(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083215
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】衛生薄葉紙包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
B65D75/62 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096115
(22)【出願日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2022197155
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】住田 朋哉
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB77
3E067AC03
3E067AC14
3E067BA12A
3E067BA14A
3E067EA07
3E067EB03
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】 包装基材の不用意な破れが防止された、低コストかつ簡単な構成の衛生薄葉紙包装体の提供。
【解決手段】
複数枚の衛生薄葉紙が積層された積層体と、積層体を包装する包装基材と、を含み、包装基材に形成される取出口を通して衛生薄葉紙を積層体の上位から順に取り出し可能に構成された衛生薄葉紙包装体であって、包装基材は、グラシン紙とその少なくとも片面の全面にわたって積層されたヒートシール層とを含む、透明度50%以上のシートであり、衛生薄葉紙包装体は、ヒートシールによる封止部を含み、衛生薄葉紙包装体は、内部に含まれる衛生薄葉紙の残量が包装基材を通して視認可能である残量透視部を有する衛生薄葉紙包装体。
【選択図】
図1(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の衛生薄葉紙が積層された積層体と、前記積層体を包装する包装基材と、を含み、前記包装基材に形成される取出口を通して前記衛生薄葉紙を前記積層体の上位から順に取り出し可能に構成された衛生薄葉紙包装体であって、
前記包装基材は、グラシン紙とその少なくとも片面の全面にわたって積層されたヒートシール層とを含む、透明度50%以上のシートであり、
前記衛生薄葉紙包装体は、ヒートシールによる封止部を含み、
前記衛生薄葉紙包装体は、内部に含まれる前記衛生薄葉紙の残量が前記包装基材を通して視認可能である残量透視部を有することを特徴とする衛生薄葉紙包装体。
【請求項2】
前記積層体において、前記複数枚の衛生薄葉紙はポップアップ方式に折り畳まれ積層されており、前記積層体の最上位の衛生薄葉紙は折り返されており、折り返された前記最上位の衛生薄葉紙の折り返し縁が視認可能である折り返し縁透視部を有することを特徴とする請求項1に記載の衛生薄葉紙包装体。
【請求項3】
前記衛生薄葉紙包装体は、前記グラシン紙の片面のみをシール面としたヒートシールによって封止されており、前記ヒートシール層は前記グラシン紙の当該片面のみに積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生薄葉紙包装体。
【請求項4】
前記衛生薄葉紙包装体は、前記グラシン紙の両面をシール面としたヒートシールによって封止されており、前記ヒートシール層は、前記グラシン紙の両面に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生薄葉紙包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の衛生薄葉紙が積層された積層体が包装基材により包装された包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の衛生薄葉紙が積層された積層体が包装基材により包装された包装体の分野では、包装基材に形成される衛生薄葉紙取出口を通して内部の衛生薄葉紙が順次取り出し可能であると共に内部の衛生薄葉紙の残量が確認可能である衛生薄葉紙包装体が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、複数枚のティシュペーパーが折り畳まれ積層されたティシュペーパーの束が透明または半透明な可撓性プラスチックフィルムにより包装された包装体を開示している。この包装体では、外装となるプラスチックフィルムにミシン目が形成されており、当該ミシン目を裂開してスリットを形成することにより、スリットを通して内部のティシュペーパーを取り出すことができる。また、外装の透明または半透明なプラスチックフィルムを通して内部のティシュペーパーの残量を視認することができる。
【0004】
ところで、近年、世界的にプラスチックゴミ問題が深刻化している。地球環境の改善のため、衛生薄葉紙の積層体が包装基材により包装された包装体においても、その包装基材をプラスチックから紙に替えることによる環境負荷の低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、環境負荷低減のために衛生薄葉紙包装体の包装基材に単に一般的な紙を用いた場合、透明度が低いという一般的な紙の特性上、内部の衛生薄葉紙の残量を明確に確認できない。そこで、包装基材に透明度が比較的高いグラシン紙を用いることが考えられるが、グラシン紙は一般的な紙と比べて引裂強度が著しく低いという特性を有し、衛生薄葉紙包装体から衛生薄葉紙を取り出す際に、包装基材が不用意に破れるという問題がある。
【0007】
本発明者は、衛生薄葉紙の取り出し時に包装基材が不用意に破れないようにするために、グラシン紙の紙厚を厚く設定したり、あるいは、別途、透明な補強フィルムを設けてグラシン紙を補強したりすることを検討した。しかしながら、そのようにした場合には、グラシン紙の紙厚の増加に伴って、包装基材を通した衛生薄葉紙の残量の視認性が低下して、衛生薄葉紙の残量を明確に確認できなくなる傾向があった。また、そればかりでなく、紙原料の増加や、補強フィルムの増設による部品点数の増加などによって、コスト高となった。
【0008】
本発明は、環境負荷の低減を図りつつ、衛生薄葉紙の残量を明確に確認することができるとともに、衛生薄葉紙の取り出し時の包装基材の不用意な破れが防止された衛生薄葉紙包装体を、低コストかつ簡単な構成で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者は、複数枚の衛生薄葉紙が積層された積層体と、積層体を包装する包装基材と、を含み、包装基材に形成される取出口を通して衛生薄葉紙を積層体の上位から順に取り出し可能に構成された衛生薄葉紙包装体であって、包装基材は、グラシン紙とその少なくとも片面の全面にわたって積層されたヒートシール層とを含む、透明度50%以上のシートであり、衛生薄葉紙包装体は、ヒートシールによる封止部を含み、衛生薄葉紙包装体は、内部に含まれる衛生薄葉紙の残量が包装基材を通して視認可能である残量透視部を有することを特徴とする衛生薄葉紙包装体により、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0010】
具体的には、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 複数枚の衛生薄葉紙が積層された積層体と、積層体を包装する包装基材と、を含み、包装基材に形成される取出口を通して衛生薄葉紙を積層体の上位から順に取り出し可能に構成された衛生薄葉紙包装体であって、
包装基材は、グラシン紙とその少なくとも片面の全面にわたって積層されたヒートシール層とを含む、透明度50%以上のシートであり、
衛生薄葉紙包装体は、ヒートシールによる封止部を含み、
衛生薄葉紙包装体は、内部に含まれる衛生薄葉紙の残量が包装基材を通して視認可能である残量透視部を有することを特徴とする衛生薄葉紙包装体。
[2] 積層体において、複数枚の衛生薄葉紙はポップアップ方式に折り畳まれ積層されており、積層体の最上位の衛生薄葉紙は折り返されており、折り返された最上位の衛生薄葉紙の折り返し縁が視認可能である折り返し縁透視部を含むことを特徴とする[1]に記載の衛生薄葉紙包装体。
[3] 衛生薄葉紙包装体は、グラシン紙の片面のみをシール面としたヒートシールによって封止されており、ヒートシール層はグラシン紙の当該片面のみに積層されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の衛生薄葉紙包装体。
[4] 衛生薄葉紙包装体は、グラシン紙の両面をシール面としたヒートシールによって封止されており、ヒートシール層は、グラシン紙の両面に積層されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の衛生薄葉紙包装体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、環境負荷の低減を図りつつ、衛生薄葉紙の残量を明確に確認することができ、衛生薄葉紙の取り出し時の包装基材の不用意な破れが防止された衛生薄葉紙包装体を、低コストかつ簡単な構成で提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1(a)】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る包装体の外観を示す模式的斜視図である。
【
図1(b)】
図1(b)は、本発明の実施形態に係る包装体の外観を示す模式的斜視図である。
【
図2(a)】
図2(a)は、
図1(a)に示す包装体の模式的断面図である。
【
図2(b)】
図2(b)は、本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙の積層体を説明する模式図である。
【
図2(c)】
図2(c)は、本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙の積層体を説明する模式図である。
【
図3(a)】
図3(a)は、本発明の実施形態に係る包装基材の構成例を示す概略的断面図である。
【
図3(b)】
図3(b)は、本発明の実施形態に係る包装基材の構成例を示す概略的断面図である。
【
図3(c)】
図3(c)は、本発明の実施形態に係る包装基材の構成例を示す概略的断面図である。
【
図3(d)】
図3(d)は、本発明の実施形態に係る包装基材の構成例を示す概略的断面図である。
【
図4(a)】
図4(a)は、本発明の別の実施形態に係る包装体の外観を示す模式的斜視図である。
【
図4(b)】
図4(b)は、
図4(a)に示す包装体の模式的断面図である。
【
図4(c-1)】
図4(c-1)は、本発明の別の実施形態に係る衛生薄葉紙の積層体を説明する模式図である。
【
図4(c-2)】
図4(c-2)は、本発明の別の実施形態に係る衛生薄葉紙の積層体を説明する模式図である。
【
図4(d-1)】
図4(d-1)は、本発明の別の実施形態に係る衛生薄葉紙の積層体を説明する模式図である。
【
図4(d-2)】
図4(d-2)は、本発明の別の実施形態に係る衛生薄葉紙の積層体を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
【0014】
<第1の実施形態>
[衛生薄葉紙包装体]
図1(a)から
図3(d)を参照して、本発明の第1の実施形態に係る衛生薄葉紙包装体10の構成を説明する。
図1(a)は、本実施形態に係る衛生薄葉紙包装体(以下単に「包装体」とも記す)10の外観を模式的に示す斜視図であり、
図1(b)は、その使用時の外観を模式的に示す斜視図である。図中、矢印X、矢印Y、および矢印Zで示される方向は、それぞれ、包装体10の長手方向、長手方向に対して直交する包装体10の短手方向、ならびに長手方向および短手方向のそれぞれに対して直交する包装体10の高さ方向に相当する。
図2(a)は、
図1(a)に示される包装体10のY-Z面に平行な断面を示す図である。
【0015】
図1(a)、
図1(b)および
図2(a)を参照して、本実施形態に係る包装体10は、複数枚の衛生薄葉紙40が積層された積層体30と、積層体30を包装する包装基材20と、を含む。包装体10は、ヒートシールによって封止された封止部Sを含む。包装体10は、包装基材20に形成される取出口21aを通して、包装体10の内部に包含される積層体30に含まれる衛生薄葉紙40を上位から順に、包装体10の外部に取り出し可能に構成されている。包装体10は、外部から包装基材20を通して内部の衛生薄葉紙40の残量を視認可能とする残量透視部T(図中、ハッチングで例示される)を有する。
【0016】
[衛生薄葉紙]
本例における衛生薄葉紙40は、トイレ等に置かれて用いられるハンドタオルであるが、本発明の実施形態に適用可能な衛生薄葉紙40は、これに限定されず、例えば、キッチンタオル、ティシュペーパー、ちり紙等が挙げられる。
【0017】
衛生薄葉紙40は、1枚のシートから構成されるシングルプライ品であってもよく、または、2枚以上の複数枚のシートから構成されるマルチプライ品であってもよい。なお、本明細書において、衛生薄葉紙40について「1枚」というときは、シングルプライ品である場合は1枚のシートを指し、マルチプライ品である場合は、重ね合わされた2枚以上の複数枚(すなわち1組)のシートを指す。
【0018】
衛生薄葉紙40の構成要素であるシートは、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプが挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。パルプ成分は、特に限定なく、1種類であってもよく2種類以上であってもよく、衛生薄葉紙40の要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。要求品質および操業安定性のために、任意成分として様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、紙力増強剤、柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤、サイズ剤等を挙げることができる。
【0019】
[積層体]
図2(a)から
図2(c)は、衛生薄葉紙40の積層体30の構成を説明する図である。
図2(a)および
図2(c)を参照して、本実施形態に係る積層体30は、積層された複数枚の衛生薄葉紙40を含む。複数枚の衛生薄葉紙40は、好ましくは、折り畳まれ交互に重ね合わされることによってポップアップ方式に積層されている。ポップアップ方式とは、最上位の衛生薄葉紙40を取り出すと、そのすぐ下側の衛生薄葉紙40が引き出される折り畳み方式をいう。
【0020】
図2(b)は、
図2(a)および
図2(c)に示されるポップアップ方式に積層された衛生薄葉紙40の積層体30の構成を説明するための概略展開図である。図に示されるように、積層体30において、衛生薄葉紙40は、2つ折りにされてX方向から見た際にC字形(もしくは横になったV字形)を形成するように折り畳まれ、交互に重ね合わされて積層されており、これによってポップアップが可能となっている。
【0021】
本発明に適用可能な積層体30の構成は、図の例に限定されない。例えば、衛生薄葉紙40は、2つ折りではなく3つ折りにされてX方向から見た際にZ字形を形成するように折り畳まれ、交互に重ね合わされて積層されることによって、ポップアップが可能となっていてもよい。
【0022】
衛生薄葉紙40の折り畳みには、ロータリーシリンダー式インターフォルダ、およびマルチスタンド式インターフォルダのような、当業界で知られている折り機を用いることができる。
【0023】
また、本実施形態に適用可能な積層体30の構成は、ポップアップ方式によらず、単純に、1枚の衛生薄葉紙40の上に他の衛生薄葉紙40を重ね合わせることによって積層されたものであってもよい。
【0024】
積層体30に積層される複数枚の衛生薄葉紙の数は、所望の製品スペック等により決定される。積層体30は、例えば、100枚から200枚(100組から200組)程度の衛生薄葉紙40を含んでいてもよい。
【0025】
[包装基材]
図3(a)から
図3(d)は、本発明の実施形態に係る包装基材20の層構成の非限定的な例を示す断面図である。図は概略図であり、図に示される各層の厚さの比は実際の縮尺比とは異なり得る。
【0026】
本発明の実施形態において、包装基材20は、紙基材22と、紙基材22の少なくとも片面の全面にわたって積層されたヒートシール層24と、を含む層構成を有するシートである。本発明の実施形態において、包装基材20の透明度は、50%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。包装基材の透明度が50%以上であると、衛生薄葉紙包装体に内包される被包装体の状態を確認しやすい。包装基材20の透明度が高いほど、包装体10とした際に、包装体10の外部から包装基材20を介して被包装物をはっきりと透かし見ることができる。
なお、本明細書において、透明度は、国際標準化機構ISO 5-2に準じて測定した値である。
【0027】
「透明度」とは、光が測定対象(例えば紙や包装基材等)を透過する割合を入射光量の百分率で表したものをいう。透明度の値が大きい程、反対側や内部にあるものが、よりはっきりと透けて見えることを示す。透明度は、ISO 5-2に準じて測定することができる。
【0028】
図3(a)に示される例では、ヒートシール層24が、グラシン紙22の片面のみに全面を覆うように設けられている。
図3(b)に示される例では、ヒートシール層24が、グラシン紙22の両面に全面を覆うように設けられている。ヒートシール層24が両面に設けられる場合は、両面のヒートシール層24の構成材料、厚さ、透明度等は、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0029】
本発明の実施形態において、包装基材20における紙基材22の割合(質量比)は、好ましくは51質量%以上である。
【0030】
紙基材の割合は、包装基材の坪量に占める紙基材の坪量の割合(百分率)として、式「(紙基材の坪量)÷(包装基材の坪量)×100」によって求めることができる(単位:%)。
【0031】
包装基材20における紙基材22の割合(質量比)が51質量%以上であると、包装基材20に紙マーク(日本の「資源の有効な利用の促進に関する法律」に基づき、紙製容器包装であることを識別するためのマーク)を表示することができ、衛生薄葉紙包装体10の包装基材20を紙と同様に廃棄することができる。また、生分解性フィルムを除く、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の一般的な樹脂製フィルム100%の包装フィルムに比して、樹脂の使用量を大幅に低減することができ、包装体の脱プラスチック、減プラスチックが可能となる。
【0032】
包装基材20の坪量が低くなりすぎると、強度が低くて破れ易くなる傾向にある。したがって、包装基材20の破れにくさの観点からは、包装基材20の坪量は、例えば35g/m2以上であることが好ましく、40g/m2以上であることがより好ましく、45g/m2以上であることがさらに好ましい。一方、包装基材20の坪量が高い場合、概して、包装基材20に含まれる紙基材の坪量も高くなり、透明度が低くなる傾向がある。したがって、包装基材20の視認性の観点からは、包装基材20の坪量は、70g/m2以下であることが好ましく、65g/m2以下であることがより好ましく、60g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0033】
包装基材20の厚さは、好ましくは、35μm以上80μm以下であり、より好ましくは、40μm以上75μm以下であり、さらに好ましくは、45μm以上65μm以下である。
【0034】
[グラシン紙]
グラシン紙22は、化学パルプを高度に叩解して抄造した原紙を、カレンダーに通して熱と圧力をかけ、繊維間の隙間を潰して製造した紙である。グラシン紙22は、その構造上、高い平滑性を有し、印刷が施された場合に解像度の高い画像が得られるといった、良好な印刷適性を有する。
【0035】
また、一般的な紙は、紙を構成するパルプ繊維間の空隙で光が乱反射することにより、白く不透明であるところ、グラシン紙は、一般的な紙と比べて、パルプ繊維間の空隙が低減されているため、光の反射が少なく、高い透明度を示す。
【0036】
グラシン紙22の透明度が高いほど、それを紙基材としてなる包装基材20の透明度が高くなる。包装基材20の透明度が高いほど、包装体10とした際に、包装体10の外部から包装基材20を介して被包装物をはっきりと透かし見ることができ、包装体10に含まれる衛生薄葉紙40の積層体30の状態の視認が可能となる。
【0037】
本発明に係るグラシン紙22の透明度は、60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、なお好ましくは80%以上である。
【0038】
グラシン紙22の透明度は、グラシン紙22の坪量および/または厚さ(紙厚)によって制御し得る。グラシン紙において、概して、坪量が低くなるほど、単位体積当たりのパルプ繊維の量が少なくなり、透明度は高くなる傾向がある。また、グラシン紙において、坪量が同等の場合、概して、厚さが薄くなるほど、パルプ繊維間の空隙が低減されて光の反射が減少し、透明度は高くなる傾向がある。包装体10とした際の包装基材20を通した包装体10の内部の視認性の観点からは、グラシン紙22の透明度は高いほど好ましく、グラシン紙22の坪量/厚さは、低いほど好ましい。
【0039】
一方、グラシン紙22は、一般的な紙と比べて引裂強度が著しく低いという特性を有する。グラシン紙22の強度の観点から、グラシン紙22の坪量は、概して、高いほど好ましい。また、包装基材20の強度の観点から、グラシン紙22の厚さは、厚いほど好ましい傾向にある。
【0040】
本発明に係るグラシン紙22の坪量は、好ましくは、25g/m2以上65g/m2以下であり、より好ましくは、30g/m2以上60g/m2以下であり、さらに好ましくは、35g/m2以上45g/m2以下である。
【0041】
本発明に係るグラシン紙22の厚さは、好ましくは、25μm以上65μm以下であり、より好ましくは、30μm以上60μm以下であり、さらに好ましくは、35μm以上45μm以下である。
【0042】
本発明の実施形態に適用可能なグラシン紙22の非限定的な具体例として、例えば、坪量30.5g/m2、厚さ31μm、透明度84%のグラシン紙、および坪量40g/m2、厚さ36μm、透明度76%のグラシン紙が挙げられる。
【0043】
なお、本明細書において、包装基材20およびグラシン紙22の坪量および厚さは、それぞれ、日本産業規格JIS P8124および日本産業規格JIS P 8118に準じて測定した値であり、透明度はISO5-2に準じて測定した値である。また、ヒートシール層の坪量および厚さは、それぞれ包装基材20の坪量および厚さから、グラシン紙22の坪量および厚さを引くことによって求めることができる。また、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバーコート層(ニス層)、遮光層等の任意の他の層を含む場合は、さらにこれらの層の坪量および厚さを引くことによって求めることができる。
【0044】
[ヒートシール層]
本発明の実施形態に係るヒートシール層24は、ヒートシール剤を含む層であり、紙基材(グラシン紙)22の少なくとも片面の全面にわたって積層されている。
【0045】
[ヒートシール剤]
ヒートシール剤は、高熱によって軟らかくなり液状化しおよび冷却されると固体化する、ヒートシール性を発現する材料である。本実施形態に適用可能なヒートシール剤としては、上述の包装基材20の透明度を提供可能なヒートシール層を提供可能であれば特に限定されず、各種ヒートシール剤を使用することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂や、他の熱可塑性樹脂を使用することができ、これらの中でも、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、非晶性ポリエステル、ポリプロピレン、スチレン-アクリル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体(好ましくはエチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、または、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合または共重合したポリプロピレン系樹脂、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。透明性、ヒートシール性の観点から、特に低密度ポリエチレンが好ましい。これらの材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
[ヒートシール層の形成方法]
ヒートシール層24は、例えば、以下に挙げるような通常用いられる方法を用いて形成することができる。
(1)グラシン紙22上に、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含有する組成物を、押出法によって製膜する方法。
(2)知られているヒートシール加工装置(貼合処理装置)を用いて、グラシン紙22に熱可塑性樹脂からなるフィルムまたは熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼り付ける方法。
(3)熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂組成物を水に溶解もしくは分散させた水系ヒートシール剤、または熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂組成物を溶剤に溶解もしくは分散させた溶剤系ヒートシール剤、水溶性の高分子、その誘導体もしくはその混合物を、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の知られている方法で、グラシン紙22上に塗工する方法。
【0047】
なお、以上の方法のうち、(1)の方法は、最も一般的な方法であって好ましい。また、(2)の方法は、ヒートシール層24にあらかじめ製膜されたフィルムを用いるため、均一なヒートシール層24を簡便に設けることができ、また、相対的に高強度の包装基材20を得ることができるという点から好ましい。
【0048】
ヒートシール層24がグラシン紙22の片面のみに設けられている場合、ヒートシール層24の坪量(ヒートシール剤の乾燥塗布量)は、5g/m2以上25g/m2以下が好ましい。(1)グラシン紙22上に熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜する方法および、(2)熱可塑性樹脂からなるフィルムまたは熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼合処理装置を用いて貼り付ける方法の場合、ヒートシール層の坪量は、10g/m2以上20g/m2以下であることがより好ましい。また、(3)グラシン紙22上にヒートシール剤等を塗工する方法の場合、ヒートシール層の坪量は、5g/m2以上10g/m2以下であることがより好ましい。
【0049】
ヒートシール層24がグラシン紙22の両面に設けられている場合、ヒートシール層24の坪量(ヒートシール剤の乾燥塗布量)は、片面あたり、好ましくは5g/m2以上15g/m2以下が好ましい。(1)グラシン紙22上に熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜する方法および、(2)熱可塑性樹脂からなるフィルムまたは熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼合処理装置を用いて貼り付ける方法の場合、ヒートシール層の坪量は、8g/m2以上11g/m2以下であることがより好ましい。また、(3)グラシン紙22上にヒートシール剤等を塗工する場合、ヒートシール層の坪量は、6g/m2以上10g/m2以下であることがより好ましい。
【0050】
また、上記(2)の方法のようにヒートシール層24にあらかじめ製膜されたフィルムを用いる場合、上述の坪量を提供するためにヒートシール層24に適用されるフィルムの厚さは、ヒートシール層24がグラシン紙22の片面のみに設けられている場合、例えば11μm以上22μm以下が好ましい。また、ヒートシール層24がグラシン紙22の両面に設けられている場合は、例えば、8μm以上12μm以下が好ましい。
【0051】
ヒートシール層24は、層中のヒートシール剤により、包装基材20が重ね合わされた部分におけるヒートシール(熱融着)による包装体10の封止を可能にする。それとともに、グラシン紙22の全面にわたるヒートシール層24の存在により、一般的な紙と比べて引裂強度が著しく低いという特性を有するグラシン紙22を紙基材として含む包装基材20は、補強されている。
【0052】
グラシン紙22の坪量に対するヒートシール層24の坪量は、10%以上50%未満であることが好ましい。また、グラシン紙22の厚さに対するヒートシール層24の厚さは、10%以上50%未満であることが好ましい。
【0053】
ヒートシール層24の坪量や厚さが上述の範囲であると、ヒートシールによる十分な封止が経済的に得られるとともに、一般的な紙と比べて引裂強度が著しく低いという特性を有するグラシン紙22が補強されて、包装体10の取出口21aを通して衛生薄葉紙40を引き出す際の包装基材20の不用意な破れが防止される。ヒートシール層24の坪量が低過ぎたり厚さが薄過ぎたりすると、ヒートシール剤の量が少なくヒートシールによる十分な封止やグラシン紙22の十分な補強効果が得られない場合がある。ヒートシール層24の坪量が高過ぎたり厚さが厚過ぎたりすると、グラシン紙22の十分な補強は図れるものの、ヒートシール処理時に熱伝達が不十分になることがあり、ヒートシール剤の溶融、融合、凹部への侵入によるアンカー効果等が得られにくくなり、良好な接合強度を得ることができず、封止性が劣ることがある。また、過剰なヒートシール剤によりコストが高くなってしまう。
【0054】
本発明の実施形態に適用可能な包装基材20の非限定的な具体例として、例えば、坪量40g/m
2のグラシン紙22の片面の全面にわたって厚さ15μmのポリエチレン(PE)フィルムを積層した構成の包装基材20(
図3(a)参照)が挙げられる。この例におけるグラシン紙22の透明度は72.8%であり、ヒートシール層の坪量は14g/m
2であり、包装基材20の透明度は、71%である。
【0055】
[他の層]
本発明の実施形態に係る包装基材20は、グラシン紙22、ヒートシール層24に加えて、任意の他の層を備えていてもよい。
【0056】
他の層の例は、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバーコート層(ニス層)、遮光層等を含む。包装基材20に含まれる他の層は、1層であってもよく、2層以上の複数層であってもよい。
【0057】
包装基材20において、他の層は、その機能や目的に応じて、任意の位置に設けられ得る。包装基材20の厚さ方向(積層構成)において、他の層は、例えば、グラシン紙22とヒートシール層24との間に設けられていてもよい(例えば、
図3(d)における印刷層26)。また、ヒートシール層24がグラシン紙22の片面のみに設けられている場合に、他の層は、グラシン紙22のヒートシール層24が設けられていない側の面に設けられていてもよい(例えば、
図3(c)における印刷層26、オーバーコート層28)。ヒートシール層24は、ヒートシールによる良好な封止性を提供するために、概して、積層構成において最外層に設けられる。
【0058】
また、本発明の実施形態において、ヒートシール層24は、面方向においてグラシン紙22の全面にわたる領域に積層されるのに対して、他の層は、その機能や目的に応じて、グラシン紙22の全面にわたる領域に積層されていてもよく、また、グラシン紙22の全面ではなく面方向における一部の領域のみに積層されていてもよい。
【0059】
例えば、
図3(c)に示す非限定的な例では、透明度60%以上のグラシン紙22の片面の全面にわたって、透明なヒートシール層24が積層されている。また、グラシン紙22のヒートシール層24が設けられていない側の面には、グラシン紙22の上に、印刷層26が積層されている。印刷層26の上には、透明なオーバーコート層(ニス層)28が設けられている。
【0060】
本発明の実施形態において、印刷層26は、包装体10に、模様、ロゴ、メッセージなどの情報等を付与するための図形や文字を施すための層である。印刷層26は、概して、グラシン紙22の全面ではなく面方向における一部の領域のみに積層されて、包装基材20を上面視した際に透明度が相対的に低い不透明な領域(以下、「印刷部」と称する)を提供するように設けられる。
【0061】
オーバーコート層(ニス層)28は、その下層の印刷層26等を保護したり、包装基材20の表面に光沢を付与したりするための層である。オーバーコート層(ニス層)28は、概して、包装基材20の全面にわたって設けられる。
このようにして、
図3(c)に示す非限定的な例では、印刷部を除く領域において測定される包装基材20の透明度は、50%以上となっている。
【0062】
また、例えば、
図3(d)に示す非限定的な例では、
図3(c)の例における透明なオーバーコート層(ニス層)28の代わりに、ヒートシール層24が設けられている。すなわち、透明度60%以上のグラシン紙22の両面の全面にわたって、透明なヒートシール層24が積層されている。
このようにして、
図3(d)に示す非限定的な例では、印刷部を除く領域において測定される包装基材20の透明度は、50%以上となっている。
【0063】
[包装形式]
包装体10は、例えば、衛生薄葉紙40の積層体30を包装基材20で筒状に包み込み、その状態で、包装基材20の、包装体10の短手方向(Y方向)における重ね合わせ部および長手方向(X方向)における両端部(両開口部)をヒートシールによって封止することによって形成することができる。
【0064】
(ピロー包装)
図1(a)を参照して、本実施形態に係る包装体10は、いわゆるピロー包装形式で包装されている。
ピロー包装形式の包装体10は、例えば、シート状の包装基材20の上あるいは下に載置された被包装物(衛生薄葉紙40の積層体30)を筒状に包むように、包装基材20をその幅方向の両端部で内面同士が合わさるように(いわゆる合掌方式で)重ね合わせ、この重ね合わせた部分(包装体10の短手方向(Y方向)における重ね合わせ部)をX方向に沿ってヒートシールによって封止することにより円筒状に形成し、包装体10の長手方向(X方向)の長さに合わせてその両端における円筒開口部を横一文字に(Y方向に沿って)ヒートシールによって封止し、この横一文字に封止された部分で包装体10を1個毎に切断することによって得ることができる。なお、切断と被包装物の載置の順に特に限定はなく、シート状の包装基材20を所定の大きさに切断した後に被包装物を載置してもよく、被包装物を載置してからシート状の包装基材20を所定の大きさに切断してもよい。ピロー包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
【0065】
なお、本発明の実施形態において、包装体10の包装形式はこれに限定されず、例えば、
図4(a)に示されるように、いわゆるキャラメル包装も適用可能である。
【0066】
(キャラメル包装)
キャラメル包装形式の包装体10(
図4(a)を参照)は、例えば、被包装物(衛生薄葉紙40の積層体30)の一方向(図の例では、X方向)に沿って延びる包装基材20を準備し、包装基材20でこの方向と交差する方向(図の例では、Y方向)に被包装物を巻き込み、次いで、長手方向(X方向)において被包装物の両端側からはみ出た包装基材20のそれぞれにおいて、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分をヒートシールで封止することによって得ることができる。キャラメル包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
【0067】
[封止部]
図1(a)および
図4(a)を参照して、本発明の実施形態において、包装体10は、積層体30を取り巻く包装基材20の、短手方向Y(Y方向)における重ね合わせ部(不図示)と、長手方向(X方向)の両端部とに、ヒートシール(熱融着)によって層間接着されることによって封止された封止部Sを有する。
【0068】
封止部Sでは、包装基材20のヒートシール層24に含まれるヒートシール剤により、包装基材20の端部が、ヒートシールにより接合されている。
【0069】
[シール面]
包装基材20は、包装体10とした際に概して包装体10の内部に向く内側の面(以下、単に「内側面」とも記す)と、概して包装体10の外部に向く外側の面(以下、単に「外側面」とも記す)とを有する。本明細書において、封止部Sにおいてヒートシールにより接合される包装基材20の面を「シール面」と称するものとする。
【0070】
図1(a)に示されるピロー包装形式の包装体10の場合、包装基材20の短手方向(Y方向)の重ね合わせ部における封止部S(不図示)、および長手方向(X方向)の両端部における封止部S(図示)のいずれにおいても、包装基材20の内側面同士が合わさるようにしてヒートシールされている。すなわち、包装体10の包装にピロー包装形式を採用した場合は、包装体10の内側となる包装基材20の一方の面のみ(内側面のみ)が、シール面となる。
【0071】
図4(a)に示されるキャラメル包装形式の包装体10の場合、包装基材20の短手方向(Y方向)の重ね合わせ部における封止部S(不図示)においては、包装基材20の外側面と内側面とが合わさるようにしてヒートシールされている。また、長手方向(X方向)の両端部における封止部S(図示)においては、部分によって、包装基材20の外側面同士、内側面同士、または外側面と内側面が合わさるようにしてヒートシールされている。すなわち、包装体10の包装にキャラメル包装形式を採用した場合は、包装基材20の両方の面(内側面および外側面の両方)が、シール面となる。
【0072】
ヒートシール層24のヒートシール処理には、知られているヒートシーラーを用いることができる。ヒートシール処理により、包装基材20が重ね合わされた包装体10の封止部Sとなる領域に、熱と圧力が加えられ、当該領域のヒートシール層24のヒートシール剤が軟化および溶融する。シール面において、軟化したヒートシール剤のミクロの食い込みや溶融したヒートシール剤の混合一体化などの現象が生じ、冷却後、シール面が強固に接着された封止部Sが得られる。
【0073】
[取出口]
図1(a)を参照して、包装体10の天面(X-Y面)に相当する包装基材20の領域には、包装体10の長手方向(X方向)に延びるミシン目部21が形成されている。ミシン目部21は、ミシン目を含む。ミシン目は、包装体10に包装されている積層体30の一辺と略平行になるように設けられている。ミシン目部21のミシン目を手指または刃物などを用いて破断させることによって、
図1(b)に示されるような、ミシン目部21とほぼ同じ形状およびほぼ同じ寸法を有する、包装体10の内部の衛生薄葉紙40を外部に取り出すためのスリット状の取出口21aが形成される。
【0074】
取出口21aは、衛生薄葉紙40を積層体30の上位から順に取り出すことができると共に、衛生薄葉紙40の積層体30が飛び出したり抜け落ちたりすることのない形状および寸法の開口部として設けられる。
【0075】
なお、本明細書では、包装体10に包装される積層体30において、包装体10の高さ方向(Z方向)に積層されている複数枚の衛生薄葉紙のうちの取出口21aに近い側を積層体30の「上位」というものとする。すなわち、例えば、
図1(b)に示されるZ方向を垂直方向であるものとしたとき、包装体10の上下をひっくり返して取出口21aを有する面(天面)が垂直方向下方になるように置いた場合は、垂直方向下方側が、積層体30の上位となる。
【0076】
本例において、ミシン目部21のミシン目は直線状であり、破断によって形成される取出口21aはスリット状である。しかしながら、本発明における取出口21aは、これに限定されず、例えば、包装体10の長手方向(X方向)に延在する楕円形、長方形、菱形、またはそれ以外の任意の平面形状を有していてもよい。このような平面形状の取出口21aを設けるにあたって、ミシン目部21のミシン目は、楕円形、長方形、菱形、またはそれ以外の任意の平面形状を描くように形成されてもよく、取出口21aは、ミシン目で囲まれた領域を切り離すことによって開口されてもよい。
【0077】
[残量透視部]
図1(b)を参照して、包装体10は、側面(X-Z面および/またはY-Z面)に、包装体10の内部の衛生薄葉紙40の残量を外部から視認可能とする領域である「残量透視部」Tを有する。
【0078】
残量透視部Tは、包装基材20を上面視した際に透明である領域である。残量透視部Tは、グラシン紙22上に印刷層26が積層されていない領域(非印刷部)として設けられる。あるいはまた、残量透視部Tは、グラシン紙22上に印刷層26が積層されている場合の、印刷が透明な領域として設けられていてもよい。
【0079】
本発明の包装基材20は、透明なグラシン紙22と透明なヒートシール層24とを層構成に含んで構成された透明度が50%以上のシートであり、一般的な紙を紙基材とする包装基材と比べて高い透明度を有する。本実施形態に適用可能なおよび好ましいグラシン紙22の透明度および包装基材20の透明度は、上述のとおりである。
【0080】
残量透視部Tでは、印刷による包装基材20の透明度の低下が生じていない。そのため、包装体10の外部から、この残量透視部Tを通して、包装体10の内部に含まれる衛生薄葉紙40の積層体30の状態を視認することができる。残量透視部Tが、包装体10の側面に設けられていることにより、衛生薄葉紙40の積層体30を側面から観察することができ、積層体30における衛生薄葉紙40の積層状態、ひいては衛生薄葉紙40の残量を容易に確認することができる。
【0081】
図1(b)の例では、残量透視部Tは、ハッチングにより、包装体10の側面(X-Z面)全体に対応する1つの長方形の領域として示されているが、残量透視部Tは、包装体10内部の衛生薄葉紙40の残量を視認可能であるような任意の位置に任意の形状で設けることができる。包装体10の内部の衛生薄葉紙40の残量を外部から視認可能とする限りは、残量透視部Tの形状、寸法、数、配置は図の例に限定されない。
【0082】
残量透視部Tは、例えば、不透明な印刷部によって輪郭が画定された透明な図形や文字の内部領域として設けられていてもよい。あるいはまた、残量透視部Tは、包装体10の外面において、図形や文字等の不透明な印刷が施された印刷部の外側の透明な領域として設けられていてもよい。つまり、図形や文字の輪郭形状の内側が相対的に透明度の高い残量透視部Tであり外側が不透明な印刷部であってもよく、あるいはまた、図形や文字の輪郭形状の内側が不透明な印刷部であり外側が相対的に透明度の高い残量透視部Tであってもよい。透明な図形や文字の内部領域に部分的に不透明な印刷部が位置していてもよく、その場合は、透明な内部領域から不透明な印刷部の領域を取り除いた領域が、残量透視部Tの領域となる。
【0083】
図形は、例えば、三角形、正方形、ひし形、長方形、それ以外の多角形、円形、楕円形、星形、花形、動物型、建物型、乗り物型等やそれらの任意の組合せであってもよく、特に限定されず、任意の形状および任意の寸法を取り得る。
【0084】
残量透視部Tは、好ましくは、包装体10内部に含まれる衛生薄葉紙40の残量が多い場合であっても少ないもしくは無い場合であっても視認が容易であるように、包装体10の高さ方向(Z方向)に延在するように設けられる。残量透視部Tは、例えば、X-Z面に設けられ、X方向にある程度の幅を有しつつ、Z方向において端から端まで延在するスリット状であってもよい。
【0085】
残量透視部Tの領域が広いほど、視野が広がり、衛生薄葉紙40の残量の視認性が良好となる。
【0086】
残量透視部Tは、包装体10の1つの側面に複数個が設けられていてもよい。
【0087】
残量透視部Tは、包装体10の1つの側面のみに設けられていてもよく、両側面に設けられていてもよく、周面全体に設けられていてもよい。また、残量透視部Tは、包装体10の任意の組合せの複数の面(例えば、側面と天面、側面と底面など)にまたがって設けられていてもよい。
【0088】
残量透視部Tが包装体10の側面に設けられていることにより、包装体10の内部に残留する積層体30における衛生薄葉紙40の積層状態を視認することができ、残量の把握が可能となる。残量透視部Tが包装体10の両側面に設けられている場合、包装体10に対する使用者の相対的な位置によらずに、使用者は衛生薄葉紙40の残量を容易に確認できる。残量透視部Tが包装体10の側面だけでなく天面にもまたがっている場合は、視野が広がり、残量の確認はさらに容易になる。残量透視部Tが包装体10の底面にもまたがっている場合は、使用者が包装体10を持ち上げて裏返すことによって、包装体10内部に残留する衛生薄葉紙40の有無を容易に確認できる。
【0089】
包装体10において、包装基材20が折りたたまれたり重なったりした包装基材20の重複領域は、重なった包装基材20の厚さのために透明度が低下して内部視認性が低くなる。そのため、残量透視部Tは、概して、包装基材20の重複領域とは異なる領域に設けられる。重複領域の例は、封止部Sおよびその近傍を含む。
【0090】
[第1の実施形態の作用効果]
本発明の第1の実施形態に係る包装体10は、複数枚の衛生薄葉紙40が積層された積層体30と、積層体30を包装する包装基材20と、を含み、包装基材20に形成される取出口21aを通して衛生薄葉紙40を積層体30の上位から順に取り出し可能に構成された包装体10であって、包装基材20は、グラシン紙とその少なくとも片面の全面にわたって積層されたヒートシール層とを含む、透明度50%以上のシートであり、包装体10は、ヒートシールによる封止部Sを含み、包装体10は、内部に含まれる衛生薄葉紙40の残量が包装基材20を通して視認可能である残量透視部Tを有する包装体である。
【0091】
本実施形態に係る包装基材20では、紙基材に一般的な紙と比べて透明度の高い透明度60%以上のグラシン紙22が用いられており、それとともに、当該グラシン紙22の少なくとも片面の全面にわたってヒートシール層24が積層されている。
【0092】
この構成において、包装基材20は紙基材を主体としているため、プラスチックを主体とした従来品と比べてプラスチックの使用量を削減することができ、環境負荷の低減が図られている。
【0093】
また、紙基材に、一般的な紙と比べて透明度の高いグラシン紙22が用いられていることによって、包装基材20自体の透明度が高くなっている。そのため、包装体10とした際に、包装基材20の非印刷部として設けられた相対的に透明度の高い領域である残量透視部Tを通して、包装体10の外部から包装体10の内部が視認可能となり、包装体10の内部の衛生薄葉紙40の残量を明確に確認することができる。
【0094】
加えて、紙基材であるグラシン紙22の片面または両面の全面にわたってヒートシール層24が積層されている構成により、包装体10のヒートシールによる封止が可能となっており、またそれだけでなく、一般的な紙と比べて引裂強度が低い傾向があるグラシン紙22の補強がなされている。すなわち、ヒートシール層24は、封止用として機能するだけでなく、グラシン紙22の引裂強度補強用としても機能する。
【0095】
そのため、包装基材20の強度補強を目的に、グラシン紙22の紙厚を厚くしたり、別途、透明な補強フィルムを設けたりする必要がなく、包装基材20の製造において原材料の量および/または種類や工程数の増加がない。したがって、低コストかつ簡単な構成で強度が補強された包装基材20が得られ、包装体10としたときに、取出口を通した衛生薄葉紙40の取り出し時の包装基材20の不用意な破れを防止することができる。
【0096】
このようにして、本実施形態によれば、環境負荷が低減され、内部視認性が良好であり、衛生薄葉紙を取出口から取り出す際の包装基材の不用意な破れが防止された衛生薄葉紙包装体を、低コストかつ簡単な構成で提供することができる。
【0097】
以下に、本実施形態の非限定的な好ましい態様を示す。
[本実施形態の1つの好ましい態様]
本実施形態の1つの好ましい態様において、包装体10は、グラシン紙22の片面のみをシール面としたヒートシールによって封止されており、ヒートシール層24はグラシン紙の当該片面の全面にわたって積層されている。
【0098】
例えば、ピロー包装形式(
図1(a)を参照)の包装体10は、包装基材20の内側面(包装体10において内側となる面)同士が合わさるように重ね合わされた封止部Sを有する。すなわち、ピロー包装のような包装形式において、包装体10は、包装基材20の片面のみをシール面として用いたヒートシールによって封止され得る。したがって、包装基材20において、ヒートシール層24はグラシン紙22の片面のみに積層されていることができる。
【0099】
ピロー包装には、例えば、
図3(a)および
図3(c)の例の包装基材20を適用することができる。包装基材20は、ヒートシール層24が内側面(包装体10において内側となる面)となるような表裏の向きで、包装に用いられる。
【0100】
図3(a)および
図3(c)の包装基材20の構成例において、包装基材20は、紙基材に高い平滑性を有するグラシン紙22が用いられていることから、印刷が施された場合に解像度の高い画像が得られるなど、良好な印刷適性を有する。
【0101】
図3(a)および
図3(c)の包装基材20の構成例において、包装基材20は、その片面のみに全面にわたってヒートシール層24を有するものであり、ピロー包装のような片面のみを封止用のシール面として用いる包装形式に、付加的な構成を必要とせずに対応可能である。すなわち、ヒートシールによる封止とグラシン紙22の補強とを無駄のない低コストな構成で達成することができ、衛生薄葉紙40の取り出し時の包装基材20の不用意な破れが効果的に防止される。
【0102】
また、
図3(c)の包装基材20の構成例においては、両面がヒートシール層24およびオーバーコート層28で被覆されていることから、良好な耐水性が得られる。そのため、かかる包装基材20を用いた包装体10は、水回りでも不都合なく使用することができ、特に、水回りで使用されることが多いハンドタオルやキッチンタオルの包装体として効果的である。
【0103】
[本実施形態の別の好ましい態様]
本実施形態の別の好ましい態様において、包装体10は、グラシン紙22の両面をシール面としたヒートシールによって封止されており、ヒートシール層24はグラシン紙22の両面の全面にわたって積層されている。
【0104】
例えば、キャラメル包装形式(
図4(a)参照)の場合、包装体10は、包装基材20の内側面(包装体10において内側となる面)と包装基材20の外側面(包装体10において外側となる面)とが合わさるように重ね合わされた封止部S(不図示)、および包装基材20の外側面同士、内側面同士、内側面と外側面とが合わさるように重ね合わされた封止部S(図示)を有する。すなわち、キャラメル包装のような包装形態において、包装体10は、包装基材20の両面をシール面として用いたヒートシールによって封止され得る。したがって、包装体10において、ヒートシール層24は、グラシン紙22の両面に積層される。
【0105】
キャラメル包装には、例えば、
図3(b)および
図3(d)の例の包装基材20を適用することができる。包装基材20は、概して、印刷の明瞭性等の観点から、印刷層26がグラシン紙22よりも外側面(包装体10において外側となる面)となるような表裏の向きで、包装に用いられる。
【0106】
図3(b)および
図3(d)の包装基材20の構成例において、包装基材20は、紙基材に高い平滑性を有するグラシン紙22が用いられていることから、印刷が施された場合に解像度の高い画像が得られるなど、良好な印刷適性を有する。
【0107】
図3(b)および
図3(d)の包装基材20の構成例において、包装基材20は、その両面に全面にわたってヒートシール層24を有するものであり、キャラメル包装のような両面を封止用のシール面として用いる包装形式に対して、両面のヒートシール層24を利用して、構成要素の追加や削減を要することなく、対応可能である。すなわち、ヒートシールによる封止とグラシン紙22の補強とを無駄のない低コストな構成で達成することができ、衛生薄葉紙40の取り出し時の包装基材20の不用意な破れが効果的に防止される。
【0108】
また、
図3(d)の包装基材20の構成例においては、両面がヒートシール層24で被覆されていることから、良好な耐水性が得られる。そのため、かかる包装基材20を用いた包装体10は、水回りでも不都合なく使用することができ、特に、水回りで使用されることが多いハンドタオルやキッチンタオルの包装体として効果的である。
【0109】
<第2の実施形態>
図4(a)から
図4(d-2)を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
【0110】
図4(a)は、本実施形態に係る包装体10の外観を模式的に示す斜視図であり、
図4(b)は、その特徴部を説明するためのY-Z面に平行な包装体10の部分的断面図である。
図4(c-1)および
図4(c-2)、ならびに
図4(d-1)および
図4(d-2)は、それぞれ、本実施形態に係る衛生薄葉紙40の積層体30の構成例を示す図である。
【0111】
[積層体]
本発明の第2の実施形態の積層体30において、複数枚の衛生薄葉紙40はポップアップ方式に折り畳まれ積層されており、積層体30の最上位の衛生薄葉紙40は縁片が折り返されている。包装体10は、折り返された最上位の衛生薄葉紙40の縁片の折り返し縁40Eを視認可能とする折り返し縁透視部TEを含む。
【0112】
図4(b)を参照して、包装体10において、衛生薄葉紙40の積層体30は、積層体30の上面(X-Y面)が包装体10の天面(X-Y面)の内側面に対向するように、包装基材20に包装されている。
【0113】
未使用の状態の包装体10において、積層体30が包装体10の天面の内側面に圧接している場合、積層体30の最上位の最初の1枚(1組)の衛生薄葉紙40を摘まんで取り出す際に、当該衛生薄葉紙40に破れが生じやすい。
【0114】
この課題に対して、積層体30の最上位の衛生薄葉紙40の縁片を折り返した構成が知られている。
図4(c-1)および
図4(c-2)に示す第1の例においては、衛生薄葉紙40の縁片は、積層体30の外側に折り返されている。
図4(d-1)および
図4(d-2)に示す第2の例においては、衛生薄葉紙40の縁片は、積層体30の内側に折り返されている。かかる折り返し構成により、最上位の衛生薄葉紙40の縁片は二重となって強度が高められている。これにより、未使用の状態の包装体10において最上位の最初の1枚(1組)の衛生薄葉紙40を取出口21aから取り出す際の、取出口21a近傍における当該衛生薄葉紙40の破れが防止される。
【0115】
しかしながら、上述の衛生薄葉紙40の縁片の折り返し構成によれば、折り返し構成による二重部分の衛生薄葉紙40の厚さは厚くなる。それにより、未使用の状態の包装体10において、積層体30が包装体10の天面の内側面に過度に圧接して、積層体30の最上位の最初の1枚(1組)の衛生薄葉紙40を摘まんで取り出す際に、衛生薄葉紙40がスムーズに取り出せないという問題が生じ得た。
【0116】
本実施形態は、かかる問題を解決し得るものであり、その詳細な構成を以下に説明する。
【0117】
[折り返し縁]
図4(c-1)および
図4(d-1)を参照して、本明細書において、衛生薄葉紙40の折り返し縁40Eとは、最上位の衛生薄葉紙40の縁片を折り返した部分(山折り部分)をいう。
【0118】
折り返し縁40Eの形成は、例えば、積層体30を製造するための折り機にマルチスタンド式インターフォルダを用い、その最下流の折畳み機構部で、最上位となる衛生薄葉紙40の縁片を折り返すことで行なうことができる。また、折り機にロータリー式インターフォルダを用いることもできる。
【0119】
図4(a)を参照して、衛生薄葉紙40を包装体10の取出口21aから引き出す際の衛生薄葉紙40の摘まみやすさや引き出しやすさを考慮して、折り返し縁40Eは、包装体10の長手方向(X方向)に延びるミシン目部21(ミシン目開裂後の取出口21aに相当)に沿ってX方向に延びるように、積層体30の一辺と略平行になるように設けられており、また、包装体10の短手方向(Y方向)においてミシン目部21の近傍に位置するように、積層体30の幅方向(短手方向、Y方向)において中央付近に位置付けられている。
図4(b)を参照して、折り返し縁40EのY方向の位置は、図の例のように、ミシン目部21のミシン目(ミシン目開裂後の取出口21a)のY方向の位置からずれがあってもよく、また、ミシン目部21のミシン目(ミシン目開裂後の取出口21a)のY方向の位置と一致していてもよい。
【0120】
[折り返し縁透視部]
図4(a)および
図4(b)を参照して、包装体10は、天面(X-Y面)に、包装体10の内部の積層体30の衛生薄葉紙40の折り返し縁40Eを外部から視認可能とする領域である「折り返し縁透視部」TE(図中、ハッチングで例示される)を有する。
【0121】
折り返し縁透視部TEは、包装基材20を上面視した際に透明である領域である。折り返し縁透視部TEは、グラシン紙22上に印刷層26が積層されていない領域(非印刷部)として設けられる。あるいはまた、折り返し縁透視部TEは、グラシン紙22上に印刷層26が積層されている場合の、印刷が透明な領域として設けられていてもよい。
【0122】
本発明の包装基材20は、グラシン紙22とその少なくとも片面の全面にわたって積層されたヒートシール層24とを含む、透明度50%以上のシートである。本実施形態に適用可能な包装基材20の好ましい透明度は、第1の実施形態について上述したものと同様である。また、本実施形態に適用可能なグラシン紙22およびヒートシール層24の好ましい構成についても第1の実施形態について上述したものと同様である。
【0123】
折り返し縁透視部TEでは、印刷による包装基材20の透明度の低下が生じていない。そのため、包装体10の外部から、この折り返し縁透視部TEを通して、包装体10の内部に含まれる積層体30の状態を視認することができる。折り返し縁透視部TEが、包装体10の天面に設けられていることにより、衛生薄葉紙40の積層体30を上面から視認することができ、積層体30の最上位の衛生薄葉紙40の折り返し縁40Eの位置の把握が可能となる。
【0124】
図4(a)および
図4(b)に示される例では、折り返し縁透視部TEは、包装体10の天面(X-Y面)を上面視した際に、ミシン目部21(ミシン目開裂後の取出口21aに相当)の全体と折り返し縁40Eとが領域内に含まれるようなX方向に延在する長方形の領域として示されている。しかしながら、折り返し縁透視部TEは、ミシン目部21(ミシン目開裂後の取出口21aに相当)と衛生薄葉紙の折り返し縁40Eとの位置関係を確認および把握可能とする限りは、必ずしも、ミシン目部21(取出口21a)および折り返し縁40Eの長さ方向(X方向)の全体を含んでいなくてもよく、折り返し縁透視部TEの形状、寸法、数、配置は図の例に限定されない。
【0125】
折り返し縁透視部TEは、例えば、不透明な印刷部によって輪郭が画定された透明な図形や文字の内部領域として設けられていてもよい。あるいはまた、折り返し縁透視部TEは、包装体10の外面において、図形や文字等の不透明な印刷が施された印刷部の外側の透明な領域として設けられていてもよい。つまり、図形や文字の輪郭形状の内側が相対的に透明度の高い折り返し縁透視部TEであり外側が不透明な印刷部であってもよく、あるいはまた、図形や文字の輪郭形状の内側が不透明な印刷部であり外側が相対的に透明度の高い折り返し縁透視部TEであってもよい。透明な図形や文字の内部領域に部分的に不透明な印刷部が位置していてもよく、その場合は、透明な内部領域から不透明な印刷部の領域を取り除いた領域が、折り返し縁透視部TEの領域となる。
【0126】
図形は、例えば、三角形、正方形、ひし形、長方形、それ以外の多角形、円形、楕円形、星形、花形、動物型、建物型、乗り物型等やそれらの任意の組合せであってもよく、特に限定されず、任意の形状および任意の寸法を取り得る。
【0127】
包装体10内部に含まれる積層体30における衛生薄葉紙40の折り返し縁40Eが包装体10の短手方向(Y方向)においてどの位置にあったとしても折り返し縁40Eを視認可能であるように、折り返し縁透視部TEは、好ましくは、包装体10の天面(X-Y面)において、包装体10のY方向に延在するように設けられる。折り返し縁透視部TEは、例えば、包装体10の天面(X-Y面)において、X方向にある程度の幅を有しつつ、Y方向において端から端まで延在するスリット状であってもよい。折り返し縁透視部TEは、包装体10の1つの面(天面)において複数個が設けられていてもよい。
【0128】
折り返し縁透視部TEの領域が広いほど、視野が広がり、衛生薄葉紙40の折り返し縁透視部TEの位置の視認性が良好となる。例えば、包装体10の天面(X-Y面)全体を、折り返し縁透視部TEとしてもよい。
【0129】
[第2の実施形態の作用効果]
本発明の第2の実施形態に係る包装体10は、第1の実施形態に係る包装体10の変形例である。第2の実施形態では、積層体30において、複数枚の衛生薄葉紙40はポップアップ方式に折り畳まれ積層されており、積層体30の最上位の衛生薄葉紙40は折り返されており、折り返された最上位の衛生薄葉紙40の折り返し縁40Eが視認可能である折り返し縁透視部TEを含む。
【0130】
本実施形態に係る包装体10は、第1の実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果を奏し得る。
【0131】
本実施形態に係る包装体10は、包装体10の天面において、一般的な紙と比べて透明度の高い包装基材20の非印刷部として設けられた相対的に透明度の高い領域である折り返し縁透視部TEを通して、包装体10の外部から包装体10の内部が視認可能となっている。したがって、取出口21aから指を差し込み最上位の衛生薄葉紙40を摘まんで取り出す際に、折り返し縁透視部TEを通して衛生薄葉紙40の折り返し縁40Eの位置を確認しつつ、衛生薄葉紙40の折り返し縁40Eをスムーズに摘まんで取り出すことができる。この構成によれば、包装体10からの衛生薄葉紙40の取り出し作業性が向上し得る。
【符号の説明】
【0132】
10 包装体
20 包装基材
21 ミシン目部
21a 取出口
22 グラシン紙(紙基材)
24 ヒートシール層
26 印刷層
28 オーバーコート層(ニス層)
30 積層体
40 衛生薄葉紙
40E 折り返し縁
S 封止部
T 残量透視部
TE 折り返し縁透視部