(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083258
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】エアロゾル吸引カートリッジ用のエアロゾル形成基材
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240613BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240613BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240613BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240613BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/465
A24F40/20
A24D1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199051
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2022197010
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AA50
4B045AB04
4B045AB07
4B045AB11
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB23
4B162AC12
4B162AC14
4B162AC22
4B162AC41
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
【課題】 加熱安定性を確保することができるとともに、製造コストを低減でき、さらに使用者の使用感が良好なエアロゾル吸引カートリッジ用のエアロゾル形成基材を提供する。
【解決手段】
エアロゾル吸引カートリッジ10に使用される細長い円柱形状のエアロゾル形成基材1であって、円筒形の包装部材11と、その内部に収納された充填物12と、さらにその内部に配置された、細長い形状の誘導加熱部材13と、を備える。エアロゾル形成基材1は、誘導加熱部材13が配置されている円柱形状の発熱部位1aと、誘導加熱部材13が配置されていない、円柱形状の非発熱部位1bから構成され、発熱部位1aと非発熱部位1bは、それぞれの円柱の対向する底面の一部または全部が接触または接着している、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される細長い円柱形状のエアロゾル形成基材であって、
円筒形の包装部材と、
前記包装部材の円筒の内部に収納された充填物と、
前記充填物の内部に配置された、細長い形状の誘導加熱部材と、を備え、
前記エアロゾル形成基材は、前記誘導加熱部材が配置されている円柱形状の発熱部位と、
前記誘導加熱部材が配置されていない、円柱形状の非発熱部位から構成され、
前記発熱部位と前記非発熱部位は、それぞれの円柱の対向する底面の一部または全部が接触または接着している、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材。
【請求項2】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材であって、
円筒形の包装部材と、
前記包装部材の円筒の内部に収納された、エアロゾル発生源である充填物と、
前記充填物の内部に配置された、誘導加熱部材と、を備え、
前記誘導加熱部材は、細長い形状であり、その長手方向の長さが前記エアロゾル形成基材の高さ方向の長さより短く、少なくともその一端は、前記エアロゾル形成基材の前記充填物の内部に所定の距離埋没している、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材。
【請求項3】
前記所定の深さは、3~10mmである、
ことを特徴とする、請求項2に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項4】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される細長い円柱形状のエアロゾル形成基材であって、
円筒形の包装部材と、
前記包装部材の円筒の内部に収納された充填物と、
前記充填物の内部に配置された、細長い形状の誘導加熱部材と、を備え、
前記エアロゾル形成基材は、前記誘導加熱部材が配置されている円柱形状の発熱部位と、
前記誘導加熱部材が配置されていない、円柱形状の非発熱部位から構成され、
前記発熱部位と前記非発熱部位は、前記充填物を含まない熱伝導部材により隔離されており、
前記発熱部位と前記非発熱部位は、前記熱伝導部材に対向する底面の一部または全部が前記熱伝導部材に接触または接着している、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材。
【請求項5】
前記熱伝導部位は、前記発熱部位と前記非発熱部位を通気的に接続する通気口が形成されている、
ことを特徴とする、請求項4に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項6】
前記非発熱部位は、エアロゾルを流通可能な通気部材を有し、
前記通気部材は、前記非発熱部材からみてエアロゾルの上流側と下流側を通気的に接続する、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項7】
前記充填物は、短冊状に形成されたエアロゾル発生源の集積体である、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱式向けのエアロゾル吸引カートリッジに使用されるエアロゾル形成基材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品を使用したエアロゾル吸引カートリッジも知られ始めている。
【0003】
このようなエアロゾル吸引カートリッジは、充填物が集積されたエアロゾル形成基材を加熱することで、エアロゾルを発生させる。エアロゾル形成基材の加熱方法として、(1)加熱装置内部に設置された加熱ブレードに、エアロゾル吸引カートリッジを挿入して、加熱ブレードを電気的に加熱することで充填物を加熱する方式(抵抗加熱式)(例えば特許文献1参照)の他に、(2)エアロゾル形成基材の内部に予め強磁性体を主成分とした部品である誘導加熱部材を設け、誘導加熱装置Dで発生させた交番磁界により、誘導加熱部材内部にヒステリシス損及びジュール熱を発生させて加熱(誘導加熱)することで、充填物を加熱する方式(誘導加熱式)が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
図8は、従来のエアロゾル形成基材101を使用した誘導加熱式向けのエアロゾル吸引カートリッジ100の概略の側面断面図である。エアロゾル吸引カートリッジ100は、円筒形の包装部材103に、エアロゾル形成基材101と、支持部材105と、フィルタ106が直線的に配列され、外装部材107で巻かれて円柱状に形成されている。
【0005】
エアロゾル吸引カートリッジ100は、全体として細長い円柱形状をしており、加熱することでエアロゾルを発生する充填物104が充填された細長い円柱状の充填物104の集積体であるエアロゾル形成基材101と、エアロゾル形成基材101が動いたり、外装部材107が折れ曲がったりすることを防止するための支持部材105と、エアロゾル形成基材101からの気流を通すことのできるフィルタ106と、フィルタ106の反対側の端に配置されるシール部材108とが、長手方向に沿って配列されており、シート状の外装部材107で円柱状に巻かれることで一体的に形成されている。ここで、外装部材107は、紙等の柔軟な素材で形成されており、シール部材108や支持部材105は、紙、プラスチックまたはシリコーン等の素材から形成されている。
【0006】
エアロゾル形成基材101は、中央に開口が形成されている円筒形状の包装部材103の内部に、円柱形状の充填物104が収納されており、さらに充填物104には、誘導加熱に供する誘導加熱部材102が挿入されている。ここで、誘導加熱部材102の長さは、包装部材103の長尺方向の長さ、すなわちエアロゾル形成基材101の長さと略同じであり、支持部材105やシール部材108と物理的に近接している構造となっている。
【0007】
ここで誘導加熱式においては、
図9の様に、誘導加熱装置Dの挿入口D1に、エアロゾル吸引カートリッジ100のエアロゾル形成基材101を、シール部材108側から挿入して加熱するが、誘導加熱装置Dの温度センサーD2が、挿入口D1の直下に設置されており、誘導加熱部材102で発生した熱をシール部材108が適度に伝えることで、温度センサーD2の作動の適正化を図っている。すなわち、仮にシール部材108がなく、誘導加熱部材102が温度センサーD2に近接している場合には、誘導加熱部材102で発生した熱が過剰に温度センサーに伝わってしまい、十分にエアロゾルを発生する前に、温度センサーD2反応して、誘導加熱装置Dの作動を止めてしまう。一方で、必要以上に熱を遮蔽してしまうと、温度センサーD2が反応しないため、誘導加熱装置Dが過剰に加熱することになり、事故や故障を招く恐れがあった。
【0008】
また、エアロゾル吸引カートリッジ100の通気性を確保するために、シール部材108には1個以上の貫通孔が形成されているが、この穴が大きすぎると先述のように温度センサーが反応しやすくなり、小さすぎると温度センサーが反応しなくなったり通気性が悪くなったり、という問題があった。そのため、シール部材108による製造コストの増加も招いていた。
【0009】
さらに、誘導加熱部材102で発生した熱がシール部材108や支持部材105を加熱して焼損する恐れがあり、エアロゾル吸引カートリッジ100の品質を損なっていた。
【0010】
また、シール部材108が占有する空間は、エアロゾルの発生源とならず、エアロゾル形成基材101の長さを制限してしまうものであるため、使用者の使用感を低下させる要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2015-519915号公報
【特許文献2】特開2021-175399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、加熱安定性を確保することができるエアロゾル形成基材とその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、従来よりも製造コストを低減できると同時に、使用者の使用感が良好なエアロゾル形成基材とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される細長い円柱形状のエアロゾル形成基材であって、円筒形の包装部材と、前記包装部材の円筒の内部に収納された充填物と、前記充填物の内部に配置された、細長い形状の誘導加熱部材と、を備え、前記エアロゾル形成基材は、前記誘導加熱部材が配置されている円柱形状の発熱部位と、前記誘導加熱部材が配置されていない、円柱形状の非発熱部位から構成され、前記発熱部位と前記非発熱部位は、それぞれの円柱の対向する底面の一部または全部が接触または接着している、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材であって、円筒形の包装部材と、前記包装部材の円筒の内部に収納された、エアロゾル発生源である充填物と、前記充填物の内部に配置された、誘導加熱部材と、を備え、前記誘導加熱部材は、細長い形状であり、その長手方向の長さが前記エアロゾル形成基材の高さ方向の長さより短く、少なくともその一端は、前記エアロゾル形成基材の前記充填物の内部に所定の距離埋没している、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のエアロゾル形成基材であって、前記所定の深さは、3~10mmである、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材、前記充填物は、短冊状に形成されたエアロゾル発生源の集積体である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、誘導加熱部材の一端は、非発熱部位で覆われていたり、充填物の内部に埋没していたりするので、従来のようにシール部材を使用しなくとも、誘導加熱装置の温度センサーに対する加熱を抑制でき、加熱安定性を確保することが可能となる。
【0016】
また、シール部材を使用しないことで、エアロゾル吸引カートリッジの製造コスト低減にも効果がある。
【0017】
さらに、従来シール部材が配置されている位置に、充填物と同種の素材が配置されるため、誘導加熱部材により加熱されるエアロゾル発生源が多くなるため、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の側面断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図3】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の側面断面図である。
【
図4】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図8】従来のエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図9】従来のエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの使用状態を示す概略の側面部分断面図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図11】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である
【
図12】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図13】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【
図14】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために 、実際の物に比べて大幅に簡略化、誇張して表現している。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係るエアロゾル形成基材1を使用したエアロゾル吸引カートリッジ10の概略の側面断面図である。エアロゾル吸引カートリッジ10は、エアロゾル形成基材1と、支持部材14と、フィルタ15が直線的に配列され、外装部材16で巻かれて細長い円柱形状に形成されている。
【0021】
エアロゾル吸引カートリッジ10は、全体として細長い円柱形状をしており、加熱することでエアロゾルを発生する充填物12を有する細長い円柱形状のエアロゾル形成基材1と、エアロゾル形成基材1が動いたり、外装部材16が折れ曲がったりすることを防止するための支持部材14と、エアロゾル形成基材1からの気流を通すことのできるフィルタ15とが、長手方向に沿って配列されており、シート状の外装部材16で円柱形状に巻かれることで一体的に形成されている。ここで、外装部材16は、紙等の柔軟な素材で形成されている。本明細書において、「細長い」とは、立体形状において、一方向が他の方向より長いことを意味する。本実施の形態では、「細長い円柱形状(円筒形状)」とは、円柱(円筒)の底面である円の直径より、円柱(円筒)の高さ(すなわち底面に垂直な成分)の方が長いことを意味する。以降の実施の形態においても同様である。
【0022】
本実施の形態におけるエアロゾル吸引カートリッジ10は、直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、長さが40mm~80mmに形成される。エアロゾル吸引カートリッジ10の直径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、誘導加熱装置Dに設けられたエアロゾル吸引カートリッジ10を差し込む挿入口D1と適度な力で嵌合するため、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置Dに好適に保持させることを可能にしつつ、エアロゾル吸引カートリッジ10の着脱を容易にすることができる。エアロゾル吸引カートリッジ10の長さを40mm以上に設定すれば、誘導加熱装置Dに設けられたエアロゾル吸引カートリッジ10を受け入れる挿入口D1の長さよりも長くなるので、エアロゾル吸引カートリッジ10を誘導加熱装置Dに差し込んでも、吸口を誘導加熱装置Dから露出させることができ、使用者がエアロゾルを吸引するのに必要な長さを確保可能となる。
【0023】
エアロゾル形成基材1は、
図1に示すように、中央に開口が形成されている円筒形状の包装部材11の内部に、円柱形状の充填物12が収納されており、さらに充填物12の内部には、誘導加熱部材13が配置されている。長さは15~30mmに設定されている。
【0024】
エアロゾル形成基材1の直径は、フィルタ15の直径と略等しく、また、中心軸に沿って概ね一定の値となっている。この直径の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。
【0025】
包装部材11は紙などの柔軟かつ燃焼可能な素材でできた、円筒形状の部材であり、円筒の外側の直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、長さが10mm~25mmに設定されている。
【0026】
ここで、エアロゾル形成基材1は、誘導加熱部材13が配置されている発熱部位1aと、誘導加熱部材13が配置されていない、非発熱部位1bから構成される。発熱部位1a、非発熱部位1bとも、エアロゾル形成基材1と同様に、円柱形状をしており、直径の大きさは、エアロゾル形成基材1と略同じであり、円柱の高さ方向の長さは発熱部位1aが5~25mm、非発熱部位1bが2~10mmに設定されていることが好ましい。また、発熱部位1a、非発熱部位1bの充填物の素材は、同じものを使用しており、それぞれの円柱の対向する底面の一部または全部が接触している状態にある。ここでは、非発熱部位1bは、発熱部位1aよりエアロゾルの上流側(従来のエアロゾル吸引カートリッジ100において、シール部材108が配置された場所)に配置されているが、下流側(支持部材が配置されている側)に配置されても良い。
【0027】
<充填物12について>
充填物12は、乾燥・粉砕されたタバコ植物または非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、シート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成される。なお、充填物12は多様な形状を有してもよい。例えば、短冊状やペースト状に形成されてもよいし、顆粒状に形成されてもよい。
【0028】
なお、充填物12を短冊状で構成した場合、中心軸に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。充填物12の長さは10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物12の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0029】
また、粉末状または粒状の充填物12とする場合には、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉末状または粒状の充填物12における平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0030】
次に、充填物12として用いられる原料の具体例について説明する。充填物12は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0031】
充填物12は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0032】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0033】
充填物12は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する風味添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉末状または粒状にしたり、ペースト状に成形される。また、充填物12は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされる。ここで、シートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物12は、シート状、短冊状、粒状、粉状、ペースト状のうちいずれか一種類でもよいし、これらのうち二種以上を混合したものであってもよい。
【0034】
例えば、非タバコ植物が原材料である場合は、茶葉を使用できる。茶葉は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なる茶葉になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられる。
【0035】
エアロゾルフォーマは、例えばグリセリン、プロピレングリコール等が好ましく使用される。
【0036】
次に、微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0037】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0038】
さらに、必要に応じ充填物12の原料として風味を追加する風味添加剤も用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0039】
結着剤または増粘剤としては、グアーガム等のゴム、ヒドロキシプロピルセルレロースなどのセルロース結合剤、デンプンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
ここで、充填物12をペースト状に形成する場合には、粉末状または粒状の組成物に増粘剤や水などを適量添加して混練することで流動性を付与することができる。
【0041】
また、充填物12の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状の充填物12と粉末状、粒状またはペースト状の充填物12と組み合わせる場合に、短冊状または棒状の充填物12の表面に粉末状、粒状またはペースト状の充填物12を安定して保持することができる。
【0042】
<誘導加熱部材13について>
誘導加熱部材13は、
図1のように平板状の素材を加工したものである。この平板は、厚さが0.05~0.5mmが好ましく、さらに好ましくは厚さが0.1~0.3mmである。長さは発熱部位1aの高さ方向の長さに比べて略同じであり、円柱形状の底面の直径方向の中心に配置されていることが好ましいが、エアロゾルの形成を阻害しない程度、例えばエアロゾル形成基材1の長さと異なっていても良い。具体的には±1~3mm程度が好ましい。なお、誘導加熱部材13は必ずしも平板状である必要はなく、棒状、円柱状、筒状、粒子状、多孔質状その他多彩な形状とその組み合わせの形状とすることも可能である。また、正面断面視(エアロゾル形成基材1の長手方向に垂直な断面視)において平板を折り曲げて形成したV字、U字、L字、T字、コの字といった形状をしていても良い。
【0043】
誘導加熱部材13の素材は、強磁性体を含む金属材料で形成される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、特に磁石に吸着する性質を持つ素材であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス(例えばSUS430)、マルテンサイト系ステンレス(例えばSUS410)、ニッケル、ニッケル鉄合金(例えば42アロイ、36インバー)、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0044】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。
【0045】
また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0046】
強磁性体は、向きや大きさが時間と共に変化する磁界(交番磁界)内部に置いたとき、電磁誘導により流れる渦電流によるジュール熱が発生するだけでなく、強磁性体内部の磁化の向きが変化するときに発生するエネルギー損失(ヒステリシス損)に起因する熱が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱ができ、エアロゾル吸引カートリッジ10を十分に加熱できる。
【0047】
また、強磁性体がその磁気秩序を失い、常磁性体に転移する温度であるキュリー温度は、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、エアロゾル吸引カートリッジを例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持でき、エアロゾル吸引カートリッジ10を安定して加熱できる。
【0048】
誘導加熱部材13の素材は、強磁性体の材料である、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金(鉄クロムアルミ合金)である。
【0049】
ここで、鉄及びクロムの温度と磁性の関係性について説明する。鉄は、キュリー温度が約770℃、クロムは、反強磁性体から常磁性体に変わる温度であるネール温度が約35℃である。
【0050】
また、誘導加熱部材13は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば強磁性体を、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル吸引カートリッジ10を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0051】
支持部材14は、エアロゾル形成基材1のフィルタ15側への移動や外装部材16の折れ曲がりを抑制するとともに、エアロゾル形成基材1で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ15側に流通させる。支持部材14は、例えば中心に開口を有する円筒状または空気流路となる貫通口が形成された柱状、または多孔質状に形成され、その高さ方向の軸がエアロゾル吸引カートリッジ10の中心軸に沿うようにエアロゾル形成基材1とフィルタ15との間に配置される。支持部材14は、例えば、直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下に形成される。なお、支持部材14は、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。本実施の形態では、樹脂材で形成された支持部材本体に、空気の流路となる貫通口が形成された形態である。支持部材14を形成する素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸、シリコーンのようなものが挙げられるが、その他プラスチック、金属、木材等多彩な素材が使用可能である。また、紙を渦巻状に丸めたり、捲縮させたりしたものでもよい。
【0052】
フィルタ15は、円柱状に形成されており、中心軸に沿った長さは、10~50mmに設定されている。フィルタ15の素材は、例えば紙等を用いて形成される。また、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円柱状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。また、シリコーンを含む多孔質材料で形成されてもよい。フィルタ15は、エアロゾル形成基材1で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する白色のフィルタである。なお、充填物12が非タバコ植物を原料としている場合、フィルタ15は必ずしも必要ではない。
【0053】
この発明によれば、誘導加熱部材13の一端は、非発熱部位1bで覆われていたり、充填物12の内部に埋没していたりするので、従来のようにシール部材108を使用しなくとも、誘導加熱装置Dの温度センサーD2に対する加熱を抑制でき、加熱安定性を確保することが可能となる。
【0054】
また、シール部材108を使用しないことで、エアロゾル吸引カートリッジ10の製造コスト低減にも効果がある。
【0055】
さらに、従来シール部材108が配置されている位置に、充填物12と同種の素材が配置されるため、誘導加熱部材13により加熱されるエアロゾル発生源が多くなるため、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。また、以下の説明では、上記の実施の形態で、同様の構成で番号が異なるもの(例えば充填物12、充填物22)について、便宜上一つの例(例えば充填物12)だけを挙げるが、他の番号を付した構成(充填物22)に対しても合理的な範囲で及ぶ。
【0057】
例えば、充填物12の形態は、シート状のものを短冊状に形成したものを使用したが、これに限られず、粉末状または粒状に成形されたものや、ペースト状のものに成形されたものいずれでもよいし、これらを混在させたものでもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、発熱部位1aと非発熱部位1bはそれぞれの円柱の対向する底面の一部または全部を接触させていたが、これに限られず、糊等の接着剤やペースト状の充填物12で接着させて一体化させてもよい。これにより、単に対向する面同士を接触させた場合よりも、取り扱い性が向上する。
【0059】
また、非発熱部位1bの素材は、充填物12と同じ素材を使用したが、これに限られず、他の素材を使用することも可能である。これにより、使用者は2種の香味が混ざった複雑な香味を味わうことが可能となる。
【0060】
また、支持部材14は、エアロゾル形成基材1がフィルタ15側へ移動したり、外装部材16が折れ曲がったりしない場合には、必ずしも設置する必要はない。例えば、フィルタ15をエアロゾル形成基材1と隣接させたり、支持部材14のあった場所を空間としたりしてもよい。これにより、部品点数の削減ができるので、コスト削減に有効である。特に空間を設ける場合は、通気性の向上に有効である。一方で、
図5のエアロゾル吸引カートリッジ30のエアロゾル形成基材3のように、発熱部位3aと、
非発熱部位3bの他に、支持部材14がある場所に、これに代わって充填物12と同種の素材からなる非発熱部位3cを配置しても良い。こうすることで、支持部材14に関する製造コスト低減に効果がある。
【0061】
さらに、外装部材16は、必ずしも一体的ではなく、2つ以上の外装要素を接合して用いても良い。例えば、エアロゾル形成基材1と支持部材14を筒状の外装要素に収納し、ここにフィルタ15をシート状の外装要素で巻いて円柱状に形成する形態でもよい。なお、この場合、筒状の外装要素とシート状の外装要素をもって、外装部材16となる。一方で、別に外装部材16を使う必要は必ずしもなく、包装部材11を、エアロゾル吸引カートリッジ10と同程度に長く形成して、包装部材11の円筒の内部に支持部材14やフィルタ15を収納することで、エアロゾル吸引カートリッジ10を形成することが可能であり、これによりさらなる製造工程の簡略化と製造コストの低減を図ることが可能である。なお、この場合、支持部材14やフィルタ15を包装部材11に入れてから充填物12を充填し、誘導加熱部材13を挿入してもよいし、充填物12を充填後に支持部材14やフィルタ15を入れても良い。
【0062】
さらに、
図3、
図4に示したエアロゾル形成基材2のように、発熱部位1aと非発熱部位1bが別構成ではなく、完全に一体化したものであってもよい。すなわち、誘導加熱部材23が、細長い形状であり、その長手方向の長さが細長い円柱形状のエアロゾル形成基材2の高さ方向の長さより短く、少なくともその一端は、エアロゾル形成基材2の充填物22の内部に所定の距離埋没している。ここで、所定の深さは、実施の形態における非発熱部位1bの高さ方向の長さと同程度であり、2~10mmであることが好ましい。これによれば、発熱部位1aと非発熱部1bが一体的であるので、両者を接触又は接着する作業が不要となり、製造コスト低減に効果がある。
【0063】
なお、本発明の実施の形態においても、シール部材108を必ずしも廃止する必要はなく、例えば
図6のように、充填物12の漏洩を防止することを目的としてシール部材108を使用することも効果的である。このような場合でも、本発明の実施の形態によれば、誘導加熱部材13とシール部材108の間に非発熱部位1bや充填物12が介在するので、誘導加熱部材13がシール部材108を熱焼損させる危険性が低く、高品質なエアロゾル吸引カートリッジの品質を得ることが可能となる。さらに、
図7のように、非発熱部位1bを、シール部材108側ではなく、フィルタ15側に配置して、支持部材14の代わりとして使用してもよい。このようにすることで、支持部材14を省略することができるので、コスト低減が可能となる。
【0064】
また、発熱部位1aと非発熱部位1bの充填物12は、素材や形状、密度が同じものを使用しても良いし、何れか若しくは全てが異なるものを使用してもよい。例えば、異なる種類の素材を使用することで、香りや味わいを変化させることができる。
【0065】
また、
図10は、他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材1を使用したエアロゾル吸引カートリッジ51の概略の側面断面図である。ここでは、エアロゾル形成基材1が、誘導加熱部材13が配置されている発熱部位1aと、誘導加熱部材13が配置されていない非発熱部位1bから構成される点においては実施の形態と同様であるが、発熱部位1aと非発熱部位1bは、充填物12を含まない熱伝導部材により隔離されており、直接の接触はしていない。ここで、熱伝導部材は、熱伝導性を有する素材(アルミ・鉄その他の金属、ポリアセタール・塩化ビニルその他のプラスチック、シリコーンその他のゴム、多孔質材、紙、セラミック、木材、竹材、セルロースアセテート、ガラス等)を使用することが可能である。また、通気性を有する素材で形成されていたり、構造を有したりすることが好ましい。例えば、発熱部位1aと非発熱部位1bを通気的に接続する通気口(すなわちエアロゾルの上流側から下流側に形成された貫通孔)が形成されていることが好ましい。
【0066】
熱伝導部材は、具体的には
図10の様に、実施の形態で使用した支持部材14を用いることが可能である。さらに、発熱部位1aと非発熱部位1bは、熱伝導部材に対向する底面の一部または全部が熱伝導部材に接触または接着している。ここで、
図10の様に熱伝導部材に円柱状の支持部材14を使用した場合、熱伝導部材の底面の一つと、これに対向する発熱部位1a(非発熱部位1b)の底面と接触または接着している。これによれば、誘導加熱部材13で発生した熱が、発熱部位1aと面接触する熱伝導部材を通じて非発熱部材に伝達され、さらに熱伝導部材と面接触する非発熱部位1bに伝達されるので、広い面積で非発熱部位1bの充填物12を加熱することが可能であり、加熱されるエアロゾル発生源が多くなるため、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0067】
また、
図11のようにエアロゾル形成基材1が発熱部位1aと非発熱部位1bからなる場合でも、シール部材108や支持部材14を備えていてもよい。
【0068】
また、非発熱部位1bの内部に第二誘導加熱部材13bを配置しても良い(ここでは発熱部位1aの内部に配置されるものは第一誘導加熱部材13aという)。この場合、非発熱部位1bの温度が高くなり過ぎると、使用時の火傷や誘導加熱装置Dの故障の原因となるため、第二誘導加熱部材13bの形状は、粉状、粒状又は小球状とし、その密度を低くする(例えば0.5~8.0g/cc)して分散配置することが好ましい。また、第二誘導加熱部材13bに使用される素材は、第一誘導加熱部材13aに使用される素材と同じものでも良いし、異なっても良い。また、キュリー温度は同じでもよいし、異なっていてもよい。例えば、第二誘導加熱部材13bに使用される素材のキュリー温度が第一誘導加熱部材13aのそれより高い(低い)場合も考えられる。
【0069】
また、非発熱部位1bの通気性を確保する為に、非発熱部位1bに、エアロゾルを流通可能な通気部材17を有することが好ましい。ここで、通気部材17は
図13のように、非発熱部材1bからみて、エアロゾルの上流側と下流側を通気的に接続できるように、中空管を用いることが好ましい。通気部材17の素材は、例えば金属の場合、熱伝導性を向上させ、非発熱部位1bの充填物12からのエアロゾルの発生を促進できるので好ましいし、磁性金属を使用すれば第二誘導加熱部材13bとしても使用可能である。また、プラスチックやシリコーン等のゴムを使用した場合、柔らかいので加工性や可撓性に優れるので好ましい。例えば、ゴムの中空管を使用した場合、
図14の通気部材17-2の様に湾曲させて配置させることも容易である。この場合、
図13の様に直線的な場合よりも、通気経路が長くなるので、エアロゾルの冷却が促進されるのでより好ましい。また、通気部材17の外側面に、磁性材料、例えば磁性塗料を塗布することで、第二誘導加熱部材13bとしても使用できるので好ましい。
【0070】
なお、充填物12の原材料である茶葉は、実施の形態に挙げたもの以外に、一般に使用されている全ての茶葉を使用できる。また、これら茶葉については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価な茶葉などを再利用して有効活用できる。
【0071】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0072】
また、充填物12の原料としてのエアロゾルフォーマは、実施の形態に挙げたもの以外に、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなども使用できる。
【0073】
また、風味添加剤として、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0074】
また、風味添加剤は、例えば、フィルタ15の壁部に含浸させることによってフィルタ15に設けられている。風味添加剤がフィルタ15に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをフィルタ15の壁部に埋設することによって、フィルタ15に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、フィルタ15とエアロゾル吸引カートリッジ10(20、30、40)との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、使用者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0075】
また、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルをエアロゾル吸引カートリッジ10(20、30、40)に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持部材14に設けても良い。
【0076】
また、充填物12の原料としての結着剤または増粘剤としては、実施の形態に挙げたものの他、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、または、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【符号の説明】
【0077】
1、2、3 エアロゾル形成基材
1a、3a 発熱部位
1b、3b、3c 非発熱部位
10、20、30、40 エアロゾル吸引カートリッジ
11、21 包装部材
12、22 充填物
13、23 誘導加熱部材
14 支持部材
15 フィルタ
16 外装部材