IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

特開2024-83243衝撃に耐えるように構成している、電子デバイスのための制御モジュール
<>
  • 特開-衝撃に耐えるように構成している、電子デバイスのための制御モジュール 図1
  • 特開-衝撃に耐えるように構成している、電子デバイスのための制御モジュール 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083243
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】衝撃に耐えるように構成している、電子デバイスのための制御モジュール
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/10 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G04B37/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023182969
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】22212590.8
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・バルメ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・パラスキヴェスク
(57)【要約】
【課題】 衝撃に耐えるように構成している電子デバイスのための制御モジュールを提供する。
【解決手段】 本発明は、電子デバイスを制御するための制御モジュール(10)に関し、制御モジュール(10)は、ストライカー要素(111)を含むプッシャー(11)と、接続状態と休み状態となるように構成しているスイッチ(12)とを備え、ストライカー要素(111)は、スイッチ(12)を接続状態又は休み状態に動かすように構成しており、制御モジュール(10)は、さらに、止めメンバー(13)を備え、スイッチ(12)が接続状態又は休み状態に動かされたときに止めメンバー(13)にストライカー要素(111)が支えられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを制御するための制御モジュール(10)であって、
前記制御モジュール(10)は、ストライカー要素(111)を含むプッシャー(11)と、接続状態と休み状態となるように構成しているスイッチ(12)とを備え、
前記ストライカー要素(111)は、前記プッシャー(11)が操作されたときに前記スイッチ(12)を接続状態又は休み状態に動かすように構成しており、
前記制御モジュール(10)は、さらに、止めメンバー(13)を備え、前記スイッチ(12)が接続状態又は休み状態に動かされたときに前記止めメンバー(13)に前記ストライカー要素(111)が支えられる
ことを特徴とする制御モジュール(10)。
【請求項2】
前記ストライカー要素(111)には、支持面から延在している軸方向の突起(115)があり、前記支持面とともに前記軸方向の突起(115)が肩部を形成し、
前記ストライカー要素(111)は、前記プッシャー(11)が操作されたときに前記スイッチ(12)を接続状態又は休み状態に動かすように構成しており、
前記軸方向の突起(115)は、前記スイッチ(12)に圧力を与え、前記支持面は、前記止めメンバー(13)に当接するように休む
ことを特徴とする請求項1に記載の制御モジュール(10)。
【請求項3】
前記止めメンバー(13)は、前記スイッチ(12)に取り付けられた壁の形態であり、
前記止めメンバー(13)には、前記ストライカー要素(111)が前記スイッチ(12)を接続状態又は休み状態に動かしたときに前記プッシャー(11)の前記軸方向の突起(115)を受けるように意図された貫通穴がある
ことを特徴とする請求項2に記載の制御モジュール(10)。
【請求項4】
前記スイッチ(12)には、フレーム(120)があり、
前記止めメンバー(13)には、凹みがあり、この凹みは、前記スイッチ(12)に対向するように配置されて、前記止めメンバー(13)の周部に延在する周部領域によって前記止めメンバー(13)が前記フレーム(120)に支えられる
ことを特徴とする請求項3に記載の制御モジュール(10)。
【請求項5】
前記制御モジュール(10)は、前記ストライカー要素(111)が前記スイッチ(12)を接続状態又は休み状態に動かしたときに、遊び分の力の一部を、少なくとも前記力が所定のしきい値よりも大きいときに、吸収するように構成しているダンパー(116)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の制御モジュール(10)。
【請求項6】
前記ダンパー(116)は、前記ストライカー要素(111)の前記支持面上に配置されて、前記ストライカー要素(111)が前記スイッチ(12)を接続状態又は休み状態に動かしたときに、圧縮される
ことを特徴とする請求項5に記載の制御モジュール(10)。
【請求項7】
前記ストライカー要素(111)には、支持面から延在している軸方向の突起(115)があり、前記支持面とともに前記軸方向の突起(115)が肩部を形成し、
前記ストライカー要素(111)は、前記スイッチ(12)を接続状態又は休み状態に動かすように構成しており、
前記軸方向の突起(115)は、前記スイッチ(12)に圧力を与え、前記支持面は、前記止めメンバー(13)に当接するように休み、
前記ダンパー(116)は、前記軸方向の突起(115)のまわりに配置された弾性変形可能な材料によって作られたワッシャーの形態である
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の制御モジュール(10)。
【請求項8】
前記ダンパー(116)は、前記プッシャー(11)の運動方向の延長線上にて、計時器用ムーブメントの構造(21)と前記スイッチ(12)の間に配置されるように意図されている
ことを特徴とする請求項5に記載の制御モジュール(10)。
【請求項9】
前記スイッチ(12)には、弾性ブレード(121)と接続端子(122、123)が取り付けられるフレーム(120)があり、
前記弾性ブレード(121)は、前記スイッチ(12)が接続状態のときには、前記接続端子(122、123)間を接触させる接続位置に動かされており、また、前記スイッチが休み状態のときには、前記接続端子(122、123)間のいずれの接触をも防ぐ休み位置に動かされており、
前記止めメンバー(13)は、前記接続端子(122、123)の1つに対向するように前記プッシャー(11)の運動方向の延長線上に配置されて、前記接続端子が前記止めメンバー(13)と前記ストライカー要素(111)の間に配置されるように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の制御モジュール(10)。
【請求項10】
前記ストライカー要素(111)には、前記プッシャー(11)の運動方向に直交する方向に延在している半径方向の寸法を有する、実質的に円筒状の形である本体があり、
前記半径方向の寸法は、前記ストライカー要素(111)が配置される前記ガイドチューブ(113)の端の外径よりも小さい
ことを特徴とする請求項9に記載の制御モジュール(10)。
【請求項11】
前記プッシャー(11)には、プッシャー頭部(110)があり、前記プッシャー頭部(110)に、ガイドチューブ(113)内にて摺動可能に係合するプッシャーロッド(112)が接続され、
前記プッシャー(11)には、前記ストライカー要素(111)が固定される自由端があり、
前記プッシャー(11)は、プッシャー頭部(110)と前記ガイドチューブ(113)の間に配置されて前記プッシャー(11)を休み位置の方に動かすばね(114)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の制御モジュール(10)。
【請求項12】
電子式の計時器用ムーブメントが収容されるケースを備える携行型時計であって、
請求項1に記載の制御モジュール(10)を備え、
前記プッシャー(11)は、前記ケースにあるミドル部(20)を通して係合し、
前記スイッチ(12)と前記止めメンバー(13)は、前記計時器用ムーブメントの構造(21)に取り付けられる
ことを特徴とする携行型時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの分野に関し、特に、電子デバイスの機能を制御するためのメンバーに関する。
【0002】
特に、本発明は、衝撃に耐えるように構成している電子デバイスのための制御モジュールに関する。
【0003】
有利なことに、本発明は、特に、携行型の電子デバイス、例えば、電子式の携行型時計(例、腕時計、懐中時計)に適している。
【背景技術】
【0004】
電子デバイスの制御メンバーは、一般的に、機能を実行するために命令が送信されることなどを可能にする電流が流れることを許可したり禁止したりするように構成しているスイッチからなる。
【0005】
特に、電流を流すことを許可にしたり禁止したりするために、スイッチは、休み位置と接続位置になるように意図されており、ユーザーの操作によってこれらの位置のうちの少なくとも1つに動かされる。
【0006】
特に、弾性ブレードを覆うフレキシブルな膜を備えるスイッチが知られており、この弾性ブレードは、ユーザーが操作したときに、すなわち、応力が与えられたときに、接続端子どうしを接続し、休み状態であるときに端子間の接続を防ぐように構成している。
【0007】
電子デバイスは、多くの場合、ユーザーによって操作されて、ストライカーを利用して、スイッチのフレキシブルな膜と接触して、弾性ブレードを接続位置にするように変形させるように構成しているプッシャーを備える。
【0008】
電子デバイスがプッシャーにおいて衝撃を受けると、弾性ブレードは、与えられた力によって塑性変形してしまうことがあり、このために、不可逆的な損傷を受けてしまうことがある。
【0009】
この問題に対する1つの手法として、ストライカーの接触面の大きさを大きくして、伝達される力をできるだけ均等に分散させて、弾性ブレードが受ける圧力を減らすものがある。
【0010】
しかし、この手法は、計時器の分野のようなマイクロ電子やマイクロメカニカル分野などにおいて、寸法が重要な設計上の制約となるアプリケーションにおいては利用できない場合がある。
【0011】
また、製造上の制約などのために、この手法を実行することができない場合がある。
【0012】
別の手法として、フレキシブルな膜に付加的な厚みを与えるものがある。この膜は、一般的に、シリコーンによって作られており、この付加的な厚みは、衝撃を受けたときに弾性的に変形して力を吸収するように意図されている。
【0013】
しかし、このような付加的な厚みは、例えば、スイス時計工業規格NIHS 91-30で規定されているように5000Gの減速に対応する衝撃が発生させるような大きい力を吸収するためには適していない。なぜなら、この場合、フレキシブルな膜が、受けた力の影響によって大きく変形してしまい、その力を弾性ブレードと端子に伝達し、それらが塑性変形してしまうからである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題に対処するために、電子デバイスを制御するための制御モジュールに関し、前記制御モジュールは、ストライカー要素を含むプッシャーと、接続状態と休み状態となるように構成しているスイッチとを備え、前記ストライカー要素は、前記プッシャーが操作されたときに前記スイッチを接続状態又は休み状態に動かすように構成しており、前記制御モジュールは、さらに、止めメンバーを備え、前記スイッチが接続状態又は休み状態に動かされたときに前記止めメンバーに前記ストライカー要素が支えられる。
【0015】
なお、本発明において、前記止めメンバーは、前記スイッチとは別個のものである。したがって、前記スイッチは、有利なことに、標準的な商業的に入手可能なコンポーネントであることができる。
【0016】
有利なことに、前記止めメンバーのおかげで、前記スイッチに過大な力が与えられたときに、動くプッシャーの進行をブロックすることができる。したがって、スイッチに与えられる最大力の強度が制御され、衝撃によって発生するもののような過大な力に対してスイッチが保護される。
【0017】
特定の実装形態において、本発明は、さらに、単独で、又は任意の技術的に可能な組み合わせに従って、以下の特徴のうちの1つ又は複数を備えることができる。
【0018】
特定の実装形態において、前記ストライカー要素には、支持面から延在している軸方向の突起があり、前記支持面とともに前記軸方向の突起が肩部を形成する。前記ストライカー要素は、前記プッシャーが操作されたときに前記スイッチを接続状態又は休み状態に動かすように構成しており、前記軸方向の突起は、前記スイッチに圧力を与え、前記支持面は、前記止めメンバーに当接するように休む。
【0019】
特定の実装形態において、前記止めメンバーは、前記スイッチに取り付けられた壁の形態であり、前記止めメンバーには、前記ストライカー要素が前記スイッチを接続状態又は休み状態に動かしたときに前記プッシャーの前記軸方向の突起を受けるように意図された貫通穴がある。すなわち、前記プッシャーの前記軸方向の突起は、前記貫通穴を通り抜けて係合して、前記スイッチを接続状態又は休み状態に動かすように意図されている。
【0020】
特定の実装形態において、前記スイッチには、フレームがあり、前記止めメンバーには、凹みがあり、この凹みは、前記スイッチに対向するように配置されて、前記止めメンバーの周部に延在する周部領域によって前記止めメンバーが前記フレームに支えられる。
【0021】
特定の実装形態において、前記制御モジュールは、前記ストライカー要素が前記スイッチを接続状態又は休み状態に動かしたときに、遊び分の力の一部を、少なくとも前記力が所定のしきい値よりも大きいときに、吸収するように構成しているダンパーを備える。
【0022】
特定の実装形態において、前記ダンパーは、前記支持面上に配置されて、前記ストライカー要素が前記スイッチを接続状態又は休み状態に動かしたときに、圧縮される。
【0023】
特定の実装形態において、前記ダンパーは、前記軸方向の突起のまわりに配置された弾性変形可能な材料によって作られたワッシャーの形態である。
【0024】
特定の実装形態において、前記ダンパーは、前記プッシャーの運動方向の延長線上にて、計時器用ムーブメントの構造と前記スイッチの間に配置されるように意図されている。
【0025】
特定の実装形態において、前記スイッチには、弾性ブレードと接続端子が取り付けられるフレームがある。前記弾性ブレードは、前記スイッチが接続状態のときには、前記接続端子間を接触させる接続位置に動かされており、また、前記スイッチが休み状態のときには、前記接続端子間のいずれの接触をも防ぐ休み位置に動かされている。前記止めメンバーは、前記接続端子の1つに対向するように前記プッシャーの運動方向の延長線上に配置されて、前記接続端子が前記止めメンバーと前記ストライカー要素の間に配置されるように構成している。
【0026】
特定の実装形態において、前記プッシャーには、プッシャー頭部があり、前記プッシャー頭部に、ガイドチューブ内にて摺動可能に係合するプッシャーロッドが接続される。前記プッシャーには、前記ストライカー要素が固定される自由端があり、前記プッシャーは、プッシャー頭部と前記ガイドチューブの間に配置されて前記プッシャーを休み位置の方に動かすばねを備える。
【0027】
特定の実装形態において、前記ストライカー要素には、前記プッシャーの運動方向に直交する方向に延在している半径方向の寸法を有する、実質的に円筒状の形である本体があり、前記半径方向の寸法は、前記ストライカー要素が配置される前記ガイドチューブの端の外径よりも小さい。
【0028】
別の態様において、本発明は、電子式の計時器用ムーブメントが収容されるケースを備える携行型時計に関する。この携行型時計は、前記制御モジュールを備え、前記プッシャーは、前記ケースにあるミドル部を通して係合し、前記スイッチと前記止めメンバーは、前記計時器用ムーブメントの構造に取り付けられる。
【0029】
添付の図面を参照しながら例として与えられる以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明確になる。なお、図面は必ずしも縮尺が一致するように描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の好ましい例示的な実施形態に係る制御モジュールを備える、電子式の計時器用ムーブメントが収容されている携行型時計のミドル部の概略断面図と制御モジュールのスイッチの詳細断面図を示している。
図2】本発明の別の例示的な実施形態に係る制御モジュールを備える、電子式の計時器用ムーブメントが収容されている携行型時計のミドル部の概略断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び2に示しており本明細書において説明する本発明の例示的な実施形態において、本発明は、計時器の分野に適用されている。特に、本発明は、制御モジュール10に関し、ここでは、この制御モジュール10は、携行型時計のケース内に収容される電子式の計時器用ムーブメントに配置され、このケースには、ミドル部20があり、ユーザーなどの要求に応じて機能を制御するように意図されている。
【0032】
図1及び2に示しているように、制御モジュール10は、ユーザーによって操作されるように意図されておりA-A方向に並進運動することができるプッシャー11備える。図面に示している特定の例において、プッシャー11は、ユーザーがアクセスできるように、ミドル部20を通して係合する。代わりに、プッシャーは、回転可能であることができ、あるいはより一般的には、任意のタイプの運動を行うことができる。
【0033】
また、制御モジュール10は、プッシャー11が操作されたときにユーザーによってアクチュエートされるように意図されたスイッチ12と、止めメンバー13とを備え、スイッチ12がアクチュエートされたときに、この止めメンバー13に対向するようにプッシャー11が休む、すなわち、支えられる。
【0034】
特に、スイッチ12は、接続状態と休み状態になるように構成しており、プッシャー11は、前記スイッチ12をアクチュエートしたときに、前記スイッチ12を前記状態のうちの一方又は他方にするように構成している。
【0035】
本発明の1つの例示的な実施形態についての図1の詳細図において概略的に示しているように、スイッチ12には、導電性材料によって作られた弾性ブレード121と、接続端子122及び123とが取り付けられるフレーム120があることができる。図1の詳細図にてわかるように、スイッチ12は、プッシャー11の運動方向上に配置される、すなわち、方向A-Aと整列して配置される、「中央端子」122とも呼ばれる接続端子と、1つ又は複数の周部端子123とを備えることができる。好ましくは、弾性ブレード121は、ユーザーがプッシャー11を操作したときに、中央端子122と1つ又は複数の周部端子123の間を接触させる接続位置となるように構成している。プッシャー11は、操作されて弾性ブレード121を動かすときに、止めメンバー13に当接して休むように構成している。
【0036】
特に、ユーザーがプッシャー11を操作したときには、プッシャー11は、弾性ブレード121に圧力を与えて、弾性ブレード121を変形させて不安定な平坦位置にし、この平坦位置においては、弾性ブレード121は中央端子122と周部端子123と接触している。また、弾性ブレード121は、ユーザーがプッシャー11を操作していないときには、中央端子122と周部端子123の間の接触を防ぐ安定な休み位置となるように構成している。図1の詳細図に示しているように、弾性ブレード121は、この休み位置にあるときには、曲がっていることができ、これによって、弾性を有するように予応力が与えられる。
【0037】
また、スイッチ12は、弾性ブレード121を覆うフレキシブルな膜124を備えることができ、プッシャー11が操作されたときに、そのフレキシブルな膜124にプッシャー11が支えられることが意図されている。しかし、このフレキシブルな膜124は、本発明にとって必須ではない。
【0038】
図1に示している本発明の好ましい例示的な実施形態において、プッシャー11は、下において詳細に説明するように、止めメンバー13に対して直接当接するように休む。図2に示している別の例示的な実施形態において、プッシャー11は、前記プッシャー11と前記止めメンバー13の間にスイッチ12が配置されるようにして、止めメンバー13に対向するようにして間接的に休む。
【0039】
図1及び2によってわかるように、スイッチ12と止めメンバー13は、例えば当業者によって知られる任意の手段によって、計時器用ムーブメントの構造21に取り付けられるように意図されている。
【0040】
プッシャー11には、ミドル部20の外側まで延在しユーザーによって操作されるように意図されたプッシャー頭部110がある。また、プッシャー11は、ミドル部20の貫通穴内に取り付けられるガイドチューブ113内にて摺動可能に係合されるプッシャーロッド112を利用してプッシャー頭部110に接続されるストライカー要素111を備える。例えば、ストライカー要素111は、プッシャーロッド112にねじ込まれたり、当業者が利用できる範囲内の任意の適切な手段によって取り付けられたりする。
【0041】
ガイドチューブ113には、第1の端にて、ミドル部20における貫通穴に係合することに関与する第1の部分があり、第2の端にて、第1の部分の外径よりも大きい外径を有する第2の部分があって、これによって、第1の部分と肩部を形成する。図1に示しているように、ガイドチューブ113は、この肩部を利用してミドル部20に当接するように構成している。プッシャー11はプッシャー頭部110とガイドチューブ113の肩部の間に配置されてプッシャー11を動かして休み位置にする圧縮ばね114を備える。
【0042】
図1に示しているように、プッシャー11がその休み位置にあるときに、ストライカー要素111は、ガイドチューブ113の第1の端に対向するように休む。すなわち、ストライカー要素111は、止めメンバー13とガイドチューブ113に対向して休んでいるときに、プッシャー11を止めるトラベル制限止めを形成する。
【0043】
ストライカー要素111には、方向A-Aに直交する方向に半径方向の寸法が延在している実質的に円筒状の形の本体があり、この半径方向の寸法は、有利なことに、ガイドチューブ113の第1の部分の外径よりも小さい。プッシャー11が携行型時計のミドル部20に固定される前、すなわち、プッシャー11が前記ミドル部20における貫通穴に係合する前に、行うことができれば、前記特徴のおかげで、プッシャーロッド112に対するストライカー要素111の組み付けが容易になる。
【0044】
図1に示している好ましい例示的な実施形態において、ストライカー要素111の本体には、支持面から延在している軸方向の突起115があり、この支持面とともに前記突起115が肩部を形成する。ストライカー要素111は、ユーザーがプッシャー11を操作したときに、軸方向の突起115を介して、弾性ブレード121に圧力を与えて、接続位置になり、かつ、支持面が止めメンバー13に当接して休むまで、弾性ブレード121を変形させるように構成している。
【0045】
簡潔に書くと、本発明は、止めメンバー13がプッシャー11を止める並進運動の止めとしてはたらき、受けた力を、フレームに、又は場合によって計時器用ムーブメントの構造21に、伝達する場合に、スイッチ12に過大な応力が与えられることを防ぐ。このように、本発明のおかげで、特に軸方向の突起115の長さによって定められる、スイッチ12に与えることができる最大力の強度を制御することが可能になる。
【0046】
有利なことに、制御モジュール10は、プッシャー11がスイッチをアクチュエートするときに、遊び分の力の一部を、少なくとも前記力が所定のしきい値よりも大きいときに、吸収するように構成しているダンパー116を備えることができる。好ましくは、ダンパー116は、エラストマーのような弾性変形可能な材料によって作られ、又は圧縮ばねのような弾性変形可能な構造を有する。
【0047】
本発明の1つの実施形態において、ダンパー116は、支持面上に配置されて、図1及び2に示しているように弾性ブレード121が接続位置に動かされるときに圧縮される。特に、図1に示している好ましい例示的実施形態において、ダンパー116は、軸方向の突起115のまわりに配置されるワッシャーの形態である。
【0048】
図面に示していない本発明の別の実施形態において、ダンパー116は、A-A方向の延長線上にて、計時器用ムーブメントの構造21とスイッチ21の間に配置されることができる。このようにして、スイッチ12は、過度の力を受けた場合、ダンパー116において局所的にわずかに動いたり変形したりして、これらの力の一部を伝達することができ、このダンパー116がスイッチ12が伝達した前記力の一部を吸収する。
【0049】
図1に示している例示的実施形態において、止めメンバー13は、止め面130がある壁の形態であり、この壁を貫通穴131が通り抜ける。プッシャー11が操作されたときに、ストライカー要素111の支持面は、止め面130に対向して当接するように休むように意図されており、軸方向の突起115は、貫通穴131を通り抜けるようにして係合するように意図されている。
【0050】
有利なことに、本発明の好ましい例示的な実施形態において、止めメンバー13には、スイッチ12に対向する凹み132があり、止めメンバー13は、止めメンバー13の周部において延在している周部領域を介してスイッチ12のフレーム120に止めメンバー13が支えられるように構成している。この特徴のおかげで、一方では、止めメンバー13の周部の方を向いている機械的応力に対する止めメンバー13の耐性を向上させることができ、他方では、プッシャー11の操作によって発生する応力をスイッチ12のフレーム120に伝達することができる。すなわち、発生しうる衝撃によって発生する力は、弾性ブレード121に、また、中央端子121と周部端子123に、伝達されない。
【0051】
図2に示している例示的実施形態において、止めメンバー13は、中央端子121に対向するように直接的又は間接的に配置されて、ユーザーがプッシャー11を操作したときに、中央端子122が止めメンバー13とストライカー要素111の間に配置されるようにされる。すなわち、止めメンバー13は、プッシャー11に対向している側がスイッチ12の前側と考えると、中央端子122に対向するように中央端子122の後ろ側に配置される。この構成は、スイッチ12に、特に弾性ブレード121に、過大な力が与えられたときに、並進運動の止めを提供して、スイッチ12のいずれの変形をも防ぐ。
【0052】
なお、この例示的実施形態において、図2に示しているように、中央端子121と計時器用ムーブメントの構造21の間に止めメンバー13が配置される。
【0053】
より正確には、止めメンバー13は、計時器用ムーブメントの構造21に支えられるように構成しているベースプレート133を備え、このベースプレート133から突起134が延在しており、この突起134は、その自由端にて中央端子122に当接するように休む。
【0054】
この例示的実施形態において、ストライカー要素111の本体には、軸方向の突起115がない。実際に、図2に示しているように、ストライカー要素111の本体には、スイッチ12に、より正確には、弾性ブレード121に、力を与えるように意図された平坦な支持面しかない。
【0055】
この例示的実施形態は、ダンパー116が、方向A-Aの延長線上にて、計時器用ムーブメントの構造21とスイッチ12の間に配置されるダンパー116の実施形態と共存することができる。この場合、ベースプレート133は、ダンパー116に支えられるように構成している。本発明について、携行型時計によって形成される電子デバイスに対する本発明のアプリケーションに関連して説明した。しかし、当然、本発明は、このアプリケーションに限定されず、有利なことに、他の任意の携行可能又は非携行可能な電子デバイスとともに用いることができる。
【0056】
一般的には、上において検討した実装形態や実施形態は、例として説明しており、したがって、他の代替的形態も可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 制御モジュール
11 プッシャー
12 スイッチ
13 止めメンバー
20 ミドル部
21 構造
110 プッシャー頭部
111 ストライカー要素
112 プッシャーロッド
113 ガイドチューブ
114 ばね
115 軸方向の突起
116 ダンパー
120 フレーム
121 弾性ブレード
122 中央端子
123 周部端子
図1
図2
【外国語明細書】