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特開2024-83270光学シート、バックライトユニット、画像表示装置、照明装置、および光学シートの製造方法
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  • 特開-光学シート、バックライトユニット、画像表示装置、照明装置、および光学シートの製造方法 図1
  • 特開-光学シート、バックライトユニット、画像表示装置、照明装置、および光学シートの製造方法 図2
  • 特開-光学シート、バックライトユニット、画像表示装置、照明装置、および光学シートの製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083270
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】光学シート、バックライトユニット、画像表示装置、照明装置、および光学シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240613BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240613BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240613BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20240613BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20240613BHJP
   F21V 3/06 20180101ALI20240613BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240613BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240613BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02F1/13357
F21S2/00 431
F21V3/00 100
F21V3/00 530
F21V3/02 500
F21V3/06 110
F21Y103:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204571
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2022197242
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 知
(72)【発明者】
【氏名】野中 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】ナズキアン 智樹
【テーマコード(参考)】
2H042
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA12
2H042BA15
2H042BA16
2H042BA20
2H391AA15
2H391AB04
2H391AC13
2H391AC25
2H391AC53
2H391AD36
2H391AD46
2H391DA05
3K244AA01
3K244BA07
3K244BA08
3K244BA28
3K244BA31
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA19
3K244EA02
3K244EA12
3K244GA01
3K244GA02
3K244GB02
3K244GB07
3K244GB08
3K244GB13
3K244GB14
3K244GB18
3K244GC02
3K244GC07
3K244GC08
3K244GC13
3K244GC14
3K244GC18
3K244LA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、高い光透過性と光拡散性とを有し、高い取り扱い性を有する光学シートの提供を課題とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る光学シートは、ポリエステルを主成分とする基材層を備え、前記基材層の少なくとも一方の面に第1凸部を有し、前記第1凸部のアスペクト比に1000を乗じた値が15未満である。好ましい態様では、前記一方の面における平均粗さSRaに対する十点平均粗さSRzの比SRz/SRaが17以上45以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルを主成分とする基材層を備え、前記基材層の少なくとも一方の面に第1凸部を有し、前記第1凸部のアスペクト比に1000を乗じた値が15未満である光学シート。
【請求項2】
前記一方の面における平均粗さSRaに対する十点平均粗さSRzの比SRz/SRaが17以上45以下である、請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記第1凸部が、前記ポリエステルの結晶化度の高い部分によって形成される、請求項1に記載の光学シート。
【請求項4】
前記基材層が複数の粒子を含んでおり、前記一方の面に前記複数の粒子に起因する複数の第2凸部を有する、請求項1に記載の光学シート。
【請求項5】
前記第2凸部のアスペクト比に1000を乗じた値が15以上である、請求項4に記載の光学シート。
【請求項6】
前記平均粗さSRaが2.5nm以上15nm以下、かつ、前記十点平均粗さSRzが107nm以上410nm以下である、請求項1に記載の光学シート。
【請求項7】
透過色調が、a値-1.0以上であり、b値5.0以下である、請求項1に記載の光学シート。
【請求項8】
前記光学シートは、シート面に平行に形成された、0.001μm以上で1μm以下の厚みの層状の導電性部分を含む、請求項1に記載の光学シート。
【請求項9】
表面および裏面の少なくとも一方の面で測定した表面電気抵抗率が1×10Ω/□以上で10×1015Ω/□以下である、請求項1に記載の光学シート。
【請求項10】
表面および裏面の少なくとも一方の面で測定した表面電気抵抗率が1×10Ω/□以上で10×1013Ω/□以下である、請求項9に記載の光学シート。
【請求項11】
前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである、請求項1に記載の光学シート。
【請求項12】
前記基材層に積層される光拡散層をさらに備える、請求項1に記載の光学シート。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の光学シートを備えるバックライトユニット。
【請求項14】
請求項13に記載されたバックライトユニットを備える画像表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載されたバックライトユニットを備える照明装置。
【請求項16】
ポリエステルを主成分とする成形品を破砕する工程と、
前記破砕する工程で得られる破砕片を用いて押出成形によってペレットを形成する工程と、
前記ペレットを用いて基材層を形成する工程と
を備える光学シートの製造方法。
【請求項17】
前記成形品を回収する工程をさらに備える、請求項16に記載の光学シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート、バックライトユニット、画像表示装置、照明装置、および光学シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの画像表示装置には、表示パネルと、この表示パネルの裏側に配置されるバックライトユニットとを備えるものがある。このバックライトユニットとしては、エッジ型(サイドライト型)、直下型などの種類が存在している。これらのバックライトユニットは、光源と、この光源から出射された光に対して光学的な機能を奏する光学シートとを備えている。このような光学シートを備えることで、バックライトユニットの高輝度化、輝度の均一化などが図られている。
【0003】
上記光学シートとしては、例えば基材層と、この基材層に積層される光拡散層等の機能層とを備えるものが公知である。上記基材層としては、易接着性を備えることで取り扱い性を向上しているポリエステルフィルムが知られている(特開2014-043571号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-043571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のポリエステルフィルムは、二軸延伸によって形成され、長手方向の熱収縮率、プラズマ処理された接着面の表面結晶化度などが調整されることで易接着性を備えている。しかし、特許文献1に記載されているポリエステルフィルムは、他の層との易接着性は高められている一方で、製造時等におけるフィルム自体の取り扱い性については検討がされていない。
【0006】
上述のような事情に鑑みて、本発明は、高い取り扱い性を有する光学シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る光学シートは、ポリエステルを主成分とする基材層を備え、前記基材層の少なくとも一方の面に第1凸部を有し、前記第1凸部のアスペクト比に1000を乗じた値が15未満である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る光学シートは、取り扱い性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の内部構造を示す模式的側面図である。
図2図2は、図1の画像表示装置のバックライトユニットが備える光拡散シートの基材層の表面を示す模式的部分拡大断面図である。
図3図3は、層状の導電性部分を含む態様の光拡散シートの構造を示す模式的側面図であり、図3(a)は帯電防止剤を光拡散層に含む光拡散シートの構成を示す図であり、図3(b)は帯電防止剤を接着層に含む光拡散シートの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本発明の一態様に係る光学シートは、ポリエステルを主成分とする基材層を備え、基材層の少なくとも一方の面に第1凸部を有し、第1凸部のアスペクト比に1000を乗じた値が15未満である。
【0012】
このようにすることで、取り扱い性を優れたものとすることができる。
【0013】
上記一方の面における平均粗さSRaに対する十点平均粗さSRzの比SRz/SRaが17以上45以下であるとよい。このように構成されていることで、取り扱い性をさらに優れたものとすることができる。
【0014】
上記第1凸部が、ポリエステルの結晶化度の高い部分によって形成されているとい。このように構成されていることで、上記比SRz/SRaを上記範囲内に制御しやすい。
【0015】
上記基材層が複数の粒子を含んでおり、上記一方の面に上記複数の粒子に起因する複数の第2凸部を有するとよい。すなわち、上記平均粗さSRaおよび上記十点平均粗さSRzを構成する上記凹凸形状の他の一部は上記粒子に起因して形成されているとよい。このように構成されていることで、上記比SRz/SRaを上記範囲内に制御しやすい。
【0016】
上記第2凸部のアスペクト比に1000を乗じた値が15以上であるとよい。このようにすることで、上記比SRz/SRaをより容易に上記範囲内とすることができる。
【0017】
上記平均粗さSRaが2.5nm以上15nm以下、かつ、上記十点平均粗さSRzが107nm以上410nm以下であるとよい。このようにすることで、当該光学シートの取り扱い性をより向上できる。
【0018】
上記光学シートの透過色調が、a値-1.0以上であり、b値5.0以下であるとよい。このようにすることで、当該光学シートの取り扱い性を向上しつつ透明度を向上できる。
【0019】
上記光学シートは、シート面に平行に形成された、0.001μm以上で1μm以下の厚みの層状の導電性部分を含むとよい。このようにすることで、光学シートが帯電することを効果的に抑制でき、バックライト内部での汚染も効果的に防止することができる。導電性部分は、例えば、電子伝導型、イオン電導型、共役電子型等の種々の帯電防止剤を含むとよい。なお、光学シートが帯電することを効果的に抑制する観点から、層状の導電性部分の厚みは、0.005μm以上で0.8μm以下であることが好ましく、0.01μm以上で0.6μm以下であることがより好ましい。
【0020】
表面および裏面の少なくとも一方の面で測定した表面電気抵抗率が1×10Ω/□以上で10×1015Ω/□以下であるとよい。このようにすることで、光学シートが帯電することを効果的に抑制でき、バックライト内部での汚染も効果的に防止することができる。
【0021】
表面および裏面の少なくとも一方の面で測定した表面電気抵抗率が1×10Ω/□以上で10×1013Ω/□以下であるとさらによい。このようにすることで、光学シートが帯電することをさらに効果的に抑制でき、バックライト内部での汚染もさらに効果的に防止することができる。なお、上記表面電気抵抗率の下限値は低い方がより好ましいが、バックライト内部での汚染を防止する観点から、上記表面電気抵抗率の下限値は1×10Ω/□であってもよく、1×1010Ω/□であってもよい。
【0022】
上記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであるとよい。このようにすることで、成形性、熱機械特性、光学特性に優れた光学シートが得られ、当該光学シートの上記比SRz/SRaを容易に上記範囲内とすることができる。また、上記ポリエステルがポリエチレンナフタレートまたはポリブチレンテレフタレートであると、成形性、熱機械特性、光学特性に優れた光学シートが得られる。
【0023】
上記光学シートが、上記基材層に積層される光拡散層をさらに備えるとよい。当該光学シートは、上記一方の面における上記比SRz/SRaが上記範囲内であるので、光拡散シートの基材層として適している。
【0024】
本発明の別の一態様に係るバックライトユニットは、上記光学シートを備える。
【0025】
当該バックライトユニットは、取り扱い性の高い基材層を含む当該光学シートを備えるので、製造が容易である。
【0026】
本発明のさらに別の一態様に係る画像表示装置は、当該バックライトユニットを備える。
【0027】
当該画像表示装置は、当該バックライトユニットを備えるので、製造が容易である。
【0028】
本発明のさらに別の一態様に係る照明装置は、当該バックライトユニットを備える。
【0029】
当該照明装置は、当該バックライトユニットを備えるので、製造が容易である。
【0030】
本発明のさらに別の一態様に係る光学シートの製造方法は、ポリエステルを主成分とする成形品を破砕する工程と、上記破砕する工程で得られる破砕片を用いて押出成形によってペレットを形成する工程と、上記ペレットを用いて基材層を形成する工程とを備える。
【0031】
上記光学シートの製造方法において、上記ポリエステルを主成分とする成形品を回収する工程をさらに備えるようにしてもよい。
【0032】
当該光学シートの製造方法は、ポリエステルを主成分とする成形品を回収し、この回収した成形品をペレット化して光学シートを製造することで、取り扱い性に優れる光学シートを、再生資源を用いて容易に製造することができる。
【0033】
なお、「主成分」とは、質量基準で最も多く含まれる成分であり、例えば50質量%以上含有される成分を意味する。「平均粗さSRa」とは、JIS-B0601(2013)に準拠して接触式の表面粗さ測定機を用いて測定される値を意味する。「十点平均粗さSRz」とは、JIS-B0601(2013)に準拠して接触式の表面粗さ測定機を用いて測定される値を意味する。アスペクト比とは、接触式の表面粗さ測定機によって取得された基材層の表面を含む画像における凸部の底辺の長さ(基材層の厚さ方向と垂直方向の長さ)に対する凸部の高さの比を意味する。透過色調とは、JIS-Z8722(2009)およびJIS-Z8730(2009)に規定された色調a値およびb値を意味する。
【0034】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明について図面を参照しつつ詳説する。なお、図面は、本発明を説明するための模式図であって、各構成(各部材)の形状、縮尺比などは実際の構成と異なることがある。
【0035】
<画像表示装置>
画像表示装置1は、図1で示すように、バックライトユニット100と、バックライトユニット100の表側(視認者側)に配置される表示パネル200とを備える。また、画像表示装置1はバックライトユニット100を収容するケーシング(不図示)を備える。
【0036】
本実施形態において、画像表示装置1は液晶表示装置である。つまり、表示パネル200は液晶パネルである。画像表示装置1は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型表示装置であってもよく、テレビ、パーソナルコンピュータ等の比較的大型な表示装置であってもよい。
【0037】
〔バックライトユニット〕
本実施形態のバックライトユニット100は、エッジ型バックライトユニットである。バックライトユニット100は、光源110と、この光源110の出射光を側方から取り込んで表側の面から出射する導光シート120と、この導光シート120上(表側)に配置される光拡散シート130と、この光拡散シート130上に配置されるプリズムシート(第一プリズムシート140および第二プリズムシート150)とを主に備える。導光シート120、光拡散シート130およびプリズムシート140,150は、いずれも光学シートである。本実施形態では、後述の光拡散シート130を本発明の一態様に係る光学シートとして説明するが、当該光学シートは導光シート120およびプリズムシート140,150等の他の光学シートとすることもできる。すなわち、導光シート120およびプリズムシート140,150のうちのいずれか1つまたは2つ以上が、後述の基材層131を有していてもよい。
【0038】
(光源)
光源110としては、特に限定されるものではなく、例えば複数個の発光ダイオードが直線状に並べられたものが挙げられる。光源110は、その出射光が導光シート120の端面に入射するように配置される。なお、図1の光源110は導光シート120に接するように配置されているが、光源110は導光シート120と離間して配置されてもよい。
【0039】
(導光シート)
導光シート120は、上面が略矩形状の光出射面であり、端面(入射端面)から内部に入射した光を入射端面とは反対側の端面に向けて導光しつつ、上記光出射面から光拡散シート130に向けて出射する。導光シート120は、上記入射端面とは反対側の端面、および導光シート120の下面に光反射部材を設けてもよい。また、導光シート120は、光出射面にプリズム等の凹凸形状が設けられてもよい。なお、図1の導光シート120は、光の導光方向に沿った厚み方向の断面が略矩形であるが、上記断面はくさび型等であってもよい。具体的には、上記入射端面から反対側の端面に向けて下面が光出射面に漸近していてもよい。
【0040】
(光拡散シート)
光拡散シート130は、導光シート120が出射した光を拡散してプリズムシート140,150に向けて出射する。本実施形態における光拡散シート130は、基材層131と、この基材層131の光出射面に積層されている光拡散層132と、基材層131の光入射面に積層されているスティッキング防止層133とを有する。基材層131は、光出射面および光入射面(以下、光出射面と光入射面とを合わせて「表面」ということがある)にスキン層(不図示)を有していてもよい。つまり、光拡散層132およびスティッキング防止層133は上記スキン層上に積層されていてもよい。
【0041】
光拡散層132およびスティッキング防止層133としては、特に限定されるものではなく、公知の構成を採用できる。例えば、光拡散層132は、高屈折率を有する第1ビーズ134と、この第1ビーズ134を分散させた状態で固定するための樹脂バインダ135とを含み、光拡散シート130の光拡散性を向上する。スティッキング防止層133は、光拡散層132の第1ビーズ134より小径の第2ビーズ136と、この第2ビーズ136を離間して分散させる樹脂バインダ135とを含み、光拡散シート130の光入射面と導光シート120の光出射面とが密着することを抑制する。
【0042】
《基材層》
基材層131は、光線を透過させることができる透明の層であって、ポリエステルを主成分とする樹脂層である。基材層131におけるポリエステルの含有量としては、50質量%以上であることが好ましく、80質量%であることがより好ましく、100質量%であってもよい。ポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、後述する第1凸部131bおよび第2凸部131cを形成し易い観点から、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)が好ましい。ポリエステルの原料としては、新たな原料(バージン原料)であってもよいが、環境保全の観点から、リサイクル原料であることが好ましい。特に、光学フィルムのリサイクル品であることが好ましい。また、バージン原料とリサイクル原料とを混合した混合原料としてもよい。この混合原料における上記バージン原料と上記リサイクル原料との配合比は、特に限定されるものではないが、上記リサイクル原料がより多く含まれることが好ましい。上記バージン原料としては、化石燃料由来のものであってもよいし、植物由来のものであってもよい。
【0043】
リサイクルされたPET原料を用いて光学シートの基材層を作製する場合、PET基材層は、洗浄、押出、重合等の加熱を伴う工程を経る。そして、PET基材層の内部に結晶化度の高い熱結晶部分が形成される傾向がある。この熱結晶の一部が基材シートの表面に存在すると、基材シートの表面には比較的なだらかな凸部が形成される。その結果、光学シートの製造工程において、2枚以上の光学シートの基材層を重ねて取り扱う場合に、基材層の表面に上述の比較的なだらかな凸部が存在するため、表面摩擦抵抗を低減でき、また、基材層同士が密着するスティッキングが発生することが低減でき、優れた取り扱い性が得られる。
【0044】
基材層131の表面131aにおける平均粗さSRaに対する十点平均粗さSRzの比SRz/SRaは17以上45以下である。上記平均粗さSRaは2.5nm以上15nm以下であることが好ましく、かつ上記十点平均粗さSRzは107nm以上410nm以下であることが好ましい。上記平均粗さSRaおよび十点平均粗さSRzを上記範囲内とすることで、基材層131の取り扱い性をより向上することができ、ひいては光拡散シート130の取扱性がより向上する。
【0045】
具体的には、表面131aに上記平均粗さSRaおよび上記十点平均粗さSRzが上記範囲内に制御されている凹凸形状が形成されていることで、表面摩擦抵抗を低減することができる。基材層は、光学シートの製造過程において、その表面と搬送ローラとが当接しつつ搬送される。この際に表面が平滑な基材層では、搬送時における表面摩擦抵抗が大きくなる。一方で、表面に急峻な凹凸が存在しすぎると、搬送ローラとの当接で凸部が削れ、発塵し、搬送ローラを汚染することがある。これに対し、当該光拡散シート130における基材層131は、表面131aの凹凸形状が適切に制御されているので、表面摩擦抵抗を低く抑えつつ、搬送時における搬送ローラの汚染を抑制することができる。また、基材層は、製造において、ロール化されることにより表面同士が当接することがある。表面が平滑な基材層では、上記表面同士のスティッキングが発生することがあるが、当該光学シート(基材層131)は、適切に制御されている上記凹凸形状を表面131aに有するため、このようなスティッキングを抑制することができる。上記表面磨耗抵抗および上記スティッキングが抑制されることで、基材層131の歩留まりを向上することができ、光拡散シート130(当該光学シート)、ひいては当該バックライトユニット100を容易に製造することができ、製造コストを抑制することができる。さらに、上記凹凸形状が適切に制御されていることで、基材層131の表面131aに多少の傷が生じた場合でも、この傷による光学的機能の低下を抑制することができる。このように、適切に制御されている上記凹凸形状を表面131aに有する基材層131は、取り扱い性を向上することができる。
【0046】
当該光拡散シート130は、基材層131を備えることで、光拡散性を向上することができる。つまり、基材層131が光拡散シートに用いられることで、表面131aの上記凹凸形状によって光拡散シート130の光拡散性を向上することができる。
【0047】
基材層131は、光入射面および光出射面の両表面が、上記比SRz/SRaを満たしていることが好ましく、上記平均粗さSRaおよび上記十点平均粗さSRzをさらに満たしていることがより好ましい。基材層131は、後述のように成分に由来して表面131aに所望の凹凸形状を形成できる。そのため、光入射面および光出射面の両方に、上記比SRz/SRa、上記平均粗さSRaおよび上記十点平均粗さSRzが所望の範囲に制御された凹凸形状を形成しやすい。
【0048】
上記平均粗さSRaに対する上記十点平均粗さSRzの比SRz/SRaの下限としては、基材層131の取り扱い性をより高める観点から、25がより好ましく、27がさらに好ましい。一方で、上記比SRz/SRaの上限としては、表面131aに急峻な凸部が過剰に形成されることで他の部材等に傷を生じるおそれを低減する観点から、38がより好ましく、37がさらに好ましい。
【0049】
SRz/SRaを上記のようにすることで、光学シートの製造工程において、2枚以上の光学シートの基材層を重ねて取り扱う場合に、基材層の表面に比較的なだらかな凸部等の凹凸が形成されるので、表面摩擦抵抗を低減でき、また、基材層同士が密着するスティッキングが発生することを低減でき、取り扱い性に優れる。
【0050】
基材層131は、複数の粒子を含んでいてもよい。この粒子としては、無機粒子および有機粒子のいずれであってもよい。上記粒子としては、例えばアルミナ、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。ポリエステル中の上記粒子の含有濃度の下限としては、10ppmが好ましく、30ppmがより好ましく、50ppmがさらに好ましい。上記含有濃度の上限としては、10000ppmが好ましく、9000ppmがより好ましく、8000ppmがさらに好ましい。
【0051】
また、上記粒子の平均粒子径の下限としては、0.005μmが好ましく、0.010μmがより好ましく、0.015μmがさらに好ましい。上記平均粒子径の上限としは、50μmが好ましく、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。
【0052】
基材層131は、図2で示すように、表面131aに、結晶化度の高い部分によって形成される複数の第1凸部131bを有する。また、基材層131は、表面131aに、上記複数の粒子に起因する複数の第2凸部131cをさらに有していてもよい。すなわち、表面131aには、異なる要因による凹凸形状が形成されていてもよい。
【0053】
結晶化度の高い部分によって形成される複数の第1凸部131bは、比較的なだらかな凸部であり、アスペクト比に1000を乗じた値が15未満であることが好ましい。この値の上限としては、10がより好ましく、8がさらに好ましく、7が特に好ましい。上記値の下限としては、特に限定されるものではないが、例えば、1であってもよく、1.5であってもよく、2であってもよい。ここで、アスペクト比とは、凸部の高さを、凸部の底辺の長さで除した値である。
【0054】
光学シートの第1凸部131bの有無は、以下のようにして判定する。まず、基材層131の表面131aを観察するため、後述する方法によって、当該光学シートの基材層131の表面131aに積層された他の層を剥離する。なお、表面131aが露出している場合は、他の層を剥離することは不要である。基材層131の表面131aの凹凸をイメージングするために、接触式の表面粗さ測定機を用いた。基材層131の中央部において、光学シートの成膜方向に、測定長0.5mm、測定間隔(ピッチ)5μm、測定数81本、触針圧力100μNで測定した。つまり、長辺0.5mm、短辺0.4mmの長方形を1個の観察領域として、所定のアスペクト比の第1凸部131bの有無を検出する。第1凸部131bは、基材層131上に必ずしも均一に存在していないので、合計10個の観察領域を観察することで、第1凸部131bの有無を判定する。
【0055】
表面131aに形成されている第1凸部131bのうち、アスペクト比が上記範囲内に含まれる第1凸部131bの割合の下限としては、基材層131の取り扱い性を高める観点から、40%が好ましく、50%がより好ましく、70%がさらに好ましい。一方、上記割合の上限としては、100%であってもよい。
【0056】
光学シートの第1凸部131bの割合は、以下のようにして求める。まず、基材層131の表面131aを観察するため、後述する方法によって、当該光学シートの基材層131の表面131aに積層された他の層を剥離する。なお、表面131aが露出している場合は、他の層を剥離することは不要である。上述したように、基材層131の表面131aの凹凸をイメージングするために、接触式の表面粗さ測定機を用いる。基材層131の中央部において、光学シートの成膜方向に、測定長0.5mm、測定間隔(ピッチ)5μm、測定数81本、触針圧力100μNで測定する。長辺0.5mm、短辺0.4mmの長方形を1個の観察領域として、合計10個の観察領域を観察する。これら10個の観察領域のうち、所定のアスペクト比の第1凸部131bが1つ以上存在する観察領域の個数を第1凸部131bの割合とする。
【0057】
なお、第1凸部131bの底部の幅の下限としては、基材層131の取り扱い性をより高める観点から、15μmが好ましく、20μmがより好ましい。また、第1凸部131bの底部の幅の上限としては、特に限定されるものではないが、例えば40μmであってもよく、30μmであってもよい。
【0058】
なお、第1凸部131bの高さの上限としては、基材層131の取り扱い性をより高める観点から、0.20μmが好ましく、0.15μmがより好ましい。また、第1凸部131bの高さの下限としては、特に限定されるものではないが、例えば0.05μmであってもよく、0.07μmであってもよい。
【0059】
なお、第1凸部131bの半値幅の下限としては、基材層131の取り扱い性をより高める観点から、10μmが好ましく、12μmがより好ましい。また、第1凸部131bの半値幅の上限としては、特に限定されるものではないが、例えば20μmであってもよく、15μmであってもよい。
【0060】
上記複数の粒子に起因する複数の第2凸部131cは、急峻な凸部であり、アスペクト比に1000を乗じた値が15以上であることが好ましい。この値の上限としては、特に限定されるものではないが、例えば、70であってもよく、60であってもよく、50であってもよい。
【0061】
表面131aに形成されている第2凸部131cのうち、アスペクト比が上記範囲内に含まれる第2凸部131cの割合の下限としては、基材層131の取り扱い性を高める観点から、40%が好ましく、50%がより好ましく、70%がさらに好ましい。一方、上記割合の上限としては、100%であってもよい。第2凸部131cの割合を求める方法は、第1凸部131bの割合を求める方法と同一である。
【0062】
このような複数の第1凸部131bおよび複数の第2凸部131cを備えることで、上記平均粗さSRa、上記十点平均粗さSRzおよび上記比SRz/SRaを容易に上記範囲とすることができる。
【0063】
当該光拡散シート130は、基材層131に含有され得る上記粒子によって表面131aの形状が変わり得る。基材層131の表面131aにおける平均粗さSRaおよびSRzとしては、以下の(a)または(b)のいずれかの条件を満たすことも好ましい。なお、条件(a)は基材層131に上記粒子が含まれていない場合に満たしやすく、条件(b)は基材層131に上記粒子が含まれている場合に満たしやすい。
(a)2.5nm≦平均粗さSRa<8nm、かつ107nm≦十点平均粗さSRz<200nm
(b)8nm≦平均粗さSRa≦15nm、かつ200nm≦十点平均粗さSRz≦410nm
【0064】
条件(a)において、平均粗さSRaの下限としては、3nmであってもよく、3.5nmであってもよい。条件(a)において、平均粗さSRaの上限としては、7nmであってもよく、6nmであってもよい。条件(a)において、十点平均粗さSRzの下限としては、110nmであってもよく、115nmであってもよい。条件(a)において、十点平均粗さSRzの上限としては、170nmであってもよく、150nmであってもよい。
【0065】
条件(b)において、平均粗さSRaの下限としては、9nmであってもよく、10nmであってもよい。条件(b)において、平均粗さSRaの上限としては、14nmであってもよく、13nmであってもよい。条件(b)において、十点平均粗さSRzの下限としては、250nmであってもよく、300nmであってもよい。条件(b)において、十点平均粗さSRzの上限としては、405nmであってもよく、403nmであってもよい。
【0066】
基材層131の平均厚さとしては、特に限定されるものではないが、10μm以上400μm以下が好ましく、20μm以上130μm以下がより好ましい。上記平均厚さを上記範囲内とすることで、撓みが生じることを抑制できる強度とすることができ、かつ光拡散シート130の薄型化が実現できる。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
【0067】
基材層131は、透過色調のa値が-1.0以上、b値が5.0以下であることが好ましい。透過色調のa値およびb値が上記数値を満たすことで基材層131の色差を抑制し、透明度を向上することができる。透過色調のa値の上限およびb値の下限は、特に限定されるものではないが、a値の上限としては1.0、b値の下限としては-1.0とすることが好ましい。
【0068】
上述のように、基材層131は、光拡散層132およびスティッキング防止層133との間に介在するスキン層を有していてもよい。このスキン層は、例えばバインダと、このバインダ中に分散する粒子とを含む構成とすることができる。
【0069】
上記スキン層に含まれるバインダとしては、有機バインダ、無機バインダのいずれを用いてもよいが、光拡散シート130の製造時にロール状に加工し易い点から有機バインダを用いることが好ましい。上記有機バインダとしては、共有結合を有し、2種以上の原子からなる分子が最小単位となる有機化合物であって、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂などが好ましく、これらの2以上を含んでもよい。上記有機バインダは、基材層131への塗布性の観点から、適当な官能基を選択できるポリエステル、アクリル樹脂を含むことがより好ましい。また、有機バインダは、耐熱性、耐加水分解性、耐摩耗性を向上する観点から、架橋構造を有することがさらに好ましい。架橋構造を有する有機バインダとしては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリシランなどが挙げられる。
【0070】
上記スキン層に含まれる粒子としては、有機粒子、無機粒子のいずれを用いてもよく、その両方を用いてもよい。無機粒子としては、特に限定されるものではないが、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、セリア、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、各種金属酸化物からなる粒子などが挙げられる。粒子の粒子径としては、粒子の分散性やバインダの厚みに依存し、複数の粒径の粒子を用いてもよいが、少なくとも1種類は、平均粒子径の下限値が0.2nmであり、上限値が2000nmであることが好ましい。上記平均粒子径の上限値は1000nmであることがより好ましい。なお、粒子径とは、レーザー回折散乱法で求めた有効径(回折散乱径)の平均値である平均粒径を示す。
【0071】
上記スキン層における平均厚さの下限としては、0.001μmが好ましく、0.010μmがより好ましい。上記平均厚さの上限としては、10μmが好ましく、2μmがより好ましい。このような厚さとすることで基材層131の薄型化を図ることができ、かつ第1凸部131bおよび第2凸部131cを上記スキン層表面に効果的に発現させることができる。
【0072】
上記スキン層における上記バインダの100質量部に対する上記粒子の配合量の下限としては、0.01質量部が好ましく、0.1質量部がより好ましい。上記配合量の上限としては、100質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。上記粒子の配合量を上記範囲とすることで、基材層131の製造コストが不必要に高くなること、および基材層131の光透過率が低下することを抑制できる。
【0073】
基材層131が上記スキン層を有する場合であっても、上記凹凸形状は上記スキン層の表面に発現する。すなわち、上記スキン層を有する基材層131の表面131aは、上記比SRz/SRaが17以上45以下である。
【0074】
なお、基材層131の表面に、光拡散層132、スティッキング防止層133、およびスキン層、あるいはその他の層が積層されている場合、これらの層を剥離した後に基材層131の表面を分析することで、基材層131自体が有する凹凸を観察する。基材層131に積層されている層を剥離する方法としては、例えば、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン、酢酸ブチル、アセトン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等、またはこれらの混合物を入れた容器に、基材層131を含む当該光学シートを浸漬し、超音波洗浄機による振動下で適宜加温する方法が挙げられる。
【0075】
(プリズムシート)
プリズムシート140,150は、光拡散シート130から出射した光を屈折等させることにより、当該バックライトユニット100の出光性能を向上するものである。本実施形態のバックライトユニット100は、二つのプリズムシート140,150を備える。光拡散シート130側に配置される第1プリズムシート140は、光拡散シート130から入射した光を屈折させて第2プリズムシート150に出射する。第2プリズムシート150は、表示パネル200の光入射面に対して略垂直に光が進行するように、第1プリズムシート140から入射した光を屈折させて表示パネル200に向けて出射する。
【0076】
プリズムシート140,150は、光入射面および光出射面を有する略板状(シート状)の基材部141,151と、この基材部141,151の光出射面に配置され、一方向に延在する複数のプリズム部142,152とを含む。複数のプリズム部142,152は、プリズムシート140,150の光出射面に平行列に配設される凸状部である。プリズムシート140,150の厚さ方向におけるプリズム部142,152の断面形状としては、特に限定されるものではないが、半円形状、半楕円形状、三角形状等とすることができる。第一プリズムシート140と第二プリズムシート150とは、それぞれの上記プリズム部142,152の稜線が平面視で直交するように配置されることが好ましい。
【0077】
プリズムシート140,150の光入射面からプリズム部142,152の頂点までの高さ(プリズムシートの厚さ)としては、特に限定されるものではないが、50μm以上200μm以下が好ましく、100μm以上180μm以下がより好ましい。プリズム部142,152間の間隔(ピッチ)としては、30μm以上100μm以下が好ましく、40μm以上60μm以下がより好ましい。
【0078】
<光学シートの製造方法>
上述のように、当該光学シートは、リサイクル原料のポリエステル又はリサイクル原料のポリエステルを含む混合原料で形成されていることが好ましい。バージン原料のポリエステルが成形品にされる過程で熱履歴を受けたリサイクル原料を用いることで結晶化度が不均一になり易く、第1凸部131bが形成され易くなる。以下では、リサイクル原料を用いて当該光学シートを製造する方法について説明する。当該光学シートの製造方法は、ポリエステルを主成分とする成形品を回収する工程と、上記回収する工程で回収した上記成形品を破砕する工程と、上記破砕する工程で得られる破砕片を用いて押出成形によってペレットを形成する工程と、上記ペレットを用いて基材層を形成する工程とを主に備える。また、当該光学シートの製造方法は、上記破砕する工程で得られる破砕片を洗浄する工程を有する。
【0079】
〔回収する工程〕
回収する工程では、ポリエステルを主成分とする成形品を回収する。ポリエステルを主成分とする成形品としては、透明な成形品であれば特に限定されるものではないが、例えば、使用済みの他の光学シートやPETボトル等が挙げられる。
【0080】
〔破砕する工程〕
破砕する工程では、上記回収する工程で回収した上記成形品を破砕する。破砕する方法としては、特に限定されるものではなく、上記成形品を破砕片にすることができる公知のクラッシャー装置などを用いることができる。
【0081】
〔洗浄する工程〕
洗浄する工程では、上記破砕する工程で得られる破砕片を洗浄する。洗浄する方法としては、特に限定されるものではなく、洗浄剤などを用いて上記破砕片を洗浄することができる公知の洗浄機などを用いることができる。
【0082】
上記洗浄は、上記回収する工程で回収した上記成形品に行ってもよい。すなわち、上記回収する工程で回収した上記成形品を洗浄し、洗浄した上記成形品を破砕してもよい。
【0083】
〔ペレットを形成する工程〕
ペレットを形成する工程では、上記破砕する工程で得られる破砕片を用いて押出成形によってペレットを形成する。具体的には、上記破砕片を加熱して溶融し、この溶融物を押出機によってペレットに成形する。ペレットを形成する工程では、得られる光学シートの光学特性を調整するための添加物などを添加してもよい。上記ペレットを形成する工程における押出温度の下限としては、得られる基材層に上述の第1凸部を容易かつ確実に形成する観点から、250℃が好ましく、265℃がより好ましい。一方、上記押出温度の上限としては、特に限定されるものではないが、分解ガスが生成されることを抑制する観点から、例えば310℃とすることが好ましい。
【0084】
〔基材層を形成する工程〕
基材層を形成する工程では、上記ペレットを用いて基材層を形成する。例えば、基材層を形成する工程では、上記ペレットを用いた押出成形によって基材層を形成する。基材層を形成する工程では、得られる基材層の光学特性を調整する観点などから、バージン原料を添加してもよい。上記押出成形による押出温度としては、ポリエステルの溶融温度以上である。上記押出温度の下限としては、第1凸部形成の容易性および確実性の向上の観点から、250℃が好ましく、265℃がより好ましい。一方、この押出温度の上限としては、特に限定されるものではないが、分解ガスが生成されることを抑制する観点から、例えば310℃とすることが好ましい。
【0085】
<利点>
当該光学シートは、基材層131の少なくとも一方の表面131aに、平均粗さSRaに対する十点平均粗さSRzの比SRz/SRaが17以上45以下である凹凸形状が形成されているため、この光学シートの表面に積層される他の層との易接着性が向上でき、他の部材などとの当接によるスティッキングおよび表面磨耗が抑制できる。このため、当該光学シートは取り扱い性が向上できる。また、当該光学シートは、上記凹凸形状を有することで、光拡散性を向上することができる。
【0086】
当該光学シートの製造方法は、ポリエステルを主成分とする成形品を回収して得た原料から光学シートを製造しているため、再生資源で光学シートを製造することができる。
【0087】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0088】
当該光学シートは、上述の光拡散シートである場合でも、この光拡散シートの具体的な構成は特に限定されない。例えば、当該光拡散シートは、上述のスティッキング防止層を備えていなくてもよい。
【0089】
当該バックライトユニットの具体的な構成は、上記実施形態に記載された構成に限定されない。例えば、当該バックライトユニットは、直下型であってもよい。
【0090】
また、当該バックライトユニットは、照明装置に備えられてもよい。
【0091】
当該バックライトユニットの光源は必ずしもLED光源でなくてもよい。また、上記光源は、複数ではなく一つであってもよい。上記光源は、点光源ではなく、線光源などであってもよい。
【0092】
当該バックライトユニットは、導光シート、光拡散シートおよびプリズムシート以外の光学シートを備えてもよく、導光シート、光拡散シートおよびプリズムシートの一部を備えないものであってもよい。当該バックライトユニットは、1または3以上のプリズムシートを備えてもよく、複数の光拡散シートを備えてもよい。
【0093】
基材層を含む当該光学シートは、光拡散シートのみならず、導光シート、プリズムシート、偏光シート、反射シート、視野角制限シート等に用いられてもよい。このようにすることで、上述の同じ種類の光学シート同士を重ねて取り扱う際に、または、異なる種類の光学シートを用いてバックライトユニットを作製する際に、優れた取り扱い性が期待できる。
【0094】
当該光学シートは、基材層の少なくとも一方の面における平均粗さSRaに対する十点平均粗さSRzの比SRz/SRaが上記範囲を満たすものであれば、表面の凹凸形状が結晶化度の高い部分および粒子によって形成されるものでなくてもよい。
【0095】
プリズムシートのプリズム部は、基材部の光入射面に形成されていてもよい。
【0096】
当該光学シートの製造方法におけるポリエステルのリサイクル原料は、物理的再生によるものに限られず、化学的再生によって得てもよい。
【実施例0097】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
PETを原料として異なる条件で製造した複数種の光学シート(厚さ50μm)を準備した。それぞれの光学シートの表面の平均粗さSRaおよび十点平均粗さSRzを測定し、それらの比SRz/SRaを算出した。光学シートの製造条件、測定値および算出結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
なお、表1中の歩留まりは、検査工程での、キズ欠点による不良率が、2%未満を◎、2%以上5%未満を〇、5%以上10%未満を△として評価した。
【0101】
表1に示す通り、光学シート1~6はSRz/SRaが17以上45以下であると同時に、検査工程でのキズ欠点による不良率がいずれも5%未満であり、歩留まりが高いことが分かる。また、光学シート1,2,3,6はSRz/SRaが25以上37以下であると同時に、検査工程でのキズ欠点による不良率がいずれも2%未満であり、歩留まりがより高いことが分かる。光学シート1~6の中には、PET基板に粒子が添加されている場合があり、上記粒子を含む場合には、上記粒子を含まない場合に比べて、SRaの値が比較的高い傾向がある。そのため、SRa単独は、取り扱い性に優れた光学シートを選択する指標として適切ではないと考える。一方、例えば、光学シート1,2,3,6はSRz/SRaが25以上37以下であり、歩留まりがより高いことから、SRz/SRaは、PET基板に粒子が添加されている場合であっても、取り扱い性に優れた光学シートを選択する指標として適切である。
【0102】
また、表1に示す通り、リサイクルPET原料で製造された光学シート1,2,3,6はSRz/SRaが25以上37以下であり、歩留まりがより高い。リサイクルPET原料で製造された光学シートであれば、基材層の表面に比較的なだらかな凸部等の凹凸が形成されるので、製造工程において2枚以上の光学シートの基材層を重ねて取り扱う場合に、表面摩擦抵抗の低減等により、基材層同士が密着するスティッキングが発生することを低減できることによると考える。
【0103】
次に、光学シート2の表面におけるアスペクト比に1000を乗じた値が15未満である第1凸部、および、アスペクト比に1000を乗じた値が15以上である第2凸部をそれぞれ3つ選択し、それらの底部の幅および高さからアスペクト比に1000を乗じた値を算出した。また、それぞれの半値幅を測定し、扁平率(半値幅/底部の幅)を算出した。その結果を表2に示す。なお、半値幅とは、第1凸部および第2凸部の高さの1/2の位置で光学シートの厚み方向に垂直な方向における幅を意味する。
【0104】
【表2】
【0105】
表2から、アスペクト比に1000を乗じた値は、PET原料の高結晶化度に起因する第1凸部では15に満たず、粒子に起因する第2凸部では15以上であることが分かる。また、第1凸部および第2凸部の上記扁平率は、いずれも0.5前後であり、具体的には、0.4以上0.7以下であった。
【0106】
また、表1に示した光学シート1~6のそれぞれの透過色調を測定し、それらのa値およびb値を求めた。その結果を表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
表3に示した結果から、これらの光学シートはいずれも、透過色調のa値が-1.0以上であり、かつ、b値が5.0以下である。透過色調のa値およびb値が上記数値を満たすことで基材層の色差を抑制し、透明度を向上することができる。既に述べたとおり、透過色調のa値の上限およびb値の下限は、特に限定されるものではないが、a値の上限としては1.0、b値の下限としては-1.0とすることが好ましい。
【0109】
図3は、層状の導電性部分を含む態様の光拡散シート130の構造を示す模式的側面図であり、図3(a)は帯電防止剤を光拡散層132に含む光拡散シート130の構成を示す図であり、図3(b)は帯電防止剤を接着層137に含む光拡散シートの構成を示す図である。すなわち、図3(a)に示した態様では、光拡散層132が層状の導電性部分として機能し、図3(b)に示した態様では、接着層137が層状の導電性部分として機能する。なお、図3に示した態様はあくまでも例示であり、層状の導電性部分は、光学シートの表面、裏面、内部のいずれに設けるようにしてもよい。
【0110】
上述したとおり、光学シートのシート面に導電性部分を含ませることにより、光学シートが帯電することを効果的に抑制でき、バックライト内部での汚染も効果的に防止することができる。そのような導電性部分は、シート面に平行に形成された層状の導電性部分であって、その厚さは0.001μm以上で1μm以下であるとよい。
【0111】
実施例7~13は、表1に示した光学シート1~6を備える光拡散シートに、層状の導電性部分を設けた場合と設けない場合の光拡散シートである。
【0112】
実施例7、12は、図3に示すように、上記の光学シート1、5(いずれも厚さ50μm)のそれぞれの表面に、帯電防止剤を含有しない光拡散層132を設けた光拡散シート130である。光拡散層132は、粒径1~15μmのスチレン系ビーズを添加したアクリル系樹脂をウェットコーティングして形成した。
【0113】
実施例8、9、10、11は、図3に示すように、上記の光学シート2、3、4、4(いずれも厚さ50μm)それぞれの表面に、帯電防止剤を含有する光拡散層132を設けた光拡散シート130である。光拡散層132は、イオン電導型の帯電防止剤、および、粒径1~15μmのスチレン系ビーズを添加したアクリル系樹脂をウェットコーティングして形成した。帯電防止剤の添加量は、光拡散層132の構成樹脂100質量部に対して1.5質量部とした。
【0114】
実施例13は、図4に示すように、上記の光学シート6(厚さ50μm)と光拡散層132との間に、帯電防止剤を含有する接着層137が設けられる。すなわち、実施例13の光拡散シート130は、基材層131、接着層137及び光拡散層132の3層構造を含む。接着層137は、イオン電導型の帯電防止剤、および、基材層131と光拡散層132とを接着させるプライマーを含む。また、光拡散層132は、粒径1~15μmのスチレン系ビーズを添加したアクリル系樹脂をウェットコーティングして形成した。
【0115】
実施例7~13の光拡散シート130それぞれの光拡散層132を設けた表面の表面電気抵抗値[Ω/□]を測定した。その結果を表4に示す。
【0116】
【表4】
【0117】
表4に示した結果から、光拡散シートに層状の導電性部分を設けない場合の光拡散シート(実施例7、12)はいずれも、表面電気抵抗値は測定限界の上限値である9.90×1015Ω/□を超え、測定不能なほどの高い表面電気抵抗値を示している。このことから、光拡散シートに層状の導電性部分を設けない場合の光拡散シートの表面電気抵抗値は、実質的に10×1015Ω/□を超える高い値となると評価できる。これに対し、光拡散シートに層状の導電性部分を設けた場合の光拡散シート(実施例8~11、13)はいずれも、表面電気抵抗値は1011Ω/□のオーダーと低く、導電性が高いこと、すなわち、帯電防止効果を有していることがわかる。
【0118】
すなわち、表面および裏面の少なくとも一方の面で測定した表面電気抵抗率が1×10Ω/□以上で10×1015Ω/□以下であるとよい。このようにすることで、光学シートが帯電することを効果的に抑制でき、バックライト内部での汚染も効果的に防止することができる。
【0119】
また、表面および裏面の少なくとも一方の面で測定した表面電気抵抗率が1×10Ω/□以上で10×1013Ω/□以下であるとさらによい。このようにすることで、光学シートが帯電することをさらに効果的に抑制でき、バックライト内部での汚染もさらに効果的に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本発明の光学シートは、取り扱い性を向上できるため、画像表示装置などのバックライトユニットに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0121】
1 画像表示装置
100 バックライトユニット
110 光源
120 導光シート
130 光拡散シート
131 基材層
131a 表面
131b 第1凸部
131c 第2凸部
132 光拡散層
133 スティッキング防止層
134 第1ビーズ
135 樹脂バインダ
136 第2ビーズ
137 接着層
140 第一プリズムシート
141,151 基材部
142,152 プリズム部
150 第二プリズムシート
200 表示パネル
図1
図2
図3