(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083294
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
F16K 15/04 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
F16K15/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023207305
(22)【出願日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】22212293
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515246465
【氏名又は名称】ティーアイ オートモーティブ テクノロジー センター ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】TI Automotive Technology Center GmbH
【住所又は居所原語表記】Lochfeldstr. 31, 76437 Rastatt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴィンター
(72)【発明者】
【氏名】アーテム トゥツィン
(72)【発明者】
【氏名】トルステン シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ダイベル
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA04
3H058BB40
3H058CC02
3H058CC07
3H058CD03
3H058EE17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】廉価に製作可能である逆止弁を提供する。
【解決手段】逆止弁1であって、流体により通流可能な流路2と、少なくとも1つの遮断体3とを備え、この遮断体は流路内に可動に配置されており、遮断体は遮断位置と通流位置との間で可動であり、流路内に止め要素4と遮断体座5とが配置されており、止め要素は遮断体の運動を制限し、遮断体は、流体の第1の通流方向において遮断位置に移動され、遮断体座に密に接触して流路を閉鎖し、遮断体は、流体の第2の通流方向において通流位置に移動され、流路を開放し、この流路は、少なくとも遮断体、止め要素および遮断体座を取り囲んで延在しており、一体的にかつ単一材料で形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁(1)であって、流体により通流可能な流路(2)と、少なくとも1つの遮断体(3)とを備え、該遮断体(3)は前記流路(2)内に可動に配置されており、前記遮断体(3)は遮断位置と通流位置との間で可動であり、前記流路(2)内に止め要素(4)と遮断体座(5)とが配置されており、前記止め要素(4)は前記遮断体(3)の運動を制限し、前記遮断体(3)は、前記流体の第1の通流方向において前記遮断位置に移動され、前記遮断体座(5)に密に接触して前記流路(2)を閉鎖し、前記遮断体(3)は、前記流体の第2の通流方向において前記通流位置に移動され、前記流路(2)を開放する、逆止弁(1)において、前記流路(2)は、少なくとも前記遮断体(3)、前記止め要素(4)および前記遮断体座(5)を取り囲んで延在しており、一体的にかつ単一材料で形成されていることを特徴とする、逆止弁(1)。
【請求項2】
前記流路(2)はブロー成形部分として形成されていることを特徴とする、請求項1記載の逆止弁。
【請求項3】
前記遮断体(3)に少なくとも1つの戻しばねが配置されており、該戻しばねは、前記遮断体(3)に戻し力を生じさせるように構成されており、該戻し力は、前記止め要素(4)から前記遮断体座(5)に向かう方向に作用することを特徴とする、請求項1または2記載の逆止弁。
【請求項4】
前記止め要素(4)および/または前記遮断体座(5)は、前記流路(2)から一体的にかつ単一材料で形成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項5】
前記止め要素(4)は、前記流路(2)の内部に突出した少なくとも1つの突出部(6)を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項6】
前記遮断体座(5)は、前記流路(2)の内部に突出した全周にわたって延在する封止突出部(7)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項7】
前記逆止弁(1)は保持器(8)を有しており、該保持器(8)は前記止め要素(4)を備えていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項8】
前記保持器(8)は前記遮断体座(5)を備えていることを特徴とする、請求項7記載の逆止弁。
【請求項9】
前記保持器(8)は、別体の構成部材として前記流路(2)内に挿入されていることを特徴とする、請求項7または8記載の逆止弁。
【請求項10】
前記保持器(8)は前記遮断体(3)を収容しており、前記保持器(8)と前記遮断体(3)とは構成ユニットを形成していることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項11】
前記保持器(8)は、前記遮断体(3)の運動を制限するように構成された少なくとも1つのガイド区分(9)を有することを特徴とする、請求項7から10までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項12】
前記遮断体(3)は前記保持器(8)に枢動式に結合されていることを特徴とする、請求項7から11までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1つの逆止弁を備えた管であって、該管と前記流路(2)とが単一材料でかつ一体的に形成されていることを特徴とする、管。
【請求項14】
前記逆止弁(1)は前記管の一区分に形成されていることを特徴とする、請求項13記載の管。
【請求項15】
請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1つの逆止弁および/または請求項13または14記載の少なくとも1つの管を備えた温度調整回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁であって、流体により通流可能な流路と、少なくとも1つの遮断体とを備え、この遮断体は流路内に可動に配置されており、遮断体は遮断位置と少なくとも1つの通流位置との間で可動である、逆止弁に関する。本発明は、さらに、逆止弁を備えた管に関する。
【背景技術】
【0002】
逆止弁が一般的に知られており、例えば流体回路に使用される。流体回路とは、特に冷却媒体または冷媒が循環する冷却回路および空調回路を意味している。逆止弁は、流路を通る流体の通流を一方向でのみ許容し、逆方向では流体流を遮断する。これによって、例えばユニットの停止時に流体の逆流が生じることを阻止することができる。さらに、より複雑な流体回路内で流体流を導くために、逆止弁を使用することができる。
【0003】
逆止弁の使用分野は、エレクトロモビリティの領域における温度調整回路に見られる。電気車両の長い航続距離を達成するためには、例えば電気的な構成要素を温度調整することが必要となる。この場合、電気車両の温度調整すべき構成要素は、特に電気的なエネルギー蓄え器のほか、パワーエレクトロニクスまたは急速充電装置の差込み接続手段である。電気的なエネルギー蓄え器は、極めて小さな温度範囲内でしか、最適な容量を有していない。したがって、電気車両の電気的なエネルギー蓄え器を、周辺温度が低い場合には加熱し、屋外気温が高いかまたは負荷変動が大きい場合には冷却することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、廉価に製作可能である逆止弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。従属請求項は有利な構成に関する。
【0006】
本発明に係る逆止弁は、流体により通流可能な流路と、少なくとも1つの遮断体とを備え、この遮断体は流路内に可動に配置されており、遮断体は遮断位置と通流位置との間で可動であり、流路内に止め要素と遮断体座とが配置されており、止め要素は遮断体の運動を制限し、遮断体は、流体の第1の通流方向において遮断位置に移動され、遮断体座に密に接触して流路を閉鎖し、遮断体は、流体の第2の通流方向において通流位置に移動され、流路を開放し、この流路は、少なくとも遮断体、止め要素および遮断体座を取り囲んで延在しており、一体的にかつ単一材料で形成されている。
【0007】
流路を一体的にかつ単一材料で形成することによって、流路をただ1つの構成要素から形成することが可能となる。遮断体、止め要素および遮断体座は、流路の製作時に流路内または流路のプリフォーム内に、好ましくは直接挿入される。この場合、遮断体、止め要素および遮断体座は、流路内に組み込まれている。従来では、逆止弁のハウジングは組立式に形成されている。この場合には、遮断体の組付け後にハウジングが閉鎖される。流路の本発明による一体的な構成によって、流路の封止性を改善することができ、特に、流路をあとから開閉するための流路要素の別個の結合部を回避することができる。さらに、逆止弁を製作するために必要となる個別構成部材の個数が減る。本発明に係る逆止弁はコンパクトに形成されており、構成要素は、失われることがないように互いに結合されており、これによって組付けの手間が減る。これによって、逆止弁を多くの個数で廉価に製作することができ、組み付けることができる。
【0008】
遮断体は、流路内に可動に配置されている。この場合、遮断体は、流路を通流する流体の圧力差によって可動となる。通流方向に応じて、遮断体の互いに反対の側に互いに異なる圧力差が存在し、遮断体を遮断位置または通流位置に運動させることができる。通流位置では、遮断体が遮断体座から離間しているので、流体が流路を通流することができる。遮断体の運動は止め要素によって制限されている。この場合、遮断体は、一方の終端位置において止め要素に接触することができ、開放した流れ横断面によって、流体の最大の体積流が可能となる。このことは、止め要素の構成にも左右される。この止め要素は、遮断体を、特に流路の長手方向で制限することができる。
【0009】
遮断体は球形に形成されていてよい。球形の構成によって、遮断体は姿勢に左右されなくなる。さらに、引っ掛かりのリスクを減らすことができ、動作の確実性を高めることができる。また、組付け性も改善される。
【0010】
しかしながら、別の幾何学的な構成も可能である。例えば、遮断体は、ディスク状、傘状、フラップ状、円錐形、放物体として、楕円体として形成されてよい。さらに、遮断体は流れを最適化するように装備されていてよく、例えば、安定化のための案内羽根または別の要素を備えて装備されていてよい。有利には、幾何学的な構成の横断面は、流路の長手方向で遮断体座の方向に先細りしている。これによって、遮断位置への運動時の遮断体の自己センタリングをアシストすることができ、遮断体の引っ掛かりを回避することができる。これによって、逆止弁の故障しやすさが減少し、ひいては取扱い性もさらに改善される。
【0011】
遮断体座は、開口と、この開口を取り囲んで延在する封止面とを備えていてよい。遮断体と遮断体座とは、互いに合致する封止面を有していてよい。この場合、遮断体の封止面は、遮断位置において遮断体座の封止面に密に接触し、これによって開口を閉鎖している。通流位置では、遮断体が封止縁部から離間し、これによって開口を開放している。
【0012】
流路はブロー成形部分として形成されていてよい。ブロー成形によって、複雑な形状を有する流路を製作することが可能となる。例えば、流路は、組付け箇所に対して必要となる形状に、例えば湾曲して成形されていてよい。さらに、流路内に横断面変化部を成形することが特に簡単となる。例えば、流路の或る区分は円形であってよく、これに対して、流路の別の区分は真円でない形、例えば楕円形または方形に形成されている。これによって、流路を特に省スペースに形成することができ、組付け箇所に適合させることができる。遮断体、止め要素および遮断体座は、予め製作された構成要素として、流路を形成するプリフォーム内に導入されてよく、次いで、流路がブロー成形によって成形されてよい。これによって、遮断体、止め要素および遮断体座が流路内に直接組み込まれるので、逆止弁の組付けが簡単かつ廉価となる。流路は、ブロー成形によって特に簡単かつ廉価に単一材料でかつ一体的に製作することができる。流路は、好適にはポリマー材料から製作されてよい。周辺条件および搬送すべき流体の要求に応じて、流路の壁は単層で形成されていてもよいし、多層で形成されていてもよい。多層の構成の事例では、流路の壁はプラスチックコンパウンドから形成されていてよく、種々異なる複数のプラスチックを含んでいてよい。
【0013】
第1の構成では、遮断体に少なくとも1つの戻しばねが割り当てられていてよく、この戻しばねは、遮断体に戻し力を加えるように構成されており、この戻し力は、遮断体座に向かって作用する。戻しばねは、遮断体を自動的に遮断体座に押し付けるように構成されているので、第1の通流方向が流体に対して遮断されている。戻し力によって、第1の通流方向での封止性を改善することができる。第2の通流方向では、遮断体が戻しばねの戻し力に抗して遮断体座から離間するほど流体の圧力差が大きい限り、流体が流路を通流することができる。この場合、戻し力はばねの寸法設定に左右される。
【0014】
代替的には、逆止弁を相応に配置することで重力が遮断体に作用することによって戻し力を得ることも可能である。この場合、戻しばねを不要にすることができると有利である。
【0015】
戻しばねはプラスチックから形成されていてよい。この場合、プラスチックが耐食性であり、廉価であると有利である。このことは、特にエレクトロモビリティでの使用に関連して有利である。バッテリでは、損傷時に電解質が冷却回路内に達してしまうことがある。この場合、プラスチックから形成される戻しばねは、このような電解質に対して耐性を有するプラスチックから形成されていてよい。代替的には、逆止弁を相応に配置することで重力によって戻し力を得ることも可能である。
【0016】
止め要素および/または遮断体座は、流路から一体的にかつ単一材料で形成されていてよい。この場合、止め要素および/または遮断体座は、流路の外殻面から一体的にかつ単一材料で成形されていてよい。好適には、止め要素が、流路から一体的にかつ単一材料で形成されている。特に好適には、止め要素および遮断体座が、流路から形成されている。この実施形態では、逆止弁を提供するために、2つの構成要素、つまり、流路および遮断体しか必要とならない。これによって、特に廉価な逆止弁が得られる。製作プロセス中、遮断体は流路内に配置される。この場合、遮断体は、可動にかつ失われることがないように流路内に配置されている。必要となる構成要素を減らすことによって、逆止弁の保守、組付けおよび取扱い性が改善される。
【0017】
止め要素は、流路の内部に突出した少なくとも1つの突出部を有していてよい。通流位置では、遮断体が突出部に接触してよく、この突出部が遮断体の運動を制限する。特に、突出部は、流路の長手方向での遮断体の運動を制限することができる。好ましくは、止め要素は、流路の内部に突出した複数の突出部、特に少なくとも3つの突出部を有している。これらの突出部は全周にわたって分配されて配置されていてよく、好ましくは全周にわたって均等に分配されて配置されていてよい。
【0018】
止め要素が、流路の内部に突出した鍔として形成されていることも可能である。この鍔は、流体が通流することができる貫通路を有している。好ましくは、鍔は全周にわたって延在して配置されている。特に、遮断体が止め要素に接触している場合、流体は貫通路を通流することができる。
【0019】
遮断体座は、流路の内部に突出した全周にわたって延在する封止突出部を有していてよい。遮断位置では、遮断体が封止突出部に密に接触しており、これによって逆止弁に対する流体の通流が阻止される。
【0020】
逆止弁は保持器を有してよく、この保持器は止め要素を備えている。好ましくは、保持器は流路内に位置固定されている。このためには、保持器が流路に形状接続的または材料接続的に固定されていてよい。保持器は、特に流路に溶着されていてよい。また、保持器が、流路のブロー成形によって流路に材料接続的に結合されていることも可能である。
【0021】
保持器は遮断体座を形成していてよい。好ましくは、保持器と流路との間の結合部が密に形成されているので、少なくとも遮断体座の領域において、保持器の外面と流路の内面との間で流体が通流することができない。これによって、バイパス流れのリスクを減じることができる。遮断体座は環状に形成されていてよい。
【0022】
保持器は、流路内に挿入された別体の構成部材を成していてよい。好ましくは、保持器は、流路の製作プロセス中に流路内に挿入される。これによって、保持器が、失われることがないように流路内に配置されている。保持器を流路のプリフォーム内に導入し、その後、流路をブロー成形によって成形することができるので、保持器が流路内に不動に組み込まれている。
【0023】
保持器は遮断体を収容していてよく、保持器と遮断体とは、組付け可能な構成ユニットを形成していてよい。この構成ユニットはインサートとして形成されていてよい。インサートは、中空体と別体に形成された構成要素である。インサートは中空体内に配置可能である。インサートは、流路の製作プロセス中に流路内に挿入される。特にブロー成形法での流路の製作時には、インサートがブロー成形工程前にブロー成形型内に挿入され、ブロー成形中に流路に位置固定されてよい。
【0024】
保持器は、遮断体の運動を制限するように構成された少なくとも1つのガイド区分を有していてよい。好ましくは、このガイド区分によって、流路の長手方向での遮断体の運動がガイドされる。ガイド区分によって、遮断体座に対する遮断体の傾倒および/または半径方向の逸脱のリスクを減じることができる。好ましくは、保持器は少なくとも2つのガイド区分を有している。遮断位置への遮断体のガイド運動によって、遮断体座への遮断体の密な接触がアシストされる。これによって、逆止弁の封止性が改善される。好ましくは、遮断体と保持器との間にガイドを形成するために、遮断体はガイド区分内に形状接続的に係合している。
【0025】
遮断体は保持器に枢動式に結合されていてよい。この場合、枢動結合部は、好ましくは、遮断体を遮断位置から通流位置に、逆に、通流位置から遮断位置に旋回させることができるように形成されている。この場合、遮断体は、特にフラップとして形成されていてよい。
【0026】
本発明の根底にある課題は、前述した逆止弁を備えた管であって、この管と流路とが単一材料でかつ一体的に形成されている、管によっても解決される。この管は、構成要素同士を互いに接続するための接続体、例えば継手またはクイックコネクタを有しているので、構成要素同士が遮断体の通流位置において互いに流れ接続されている。管は、細長い中空体として形成されていてよい。この場合、本発明に係る逆止弁の簡単な構成によって、より複雑な管ジオメトリ、例えば、細長い2つの管区分と、これら2つの管区分の間に設けられた1つの管湾曲部とを備えた構成が可能となっている。
【0027】
さらに、複数の管を互いに接続して管アセンブリを形成することが可能である。この管アセンブリは、管束として形成されていてよい。この管束は、一体的にかつ単一材料で形成されていてよい。特に、管、管アセンブリおよび管束はブロー成形部材として形成されていてよい。
【0028】
このような構成では、逆止弁と流路との間の別個の接続箇所を省くことができる。考えられる漏れ箇所を減らすことによって、封止性を改善することができる。さらに、最終組付け時の更なる組付けステップを省くことができ、これによって取扱い性が改善される。逆止弁は管の一区分に形成されていてよい。
【0029】
本発明の根底にある課題は、前述した少なくとも1つの逆止弁および/または前述した少なくとも1つの管を備えた温度調整回路によっても解決される。この温度調整回路は、電気車両の電気モータ式の駆動装置内に統合されていてよく、温度調整媒体を搬送してよい。エレクトロモビリティの領域において長い航続距離を達成するために、温度調整回路を介して電気的な構成要素を温度調整することができる。
【0030】
以下に、本発明に係る逆止弁の構成を図面に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1の実施形態の逆止弁の通流位置における概略図である。
【
図2】
図1に示した逆止弁の通流位置における概略的な断面図である。
【
図3】
図1に示した逆止弁の遮断位置における概略的な断面図である。
【
図4】第2の実施形態の逆止弁の通流位置における概略図である。
【
図5】
図4に示した逆止弁の通流位置における概略的な断面図である。
【
図6】
図4に示した逆止弁の遮断位置における概略的な断面図である。
【
図7】第3の実施形態の逆止弁の通流位置における概略図である。
【
図8】
図7に示した逆止弁の通流位置における概略的な断面図である。
【
図9】
図7に示した逆止弁の遮断位置における概略的な断面図である。
【
図10】第4の実施形態の逆止弁の通流位置における概略的な断面図である。
【
図11】
図10に示した逆止弁の遮断位置における概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面には、流体により通流可能な流路2と、遮断体3とを備えた逆止弁1が示してある。この逆止弁1は、温度調整媒体を搬送するための温度調整回路の構成要素を成している。具体的には、逆止弁は、電気車両の電気モータ式の駆動装置の温度調整回路内に統合されている。逆止弁1は、温度調整回路内でガイドされる媒体の通流を一方の通流方向でのみ許容し、逆方向への通流を十分に遮断する。
【0033】
逆止弁1は、管アセンブリの管内に組み込まれている。流路2は管の構成要素である。管アセンブリは、温度調整回路の構成要素同士を互いに接続している。
【0034】
遮断体3は流路2内に可動に配置されていて、遮断位置と少なくとも1つの通流位置との間で可動である。流路2内には、止め要素4と遮断体座5とが配置されている。止め要素4は、遮断体3の運動を制限する。遮断体3は、流体の第1の通流方向において遮断位置に移動され、遮断体座5に密に接触して、流路2を閉鎖する。遮断体3は、流体の第2の通流方向において通流位置に移動され、流路2を開放する。この流路2は、少なくとも遮断体3、止め要素4および遮断体座5を取り囲んで延在しており、一体的にかつ単一材料で形成されている。
【0035】
流路2は、単一材料のかつ一体的な構成要素として形成されている。遮断体3、止め要素4および遮断体座5は、流路2への賦形中に流路2内に挿入されるので、製作後に流路2を開くことが回避される。これによって、遮断体3、止め要素4および遮断体座5が、流路2内に組み込まれる。
【0036】
流路2は、ブロー成形部分としてポリマー材料から回転対称に形成されている。流路2は、入口開口と出口開口とを備えている。入口開口と出口開口とは、通流位置において互いに流れ接続されている。
【0037】
遮断体3は、流路2を通流する流体の圧力差によって可動である。流れ方向に応じて、互いに異なる圧力差が遮断体3に生じて、この遮断体3を遮断位置または通流位置に移動させることができる。通流位置では、遮断体3が遮断体座5から離間しているので、流体が流路2を通流することができる。遮断体3の、遮断体座5と反対側の通流位置では、遮断体3が止め要素4に接触している。これによって、遮断体3の運動が制限される。
【0038】
遮断体座5は、開口と、この開口を取り囲んで延在する封止面とを備えている。遮断体3と遮断体座5とは、互いに合致する封止面を有している。この場合、遮断体3の封止面は、遮断位置において遮断体座5の封止面に密に接触しており、これによって開口を閉鎖している。通流位置では、遮断体3が封止縁部から離間しており、これによって開口を開放している。
【0039】
図1~
図3には、第1の実施形態の逆止弁1が示してある。この構成では、遮断体3が球形に形成されている。止め要素4と遮断体座5とは、流路2から一体的にかつ単一材料で形成されている。この場合、止め要素4と遮断体座5とは、流路2の外殻面から一体的にかつ単一材料で成形されている。遮断体3は、可動にかつ失われることがないように流路2内に配置されている。
【0040】
止め要素4は、流路2の内部に突出した3つの突出部6を有している。これら3つの突出部6は、全周にわたって均等に分配されて配置されている。遮断体3の、遮断体座5と反対側の最も外側の通流位置では、遮断体3が突出部6に接触し、流路2の長手方向での遮断体3の運動が制限される。
【0041】
遮断体座5は、流路2の内部に突出した全周にわたって延在する封止突出部7を有している。遮断位置では、遮断体3が封止突出部7に密に接触している。これによって、逆止弁1に対する流体の通流が阻止される。
【0042】
図2には、遮断体3が通流位置で示してある。遮断体3は、止め要素4を成す突出部6に接触している。流体の流れ方向は矢印によって示してある。流体は遮断体3を巡って流路2を通流することができる。
【0043】
図3には、遮断体3が遮断位置で示してある。遮断体3は封止突出部7に密に接触しており、これによって流路2を閉塞しているため、流体の通流が阻止されている。
【0044】
図4~
図6には、第2の実施形態の逆止弁1が示してある。遮断体3は、この構成でも同じく球形に形成されている。逆止弁1は保持器8を有している。この保持器8は、止め要素4と遮断体座5とを形成している。保持器8は、流路2に材料接続的に結合されている。この場合、保持器8は部分的に外周面で流路2の内面に結合されている。この場合、保持器8と流路2との間の結合部は密に形成されているので、遮断体座5の領域において、保持器8の外面と流路2の内面との間で流体が通流することができない。
【0045】
保持器8は、別体の構成部材として流路2内に挿入されている。保持器8は流路2の製作プロセス中に流路2内に挿入されている。保持器8は遮断体3を収容しており、保持器8と遮断体3とは構成ユニットを形成している。この構成ユニットはインサートとして形成されており、ブロー成形工程前にブロー成形型内に挿入されている。構成ユニットが流路2のプリフォーム内に導入され、その後、流路2がブロー成形によって成形されるので、構成ユニットが流路2内に直接組み込まれている。ブロー成形中、保持器8は流路2に一体成形されている。保持器8は流路2に材料接続的に結合されており、失われることがないように流路2内に配置されている。
【0046】
図5には、遮断体3が通流位置で示してある。遮断体3は、ブラケット状の止め要素4に接触しており、これによって、流路2の長手方向での遮断体3の運動が制限される。流体の流れ方向は矢印によって示してある。流体は、遮断体3を巡って流路2を通流することができる。
【0047】
図6には、遮断体3が遮断位置で示してある。遮断体3は保持器8に密に接触しており、これによって流路2を閉塞しているため、流体の通流が阻止されている。
【0048】
図7~
図9には、第3の実施形態の逆止弁1が示してある。遮断体3は、この構成では傘状に形成されている。逆止弁1は保持器8を有している。この保持器8は、止め要素4と遮断体座5とを備えている。保持器8は流路2に溶着によって材料接続的に結合されている。この場合、保持器8は外周面で流路2の内面に結合されている。この場合、保持器8と流路2との間の結合部は密に形成されているので、遮断体座5の領域において、保持器8の外面と流路2の内面との間で流体が通流することができない。したがって、遮断位置では、流体が逆止弁1を通流することができない。
【0049】
保持器8は、別体の構成部材として流路2内に挿入されている。保持器8は、流路2の製作プロセス中に流路2内に挿入されている。保持器8は、失われることがないように流路2内に配置されている。
【0050】
保持器8は遮断体3を収容しており、保持器8と遮断体3とは構成ユニットを形成している。この構成ユニットはインサートとして形成されており、ブロー成形工程前にブロー成形型内に挿入され、ブロー成形中に流路2に一体成形されている。
【0051】
さらに、保持器8は、流路2の長手方向での遮断体3の運動をガイドするように構成された2つのガイド区分9を有している。これらのガイド区分9によって、遮断体座5に対する遮断体3の傾倒および半径方向の逸脱を阻止するかまたは少なくとも減じることができる。ガイド区分9は、それぞれ保持器8に配置された切欠きによって形成されている。この切欠き内には、遮断体3に配置されたガイド管片(Fuehrungsstutzen)10が係合してよい。
【0052】
図8には、遮断体3が通流位置で示してある。遮断体3は、ガイド区分9の、通流位置に割り当てられた終端位置で止め要素4に接触している。これによって、流路2の長手方向での遮断体3の運動が制限される。流体の流れ方向は矢印によって示してある。流体は、遮断体3を巡って流路2を通流することができる。
【0053】
図9には、遮断体3が遮断位置で示してある。遮断体3は保持器8に密に接触していて、これによって流路2を閉塞しているため、流体の通流が阻止されている。
【0054】
図10および
図11には、第4の実施形態の逆止弁1が示してある。この逆止弁1は、保持器8を有している。この保持器8は、遮断体座5を備えている。この構成では、遮断体3がフラップとして形成されており、ジョイントを介して保持器8に結合されている。
【0055】
遮断体3は、流路2を通流する流体の圧力差によって運動することができる。通流方向に応じて、互いに異なる圧力差が遮断体3に生じるので、この遮断体3を遮断位置または通流位置に運動させることができる。通流位置では、遮断体3がジョイントを中心として回動し、遮断体3の、ジョイントと反対の側が、遮断体座5から離間しているので、流体が流路2を通流することができる。遮断位置では、遮断体3がジョイントを中心として回動し、全周にわたって遮断体座5に密に接触して、流路2を閉鎖している。
【0056】
保持器8は、流路2に溶着によって材料接続的に結合されている。この場合、保持器8は外周面で流路2の内面に結合されている。この場合、保持器8と流路2との間の結合部は密に形成されているので、遮断体座5の領域において、保持器8の外面と流路2の内面との間で流体が通流することができない。したがって、遮断位置では、流体が逆止弁1を通流することができない。
【0057】
保持器8は、別体の構成部材として流路2内に挿入されている。保持器8は、流路2の製作プロセス中に流路2内に挿入されている。保持器8は、失われることがないように流路2内に配置されている。
【0058】
保持器8は遮断体3を収容しており、保持器8と遮断体3とは構成ユニットを形成している。この構成ユニットはインサートとして形成されており、ブロー成形工程前にブロー成形型内に挿入され、ブロー成形中に流路2に一体成形されている。
【0059】
図10には、遮断体3が通流位置で示してある。遮断体3は開放旋回して、流路2を開放している。遮断体3は止め要素4に接触しており、これによって、遮断体3の運動が制限される。流体の流れ方向は矢印によって示してある。流体は流路2を通流することができる。
【0060】
図11には、遮断体3が遮断位置で示してある。遮断体3は保持器8に密に接触しており、これによって流路2を閉塞しているため、流体の通流が阻止されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁(1)であって、流体により通流可能な流路(2)と、少なくとも1つの遮断体(3)とを備え、該遮断体(3)は前記流路(2)内に可動に配置されており、前記遮断体(3)は遮断位置と通流位置との間で可動であり、前記流路(2)内に止め要素(4)と遮断体座(5)とが配置されており、前記止め要素(4)は前記遮断体(3)の運動を制限し、前記遮断体(3)は、前記流体の第1の通流方向において前記遮断位置に移動され、前記遮断体座(5)に密に接触して前記流路(2)を閉鎖し、前記遮断体(3)は、前記流体の第2の通流方向において前記通流位置に移動され、前記流路(2)を開放する、逆止弁(1)において、前記流路(2)は、少なくとも前記遮断体(3)、前記止め要素(4)および前記遮断体座(5)を取り囲んで延在しており、一体的にかつ単一材料で形成されていることを特徴とする、逆止弁(1)。
【請求項2】
前記流路(2)はブロー成形部分として形成されていることを特徴とする、請求項1記載の逆止弁。
【請求項3】
前記遮断体(3)に少なくとも1つの戻しばねが配置されており、該戻しばねは、前記遮断体(3)に戻し力を生じさせるように構成されており、該戻し力は、前記止め要素(4)から前記遮断体座(5)に向かう方向に作用することを特徴とする、請求項1記載の逆止弁。
【請求項4】
前記止め要素(4)および/または前記遮断体座(5)は、前記流路(2)から一体的にかつ単一材料で形成されていることを特徴とする、請求項1記載の逆止弁。
【請求項5】
前記止め要素(4)は、前記流路(2)の内部に突出した少なくとも1つの突出部(6)を有することを特徴とする、請求項1記載の逆止弁。
【請求項6】
前記遮断体座(5)は、前記流路(2)の内部に突出した全周にわたって延在する封止突出部(7)を有することを特徴とする、請求項1記載の逆止弁。
【請求項7】
前記逆止弁(1)は保持器(8)を有しており、該保持器(8)は前記止め要素(4)を備えていることを特徴とする、請求項1記載の逆止弁。
【請求項8】
前記保持器(8)は前記遮断体座(5)を備えていることを特徴とする、請求項7記載の逆止弁。
【請求項9】
前記保持器(8)は、別体の構成部材として前記流路(2)内に挿入されていることを特徴とする、請求項7記載の逆止弁。
【請求項10】
前記保持器(8)は前記遮断体(3)を収容しており、前記保持器(8)と前記遮断体(3)とは構成ユニットを形成していることを特徴とする、請求項7記載の逆止弁。
【請求項11】
前記保持器(8)は、前記遮断体(3)の運動を制限するように構成された少なくとも1つのガイド区分(9)を有することを特徴とする、請求項7記載の逆止弁。
【請求項12】
前記遮断体(3)は前記保持器(8)に枢動式に結合されていることを特徴とする、請求項7記載の逆止弁。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1つの逆止弁を備えた管であって、該管と前記流路(2)とが単一材料でかつ一体的に形成されていることを特徴とする、管。
【請求項14】
前記逆止弁(1)は前記管の一区分に形成されていることを特徴とする、請求項13記載の管。
【請求項15】
請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1つの逆止弁または請求項13記載の少なくとも1つの管を備えた温度調整回路。
【外国語明細書】