(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083306
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】クロックスプリングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 35/04 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
H01R35/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207762
(22)【出願日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】22306822.2
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501044725
【氏名又は名称】ネクサン
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラフ ステファン
(57)【要約】
【課題】 クロックスプリングアセンブリを提供する。
【解決手段】 クロックスプリングアセンブリは固定ハウジングとロータとを備える。固定ハウジング及びロータは、ロータ上に第1の回転方向で巻回されて、一端がロータに且つ他端が固定ハウジングに固定された少なくとも1つの可撓性リボンケーブル(501)を収容するチャンバを協働して画定する。可撓性リボンケーブルは、ロータ(601)のまわりに巻回され、ロータと固定ハウジングとの間に電気的接続を確立する。断裂ピン(502)は、少なくとも1つのリボンケーブルに取り付けられる。スロット(605)は、ハウジング内に設けられ、断裂ピンがリボンケーブル(501)のそれ以上の巻出を阻止するように、ロータが第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に過巻された場合に、断裂ピンを捕捉する。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ハウジング(201)と、ロータ(601)とを備え、前記固定ハウジング(201)及び前記ロータ(601)が、前記ロータ(601)上に第1の回転方向で巻回されて、一端が前記ロータ(601)に且つ他端が前記固定ハウジング(305)に固定された少なくとも1つの可撓性リボンケーブル(501)を収容するチャンバ(203)を協働して画定し、前記可撓性リボンケーブル(501)が、前記ロータ(601)と前記固定ハウジング(305)との間に電気的接続を確立する、クロックスプリングアセンブリにおいて、断裂ピン(502、502’)が、前記少なくとも1つのリボンケーブル(501)に取り付けられること、スロット(605)が、前記ハウジング内に設けられること、及び、前記断裂ピンが前記リボンケーブル(501)のそれ以上の巻出を阻止するように、前記ロータが前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に過巻された場合に、前記スロット(605)が、前記断裂ピン(502、502’)を捕捉することを特徴とする、クロックスプリングアセンブリ。
【請求項2】
前記ロータ(601)及び前記固定ハウジング(302)にそれぞれ取り付けられた電気コネクタ(306、307)を有し、前記電気コネクタ(306、307)が前記少なくとも1つのリボンケーブル(501)によって接続される、請求項1に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項3】
前記リボンケーブル(501)が前記断裂ピン(502、502’)によって妨げられた後、前記ロータ(601)が前記第2の回転方向にさらに回転すると、前記リボンケーブル(501)が引きちぎられる、請求項2に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリボンケーブル(501)が、前記電気コネクタ(306)から引きちぎられる、請求項3に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項5】
前記スロット(605)が湾曲している、請求項1に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項6】
前記ロータが前記第1の回転方向に逆転されたときに、前記チャンバ(203)内の側壁(309)が前記リボンケーブル(303d)を阻止する、請求項1に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項7】
前記断裂ピン(502、502’)が、前記少なくとも1つのリボンケーブル(501)の一方又は両方の長手方向縁(503、506)を越えて延在する、請求項1に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項8】
前記断裂ピン(502’)が、前記少なくとも1つのリボンケーブル(501)の両方の長手方向縁(503、506)を越えて延在するスプリングピンとして実現される、請求項7に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項9】
前記クロックスプリングアセンブリ(600)が、前記ロータ(601)が前記第2の回転方向に過巻された場合に前記断裂ピン(502、502’)を捕捉するスロット(702)が設けられたカバー(701)を備える、請求項7に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【請求項10】
前記クロックスプリングアセンブリがその中心位置に取り付けられた場合、前記断裂ピンが前記スロット(605)を通過するとき、前記断裂ピン(502、502’)が、前記リボンケーブル(501)の少なくとも1つの層で覆われている、請求項1に記載のクロックスプリングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クロックスプリングアセンブリに関し、特に、クロックスプリングが誤装着された場合の誤った電気信号を防ぐクロックスプリングアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
すでに、長年にわたって、自動車はエアバッグクラッシュシステムを備えている。通常、1つのエアバッグが自動車の回転ハンドルに配置される。ほとんどの場合、ハンドルは、運転手がハンドルから手を離すことなく、たとえば、自動車のオーディオ及び電話システム又はクルーズコントロール設定を制御することができる、スイッチ及びボタンなどの追加の電気的入力装置を備えている。当然、電子部品及びエアバッグの適切な作動のために、自動車の回転可能なハンドルと固定ケーブルとの間の回転可能な電気的接続が必要である。導電リング上に載る電気ブラシは、自動車にとっては選択肢ではなく、それは、特に事故が発生したときの電気接点の信頼性が不十分であるためである。したがって、今日の自動車においては、クロックスプリングインターコネクタ(簡潔に、クロックスプリング)が、自動車のハンドルと固定ケーブルとの間の回転可能な電気的接続を提供するために開発されてきた。クロックスプリングは、カバーを含む、固定ハウジングと回転可能なロータとを備える。これらの構成要素は、1つ又はいくつかのフラットリボンケーブルを収容するチャンバを協働して画定する。リボンケーブルは、一端がロータと接続され、他端が自動車の固定ケーブルと接続される。リボンケーブルはロータに巻回され、ロータがハンドルと一緒に回転すると巻き出される又は巻き取られる。リボンケーブルは、ハンドルの左停止位置から右停止位置までの回転を可能にするだけ十分に長い。たとえば、トラックでは、ハンドルは、+/-3.25回転することができ、自動車では、たとえば、+/-1.5~2回転することができる。これらのパラメータは単なる例であり、他の実施態様が可能である。いかなる場合でも、リボンケーブルは、その左停止位置からその右停止位置まで回転するハンドルが、最大可能ステアリング角を実現するだけ十分に長い。
【0003】
適切に中心に置かれたクロックスプリング、すなわち、その中立位置のハンドルに取り付けられたときに左及び右への同じ数の回転が可能であるクロックスプリングは、長期間にわたって問題なく機能する。しかしながら、たとえば事故の後に、クロックスプリング及び/又はエアバッグを交換しなければならない場合、交換されたクロックスプリングが中心位置に取り付けられないことが起こることがある。そのためにリボンケーブルが途絶した場合、通常、故障信号が運転手に示される。故障信号、たとえば、警告灯の点灯により、運転手は問題に気がつく。しかしながら、故障信号をトリガすることなく、リボンケーブルの巻出のみ妨げられ、エアバッグの膨張をトリガし、最悪の場合、事故を引き起こすことがある誤った電気信号が生成されることも起こることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のクロックスプリングの制限を考慮して、冒頭で言及された問題の1つ又は複数を克服又は少なくとも改善するクロックスプリングの改善に対する要望が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、本開示は、固定ハウジングとロータとを備えるクロックスプリングアセンブリを提案する。固定ハウジング及びロータは、ロータ上に第1の回転方向で巻回されて、一端がロータに且つ他端が固定ハウジングに固定された少なくとも1つの可撓性リボンケーブルを収容するチャンバを協働して画定する。可撓性リボンケーブルは、ロータと固定ハウジングとの間に電気的接続を確立する。断裂ピンは、少なくとも1つのリボンケーブルに取り付けられる。スロットは、ハウジング内に設けられ、ロータが第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に過巻された場合に、断裂ピンがリボンケーブルのそれ以上の巻出を阻止するように、断裂ピンを捕捉する。特に、第1の回転方向は反時計回りの方向であり且つ第2の回転方向は時計回りの方向である、又は逆もまた同じである。
【0006】
クロックスプリングアセンブリは、クロックスプリングアセンブリのリボンケーブル上の導体経路が損傷を受けて、その結果、最悪の場合、エアバッグの膨張をトリガすることがある誤った電気信号を生じることがあることを防ぐ。
【0007】
1つの実施形態において、クロックスプリングアセンブリは、ロータ及び固定ハウジングにそれぞれ取り付けられた電気コネクタを備える。電気コネクタは、少なくとも1つのリボンケーブルによって接続される。リボンケーブルは、電気コネクタ間に信頼性が高く、耐久性がある電気的接続を確立する。
【0008】
有利なことには、リボンケーブルが断裂ピンによって阻止された後、ロータが第2の回転方向にさらに回転すると、リボンケーブルは引きちぎられる。電気的接続の損失は、検出可能であり、運転手に警告信号をトリガするために使用することができる。
【0009】
1つの実施形態において、少なくとも1つのリボンケーブルは、電気コネクタから引きちぎられる。
【0010】
有利な実施形態において、スロットは湾曲している。湾曲スロットは、スロットにおける断裂ピンの改善された捕捉を提供する。
【0011】
好ましい実施形態において、クロックスプリングアセンブリは、ロータが第1の回転方向に逆転されたときに、リボンケーブルを妨げる、チャンバ内の側壁を備える。
【0012】
断裂ピンが少なくとも1つのリボンケーブルの一方又は両方の長手方向縁を越えて延在する場合には有用であることが判明している。1つ又は2つの突出部を形成する断裂ピンは、ハウジング内のスロットと容易に係合する。
【0013】
断裂ピンが2つの突出部を形成する場合、ロータが第2の回転方向に過巻された場合に断裂ピンを捕捉するスロットが設けられたカバーをクロックスプリングが備えるときに有利である。
【0014】
断裂ピンは、少なくとも1つのリボンケーブルの両方の長手方向縁を越えて延在する2つの突出部を有するスプリングピンとして実現されてもよい。スプリングピンは、スロット内への2つの突出部の係合を容易にすることができる。
【0015】
好ましい実施形態において、クロックスプリングアセンブリがその中心位置に取り付けられた場合、断裂ピンは、スロットを通過するときに、リボンケーブルの少なくとも1つの層で覆われている。この配置は、適切に中心に置かれたクロックスプリングが適切に機能し、クロックスプリングの作動中、断裂ピンがハウジング内のスロットと係合しないことを保証する。
【0016】
本開示の例示的な実施形態は、図面に示されて、以下の記述でさらに詳細に説明される。図において、同一の又は類似の要素は、同一の又は類似の参照符号で参照される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】カバーのないクロックスプリングを斜視図において示す。
【
図3A】その中心位置から左側の方にあるクロックスプリングを示す。
【
図3B】その中心位置から左側の方にあるクロックスプリングを示す。
【
図3C】リボンケーブルを有するクロックスプリングを示し、リボンケーブルはロータ上で時計回り方向に巻回されている。
【
図4A】その中心位置から右側の方にあるクロックスプリングを示す。
【
図4B】その中心位置から右側の方にあるクロックスプリングを示す。
【
図4C】その中心位置から右側の方にあるクロックスプリングを示す。
【
図6A】その中心位置から右側の方にある本開示によるクロックスプリングを示す。
【
図6B】その中心位置から右側の方にある本開示によるクロックスプリングを示す。
【
図6C】その中心位置から右側の方にある本開示によるクロックスプリングを示す。
【
図7A】中心位置に取り付けられたときの本開示によるクロックスプリングを示す。
【
図7B】中心位置に取り付けられたときの本開示によるクロックスプリングを示す。
【
図7C】本開示によるクロックスプリングのカバーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図において、同一の又は類似の構成要素は、同一の又は類似の参照符号でラベル付けされる。
【0019】
図1は、ハンドルリム101、ハンドルスポーク102、及びハンドル100の中央のインパクトカップ103を有する自動車のハンドル100を示す。インパクトカップ103は、その関連するエアバッグ点火装置(図示せず)とともに運転手用エアバッグを収容する。自動車に配置されたセンサが事故を検出すると、電気信号は、エアバッグを膨張させるために、エアバッグをトリガするエアバッグ点火装置に送信される。
【0020】
インパクトカップ103の左右に、複数の電動ボタン104、106が配置される。たとえば、
図1の左側の電動ボタン104は、自動車のオーディオ及び電話システムを制御するために使用される。同じ実施形態において、右側の電動ボタン106は、自動車のクルーズコントロールシステムを制御するために使用される。電動ボタン104、106及びエアバッグ点火装置は、ハンドル100と一緒に回転する。それにもかかわらず、それらは、自動車の電子装置との接続を提供する固定配線システムと確実に接続される必要がある。この回転可能な電気的接続は、クロックスプリングで実現される。
【0021】
図2は、クロックスプリングアセンブリ(簡潔に、クロックスプリング200)を斜視図で示す。クロックスプリング200は、クロックスプリング200が自動車に取り付けられたときに、たとえば、自動車のステアリングコラムに固定される固定ハウジング201を備える。よって、ハウジング201は、固定されたままである。自動車に取り付けられるとき、クロックスプリング200は、クロックスプリング200の内部を見ることを可能にするために
図2に示されていないカバーによって閉じられる。
【0022】
ハウジング201において、ロータ202は、旋回され、ハウジング201に対して回転することができる。クロックスプリング200のハウジング201、ロータ202、及びカバー(図示せず)は、4つのリボンケーブルを収容するチャンバ203を協働して画定するが、
図2においては、3つのリボンケーブル204a~cのみ見ることができる。他の実施形態では、クロックスプリング200は、4つより少ない又は4つより多いリボンケーブルを備える。ロータ202は、ハンドル100と一緒に回転する。ロータ202の回転中、リボンケーブル204a~cはそれぞれ、ロータの回転方向に応じて、ロータに巻き取られ、ロータから巻き出される。各リボンケーブル204a~cの一端は、ロータ202に機械的に接続されて、ロータ202上に配置されたソケット206に電気的に接続される。各リボンケーブル204a~cの他端は、ハウジング201に機械的に接続されて、ハウジング201上に配置されたソケット207に電気的に接続される。クロックスプリング200が取り付けられるときに適切に中心に置かれた場合、クロックスプリングは、ソケット206と207との間で信頼性が高く、耐久性がある接続を確立する。クロックスプリングは、その中立位置がハンドルの中立位置と一致するとき、適切に中心に置かれている。自動車の製造中のクロックスプリングの適切なセンタリングは、たとえば、クロックスプリングロータのその中心位置からの回転を防ぐロック手段によって保証される。しかしながら、修理工場の経験の浅いスタッフにより、クロックスプリングが再取付けされるときに適切に中心に置かれないことがある。適切に中心に置かれていないクロックスプリング200によって引き起こされる問題は、以下で説明される。
【0023】
他の実施形態において、ソケット206、207の1つ又はいくつかは、プラグで置き換えられる。プラグ及びソケットは一般に、電気コネクタと呼ばれる。
【0024】
図3Aは、クロックスプリング300を概略的に示し、ロータ301が矢印302で示されるように中心位置から左に半回転又は全回転している。クロックスプリング300は、ロータ301と固定ハウジング305との間で画定されるチャンバ304内に配置される4つのリボンケーブル303a~dを備える。リボンケーブル303a~dは、一方がロータ301上に配置されたソケット306に、他方がハウジング305上に配置されたソケット307に接続される。
図3Aから分かるように、リボンケーブル303dは、ロータ301上にほとんど完全に反時計回りの方向に巻き上げられている。しかしながら、クロックスプリング300と接続されたハンドルが、その左停止位置にまだ到達していないので、リボンケーブル303dは、最初は、ハウジング305の内壁309の縁部308上で緊張状態になり、次いで、
図3Bに示されるように途絶する。それが起こると、自動車の運転手は、技術的欠陥を示す警告信号で通知され、及び運転手は、修理工場に訪問することにより問題に対処できる。説明された状況が好ましくないとしても、問題は簡単に管理することができる。以下で説明される状況はさらに多くの問題がある。
【0025】
他の実施形態において、リボンケーブル303a~dは、クロックスプリング300’に関して
図3Cに示されるように、ロータ301上で時計回り方向に巻き取られる。しかし、原則として、クロックスプリング300’の機能性は、クロックスプリング300と比較して同じである。したがって、一般性の制限なしに、以下においては、ロータ上に反時計回りに巻き取られるリボンケーブルを有するクロックスプリングのみ参照される。他のタイプのクロックスプリングの機能性を理解するために、回転方向のみ置き換えなければならない。
【0026】
図4Aは、クロックスプリング300を示し、ロータ301が矢印401で示されるように中心位置から右に半回転又は全回転している。
図4Bでは、ロータ301は、約45°さらに右方向に回転した。
図4Cでは、ロータ301は、
図4Aに示される状況と比較して約90°右方向に回転した。
図4Cに示される状況において、リボンケーブル303c、303dの輪はつぶれ、リボンケーブルの導体経路は過度に湾曲している。過度の湾曲は、リボンケーブル303c、303dの導体経路に損傷を与えることがあり、そのために、誤った電気信号が生じることがある。リボンケーブル303c、303dの過度の湾曲は、必ずしも警告信号をトリガするというわけではなく、よって、運転手は問題に気付かない。最悪の場合、誤った電気信号が、いつエアバッグ点火装置をトリガするか分からない。これは、事故を引き起こすことさえある。
【0027】
要約すると、左に回転した非中心位置へのクロックスプリングの取付けは、検知されないままではないと言うことができ、それは、むしろすぐに、リボンケーブルが引き裂かれ、故障信号、たとえば、警告灯が、運転手に欠陥を知らせるためである。それと対照的に、コイルスプリングが右に回転した非中心位置に取り付けられた場合、1つ又はいくつかのリボンケーブルがコイルスプリングの作動時間とともに損傷を受けることが起きることがあるが、運転手は、この欠陥に関する警告信号を受け取らない。この状況を改善するために、本開示は、クロックスプリングが右側への非中心位置に取り付けられたときにもリボンケーブルが途絶する又は引き裂かれる、修正されたクロックスプリングを提案する。
【0028】
このために、本開示は、
図5Aに示されるように、既定の位置でリボンケーブル501に取り付けられる断裂ピン502を有する少なくとも1つのリボンケーブル501を備えることを提案する。断裂ピン502は、リボンケーブル501の長手方向縁503を越えて、リボンケーブルの片側で延在し、突出部504を形成する。リボンケーブル501の幅wは両矢印で示される。
図5Bでは、リボンケーブル501の両方の長手方向縁503及び506を越えて延在し、2つの突出部504を形成する、断裂ピン502’の代替の実施形態が示されている。断裂ピン502’は、弾性的に圧縮することができるスプリングピンとして実現される。以下において、断裂ピンの機能は、簡単にするために、断裂ピン502に関連してのみ説明される。しかし、原則として、断裂ピン502’の機能性は同じである。
【0029】
断裂ピン502は、リボンケーブル501を途絶される又は引き裂く。クロックスプリングが右側の方の非中心位置に取り付けられた場合、単一のリボンケーブルの途絶は、運転手への警告信号のトリガを可能にするのに十分である。結果的に、運転手は、問題が存在することに気がつくことができ、それに対処することができる。よって、右側に中心がずれたクロックスプリングの状況は、左側に中心がずれたクロックスプリングの状況と比較可能になる。
【0030】
以下において、修正されたクロックスプリングの実施形態が説明される。
図6Aは、右側に回転した後に、その終了位置に到達したロータ601を有する正確に中心に置かれたクロックスプリング600を示す。クロックスプリング600はさらに、湾曲スロット605が設けられた固定ハウジング602を備える。クロックスプリング600は、3つの従来のリボンケーブル303a~cと、さらに、第4のリボンケーブルとして、断裂ピン502を有するリボンケーブル501とを備える。
図6Aに示される終了位置において、断裂ピン502は、湾曲スロット605に隣接しているが、湾曲スロット605に捕捉されていない。
【0031】
図6Bは、クロックスプリング600が右側の方に中心がずれたように取り付けられたときのクロックスプリング600を示す。この状況において、断裂ピン502は、ロータ601が右側に回転した後に特定の回転位置に到達すると、湾曲スロット605によって捕捉される。ロータ601が右側に回転し続けた場合、断裂ピン502は、湾曲スロット605に係合し、リボンケーブル501のさらなる移動を阻止する。結果として、リボンケーブル501は、
図6Cに示されるように、ソケット306から切り離される。リボンケーブル501と関連付けられた電気的接続の破断が検出され、自動車の運転手への警告信号がトリガされる。
【0032】
図7A及び7Bは、リボンケーブル501のみが単一のリボンケーブルとして示される、クロックスプリング600の簡略化された図を示す。クロックスプリング600のロータ601が最初に右側に回転すると、断裂ピン502は、スロット605と係合することなく、湾曲スロット605を通過するが、それは、断裂ピン502が、断裂ピンの湾曲スロット605との係合を防ぐ、リボンケーブル501の1つの層によって依然として覆われているためである。断裂ピン502が同じ回転方向で再び湾曲スロット605を通過する前には、クロックスプリング600が適切に中心に取り付けられた場合、ロータ601に接続されたハンドル100は、その右停止位置に到達し、断裂ピン502は、湾曲スロット605と係合しない。しかしながら、クロックスプリング600が右側の方の非中心位置に取り付けられた場合、断裂ピン502は湾曲スロット605と係合し、リボンケーブル501は、
図6Cに示されるように、ソケット306から切り離される。
【0033】
リボンケーブル501の両方の長手方向縁503、506を越えて延在する2つの突出部504を有する断裂ピン502’を利用する実施形態では、クロックスプリング600のカバー701には、
図7Cに示されるように、スロット605に対応するスロット702が設けられる。突出部504はそれぞれ、スロット605及び702に同時に入る。本実施形態における断裂ピン502’の機能性は、断裂ピン502と基本的に同じである。
【0034】
特許請求の範囲において、単語「備える(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」は複数を除外しない。
【0035】
単一のユニット又は装置は、特許請求の範囲に列挙される複数の要素の機能を実行してもよい。個々の機能及び要素が、異なる従属請求項に列挙されるという事実は、それらの機能及び要素の組合せが有利に使用される可能性がないことを意味しない。
【符号の説明】
【0036】
100 ハンドル
101 ハンドルリム
102 ハンドルスポーク
103 インパクトカップ
104、106 電動ボタン
200 クロックスプリング
201 ハウジング
202 ロータ
203 チャンバ
204a~c リボンケーブル
206 ソケット
207 ソケット
300 クロックスプリング
301 ロータ
302 矢印
303a~d リボンケーブル
304 チャンバ
305 ハウジング
306 ロータ上のソケット
307 ハウジング上のソケット
401 矢印
501 リボンケーブル
502 断裂ピン
503 リボンケーブルの縁部
504 突出部
506 リボンケーブルの縁部
600 クロックスプリング
601 ロータ
602 ハウジング
605 スロット
701 カバー
702 スロット