(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083287
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】基板を通る接続部を有する3Dイオントラップ
(51)【国際特許分類】
H01J 3/00 20060101AFI20240613BHJP
H01J 49/42 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01J3/00
H01J49/42 550
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206567
(22)【出願日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】22212397
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522222788
【氏名又は名称】アルパイン クオンタム テクノロジーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ALPINE QUANTUM TECHNOLOGIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ヤコブ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、捕捉領域内にイオンを捕捉するための電場および/または磁場を生成するための電極部分、そのような電極部分の1つ以上を備える三次元(3D)イオントラップ、そのような3Dイオントラップでイオンを捕捉するためのシステム、ならびにそのような電極部分を製造するための方法を提供する。
【解決手段】電極部分は、電気絶縁基板から作製され、イオン捕捉領域に向かって第1の方向に細長い電極本体と、捕捉領域に最も近い電極本体の末端部に位置するピーク電極、または末端部に対して側方に位置する側部電極と、ピーク電極に接続され、ピーク電極から前記電極本体を通って捕捉領域から離れる接続部と、を備える。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕捉領域(180)内にイオンを捕捉するための複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)を備える三次元イオントラップであって、前記複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)のうちの1つ以上の各々は、
電気絶縁基板から作製され、前記イオン捕捉領域(180)に向かって第1の方向に延在する部分を含む電極本体(120a)と、
前記捕捉領域(180)に最も近い前記電極本体(120a)の末端部に位置するピーク電極(140a、140b、140c、140d)と、
前記末端部の側方で、前記電極本体(120a)上に位置する側部電極(150a、150b、150c、150d)と、
前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)または前記側部電極(150a、150b、150c、150d)に接続され、前記電極本体(120a)を通って前記捕捉領域(180)から離れるように導かれる接続部(160a)と、を備え、
前記第1の方向および前記イオン捕捉領域(180)に沿った第3の方向に垂直な第2の方向における前記電極本体(120a)の前記部分の幅が、前記イオン捕捉領域(180)に向かって前記第1の方向に沿って減少する、
三次元イオントラップ。
【請求項2】
前記複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)のうちの1つ以上のいずれかが、前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)を備え、
前記電極本体(120a)および前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)が、前記イオン捕捉領域(180)に沿って前記第3の方向に延在している、
請求項1に記載の三次元イオントラップ。
【請求項3】
前記複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)のうちの前記1つ以上のいずれかが、
前記電極本体(120a)の第1の側部に位置する第1の側部電極である前記側部電極、および/または
前記電極本体(120a)の別の第2の側部に位置する第2の側部電極
を備え、
前記1つ以上の第1の側部電極および前記1つ以上の第2の側部電極の各々が、前記第3の方向に延在している、請求項1または2に記載の三次元イオントラップ。
【請求項4】
前記複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)のうちの前記1つ以上のいずれかが、前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)または前記側部電極(150a、150b、150c、150d)を電源に接続するためのポート(170a)をさらに備え、前記接続部(160a)が、前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)または前記側部電極(150a、150b、150c、150d)から前記ポートに導かれる電気接続部(160a)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の三次元イオントラップ。
【請求項5】
前記複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)のうちの前記1つ以上のいずれかにおいて、前記接続部(160a)が、捕捉されたイオン間の電気的結合を媒介するように前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)を同じ三次元イオントラップまたは別のイオントラップの別の電極と接続する電気接続部(160a)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の三次元イオントラップ。
【請求項6】
前記1つ以上の電極部分(100a、100b、100c、100d)の各々が、
前記電極本体(120a)の前記末端部に位置する別のピーク電極(140a、140b、140c、140d)と、
前記別のピーク電極(140a、140b、140c、140d)に接続され、前記電極本体(120a)を通って前記捕捉領域(180)から離れるように前記別のピーク電極(140a、140b、140c、140d)から導かれる別の接続部(160a)と、
を備え、
前記別のピーク電極(140a、140b、140c、140d)が、前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)以外の電極であり、前記別の接続部(160a)が、前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)に接続された前記接続部(160a)以外の接続部(160a)であり、前記別のピーク電極(140a、140b、140c、140d)が、前記捕捉領域(180)に沿って前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)とは異なる位置にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の三次元イオントラップ。
【請求項7】
前記接続部(160a)が、前記ピーク電極(140a、140b、140c、140d)または前記側部電極(150a、150b、150c、150d)から熱を伝導して遠ざけるように熱伝導性材料から作製されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の三次元イオントラップ。
【請求項8】
前記複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)のうちの前記1つ以上が、それぞれのピーク電極(140a、140b、140c、140d)が前記捕捉領域(180)を等距離で取り囲むように配置された4つの電極部分(100a、100b、100c、100d)であり、
前記三次元イオントラップが、前記4つの電極部分(100a、100b、100c、100d)を保持するフレームをさらに備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の三次元イオントラップ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の三次元イオントラップと、
前記複数の電極部分(100a、100b、100c、100d)のうちの前記1つ以上の電極部分の各々において前記電力接続部(160a)を介して電力を供給するための電源と、
前記捕捉領域(180)内に捕捉された1つ以上のイオンの状態を制御するように前記電源を制御するコントローラと、
を備える、イオントラップ内のイオンを操作するためのシステム。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のイオントラップを製造するための方法であって、
前記電極本体(120a)を設けることと、
前記電極本体(120a)にキャビティを形成することと、
金属を含む材料を前記キャビティに充填することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記キャビティの前記形成が、レーザドリル加工またはエッチング加工によって行なわれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キャビティへの前記充填が、蒸着プロセス、ガルバニック蒸着プロセス、または磁場によって補助される強磁性材料を利用する自己集合によって行われる、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、3Dイオントラップの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
「イオントラップ」とも呼ばれる荷電粒子(イオン)の電気的捕捉のための装置は、典型的には真空チャンバの小さな領域にイオンを閉じ込めるための電場を生成する複数の電極を典型的には含む。イオントラップは、情報処理(量子コンピューティング、量子シミュレーション)、原子および分子実験、分光法、質量分析、原子/光学時計、ならびに計測などの多くの技術的用途で使用されている。
【0003】
そのような典型的な用途は、多くの場合、非常に精密で正確なイオントラップ、すなわち非常に高い精度で非常に特殊な(所定の/所望の)電場および/または磁場構成を生成するトラップを必要とする。
【発明の概要】
【0004】
イオントラップの性能を高めることが望ましい場合がある。
【0005】
いくつかの実施形態では、これは、電極が位置している非導電性基板を介して3Dトラップの電極に電気接続をルーティングすることによって達成される。
【0006】
本発明は、独立請求項によって定義される。有利な実施形態のいくつかは、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態では、三次元(3D)イオントラップが提供される。3Dイオントラップは、捕捉領域内にイオンを捕捉するための複数の電極部分を備える。前記複数の電極部分のうちの1つ以上の各々は、(i)電気絶縁基板から作製され、前記イオン捕捉領域に向かって第1の方向に細長い電極本体と、(ii)前記捕捉領域に最も近い前記電極本体の末端部に位置するピーク電極、または前記末端部の側方で前記電極本体に位置する側部電極と、(iii)前記ピーク電極または前記側部電極に接続され、(それぞれピーク電極から、または側部電極から)前記電極本体を通って前記捕捉領域から離れるように導かれる接続部と、を備える。
【0008】
1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。他の特徴、目的、および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0009】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1a】例示的なイオントラップの三次元図を示す概略図である。
【
図1b】右上部電極部分を切断した、
図1aの例示的なイオントラップの三次元図を示す概略図である。
【
図2】
図1aの例示的なイオントラップの半径方向の二次元図である。
【
図3a】軸方向に見た、
図1aの例示的なイオントラップの軸方向の二次元断面図である。
【
図3b】
図3aとは別の軸方向位置における、
図1aの例示的なイオントラップの軸方向の二次元断面図である。
【
図4】2つのイオントラップの結合を示す概略図である。
【
図5】イオントラップの製造ステップの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
しかしながら、図面は例示および説明のみを目的としており、開示された主題の限定の定義として意図されていないことを明確に理解されたい。さらに、同一の参照符号は、同一または少なくとも機能的に同等の特徴を指すことに留意されたい。
【0012】
以下の説明では、本開示の一部を形成し、本発明の実施形態の特定の態様または本発明の実施形態が使用され得る特定の態様を例示として示す添付の図面を参照する。本発明の実施形態は、他の態様で使用されてもよく、図に示されていない構造的または論理的な変更を含んでもよいことが理解される。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0013】
本明細書に記載の様々な例示的な実施形態および/または態様の特徴は、特に明記しない限り、互いに組み合わせることができることが理解される。
【0014】
以下の説明の目的のために、用語「端部」、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「側方」、「長手軸方向」、およびそれらの派生語は、図面で配向されているように開示された主題に関連するものとする。しかしながら、開示された主題は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形およびステップシーケンスを想定し得ることが理解されるべきである。添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の装置およびプロセスは、開示された主題の単なる例示的な実施形態または態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態または態様に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、別段の指示がない限り、限定と見なされるべきではない。
【0015】
本明細書で使用される態様、構成要素、要素、構造、動作、ステップ、機能、命令および/またはこれらに類似するものは、そのように明示的に記載されていない限り、重要または必須と解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、1つ以上の項目を含むことを意図しており、「1つ以上」および「少なくとも1つ」と交換可能に使用され得る。さらに、本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、1つ以上の項目(例えば、関連する項目、無関係な項目、関連する項目と無関係な項目との組み合わせ、および/またはこれらに類似するもの)を含むことを意図しており、「1つ以上」または「少なくとも1つ」と交換可能に使用され得る。1つの項目のみが意図される場合、「1つ」という用語または同様の用語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」などの用語は、オープンエンド用語であることを意図している。さらに、「に基づいて」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図している。
【0016】
3Dイオントラップ
一般に、イオントラップは、イオンを捕捉するために電場および/または磁場を使用する。表面トラップは、前記場を生成するすべての電極が(本質的に)同じ平面内または同じ平面上に位置するトラップである。本開示において、「3Dトラップ」という用語は、表面イオントラップではない任意のイオントラップを指す。したがって、3Dトラップでは、複数の電極が異なる平面上に位置する。より具体的には、いくつかの電極は異なる平面内にあり、いくつかの電極は依然として同じ平面内にあってもよい。言い換えれば、3Dイオントラップという用語は、駆動されると、イオンがそれらの電極の近傍の特定の(好ましくは小さい)領域から逃げないようにイオンの移動の自由度を制限する電気および/または磁場を生成する複数の電極を有する(三次元)アセンブリを指す。
【0017】
したがって、3Dトラップは、イオンを「捕捉」するために使用可能な装置であり、すなわち、本明細書では「捕捉領域」とも呼ばれる特定の(小さい)領域にイオンを空間的に閉じ込めるために使用可能な装置である。3Dトラップの場合、この領域は通常、イオントラップの内側にあり、すなわち、通常、3Dトラップの捕捉領域の異なる側/方向に複数の電極がある。これらの方向は、3Dトラップの対称性、多くの場合、連続的または離散的な回転対称性に対応し得る。例えば、1より大きい整数である次数nの離散回転対称性の場合、n個の電極がn個のそれぞれの方向に存在することができ、n個の方向は、トラップ軸の周りの回転角度(360°/n)・mによって関連付けられ、ここで、m=0,1,2,・・・,n-1である。
【0018】
3Dトラップは、線形3Dトラップ、ペニング(Penning)またはポール(Paul)トラップであってもよい。3Dイオントラップのこれらの非限定的な例は、以下により詳細に提示される。しかしながら、本発明は、これらの例または任意の特定のタイプの3Dトラップに限定されないことに留意されたい。実際のイオントラップ装置/システムは、固定手段、電気接点、ハウジング、電源、制御回路、イオンを冷却する手段などのさらなる機械的および電気的構成要素を含むことができることにも留意されたい。
【0019】
ペニングトラップとは、静電場および静磁場を使用してイオンを捕捉するトラップを指す。通常、ペニングトラップでは、静電場のみが使用される。言い換えれば、通常、振動場および/または交流場は使用されない。例えば、荷電粒子を半径方向に閉じ込めるために、軸方向の静磁場を使用することができる。
【0020】
【0021】
ここで、qおよびmはそれぞれ荷電粒子の電荷および質量である。さらに、荷電粒子を軸方向に閉じ込めるために、静電四重極電位を使用することができる。
【0022】
【0023】
ポールトラップは、電場を用いてイオンを捕捉するトラップを指す。通常、ポールトラップでは、イオンを捕捉するために電場のみが使用される。特に、通常、磁場は使用されない。一般に、ポールトラップの電場の少なくとも1つは交流(例えば、振動)であり、ポールトラップは静的電場と交流電場の両方を使用することができる。例えば、ポールトラップの交流場は、交流電気多重極場、特に電気四重極場であってもよい。電圧の切り替えは無線周波数で行われることが多いので、これらのトラップは無線周波数(RF)トラップとも呼ばれる。
【0024】
線形3Dトラップは、特定のタイプの3Dトラップである。通常、線形3Dトラップでは、イオンは交流(AC)電場を使用して半径方向に閉じ込められ、静的(DC)電位によって軸方向に閉じ込められる。したがって、線形3Dトラップは、一般に(線形)ポールトラップでもある。
【0025】
3Dイオントラップの典型的な用途では、例えば生成される電場および/または磁場の対称性に関して、非常に高い精度および正確さを必要とすることが多い。
【0026】
(実施の形態)
一実施形態によれば、三次元(3D)イオントラップが提供される。3Dイオントラップは、捕捉領域内にイオンを捕捉するための複数の電極部分を備える。
図1aおよび
図1bは、このような4つの電極部分100a、100b、100c、100dを有するイオントラップの例を示す。前記複数の電極部分の1つ以上の各々(またはさらには各々)は、
(i)電気絶縁基板から作製され、イオン捕捉領域に向かって(本開示では、基板が延在している方向を「第1方向」とも呼ぶ)延在する(例えば、突出する)電極本体と、
(ii)前記捕捉領域に最も近い電極本体の末端部に位置するピーク電極と、
(iii)前記ピーク電極に接続され、前記電極本体を通って捕捉領域から離れるように前記ピーク電極から導かれる接続部と
を備える。
【0027】
例えば、
図1aおよび
図1bでは、電極部分100aは、(i)電気絶縁基板から作製され、イオン捕捉領域180に向かって(「第1の方向」に)延在する電極本体120aと、(ii)捕捉領域180に最も近い電極本体120aの末端部に位置するピーク電極140aと、(iii)ピーク電極140aに接続され、前記電極本体120aを通って捕捉領域180から離れるようにピーク電極140aから導かれる接続部160aと、を備える。他の電極部分100b~100dは、電極部分100aと同じ方法で構築されてもよく、すなわち、他の電極部分100b~100dのいずれかまたは各々は、(i)電気絶縁基板から作製され、イオン捕捉領域に向かって(ある方向に)延在するそれぞれの電極本体と、(ii)それぞれの電極本体の末端部に位置し、前記捕捉領域に最も近いそれぞれのピーク電極と、(iii)それぞれのピーク電極に接続され、前記電極本体を通って前記捕捉領域から離れるように前記ピーク電極から導かれるそれぞれの接続部と、を含んでもよいことに留意されたい。
【0028】
ピーク電極140aの代わりに(または、以下で詳細に説明するようにそれに加えて)、前記複数の電極部分100aのうちの1つ以上は、前記末端部の側方で電極本体120a上に位置する側部電極150aを備える。これに対応して、前記接続部は、側部電極150aに接続され、前記電極本体120aを通って(少なくとも部分的に前記電極本体内で)捕捉領域180から離れるように前記側部電極から導かれるように設けられる。
【0029】
図2は、
図1a(および
図1b)の例示的なイオントラップの(切断ではなく)二次元図を示す。より具体的には、
図2は、
図1aに示す構造の右側の点から「-x」方向(言い換えれば、正のx値を有する点から、x方向とは反対の方向に)に見たy-z平面図を示す。
図3aおよび
図3bは、
図1aの例示的なイオントラップの電極部分の二次元切断を示す。より具体的には、
図3aおよび
図3bの水平軸は
図1aのx方向に対応し、
図3aおよび
図3bの垂直軸は
図1aのy方向に対応する。また、
図3aの切断のz位置は、
図2において「A」の矢印で示す垂直破線の位置に対応し、
図3bの切断のz位置は、
図2において「B」の矢印で示す垂直破線の位置に対応する。
【0030】
図3では、4つの電極部分の各々が、それぞれの電極本体を通る接続部を有するように例示されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、一般に、1つの電極部分のみがその電極本体を通る接続部を有してもよく、電極部分はまた、その電極本体を通る2つ以上の接続部を有してもよい。これらの接続部は、捕捉領域の方向(
図1のz軸に対応する第3の方向)に沿って異なる位置に位置してもよい。
【0031】
捕捉領域
一般に、捕捉領域は、適切な電圧が電極に印加されたときにイオンが閉じ込められる領域である。さらに、一般に、捕捉領域は、イオントラップの対称軸であり得る、ここでは「軸方向」または「第3の方向」とも呼ばれる特定の方向に延在することができる。例えば、捕捉領域は、線形捕捉領域であってもよく、および/または捕捉されたイオンがその周りに位置する/捕捉される線に対応してもよい。したがって、第3の方向は、前記線/捕捉領域に沿った方向または前記線/捕捉領域に平行な方向を指す。
【0032】
例えば、
図1aでは、捕捉領域180は、z方向の線として概略的に示されている。この線は、例えば、イオンがイオントラップによって生成される電磁場に対して最小のポテンシャルエネルギーを有する位置に対応することができる(例えば他のイオンとのクーロン相互作用を無視する)。残留運動エネルギーにより、捕捉されたイオンは通常、前記線の周りの領域内に捕捉される。言い換えれば、捕捉領域は前記線(例えば、線180)でなくてもよく、捕捉領域は前記線から半径方向に延在してもよい。半径方向/第1の方向における捕捉領域の幅は、捕捉されたイオンの温度および/または電極に印加される電圧の強さに依存する。特に、捕捉領域は、イオントラップの線形対称軸に対応してもよく(例えば、捕捉領域は、対称軸に沿って延在してもよい)、および/または「第3の方向」は、イオントラップの対称軸に平行であってもよい。
【0033】
ここで、3Dイオントラップは通常、回転対称性(連続的または離散的)、例えば離散的な円筒対称性または連続的な円筒対称性を有することに留意されたい。一般性を失うことなく、そのような回転対称または円筒対称の対称軸は、それらの軸が3つの相互に直交する単位ベクトルによって表されるデカルト座標系のz軸に平行であると仮定することができる。
【0034】
【0035】
例えば、
図1aでは、トラップは、z軸回りの回転に関して離散的な90°回転対称性を有する。
【0036】
【0037】
「半径方向」、「接線方向」、および「軸方向」は、本明細書でそれぞれ「第1の方向」、「第2の方向」、および「第3の方向」と呼ばれる方向に対応し得ることに留意されたい。
【0038】
【0039】
一般に、特に
図2に示されているように、電極本体およびピーク電極(および側方電極)は、イオン捕捉領域に沿った方向に(すなわち、「第3の方向」に沿って)延在してもよい。電極本体および/またはピーク電極が第3の方向に延在するという状況は、電極に適切な電圧が印加されたときに捕捉領域が第3の方向に延在する理由であり得ることに留意されたい。例えば、
図1aでは、4つの電極部分100a、100b、100cおよび100dの各々は、捕捉領域に沿った方向であるz方向に延在するものとして示されている。
【0040】
電極部分
一般に、3Dイオントラップは、複数の電極部分を備えることができ、または図に示す特定の例では(トラップ)ブレードを備えることができる。例えば、
図1および
図3に示すように、4つの電極部分が存在してもよい。ただし、本発明は、イオントラップ内の電極部分の特定の数に限定されない。さらに、一般に、電極部分の任意の数(例えば、1つ、いくつか、またはそれぞれ)が、本明細書に記載の通りであってもよく、例えば、特に電極本体を通る接続部を有してもよい。例えば、
図3bに示すように、4つの電極部分が存在してもよく、それらの各々は、本明細書に記載のように基板を介して前記電極部分のそれぞれのピーク電極を接続する接続部を有してもよい。
【0041】
一般に、複数の電極部分は、それらのそれぞれのピーク電極が捕捉領域を等距離で取り囲むように配置されてもよい。言い換えれば、捕捉領域の中心からピーク電極までの距離は、一部または全部のピーク電極について同じであってもよい。代替的または追加的に、捕捉領域の中心位置から個々の電極部分が位置する方向および/または位置は、トラップ軸を中心とした離散回転対称性(電極の数に対応する離散回転対称性の次数)によって互いに関連付けられてもよい。例えば、
図2では、4つの電極が存在し、これらの電極は、z軸回りの角度90°、180°および270°の回転によって関連付けられた方向にある。言い換えれば、4つのピーク電極のピーク電極中心は、それぞれ、捕捉領域から(1,1,0)、(-1,1,0)、(-1,-1,0)および(1,-1,0)の方向のものである。したがって、一般に、電極本体および/またはピーク電極は、捕捉領域の周りに対称的に(例えば、ここではトラップ軸と呼ばれる軸の周りの離散回転対称性で)位置決めおよび/または配向されてもよい。ピーク電極および/または側部電極(例えば、遮蔽電極)は、電極本体上に金属化されたものでもよい。
【0042】
電極本体
一般に、電極本体は、電気絶縁(または非導電性)基板/材料から(主に)作製される。特に、基板材料は、ガラス、ダイヤモンド、サファイア、セラミックなどの絶縁体、または十分に高い抵抗率および低い無線周波数(RF)損失を有する半導体、例えば真性Siであってもよい。一般に、電極本体は、複数のこれらの材料を含んでいてもよい。しかしながら、半導体から作製された電極本体に対して、ガラス/ダイヤモンド/サファイアなどの絶縁体から作製された電極本体は、基板のRF特性を改善し、静的漂遊磁場を回避することができ、複数の異なる貫通基板ビア(TSV)間のクロストークを低減することができ、および/または電極本体を介した光アクセスを提供することを可能にすることができる。
【0043】
これにより、電極本体では、前記電極本体に設けられた異なる電極間を電気的に絶縁し、電極本体の表面に位置する複数の電極に互いに異なる電圧を印加することができる。
【0044】
電極部分の電極本体は、ここでは「第1の方向」とも呼ばれる、捕捉領域に向かう方向に細長くなっている細長い部分を含むことができる。細長い部分は、電極全体に対応していてもよい。しかしながら、本開示は、このような構成に限定されない。例えば、電極本体は、モノリシックまたは非モノリシックであり得るトラップ全体の前記本体の一部であってもよい。したがって、電極本体がトラップ内に固定される基部などの部分は、細長い部分の長さよりも広くてもよい。
【0045】
前記第1の方向は、ここでは第3の方向とも呼ばれる捕捉領域に沿った方向と直交してもよい。第1の方向は半径方向であってもよく、第3の方向は、上述したように回転対称性を有するイオントラップの軸方向または対称軸方向であってもよい。
【0046】
一般に、電極本体および/または細長い部分がその中心軸の周りで対称である必要はないため、第1の方向は、電極本体の中心軸と同じである必要はないことに留意されたい。したがって、電極本体または細長い部分の中心軸は、第1の方向が、捕捉領域に沿った方向に直交する半径方向と考えられる場合であっても、捕捉領域に向かって直接半径方向に延在する必要はない。
【0047】
第1の方向が半径方向である必要はないことにさらに留意されたい。直接的な半径方向に対して角度の付いた(傾斜した)第1の方向に、捕捉領域に向かって延在する細長い部分を有することが考えられる。
【0048】
より具体的には、ここでいう「細長い」とは、電極本体または電極本体の細長い部分が、第1方向および第3方向に直交する方向である第2方向よりも第1方向に長いことを指す。
【0049】
例えば、
図3aに示すように、電極本体120aを含むブレードの形態の電極部分100aは、W<Lであるため、既にこの条件を満たしている。しかしながら、電極本体は、一般的にWよりも広くLよりも広い基部を含む形態を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極本体は、特に4つの電極の場合、
図3のようなWおよびLにより、W/2<Lを満たすことができる。一般に、より狭いブレードは、捕捉領域へのより良好な光学的アクセスを提供することができる。
【0050】
図に示す例は4つのブレードを示しているが、イオントラップを解釈するには2つのブレードで十分であり得ることに留意されたい。ピーク電極はRF電極とすることができるが、接地(GND)はブレードの(両方の)側部に位置することができる。一般に、任意の数N(特にN>2)の同一に構成されたブレードについて、構成はW/(2L)<tan(pi/N)を満たすことができる。
【0051】
しかしながら、一般に、イオントラップは同一のブレードを有する必要はないことに留意されたい。特に、ブレードである必要がない電極本体の任意の形態を有することができる。そのような形態であっても、TSVは、捕捉されたイオンを操作することを可能にするために、捕捉領域に向かう光路のための十分な空間を依然として提供しながら、捕捉領域に近い電極への電力の供給に関する効率的な方法を表す。
【0052】
上述したように、前記第2の方向は、回転対称性を有するイオントラップの接線方向であってもよい。言い換えれば、捕捉領域に向かう方向における電極本体の(最大の)空間的延在は、捕捉領域に沿った方向および捕捉領域に向かう方向の両方に直交する方向における電極本体の(最大の)空間的方向よりも大きい。以下では、第1の(より長い)空間的延在は、電極本体の長さとも呼ばれ、第2の(より小さい)空間的延在は、電極本体の幅とも呼ばれる。例えば、
図3aおよび
図3bに示す例では、捕捉領域に向かう方向における電極本体120aの(最大の)空間的延在である長さL=Lmaxは、「第2の方向」における電極本体120aの(最大の)長さ/空間的延在である幅W=Wmaxよりも長い。
【0053】
【0054】
さらに、捕捉領域に沿った方向における電極本体の延在は、電極本体の長さよりも長くてもよく、等しくてもよく、または短くてもよいことに留意されたい。さらに、各電極部分の電極本体は、捕捉領域に沿った第3の方向に同じ長さ、幅、および/または空間的延在を有することができる。
【0055】
さらに、
図1a、
図1b、
図3aおよび
図3bにも示されるように、電極本体の幅は、一般に、捕捉領域に向かう方向に沿って減少してもよく、または捕捉領域に向かって幅が増加しないもしくは減少する少なくとも一部分を含んでもよい。例えば、
図1a、
図1b、
図3aおよび
図3bにおいて、電極本体または前記部分(細長い部分)が捕捉領域180から最も遠い位置で有する幅である最大幅Wは、電極本体が前記最も遠い位置よりも捕捉領域に近い位置で有する幅である空間的延在vよりも大きい。なお、この条件は、電極本体全体に適用する必要はないことに留意されたい。例えば、モノリシックなトラップ構造の場合、電極本体をトラップの残りの部分から区切ることは困難であり得る。さらに、電極本体の基部は、トラップに装着されるように幅広であってもよい。さらにまた、電極本体は、ピーク電極と側部電極とを分離するトレンチなどのいくつかのトレンチを含んでもよい。一般に、電極本体の細長い部分は、電極本体内のTSVを用いた効率的なトラップ設計を容易にすることができ、これは3Dポールトラップ(表面トラップとは異なるトラップ)に特に有利であり得る。幅が減少する設計は、安定した堅牢なトラップ構造を可能にしながら、トラップ内の電極の効率的な空間的配置を容易にする。
【0056】
なお、
図1a、
図1b、
図3aおよび
図3bでは、ピーク電極140aのピーク(例えば、捕捉領域/末端部に最も近い電極の位置)において電極部分の幅がほぼ0となっているが、本発明はこれに限定されない。一般に、幅は、最も近い位置で本質的に0まで減少しなくてもよい。さらに、幅は、捕捉領域からの距離が減少するにつれて必ずしも厳密に単調に減少するとは限らず、例えば、幅は単に単調に減少してもよい(すなわち、距離は減少するがしばらくの間一定であり得るものでもよい)。
【0057】
電極および電極セグメント
一般に、電極は、金属もしくは半導体(例えば、インジウムスズ酸化物)などの(電気)伝導性材料、または異なる伝導性材料の組み合わせから作製される。例えば、電極は、電極本体上の導電性コーティングから/によって形成されてもよい。
【0058】
ピーク電極
ピーク電極は、電極本体の末端部に位置する電極であり、用語「末端部」は、電極本体(または、具体的には、電極本体の表面)の(特定の)部分を指す。前記部分は、以下の理由で末端部と呼ばれる:
(i)電極本体の部分/位置の中で捕捉領域に最も近い。
(ii)上述のように、電極本体の幅は、捕捉領域に向かって減少していてもよい。したがって、末端部において、電極本体は、末端部における接線方向/第2の方向の延在が最小であることができる。
【0059】
末端部は、電極点の表面上の点、線、または領域であってもよい。例えば、
図1~
図3に示すイオントラップの場合、各電極部分の前記末端部は、捕捉領域に平行な/沿った線に対応する。さらに、ピーク電極は、末端部全体を覆わなくてもよく、末端部には、互いに電気的に接続されていない(特に電極本体の表面上に)複数のピーク電極が存在してもよいことに留意されたい。ピーク電極は、電極本体の表面上で、特に捕捉領域に沿った方向および/または捕捉領域から離れる方向に延在してもよい。しかしながら、ピーク電極の少なくとも一部は、捕捉領域に最も近い電極本体の領域/位置と重なる。
【0060】
側部電極
一般に、電極部分はまた、1つ以上の側部電極を備えることができる。例えば、
図1~
図3では、電極部分100a、100b、100cおよび100dは、それぞれ側部電極150a、150b、150cおよび150dを有するように示されている。
図1~
図3からも分かるように、末端部に対して(またはピーク電極に対して)異なる側に位置する2つの側面があってもよい。
【0061】
側部電極とは、電極本体の側部(側面)に位置する電極を指す。側面は、捕捉領域から離れて現れる表面である(例えば、少なくとも捕捉領域に向かっては現れず、「現れる」は、前記表面の法線ベクトルの方向を指すことができる)。したがって、側面は通常、捕捉領域に最も近い前記表面の部分を覆わない。一方、ピーク電極は、通常、捕捉領域に向けられた電極本体の表面の少なくとも一部を覆う。側部電極は、電極本体の表面上で、捕捉領域に沿った方向に延在してもよく、および/または捕捉領域に向かう方向に延在してもよい。
【0062】
電極セグメント化
一般に、電極部分(本体)の末端部に複数のピーク電極があってもよい。より具体的には、電極本体の複数のピーク電極は、電極本体の表面の互いに異なる位置に配置されていてもよく、ピーク電極の各々は、捕捉領域に最も近い末端部の一部にわたって延在してもよい。特に、複数のピーク電極は、軸方向において互いに離間していてもよく、互いに(少なくとも電極本体の表面において)接続されていなくてもよい。言い換えれば、電極部分の複数の電極は、間に直接的な電気的接触がない電極を指す。したがって、複数のピーク電極は、互いに電気的に絶縁されることができる(しかし、それらが同じポートに接続されることも可能である)。
【0063】
電極部分の各ピーク電極は、捕捉領域から離れた基板を介してそれぞれの接続部と接続されてもよい。これらのピーク電極は、これらのTSVによりそれぞれ異なるポートに接続されていてもよく、したがって、異なるピーク電極に異なる電圧を印加することを可能にすることができる。しかしながら、ピーク電極の一部または全部が同じポートに接続されてもよい。さらに、例えば
図1aおよび
図1bに示すように、電極部分の各側部に複数の側部電極があってもよく、前記側部電極は、例えば軸方向に互いに離間している。代替的または追加的に、側部電極は半径方向にセグメント化されてもよく、すなわち、電極部分の同じ側部に、同じ軸方向位置にあり半径方向に互いに離間している複数の側部電極があってもよい。
【0064】
例えば、
図1~
図3は、セグメント化された導電性コーティングによって形成された各電極部分の2つの側部の各々にある複数の側部電極を示す。より具体的には、図示する例では、各電極部分は、その2つの側部の各々上に10個の側部電極(
図1aでは、電極部分100dの3つの側部電極を符号「150d」のように明示している)を有する。一方、
図1~
図3の例示的なイオントラップの各電極部分は、1つのピーク電極のみを有する。しかしながら、これは一例にすぎず、本発明はセグメント化に関する特定のシナリオに限定されず、すなわち、イオントラップの各電極はセグメント化されてもされなくてもよい(他の電極がセグメント化されているかどうかとは無関係に)。
【0065】
接続部
絶縁基板を通る接続部は、ここでは基板貫通ビア(TSV)とも呼ぶ。そのようなTSVは、一般に、ピーク電極に接続され、基板/電極本体を通って、ピーク電極および/または捕捉領域から離れるように導かれる。言い換えれば、TSVは、(少なくとも)2つの端部を有し得る。一方の端部はピーク電極に接続されてもよく、他方の端部は、ピーク電極に接続された位置よりも捕捉領域から離れた位置で終端してもよい。
【0066】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。一般に、例えば、接続部が熱的接続部として使用される場合、接続部は、ある(すなわち、任意の)ピーク電極と接続されなくてもよく、例えば、2つのピーク電極セグメント間の電極本体の末端部で終端してもよい。
【0067】
電気接続部
一般に、接続部は、ピーク電極を電源に接続するための接続部であってもよい。追加的または代替的に、接続部は、側部電極を電源に接続するためのものであってもよい。そのような場合、接続部は導電性材料から作製され、「電気接続部」と呼ぶ。
【0068】
一般に、電気接続部は、ピーク電極(または側部電極)から、ピーク電極(または側部電極)を電源に接続するためのポートに通じていてもよい。言い換えれば、電気接続部の一端は、ピーク電極(または側部電極)に接続されてもよく、他端は、ポートまたは表面ルーティングに接続されてもよい。前記ポートは、ピーク電極よりも捕捉領域から遠い(特に半径方向/第1の方向において捕捉領域からより大きい距離にある)電極本体の表面の一部に位置してもよい。したがって、一般に、電極部分は、1つ以上のそのようなポートを備えることができる。TSVおよびピーク電極(または側部電極)ごとに1つのポートがあってもよい。しかし、複数のピーク電極が異なるTSVを介して同じポートに接続されることも可能である。
図1aおよび
図1bでは、電極部分100aのポートは、捕捉領域180から最も遠い表面において矩形170aによって示されている。
【0069】
ピーク電極を電気的に接続するためにTSVを使用することにより、例えば生成される電場の対称性を高めることによって、イオントラップの正確さを高めることができる。より具体的には、三次元(3D)イオントラップの場合、個々の電極への電気接続部は、典型的には、電極が載置されている(非導電性)基板の表面に沿ってルーティングされる。特に、三次元(3D)イオントラップをスケーリングする場合、通常、複数の絶縁された電極(以下では電極セグメントも)が基板上に一列に並んでいる(前記列はトラップ軸を画定するかまたはそれに対応し得る)。しかしながら、表面に沿ったそのようなルーティングは、ルーティング密度を制限する可能性があり、電極リード(すなわち、電極を電源に接続するための電気接続部)の数とリード抵抗/インピーダンスとの間のトレードオフをもたらす可能性がある。表面上のルーティングは、例えばリードからRF電極への無線周波数(RF)電場に起因して、望ましくない方法でイオン位置での電場に影響を及ぼす可能性がある。特に、トラップ軸に沿った並進対称性を、表面に沿った接続部によって低減することができ、これにより、生成される場の対称性を低減することができる。さらに、基板を通る電気接続部を使用することにより、生成されるRF場の軸方向場成分を低減することができる。
【0070】
さらに、そのような表面ルーティングは、島状電極を接続することを全く困難にする可能性があり、ここで、島状電極は、他の電極によって(完全にまたは少なくとも部分的に)囲まれた電極を指す。例えば、
図1~
図3の例では、ピーク電極140a、140b、140cおよび140dは、側部電極150a~dが前記側面を介してピーク電極を接続することを可能にしないので、島状電極と考えることができる。しかしながら、絶縁基板を通るTSVは、そのような島状(ピーク)電極であっても、基板バルクを介して接触することを可能にする。
【0071】
同様の利点は、電極本体の基板を通る接続部によって複数の側部電極を接続することによって提供される。
【0072】
さらに、ピーク電極および/または側部電極を電気的に接続するためにTSVを使用すると、リード線の長さ、およびさらに前記ピーク電極を電源に接続するための長さ当たりの抵抗を低減することができる。そのようなより短いルーティングは、リードインピーダンス、クロストーク、RF吸収などの関連する問題を軽減することができる。特に、TSVは接続線インピーダンスを低減することができ、これはより良好なRF接地、より少ないクロストーク、より少ないジョンソンノイズ、および/または一般に時間的に変化する漂遊磁場を低減することができる。電極への接続部のより低い電気抵抗は、熱の発生を低減することができ、これは、例えば極低温冷却イオントラップを使用する場合に重要であり得る。例えば、50μmの断面直径を有するTSVと同じ長さ当たりの電気抵抗を達成するために、厚さが約2μm、ca.幅が約1mmのルーティング面が必要な場合がある。これは、例えばca約300~500μmのセグメント幅を使用する場合、かなり大きな幅であり得る。
【0073】
TSVが少なくとも1つの方向で中心に置かれて基板を通ることが望ましい場合がある。例えば、
図1aおよび
図1bに示すように、TSV160aは、電極本体120aの中央(第2の方向の中央)に配置されている。この例示的な場合では、電極本体120aは、第2の方向でTSVに関して対称であり、TSVは、電極本体120aと共に第1の方向に延在している。そのようなTSV位置は、ピーク電極だけでなく側部電極にも適用可能であり得、側部電極からの接続部は、ピーク電極について示されたのと同様に、最初に前記中央に導かれ、次いで捕捉領域から離れ得るように導かれる。
【0074】
電極間の接続部
一般に、基板を通る電気接続部は、ピーク電極を以下と接続するために使用され得る:
-同じ3Dトラップの別の電極(特に、前記3Dトラップの別のピーク電極)、または、
-
図4に示すように、別のイオントラップの電極(特に、別のイオントラップのピーク電極)。
【0075】
このような接続は、
図4に示すように、TSVのポートを介して確立することができる。
【0076】
前記他の電極が同じイオントラップの電極である場合、それは離れた電極、例えば(i)前記ピーク電極に隣接していない同じ電極部分の電極、または(ii)前記ピーク電極が位置する電極部分以外の電極部分の電極であり得る。特に、電極部分のピーク電極はセグメント化されてもよく、その場合、異なるピーク電極(セグメント)がそれぞれのTSVおよびそれぞれの(すなわち異なる)ポートを有する。そして、2つの隣接していないピーク電極(すなわち、軸方向において、前記2つの隣接していないピーク電極の間に少なくとも1つのさらなるピーク電極が存在する)を、前記2つの隣接していないピーク電極のポートを互いに接続することによって互いに接続することができる。
【0077】
電気接続部が別のイオントラップの(ピーク)電極への接続部である場合、前記別のイオントラップはまた、
図4に示すようなTSVを有する3Dトラップであってもよく、セグメント化されていないピーク電極を有する2つのトラップは、「トラップジョイント」400(すなわち、2つのTSVのポートを接続する接続部)を介してTSVを使用して接続される。本発明は、
図4に示す例に限定されず、異なるイオントラップ間の接続部の場合も同様に、一方または両方のイオントラップがセグメント化されたピーク電極を有してもよいことに留意されたい。
【0078】
同様に、基板を通る電気接続部を使用して、側部電極を同じ3Dトラップの別の電極(特に、前記3Dトラップの別の側部電極、例えば、捕捉領域に向かって延在する別の電極本体部分上の側部電極)、または別のイオントラップの電極(特に、別のイオントラップの側部電極)と接続することができる。
【0079】
言い換えれば、TSVは、異なる捕捉領域(例えば、同じトラップの離間している/別個の捕捉領域、または異なるトラップの領域)内のイオンを接続するワイヤで実現することができる。これにより、前記異なる領域内に捕捉されたイオン間の電気的結合を媒介することができ、これを使用して、これらのイオン間にエンタングルメントを生じさせ、および/または異なるトラップを横切ってもこれらのイオンを共同冷却することができる。共同冷却とは、他の捕捉イオン、例えば別の捕捉領域に捕捉されたイオンを使用して捕捉されたイオンを冷却することを指す。特に、光粒子(例えば、電子)を捕捉するために典型的に使用されるような高い捕捉周波数の場合、冷却された回路への接続を冷却に使用することができる。
【0080】
熱的接続部
一般に、接続部は、ピーク電極から熱を伝導して遠ざけるように熱伝導性材料から作製することができる。特に、接続部の材料は、基板よりも高い熱伝導率を有することができる。これに関して、熱的接続部は必ずしも導電性材料から作製される必要はないことに留意されたい(しかし、特に、そのような材料はしばしば高い熱伝導率も有するため、そのような材料から作製されてもよい)。「熱伝導性」、「高熱伝導率」などの表現は、(周囲の)基板よりも高い熱伝導率を指すことに留意されたい。
【0081】
TSVが熱的接続部として使用される場合、接続部は、前記ピーク電極(または前記側部電極)の電気接続部として使用されてもよく、または電気接続部として使用されなくてもよい。特に、熱的接続部は、電気ポートおよび/またはピーク電極に接続されなくてもよい。例えば、熱的接続部の一端は、2つの隣接するピーク電極セグメント間の電極本体の表面上にあってもよく、前記熱的接続部の他端は、ポートに隣接していてもよい。より具体的には、熱的接続部の一端は、ピーク電極、ピーク電極の一部ではない末端部の一部、または2つのピーク電極間の電極本体の表面の一部に接続することができる。代替的または追加的に、熱的接続部の他端はヒートシンクに接続されてもよい。例えば、TSVは、トラップが位置する真空チャンバへの(良好な)熱的接続部、またはクライオスタットのコールドフィンガーへの(良好な)熱的接続部を確立することができる(特にイオントラップが極低温イオントラップである場合)。
【0082】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、熱的接続部も電極本体に埋め込まれていてもよい。言い換えれば、熱的接続部として使用されるTSVは、電極本体内に1つ以上の端部(すなわち、電極本体の表面に位置しない1つ以上の端部)を有することができる。
【0083】
熱的接続部としてTSVを使用すると、電極部分の熱伝導率(またはコンダクタンス)を大幅に増加させることができ、すなわち、基板材料を通る熱伝導率を改善することができる。言い換えれば、接続部は、ピーク電極から熱を運び去るために使用されてもよい。
【0084】
フレーム
3Dイオントラップは、複数の電極部分を保持するフレーム(図示せず)をさらに備えてもよい。特に、フレームは、互いに対して特定の位置に固定された電極部分を保持することができる。一般に、前記フレームおよび電極本体は、同じ材料の部品から、または複数の部品から形成することができる。より具体的には、
(i)電極本体とフレームとは一体であってもよい。言い換えれば、電極本体およびフレームは、モノリシック構築物/構造を形成することができる、
(ii)電極本体およびフレームの各々は別の部品であってもよく、電極本体はフレームに装着される。言い換えれば、イオントラップは、部品ごとに組み立てられた構造であってもよい、または
(iii)一般に、異なる部品があってもよく、前記部品の1つ/いくつか/各々は、単に1つよりも多くの電極本体またはフレームを含む。
【0085】
システム
本開示はまた、イオントラップ内のイオンを操作(例えば、捕捉する)ためのシステムを提供する。システムは、上述の3Dイオントラップのいずれかを備えることができる。
【0086】
さらに、そのようなシステムは、複数の電極部分のうちの1つ以上のそれぞれにおける/それらへの前記電力接続部を介してACおよび/またはDC電力を供給するための1つ以上の電源を備えることができる。代替的または追加的に、そのようなシステムは、外部電源を接続することができる電気入力部/接続部を備えることができる。
【0087】
さらに、そのようなシステムは、電源を制御するように構成された1つ以上のコントローラを備えることができる。例えば、コントローラは、捕捉領域に捕捉された1つ以上のイオンの状態を制御するように電源を制御するように構成され得る。特に、コントローラは、イオントラップ(すなわち、イオントラップの電極)が、(捕捉された)イオンの量子状態を捕捉/閉じ込める、および/または輸送する、および/または操作する電場および/または磁場を生成するように電源を制御することができる。
【0088】
より具体的には、コントローラは、各電極(特に、3Dイオントラップのピーク電極のポート)に印加される電力/電圧を制御することができる。言い換えれば、コントローラは、電源を直接制御するか、または電極/電極接点に印加される電圧(例えば、電圧のみ)を制御することができる(後者の場合、電極に印加される電圧は、電源の電圧と異なり得る)。電圧の制御は、電圧の変調を含むことができる。特に、イオンをトラップ軸に対して半径方向に閉じ込めるために、
図1~
図3に示す電極に印加されることになる電圧は、典型的には無線周波数(RF)電圧である。したがって、コントローラは、これらの電極に印加される電圧をRF周波数で変調することができる。RF電極は、直流(DC)電圧が印加されたときにイオンを軸方向に閉じ込めるエンドキャップ電極(図示せず)によって補完することができる。代替的または追加的に、適切なDC電圧がセグメント化された側部電極に印加されて、イオンを軸方向に閉じ込め、閉じ込め軸方向および半径方向の閉じ込めポテンシャルを調整し、例えばイオンを軸方向に沿って輸送する。そのようなDC電圧はまた、コントローラによって制御されてもよい。
【0089】
製造
本開示はまた、上述のイオントラップおよび/または電極部分を製造/生産するための製造方法を提供する。
図5に示すように、そのような製造方法は、一般に、電極本体を設けるステップS700と、電極本体にキャビティを形成するステップS720と、金属を含む材料をキャビティに充填するステップS740とを含むことができる。しかしながら、一般に、接続部は、シリコン貫通ビアまたは基板貫通ビアを製造するための任意の確立された技術を使用して製造することができる。
【0090】
キャビティは、例えば、S720において、レーザドリル加工またはエッチング加工によって形成することができる。エッチングは、例えば、レーザ誘起エッチング、および/または異方性エッチングであってもよい。言い換えれば、製造された電極部分の電極本体に対応し、1つ以上の適切な孔を有する基板材料が製造される。例えば、各接続について、対応するキャビティ/孔が電極本体を貫通して形成されてもよい。したがって、孔は、接続部が電極本体を通る経路に対応してもよく、基板の一方の側から他方の側に形成されてもよい。
【0091】
さらに、S740におけるキャビティへの充填は、例えば、蒸着プロセス、ガルバニック蒸着プロセスによって、または例えば磁場によって補助される強磁性材料を利用する自己集合によって実行されてもよい。例えば、蒸着プロセスは、化学蒸着であってもよく、または化学蒸着を含んでもよい。代替的または追加的に、電気めっき(例えば、ボトムアップめっきおよび/または側壁めっき)が使用されてもよい。したがって、一般に、充填ステップS740において、孔は(電気および/または熱)伝導性材料で充填される。
【0092】
電極は、微細加工技術を使用して(例えば、電極本体上への金属層の蒸発またはスパッタコーティング、続いて個々の電極セグメントを形成するためのレーザパターニングステップによって)製造することができ、および/または金属コーティングは、電極セグメントがレーザ誘起エッチング技術によって事前にパターニングされている電極本体上に行うことができる。
【0093】
さらなる態様
上述の実施形態および例示的な実施態様は、いくつかの非限定的な例を示す。特許請求される主題から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解される。例えば、本明細書に記載の中心概念から逸脱することなく、新しいシステムおよびシナリオに適合させるために例に対する修正を行うことができる。
【0094】
上記を要約すると、本開示は、捕捉領域内にイオンを捕捉するための電場および/または磁場を生成するための電極部分、1つ以上のそのような電極部分を備える三次元(3D)イオントラップ、そのような3Dイオントラップでイオンを捕捉するためのシステム、ならびにそのような電極部分を製造するための方法を提供する。電極部分は、電気絶縁基板から作製され、イオン捕捉領域に向かって第1の方向に細長い電極本体と、捕捉領域に最も近い電極本体の末端部に位置するピーク電極と、ピーク電極に接続され、ピーク電極から前記電極本体を通って捕捉領域から離れるように導かれる接続部と、を備える。
【0095】
第1の態様によれば、三次元イオントラップが提供される。三次元イオントラップは、捕捉領域内にイオンを捕捉するための複数の電極部分を備える。前記複数の電極部分の1つ以上の各々は、(i)電気絶縁基板から作製され、イオン捕捉領域に向かって第1の方向に細長い電極本体と、(ii)捕捉領域に最も近い電極本体の末端部に位置するピーク電極と、(iii)ピーク電極に接続され、ピーク電極から前記電極本体を通って捕捉領域から離れるように導かれる接続部とを備える。
【0096】
一態様によれば、三次元イオントラップが提供される。三次元イオントラップは、捕捉領域内にイオンを捕捉するための複数の電極部分を備える。前記複数の電極部分の1つ以上の各々は、(i)電気絶縁基板から作製され、イオン捕捉領域に向かって第1の方向に延在する部分を含む電極本体と、(ii)捕捉領域に最も近い電極本体の末端部の側方で、電極本体に位置する側部電極と、(iii)側部電極に接続され、側部電極から前記電極本体を通って捕捉領域から離れるように導かれる接続部とを備える。
【0097】
第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、第1の方向およびイオン捕捉領域に沿った第3の方向に垂直な第2の方向における電極本体の幅は、イオン捕捉領域に向かって第1の方向に沿って減少する。
【0098】
第2の態様に加えて提供される第3の態様によれば、電極本体およびピーク電極は、イオン捕捉領域に沿って第3方向に延在している。
【0099】
第2または第3の態様に加えて提供される第4の態様によれば、前記複数の電極部分のうちの1つ以上のいずれかは、(i)電極本体の側部に位置する1つ以上の第1の側部電極、および/または(ii)電極本体の別の側部に位置する1つ以上の第2の側部電極をさらに備え、前記1つ以上の第1の側部電極および前記1つ以上の第2の側部電極の各々は、第3の方向に延在している。
【0100】
第1から第4の態様のうちの1つに加えて提供される第5の態様によれば、前記複数の電極部分のうちの1つ以上のいずれかは、前記ピーク電極を電源に接続するためのポートをさらに備え、前記接続部は、前記ピーク電極から前記ポートに導かれる電気接続部である。
【0101】
第1から第5の態様のうちの1つに加えて提供される第6の態様によれば、前記複数の電極部分のうちの1つ以上のいずれかにおいて、前記接続部は、捕捉されたイオン間の電気的結合を媒介するように、ピーク電極を同じ三次元イオントラップまたは別のイオントラップの別の電極と接続する電気接続部である。
【0102】
第1から第6の態様のうちの1つに加えて提供される第7の態様によれば、1つ以上の電極部分の各々は、(i)前記電極本体の前記末端部に位置する別のピーク電極と、(ii)前記別のピーク電極に接続され、前記別のピーク電極から前記電極本体を通って前記捕捉領域から離れるように導かれる別の接続部と、を備え、前記別のピーク電極は、前記ピーク電極以外の電極であり、前記別の接続部は、前記ピーク電極に接続された前記接続部以外の接続部であり、前記別のピーク電極は、前記ピーク電極とは前記捕捉領域に沿って異なる位置にある。
【0103】
第1から第7の態様のうちの1つに加えて提供される第8の態様によれば、前記接続部は、前記ピーク電極から熱を伝導して遠ざけるように熱伝導性材料から作製される。
【0104】
第1から第8の態様のうちの1つに加えて提供される第9の態様によれば、前記複数の電極部分のうちの前記1つ以上は、それぞれのピーク電極が前記捕捉領域を等距離で取り囲むように配置された4つの電極部分であり、前記三次元イオントラップは、前記4つの電極部分を保持するフレームをさらに備える。
【0105】
第10の態様によれば、イオントラップ内のイオンを操作するためのシステムが提供される。システムは、(i)第1から第9の態様のいずれかに記載の三次元イオントラップと、(ii)複数の電極部分のうちの1つ以上の電極部分の各々における前記電力接続部を介して電力を供給するための電源と、(iii)前記捕捉領域に捕捉された1つ以上のイオンの状態を制御するように前記電源を制御するコントローラと、を備える。
【0106】
第11の態様によれば、第1から第9の態様のいずれかに記載のイオントラップを製造するための方法が提供される。本方法は、(i)前記電極本体を設けることと、(ii)前記電極本体にキャビティを形成することと、(iii)金属を含む材料をキャビティに充填することと、を含む。
【0107】
第11の態様に加えて提供される第12の態様によれば、前記キャビティの形成は、レーザドリル加工またはエッチング加工によって行なわれる。
【0108】
第11または第12の態様に加えて提供される第13の態様によれば、前記キャビティの充填は、蒸着プロセス、ガルバニック蒸着プロセス、または磁場によって補助される強磁性材料を利用する自己集合によって行われる。
【外国語明細書】