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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083245
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】路面干渉センサ、監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240613BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240613BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240613BHJP
   G01L 1/20 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G01L5/00 F
B62D25/20 N
B60K1/04 Z
G01L1/20 G
G01L1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183516
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2022197108
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023077316
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】北浦 靖寛
【テーマコード(参考)】
2F051
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB06
2F051BA07
3D203AA02
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB03
3D203DB02
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB02
3D235BB30
3D235CC15
3D235DD35
3D235HH12
(57)【要約】
【課題】路面干渉を適切に検知可能な路面干渉センサを提供する。
【解決手段】路面干渉センサ10は、車両のフロアパネルの下方に配置されて路面側から車両に加わる外力を検知する検知部21を備える。検知部21は、中空の弾性体22および弾性体22の内面に配置される複数の電極線を含み、複数の電極線同士の接触の有無に基づいて外力を検知する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面干渉センサであって、
車両(V)のフロアパネル(FP)の下方に配置されて路面(RS)側から前記車両に加わる外力を検知する検知部(21)を備え、
前記検知部は、中空の絶縁体(22)および前記絶縁体の内面(22a)に配置される複数の電極線(23、24、26、27)を含み、複数の前記電極線同士の接触の有無に基づいて前記外力を検知する、路面干渉センサ。
【請求項2】
前記検知部は、前記絶縁体を覆う外層部材(25)を備え、
前記外層部材は、前記絶縁体よりも剛性が高い弾性部材で構成されている、請求項1に記載の路面干渉センサ。
【請求項3】
前記フロアパネルに対して前記路面側に配置される板状のプロテクタ部(281)と、
前記外力が前記プロテクタ部に加わった際に前記プロテクタ部を前記フロアパネルに近づく方向に変位させる変位部(282)と、を備え、
前記プロテクタ部は、前記絶縁体よりも剛性が高く、且つ、前記路面に対して重なり合う部位の面積が前記検知部よりも大きくなっており、
前記検知部は、前記プロテクタ部と前記フロアパネルとの間に配置され、前記外力によって前記プロテクタ部が前記フロアパネルに近づく方向に変位した際に前記プロテクタ部によって押圧される、請求項1に記載の路面干渉センサ。
【請求項4】
前記変位部は、前記プロテクタ部よりも剛性が低く、前記外力が作用した際に変形する変形部材(282)で構成されている、請求項3に記載の路面干渉センサ。
【請求項5】
前記変形部材は、前記プロテクタ部よりも厚みが薄くされた薄肉部(283a)を含み、前記薄肉部を起点に折れ曲がることで、前記フロアパネルに対して近づく方向に変形するバネ部(283)である、請求項4に記載の路面干渉センサ。
【請求項6】
前記変形部材は、前記プロテクタ部よりも剛性が低いクッション部(285)である、請求項4に記載の路面干渉センサ。
【請求項7】
複数の前記電極線は、電気的に接触しない状態で前記絶縁体の内面に沿って前記絶縁体の長手方向に螺旋状に配置されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【請求項8】
複数の前記電極線同士の接触の有無に応じた信号を出力する信号出力部(53)を備え、
前記信号出力部には、複数の前記検知部が電気的に直列に接続された直列接続体(SCB)が接続されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【請求項9】
前記検知部は、少なくとも2本の前記電極線が電気抵抗体(R)を介して接続されている、請求項8に記載の路面干渉センサ。
【請求項10】
複数の前記検知部の中から前記外力が検知されたものを特定する特定部(52)を備え、
少なくとも一部の前記検知部は、前記電気抵抗体の電気抵抗値が他の前記検知部とは異なっており、
前記特定部は、前記直列接続体からの出力に基づいて、複数の前記検知部の中から前記外力が検知されたものを特定する、請求項9に記載の路面干渉センサ。
【請求項11】
路面干渉の有無を判定する判定部(51)を備え、
前記車両には、前記検知部とは別に、前記路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部(GS)が設置されており、
前記判定部は、前記検知部の出力および前記物理量検知部の出力に基づいて、前記路面干渉の有無を判定する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【請求項12】
前記車両に加わる前記外力に応じた信号は、前記車両の通信ネットワークを介して外部へ出力される、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【請求項13】
前記フロアパネルの下方に設置される床下機器と前記路面との間に緩衝部材(CP)が配置されており、
前記検知部は、少なくとも一部が前記緩衝部材に埋設されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【請求項14】
前記床下機器は、複数の電池セル(C)を含んで構成される蓄電ユニット(BU)である、請求項13に記載の路面干渉センサ。
【請求項15】
前記検知部は、少なくとも一部が、2つ以上の前記電池セルと上下方向に重なり合うように配置されている、請求項14に記載の路面干渉センサ。
【請求項16】
監視システムであって、
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面干渉センサ(10)と、
車載機器(BP)の異常の有無を監視する監視センサ(112、113、114、115、116)を少なくとも1つ含む監視部(110)と、を備え、
前記監視部は、前記路面干渉センサのセンサ出力が入力され、前記センサ出力に応じて前記監視センサの動作を制御する、監視システム。
【請求項17】
前記路面干渉センサおよび前記監視部の一方では、前記路面干渉センサで検出される前記外力と所定閾値とを比較して前記車両に対して衝撃が加わったか否かを判定する、請求項16に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、路面干渉センサおよび監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバンパの内側に設置される衝突センサとして、柔軟に変形自在で中空なチューブ、チューブ内の空気の圧力変化を検知する圧力センサを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014-505629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、車両の路面干渉を検知するため、車両のフロアパネルの下方に特許文献1に記載の衝撃センサを設置することを検討したが、チューブの変形が局所的であると空気の圧力変化が小さく、充分な検知性能が得られ難いことが判った。
【0005】
本開示は、路面干渉を適切に検知可能な路面干渉センサおよび監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
路面干渉センサであって、
車両(V)のフロアパネル(FP)の下方に配置されて路面(RS)側から車両に加わる外力を検知する検知部(21)を備え、
検知部は、中空の絶縁体(22)および絶縁体の内面(22a)に配置される複数の電極線(23、24、26、27)を含み、複数の電極線同士の接触の有無に基づいて外力を検知する。
【0007】
特許文献1に記載の如く、チューブの変形に伴うチューブ内における空気の圧力変化を外力として検知する場合、チューブの変形が局所的であると空気の圧力変化が小さく適切に衝撃を適切に検知することが難しい。
【0008】
これに対して、絶縁体の変形に伴う複数の電極線同士の接触の有無に基づいて外力を検知する場合、絶縁体の変形が局所的であっても、複数の電極線が接触して短絡するので、路面側から車両に加わる外力を適切に検出することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の路面干渉センサを適用する車両の模式図である。
図2】電池パックの模式的な斜視図である。
図3】電池パックの内部を示す模式的な平面図である。
図4】路面干渉を説明するための説明図である。
図5】第1の技術的思想に係る路面干渉センサの概略構成図である。
図6】感圧センサの検知部を説明するための説明図である。
図7】検知部の模式的な断面図である。
図8】フロアパネル下方の床下構造を示す模式的な断面図である。
図9】路面干渉時の感圧センサの検知部を説明するための説明図である。
図10】検知部の直列接続体を説明するための説明図である。
図11】検知部の直列接続体の出力を説明するための説明図である。
図12】センサ制御部が実行する制御処理の概要を示すフローチャートである。
図13】参考例となる検知部の模式的な断面図である。
図14図13のXIV-XIV断面図である。
図15】参考例の検知部を曲げた際の内部状態を説明するための説明図である。
図16】参考例の検知部の特性を説明するための説明図である。
図17】実施形態の検知部を曲げた際の内部状態を説明するための説明図である。
図18】実施形態の検知部の特性を説明するための説明図である。
図19】検知部の他の例を示す模式的な断面図である。
図20】第1の技術的思想に係る路面干渉センサの第1変形例を示す概略構成図である。
図21】第1の技術的思想に係る路面干渉センサの第2変形例を示す概略構成図である。
図22】第1の技術的思想に係る路面干渉センサの第3変形例を示す概略構成図である。
図23】第1の技術的思想に係る路面干渉センサの第4変形例を示す概略構成図である。
図24】第5変形例に係る検知部の模式的な断面図である。
図25】第5変形例に係る感圧センサの概略構成を示す模式図である。
図26】プロテクタ部に外力が作用した際の検知部の状態を説明するための説明図である。
図27】第6変形例に係る感圧センサの概略構成を示す模式図である。
図28】プロテクタ部に外力が作用した際の検知部の状態を説明するための説明図である。
図29】第2の技術的思想に係る路面干渉センサの概略構成図である。
図30】衝撃センサを説明するための説明図である。
図31】フロアパネル下方の床下構造を示す模式的な断面図である。
図32】第1圧力センサを説明するための説明図である。
図33】チューブ内部を示す模式的な断面図である。
図34】センサ制御部が実行する制御処理の概要を示すフローチャートである。
図35】衝撃センサの他の例を示す模式的な断面図である。
図36】液圧センサの一例を示す模式的な断面図である。
図37】チューブ内部を示す模式的な断面図である。
図38】第2の技術的思想に係る路面干渉センサの第1変形例を示す概略構成図である。
図39】第2の技術的思想に係る路面干渉センサの第2変形例を示す概略構成図である。
図40】第2の技術的思想に係る路面干渉センサの第3変形例を示す概略構成図である。
図41】第2の技術的思想に係る路面干渉センサの第4変形例を示す概略構成図である。
図42】第2の技術的思想に係る路面干渉センサの第5変形例を示す概略構成図である。
図43】第3の技術的思想に係る路面干渉センサの概略構成図である。
図44】検知部の一部を示す模式的な斜視図である。
図45図44のXLV-XLV断面図である。
図46】フロアパネル下方の床下構造を示す模式的な断面図である。
図47】センサ制御部が実行する制御処理の概要を示すフローチャートである。
図48】第3の技術的思想に係る路面干渉センサの第1変形例を示す概略構成図である。
図49】第3の技術的思想に係る路面干渉センサの第2変形例を示す概略構成図である。
図50】第3の技術的思想に係る路面干渉センサの第3変形例を示す概略構成図である。
図51】フロアパネル下方の床下構造を示す模式的な断面図である。
図52】第3変形例に係る検知部の模式的な断面図である。
図53】外力が作用した際の検知部の状態を説明するための説明図である。
図54】検知部の他の例を示す模式的な断面図である。
図55】第4の技術的思想に係る監視システムの概略構成図である。
図56】監視システムが実行する監視処理の概要を示すフローチャートである。
図57】監視強化処理の変形例を説明するための説明図である。
図58】監視システムの変形例を示す概略構成図である。
図59】監視システムが実行する監視処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、複数の技術的思想に関する実施形態を開示する。以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0012】
[各技術的思想の共通事項]
本明細書で開示する複数の技術的思想それぞれの適用対象となる車両Vは共通している。このため、まず、本開示の路面干渉センサを適用する車両Vについて、図1図4を参照しつつ説明する。なお、図1等に示す上下、前後を示す矢印は、車両Vの上下方向Dvおよび前後方向Dhを示している。
【0013】
車両Vは、電気自動車またはハイブリッド自動車を想定している。図1に示すように、車両Vは、車体BD、駆動装置DS、電池パックBP、アンダパネルUP、前輪FT、後輪RTを備える。前輪FTは、車体BDの前後方向Dhの中央よりも前方に設けられている。後輪RTは、前後方向Dhの中央よりも後方に設けられている。
【0014】
車体BDは、その内側に、乗員が搭乗する搭乗空間と、搭乗空間の前方側にある前方収容空間と、搭乗空間の後方側にある後方収容空間とが形成されている。前方収容空間には、駆動装置DS等が収容されている。後方収容空間には、乗員の荷物等が収容される。車体BDは、フロアパネルFPを含む骨格フレームを備える。フロアパネルFPは、車体BDの床面を形成する部材である。
【0015】
駆動装置DSは、電動モータMTとPCUを含んでいる。電動モータMTは、前輪FTに機械的に接続されている。PCUは、電動モータMTおよび電池パックBPに電気的に接続されている。PCUは、例えば、インバータおよびコンバータを含んでいる。なお、PCUは、Power Control Unitの略称である。
【0016】
電池パックBPは、フロアパネルFPの下方に配置される“床下機器”の1つである。電池パックBPは、自身に蓄えられた電力をPCUに供給する。PCUは、電池パックBPから供給された電力を受けて電動モータMTを駆動する。電動モータMTは、PCUから供給される電力を用いて前輪FTを回転させる駆動力を発生する。
【0017】
具体的には、電池パックBPは、図2に示すように、収容ケースSCを含んでいる。収容ケースSCは、上方が開口するケース本体部SC1およびケース本体部SC1の開口を閉塞する蓋部SC2を備える。収容ケースSCは、例えば、ケース本体部SC1が金属材料で構成され、蓋部SC2が樹脂材料で構成されることで、軽量化が図られている。収容ケースSCの内側には、図3に示すように、電池管理装置BMS、蓄電ユニットBU等が配置されている。
【0018】
電池管理装置BMSは、プロセッサ、メモリ、I/O機器を含むコンピュータとして構成されている。電池管理装置BMSは、メモリに記憶されたプログラムに従って、蓄電ユニットBUの充放電制御、異常監視、温度制御等を含む各処理を実行する。電池管理装置BMSのメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
【0019】
蓄電ユニットBUは、複数の電池セルCが直列または並列に接続された組電池CSを複数含んでいる。組電池CSは、複数の電池セルCが所定の間隔をあけて列をなすように配置されている。組電池CSを構成する複数の電池セルCは、図示しない一対のエンドプレートで挟持された状態で拘束バンド等によって拘束されている。電池セルCは、リチウムイオン電池である。なお、電池セルCは、リチウムイオン電池以外の電池であってもよい。
【0020】
アンダパネルUPは、電池パックBPの下方側に配置されている。アンダパネルUPは、金属材料で構成されている。アンダパネルUPは、電池パックBPを含む床下機器を路面RS上の物体から保護するために設けられている。
【0021】
アンダパネルUPと電池パックBPの下面との間には隙間が形成されている。この隙間は、アンダパネルUPと電池パックBPとの隙間は、アンダパネルUPが上方に突き出るように変形した際に電池パックBPの下面に接する程度の狭い隙間に設定されている。この隙間には、弾性変形可能な緩衝部材CPが配置されている。緩衝部材CPは、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン等の発泡材で構成されている。
【0022】
[路面干渉]
車両Vは、例えば、図4の第1の事例や第2の事例に示すように、路面RSに輪止めWS、スピードブレーカSBの突起物が設置されている路面RSを走行する際、突起部への乗上げ、乗下げ、その後のバウンド等によって路面干渉が生ずることがある。また、車両Vは、例えば、図4の第3の事例や第4の事例に示すように、路面RSに縁石ES、ポットホールPH等の窪みがある路面RSを走行する際も路面干渉が生ずることがある。なお、本明細書における“路面干渉”には、上述の路面RS自体や路面RSに設置された物体と車両Vとの干渉だけでなく、路面RS上に落下した落石等の物体や飛び石等と車両Vとの干渉についても含まれる。
【0023】
車両Vの如く、電池パックBPがフロアパネルFPの下方側に設けられている場合、路面干渉による外力が衝撃となって電池パックBP等の床下機器に作用することがあり、床下機器の保護と観点で、路面干渉による車両Vへの衝撃を適切に検知することが望ましい。
【0024】
これに対して、本発明者らは、車両Vの路面干渉を検知するため、車両VのフロアパネルFPの下方に、特許文献1に記載の衝撃センサを設置することを検討した。この結果、特許文献1に記載の衝撃センサは、検知部であるチューブの変形が局所的であると空気の圧力変化が小さく、充分な検知性能が得られ難いことが判った。そして、本発明者らは、鋭意検討の末に、路面干渉を適切に検知可能な複数の技術的思想を案出した。以下、各技術的思想について説明する。
【0025】
[第1の技術的思想]
第1の技術的思想では、複数の電極線23、24の接触の有無を検知する感圧センサ20を含む路面干渉センサ10を用いて路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する。以下、第1の技術的思想の実施形態について図5図23を参照して説明する。
【0026】
図5に示すように、路面干渉センサ10は、感圧センサ20、センサ制御部50を備えている。路面干渉センサ10は、車両Vの通信ネットワークであるCANに接続されており、CANを介して、複数の電極線23、24の接触の有無に応じた信号が外部へ出力される。CANは、Controller Area Networkの略称である。
【0027】
感圧センサ20は、路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する検知部21を含んでいる。図6図7に示すように、検知部21は、中空の弾性体22、弾性体22の内面22aに配置される複数の電極線23、24、外層部材25を含み、複数の電極線23、24同士の接触の有無に基づいて車両Vに加わる外力を検知する。検知部21は、電池パックBPの下方において、電池セルCの並び方向Dstに直交する方向に沿って蛇行した態様で配置されている。
【0028】
弾性体22は、複数の電極線23、24を電気的に接触しない状態で螺旋状に保持固定するとともに、外力により容易に変形し、外力がなくなれば直ちに復元するものである。本技術的思想では、弾性体22が中空の“絶縁体”を構成している。弾性体22は、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の可撓性を有するゴム材料で構成されている。なお、弾性体22は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の可撓性を有するプラスチック材料で構成されていてもよい。
【0029】
弾性体22の内面22aには、複数の電極線23、24が保持されている。図6図7に示す例では、2の倍数となる数、すなわち、2本の電極線23、24が弾性体22の内面22aに保持されている。
【0030】
複数の電極線23、24は、金属導体231、241を含んでいる。この金属導体231、241は、可撓性および復元性を得るために、金属素線を複数本撚り合わせた金属撚線で構成されている。複数の電極線23、24は、可撓性および復元性を充分に得るために、金属導体231、241に加えて、金属導体231、241の外周を覆う外層232、242を含んでいる。外層232、242は、導電性を有するゴム層またはプラスチック層である。
【0031】
また、複数の電極線23、24は、曲げによる誤動作や断線を防止するため、電気的に接触しない状態で弾性体22の内面22aに沿って弾性体22の長手方向に螺旋状に配置されている。複数の電極線23、24は、一方向に巻かれた螺旋巻き構造でもよいし、途中で方向が反転する螺旋巻き構造になっていてもよい。
【0032】
複数の電極線23、24は、断面方向における任意の方向から外力が作用しても、電極線23、24同士が接触し易いように、弾性体22の内面22aから弾性体22の軸心に向かって突き出た状態で弾性体22の内面22aに埋設されている。
【0033】
各電極線23、24は、一方の線の一端部が定電圧源側に接続され、他方の線の一端部がグランド側に接続されている。各電極線23、24の他端部は、電圧調整用の電気抵抗体Rを介して電気的に接続されている。
【0034】
外層部材25は、検知部21においてプロテクタを構成する部材である。外層部材25は、弾性体22よりも剛性が高い弾性部材で構成されている。これにより、外層部材25は、弾性体22よりも変形し難くなっている。外層部材25は、弾性体22に加わる外力の大きさを考慮した所望の剛性に設定される。外層部材25は、剛性を調整するための金属製または樹脂製の芯材が含まれていてもよい。
【0035】
検知部21は、2つ以上の電池セルCと上下方向Dvに重なり合うように配置されている。本例の検知部21は、組電池CSの下方において、電池セルCの並び方向Dstに沿って延びるように配置されている。具体的には、検知部21は、図8に示すように、少なくとも一部が組電池CSとアンダパネルUPの間に設置される緩衝部材CPに埋設されている。検知部21は、緩衝部材CPに設けた埋設用の溝や切込みに埋設されていてもよいし、2つの緩衝部材CPによって挟持されるようになっていてもよい。なお、検知部21は、一部が緩衝部材CPの外側に露出した態様で緩衝部材CPに埋設されていてもよい。
【0036】
このように構成される検知部21は、各電極線23、24の他端部の間の電位差を、各電極線23、24の接触の有無を示す信号して出力する。検知部21は、車両Vのスタートスイッチがオンされて各電極線23、24の一方に定電圧源から電力が供給された状態で、外力によって各電極線23、24が接触すると、各電極線23、24の他端部の間の電位差が小さくなる。
【0037】
検知部21は、外力によって各電極線23、24が接触すると、例えば、図9に示すように、各電極線23、24が接触していない場合よりも低い電圧信号を出力する。検知部21は、各電極線23、24の一方が断線すると、各電極線23、24が接触していない場合よりも高い電圧信号を出力する。検知部21が出力する電圧信号は、センサ制御部50に出力される。
【0038】
ここで、車両Vに対して複数の組電池CSが搭載されている場合、路面干渉センサ10は、組電池CSと同数の検知部21が設けられていることが望ましい。例えば、4つの組電池CSが搭載されている場合、検知部21は、組電池CSと同数の4つ設けられていることが望ましい。なお、検知部21の数は、組電池CSと同数に限定されず、組電池CSの数とは異なる数であってもよい。
【0039】
一方、感圧センサ20が複数の検知部21を備えるセンサ構成になっていると、複数の検知部21それぞれに対応する数のIFポートを信号の出力先(本例では、センサ制御部50)に設ける必要がある。
【0040】
これらを考慮して、本例の感圧センサ20は、図10に示すように、複数の検知部21が電気的に直列に接続された直列接続体SCBとして構成されている。以下、説明の便宜上、直列接続体SCBを構成する複数の検知部21について、第1検知部21A、第2検知部21B、第3検知部21C、第4検知部21Dと呼ぶことがある。
【0041】
各検知部21A、21B、21C、21Dは、それぞれに設けられた電気抵抗体R1、R2、R3、R4の電気抵抗値が異なっている。電気抵抗体R1、R2、R3、R4の電気抵抗値は、各検知部21A、21B、21C、21Dで外力が検知された際の直列接続体SCBの出力に有意な差がつくように、それぞれ異なる値に設定されている。なお、各検知部21A、21B、21C、21Dの出力電圧は、電気抵抗体R1、R2、R3、R4の大小関係に比例したものとなる。
【0042】
このように構成される直列接続体SCBは、その両端の電位差を、各電極線23、24の接触の有無を示す信号して出力する。直列接続体SCBは、定電圧源から電力が供給された状態で、各検知部21A、21B、21C、21Dの中の少なくとも1つに外力が作用して各電極線23、24が接触すると、図11に示すように出力電圧が低下する。本例の直列接続体SCBは、電気抵抗体R1、R2、R3、R4の電気抵抗値が異なっており、外力を受けた検知部21A、21B、21C、21Dに応じて出力電圧の低下度合が異なっている。これにより、感圧センサ20は、複数の検知部21の中から外力が検知されたものを特定可能になっている。
【0043】
センサ制御部50は、プロセッサ、メモリ、通信部を含むI/O機器等を備えるコンピュータとして構成されている。センサ制御部50のI/O機器には、複数の検知部21を構成する直列接続体SCBが接続されている。また、センサ制御部50は、CANに接続されている。センサ制御部50は、CANを介して、電池管理装置BMS、加速度センサGS、上位制御機器UE、表示制御機器HMI等に接続されている。なお、センサ制御部50のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
【0044】
センサ制御部50は、メモリに記憶されたプログラムに従って、路面干渉の有無を判定する判定処理、外力を受けた箇所を特定する特定処理、複数の電極線23、24同士の接触の有無に応じた信号を外部に出力する出力処理等を含む各処理を実行する。
【0045】
センサ制御部50は、コンピュータ上に実現される機能構成として、判定部51、特定部52、信号出力部53を備える。判定部51は、路面干渉の有無を判定する機能構成である。特定部52は、複数の検知部21の中から外力が検知されたものを特定する機能構成である。信号出力部53は、複数の電極線23、24同士の接触の有無に応じた信号を出力する機能構成である。なお、各機能構成は、あくまで、本開示の内容の理解に資するために便宜的に設定した機能構成である。したがって、これらの機能構成が実際にサブルーチンあるいはハードウエアとして実現されていなくても、本開示の所定の機能あるいは処理が実現されていれば、本開示の要件は充足され得る。
【0046】
次に、センサ制御部50が実行する制御処理の一例について、図12を参照しつつ説明する。図12に示す制御処理は、例えば、車両Vの走行中に周期的または不定期にセンサ制御部50によって実行される。
【0047】
センサ制御部50は、ステップS100にて、感圧センサ20、加速度センサGS等が出力するセンサ信号を読み込む。センサ制御部50は、CANを介して加速度センサGSのセンサ出力を読み込む。
【0048】
ここで、加速度センサGSは、車両Vに設定され、車両Vの走行中等に生ずる振動や衝撃を検出するセンサである。加速度センサGSは、車両Vの床下機器の振動や衝撃を検出する専用品として構成されていてもよいし、車両Vの全体の振動や衝撃を検出する汎用品として構成されていてもよい。本技術的思想では、加速度センサGSが、検知部21とは別に、路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部を構成している。このことは、他の技術的思想においても同様である。
【0049】
続いて、センサ制御部50は、ステップS110にて、感圧センサ20を構成する検知部21の出力および加速度センサGSの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定する。センサ制御部50は、例えば、感圧センサ20を構成する検知部21の出力電圧が予め定めた路面干渉検知用の閾値電圧を下回り、且つ、加速度センサGSにて一定以上の上下方向Dvの加速度が検知された場合に、路面干渉が発生したと判定する。また、センサ制御部50は、検知部21の出力電圧が路面干渉検知用の閾値電圧以上、または、加速度センサGSにて一定以上の上下方向Dvの加速度が検知されなかった場合に、路面干渉が発生していないと判定する。この判定処理では、感圧センサ20の断線の有無についても判定するようになっていることが望ましい。
【0050】
続いて、センサ制御部50は、ステップS120にて、路面干渉の発生箇所を特定する。本例のセンサ制御部50は、複数の検知部21A、21B、21C、21Dの中から外力が検知されたものを特定する。センサ制御部50は、外力を受けた際の各検知部21A、21B、21C、21Dに応じて出力電圧の低下度合が異なることを利用し、複数の検知部21A、21B、21C、21Dの中から外力が検知されたものを特定する。
【0051】
ここで、ステップS120の処理は、路面干渉が検知されたことを前提としている。このため、センサ制御部50は、ステップS110で路面干渉が検知されなかった場合には、ステップS120の判定処理をスキップする。
【0052】
続いて、センサ制御部50は、路面干渉が検知された場合、そのことを示す路面干渉信号を、CANを介して電池管理装置BMS、上位制御機器UE、表示制御機器HMI等に出力する。電池管理装置BMSは、路面干渉が検知されると、例えば、組電池CSの異常診断を実施する。上位制御機器UEは、路面干渉が検知されると、例えば、自動ブレーキ等を作動させて車両Vの運転を制限する。表示制御機器HMIは、路面干渉が検知されると、例えば、外力を受けた箇所を表示したり、当該箇所の確認を促すメッセージを報知したりする。
【0053】
以上説明した路面干渉センサ10は、車両VのフロアパネルFPの下方に配置されて路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する検知部21を備える。この検知部21は、中空の弾性体22および弾性体22の内面22aに配置される複数の電極線23、24を含み、複数の電極線23、24同士の接触の有無に基づいて外力を検知する。
【0054】
特許文献1に記載の如く、チューブの変形に伴うチューブ内における空気の圧力変化を外力として検知する場合、チューブの変形が局所的であると空気の圧力変化が小さく適切に衝撃を適切に検知することが難しい。
【0055】
これに対して、弾性体22の変形に伴う複数の電極線23、24同士の接触の有無に基づいて外力を検知する場合、弾性体22の変形が局所的であっても、複数の電極線23、24が接触して短絡する。このため、本実施形態の路面干渉センサ10によれば、路面RS側から車両Vに加わる外力を適切に検出することができる。特に、本例の路面干渉センサ10は、特許文献1の如く、チューブの両端にある圧力センサを設置するスペースを確保する必要がないので、車両Vへの搭載性に優れる。
【0056】
また、本例の路面干渉センサ10は、以下の特徴を備える。
【0057】
(1)検知部21は、弾性体22を覆う外層部材25を備える。この外層部材25は、弾性体22よりも剛性が高い弾性部材で構成されている。このように、弾性体22を剛性の高い外層部材25で覆う構造とすれば、外層部材25によって弾性体22を保護しつつ、弾性体22に加わる外力の大きさを調整して路面干渉センサ10のセンサ感度の最適化を図ることができる。
【0058】
(2)図13図14に示すように、2つの電極線23、24は、電気的に接触しない状態で弾性体22の長手方向に沿って並行に配置することも可能である。但し、このような構造の検知部21は、例えば、図15に示すように、検知部21を曲げた際に、2つの電極線23、24同士が接触するといった誤作動が生ずる虞がある。また、検知部21は、例えば、図16に示すように、2つの電極線23、24の並び方向に直交する方向から加わる外力を検知し難い。
【0059】
これに対して、複数の電極線23、24は、電気的に接触しない状態で弾性体22の内面22aに沿って弾性体22の長手方向に螺旋状に配置されている。このような構造の検知部21は、例えば、図17に示すように、検知部21を曲げた際の誤動作が生じにくいとともに、曲げモーメント、引張り応力、圧縮応力に対する耐性を確保し易い。また、検知部21は、図18に示すように、様々な方向から作用する外力を検知することができる。
【0060】
(3)路面干渉センサ10は、複数の電極線23、24同士の接触の有無に応じた信号を出力する信号出力部53を備える。信号出力部53には、複数の検知部21が電気的に直列に接続された直列接続体SCBが接続されている。
【0061】
複数の検知部21を用いることで、車両Vにおける異なる箇所に作用する外力を検知することができるが、複数の検知部21それぞれに対応する数のIFポートを信号の出力先に設ける必要がある。
【0062】
これに対して、信号出力部53に、複数の検知部21が電気的に直列に接続された直列接続体SCBが接続されていれば、信号の出力先のIFポートの数を抑えつつ、車両Vにおける異なる箇所に作用する外力を検知することが可能となる。
【0063】
(4)検知部21は、少なくとも2本の電極線23、24が電気抵抗体Rを介して接続されている。これによると、複数の電極線23、24同士の接触した場合の出力と接触していない場合の出力との差を確保して、車両Vに作用する外力を適切に検出することが可能となる。
【0064】
(5)路面干渉センサ10は、複数の検知部21の中から外力が検知されたものを特定する特定部52を備える。少なくとも一部の検知部21は、電気抵抗体Rの電気抵抗値が他の検知部21とは異なっている。特定部52は、直列接続体SCBからの出力に基づいて、複数の検知部21の中から外力が検知されたものを特定する。このようになっていれば、車両Vにおける異なる箇所に作用する外力を検知することが可能となる。
【0065】
(6)路面干渉センサ10は、路面干渉の有無を判定する判定部51を備える。車両Vには、検知部21とは別に、路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部として加速度センサGSが設置されている。判定部51は、検知部21の出力および車両Vに設置された加速度センサGSの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定する。
【0066】
路面干渉によって車両Vに外力が作用する場合、車両Vに衝撃が加わることで、車両Vに設置された加速度センサGSの出力が変化する。このことを考慮すると、検知部21の出力に加えて車両Vに設置された加速度センサGSの出力に基づいて路面干渉の有無を判定するようになっていることが望ましい。これによれば、検知部21の出力だけで路面干渉の有無を判定する場合に比べて、検知部21の誤動作による路面干渉の誤検知が抑制されるので、路面干渉の判定精度の向上を図ることができる。
【0067】
(7)車両Vに加わる外力に応じた信号は、車両Vの通信ネットワークを介して外部へ出力される。これによると、信号の出力先のI/Oポートの数を抑えつつ、車両Vに作用する外力を検知することが可能となる。
【0068】
(8)フロアパネルFPの下方に設置される床下機器と路面RSとの間には、緩衝部材CPが配置されている。検知部21は、少なくとも一部が緩衝部材CPに埋設されている。このように、緩衝部材CPに検知部21の少なくとも一部が埋設されていれば、緩衝部材CPによって検知部21を保護しつつ、検知部21の弾性体22に加わる外力の大きさを調整して路面干渉センサ10のセンサ感度の最適化を図ることができる。
【0069】
(9)床下機器は、複数の電池セルCを含んで構成される蓄電ユニットBUである。これによると、路面干渉センサ10の出力に基づいて蓄電ユニットBUに加わる衝撃を把握することができるので、蓄電ユニットBUへの衝撃に起因して生ずる不具合に対する対策を実施し易くなる。
【0070】
(10)検知部21は、少なくとも一部が、2つ以上の電池セルCと上下方向Dvに重なり合うように配置されている。これによると、単一の検知部21によって複数の電池セルCへの衝撃を検知することができる。このことは、路面干渉センサ10のセンサ構成の簡素化に大きく寄与する。
【0071】
[検知部21の変形例]
検知部21は、弾性体22の内面22aに3以上となる数の電極線23、24が保持されていてもよい。例えば、図19に示すように、検知部21は、4つの電極線23、24、26、27が弾性体22の内面22aに保持されていてもよい。このように、弾性体22の内面22aに3以上となる数の電極線23、24が保持されていれば、弾性体22の断面の円周上の電極の数が増え、弾性体22の変形が小さくても電極同士が接触し易くなるので、センサ感度の向上を図ることができる。複数の電極線23、24は、シート状の金属線で構成されていてもよい。
【0072】
[センサ構成の変形例]
路面干渉センサ10は、上述の実施形態で示したものに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0073】
[第1変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図20に示すように、センサ制御部50が電池管理装置BMSの1つの機能構成として電池管理装置BMSと一体に構成されていてもよい。この場合、路面干渉センサ10は、検知部21からの信号をアナログ信号として電池管理装置BMSに出力するようになっていてもよい。なお、センサ制御部50は、電池管理装置BMSとは異なる制御装置と一体に構成されていてもよい。センサ制御部50は、必須ではなく、省略されていてもよい。
【0074】
[第2変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図21に示すように、複数の検知部21それぞれがセンサ制御部50に接続されるように構成されていてもよい。また、センサ制御部50は、電池管理装置BMSを介してCANに接続されていてもよい。なお、図21に示す路面干渉センサ10は、センサ制御部50が直接的にCANに接続されていてもよい。
【0075】
[第3変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図22に示すように、センサ制御部50が電池管理装置BMSと一体に構成されるとともに、当該電池管理装置BMSに対して複数の検知部21それぞれが接続されるように構成されていてもよい。
【0076】
[第4変形例]
加速度センサGSは、例えば、図23に示すように、路面干渉センサ10のセンサ制御部50に対して直接的に接続されていてもよい。なお、加速度センサGSは、電池管理装置BMS等の他の機器を介してCANに接続されていてもよい。
【0077】
[第5変形例]
検知部21は、例えば、図24に示すように、筒形状の外層部材25が省略されている。代わりに、感圧センサ20には、外力の検知範囲を拡大するための検知拡大部28が設けられている。
【0078】
本例の検知拡大部28は、図25に示すように、板状のプロテクタ部281、変形部282、変形部282を車両側に接続するための接続部284を備えている。本例の検知拡大部28は、樹脂材料によって構成されている。検知拡大部28のプロテクタ部281、変形部282、接続部284は、例えば、一体成形品として構成されている。
【0079】
プロテクタ部281は、フロアパネルFPに対して路面側に配置されている。プロテクタ部281は、弾性体22よりも剛性が高い弾性部材で構成されている。プロテクタ部281は、路面RSに対して重なり合う部位の面積が検知部21よりも大きくなっている。本例のプロテクタ部281は、例えば、電池セルCの下面の略全体を覆うことが可能な板幅を有している。図示しないが、感圧センサ20は、複数のプロテクタ部281が電池セルCの並び方向Dstに並んで配置されている。
【0080】
変形部282は、プロテクタ部281をフロアパネルFPに近づく方向に変位させる変位部を構成している。変形部282は、プロテクタ部281よりも剛性が低く、外力が作用した際に変形する変形部材である。変形部282は、プロテクタ部281の両端に設けられている。本例の変形部282は、フロアパネルFPに対して近づく方向に変形するバネ部283によって構成されている。バネ部283は、プロテクタ部281よりも厚みが薄くされた薄肉部283a、薄肉部283aに接続される一対の板部283b、283cを含んでいる。バネ部283は、薄肉部283aを含んでいることで、プロテクタ部281よりも剛性が低く、外力によって変形する。具体的には、バネ部283は、薄肉部283aを起点に折れ曲がることで、フロアパネルFPに対して近づく方向に変形する。一対の板部283b、283cの一方は、プロテクタ部281の板面に対して交差する姿勢でプロテクタ部281に接続されている。また、一対の板部283b、283cの他方は、プロテクタ部281の板面に対して交差する姿勢で接続部284に接続されている。
【0081】
接続部284は、変形部282を、電池パックBPの収容ケースSC等の車体側に接続するものである。接続部284は、プッシュリベット等によってフロアパネルFP等に接続されている。なお、接続部284は、接着剤等によって車体側に接続されていてもよい。また、接続部284は、車両の車体に対して接続されていてもよい。
【0082】
検知部21は、プロテクタ部281とフロアパネルFPとの間に配置されている。具体的には、検知部21は、プロテクタ部281における路面に相対する下面とは反対側の上面に配置されている。検知部21は、自身の位置が変化しないように、プロテクタ部281に対して接着剤等によって接続されている。なお、検知部21は、収容ケースSCに対して接続されていてもよいし、プロテクタ部281および収容ケースSCの双方に接続されていてもよい。本例では、検知部21が接着剤等によってプロテクタ部281に接続されることで検知部21の位置が規定されているが、これに限らず、検知部21は、ガイドやレール等の部材によって位置が規定されていてもよい。
【0083】
このように構成される感圧センサ20は、例えば、図26に示すように、外力によってプロテクタ部281がフロアパネルFPに近づく方向に変位した際に、プロテクタ部281によって押圧される。この際、検知部21の内側にて電極線23、24が接触することで外力が検知される。
【0084】
本例の感圧センサ20は、検知部21よりも面積の大きいプロテクタ部281を備えているので、検知部21から離れた位置に加わる外力についても検知することができる。すなわち、本例の感圧センサ20は、簡易な構造によって外力の検知範囲を拡大することができる。
【0085】
[第6変形例]
第5変形例で説明した検知拡大部28は、例えば、図27に示すように、変形部282が、プロテクタ部281よりも剛性が低いクッション部285によって構成されていてもよい。クッション部285は、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン等の発泡材で構成される。本例の検知拡大部28は、プロテクタ部281およびクッション部285を備え、両者が接着剤によって接合されている。検知拡大部28は、クッション部285のうちプロテクタ部281が接続される面とは反対側の面が車体側に接続されている。
【0086】
このように構成される感圧センサ20は、例えば、図28に示すように、外力によってプロテクタ部281がフロアパネルFPに近づく方向に変位した際に、プロテクタ部281によって押圧される。この際、検知部21の内側にて電極線23、24が接触することで外力が検知される。本例の感圧センサ20は、検知部21よりも面積の大きいプロテクタ部281を備えているので、第5変形例と同様に、検知部21から離れた位置に加わる外力についても検知することができる。
【0087】
[その他の変形例]
検知部21は、弾性体22が外層部材25で覆われていることが望ましいが、これに限定されない。検知部21は、例えば、外層部材25が省略されていてもよい。また、第5、第6変形例で説明した検知部21は、外層部材25が省略されているが、これに限定されない。検知部21は、例えば、プロテクタ部281と接触した際に変形する程度の剛性を有する外層部材25が設けられていてもよい。
【0088】
検知部21は、電気的に接触しない状態で弾性体22の内面22aに沿って弾性体22の長手方向に螺旋状に配置されていることが望ましいが、これに限定されない。検知部21は、例えば、2つの電極線23、24が電気的に接触しない状態で弾性体22の長手方向に沿って並行に配置されていてもよい。弾性体22は、絶縁体であればよく、可撓性や弾性を有していないものが採用されていてもよい。
【0089】
検知部21は、少なくとも2本の電極線23、24が電気抵抗体Rを介して接続されていることが望ましいが、これに限定されない。検知部21は、電気抵抗体Rが省略されていてもよい。
【0090】
路面干渉センサ10は、検知部21の出力および加速度センサGSの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定するようになっていることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。路面干渉センサ10は、例えば、検知部21の出力だけに基づいて、路面干渉の有無を判定するようになっていてもよい。また、路面干渉センサ10は、例えば、検知部21の出力および車両VのフロアパネルFPの下方に加わる圧力を検知する圧力センサの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定するようになっていてもよい。この場合は、圧力センサが、検知部21とは別に、路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部として機能する。このことは、他の技術的思想についても同様である。なお、物理量検知部は、路面干渉専用の専用品として構成されていてもよいし、車両Vの振動や衝撃を検出する汎用品として構成されていてもよい。
【0091】
路面干渉センサ10は、複数の検知部21の中から外力が検知されたものを特定する特定部52を備えていることが望ましいが、これに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、特定部52が省略されていてもよい。
【0092】
路面干渉センサ10は、路面干渉の有無を判定する判定部51を備えていることが望ましいが、これに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、判定部51が省略され、単に路面干渉によって車両Vに作用する外力を検知するようになっていてもよい。
【0093】
路面干渉センサ10は、複数の電極線23、24同士の接触の有無に応じた信号が、車両Vの通信ネットワーク以外の手段によって、外部へ出力されるようになっていてもよい。
【0094】
路面干渉センサ10は、検知部21が緩衝部材CPに埋設されていなくてもよい。また、検知部21は、少なくとも一部が、組電池CSを構成する電池セルCの並び方向Dstに沿って延びるように配置されていることが望ましいがこれに限定されない。検知部21は、組電池CSを構成する電池セルCの並び方向Dstに直交する方向に沿って延びるように配置されていてもよい。なお、検知部21は、電池セルCと上下方向Dvに重なり合わないように配置されていてもよい。
【0095】
路面干渉センサ10を適用する車両Vは、上述したもの限定されない。路面干渉センサ10は、内燃機関で駆動する車両V、アンダパネルUPが省略された車両V等にも適用可能である。なお、路面干渉センサ10は、蓄電ユニットBUに加わる衝撃を検知するようになっているが、蓄電ユニットBU以外の床下機器に加わる衝撃を検知するようになっていてもよい。なお、蓄電ユニットBUを構成する複数の電池セルCは、組電池CSとして拘束バンド等で拘束されているが、そのようになっていなくてもよい。
【0096】
[第2の技術的思想]
第2の技術的思想では、衝撃センサ30を含む路面干渉センサ10を用いて路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する。以下、第2の技術的思想の実施形態について図29図42を参照して説明する。
【0097】
図29に示すように、路面干渉センサ10は、衝撃センサ30、センサ制御部60を備えている。路面干渉センサ10は、車両Vの通信ネットワークであるCANに接続されており、CANを介して、圧力センサからの信号が外部へ出力される。
【0098】
衝撃センサ30は、路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する検知部31を含んでいる。図29図30に示すように、検知部31は、可撓性を有する中空のチューブ32、第1圧力センサ33、第2圧力センサ34を含み、チューブ32の内側における圧力変化に基づいて車両Vに加わる外力を検知する。
【0099】
チューブ32は、断面が略円環形状とされた細長い円環チューブで構成されている。チューブ32は、可撓性を有するゴム材料であるシリコーンゴムによって構成されている。チューブ32は、例えば、組電池CSにおける電池セルCの並び方向Dstの寸法に、組電池CSの数を乗じた値以上の長さに設定されている。
【0100】
検知部31は、2つ以上の電池セルCと上下方向Dvに重なり合うように配置されている。本例の検知部31は、少なくともチューブ32が、組電池CSの下方において、電池セルCの並び方向Dstに沿って延びるように配置されている。チューブ32は、電池パックBPの下方において、並び方向Dstに直交する方向に沿って蛇行した態様で配置されている。
【0101】
具体的には、チューブ32は、図31に示すように、少なくとも一部が組電池CSと緩衝部材CPに埋設されている。検知部31は、緩衝部材CPに設けた埋設用の溝や切込みに埋設されていてもよいし、2つの緩衝部材CPによって挟持されるようになっていてもよい。なお、検知部31は、一部が緩衝部材CPの外側に露出した態様で緩衝部材CPに埋設されていてもよい。
【0102】
図30に示すように、チューブ32は、一端部に第1圧力センサ33が接続され、他端部に第2圧力センサ34が接続されている。第1圧力センサ33および第2圧力センサ34は、チューブ32の内側の圧力を検知するセンサである。第1圧力センサ33および第2圧力センサ34は、チューブ32の内側の空気圧を検知する空気圧センサで構成されている。
【0103】
図30図32に示すように、第1圧力センサ33は、ケース331、ターミナル332、センサ素子333、回路基板334を備える。なお、第2圧力センサ34は、第1圧力センサ33と略同等のセンサ構成になっている。このため、以下では、第1圧力センサ33について説明し、第2圧力センサ34についての説明を省略する。
【0104】
ケース331は、ケース本体331a、ケース本体331aとともにセンサ素子333および回路基板334の収容空間を形成するケース蓋331bを含んでいる。ケース本体331aは、センサ素子333および回路基板334が配置される基板配置部331c、チューブ32の一端部が接続される接続ポート331d、ターミナル332が収容されたコネクタ部331eを含んでいる。接続ポート331dには、チューブ32の内側の圧力をセンサ素子333に導く圧力導入孔331fが形成されている。この圧力導入孔331fは、センサ素子333および回路基板334が収容される空間に連通している。
【0105】
ターミナル332は、センサ素子333で検知されたセンサ信号を外部に出力するものである。ターミナル332は、例えば、インサート成形によってケース本体331aと一体に成形されることにより、ケース本体331aに支持されている。
【0106】
センサ素子333は、チューブ32の内側の圧力を受けるダイヤフラムを有する半導体素子を含む構成とされている。センサ素子333は、回路基板334とともに、ケース331におけるチューブ32の内側に連通する空間に配置されている。センサ素子333は、回路基板334上に配置されている。
【0107】
回路基板334は、センサ素子333で検知されたセンサ信号に対して増幅処理等を行う信号処理回路が形成された基板である。回路基板334は、はんだ等の導電性部材を介してターミナル332に電気的に接続されている。
【0108】
検知部31は、路面干渉が発生してアンダパネルUPとともに緩衝部材CPが変形すると、当該緩衝部材CPの変形によって、チューブ32がフロアパネルFP側に押し付けられて変形する。この際、チューブ32の変形にともなう圧力変化が第1圧力センサ33および第2圧力センサ34で検知される。例えば、第1圧力センサ33では、チューブ32の内側の圧力変化がセンサ素子333で検知されると、チューブ32の内側の圧力変化に対応する信号がセンサ素子333から出力される。そして、センサ素子333から出力される信号が回路基板334で所定の処理が行われた後、ターミナル332を介して外部へ出力される。
【0109】
ここで、チューブ32には、圧力伝達媒体として空気等の気体を充填することが考えられるが、チューブ32に対して外力が局所的に作用すると、空気の圧力変化が小さく、車両Vに加わる衝撃を衝撃センサ30で適切に検知することが難しい。特に、電池パックBP等の如く大型な車載機器に衝撃センサ30を適用する場合、チューブ32の長さが大きくなることで、外力に対する空気の圧力変化が小さく、車両Vに加わる衝撃を衝撃センサ30で適切に検知することが難しい。
【0110】
このことを考慮し、チューブ32には、図33に示すように、空気等の気体に加えて、液体LQが圧力伝達媒体として充填されている。チューブ32に対して非圧縮性流体である液体LQを充填すれば、チューブ32の変形に対するチューブ32の圧力変化を大きくすることができる。
【0111】
チューブ32への液体LQの充填量については、衝撃センサ30に求められる感度に応じて決定される。液体LQの充填量は、例えば、各圧力センサ33、34の内部へ液体LQが流入し難いように、予め想定されるチューブ32の最大変形量以下とされている。また、液体LQの流入による各圧力センサ33、34の絶縁性低下を避けるため、液体LQは、電気絶縁性を有する絶縁性液体が用いられている。さらに、液体LQは、車両Vの使用温度範囲内において凍結しないもの(すなわち、不凍液体)が採用されている。
【0112】
ここで、シリコーン製のチューブ32に、液体LQとしてシリコーンオイルを充填する場合、シリコーンオイルによってチューブ32が膨潤し、その特性が変化してしまうことがある。液体LQの充填によってチューブ32の特性が変化することは、路面干渉センサ10の感度に影響する可能性がある。このため、液体LQは、チューブ32の特性への影響が小さいものを採用することが望ましい。本例の如く、シリコーン製のチューブ32を用いる場合、液体LQは、例えば、フッ素系オイルを採用することができる。なお、液体LQは、チューブ32の特性への影響が小さいものであれば、フッ素系オイル以外のものが採用されていてもよい。
【0113】
センサ制御部60は、プロセッサ、メモリ、通信部を含むI/O機器等を備えるコンピュータとして構成されている。センサ制御部60のI/O機器には、第1圧力センサ33、第2圧力センサ34が接続されている。また、センサ制御部60は、CANに接続されている。センサ制御部60は、CANを介して、電池管理装置BMS、加速度センサGS、上位制御機器UE、表示制御機器HMI等に接続されている。なお、センサ制御部60のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
【0114】
センサ制御部60は、メモリに記憶されたプログラムに従って、路面干渉の有無を判定する判定処理、外力を受けた箇所を特定する特定処理、チューブ32の内側の圧力変化に応じた信号を外部に出力する出力処理等を含む各処理を実行する。
【0115】
センサ制御部60は、コンピュータ上に実現される機能構成として、判定部61、特定部62、信号出力部63を備える。判定部61は、路面干渉の有無を判定する機能構成である。特定部62は、チューブ32において外力が作用した箇所を特定する機能構成である。信号出力部63は、各圧力センサ33、34で検知されるチューブ32の内側の圧力変化に応じた信号を出力する機能構成である。なお、各機能構成は、あくまで、本開示の内容の理解に資するために便宜的に設定した機能構成である。したがって、これらの機能構成が実際にサブルーチンあるいはハードウエアとして実現されていなくても、本開示の所定の機能あるいは処理が実現されていれば、本開示の要件は充足され得る。
【0116】
次に、センサ制御部60が実行する制御処理の一例について、図34を参照しつつ説明する。図34に示す制御処理は、例えば、車両Vの走行中に周期的または不定期にセンサ制御部60によって実行される。
【0117】
センサ制御部60は、ステップS200にて、各圧力センサ33、34、加速度センサGS等が出力するセンサ信号を読み込む。センサ制御部50は、CANを介して加速度センサGSのセンサ出力を読み込む。
【0118】
続いて、センサ制御部60は、ステップS210にて、各圧力センサ33、34の出力および加速度センサGSの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定する。センサ制御部50は、例えば、各圧力センサ33、34の少なくとも一方の検知圧力が予め定めた路面干渉検知用の閾値圧力を上回り、且つ、加速度センサGSにて一定以上の上下方向Dvの加速度が検知された場合に、路面干渉が発生したと判定する。また、センサ制御部50は、各圧力センサ33、34の両方の検知圧力が予め定めた閾値圧力以下、または、加速度センサGSにて一定以上の上下方向Dvの加速度が検知されなかった場合に、路面干渉が発生していないと判定する。
【0119】
続いて、センサ制御部60は、ステップS220にて、路面干渉の発生箇所を特定する。本例のセンサ制御部60は、各圧力センサ33、34での圧力検知のタイムラグに基づいてチューブ32における外力が作用した箇所を特定する。センサ制御部60は、例えば、各圧力センサ33、34のうち一方のセンサが他方のセンサに比べて圧力の検知タイミングが早い場合、チューブ32における他方のセンサよりも一方のセンサに近い側を外力が作用した箇所として特定する。
【0120】
ここで、ステップS220の処理は、路面干渉が検知されたことを前提としている。このため、センサ制御部60は、ステップS210で路面干渉が検知されなかった場合には、ステップS220の判定処理をスキップする。
【0121】
続いて、センサ制御部60は、路面干渉が検知された場合、そのことを示す路面干渉信号を、CANを介して電池管理装置BMS、上位制御機器UE、表示制御機器HMI等に出力する。電池管理装置BMSは、路面干渉が検知されると、例えば、組電池CSの異常診断を実施する。上位制御機器UEは、路面干渉が検知されると、例えば、自動ブレーキ等を作動させて車両Vの運転を制限する。表示制御機器HMIは、路面干渉が検知されると、例えば、外力を受けた箇所を表示したり、当該箇所の確認を促すメッセージを報知したりする。
【0122】
以上説明した路面干渉センサ10は、車両VのフロアパネルFPの下方に配置されて路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する検知部31を備える。この検知部31は、可撓性を有する中空のチューブ32およびチューブ32の内側の圧力を検知する各圧力センサ33、34を含み、チューブ32の内側には圧力伝達媒体として液体LQが封入されている。
【0123】
このように、チューブ32の内側に液体LQが封入されていれば、チューブ32の内側の空気が減るので、チューブ32の変形が局所的であっても、路面RS側から車両Vに加わる外力を適切に検出することができる。
【0124】
特に、本例の路面干渉センサ10は、チューブ32の内側の圧力変化を第1圧力センサ33および第2圧力センサ34で検知するといった冗長なセンサ構成になっている。これによれば、第1圧力センサ33および第2圧力センサ34の一方が故障したとしても、路面干渉の有無を判定することができる。
【0125】
また、本例の路面干渉センサ10は、以下の特徴を備える。
【0126】
(1)液体LQは、電気絶縁性を有する絶縁性流体である。これによると、チューブ32の内側に液体を封入することに伴う路面干渉センサ10の絶縁性低下を回避することができる。
【0127】
(2)路面干渉センサ10は、路面干渉の有無を判定する判定部61を備える。車両Vには、検知部31とは別に、路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部として加速度センサGSが設置されている。判定部61は、検知部31の出力および加速度センサGSの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定する。これによれば、検知部31の出力だけで路面干渉の有無を判定する場合に比べて、検知部31の誤動作による路面干渉の誤検知が抑制されるので、路面干渉の判定精度の向上を図ることができる。
【0128】
(3)車両Vに加わる外力に応じた信号は、車両Vの通信ネットワークを介して外部へ出力される。これによると、信号の出力先のI/Oポートの数を抑えつつ、車両Vに作用する外力を検知することが可能となる。
【0129】
(4)フロアパネルFPの下方に設置される床下機器と路面RSとの間には、緩衝部材CPが配置されている。検知部31は、少なくとも一部が緩衝部材CPに埋設されている。このように、緩衝部材CPに検知部31の少なくとも一部が埋設されていれば、緩衝部材CPによって検知部31を保護しつつ、検知部31のチューブ32に加わる外力の大きさを調整して路面干渉センサ10のセンサ感度の最適化を図ることができる。
【0130】
(5)床下機器は、複数の電池セルCを含んで構成される蓄電ユニットBUである。これによると、路面干渉センサ10の出力に基づいて蓄電ユニットBUに加わる衝撃を把握することができるので、組電池CSへの衝撃に起因して生ずる不具合に対する対策を実施し易くなる。
【0131】
(6)検知部31は、少なくとも一部が、2つ以上の電池セルCと上下方向Dvに重なり合うように配置されている。これによると、単一の検知部31によって複数の電池セルCへの衝撃を検知することができる。このことは、路面干渉センサ10のセンサ構成の簡素化に大きく寄与する。
【0132】
[各圧力センサ33A、34Aの変形例]
各圧力センサ33A、34Aの変形例について、図35図37を参照しつつ説明する。各圧力センサ33A、34Aは、チューブ32に封入した液体LQに対する耐性を有する液圧センサで構成されている。
【0133】
第1圧力センサ33Aは、図35図36に示すように、ケース335、ターミナル332、センサ素子333、回路基板334を備える。なお、第2圧力センサ34Aは、第1圧力センサ33Aと略同等のセンサ構成になっている。このため、以下では、第1圧力センサ33Aについて説明し、第2圧力センサ34Aについての説明を省略する。
【0134】
ケース335は、センサ素子333および回路基板334が配置される基板配置部335a、圧力導入孔335bが形成された接続ポート335c、ターミナル332を含むコネクタ部335dを備える。基板配置部335aは、コネクタ部335dとともに、センサ素子333および回路基板334の収容空間を形成している。基板配置部335aは、コネクタ部335dとは反対側に接続ポート335cが接続されている。接続ポート335cは、チューブ32の内側と連通する有底の圧力導入孔335bが形成されている。接続ポート335cは、圧力導入孔335bの底部に薄肉のダイヤフラム部335eが形成されている。ダイヤフラム部335eには、圧力導入孔335bとは反対側にセンサ素子333が配置されている。センサ素子333は、チューブ32の内側の圧力変化によってダイヤフラム部335eが変形すると、ダイヤフラム部335eの変形量に応じた信号を出力する。
【0135】
上記構成の第1圧力センサ33Aは、センサ素子333および回路基板334の収容空間と圧力導入孔335bが、ダイヤフラム部335eによって隔てられている。これにより、第1圧力センサ33Aは、チューブ32に封入した液体LQに対する耐性が確保されている。これによれば、チューブ32の内側に液体LQを封入することに伴う路面干渉センサ10の絶縁性低下を回避することができる。
【0136】
また、本例の各圧力センサ33A、34Aは、チューブ32に封入した液体LQに対する耐性が確保されているので、例えば、図37に示すように、チューブ32の内側に液体LQだけを充填することも可能である。
【0137】
[センサ構成の変形例]
路面干渉センサ10は、上述の実施形態で示したものに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0138】
[第1変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図38に示すように、各圧力センサ33、34が独立して機能するように、チューブ32の一部が閉塞部材35によって閉塞されていてもよい。これによると、閉塞部材35によってチューブ32が2つに分割されることで、各圧力センサ33、34における圧力変化に対する感度を高めることができる。
【0139】
[第2変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図39に示すように、複数の検知部31によって路面干渉によって車両Vに加わる外力を検知するようになっていてもよい。図39に示す例では、複数の検知部31が異なる組電池CSを検知対象としているが、共通の組電池CSを検知対象とするようになっていてもよい。
【0140】
[第3変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図40に示すように、検知部31が、ループ状に構成されたチューブ32に対して第1圧力センサ33だけが接続される構成になっていてもよい。なお、図40に示す例では、チューブ32がループ状になっているが、そのようになっていなくてもよい。
【0141】
[第4変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図41に示すように、センサ制御部60が電池管理装置BMSの1つの機能構成として電池管理装置BMSと一体に構成されていてもよい。この場合、路面干渉センサ10は、検知部31からの信号をアナログ信号またはデジタル信号として電池管理装置BMSに出力するようになっていてもよい。なお、センサ制御部60は、電池管理装置BMSとは異なる制御装置と一体に構成されていてもよい。センサ制御部60は、必須ではなく、省略されていてもよい。
【0142】
[第5変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図42に示すように、センサ制御部60が電池管理装置BMSとは別体で構成され、センサ制御部60が電池管理装置BMSを介してCANに接続されていてもよい。
【0143】
図示しないが、加速度センサGSは、例えば、路面干渉センサ10のセンサ制御部60に対して直接的に接続されていてもよいし、電池管理装置BMS等の他の機器を介してCANに接続されていてもよい。
【0144】
[その他の変形例]
衝撃センサ30に用いる各圧力センサ33、34は、一例である。各圧力センサ33、34は、上述したものと一部が異なっていてもよい。このことは、変形例で示した各圧力センサ33A、34Aについても同様である。
【0145】
液体LQは、絶縁性流体を採用することが望ましいが、これに限定されない。例えば、各圧力センサ33、34において絶縁性が確保されていれば、液体LQは、導電性を有する流体(例えば、水溶性の液体)が採用されていてもよい。
【0146】
路面干渉センサ10は、路面干渉の発生箇所を特定する特定部62を備えていることが望ましいが、これに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、特定部62が省略されていてもよい。
【0147】
路面干渉センサ10は、路面干渉の有無を判定する判定部61を備えていることが望ましいが、これに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、判定部61が省略され、単に路面干渉によって車両Vに作用する外力を検知するようになっていてもよい。
【0148】
路面干渉センサ10は、検知部31が緩衝部材CPに埋設されていなくてもよい。また、検知部31は、少なくとも一部が、組電池CSを構成する電池セルCの並び方向Dstに沿って延びるように配置されていることが望ましいがこれに限定されない。検知部31は、組電池CSを構成する電池セルCの並び方向Dstに直交する方向に沿って延びるように配置されていてもよい。なお、検知部31は、電池セルCと上下方向Dvに重なり合わないように配置されていてもよい。
【0149】
路面干渉センサ10を適用する車両Vは、上述したもの限定されない。路面干渉センサ10は、内燃機関で駆動する車両V、アンダパネルUPが省略された車両V等にも適用可能である。なお、路面干渉センサ10は、蓄電ユニットBUに加わる衝撃を検知するようになっているが、蓄電ユニットBU以外の床下機器に加わる衝撃を検知するようになっていてもよい。また、蓄電ユニットBUを構成する複数の電池セルCは、組電池CSとして拘束バンド等で拘束されているが、そのようになっていなくてもよい。
【0150】
[第3の技術的思想]
第3の技術的思想では、第1電極シート413と第2電極シート414の接触の有無を検知する接触センサ40を含む路面干渉センサ10を用いて路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する。以下、第3の技術的思想の実施形態について図43図49を参照して説明する。
【0151】
図43に示すように、路面干渉センサ10は、複数の接触センサ40、センサ制御部70を備えている。具体的には、路面干渉センサ10は、組電池CSと同数の検知部41が設けられている。路面干渉センサ10は、車両Vの通信ネットワークであるCANに接続されており、CANを介して、後述の第1電極シート413と第2電極シート414の接触の有無に応じた信号が外部へ出力される。
【0152】
接触センサ40は、路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する複数の検知部41を含んでいる。複数の検知部41それぞれは、同様に構成されている。以下では、複数の検知部41の中の代表的な1つを詳細に説明し、その他についての説明を省略する。
【0153】
図44に示すように、検知部41は、複数の接触スイッチ42、接触スイッチ42を隣接する接触スイッチ42またはセンサ制御部70に接続する導通部43を有する。検知部41は、導通部43を介して複数の接触スイッチ42が電気的に並列となるように接続されている。検知部41は、接触スイッチ42を構成する部位が円形状とされ、導通部43を構成する部位が矩形形状とされている。
【0154】
具体的には、図45に示すように、検知部41は、シート状に構成されている。検知部41は、第1外層シート411、第2外層シート412、第1電極シート413、第2電極シート414、スペーサ415を備える。検知部41は、第1外層シート411、第1電極シート413、スペーサ415、第2電極シート414、第2外層シート412の順に積層された積層体として構成されている。
【0155】
第1外層シート411および第2外層シート412は、電気絶縁性を有する薄膜状の樹脂材料で構成されている。第1外層シート411および第2外層シート412は、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂等で構成されている。
【0156】
第1電極シート413および第2電極シート414は、薄膜状の導電材料で構成されている。第1電極シート413および第2電極シート414は、例えば、銀層をカーボン層で被覆したもので構成されている。第1電極シート413および第2電極シート414は、互いに対向するように、第1外層シート411および第2外層シート412に接着されている。
【0157】
第1電極シート413は、第1外層シート411における第2外層シート412に対向する内面に接着されている。第2電極シート414は、第2外層シート412における第1外層シート411に対向する内面に接着されている。
【0158】
スペーサ415は、電気絶縁性を有する薄膜状の樹脂材料で構成されている。スペーサ415は、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂等で構成されている。スペーサ415は、接触スイッチ42を構成する部位に貫通孔416が形成されている。これにより、接触スイッチ42を構成する部位では、第1電極シート413と第2電極シート414とが直に接触可能になっている。
【0159】
検知部41は、2つ以上の電池セルCと上下方向Dvに重なり合うように配置されている。本例の検知部41は、組電池CSの下方において、電池セルCの並び方向Dstに沿って延びるように配置されている。検知部41は、ケース本体部SC1の底部とアンダパネルUPとの隙間に配置し易いように、その厚み方向が上下方向Dvとなる姿勢で配置されている。換言すれば、第1電極シート413と第2電極シート414とが対向する方向を電極対向方向としたとき、検知部41は、フロアパネルFPの下方に設置される床下機器と路面RSとの間に、電極対向方向が床下機器の下面と交差する姿勢で配置されている。なお、電極対向方向は、検知部41の厚み方向に一致する方向である。
【0160】
具体的には、検知部41は、図46に示すように、少なくとも一部が組電池CSと緩衝部材CPに埋設されている。検知部41は、緩衝部材CPに設けた埋設用の溝や切込みに埋設されていてもよいし、2つの緩衝部材CPによって挟持されるようになっていてもよい。なお、検知部41は、一部が緩衝部材CPの外側に露出した態様で緩衝部材CPに埋設されていてもよい。
【0161】
このように構成される検知部41は、接触スイッチ42を構成する第1電極シート413と第2電極シート414の間の電位差を、各電極シート413、414の接触の有無を示す信号して出力する。検知部41は、各電極シート413、414の一方に定電圧源から電力が供給された状態で、外力によって接触スイッチ42を構成する各電極シート413、414が接触すると、各電極シート413、414の電位差が小さくなる。これにより、接触センサ40は、接触スイッチ42における各電極シート413、414の接触の有無によって外力を検知可能になっている。
【0162】
センサ制御部70は、プロセッサ、メモリ、通信部を含むI/O機器等を備えるコンピュータとして構成されている。センサ制御部70のI/O機器には、複数の検知部41が接続されている。また、センサ制御部70は、CANに接続されている。センサ制御部70は、CANを介して、電池管理装置BMS、加速度センサGS、上位制御機器UE、表示制御機器HMI等に接続されている。なお、センサ制御部70のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
【0163】
センサ制御部70は、メモリに記憶されたプログラムに従って、路面干渉の有無を判定する判定処理、外力を受けた箇所を特定する特定処理、各電極シート413、414同士の接触の有無に応じた信号を外部に出力する出力処理等を含む各処理を実行する。
【0164】
センサ制御部70は、コンピュータ上に実現される機能構成として、判定部71、特定部72、信号出力部73を備える。判定部71は、路面干渉の有無を判定する機能構成である。特定部72は、路面干渉が発生した箇所を特定する機能構成である。信号出力部73は、各電極シート413、414同士の接触の有無に応じた信号を出力する機能構成である。なお、各機能構成は、あくまで、本開示の内容の理解に資するために便宜的に設定した機能構成である。したがって、これらの機能構成が実際にサブルーチンあるいはハードウエアとして実現されていなくても、本開示の所定の機能あるいは処理が実現されていれば、本開示の要件は充足され得る。
【0165】
次に、センサ制御部70が実行する制御処理の一例について、図47を参照しつつ説明する。図47に示す制御処理は、例えば、車両Vの走行中に周期的または不定期にセンサ制御部70によって実行される。
【0166】
センサ制御部70は、ステップS300にて、接触センサ40、加速度センサGS等が出力するセンサ信号を読み込む。センサ制御部70は、CANを介して加速度センサGSのセンサ出力を読み込む。
【0167】
続いて、センサ制御部70は、ステップS310にて、接触センサ40を構成する複数の検知部41の出力および加速度センサGSの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定する。センサ制御部70は、例えば、複数の検知部41の少なくとも1つの出力電圧が予め定めた路面干渉検知用の閾値電圧を下回り、且つ、加速度センサGSにて一定以上の上下方向Dvの加速度が検知された場合に、路面干渉が発生したと判定する。また、センサ制御部70は、複数の検知部41それぞれの出力電圧が路面干渉検知用の閾値電圧以上、または、加速度センサGSにて一定以上の上下方向Dvの加速度が検知されなかった場合に、路面干渉が発生していないと判定する。
【0168】
続いて、センサ制御部70は、ステップS320にて、複数の検知部41の中から外力が検知されたものを特定する。センサ制御部70は、外力を受けた検知部41の出力電圧が低下することを利用し、各検知部41の出力電圧に基づいて、複数の検知部41の中から外力が検知されたものを特定する。
【0169】
ここで、ステップS320の処理は、路面干渉が検知されたことを前提としている。このため、センサ制御部70は、ステップS310で路面干渉が検知されなかった場合には、ステップS320の判定処理をスキップする。
【0170】
続いて、センサ制御部70は、路面干渉が検知された場合、そのことを示す路面干渉信号を、CANを介して電池管理装置BMS、上位制御機器UE、表示制御機器HMI等に出力する。電池管理装置BMSは、路面干渉が検知されると、例えば、組電池CSの異常診断を実施する。上位制御機器UEは、路面干渉が検知されると、例えば、自動ブレーキ等を作動させて車両Vの運転を制限する。表示制御機器HMIは、路面干渉が検知されると、例えば、外力を受けた箇所を表示したり、当該箇所の確認を促すメッセージを報知したりする。
【0171】
以上説明した路面干渉センサ10は、車両VのフロアパネルFPの下方に配置されて路面RS側から車両Vに加わる外力を検知する検知部41を備える。検知部41は、第1電極シート413および第1電極シート413に対して所定の隙間をあけて対向して配置される第2電極シート414を有するシート状の接触スイッチ42を有する。検知部41は、接触スイッチ42の第1電極シート413および第2電極シート414の接触の有無に基づいて車両Vに加わる外力を検知する。
【0172】
特許文献1に記載の如く、チューブの変形に伴うチューブ内における空気の圧力変化を外力として検知する場合、チューブの変形が局所的であると空気の圧力変化が小さく適切に衝撃を適切に検知することが難しい。
【0173】
これに対して、各電極シート413、414の接触の有無に基づいて外力を検知する場合、外力が局所的に作用する場合であっても、路面RS側から車両Vに加わる外力を適切に検出することができる。特に、本例の路面干渉センサ10は、特許文献1の如く、チューブの両端にある圧力センサを設置するスペースを確保する必要がないので、車両Vへの搭載性に優れる。
【0174】
また、本例の路面干渉センサ10は、以下の特徴を備える。
【0175】
(1)第1電極シート413と第2電極シート414とが対向する方向を電極対向方向としたとき、検知部41は、フロアパネルFPの下方に設置される床下機器と路面RSとの間に、電極対向方向が床下機器の下面と交差する姿勢で配置されている。これによると、床下機器と路面RSの間に第1電極シート413と第2電極シート414とが重なり合った状態で配置されることになる。このため、路面RS側から床下機器に向かって作用する外力を適切に検知することができる。
【0176】
(2)フロアパネルFPの下方に設置される床下機器と路面RSとの間には、緩衝部材CPが配置されている。検知部41は、少なくとも一部が緩衝部材CPに埋設されている。このように、緩衝部材CPに検知部41の少なくとも一部が埋設されていれば、緩衝部材CPによって検知部41を保護しつつ、検知部41の接触スイッチ42に加わる外力の大きさを調整して路面干渉センサ10のセンサ感度の最適化を図ることができる。
【0177】
(3)路面干渉センサ10は、路面干渉の有無を判定する判定部71を備える。車両Vには、検知部41とは別に、路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部として加速度センサGSが設置されている。判定部71は、検知部41の出力および車両Vに設置された加速度センサGSの出力に基づいて、路面干渉の有無を判定する。これによれば、検知部41の出力だけで路面干渉の有無を判定する場合に比べて、検知部41の誤動作による路面干渉の誤検知が抑制されるので、路面干渉の判定精度の向上を図ることができる。
【0178】
(4)車両Vに加わる外力に応じた信号は、車両Vの通信ネットワークを介して外部へ出力される。これによると、信号の出力先のI/Oポートの数を抑えつつ、車両Vに作用する外力を検知することが可能となる。
【0179】
(5)床下機器は、複数の電池セルCを含んで構成される蓄電ユニットBUである。これによると、路面干渉センサ10の出力に基づいて蓄電ユニットBUに加わる衝撃を把握することができるので、蓄電ユニットBUへの衝撃に起因して生ずる不具合に対する対策を実施し易くなる。
【0180】
(6)検知部41は、少なくとも一部が、2つ以上の電池セルCと上下方向Dvに重なり合うように配置されている。これによると、単一の検知部41によって複数の電池セルCへの衝撃を検知することができる。このことは、路面干渉センサ10のセンサ構成の簡素化に大きく寄与する。
【0181】
[センサ構成の変形例]
路面干渉センサ10は、上述の実施形態で示したものに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0182】
[第1変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図48に示すように、センサ制御部70が電池管理装置BMSの1つの機能構成として電池管理装置BMSと一体に構成されていてもよい。この場合、路面干渉センサ10は、検知部41からの信号をアナログ信号として電池管理装置BMSに出力するようになっていてもよい。なお、センサ制御部70は、電池管理装置BMSとは異なる制御装置と一体に構成されていてもよい。センサ制御部70は、必須ではなく、省略されていてもよい。
【0183】
[第2変形例]
路面干渉センサ10は、例えば、図49に示すように、複数の検知部41それぞれがセンサ制御部70に接続されるとともに、センサ制御部70が電池管理装置BMSを介してCANに接続されていてもよい。
【0184】
路面干渉センサ10は、例えば、センサ制御部70が電池管理装置BMSと一体に構成されるとともに、当該電池管理装置BMSに対して複数の検知部41それぞれが接続されるように構成されていてもよい。
【0185】
加速度センサGSは、例えば、路面干渉センサ10のセンサ制御部70に対して直接的に接続されていてもよい。なお、加速度センサGSは、電池管理装置BMS等の他の機器を介してCANに接続されていてもよい。
【0186】
[第3変形例]
上述の実施形態の検知部41は、円形状の接触スイッチ42および矩形形状の導通部43を有しているが、これに限定されない。検知部41は、例えば、図50に示すように、矩形形状の接触スイッチ44によって構成されていてもよい。
【0187】
図51に示すように、本例の接触スイッチ44は、外力の検知範囲が拡大されるように、平面視における短手方向の寸法が接触スイッチ44の厚みよりも充分に大きくなっている。また、接触スイッチ44は、収容ケースSCの蓋部SC2とアンダパネルUPとの隙間に配置可能なように、薄型(例えば、1mm~2mm程度)に構成されている。
【0188】
図52に示すように、接触スイッチ44は、第1電極シート441、第2電極シート442、絶縁材443を備える。接触スイッチ44は、第1電極シート441、絶縁材443、第2電極シート442の順に積層された積層体として構成されている。
【0189】
第1電極シート441および第2電極シート442は、薄膜状の導電材料で構成されている。第1電極シート441および第2電極シート442は、例えば、銀層をカーボン層で被覆したもので構成されている。第1電極シート441および第2電極シート442は、複数の絶縁材443を介して互いに接続されている。
第1電極シート441および第2電極シート442の間には、接触スイッチ44の短手方向に延びる複数の絶縁材443が接触スイッチ44の長手方向に間隔をあけて並んで配置されている。複数の絶縁材443の配置間隔は、予め想定される検知対象に応じて適宜設定される。
【0190】
絶縁材443は、その厚みが第1電極シート441および第2電極シート442の厚みよりも充分に大きくなっている。本例の絶縁材443は、絶縁材443が設けられていない空隙部位444における第1電極シート441と第2電極シート442との間隔を規定するスペーサとして機能する。絶縁材443は、第1電極シート441および第2電極シート442に対して接着剤や両面テープによって接合される。
絶縁材443は、その厚み方向に弾性変形可能になっている。絶縁材443は、電気絶縁性を有するスポンジ状の樹脂材料で構成されている。これにより、絶縁材443が厚み方向に圧縮された際に、空隙部位444において第1電極シート441と第2電極シート442とが直に接触可能になっている。なお、絶縁材443は、ゴム材料で構成されていてもよい。
【0191】
このように構成される接触スイッチ44は、例えば、図53に示すように、外力が作用すると圧縮されて、第1電極シート441と第2電極シート442とが接触することで外力が検知される。
【0192】
本例の接触スイッチ44は、チューブ状の感圧センサ20のような中空を排除し、各電極シート441、442と絶縁材443からなる3層構造となっている。これによれば、感圧センサ20に比べて薄型に構成することができる。また、チューブ状の感圧センサ20において薄型化を図ろうとすると、外力の検知範囲が狭くなるといった背反があるが、接触スイッチ44については、そのような背反は生じない。すなわち、本例の接触スイッチ44は、外力の検知範囲を確保しつつ、薄型化を図ることができるといった利点がある。このことは搭載性の向上に大きく寄与する。
【0193】
また、絶縁材443が、スポンジ等のように衝撃を吸収可能な部材で構成されているので、別途、緩衝材を設ける必要がない。このことは、接触スイッチ44の簡素化に大きく寄与する。
【0194】
ここで、本例の接触スイッチ44は、絶縁材443が空隙部位444における第1電極シート441と第2電極シート442との間隔を規定するスペーサとして機能する例を説明したが、これに限定されない。
【0195】
接触スイッチ44は、例えば、図54に示すように、第2電極シート442に対して第1電極シート441から離れるように形成された凹部442aによって空隙部位444における第1電極シート441と第2電極シート442との間隔が規定されていてもよい。なお、第1電極シート441に対して第2電極シート442から離れるように形成された凹部によって空隙部位444における第1電極シート441と第2電極シート442との間隔が規定されていてもよい。
【0196】
[その他の変形例]
接触センサ40に用いる各検知部41は、一例である。各検知部41は、上述したものと一部が異なっていてもよい。検知部41は、少なくとも一部が、フロアパネルFPの下方に設置される床下機器と路面RSとの間に、電極対向方向が床下機器の下面と並行となる姿勢で配置されていてもよい。
【0197】
路面干渉センサ10は、路面干渉の有無を判定する判定部71を備えていることが望ましいが、これに限定されない。路面干渉センサ10は、例えば、判定部71が省略され、単に路面干渉によって車両Vに作用する外力を検知するようになっていてもよい。路面干渉センサ10は、例えば、検知部21の出力だけに基づいて、路面干渉の有無を判定するようになっていてもよい。
【0198】
路面干渉センサ10は、車両Vに作用する外力に応じた信号が、車両Vの通信ネットワーク以外の手段によって、外部へ出力されるようになっていてもよい。路面干渉センサ10は、検知部41が緩衝部材CPに埋設されていなくてもよい。また、検知部41は、少なくとも一部が、組電池CSを構成する電池セルCの並び方向Dstに沿って延びるように配置されていることが望ましいがこれに限定されない。検知部41は、組電池CSを構成する電池セルCの並び方向Dstに直交する方向に沿って延びるように配置されていてもよい。なお、検知部21は、電池セルCと上下方向Dvに重なり合わないように配置されていてもよい。
【0199】
路面干渉センサ10を適用する車両Vは、上述したもの限定されない。路面干渉センサ10は、内燃機関で駆動する車両V、アンダパネルUPが省略された車両V等にも適用可能である。なお、路面干渉センサ10は、蓄電ユニットBUに加わる衝撃を検知するようになっているが、蓄電ユニットBU以外の床下機器に加わる衝撃を検知するようになっていてもよい。また、蓄電ユニットBUを構成する複数の電池セルCは、組電池CSとして拘束バンド等で拘束されているが、そのようになっていなくてもよい。
【0200】
[第4の技術的思想]
第4の技術的思想は、第1~第3の技術的思想で説明した路面干渉センサ10および車載機器を監視する監視センサを含む監視部110を用いた監視システム100に関する。以下、第4の技術的思想の実施形態について図55図56を参照して説明する。
【0201】
監視システム100は、第1~第3の技術的思想のいずれかで説明した路面干渉センサ10と、監視部110と、電池管理装置BMSとを備えている。なお、路面干渉センサ10は、第1~第3の技術的思想のいずれかで説明したもので構成されているので、路面干渉センサ10に関する説明は省略する。
【0202】
監視部110は、車載機器のうち、フロアパネルに近接して配置される機器を監視する。本例の監視部110は、電池パックBPの蓄電ユニットBUの状態を監視する。すなわち、本例では、電池セルCがリチウムイオン電池によって構成される電池パックBPが監視部110の監視対象機器となっている。
【0203】
監視部110は、監視用マイコン111、電圧センサ112、電流センサ113、電池温度センサ114、パック内圧センサ115、ガスセンサ116を含んで構成されている。本例では、電圧センサ112、電流センサ113、電池温度センサ114、パック内圧センサ115、ガスセンサ116が監視センサを構成している。
監視用マイコン111は、各種の監視センサの動作を制御する制御部である。監視用マイコン111は、電池管理装置BMSと通信可能なように、電池管理装置BMSに対して接続されている。監視用マイコン111は、電池管理装置BMSから入力される信号に応じて、監視センサの動作を制御する。
【0204】
電圧センサ112は、蓄電ユニットBUを構成する組電池CSのブロック電圧や電池セルCのセル電圧を検出する。電流センサ113は、蓄電ユニットBUを構成する組電池CSを流れる電流を検出する。電池温度センサ114は、蓄電ユニットBUの温度を検出する。電圧センサ112、電流センサ113、電池温度センサ114それぞれのセンサ出力は、監視用マイコン111を介して電池管理装置BMSに入力される。
【0205】
パック内圧センサ115は、電池パックBPの収容ケースSCの内部の圧力をパック内圧として検出する。ガスセンサ116は、例えば、蓄電ユニットBUが破損した際に、蓄電ユニットBUから漏れるガスを検出する。パック内圧センサ115およびガスセンサ116それぞれのセンサ出力は、監視用マイコン111を介して電池管理装置BMSに入力される。
【0206】
このように構成される監視部110は、電池管理装置BMSを介して、路面干渉センサ10のセンサ出力が入力される。本例の監視部110は、路面干渉センサ10のセンサ出力に応じて各種監視センサの動作を制御する。
【0207】
電池管理装置BMSは、各種監視センサのセンサ出力および路面干渉センサ10からのセンサ出力が入力される。電池管理装置BMSは、各種監視センサのセンサ出力および路面干渉センサ10からのセンサ出力を用いて蓄電ユニットBUの異常の有無を監視する。電池管理装置BMSは、車両Vの走行が可能なレディオン状態となっている場合は蓄電ユニットBUを常時監視可能に構成されている。また、電池管理装置BMSは、車両Vの走行ができないレディオフ状態となっている場合は基本的にはスリープ状態となるように構成されている。但し、電池管理装置BMSは、レディオフ状態であっても、外部からの入力信号に応じてスリープ状態から復帰するウェイクアップ機能を備えている。
【0208】
次に、監視システム100における蓄電ユニットBUの監視処理の一例について図56を参照しつつ説明する。監視システム100は、図56に示す制御ルーチンを定期的または不定期に実行する。なお、監視処理に含まれる各種処理は、監視システム100を構成する路面干渉センサ10、監視用マイコン111、電池管理装置BMSのいずれかで実行される。
【0209】
図56に示すように、監視システム100は、まず、ステップS400にて、各種信号の読み込みを行う。監視システム100は、例えば、路面干渉センサ10のセンサ出力および監視部110に含まれる監視センサのセンサ出力を読み込む。
【0210】
監視システム100は、ステップS405にて、路面干渉による外力が衝撃として検知されたか否かを判する。具体的には、路面干渉センサ10および監視部110の一方において、路面干渉センサ10で検出される外力と所定閾値とを比較して車両Vに対して外力が加わったか否かを判定する。なお、所定閾値は、例えば、監視部110の監視対象となる蓄電ユニットBUに影響があると想定される外力に設定される。
【0211】
ステップS405の判定処理の結果が、衝撃が検知されたことを示す場合、監視システム100は、ステップS410に移行し、衝撃フラグFL_slを「1」に設定するとともに、HMI等を利用してユーザに向けて警告を発する。なお、衝撃フラグFL_slは、車両Vに対して蓄電ユニットBUに影響があるレベルの衝撃があったことを示すフラグであって、初期値が「0」に設定されている。
【0212】
一方、ステップS405の判定処理の結果が、衝撃が検知されなかったことを示す場合、監視システム100は、ステップS410をスキップして、ステップS415の処理に移行する。
【0213】
監視システム100は、ステップS415にて、車両Vが駐車中であるか否かを判定する。監視システム100は、例えば、車両Vの走行が可能な状態であるレディオン状態および車両Vの走行が不能な状態であるレディオフ状態に基づいて、車両Vが駐車中であるか否かを判定する。なお、車両Vが駐車中であるか否かの判定は、例えば、パーキングブレーキの状態に基づいて実施されていてもよい。
【0214】
車両Vが駐車中でない場合、監視システム100は、ステップS420に移行し、各種の監視センサを用いて、蓄電ユニットBUを常時監視する。監視システム100は、例えば、電圧センサ112および電流センサ113それぞれのセンサ出力に基づいて充放電の異常の有無を監視する。加えて、監視システム100は、電池温度センサ114、パック内圧センサ115、ガスセンサ116のセンサ出力に基づいて、蓄電ユニットBUの熱暴走等の異常の有無を監視する。なお、ここでいう“常時監視”は、監視センサから絶え間のない連続した信号を取り込む動作だけでなく、所定の短い周期で監視センサの信号を取り込む動作を含む概念である。
【0215】
続いて、監視システム100は、ステップS420にて、蓄電ユニットBUの常時監視によって蓄電ユニットBUの異常が検出されたか否かを判定する。そして、監視システム100は、蓄電ユニットBUの常時監視によって、蓄電ユニットBUの熱暴走が検出されると、ステップS430に移行し、搭乗者の車両Vからの退避を促す警告を発する。なお、監視システム100は、例えば、蓄電ユニットBUの常時監視によって熱暴走以外の異常が検出された場合、ドライバ等に向けて修理や点検を促す警告を発する。
【0216】
一方、車両Vが駐車中である場合、監視システム100は、ステップS435に移行し、衝撃フラグFL_slが「1」であるか否かを判定する。換言すれば、監視システム100は、路面干渉センサ10にて、蓄電ユニットBUに何らかの影響があるレベルの衝撃が検知されたか否かを判定する。
【0217】
衝撃フラグFL_slが「1」である場合、監視システム100では、ステップS440にて、電池管理装置BMSから衝撃が検知されたことを示す情報を衝撃履歴として監視部110に入力する。衝撃履歴は、例えば、衝撃が検知されたことだけでなく、衝撃を検知した時刻、衝撃を受けた位置等が含まれていてもよい。
【0218】
続いて、監視システム100は、監視対象である蓄電ユニットBUの監視を強化した監視強化処理を実行する。本例では、監視システム100は、監視強化処理として、蓄電ユニットBUを監視する監視センサの種類を増して蓄電ユニットBUの異常の有無を判定する処理を実行する。
【0219】
具体的には、監視システム100は、ステップS445にて、パック内圧センサ115およびガスセンサ116の双方のセンサ出力を用いて、蓄電ユニットBUの異常(例えば、熱暴走)の有無を判定する処理を実行する。ここでの処理は、蓄電ユニットBUの消費電力を抑えるべく、常時監視時よりもセンサ出力のサンプリング周期が長い間欠動作となっている。
【0220】
続いて、監視システム100は、ステップS450にて、蓄電ユニットBUの間欠監視によって蓄電ユニットBUの異常が検出されたか否かを判定する。そして、監視システム100は、蓄電ユニットBUの間欠監視によって、蓄電ユニットBUの異常が検出されると、ステップS455に移行し、スリープ状態の電池管理装置BMSをウェイクアップさせる。その後、監視システム100は、ステップS430にて、搭乗者の車両Vからの退避を促す警告を発する。なお、監視システム100は、例えば、蓄電ユニットBUの監視によって熱暴走以外の異常が検出された場合、ドライバ等に向けて修理や点検を促す警告を発する。
【0221】
一方、衝撃フラグFL_slが「0」である場合、監視システム100では、ステップS460に移行する。監視システム100は、ステップS460にて、衝撃フラグFL_slが「1」である場合に比べて、蓄電ユニットBUの監視レベルを低下させた処理を実行する。本例では、監視システム100は、蓄電ユニットBUを監視する監視センサの種類を減らして蓄電ユニットBUの異常の有無を判定する処理を実行する。
【0222】
具体的には、監視システム100は、パック内圧センサ115およびガスセンサ116のうち、パック内圧センサ115のセンサ出力を用いて、蓄電ユニットBUの異常(例えば、熱暴走)の有無を判定する処理を実行する。ここでの処理は、蓄電ユニットBUの消費電力を抑えるべく、常時監視時よりもセンサ出力のサンプリング周期が長い間欠動作となっている。
【0223】
続いて、監視システム100は、ステップS450にて、蓄電ユニットBUの間欠監視によって蓄電ユニットBUの異常が検出されたか否かを判定する。そして、監視システム100は、蓄電ユニットBUの間欠監視によって、蓄電ユニットBUの異常が検出されると、ステップS455に移行し、スリープ状態の電池管理装置BMSをウェイクアップさせる。その後、監視システム100は、ステップS430にて、搭乗者の車両Vからの退避を促す警告を発する。なお、監視システム100は、例えば、蓄電ユニットBUの監視によって熱暴走以外の異常が検出された場合、ドライバ等に向けて修理や点検を促す警告を発する。
【0224】
以上説明した監視システム100は、第1~第3の技術的思想のいずれか1つに記載の路面干渉センサ10と、車載機器の異常の有無を監視する監視センサを含む監視部110と、を備える。そして、監視部110は、路面干渉センサ10のセンサ出力が入力され、当該センサ出力に応じて監視センサの動作を制御する。
【0225】
このように、路面干渉センサ10のセンサ出力が監視部110に入力される構成になっていれば、車両Vへの衝撃と車載機器の監視結果とを関連付けた態様で、車載機器の異常を判定することができるので、車載機器の異常の検知精度の向上を図ることができる。加えて、路面干渉センサ10のセンサ出力をトリガとして監視センサの動作を変化させることが可能な構成となることから、監視センサの不必要な動作を抑えて省電力化を図ることも期待できる。
【0226】
また、本例の監視システム100は、以下の特徴を備える。
(1)監視システム100は、路面干渉センサ10および監視部110の一方で、路面干渉センサ10で検出される外力と所定閾値とを比較して車両Vに対して衝撃が加わったか否かを判定する。これによると、路面干渉等の物理的要因による車両Vへの衝撃を検知することができる。これにより、車両Vへの衝撃と車載機器の監視結果とを関連付けた態様で、車載機器の異常を判定することができる。
【0227】
(2)具体的には、監視システム100は、路面干渉センサ10のセンサ出力に基づいて車両Vへ衝撃が加わったことが検知されると、監視対象となる車載機器の監視を強化する監視強化処理を実行する。これによれば、車載機器の監視負担を抑えつつ、外力に起因する車載機器の異常を適切に検出することが可能となる。
【0228】
(3)車載機器の1つである蓄電ユニットBUは、車両Vがレディオン状態の場合は電圧、電流、温度などの監視が行われるが、車両Vがレディオフ状態になると、蓄電ユニットBUの消費電力を抑えるために、監視の頻度が抑えられることがある。
【0229】
一方、車両Vに加わる衝撃に起因する蓄電ユニットBUの異常は、衝撃が加わった直後に生ずる場合もあるが、衝撃が加わってから或る程度の時間が経過して生ずる場合もある。このため、例えば、車両Vの走行中等に衝撃に加わった後に車両Vがレディオフ状態とされると、蓄電ユニットBUの異常を適切に検出できない虞がある。
【0230】
これらを考慮し、本開示の監視システム100は、路面干渉センサ10によって車両Vに対して外力が加わったことが検出され、且つ、車両Vがレディオフ状態である場合に監視強化処理が実行されるようになっている。これによれば、レディオフ状態における蓄電ユニットBUの消費電力を抑えつつ、蓄電ユニットBUの熱暴走等の異常を適切に検出することが可能となる。
【0231】
(4)ここで、例えば、車両Vに加わった衝撃によって電池パックBPおよび蓄電ユニットBUが損傷すると、蓄電ユニットBUの熱暴走が発生する虞がある。この熱暴走の初期段階では、蓄電ユニットBUの電圧や温度よりも、電池パックBPの内部の圧力変化や電池セルCからのガス漏れが生じ易い傾向がある。また、電池パックBPの収容ケースSCが損傷して気密性が損なわれると、収容ケースSCの内部圧力が大気圧となり、電池パックBPの内部の圧力変化だけでは蓄電ユニットBUの熱暴走を検知することが困難となるケースがあり得る。
【0232】
これらを加味して、本例の監視システム100では、衝撃が検知されると、パック内圧センサ115およびガスセンサ116の双方のセンサ出力を用いて、蓄電ユニットBUの異常(例えば、熱暴走)の有無を判定するようになっている。これによると、蓄電ユニットBUの熱暴走を早期に検知し易くなるといったメリットがある。
【0233】
特に、本例では、パック内圧センサ115およびガスセンサ116の双方のセンサ出力を蓄電ユニットBUの熱暴走の検知に用いている。このため、電池パックBPの収容ケースSCが損傷して、パック内圧センサ115のセンサ出力で蓄電ユニットBUの熱暴走を検知できない状況であっても、ガスセンサ116のセンサ出力に基づいて蓄電ユニットBUの熱暴走を適切に検知することができる。
【0234】
(5)監視システム100は、車両Vがレディオフ状態において、蓄電ユニットBUの異常が検出されると、レディオフ状態からレディオン状態に切り替えられた際に、蓄電ユニットBUの点検を促すための情報を外部に報知するようになっていることが望ましい。このようになっていれば、仮に、車両Vの走行中等に加わった衝撃に起因して車両Vのレディオフ状態に蓄電ユニットBUに異常が生じたとしても、当該異常が次回の車両Vを使用する際に報知される。これにより、蓄電ユニットBUに異常がある状態で、車両Vが使用されることを回避することが可能となる。
【0235】
[システム構成の変形例]
監視システム100は、上述の実施形態で示したものに限定されない。監視システム100は、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0236】
[第1変形例]
監視システム100は、電池管理装置BMSと監視部110とが別個に構成されているもの例示したが、これに限らず、例えば、電池管理装置BMSと監視部110とが共通のマイコンによって構成されていてもよい。
【0237】
[第2変形例]
監視センサとして、監視用マイコン111、電圧センサ112、電流センサ113、電池温度センサ114、パック内圧センサ115、ガスセンサ116を例示したが、これらは一例であり、監視部110は、上述とは異なる監視センサで構成されていてもよい。
【0238】
[第3変形例]
監視システム100は、路面干渉センサ10および監視部110以外の機器にて、路面干渉センサ10で検出される外力と所定閾値とを比較して車両Vに対して衝撃が加わったか否かを判定するようになっていてもよい。
【0239】
[第4変形例]
監視強化処理は、パック内圧センサ115およびガスセンサ116の双方のセンサ出力を用いた蓄電ユニットBUの異常の判定処理に限定されない。監視強化処理は、例えば、図57に挙げる(1)~(5)のいずれかの処理を実行するようになっていてもよい。
(1)に記載の処理は、監視対象となる車載機器の異常を検出するためのセンサの種類の増加させる処理である。
(2)に記載の処理は、監視対象となる車載機器の監視動作の頻度増加させる処理である。
(3)に記載の処理は、監視対象となる車載機器の異常の有無を判定する判定閾値の正常範囲に近い値への設定を変更する処理である。
(4)に記載の処理は、監視対象となる車載機器の状態を示す複数の状態量のうち、監視対象となる車載機器の異常との相関度が高いものを用いて異常の有無を判定する処理である。
(5)に記載の処理は、衝撃検知前後のセンサ出力を比較監視する処理である。衝撃検知前後のセンサ出力を比較監視することで、例えば、衝撃検知前に対する車載機器の状態の変化を監視することができるようになる。
【0240】
[第5変形例]
監視システム100は、路面干渉センサ10によって車両Vに対して外力が加わったことが検出され、且つ、車両Vがレディオフ状態である場合に監視強化処理が実行されるようになっているが、そのようになっていなくてもよい。
【0241】
[第6変形例]
監視システム100は、第1~第3の技術的思想で説明した路面干渉センサ10を備えているが、路面干渉センサ10とは別の衝撃センサ(例えば、加速度センサ)等を備える構成とされていてもよい。
【0242】
[第7変形例]
監視システム100の監視対象機器は、電池セルCがリチウムイオン電池によって構成される電池パックBPに限定されない。監視システム100は、例えば、図58に示すように、電池セルCが全固体電池によって構成される電池パックBPを監視部110で監視するようになっていてもよい。
【0243】
全固体電池では、電解質が固体で構成される電池であり、リチウムイオン電池等に比べて、電池の温度変化による不具合が生じ難い。一方、硫化物系の全固体電池では、水と反応して硫化水素が発生する虞がある。このため、電池セルCが全固体電池によって構成される場合、監視部110は、電池セルCの周囲の湿度を検出する湿度センサ117、硫化水素を検出する硫化水素センサ118を含んで構成されていることが望ましい。なお、監視部110は、湿度センサ117の代わりに、電池セルCの周囲の水分を検出する水センサが設けれていてもよい。
【0244】
以下、監視システム100にて全固体電池を監視する処理の一例について図59を参照しつつ説明する。図59に示すステップS500~S535までの各処理は、図56に示すステップS400~S435までの各処理と実質的に同じであることからその説明を省略する。
【0245】
ステップS535の判定結果が「FL_sl=1」である場合、監視システム100では、ステップS540にて、電池管理装置BMSから衝撃が検知されたことを示す情報を衝撃履歴として監視部110に入力する。そして、監視システム100は、監視対象である全固体電池の監視を強化した監視強化処理を実行する。本例では、監視システム100は、ステップS545にて、湿度センサ117および硫化水素センサ118の双方のセンサ出力を用いて、全固体電池の異常の有無を判定する処理を実行する。ここでの処理は、全固体電池の消費電力を抑えるべく、常時監視時よりもセンサ出力のサンプリング周期が長い間欠動作となっている。その後、監視システム100は、ステップS550にて、全固体電池の間欠監視によって全固体電池の異常が検出されたか否かを判定し、全固体電池の異常が検出されると、ステップS555に移行する。ステップS555では、スリープ状態の電池管理装置BMSをウェイクアップさせる。
【0246】
ステップS535の判定結果が「FL_sl=0」である場合、監視システム100では、ステップS560に移行する。監視システム100は、ステップS560にて、衝撃フラグFL_slが「1」である場合に比べて、全固体電池の監視レベルを低下させた処理を実行する。本例では、監視システム100は、湿度センサ117および硫化水素センサ118の一方のセンサ出力を用いて、全固体電池の異常(例えば、熱暴走)の有無を判定する処理を実行する。ここでの処理は、全固体電池の消費電力を抑えるべく、常時監視時よりもセンサ出力のサンプリング周期が長い間欠動作となっている。その後、監視システム100は、ステップS550にて、全固体電池の間欠監視によって全固体電池の異常が検出されたか否かを判定し、全固体電池の異常が検出されると、ステップS555に移行する。ステップS555では、スリープ状態の電池管理装置BMSをウェイクアップさせる。
【0247】
以上の説明したように、監視強化処理は、監視対象とする電池セルCの特性に応じて設定されていることが望ましい。なお、上記で説明したものは一例であって、監視強化処理は、上記で説明したものとは異なっていてもよい。
【0248】
[他の実施形態]
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0249】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0250】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0251】
本開示の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0252】
[複数の技術的思想の観点]
【0253】
[第1の技術的思想]
第1の技術的思想は、以下に示す複数の観点を有する。
[第1の観点]
路面干渉センサであって、
車両(V)のフロアパネル(FP)の下方に配置されて路面(RS)側から前記車両に加わる外力を検知する検知部(21)を備え、
前記検知部は、中空の絶縁体(22)および前記絶縁体の内面(22a)に配置される複数の電極線(23、24、26、27)を含み、複数の前記電極線同士の接触の有無に基づいて前記外力を検知する、路面干渉センサ。
【0254】
[第2の観点]
前記検知部は、前記絶縁体を覆う外層部材(25)を備え、
前記外層部材は、前記絶縁体よりも剛性が高い弾性部材で構成されている、第1の観点に記載の路面干渉センサ。
【0255】
[第3の観点]
前記フロアパネルに対して前記路面側に配置される板状のプロテクタ部(281)と、
前記外力が前記プロテクタ部に加わった際に前記プロテクタ部を前記フロアパネルに近づく方向に変位させる変位部(282)と、を備え、
前記プロテクタ部は、前記絶縁体よりも剛性が高く、且つ、前記路面に対して重なり合う部位の面積が前記検知部よりも大きくなっており、
前記検知部は、前記プロテクタ部と前記フロアパネルとの間に配置され、前記外力によって前記プロテクタ部が前記フロアパネルに近づく方向に変位した際に前記プロテクタ部によって押圧される、第1の観点に記載の路面干渉センサ。
【0256】
[第4の観点]
前記変位部は、前記プロテクタ部よりも剛性が低く、前記外力が作用した際に変形する変形部材(282)で構成されている、第3の観点に記載の路面干渉センサ。
【0257】
[第5の観点]
前記変形部材は、前記プロテクタ部よりも厚みが薄くされた薄肉部(283a)を含み、前記薄肉部を起点に折れ曲がることで、前記フロアパネルに対して近づく方向に変形するバネ部(283)である、第4の観点に記載の路面干渉センサ。
【0258】
[第6の観点]
前記変形部材は、前記プロテクタ部よりも剛性が低いクッション部(285)である、第4の観点に記載の路面干渉センサ。
【0259】
[第7の観点]
複数の前記電極線は、電気的に接触しない状態で前記絶縁体の内面に沿って前記絶縁体の長手方向に螺旋状に配置されている、第1ないし第6の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0260】
[第8の観点]
複数の前記電極線同士の接触の有無に応じた信号を出力する信号出力部(53)を備え、
前記信号出力部には、複数の前記検知部が電気的に直列に接続された直列接続体(SCB)が接続されている、第1ないし第7の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0261】
[第9の観点]
前記検知部は、少なくとも2本の前記電極線が電気抵抗体(R)を介して接続されている、第8の観点に記載の路面干渉センサ。
【0262】
[第10の観点]
複数の前記検知部の中から前記外力が検知されたものを特定する特定部(52)を備え、
少なくとも一部の前記検知部は、前記電気抵抗体の電気抵抗値が他の前記検知部とは異なっており、
前記特定部は、前記直列接続体からの出力に基づいて、複数の前記検知部の中から前記外力が検知されたものを特定する、第9の観点に記載の路面干渉センサ。
【0263】
[第11の観点]
路面干渉の有無を判定する判定部(51)を備え、
前記車両には、前記検知部とは別に、前記路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部(GS)が設置されており、
前記判定部は、前記検知部の出力および前記物理量検知部の出力に基づいて、前記路面干渉の有無を判定する、第1ないし第10の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0264】
[第12の観点]
前記車両に加わる前記外力に応じた信号は、前記車両の通信ネットワークを介して外部へ出力される、第1ないし第11の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0265】
[第13の観点]
前記フロアパネルの下方に設置される床下機器と前記路面との間に緩衝部材(CP)が配置されており、
前記検知部は、少なくとも一部が前記緩衝部材に埋設されている、第1ないし第12の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0266】
[第14の観点]
前記床下機器は、複数の電池セル(C)を含んで構成される蓄電ユニット(BU)である、第13の観点に記載の路面干渉センサ。
【0267】
[第15の観点]
前記検知部は、少なくとも一部が、2つ以上の前記電池セルと上下方向に重なり合うように配置されている、第14の観点に記載の路面干渉センサ。
【0268】
[第16の観点]
監視システムであって、
第1~第15の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ(10)と、
車載機器(BP)の異常の有無を監視する監視センサ(112、113、114、115、116)を少なくとも1つ含む監視部(110)と、を備え、
前記監視部は、前記路面干渉センサのセンサ出力が入力され、前記センサ出力に応じて前記監視センサの動作を制御する、監視システム。
【0269】
[第17の観点]
前記路面干渉センサおよび前記監視部の一方では、前記路面干渉センサで検出される前記外力と所定閾値とを比較して前記車両に対して衝撃が加わったか否かを判定する、第16の観点に記載の監視システム。
【0270】
[第2の技術的思想]
第2の技術的思想は、以下に示す複数の観点を有する。
【0271】
[第1の観点]
路面干渉センサであって、
車両(V)のフロアパネル(FP)の下方に配置されて路面(RS)側から前記車両に加わる外力を検知する検知部(31)を備え、
前記検知部は、可撓性を有する中空のチューブ(32)および前記チューブの内側の圧力を検知する圧力センサ(33、34)を含み、前記チューブの内側には圧力伝達媒体として液体が封入されている、路面干渉センサ。
【0272】
特許文献1に記載の如く、チューブの変形に伴うチューブ内における空気の圧力変化を外力として検知する場合、チューブの変形が局所的であると空気の圧力変化が小さく衝撃を適切に検知することが難しい。
【0273】
これに対して、チューブの内側に非圧縮性流体である液体を封入すれば、チューブの内側の空気が減るので、チューブの変形が局所的であっても、路面側から車両に加わる外力を適切に検出することができる。
【0274】
[第2の観点]
前記液体は、絶縁性流体である、第1の観点に記載の路面干渉センサ。
【0275】
[第3の観点]
前記圧力センサは、前記液体に対する耐性を有する液圧センサで構成されている、第1または第2の観点に記載の路面干渉センサ。
【0276】
[第4の観点]
路面干渉の有無を判定する判定部(61)を備え、
前記車両には、前記検知部とは別に、前記路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部(GS)が設置されており、
前記判定部は、前記検知部の出力および前記物理量検知部の出力に基づいて、前記路面干渉の有無を判定する、第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0277】
[第5の観点]
前記車両に加わる前記外力に応じた信号は、前記車両の通信ネットワークを介して外部へ出力される、第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0278】
[第6の観点]
前記フロアパネルの下方に設置される床下機器と前記路面との間に緩衝部材(CP)が配置されており、
前記検知部は、少なくとも一部が前記緩衝部材に埋設されている、第1ないし第5の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0279】
[第7の観点]
前記床下機器は、複数の電池セル(C)を含んで構成される蓄電ユニット(BU)である、第6の観点に記載の路面干渉センサ。
【0280】
[第8の観点]
前記検知部は、少なくとも一部が、2つ以上の前記電池セルと上下方向に重なり合うように配置されている、第7の観点に記載の路面干渉センサ。
【0281】
[第3の技術的思想]
第3の技術的思想は、以下に示す複数の観点を有する。
[第1の観点]
路面干渉センサであって、
車両(V)のフロアパネル(FP)の下方に配置されて路面(RS)側から前記車両に加わる外力を検知する検知部(41)を備え、
前記検知部は、第1電極シート(413)および前記第1電極シートに対して所定の隙間をあけて対向して配置される第2電極シート(414)を有するシート状の接触スイッチ(42)を含み、前記第1電極シートおよび前記第2電極シートの接触の有無に基づいて前記外力を検知する、路面干渉センサ。
【0282】
特許文献1に記載の如く、チューブの変形に伴うチューブ内における空気の圧力変化を外力として検知する場合、チューブの変形が局所的であると空気の圧力変化が小さく適切に衝撃を適切に検知することが難しい。
【0283】
これに対して、各電極シートの接触の有無に基づいて外力を検知する場合、外力が局所的に作用する場合であっても、路面側から車両に加わる外力を適切に検出することができる。加えて、検知部がシート状の接触スイッチを含んで構成されていれば、フロアパネルの下方における限られたスペースに配置し易いといった利点もある。
【0284】
[第2の観点]
前記第1電極シートと前記第2電極シートとが対向する方向を電極対向方向としたとき、
前記検知部は、前記フロアパネルの下方に設置される床下機器と前記路面との間に、前記電極対向方向が前記床下機器の下面と交差する姿勢で配置されている、第1の観点に記載の路面干渉センサ。
【0285】
[第3の観点]
前記床下機器と前記路面との間に緩衝部材(CP)が配置されており、
前記検知部は、少なくとも一部が前記緩衝部材に埋設されている、第2の観点に記載の路面干渉センサ。
【0286】
[第4の観点]
路面干渉の有無を判定する判定部(71)を備え、
前記車両には、前記検知部とは別に、前記路面干渉に起因して変化する物理量を検知する物理量検知部(GS)が設置されており、
前記判定部は、前記検知部の出力および前記物理量検知部の出力に基づいて、前記路面干渉の有無を判定する、第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0287】
[第5の観点]
前記車両に加わる前記外力に応じた信号は、前記車両の通信ネットワークを介して外部へ出力される、第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の路面干渉センサ。
【0288】
[第6の観点]
前記床下機器は、複数の電池セル(C)を含んで構成される蓄電ユニット(BU)である、第2または第3の観点に記載の路面干渉センサ。
【0289】
[第7の観点]
前記検知部は、少なくとも一部が、2つ以上の前記電池セルと上下方向に重なり合うように配置されている、第6の観点に記載の路面干渉センサ。
【符号の説明】
【0290】
10 路面干渉センサ
21 検知部
22 弾性体(絶縁体)
23、24、26、27 電極線
V 車両
FP フロアパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図20
図21
図22
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図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59