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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008325
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】送風制御装置及び送風制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240112BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B60H1/00 103A
B60H1/00 101U
B60H1/34 671A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110102
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】松下 祐樹
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA01
3L211BA05
3L211DA82
3L211DA83
3L211EA02
3L211EA35
3L211GA03
3L211GA11
(57)【要約】
【課題】ユーザにとって快適な空調環境を提供すること。
【解決手段】
送風制御装置は、タッチ操作を受け付ける操作面を含む操作部と、操作面に対するタッチ操作に基づいて時間軸上の各送風位置を決定する送風位置決定部と、送風位置決定部により決定された各送風位置に、空気調和機の吹き出し口より吹き出される風が順次送られるように、風の向きを制御する風向き制御部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作を受け付ける操作面を含む操作部と、
前記操作面に対するタッチ操作に基づいて時間軸上の各送風位置を決定する送風位置決定部と、
前記送風位置決定部により決定された各送風位置に、空気調和機の吹き出し口より吹き出される風が順次送られるように、前記風の向きを制御する風向き制御部と、を備える、
送風制御装置。
【請求項2】
前記操作面上をスライドするタッチ操作が行われると、前記タッチ操作の軌跡を示す線を前記操作面に表示する線表示部を備え、
前記送風位置決定部は、前記操作面に表示された前記線に基づいて前記各送風位置を決定する、
請求項1に記載の送風制御装置。
【請求項3】
前記操作面上の任意の位置に対するタッチ操作が行われると、前記任意の位置を含む線を前記操作面に表示する線表示部を備え、
前記送風位置決定部は、前記操作面に表示された前記線に基づいて前記各送風位置を決定する、
請求項1に記載の送風制御装置。
【請求項4】
前記線表示部は、前記操作面に表示された前記線に対するタッチ操作に応じて前記線の形状を変化させる、
請求項2又は請求項3に記載の送風制御装置。
【請求項5】
前記操作面をタッチするユーザの指が前記操作面から離されると、前記線の形状が確定する、
請求項2又は請求項3に記載の送風制御装置。
【請求項6】
前記線上の少なくとも1つの位置に操作子を表示する操作子表示部と、
前記線上に表示された前記操作子に対する操作に応じて、前記操作子の表示位置に対応する前記送風位置に送られる風の量を設定する風量設定部と、を備える、
請求項2又は請求項3に記載の送風制御装置。
【請求項7】
前記空気調和機が設置された室内にいるユーザを認識するユーザ認識部と、
前記操作面に対するタッチ操作が行われると、前記ユーザ認識部により認識されたユーザと、前記タッチ操作に基づいて決定された前記時間軸上の各送風位置を示す情報と、を関連付けて記憶する記憶部と、を備え、
前記送風位置決定部は、前記ユーザ認識部により認識されたユーザの情報が前記記憶部に記憶されている場合、前記認識されたユーザに関連付けられた、前記時間軸上の各送風位置を示す情報を前記記憶部から取得し、
前記風向き制御部は、前記送風位置決定部により取得された情報が示す各送風位置に、前記吹き出し口より吹き出される風が順次送られるように、前記風の向きを制御する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の送風制御装置。
【請求項8】
所定の操作面に対するタッチ操作に基づいて時間軸上の各送風位置を決定し、
決定された各送風位置に、空気調和機の吹き出し口より吹き出される風が順次送られるように、前記風の向きを制御する、処理を、コンピュータに実行させる、
送風制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風制御装置及び送風制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された空気調和機が知られている(例えば特許文献1参照)。暑い時期又は寒い時期に車内を適温にするため、ユーザが空気調和機をつけることがある。
【0003】
その際、ユーザは、より早く涼む又はより早く温まるため、例えば、冷風又は温風が自身の体に直接当たるように、空気調和機の吹き出し口より吹き出される風の向きを手動で調節する。なお、空気調和機は、例示的には、冷房機能と暖房機能の少なくとも一方を有する機器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-203090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷風又は温風が体に直接当たり続けると、寒すぎたり暑すぎたりする。そのため、この状態は、ユーザにとって快適な空調環境とは言い難い。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑み、送風制御装置及び送風制御方法において、ユーザにとって快適な空調環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る送風制御装置は、タッチ操作を受け付ける操作面を含む操作部と、操作面に対するタッチ操作に基づいて時間軸上の各送風位置を決定する送風位置決定部と、送風位置決定部により決定された各送風位置に、空気調和機の吹き出し口より吹き出される風が順次送られるように、風の向きを制御する風向き制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、送風制御装置及び送風制御方法において、ユーザにとって快適な空調環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る送風制御装置を含む空気調和機の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る送風制御装置を含む空気調和機が設置された車両を模式的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る送風制御装置により実行される空調設定処理の一例を示すフローチャートである。
図4図3のステップS101で送風制御装置の画面に表示される空調設定画面の一例を示す図である。
図5】ユーザによる画面操作例を示す図である。
図6図3のステップS105で送風制御装置の画面に表示される画面例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る送風制御装置により実行される空調処理の一例を示すフローチャートである。
図8】ユーザによる他の画面操作例を示す図である。
図9】ユーザによる他の画面操作例を示す図である。
図10】軌跡を描かないタッチ操作に基づいて各送風位置を設定する処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、本発明の一実施形態に係る送風制御装置及び送風制御方法に関する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る送風制御装置1を含む空気調和機100の構成を示すブロック図である。図2は、送風制御装置1を含む空気調和機100が設置された車両A(一例として左ハンドル車)を模式的に示す図である。
【0012】
空気調和機100は、送風制御装置1、HVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)14、吹き出し口15、ルーバ16及びアクチュエータ17を備える。送風制御装置1は、制御部10、表示部11、メカニカル操作部12及びフラッシュメモリ13を備える。
【0013】
制御部10は、例えばLSI(Large Scale Integration)として構成されており、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む。制御部10のCPUは、制御部10のROMに書き込まれたプログラムを実行するシングルプロセッサ又はマルチプロセッサ(言い換えると、少なくとも1つのプロセッサ)を含み、送風制御装置1を含む空気調和機100を統括的に制御する。
【0014】
制御部10を含むコンピュータの一例である送風制御装置1は、所定の操作面に対するタッチ操作に基づいて時間軸上の各送風位置を決定し、決定された各送風位置に、HVAC14の吹き出し口15(空気調和機の吹き出し口の一例)より吹き出される風が順次送られるように、風の向きを制御する、という一連の処理を含む方法(送風制御方法)を実行する。
【0015】
本実施形態によれば、タッチ操作に基づいて決定された各送風位置に、空気調和機からの風が順次送られる。そのため、例えば冷風又は温風がユーザの体に直接当たり続けることがない。従って、本実施形態によれば、ユーザにとって快適な空調環境を提供することができる。
【0016】
本実施形態では、車載型の送風制御装置1が例示される。但し、建物の室内等においても、ユーザに対して快適な空調環境を提供することが望まれる。そのため、送風制御装置1は、車両以外(例えば建物)に設置されてもよい。
【0017】
表示部11は、設定画面をはじめとする各種画面を表示する装置であり、例えば、タッチパネルを搭載したLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等のディスプレイを含む。
【0018】
すなわち、表示部11は、タッチ操作を受け付ける操作面を含む操作部の一例である。表示部11の画面11Aは、タッチ操作を受け付ける操作面の一例である。なお、操作部は、表示部11に設けることには限られず、表示部11とは別の場所に設置されたタッチパッドであってもよい。タッチパッドも、タッチ操作を受け付ける操作面を含む操作部の一例として挙げられる。
【0019】
メカニカル操作部12は、送風制御装置1を含む空気調和機100を操作するためのメカニカルな操作部であり、メカニカル方式、静電容量無接点方式、メンブレン方式等のスイッチ、ボタン、ノブ、ホイール、ジョイスティック等の操作子を含む。
【0020】
フラッシュメモリ13は、詳しくは後述するが、ユーザと、時間軸上の各送風位置を示す情報と、を関連付けて記憶する、記憶部の一例である。
【0021】
HVAC14は、車室内に冷風又は温風を送る熱交換装置の一例である。HVAC14は、周知の構成を有する。そのため、本実施形態では、HVAC14の具体的説明は省略する。
【0022】
概説すると、例えばメカニカル操作部12に対して空気調和機100の電源をオンする操作が行われると、HVAC14のコンプレッサが作動する。これにより、エアコンガスが低温低圧のガス状冷媒から機械的に圧縮されて、高温高圧のガス状冷媒(半液体)へ変化する。
【0023】
コンプレッサで圧縮された冷媒は、コンデンサに送られる。コンデンサに送られた冷媒は、コンデンサ内を通過する過程で熱を放出して、低温高圧の液状冷媒へ変化する。この液状冷媒は、レシーバで不純物等が取り除かれて、エキスパッションバルブにより一気に膨張し、霧状となってエバポレータに送られる。
【0024】
エバポレータに送られた霧状冷媒は、エバポレータで気化する。エバポレータには、ブロアファンによって車室内の空気が送り込まれている。この空気が持つ熱は、霧状冷媒が気化する際の気化熱として奪われる。気化熱が奪われて冷風となった空気がHVAC14の吹き出し口15から吹き出される。これにより、車室内の温度が下がる。
【0025】
エバポレータから出る冷風をヒータコアで暖めた場合、HVAC14の吹き出し口15から温風が吹き出される。これにより、車室内の温度が上がる。
【0026】
本実施形態では、一例として、4つの吹き出し口15が車室内に設置される。運転席前方左側の設置された吹き出し口15は、「吹き出し口15a」と記される。運転席前方右側の設置された吹き出し口15は、「吹き出し口15b」と記される。助手席前方左側の設置された吹き出し口15は、「吹き出し口15c」と記される。助手席前方右側の設置された吹き出し口15は、「吹き出し口15d」と記される。
【0027】
各吹き出し口15には、吹き出し口15から吹き出される風の向きを規定するルーバ16が設けられる。各吹き出し口15のルーバ16には、不図示の伝達機構を介してアクチュエータ17が機械的に連結される。
【0028】
アクチュエータ17は、制御部10より入力されるドライブ信号に従い動作する。アクチュエータ17の動力は、伝達機構を介してルーバ16に伝達される。これにより、ルーバ16の向きが変わる。ルーバ16の向きが変わることにより、吹き出し口15からの風向きが変わる。
【0029】
なお、各吹き出し口15には、風向きを様々な方向に変えられるように、複数のルーバ16が設けられる。例示的には、複数の横ルーバ、複数の縦ルーバが含まれる。横ルーバは、左右方向に延びて形成され、向きが上下方向に可変なルーバである。縦ルーバは、上下方向に延びて形成され、向きが左右方向に可変なルーバである。
【0030】
図2に示されるように、車内カメラ2が車室内に設置される。車内カメラ2は、車室内の全ての座席を撮影可能な画角を有する。車内カメラ2は、例えばトリガ信号が送風制御装置1より入力されると、車室内を撮影する。車内カメラ2は、撮影画像を送風制御装置1へ転送する。
【0031】
図3は、送風制御装置1により実行される空調設定処理の一例を示すフローチャートである。例えば、空調を設定するための所定の操作が行われると、図3に示される空調設定処理の実行が開始される。
【0032】
図3に示されるように、制御部10は、表示部11の画面11Aに、空調設定画面を表示する(ステップS101)。
【0033】
図4は、ステップS101で画面11Aに表示される空調設定画面の一例を示す図である。なお、図4を含む画面例を示す図では、ユーザが画面11Aをタッチした様子を示す手のアイコンが適宜付される。ユーザが画面11Aをタッチするタッチ位置に、符号TPが付される。画面11Aに対するユーザのタッチ位置TPは、XとYの2次元の座標情報として取得される。画面11Aの左右方向がX方向に対応し、画面11Aの上下方向がY方向に対応する。
【0034】
図4に示されるように、空調設定画面には、車室内の前部座席前方を模式的に示す画像(例えばダッシュボード、フロントガラス等の画像)が表示される。この画像には、吹き出し口15a、15b、15c、15dのそれぞれを模した画像115a、115b、115c、115dが含まれる。
【0035】
図5は、ユーザによる画面操作例を示す図である。図5に示される符号T1は、ユーザが画面11Aをタッチした状態で指をスライドさせたときのタッチ操作の軌跡(言い換えると、タッチ位置TPの軌跡)を示す。
【0036】
図5に示されるように、画面11A上をスライドするタッチ操作が行われると、制御部10は、このタッチ操作に応じた軌跡T1を画面11Aに表示する(ステップS102)。
【0037】
軌跡T1は、タッチ操作の軌跡を示す線の一例である。すなわち、制御部10は、画面11A上をスライドするタッチ操作が行われると、タッチ操作の軌跡を示す線(ここでは軌跡T1)を画面11Aに表示する線表示部10Aとして動作する。
【0038】
制御部10は、画面11Aをタッチするユーザの指が画面11Aから離されたか否かを判定する(ステップS103)。ユーザの指が画面11Aから離されると(ステップS103:YES)、制御部10は、軌跡T1の形状を確定させる(ステップS104)。ユーザの指が画面11Aから離されなければ(ステップS103:NO)、軌跡T1の形状が確定しない。
【0039】
なお、軌跡T1の形状の確定後に所定のタッチ操作(例えばダブルタップ)が行われると、制御部10は、軌跡T1を画面11Aから消去してスライド操作を待機する状態に戻ってもよく、また、軌跡T1の形状確定状態を解除してもよい。後者の場合、ユーザは、例えば、軌跡T1上の任意の位置をタッチして指をスライドさせることにより、軌跡T1の形状を変化させることができる。
【0040】
軌跡T1は、吹き出し口15より吹き出される風が順次送られる、時間軸上の各送風位置を示す。すなわち、制御部10は、画面11Aに対するタッチ操作に基づいて時間軸上の各送風位置を決定する送風位置決定部10Bとして動作する。
【0041】
制御部10は、軌跡T1上の少なくとも1つの位置に操作子を表示する(ステップS105)。
【0042】
図6は、ステップS105において画面11Aに表示される画面例を示す図である。図6の例では、所定数(具体的には5つ)の操作子B1~B5が軌跡T1上に表示される。操作子B1~B5は、所定間隔で配置されてもよく、また、所定間隔で配置されなくてもよい。図6の例では、軌跡T1の始点、終点及び各頂点に、操作子が表示される。
【0043】
操作子は、軌跡T1上に任意に追加可能であってもよい。例えば、ユーザが軌跡T1上の任意の位置をタッチすると、タッチされた位置に、操作子が表示される。
【0044】
このように、制御部10は、軌跡T1上の少なくとも1つの位置に操作子を表示する操作子表示部10Cとして動作する。
【0045】
操作子B1~B5は、その表示位置に対応する車室内の位置に送られる風の量を設定するための操作子である。例えば、操作子B2の表示位置は、運転席の上方位置に対応する。そのため、ユーザは、操作子B2を操作することにより、運転席上方への風量を設定することができる。
【0046】
制御部10は、操作子が押される毎に、押された操作子に対応する風量を、オフ、弱、中、強の順で循環的に切り替える。
【0047】
制御部10は、風量確定操作が行われたか否かを判定する(ステップS106)。風量確定操作は、例えば、軌跡T1以外の任意の位置を長押しする操作であったり、画面11Aに表示される設定確定ボタン(不図示)に対するタッチ操作であったりする。
【0048】
風量確定操作が行われると(ステップS106:YES)、制御部10は、各操作子B1~B5に対する操作に応じて設定された車室内の各位置での風量を確定する(ステップS107)。
【0049】
このように、制御部10は、軌跡T1上に表示された操作子に対する操作に応じて、操作子の表示位置に対応する送風位置に送られる風の量を設定する風量設定部10Dとして動作する。
【0050】
制御部10は、車内カメラ2に対してトリガ信号を出力して、車内カメラ2による撮影画像を取得する(ステップS108)。制御部10は、取得された撮影画像のなかから人物を抽出し、抽出された人物の着座位置と特徴量を取得する(ステップS109)。複数の人物が抽出された場合、制御部10は、着座位置と特徴量を人物毎に取得する。以下、ステップS109で取得される着座位置と特徴量の情報は、「乗員情報」と記される。
【0051】
ステップS109で取得される乗員情報は、空気調和機100が設置された室内にいるユーザの情報の一例である。すなわち、制御部10は、空気調和機100が設置された室内にいるユーザを認識するユーザ認識部10Eとして動作する。
【0052】
制御部10は、ステップS104で確定された軌跡T1、ステップS107で確定された風量及びステップS109で取得された乗員情報を関連付けて、フラッシュメモリ13に記憶する(ステップS110)。以下、ステップS110でフラッシュメモリ13に記憶された情報は、「空調設定情報」と記される。
【0053】
このように、制御部10は、画面11Aに対するタッチ操作が行われると、ユーザ認識部10Eにより認識されたユーザと、タッチ操作に基づいて決定された時間軸上の各送風位置を示す情報(及び各送風位置での風量)とを、記憶部の一例であるフラッシュメモリ13に記憶する。
【0054】
図7は、送風制御装置1により実行される空調処理の一例を示すフローチャートである。例えば、空気調和機100の電源がオンされると、図7に示される空調処理の実行が開始される。
【0055】
図7に示されるように、制御部10は、車内カメラ2に対してトリガ信号を出力して、車内カメラ2による撮影画像を取得する(ステップS201)。制御部10は、取得された撮影画像のなかから人物を抽出し、抽出された人物毎に着座位置と特徴量(すなわち乗員情報)を取得する(ステップS202)。
【0056】
制御部10は、フラッシュメモリ13に記憶された空調設定情報に含まれる乗員情報のなかから、ステップS202にて取得された乗員情報との相関値が所定閾値以上となる乗員情報を検索する(ステップS203)。
【0057】
上記の相関値が所定閾値以上となる乗員情報が見付かると(ステップS203:YES)、制御部10は、この乗員情報に関連付けられた軌跡T1及び風量の情報を取得する(ステップS204)。
【0058】
例えば、暑がりのユーザU1が運転席に座り、寒がりのユーザU2が助手席に座っているときに、図3に示される空調設定処理が実行されたものとする。この空調設定処理の実行によりフラッシュメモリ13に記憶された空調設定情報は、空調設定情報Dと記される。
【0059】
この場合に、図7に示される空調処理が実行されると、ステップS204において、空調設定情報Dに含まれる軌跡T1及び風量の情報が取得される。ここで取得される情報は、例えば、ユーザU1及びU2の好みが反映された情報であり、ユーザU1、U2のそれぞれにとって快適な空調環境を提供するための風向き及び風量の設定値を示す。
【0060】
すなわち、本実施形態によれば、各座席に座る快適温度が異なるそれぞれのユーザに対して快適な空調環境を提供するための風向き及び風量の設定値が取得される。
【0061】
このように、送風位置決定部10Bとして動作する制御部10は、ユーザ認識部10Eにより認識されたユーザの情報がフラッシュメモリ13に記憶されている場合、認識されたユーザに関連付けられた、軌跡T1(時間軸上の各送風位置を示す情報の一例)及び風量の情報をフラッシュメモリ13から取得する。
【0062】
制御部10は、ステップS204にて取得された軌跡T1が示す各送風位置に、ステップS204にて取得された風量で、各吹き出し口15より吹き出される風が順次送られるように、HVAC14及びアクチュエータ17を含む各部を制御する。すなわち、ステップS205において、制御部10は、風向き及び風量を制御する。
【0063】
図5及び図6の例では、ステップS205の処理の実行により、次に説明されるように、車室内に風が送られる。なお、説明の便宜上、軌跡T1は、4つの区間C1~C4に分けられる。具体的には、操作子B1と操作子B2との軌跡T1上の区間は、区間C1と記される。操作子B2と操作子B3との軌跡T1上の区間は、区間C2と記される。操作子B3と操作子B4との軌跡T1上の区間は、区間C3と記される。操作子B4と操作子B5との軌跡T1上の区間は、区間C4と記される。
【0064】
区間C1は、運転席の左方位置から運転席の上方位置までの各位置を含む。区間C2は、運転席の右方位置から運転席の上方位置までの各位置を含む。ステップS205において、制御部10は、運転席の左方位置から運転席の上方位置までの各位置(又は運転席の上方位置から運転席の左方位置までの各位置)に、吹き出し口15aより吹き出される風が順次送られるように、吹き出し口15aのルーバ16を動かすとともに、運転席の右方位置から運転席の上方位置までの各位置(又は運転席の上方位置から運転席の右方位置までの各位置)に、吹き出し口15bより吹き出される風が順次送られるように、吹き出し口15bのルーバ16を動かす。
【0065】
これにより、吹き出し口15a及び15bより吹き出される風が運転席に座るユーザの周囲に送られる。
【0066】
なお、区間の始点と終点に位置する操作子(例えば操作子B1と操作子B2)で同じ風量が設定されている場合、当該区間での風量は一定である。区間の始点と終点に位置する操作子で異なる風量が設定されている場合、当該区間での風量は、連続的又は段階的に変わる。例えば、操作子B1で「弱」の風量が設定され、操作子B2で「強」の風量が設定されている場合、風向きが運転席の左方位置から運転席の上方位置に向けて変わる過程で風量が徐々に強くなる。
【0067】
区間C3は、助手席の左方位置から助手席の上方位置までの各位置を含む。区間C4は、助手席の右方位置から助手席の上方位置までの各位置を含む。ステップS205において、制御部10は、助手席の左方位置から助手席の上方位置までの各位置(又は助手席の上方位置から助手席の左方位置までの各位置)に、吹き出し口15cより吹き出される風が順次送られるように、吹き出し口15cのルーバ16を動かすとともに、助手席の右方位置から助手席の上方位置までの各位置(又は助手席の上方位置から助手席の右方位置までの各位置)に、吹き出し口15dより吹き出される風が順次送られるように、吹き出し口15dのルーバ16を動かす。
【0068】
これにより、吹き出し口15c及び15dより吹き出される風が助手席に座るユーザの周囲に送られる。
【0069】
図5及び図6に示される軌跡T1は、運転席、助手席のそれぞれに着座するユーザを避けるような軌跡である。ユーザは、このような軌跡T1を設定することにより、吹き出し口15より吹き出される風が体に直接当たらないようにすることができ、また、この風が体に直接当たり続けないようにすることができる。そのため、ユーザにとって快適な空調環境が提供され得る。
【0070】
このように、制御部10は、送風位置決定部10Bにより決定された各送風位置に、吹き出し口15より吹き出される風が順次送られるように、風の向きを制御する風向き制御部10Fとして動作する。
【0071】
付言するに、風向き制御部10Fとして動作する制御部10は、送風位置決定部10Bにより取得された軌跡T1が示す各送風位置に、吹き出し口15より吹き出される風が順次送られるように、風の向きを制御する。
【0072】
ステップS203の検索処理において、ステップS202にて取得された乗員情報との相関値が所定閾値以上となる乗員情報が見付からない場合(ステップS203:NO)、制御部10は、通常モードで空調制御を行う(ステップS206)。例示的には、通常モード時、制御部10は、ユーザ操作により設定された風量で、吹き出し口15より風が吹き出されるように、HVAC14を制御する。通常モード時、風向きは、例えば固定である。
【0073】
図5及び図6に示される軌跡T1は一例に過ぎない。図8図9のそれぞれに、他の軌跡T2、T3が例示される。
【0074】
ユーザは、図8に例示される軌跡T2を描くようにタッチ操作を行うことにより、車室内で空気が循環するように、吹き出し口15からの風向きを設定することができる。ユーザは、図9に例示される軌跡T3を描くようにタッチ操作を行うことにより、車室内で空気が水平方向に送られるように、吹き出し口15からの風向きを設定することができる。
【0075】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0076】
上記の実施形態では、画面11Aに描かれたタッチ操作の軌跡に基づいて各送風位置が設定されるが、本発明はこれに限らない。軌跡を描かない別のタッチ操作に基づいて各送風位置を設定する構成も本発明の範疇である。
【0077】
図10は、軌跡を描かないタッチ操作に基づいて各送風位置を設定する処理例を示す図である。図10では、画面例S1~S3が示される。
【0078】
ユーザが画面11Aの任意の位置をタッチすると(画面例S1参照)、制御部10は、このタッチ位置TPに応じた線L1を画面11Aに表示する。画面例S2に示されるように、線L1は、タッチ位置TPを含み且つ左右方向に延びた線である。
【0079】
このように、制御部10は、画面11A上の任意の位置に対するタッチ操作が行われると、この任意の位置を含む線L1を画面11Aに表示する線表示部10Aとして動作する。
【0080】
制御部10は、画面例S2に示されるように、操作子B6~B8を線L1上に表示する。操作子B6は、線分である線L1の中点に表示される。操作子B7及びB8は、線L1のそれぞれの端点に表示される。
【0081】
ユーザは、操作子B6~B8の何れかをタッチして指をスライドさせることにより、線L1の形状を変化させることができる。画面例S3では、ユーザが操作子B6をタッチして画面11Aの上側にスライドさせる。これにより、操作子B6が画面11Aの上側に移動する。制御部10は、例えば、直線状の線L1を、操作子B7、B8及び移動後の操作子B6を制御点とするB-スプライン曲線に変形させる(画面例S3参照)。
【0082】
このように、線表示部10Aとして動作する制御部10は、画面11Aに表示された線L1に対するタッチ操作に応じて線L1の形状を変化させる。
【0083】
ユーザの指が画面11Aから離されると、制御部10は、線L1の形状を確定させる。制御部10は、形状が確定された線L1に基づいて、上記の実施形態と同様に、各送風位置を決定する。この場合も、ユーザに対して快適な空調環境が提供され得る。
【符号の説明】
【0084】
1 :送風制御装置
2 :車内カメラ
10 :制御部
10A :線表示部
10B :送風位置決定部
10C :操作子表示部
10D :風量設定部
10E :ユーザ認識部
10F :風向き制御部
11 :表示部
14 :HVAC
15 :吹き出し口
16 :ルーバ
17 :アクチュエータ
100 :空気調和機
図1
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図10