(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083251
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】インパクトレンチ
(51)【国際特許分類】
B25B 21/02 20060101AFI20240613BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B25B21/02 A
B25B21/02 G
B25B21/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191828
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2022197261
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 徳夫
(72)【発明者】
【氏名】楠本 貴大
(72)【発明者】
【氏名】服部 智哉
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アンビルの耐久性を向上すること。
【解決手段】インパクトレンチは、アンビルシャフト部及びアンビルシャフト部から回転軸の径方向外側に突出するアンビル突起部を有するアンビルと、スピンドルに支持されアンビル突起部を回転方向に打撃するハンマ突起部を有するハンマとを備える。アンビルシャフト部は、回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、第1シャフト部よりも前方に配置され断面の外形が四角形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部とを有する。第2シャフト部は、4つの平面部と、4つの平面部接続部とを有する。4つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジとを有する。遷移部は、第1エッジに繋がる支持部を有し、支持部よりも後方において第2エッジに繋がる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、
前記ロータの回転力により回転するスピンドルと、
前記スピンドルの少なくとも一部よりも前方に配置され、前記回転軸に平行な軸方向に延びるアンビルシャフト部及び前記アンビルシャフト部から前記回転軸の径方向外側に突出するアンビル突起部を有するアンビルと、
前記スピンドルに支持され、前記アンビル突起部を回転方向に打撃するハンマ突起部を有するハンマと、を備え、
前記アンビルシャフト部は、
前記回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、
前記第1シャフト部よりも前方に配置され、前記断面の外形が四角形状の第2シャフト部と、
前記第1シャフト部と前記第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有し、
前記第2シャフト部は、4つの平面部と、4つの平面部接続部と、を有し、
4つの前記平面部のそれぞれは、前記回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有し、
前記遷移部は、前記第1エッジに繋がる支持部を有し、前記支持部よりも後方において前記第2エッジに繋がる、
インパクトレンチ。
【請求項2】
前記第2シャフト部にソケットが装着され、
前記ソケットは、4つの前記支持部のそれぞれに接触する、
請求項1に記載のインパクトレンチ。
【請求項3】
前記ソケットに挿入されたボルトを締め付けるときに、前記アンビルは周方向一方側に回転する、
請求項2に記載のインパクトレンチ。
【請求項4】
前記遷移部は、前記第2エッジに繋がる接続部を有し、
前記接続部は、前記支持部よりも後方に配置され、
前記ソケットは、4つの前記支持部のそれぞれに接触し、4つの前記接続部のそれぞれに接触しない、
請求項3に記載のインパクトレンチ。
【請求項5】
前記遷移部は、前記接続部と前記支持部との間に設けられ、前記平面部に繋がる曲面部を有し、
前記ソケットは、前記曲面部に接触しない、
請求項4に記載のインパクトレンチ。
【請求項6】
前記第1シャフト部の少なくとも一部は、アンビルベアリングに支持される、
請求項1に記載のインパクトレンチ。
【請求項7】
前後方向に延びる回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、
前記ロータの回転力により回転するスピンドルと、
前記スピンドルの少なくとも一部よりも前方に配置され、前記回転軸に平行な軸方向に延びるアンビルシャフト部及び前記アンビルシャフト部から前記回転軸の径方向外側に突出するアンビル突起部を有するアンビルと、
前記スピンドルに支持され、前記アンビル突起部を回転方向に打撃するハンマ突起部を有するハンマと、を備え、
前記アンビルシャフト部は、
前記回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、
前記第1シャフト部よりも前方に配置され、前記断面の外形が四角形状の第2シャフト部と、
前記第1シャフト部と前記第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有し、
前記第2シャフト部は、4つの平面部と、4つの平面部接続部と、を有し、
4つの前記平面部のそれぞれは、前記回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有し、
前記平面部と平行な面内において、周方向における前記平面部の中心線よりも周方向一方側であって前記第1エッジに繋がる前記遷移部の第1部分の形状と、前記中心線よりも周方向他方側であって前記第2エッジに繋がる前記遷移部の第2部分の形状とは、異なる、
インパクトレンチ。
【請求項8】
前記遷移部は、前記第1エッジに繋がる支持部を有し、前記支持部よりも後方において前記第2エッジに繋がる、
請求項7に記載のインパクトレンチ。
【請求項9】
前記遷移部は、前記第2エッジに繋がり前記支持部よりも後方に配置される接続部を有し、
前記第2シャフト部にソケットが装着され、
前記ソケットは、前記支持部に接触し、前記接続部に接触しない、
請求項8に記載のインパクトレンチ。
【請求項10】
前記遷移部は、前記接続部と前記支持部との間に設けられ、前記平面部に繋がる曲面部を有し、
軸方向において前記遷移部と前記平面部との間に凹部が設けられ、
前記凹部は、前記第1エッジと前記第2エッジとを繋ぐように設けられ、
前記凹部の前端部を規定する前側エッジと前記凹部の後端部を規定する後側エッジとは、相互に平行であり、
前記第1エッジに繋がる前記前側エッジの一端部の位置と、前記第2エッジに繋がる前記前側エッジの他端部の位置とは、異なり、
軸方向において、前記支持部と前記前側エッジの一端部との距離は、前記アンビルの前端部と前記遷移部の後端部との距離の1/6以上1/5以下である、
請求項9に記載のインパクトレンチ。
【請求項11】
前記中心線に直交する基準線と前記前側エッジとがなす角度は、15°以上25°以下である、
請求項10に記載のインパクトレンチ。
【請求項12】
前後方向に延びる回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、
前記ロータの回転力により回転するスピンドルと、
前記スピンドルの少なくとも一部よりも前方に配置され、前記回転軸に平行な軸方向に延びるアンビルシャフト部及び前記アンビルシャフト部から前記回転軸の径方向外側に突出するアンビル突起部を有するアンビルと、
前記スピンドルに支持され、前記アンビル突起部を回転方向に打撃するハンマ突起部を有するハンマと、
前記アンビルを支持するアンビルベアリングと、を備え、
前記アンビルシャフト部は、
前記回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、
前記第1シャフト部よりも前方に配置され、前記断面の外形が四角形状の第2シャフト部と、
前記第1シャフト部と前記第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有し、
前記第2シャフト部は、4つの平面部と、4つの平面部接続部と、を有し、
前記アンビルは、前記遷移部が第1形状の第1アンビルと、前記遷移部が第2形状の第2アンビルと、を含み、
前記アンビルベアリングに対して、前記第1アンビルと前記第2アンビルとが交換可能である、
インパクトレンチ。
【請求項13】
4つの前記平面部のそれぞれは、前記回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有し、
前記遷移部は、前記第1エッジに繋がる支持部を有し、前記支持部よりも後方において前記第2エッジに繋がる、
請求項12に記載のインパクトレンチ。
【請求項14】
前記遷移部は、前記第2エッジに繋がり前記支持部よりも後方に配置される接続部を有し、
前記第2シャフト部にソケットが装着され、
前記ソケットは、前記支持部に接触し、前記接続部に接触しない、
請求項13に記載のインパクトレンチ。
【請求項15】
前記ソケットに挿入されたボルトを締め付けるときに、正転方向側に回転され、
前記周方向一方側は、正転方向側である、
請求項14に記載のインパクトレンチ。
【請求項16】
前記ソケットに挿入されたボルトを緩めるときに、逆転方向側に回転され、
前記周方向一方側は、逆転方向側である、
請求項14に記載のインパクトレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、インパクトレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
インパクトレンチに係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなインパクトレンチが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インパクトレンチは、ハンマにより回転方向に打撃されるアンビルを備える。アンビルの耐久性が低いと、アンビルに亀裂が生じる可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、アンビルの耐久性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、インパクトレンチを開示する。インパクトレンチは、前後方向に延びる回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、ロータの回転力により回転するスピンドルと、スピンドルの少なくとも一部よりも前方に配置され、回転軸に平行な軸方向に延びるアンビルシャフト部及びアンビルシャフト部から回転軸の径方向外側に突出するアンビル突起部を有するアンビルと、スピンドルに支持され、アンビル突起部を回転方向に打撃するハンマ突起部を有するハンマと、を備えてもよい。アンビルシャフト部は、回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、第1シャフト部よりも前方に配置され、断面の外形が四角形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有してもよい。第2シャフト部は、4つの平面部と、4つの平面部接続部と、を有してもよい。4つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有してもよい。遷移部は、第1エッジに繋がる支持部を有し、支持部よりも後方において第2エッジに繋がってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、アンビルの耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るインパクト工具を示す右前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るインパクト工具を示す側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るインパクト工具の上部を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るインパクト工具の上部を示す横断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るインパクト工具の一部を拡大した縦断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るインパクト工具を示す右前方からの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るアンビルを前方から見た図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るアンビルの一部を拡大した図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係るアンビルの一部を拡大した図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係るアンビルの一部を拡大した図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図17】
図17は、第6実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図18】
図18は、第6実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図19】
図19は、第6実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図20】
図20は、第6実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図21】
図21は、第6実施形態に係るアンビルの一部を拡大した図である。
【
図22】
図22は、第7実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図23】
図23は、第7実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図24】
図24は、第7実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図25】
図25は、第7実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図26】
図26は、第7実施形態に係るアンビルの一部を拡大した図である。
【
図27】
図27は、第8実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図28】
図28は、第8実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図29】
図29は、第8実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図30】
図30は、第8実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図31】
図31は、第9実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図32】
図32は、第9実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図33】
図33は、第9実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図34】
図34は、第9実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図35】
図35は、第10実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図36】
図36は、第10実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図37】
図37は、第10実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図38】
図38は、第10実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図39】
図39は、第11実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図40】
図40は、第11実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図41】
図41は、第11実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図42】
図42は、第11実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図43】
図43は、第12実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図44】
図44は、第12実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図45】
図45は、第12実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図46】
図46は、第12実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図47】
図47は、第13実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図48】
図48は、第13実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図49】
図49は、第13実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図50】
図50は、第13実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図51】
図51は、第14実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図52】
図52は、第14実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図53】
図53は、第14実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図54】
図54は、第14実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図55】
図55は、第15実施形態に係るアンビルを示す右前方からの斜視図である。
【
図56】
図56は、第15実施形態に係るアンビルを示す左後方からの斜視図である。
【
図57】
図57は、第15実施形態に係るアンビルを示す側面図である。
【
図58】
図58は、第15実施形態に係るアンビルを示す断面図である。
【
図59】
図59は、第16実施形態に係るアンビルセットを説明するための図である。
【
図60】
図60は、第16実施形態に係るアンビルセットを説明するための図である。
【
図61】
図61は、第17実施形態に係るスピンドル及びアンビルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクトレンチは、前後方向に延びる回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、ロータの回転力により回転するスピンドルと、スピンドルの少なくとも一部よりも前方に配置され、回転軸に平行な軸方向に延びるアンビルシャフト部及びアンビルシャフト部から回転軸の径方向外側に突出するアンビル突起部を有するアンビルと、スピンドルに支持され、アンビル突起部を回転方向に打撃するハンマ突起部を有するハンマと、を備えてもよい。アンビルシャフト部は、回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、第1シャフト部よりも前方に配置され、断面の外形が四角形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有してもよい。第2シャフト部は、4つの平面部と、4つの平面部接続部と、を有してもよい。4つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有してもよい。遷移部は、第1エッジに繋がる支持部を有し、支持部よりも後方において第2エッジに繋がってもよい。
【0010】
上記の構成では、遷移部に局所的に大きい力が加わることが抑制されるので、アンビルの耐久性が向上する。第2シャフト部にソケットが装着された場合、ソケットの後端部は、遷移部の少なくとも一部に接触する。アンビルがハンマに打撃され、この打撃によりソケットが振動する。遷移部には、ソケットの振動による軸方向の力とボルト締付作業による回転方向の力とが加わる。上記の構成では、ソケットと第1エッジに繋がる支持部とは第1の軸方向の力で接触し、ソケットと第2エッジ近傍とは第1の軸方向の力よりも小さい第2の軸方向の力で接触する又は接触しない。これにより、例えば、ボルト締付作業により第2エッジ近傍に回転方向の引張応力が作用しても、第2エッジ近傍にソケットの振動が加わることが抑制される。すなわち、第2エッジ近傍に、ソケットの振動と回転方向の引張応力との両方が加わることが抑制される。第1エッジ近傍には専らソケットの振動が加わり、第2エッジ近傍には専ら回転方向の引張応力が加わる。遷移部に加わる力が第1エッジ近傍と第2エッジ近傍とに分散されるので、アンビルの耐久性が向上する。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第2シャフト部にソケットが装着されてもよい。ソケットは、4つの支持部のそれぞれに接触してもよい。
【0012】
上記の構成では、ソケットが4つの支持部のそれぞれに接触するので、アンビルはソケットを安定して支持することができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ソケットに挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビルは周方向一方側に回転してもよい。
【0014】
上記の構成では、ボルト締付作業において、第2エッジに引張応力が集中する。ボルト締付作業により第2エッジ近傍に回転方向の引張応力が作用しても、第2エッジ近傍にソケットの振動が加わることが抑制される。すなわち、第2エッジ近傍に、ソケットの振動と回転方向の引張応力との両方が加わることが抑制される。第1エッジ近傍には専らソケットの振動が加わり、第2エッジ近傍には専ら回転方向の引張応力が加わる。ボルト締付作業において、遷移部に加わる力が第1エッジ近傍と第2エッジ近傍とに分散されるので、アンビルの耐久性が向上する。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、遷移部は、第2エッジに繋がる接続部を有してもよい。接続部は、支持部よりも後方に配置されてもよい。ソケットは、4つの支持部のそれぞれに接触し、4つの接続部のそれぞれに接触しなくてもよい。
【0016】
上記の構成では、ボルト締付作業において、接続部に回転方向の引張応力が集中し易い。ソケットと支持部とが接触し、ソケットと接続部とが離れるので、接続部に、ソケットの振動と回転方向の引張応力との両方が加わることが抑制される。支持部には専らソケットの振動が加わり、接続部には専ら回転方向の引張応力が加わる。遷移部に加わる力が支持部と接続部とに分散されるので、アンビルの耐久性が向上する。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、遷移部は、接続部と支持部との間に設けられ、平面部に繋がる曲面部を有してもよい。ソケットは、曲面部に接触しなくてもよい。
【0018】
上記の構成では、遷移部に局所的に大きい力が加わることが抑制される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1シャフト部の少なくとも一部は、アンビルベアリングに支持されてもよい。
【0020】
上記の構成では、アンビルベアリングは、円柱状の第1シャフト部を支持することができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクトレンチは、ロータを有するモータと、ロータの回転力により回転する打撃機構部と、打撃機構部より、回転方向に打撃されるアンビルと、を備えてもよい。アンビルは、回転軸を有するアンビルシャフト部を有してもよい。アンビルシャフト部は、回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、第1シャフト部よりも出力側に配置され、断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有してもよい。第2シャフト部は、少なくとも3つの平面部と、少なくとも3つの平面部接続部と、を有してもよい。少なくとも3つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有してもよい。第1エッジ側の反出力側の遷移箇所、又は、第1エッジ側の平面部の反出力側は第1の硬度であり、第2エッジ側の反出力側の遷移箇所、又は、第2エッジ側の平面部の反出力側は、第1の硬度よりも低い第2の硬度でもよい。
【0022】
上記の構成では、アンビルの耐久性が向上する。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクトレンチは、ロータを有するモータと、ロータの回転力により回転する打撃機構部と、打撃機構部より、回転方向に打撃されるアンビルと、を備えてもよい。アンビルは、回転軸を有するアンビルシャフト部を有してもよい。アンビルシャフト部は、回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、第1シャフト部よりも出力側に配置され、断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有してもよい。第2シャフト部は、少なくとも3つの平面部と、少なくとも3つの平面部接続部と、を有してもよい。少なくとも3つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有してもよい。平面部は、周方向一方側の反出力側において、突起部を有してもよい。第2シャフト部に装着されたソケットの後端部が、突起部と接触してもよい。
【0024】
上記の構成では、アンビルの耐久性が向上する。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクトレンチは、ロータを有するモータと、ロータの回転力により回転する打撃機構部と、打撃機構部より、回転方向に打撃されるアンビルと、を備えてもよい。アンビルは、回転軸を有するアンビルシャフト部を有してもよい。アンビルシャフト部は、第1シャフト部と、第1シャフト部よりも出力側に配置され、回転軸に直交する断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有してもよい。第2シャフト部は、少なくとも3つの平面部と、少なくとも3つの平面部接続部と、を有してもよい。少なくとも3つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有してもよい。第2シャフト部にソケットが装着されてもよい。ソケットに挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビルは正転方向に回転してもよい。ソケットにボルトが挿入された状態でアンビルが正転方向に回転したときに、アンビルシャフト部が軸方向に圧縮荷重を受けるように、第1シャフト部の表面が螺旋形状でもよい。
【0026】
上記の構成では、アンビルの耐久性が向上する。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクトレンチは、ロータを有するモータと、ロータの回転力により回転する打撃機構部と、打撃機構部より、回転方向に打撃されるアンビルと、を備えてもよい。アンビルは、回転軸を有するアンビルシャフト部を有してもよい。アンビルシャフト部は、回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、第1シャフト部よりも出力側に配置され、断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有してもよい。第2シャフト部は、少なくとも3つの平面部と、少なくとも3つの平面部接続部と、を有してもよい。少なくとも3つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有してもよい。第2シャフト部に装着されたソケットが、第1又は第2エッジ側の反出力側で、遷移部に接触可能であり、かつ、第2又は第1エッジ側の反出力側で、遷移部に接触不能でもよい。アンビルの打撃時に、第1又は第2エッジ側の応力が高く、第2又は第1エッジ側の応力が低くてもよい。
【0028】
上記の構成では、アンビルの耐久性が向上する。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、打撃機構部により回転方向に打撃されるアンビルは、回転軸を有するアンビルシャフト部を有してもよい。アンビルシャフト部は、回転軸に直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部と、第1シャフト部よりも出力側に配置され、断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部と、第1シャフト部と第2シャフト部との間に配置される遷移部と、を有してもよい。第2シャフト部は、少なくとも3つの平面部と、少なくとも3つの平面部接続部と、を有してもよい。少なくとも3つの平面部のそれぞれは、回転軸の周方向一方側の端部に配置される第1エッジと、周方向他方側の端部に配置される第2エッジと、を有してもよい。第2シャフト部に装着されたソケットが、第1又は第2エッジ側の反出力側で、遷移部に接触可能であり、かつ、第2又は第1エッジ側の反出力側で、前記遷移部に接触不能でもよい。打撃機構部によるアンビルの打撃時に、第1又は第2エッジ側の応力が高く、第2又は第1エッジ側の応力が低くてもよい。
【0030】
上記の構成では、アンビルの耐久性が向上する。
【0031】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、インパクト工具1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。インパクト工具1は、動力源としてモータ6を有する。
【0032】
実施形態において、モータ6の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0033】
回転軸AXは、前後方向に延びる。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0034】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0035】
<インパクト工具>
図1は、実施形態に係るインパクト工具1を示す右前方からの斜視図である。
図2は、実施形態に係るインパクト工具1を示す側面図である。
図3は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す縦断面図である。
図4は、実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す横断面図である。
図5は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を拡大した縦断面図である。
図6は、実施形態に係るインパクト工具1を示す右前方からの分解斜視図である。
【0036】
実施形態において、インパクト工具1は、インパクトレンチである。インパクト工具1は、ハウジング2と、ハンマケース4と、カバー3と、モータ6と、減速機構部7と、スピンドル8と、打撃機構部9と、アンビル10と、ファン12と、バッテリ装着部13と、トリガレバー14と、正逆転切換レバー15と、操作表示部16と、ライト17と、シール部材70と、支持部材80とを備える。
【0037】
ハウジング2は、合成樹脂製である。実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
【0038】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、バッテリ保持部23とを有する。
【0039】
モータ収容部21は、モータ6を収容する。モータ収容部21とハンマケース4とは、複数のねじ2Tにより固定される。
【0040】
グリップ部22は、作業者に握られる。グリップ部22は、モータ収容部21から下方に延びる。トリガレバー14は、グリップ部22の上部に設けられる。
【0041】
バッテリ保持部23は、バッテリ装着部13を介してバッテリパック25を保持する。バッテリ保持部23は、グリップ部22の下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、バッテリ保持部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0042】
モータ収容部21は、吸気口19と、排気口20とを有する。排気口20は、吸気口19よりも前方に設けられる。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0043】
ハンマケース4は、減速機構部7、スピンドル8、打撃機構部9、及びアンビル10の少なくとも一部を収容する。減速機構部7の少なくとも一部は、ベアリングボックス24の内側に配置される。減速機構部7は、複数のギヤを含む。
【0044】
ハンマケース4は、金属製である。実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、筒状である。ハンマケース4は、モータ収容部21の前部に接続される。ハンマケース4の後部にベアリングボックス24が固定される。ベアリングボックス24の前部がハンマケース4の後部に嵌められることにより、ベアリングボックス24とハンマケース4とが固定される。
【0045】
カバー3は、ハンマケース4の外面の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0046】
モータ6は、インパクト工具1の動力源である。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、モータ収容部21に支持される。ロータ27の少なくとも一部は、ステータ26の内側に配置される。ロータ27は、ステータ26に対して回転する。ロータ27は、前後方向に延びる回転軸AXを中心に回転する。
【0047】
減速機構部7は、ロータ27とスピンドル8とを連結する。減速機構部7は、ロータ27の回転をスピンドル8に伝達する。減速機構部7は、ロータ27の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構部7は、モータ6よりも前方に配置される。減速機構部7は、遊星歯車機構を含む。減速機構部7は、複数のギヤを有する。減速機構部7のギヤは、ロータ27により駆動される。
【0048】
スピンドル8は、減速機構部7により伝達されたロータ27の回転力により回転する。スピンドル8は、モータ6の少なくとも一部よりも前方に配置される。スピンドル8は、ステータ26よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、ロータ27よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構部7の前方に配置される。スピンドル8は、アンビル10の後方に配置される。
【0049】
打撃機構部9は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、アンビル10を回転方向に打撃する。モータ6の回転力は、減速機構部7及びスピンドル8を介して打撃機構部9に伝達される。
【0050】
アンビル10は、ロータ27の回転力に基づいて回転するインパクト工具1の出力シャフトである。アンビル10は、打撃機構部9により、回転方向に打撃される。アンビル10は、モータ6よりも前方に配置される。アンビル10の前端部に先端工具の一種であるソケットが装着される。アンビル10は、スピンドル8の少なくとも一部よりも前方に配置される。
【0051】
ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、モータ6のステータ26よりも前方に配置される。ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン12が回転することにより、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0052】
バッテリ装着部13は、バッテリパック25に接続される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に着脱可能である。バッテリ装着部13は、バッテリ保持部23の下部に配置される。バッテリパック25は、バッテリ保持部23の前方からバッテリ装着部13に挿入されることにより、バッテリ装着部13に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13から前方に抜去されることにより、バッテリ装着部13から外される。バッテリパック25は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部13に装着されることにより、バッテリパック25は、インパクト工具1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。
【0053】
トリガレバー14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガレバー14が操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。トリガレバー14は、グリップ部22に設けられる。
【0054】
正逆転切換レバー15は、作業者に操作される。正逆転切換レバー15が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。正逆転切換レバー15は、グリップ部22の上部に設けられる。
【0055】
操作表示部16は、複数の操作ボタン16Aと、インジケータ表示器16Bとを有する。作業者により操作ボタン16Aが操作されることにより、モータ6の動作モードが切り換えられる。インジケータ表示器16Bは、複数の発光部を有する。インジケータ表示器16Bは、複数の発光部の点灯パターンを変更することによって、モータ6の動作モードを表示する。操作表示部16は、バッテリ保持部23に設けられる。操作表示部16は、グリップ部22よりも前方側において、バッテリ保持部23の上面に設けられる。
【0056】
ライト17は、照明光を射出する。ライト17は、アンビル10及びアンビル10の周辺を照明光で照明する。ライト17は、アンビル10の前方を照明光で照明する。また、ライト17は、アンビル10に装着された先端工具及び先端工具の周辺を照明光で照明する。ライト17は、トリガレバー14の上方に配置される。
【0057】
ハンマケース4は、第1筒部401と、第2筒部402と、ケース接続部403と、第3筒部404と、第4筒部405とを有する。第1筒部401は、打撃機構部9の周囲に配置される。第2筒部402は、第1筒部401よりも前方に配置される。第2筒部402の外径は、第1筒部401の外径よりも小さい。ケース接続部403は、第1筒部401の前部と第2筒部402の後部とを繋ぐように配置される。第3筒部404は、第2筒部402よりも前方に配置される。第4筒部405は、第3筒部404よりも前方に配置される。第2筒部402の内径は、第1筒部401の内径よりも小さい。第3筒部404の内径は、第2筒部402の内径よりも小さい。第4筒部405の内径は、第3筒部404の内径よりも小さい。
【0058】
図5に示すように、第2筒部402は、後方を向く後面402Rと、径方向内側を向く内周面402Sとを有する。第3筒部404は、後方を向く後面404Rと、径方向内側を向く内周面404Sとを有する。第4筒部405は、後方を向く後面405Rと、径方向内側を向く内周面405Sとを有する。内周面402Sの前端部と後面404Rの径方向の外端部とが接続される。内周面404Sの前端部と後面405Rの径方向の外端部とが接続される。内周面405Sは、ハンマケース4の前端部に設けられたハンマケース4の開口を規定する。
【0059】
モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、ステータコア28と、前インシュレータ29と、後インシュレータ30と、コイル31とを有する。ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ロータコア32と、ロータシャフト33と、ロータ磁石34とを有する。
【0060】
ステータコア28は、ロータ27よりも径方向外側に配置される。ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。
【0061】
前インシュレータ29は、ステータコア28の前部に設けられる。後インシュレータ30は、ステータコア28の後部に設けられる。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0062】
コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される。コイル31は、複数配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28のティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。複数のコイル31は、バスバーユニット38を介して接続される。
【0063】
ロータコア32及びロータシャフト33のそれぞれは、鋼製である。ロータシャフト33は、ロータコア32の内側に配置される。ロータコア32とロータシャフト33とは、固定される。ロータシャフト33の前端部は、ロータコア32の前端面から前方に突出し、ロータシャフト33の後端部は、ロータコア32の後端面から後方に突出する。
【0064】
ロータ磁石34は、ロータコア32に固定される。ロータ磁石34は、ロータコア32の内部に配置される。
【0065】
後インシュレータ30にセンサ基板37が取り付けられる。センサ基板37は、中心に孔が設けられた円板状の回路基板と、回路基板に支持される回転検出素子とを有する。センサ基板37の少なくとも一部は、ロータ磁石34に対向する。回転検出素子は、ロータ27のロータ磁石34の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。
【0066】
ロータシャフト33は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、ロータシャフト33の前端部を回転可能に支持する前側ロータベアリング39Fと、ロータシャフト33の後端部を回転可能に支持する後側ロータベアリング39Rとを含む。
【0067】
前側ロータベアリング39Fは、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の後面から前方に窪む凹部241を有する。前側ロータベアリング39Fは、凹部241に配置される。後側ロータベアリング39Rは、モータ収容部21の後部に保持される。ロータシャフト33の前端部は、ベアリングボックス24の開口を介してハンマケース4の内部空間に配置される。
【0068】
ファン12は、ロータシャフト33の前部に固定される。ファン12は、前側ロータベアリング39Fとステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータシャフト33の回転により回転する。ロータシャフト33が回転することにより、ファン12は、ロータシャフト33と一緒に回転する。
【0069】
ロータシャフト33の前端部にピニオンギヤ41が形成される。ピニオンギヤ41は、減速機構部7の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト33は、ピニオンギヤ41を介して減速機構部7に連結される。
【0070】
減速機構部7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。ピニオンギヤ41、プラネタリギヤ42、及びインターナルギヤ43のそれぞれは、ハンマケース4に収容される。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。スピンドル8は、プラネタリギヤ42により回転される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ハンマケース4に固定される。インターナルギヤ43は、ハンマケース4に対して常に回転不可能である。
【0071】
モータ6の駆動によりロータシャフト33が回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピン42Pを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0072】
スピンドル8は、モータ6の回転力より回転する。スピンドル8は、モータ6の回転力を、打撃機構部9を介してアンビル10に伝達する。打撃機構部9は、ロータ27の回転力により回転する。スピンドル8は、スピンドルシャフト部801と、スピンドルシャフト部801の後部に設けられるフランジ部802とを有する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してフランジ部802に回転可能に支持される。スピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。スピンドル8は、スピンドルベアリング44に回転可能に支持される。スピンドル8の後端部に凸部803が設けられる。凸部803は、フランジ部802から後方に突出する。スピンドルベアリング44は、凸部803を囲むように配置される。
【0073】
ベアリングボックス24は、スピンドル8の周囲の少なくとも一部に配置される。スピンドルベアリング44は、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の前面から後方に窪む凹部242を有する。スピンドルベアリング44は、凹部242に配置される。
【0074】
打撃機構部9は、ハンマ47と、ハンマボール48と、コイルスプリング50と、ワッシャ61とを有する。ハンマ47、ハンマボール48、コイルスプリング50、及びワッシャ61を含む打撃機構部9は、ハンマケース4の第1筒部401に収容される。第1筒部401は、ハンマ47の周囲に配置される。
【0075】
ハンマ47は、減速機構部7よりも前方に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部801に支持される。
【0076】
ハンマ47は、モータ6により回転される。モータ6の回転力は、減速機構部7及びスピンドル8を介してハンマ47に伝達される。ハンマ47は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、スピンドル8と一緒に回転可能である。ハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
【0077】
ハンマ47は、ベース部471と、後側リング部473と、支持リング部474と、ハンマ突起部475とを有する。
【0078】
ベース部471は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。ベース部471は、環状である。スピンドルシャフト部801は、ベース部471の内側に配置される。
【0079】
後側リング部473は、ベース部471の外周部から後方に突出する。後側リング部473は、筒状である。後側リング部473の後端部は、支持リング部474の後端部よりも後方に配置される。
【0080】
支持リング部474は、ベース部471の内周部から後方に突出する。支持リング部474は、筒状である。支持リング部474は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。支持リング部474は、ハンマボール48を介してスピンドルシャフト部801に支持される。支持リング部474は、大径部474Aと、大径部474Aよりも後方に配置される小径部474Bとを有する。大径部474Aの外径は、小径部474Bの外径よりも大きい。大径部474Aと小径部474Bとの境界に段差部474Cが設けられる。
【0081】
ベース部471の前面から前方に突出する。ハンマ突起部475の前面は、ベース部471の前面よりも前方に配置される。ハンマ突起部475は、周方向に2つ配置される。
【0082】
ベース部471の後面と、後側リング部473の内周面と、支持リング部474の外周面とにより、凹部476が形成される。凹部476は、ハンマ47の後部に設けられる。凹部476は、ハンマ47の後面から前方に窪むように形成される。
【0083】
ハンマボール48は、鉄鋼のような金属製である。ハンマボール48は、スピンドルシャフト部801とハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ハンマボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝804を有する。スピンドル溝804は、スピンドルシャフト部801の外周面の一部に設けられる。ハンマ47は、ハンマボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝477を有する。ハンマ溝477は、支持リング部474の内周面の一部に設けられる。ハンマボール48は、スピンドル溝804とハンマ溝477との間に配置される。ハンマボール48は、スピンドル溝804の内側及びハンマ溝477の内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ハンマボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝804及びハンマ溝477により規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0084】
コイルスプリング50は、スピンドルシャフト部801の周囲に配置される。実施形態において、コイルスプリング50は、相互に並列に配置される第1コイルスプリング51及び第2コイルスプリング52を含む。第2コイルスプリング52は、第1コイルスプリング51の径方向内側に配置される。実施形態において、第1コイルスプリング51のばね定数は、第2コイルスプリング52のばね定数よりも大きい。第1コイルスプリング51の線径は、第2コイルスプリング52の線径よりも大きい。
【0085】
第1コイルスプリング51の後端部及び第2コイルスプリング52の後端部は、フランジ部802の前面に支持される。第1コイルスプリング51の後端部は、フランジ部802の前面に接触する。第2コイルスプリング52の後端部は、ワッシャ62を介してフランジ部802の前面に支持される。
【0086】
第1コイルスプリング51の前端部及び第2コイルスプリング52の前端部は、凹部476の内側に配置される。凹部476の内側にワッシャ61が配置される。第1コイルスプリング51の前端部及び第2コイルスプリング52の前端部は、ワッシャ61に支持される。ワッシャ61は、リング状の部材である。第1コイルスプリング51及び第2コイルスプリング52のそれぞれは、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を常時発生する。
【0087】
ワッシャ61は、ベース部471の後方に配置される。ワッシャ61は、第1コイルスプリング51の前端部及び第2コイルスプリング52の前端部を支持する。径方向において、ワッシャ61は、後側リング部473と支持リング部474との間に配置される。ワッシャ61は、凹部476の内側に配置される。ワッシャ61は、複数の支持ボール54を介してハンマ47に支持される。ハンマ47の前後方向の可動範囲においてハンマ47が最も前方に配置されている状態で、支持ボール54は、ハンマボール48の後端部よりも前方に配置される。
【0088】
支持ボール54は、凹部476の内側においてハンマ47に設けられた支持溝478に配置される。本実施形態において、支持溝478は、ベース部471の後面に設けられる。支持溝478は、回転軸AXを囲むようにリング状に設けられる。支持ボール54は、ワッシャ61を支持する。
【0089】
ワッシャ61は、前後方向からコイルスプリング50と支持ボール54とに挟まれる。ワッシャ61は、ハンマ47及びスピンドル8から離れている。
【0090】
アンビル10は、アンビルシャフト部101と、アンビル突起部102と、凹部103とを有する。
【0091】
アンビルシャフト部101は、軸方向(前後方向)に延びる。アンビルシャフト部101は、回転軸AXを有する。アンビルシャフト部101は、スピンドル8及びハンマ47よりも前方に配置される。アンビルシャフト部101の少なくとも一部は、ハンマケース4の前端部に設けられた開口に配置される。上述のように、ハンマケース4の前端部の開口は、第4筒部405の内周面405Sにより規定される。アンビルシャフト部101の前端部は、ハンマケース4の開口から前方に突出する。先端工具の一種であるソケットは、アンビルシャフト部101の前端部に装着される。
【0092】
アンビル突起部102は、アンビルシャフト部101の後端部から径方向外側に突出する。アンビル突起部102は、ハンマ突起部475により回転方向に打撃される。アンビル突起部102の前面と第2筒部402の後面402Rとの間にワッシャ53が配置される。ワッシャ53は、アンビル突起部102と第2筒部402との接触を抑制する。第2筒部402の後端部は、ワッシャ53を介してアンビル突起部102の荷重を受ける。
【0093】
凹部103は、アンビル10の後面の中央部から前方に窪むように設けられる。スピンドル8の前端部が凹部103に配置される。
【0094】
ベース部471は、アンビル突起部102よりも後方に配置される。アンビル突起部102の後面とベース部471の前面とは、離れている。
【0095】
アンビル10は、アンビルベアリング46に回転可能に支持される。アンビル10の回転軸とハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルベアリング46は、アンビルシャフト部101の周囲に配置される。アンビルベアリング46の一部は、ハンマケース4の第2筒部402の内側に配置される。アンビルベアリング46の一部は、ハンマケース4の第3筒部404の内側に配置される。アンビルベアリング46は、ハンマケース4の第2筒部402に保持される。アンビルベアリング46は、第2筒部402に圧入される。アンビルベアリング46は、ハンマケース4の内部においてハンマケース4に固定される。アンビルベアリング46は、アンビルシャフト部101を回転可能に支持する。
【0096】
図5に示すように、アンビルベアリング46は、外環部461と、後側支持部462と、前側支持部463と、後側凸部464と、前側凸部465とを有する。後側支持部462は、外環部461の後部から径方向内側に突出する。前側支持部463は、外環部461の前部から径方向内側に突出する。後側凸部464は、後側支持部462から後方に突出する。前側凸部465は、前側支持部463から前方に突出する。外環部461と後側支持部462と前側支持部463とによりアンビルベアリング46の凹部466が規定される。
【0097】
外環部461は、前方を向く前面461Fと、後方を向く後面461Rと、径方向内側を向く内周面461Sと、径方向外側を向く外周面461Tとを有する。
【0098】
後側支持部462は、前方を向く前面462Fと、後方を向く後面462Rと、径方向内側を向く内周面462Sとを有する。
【0099】
前側支持部463は、前方を向く前面463Fと、後方を向く後面463Rと、径方向内側を向く内周面463Sとを有する。
【0100】
後側凸部464は、後方を向く後面464Rと、径方向外側を向く外周面464Tとを有する。
【0101】
前側凸部465は、前方を向く前面465Fと、径方向内側を向く内周面465Sと、径方向外側を向く外周面465Tとを有する。
【0102】
外環部461の外周面461Tは、第2筒部402の内周面402Sに接触する。外環部461の内周面461Sは、アンビルシャフト部101の外周面から離れている。凹部466は、外環部461の内周面461Sと後側支持部462の前面462Fと前側支持部463の後面463Rとにより規定される。
【0103】
後述するように、アンビルシャフト部101は、後側円柱部112と、前側円柱部114と、凹部113とを有する。外環部461の内周面461Sは、凹部113の外周面に対向する。後側支持部462の内周面462Sは、後側円柱部112の外周面に接触する。前側支持部463の内周面463Sは、前側円柱部114の外周面に接触する。
【0104】
ワッシャ53の前面の径方向外側の外縁部は、第2筒部402の後面402Rに対向する。ワッシャ53の前面の径方向内側の内縁部は、外環部461の後面461Rに対向する。径方向内側を向くワッシャ53の内周面は、後側凸部464の外周面464Tに対向する。後側凸部464の後面464Rは、間隙を介してアンビル突起部102の前面に対向する。外環部461の前面461Fは、第3筒部404の後面404Rに対向する。前側凸部465の外周面465Tは、第3筒部404の内周面404Sに接触する。
【0105】
ハンマ突起部475は、アンビル突起部102に接触可能である。ハンマ47とアンビル突起部102とが接触している状態で、モータ6が駆動することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
【0106】
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えば、ボルト締付作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、コイルスプリング50の荷重だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。コイルスプリング50の荷重だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ハンマボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ハンマボール48がスピンドル溝804及びハンマ溝477のそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ハンマボール48から力を受け、ハンマボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ47とアンビル突起部102との接触が解除される。
【0107】
ハンマ47が後方に移動するとき、ハンマ47は、スピンドルシャフト部801に対して相対回転する。ワッシャ61は、ハンマ47及びスピンドル8から離れている。そのため、ハンマ47の回転は、ワッシャ61に妨げられない。また、ワッシャ61とハンマ47との間に支持ボール54が配置される。支持ボール54が回転することにより、ハンマ47は、円滑に回転することができる。
【0108】
上述のように、コイルスプリング50は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を常時発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング50の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ハンマボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ突起部475は、回転しながらアンビル突起部102に接触する。これにより、アンビル突起部102は、ハンマ突起部475により回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
【0109】
<シール部材及び支持部材>
シール部材70は、ハンマケース4の内部に配置される。シール部材70は、ハンマケース4の第3筒部404の径方向内側に配置される。シール部材70は、ハンマケース4の内部においてアンビルベアリング46とアンビルシャフト部101との境界に配置される。シール部材70の少なくとも一部は、アンビルシャフト部101の外周面に接触する。シール部材70は、アンビルベアリング46に支持される。シール部材70は、アンビルベアリング46の前側凸部465の径方向内側に配置される。実施形態において、シール部材70は、リップシールである。
【0110】
シール部材70は、アンビルベアリング46とアンビルシャフト部101との境界をシールする。シール部材70は、ハンマケース4の内部に存在する潤滑剤(グリス)がハンマケース4の前端部の開口を介してハンマケース4の外部に漏出することを抑制する。また、シール部材70は、ハンマケース4の外部の異物がハンマケース4の内部に侵入することを抑制する。
【0111】
図5に示すように、シール部材70は、外環部71と、後側リップ部72と、前側リップ部73とを有する。径方向外側を向く外環部71の外周面は、前側凸部465の内周面465Sに接触する。後側を向く外環部71の後面は、前側支持部463の前面463Fに接触する。後側リップ部72及び前側リップ部73のそれぞれは、外環部71よりも径方向内側に配置される。後側リップ部72は、前側リップ部73よりも後方に配置される。後側リップ部72及び前側リップ部73のそれぞれは、アンビルシャフト部101の外周面に接触する。後側リップ部72及び前側リップ部73のそれぞれは、前側円柱部114の外周面に接触する。
【0112】
支持部材80は、ハンマケース4の内部に配置される。支持部材80は、シール部材70よりも前方に配置される。支持部材80は、シール部材70と対向する。支持部材80は、シール部材70を前方から支持可能である。上述のように、ハンマケース4の前端部にアンビルシャフト部101が配置される開口が設けられる。ハンマケース4の開口は、第4筒部405の内周面405Sにより規定される。支持部材80は、ハンマケース4の開口に面するように配置される。支持部材80は、ハンマケース4の開口からシール部材70が前方に抜けることを抑制する。
【0113】
支持部材80は、リング状である。支持部材80は、アンビルシャフト部101の周囲に配置されるワッシャである。支持部材80は、アンビルシャフト部101から離れている。
【0114】
支持部材80は、ハンマケース4及びアンビルベアリング46の少なくとも一方に固定される。実施形態において、支持部材80は、アンビルベアリング46とハンマケース4の一部とに前後方向から挟まれる。実施形態において、支持部材80の径方向外側の外縁部が、前側凸部465の前面465Fと第4筒部405の後面405Rとに挟まれる。
【0115】
支持部材80は、ハンマケース4の後端部に設けられている開口からハンマケース4の内部に挿入される。支持部材80の前面が第4筒部405の後面405Rに接触するように支持部材80がハンマケース4の内部に挿入された後、シール部材70及びアンビルベアリング46のそれぞれがハンマケース4の後端部に設けられている開口からハンマケース4の内部に挿入される。アンビルベアリング46は、第2筒部402に圧入されることにより、ハンマケース4に固定される。外環部461の前面461Fと第3筒部404の後面404Rとが接触することにより、ハンマケース4とアンビルベアリング46とが前後方向において位置決めされる。
【0116】
なお、支持部材80は、アンビルシャフト部101の周囲の一部に配置されてもよい。支持部材80の一部に切欠部が設けられてもよい。支持部材80は、サークリップでもよい。支持部材80がサークリップである場合、ハンマケース4の前端部に設けられている開口を介してハンマケース4の内部に配置されてもよい。
【0117】
<アンビル>
図7は、実施形態に係るアンビル10を示す右前方からの斜視図である。
図8は、実施形態に係るアンビル10を示す側面図である。
図9は、実施形態に係るアンビル10を前方から見た図である。
図10は、実施形態に係るアンビル10の一部を拡大した図である。
【0118】
アンビル10は、軸方向に延びるアンビルシャフト部101と、アンビルシャフト部101から径方向外側に突出するアンビル突起部102とを有する。アンビル突起部102は、2つ設けられる。
【0119】
アンビルシャフト部101は、第1シャフト部110と、第2シャフト部120と、遷移部130と、先端部140とを有する。第1シャフト部110の後端部は、アンビル突起部102に接続される。第2シャフト部120は、第1シャフト部110よりも前方に配置される。第2シャフト部120は、第1シャフト部110よりも出力側に配置される。遷移部130は、前後方向において第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される。第1シャフト部110の前端部は、遷移部130の後端部に接続される。第2シャフト部120の後端部は、遷移部130の前端部に接続される。第1シャフト部110と第2シャフト部120とは、遷移部130を介して繋がる。先端部140は、第2シャフト部120よりも前方に配置される。
【0120】
第1シャフト部110は、ハンマケース4の内側に配置される。第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。回転軸AXに直交する第1シャフト部110の断面の外形は、円形状である。第1シャフト部110は、凹部111と、後側円柱部112と、凹部113と、前側円柱部114とを有する。凹部111は、後側円柱部112よりも後方に配置される。凹部111は、アンビルシャフト部101とアンビル突起部102との境界に設けられる。凹部111の外径は、後側円柱部112の外径よりも小さい。
図5に示したように、後側円柱部112は、アンビルベアリング46の後側支持部462に支持される。後側円柱部112の外周面と後側支持部462の内周面462Sとは、接触する。凹部113は、後側円柱部112よりも前方に配置される。凹部113の外径は、後側円柱部112の外径よりも小さい。前側円柱部114は、凹部113よりも前方に配置される。前側円柱部114の外径は、後側円柱部112の外径と実質的に等しい。
図5に示したように、前側円柱部114は、アンビルベアリング46の前側支持部463に支持される。前側円柱部114の外周面と前側支持部463の内周面463Sとは、接触する。
【0121】
第2シャフト部120は、ハンマケース4の外側に配置される。第2シャフト部120は、ハンマケース4の前端部に設けられた開口から前方に突出する。第2シャフト部120にソケット300が装着される。回転軸AXに直交する第2シャフト部120の断面の外形は、正多角形形状である。第2シャフト部120は、少なくとも3つの平面部121と、少なくとも3つの平面部接続部122とを有する。実施形態において、回転軸AXに直交する第2シャフト部120の断面の外形は、実質的に四角形状である。第2シャフト部120は、4つの平面部121と、4つの平面部接続部122とを有する。
図9に示すように、平面部121は、平面部121Aと、周方向において平面部121Aに隣接する平面部121Bと、周方向において平面部121Bに隣接する平面部121Cと、周方向において平面部121Cに隣接する平面部121Dとを含む。平面部接続部122は、平面部121Aと平面部121Bとの境界に設けられる平面部接続部122Aと、平面部121Bと平面部121Cとの境界に設けられる平面部接続部122Bと、平面部121Cと平面部121Dとの境界に設けられる平面部接続部122Cと、平面部121Dと平面部121Aとの境界に設けられる平面部接続部122Dとを含む。
【0122】
図10に示すように、1つの平面部121は、前後方向に延びる第1エッジ124と、前後方向に延びる第2エッジ125とを有する。第1エッジ124は、平面部121の周方向一方側の端部に配置される。第2エッジ125は、平面部121の周方向他方側の端部に配置される。4つの平面部121のそれぞれが、第1エッジ124及び第2エッジ125を有する。
【0123】
図9の矢印で示すように、アンビル10を前方から見て反時計回りの方向を正転方向とした場合、第1エッジ124は、第2エッジ125よりも正転方向側に配置される。ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10は、周方向一方側に回転される。すなわち、ボルト締付作業において、アンビル10は、正転方向に回転される。
【0124】
遷移部130は、円柱状の第1シャフト部110と正多角形形状(正四角柱状)の第2シャフト部120とを繋ぐ。遷移部130の少なくとも一部は、第1シャフト部110の前側円柱部114の外周面と第2シャフト部120の外面とを滑らかに繋ぐ。遷移部130は、第2シャフト部120の第1エッジ124に繋がる支持部131と、第2シャフト部120の第2エッジ125に繋がる接続部135とを有する。周方向において、支持部131の位置と第1エッジ124の位置とは、実質的に等しい。周方向において、接続部135の位置と第2エッジ125の位置とは、実質的に等しい。すなわち、支持部131は、第1エッジ124の直後(第1エッジ124から軸方向の後方に延びた延長線上)に配置される。接続部135は、第2エッジ125の直後(第2エッジ125から軸方向の後方に延びた延長線上)に配置される。前後方向において、接続部135は、支持部131よりも後方に配置される。遷移部130は、支持部131よりも後方において第2エッジ125に繋がる。
【0125】
遷移部130は、4つの第1エッジ124のそれぞれに繋がる。遷移部130は、4つの第2エッジ125のそれぞれに繋がる。支持部131は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。接続部135は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。
図9に示すように、支持部131は、平面部121Aの第1エッジ124に繋がる支持部131Aと、平面部121Bの第1エッジ124に繋がる支持部131Bと、平面部121Cの第1エッジ124に繋がる支持部131Cと、平面部121Dの第1エッジ124に繋がる支持部131Dとを含む。
【0126】
第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの支持部131のそれぞれに接触する。第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの接続部135のそれぞれに接触しない。
【0127】
第2シャフト部120に装着されたソケット300が、第1エッジ124側の反出力側(後方側)で、遷移部130に接触可能であり、かつ、第2エッジ125側の反出力側(後方側)で、遷移部130に接触不能である。打撃機構部9によるアンビル10の打撃時に、第1エッジ124側の応力が高く、第2エッジ125側の応力が低い。
【0128】
なお、第2シャフト部120に装着されたソケット300が、第2エッジ125側の反出力側(後方側)で、遷移部130に接触可能であり、かつ、第1エッジ124側の反出力側(後方側)で、遷移部130に接触不能でもよい。打撃機構部9によるアンビル10の打撃時に、第2エッジ125側の応力が高く、第1エッジ124側の応力が低くてもよい。
【0129】
遷移部130は、前側円柱部114に接続されるテーパ部134を有する。テーパ部134の後端部は、前側円柱部114の前端部に接続される。テーパ部134の外径は、前方に向かって徐々に小さくなる。テーパ部134の前端部は、平面部121及び平面部接続部122に繋がる。テーパ部134の一部が切り取られることにより、支持部131及び接続部135が形成される。テーパ部134が切り取られた部分の表面は、曲面状である。遷移部130は、平面部121に繋がる曲面部132を有する。曲面部132は、周方向において接続部135と支持部131との間に設けられる。テーパ部134の外面と曲面部132の表面との境界に曲線部133が形成される。曲線部133は、接続部135と支持部131とを繋ぐように形成される。曲線部133は、周方向一方側(正転方向側)に向かって前方に傾斜する。
【0130】
なお、実施形態において、平面部121の一部に凹部123が設けられる。凹部123は、平面部121から径方向内側に窪むように形成される。凹部123は、周方向一方側(正転方向側)に向かって前方に傾斜するように帯状に設けられる。なお、凹部123は無くてもよい。
【0131】
<インパクト工具の動作>
次に、インパクト工具1の動作について説明する。例えば、作業対象にボルト締付作業を実施するとき、作業者は、グリップ部22を例えば右手で握ってトリガレバー14を右手の人差し指で引き操作する。トリガレバー14が引き操作されると、バッテリパック25からモータ6に電力が供給され、モータ6が起動し、同時にライト17が点灯する。モータ6の起動により、ロータシャフト33が回転する。ロータシャフト33が回転すると、ロータシャフト33の回転力がピニオンギヤ41を介してプラネタリギヤ42に伝達される。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合った状態で、自転しながらピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。プラネタリギヤ42の公転により、スピンドル8は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0132】
ハンマ突起部475とアンビル突起部102とが接触している状態で、スピンドル8が回転すると、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。アンビル10が回転することにより、ボルト締付作業が進行する。
【0133】
ボルト締付作業の進行により、アンビル10に所定値以上の負荷が作用した場合、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ハンマ47は、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部475とアンビル突起部102との接触が解除される。
【0134】
ハンマ47が後方に移動するとき、ハンマ47は、スピンドルシャフト部801に対して相対回転する。ワッシャ61は、ハンマ47及びスピンドル8から離れている。そのため、ハンマ47の回転は、ワッシャ61に妨げられない。また、ワッシャ61とハンマ47との間に支持ボール54が配置される。支持ボール54が回転することにより、ハンマ47は、円滑に回転することができる。
【0135】
後方に移動したハンマ47は、第1コイルスプリング51及び第2コイルスプリング52の弾性力により、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動することにより、アンビル突起部102は、ハンマ突起部475により回転方向に打撃される。これにより、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転する。そのため、ねじは作業対象に高いトルクで締め付けられる。
【0136】
<効果>
以上説明したように、実施形態において、インパクト工具1は、前後方向に延びる回転軸AXを中心に回転するロータ27を有するモータ6と、ロータ27の回転力により回転するスピンドル8と、スピンドル8の少なくとも一部よりも前方に配置され、回転軸AXに平行な軸方向に延びるアンビルシャフト部101及びアンビルシャフト部101から回転軸AXの径方向外側に突出するアンビル突起部102を有するアンビル10と、スピンドル8に支持され、アンビル突起部102を回転方向に打撃するハンマ突起部475を有するハンマ47と、を備える。アンビルシャフト部101は、回転軸AXに直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部110と、第1シャフト部110よりも前方に配置され、断面の外形が四角形状の第2シャフト部120と、第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される遷移部130と、を有する。第2シャフト部120は、4つの平面部121と、4つの平面部接続部122と、を有する。4つの平面部121のそれぞれは、回転軸AXの周方向一方側の端部に配置される第1エッジ124と、周方向他方側の端部に配置される第2エッジ125と、を有する。遷移部130は、第1エッジ124に繋がる支持部131を有し、支持部131よりも後方において第2エッジ125に繋がる。
【0137】
上記の構成では、遷移部130に局所的に大きい力が加わることが抑制されるので、アンビル10の耐久性が向上する。第2シャフト部120にソケット300が装着された場合、ソケット300の後端部は、遷移部130の少なくとも一部に接触する。アンビル10がハンマ47に打撃されると、ソケット300が振動する。遷移部130には、ソケット300の振動とボルト締付作業による回転方向の力とが加わる。上記の構成では、ソケット300と第1エッジ124に繋がる支持部131とは第1の接触力で接触し、ソケット300と第2エッジ125の近傍とは第1の接触力よりも小さい第2の接触力で接触する又は接触しない。これにより、例えば、ボルト締付作業により第2エッジ125の近傍に回転方向の引張応力が作用しても、第2エッジ125の近傍にソケット300の振動が加わることが抑制される。すなわち、第2エッジ125の近傍に、ソケット300の振動と回転方向の引張応力との両方が加わることが抑制される。第1エッジ124の近傍には専らソケット300の振動が加わり、第2エッジ125の近傍には専ら回転方向の引張応力が加わる。遷移部130に加わる力が第1エッジ124の近傍と支持部131の近傍とに分散されるので、アンビル10の耐久性が向上する。
【0138】
実施形態において、第2シャフト部120にソケット300が装着される。ソケット300は、4つの支持部131のそれぞれに接触する。
【0139】
上記の構成では、ソケット300が4つの支持部131のそれぞれに接触するので、アンビル10はソケット300を安定して支持することができる。
【0140】
実施形態において、ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10は周方向一方側(正転方向側)に回転する。
【0141】
上記の構成では、ボルト締付作業において、第1エッジ124よりも逆転方向側に配置される第2エッジ125に引張応力が集中する。ボルト締付作業により第2エッジ125の近傍に回転方向の引張応力が作用しても、第2エッジ125の近傍にソケット300の振動が加わることが抑制される。すなわち、第2エッジ125の近傍に、ソケット300の振動と回転方向の引張応力との両方が加わることが抑制される。支持部131の近傍には専らソケット300の振動が加わり、第2エッジ125の近傍には専ら回転方向の引張応力が加わる。ボルト締付作業において、遷移部130に加わる力が支持部131の近傍と第2エッジ125の近傍とに分散されるので、アンビル10の耐久性が向上する。
【0142】
実施形態において、遷移部130は、第2エッジ125に繋がる接続部135を有する。接続部135は、支持部131よりも後方に配置される。ソケット300は、4つの支持部131のそれぞれに接触し、4つの接続部135のそれぞれに接触しない。
【0143】
上記の構成では、ボルト締付作業において、接続部135に回転方向の引張応力が集中し易い。ソケット300と支持部131とが接触し、ソケット300と接続部135とが離れるので、接続部135に、ソケット300の振動と回転方向の引張応力との両方が加わることが抑制される。支持部131には専らソケット300の振動が加わり、接続部135には専ら回転方向の引張応力が加わる。遷移部130に加わる力が支持部131と接続部135とに分散されるので、アンビル10の耐久性が向上する。
【0144】
実施形態において、遷移部130は、接続部135と支持部131との間に設けられ、平面部121に繋がる曲面部132を有する。ソケット300は、曲面部132に接触しない。
【0145】
上記の構成では、遷移部130に局所的に大きい力が加わることが抑制される。
【0146】
実施形態において、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。
【0147】
上記の構成では、アンビルベアリング46は、円柱状の第1シャフト部110を支持することができる。
【0148】
実施形態において、インパクト工具1は、ロータ27を有するモータ6と、ロータ27の回転力により回転する打撃機構部9と、打撃機構部9より、回転方向に打撃されるアンビル10と、を備える。アンビル10は、回転軸AXを有するアンビルシャフト部101を有する。アンビルシャフト部101は、回転軸AXに直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部110と、第1シャフト部110よりも出力側に配置され、断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部120と、第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される遷移部130と、を有する。第2シャフト部120は、少なくとも3つの平面部121と、少なくとも3つの平面部接続部122と、を有する。少なくとも3つの平面部121のそれぞれは、回転軸AXの周方向一方側の端部に配置される第1エッジ124と、周方向他方側の端部に配置される第2エッジ125と、を有する。第2シャフト部120に装着されたソケット300が、第1エッジ124側又は第2エッジ125側の反出力側で、遷移部130に接触可能であり、かつ、第2エッジ125側又は第1エッジ124側の反出力側で、遷移部130に接触不能である。アンビル10の打撃時に、第1エッジ124側又は第2エッジ125側の応力が高く、第2エッジ125側又は第1エッジ124側の応力が低い。
【0149】
上記の構成では、アンビル10の耐久性が向上する。
【0150】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0151】
図11は、実施形態に係るアンビル1010を示す側面図である。
図12は、実施形態に係るアンビル1010の一部を拡大した図である。上述の実施形態と同様、アンビル1010のアンビルシャフト部1101は、回転軸AXに直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部110と、第1シャフト部110よりも出力側に配置され、断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部120と、第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される遷移部130と、を有する。第2シャフト部120は、少なくとも3つの平面部121と、少なくとも3つの平面部接続部122と、を有する。少なくとも3つの平面部121のそれぞれは、回転軸AXの周方向一方側の端部に配置される第1エッジ124と、周方向他方側の端部に配置される第2エッジ125と、を有する。
【0152】
図11及び
図12においてハッチングを付した第1エッジ124側の反出力側の遷移箇所、又は、第1エッジ124側の平面部121の反出力側は第1の硬度である。ハッチングを付していない第2エッジ125側の反出力側の遷移箇所、又は、第2エッジ125側の平面部121の反出力側は、第1の硬度よりも低い第2の硬度である。
【0153】
以上説明したように、熱処理や材料の組み合わせにより、アンビル10のソケット300の嵌め合い部である第2シャフト部120に硬度の差が付けられる。なお、熱処理の方法として、例えば、硬度高部をレーザー焼入れすることが挙げられる。材料のの組み合わせは、例えば、硬度高部に超硬チップをつけることが挙げられる。軸方向の振動及び荷重は硬度高部で受け、回転方向のねじり荷重は硬度低部(靭性高部)で受ける。これにより、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル1010が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0154】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0155】
図13は、実施形態に係るアンビル2010を示す側面図である。アンビル2010のアンビルシャフト部2101は、第1シャフト部110と、第1シャフト部110よりも出力側に配置され、回転軸AXに直交する断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部120と、第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される遷移部130と、を有する。第2シャフト部120は、少なくとも3つの平面部121と、少なくとも3つの平面部接続部122と、を有する。少なくとも3つの平面部121のそれぞれは、回転軸AXの周方向一方側の端部に配置される第1エッジ124と、周方向他方側の端部に配置される第2エッジ125と、を有する。
【0156】
第2シャフト部120にソケット300が装着される。ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル2010は正転方向に回転する。ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル2010が正転方向に回転したときに、アンビルシャフト部2101が軸方向に圧縮荷重を受けるように、第1シャフト部110の表面が螺旋形状である。
【0157】
以上説明したように、螺旋形状により、回転方向によってアンビル2010に掛かる応力が異なる。アンビルシャフト部2101の少なくとも一部が螺旋形状に捩られることにより、回転方向の荷重の一部が軸方向に分解される。アンビル2010が正転方向に回転した場合、アンビル2010に圧縮荷重が掛かる。アンビル2010が逆転方向に回転した場合、アンビル2010に引張荷重が掛かる。アンビル2010を構成する材料は、通常は圧縮方向に強度が高いため、本実施形態の場合、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル2010が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0158】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0159】
図14は、実施形態に係るアンビル3010を示す側面図である。
図15は、実施形態に係るアンビル3010の一部を拡大した図である。アンビル3010のアンビルシャフト部3101は、回転軸AXに直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部110と、第1シャフト部110よりも出力側に配置され、断面の外形が正多角形形状の第2シャフト部120と、第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される遷移部130と、を有する。第2シャフト部120は、少なくとも3つの平面部121と、少なくとも3つの平面部接続部122と、を有する。少なくとも3つの平面部121のそれぞれは、回転軸AXの周方向一方側の端部に配置される第1エッジ124と、周方向他方側の端部に配置される第2エッジ125と、を有する。
【0160】
平面部121は、周方向一方側の反出力側において突起部126を有する。第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部が、突起部126と接触する。
【0161】
以上説明したように、突起部126により、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル1010が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0162】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0163】
図16は、実施形態に係るアンビル10を示す側面図である。
図16に示すアンビル10は、上述の第1実施形態において説明したアンビル10と同様である。
【0164】
アンビルシャフト部101は、回転軸AXに直交する断面の外形が円形状の第1シャフト部110と、第1シャフト部100よりも前方に配置され、回転軸AXに直交する断面の外形が四角形状の第2シャフト部120と、軸方向において第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される遷移部130と、を有する。
【0165】
第2シャフト部120は、4つの平面部121と、4つの平面部接続部122と、を有する。4つの平面部121のそれぞれは、回転軸AXの周方向一方側(正転方向側)の端部に配置される第1エッジ124と、周方向他方側(逆転方向側)の端部に配置される第2エッジ125と、を有する。
【0166】
正転方向側は、アンビル10とソケット300が接触する側である。
【0167】
平面部121と平行な面内において、周方向における平面部121の中心線CXよりも周方向一方側(正転方向側)であって第1エッジ124に繋がる遷移部130の第1部分1301の形状と、中心線CXよりも周方向他方側(他方側)であって第2エッジ125に繋がる遷移部130の第2部分1302の形状とは、異なる。中心線CXは、周方向において平面部121の中心を通り軸方向に延びる線である。
【0168】
上述の第1実施形態と同様、遷移部130は、第1エッジ124に繋がる支持部131と、第2エッジ125に繋がる接続部135とを有する。接続部135は、支持部131よりも後方に配置される。第2シャフト部120にソケット300が装着される。ソケット300は、支持部131に接触し、接続部135に接触しない。
【0169】
図5及び
図16に示すように、先端部140に凹部140Aが設けられる。凹部140Aは、回転軸AXを囲むように設けられる。凹部140Aにリングスプリング85が配置される。リングスプリング85の弾性力により、第2シャフト部120に装着されたソケット300が第2シャフト部120に固定される。以下の説明において、リングスプリング85の弾性力によりソケット300を固定する方式を適宜、リングスプリング方式、と称する。
【0170】
遷移部130は、接続部135と支持部131との間に設けられ、平面部121に繋がる曲面部132を有する。軸方向において遷移部130と平面部121との間に凹部123が設けられる。凹部123は、第1エッジ124と第2エッジ125とを繋ぐように設けられる。凹部123の前端部を規定する前側エッジ123Aと凹部123の後端部を規定する後側エッジ123Bとは、相互に平行である。
【0171】
軸方向において、第1エッジ124に繋がる前側エッジ123Aの一端部の位置と、第2エッジ125に繋がる前側エッジ123Aの他端部の位置とは、異なる。すなわち、凹部123(前側エッジ123A及び後側エッジ123B)は、中心線CXに対して傾斜している。
図16に示す例においては、軸方向において、第1エッジ124に繋がる前側エッジ123Aの一端部は、第2エッジ125に繋がる前側エッジ123Aの他端部よりも前方に配置される。
【0172】
軸方向において、支持部131と前側エッジ123の一端部との距離Laは、4.3mmである。
【0173】
また、軸方向において、支持部131と前側エッジ123の一端部との距離Laは、アンビル10(アンビルシャフト部101)の前端部と遷移部130の後端部との距離Lbの1/6以上1/5以下である。
【0174】
平面部121に平行な面内において、中心線CXに直交する基準線と前側エッジ123Aとがなす角度θは、15°以上25°以下である。角度θは、例えば8°でもよい。
【0175】
ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10は、正転方向側に回転される。上述の第1実施形態と同様、アンビル10は、正転方向側に第1部分1301を有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0176】
また、本発明者の知見によれば、距離Laが4.3mmなので、アンビル10の強度や耐久性が向上する。距離Laが長すぎると、平面部121の面積が小さくなって応力集中し易くなったり、アンビル10の全長が長くなったりする。距離Laが短すぎると、アンビル10の強度や耐久性が不足する可能性がある。
【0177】
また、本発明者の知見によれば、角度θが15°以上25°以下なので、アンビル10の強度や耐久性が向上する。上述のように、第1エッジ124近傍には専らソケット300の振動が加わり、第2エッジ125近傍には専ら回転方向の引張応力が加わる。凹部123が傾斜しているので、振動が加わる部分と引張応力が加わる部分との距離が長くなる。そのため、アンビル10の強度や耐久性が向上する。角度θが25°を上回り、45°に近付くと、クラック進展角度に近付くことになる。角度θが15°を下回ると、強度及び耐久性向上の効果が小さくなる。
【0178】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0179】
図17は、実施形態に係るアンビル10N1を示す右前方からの斜視図である。
図18は、実施形態に係るアンビル10N1を示す左後方からの斜視図である。
図19は、実施形態に係るアンビル10N1を示す側面図である。
図20は、実施形態に係るアンビル10N1を示す断面図である。
図21は、実施形態に係るアンビル10N1の一部を拡大した図である。
【0180】
アンビル10N1は、軸方向に延びるアンビルシャフト部101N1と、アンビルシャフト部101N1の後端部から径方向外側に突出する2つのアンビル突起部102と、アンビル10N1の後面の中央部から前方に窪む凹部103とを有する。スピンドル8の前端部が凹部103に配置される。
【0181】
アンビルシャフト部101N1は、第1シャフト部110と、第2シャフト部120と、遷移部130Nと、先端部140とを有する。第1シャフト部110の後端部は、アンビル突起部102に接続される。第2シャフト部120は、第1シャフト部110よりも前方に配置される。遷移部130Nは、前後方向において第1シャフト部110と第2シャフト部120との間に配置される。第1シャフト部110の前端部は、遷移部130Nの後端部に接続される。第2シャフト部120の後端部は、遷移部130Nの前端部に接続される。第1シャフト部110と第2シャフト部120とは、遷移部130Nを介して繋がる。先端部140は、第2シャフト部120よりも前方に配置される。
【0182】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。回転軸AXに直交する第1シャフト部110の断面の外形は、円形状である。第1シャフト部110は、凹部111と、後側円柱部112と、凹部113と、前側円柱部114とを有する。凹部111は、後側円柱部112よりも後方に配置される。凹部111は、アンビルシャフト部101とアンビル突起部102との境界に設けられる。凹部111の外径は、後側円柱部112の外径よりも小さい。
【0183】
アンビル10N1の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10N1と上述の各実施形態において説明したアンビル10等との共通部分である。
【0184】
第2シャフト部120にソケット300が装着される。先端部140に凹部140Aが設けられる。アンビル10N1は、リングスプリング方式でソケット300を固定する。回転軸AXに直交する第2シャフト部120の断面の外形は、実質的に四角形状である。第2シャフト部120は、4つの平面部121と、4つの平面部接続部122とを有する。
【0185】
1つの平面部121は、前後方向に延びる第1エッジ124と、前後方向に延びる第2エッジ125とを有する。第1エッジ124は、平面部121の周方向一方側(正転方向側)の端部に配置される。第2エッジ125は、平面部121の周方向他方側(逆転方向側)の端部に配置される。4つの平面部121のそれぞれが、第1エッジ124及び第2エッジ125を有する。
【0186】
ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10N1は、正転方向に回転される。
【0187】
遷移部130Nは、円柱状の第1シャフト部110と正多角形形状(正四角柱状)の第2シャフト部120とを繋ぐ。遷移部130Nの少なくとも一部は、第1シャフト部110の前側円柱部114の外周面と第2シャフト部120の外面とを滑らかに繋ぐ。遷移部130Nは、第2シャフト部120の第1エッジ124に繋がる支持部131と、第2シャフト部120の第2エッジ125に繋がる接続部135とを有する。周方向において、支持部131の位置と第1エッジ124の位置とは、実質的に等しい。周方向において、接続部135の位置と第2エッジ125の位置とは、実質的に等しい。すなわち、支持部131は、第1エッジ124の直後(第1エッジ124から軸方向の後方に延びた延長線上)に配置される。接続部135は、第2エッジ125の直後(第2エッジ125から軸方向の後方に延びた延長線上)に配置される。前後方向において、接続部135は、支持部131よりも後方に配置される。遷移部130Nは、支持部131よりも後方において第2エッジ125に繋がる。
【0188】
遷移部130Nは、4つの第1エッジ124のそれぞれに繋がる。遷移部130Nは、4つの第2エッジ125のそれぞれに繋がる。支持部131は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。接続部135は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。
【0189】
第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの支持部131のそれぞれに接触する。第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの接続部135のそれぞれに接触しない。
【0190】
第2シャフト部120に装着されたソケット300が、第1エッジ124側の反出力側(後方側)で、遷移部130Nに接触可能であり、かつ、第2エッジ125側の反出力側(後方側)で、遷移部130Nに接触不能である。打撃機構部9によるアンビル10の打撃時に、第1エッジ124側の応力が高く、第2エッジ125側の応力が低い。
【0191】
遷移部130Nは、前側円柱部114に接続されるテーパ部134を有する。テーパ部134の後端部は、前側円柱部114の前端部に接続される。テーパ部134の外径は、前方に向かって徐々に小さくなる。テーパ部134の前端部は、平面部121及び平面部接続部122に繋がる。テーパ部134の一部が切り取られることにより、支持部131及び接続部135が形成される。テーパ部134が切り取られた部分の表面は、曲面状である。遷移部130Nは、平面部121に繋がる曲面部132を有する。曲面部132は、周方向において接続部135と支持部131との間に設けられる。テーパ部134の外面と曲面部132の表面との境界に曲線部133が形成される。曲線部133は、接続部135と支持部131とを繋ぐように形成される。曲線部133は、周方向一方側(正転方向側)に向かって前方に傾斜する。
【0192】
図21に示すように、平面部121と平行な面内において、周方向における平面部121の中心線CXよりも周方向一方側(正転方向側)であって第1エッジ124に繋がる遷移部130Nの第1部分1301の形状と、中心線CXよりも周方向他方側(逆転方向側)であって第2エッジ125に繋がる遷移部130Nの第2部分1302の形状とは、異なる。中心線CXは、周方向において平面部121の中心を通り軸方向に延びる線である。
【0193】
ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10N1は、正転方向側に回転される。アンビル10N1は、正転方向側に第1部分1301を有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10N1が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0194】
すなわち、遷移部130Nの形状は、アンビル10N1が正転方向に回転したときの強度や耐久性を向上させる。以下の説明において、遷移部130Nを適宜、正転用遷移部130N、と称する。
【0195】
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0196】
図22は、実施形態に係るアンビル10R1を示す右前方からの斜視図である。
図23は、実施形態に係るアンビル10R1を示す左後方からの斜視図である。
図24は、実施形態に係るアンビル10R1を示す側面図である。
図25は、実施形態に係るアンビル10R1を示す断面図である。
図26は、実施形態に係るアンビル10R1の一部を拡大した図である。
【0197】
アンビル10R1は、軸方向に延びるアンビルシャフト部101R1と、アンビルシャフト部101R1の後端部から径方向外側に突出する2つのアンビル突起部102と、アンビル10R1の後面の中央部から前方に窪む凹部103とを有する。スピンドル8の前端部が凹部103に配置される。
【0198】
アンビルシャフト部101R1は、第1シャフト部110と、第2シャフト部120と、遷移部130Rと、先端部140とを有する。
【0199】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。アンビル10R1の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10R1と上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等との共通部分である。
【0200】
第2シャフト部120にソケット300が装着される。先端部140に凹部140Aが設けられる。アンビル10N1は、リングスプリング方式でソケット300を固定する。
【0201】
1つの平面部121は、前後方向に延びる第1エッジ124と、前後方向に延びる第2エッジ125とを有する。第1エッジ124は、平面部121の周方向一方側(逆転方向側)の端部に配置される。第2エッジ125は、平面部121の周方向他方側(正転方向側)の端部に配置される。4つの平面部121のそれぞれが、第1エッジ124及び第2エッジ125を有する。
【0202】
ソケット300に挿入されたボルトを緩めるときに、アンビル10は、逆転方向に回転される。
【0203】
遷移部130Rは、円柱状の第1シャフト部110と正多角形形状(正四角柱状)の第2シャフト部120とを繋ぐ。遷移部130Rの少なくとも一部は、第1シャフト部110の前側円柱部114の外周面と第2シャフト部120の外面とを滑らかに繋ぐ。遷移部130Rは、第2シャフト部120の第1エッジ124に繋がる支持部131と、第2シャフト部120の第2エッジ125に繋がる接続部135とを有する。周方向において、支持部131の位置と第1エッジ124の位置とは、実質的に等しい。周方向において、接続部135の位置と第2エッジ125の位置とは、実質的に等しい。すなわち、支持部131は、第1エッジ124の直後(第1エッジ124から軸方向の後方に延びた延長線上)に配置される。接続部135は、第2エッジ125の直後(第2エッジ125から軸方向の後方に延びた延長線上)に配置される。前後方向において、接続部135は、支持部131よりも後方に配置される。遷移部130Rは、支持部131よりも後方において第2エッジ125に繋がる。
【0204】
遷移部130Rは、4つの第1エッジ124のそれぞれに繋がる。遷移部130Rは、4つの第2エッジ125のそれぞれに繋がる。支持部131は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。接続部135は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。
【0205】
第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの支持部131のそれぞれに接触する。第2シャフト部120に装着されたソケット300の後端部は、4つの接続部135のそれぞれに接触しない。
【0206】
第2シャフト部120に装着されたソケット300が、第1エッジ124側の反出力側(後方側)で、遷移部130Rに接触可能であり、かつ、第2エッジ125側の反出力側(後方側)で、遷移部130Rに接触不能である。打撃機構部9によるアンビル10の打撃時に、第1エッジ124側の応力が高く、第2エッジ125側の応力が低い。
【0207】
遷移部130Rは、前側円柱部114に接続されるテーパ部134を有する。テーパ部134の後端部は、前側円柱部114の前端部に接続される。テーパ部134の外径は、前方に向かって徐々に小さくなる。テーパ部134の前端部は、平面部121及び平面部接続部122に繋がる。テーパ部134の一部が切り取られることにより、支持部131及び接続部135が形成される。テーパ部134が切り取られた部分の表面は、曲面状である。遷移部130Rは、平面部121に繋がる曲面部132を有する。曲面部132は、周方向において接続部135と支持部131との間に設けられる。テーパ部134の外面と曲面部132の表面との境界に曲線部133が形成される。曲線部133は、接続部135と支持部131とを繋ぐように形成される。曲線部133は、周方向一方側(逆転方向側)に向かって前方に傾斜する。
【0208】
図25に示すように、平面部121と平行な面内において、周方向における平面部121の中心線CXよりも周方向一方側(逆転方向側)であって第1エッジ124に繋がる遷移部130Rの第1部分1301の形状と、中心線CXよりも周方向他方側(正転方向側)であって第2エッジ125に繋がる遷移部130Rの第2部分1302の形状とは、異なる。中心線CXは、周方向において平面部121の中心を通り軸方向に延びる線である。
【0209】
ソケット300に挿入されたボルトを緩めるときに、アンビル10R1は、逆転方向側に回転される。アンビル10R1は、逆転方向側に第1部分1301を有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10が逆転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0210】
すなわち、遷移部130Rの形状は、アンビル10R1が正転方向に回転したときの強度や耐久性を向上させる。以下の説明において、遷移部130Rを適宜、逆転用遷移部130R、と称する。
【0211】
平面部121に平行な面内において、逆転用遷移部130Rは、正転用遷移部130Nと鏡写対称(鏡写しの関係)である。
図21と
図26とに示すように、逆転用遷移部130Rは、正転用遷移部130Nと上下が反転した形状である。
【0212】
なお、例えば
図16に示したアンビル10は、正転用遷移部130Nと実質的に同一形状の遷移部130を有するが、遷移部130に代えて逆転用遷移部130Rを有してもよい。アンビル10が逆転用遷移部130Rを有する場合、凹部123は、
図16に示した例とは鏡写しの関係で形成される。
【0213】
[第8実施形態]
第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0214】
図27は、実施形態に係るアンビル10N2を示す右前方からの斜視図である。
図28は、実施形態に係るアンビル10N2を示す左後方からの斜視図である。
図29は、実施形態に係るアンビル10N2を示す側面図である。
図30は、実施形態に係るアンビル10N2を示す断面図である。
【0215】
アンビル10N2は、上述の第6実施形態において説明したアンビル10N1の変形例である。アンビル10N2のアンビルシャフト部101N2は、正転用遷移部130Nを有する。
【0216】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。アンビル10N2の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10N2と上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等との共通部分である。
【0217】
第2シャフト部120にソケット300が装着される。先端部140に凹部140Aが設けられる。アンビル10N2は、リングスプリング方式でソケット300を固定する。
【0218】
アンビル10N2の第2シャフト部120の構造は、アンビル10N1の第2シャフト部120の構造とは異なる。アンビル10N2の第2シャフト部120に、ピンが挿入されるピン孔301が設けられる。ソケット300にピンが挿入されるピン孔が設けられる。第2シャフト部120にソケット300が装着された状態で、ソケット300ピン孔及び第2シャフト部120のピン孔301にピンが挿入されることにより、第2シャフト部120に装着されたソケット300が第2シャフト部120に固定される。以下の説明において、ピンによりソケット300を固定する方式を適宜、ピン方式、と称する。
【0219】
実施形態においては、リングスプリング方式及びピン方式の2つの固定方式を組み合わせた複合方式でソケット300がアンビル10N2に固定される。
【0220】
ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10N2は、正転方向に回転される。アンビル10N2は、正転用遷移部130Nを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10N2が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0221】
[第9実施形態]
第9実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0222】
図31は、実施形態に係るアンビル10R2を示す右前方からの斜視図である。
図32は、実施形態に係るアンビル10R2を示す左後方からの斜視図である。
図33は、実施形態に係るアンビル10R2を示す側面図である。
図34は、実施形態に係るアンビル10R2を示す断面図である。
【0223】
アンビル10R2は、上述の第7実施形態において説明したアンビル10R1の変形例である。アンビル10R2のアンビルシャフト部101R2は、逆転用遷移部130Rを有する。
【0224】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。アンビル10R2の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10R2と上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等との共通部分である。
【0225】
第2シャフト部120にソケット300が装着される。先端部140に凹部140Aが設けられる。アンビル10R2は、リングスプリング方式でソケット300を固定する。
【0226】
アンビル10R2の第2シャフト部120の構造は、アンビル10R1の第2シャフト部120の構造とは異なる。アンビル10R2の第2シャフト部120に、ピンが挿入されるピン孔301が設けられる。実施形態においては、リングスプリング方式及びピン方式の2つの固定方式でソケット300がアンビル10R2に固定される。
【0227】
ソケット300に挿入されたボルトを緩めるときに、アンビル10R2は、逆転方向に回転される。アンビル10R2は、逆転用遷移部130Rを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10R2が逆転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0228】
[第10実施形態]
第10実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0229】
図35は、実施形態に係るアンビル10N3を示す右前方からの斜視図である。
図36は、実施形態に係るアンビル10N3を示す左後方からの斜視図である。
図37は、実施形態に係るアンビル10N3を示す側面図である。
図38は、実施形態に係るアンビル10N3を示す断面図である。
【0230】
アンビル10N3は、上述の第6実施形態において説明したアンビル10N1の変形例である。アンビル10N3のアンビルシャフト部101N3は、正転用遷移部130Nを有する。
【0231】
アンビルシャフト部101N3は、中間部150を有する。中間部150は、軸方向において第1シャフト部110と正転用遷移部130Nとの間に配置される。アンビルシャフト部101N3の長さは、上述の第6実施形態において説明したアンビルシャフト部101N1の長さよりも長い。
【0232】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。アンビル10N3の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10N3と上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等との共通部分である。
【0233】
第2シャフト部120にソケット300が装着される。先端部140に凹部140Aが設けられる。アンビル10N3は、リングスプリング方式でソケット300を固定する。
【0234】
ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10N3は、回転方向に回転される。アンビル10N3は、正転用遷移部130Nを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10N3が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0235】
[第11実施形態]
第11実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0236】
図39は、実施形態に係るアンビル10R3を示す右前方からの斜視図である。
図40は、実施形態に係るアンビル10R3を示す左後方からの斜視図である。
図41は、実施形態に係るアンビル10R3を示す側面図である。
図42は、実施形態に係るアンビル10R3を示す断面図である。
【0237】
アンビル10R3は、上述の第7実施形態において説明したアンビル10R1の変形例である。アンビル10R3のアンビルシャフト部101R3は、逆転用遷移部130Rを有する。
【0238】
アンビルシャフト部101R3は、中間部150を有する。中間部150は、軸方向において第1シャフト部110と逆転用遷移部130Rとの間に配置される。アンビルシャフト部101R3の長さは、上述の第7実施形態において説明したアンビルシャフト部101R1の長さよりも長い。
【0239】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。アンビル10R3の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10R3と上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等との共通部分である。
【0240】
第2シャフト部120にソケット300が装着される。先端部140に凹部140Aが設けられる。アンビル10R3は、リングスプリング方式でソケット300を固定する。
【0241】
ソケット300に挿入されたボルトを緩めるときに、アンビル10R3は、逆転方向に回転される。アンビル10R3は、逆転用遷移部130Rを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10R3が逆転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0242】
[第12実施形態]
第12実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0243】
図43は、実施形態に係るアンビル10N4を示す右前方からの斜視図である。
図44は、実施形態に係るアンビル10N4を示す左後方からの斜視図である。
図45は、実施形態に係るアンビル10N4を示す側面図である。
図46は、実施形態に係るアンビル10N4を示す断面図である。
【0244】
アンビル10N4は、上述の第6実施形態において説明したアンビル10N1の変形例である。アンビル10N4のアンビルシャフト部101N4は、正転用遷移部130Nを有する。
【0245】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。アンビル10N4の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10N4と上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等との共通部分である。
【0246】
アンビル10N4の第2シャフト部120の構造は、アンビル10N1の第2シャフト部120の構造とは異なる。アンビル10N4の第2シャフト部120に、ピン孔302及び収容孔303が設けられる。収容孔303は、第2シャフト部120の前端面から後方に延びるように形成される。ピン孔302は、第2シャフト部120の外周面と収容孔303とを繋ぐように形成される。収容孔303に不図示の弾性部材が配置される。ピン孔302は、不図示のピンを移動可能に支持する。弾性部材は、ピンが径方向外側に移動するように弾性力を発生する。第2シャフト部120にソケット300が装着されると、ピンが径方向外側に移動して、第2シャフト部120に装着されたソケット300を第2シャフト部120に固定する。以下の説明において、弾性部材により移動可能なピンによりソケット300を固定する方式を適宜、ピンディテント方式、と称する。
【0247】
ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10N4は、正転方向に回転される。アンビル10N4は、正転用遷移部130Nを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10N4が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0248】
[第13実施形態]
第13実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0249】
図47は、実施形態に係るアンビル10R4を示す右前方からの斜視図である。
図48は、実施形態に係るアンビル10R4を示す左後方からの斜視図である。
図49は、実施形態に係るアンビル10R4を示す側面図である。
図50は、実施形態に係るアンビル10R4を示す断面図である。
【0250】
アンビル10R4は、上述の第7実施形態において説明したアンビル10R1の変形例である。アンビル10R4のアンビルシャフト部101R4は、逆転用遷移部130Rを有する。
【0251】
上述の実施形態と同様、第1シャフト部110の少なくとも一部は、アンビルベアリング46に支持される。アンビル10R4の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、アンビル10R4と上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等との共通部分である。
【0252】
アンビル10R4の第2シャフト部120の構造は、アンビル10R1の第2シャフト部120の構造とは異なる。アンビル10R4の第2シャフト部120に、ピン孔302及び収容孔303が設けられる。ソケット300は、ピンディテント方式でアンビル10R4に固定される。
【0253】
ソケット300に挿入されたボルトを緩めるときに、アンビル10R4は、逆転方向に回転される。アンビル10R4は、逆転用遷移部130Rを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10R4が逆転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0254】
[第14実施形態]
第14実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0255】
図51は、実施形態に係るアンビル10N5を示す右前方からの斜視図である。
図52は、実施形態に係るアンビル10N5を示す左後方からの斜視図である。
図53は、実施形態に係るアンビル10N5を示す側面図である。
図54は、実施形態に係るアンビル10N5を示す断面図である。
【0256】
アンビル10N5は、上述の第6実施形態において説明したアンビル10N1の変形例である。アンビル10N5のアンビルシャフト部101N5は、正転用遷移部130Nを有する。ソケット300は、リングスプリング方式で第2シャフト部120に固定される。
【0257】
アンビル10N5の第1シャフト部110の太さは、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110の太さよりも太い。アンビル10N5のアンビル突起部102及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10等のアンビル突起部102及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。アンビル突起部102及び凹部103は、アンビル10N5と上述の各実施形態において説明したアンビル10等との共通部分である。
【0258】
ソケット300に挿入されたボルトを締め付けるときに、アンビル10N5は、正転方向に回転される。アンビル10N5は、正転用遷移部130Nを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10N5が正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0259】
[第15実施形態]
第15実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0260】
図55は、実施形態に係るアンビル10R5を示す右前方からの斜視図である。
図56は、実施形態に係るアンビル10R5を示す左後方からの斜視図である。
図57は、実施形態に係るアンビル10R5を示す側面図である。
図58は、実施形態に係るアンビル10R5を示す断面図である。
【0261】
アンビル10R5は、上述の第7実施形態において説明したアンビル10R1の変形例である。アンビル10R5のアンビルシャフト部101R5は、逆転用遷移部130Rを有する。ソケット300は、リングスプリング方式で第2シャフト部120に固定される。
【0262】
アンビル10R5の第1シャフト部110の太さは、上述の各実施形態において説明したアンビル10N1等の第1シャフト部110の太さよりも太い。アンビル10R5のアンビル突起部102及び凹部103は、上述の各実施形態において説明したアンビル10等のアンビル突起部102及び凹部103と同一構造(同一形状及び同一寸法)である。アンビル突起部102及び凹部103は、アンビル10R5と上述の各実施形態において説明したアンビル10等との共通部分である。
【0263】
ソケット300に挿入されたボルトを緩めるときに、アンビル10R5は、逆転方向に回転される。アンビル10R5は、逆転用遷移部130Rを有するので、ソケット300にボルトが挿入された状態でアンビル10R5が逆転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0264】
[第16実施形態]
第16実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0265】
図59は、実施形態に係るアンビルセットを説明するための図である。アンビルセットは、上述の各実施形態において説明したような、アンビル10N1,10R1,10N2,10R2,10N3,10R3,10N4,10R4,10N5,10R5を含む。
【0266】
上述の実施形態において説明したように、アンビル10N1,10N2,10N3,10N4,10N5は、正転用遷移部130Nを有する。アンビル10R1,10R2,10R3,10R4,10R5は、逆転用遷移部130Rを有する。正転用遷移部130Nの形状と逆転用遷移部130Rの形状とは、異なる。
【0267】
アンビル10N1,10R1,10N2,10R2,10N3,10R3,10N4,10R4の第1シャフト部110、アンビル突起部102、及び凹部103は、相互に同一構造(同一形状及び同一寸法)の共通部分である。そのため、アンビルベアリング46に対して、アンビル10N1,10R1,10N2,10R2,10N3,10R3,10N4,10R4は、交換可能である。アンビルベアリング46は、アンビル10N1,10R1,10N2,10R2,10N3,10R3,10N4,10R4のそれぞれの第1シャフト部110を支持することができる。アンビル10N1,10R1,10N2,10R2,10N3,10R3,10N4,10R4のそれぞれのアンビル突起部102を打撃することができる。
【0268】
アンビル10N1,10R1,10N2,10R2,10N3,10R3,10N4,10R4の正転用遷移部130N、逆転用遷移部130R、第2シャフト部120は、構造が相互に異なる差異部分である。そのため、作業者は、作業内容に合わせて、任意のアンビルがインパクト工具1に装着することができる。
【0269】
ボルト締付作業が実施される場合、正転用遷移部130Nを有するアンビル10N1,10N2,10N3,10N4がインパクト工具1に装着されることにより、アンビルが正転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0270】
ボルト弛緩作業が実施される場合、逆転用遷移部130Rを有するアンビル10R1,10R2,10R3,10R4がインパクト工具1に装着されることにより、アンビル10が逆転方向に回転したときの強度や耐久性が向上する。
【0271】
なお、アンビルセットの共通部分は、アンビル突起部102及び凹部103のみでもよい。すなわち、アンビル10N1,10R1,10N2,10R2,10N3,10R3,10N4,10R4,10N5,10R5がアンビルセットでもよい。
【0272】
図60は、実施形態に係るアンビルセットを説明するための図である。アンビルセットは、第2シャフト部120の寸法が相互に異なる複数のアンビルを含んでもよい。
図60において、「〇」は、実施可能なアンビルであることを示す。
図60に示すように、第2シャフト部120の寸法は、2-1/2インチ(63.5mm)でもよいし、1-1/2インチ(38.1mm)でもよいし、1インチ(25.4mm)でもよいし、3/4インチ(19.0mm)でもよいし、1/2インチ(12.7mm)でもよいし、3/8インチ(9.5mm)でもよい。上述のように、回転軸AXに直交する第2シャフト部120の断面の外形は、四角形状である。第2シャフト部120の寸法は、相互に対向する一対の外面の距離(1つの平面部121の上下方向又は左右方向の寸法)である。ソケット300の固定方式は、ピン方式でもよいし、リングスプリング方式とピン方式との複合方式でもよいし、リングスプリング方式でもよいし、ピンディテント方式でもよい。
【0273】
[第17実施形態]
第17実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0274】
図61は、実施形態に係るスピンドル8及びアンビル10を説明するための図である。上述の実施形態においては、アンビル10の後面に凹部103が設けられ、スピンドル8の前端部が凹部103に配置されることとした。
図61に示すように、アンビル10の後面から後方に突出する凸部104がアンビル10に設けられてもよい。スピンドル8の前端部に凹部805が設けられてもよい。凸部104が凹部805に配置されてもよい。凸部104が、アンビルセットを構成する複数のアンビルの共通部分でもよい。
【0275】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、打撃機構部9は、ハンマ47を有しなくてもよい。打撃機構部9は、オイルパルスインパクト方式(ソフトインパクト方式)でアンビルを打撃してもよい。
【0276】
上述の実施形態において、第2シャフト部120は、四角柱状でなくてもよく、三角柱状でもよいし、六角柱状でもよい。第2シャフト部120の断面の外形は、正多角形形状であればよい。
【0277】
上述の実施形態において、平面部接続部122は、相互に隣り合う2つの平面部121を鋭角状に結ぶコーナー部でもよいし、円弧状(曲面状)に結ぶコーナー部でもよい。
【0278】
上述の実施形態において、インパクト工具1の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0279】
1…インパクト工具(インパクトレンチ)、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、2T…ねじ、3…カバー、4…ハンマケース、6…モータ、7…減速機構部、8…スピンドル、9…打撃機構部、10…アンビル、10N1…アンビル、10R1…アンビル、10N2…アンビル、10R2…アンビル、10N3…アンビル、10R3…アンビル、10N4…アンビル、10R4…アンビル、10N5…アンビル、10R5…アンビル、12…ファン、13…バッテリ装着部、14…トリガレバー、15…正逆転切換レバー、16…操作表示部、16A…操作ボタン、16B…インジケータ表示器、17…ライト、19…吸気口、20…排気口、21…モータ収容部、22…グリップ部、23…バッテリ保持部、24…ベアリングボックス、25…バッテリパック、26…ステータ、27…ロータ、28…ステータコア、29…前インシュレータ、30…後インシュレータ、31…コイル、32…ロータコア、33…ロータシャフト、34…ロータ磁石、37…センサ基板、38…バスバーユニット、39…ロータベアリング、39F…前側ロータベアリング、39R…後側ロータベアリング、41…ピニオンギヤ、42…プラネタリギヤ、42P…ピン、43…インターナルギヤ、44…スピンドルベアリング、46…アンビルベアリング、47…ハンマ、48…ハンマボール、50…コイルスプリング、51…第1コイルスプリング、52…第2コイルスプリング、53…ワッシャ、54…支持ボール、61…ワッシャ、62…ワッシャ、70…シール部材、71…外環部、72…後側リップ部、73…前側リップ部、80…支持部材、85…リングスプリング、101…アンビルシャフト部、101N1…アンビルシャフト部、101R1…アンビルシャフト部、101N2…アンビルシャフト部、101R2…アンビルシャフト部、101N3…アンビルシャフト部、101R3…アンビルシャフト部、101N4…アンビルシャフト部、101R4…アンビルシャフト部、101N5…アンビルシャフト部、101R5…アンビルシャフト部、102…アンビル突起部、103…凹部、104…凸部、110…第1シャフト部、111…凹部、112…後側円柱部、113…凹部、114…前側円柱部、120…第2シャフト部、121…平面部、121A…平面部、121B…平面部、121C…平面部、121D…平面部、122…平面部接続部、122A…平面部接続部、122B…平面部接続部、122C…平面部接続部、122D…平面部接続部、123…凹部、123A…前側エッジ、123B…後側エッジ、124…第1エッジ、125…第2エッジ、126…突起部、130…遷移部、130N…遷移部(正転用遷移部)、130R…遷移部(逆転用遷移部)、131…支持部、131A…支持部、131B…支持部、131C…支持部、131D…支持部、132…曲面部、133…曲線部、134…テーパ部、135…接続部、140…先端部、140A…凹部、150…中間部、241…凹部、242…凹部、300…ソケット、301…ピン孔、302…ピン孔、303…収容孔、401…第1筒部、402…第2筒部、402R…後面、402S…内周面、403…ケース接続部、404…第3筒部、404R…後面、404S…内周面、405…第4筒部、405R…後面、405S…内周面、461…外環部、461F…前面、461R…後面、461S…内周面、461T…外周面、462…後側支持部、462F…前面、462R…後面、462S…内周面、463…前側支持部、463F…前面、463R…後面、463S…内周面、464…後側凸部、464R…後面、464T…外周面、465…前側凸部、465F…前面、465S…内周面、465T…外周面、466…凹部、471…ベース部、473…後側リング部、474…支持リング部、474A…大径部、474B…小径部、474C…段差部、475…ハンマ突起部、476…凹部、477…ハンマ溝、478…支持溝、801…スピンドルシャフト部、802…フランジ部、803…凸部、804…スピンドル溝、805…凹部、1010…アンビル、1101…アンビルシャフト部、1301…第1部分、1302…第2部分、2010…アンビル、2101…アンビルシャフト部、3010…アンビル、3101…アンビルシャフト部、AX…回転軸、CX…中心線。