(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083295
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】改良されたトランスデューサ故障検出
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240613BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G06F11/07 157
G06F11/07 160
G06F11/07 140Q
G05B23/02 302Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207330
(22)【出願日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】18/078284
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517318263
【氏名又は名称】ベイカー ヒューズ ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アラン タート
【テーマコード(参考)】
3C223
5B042
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA02
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EA04
3C223EB02
3C223FF33
3C223GG01
3C223HH02
5B042GB06
5B042JJ22
5B042JJ29
5B042KK13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トランスデューサの故障状態を決定し、その表示を提供するための改良されたトランスデューサ故障チェック、システム及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、トランスデューサによって生成される電気信号を特徴付けるデータを受信し、受信したデータがトランスデューサの所定の動作範囲外であることを決定し、受信したデータが動作範囲外に留まる期間を決定する。方法はまた、期間を所定の故障時間遅延と比較する。方法はさらに、データが動作範囲外に留まる期間が所定の故障時間遅延以上であると決定し、期間が所定の故障時間遅延以上であると決定したことに応答してデータが無効であると決定し、無効な受信したデータに基づいて複数の故障事例から1つの故障事例を決定し、決定した故障事例を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
トランスデューサに通信可能に結合されたコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記トランスデューサによって生成された電気信号を特徴付けるデータを受信することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記受信されたデータが前記トランスデューサの所定の動作範囲外であることを決定することであって、前記動作範囲が下限及び上限を有し、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記受信されたデータが前記動作範囲外に留まる期間を決定し、前記期間を所定の故障時間遅延と比較することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記受信されたデータが前記動作範囲外に留まる前記期間が前記所定の故障時間遅延以上であると決定することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記期間が前記所定の故障時間遅延以上であると決定することに応答して、前記受信されたデータが無効であると決定することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記無効な受信されたデータに基づいて複数の故障事例から1つの故障事例を決定することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記決定された故障事例を提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記受信されたデータが前記トランスデューサの前記動作範囲内に戻ったと決定することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、所定の整定時間と比較するために、前記受信されたデータが前記動作範囲内に留まる期間を決定することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記受信されたデータが前記動作範囲内に留まる前記期間が前記所定の整定時間以上であると決定することと、
前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記受信されたデータが有効であると決定することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信されたデータは、0V~前記トランスデューサに供給される非0供給電圧の範囲の電圧であり、前記動作範囲は、非線形範囲と、前記非線形範囲内の線形範囲とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トランスデューサは半径方向近接計であり、前記複数の故障事例は、第1の配線故障事例、トランスデューサ故障事例、範囲外故障事例、及び第2の配線故障事例を含み、複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、
0V~-0.25Vの電圧に応答して、前記第1の配線故障事例を割り当てることと、
-0.25V~前記動作範囲の前記下限の電圧に応答して、前記トランスデューサ故障事例を割り当てることと、
前記動作範囲の前記上限~前記非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、前記範囲外故障事例を割り当てることと、
前記非0供給電圧+0.25V~前記非0供給電圧の電圧に応答して、前記第2の配線故障事例を割り当てることと、を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動作範囲の前記下限が-0.5V~-1Vであり、前記上限が-18V~-22Vであり、前記非0供給電圧が-23.5Vである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記トランスデューサは推力近接計であり、前記複数の故障事例は、第1の配線故障事例、トランスデューサ故障事例、範囲外故障事例、及び第2の配線故障事例を含み、複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、
0V~-0.25Vの電圧に応答して、前記第1の配線故障事例を割り当てることと、
-0.25V~前記動作範囲の前記下限の電圧に応答して、前記トランスデューサ故障事例を割り当てることであって、前記トランスデューサ故障事例を割り当てることは、
前記少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合されたアラームによって警告することを更に含み、
前記動作範囲の前記上限~前記非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、前記範囲外故障を割り当てることであって、前記範囲外故障事例を割り当てることは、
前記少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された前記アラームによって警告することを更に含み、
前記非0供給電圧+0.25V~前記非0供給電圧の電圧に応答して、前記第2の配線故障事例を割り当てることと、を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記動作範囲の下限が-0.5V~-1Vであり、前記上限が-18V~-22Vであり、前記非0供給電圧が-23.5Vである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記受信されたデータは、0V~前記トランスデューサに供給される非0供給電圧の範囲の電圧であり、前記電圧は、直流(Direct Current、DC)バイアス電圧部分及び交流(Alternating Current、AC)電圧部分を更に含み、前記トランスデューサは、下限及び上限を含むDCバイアス電圧動作範囲を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記トランスデューサは加速度計であり、前記複数の故障事例は、第1の配線故障事例、第1のトランスデューサ故障事例、及び第2の配線故障事例を含み、複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、
0V~-0.25Vの電圧に応答して、前記第1の配線故障事例を割り当てることと、
-0.25V~前記動作範囲の前記下限の電圧に応答して、又は前記動作範囲の前記上限~前記非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、前記第1のトランスデューサ故障事例を割り当てることと、
前記非0供給電圧~前記非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、前記第2の配線故障事例を割り当てることと、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記複数の故障事例は、第2のトランスデューサ故障事例と逆配線事例とを更に含み、前記複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、
前記受信されたデータを、前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記DCバイアス電圧部分を前記AC電圧部分から分離するように構成されたフィルタを通してフィルタリングすることと、
0V~-0.25VのDCバイアス電圧に応答して、前記第1の配線故障事例を割り当てることと、
-0.25V~前記DCバイアス電圧動作範囲の前記下限+前記DCバイアス電圧動作範囲の絶対値のDCバイアス電圧に応答して、又は前記DCバイアス電圧動作範囲の前記上限~前記非0供給電圧+0.25VのDCバイアス電圧に応答して、第2のトランスデューサ故障事例を割り当てることであって、前記トランスデューサ故障事例を割り当てることは、
前記少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合されたアラームによって警告することを更に含み、
前記DCバイアス電圧動作範囲の前記下限+前記DCバイアス電圧動作範囲の前記絶対値~前記DCバイアス電圧動作範囲の前記下限のDCバイアス電圧に応答して、前記逆配線事例を割り当てることと、
前記非0供給電圧+0.25V~前記非0供給電圧のDCバイアス電圧に応答して、前記第2の配線故障事例を割り当てることと、を更に含む、方法。
【請求項11】
前記トランスデューサは、動作中の機械を監視しており、前記方法は、
前記第1の故障事例及び/又は前記第2の故障事例を割り当てることに応答して、前記機械への電力をオフにすることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動作範囲の前記下限が-1V~-2Vであり、前記上限が-17V~-20Vであり、前記DCバイアス電圧範囲の前記下限が-8Vであり、前記DCバイアス電圧範囲の前記上限が-9Vであり、前記非0供給電圧が-23.5Vである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記トランスデューサは、前記受信されたデータを積分するように構成された積分器に結合された速度計又は加速度計であり、前記複数の故障事例は、配線故障事例と、第1のトランスデューサ故障事例とを含み、前記複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、
0V~-0.25Vの電圧に応答して、前記配線故障事例を割り当てることと、
-0.25V~前記動作範囲の前記下限の電圧に応答して、又は前記動作範囲の前記上限~前記非0供給電圧の電圧に応答して、前記第1のトランスデューサ故障事例を割り当てることと、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の故障事例は、第2のトランスデューサ故障事例と、逆配線事例とを更に含み、前記複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、
前記受信されたデータを、前記少なくとも1つのデータプロセッサによって、前記DCバイアス電圧部分を前記AC電圧部分から分離するように構成されたフィルタを通してフィルタリングすることと、
0V~-0.25VのDCバイアス電圧に応答して、前記第1の配線故障事例を割り当てることと、
-0.25V~前記DCバイアス電圧動作範囲の前記下限+前記DCバイアス電圧動作範囲の絶対値のDCバイアス電圧に応答して、又は前記DCバイアス電圧動作範囲の前記上限~前記非0供給電圧のDCバイアス電圧に応答して、第2のトランスデューサ故障事例を割り当てることであって、前記トランスデューサ故障事例を割り当てることは、
前記少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合されたアラームによって警告することを更に含み、
前記DCバイアス電圧動作範囲の前記下限+前記DCバイアス電圧動作範囲の前記絶対値~前記DCバイアス電圧動作範囲の前記下限のDCバイアス電圧に応答して、前記逆配線事例を割り当てることと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記動作範囲の前記下限が-2Vであり、前記上限が-20V~-23Vであり、前記DCバイアス電圧範囲の前記下限が-9V~-11Vであり、前記DCバイアス電圧範囲の前記上限が-13V~-15Vであり、前記非0供給電圧が-23.5Vである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記所定の故障時間遅延が300μ秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記提供することは、前記コンピューティングデバイスに結合された多色LED、ユーザインターフェースディスプレイ、及び/又は聴覚通知を介して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記提供することは、
前記割り当てられた故障事例に対応する可能な故障のリストを前記ユーザに提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
トランスデューサ故障検出システムであって、
資産から物理データを取得し、前記物理データを、電圧の形態である電気信号を特徴付けるデータに変換するように構成されたトランスデューサと、
前記トランスデューサに通信可能に結合された少なくとも1つのデータプロセッサを含むコンピューティングシステムとを含み、前記少なくとも1つのデータプロセッサは、前記トランスデューサによって生成された電気信号を特徴付けるデータを受信する工程と、
前記受信されたデータが前記トランスデューサの所定の動作範囲外であることを決定する工程であって、前記動作範囲は下限及び上限を有し、
所定の故障時間と比較するために、前記受信されたデータが前記動作範囲外に留まる期間を決定する工程と、
前記受信されたデータが前記動作範囲外に留まる前記期間が前記所定の故障時間以上であると決定する工程と、
前記受信されたデータが無効であると決定する工程と、
前記受信されたデータに基づいて複数の故障事例から1つの故障事例を決定する工程と、
決定された前記故障事例を提供する工程と、を実行するように構成される、トランスデューサ故障検出システム。
【請求項20】
前記物理データは、動作資産の振動データであり、前記トランスデューサは、半径方向近接計、推力近接計、加速度計、及び速度計のうちのいずれか1つから選択され、前記電圧は、0V~前記トランスデューサに供給される非0供給電圧の範囲であり、前記電圧は、直流(Direct Current、DC)バイアス電圧部分及び交流(Alternating Current、AC)電圧部分を更に含み、前記システムは、
前記コンピューティングシステムに結合され、前記DCバイアス電圧部分を前記AC電圧部分から分離するように構成されたローパスフィルタを更に含む、請求項19に記載のトランスデューサ故障検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業機器内のトランスデューサ状態を監視する分野に関する。具体的には、本開示は、トランスデューサの故障状態を決定するための、及びトランスデューサシステムにおける潜在的な故障源を決定し、その表示を提供するための、改良されたトランスデューサ故障チェック、システム及び方法に関する。トランスデューサ故障検出は、トランスデューサ「OK」検出と呼ぶこともできる。
【背景技術】
【0002】
トランスデューサは、エネルギーをある形態から別の形態に変換するデバイスであり、様々な産業資産の動作を監視するために使用されることが多い。資産の動作を監視する場合、トランスデューサは、位置、動き、力、圧力、光、トルクなどの物理量を、資産の動作に関する情報を得るためにコンピュータによって処理することができる電圧及び電流などの電気信号に変換するように構成することができる。
【0003】
トランスデューサ状態監視又はトランスデューサ故障チェックは、トランスデューサから出力された信号を、製造業者によって設定されたトランスデューサの動作範囲を構成する所定の信号範囲と比較するプロセスを指す。従来、信号が線形動作範囲内にある場合、トランスデューサの動作において故障が検出されないか、又はトランスデューサが「OK」であると決定することができる。この範囲では、トランスデューサは、資産の動作に関する信頼できる情報を提供している。しかし、信号が線形動作範囲外である場合、トランスデューサに故障がある可能性があるか、又はトランスデューサが「OKでない」と決定することができる。この範囲では、トランスデューサは、資産の動作に関する信頼できる情報を提供していない。
【0004】
トランスデューサ故障チェックは、トランスデューサが監視している資産の動作をより正確に監視するために、トランスデューサを利用する多くの産業システムにおいて実行される。多くの産業システムで使用される一般的なトランスデューサタイプには、近接計、加速度計、及び速度計が含まれる。
【0005】
加えて、いくつかのトランスデューサ故障検出システムは、動作範囲内でオペレータによって設定される設定点を有することができる。設定点は、電気信号を特徴付けるデータの所望の最大値を表すことができる。例えば、設定点は、動作範囲内でオペレータがそれより下で操作したい振動レベルを表すことができる。トランスデューサ故障検出システムは、電気信号を特徴付けるデータが設定点を超えて上昇するが動作範囲内に留まる場合、オペレータに警告するように構成することができる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、改良されたトランスデューサ故障検出のための方法が提供される。一実施形態では、本方法は、トランスデューサに通信可能に結合されたコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサによって、トランスデューサによって生成された電気信号を特徴付けるデータを受信することを含むことができる。本方法は、受信されたデータがトランスデューサの所定の動作範囲外であることを決定することを更に含むことができ、動作範囲は下限及び上限を有する。本方法は、受信されたデータが動作範囲外に留まる期間を決定し、この期間を所定の故障時間遅延と比較することを更に含むことができる。本方法は、受信されたデータが動作範囲外に留まる期間が所定の故障時間遅延以上であると決定することと、期間が所定の故障時間遅延以上であると決定したことに応答して、受信されたデータが無効であると決定することとを更に含むことができる。本方法は、無効な受信されたデータに基づいて複数の故障事例から故障事例を決定することと、決定された故障事例を提供することとを更に含むことができる。
【0007】
別の実施形態では、本方法は、受信されたデータがトランスデューサの動作範囲内に戻ったと決定することを更に含むことができる。本方法はまた、所定の整定時間と比較するために、受信されたデータが動作範囲内に留まる期間を決定することを含むことができる。本方法はまた、受信されたデータが動作範囲内に留まる期間が所定の整定時間以上であると決定することと、受信されたデータが有効であると決定することとを含むことができる。
【0008】
別の実施形態では、受信されたデータは、0V~トランスデューサに供給される非0供給電圧の範囲の電圧とすることができ、動作範囲は、非線形範囲と、非線形範囲内の線形範囲とを更に含むことができる。
【0009】
別の実施形態では、トランスデューサは半径方向近接計とすることができ、複数の故障事例は、第1の配線故障事例、トランスデューサ故障事例、範囲外故障事例、及び第2の配線故障事例を含むことができる。この実施形態では、複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、0V~-0.25Vの電圧に応答して、第1の配線故障事例を割り当てることを更に含むことができる。本方法は、-0.25V~動作範囲の下限の電圧に応答して、トランスデューサ故障事例を割り当てることを更に含むことができる。本方法は、動作範囲の上限~非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、範囲外故障を割り当てることを更に含むことができる。本方法は、非0供給電圧+0.25V~非0供給電圧の電圧に応答して、第2の配線故障事例を割り当てることを更に含むことができる。
【0010】
別の実施形態では、動作範囲の下限は-0.5V~-1Vとすることができ、上限は-18V~-22Vとすることができ、非0供給電圧は-23.5Vとすることができる。
【0011】
別の実施形態では、トランスデューサは推力近接計とすることができ、複数の故障事例は、第1の配線故障事例、トランスデューサ故障事例、範囲外故障事例、及び第2の配線故障事例を含むことができる。この実施形態では、複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、0V~-0.25Vの電圧に応答して、第1の配線故障事例を割り当てることを更に含むことができる。本方法は、-0.25V~動作範囲の下限の電圧に応答して、トランスデューサ故障事例を割り当てることを更に含むことができる。この実施形態では、トランスデューサ故障事例を割り当てることは、警告する工程を更に含むことができる。本方法は、動作範囲の上限~非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、範囲外故障を割り当てることを更に含むことができる。この実施形態では、範囲外故障事例を割り当てることは、警告する工程を更に含むことができる。本方法は、非0供給電圧+0.25V~非0供給電圧の電圧に応答して、第2の配線故障事例を割り当てることを更に含むことができる。
【0012】
別の実施形態では、動作範囲の下限は-0.5V~-1Vとすることができ、上限は-18V~-22Vとすることができ、非0供給電圧は-23.5Vとすることができる。
【0013】
別の実施形態では、受信されたデータは、0V~トランスデューサに供給される非0供給電圧の範囲の電圧とすることができ、電圧は、直流(Direct Current、DC)バイアス電圧部分及び交流(Alternating Current、AC)電圧部分を更に含む。この実施形態では、トランスデューサは、下限及び上限を含むDCバイアス電圧動作範囲を更に含むことができる。
【0014】
別の実施形態では、トランスデューサは加速度計とすることができ、複数の故障事例は、第1の配線故障事例、第1のトランスデューサ故障事例、及び第2の配線故障事例を含むことができる。この実施形態では、複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、0V~-0.25Vの電圧に応答して、第1の配線故障事例を割り当てることを更に含むことができる。本方法はまた、-0.25V~動作範囲の下限の電圧に応答して、又は動作範囲の上限~非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、第1のトランスデューサ故障事例を割り当てることを含むことができる。本方法はまた、非0供給電圧~非0供給電圧+0.25Vの電圧に応答して、第2の配線故障事例を割り当てることを含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、複数の故障事例は、第2のトランスデューサ故障事例、及び逆配線事例を更に含むことができる。この実施形態では、複数の故障事例から1つの故障事例を決定することは、受信されたデータを、DCバイアス電圧部分をAC電圧部分から分離するように構成されたフィルタを通してフィルタリングすることを更に含むことができる。本方法はまた、0V~-0.25VのDCバイアス電圧に応答して、第1の配線故障事例を割り当てることと、-0.25V~DCバイアス電圧動作範囲の下限をDCバイアス電圧動作範囲の絶対値に加算することから導出される値のDCバイアス電圧に応答して、又はDCバイアス電圧動作範囲の上限~0.25Vを非0供給電圧に加算することから導出される値のDCバイアス電圧に応答して、第2のトランスデューサ故障事例を割り当てることと、を含むことができる。この実施形態では、トランスデューサ故障事例を割り当てることは、警告することを更に含むことができる。本方法はまた、DCバイアス電圧動作範囲の下限をDCバイアス電圧動作範囲の絶対値に加算することから導出される値~DCバイアス電圧動作範囲の下限のDCバイアス電圧に応答して、逆配線事例を割り当てることを含むことができる。本方法はまた、0.25Vを非0供給電圧に加算することから導出される値~非0供給電圧のDCバイアス電圧に応答して、第2の配線故障事例を割り当てることを含むことができる。
【0016】
別の実施形態では、トランスデューサは動作中の機械を監視することができ、本方法は、第1の故障事例及び/又は第2の故障事例を割り当てることに応答して、機械への電力をオフにすることを更に含むことができる。
【0017】
別の実施形態では、動作範囲の下限は-1V~-2Vであり得、上限は-17V~-20Vであり得、DCバイアス電圧範囲の下限は-8Vであり得、DCバイアス電圧範囲の上限は-9Vであり得、非0供給電圧は-23.5Vであり得る。
【0018】
別の実施形態では、トランスデューサは、受信されたデータを積分するように構成された積分器に結合された速度計又は加速度計であり得る。この実施形態では、複数の故障事例は、配線故障事例、及び第1のトランスデューサ故障事例を含むことができる。この実施形態では、複数の故障事例から故障事例を決定することは、0V~-0.25Vの電圧に応答して、配線故障事例を割り当てることを更に含むことができる。本方法はまた、-0.25V~動作範囲の下限の電圧に応答して、又は動作範囲の上限~非0供給電圧の電圧に応答して、第1のトランスデューサ故障事例を割り当てることを含むことができる。
【0019】
別の実施形態では、複数の故障事例は、第2のトランスデューサ故障事例、及び逆配線事例を更に含むことができる。この実施形態では、複数の故障事例から故障事例を決定することは、受信されたデータを、DCバイアス電圧部分をAC電圧部分から分離するように構成されたフィルタを通してフィルタリングすることを更に含むことができる。本方法はまた、0V~-0.25VのDCバイアス電圧に応答して、第1の配線故障事例を割り当てることを含むことができる。本方法は、-0.25V~DCバイアス電圧動作範囲の下限をDCバイアス電圧動作範囲の絶対値に加算することから導出される値のDCバイアス電圧に応答して、又はDCバイアス電圧動作範囲の上限~非0供給電圧のDCバイアス電圧に応答して、第2のトランスデューサ故障事例を割り当てることを更に含むことができる。この実施形態では、トランスデューサ故障事例を割り当てることは、アラームによって警告することを更に含むことができる。本方法はまた、DCバイアス電圧動作範囲の下限をDCバイアス電圧動作範囲の絶対値に加算することから導出される値~DCバイアス電圧動作範囲の下限のDCバイアス電圧に応答して、逆配線事例を割り当てることを含むことができる。
【0020】
別の実施形態では、動作範囲の下限は-2Vであり得、上限は-20V~-23Vであり得、DCバイアス電圧範囲の下限は-9V~-11Vであり得、DCバイアス電圧範囲の上限は-13V~-15Vであり得、非0供給電圧は-23.5Vであり得る。
【0021】
別の実施形態では、所定の故障時間遅延は、300μ秒であり得る。
【0022】
別の実施形態では、提供することは、コンピューティングデバイスに結合された多色LED、ユーザインターフェースディスプレイ、及び/又は聴覚通知を介して行われることができる。別の実施形態では、提供することは、割り当てられた故障事例に対応する可能な故障のリストをユーザに提供することを更に含むことができる。
【0023】
別の態様では、トランスデューサ故障検出システムが提供される。一実施形態では、トランスデューサ故障検出システムは、資産から物理データを取得し、物理データを、電圧の形態である電気信号を特徴付けるデータに変換するように構成されたトランスデューサを含むことができる。本システムはまた、トランスデューサに通信可能に結合された少なくとも1つのデータプロセッサを含むコンピューティングシステムを含むことができる。一実施形態では、少なくとも1つのデータプロセッサは、トランスデューサによって生成された電気信号を特徴付けるデータを受信するように構成することができる。少なくとも1つのプロセッサはまた、受信されたデータがトランスデューサの所定の動作範囲外であることを決定するように構成することができ、動作範囲は下限及び上限を有する。少なくとも1つのプロセッサはまた、所定の故障時間と比較するために、受信されたデータが動作範囲外に留まる期間を決定するように構成することができる。少なくとも1つのプロセッサはまた、受信されたデータが動作範囲外に留まる期間が所定の故障時間以上であることを決定するように構成することができる。少なくとも1つのプロセッサは、受信されたデータが無効であることを決定し、受信されたデータに基づいて複数の故障事例から1つの故障事例を決定するように更に構成することができる。少なくとも1つのプロセッサはまた、決定された故障事例を提供するように構成することができる。
【0024】
別の実施形態では、物理データは、動作資産の振動データとすることができ、トランスデューサは、半径方向近接計、推力近接計、加速度計、及び速度のうちのいずれか1つから選択することができる。この実施形態では、電圧は0V~トランスデューサに供給される非0供給電圧の範囲であり得る。この実施形態では、電圧は、直流(DC)バイアス電圧部分及び交流(AC)電圧部分を更に含むことができる。この実施形態では、システムは、コンピューティングシステムに結合され、DCバイアス電圧部分をAC電圧部分から分離するように構成されたローパスフィルタを更に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
これらの特徴及び他の特徴は、添付図面と併せて講じられる以下の発明を実施するための形態からより容易に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本明細書に記載のトランスデューサ故障検出システムの一例を示す。
【
図2】
図2は、本明細書で説明されるコンピューティングシステム又はデバイスの例示的アーキテクチャのブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態によるトランスデューサ故障検出の方法の一例である。
【
図4】
図4は、本明細書に記載される故障事例を決定するための、トランスデューサ故障検出システムのコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサにトランスデューサから出力される電気信号を特徴付けるデータの例示的な電圧範囲を示す。
【
図5】
図5は、本明細書に記載される故障事例を決定するための、トランスデューサ故障検出システムのコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサにトランスデューサから出力される電気信号を特徴付けるデータの例示的な全信号電圧範囲を示す。
【
図6】
図6は、本明細書で説明される故障事例を決定するための、
図5の全信号範囲から導出される例示的なDC電圧範囲を示す。
【
図7】
図7は、本明細書に記載される故障事例を決定するためのトランスデューサ故障検出システムのコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサにトランスデューサから出力される電気信号を特徴付けるデータの別の例示的な全信号電圧範囲を示す。
【
図8】
図8は、本明細書で説明される故障事例を決定するための、
図7の全信号範囲から導出される例示的なDC電圧範囲を示す。
【
図9】
図9は、本明細書に説明される例示的トランスデューサ、トランスデューサタイプ、動作範囲、動作範囲内の線形範囲、及びバイアス電圧動作範囲の表を示す。
【0026】
図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本明細書に開示される主題の典型的な態様のみを描写することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
従来のトランスデューサ故障検出システムでは、故障検出は、トランスデューサから出力される信号を、製造業者によって設定されたトランスデューサの動作範囲を構成する信号の動作範囲と比較することによって行われる。従来、動作範囲は、下限及び上限によってマークされる。動作範囲は、プロセッサによって容易に解釈され得る線形出力範囲を提供するために、各トランスデューサに対して製造業者によって最適化され得る。従来の方法では、信号が線形動作範囲内にある場合、トランスデューサが「OK」であると決定することができ、これは、トランスデューサが資産の動作に関する信頼できる情報を提供していることを意味する。あるいは、信号が線形動作範囲外である場合、トランスデューサは「OKでない」と決定することができ、これは、トランスデューサが資産の動作に関する信頼できる情報を提供していないことを意味する。電気信号を特徴付けるデータ出力が線形でなくてもよいが、故障検出に関して「OK」として分類され得る、線形動作範囲外の非線形動作範囲も存在し得る。従来のトランスデューサ故障検出システムは、この非線形動作範囲を利用していない。
【0028】
従来、オペレータが従来のトランスデューサ故障検出システムから故障又は「OKでない」表示を受信した場合、オペレータにはトランスデューサ故障の詳細な分析が提供されない。詳細な分析がないため、ユーザは、故障表示が、トランスデューサに関する正当な問題、トランスデューサの配線における問題、トランスデューサの電源への接続における問題、単に信号におけるノイズの兆候、又は別の問題の結果であるかどうかを容易に識別することができない。例えば、従来のトランスデューサ故障検出システムにおける信号上のノイズは、出力を一時的に動作範囲外にする可能性がある。従来、この一時的なジャンプは、トランスデューサの誤った故障を示す可能性がある。したがって、トランスデューサ故障検出システムがノイズを無視して機能し続けることができれば最適であろう。全体として、トランスデューサ故障表示の適切な診断を提供しないことは、時間集約的な手動診断をもたらし、更なる動作非効率性につながる可能性がある。
【0029】
本明細書で説明されるシステム及び方法は、前述の欠点に対処する。例えば、本開示の1つ以上の実施形態は、動作範囲を有するトランスデューサにおいて生じ得る複数の故障から故障を検出及び診断することが可能なトランスデューサ故障検出システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、動作範囲は、非線形動作範囲と、非線形動作範囲内の線形動作範囲とを含むことができる。
【0030】
本明細書に記載のトランスデューサ故障検出システムは、所定の動作範囲で製造することができるトランスデューサを含むことができる。トランスデューサ故障チェックシステムは、電気信号を特徴付けるデータが所定の動作範囲外であるかどうかを決定することができる少なくとも1つのデータプロセッサを含むことができるコンピューティングデバイスを更に含むことができる。電気信号を特徴付けるデータが所定の動作範囲外であると決定すると、データプロセッサは、電気信号を特徴付けるデータが所定の動作範囲外に留まる持続時間を計時し、その時間を所定の故障時間遅延と比較することができる。電気信号を特徴付けるデータが動作範囲外に留まっている期間が所定の故障時間遅延以上であると決定すると、データプロセッサは、電気信号を特徴付けるデータを無効としてマークすることができる。所定の故障時間遅延は、本明細書に説明されるトランスデューサ故障チェックシステムが、電気信号を特徴付けるデータ内のノイズに基づいて、動作における故障を示すことを防止することができる。トランスデューサ故障チェックシステムは更に、電気信号を特徴付けるデータに基づいて複数の故障事例から1つの故障事例を決定し、その故障事例をユーザに提供することができる。
【0031】
電気信号を特徴付けるデータに基づいて、トランスデューサシステムに対する故障事例を決定することによって、本明細書に説明されるシステム及び方法は更に、特定の故障事例に分類し、確率に基づいて編成された可能な故障のリストをオペレータに提供することによって、トランスデューサ故障表示の詳細分析を提供することができる。オペレータにトランスデューサ故障表示の前述の詳細な分析を提供することは、オペレータに通知し、故障表示の手動診断に関連する動作上の非効率性を軽減することができる。更に、本明細書で説明されるトランスデューサ故障検出システムは、トランスデューサがその動作範囲外にあるとき、トランスデューサが提供される資産が動作し続けることを可能にし、不必要な資産のトリップ及び動作ダウンタイムを軽減する。
【0032】
図1は、本明細書に記載のトランスデューサ故障検出システム100の一例を示す。トランスデューサ故障検出システム100は、資産130を監視するように構成された1つ以上のトランスデューサ110を含むことができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサ110は、電源から非0供給電圧を供給され得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサ110の電源は、トランスデューサ110に通信可能に結合されたコンピューティングシステム120であり得る。いくつかの実施形態では、資産130は、例えば、タービン発電機セットとすることができる。発電機セット130は、例えば、発電機131、低圧タービン132、中圧タービン133、高圧タービン134、複数の燃焼器135、高圧シリンダ136、中圧シリンダ137、及び液体プロパン圧縮機138を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、資産130は、資産電源139によって電力供給され得る。いくつかの実施形態では、資産電源139は、例えば、デュアル24VDC電源であり得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサ110は、資産130から物理データを受信するように構成することができる。トランスデューサ110は、資産130からの物理データを、電気信号115を特徴付けるデータに変換するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電気信号115を特徴付けるデータは電圧であり得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサ110は、資産130に結合された1つ以上のプローブ112を含むことができる。トランスデューサ故障検出システム100は、電気信号115を特徴付けるデータを、処理のためにトランスデューサ110に通信可能に結合されたコンピューティングシステム120に送信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム120は更に、資産電源139に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム120は、トランスデューサ故障検出システム100がトランスデューサの故障を検出したことに応答して、電源139をオンにするように構成することができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサ110のうちの1つ以上が、資産130に結合される、又は直接搭載されることができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサ110は、近接計、加速度計、速度計、及び/又はキーフェーザを含むことができる。いくつかの実施形態では、半径方向振動を監視するために近接計が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、推力振動を監視するために近接計が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、トランスデューサ110は、微小電気機械システム(micro-electro-mechanical system、MEMS)容量性加速度計、ホール効果加速度計、圧電加速度計、ピエゾ抵抗加速度計などを含むことができる。いくつかの実施形態では、速度計は、積分器に結合された加速度計であってもよい。
【0033】
図2は、1つ以上のトランスデューサ110からデータを受信するように構成されたコンピューティングシステム120などのコンピューティングシステム又はデバイスの例示的なアーキテクチャ200のブロック図である。概して、コンピューティングシステム120は、命令に従ってアクションを実施するための少なくとも1つのプロセッサ240と、命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイス250及び/又は260と、を含むことができる。例解された例示的なコンピューティングシステム120は、バス280を介して、メモリ260と通信し、かつ少なくとも1つのネットワークインターフェースコントローラ210と通信する1つ以上のプロセッサ240を含み、ネットワークインターフェースコントローラ210は、トランスデューサ110に接続するためのネットワークインターフェース220を有する。1つ以上のプロセッサ240はまた、バス280を介して、互いに、並びに複数のトランスデューサ110及び任意の他のデバイス270と通信している。例解されるプロセッサ240は、キャッシュメモリ250を組み込むか、又はキャッシュメモリ250に直接接続される。一般に、プロセッサは、メモリから受け取った命令を実行する。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム120は、クラウドコンピューティング環境、仮想若しくはコンテナ化コンピューティング環境、及び/又はウェブベースのマイクロサービス環境内で構成することができる。
【0034】
より詳細には、プロセッサ240は、命令、例えば、メモリ260又はキャッシュ250からフェッチされた命令を処理する任意の論理回路であり得る。多くの実施形態では、プロセッサ240は、埋め込みプロセッサ、マイクロプロセッサユニット、又は専用プロセッサである。コンピューティングシステム120は、本明細書で説明されるように動作することが可能な任意のプロセッサ、例えば、好適なデジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、又はプロセッサのセットに基づくことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ240は、シングルコア又はマルチコアプロセッサであり得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ240は、複数のプロセッサから構成することができる。
【0035】
メモリ260は、コンピュータ可読データを記憶するために好適な任意のデバイスとすることができる。メモリ260は、固定ストレージを有するデバイス、又はリムーバブル記憶媒体を読み取るためのデバイスとすることができる。例には、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイス、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、SDRAM、フラッシュメモリデバイス、及び全てのタイプのソリッドステートメモリ)、磁気ディスク、並びに光磁気ディスクが含まれる。コンピューティングデバイス120は、任意の数のメモリデバイス260を有することができる。
【0036】
キャッシュメモリ250は、一般に、高速読み出し/書き込み時間のためにプロセッサ240に近接して配置された高速コンピュータメモリの形態である。いくつかの実装形態では、キャッシュメモリ250は、プロセッサ240の一部であるか、又はプロセッサ240と同じチップ上にある。
【0037】
ネットワークインターフェースコントローラ210は、ネットワークインターフェース220を介したデータ交換を管理する。ネットワークインターフェースコントローラ210は、ネットワーク通信のための開放型システム間相互接続(Open Systems Interconnect、OSI)モデルの物理層、媒体アクセス制御層、及びデータリンク層に対処する。いくつかの実装形態では、ネットワークインターフェースコントローラのタスクのうちのいくつかは、プロセッサ240によって処理される。いくつかの実装形態では、ネットワークインターフェースコントローラ210はプロセッサ240の一部である。いくつかの実装形態では、コンピューティングデバイス120は、複数のネットワークインターフェースコントローラ210を有する。いくつかの実装形態では、ネットワークインターフェース220は、物理ネットワークリンク、例えばRJ45コネクタのための接続ポイントである。いくつかの実装形態では、ネットワークインターフェースコントローラ210は、ネットワークインターフェースポート220を介して、ワイヤレスネットワーク接続をサポートする。一般に、コンピューティングデバイス120は、ネットワークインターフェース220への物理リンク又は無線リンクを介して、トランスデューサ110とデータを交換する。いくつかの実装形態では、ネットワークインターフェースコントローラ210は、LTE、TCP/IPイーサネット、IEEE802.11、IEEE802.16などのネットワークプロトコルを実装する。
【0038】
トランスデューサ110は、ネットワークインターフェースポート220を介してコンピューティングデバイス120に接続され得る。他のデバイス270は、I/Oインターフェース230、外部シリアルデバイスポート、及び任意の追加のコプロセッサを含むことができる。例えば、コンピューティングシステム120は、入力デバイス(例えば、キーボード、マイクロフォン、マウス、又は他のポインティングデバイス)、出力デバイス(例えば、ビデオディスプレイ、スピーカ、リフレッシュ可能な点字端末、又はプリンタ)、又は追加のメモリデバイス(例えば、ポータブルフラッシュドライブ又は外部メディアドライブ)を接続するためのインターフェース(例えば、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)インターフェースなど)を含むことができる。いくつかの実装形態では、I/Oデバイス、例えば、タブレットデバイス上のタッチスクリーンがコンピューティングシステム120に組み込まれる。いくつかの実装形態では、コンピューティングデバイス120は、コプロセッサ、例えば、高精度又は複雑な計算でプロセッサ240を支援することができる数学コプロセッサなどの追加のデバイス270を含む。
【0039】
図3は、本開示の一実施形態によるトランスデューサ故障検出の方法300の例示的な方法図である。コンピューティングシステム120は、データプロセッサ240によって実行されるとデータプロセッサ240に方法300の1つ以上の動作を実行させる、非一時的なコンピュータ可読かつ実行可能な命令を記憶するメモリ260を含むことができる。305において、1つ以上のトランスデューサ110からの信号115は、コンピューティングシステム120によって受信されることができる。工程310において、コンピューティングシステム120は、電気信号115を特徴付けるデータがトランスデューサの動作範囲外であるかどうかを決定することができる。いくつかの実施形態では、305において受信されたデータは、資産130の所望の動作のための設定点を超えるデータに起因して、監視されている資産130の設定点アラームを既にトリガしている場合がある。いくつかの実施形態では、設定点はオペレータによって設定することができる。電気信号を特徴付けるデータが動作範囲外にないと決定すると、方法300は、トランスデューサが適切に機能している(トランスデューサが「OK」の状態を有する)と決定する工程370を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、「OK」状態を有するトランスデューサは、オペレータへの通知をもたらさない可能性がある。他の実施形態では、「OK」状態を有するトランスデューサは、オペレータへの通知をもたらすことができる。「OK」状態の通知の例は、LED表示、又はコンピューティングデバイスに結合されたユーザインターフェースディスプレイ上の表示を含むことができる。あるいは、電気信号を特徴付けるデータが動作範囲外であると決定すると、方法300は、故障タイマを開始する工程315を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、故障タイマは、電気信号を特徴付けるデータが動作範囲外に留まる持続時間を計時するように構成することができる。いくつかの実施形態では、故障タイマは、コンピューティングデバイスのデータプロセッサによって開始され得る。
【0040】
トランスデューサ故障検出システムは、動作中のトランスデューサに対する最大の望ましい出力を示す設定点を有するように構成することができる。設定点は、トランスデューサの線形動作範囲内に設定することができる。そのようなトランスデューサ故障検出システムは、例えば、ピークツーピーク検出器を使用して、トランスデューサからの出力を追跡するように構成することができる。トランスデューサ故障検出システムは、トランスデューサからの出力が設定点を上回る場合に、設定点事前アラームを開始するように構成することができる。場合によっては、事前アラームは、設定点アラームをトリガする前に、出力が設定点を上回ったままである間、所定の時間にわたって動作するように構成することができる。したがって、事前アラームは、出力中のノイズに起因して設定点アラームがトリガされることを低減するように構成することができる。更に、トランスデューサは、トランスデューサの設定点及びトランスデューサの動作範囲の両方を超える衝撃を受けたときに、高い電圧出力を生成することが多い。これらのスパイクが発生した場合、これらのスパイクは、システム内の故障を表すのではなく、単に出力内の一時的なノイズを表すことがある。この場合、システムに故障があったことを示すことなく、トランスデューサ故障検出システムを動作させ続けることが最適であり得る。加えて、この場合、設定点事前アラーム及び/又は設定点アラームが、トランスデューサ故障検出システムによって以前にトリガされていた場合、設定点アラームを維持することが望ましくあり得る。しかし、逆に、出力が動作範囲外に留まる場合、システムがその設定点を超えて動作しているのではなく、システムに故障がある可能性が高い。この場合、設定点事前アラーム又は設定点アラームを停止し、代わりにシステムに故障があったことを示すことが好ましい場合がある。
【0041】
したがって、方法300は、電気信号を特徴付けるデータが動作範囲外に留まる時間を所定の故障時間遅延と比較する工程320を更に含むことができる。したがって、所定の故障時間遅延は、トランスデューサ故障検出システムが設定点アラームをトリガしないように十分速く故障を検出するが、システム内のノイズに基づいて故障を示さないように十分遅くするように最適化することができる。所定の故障時間遅延は、他の変数の中でもとりわけ、トランスデューサ故障検出システムにおけるトランスデューサタイプ及びノイズレベルに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、所定の故障時間遅延は10~500μ秒であり得る。
【0042】
電気信号を特徴付けるデータが所定の故障時間遅延よりも短い時間にわたって動作範囲外にあると決定すると、方法300は、トランスデューサが適切に機能している(トランスデューサが「OK」の状態を有する)と決定する工程370を更に含むことができる。あるいは、電気信号を特徴付けるデータが所定の故障時間遅延以上の時間にわたって動作範囲外にあると決定すると、方法300は、信号を無効としてマークする工程325を更に含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法300は、システム内に故障があると決定し、トランスデューサの状態を「OKでない」に変更する工程330を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、方法300は、複数の故障事例から1つの故障事例を決定し、決定された故障事例をユーザに通知する工程335を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、信号を特徴付けるデータは、0ボルト~トランスデューサに供給される非0供給電圧の範囲の電圧であり得る。いくつかの実施形態では、複数の故障事例の各故障事例は、0V~トランスデューサに供給される非0供給電圧の電圧範囲(又は複数の電圧範囲)に対応することができる。いくつかの実施形態では、複数の故障事例は、コンピューティングシステムのメモリ(すなわち、
図2のメモリ260)に記憶され得る。いくつかの実施形態では、工程335は、決定された故障事例に応答して、「OKでない」アラームを開始することを更に含むことができる。設定点事前アラーム及び/又は設定点アラームが以前にトリガされたいくつかの実施形態では、工程335は、設定点事前アラーム及び/又は設定点アラームを停止することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、方法300は、決定された故障事例に応答して、トランスデューサ故障検出システムによって監視されている資産への電力をオフにする随意の工程340を含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、方法300は、トランスデューサからの電気信号を特徴付けるデータがトランスデューサの動作範囲外にあるかどうかを決定する工程345を更に含むことができる。電気信号を特徴付けるデータが動作範囲外であると決定すると、方法300は、信号を特徴付けるデータを無効として維持し、工程345を繰り返す工程355を更に含むことができる。あるいは、電気信号を特徴付けるデータが動作範囲外でないと決定すると、方法300は、整定タイマを開始する工程350を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、整定タイマは、製造業者又はオペレータによって設定された所定の整定時間にわたって動作するように構成することができる。いくつかの実施形態では、整定タイマは、コンピューティングデバイスのデータプロセッサによって開始され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法300は、電気信号を特徴付けるデータが動作範囲内にある時間を所定の整定時間と比較する工程360を更に含むことができる。電気信号を特徴付けるデータが動作範囲内にある時間が所定の整定時間未満であると決定すると、方法300は、信号を特徴付けるデータを無効として維持する工程355にジャンプし、工程345を繰り返すことを更に含むことができる。あるいは、電気信号を特徴付けるデータが動作範囲内にある時間が所定の整定時間以上であると決定すると、方法300は、信号を有効としてマークする工程365を含むことができる。信号を有効としてマークすると、方法300は、トランスデューサが適切に機能している(トランスデューサが「OK」の状態を有する)と決定する工程370を含むことができる。
【0046】
図4は、トランスデューサからトランスデューサ故障検出システムのコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサに出力される電気信号を特徴付けるデータの電圧範囲を表す例示的な電圧範囲400を示す。電圧範囲400は、0点405から、トランスデューサに供給される非0供給電圧値455に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、0点405は、0ボルト(V)であり得、非0供給電圧値455は、-23.5Vであり得る。いくつかの実施形態では、電圧範囲400は、複数の故障事例電圧範囲、及び近接計の動作範囲を表すことができる。いくつかの実施形態では、電圧範囲400によって表される近接計は、半径方向感知動作において使用されることができる。他の実施形態では、電圧範囲400によって表される近接計は、推力感知動作において使用されることができる。いくつかの実施形態では、複数の故障事例範囲は、第1の配線故障事例範囲410、トランスデューサ故障事例範囲420、範囲外事例範囲440、及び第2の配線故障事例範囲450を含むことができる。いくつかの実施形態では、動作範囲430は、非線形範囲432と、非線形範囲432内の線形範囲434とを含むことができる。
【0047】
電圧範囲400を参照すると、第1の配線故障事例範囲410に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが配線故障に起因してその動作範囲430の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが第1の配線故障事例範囲410内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がコモンに短絡しているという診断、信号線が切断されているという診断、トランスデューサ電力が近接計に接続されていないという診断、及び/又はシステム内のどこかに緩んだコネクタがあるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0048】
電圧範囲400を参照すると、トランスデューサ故障事例範囲420に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが、トランスデューサ内の故障に起因してその動作範囲430の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータがトランスデューサ故障事例範囲420内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、近接計に故障があるという診断、近接計に接続されたプローブに故障があるという診断、近接計とプローブとの間の接続(すなわちケーブル)に故障があるという診断、及び/又はシステム内のどこかに緩んだコネクタがあるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、近接計が推力感知動作において使用されているとき、電気信号を特徴付けるデータがトランスデューサ故障事例範囲420内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムの「OKでない」アラームを開始するように構成することができる。いくつかの実施形態では、「OKでない」アラームは、システムの設定点アラームと一体化され得る。
【0049】
電圧範囲400を参照すると、範囲外事例範囲440に入る電気信号を特徴付けるデータは、感知ターゲットがトランスデューサプローブの感知範囲外に物理的にあることに起因して、トランスデューサがその動作範囲430の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが範囲外事例範囲440内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、ターゲットがトランスデューサの感知プローブの範囲外にあるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、近接計が推力感知動作において使用されているとき、電気信号を特徴付けるデータが範囲外故障事例範囲440内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムの「OKでない」アラームを開始するように構成することができる。いくつかの実施形態では、「OKでない」アラームは、システムの設定点アラームと一体化され得る。
【0050】
電圧範囲400を参照すると、第2の配線故障事例範囲450に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが配線故障に起因してその動作範囲430の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが第2の配線故障事例範囲450内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がトランスデューサ電力に短絡しているという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、動作範囲430は、下限425及び上限435を有することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の下限425は、約-0.5V~-1Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の下限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の上限435は、約-18V~-22Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の上限値も想定することができる。第1の配線故障事例範囲410は、0点405に下限を有し、電圧415に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧415は、約-0.25Vであり得る。トランスデューサ故障事例範囲420は、電圧415に下限を有し、動作範囲の下限425に上限を有することができる。範囲外事例範囲440は、動作範囲の上限435に下限を有し、電圧445に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧445は、(非0供給電圧値455)の約+0.25Vに等しくなり得る。例えば、非0供給電圧値455が-23.5Vに等しい場合、電圧445は約-23.25Vに等しくなり得る。第2の配線故障事例範囲450は、電圧445に下限を有し、非0供給電圧値455に上限を有することができる。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲を企図することができ、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0052】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは加速度計であるように構成することができる。いくつかの実施形態では、加速度計は、微小電気機械システム(MEMS)容量性加速度計、ホール効果加速度計、圧電加速度計、ピエゾ抵抗加速度計などのいずれかであり得る。加速度計は、従来、移動していないときに0VのACベースラインを有する交流(AC)出力を提供する。例えば、加速度計が移動していない場合と、加速度計に電力が供給されていない場合とを区別することができるように、このACベースラインを非0電圧値に人為的に移動させることが望ましい場合がある。したがって、直流(DC)バイアス電圧を加速度計出力に印加して、ACベースラインを0Vから離すことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、トランスデューサが加速度計であるとき、トランスデューサ故障検出システムは、第1の複数の故障事例範囲から及び/又は第2の複数の故障事例範囲から故障事例を決定するように構成することができる。第1の複数の故障事例範囲は、全信号電圧範囲内であり得る(
図5に関連して以下で説明される)。全信号電圧は、電気信号を特徴付けるデータのDCバイアス電圧部分と、電気信号を特徴付けるデータのAC部分との両方を含むことができる。第2の複数の故障事例範囲は、DC電圧範囲内であり得る(
図6に関連して以下で説明される)。第2の複数の故障事例から故障事例を決定するとき、加速度計から出力される電気信号を特徴付けるデータは、電圧(バイアス電圧)のDC部分をAC部分から分離するために、フィルタを通して送信されることができる。いくつかの実施形態では、フィルタはローパスフィルタであり得る。電気信号を特徴付けるデータをフィルタに通した後、電圧のDC部分は、少なくとも1つのデータプロセッサ内に受信され、DC電圧範囲と比較され得る。
【0054】
図5は、トランスデューサからトランスデューサ故障検出システムのコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサに出力される電気信号を特徴付けるデータの全信号電圧範囲を表す例示的な電圧範囲500を示す。いくつかの実施形態では、全信号電圧範囲500は、第1の複数の故障事例電圧範囲と、加速度計の動作範囲とを含むことができる。全信号電圧範囲500は、0点505から、トランスデューサに供給される非0供給電圧値555に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、0点505は、約0Vであり得るが、他の下限値を想定することができ、非0供給電圧値555は、約-23.5Vであり得るが、他の上限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、第1の複数の故障事例範囲は、第1の配線故障事例範囲510、第1のトランスデューサ故障事例範囲520、及び第2の配線故障事例範囲540を含むことができる。いくつかの実施形態では、動作範囲530は、非線形範囲532と、非線形範囲532内の線形範囲534とを含むことができる。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲を企図することができ、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0055】
全信号電圧範囲500を参照すると、第1の配線故障事例範囲510に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが配線故障に起因してその動作範囲530の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが第1の配線故障事例範囲510内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がコモンに短絡しているという診断、信号線が切断されているという診断、トランスデューサ電力が加速度計及び/若しくはトランスデューサのためのインターフェースモジュールに接続されていないという診断、並びに/又はシステム内のどこかに緩んだコネクタがあるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0056】
全信号電圧範囲500を参照すると、第1のトランスデューサ故障事例範囲520に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが、トランスデューサ内の故障に起因してその動作範囲530の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが第1のトランスデューサ故障事例範囲520内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、監視されているシステムに衝撃事象があったという診断、加速度計に故障があるという診断、加速度計のインターフェースモジュールに故障があるという診断、及び/又は加速度計と加速度計のインターフェースモジュールとの間の配線に故障があるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。いくつかの実施形態では、電気信号を特徴付けるデータが第1のトランスデューサ故障事例範囲520内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムの「OKでない」アラームを開始するように構成することができる。いくつかの実施形態では、「OKでない」アラームは、システムの設定点アラームと一体化され得る。更に、いくつかの実施形態では、電気信号を特徴付けるデータが第1のトランスデューサ故障事例範囲520内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムによって監視されているシステムへの電力をトリップするように構成することができる。
【0057】
全信号電圧範囲500を参照すると、第2の配線故障事例範囲540に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが配線故障に起因してその動作範囲530の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが第2の配線故障事例範囲540内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がトランスデューサ電力に短絡しているという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、動作範囲530は、下限525及び上限535を有することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の下限525は、約-1V~-2Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の下限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の上限535は、約-17V~-20Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の上限値も想定することができる。第1の配線故障事例範囲510は、0点505に下限を有し、電圧515に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧515は、-0.25Vであり得る。第1のトランスデューサ故障事例範囲520は、電圧515に下限を有し、電圧545に上限を有することができ、動作範囲530を含まない。いくつかの実施形態では、電圧545は、(非0供給電圧値555)+約0.25Vに等しくなり得る。例えば、非0供給電圧値555が-23.5Vに等しい場合、電圧545は-23.25Vに等しくなり得る。第2の配線故障事例範囲540は、電圧545に下限を有し、非0供給電圧値555に上限を有することができる。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲を企図することができ、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0059】
いくつかの実施形態では、加速度計の複数の故障事例から故障事例(複数可)を決定することは、例えば
図6によって示されるDC電圧範囲600内の第2の複数の故障事例範囲から故障事例を決定することを更に含むことができる。DC電圧範囲600は、0点605から、トランスデューサに供給される非0供給電圧値655に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、0点605は約0Vであり得、非0供給電圧値655は約-23.5Vであり得るが、他の非0供給電圧も想定することができる。いくつかの実施形態では、DC電圧範囲は、下限635及び上限645を有する動作バイアス電圧範囲640を含むことができる。いくつかの実施形態では、下限635は、約-8Vであり得るが、他の下限値を想定することができ、上限645は、約-9Vであり得るが、他の上限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、第2の複数の故障事例範囲は、第1の配線故障事例範囲610、第2のトランスデューサ故障事例範囲620、逆配線故障事例範囲630、及び第2の配線故障事例範囲650を含むことができる。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲を企図することができ、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0060】
DC電圧範囲600を参照すると、第1の配線故障事例範囲610に入るバイアス電圧は、配線故障に起因してバイアス電圧がその動作範囲640の外側にあることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、バイアス電圧が第1の配線故障事例範囲610内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がコモンに短絡しているという診断、信号線が切断されているという診断、トランスデューサ電力がトランスデューサ及び/又はトランスデューサのためのインターフェースモジュールに接続されていないという診断、並びに/あるいはシステム内のどこかに緩んだコネクタがあるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0061】
DC電圧範囲600を参照すると、第2のトランスデューサ故障事例範囲620に入るバイアス電圧は、トランスデューサの故障に起因してバイアス電圧がその動作範囲640の外側にあることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、バイアス電圧が第2のトランスデューサ故障事例範囲620内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、監視されているシステムに衝撃事象があったという診断、加速度計に故障があるという診断、加速度計のインターフェースモジュールに故障があるという診断、加速度計と加速度計のインターフェースモジュールとの間の配線に故障があるという診断、及び/又は加速度計が飽和しているという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。いくつかの実施形態では、バイアス電圧が第2のトランスデューサ故障事例範囲620内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムの「OKでない」アラームを開始するように構成することができる。いくつかの実施形態では、「OKでない」アラームは、システムの設定点アラームと一体化され得る。更に、いくつかの実施形態では、バイアス電圧が第2のトランスデューサ故障事例範囲620内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムによって監視されているシステムへの電力をトリップするように構成することができる。
【0062】
DC電圧範囲600を参照すると、逆配線故障事例範囲630に入るバイアス電圧は、逆配線故障に起因してバイアス電圧がその動作範囲640の外側にあることを示すことができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサの配線が逆にされる場合、出力信号のバイアス電圧は、その動作範囲640から逆配線故障事例範囲630にシフトされることができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、バイアス電圧が逆配線故障事例範囲630内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、トランスデューサの配線が逆になっているという診断、及び/又はトランスデューサが飽和しているという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0063】
DC電圧範囲600を参照すると、第2の配線故障事例範囲650に入るバイアス電圧は、配線故障に起因してバイアス電圧がその動作範囲640の外側にあることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、バイアス電圧が第2の配線故障事例範囲650内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がトランスデューサ電力に短絡しているという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、動作範囲640は、下限635及び上限645を有することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の下限635は、約-8Vであり得るが、他の下限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の上限645は、約9Vであり得るが、他の上限値も想定することができる。第1の配線故障事例範囲610は、0点605に下限を有し、電圧615に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧615は、約-0.25Vであり得るが、他の電圧値も想定することができる。第2のトランスデューサ故障事例範囲620は、電圧615に下限を有し、電圧655に上限を有することができ、逆配線故障事例範囲630及び動作範囲640を含まない。いくつかの実施形態では、電圧655は、(非0供給電圧値655)+約0.25Vに等しくなり得るが、他の電圧値も想定することができる。例えば、非0供給電圧値665が-23.5Vに等しい場合、電圧655は-23.25Vに等しくなり得る。逆配線故障事例範囲630は、電圧625に下限を有し、動作範囲の下限635に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧625は、(動作範囲の下限635)+(動作範囲640の絶対値)に等しくなり得る。例えば、動作範囲の下限635が-8Vであり、動作範囲の上限645が-9Vである場合、電圧625は-7Vに等しくなり得る。第2の配線故障事例範囲650は、電圧655に下限を有し、非0供給電圧値665に上限を有することができる。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲を企図することができ、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1の配線故障事例510及び第1の配線故障事例610は、1つの配線故障事例に組み合わせることができる。加えて、いくつかの実施形態では、第2の配線故障事例540及び第2の配線故障事例650は、1つの配線故障事例に組み合わせることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、トランスデューサは速度計であるように構成することができる。いくつかの実施形態では、速度計は、電気信号を特徴付けるデータを積分するように構成された内部積分器を有する、
図5~
図6に関連して上述した加速度計とすることができる。速度計は、従来、動いていないときに0VのACベースラインを有する交流(AC)出力を提供する。例えば、速度計が移動していない場合と、速度計に電力が供給されていない場合とを区別することができるように、このACベースラインを非0電圧値に人為的に移動させることが望ましい場合がある。したがって、直流(DC)バイアス電圧を速度計出力に印加して、ACベースラインを0Vから離すことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、トランスデューサが速度計であるとき、トランスデューサ故障検出システムは、第1の複数の故障事例範囲から及び/又は第2の複数の故障事例範囲から故障事例を決定するように構成することができる。第1の複数の故障事例範囲は、全信号電圧範囲内であり得る(
図7に関連して以下で説明される)。全信号電圧は、電気信号を特徴付けるデータのDCバイアス電圧部分と、電気信号を特徴付けるデータのAC部分との両方を含むことができる。第2の複数の故障事例範囲は、DC電圧範囲内であり得る(
図8に関連して以下で説明される)。第2の複数の故障事例から故障事例を決定するとき、速度計から出力される電気信号を特徴付けるデータは、電圧(バイアス電圧)のDC部分をAC部分から分離するために、フィルタを通して送信されることができる。いくつかの実施形態では、フィルタはローパスフィルタであり得る。電気信号を特徴付けるデータをフィルタに通した後、電圧のDC部分は、少なくとも1つのデータプロセッサ内に受信され、DC電圧範囲と比較され得る。
【0068】
図7は、トランスデューサからトランスデューサ故障検出システムのコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサに出力される電気信号を特徴付けるデータの全信号電圧範囲を表す例示的な電圧範囲700を示す。いくつかの実施形態では、全信号電圧範囲700は、第1の複数の故障事例電圧範囲と、速度計の動作範囲とを含むことができる。全信号電圧範囲700は、0点705から、トランスデューサに供給される非0供給電圧値745に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、0点705は約0Vであり得、非0供給電圧値745は約-23.5Vであり得るが、他の非0供給電圧値も想定することができる。いくつかの実施形態では、第1の複数の故障事例範囲は、第1の配線故障事例範囲710、及び第1のトランスデューサ故障事例範囲720を含むことができる。いくつかの実施形態では、動作範囲730は、非線形範囲732と、非線形範囲732内の線形範囲734とを含むことができる。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲を企図することができ、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0069】
全信号電圧範囲700を参照すると、第1の配線故障事例範囲710に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが配線故障に起因してその動作範囲730の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが第1の配線故障事例範囲710内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がコモンに短絡しているという診断、信号線が切断されているという診断、速度計線が一緒に短絡しているという診断、及び/又はシステム内のどこかに緩んだコネクタがあるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0070】
全信号電圧範囲700を参照すると、第1のトランスデューサ故障事例範囲720に入る電気信号を特徴付けるデータは、トランスデューサが、トランスデューサ内の故障に起因してその動作範囲730の外側で動作していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、電気信号を特徴付けるデータが第1のトランスデューサ故障事例範囲720内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、監視されているシステムに衝撃事象があったという診断、速度計に故障があるという診断、速度計のインターフェースモジュールに故障があるという診断、及び/又は速度計と速度計のインターフェースモジュールとの間の配線に故障があるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。いくつかの実施形態では、電気信号を特徴付けるデータが第1のトランスデューサ故障事例範囲720内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムの「OKでない」アラームを開始するように構成することができる。いくつかの実施形態では、「OKでない」アラームは、システムの設定点アラームと一体化され得る。更に、いくつかの実施形態では、電気信号を特徴付けるデータが第1のトランスデューサ故障事例範囲720内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムによって監視されているシステムへの電力をトリップするように構成することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、動作範囲730は、下限725及び上限735を有することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の下限725は、約-2Vであり得るが、他の下限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の上限735は、約-20V~約-23Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の上限値も想定することができる。第1の配線故障事例範囲710は、0点705に下限を有し、電圧715に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧715は、約-0.25Vであり得る。第1のトランスデューサ故障事例範囲720は、電圧715に下限を有し、電圧735に上限を有することができ、動作範囲730を含まない。いくつかの実施形態では、電圧735は、(非0供給電圧値745)+約0.25Vに等しくなり得るが、他の電圧値も想定することができる。例えば、非0供給電圧値745が-23.5Vに等しい場合、電圧735は-23.25Vに等しくなり得る。様々な範囲が、様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて企図され得、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0072】
いくつかの実施形態では、速度計の複数の故障事例から故障事例(複数可)を決定することは、例えば
図8によって示されるDC電圧範囲800内の第2の複数の故障事例範囲から故障事例を決定することを更に含むことができる。DC電圧範囲800は、0点805から、トランスデューサに供給される非0供給電圧値855に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、0点805は約0Vであり得、非0供給電圧値855は約-23.5Vであり得るが、他の非0供給電圧値も想定することができる。いくつかの実施形態では、DC電圧範囲は、下限835及び上限845を有する動作バイアス電圧範囲840を含むことができる。いくつかの実施形態では、下限835は、約-9V~約-11Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の下限値も想定することができる。上限845は、約-13V~約-15Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の上限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、第2の複数の故障事例範囲は、第2の配線故障事例範囲810、第2のトランスデューサ故障事例範囲820、及び逆配線故障事例範囲830を含むことができる。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲を企図することができ、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0073】
DC電圧範囲800を参照すると、第2の配線故障事例範囲810に入るバイアス電圧は、配線故障に起因してバイアス電圧がその動作範囲840の外側を示していることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、バイアス電圧が第1の配線故障事例範囲810内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、信号線がコモンに短絡しているという診断、信号線が切断されているという診断、速度計線が一緒に短絡しているという診断、及び/又はシステム内のどこかに緩んだコネクタがあるという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0074】
DC電圧範囲800を参照すると、第2のトランスデューサ故障事例範囲820に入るバイアス電圧は、トランスデューサの故障に起因してバイアス電圧がその動作範囲840の外側にあることを示すことができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、バイアス電圧が第2のトランスデューサ故障事例範囲820内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、速度計に故障があるという診断、及び/又は速度計が飽和しているという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。いくつかの実施形態では、バイアス電圧が第2のトランスデューサ故障事例範囲820内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムの「OKでない」アラームを開始するように構成することができる。いくつかの実施形態では、「OKでない」アラームは、システムの設定点アラームと一体化され得る。更に、いくつかの実施形態では、バイアス電圧が第2のトランスデューサ故障事例範囲820内にあると決定されると、データプロセッサは、トランスデューサ故障検出システムによって監視されているシステムへの電力をトリップするように構成することができる。
【0075】
DC電圧範囲800を参照すると、逆配線故障事例範囲830に入るバイアス電圧は、逆配線故障に起因してバイアス電圧がその動作範囲840の外側にあることを示すことができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサの配線が逆にされる場合、出力信号のバイアス電圧は、その動作範囲840から逆配線故障事例範囲830にシフトされることができる。少なくとも1つのデータプロセッサによって、バイアス電圧が逆配線故障事例範囲830内にあると決定されると、データプロセッサは、可能な故障診断のリストをオペレータに提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可能な故障診断のリストは、トランスデューサの配線が逆になっているという診断、及び/又はトランスデューサが飽和しているという診断を含むことができる。いくつかの実施形態では、リストは、発生確率に基づく階層リストで提供することができる。いくつかの実施形態では、リストは、少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合された汎用ユーザインターフェースディスプレイのユーザインターフェースに提供することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、バイアス電圧動作範囲840は、下限835及び上限845を有することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲835の下限は、約-9V~約-11Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の下限値も想定することができる。いくつかの実施形態では、動作範囲の上限845は、約-13V~約-15Vに等しいか、又はその間であり得るが、他の上限値も想定することができる。第2の配線故障事例範囲810は、0点805に下限を有し、電圧815に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧815は、約-0.25Vであり得る。第2のトランスデューサ故障事例範囲820は、電圧815に下限を有し、電圧855に上限を有することができ、逆配線故障事例範囲830及び動作範囲840を含まない。いくつかの実施形態では、電圧855は、非0供給電圧値に等しくなり得る。いくつかの実施形態では、非0供給電圧は、約-23.25Vに等しくなり得る。逆配線故障事例範囲830は、電圧825に下限を有し、動作範囲の下限835に上限を有することができる。いくつかの実施形態では、電圧825は、(動作範囲の下限835)+(動作範囲840の絶対値)に等しくなり得る。例えば、動作範囲の下限835が-9Vであり、動作範囲の上限845が-15Vである場合、電圧825は-3Vに等しくなり得る。様々なトランスデューサタイプの各々に関連付けられた動作設定に基づいて、様々な範囲が企図され得、上記で識別された特定の範囲に限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の配線故障事例710及び第2の配線故障事例810は、1つの配線故障事例に組み合わせることができる。
【0078】
図9は、例示的なトランスデューサ910及びトランスデューサタイプ920を、それぞれの動作範囲930、動作範囲930内の線形範囲940、及びバイアス電圧動作範囲950とともに示す表900を示す。
【0079】
本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を記載してきた。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に例解されている。当業者は、本明細書に明確に記載され、添付の図面に例解されるシステム、デバイス、及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、及び本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して示される、又は説明する特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような修正例及び変形例は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。更に、本開示では、実施形態の類似する名称の構成要素は、概して類似の特徴を有しており、ゆえに、特定の実施形態内で各類似する名称の構成要素の各特徴は、必ずしも完全には詳述していない。
【0080】
本明細書に記載される主題は、本明細書に開示される構造的手段及びその構造的等価物を含む、アナログ電子回路、デジタル電子回路、及び/又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアで、又はそれらの組み合わせで実装することができる。本明細書に記載される主題は、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は多数のコンピュータ)による実行のため又はその動作を制御するため、情報キャリアで(例えば、機械可読記憶デバイスで)明白に具現化されるか、又は伝播信号で具現化される、1つ以上のコンピュータプログラムなどの、1つ以上のコンピュータプログラム製品として実装され得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても既知である)は、コンパイル又は解釈された言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に好適な他のユニットとしてなど、任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラム若しくはデータを保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一ファイルに、又は多数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、若しくはコードの部分を記憶するファイル)に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で若しくは1つのサイトの多数のコンピュータ上で実行されるように、又は多数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続されるように展開され得る。
【0081】
本明細書に記載される主題の方法工程を含む、本明細書に記載されるプロセス及び論理フローは、入力データ上で動作し、出力を生成することによって、本明細書に記載される主題の機能を行うために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なデータプロセッサによって行われ得る。プロセス及び論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(field programmable gate array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)によって行われてもよく、本明細書に記載される主題の装置は、かかる専用論理回路として実装され得る。
【0082】
コンピュータプログラムの実行に好適なデータプロセッサとしては、例えば、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスである。一般的に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、若しくは光ディスクを含むか、又はそこからデータを受信する、そこにデータを転送する、若しくはその両方を行うように動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに好適な情報キャリアとしては、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)と、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク)と、光磁気ディスクと、光ディスク(例えば、CD及びDVDディスク)と、を含む、不揮発性メモリの全ての形態が挙げられる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完されるか、又はその中に組み込まれ得る。
【0083】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載される主題は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(cathode ray tube、陰極線管)又はLCD(liquid crystal display、液晶ディスプレイ)モニタ、並びにユーザがコンピュータに入力を提供するのに利用し得るキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であり得るが、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。
【0084】
本明細書に記載される技術は、1つ以上のモジュールを使用して実装され得る。本明細書で使用するとき、「モジュール」という用語は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及び/又はそれらの様々な組み合わせを指す。しかしながら、最低でも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア上に実装されていないか、又は非一時的プロセッサの読み取り可能で記録可能な記憶媒体(すなわち、モジュールはソフトウェアそれ自体ではない)上に実装されていないソフトウェアとして解釈されるべきではない。実際に、「モジュール」は、プロセッサ又はコンピュータの一部などの少なくとも何らかの物理的な非一時的ハードウェアを常に含むものと解釈されるべきである。2つの異なるモジュールは、同じ物理ハードウェアを共有し得る(例えば、2つの異なるモジュールは、同じプロセッサ及びネットワークインターフェースを使用し得る)。本明細書に記載されるモジュールは、様々な用途をサポートするために組み合わせ、統合、分離、及び/又は複製が可能である。また、特定のモジュールで行われるものとして本明細書に記載される機能は、特定のモジュールで行われる機能の代わりに、又はそれに加えて、1つ以上の他のモジュールで、及び/又は1つ以上の他のデバイスによって行われ得る。更に、モジュールは、互いにローカル又はリモートの多数のデバイス及び/又は他の構成要素にまたがって実装され得る。加えて、モジュールを1つのデバイスから移動し、別のデバイスに追加することができ、かつ/又は両方のデバイスに組み込むこともできる。
【0085】
本明細書に記載される主題は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバ)、ミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)、若しくはフロントエンド構成要素(例えば、グラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータであって、ユーザはそれらを通して、本明細書に記載される主題の実装態様と相互作用することができる)、又はかかるバックエンド、ミドルウェア、及びフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムに実装され得る。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「local area network、LAN」)及び広域ネットワーク(「wide area network、WAN」)、例えば、インターネットが挙げられる。
【0086】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して本明細書で使用するとき、近似言語は、それが関連する基本機能の変化をもたらすことなく、許容可能に変化し得る、任意の定量的表現を修正するために適用することができる。したがって、「約」、「およそ」、及び「実質的に」など、1つ又は複数の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応することができる。本明細書において、並びに本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、範囲の制限を組み合わせ、かつ/又は交換することができ、かかる範囲は、識別され、文脈又は言語が別段の指示をしていない限り、中に包含される全ての部分範囲を含む。
【0087】
「a」及び「an」及び「the」という用語、並びに同様の指示対象の使用は、本明細書に別途記載のない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅するものと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。「およそ」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を含む。ある特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の50%、20%、15%、%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことが単に意図されており、各個別の値は、本明細書において個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をより良く説明することを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本開示の実施に不可欠な任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0088】
当業者は、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点を理解するであろう。したがって、本出願は、添付の特許請求の範囲によって示されるものを除き、特に示され説明されてきたものによって限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参考文献は、それらの全体が参照により明示的に組み込まれる。