(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083271
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】アンテナ素子
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/28 20060101AFI20240613BHJP
H01Q 19/02 20060101ALI20240613BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240613BHJP
H01Q 1/48 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01Q9/28
H01Q19/02
H01Q1/22 Z
H01Q1/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204804
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0171437
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0022228
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】成 基勳
(72)【発明者】
【氏名】洪 性俊
(72)【発明者】
【氏名】許 潤鎬
(72)【発明者】
【氏名】權 度亨
(72)【発明者】
【氏名】金 大圭
【テーマコード(参考)】
5J020
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J020BA05
5J046AA04
5J046AB15
5J047AA04
5J047AB15
5J047EF04
(57)【要約】
【課題】向上した光学および放射特性を有するアンテナ素子を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態はアンテナ素子を提供する。アンテナ素子は、放射体を含むアンテナユニットと、放射体の周辺において放射体と離隔して配置され、ダミー導電ラインおよびダミー導電ラインが切断された分節領域を含むダミーメッシュパターンと、放射体とダミーメッシュパターンとの間に配置され、放射体およびダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔し、メッシュ構造を含む寄生素子とを含む。アンテナ素子のアンテナゲイン性能およびアンテナ素子間の隔離度を改善することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射体を含むアンテナユニットと、
前記放射体の周辺において前記放射体と離隔して配置され、ダミー導電ラインおよび前記ダミー導電ラインが切断された分節領域を含むダミーメッシュパターンと、
前記放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔し、メッシュ構造を含む寄生素子とを含む、アンテナ素子。
【請求項2】
前記寄生素子は、寄生導電ラインを含み、前記寄生導電ラインは、内部に分節部を含まない、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項3】
前記寄生素子は、前記放射体を挟んで配置される一対の寄生素子を含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項4】
前記放射体と前記寄生素子との間には、前記ダミーメッシュパターンが配置されない、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項5】
前記放射体の側壁と前記寄生素子の側壁とは平行である、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項6】
前記寄生素子は、互いに離隔して隣接するように配置された複数のサブ寄生素子を含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項7】
前記放射体はメッシュ構造を含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項8】
前記アンテナユニットは、
前記放射体と電気的に接続される伝送線路と、
前記伝送線路の周辺に配置され、前記放射体および前記伝送線路と物理的に離隔しているグランドパターンとをさらに含み、
前記伝送線路の前記放射体側への延長方向は第1方向と定義され、前記第1方向と平面上で垂直な方向は第2方向と定義される、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項9】
前記寄生素子の前記第1方向への長さは、前記放射体の前記第1方向への長さ以下である、請求項8に記載のアンテナ素子。
【請求項10】
前記寄生素子は、前記放射体と前記第2方向に離隔して配置される、請求項8に記載のアンテナ素子。
【請求項11】
前記伝送線路は、前記放射体の下辺に直接接続され、
前記寄生素子は、平面上で前記第1方向に前記放射体の前記下辺の延長線と上辺の延長線との間に配置され、前記第2方向に前記放射体と離隔して配置される、請求項8に記載のアンテナ素子。
【請求項12】
前記アンテナユニットは、
第1放射体を含む第1アンテナユニットと、
前記第1放射体と第3方向に配列される第2放射体を含む第2アンテナユニットと、
前記第2放射体と前記第3方向と平面上で垂直な第4方向に配列される第3放射体を含む第3アンテナユニットとを含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項13】
前記寄生素子は、
前記第1放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第1放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第1寄生素子と、
前記第2放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第2放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第2寄生素子と、
前記第3放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第3放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第3寄生素子とを含む、請求項12に記載のアンテナ素子。
【請求項14】
前記第2寄生素子の面積は、前記第1寄生素子の面積および前記第3寄生素子の面積のそれぞれよりも大きい、請求項13に記載のアンテナ素子。
【請求項15】
前記第1寄生素子は、前記第1放射体を挟んで配置される一対の第1寄生素子を含み、
前記第2寄生素子は、前記第2放射体を挟んで配置される一対の第2寄生素子を含み、
前記第3寄生素子は、前記第3放射体を挟んで配置される一対の第3寄生素子を含む、請求項13に記載のアンテナ素子。
【請求項16】
前記一対の第1寄生素子のうち、前記第2放射体からの距離が遠い第1寄生素子、および、前記一対の第3寄生素子のうち、前記第2放射体からの距離が遠い第3寄生素子は、それぞれ、前記第1方向において前記第2寄生素子と全体的に重畳する、請求項15に記載のアンテナ素子。
【請求項17】
前記アンテナユニットは、
前記第1放射体、前記第2放射体および前記第3放射体と離隔して配置される第4放射体と、
前記第4放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第4放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第4寄生素子を含む第4アンテナユニットとをさらに含む、請求項12に記載のアンテナ素子。
【請求項18】
請求項12に記載のアンテナ素子を含む、モーション認識センサ。
【請求項19】
請求項12に記載のアンテナ素子を含む、レーダーセンサ。
【請求項20】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネル上に配置される請求項1に記載のアンテナ素子とを含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ素子に関する。より詳細には、放射体を含むアンテナユニットを含むアンテナ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi-Fi)、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの無線通信技術が画像表示装置、電子機器、建築物などに適用または内蔵されている。
【0003】
また、移動通信技術が進化するにつれて、例えば、高周波または超高周波帯域の通信を行うためのアンテナが、バス、地下鉄などの公共交通機関、建築構造物、各種モバイル機器などに適用されている。
【0004】
しかし、アンテナは、モバイル機器のユーザ、公共交通機関の乗客などに視認されることがある。そのため、アンテナを適用した構造物の審美性が低下し、画像品質が劣化することがある。
【0005】
ユーザに視認されるのを防ぐために、メッシュ構造を含むアンテナを使用することができる。この場合、アンテナゲイン(gain)が減少し、アンテナの放射性能が相対的に低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、向上した光学および放射特性を有するアンテナ素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.放射体を含むアンテナユニットと、前記放射体の周辺において前記放射体と離隔して配置され、ダミー導電ラインおよび前記ダミー導電ラインが切断された分節領域を含むダミーメッシュパターンと、前記放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔し、メッシュ構造を含む寄生素子とを含む、アンテナ素子。
【0008】
2.前記項目1において、前記寄生素子は、寄生導電ラインを含み、前記寄生導電ラインは内部に分節部を含まない、アンテナ素子。
【0009】
3.前記項目1において、前記寄生素子は、前記放射体を挟んで配置される一対の寄生素子を含む、アンテナ素子。
【0010】
4.前記項目1において、前記放射体と前記寄生素子との間には、前記ダミーメッシュパターンが配置されない、アンテナ素子。
【0011】
5.前記項目1において、前記放射体の側壁と前記寄生素子の側壁とは平行である、アンテナ素子。
【0012】
6.前記項目1において、前記寄生素子は、互いに離隔して隣接するように配置された複数のサブ寄生素子を含む、アンテナ素子。
【0013】
7.前記項目1において、前記放射体はメッシュ構造を含む、アンテナ素子。
【0014】
8.前記項目1において、前記アンテナユニットは、前記放射体と電気的に接続される伝送線路と、前記伝送線路の周辺に配置され、前記放射体および前記伝送線路と物理的に離隔しているグランドパターンとをさらに含み、前記伝送線路の前記放射体側への延長方向は第1方向と定義され、前記第1方向と平面上で垂直な方向は第2方向と定義される、アンテナ素子。
【0015】
9.前記項目8において、前記寄生素子の前記第1方向への長さは、前記放射体の前記第1方向への長さ以下である、アンテナ素子。
【0016】
10.前記項目8において、前記寄生素子は、前記放射体と前記第2方向に離隔して配置される、アンテナ素子。
【0017】
11.前記項目8において、前記伝送線路は、前記放射体の下辺に直接接続され、前記寄生素子は、平面上で第1方向に前記放射体の前記下辺の延長線と上辺の延長線との間に配置され、第2方向に前記放射体と離隔して配置される、アンテナ素子。
【0018】
12.前記項目1において、前記アンテナユニットは、第1放射体を含む第1アンテナユニットと、前記第1放射体と第3方向に配列される第2放射体を含む第2アンテナユニットと、前記第2放射体と前記第3方向と平面上で垂直な第4方向に配列される第3放射体を含む第3アンテナユニットとを含む、アンテナ素子。
【0019】
13.前記項目12において、前記寄生素子は、前記第1放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第1放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第1寄生素子と、前記第2放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第2放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第2寄生素子と、前記第3放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第3放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第3寄生素子とを含む、アンテナ素子。
【0020】
14.前記項目13において、前記第2寄生素子の面積は、前記第1寄生素子の面積および前記第3寄生素子の面積のそれぞれよりも大きい、アンテナ素子。
【0021】
15.前記項目13において、前記第1寄生素子は、前記第1放射体を挟んで配置される一対の第1寄生素子を含み、前記第2寄生素子は、前記第2放射体を挟んで配置される一対の第2寄生素子を含み、前記第3寄生素子は、前記第3放射体を挟んで配置される一対の第3寄生素子を含む、アンテナ素子。
【0022】
16.前記項目15において、前記一対の第1寄生素子のうち、前記第2放射体からの距離が遠い第1寄生素子、および、前記一対の第3寄生素子のうち、前記第2放射体からの距離が遠い第3寄生素子は、それぞれ、前記第1方向において前記第2寄生素子と全体的に重畳する、アンテナ素子。
【0023】
17.前記項目12において、前記アンテナユニットは、前記第1放射体、前記第2放射体および前記第3放射体と離隔して配置される第4放射体と、前記第4放射体と前記ダミーメッシュパターンとの間に配置され、前記第4放射体および前記ダミーメッシュパターンのそれぞれと離隔する第4寄生素子を含む第4アンテナユニットとをさらに含む、アンテナ素子。
【0024】
18.前述のアンテナ素子を含む、モーション認識センサ。
【0025】
19.前述のアンテナ素子を含む、レーダーセンサ。
【0026】
20.ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネル上に配置される前述のアンテナ素子とを含む、画像表示装置。
【発明の効果】
【0027】
例示的な実施形態では、放射体とダミーメッシュパターンとの間に寄生素子を配置することができる。放射体の周辺に寄生素子を配置し、寄生素子による補助放射を行うことができる。これにより、アンテナゲイン(gain)を向上させることができる。
【0028】
前記ダミーメッシュパターンは、内部に分節領域を含み、前記寄生素子は、内部に分節領域を含まなくてもよい。これにより、寄生素子による補助放射を実現しながらも信号干渉および乱れを抑制することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、放射体は第1放射体と、第2放射体と、第3放射体とを含むことができる。第1放射体および第2放射体は第1方向に配列し、第2放射体および第3放射体は、前記第1方向に垂直な第2方向に配列することができる。
【0030】
第2放射体とダミーメッシュパターンとの間に配置される第2寄生素子の面積は、第1放射体とダミーメッシュパターンとの間に配置される第1寄生素子の面積、および、第3放射体とダミーメッシュパターンとの間に配置される第3寄生素子の面積のそれぞれよりも大きくてもよい。これにより、第2寄生素子を第1放射体および第3放射体の補助放射体として提供し、アンテナゲインを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による画像表示装置を示す概略平面図である。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態による画像表示装置を示す概略断面図である。
【
図11】
図11は、実施例1によるアンテナ素子の各放射体の周波数によるアンテナゲイン(gain)のグラフである。
【
図12】
図12は、実施例2によるアンテナ素子の各放射体の周波数によるアンテナゲインのグラフである。
【
図13】
図13は、実施例3によるアンテナ素子の各放射体の周波数によるアンテナゲインのグラフである。
【
図14】
図14は、比較例1によるアンテナ素子の各放射体の周波数によるアンテナゲインのグラフである。
【
図15】
図15は、実施例1~3及び比較例1によるアンテナ素子の第2放射体の放射パターンのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態は、放射体を含むアンテナ素子を提供する。
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0034】
本出願で使用される用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「一端」、「他端」、「上面」、「底面」、「上辺」、「側壁」、「下辺」などは、絶対的な位置または順序を限定するものではなく、互いに異なる構成または部分を区分するための相対的な意味で使用されるものである。
【0035】
図1及び
図2は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略的な平面図および断面図である。説明の都合上、
図2ではアンテナユニット110の詳細な構成および構造を省略している。
【0036】
図1及び
図3~
図6の「第1方向」とは、伝送線路114の放射体112側への延長方向と定義し、「第2方向」とは、前記第1方向と平面上で垂直な方向と定義することができる。
【0037】
図1及び
図2を参照すると、アンテナ素子100は、アンテナユニット110と、寄生素子120と、ダミーメッシュパターン190とを含む。
【0038】
例えば、アンテナ素子100は誘電層105を含み、アンテナユニット110、寄生素子120およびダミーメッシュパターン190は、誘電層105上に配置することができる。
【0039】
誘電層105は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;ウレタン系またはアクリルウレタン系樹脂;シリコン系樹脂などを含む透明樹脂フィルムを含むことができる。これらは、単独でまたは2以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
誘電層105は、光学透明粘着剤(Optically clear Adhesive:OCA)、光学透明樹脂(Optically Clear Resin:OCR)などの粘接着性物質を含むこともできる。
【0041】
いくつかの実施形態では、誘電層105は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ガラスなどの無機絶縁物質を含むことができる。
【0042】
一実施形態では、誘電層105は実質的に単一層で提供され得る。
【0043】
一実施形態では、誘電層105は、少なくとも2層以上の複層構造を含むこともできる。例えば、誘電層105は、基材層およびアンテナ誘電層を含むことができ、前記基材層と前記アンテナ誘電層との間の粘接着層を含むこともできる。
【0044】
誘電層105によって、アンテナ素子100に対するインピーダンス(impedance)またはインダクタンス(inductance)が形成され、前記アンテナ素子100が駆動又はセンシングできる周波数帯域を調整することができる。いくつかの実施形態では、誘電層105の誘電率は約1.5~12の範囲に調節することができる。前記誘電率が約12を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、高周波または超高周波帯域での駆動を実現できないことがある。
【0045】
いくつかの実施形態では、誘電層105の底面上には、グランド層(図示せず)を形成することができる。グランド層により、伝送線路における電界の生成をより促進することができ、給電ラインの周辺の電気的ノイズを吸収または遮蔽することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、グランド層はアンテナ素子100とは別の構成として提供することができる。いくつかの実施形態では、前記アンテナ素子100を搭載する画像表示装置の導電性部材をグランド層として提供することもできる。
【0047】
前記導電性部材は、例えば、ディスプレイパネルに含まれる薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極、スキャンラインまたはデータラインのような各種配線、若しくは画素電極、共通電極のような各種電極などを含むことができる。
【0048】
一実施形態では、画像表示装置の背面部に配置されるSUSプレート、デジタイザなどのセンサ部材、放熱シートなどの金属性部材をグランド層で提供することもできる。
【0049】
例示的な実施形態では、アンテナユニット110は放射体112を含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、アンテナユニット110は、放射体112と電気的に接続される伝送線路114をさらに含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、アンテナユニット110は、伝送線路114の周辺に配置され、放射体112および伝送線路114と物理的に離隔しているグランドパターン116をさらに含むことができる。
【0052】
例えば、一対のグランドパターン116は、伝送線路114を挟んで互いに向かい合うように配置できる。これにより、伝送線路114を介して送受信される信号の干渉および乱れを抑制することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、放射体112は、3G、4G、5Gまたはそれ以上の高周波または超高周波帯域の共振周波数を有するように設計できる。例えば、放射体112の共振周波数は、約50GHz以上であってもよく、一実施形態では、50~80GHz、一実施形態では、55~77GHzの範囲であってもよい。
【0054】
例えば、放射体112は、多角形プレート形状を含み、伝送線路114は放射体112の一つの辺から延びることができる。
【0055】
例えば、伝送線路114は、放射体112と実質的に一体になっている単一の部材として形成され、放射体112よりも小さい幅を有することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、アンテナユニット110は、伝送線路114の末端部に接続された信号パッド115をさらに含むことができる。例えば、信号パッド115は、外部回路との接続部として提供することができる。
【0057】
例えば、伝送線路114の一端部は、放射体112に直接接続し、信号パッド115は、伝送線路114の他端部に接続することができる。
【0058】
一実施形態では、信号パッド115は伝送線路114と実質的に一体になっている部材として提供され、伝送線路114の前記末端部が信号パッド115として提供されてもよい。
【0059】
例えば、信号パッド115は、中身が詰まった(solid)構造を含むことができる。これにより、外部回路との接続部における信号損失を低減することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、アンテナユニット110は、グランドパターン116の末端部に電気的に接続されるグランドパッド117をさらに含むことができる。
【0061】
例えば、一対のグランドパッド117が、信号パッド115を挟んで互いに向かい合って配置されてもよい。グランドパッド117は、伝送線路114および信号パッド115と電気的・物理的に分離され得る。
【0062】
放射体112、伝送線路114、グランドパターン116、信号パッド115及び/又はグランドパッド117は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、またはこれらの少なくとも1つを含有する合金を含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
一実施形態では、放射体112、伝送線路114、グランドパターン116、信号パッド115、及び/又はグランドパッド117は、低抵抗の実現および微細線幅パターニングのために、銀(Ag)若しくは銀合金(例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金)、または銅(Cu)若しくは銅合金(例えば、銅-カルシウム(CuCa)合金)を含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、放射体112、伝送線路114、グランドパターン116、信号パッド115、及び/又はグランドパッド117は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(ITZO)、亜鉛酸化物(ZnOx)などの透明導電性酸化物を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、放射体112、伝送線路114、グランドパターン116、信号パッド115、及び/又はグランドパッド117は、透明導電性酸化物層と金属層との積層構造を含むことができる。例えば、前記積層構造は、透明導電性酸化物層-金属層の2層構造、または透明導電性酸化物層-金属層-透明導電性酸化物層の3層構造を含むこともできる。この場合、前記金属層によってフレキシブル特性が向上しつつ、抵抗を下げて信号伝送速度を向上させることができ、前記透明導電性酸化物層によって耐食性、透明性を向上させることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、放射体112、伝送線路114、グランドパターン116、信号パッド115、及び/又はグランドパッド117は、黒化処理部を含むことができる。これにより、アンテナユニット110の表面での反射率を減少させ、光反射によるパターン視認を低減することができる。
【0067】
一実施形態では、放射体112、伝送線路114、グランドパターン116、信号パッド115、及び/又はグランドパッド117に含まれる金属層の表面を金属酸化物または金属硫化物に変換して黒化層を形成することができる。一実施形態では、前記金属層上に黒色材料コート層、またはメッキ層のような黒化層を形成することができる。前記黒色材料またはめっき層は、ケイ素、炭素、銅、モリブデン、スズ、クロム、モリブデン、ニッケル、コバルトまたはこれらの少なくとも1つを含有する酸化物、硫化物、合金などを含むことができる。
【0068】
黒化層の組成および厚さは、反射率の低減効果、アンテナの放射特性を考慮して調整することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、放射体112、伝送線路114およびグランドパターン116は、メッシュ(mesh)構造を含むことができる。これにより、アンテナユニット110の透過率が向上し、ユーザによる視認を抑制することができる。
【0070】
例えば、前記メッシュ構造は、互いに交差する複数の放射導電ラインを含むことができる。
【0071】
信号パッド115およびグランドパッド117は、給電抵抗の低減、ノイズ吸収効率および水平放射特性の向上などを考慮して、前述の金属または合金で形成された中身が詰まった(solid)パターンで形成することができる。
【0072】
例示的な実施形態では、アンテナユニット110及び/又は放射体112の周辺に、アンテナユニット110及び/又は放射体112と離隔してダミーメッシュパターン190を配置することができる。例えば、ダミーメッシュパターン190は、第1分離領域195により、放射体112および伝送線路114と電気的・物理的に分離することができる。
【0073】
これにより、アンテナ素子100の透過度が向上し、ダミーメッシュパターン190が分布することにより、放射体112および寄生素子120の周辺の光学特性を均一化することができる。したがって、アンテナ素子100がユーザに視覚的に認識されることを防止することができる。
【0074】
例示的な実施形態では、放射体112とダミーメッシュパターン190との間に寄生素子120を配置することができる。
【0075】
例えば、寄生素子120は、第2分離領域125により放射体112と物理的に離隔し、第1分離領域195によりダミーメッシュパターン190と物理的に離隔することができる。
【0076】
放射体112の周辺に寄生素子120が配置され、寄生素子120による補助放射を行うことができる。これにより、アンテナゲイン(gain)を向上させることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、寄生素子120は、放射体112を挟んで配置される一対の寄生素子120を含むことができる。これにより、アンテナ性能をさらに向上させることができる。
【0078】
例えば、放射体112と寄生素子120との間には、ダミーメッシュパターン190を配置しなくてもよい。例えば、放射体112と寄生素子120を隣接して配置し、ダミーメッシュパターン190の干渉を防止することができる。これにより、寄生素子120による補助放射性能を改善することができる。
【0079】
一実施形態によれば、放射体112の側壁(例えば、第1方向に延びる側壁)は、寄生素子120の側壁と平行であってもよい。
【0080】
例えば、放射体112および寄生素子120は、第2方向に離隔して配置することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、寄生素子120の第1方向への長さL2は、放射体112の第1方向への長さL1以下であってもよく、好ましくは、寄生素子120の第1方向への長さL2は、放射体112の第1方向への長さL1と実質的に同一であってもよい。この場合、寄生素子120の補助放射性能をさらに向上させることができる。
【0082】
前記の「同一」という表現は、数学的な意味の「同一」に限定されず、実質的に同一であると判断できるほど類似した場合を含むことができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、寄生素子120は、平面上で第1方向に放射体112の下辺の延長線と上辺の延長線との間に配置し、第2方向に放射体112と離隔して配置することができる。これにより、寄生素子120による補助放射の効率をさらに向上させることができる。
【0084】
例えば、放射体112の前記下辺は、伝送線路114と直接接続される端部を意味し、放射体112の前記上辺は、前記下辺と対向する端部を意味し得る。
【0085】
例えば、寄生素子120は、多角形プレート形状、円形状、楕円形状などを含むことができる。一実施形態によれば、寄生素子120は四角形状を有することができる。
【0086】
例えば、寄生素子120は、前述の金属または合金を含むことができる。
【0087】
例えば、誘電層105上に前述の金属または合金を含む導電層を形成することができる。前記導電層を、前述の放射体112、伝送線路114および寄生素子120の周りに沿ってエッチングしながらメッシュ構造を形成することができる。これにより、第1分離領域195および第2分離領域125により、放射体112、伝送線路114および寄生素子120と離隔しているダミーメッシュパターン190を形成することができる。
【0088】
図3は、
図1のA領域の拡大平面図である。
図3は、例示的な実施形態の放射体112と寄生素子120との境界部の拡大平面図である。
【0089】
図3を参照すると、寄生素子120はメッシュ構造を形成する寄生導電ライン122を含むことができる。例えば、寄生導電ライン122は、前述の金属または合金を含むことができる。
【0090】
寄生導電ライン122は、内部に分節部を含まなくてもよい。例えば、寄生導電ライン122のそれぞれは、途中で切断された領域なしで一直線状に延びることができる。これにより、寄生素子120に電界が発生し、寄生素子120による補助放射を実現することができる。
【0091】
図4は、
図1のB領域の拡大平面図である。
図4は、例示的な実施形態の寄生素子120とダミーメッシュパターン190との境界部の拡大平面図である。
【0092】
図4を参照すると、ダミーメッシュパターン190は、メッシュ構造を形成するダミー導電ライン192を含むことができる。例えば、ダミー導電ライン192は、前述の金属または合金を含むことができる。
【0093】
例示的な実施形態では、ダミーメッシュパターン190は、ダミー導電ライン192が切断された分節領域194を含むことができる。例えば、ダミー導電ライン192のそれぞれは、一直線上に配置された複数の切断ラインおよび分節領域194を含むことができる。これにより、ダミーメッシュパターン190による信号干渉および乱れを防止することができる。
【0094】
図5は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【0095】
図5を参照すると、寄生素子120は、互いに離隔して隣接するように配置された複数のサブ寄生素子120aを含むことができる。例えば、アンテナ素子100が画像表示装置などの外部装置に適用される場合には、サブ寄生素子120aにより前記外部装置の機能低下を防止することができる。例えば、適用装置および使用目的によって、単一の寄生素子120または複数のサブ寄生素子120aを使用することができる。
【0096】
例えば、サブ寄生素子120aの間に分節領域を含むダミーメッシュパターンを形成しなくてもよい。これにより、寄生素子120の補助放射性能をさらに向上させることができる。
【0097】
例えば、放射体112の一側辺に隣接するサブ寄生素子120aの数は、2~4個であってもよい。
【0098】
図6は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【0099】
図6を参照すると、複数のアンテナユニットが配列されたアンテナ素子100を提供することができる。
図6では、前述のアンテナユニット110および寄生素子120は、第1アンテナユニット110および第1寄生素子120として提供することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、複数のアンテナユニットは、第1放射体112を含む第1アンテナユニット110と、第2放射体132を含む第2アンテナユニット130と、第3放射体152を含む第3アンテナユニット150とを含むことができる。
【0101】
第1放射体112および第2放射体132は、第3方向に配列することができる。例えば、第1放射体112および第2放射体132は、第3方向に延びる第1軸X1に沿って互いに離隔して配置することができる。第1軸X1は、第1放射体112および第2放射体132の中心点を通過して第3方向に延びる仮想の直線であってもよい。
【0102】
例示的な実施形態では、第2放射体132および第3放射体152は、前記第3方向と平面上で垂直な第4方向に配列することができる。例えば、第2放射体132および第3放射体162は、第4方向に延びる第2軸X2に沿って互いに離隔して配置することができる。第2軸X2は、第2放射体132および第3放射体152の中心点を通過して第2方向に延びる仮想の直線であってもよい。
【0103】
例えば、前記第3方向は、第2方向に対して第1チルティング角度θ1で傾斜することができ、前記第4方向は、第3方向に対して第2チルティング角度θ2で傾斜することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、第1チルティング角度θ1および第2チルティング角度θ2は、それぞれ15°~75°、好ましくは30°~60°であってもよい。前記範囲では、第2放射体132を基準に第1放射体112および第3放射体152を同一平面上で実質的に対称に配置することができる。これにより、位置変化による信号変化を安定して測定することができる。
【0105】
一実施形態によれば、第1チルティング角度θ1および第2チルティング角度θ2は45°であってもよい。
【0106】
例示的な実施形態によれば、第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152は、互いに離隔して配置し、それぞれ独立した放射特性および信号受信機能を実現することができる。また、検知対象体の第3方向及び/又は第4方向への位置変化による第3方向及び/又は第4方向への信号の強度変化を測定することができる。測定された信号の強度変化により、検知対象体の動作および移動距離を検知することができる。
【0107】
例示的な実施形態によれば、前記第3方向と前記第4方向は、互いに垂直に交差することができる。これにより、アンテナ素子100は、直交する二つの軸(X1、X2)方向への信号強度の変化をモーションセンサ駆動回路またはレーダープロセッサに伝達することができる。モーションセンサ駆動回路またはレーダープロセッサは、例えば、収集された情報に基づいて、X-Y座標系上の全方向への位置、変化および距離を測定することができる。
【0108】
例えば、アンテナ素子100は、互いに垂直な2つの軸におけるモーションおよびジェスチャーを検知するモーションセンサ、または距離を検知するレーダー(radar)に使用することができる。放射体112,132,152は、モーションまたは距離の検知のための受信放射ユニットとして提供することができる。
【0109】
また、前記第2放射体132は、第1軸X1および第2軸X2における信号強度の変化を測定するための基準点としての役割を果たすことができる。例えば、前記第2放射ユニット132の信号強度を基準に第1軸X1及び第2軸X2における信号強度の変化を測定することにより、検知対象体の位置変化を検知することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1放射体112および第2放射体132の第3方向への離隔距離と、第2放射体132および第3放射体152の第4方向への間隔距離とは、実質的に同一であってもよい。これにより、第1方向及び/又は第2方向への信号強度を一定の距離ごとに測定することができる。したがって、検知対象の位置変化による第3方向及び/又は第4方向への信号強度の変化をより正確に測定することができる。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、第1放射体112とダミーメッシュパターン190との間に第1寄生素子120を形成し、第2放射体132とダミーメッシュパターン190との間に第2寄生素子140を形成し、第3放射体152とダミーメッシュパターン190との間に第3寄生素子160を形成することができる。
【0112】
第1寄生素子120は、第1放射体112及びダミーメッシュパターン190のそれぞれと離隔し、第2寄生素子140は、第2放射体132及びダミーメッシュパターン190のそれぞれと離隔し、第3寄生素子160は、第3放射体152及びダミーメッシュパターン190のそれぞれと離隔することができる。
【0113】
例えば、前述の放射体112、伝送線路114、信号パッド115、グランドパターン116及びグランドパッド117の構造および物質に関する内容を、第1アンテナユニット110、第2アンテナユニット130および第3アンテナユニット150のそれぞれに適用できる。
【0114】
例えば、前述の寄生素子120の構造及び物質に関する内容を、第1寄生素子120、第2寄生素子140および第3寄生素子160のそれぞれに適用できる。
【0115】
例えば、前述の放射体112と寄生素子120との間の位置関係に関する内容を、第1アンテナユニット110、第2アンテナユニット130および第3アンテナユニット150のそれぞれに適用できる。
【0116】
寄生素子120,140,160により補助放射を実現してアンテナゲイン特性が向上し、放射体112,132,152間の隔離度(isolation)が増加し、信号干渉を防止することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、アンテナ素子100は、第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152にそれぞれ接続された第1伝送線路114、第2伝送線路134および第3伝送線路154をさらに含むことができる。これにより、第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152を互いに独立して駆動することができる。また、第1軸X1への電磁波信号の強度および第2軸X2への電磁波信号の強度の変化をそれぞれ独立して測定することができる。
【0118】
例えば、第1伝送線路114、第2伝送線路134および第3伝送線路154は、それぞれ、第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152の電磁波信号または電気信号をアンテナ駆動ICチップ、モーションセンサ駆動回路、またはレーダープロセッサに伝達することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、前記第1伝送線路114、前記第2伝送線路134および前記第3伝送線路154は、それぞれ、前記第1放射体112、前記第2放射体132および前記第3放射体152と誘電層105上において同じ層または同じレベルに配置することができる。
【0120】
これにより、信号の入力・出力および給電のための別の同軸給電をしなくても給電・駆動を行うことができる。これにより、例えば、アンテナ素子100がディスプレイパネル上に配置されるアンテナ・オン・ディスプレイ(antenna on display、AOD)を実現することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、第1アンテナユニット110は、第1伝送線路114の末端部に接続された第1信号パッド115、および第1伝送線路114の周辺に配置され、第1放射体112および第1伝送線路114と物理的に離隔している第1グランドパターン116をさらに含むことができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、第1アンテナユニット110は、第1グランドパターン116の末端部に電気的に接続される第1グランドパッド117をさらに含むことができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、第2アンテナユニット130は、第2伝送線路134の末端部に接続された第2信号パッド135をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、第2アンテナユニット130は、第2伝送線路134の周辺に配置され、第2放射体132および第2伝送線路134と物理的に離隔している第2グランドパターン( 図示せず)をさらに含むことができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、第2アンテナユニット130は、第2信号パッド135の周辺に第2信号パッド135と離隔して配置される第2グランドパッド137をさらに含むことができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、第3アンテナユニット150は、第3伝送線路154の末端部に接続された第3信号パッド155と、第3伝送線路154の周辺に配置され、第3放射体152および第3伝送線路154と物理的に離隔している第3グランドパターン156とをさらに含むことができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、第3アンテナユニット150は、第3グランドパターン156の末端部に電気的に接続される第3グランドパッド157をさらに含むことができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、アンテナ素子100は、第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152と離隔して配置される第4放射体172を含む第4アンテナユニット170をさらに含むことができる。
【0128】
例えば、第4放射体172は、モーションまたは距離を検知するための送信放射体として提供でき、検知対象体に向かって電磁波を放射することができる。例えば、第4放射体172は、アンテナ素子100の送信放射体として提供することができる。
【0129】
例えば、第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152は、受信放射体として提供され、検知対象体から反射された信号を受信することができる。例えば、第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152は、アンテナ素子100の受信放射体として提供することができる。
【0130】
これにより、アンテナ素子100は、検知対象体に対する電磁波信号を受信及び/又は送信することができ、モーションセンサ及び/又はレーダーセンサは、検知対象体の位置変化および距離による信号の減少または増加を認識することができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、第4放射体172とダミーメッシュパターン190との間に第4寄生素子180を形成することができる。例えば、第4寄生素子180は、第4放射体172およびダミーメッシュパターン190のそれぞれと離隔することができる。
【0132】
例えば、前述の放射体112、伝送線路114、信号パッド115、グランドパターン116及びグランドパッド117の構造及び物質に関する内容を第4アンテナユニット170に適用できる。
【0133】
例えば、前述の寄生素子120の構造及び物質に関する内容を第4寄生素子180に適用できる。
【0134】
いくつかの実施形態では、第4アンテナユニット170は、第4放射体172と同じ層で第4放射体172に接続された第4伝送線路174をさらに含むことができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、第4アンテナユニット170は、第4伝送線路174の末端部に接続された第4信号パッド175と、第4伝送線路174の周辺に配置され、第4放射体172および第4伝送線路174と物理的に離隔している第4グランドパターン146とをさらに含むことができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、第4アンテナユニット170は、第4グランドパターン176の末端部に電気的に接続される第4グランドパッド177をさらに含むことができる。
【0137】
図7は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【0138】
図7を参照すると、第2寄生素子140の面積は、第1寄生素子120の面積および第3寄生素子160の面積のそれぞれよりも大きくてもよい。これにより、第2寄生素子140が第1放射体112および第3放射体152の補助放射体として提供され、アンテナゲインを向上させることができる。
【0139】
図7に示すように、第1放射体112および第3放射体152は、前記第1方向において第2寄生素子140と全体的に重畳していてもよい。これにより、第2寄生素子140により、第1放射体112および第3放射体152のアンテナゲインをより高めることができる。
【0140】
図8は、例示的な実施形態によるアンテナ素子を示す概略平面図である。
【0141】
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、一対の第1寄生素子120のうち、第2放射体132からの距離が遠い第1寄生素子、および、一対の第3寄生素子160のうち、第2放射体132からの距離が遠い第3寄生素子は、それぞれ、前記第1方向において第2寄生素子140と全体的に重畳していてもよい。
【0142】
この場合、第1放射体112および第3放射体152は、前記第1方向において第2寄生素子140と全体的に重畳していてもよい。これにより、第2寄生素子140によって第1放射体112、第3放射体152、第1寄生素子120および第3寄生素子160の放射性能をさらに向上させることができる。また、第2放射体132のビームパターン(beam pattern)をより均一に形成することができる。
【0143】
図9及び
図10は、それぞれ例示的な実施形態による画像表示装置を示す概略的な平面図および断面図である。
【0144】
図9は、画像表示装置300の前面部またはウインドウ面を示す。画像表示装置300の前面部は、表示領域330および非表示領域340を含むことができる。非表示領域340は、例えば、画像表示装置300の遮光部またはベゼル部に相当し得る。
【0145】
例示的な実施形態によるアンテナ素子100は、画像表示装置300の前面部に向かって配置することができ、例えばディスプレイパネル上に配置することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、前述のアンテナ素子100はフィルムの形態でディスプレイパネル上に取り付けることができる。
【0147】
一実施形態では、アンテナ素子100は、画像表示装置300の表示領域330および非表示領域340にわたって形成することができる。一実施形態では、放射体112,132,152,172は表示領域330と少なくとも部分的に重畳してもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、アンテナ素子100は、画像表示装置300の一側の中央部に位置することができる。これにより、いずれかの一側でのモーションや距離の検知性能が低下することを防止することができ、画像表示装置300の前面部上における検知対象体の全方向へのモーション、動作または距離を検知することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、伝送線路114,134,154,174の一端部は放射体112,132,152,172と接続し、伝送線路114,134,154,174の他端部または信号パッド115,135,155,175は回路基板200とボンディングすることができる。
【0150】
回路基板200は、例えば、フレキシブルプリント回路基板(flexible printed circuit boards、FPCB)を含むことができる。例えば、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)のような導電性ボンディング構造を伝送線路114,134,154,174の前記他端部または信号パッド115,135,155,175上に接合した後、前記導電性ボンディング構造上に回路基板を加熱圧着することができる。
【0151】
回路基板200は、伝送線路の他端部とボンディングされる回路配線205を含むことができる。回路配線205は、アンテナ給電配線として提供することができる。例えば、回路配線205の一端部を外部に露出させることができ、露出した回路配線205の前記一端部を伝送線路114,134,154,174上にボンディングすることができる。これにより、回路配線205とアンテナ素子100を電気的に接続することができる。
【0152】
回路基板200上には、アンテナ駆動ICチップを実装することができる。一実施形態では、回路基板200と前記アンテナ駆動ICチップとの間には、リジッド(rigid)プリント回路基板のような仲介回路基板を配置することができる。一実施形態では、前記アンテナ駆動ICチップは回路基板200上に直接実装することもできる。
【0153】
回路基板200上には、モーションセンサ駆動回路を実装することができる。
【0154】
一実施形態では、前記モーションセンサ駆動回路は、近接センサ(proximity sensor)、ジェスチャーセンサ(gesture sensor)、加速度センサ(acceleration sensor)、ジャイロセンサ(gyroscope sensor)、位置センサ(position sensor)、地磁気センサ(magnetic sensor)などを含むことができる。
【0155】
例えば、アンテナ素子100と回路基板200を電気的に接続することにより、アンテナ素子100の信号送受信情報をモーションセンサ駆動回路に伝達することができる。これにより、アンテナ素子100を含むモーション認識センサを提供することができる。
【0156】
図10を参照すると、画像表示装置300は、ディスプレイパネル310と、ディスプレイパネル310上に配置される前述のアンテナ素子100とを含むことができる。
【0157】
例示的な実施形態によれば、ディスプレイパネル310上に光学層320をさらに含むことができる。例えば、光学層320は、偏光子または偏光板を含む偏光層であってもよい。
【0158】
一実施形態では、アンテナ素子100上には、カバーウィンドウ(図示せず)を配置することができる。カバーウィンドウは、例えば、ガラス(例えば、超薄型ガラス(Ultra-Thin Glass、UTG))または透明樹脂フィルムを含むことができる。これにより、アンテナ素子100に加えられる外部衝撃を低減または相殺することができる。
【0159】
例えば、アンテナ素子100は、光学層320とカバーウィンドウとの間に配置することができる。この場合、誘電層105および光学層320を共に放射体112,132,152,172の誘電層として提供することができる。これにより、適当な誘電率を確保してアンテナ素子100のモーション検知性能を十分に確保することができる。
【0160】
例えば、光学層320とアンテナ素子100、およびアンテナ素子100とカバーウィンドウは、それぞれ粘接着層を介して積層することができる。
【0161】
回路基板200は、例えば、ディスプレイパネル310の側面屈曲プロファイルに沿って屈曲して画像表示装置300の背面部に配置することができ、駆動ICチップが実装されている仲介回路基板210(例えば、メインボード)に向かって延びることができる。
【0162】
回路基板200と仲介回路基板210とは、ボンディングまたはコネクタによって相互接続され、アンテナ駆動ICチップによるアンテナ素子100への給電およびアンテナ駆動制御を実現することができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、仲介回路基板210には、モーションセンサ駆動回路220を実装することができる。
【0164】
一実施形態では、モーションセンサ駆動回路220は、近接センサ(proximity sensor)、ジェスチャーセンサ(gesture sensor)、加速度センサ(acceleration sensor)、ジャイロセンサ(gyroscope sensor)、位置センサ(position sensor)、地磁気センサ(magnetic sensor)などを含むことができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、放射体112,132,152,172は、モーションセンサ駆動回路220にカップリング(coupling)することができる。
【0166】
一実施形態では、アンテナ素子100は、仲介回路基板210とボンディングまたは相互接続されるフレキシブル回路基板200によってモーションセンサ駆動回路220と電気的に接続することができる。これにより、アンテナ素子100の第1軸X1および第2軸X2への信号強度の変化をモーションセンサ駆動回路220に伝達・提供することができる。
【0167】
一実施形態では、特定の第1位置から特定の第2位置への検知対象の移動による第1放射体112、第2放射体132および第3放射体152の信号強度を測定することにより、検知対象の動作を測定することができる。
【0168】
例えば、アンテナ素子100とカップリングされたモーションセンサ駆動回路220は、第1位置から第2位置への移動に対応する第2放射体132と第1放射体112との間の信号強度の変化、および第2放射体132と第3放射体152との間の信号強度の変化を測定して動作を検知することができる。
【0169】
例えば、第2放射体132および第1放射体112により、検知対象の第3方向への移動を検知することができる。また、第2放射体132および第3放射体152により、検知対象の第4方向への移動を検知することができる。
【0170】
これにより、互いに垂直な2つの軸における動作・位置による信号強度の変化をアンテナ素子100からモーションセンサ駆動回路220に提供することができる。例えば、モーションセンサ駆動回路220は、各軸に沿うモーションおよび距離を測定することができる。
【0171】
一実施形態では、モーションセンサ駆動回路220はモーション検出回路を含むことができる。アンテナ素子100から伝達された信号情報は、モーション検出回路を介して位置情報または距離情報に変換・計算することができる。
【0172】
一実施形態では、アンテナ素子100はレーダーセンサ回路と電気的に接続され、送受信された信号情報をレーダープロセッサに伝達することができる。例えば、回路基板200は、仲介回路基板210を介してレーダープロセッサと電気的に接続することができる。これにより、アンテナ素子100を含むレーダーセンサを提供することができる。
【0173】
レーダーセンサは、送信信号および受信信号を分析して検知対象体に関する情報を検出することができる。例えば、アンテナ素子100が送信信号を送信し、検知対象体に反射された受信信号を受信することにより、検知対象体までの距離を測定することができる。
【0174】
検知対象体までの距離は、アンテナ素子100から送信された信号が検知対象体に反射して再びアンテナ素子100に受信されるまでの時間を測定することにより計算できる。
【0175】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、これらの実施例は単に本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で実施例に対する様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0176】
実施例1
COP誘電層上にCuを含む導電ラインをパターニングして、
図6に示すように、第1~第4アンテナユニットと、第1~第4寄生素子と、ダミーメッシュパターンとを含むアンテナ素子を製造した。
【0177】
前記導電ラインの線幅は2μm、厚さは0.5μmとした。
【0178】
ダミーメッシュパターンの形成において、ダミー導電ラインを切断して分節領域を形成した。
【0179】
第1~第4アンテナユニットは、それぞれ第1~第4放射体を含む。第1~第4放射体の共振周波数は、それぞれ約67GHzに調整した。
【0180】
実施例2
COP誘電層上にCuを含む導電ラインをパターニングして、
図7に示す形状のように、第1~第4アンテナユニットと、第1~第4寄生素子と、ダミーメッシュパターンとを形成した以外は、実施例1と同様にしてアンテナ素子を製造した。
【0181】
実施例3
COP誘電層上にCuを含む導電ラインをパターニングして、
図8に示す形状のように、第1~第4アンテナユニットと、第1~第4寄生素子と、ダミーメッシュパターンとを形成した以外は、実施例1と同様にしてアンテナ素子を製造した。
【0182】
比較例1
第1~第4寄生素子を形成せずに第1~第4寄生素子の位置にダミーメッシュパターンを形成した以外は、実施例1と同様にしてアンテナ素子を製造した。
【0183】
比較例2
第1放射体と第1寄生素子との間、第2放射体と第2寄生素子との間、第3放射体と第3寄生素子との間、および第4放射体と第4寄生素子との間にそれぞれダミーメッシュパターンをさらに形成した以外は、実施例1と同様にしてアンテナ素子を製造した。
【0184】
実験例
(1)アンテナゲイン(gain)の測定
実施例および比較例で製造されたアンテナ素子の第1~第4放射体のゲインを、それぞれ、HFSSシミュレータ(Ansys社製)を用いて測定した。
【0185】
(2)第1~第3放射体間の隔離度(isolation)の評価
実施例1および比較例で製造されたアンテナ素子の第1~第3放射体のそれぞれにポート(port)を接続した。
【0186】
第1放射体に信号を供給した後、第2放射体で信号を測定することにより、第1放射体-第2放射体間の隔離度を評価した。
【0187】
第2放射体に信号を供給した後、第3放射体で信号を測定することにより、第2放射体-第3放射体間の隔離度を評価した。
【0188】
第1放射体に信号を供給した後、第3放射体で信号を測定することにより、第1放射体-第3放射体間の隔離度を評価した。
【0189】
測定及び評価の結果は下記表1及び表2に示す。
【0190】
【0191】
【0192】
表1及び表2を参照すると、放射体に隣接して配置された寄生素子、および分節領域を含むダミーメッシュパターンの両方を含む実施例1~3では、比較例に比べてアンテナゲインが向上した。
【0193】
寄生素子と放射体との間に、分節領域を含むダミーメッシュパターンが形成された比較例2では、実施例1に比べて、寄生素子と放射体との間の距離が増加し、寄生素子の補助放射機能が低下し、アンテナ隔離度が減少した。
【0194】
図11、
図12、
図13及び
図14は、それぞれ、実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1によるアンテナ素子の各放射体の周波数によるアンテナゲインのグラフである。
【0195】
表1及び
図11~
図14に示すように、放射体とダミーメッシュパターンとの間に寄生素子が配置された実施例では、比較例に比べてアンテナゲインが向上し、放射バランスが改善された。
【0196】
第2寄生素子の面積が残りの寄生素子の面積のそれぞれよりも大きい実施例2及び3では、相対的にアンテナゲインおよび放射バランスがさらに向上した。
【0197】
図15は、実施例1~3及び比較例1によるアンテナ素子の第2放射体の放射パターンのグラフである。
【0198】
図15に示すように、実施例3では、第2寄生素子が第3方向において第1寄生素子及び第3寄生素子と全体的に重畳し、相対的にビームの波形が円形に近い形状に形成された。これにより、実施例3によるアンテナ素子の放射均一度が相対的に改善された。