(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083227
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ウェアラブル聴診器
(51)【国際特許分類】
A61B 7/04 20060101AFI20240613BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61B7/04 J
A61B5/02 350
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023123884
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】111213602
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】111150605
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.WINDOWS
3.iOS
4.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523127969
【氏名又は名称】▲シ▼響先創科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Decentralized Biotechnology Intelligence Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】3F.-1, No. 309, Sec. 3, Roosevelt Rd., Da’an Dist., Taipei City 106021, Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】周耀聖
(72)【発明者】
【氏名】蘇偉盛
(72)【発明者】
【氏名】林孝義
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA04
4C017AC04
4C017AC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】心音センサを衣服と統合し、従来の拘束方式で心音センサを装着することによる不快感を改良したウェアラブル聴診器を提供する。
【解決手段】ウェアラブル聴診器100は、衣服12本体と、使用者の心音信号を収集するよう構成される音声センサを含む。音声センサは、振動板、圧電式センサ及び回路基板を含む。回路基板は、振動板及び圧電式センサにそれぞれ電気的に接続されるとともに、収集された心音信号を前処理する。音声センサは衣服本体に統合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服本体と、
使用者の心音信号を収集するよう構成される音声センサと、を含み、前記音声センサは、
振動板、圧電式センサ及び回路基板を含み、前記回路基板は、前記振動板及び前記圧電式センサにそれぞれ電気的に接続されるとともに、収集された前記心音信号を前処理し、
前記音声センサは前記衣服本体に統合されるウェアラブル聴診器。
【請求項2】
前記振動板、前記圧電式センサ及び前記回路基板の設置方式として、
前記振動板は前記回路基板の表面に設置され、
遮音リングが前記表面に設置されて前記振動板を取り囲み、且つ前記回路基板とともに共振空洞を封入及び形成し、
前記圧電式センサは、前記遮音リングのうち前記回路基板と接触していない側に設けられ、前記圧電式センサは、前記使用者の皮膚における心臓に近い箇所に直接貼り付けられるか、前記衣服本体を介して前記使用者の皮膚に貼り付けられる請求項1に記載のウェアラブル聴診器。
【請求項3】
前記圧電式センサは圧電材料を含み、且つ、前記圧電材料の上下層の表面に導電性の電極を有する請求項2に記載のウェアラブル聴診器。
【請求項4】
前記音声センサは、収容袋を利用して前記衣服本体に統合されるか、連結部材により取り外し可能に前記衣服本体に統合され、前記連結部材は、面ファスナー、留め具又はジッパーである請求項2に記載のウェアラブル聴診器。
【請求項5】
前記回路基板は、少なくとも、
濾波器、前記濾波器に電気的に接続される信号増幅器、及び前記信号増幅器に電気的に接続されるアナログ-デジタルコンバータを含み、前記心音信号を順に濾波、増幅及びデジタル化する信号前処理モジュールと、
デジタル化された前記心音信号を受信して演算処理を行うことで、バックグラウンドノイズが除去された安定的な前処理心音信号を取得するマイクロプロセッサと、を含む請求項1に記載のウェアラブル聴診器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴診器の関連技術に関し、特に、ウェアラブル聴診器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、スマートウォッチやスマートバンドといったウェアラブルのセンサが雨後の筍のように登場しており、非侵襲的な方式で我々の健康を継続的にモニタリング可能となっている。
【0003】
調査レポートによると、消費者は、医療用ウェアラブルデバイスを自身の衣服の装備内に統合し得ることを望んでいる。また、世界的な健康意識の高まりに伴い、医療用ウェアラブルデバイスに対するニーズも日々増加している。技術的には、ブルートゥース(登録商標)・ロー・エナジー(BLE)技術を採用して携帯電話と連結し、各種検出値を記録又は分析して、検出データをクラウドにアップロードすることが可能である。これにより、医師は、遠隔方式で高齢者や患者の健康状況を24時間モニタリング及び追跡可能となる。
【0004】
人口の高齢化傾向に伴い、心不全は世界的に蔓延する公衆衛生問題とされており、全体的な医療コストにとって莫大な負担となっている。一方、近年は、健康問題に対する人々の関心の高まりに伴い、生理学的情報を長期間にわたりモニタリング及び記録・分析することで、健康の改善や疾病の早期発見に有効活用可能としている。
【0005】
病気の徴候を早期に発見し得るよう、特に、突然死率の極めて高い心臓系疾患においては、ウェアラブル聴診(心音)デバイスによって、リアルタイム且つ有効な動悸異常信号の検出及び記録デバイスを提供可能である。医師は、これらリアルタイムの生理学的音声情報を利用して分析することで、健康に関する警告やケアソリューションを提供可能となる。
【0006】
初期のウェアラブル医療デバイスは体積が大きいため、使用者は常に体に異物感の存在を意識することになり、生活に不都合をきたしやすい。加えて、バッテリの交換も必要となる。そのため、必要な場合を除き、通常は使用者がウェアラブル医療デバイスの装着を拒否することが多い。
【0007】
ウェアラブルデバイスの登場から現在までに、医療用ウェアラブルデバイスには多くの外形が展開されてきた。しかし、例えばウェアラブル聴診器のような従来の医療用ウェアラブルデバイスは、一般的には依然として拘束方式で装着するため、長時間装着していると不快に感じやすい。
【0008】
そこで、衣服に統合可能であり、従来の拘束方式で心音センサを装着することによる不快感を更に改良したウェアラブル聴診器を提供することが強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、心音センサを衣服と統合し、従来の拘束方式で心音センサを装着することによる不快感を改良したウェアラブル聴診器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的に基づき、本発明は、衣服本体と、使用者の心音信号を収集するよう構成される音声センサを含むウェアラブル聴診器を提供する。当該音声センサは、振動板、圧電式センサ及び回路基板を含む。当該回路基板は、前記振動板及び前記圧電式センサにそれぞれ電気的に接続されるとともに、収集された上記の心音信号を前処理する。前記音声センサは前記衣服本体に統合される。
【0011】
一実施例において、上記の振動板、前記圧電式センサ及び前記回路基板は以下の方式で設置される。即ち、前記振動板は前記回路基板の表面に設置される。また、遮音リングが前記表面に設置されて前記振動板を取り囲み、且つ前記回路基板とともに共振空洞を封入及び形成する。前記圧電式センサは、前記遮音リングのうち前記回路基板と接触していない側に設けられる。前記圧電式センサは、使用者の皮膚における心臓に近い箇所に直接貼り付けられるか、前記衣服本体を介して前記使用者の皮膚に貼り付けられる。
【0012】
一実施例において、上記の圧電式センサは圧電材料を含み、且つ、当該圧電材料の上下層の表面に導電性の電極を有する。
【0013】
一実施例において、上記の音声センサは、収容袋を利用して前記衣服本体に統合される。
【0014】
一実施例において、上記の音声センサは、連結部材により取り外し可能に前記衣服本体に統合される。
【0015】
一実施例において、上記の連結部材は、面ファスナー、留め具又はジッパーである。
【0016】
一実施例において、上記の衣服本体は、前記聴診器の前記圧電式センサが、身体音声信号、特に心音信号を検出しやすいよう、身体に密着するタイトな衣類とする。
【0017】
一実施例において、上記の回路基板は、少なくとも、濾波器、当該濾波器に電気的に接続される信号増幅器、及び当該信号増幅器に電気的に接続されるアナログ-デジタルコンバータを含み、前記複数の心音信号を順に濾波、増幅及びデジタル化する信号前処理モジュールと、デジタル化された前記心音信号を受信して演算処理を行うことで、バックグラウンドノイズが除去された安定的な前処理心音信号を取得するマイクロプロセッサ、を含む。
【0018】
一実施例において、上記の前処理心音信号は、前記ウェアラブル聴診器に通信可能に連結された外部の演算用電子機器によって分析及びクロスチェックが行われる。
【0019】
一実施例において、上述した外部の演算用電子機器はスマートフォンである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に基づき提供する聴診器と衣服の統合の概略図を示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明の一実施例に基づき提供する聴診器の概略構造図を示す。
【
図2B】
図2Bは、本発明の別の実施例で提供する聴診器の概略構造図を示す。
【
図2C】
図2Cは、本発明の別の実施例で提供する聴診器の概略構造図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に基づき提供するウェアラブル聴診器の機能ブロック図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に基づき提供するシステム構成の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明では、発明の具体的実施例及び視点について詳細に記載する。なお、これらの記載は本発明の構造又はステップのフローを解釈し、説明するためのものであって、本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。よって、明細書の具体的実施例及び好ましい実施例以外にも、本発明はその他の異なる実施例において幅広く実行可能である。以下に、特定の具体的実施例によって本発明の実施形態につき説明する。当業者であれば、本明細書で開示する内容から本発明の効果及び利点を容易に理解可能である。また、本発明は、その他の具体的実施例によっても運用及び実施可能である。本明細書で詳述する各詳細事項はニーズの違いに応じて応用可能であり、且つ、本発明の精神から逸脱しなければ、各種の異なる改変又は変更を行ってもよい。
【0022】
家庭用(consumer)又は医療用ウェアラブルには各種の異なる外観が存在する。そのうち、より多様な形態に変化させられるウェアラブルバイオセンサは、手袋や衣服、包帯、インプラントといった形式で出現させることができ、且つ、身体運動を通じて連続的且つ非侵襲的な疾病診断及び健康モニタリングを実施可能である。
【0023】
ウェアラブル医療デバイスの最大の役割は、人体の各種情報を検出することであるため、自ずと内部のセンサ精度が大変重要となる。
【0024】
従来の心音デバイスは、心音プローブ又はロッド状のマイクセンサにより信号を収集するが、このようなセンサは体積が大き目であるためウェアラブル応用の実現が比較的難しい。特に、運動時には、一般的に物を携帯しにくいため、このようなときに本発明の利便性と消費者の期待が際立つことになる。よって、本発明は、運動時の着衣に統合可能であるという極めて大きな優位性を有している。一実施例において、本発明は、パッチ式で人体又は着衣の部位に貼り付けるか、聴診器を衣服と統合することが可能である。軟質材料のフィット性と展延性を利用して、密着方式で検出機能を実施することで、機能性と快適性の双方に配慮可能となる。これにより、人が快適に装着した状態で生理状態をモニタリング可能になるとともに、運動データを即時に収集する機能も達成される。
【0025】
図1は、本発明の一実施例に基づき提供する聴診器10と衣服12の統合の概略図を示す。聴診器10には圧電薄膜を軟質基板に統合した設計を採用するが、細部の構造については
図2で詳細に説明する。以下では、まず、如何にして聴診器10を衣服と統合するかについて説明する。
【0026】
本発明の一実施例によれば、上記の聴診器10はパッチ式で人体の部位に貼り付け可能である。また、
図1の右上の図を参照する。当該図は、衣服12に縫い付けられたポケット(収容袋)12aを衣服に聴診器10を統合するための収容空間として利用し、全体としてウェアラブル聴診器100を形成することを示している。
【0027】
聴診器10は、衣服本体に設置される取り外し可能なアタッチメントであって、例えば、留め具、面ファスナー又はジッパー等の連結部材により衣服本体に設置される。本発明の別の実施例によれば、
図1の右下の図を参照すると、面ファスナー(14a,14b)による密着方式で、聴診器10を衣服に密着させてウェアラブル聴診器100を形成することが示されている。通常、面ファスナーは2本の織物から構成され、1本の表面がループ状構造(毛面)で覆われるとともに、もう1本の表面がフック状構造(かぎ面)で覆われている。力を込めて2本の織物を押し付けることで、フックとループが結合し、一次的な締結状態が形成される。これらを分離させたい場合には、力を込めて切り離せばよい。
図1の右下の図に示すように、面ファスナーの一方の織物(例えば、14a)が衣服12に縫い付けられる場合、聴診器10は、面ファスナーのもう一方の織物(例えば、14b)に設置される。
【0028】
一実施例において、上記の衣服は、聴診器10の圧電薄膜(圧電式センサ)が、身体音声信号、特に心音信号を検出しやすいよう、身体に密着するタイトな衣類とする。
【0029】
簡単に言うと、ウェアラブル聴診器100は、収容袋12aを利用して衣服12の本体に収容される。或いは、取り外し可能なアタッチメントであって、例えば、留め具、面ファスナー又はジッパー等の連結部材により衣服12の本体に設置される。
【0030】
図2Aは、本発明の一実施例に基づき提供する聴診器200の構造を示しており、左図が断面図、右図が平面図となっている。聴診器200は振動板201aを含む。この振動板201aに導電材料をめっきし、当該振動板201aをプラスチックフレーム(遮音リング)207と回路基板(ハードウェアモジュール205)により封入する(遮音リング207と回路基板205で形成される共振空洞に振動板201aを組み合わせることでマイク構造が形成される)。また、圧電式センサ203が、遮音リング207の下方に設置されるとともに、回路204を介して回路基板205に電気的に接続される。圧電式センサ203は、直接的又は間接的に(衣服を隔てて)人体の皮膚231と接触することで、振動により生じた電圧信号を測定するために使用可能である。つまり、圧電式センサ203は振動板とすればよく、従来の静電容量式センサでは低周波信号(例えば、心音のIII音やIV音の周波数は20Hz付近である)に対する反応に劣るとの欠点を補うために使用可能である。
【0031】
一実施例において、上記の圧電式センサ203は、主として、圧電材料層(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)高分子圧電薄膜、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の材料)として構成可能であり、その上下の表面に導電性の金属(例えば、アルミニウム、銅等)がめっきされる。
【0032】
一実施例において、上記の圧電式センサの厚さは50μm未満である。
【0033】
図2B~
図2Cは、本発明の別の実施例に基づき提供する聴診器200の構造を示しており、
図2Bは平面図である。聴診器は、複数の心音センサ211と、PCB回路基板に搭載される相応の駆動及び検出回路(ハードウェアモジュール205)を含む。また、
図2Cは側面図を示す。PCB回路基板には、プロセッサ、濾波器、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ及びその他の電子部品が設置されている。収集する身体音声信号として、例えば、身体の異なる位置の複数のポイントについて複数の心音信号を同時に取得し、収集した身体音声信号を処理するとともに、処理した身体音声信号を外部の演算用電子機器に伝送して分析する。
【0034】
一実施例において、上記の心音センサ211は、圧電材料211a(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)高分子圧電薄膜、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の材料)であり、その上下層の表面に、導電性の金属(例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)211bが電極としてめっきされる。軟質基板210上に形成される圧電パッチは、振動により生じた電圧信号を検出する。
【0035】
ウェアラブル聴診器300は、複数の音声センサ301とハードウェアモジュールを含むとともに、衣服に統合される。当該ウェアラブル聴診器300の機能ブロック図は
図3に示す通りである。上記のウェアラブル聴診器300は、音声センサ301をそれぞれ通じて人体から身体音声信号を取得可能であるとともに、生理学的データのモニタリング及び遠隔診断を行うための聴診デバイスとして構成可能である。当該ウェアラブル聴診器300は、データを受信及び送信してソフトウェアアプリケーションを実行可能であるとともに、マイクロプロセッサ、蓄積ユニット、ワイヤレス伝送モジュールを含む。
【0036】
マイクロプロセッサ325は、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック回路、又は、命令を実行することで本発明に基づき処理及び演算を実施するその他のデジタルデータ処理デバイスとすることができる。マイクロプロセッサ325は、蓄積ユニットに蓄積されている各種のアプリケーションプログラムを実行可能である。
【0037】
蓄積ユニット327は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去・書き換え可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は、一般的にコンピュータに用いられるいずれかのメモリを含み得る。
【0038】
ワイヤレス伝送モジュール329はアンテナ329aに接続される。アンテナ329aは、ワイヤレス通信チャネルを通じて出力データの送信及び入力データの受信を行うよう構成される。ワイヤレス電気通信チャネルは、例えば、WiFi、Bluetooth、RFID、NFC、3G/4G/5G、又はその他いずれかの将来的なワイヤレス通信インターフェースといったデジタルワイヤレス電気通信チャネルとすることができる。
【0039】
上記の音声センサ301を通じて人体から取得した身体音声信号については、濾波器331を経由してノイズを除去してから、信号増幅器333により信号を増幅する。濾波及び増幅後の身体音声信号については、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)335によりアナログ信号をデジタル信号に変換してから、マイクロプロセッサ325により演算処理を行うことで、バックグラウンドノイズが除去された(de-noising)安定的な心電信号と身体音声信号を取得する。マイクロプロセッサ325は、命令又はプログラムによって、上記のバックグラウンドノイズが除去された(de-noising)安定的な身体音声信号を蓄積ユニットに蓄積可能であるか、ワイヤレス伝送モジュール329を経由して上記の信号を例えばスマートフォンのような携帯機器に送信し、更に分析する。
【0040】
バッテリ群337は、上記のウェアラブル聴診器300に電力を供給するとともに、パワーマネジメントユニット339と連携して電力の運用を適正化することが可能である。
【0041】
上記の濾波器331、信号増幅器333、アナログ-デジタルコンバータ335及びマイクロプロセッサ325は、集積回路(integrated circuit,IC)として統合可能であり、ウェアラブル聴診器300の処理ユニット325aとなる。
【0042】
上記の処理ユニット325aは、ワイヤレス伝送モジュール329、蓄積ユニット327、バッテリ群337及びパワーマネジメントユニット339と組み合わされて、ウェアラブル聴診器300のハードウェアモジュール(又は、システム回路基板とも称される)となる。
【0043】
上記の濾波器331、信号増幅器333、アナログ-デジタルコンバータ335は、前処理モジュールとして、上記複数の心音信号を順に濾波、増幅及びデジタル化するために用いられる。
【0044】
フレキシブルエレクトロニクスとは、従来のシリコンを主体とする電気回路の製造方式とは異なり、フィルム形式又は直接噴射式の金属プリントに変更して電子回路を製造するものである。この技術によれば、折り曲げ可能な電気回路や直接噴射式の電気回路を製造したり、有機体を原料として製造したりすることが可能となる。また、折り畳みや防水のニーズについてはすでに実現可能となっている。
【0045】
本発明の一実施例によれば、複数の音声センサ301は、軟質基板(例えば、織物や、ポリイミドPI又はポリエチレンテレフタレートPET等のプラスチック)に作製可能である。これにより、半導体素子のパフォーマンスとプリンテッド・エレクトロニクスの軽さと薄さ、大面積及び柔軟性、可撓性といった特性を融合可能となる。フレキシブルエレクトロニクスは、これらの医療機器を患者の装着に適した形式に変換可能なため、人体データの収集精度が向上するとともに、医師が患者の状況をより正確に把握して最適な治療手段を講じるための手助けとなる。
【0046】
デバイスにおけるフレキシブルエレクトロニクスのフィット性と展延性を利用して検出機能を実行することで、デバイスは、機能性、耐用性、快適性に同時に配慮可能となる。これにより、患者が快適に装着した状態で、生理学的検出により身体情報を即時にモニタリングすることが可能となる。医療用ウェアラブルデバイスを装着することで、人体の各種データを収集可能となり、更には、即時記録の機能も達成可能となる。
【0047】
次第に高齢化の進む社会に直面するにあたり、即時的及び予防的な医療システムの構築が更に急がれており、なかでも不可欠なものがウェアラブルデバイスの応用である。
【0048】
図4に示すように、ウェアラブル聴診器400は、複数の心音センサと、システム回路基板203(
図2~
図3参照)を含んでおり、使用者の衣服30に統合されるとともに、通信可能に携帯機器(例えば、スマートフォン、タブレットPC等の外部の演算用電子機器)403に接続される。ウェアラブル聴診器400の心音信号センサにより収集された心音データは、ワイヤレス伝送(例えば、ブルートゥース(登録商標)、WiFi等のワイヤレス通信方式)によって、携帯機器403からクラウドネットワーク405を経由してクラウドサーバ407にアップロード可能である。クラウドサーバにおいて、データはクラウドデータベースに蓄積される。上記のシステムは、更に、携帯機器にインストールされるアプリケーションプログラムを含む。当該アプリケーションプログラムは、ウェアラブル聴診器400、携帯機器403及びクラウドサーバ407の間でデータを受信及び送信する命令を含む。
【0049】
一実施例において、上記のアプリケーションプログラムは、Android、Windows10又はiOSといったオペレーティングシステムのプラットフォームで動作可能であるとともに、例えば、心電信号、心音信号及びそれらの波形といった収集した関連データ/信号をクラウドサーバ407にアップロードして蓄積可能である。また、データ分析及び特徴抽出アルゴリズムによって、データを分析及び演算処理したあと、評価レポートを生成するとともに、それに基づき医療的アドバイスを提示する。
【0050】
IoT技術の進歩と急速な成長に伴って、大量の医療情報のやり取り及び分析、運用が行われており、これが医療ビッグデータの基礎となっている。そのほか、近年急速に発展している人工知能も、これらのデータを帰納して使用するものとして導入されている。IoTと人工知能を融合すれば、即時移動性の医療が出現することになる。
【0051】
ウェアラブルデバイスは、身体の状況を検出可能であり、即時検知や大量のデータの比較・分析を行ったあと、帰納及び解読して反応することで、現時点で最適な処理及び支援を実施する。スマート医療によって、生理学的モニタリングや一般的な在宅ヘルスケアへの適用が可能となる。そのほか、スマートフォンやタブレットPCのソフトウェアと組み合わせ、測定した生理学的情報を分析及び管理するとともに(例えば、活動量、睡眠の質等)、ワイヤレス伝送方式でバックエンド医療・ケアシステムと連結することで、現在の医療体系が直面している数多くの苦境を解決可能となる。
【0052】
本実施例の範囲を逸脱しなければ、上記の方法及びシステムを変更してもよい。よって、注意すべき点として、以上の記載に含まれるか、図中に示した内容は説明のためのものであって、制限の意図はないと解釈すべきである。ここで、別途説明する場合を除き、「実施例において」との表現は、「何らかの実施例において」と同等の意味であり、全ての実施例を指すわけではない。また、添付の特許請求の範囲は、ここで記載した全ての一般的及び特定の特徴と、言語に関しては、それらの間に含まれる本方法及びシステムの範囲の全ての表現をカバーすることを意味する。
【符号の説明】
【0053】
12a 収容袋
12 衣服
10 聴診器
100 ウェアラブル聴診器
14a、14b 面ファスナー
200 聴診器
201a 振動板
207 遮音リング
203 圧電式センサ
204 回路
231 人体の皮膚
211 心音センサ
205 ハードウェアモジュール
211a 圧電材料
211b 金属(例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)
210 軟質基板
300 ウェアラブル聴診器
301 音声センサ
325 マイクロプロセッサ
327 蓄積ユニット
329 ワイヤレス伝送モジュール
329a アンテナ
331 濾波器
333 信号増幅器
335 アナログ-デジタルコンバータ(ADC)
337 バッテリ群
339 パワーマネジメントユニット
400 ウェアラブル聴診器
30 衣服
403 携帯機器
405 クラウドネットワーク
407 クラウドサーバ
【外国語明細書】