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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083292
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】電気光学変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G02F1/035
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206926
(22)【出願日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】202223297973.5
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202320288592.6
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523399256
【氏名又は名称】ナンジン、リコア、テクノロジーズ、カンパニー、リミテッド
【住所又は居所原語表記】NANJING LYCORE TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ハンシアオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イーピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、インツォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ハイツァン
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ウェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、シーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウェイチー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、チンヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チョウユイ
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102BA02
2K102BD01
2K102CA18
2K102DA05
2K102DB04
2K102DB08
2K102EA02
2K102EA12
2K102EA16
2K102EA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】導波路層および電極層を含む電気光学変調器を提供する。
【解決手段】電極層が、順番に配置構成された複数の第1のサブ電極および複数の第1の接続電極、順番に配置構成された複数の第2のサブ電極および複数の第2の接続電極、順番に配置構成された複数の第3のサブ電極および複数の第3の接続電極、順番に配置構成された複数の第4のサブ電極および複数の第4の接続電極、を含み、複数の第1のサブ電極および複数の第4のサブ電極が接地され、複数の第2のサブ電極および複数の第3のサブ電極が差分信号を受信し、複数の第1のサブ電極および複数の第2のサブ電極がそれらの間に第1の電界を形成し、複数の第3のサブ電極および複数の第4のサブ電極が、それらの間に、第1の電界の方向と反対の方向を有する第2の電界を形成し、導波路層が、第1の電界内に位置する第1の導波管アーム、および第2の電界内に位置する第2の導波管アームを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順番に配置構成された、基板、絶縁層、導波路層、および電極層、を備える電気光学変調器であって、
前記電極層が、第1の方向に順番に配置構成された複数の第1のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで前記複数の第1のサブ電極に接続された複数の第1の接続電極、前記第1の方向に順番に配置構成された複数の第2のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで前記複数の第2のサブ電極に接続された複数の第2の接続電極、前記第1の方向に順番に配置構成された複数の第3のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで前記複数の第3のサブ電極に接続された複数の第3の接続電極、ならびに、前記第1の方向に順番に配置構成された複数の第4のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで前記複数の第4のサブ電極に接続された複数の第4の接続電極、を備え、前記複数の第1のサブ電極および前記複数の第4のサブ電極が接地されるように構成され、前記複数の第2のサブ電極および前記複数の第3のサブ電極が差分信号を受信するように構成され、前記複数の第1のサブ電極および前記複数の第2のサブ電極が、前記複数の第1のサブ電極と前記複数の第2のサブ電極との間に第1の電界を形成するように構成され、前記複数の第3のサブ電極および前記複数の第4のサブ電極が、前記複数の第3のサブ電極と前記複数の第4のサブ電極との間に、前記第1の電界の方向と反対の方向を有する第2の電界を形成するように構成され、
前記導波路層が、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームを備え、前記基板に対して垂直である方向において、前記第1の導波管アームが前記複数の第1のサブ電極と前記複数の第2のサブ電極との間に位置し、前記複数の第1の接続電極および前記複数の第2の接続電極と交差せず、前記第2の導波管アームが前記複数の第3のサブ電極と前記複数の第4のサブ電極との間に位置し、前記複数の第3の接続電極および前記複数の第4の接続電極と交差する、電気光学変調器。
【請求項2】
前記電極層が、順番に配置構成された、第1の接地電極、第1の信号電極、第2の信号電極、および第2の接地電極を備え、前記第1の信号電極および前記第2の信号電極が差分信号を受信するように構成され、
前記第1の接地電極が、第1の主電極、前記第1の主電極に接続された前記複数の第1の接続電極、および前記複数の第1のサブ電極、を備え、
前記第1の信号電極が、第2の主電極、前記第2の主電極に接続された前記複数の第2の接続電極、および前記複数の第2のサブ電極、を備え、
前記第2の信号電極が、第3の主電極、前記第3の主電極に接続された前記複数の第3の接続電極、および前記複数の第3のサブ電極、を備え、
前記第2の接地電極が、第4の主電極、前記第4の主電極に接続された前記複数の第4の接続電極、および前記複数の第4のサブ電極、を備える、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記第2の主電極および前記第3の主電極の各々から前記基板までの距離がh1であり、前記第1の主電極および前記第4の主電極の各々から前記基板までの距離がh2であり、h1≠h2である、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の主電極、および前記第4の主電極が全体として折り畳み形態であり、互いに交差せず、
前記第1の導波管アームおよび前記第2の導波管アームが、前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の主電極、および前記第4の主電極のいずれとも交差しないか、あるいは、前記第1の導波管アームおよび前記第2の導波管アームのうちの少なくとも一方が、前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の主電極、および前記第4の主電極のうちの1つまたは複数と交差する、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記電極層が、前記第1の信号電極と前記第2の信号電極との間に位置する第3の接地電極をさらに備える、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の接地電極、前記第3の主電極、および前記第4の主電極が全体として折り畳み形態であり、互いに交差せず、
前記第1の導波管アームおよび前記第2の導波管アームが、前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の接地電極、前記第3の主電極、および前記第4の主電極のいずれとも交差しないか、あるいは、前記第1の導波管アームおよび前記第2の導波管アームのうちの少なくとも一方が、前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の接地電極、前記第3の主電極、および前記第4の主電極のうちの1つまたは複数交差する、請求項5に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記電極層が、順番に配置構成された、第1の接地電極、第1の信号電極、第2の接地電極、第2の信号電極、および第3の接地電極を備え、前記第1の信号電極および前記第2の信号電極が差分信号を受信するように構成され、
前記第2の接地電極が、第1の主電極、前記第1の主電極の一方側に位置して前記第1の主電極に接続された前記複数の第1の接続電極、前記複数の第1のサブ電極、前記第1の主電極のもう一方側に位置して前記第1の主電極に接続された前記複数の第4の接続電極、および前記複数の第4のサブ電極、を備え、
前記第1の信号電極が、第2の主電極、前記第2の主電極に接続された前記複数の第2の接続電極、および前記複数の第2のサブ電極、を備え、
前記第2の信号電極が、第3の主電極、前記第3の主電極に接続された前記複数の第3の接続電極、および前記複数の第3のサブ電極、を備える、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項8】
前記第2の主電極および前記第3の主電極の各々から前記基板までの距離がh3であり、前記第1の接地電極、前記第3の接地電極、および前記第1の主電極の各々から前記基板までの距離がh4であり、h3≠h4である、請求項7に記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記第1の接地電極、前記第2の主電極、前記第1の主電極、前記第3の主電極、および前記第3の接地電極が全体として折り畳み形態であり、互いに交差せず、
前記第1の導波管アームおよび前記第2の導波管アームが、前記第1の接地電極、前記第2の主電極、前記第1の主電極、前記第3の主電極、および前記第3の接地電極のいずれとも交差しないか、あるいは、前記第1の導波管アームおよび前記第2の導波管アームのうちの少なくとも一方が、前記第1の接地電極、前記第2の主電極、前記第1の主電極、前記第3の主電極、および前記第3の接地電極のうちの1つまたは複数と交差する、請求項7に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
前記第1のサブ電極の各々が、前記第1の接続電極のうちの対応する1つの第1の接続電極とのT形またはL形の接続状態にあり、
前記第2のサブ電極の各々が、前記第2の接続電極のうちの対応する1つの第2の接続電極とのT形またはL形の接続状態にあり、
前記第3のサブ電極の各々が、前記第3の接続電極のうちの対応する1つの第3の接続電極とのT形またはL形の接続状態にあり、
前記第4のサブ電極の各々が、前記第4の接続電極のうちの対応する1つの第4の接続電極とのT形またはL形の接続状態にある、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
前記第1の方向において、前記複数の第1のサブ電極が一対一の対応で前記複数の第2のサブ電極の反対に配置構成され、前記複数の第3のサブ電極が前記複数の第4のサブ電極と交互に配置構成される、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項12】
前記導波路層が、スラブ導波管をさらに備え、
前記第1の導波管アームおよび前記第2の導波管アームが、前記基板から離れた前記スラブ導波管の一方側に位置する、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項13】
前記電気光学変調器が、
信号入力端部、第1の光分岐出力端部、および第2の光分岐出力端部、を備える光分岐要素であって、前記第1の導波管アームの一方の端部および前記第2の導波管アームの一方の端部が、一対一の対応で前記第1の光分岐出力端部および前記第2の光分岐出力端部に接続される、光分岐要素と、
第1の光分岐入力端部、第2の光分岐入力端部、および信号出力端部、を備える光結合要素であって、前記第1の導波管アームのもう一方の端部および前記第2の導波管アームのもう一方の端部が、一対一の対応で前記第1の光分岐入力端部および前記第2の光分岐入力端部に接続される、光結合要素と、
をさらに備える、請求項1に記載の電気光学変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光通信の技術分野に関し、より詳細には、電気光学変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モノのインターネット、自動運転、テレメディスン、および遠隔教育などの、新たに出現したネットワーク応用サービスの迅速な開発により、高速で大容量の通信技術に対しての要求が強くなっている。光通信は、大きい帯域幅、高い信頼性、低コスト、および高い混信防止能力などのそれらの特性により、高速で大容量の通信の方向における迅速な展開(development)を達成する。高速電気信号を光搬送波に乗せる(load)ための手法が1つの中核的な研究内容である。
【0003】
電気光学変調器は、電気光学材料の電気光学効果に基づいて作られる変調器である。電気光学効果は、例えば、ニオブ酸リチウム結晶、ガリウムヒ素結晶、またはタンタル酸リチウム結晶などの電気光学材料に対して電圧が印加されるときに電気光学材料の屈折率が変化し、それにより電気光学材料を通過する光波の特性が変化する、ことを意味する。電気光学効果を利用することにより、光信号の位相、振幅、強度、および偏光状態などの、パラメータを変調することが可能となる。
【0004】
高速で大容量の通信技術に対しての、その深刻度がますます増している要求により、低損失および電気光学変調器の動作性能に対してより高度な要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施形態は、電気光学変調器の伝送損失を低減するためのおよび電気光学変調器の動作性能を向上させるための電気光学変調器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態で提供される電気光学変調器は、順番に配置構成された、基板、絶縁層、導波路層、および電極層、を含み、ここでは、電極層が、第1の方向に順番に配置構成された複数の第1のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで複数の第1のサブ電極に接続された複数の第1の接続電極、第1の方向に順番に配置構成された複数の第2のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで複数の第2のサブ電極に接続された複数の第2の接続電極、第1の方向に順番に配置構成された複数の第3のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで複数の第3のサブ電極に接続された複数の第3の接続電極、ならびに、第1の方向に順番に配置構成された複数の第4のサブ電極および一対一の対応で交差するかたちで複数の第4のサブ電極に接続された複数の第4の接続電極、を含み、ここでは、複数の第1のサブ電極および複数の第4のサブ電極が接地されるように構成され、複数の第2のサブ電極および複数の第3のサブ電極が差分信号を受信するように構成され、複数の第1のサブ電極および複数の第2のサブ電極が、複数の第1のサブ電極と複数の第2のサブ電極との間に第1の電界を形成するように構成され、複数の第3のサブ電極および複数の第4のサブ電極が、複数の第3のサブ電極と複数の第4のサブ電極との間に、第1の電界の方向と反対の方向を有する第2の電界を形成するように構成され、導波路層が、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームを含み、ここでは、基板に対して垂直である方向において、第1の導波管アームが複数の第1のサブ電極と複数の第2のサブ電極との間に位置し、複数の第1の接続電極および複数の第2の接続電極と交差せず、第2の導波管アームが複数の第3のサブ電極と複数の第4のサブ電極との間に位置し、複数の第3の接続電極および複数の第4の接続電極と交差する。
【0007】
いくつかの実施形態では、電極層が、順番に配置構成された、第1の接地電極、第1の信号電極、第2の信号電極、および第2の接地電極を含み、第1の信号電極および第2の信号電極が差分信号を受信するように構成され、ここでは、第1の接地電極が、第1の主電極、第1の主電極に接続された複数の第1の接続電極、および複数の第1のサブ電極、を含み、第1の信号電極が、第2の主電極、第2の主電極に接続された複数の第2の接続電極、および複数の第2のサブ電極、を含み、第2の信号電極が、第3の主電極、第3の主電極に接続された複数の第3の接続電極、および複数の第3のサブ電極、を含み、第2の接地電極が、第4の主電極、第4の主電極に接続された複数の第4の接続電極、および複数の第4のサブ電極、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の主電極および第3の主電極の各々から基板までの距離がh1であり、第1の主電極および第4の主電極の各々から基板までの距離がh2であり、h1≠h2である。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の主電極、第2の主電極、第3の主電極、および第4の主電極が全体として折り畳み形態であり、互いに交差せず、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームが、第1の主電極、第2の主電極、第3の主電極、および第4の主電極のいずれとも交差しないか、あるいは、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームのうちの少なくとも一方が、第1の主電極、第2の主電極、第3の主電極、および第4の主電極のうちの1つまたは複数と交差する。
【0010】
いくつかの実施形態では、電極層が、第1の信号電極と第2の信号電極との間に位置する第3の接地電極をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の主電極、第2の主電極、第3の接地電極、第3の主電極、および第4の主電極が全体として折り畳み形態であり、互いに交差せず、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームが、第1の主電極、第2の主電極、第3の接地電極、第3の主電極、および第4の主電極のいずれとも交差しないか、あるいは、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームのうちの少なくとも一方が、第1の主電極、第2の主電極、第3の接地電極、第3の主電極、および第4の主電極のうちの1つまたは複数と交差する。
【0012】
いくつかの実施形態では、電極層が、順番に配置構成された、第1の接地電極、第1の信号電極、第2の接地電極、第2の信号電極、および第3の接地電極を含み、第1の信号電極および第2の信号電極が差分信号を受信するように構成され、ここでは、第2の接地電極が、第1の主電極、第1の主電極の一方側に位置して第1の主電極に接続された複数の第1の接続電極、複数の第1のサブ電極、第1の主電極のもう一方側に位置して第1の主電極に接続された複数の第4の接続電極、および複数の第4のサブ電極、を含み、第1の信号電極が、第2の主電極、第2の主電極に接続された複数の第2の接続電極、および複数の第2のサブ電極、を含み、第2の信号電極が、第3の主電極、第3の主電極に接続された複数の第3の接続電極、および複数の第3のサブ電極、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第2の主電極および第3の主電極の各々から基板までの距離がh3であり、第1の接地電極、第3の接地電極、および第1の主電極の各々から基板までの距離がh4であり、h3≠h4である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の接地電極、第2の主電極、第1の主電極、第3の主電極、および第3の接地電極が全体として折り畳み形態であり、互いに交差せず、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームが、第1の接地電極、第2の主電極、第1の主電極、第3の主電極、および第3の接地電極のいずれとも交差しないか、あるいは、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームのうちの少なくとも一方が、第1の接地電極、第2の主電極、第1の主電極、第3の主電極、および第3の接地電極のうちの1つまたは複数と交差する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のサブ電極の各々が、第1の接続電極のうちの対応する1つの第1の接続電極とのT形またはL形の接続状態にあり、第2のサブ電極の各々が、第2の接続電極のうちの対応する1つの第2の接続電極とのT形またはL形の接続状態にあり、第3のサブ電極の各々が、第3の接続電極のうちの対応する1つの第3の接続電極とのT形またはL形の接続状態にあり、第4のサブ電極の各々が、第4の接続電極のうちの対応する1つの第4の接続電極とのT形またはL形の接続状態にある。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の方向において、複数の第1のサブ電極が一対一の対応で複数の第2のサブ電極の反対に配置構成され、複数の第3のサブ電極が複数の第4のサブ電極と交互に配置構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、導波路層がスラブ導波管をさらに含み、第1の導波管アームおよび第2の導波管アームが、基板から離れたスラブ導波管の一方側に位置する。
【0018】
いくつかの実施形態では、電気光学変調器が、信号入力端部、第1の光分岐出力端部、および第2の光分岐出力端部、を含む光分岐要素であって、ここでは、第1の導波管アームの一方の端部および第2の導波管アームの一方の端部が、一対一の対応で第1の光分岐出力端部および第2の光分岐出力端部に接続される、光分岐要素と、第1の光分岐入力端部、第2の光分岐入力端部、および信号出力端部、を含む光結合要素であって、ここでは、第1の導波管アームのもう一方の端部および第2の導波管アームのもう一方の端部が、一対一の対応で第1の光分岐入力端部および第2の光分岐入力端部に接続される、光結合要素と、をさらに含む。
【0019】
本開示の1つまたは複数の実施形態に係ると、電極層のこの構造デザインを用いることにより、2つの導波管アームに作用する電界が反対の方向を有するように設計され得ることに加えて、信号電極と接地電極との間の間隔が短縮され得、その結果、電界の強さが増大され得、電気信号の伝送損失が低減され得る。
【0020】
本開示のこれらのおよび他の態様が以下で説明される実施形態から明らかとなり、以下で説明される実施形態を参照して明確化される。
【0021】
本開示のさらなる細部、特徴、および利点が、添付図面を参照する例示の実施形態の以下の記述で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の電気光学変調器を示す概略構造図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
図3図2のA-Aの、本開示のいくつかの実施形態に係る電気光学変調器の断面構造を示す概略図である。
図4】本開示のいくつかの比較の実施例による電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
図5】本開示のいくつかの他の実施形態に係る電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
図6図2のA-Aの、本開示の別のいくつかの他の実施形態に係る電気光学変調器の断面構造を示す概略図である。
図7】本開示の別のいくつかの他の実施形態に係る電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
図8A】本開示の別のいくつかの他の実施形態に係る電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
図8B】本開示の別のいくつかの他の実施形態に係る電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
図9A】本開示の別のいくつかの他の実施形態に係る電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
図9B】本開示の別のいくつかの他の実施形態に係る電気光学変調器の部分的な構造を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
参照符号の一覧
関連の技術分野
001-マッハ・ツェンダー変調器;02-導波管アーム;01-光分岐要素;04-変調電極
040-信号電極;041-第1の接地電極;042-第2の接地電極;および05-光結合要素
本開示の比較の実施例
002-電気光学変調器;241-第1の接地電極;242-第1の信号電極;243-第2の接地電極
244-第2の信号電極;245-第3の接地電極;231-第1の導波管アーム;および232-第2の導波管アーム
本開示の実施形態
100-電気光学変調器;110-基板;120-絶縁層;130-導波路層;131-第1の導波管アーム
132-第2の導波管アーム;133-スラブ導波管;140-電極層;141-第1の接地電極;11-第1の主電極
12-第1の接続電極;13-第1のサブ電極;142-第1の信号電極;21-第2の主電極
22-第2の接続電極;23-第2のサブ電極;143-第2の信号電極;31-第3の主電極
32-第3の接続電極;33-第3のサブ電極;144-第2の接地電極;41-第4の主電極
42-第4の接続電極;43-第4のサブ電極;145-第3の接地電極;150-パターン化された誘電体層
741-第1の接地電極;742-第1の信号電極;743-第2の接地電極;744-第2の信号電極
745-第3の接地電極;7430-第1の主電極;7420-第2の主電極;および7440-第3の主電極
【0024】
以下ではいくつかの例示の実施形態のみを簡単に説明する。当業者には認識され得るように、説明される実施形態は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく多様な手法で修正され得る。したがって、添付図面および本記述は本質的に例示であるとみなされ、限定的であるとみなされない。
【0025】
電気光学変調関連の技術は広く開発されており、光通信、マイクロ波フォトニクス、レーザー・ビーム偏向、波面変調などの分野に適用されている。マッハ・ツェンダー変調器は1つの種類の電気光学変調器であり、ここでは、入力光信号が2つの分岐光信号に分割され、分岐光信号がそれぞれ2つの導波管アームに入る。2つの導波管アームは各々、印加される変調電圧と共に変化する屈折率を有する電気光学材料で作られる。導波管アームの屈折率の変化が分岐光信号の位相の変化を引き起こし得る。したがって、2つの分岐光信号の収束からの出力は、変調電圧と共に変化する強度を有する干渉信号である。手短に言うと、マッハ・ツェンダー変調器は、2つの導波管アームに印加される変調電圧を制御することにより多様な側波帯の変調を実施することができる。電気信号を光信号に変換するためのデバイスとして、マッハ・ツェンダー変調器は、光相互接続、光コンピューティング、および光通信システムにおける一般的なコア・デバイスの1つである。
【0026】
図1は、従来のマッハ・ツェンダー変調器の概略構造図を示す。理想的には、マッハ・ツェンダー変調器001は互いに等しい2つの導波管アーム02を有する。マッハ・ツェンダー変調器001が作動していないとき、2つの導波管アーム02のいずれも電気光学効果を受けない。入力光が光分岐要素01を通過した後で2つの分岐光信号に等しく分割され、2つの分岐光信号は、2つの分岐光信号の各々が1つの導波管アーム02を通過した後でも、同じ位相にある。したがって、2つの分岐光信号のためのコヒーレントに増強された信号が光結合要素05から出力されることになる。マッハ・ツェンダー変調器001が作動しているとき、変調電極04(例えば、信号電極040、第1の接地電極041、および第2の接地電極042を含む)が変調電圧を2つの導波管アーム02に印加し、2つの分岐光信号の各々が1つの導波管アーム02を通過した後のπの奇数倍または偶数倍で2つの分岐光信号の位相が異なるようになることができる。πの偶数倍で2つの分岐光信号の位相が異なる場合、光結合要素05が2つの分岐光信号のためのコヒーレントに増強された信号を出力する。πの奇数倍で2つの分岐光信号の位相が異なる場合、光結合要素05が2つの分岐光信号のためのコヒーレントに抑制された信号を出力する。
【0027】
電気光学変調器では、電気信号の伝送速度は主として誘電率および材料の構造の影響を受け、光信号の伝送速度は主として屈折率および材料の構造の影響を受ける。関連の技術分野の電気光学変調器は比較的小さい屈折率および比較的大きい誘電率を有する電気光学材料で作られ、それにより光信号の伝送速度が上がって電気信号の伝送速度が下がり、それによりこれらの2つの伝送速度の間でのより良好な適合を達成することが困難となり、それにより電気光学変調器の伝送損失が相対的に大きくなり、デバイスの動作性能が準最適となる。
【0028】
これを鑑みて、本開示の実施形態は、電気光学変調器の伝送損失を低減することができ、電気光学変調器の動作性能を向上させることができる電気光学変調器を提供する。
【0029】
図2および図3に示されるように、本開示のいくつかの実施形態で提供される電気光学変調器100は、順番に配置構成された、基板110、絶縁層120、導波路層130、および電極層140を含む。
【0030】
本開示の実施形態では、電極層140は、第1の方向に順番に配置構成された複数の第1のサブ電極13および一対一の対応で交差するかたちで複数の第1のサブ電極13に接続された複数の第1の接続電極12、第1の方向に順番に配置構成された複数の第2のサブ電極23および一対一の対応で交差するかたちで複数の第2のサブ電極23に接続された複数の第2の接続電極22、第1の方向に順番に配置構成された複数の第3のサブ電極33および一対一の対応で交差するかたちで複数の第3のサブ電極33に接続された複数の第3の接続電極32、ならびに、第1の方向に順番に配置構成された複数の第4のサブ電極43および一対一の対応で交差するかたちで複数の第4のサブ電極43に接続された複数の第4の接続電極42、を含む。
【0031】
複数の第1のサブ電極13よび複数の第4のサブ電極43が接地されるように構成され、複数の第2のサブ電極23および複数の第3のサブ電極33が差分信号(それぞれ、S1およびS2によって示される)を受信するように構成され、複数の第1のサブ電極13および複数の第2のサブ電極23が、複数の第1のサブ電極と複数の第2のサブ電極との間に第1の電界E1を形成するように構成され、複数の第3のサブ電極33および複数の第4のサブ電極43が、複数の第3のサブ電極と複数の第4のサブ電極との間に、第1の電界の方向と反対の方向を有する第2の電界E2を形成するように構成される。
【0032】
導波路層130は第1の導波管アーム131および第2の導波管アーム132を含み、ここでは、基板110に対して垂直である方向において、第1の導波管アーム131が複数の第1のサブ電極13と複数の第2のサブ電極23との間に位置し(つまり、第1の電界E1内に位置する)、複数の第1の接続電極12および複数の第2の接続電極22と交差せず、第2の導波管アーム132が複数の第3のサブ電極33と複数の第4のサブ電極43との間に位置し(つまり、第2の電界E2内に位置し)、複数の第3の接続電極32および複数の第4の接続電極42と交差する。
【0033】
図2および図3に示される実施形態では、電極層はGSSG(Gは接地電極を表し、Sは信号電極を表す)の電極配置構成のデザインを採用する。電極層140は、順番に配置構成された、第1の接地電極141、第1の信号電極142、第2の信号電極143、および第2の接地電極144を含む。第1の信号電極142および第2の信号電極143は差分信号を受信するように構成される。第1の接地電極141は、第1の主電極11、第1の主電極11に接続された複数の第1の接続電極12、および複数の第1のサブ電極13を含む。第1の信号電極142は、第2の主電極21、第2の主電極21に接続された複数の第2の接続電極22、および複数の第2のサブ電極23を含む。第2の信号電極143は、第3の主電極31、第3の主電極31に接続された複数の第3の接続電極32、および複数の第3のサブ電極33を含む。第2の接地電極144は、第4の主電極41、第4の主電極41に接続された複数の第4の接続電極42、および複数の第4のサブ電極43を含む。
【0034】
電気光学変調器100の基本構造は、概して、光分岐要素および光結合要素をさらに含む(これらは図には示されず、第1の導波管アーム131および第2の導波管アーム132に対しての光分岐要素および光結合要素の接続は図1を参照して示されるようなものとなり得る)。光分岐要素は、少なくとも、信号入力端部、第1の光分岐出力端部、および第2の光分岐出力端部、を含む。光結合要素は、少なくとも、第1の光分岐入力端部、第2の光分岐入力端部、および信号出力端部を含む。第1の導波管アーム131の一方の端部および第2の導波管アーム132の一方の端部が、一対一の対応で第1の光分岐出力端部および第2の光分岐出力端部に接続され、第1の導波管アーム131のもう一方の端部および第2の導波管アーム132のもう一方の端部が、一対一の対応で第1の光分岐入力端部および第2の光分岐入力端部に接続される。
【0035】
本開示の実施形態では、第1の接地電極141、第1の信号電極142、第2の信号電極143、および第2の接地電極144が全体として第1の方向に延在し、それらのそれぞれの主電極が互いに平行に配置構成され得る。第1の信号電極142および第2の信号電極143は差分信号を受信するのに使用される。具体的には、第1の信号電極142および第2の信号電極143は、それぞれ、等しい振幅および逆位相(記号「-」および「+」で示される)の無線周波数電圧信号S1およびS2を受信し、したがって、無線周波数電圧信号S1およびS2は差分信号である。
【0036】
導波路層130の材料は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、またはチタンリン酸カリウムなどの、電気光学材料を含むことができる。差分信号(上で説明した無線周波数電圧信号S1およびS2など)が第1の信号電極142および第2の信号電極143に入力され、第1の接地電極141および第2の接地電極144が接地されると(図では「G」によって示される)と、第1の導波管アーム131が第1の信号電極142および第1の接地電極141によって形成された第1の電界E1内に位置し、第2の導波管アーム132が第2の信号電極143および第2の接地電極144によって形成された第2の電界E2内に位置する。図に示されるように、第1の接地電極141、第1の信号電極142、第2の信号電極143、および第2の接地電極144のサブ電極の構造デザインは、第1の電界E1の方向を第2の電界E2の方向の正確に反対にするのを可能にする。第1の導波管アーム131の屈折率および第2の導波管アーム132の屈折率は、第1の信号電極142および第2の信号電極143によりそれぞれ受信される差分信号S1およびS2と共に変化し、それにより中で伝送される分岐光信号の位相を変調するのを可能にし、その結果、2つの分岐光信号が光結合要素に到達するときに目標位相差を達成するようになり、ここでは目標位相差は、例えば、πの奇数倍または偶数倍である。
【0037】
本開示の実施形態では、第1の接地電極141、第1の信号電極142、第2の信号電極143、および第2の接地電極144のサブ電極の構造デザインを用いることにより、第1の電界E1および第2の電界E2が反対の方向を有するように設計され得ることに加えて、信号電極と接地電極との間の間隔も短縮され得、2つの電極が可能な限り互いに接近させられ、その結果、電界の強さが増大され得、電気信号の伝送損失が低減され得る。
【0038】
加えて、電極構造のいくつかの特性(インピーダンスおよび伝送速度など)は、実際の設計要求に従って柔軟的に調整され得るサブ電極の特定の設計パラメータ(形状、サイズ、および数など)に密に関連し、その結果、電気光学変調器100が、可能な限り、電気光学変調器の入力端部のところのインピーダンスと等しいかまたは同様であるインピーダンスを有するようになり、それにより光信号および電気信号の伝送速度の差を一定程度補償し、それによりこれらの2つの伝送の間での可能な限りの適合を達成する。
【0039】
図4に示されるように、本開示のいくつかの比較の実施例の電気光学変調器002では、電極層がGSGSGの電極配置構成を採用する。具体的には、第1の接地電極241、第1の信号電極242、第2の接地電極243、第2の信号電極244、および第3の接地電極245が順番に配置構成される。第1の接地電極241および第1の信号電極242はそれらの間に第1の電界E111を形成し、第2の接地電極243および第2の信号電極244は第1の電界E11と反対の方向を有する第2の電界E22をそれらの間に形成し、第1の導波管アーム231が第1の接地電極241と第1の信号電極242との間に位置し、第2の導波管アーム233が第2の接地電極243と第2の信号電極244との間に位置する。このような電気光学変調器002の構造では、第2の信号電極244に関連して外的要因によって発生し得るクロストークを遮断するかまたは低減するために、第3の接地電極245も必ず提供される。したがって、3つの接地電極が電気光学変調器002の構造デザインに含まれ、それにより導波管アームに対して垂直である延在方向における電気光学変調器002の全体のサイズを比較的大きくする。
【0040】
しかし、図2を参照する本開示の実施形態における電気光学変調器100のデザインを用いることにより、最小である2つの接地電極が含まれ得、それにより上の比較の実施例と比較して全体としてより小さいサイズを有するように電気光学変調器100を設計することが可能となる。
【0041】
図5に示されるような本開示のいくつかの実施形態では、電極層140は、第1の信号電極142と第2の信号電極143との間に位置する第3の接地電極145をさらに有し、つまりGSGSGの電極配置構成を採用し得る。こうすることにより、第3の接地電極145が第1の信号電極142と第2の信号電極143との間に位置し、その結果、第1の信号電極と第2の信号電極との間で発生し得るクロストークが遮断され得るかまたは低減され得、それにより差分信号伝送の安定性を向上させ、伝送損失をさらに低減させるのを促進する。電気光学変調器100の全体のサイズを最小にするために、第3の接地電極145が比較的小さい幅を有するように設計され得る。
【0042】
図2に示されるように、本開示のいくつかの実施形態では、各第1のサブ電極13が対応する第1の接続電極12とのT形の接続状態にあり、各第2のサブ電極23が対応する第2の接続電極22とのT形の接続状態にあり、各第3のサブ電極33が対応する第3の接続電極32とのT形の接続状態にあり、各第4のサブ電極43が対応する第4の接続電極42とのT形の接続状態にある。
【0043】
本開示のいくつかの他の実施形態では、各第1のサブ電極は対応する第1の接続電極とのL形の接続状態ともなり得、同様に、各第2のサブ電極は対応する第2の接続電極とのL形の接続状態ともなり得、各第3のサブ電極は対応する第3の接続電極とのL形の接続状態ともなり得、各第4のサブ電極は対応する第4の接続電極とのL形の接続状態ともなり得る。
【0044】
サブ電極の形状は柔軟的に設計され、サブ電極の設計パラメータは実際の設計要求に従って調整され得、その結果、電気光学変調器100が、可能な限り、電気光学変調器の入力端部のところのインピーダンスと等しいかまたは同様であるインピーダンスを有するようになり、それにより光信号および電気信号の伝送速度の差を補償し、それによりこれらの2つの伝送の間での可能な限りの適合を達成する。
【0045】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、第1の導波管アーム131および第2の導波管アーム132の延在方向において(つまり、第1の方向において)、複数の第1のサブ電極13が一対一の対応で複数の第2のサブ電極23の反対に配置構成され、複数の第3のサブ電極33が複数の第4のサブ電極43と交互に配置構成される。このデザインにより、複数の第1のサブ電極13と複数の第2のサブ電極23との間のおよび複数の第3のサブ電極33と複数の第4のサブ電極43との間の有効重複面積を比較的大きくすることが可能となり、その結果、形成される第1の電界E1および第2の電界E2の強さが増大され得、電気信号の伝送損失が最小にされ得る。
【0046】
図6を参照する本開示のいくつかの実施形態では、第2の主電極21および第3の主電極31の各々から基板110までの距離がh1であり、第1の主電極11および第4の主電極41の各々から基板110までの距離がh2であり、h1≠h2である。
【0047】
信号電極の主電極は接地電極の主電極から多様な高さに配置構成され、それにより、本構造デザインを通してのこの高さの差を利用して電気信号伝送の柔軟性のある調節および設計を支援し、それにより光信号および電気信号の伝送速度の差を低減することが可能となり、それにより光信号および電気信号がそれらの間での良好な適合を達成する。
【0048】
図6に示されるように、本開示のいくつかの実施形態では、電気光学変調器100は、導波路層130と電極層140との間に位置するパターン化された誘電体層150をさらに含み、パターン化された誘電体層150は導波路層130より低い誘電率を有する。基板110に対して垂直である方向において、パターン化された誘電体層150は第1の主電極11および第4の主電極41との重複部を有さず、パターン化された誘電体層150の少なくとも一部分が第2の主電極21および第3の主電極31と重なる。この実施形態では、多様な領域におけるパターン化された誘電体層150の厚さの差を利用することにより、第2の主電極21および第3の主電極31が、第1の主電極11および第4の主電極41から多様な高さに配置構成されるように、高くなっている。
【0049】
本開示のいくつかの他の実施形態では、パターン化された誘電体層は、第2の主電極および第3の主電極との重複部を有さないようにも、ならびに、パターン化された誘電体層の少なくとも一部分が第1の主電極および第4の主電極と重なるようにも、設計され得る。この実施形態では、多様な領域におけるパターン化された誘電体層の厚さの差を利用することにより、第1の主電極および第4の主電極が、第2の主電極および第3の主電極から多様な高さに配置構成されるように、高くなっている。
【0050】
電気光学変調器100の電極層が図5に示される設計スキームを採用する場合、電極層の第3の接地電極145から基板110までの距離がさらにh1となるように設計され得、つまり、第3の接地電極が第1の主電極11および第4の主電極41と同じ高さに配置構成され、したがって第2の主電極21および第3の主電極31から異なる高さに配置構成される、ことに留意されたい。
【0051】
図7に示されるように、本開示のいくつかの実施形態では、電気光学変調器100の電極層がGSGSGの電極配置構成のデザインを採用する。電極層は、順番に配置構成された、第1の接地電極741、第1の信号電極742、第2の接地電極743、第2の信号電極744、および第3の接地電極745を含む。第1の信号電極742および第2の信号電極744は、差分信号(それぞれ、S1およびS2によって示される)を受信するように構成される。第2の接地電極743は、第1の主電極7430、第1の主電極7430の一方側に位置して第1の主電極7430に接続された複数の第1の接続電極12、複数の第1のサブ電極13、第1の主電極7430のもう一方側に位置して第1の主電極7430に接続された複数の第4の接続電極42、および複数の第4のサブ電極43を含む。第1の信号電極742は、第2の主電極7420、第2の主電極7420に接続された複数の第2の接続電極22、および複数の第2のサブ電極23を含む。第2の信号電極744は第3の主電極7440、第3の主電極7440に接続された複数の第3の接続電極32、および複数の第3のサブ電極33を含む。
【0052】
図7に示されるように、複数の第1のサブ電極13および複数の第2のサブ電極23が、複数の第1のサブ電極と複数の第2のサブ電極との間に第1の電界E1を形成するように構成され、複数の第3のサブ電極33および複数の第4のサブ電極43が、複数の第3のサブ電極と複数の第4のサブ電極との間に、第1の電界の方向と反対の方向を有する第2の電界E2を形成するように構成される。第1の導波管アーム131は複数の第1のサブ電極13と複数の第2のサブ電極23との間に位置し、したがって第1の電界E1内に位置する。第2の導波管アーム132は複数の第3のサブ電極33と複数の第4のサブ電極43との間に位置し、したがって第2の電界E2内に位置する。
【0053】
これらの実施形態では、電極層のこの構造デザインにより、第1の電界E1および第2の電界E2が反対の方向を有するように設計され得ることに加えて、信号電極と接地電極との間の間隔が短縮され得、これらの2つの電極が可能な限り互いに接近させられ、その結果、電界の強さが増大され得、電気信号の伝送損失が低減され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、第2の主電極7420および第3の電極7440の各々から基板までの距離がh3であり、第1の接地電極741、第3の接地電極745、および第1の主電極7430の各々から基板までの距離がh4であり、h3≠h4である。具体的には、第1の接地電極、第3の接地電極、および第2の接地電極の主電極は、2つの信号電極の主電極から異なる高さに配置構成される。これにより、本構造デザインを通してのこの高さの差を利用して電気信号伝送の柔軟性のある調節および設計を支援し、それにより光信号および電気信号の伝送速度の差を低減することが可能となり、それにより光信号および電気信号がそれらの間での良好な適合を達成する。
【0055】
本開示の実施形態では、電気光学変調器100の具体的な製品形態は限定的ではなく、例えば、上記の概念に基づいてストライプの電気光学変調器または折り畳みタイプの電気光学変調器として設計され得、ここでは、折り畳みタイプの電気光学変調器は1つまたは複数の湾曲部分を含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、この折り畳みタイプの電気光学変調器の電極層はGSSGの電極配置構成のデザインを採用し、種々のサブ電極および接続電極が図2に示される実施形態を参照して設計され得、ここでは、第1の主電極11、第2の主電極21、第3の主電極31、および第4の主電極41が全体として折り畳み形態であり(このフォールディング形態は図に示されない)、互いに交差しない。
【0057】
GSSGの電極配置構成のデザインに基づいて、いくつかの実施形態では、第1の導波管アーム131、第2の導波管アーム132、第1の主電極11、第2の主電極21、第3の主電極31、および第4の主電極41は、互いに交差しないようにおよび実質的に同期化された湾曲部を有するように設計される。
【0058】
GSSGの電極配置構成のデザインに基づいて、いくつかの他の実施形態では、第1の導波管アーム131および/または第2の導波管アーム132は、曲げ遅延(bending delay)を形成するために、第1の主電極11、第2の主電極21、第3の主電極31、および第4の主電極41のうちの1つまたは複数と交差することができる。このようにして、導波管の伝送速度および電極の伝送速度が、可能な限りのそれらの間での適合を達成するように柔軟的に調整され得、それにより伝送損失を低減する。
【0059】
図8Aに示されるように、本開示のいくつかの実施形態では、電気光学変調器100は折り畳みタイプの電気光学変調器である。この折り畳みタイプの電気光学変調器の電極層はGSGSGの電極配置構成のデザインを採用し、サブ電極の各々および接続電極の各々は、図5に示される実施形態の手法と同様の手法で設計され、ここでは、第1の主電極11、第2の主電極21、第3の接地電極145、第3の主電極31、および第4の主電極41は全体として折り畳み形態であり、互いに交差しない。
【0060】
この実施形態では、第1の導波管アーム131、第2の導波管アーム132、第1の主電極11、第2の主電極21、第3の主電極31、および第4の主電極41は、互いに交差しないようにおよび実質的に同期化された湾曲部を有するように設計される。
【0061】
図8Bに示されるように、本開示のいくつかの他の実施形態では、電気光学変調器100は折り畳みタイプの電気光学変調器である。この折り畳みタイプの電気光学変調器の電極層はGSGSGの電極配置構成のデザインを採用し、サブ電極の各々および接続電極の各々は、図5に示される実施形態の手法と同様の手法で設計され、ここでは、第1の主電極11、第2の主電極21、第3の接地電極145、第3の主電極31、および第4の主電極41は全体として折り畳み形態であり、互いに交差せず、第1の導波管アーム131および第2の導波管アーム132は(別法として、第1の導波管アーム131または第2の導波管アーム132は)、曲げ遅延を形成するために、第1の主電極11、第2の主電極21、第3の接地電極145、第3の主電極31、および第4の主電極41のうちの1つまたは複数と交差する。このようにして、導波管の伝送速度および電極の伝送速度が、可能な限りのそれらの間での適合を達成するように柔軟的に調整され得、それにより伝送損失を低減する。
【0062】
図9Aに示されるように、本開示のいくつかの他の実施形態では、電気光学変調器100は折り畳みタイプの電気光学変調器である。この折り畳みタイプの電気光学変調器の電極層はGSGSGの電極配置構成のデザインを採用し、種々のサブ電極および接続電極が図7に示される実施形態の手法と同様の手法で設計され、ここでは、第1の接地電極741、第2の主電極7420、第1の主電極7430、第3の主電極7440、および第3の接地電極745が全体として折り畳み形態であり、互いに交差しない。この実施形態では、第1の導波管アーム131、第2の導波管アーム132、第1の接地電極741、第2の主電極7420、第1の主電極7430、第3の主電極7440、および第3の接地電極745は、互いに交差しないようにおよび実質的に同期化された湾曲部を有するように設計される。
【0063】
図9Bに示されるように、本開示のいくつかの実施形態では、電気光学変調器100は折り畳みタイプの電気光学変調器である。この折り畳みタイプの電気光学変調器の電極層はGSGSGの電極配置構成のデザインを採用し、一部のサブ電極および接続電極が図5に示される実施形態の手法と同様の手法で設計され、対して一部のサブ電極および接続電極が図7に示される実施形態の手法と同様の手法で設計され、つまり図5および図7に示される実施形態の組み合わせのデザインが採用される。第4の主電極41は第3の接地電極745との湾曲の接続状態にあり、第3の主電極31は第3の主電極7440との湾曲の接続状態にあり、第3の接地電極145は第1の主電極7430との湾曲の接続状態にあり、第2の主電極21は第2の主電極7420との湾曲の接続状態にあり、第1の主電極11は第1の接地電極741との湾曲の接続状態にある。第1の導波管アーム131および第2の導波管アーム132は(別法として、第1の導波管アーム131または第2の導波管アーム132は)、曲げ遅延を形成するために、上記の接地電極または主電極のうちの1つまたは複数と交差する。このようにして、導波管の伝送速度および電極の伝送速度が、可能な限りのそれらの間での適合を達成するように柔軟的に調整され得、それにより伝送損失を低減する。
【0064】
折り畳みタイプの電気光学変調器はS形湾曲部の形状を有し、それにより長手方向におけるデバイスのサイズを低減することが可能となる。より良好なデバイス性能を達成するために、導波管の長さは必要に応じて増大するように設計され得るが、折り畳みタイプのデザインのために、デバイスの長さはより影響を受けにくく、それにより小型化されたデザインのデバイスを実装することが可能となる。
【0065】
図3に示されるように、本開示のいくつかの実施形態では、導波路層130はリッジ導波管のデザインを採用し、スラブ導波管133をさらに含む。第1の導波管アーム131および第2の導波管アーム132が、基板110から離れたスラブ導波管133の一方側に位置し、スラブ導波管133に一体に接続され、その結果、これらが一体に形成され得るようになる。導波路層130がリッジ導波管のデザインを採用し、したがって、基本モードの低いカットオフ周波数、広い帯域、および低いインピーダンスなどの、リッジ導波管の一連の優れた特性を有する。
【0066】
結論として、本開示の上記の実施形態の電気光学変調器100のデザインにより、2つの導波管アームに作用する電界が反対の方向を有するように設計され得ることに加えて、信号電極と接地電極との間の間隔が短縮され得、その結果、電界の強さが増大され得、電気信号の伝送損失が低減され得る。
【0067】
本記述では、「中心」、「長手方向の」、「横方向の」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上側」、「下側」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「垂直の」、「水平の」、「頂部」、「底部」、「内側の」、「外側の」、「時計回りの」、「反時計回りの」、「軸方向の」、「径方向の」、および「円周方向の」などの用語によって示される向きまたは位置関係あるいは寸法は、添付図面に基づいて示される向きまたは位置関係あるいは寸法であり、これらの用語は、言及するデバイスまたは要素が特定の向きを有さなればならず、この特定の向きで構築されて動作させられなければならない、ことを示したりまたは暗に意味したりするのではなく、単に説明の容易さのために使用されるものであり、したがって、本開示の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない、ことを理解すべきである。
【0068】
加えて、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は単に説明を目的とするものであり、相対的重要性を示したりまたは暗に意味したりするものとして、あるいは、示される技術的特徴の数を暗に示したりするものとして、解釈されるべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」、および「第3の」を用いて定義される特徴は、明示的であれまたは黙示的であれ、1つまたは複数の特徴を含むことができる。本開示の記述では、「複数の(a plurality of)」という用語は、明確にまたは具体的に別途定義されない限り、2つ以上を意味する。
【0069】
本開示では、明記されたりまたは別途定義されたりしない限り、「設置する」、「接続」、「接続される」、および「固定する」などの用語は広い意味で解釈されるべきであり、例えば、これらの用語は、固定的な接続、着脱自在な接続、または一体的な接続であってよいか、機械的接続もしくは電気接続、または通信であってよくかつ直接的な接続または中間媒体による間接的な接続であってよいか、あるいは、2つの要素の間の内部通信または2つの要素の間の相互作用であってよい。当業者であれば、特定の環境に従って本開示の上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0070】
本開示では、明記されたりまたは別途定義されたりしない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上方」または「下方」にあるという表現は、第1の特徴が第2の特徴に直接に接触する事例、または、第1の特徴および第2の特徴が直接には接触しないがそれらの間にある別の特徴を介して接続される事例を含むことができる。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上」にあるか、「上方」にあるか、または「接触して上」にあるということは、第1の特徴が第2の特徴の真上にあるかまたは斜め上にある事例を含み、つまり、単に第1の特徴が第2の特徴より高いレベルにあることを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下」にあるか、「下方」にあるか、または「すぐ下」にあるということは、第1の特徴が第2の特徴の真下にあるかまたは斜め下にある事例を含み、つまり、単に第1の特徴が第2の特徴より低いレベルにあることを示す。
【0071】
本記述は、本開示を実装するのに使用され得る多くの異なる実装形態または実施例を提供する。これらの多様な実装形態または実施例が単に例示的なものであり、本開示の保護範囲を限定することを意図されない、ことを理解されたい。本開示の記述の開示に基づいて、当業者であれば多様な変更形態または置換形態を思い付くことができるであろう。これらのすべての変更形態または置換形態は本開示の保護範囲内にあるものとする。したがって、本開示の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲の支配下にあるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
【外国語明細書】