強度で接合されている。
また、第5パイプ部材25Aは、第4パイプ部材24等と比して外径の小さいパイプ部材を使用している。これにより、パイプフレーム20Aとパネルフレーム30の間の狭いスペースに配置することを可能としている。
【0112】
なお、第5パイプ部材25Aは、第4パイプ部材24等と等しい外径のパイプ部材を使用してもよい。
また、第5パイプ部材25Aは、パイプフレーム20Aにおける前側に配置してもよい。
【0113】
シートバックフレーム100Aは、第3パイプ部材23が、第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16を迂回するように屈曲して上端部が上フレーム部213に連結されている。このため、第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16の取付位置を適正に確保することが可能となる。また、第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16の配置に拘わらず、パイプフレーム20Aの内側に第3パイプ部材23Aを配置することが可能となり、第3パイプ部材23と同様にフレーム強度の向上をはかることが可能となる。
【0114】
さらに、第3パイプ部材23Aは、第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16と離隔した位置で上フレーム部213に接合されている。このため、上フレーム部213に対して狭い範囲に集中して他の部材が連結されることを回避することができる。これにより、シートバックフレーム100Aに荷重が加わったときに、上フレーム部213の狭い範囲に荷重が集中することを回避することができ、上フレーム部213の変形、破損等を抑制し、シートバックフレーム100Aの耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0115】
また、第5パイプ部材25Aをパイプフレーム20Aにおける枠状部分に略筋交いの配置で設けたため、パイプフレーム20Aにおける各構成が傾斜する方向への撓みを抑制し、パイプフレーム20Aの剛性の向上を図ることが可能となる。
【0116】
なお、第3パイプ部材23Aを、屈曲部231A,232Aを有さない直線状のパイプ材から構成してもよい。その場合、上述した上フレーム部213に対する連結位置と第2パイプ部材22に対する連結位置とに上下の端部がそれぞれ接合されるように、若干右斜め上に傾斜した向きで取り付けてもよい。この場合も、屈曲部231A,232Aを有する第3パイプ部材23Aとほぼ同様の剛性を得ることが可能である。
但し、その場合、二つの第2接合補強部314の配置を変更し、支持ブラケット40の連結部42の接合面の形状を変更し、第4パイプ部材24の長さを調整する必要がある。
【0117】
[第3実施形態]
第3実施形態では、第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16と異なるベルトガイド15Bを例示する。図8はベルトガイド15Bの斜視図である。
【0118】
ベルトガイド15Bは、前述した第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16とを一本のワイヤから形成し、一部材化したベルトガイドである。
ベルトガイド15Bは、前述した第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16の各部について同一形状且つ同一機能となる構成を有する。従って、ベルトガイド15Bについて、前述した第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16と同一となる部分については同一の符号を付するものとする。
【0119】
ベルトガイド15Bは、硬質の金属ワイヤに曲げ加工を行って形成されている。ベルトガイド15Bの上フレーム部213に対する配置は、第1ベルトガイド15と第2ベルトガイド16の配置と一致する。
【0120】
ベルトガイド15Bは、二つの略U字状となる部分を形成し、各U字状の部分の底部となる位置に形成された二つの挿通部152,162を有する。さらに、挿通部152の右端部と挿通部162の右端部とを円弧状に形成された腕部151で連結している。当該腕部151の内径は、上フレーム部213の外径と略一致し、腕部151の内周部と上フレーム部213の外周面とが接合されている。
また、挿通部152の左端部は後方に延出されると共に円弧状に形成されてもう一方の腕部151を構成している。当該腕部151も先述の腕部151と同様にして上フレーム部213に接合されている。
また、挿通部162の左端部も後方に延出されると共に円弧状に形成されて腕部161を構成している。当該腕部161も上記腕部151と同様にして上フレーム部213における腕部151の隣に接合されている。
【0121】
なお、第1ベルトガイド15における挿通部152の右側の腕部151と第2ベルトガイド16における挿通部162の右側の腕部161とは、一つの腕部151で共用されている。
また、上記挿通部162は、厳密には、第2ベルトガイド16の挿通部162よりも僅かに長く形成されている。
【0122】
上記ベルトガイド15Bにおける挿通部152の直線状の部位及び挿通部162の直線状の部位における上フレーム部213に対する配置は、それぞれ、前述した第1ベルトガイド15の挿通部152の直線状の部位と第2ベルトガイド16の挿通部162の直線状の部位の配置と一致している。
従って、ベルトガイド15Bは、第1ベルトガイド15及び第2ベルトガイド16と同一に機能し、同一の技術的効果を奏する。
さらに、ベルトガイド15Bは、一体化された単一の部材からなるので、部品点数の低減、製造コストの低減、軽量化等を図ることが可能となる。
【0123】
[第4実施形態]
第4実施形態では、パイプフレーム20とは一部の構成が異なるパイプフレーム20Cを備えるシートバックフレーム100Cを例示する。図9はシートバックフレーム100Cの正面図である。
なお、シートバックフレーム100Cについて、前述したシートバックフレーム100Aと同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。シートバックフレーム100Cについては、主に、シートバックフレーム100Aと異なる点について説明する。
【0124】
シートバックフレーム100Cは、パネルフレーム30とその前面側に設けられたパイプフレーム20Cとを有する。
パイプフレーム20Cは、第3パイプ部材23Aに替えて第3パイプ部材23Cを備える点と、第1及び第2ベルトガイド15,16に替えて第1及び第2ベルトガイド15C,16Cを備える点がパイプフレーム20Aと異なっている。
さらに、パイプフレーム20Cは、第5パイプ部材25Aを有していない点がパイプフレーム20Aと異なっている。
【0125】
第3パイプ部材23Cは、第3パイプ部材23Aに比べて、使用する金属パイプの外径が小さい点が異なっている。従って、パイプフレーム20Cにおける第3パイプ部材23Cの両端部の接合位置や、第3パイプ部材23Cの二つの屈曲部231C,232Cの屈曲位置は、第3パイプ部材23Aと同一である。
【0126】
第1及び第2ベルトガイド15C,16Cは、使用するワイヤの外径が第1及び第2ベルトガイド15,16よりも大きい点のみが異なっている。第1及び第2ベルトガイド15C,16Cの形状、配置、構造は、第1及び第2ベルトガイド15,16と同一である。
第1及び第2ベルトガイド15C,16Cのワイヤの外径は、第3パイプ部材23Cの金属パイプの外径よりも大きくしてもよい。
【0127】
上記構成からなるシートバックフレーム100Cは、第3パイプ部材23Cの細径化により、シートバックフレーム100Aに比して軽量化を図ることか可能となる。さらに、第5パイプ部材25Aを省略したことにより、さらなる軽量化を実現している。
また、第1及び第2ベルトガイド15C,16Cは、使用するワイヤの外径を大きくしたことにより、シートベルトB1から受ける荷重に対する耐荷重性をより向上させている。
【0128】
なお、シートバックフレーム100Cは、軽量化を図りつつ、シートベルトB1からの耐荷重性の向上を図っているが、例えば、軽量化に特化する場合には、前述した第1及び第2ベルトガイド15,16を備える構成としてもよい。
【0129】
[第5実施形態]
第5実施形態では、第1ベルトガイド15とは一部の構成が異なる第1ベルトガイド15Dを備えるシートバックフレーム100Dを例示する。図10はシートバックフレーム100Dの正面図である。
なお、シートバックフレーム100Dについて、前述したシートバックフレーム100と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。シートバックフレーム100Dについては、主に、シートバックフレーム100と異なる点について説明する。
【0130】
第1ベルトガイド15Dは、挿通部152Dが第1ベルトガイド15の挿通部152よりも左右方向に長い点のみが異なっている。
第1ベルトガイド15Dの左側の腕部151は、上フレーム部213に対する接合位置が第1ベルトガイド15の左側の腕部151の接合位置と同一である。
一方、第1ベルトガイド15Dの右側の腕部151は、上フレーム部213に対する接合位置が第1ベルトガイド15の右側の腕部151の接合位置よりも右方である。より具体的には、上フレーム部213における第3パイプ部材23の接合位置より右方であって、第1ベルトガイド15の右側の腕部151と第3パイプ部材23との間隔よりも離隔した位置である。
【0131】
シートバックフレーム100Dは、シートバックフレーム100と同一の効果を有する。
さらに、第1ベルトガイド15Dは、挿通部152Dが左右方向に長いので、シートベルトB1の挿通作業が容易となる。
さらに、挿通部152Dが左右方向に長いので、上フレーム部213に対する左右の腕部151の接合位置の適正化を図ることが可能となる。例えば、上フレーム部213における第3パイプ部材23の接合位置からより離隔した位置に腕部151を接合することで、狭い範囲に集中して部材が連結されることを回避することができ、シートバックフレーム100Dに荷重が加わったときに、上フレーム部213の狭い範囲に荷重が集中することを回避することができ、上フレーム部213の変形、破損等を抑制し、シートバックフレーム100Dの耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0132】
[第6実施形態]
第6実施形態では、第1ベルトガイド15とは一部の構成が異なる第2ベルトガイド16Eを備えるシートバックフレーム100Eを例示する。図11はシートバックフレーム100Eの正面図である。
なお、シートバックフレーム100Eについて、前述したシートバックフレーム100と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。シートバックフレーム100Eについては、主に、シートバックフレーム100と異なる点について説明する。
【0133】
第2ベルトガイド16Eは、挿通部162Eが第2ベルトガイド16Eの挿通部162よりも左右方向に長い点のみが異なっている。
第2ベルトガイド16Eの左側の腕部161は、上フレーム部213に対する接合位置が第2ベルトガイド16の左側の腕部151の接合位置と同一である。
一方、第2ベルトガイド16Eの右側の腕部161は、上フレーム部213に対する接合位置が第2ベルトガイド16の右側の腕部161の接合位置よりも右方である。より具体的には、上フレーム部213における第3パイプ部材23の接合位置より右方であって、第2ベルトガイド16の右側の腕部161と第3パイプ部材23との間隔よりも離隔した位置である。
【0134】
シートバックフレーム100Eは、シートバックフレーム100と同一の効果を有する。
さらに、第2ベルトガイド16Eは、挿通部162Eが左右方向に長いので、シートベルトB1の挿通作業が容易となる。
さらに、挿通部162Eが左右方向に長いので、上フレーム部213に対する左右の腕部161の接合位置の適正化を図ることが可能となる。これにより、シートバックフレーム100Eの耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0135】
[第7実施形態]
第7実施形態では、送風デバイス60を備えるシートバックフレーム100Fを例示する。図12はシートバックフレーム100Fの正面図である。
なお、シートバックフレーム100Fについて、前述したシートバックフレーム100と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。シートバックフレーム100Fについては、主に、シートバックフレーム100と異なる点について説明する。
【0136】
シートバックフレーム100Fには、パネルフレーム30の上部の前面側であって、シートベルト巻取装置Bの左右の両側に送風デバイス60が1基ずつ配置されている。
各送風デバイス60は、パネルフレーム30の前面側に接合された金属板からなる図示しないブラケットに対してボルト等により締結固定して取り付けてもよい。
【0137】
各送風デバイス60は、ファンとモータ等の駆動源が格納された筐体61と、筐体61から上方に延出され、前側に開口したダクト62とを有する。
左側の送風デバイス60は、第1パイプ部材21と第3パイプ部材23と第4パイプ部材24とに囲繞された、前後方向に余裕がある隙間領域内に配置される。また、ヘッドレストフレーム11と干渉しないように、ヘッドレストフレーム11の下方に延びる二本のワイヤの端部の間にダクト62が位置するように、左側の送風デバイス60は、配置されている。
右側の送風デバイス60は、第1パイプ部材21と第2パイプ部材22と第3パイプ部材23とに囲繞され、前後方向に余裕がある隙間領域内の上部に配置される。また、ヘッドレストフレーム12と干渉しないように、ヘッドレストフレーム12の下方に延びる二本のワイヤの端部の間に上方に延出されたダクト62が位置するように、右側の送風デバイス60は、配置されている。
【0138】
シートバックフレーム100Fは、左右に送風デバイス60を備え、シートに送風機能を付与することが可能となる。
また、各送風デバイス60は、シートバックフレーム100Fにおける隙間スペースを活用して配置しているため、シートバックフレーム100Fの大型化を回避することが可能である。また、周囲がパイプ部材に囲まれているため、シートに荷重が加えられた場合でも、送風デバイス60を効果的に保護することが可能である。
【0139】
[第8実施形態]
第8実施形態では、他の例としてのシートバックフレーム100Gを例示する。図13はシートバックフレーム100Gの正面図である。
なお、シートバックフレーム100Gについて、前述したシートバックフレーム100と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。シートバックフレーム100Gについては、主に、シートバックフレーム100と異なる点について説明する。
【0140】
シートバックフレーム100Gは、主に、パネルフレーム30を有してない点がシートバックフレーム100と異なる。
シートバックフレーム100では、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40がパネルフレーム30に支持されている。
シートバックフレーム100Gでは、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40Gがパイプフレーム20に支持されている。
【0141】
支持ブラケット40Gは、略矩形又は略正方形の金属平板からなる。支持ブラケット40Gは、正面視のシートベルト巻取装置Bより一回り程度大きければよい。
支持ブラケット40Gの右縁部の前面が第3パイプ部材23の外周面の後部に接合されている。また、ブラケット40Gの下縁部の前面が第4パイプ部材24の外周面の後部に接合されている。
支持ブラケット40Gもボルト43の挿通孔を有し、後面側でボルト43の頭部が接合されている。ボルト43と図示しないナットによって支持ブラケット40Gの前面側にシートベルト巻取装置Bが固定されている。
【0142】
なお、支持ブラケット40Gは、略矩形又は略正方形でなくともよい。但し、第3パイプ部材23に沿った外縁部と第4パイプ部材24に沿った外縁部とを有する略直角部分を有する金属平板であることが好ましい。
また、支持ブラケット40Gは、その左縁部を左フレーム部211まで延出し、当該左縁部の前面を左フレーム部211の外周面の後部に接合してもよい。その場合には、支持ブラケット40Gの下縁部は、第4パイプ部材24に接合しても接合しなくてもよい。
【0143】
シートバックフレーム100Gは、パネルフレーム30を有していないことから、飛躍的な軽量化を図ることが可能となる。また、最も大きな部材であるパネルフレーム30を有さないので、部品点数の低減、製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、シートベルト巻取装置Bの支持ブラケット40Gをパイプフレーム20の第3パイプ部材23と第4パイプ部材24のそれぞれの外周面の後部に接合しているので、シートベルトB1から受ける荷重に対する高い支持強度を得ることができる。
【0144】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、実施形態において、単一の部材により一体的に形成された構成要素は、複数の部材に分割されて互いに連結又は固着された構成要素に置換してもよい。また、複数の部材が連結されて構成された構成要素は、単一の部材により一体的に形成された構成要素に置換してもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0145】
例えば、パイプフレーム20は、第1パイプ部材21が左右のフレームと上フレームを構成し、第2パイプ部材22が下フレームを構成しているがこれに限定されない。第1パイプ部材21が左右のフレームと下フレームを構成し、第2パイプ部材22が上フレームを構成してもよい。
さらに、第1パイプ部材21は、シートバックフレーム100の上縁部に沿った上フレーム部とシートバックフレーム100の下縁部に沿った下フレーム部とシートバックフレーム100の左縁部又は右縁部に沿った左フレーム部又は右フレーム部とを有する略U字状としてもよい。その場合、第2パイプ部材22は、シートバックフレーム100の右縁部又は左縁部に沿った上下方向に平行な右フレーム部又は左フレーム部とすることが好ましい。また、第3パイプ部材23は横向きとし、第4パイプ部材24は縦向きとすることが好ましい。
【0146】
また、パネルフレーム30における第1補強部311、第3接合補強部316、第4接合補強部317、第5接合補強部318の数は、増減可能である。また、第1補強部311、第3接合補強部316、第4接合補強部317、第5接合補強部318の配置も変更可能である。
【0147】
[追加の解決手段1]
シートバックフレームの製造方法において、
シートベルト巻取装置から繰り出されたシートベルトを挿通する第1ベルトガイドを用意する工程と、
前記シートベルト巻取装置から繰り出された前記シートベルトを挿通する、前記第1ベルトガイドとは別の第2ベルトガイドを用意する工程と、
を備えることを特徴とするシートバックフレームの製造方法。
【0148】
上記解決手段1は、シートバックフレームの製造方法が、第1ベルトガイドを用意する工程と第2ベルトガイドを用意する工程とを有するので、シートベルトの支持剛性の高いシートバックフレームを好適に製造することが可能となる。
【0149】
[追加の解決手段2]
パイプフレームを用意する工程と、
前記第1ベルトガイドと前記第2ベルトガイドを、前記パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付ける工程と、
を備えることを特徴とする解決手段1に記載のシートバックフレームの製造方法。
【0150】
上記解決手段2は、シートバックフレームの製造方法が、パイプフレームを用意する工程と、第1ベルトガイドと第2ベルトガイドを、パイプフレームのパイプ周面に沿って取り付ける工程とを有するので、各ベルトガイドの取り付け強度の高いシートバックフレームを好適に製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0151】
11,12 ヘッドレストフレーム
13,14 アームレストブラケット
15,15B 第1ベルトガイド
151 腕部
152,152D 挿通部
16 第2ベルトガイド
161 腕部
162,162E 挿通部
17 テザー部材
18 セットブラケット
20,20A,20C パイプフレーム
21~24 第1~第4パイプ部材
211 左フレーム部
212 右フレーム部
213 上フレーム部
221 平坦部
231A,231C,232A,232C 屈曲部
30 パネルフレーム
32 開口部
33 起伏連結部
34 切り欠き
35 切り欠き
40,40G 支持ブラケット
41 支持部
42 連結部
421 補強部
43 ボルト
50 取付ブラケット
51 取付面
52 切り欠き
100,100A,100C~100G シートバックフレーム
301 フランジ部
311 第1補強部
311a 貫通孔
312 第1接合補強部
313 周囲補強部
314 第2接合補強部
315 段部補強部
316 第3接合補強部
317 第4接合補強部
318 第5接合補強部
319 第2補強部
421 補強部
B シートベルト巻取装置
B1 シートベルト
B2 挿通ガイド
B3 中心
P1~P4 第1~第4部位
図1
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