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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008320
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】差し口キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/26 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B65D47/26 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110089
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
(72)【発明者】
【氏名】前田 達大
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB08
3E084DB13
3E084EA02
3E084EB02
3E084EB03
3E084FC04
3E084GA08
3E084GB03
3E084KA11
3E084KA16
3E084LA16
3E084LB04
3E084LB07
3E084LB09
3E084LC01
3E084LD01
3E084LD08
(57)【要約】
【課題】注出穴の開放と閉塞を容易に切り替えることができ、閉栓時の十分なシール性能を備えた差し口キャップを提供する。
【解決手段】中栓7は、円筒状をなして筒先に筒先閉塞部9を形成した注出筒8を有し、注出筒8は、筒先閉塞部9の近傍に注出穴14を有し、上蓋5は蓋天部18と蓋胴部17を有し、蓋天部18は、注出筒8の筒先外周面および筒先閉塞部9の外側端面に当接する蓋摺動面22aと、容器2の径方向外側に向けて開口するノズル23を有し、上蓋5はノズルの貫通孔23aが注出穴14に対向する開栓位置と、蓋摺動面で注出穴14を閉塞する閉栓位置とにわたって回転し、開栓位置において、少なくともノズルの貫通孔23aの開口24の蓋胴部側の領域25に注出穴14の一側開口縁14aが対向する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体に装着する上蓋を有し、
キャップ本体は、容器の口部を口部周縁に沿って囲むスカートと、容器の口部を覆う中栓を有し、
中栓は、容器の軸心方向に延びる円筒状をなして筒先に筒先閉塞部を形成した注出筒を有し、
注出筒は、筒先閉塞部近傍に容器の径方向外側に向けて開口する注出穴を有し、
上蓋は、注出筒に外嵌合する蓋嵌合凹部を形成した蓋天部と、蓋天部から容器の軸心方向に延びて中栓を容器の軸心周りに囲む蓋胴部を有し、
蓋天部は、蓋嵌合凹部の内側面が注出筒の筒先外周面および筒先閉塞部端面に当接する蓋摺動面をなし、容器の径方向外側に向けて開口するノズルを有し、
上蓋は、ノズルの貫通孔が注出穴に対向する開栓位置と、蓋摺動面で注出穴を閉塞する閉栓位置とにわたって容器の軸心周りに回転し、
開栓位置において、注出穴の開口縁の一部がノズルの貫通孔の開口に対向して重なることを特徴とする差し口キャップ。
【請求項2】
注出穴は、矩形状をなし、容器の軸心方向で容器の口部の側にある一側開口縁と、容器の周方向の両側開口縁との少なくとも何れか一方がノズルの開口に対向することを特徴とする請求項1に記載の差し口キャップ。
【請求項3】
注出穴は、矩形状をなし、容器の軸心方向で容器の口部の側にある一側開口縁が注出筒の円筒面上で周方向に直線的に延び、容器の周方向の両側開口縁が注出筒の軸心方向に直線的に延び、ノズルの開口内に堰口を形成することを特徴とする請求項1に記載の差し口キャップ。
【請求項4】
開栓位置において、注出穴の全開口面積のうちで、注出筒の径方向でノズルの貫通孔の開口に対向する部分開口面積は、ノズルの貫通孔の全開口面積よりも狭いことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の差し口キャップ。
【請求項5】
中栓は、注出筒の外周面に沿って環状をなす上蓋保持部と、上蓋保持部の外周面に形成し、容器の径方向外側に向けて突出する中栓嵌合凸部と、容器の軸心方向で上蓋に対向する中栓座面部に設ける中栓ストッパー部とを有し、
蓋胴部は、容器の軸心方向の一側端面が中栓座面部に対向し、容器の径方向内側に向けて突出する蓋嵌合凸部と、容器の軸心周りで中栓ストッパー部に当接する蓋ストッパー部を有し、
中栓嵌合凸部と蓋嵌合凸部が容器の軸心方向で掛かり合って上蓋を抜け止めし、
開栓位置で蓋ストッパー部と中栓ストッパー部が当接することを特徴とする請求項1に記載の差し口キャップ。
【請求項6】
注出穴は、容器の径方向外側に向けて開口するとともに、容器の軸心方向外側に向けて筒先閉塞部端面に開口することを特徴とする請求項1に記載の差し口キャップ。
【請求項7】
開栓操作または閉栓操作における上蓋の回転時に、蓋天部の蓋摺動面が注出筒の筒先外周面上を摺動して天部軸受け機能部を形成し、蓋嵌合凸部が上蓋保持部の外周面上を摺動するとともに、中栓嵌合凸部が蓋胴部の内周面上を摺動して胴部軸受け機能部を形成し、中栓が容器の軸心方向の2か所で上蓋を回転自在に保持することを特徴とする請求項1に記載の差し口キャップ。
【請求項8】
蓋ストッパー部と中栓ストッパー部は、上蓋が閉栓位置から開栓位置へ回転する開栓方向において相当接する双方の対向面が傾斜面をなし、中栓ストッパー部の対向面が開栓方向前方に向けて上り勾配をなすことを特徴とする請求項1に記載の差し口キャップ。
【請求項9】
上蓋の外周面とスカートの外周面に亘って開栓を意味する単語を表示し、単語の文字を上蓋に表示する文字の一部とスカートに表示する文字の一部とに容器の軸心方向において二分割し、上蓋に表示する文字の一部とスカートに表示する文字の一部が開栓位置で組み合わさって開栓を意味する単語として現出することを特徴とする請求項1に記載の差し口キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差し口キャップに関し、スコアレスキャップにおけるリクローズ機能に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、差し口キャップとしては、例えば特許文献1に記載するものがある。これは容器開口部に固定された中蓋の円筒部分に液出口を設け、中蓋の円筒部分に回転可能に嵌まった蓋に液出口に対応する液入口を有し、蓋の回転位置により液出口と液入口が通じる状態と通じない状態を切り替えるものである。
【0003】
また、特許文献2に記載するのものでは、注出栓がベースキャップと注出ヘッドを備え、ベースキャップが天面壁の中央に起立する軸部と取入口を有して容器の口部に固定保持され、注出ヘッドが注出口を有してベースキャップの軸部に回動可能に嵌合保持される。
【0004】
軸部の外側壁に凹部を設け、凹部が注出ヘッドの回動にて注出口につながり、注出ヘッドの内側壁に縦溝を設け、縦溝が注出ヘッドの回動にて軸部の凹部と取入口とを連通させる。
【0005】
また、特許文献3に記載するものでは、瓶口に装着する中栓が外筒及び内筒を有し、中栓は上部にラツパ状の注筒と外蓋を装着する装着部を有している。中栓は液体の流通を遮断する口壁に無端状の分離ラインで分離部を形成しており、分離部上に分離部材を設けている。
【0006】
外蓋の頂壁の下面に同心円状に連通筒及び外側筒を設け、両筒間に環状の上壁を形成し、両筒を貫いて注路を形成し、外側筒を中栓装着部に装着し、注筒の上端部を上壁の下面に密接させて、外蓋を中栓に装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61-175148
【特許文献2】特開2012-12084
【特許文献3】実開昭60-154250
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の差し口キャップには、特許文献3の構造と同様に、中栓と上蓋からなる2ピーススクリューキャップがある。このスクリューキャップでは、初回使用時に上蓋を外し、中栓のプルリングを開封し、上蓋を再度中栓に装着して液出しを行う。
【0009】
しかし、プルリングを開封した後は、容器の内容物が常に外気に触れる状態となり、内容物の酸化が促進される。また、上蓋にシール機構がないので、プルリングを開封した後に容器を転倒させると、内容物の漏出が発生する。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、上蓋の回転により閉栓と開栓を容易に切り替えることができるとともに、閉栓時の十分なシール性能を備えた差し口キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る差し口キャップは、容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体に装着する上蓋を有し、キャップ本体は、容器の口部を口部周縁に沿って囲むスカートと、容器の口部を覆う中栓を有し、中栓は、容器の軸心方向に延びる円筒状をなして筒先に筒先閉塞部を形成した注出筒を有し、注出筒は、筒先閉塞部近傍に容器の径方向外側に向けて開口する注出穴を有し、上蓋は、注出筒に外嵌合する蓋嵌合凹部を形成した蓋天部と、蓋天部から容器の軸心方向に延びて中栓を容器の軸心周りに囲む蓋胴部を有し、蓋天部は、蓋嵌合凹部の内側面が注出筒の筒先外周面および筒先閉塞部端面に当接する蓋摺動面をなし、容器の径方向外側に向けて開口するノズルを有し、上蓋は、ノズルの貫通孔が注出穴に対向する開栓位置と、蓋摺動面で注出穴を閉塞する閉栓位置とにわたって容器の軸心周りに回転し、開栓位置において、注出穴の開口縁の一部がノズルの貫通孔の開口に対向して重なることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る差し口キャップにおいて、注出穴は、矩形状をなし、容器の軸心方向で容器の口部の側にある一側開口縁と、容器の周方向の両側開口縁との少なくとも何れか一方がノズルの開口に対向することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る差し口キャップにおいて、注出穴は、矩形状をなし、容器の軸心方向で容器の口部の側にある一側開口縁が注出筒の円筒面上で周方向に直線的に延び、容器の周方向の両側開口縁が注出筒の軸心方向に直線的に延び、ノズルの開口内に堰口を形成することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る差し口キャップにおいて、開栓位置において、注出穴の全開口面積のうちで、注出筒の径方向でノズルの貫通孔の開口に対向する部分開口面積は、ノズルの貫通孔の全開口面積よりも狭いことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る差し口キャップにおいて、中栓は、注出筒の外周面に沿って環状をなす上蓋保持部と、上蓋保持部の外周面に形成し、容器の径方向外側に向けて突出する中栓嵌合凸部と、容器の軸心方向で上蓋に対向する中栓座面部に設ける中栓ストッパー部とを有し、蓋胴部は、容器の軸心方向の一側端面が中栓座面部に対向し、容器の径方向内側に向けて突出する蓋嵌合凸部と、容器の軸心周りで中栓ストッパー部に当接する蓋ストッパー部を有し、中栓嵌合凸部と蓋嵌合凸部が容器の軸心方向で掛かり合って上蓋を抜け止めし、開栓位置で蓋ストッパー部と中栓ストッパー部が当接することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る差し口キャップにおいて、注出穴は、容器の径方向外側に向けて開口するとともに、容器の軸心方向外側に向けて筒先閉塞部端面に開口することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る差し口キャップにおいて、開栓操作または閉栓操作における上蓋の回転時に、蓋天部の蓋摺動面が注出筒の筒先外周面上を摺動して天部軸受け機能部を形成し、蓋嵌合凸部が上蓋保持部の外周面上を摺動するとともに、中栓嵌合凸部が蓋胴部の内周面上を摺動して胴部軸受け機能部を形成し、中栓が容器の軸心方向の2か所で上蓋を回転自在に保持することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る差し口キャップにおいて、蓋ストッパー部と中栓ストッパー部は、上蓋が閉栓位置から開栓位置へ回転する開栓方向において相当接する双方の対向面が傾斜面をなし、中栓ストッパー部の対向面が開栓方向前方に向けて上り勾配をなすことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る差し口キャップにおいて、上蓋の外周面とスカートの外周面に亘って開栓を意味する単語を表示し、単語の文字を上蓋に表示する文字の一部とスカートに表示する文字の一部とに容器の軸心方向において二分割し、上蓋に表示する文字の一部とスカートに表示する文字の一部が開栓位置で組み合わさって開栓を意味する単語として現出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記構成により、上蓋が開栓位置と閉栓位置とにわたって回転し、上蓋の開栓位置でノズルの貫通孔が注出穴に対向し、上蓋の開栓位置で蓋摺動面が注出穴を閉塞するので、注出穴の開放と閉塞を容易に切り替えることができる。
【0021】
また、開栓位置において、ノズルの開口に注出穴が重なり、開口の中に注出穴の一側開口縁と両側開口縁とで堰口を形成するので、注出穴から流れ出る液体は注出穴の一側開口縁と両側開口縁を乗り越えて堰口からノズルの貫通孔に流れ込む。
【0022】
よって、注出を終えて差し口キャップを容器よりも上方に持ち上げたときに、注出穴からノズルの貫通孔に流れ込む少量となった液体を、最後に注出穴の一側開口縁で堰止めることにより液切れがよくなる。特に、堰をなす注出穴の開口縁が注出筒の円筒面上で周方向に直線的に延びることで、液切れがさらに良くなる。
【0023】
また、注出時にノズルの開口の周囲における蓋摺動面が液体に触れることがなく、注出を終えた時点で開口の周囲の蓋摺動面に液体が残存せず、開口の周囲の蓋摺動面に汚れが生じることを抑制でき、注出時の汚れ等に起因して閉栓位置での注出穴からの液漏れが生じることを防止できる。
【0024】
また、蓋天部の蓋摺動面が注出穴の周囲の筒先外周面および筒先閉塞部端面に液密に当接してシール領域を形成するので、閉栓位置での注出穴からの液漏れを防止できる。
【0025】
また、注出穴は、容器の径方向外側に向けて開口するとともに、容器の軸心方向外側に向けて筒先閉塞部端面に開口する構造をなすことで、注出穴を形成するための金型を中栓の軸心方向に沿って離型させることが可能となり、金型の簡素化を図れる。
【0026】
中栓嵌合凸部が蓋胴部の内周面上を摺動し、蓋嵌合凸部が上蓋保持部の外周面上を摺動し、蓋天部の蓋摺動面が注出筒の筒先外周面上を摺動して、胴部軸受け機能部および天部軸受け機能部を形成する。よって、中栓が容器の軸心方向の2か所で上蓋を回転自在に保持するので、上蓋に回転軸ブレが生じず、蓋天部の蓋摺動面と注出穴の周囲の筒先外周面との間のシール領域を確実に維持できる。
【0027】
開栓位置で蓋ストッパー部と中栓ストッパー部が相当接する状態からさらに開栓方向へ上蓋を回転させると、蓋ストッパー部と中栓ストッパー部の双方の傾斜面をなす対向面上で滑りが生じ、中栓ストッパー部の開栓方向前方に向けて上り勾配をなす傾斜面上に蓋ストッパー部の傾斜面が乗り上げ、上蓋が容器の軸心方向に持ち上がる。
【0028】
上蓋に表示する文字の一部とスカートに表示する文字の一部が開栓位置で組み合わさって開栓を意味する単語の文字として現出するので、使用者は開栓位置を機械手的な位置合わせとして視認するとともに、開栓状態に達したことを単語の意味として理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態に係る差し口キャップの閉栓状態の断面図
図2】同実施の形態に係る差し口キャップの開栓状態の断面図
図3】同実施の形態に係る差し口キャップの上蓋の断面図
図4】同実施の形態に係る差し口キャップの下面図
図5】同実施の形態に係る差し口キャップのキャップ本体の断面図
図6】同実施の形態に係る差し口キャップの上蓋の正面図
図7】同実施の形態に係る差し口キャップのキャップ本体の正面図
図8】同実施の形態に係る差し口キャップの閉栓状態の正面図
図9】同実施の形態に係る差し口キャップの開栓状態の正面図
図10】同実施の形態に係る差し口キャップの開栓状態の斜視図
図11】同実施の形態に係る差し口キャップの分解斜視図
図12】同実施の形態に係る差し口キャップの要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るキャップの実施の形態を、図面を参照して説明する。図1図12に示すように、キャップ1は容器2の口部3に装着するキャップ本体4と、キャップ本体4に装着する上蓋5を有する。
【0031】
キャップ本体4は、容器2の口部3を開口縁に沿って囲むスカート6と、容器2の口部3を覆う中栓7を有している。
【0032】
中栓7は、容器2の軸心方向に延びる円筒状をなす注出筒8を有しており、注出筒8は筒先を筒先閉塞部9で閉塞した構造をなす。注出筒8の外側には注出筒8の外周面に沿って同心状をなす環状の上蓋保持部10を有しており、上蓋保持部10の外周面に中栓嵌合凸部11を形成しており、中栓嵌合凸部11は容器2の径方向外側に向けて突出する。
【0033】
また、中栓7は上蓋保持部10の外周に中栓座面部12を有しており、中栓座面部12は容器2の軸心方向で上蓋5に対向し、中栓7の径方向外側に円環状に拡がっている。中栓座面部12には容器2の軸心を介して対称の位置に一対の中栓ストッパー部13を設けており、中栓ストッパー部13は中栓座面部12から容器2の軸心方向に突出し、上蓋保持部10の外周面から中栓7の径方向外側に突出している。ここでは、中栓ストッパー部13は上蓋保持部10の周方向において分割した形状をなすが一体として形成することも可能である。
【0034】
注出筒8は、筒先端部近傍に注出穴14を有しており、注出穴14は容器2の径方向外側に向けて開口するとともに、筒先閉塞部9の外側の端面に容器2の軸心方向外側に向けて開口しており、ここでは、注出筒8の径方向から見て注出筒8の軸心方向に長い矩形状をなすが、他の円形、楕円等に形成することも可能である。
【0035】
また、中栓7は、容器2の口部3に挿入する中栓インナーシール部15を有し、中栓インナーシール部15とスカート6の間に口部3を挿入する嵌合溝16を形成している。
【0036】
上蓋5は基本形状が円筒状をなし、軸心方向の一側の蓋胴部17と他側の蓋天部18からなる。蓋胴部17は蓋天部18から容器の軸心方向に延びて中栓7を容器2の軸心周りに囲み、蓋胴部17の内周面と上蓋保持部10の外周面の間に隙間19を有し、容器2の軸心方向の一側端面が中栓座面部12に対向する。
【0037】
また、蓋胴部17は、内周面に容器2の径方向内側に向けて突出する蓋嵌合凸部20と、容器2の軸心周りで中栓ストッパー部13に当接する一対の蓋ストッパー部21を有している。蓋ストッパー部21は容器2の軸心を介して対称の位置に設けている。
【0038】
上蓋5は容器2の軸心周りに回転し、ここでは上蓋5が平面視において右方向への時計廻りに回転して蓋ストッパー部21が中栓ストッパー部13に当接すると閉栓位置となり、上蓋5が左方向への反時計廻りに回転して蓋ストッパー部21が中栓ストッパー部13に当接すると開栓位置となる。
【0039】
蓋ストッパー部21と中栓ストッパー部13は、上蓋5が閉栓位置から開栓位置へ回転する開栓方向において相当接する双方の対向面13a、21aが傾斜面をなし、中栓ストッパー部13の対向面13aが開栓方向前方に向けて上り勾配をなす。
【0040】
上蓋5の回転時には、中栓嵌合凸部11と蓋嵌合凸部20が容器2の軸心方向で掛かり合って上蓋5を抜け止めし、中栓嵌合凸部11が蓋胴部17の内周面上を摺動し、蓋嵌合凸部20が上蓋保持部10の外周面上を摺動して胴部軸受け機能部を形成する。
【0041】
蓋天部18は、注出筒8の筒先および筒先閉塞部9に外嵌合する蓋嵌合凹部22を有し、蓋嵌合凹部22の内側面が注出筒8の筒先外周面および筒先閉塞部9の外側端面に液密に当接する蓋摺動面22aをなす。上蓋5の回転時には、蓋嵌合凹部22の蓋摺動面22aが注出筒8の筒先外周面上を摺動して上部軸受け機能部を形成する。
【0042】
また、蓋天部18は、容器2の径方向外側に向けて開口する一対のノズル23を有し、ノズル23は容器2の軸心を介して対称の位置に設けている。上蓋5は、開栓位置で流路断面が円形のノズル23の貫通孔23aが注出穴14に対向し、閉栓位置で蓋嵌合凹部22の内側面の蓋摺動面22aで注出穴14を閉塞する。
【0043】
図2および図12に示すように、ノズル23の貫通孔23aが注出穴14に対向する開栓位置において、注出穴14の開口縁の一部がノズル23の貫通孔23aの開口24に対向して開口24に重なる。ここでは、注出穴14の開口縁のうちで、容器2の軸心方向で口部3の側にある一側開口縁14aと、容器2の周方向の両側開口縁14bがノズル23の貫通孔23aの開口24に対向する。一側開口縁14aと両側開口縁14bの何れか一方がノズル23の貫通孔23aの開口24に対向して開口24に重なる構造とすることも可能である。
【0044】
注出穴14の一側開口縁14aは注出筒8の円筒面上で周方向に直線的に延びて堰をなし、両側開口縁14bが注出筒8の軸心方向に直線的に延びて両側開口縁14bの間に堰口を形成している。
【0045】
すなわち、開栓位置において、注出穴14の開口縁の一部がノズル23の貫通孔23aの開口24に対向して開口24に重なり、ノズル23の開口24の一部を塞いで、開口24よりも狭い堰口を形成することで、注出穴14の全開口面積のうちで、注出筒8の径方向でノズル23の貫通孔23aの開口24に対向する部分開口面積Aは、ノズル23の貫通孔23aの全開口面積Bよりも狭くなる。
【0046】
上蓋5の外周面とスカート6の外周面に亘って開栓を意味する単語26、ここでは「OPEN」を表示している。この「OPEN」の単語26は、中栓座面部12の位置で、上蓋5に表示する単語26の文字の一部とスカート6に表示する単語26の文字の一部とに容器2の軸心方向において二分割しており、上蓋5に表示する単語26の文字の一部とスカート6に表示する単語26の文字の一部が開栓位置で組み合わさって開栓を意味する単語「OPEN」として現出する。
【0047】
上記構成の作用を以下に説明する。上蓋5が開栓位置と閉栓位置とにわたって回転し、上蓋5の開栓位置でノズル23の貫通孔23aが注出穴14に対向し、上蓋5の開栓位置で蓋嵌合凹部22の蓋摺動面22aが注出穴14を閉塞するので、注出穴14の開放と閉塞を容易に切り替えることができる。
【0048】
また、開栓位置において、ノズル23の開口24に注出穴14が重なり、開口24の中に注出穴14の一側開口縁14aと両側開口縁14bとで堰口を形成するので、注出穴14から流れ出る液体は注出穴14の一側開口縁14aと両側開口縁14bを乗り越えて堰口からノズル23の貫通孔23aに流れ込む。
【0049】
よって、注出を終えて差し口キャップ1を容器よりも上方に持ち上げたときに、注出穴14からノズル23の貫通孔23aに流れ込む少量となった液体を、最後に注出穴14の容器2の軸心方向で口部3の側にある一側開口縁14aで堰止めることにより液切れがよくなる。
【0050】
また、注出時にノズル23の開口24の周囲における蓋摺動面22aが液体に触れることがなく、注出を終えた時点で開口24の周囲の蓋摺動面22aに液体が残存せず、開口24の周囲の蓋摺動面22aに汚れが生じることを抑制できる。
【0051】
よって、蓋天部18の蓋嵌合凹部22の蓋摺動面22aが注出穴14の周囲の筒先外周面および筒先閉塞部9の外側端面に液密に当接してシール領域を形成する際に、注出時の汚れ等に起因して閉栓位置での注出穴14からの液漏れが生じることを防止できる。
【0052】
また、注出穴14は、容器2の径方向外側に向けて開口するとともに、容器2の軸心方向外側に向けて筒先閉塞部9の外側端面に開口する構造をなすことで、注出穴14を形成するための金型を中栓7の軸心方向に沿って離型させることが可能となる。よって、本来は必要であった中栓7の径方向に離型させる金型が不要となって金型の簡素化を図れる。
【0053】
中栓嵌合凸部11が蓋胴部17の内周面上を摺動し、蓋嵌合凸部20が上蓋保持部10の外周面上を摺動し、蓋天部18の蓋摺動面22aが注出筒8の筒先外周面上を摺動して、胴部軸受け機能部および天部軸受け機能部を形成する。
【0054】
よって、中栓7が容器2の軸心方向の2か所で上蓋5を回転自在に保持するので、上蓋5に回転軸ブレが生じず、蓋天部18の蓋摺動面22aと注出穴14の周囲の筒先外周面との間のシール領域を確実に維持できる。
【0055】
図11に示すように、開栓位置で蓋ストッパー部21と中栓ストッパー部13が相当接する状態からさらに開栓方向へ上蓋5を回転させると、蓋ストッパー部21と中栓ストッパー部13の双方の傾斜面をなす対向面21a、13aにおいて滑りが生じ、中栓ストッパー部13の開栓方向前方に向けて上り勾配をなす傾斜面上に蓋ストッパー部21の傾斜面が乗り上げ、上蓋5が容器2の軸心方向に持ち上がり、上蓋5がキャップ本体4から離脱する。
【0056】
上蓋5に表示する単語26の一部とスカート6に表示する単語26の一部が開栓位置で組み合わさって開栓を意味する単語26として現出するので、使用者は開栓位置を機械手的な位置合わせとして視認するとともに、開栓状態に達したことを単語の意味として理解することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 差し口キャップ
2 容器
3 口部
4 キャップ本体
5 上蓋
6 スカート
7 中栓
8 注出筒
9 筒先閉塞部
10 上蓋保持部
11 中栓嵌合凸部
12 中栓座面部
13 中栓ストッパー部
13a 対向面
14 注出穴
14a 一側開口縁
14b 両側開口縁
15 中栓インナーシール部
16 嵌合溝
17 蓋胴部
18 蓋天部
19 隙間
20 蓋嵌合凸部
21 蓋ストッパー部
21a 対向面
22 蓋嵌合凹部
22a 蓋摺動面
23 ノズル
23a ノズルの貫通孔
24 開口面
25 蓋胴部側の領域
26 文字
A 注出穴14の部分開口面積
B ノズルの貫通孔の全開口面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12