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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083263
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】2つの時計部品の関節接合用装置
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20240613BHJP
   G04B 37/16 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A44C5/14 E
G04B37/16 A
A44C5/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023200678
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】22212619.5
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】デュフォー, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】リオッテ, チボー
(72)【発明者】
【氏名】ロビン, ジャン-バプティスト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単かつ迅速な交換を可能にし、かつ信頼性がある時計部品の関節接合を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの関節接合ピン(1)と、少なくとも1つの関節接合ピン(1)を用いて関節接合態様で互いに接続される第一及び第二時計部品とを含む、2つの時計部品(10、20)の関節接合用装置であって、2つの時計部品は、それぞれ、少なくとも1つの関節接合ピン(1)の少なくとも1つの関節接合部分の第一及び第二関節接合表面(1a、1e)のそれぞれと協働する、第一及び第二案内表面を含み、案内表面とそれぞれの関節接合表面は、少なくとも1つの関節接合ピン(1)に対するそれぞれの時計部品(10、20)の回転運動を、擦ることで案内するため、対面して位置決めされ、関節接合ピン(1)の少なくとも1つの関節接合部分、または少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、完全にセラミック製である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの関節接合ピン(1)と、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)を用いて関節接合態様で互いに接続される第一及び第二時計部品とを含む、2つの時計部品(10、20)の関節接合用装置であって、
前記2つの時計部品は、それぞれ、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)の少なくとも1つの関節接合部分の第一及び第二関節接合表面(1a、1e)のそれぞれと協働する、第一及び第二案内表面を含み、
前記案内表面と前記それぞれの関節接合表面は、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)に対する前記それぞれの時計部品(10、20)の回転運動を、擦ることで案内するため、対面して位置決めされ、
前記関節接合ピン(1)の前記少なくとも1つの関節接合部分、または前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、完全にセラミック製であり、
前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、前記それぞれの時計部品の前記案内表面の範囲外に位置決めされる、少なくとも1つの低強度の部分を含み、
前記関節接合ピン(1)の前記少なくとも1つの関節接合部分または前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、鋭い縁の無い完全に連続する周囲面を含む、または前記少なくとも1つの関節接続部分または前記関節接合ピン(1)の正中縦断面上のあらゆる断面、及び前記少なくとも1つの関節接合部分または前記関節接合ピンの横断面上のあらゆる断面は、連続形状の輪郭を有する、
関節接合用装置。
【請求項2】
低強度の部分を有さない、1以上の円筒状関節接合部分を含む、及びまたは前記少なくとも1つの低強度の部分は、前記関節接合表面(1a、1e)の範囲外に位置決めされる、
請求項1に記載の関節接合装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、2.9以上11mm以下の長さを有し、前記関節接合部分または複数の部分は、0.9以上2mmの直径を有する円筒内に内接される、及びまたは前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)の前記少なくとも1つの低強度の部分は、鋭い縁のない丸みを帯びた形状の溝(1f)である及びまたは正中縦断面において0.2以上0.4mm以下の幅と、前記幅の0.7倍以下の、または前記幅の0.6倍以下の深さを有する、丸みを帯びた表面を有する溝(1f)である、及びまたは前記少なくとも1つの関節接合部分の最小断面の0.6倍以上の直径を有する円内に内接される溝の底部断面、である、
請求項1または2に記載の関節接合装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、前記関節接合ピン(1)の第一端部から延長し、前記第一及び第二時計部品(10、20)との前記関節接合表面(1a、1e)を形成する、前記少なくとも1つの関節接合部分に並置される、または前記第一及び第二時計部品との前記それぞれの関節接合表面(1a、1e)を形成する2つの別個の関節接合部分に並置される、あらゆる案内表面の範囲外の前記少なくとも1つの低強度の部分を含む、機能的部分を含む、または前記関節接合ピン(1)は、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)の前記それぞれの端部から延長し、それぞれ少なくとも1つの低強度の部分を有する、2つの機能的部分を含み、前記関節接合ピン(1)は、前記第一及び第二時計部品(10、20)との前記関節接合表面(1a、1e)を形成する、少なくとも1つの中央関節接合部分を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの低強度の部分は、前記少なくとも1つの関節接合部分の高さでの前記少なくとも1つの関節接合ピンの直径よりも小さな直径を有する円筒内に完全に内接される、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)の機能的部分の一部である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項6】
前記機能的部分は、円錐台状形状のパーツ(1g)を含む、
請求項5に記載の関節接合装置。
【請求項7】
前記第一時計部品及びまたは前記第二時計部品は、前記少なくとも1つの低強度の部分周りに凹部(2a、2c)を含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの低強度の部分は、連続周囲面を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、一体成形一体鋳造形状を取り、完全にセラミック製である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、工業用セラミック、特にジルコニア系の、特に焼結工業用セラミックに基づく、または前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、完全に、工業用セラミック、特にジルコニア系の、特に焼結工業用セラミック製である、または前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、セラミックに基づく、特に金属を含む、複合素材製である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)は、800Hv以上の硬度を有する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項12】
前記第一及び第二時計部品(10、20)は、ストラップリンクである、または前記第一時計部品はストラップのパーツであり、前記第二部品は小型時計ケースまたは胴部である、
請求項1から11のいずれか一項に記載の関節接合装置。
【請求項13】
前記第一時計部品(20)は、小型時計胴部であり、前記第二時計部品(10)は、ストラップのパーツであり、前記関節接合装置は、ストラップ(10)のそれぞれのパーツまたは小型時計胴部(20)への接続が意図され、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)がその中に配置されるハウジング(11a)を含む、接続要素(11)を含み、前記関節接合装置は、少なくとも1つの取り付け要素(2)を含み、前記関節接合装置は、
前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)が、前記接続要素(11)から突出する位置と、前記ハウジング(11a)内に後退した位置とを占めることができるように、前記接続要素(11)の前記ハウジング(11a)内で平行移動方向に移動自在な、第一構成と、
前記少なくとも1つの取り付け要素(2)が、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)を前記接続要素(11)から突出する位置に保持するため、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)と協働する、第二構成と、
の少なくとも2つの構成を占めるように設計される、
請求項12に記載の関節接合装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの取り付け要素(2)は、取り外し可能であり、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)が前記ハウジング(11a)内で平行移動方向に移動することを防止し、前記接続要素(11)から突出する位置に保持するため、前記関節接合装置の第二構成において、前記少なくとも1つの関節接合ピン(1)の第一表面(1b)と協働する少なくとも1つの第一当接部(2b)を含み、前記少なくとも1つの取り付け要素(2)は、前記第一構成において、前記関節接合装置から取り外される、
請求項13に記載の関節接合装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの関節接合装置を含む、時計、特に腕時計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの時計部品の関節接合用装置に関する。本発明はまた、少なくとも1つの当該関節接合装置を含む、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ストラップのパーツと腕時計のケースといった、2つの時計部品を関節接合態様で互いに固定するために、様々な装置が用いられる。ありふれた一般的な先行技術解決策によれば、小型時計胴部は、二対の角部を有し、各角部の一対は、ストラップのパーツの端部のリンクを受けるハウジングを定める。一対の角部の2つの角部間に延長するピンは、ストラップのパーツの当該リンクと係合し、当該ピン周りに旋回することで、ストラップのパーツと小型時計ケースの相対的関節接合を可能にする一方で、2つの角部間の位置に保持する。
【0003】
ストラップのパーツを小型時計ケース上に、特に胴部上に搭載する、そしてより一般的に2つの時計部品の関節接合組立の、このような方法は、理想的には、以下の目的を達成しなければならない。
- 信頼性がなければならない、より具体的にはストラップのパーツのあらゆる時期尚早な分離を防止するために信頼性がなければならない、
- 頑強でなければならない、特に経時的に機能性を損ないかねない2つの部品の関節接合運動に関連する摩擦を理由とする、特にあらゆる摩耗を防止しなければならない、
- 好ましくは、例えば簡単かつ迅速な交換を可能にする、時計部品のユーザフレンドリーな取り外し及び固定を可能にしなければならない、
- 特に最高級の時計の審美的要件と両立可能であるため、魅力的な審美的外観を有さねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の解決策は、少なくとも部分的に上記目的を達成するが、改善の可能性が開かれたままである。このため、本発明は、現在の状況を改善する目的を有する。
【0005】
このため、本発明の全般的目的は、2つの時計部品の関節接合組立の改善された解決策を定義することである。
【0006】
より詳細には、本発明の目的は、2つの時計部品の関節接合の、信頼性があり頑強な解決策を定義することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、少なくとも1つの関節接合ピンと、前記少なくとも1つの関節接合ピンを用いて関節接合態様で互いに接続される第一及び第二時計部品とを含む、2つの時計部品の関節接合用装置であって、前記2つの時計部品は、それぞれ、前記少なくとも1つの関節接合ピンの少なくとも1つの関節接合部分の第一及び第二関節接合表面のそれぞれと協働する、第一及び第二案内表面を含み、前記案内表面と前記それぞれの関節接合表面は、前記少なくとも1つの関節接合ピンに対する前記それぞれの時計部品の回転運動を、擦ることで案内するため、対面して位置決めされ、前記関節接合ピンの前記少なくとも1つの関節接合部分、または前記少なくとも1つの関節接合ピンは、完全にセラミック製であり、前記少なくとも1つの関節接合ピンは、前記それぞれの時計部品の前記案内表面の範囲外に位置決めされる、少なくとも1つの低強度の部分を含み、前記関節接合ピンの前記少なくとも1つの関節接合部分または前記少なくとも1つの関節接合ピンは、鋭い縁の無い完全に連続する周囲面を含み、または前記少なくとも1つの関節接続部分または前記関節接合ピンの正中縦断面上のあらゆる断面、及び前記少なくとも1つの関節接合部分または前記関節接合ピンの横断面上のあらゆる断面は、連続形状の輪郭を有する、関節接合用装置に基づく。
【0008】
本発明は、より詳細には、請求項により定義される。
【0009】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して与えられる非限定的例としての特定実施形態についての以下の説明において、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ストラップのパーツを小型時計胴部へ関節接合する、本発明の第一実施形態にかかる装置の、分解組立斜視図である。
図2図2は、ストラップのパーツを小型時計胴部へ関節接合する、本発明の第一実施形態にかかる装置の、関節接合固定構成における、部分的切断断面図である。
図3図3は、関節接合ピンが後退位置にある、ストラップのパーツを小型時計胴部へ関節接合する、本発明の第一実施形態にかかる装置の、部分的切断断面図である。
図4図4は、ストラップのパーツを小型時計胴部へ関節接合する、本発明の第一実施形態の変形例にかかる装置の、関節接合固定構成における、部分的切断断面図である。
図5図5は、ストラップのパーツを小型時計胴部へ関節接合する、本発明の第一実施形態にかかる装置の、関節接合ピンを図示する。
図6図6は、2つの時計部品間の関節接合のための、本発明の第二実施形態にかかる装置の、関節接合ピンを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の説明を簡単にするため、各種実施形態の同一または対応する要素は、同一の参照番号を有する。
【0012】
図1から5は、ストラップ10のパーツの端部に配置された接続要素11と、胴部20上の2つの実質的に平行且つ対面する角部の形状を取る受け要素21と、接続要素11と受け要素21とを、即ちストラップ10のパーツを胴部20上に、関節接合態様で、互いに固定することを意図する、2つの関節接合ピン1と、を含む、本発明にかかる関節接合装置の第一実施形態を図示する。
【0013】
当該実施形態において、接続要素11は、接続リンクを形成する、ストラップのパーツの形状を取る。当該接続リンクは、ストラップ10のパーツの端部に配置されることが意図される。接続リンクは、有利には、ストラップの他のパーツと同じ形状と同じ外観を有する。
【0014】
胴部20の受け要素21の各角部は、特に止め穴の形状を取る、孔21aを含む。2つの角部のそれぞれの孔21aは、好ましくは実質的に整列された軸上に配置される。孔21aは、好ましくは、円形断面を有する。2つの孔の開口は、互いに向けられる。2つの角部の間の空間は、ストラップのパーツの接続リンクが占めることが意図される、ハウジングを定義する。角部の可視外面は、その外観を悪化させるようなあらゆる変更またはあらゆる非連続を示さない。にもかかわらず、代替として、2つの孔は、貫通穴である及びまたは軸受表面が設けられる及びまたは互いに対して非平行な向きを有してもよい。
【0015】
関節接合装置は更に、関節接合態様で、接続要素11と受け要素21とを、固定するまたはしないことが意図される、2つの関節接合ピン1を含む。「固定」の文言は、関連する2つの時計部品が、固定されている際には互いに取り外し不可能であることを意味するものと理解されなければならないことを注記する。にもかかわらず、関節接合固定を生成する、少なくとも1つの関節接合ピンを用いて、2つの時計部品は互いに対して回転で少なくとも1運動の自由度を保持する。以下により詳細に説明するように、各関節接合ピン1は、図2に図示するように、接続要素11から突出する位置と、図3に図示するように、接続要素11のハウジング11a内に後退する位置の、2つの位置を占めることができる。
【0016】
このため、関節接合装置は、
- 関節接合ピン1が接続要素内に後退した位置を占め、小型時計胴部からストラップのパーツの分離を可能にする、第一構成と、
- 関節接合ピン1が接続要素11から突出する位置に保持され、接続要素11と受け要素21を、そしてストラップのパーツを小型時計胴部へ、関節接続態様で互いに固定するため、受け要素21のそれぞれの孔21a内に位置する、第二構成と、
の少なくとも2つの構成を占めるよう設計される。
【0017】
各関節接合ピン1は、接続要素11のハウジング11a内に配置される。2つのハウジング11aは、好ましくは、同一軸A1に沿って延長する。更に、ハウジング11aは、横方向貫通穴の形状を取る。当該穴は、接続要素の2つの対向する側壁または側面11b上に開口する。各ハウジング11aは、関節接合ピン1を、平行移動方向の1運動の自由度を有して、軸A1に沿って自由に摺動可能にする。平行移動方向の動きの自由度は、それぞれ接続要素11の搭載及び取り外しを可能にするため、関節接合ピン1を、接続要素11の側面11bから突出または後退して配置可能にする。代替として、ハウジング11aのそれぞれは、側面11b上に開口する止め穴の形状を取る、及びまたは軸受け表面が設けられてもよい。
【0018】
接続要素11は、更に、特に図3で見ることができる、関節接合ピンが凹部2aの高さで職人により操作可能なように、接続要素11の壁から延長し、関節接合ピン1のハウジング11aの少なくとも一部の高さにおいて開口する、凹部2aを含む。当該実施形態ではカバーの形状を取る取り付け要素2は、凹部2a内に位置決めされることが意図される。取り付け要素2は、凹部内に位置決めされると、以下に説明するように、関節接合ピン1と協働する。ねじといった固定要素4が、取り付け要素2を要素11の凹部2a内に固定することを可能にする。このため、接続要素11は、雌ねじ4aを含む。取り付け要素2は、好ましくは、取り外し可能である。更に、取り付け要素2は、有利には、取り付け要素が接続要素11に固定されると、その可視表面は、接続要素11及びまたは受け要素21の隣接する表面と結合または合致して実質的に連続する表面を形成するように、凹部2aの形状に補完する形状、特に凹部2aの体積に対応するまたは実質的に対応する体積を有する。当該配置を理由として、取り付け要素2は、関節接合装置に適合され、接続要素11及びまたは受け要素21の審美的外観を最適化することができる。更に、取り付け要素2は、好ましくは、接続要素11の非可視側に配置される。例えば、取り付け要素は、装着者の手首と接触することが意図される、接続リンクの表面上に設けられる。代替として、取り付け要素は、その他の形状を有してもよく、特に接続要素11及びまたは受け要素21から突出してもよい。更なる変形例において、取り付け要素は、打ち込み、接着、挟持、溶接、ろう付け等といった、その他の手段で接続要素に固定されてもよい。このため、取り付け要素は必ずしも除去可能でなくてもよく、その場合、ストラップのパーツは、胴部に締結されると取り外し不能となる。他の変形例において、取り付け要素は、複数のパーツを含んでもよい、及びまたは受け要素21内に配置されてもよい。この結果、凹部2aはまた、複数のパーツを含んでもよい、及びまたは関節接合ピンのハウジング21aの少なくとも一部の高さにおいて、受け要素21内に配置されてもよい。もちろん、取り付け要素または複数の取り付け要素の固定手段も、受け要素内に適切に適合される及びまたは再配置される。
【0019】
当該実施形態において、関節接合ピン1は、同一形状を有し、接続要素11内に対称的態様で配置される。当該接続要素11は、軸A1に垂直な正中面に対して実質的に対称的な形状を有する。
【0020】
本発明によれば、関節接合装置は、完全にセラミック製の、または完全にセラミックに基づく、すなわちセラミックを少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%含む、少なくとも1つの関節接合ピン1を含む。「完全に」の形容詞は、関節接合ピンまたは少なくとも関節接合ピンの関節接合部分が、全体的にセラミック製または全体的にセラミックに基づく、即ち同一素材が関節接合ピン1の関節接合部分または複数の部分の体積の全てを占める、または関節接合ピン1の体積の全てを占める、または当該体積の実質的にすべてを占める、ことを意味する。当該実施形態において、2つの関節接合ピン1は、好ましくは同一である。
【0021】
予見される全ての実施形態において、上述するように、関節接合ピンの全部または一部を形成するために、工業用セラミックを、そして好ましくは焼結工業用セラミックを使用することが有利である。「工業用」の形容詞は、選択したセラミックの高性能性質に言及するものである。実際、工業用セラミックは、関節接合ピンを形成するための使用に適したものにする、化学的不活性と非磁性に加えて、優れた機械的、熱的、また電気的性質及びまたは生化学的性質を達成可能である。ここで使用する工業用セラミックは、例えば長石やカオリンといった天然鉱石粉末からではなく、精製合成粉末から得られるため、その組成により、従来のセラミックから区別される。
【0022】
更に、予見される全ての実施形態において、優れた機械的性質を有することから、ジルコニア系のセラミックが有利には利用される。セラミックは、有利には、2Yまたは3Yのタイプの、すなわちそれぞれ2%または3%のイットリウムモル含有量を含む、イットリア安定化ジルコニアである。
【0023】
予見される全ての実施形態において、関節接合ピンに用いられるセラミックは、有利には、「高密度」セラミックである、即ちその密度が、関連するセラミック素材の理論密度の95%以上100%以下のセラミックである。
【0024】
全ての場合において、関節接合ピンの素材は、関節接合ピンまたは少なくともその関節接合部分または複数の部分が、800HVより高い硬度を有するよう、選択可能である。
【0025】
上述のように、関節接合ピンまたは少なくともその関節接合部分または複数の部分は、完全にセラミック製、即ち完全にセラミックだけを含んでもよい。代替として、関節接合ピンは、完全にセラミックに基づく、即ち完全に、少なくともセラミックを50重量%含み、例えば金属または金属合金といった他の素材により補完された素材であり、複合素材を形成する素材製であってもよい。
【0026】
全ての場合において、関節接合ピンまたは少なくともその関節接合部分または複数の部分は、有利には、全体が上記で定義した素材製の、一体成形一体鋳造形状を取る。
【0027】
当該実施形態によれば、各関節接合ピン1は、関節接合ピンの第一外端から延長する、連続且つ円筒状関節接合部分を有する。当該関節接合部分は、受け要素21と協働することが意図される第一関節接合表面1aと、接続要素11と協働することが意図される第二関節接合表面1eとを定義する。
【0028】
より詳細には、受け要素21は、関節接合ピン1の第一関節接合表面1aと協働することが意図される孔21aの周囲面で形成される、第一案内表面を有する。接続要素11は、関節接合ピン1の第二関節接合表面1eと協働することが意図されるハウジング11aの周囲面で形成される、第二案内表面を有する。当該案内表面と当該関節接合表面は、それぞれの関節接合ピン1に対する受け要素21と接続要素11のそれぞれの回転運動を、摩擦により案内するため、対面して配置される。
【0029】
各関節接合ピン1は更に、関節接合部分の外側に、そして特に案内表面1a、1eの範囲外に配置される、低強度の部分を含む。当該低強度の部分は、第一関節接合表面1aが配置される端部と反対の、関節接合ピンの第二内端の高さに配置される。低強度の部分は、関節接合ピン1の機能的部分を形成する。
【0030】
特に、各関節接合ピン1の当該第二内端の高さに配置された当該機能的部分は、当接表面1bを形成する。取り付け要素2は、取り付け要素2が接続要素11に固定されると、関節接合ピンを接続要素の11の側面11bから突出する位置に保持するため、各関節接合ピン1の当該当接表面1bと協働することが意図される、軸方向当接部2bまたは止め具を定義する、少なくとも1つの第一表面を有する。換言すれば、取り付け要素2が接続要素11に固定されると、その当接部2bは、突出位置にある各関節接合ピン1の当接表面1bと接触し、これにより、関節接合ピン1が突出を維持するよう、関節接合ピン1が接続要素11の側面11bから後退することを防止する。取り付け要素2は更に、関節接合ピン1の周囲に、関節接合ピンの範囲外に、凹部2cを含む。
【0031】
更に、関節接合ピン1は、溝1fの存在を理由として、その機能的部分に、低強度の部分を有する。溝は、特に、ピンやピンセットといった工具を用いて、後退位置にある関節接合ピンの平行移動方向の動きを可能にする。
【0032】
当該実施形態によれば、溝1fの底部は、応力集中を可能な限り制限するために、丸みを帯びるまたは湾曲する。溝1fは、関節接合ピンが配置されるハウジング11aの直径よりも小さな最大直径を有する、軸A1周りの円錐台状形状のパーツ1gにより、当接表面1bから分離される。このため当該低強度の部分の形状は、図2から4で見てとれるように、機能的間隙により誘発されかねない、関節接合ピン1が斜めの場合であっても、取り付け要素2のハウジング11a及び凹部2cと絶対に接触不可能なようにされる。換言すれば、少なくとも1つの低強度の部分と凹部2a、2cとの間の間隙は、案内表面と関節接合表面との間の間隙よりも大きい。当該関節接合ピン1は、特に図5に図示される。この効果を更に増幅するため、ハウジング11aと凹部2cは、関節接合ピンが相対回転中に、近接する壁とのあらゆる接触の範囲外にあるように、関節接合ピン1の低強度の部分周りに間隙を示してもよい。図4は、接続要素11の凹部2aとカバーの凹部2cが、関節接合ピン1の低強度の部分周りに間隙を形成するよう、拡大された、この種の変形実施形態を図示する。この場合、上述の低強度の部分の円錐台状形状は、もはや必須ではなく、他の、特に円筒状の、形状により代替されてもよい。より一般的には、ここでは1以上の低強度の部分を含む、関節接合ピン1の機能的部分は、有利には、関節接合部分または複数の部分の範囲外であり、小型時計が装着されると負荷をかけられることはない。更に、パーツ1gの任意の円錐台状形状は、関節接合ピンを後退位置に向けて動かすための、溝1fへの工具の挿入を容易にすることを可能にする。
【0033】
当該実施形態によれば、関節接合ピン1の溝1fの幅は、関節接合ピンの長手方向に測定して0.3mm程度であり、直径は約0.85mmより小さい。溝の底部の丸みの半径は、約0.15mm、即ち当該幅の約半分である。関節接合部分の直径は、1.3mm程度であり、その長さは3.6mm程度である。関節接合ピンの全長は、4.5mm程度である。
【0034】
要約すると、当該実施形態において、取り付け要素2が存在しないと、各関節接合ピン1は、接続要素11に対して、軸A1に沿った平行移動方向の動きと、同じ軸A1周りの自身の回転の、2運動の自由度を有する。関節接合ピン1が接続要素11から突出する位置にあると、取り付け要素2の固定は、平行移動方向の動きの自由度を除去することを可能にし、その後関節接合ピン1は、突出位置での係止が維持される。関節接合ピン1は、回転の運動の自由度を維持する。
【0035】
本発明の当該実施形態にかかる関節接合装置の操作を以下に説明する。図2に示すように、装置が固定構成にあると、職人は、ねじ4を抜くことにより、取り付け要素2を除去可能である。このため、接続要素の凹部2aと、当該凹部に少なくとも部分的に配置される2つの関節接合ピン1の機能的部分にアクセスする。このため職人は、関節接合ピン1を、突出位置から後退位置へ移動させるよう、凹部2a内で平行移動方向に移動可能である。当該操作を補助するため、各関節接合ピン1は、好ましくは、上述のように、2つの関節接合ピンを後退させる平行移動方向の動きの手動案内のため、ピンやピンセットといった、単純な工具の挿入を可能にするため、その機能的部分の高さに溝1fを含む。もちろん、2つの関節接合ピンの作動を可能にする、あらゆる他の手段または工具も予見可能である。当該操作が完了すると、図3に示すように、関節接合ピン1の関節接合表面1aは接続要素11内に収容され、受け要素21の孔21aから脱出する。このため、接続要素11は、受け要素21から外すことが可能である。反対の操作は、2つの要素の関節接合固定を可能にする。
【0036】
当該実施形態によれば、角部を含む胴部、そして、受け要素21及びまたは接続要素11は、要求される審美的効果を得るために、金属、特に金やプラチナといった貴金属製である。
【0037】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、多数の変形例を取り入れることができる。例えば、上述のように、取り付け要素2は、様々な形状を取ることができる。更に、取り付け要素は、受け要素の高さにおいて関節接合ピンと協働するため、受け要素上に設けられてもよい。当該協働は、関節接合ピンを突出位置に保持するため、関節接合ピンの平行移動方向の動きの自由度を阻止することからなってもよい。変形例によれば、同じ取り付け要素または複数の取り付け要素が、接続要素及びまたは受け要素の双方と協働してもよい。例えば、取り付け要素は、胴部20の角部のそれぞれに固定されてもよい。
【0038】
更なる変形例において、胴部上に配置された受け要素は、2つの角部の形状を取る必要はなく、例えば単一角部の形状を取っても良い。当該変形例において、ストラップのパーツの端部に配置された接続要素11は、それぞれ関節接合ピン1を包含する、2つの補完的且つ別個の横方向要素からなってもよく、2つの関節接合ピン1は、ストラップのパーツを胴部に固定するため、単一角部のそれぞれの反対側の位置を占めることが意図される。その後、取り付け要素は、単一角部の形状の受け要素上に配置され、接続要素の各横方向要素は、単一角部の孔内へ突出する、旋回ピンを含む。取り付け要素は、これら関節接合ピンをその突出位置へ不動化する。接続要素の各横方向要素は、それぞれの関節接合ピンに対して回転可動を維持する。最後に、胴部は、少なくとも1つの角部、特に1つまたは2つの角部を含んでもよい。あらゆる他の胴部アーキテクチャを、特に1以上の角部の形状を必ずしも取らない、本発明にかかる関節接合装置の要素を含むアーキテクチャを、予見可能である。
【0039】
上述のように、一実施形態によれば、接続要素は、ストラップのパーツの端部に配置される。ストラップがリンクの、特に金属リンクの組立体を含む場合、接続要素は、有利には、連続する審美的影響を与えるため、ストラップのパーツの他のリンクと同一のまたは類似の形状を有する、接続リンクの形状を取る。変形実施形態によれば、ストラップのパーツは、可撓性である、例えば革製であってもよい。この場合、接続要素は、ストラップの柔軟パーツの端部に、好ましくは完全にまたは一部隠された態様で、統合されてもよい。代替として、接続要素は、ストラップの可撓性パーツの端部に配置された、金属端部の形状を取ってもよい。
【0040】
更なる変形例によれば、接続要素は、小型時計ケース上に、特に胴部上に配置され、受け要素は、ストラップのパーツ上に配置される。例えば、上述の関節接合装置の構造は、逆転されてもよい。すなわち、受け要素21はストラップのパーツであってもよく、接続要素11は胴部上の1以上の角部であってもよい。
【0041】
これに加えて、上述した全ての変形例において、取り付け要素は、関節接合ピンを後退位置から突出位置へ、及びまたはその逆へ、自動的に移動するよう平行移動方向の動きで駆動するため、凹部内への位置決め中、及びまたは接続要素及びまたは受け要素からの除去中、旋回ピン上で作用する手段を含んでもよい。
【0042】
更に、上述の全ての実施形態と適合可能な実施形態は、取り付け要素が取り外し可能な関節接合装置に基づく。この種の実施形態によれば、取り付け要素は、有利には、関節接合装置が第一構成にあるときに、取り外される。取り付け要素は、第二構成にある関節接合装置に固定される。にもかかわらず本発明は、上述の取り付け要素が設けられた関節接合装置に限定されない。単純化された変形例において、関節接合装置は、1つのみの構成を有してもよく、または上述の取り付け要素を用いるのとは異なる手段で作動されてもよい。
【0043】
より一般的には、本発明は、上述した実施形態とその変形例に限定されない。第一に、本発明は、ストラップのパーツと胴部の関節接合組立用の関節接合装置に限定されず、ストラップの同一パーツの2つのリンクといった、2つの時計部品のあらゆる関節接合に適合される。上述の実施形態とその変形例は、あらゆる2つの時計部品の関節接合連結に再現可能である。
【0044】
加えて、本発明は、図示した各種要素の正確な形状に限定されるものではない。特に、関節接合装置は、単一関節接合ピンを含んでもよい。本発明は、より一般的には、少なくとも1つの関節接合ピンを含む。この種の関節接合ピンは、図示したものとは異なる形状を有してもよい。例えば、関節接合ピンの関節接合部分は、円筒状形状以外の形状を有してもよい。例えば、当該関節接合部分、即ち少なくとも1つの関節接合表面は、円錐状または円錐台状であってもよい。また、関節接合部分の断面は、円形でも非円形でもよい。断面は、例えば、3つの丸突出物を含んでもよく、またはあらゆる他の連続形状を有してもよい。
【0045】
関節接合ピンは、2つの時計部品のそれぞれと、擦ることで協働するため、2つの関節接合表面を有する。これら2つの関節接合表面は、関節接合ピンの同一の関節接合部分上で、実質的に並置されてもよい。変形例において、関節接合ピンは、2つの関節接合部分を含んでもよい。小型時計が装着されると、当該関節接合部分または複数の関節接合部分を主として介して、関節接合ピンが様々な負荷に曝される。
【0046】
全ての場合において、関節接合ピンは、少なくとも、鋭い縁がない、完全に連続する周囲面を有する、関節接合部分または複数の部分を含み、関節接合ピンは、好ましくは、低強度の部分または複数の部分を含み、鋭い縁がなく、完全に連続する。正中縦面上の、関節接合ピンの少なくとも関節接合部分または複数の部分のあらゆる断面と、横平面上の、関節接合軸の少なくとも関節接合部分または複数の部分のあらゆる断面は、有利には、連続する形状の輪郭を有する。当該形状は、自身が曝される機械的負荷を耐えることを可能にする。実際、応力集中は、最大限制限され、その結果、関節接合ピンがあらゆる鋭い縁を有しないため、またはその輪郭が急な寸法変化を示さないため、関節接合ピンの強度を最適化する。
【0047】
上述のように、関節接合ピンは、低機械的強度の部分を含む。変形例によれば、関節接合ピンは、2つまたは2つ以上の低機械的強度の部分を含んでもよい。関節接合ピンの低機械的強度の部分または複数の部分は、小型時計が装着されたときに当該低強度の部分に負荷がかからないよう、関節接合部分の範囲外のまたは別個の区域にある。換言すれば、関節接合ピンは、少なくとも1つの低強度の部分を含み、少なくとも1つの低強度の部分は、当該関節接合表面の外に配置される。更に、少なくとも1つの低強度の部分は、有利には、関節接合部分または複数の部分の高さで、関節接合ピンの直径よりも小さな直径を有する円筒内に完全に内接される、関節接合ピンの機能的部分の一部である。低強度の部分は、図示するものとは異なる形状を有してもよい溝を含んでもよく、必ずしも円形ではなく、関節接合ピン周りのあらゆる切欠きであってもよい。より一般的には、関節接合ピンの低強度の部分は、関節接合部分の最小剛性(最低二次モーメント)を有する断面よりも、低い剛性(二次モーメント)の、関節接合ピンの横方向断面を有する、関節接合ピンの区域に対応する。
【0048】
図6は、例として、溝1f、1f’が関節接合ピン1の各端部に配置され、2つの案内表面1a、1eが、関節接合ピンの中央パーツの、円筒状関節接合部分に配置される、本発明にかかる他の関節接合ピンを図示する。換言すれば、関節接合ピンは、関節接合ピンの2つの端部からそれぞれ延長し、それぞれ少なくとも1つの低強度の部分を有する、2つの機能的部分を含んでもよく、関節接合ピンは、第一及び第二時計部品との関節接合表面を形成する、1つまたは2つの円筒状中央関節接合部分を含む。
【0049】
本発明にかかる関節接合ピンは、2.9以上11mm以下の長さを有してもよい。関節接合部分または複数の部分は、円筒状であっても非円筒状であってもよい。関節接合部分は、0.9以上2mm以下の直径を有する円筒内に内接されてもよい。関節接合ピンの少なくとも1つの低強度の部分は、鋭い縁のない、丸みを帯びた形状の溝であってもよい。当該溝は、丸みを帯びた表面を有してもよい。0.2以上0.4mm以下の幅の、正中縦面上の断面を有してもよい。少なくとも1つの低強度の部分は、当該幅の0.7倍以下の、または0.6倍以下の深さを有してもよい。溝の底部断面は、関節接合部分の最小断面の0.6倍以上の直径を有する円内に内接されてもよい。
【0050】
上述の各種特徴により、本発明の実施形態にかかる関節接合ピンは、破損することなく、第一時計部品の縦方向への少なくとも200Nのけん引力に耐えることができる。様々な試験によって、2つのセラミック関節接合ピンを有する関節接合装置は、900Nより大きい、即ち各関節接合ピン毎に450Nより大きい、ストラップのパーツに対するけん引力に耐えることを実証することを可能にした。低強度の部分の寸法は、関節接合ピンが破損することなく受け要素から引き出されることを保証するため、約20Nの軸方向けん引力を耐えることができるよう定められる。
【0051】
本発明はまた、少なくとも1つの上述の関節接合装置を含む、時計そのもの、特に腕時計に関する。この種の関節接合装置は、有利には、ストラップの各パーツの取り外し可能な固定のため、小型時計ケースの、特に胴部のそれぞれの反対側に配置される。関節接合装置はまた、ストラップのパーツのリンクを相互接続する役割を果たしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 関節接合ピン
1a 第一関節接合表面
1b 当接表面
1e 第二関節接合表面
1f 溝
1g パーツ
2 取り付け要素
2a 凹部
2b 当接部
2c 凹部
10 ストラップ
11 接続要素
11a ハウジング
20 胴部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】