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▶ ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083312
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】動力工具モータロータ構成
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2791 20220101AFI20240613BHJP
   H02K 1/276 20220101ALI20240613BHJP
   H02K 1/2746 20220101ALI20240613BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H02K1/2791
H02K1/276
H02K1/2746
B25F5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023207973
(22)【出願日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】63/386,699
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/497,485
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(74)【代理人】
【識別番号】100133983
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 均
(72)【発明者】
【氏名】ゴサリア エス.ローハン
(72)【発明者】
【氏名】ザン ジィウィ
(72)【発明者】
【氏名】エマーソン リネア
(72)【発明者】
【氏名】ブーランジェ キース
(72)【発明者】
【氏名】ハッセンバーガー シー.ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー アール.マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ファルハン アシャド
【テーマコード(参考)】
3C064
5H622
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA03
3C064AA04
3C064AA06
3C064AA08
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA33
3C064BA36
3C064BB01
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA09
3C064CA10
3C064CA11
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CA72
3C064CA74
3C064CA75
3C064CA78
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB62
3C064CB71
5H622AA02
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622DD02
5H622PP03
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】動力工具は、取り外し可能でありかつ再充電可能であるバッテリパックを受けるように構成されたバッテリパックインターフェースを含むことがある。デバイスが、複数のステータコイルを受けるように構成された複数のステータ歯を含むステータと、ステータの周囲を回転するように構成されたロータとを含む、外側ロータモータを含むことがある。ロータは、ロータの内面上に位置付けられる第1の永久磁石と、ロータの内面に位置付けられる第2の永久磁石と、ロータの内面で第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に配置される空気スロットとを含む。空気スロットは、長さおよび幅を有する。空気スロットの長さは、第1の永久磁石または第2の永久磁石の長さよりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、
外側ロータモータと、を含み、前記外側ロータモータは、
複数のステータコイルを受けるように構成される複数のステータ歯を含むステータと、
前記ステータの周りを回転するように構成されるロータと、を含み、前記ロータは、
前記ロータの内面に位置付けられる第1の永久磁石と、
前記ロータの前記内面に位置付けられる第2の永久磁石と、
前記ロータの内面で前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に配置される空気スロットと、を含み、前記空気スロットは、長さおよび幅を含み、前記空気スロットの前記長さは、前記第1の永久磁石または前記第2の永久磁石の長さよりも大きい、
動力工具。
【請求項2】
前記ステータは、少なくとも12個のステータスロットを含み、
前記ロータは、少なくとも5個のロータ磁極を含む、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項3】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、希土類金属で構成される、請求項1に記載の動力工具。
【請求項4】
前記空気スロット内に位置付けられる結果として得られる磁極をさらに含む、請求項1に記載の動力工具。
【請求項5】
前記結果として得られる磁極は、鉄磁極である、請求項4に記載の動力工具。
【請求項6】
前記結果として得られる磁極は、約1ミリメートル~12ミリメートルの幅を含む、請求項4に記載の動力工具。
【請求項7】
前記ロータは、
内側積層体部分および外側積層体部分を含む、積層体スタックと、
前記積層体スタックの保持を増大させるように構成されるプラスチック成形体と、をさらに含む、
請求項1に記載の動力工具。
【請求項8】
前記内側積層体部分は、前記プラスチック成形体を前記内側積層体部分に固定するために前記プラスチック成形体の第1の部分を保持するように構成される三角形溝部分を含む、請求項7に記載の動力工具。
【請求項9】
前記外側積層体部分は、前記外側積層体部分を前記プラスチック成形体に固定するために前記プラスチック成形体の第2の部分を保持するように構成されるL形状部分を含む、請求項8に記載の動力工具。
【請求項10】
前記プラスチック成形体は、非磁性材料で作られる、請求項8に記載の動力工具。
【請求項11】
取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、
モータと、を含み、前記モータは、
複数のステータコイルを受けるように構成される複数のステータ歯を含むステータと、
前記ステータ内で回転するように構成されるロータと、を含み、前記ロータは、
前記ロータの第1のスロット内に位置付けられる第1の永久磁石と、
前記ロータの第2のスロット内に位置付けられる第2の永久磁石と、
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に位置付けられ、第1の長さおよび第1の幅を有する、第1の結果として得られる磁極と、
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に位置付けられ、第2の長さおよび第2の幅を有する、第2の結果として得られる磁極と、を含む、
動力工具。
【請求項12】
前記ロータは、約22ミリメートルの外径をさらに含む、請求項11に記載の動力工具。
【請求項13】
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、希土類金属で構成される、請求項11に記載の動力工具。
【請求項14】
前記第1の永久磁石は、約1ミリメートル~12ミリメートルの長さ、および約2ミリメートル~3ミリメートルの幅を含む、請求項11に記載の動力工具。
【請求項15】
前記ロータは、積層体スタックおよび空気スロットをさらに含む、請求項11に記載の動力工具。
【請求項16】
前記空気スロットは、前記積層体スタック内に配置され、前記ロータに沿って軸方向に横断方向に延在する、請求項15に記載の動力工具。
【請求項17】
前記空気スロットは、前記第1の結果として得られる磁極に向かう方向において前記第1の永久磁石から約45度だけ離れて延在する長さを含む、請求項15に記載の動力工具。
【請求項18】
取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、
モータと、を含み、前記モータは、
複数のステータコイルを受けるように構成される複数のステータ歯を含むステータと、
前記ステータ内で回転するように構成されるロータと、を含み、前記ロータは、
積層体スタックと、
前記積層体スタック内に配置され、前記ロータに沿って軸方向に横断方向に延在する、第1の空気スロットと、
前記積層体スタック内に配置され、前記ロータに沿って軸方向に横断方向に延在する、第2の空気スロットと、
前記ロータの第1のスロット内に位置付けられる第1の永久磁石と、
前記ロータの第2のスロット内に位置付けられる第2の永久磁石と、
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に位置付けられ、第1の長さおよび第1の幅を有する、第1の結果として得られる磁極と、
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に位置付けられ、第2の長さおよび第2の幅を有する、第2の結果として得られる磁極と、を含む、
動力工具。
【請求項19】
前記第1の空気スロットは、前記第1の結果として得られる磁極に向かう方向において前記第1の永久磁石から約45度だけ離れて延在する第1の空気スロット長さを含み、前記第2の空気スロットは、前記第2の結果として得られる磁極に向かう方向において前記第2の永久磁石から約45度だけ離れて延在する、第2の空気スロット長さを含む、請求項18に記載の動力工具。
【請求項20】
前記第1の空気スロット長は、前記第1の永久磁石の長さに従ってサイズ決定され、前記第2の空気スロット長さは、前記第2の永久磁石の長さに従ってサイズ決定される、請求項19に記載の動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2022年12月9日に出願された米国仮特許出願第63/386,699号、および2023年4月21日に出願された米国仮特許出願第63/497,485号の利益を主張し、それらの各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書に記載される実施形態は、動力工具(パワーツール)のモータに関する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載する動力工具は、取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、外側ロータモータとを含む。外側ロータモータは、複数のステータコイルを受けるように構成される複数のステータ歯を含むステータと、ステータの周りを回転するように構成されるロータとを含む。ロータは、ロータの内面に位置付けられる第1の永久磁石と、ロータの内面に位置付けられる第2の永久磁石と、ロータの内面で第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に配置される空気スロットとを含む。空気スロットは、長さおよび幅を含む。空気スロットの長さは、第1の永久磁石または第2の永久磁石の長さよりも大きい。
【0004】
幾つかの態様において、ステータは、少なくとも12個のステータスロットを含み、ロータは、少なくとも5個のロータ磁極を含む。
【0005】
幾つかの態様において、第1の永久磁石および第2の永久磁石は、希土類金属(レアアース金属)で構成される。
【0006】
幾つかの態様において、ロータは、空気スロット内に位置付けられる結果として得られる磁極をさらに含む。
【0007】
幾つかの態様において、結果として得られる磁極は、鉄磁極である。
【0008】
幾つかの態様において、結果として得られる磁極は、約1ミリメートル~12ミリメートルの幅を含む。
【0009】
幾つかの態様において、結果として得られる磁極は、鉄磁極である。
【0010】
幾つかの態様において、結果として得られる磁極は、約1ミリメートル~12ミリメートルの幅を含む。
【0011】
幾つかの態様において、ロータは、内側積層体部分および外側積層体部分を含む、積層体スタックと、積層体スタックの保持を増大させるように構成されるプラスチック成形体と、をさらに含む。
【0012】
幾つかの態様において、内側積層体部分は、プラスチック成形体を内側積層体部分に固定するためにプラスチック成形体の第1の部分を保持するように構成される三角形溝部分を含む。
【0013】
幾つかの態様において、外側積層体部分は、外側積層体部分をプラスチック成形体に固定するためにプラスチック成形体の第2の部分を保持するように構成されるL形状部分を含む。
【0014】
幾つかの態様において、プラスチック成形体は、非磁性材料で作られる。
【0015】
本明細書に記載される動力工具は、取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、モータとを含む。モータは、複数のステータコイルを受けるように構成される複数のステータ歯を含むステータと、ステータ内で回転するように構成されるロータとを含む。ロータは、ロータの第1のスロット内に位置付けられる第1の永久磁石と、ロータの第2のスロット内に位置付けられる第2の永久磁石と、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に位置付けられ、第1の長さおよび第1の幅を有する、第1の結果として得られる磁極と、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に位置付けられ、第2の長さおよび第2の幅を有する、第2の結果として得られる磁極とを含む。
【0016】
幾つかの態様において、ロータは、約22ミリメートルの外径を含む。
【0017】
幾つかの態様において、第1の永久磁石および第2の永久磁石は、希土類金属で構成される。
【0018】
幾つかの態様において、第1の永久磁石は、約1ミリメートル~12ミリメートルの長さ、および約2ミリメートル~3ミリメートルの幅を含む。
【0019】
幾つかの態様において、ロータは、積層体スタックおよび空気スロットをさらに含む。
【0020】
幾つかの態様において、空気スロットは、積層体スタック内に配置され、ロータに沿って軸方向に横断方向に(axially transverse direction)延在する。
【0021】
幾つかの態様において、空気スロットは、第1の結果として得られる磁極に向かう方向において第1の永久磁石から約45度だけ離れて延在する長さを含む。
【0022】
本明細書に記載される動力工具は、取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、モータとを含む。モータは、複数のステータコイルを受けるように構成される複数のステータ歯を含むステータと、ロータとを含む。ロータは、ステータ内で回転するように構成される。ロータは、積層体スタックと、積層体スタック内に配置され、ロータに沿って軸方向に横断方向に延在する、第1の空気スロットと、積層体スタック内に配置され、ロータに沿って軸方向に横断方向に延在する、第2の空気スロットと、ロータの第1のスロット内に位置付けられる第1の永久磁石と、ロータの第2のスロット内に位置付けられる第2の永久磁石と、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に位置付けられ、第1の長さおよび第1の幅を有する、第1の結果として得られる磁極と、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に位置付けられ、第2の長さおよび第2の幅を有する、第2の結果として得られる磁極とを含む。
【0023】
幾つかの態様において、第1の空気スロットは、第1の結果として得られる磁極に向かう方向において第1の永久磁石から約45度だけ離れて延在する第1の空気スロット長さを含み、第2の空気スロットは、第2の結果として得られる磁極に向かう方向において第2の永久磁石から約45度だけ離れて延在する、第2の空気スロット長さを含む。
【0024】
幾つかの態様において、第1の空気スロット長は、第1の永久磁石の長さに従ってサイズ決定され、第2の空気スロット長さは、第2の永久磁石の長さに従ってサイズ決定される。
【0025】
本明細書に記載される動力工具は、取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、結果として得られる磁極モータとを含む。結果として得られる磁極モータは、複数のステータコイルを受けるように構成されるステータ歯を含むステータと、ステータの周りを回転するように構成されるロータとを含む。ロータは、ロータの内面に位置付けられる第1の永久磁石と、ロータの内面に位置付けられる第2の永久磁石と、ロータの内面で第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に配置される結果として得られる磁極とを含む。結果として得られる磁極は、非磁性材料で作られる。
【0026】
本明細書に記載される動力工具は、取り外し可能かつ再充電可能なバッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、結果として得られる磁極モータとを含む。結果として得られる磁極モータは、複数のステータコイルを受けるように構成される複数のステータ歯を含むステータと、ステータ内で回転するように構成されるロータとを含む。ロータは、ロータの第1の凹部内に位置付けられる第1の永久磁石と、ロータの第2の凹部内に位置付けられる第2の永久磁石と、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に位置付けられる第1の結果として得られる磁極と、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に位置付けられる第2の結果として得られる磁極とを含む。第1の結果として得られる磁極は、第1の長さおよび第1の幅を有し、第2の結果として得られる磁極は、第2の長さおよび第2の幅を有する。
【0027】
いずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本実施形態は、以下の説明に記載されるあるいは添付の図面に示されるコンポーネントの構成および配置の詳細に適用において限定されないことが理解されるべきである。実施形態は、様々な方法で実施可能であるかあるいは実行可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明の目的のためのものであり、限定的であるとみなされるべきではないことが理解されるべきである。「含む(including)」、「含む(comprising)」、または「有する(having)」およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される品目およびそれらの均等物ならびに追加の品目を包含することを意味する。特に断りのない限りあるいは限定されない限り、「取り付けられる(mounted)」、「接続される(connected)」、「支持される(supported)」および「結合される(coupled)」という用語およびそれらの変形は、広く使用され、直接的および間接的な取り付け、接続、支持、および結合の両方を包含する。
【0028】
用法の文脈が明確に異なることを示さない限り、冠詞「a」、「an」および「the」は、「1つ」または「1つのみ」を意味するものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの冠詞は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味するものと解釈されるべきである。同様に、用法が明確に異なることを示さない限り、不定冠詞「a」または「an」によって従前に導入された名詞を指すために用いられるとき、定冠詞「the」または「前記」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0029】
加えて、実施形態は、議論の目的のために、コンポーネントの大部分が、あたかもハードウェアにおいてのみ実装されたかのように図示および記載されることがある、ハードウェア、ソフトウェア、および電子コンポーネントまたはモジュールを含む場合があることが理解されるべきである。しかしながら、当業者は、この詳細な説明の読み取りに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様がマイクロプロセッサおよび/または特定用途向け集積回路(「ASIC」)のような1つ以上の処理ユニットによって実行可能な(例えば、非一時的コンピュータ読取可能媒体に格納される)ソフトウェアにおいて実装される場合があることを認識するであろう。よって、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造コンポーネントが、実施形態を実装するために利用される場合があることが留意さるべきである。例えば、本明細書に記載される「サーバ」、「コンピューティングデバイス」、「コントローラ」、「プロセッサ」などは、1つ以上の処理ユニット、1つ以上のコンピュータ可読媒体モジュール、1つ以上の入出力インターフェース、およびコンポーネントを接続する様々な接続(例えば、システムバス)を含むことができる。
【0030】
量または状態に関連して使用される、例えば、「約」、「ほぼ」、「実質的に」などのような、相対的な用語は、記述された値を含むものとして当業者によって理解され、文脈によって指示される意味を有する(例えば、用語は、少なくとも、特定の値に関連する測定精度、公差(例えば、製造、組立、使用など)に関連する誤差の程度を含む)。そのような用語は、2つのエンドポイントの絶対値によって定義される範囲を開示するものとしても考慮されるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示する。相対的な用語は、指示値の百分率(例えば、1%、5%、10%)のプラスまたはマイナスを指すことがある。
【0031】
特定の図面は、特定のデバイス内に配置されたハードウェアおよびソフトウェアを図示するが、これらの描写は、単に例示目的のためのものであることが理解されるべきである。1つのコンポーネントによって実行されるものとして本明細書に記載される機能性は、分散された方法で複数のコンポーネントによって実行されてよい。同様に、複数のコンポーネントによって実行される機能性は、単一のコンポーネントによって統合され、実行されてよい。幾つかの実施形態において、図示のコンポーネントは、別々のソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアに組み合わされてもよく、あるいは分割されてよい。例えば、単一の電子プロセッサ内に配置されて実行される代わりに、論理および処理は、複数の電子プロセッサ間で分散されてよい。それらがどのように組み合わされるかあるいは分割されるかにかかわらず、ハードウェアおよびソフトウェアのコンポーネントは、同じコンピューティングデバイス上に配置されてよく、あるいは1つ以上のネットワークまたは他の適切な通信リンクによって接続された異なるコンピューティングデバイス間に分散されてよい。同様に、特定の機能性を実行するものとして記載されたコンポーネントは、本明細書に記載されていない追加の機能性を実行してもよい。例えば、特定の方法で「構成」されるデバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、明示的に列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0032】
従って、請求項において、装置、方法、またはシステムが、例えば、コントローラ、制御ユニット、電子プロセッサ、コンピューティングデバイス、論理素子、モジュール、メモリモジュール、通信チャネル、またはネットワーク、または、例えば、複数の機能を実行するために特定の方法で構成される他の要素を含むとして特許請求されるならば、請求項または請求項の要素は、1つ以上の要素が、集合として、複数の機能を集合的に実行するように、1つ以上の要素のいずれか1つが、例えば、列挙される複数の機能のいずれか1つ以上を実行するように、特許請求されるように構成される、そのような要素の1つ以上を意味するものとして解釈されるべきである。
【0033】
実施形態の他の態様は、詳細な記述および添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】幾つかの実施形態による、動力工具の斜視図を示す。
図2】幾つかの実施形態による、図1の動力工具の制御システムのブロック図を示す。
図3】幾つかの実施形態による、図1の動力工具と共に使用するためのバッテリパックを示す。
図4】幾つかの実施形態による、図3のバッテリパックの制御システムのブロック図を示す。
図5A】幾つかの実施形態による、外側ロータモータを示す。
図5B】幾つかの実施形態による、外側ロータモータを示す。
図5C】幾つかの実施形態による、外側ロータモータを示す。
図5D】幾つかの実施形態による、外側ロータモータを示す。
図6】幾つかの実施形態による、出力電力に対する鋼損失をグラフで示す。
図7】幾つかの実施形態による、速度に対する鋼損失をグラフで示す。
図8】幾つかの実施形態による、外側ロータモータおよび結果として得られる磁極モータにおける磁束流を示す。
図9】幾つかの実施形態による、様々なモータの性能をグラフで示す。
図10】幾つかの実施形態による、内側ロータモータを示す。
図11】幾つかの実施形態による、図10の内側ロータモータの分解図を示す。
図12】幾つかの実施形態による、空気流試験治具内の内側ロータモータを示す。
図13】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータロータを示す。
図14】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータロータを示す。
図15A】幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータを示す。
図15B】幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータを示す。
図15C】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータを示す。
図16】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータおよび内部永久磁石モータにおける磁束流を示す。
図17】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータおよび内部永久磁石モータの性能をグラフで示す。
図18】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータの速度に対する鋼損失をグラフで示す。
図19】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータの出力電力に対する鋼損失をグラフで示す。
図20A】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータを示す。
図20B】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータを示す。
図21】幾つかの実施形態による、様々な結果として得られる磁極モータの性能をグラフで示す。
図22】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータのトルクリプルをグラフで示す。
図23】幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータロータを示す。
図24A】幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータを示す。
図24B】幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータを示す。
図24C】幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータを示す。
図25】幾つかの実施形態による、モータを示す。
図26】幾つかの実施形態による、様々なモータの性能をグラフで示す。
図27】幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータを示す。
図28】幾つかの実施形態による、様々なモータの性能をグラフで示す。
図29】幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータを示す。
図30】幾つかの実施形態による、様々なモータの性能をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、永久磁石モータを含む動力工具(パワーツール)100を示す。動力工具100は、例えば、ハウジング102を含むハンマードリルである。ハウジング102は、ハンドル部分104およびモータハウジング部分106を含む。動力工具100は、さらに、(チャックとして示されている)出力ドライバ108、トリガ110、およびバッテリパックインターフェース112を含む。バッテリパックインターフェース112は、(取り外し可能なバッテリパックおよび/または再充電可能なバッテリパックとも呼ぶ)動力工具バッテリパックに機械的および電気的に接続するか、あるいはそのような動力工具バッテリパックを受け入れるように構成される。図1は、ハンマードリルを示しているが、幾つかの実施形態において、本明細書に記載するコンポーネント(構成要素)は、ドリルドライバ、インパクトドライバ、インパクトレンチ、アングルグラインダ、丸鋸、レシプロソー、プレート締め固め機、コアドリル、ストリングトリマ、リーフブロワ、バキューム等を含む、他のタイプの動力工具に組み込まれる。動力工具100のような、永久磁石モータ動力工具において、スイッチング要素は、動力源(例えば、バッテリパック)からの動力を選択的に印加して永久磁石モータを駆動させるために、制御装置からの制御信号によって選択的に有効化および無効化される。
【0036】
図2は、動力工具100のための制御システム200を示す。制御システム200は、コントローラ202を含む。コントローラ202は、動力工具100の様々なモジュールまたはコンポーネントに電気的および/または通信的に接続される。例えば、図示のコントローラ202は、モータ204、バッテリパックインターフェース206、(トリガ210に接続された)トリガスイッチ208、1つ以上のセンサ212または感知回路、1つ以上のインジケータ214、ユーザ入力モジュール216、電力入力モジュール218、インバータブリッジまたはFETスイッチングモジュール220(例えば、複数のスイッチングFETを含む)、およびFETスイッチングモジュール220を駆動するためのゲートドライバ224に電気的に接続される。幾つかの実施形態において、モータ204は、永久磁石モータである。コントローラ202は、とりわけ、例えば、動力工具100の動作を制御する、動力工具100の動作を監視する、1つ以上のインジケータ214(例えば、LED)を作動させるように動作可能な、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを含む。
【0037】
コントローラ202は、コントローラ202および/または動力工具100内のコンポーネントおよびモジュールに電力、動作制御、および保護を提供する、複数の電気および電子コンポーネントを含む。例えば、コントローラ202は、とりわけ、処理ユニット226(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子コントローラ、電子プロセッサ、または他の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ228、入力ユニット230、および出力ユニット232を含む。処理ユニット226は、とりわけ、制御ユニット234、算術論理ユニット236(ALU:arithmetic logic unit)、および複数のレジスタ238を含み、既知のコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正されたハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャなど)を使用して実装される。処理ユニット226、メモリ228、入力ユニット230、および出力ユニット232、ならびにコントローラ202に接続された様々なモジュールまたは回路は、1つ以上の制御装置および/またはデータバス(例えば、共通バス240)によって接続される。制御装置および/またはデータバスは、説明の目的のために図2一般的に示されている。様々なモジュール、回路、およびコンポーネントの間の相互接続およびそれらの間の通信のための1つ以上の制御装置および/またはデータバスの使用は、本明細書に記載の本発明に鑑みて当業者に知られているであろう。
【0038】
メモリ228は、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であり、例えば、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含む。プログラム記憶領域およびデータ記憶領域は、ROM、RAM(例えば、DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、または他の適切な磁気、光学、物理、または電子メモリデバイスのような、異なるタイプのメモリの組み合わせを含むことができる。処理ユニット226は、メモリ228に接続され、(例えば、実行中に)メモリ228のRAMに、(例えば、概ね永久的なベースで)メモリ228のROMに、あるいは別のメモリまたはディスクのような別の非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されることができる、ソフトウェア命令を実行する。動力工具100の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ202のメモリ228に格納されることができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ以上のプログラムモジュール、および他の実行可能な命令を含む。コントローラ202は、メモリ228から、とりわけ、本明細書に記載する制御プロセスおよび方法に関連する命令を検索し、実行するように構成される。他の構成において、コントローラ202は、追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、または異なるコンポーネントを含む。
【0039】
バッテリパックインターフェース206は、バッテリパックとインターフェース接続する(例えば、機械的、電気的および通信的に接続する)ように構成され、かつバッテリパックとインターフェース接続する(例えば、機械的、電気的および通信的に接続する)ように動作可能な、機械的コンポーネント(例えば、レール、溝、ラッチなど)および電気コンポーネント(例えば、1つ以上の端子)の組み合わせを含む。例えば、バッテリパック300(図3を参照)によって動力工具100に供給される電力は、バッテリパックインターフェース206を通じて電力入力モジュール218に提供される。電力入力モジュール218は、電力がコントローラ202に提供される前に、バッテリパック300から受け取る電力を調整または制御するための能動および受動コンポーネントの組み合わせを含む。バッテリパックインターフェース206は、スイッチングFETによって切り換えられるFETスイッチングモジュール220にも電力を供給して、モータ204に電力を選択的に供給する。バッテリパックインターフェース206は、例えば、コントローラ202とバッテリパック300との間に通信ラインまたはリンクを提供するための通信ライン242も含む。
【0040】
センサ212は、1つ以上の電流センサ、1つ以上の速度センサ、1つ以上のホール効果センサ、1つ以上の温度センサなどを含む。インジケータ214は、例えば、1つ以上の発光ダイオード(「LED」)を含む。インジケータ214は、動力工具100の状態または動力工具100に関連する情報を表示するように構成されることができる。例えば、インジケータ214は、動力工具100の測定された電気特性、動力工具の状態、モータ204の状態などを示すように構成される。ユーザ入力モジュール216は、コントローラ202に動作可能に結合されて、例えば、順方向動作モードまたは逆方向動作モード、(例えば、トルクおよび/または速度スイッチを使用する)動力工具100のためのトルクおよび/または速度設定などを選択する。幾つかの実施形態において、ユーザ入力モジュール216は、1つ以上のノブ、1つ以上のダイヤル、1つ以上のスイッチ、1つ以上のボタンなどのような、動力工具100の所望のレベルの動作を達成するために必要とされるデジタルおよびアナログ入力または出力デバイスの組み合わせを含む。
【0041】
図3は、バッテリパック300を示す。バッテリパック300は、ハウジング302と、バッテリパック300を動力工具100のような動力工具に接続するためのインターフェース部分304とを含む。
【0042】
図4は、バッテリパック300のための制御システムを示す。制御システムは、コントローラ400を含む。コントローラ400は、バッテリパック300の様々なモジュールまたはコンポーネントに電気的および/または通信的に接続される。例えば、図示のコントローラ400は、1つ以上のバッテリセル402およびインターフェース404(例えば、図3に図示されたバッテリパック300のインターフェース部分304)に接続される。コントローラ400は、1つ以上の電圧センサまたは電圧感知回路406、1つ以上の電流センサまたは電流感知回路408、および1つ以上の温度センサまたは温度感知回路410にも接続される。コントローラ400は、とりわけ、バッテリパック300の動作を制御し、バッテリパック300の状態を監視し、バッテリパック300の充電を有効化または無効化し、バッテリパック300の放電を有効化または無効化するなどのように動作可能である、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを含む。
【0043】
コントローラ400は、コントローラ400および/またはバッテリパック300内のコンポーネントおよびモジュールに電力、動作制御、および保護を提供する、複数の電気的および電子コンポーネントを含む。例えば、コントローラ400は、とりわけ、処理ユニット412(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子プロセッサ、電子コントローラ、または別の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ414、入力ユニット416、および出力ユニット418を含む。処理ユニット412は、とりわけ、制御ユニット420、ALU422、および複数のレジスタ424を含み、既知のコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正ハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャなど)を使用して実装される。処理ユニット412、メモリ414、入力ユニット416、および出力ユニット418、ならびにコントローラ400に接続される様々なモジュールまたは回路は、1つ以上の制御および/またはデータバス(例えば、共通バス426)によって接続される。制御バスおよび/またはデータバスは、説明のために一般的に図4に示されている。様々なモジュール、回路、およびコンポーネントの間の相互接続およびそれらの間の通信のための1つ以上の制御および/またはデータバスの使用は、本明細書に記載する本発明に鑑みて当業者に知られている。
【0044】
メモリ414は、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であり、例えば、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含む。プログラム記憶領域およびデータ記憶領域は、ROM、RAM(例えば、DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、または他の適切な磁気、光学、物理、または電子メモリデバイスのような、異なるタイプのメモリの組み合わせを含むことができる。処理ユニット412は、メモリ414に接続され、(例えば、実行中に)メモリ414のRAMに、(例えば、概ね永久的なベースで)メモリ414のROMに、あるいは別のメモリまたはディスクのような別の非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されることができるソフトウェア命令を実行する。バッテリパック300の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ400のメモリ414内に格納されることができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ以上のプログラムモジュール、および他の実行可能な命令を含む。コントローラ400は、とりわけ、本明細書に記載の制御プロセスおよび方法に関連する命令をメモリ414から検索して、実行するように構成される。他の構成において、コントローラ400は、追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、または異なるコンポーネントを含む。
【0045】
インターフェース404は、バッテリパック300を別のデバイス(例えば、動力工具、バッテリパック充電器など)とインターフェース接続する(例えば、機械的、電気的、および通信的に接続する)ように構成され、かつ動作可能である、機械的コンポーネント(例えば、レール、溝、ラッチなど)および電気コンポーネント(例えば、1つまたは複数の端子)の組み合わせを含む。例えば、インターフェース404は、通信ライン428を介してコントローラ400に通信的に接続するように構成される。
【0046】
図5A図5Bは、様々な実施形態による外側ロータモータを示す。図5Aに示すように、モータ500Aは、内部ステータ505と、複数のステータ巻線スロット510とを含む。ステータ(固定子)は、ステータ歯513も含む。複数のステータ巻線スロット510は、ステータ歯513の周囲に巻かれた複数の巻線(ステータコイルとも呼ばれる)を受け入れるように構成される。モータ500Aは、外側ロータ515も含む。ロータ515は、内部ステータ505の周囲を回転するように構成される。ロータ515は、内部ステータ505に面して、ロータ515の内部に沿って(例えば、内面に沿って)に沿って、複数の永久磁石520(例えば、希土類金属で構成される磁石)を含む。図示の実施形態において、ロータは、全部で10個の磁石を含む。外側ロータ515は、空気スロット525を含む。幅530および長さ535としての空気スロット525。ロータ515の磁石520は、N極540またはS極545を有するように構成される。図5Bには、5つの磁石外側ロータ構成におけるモータ500Bが示されている。この構成では、モータ500Bの製造コストを下げ、希土類磁性材料を抽出することの環境打撃を低減するために、磁石520の数が減らされる。この構成において、空気スロット長535は、空気スロット525がロータから除去された永久磁石520に対応するように、磁石520の間でより大きい。よって、空気スロット長535は、ロータ515の内部に沿った磁石520の長さよりも大きい。
【0047】
図5Cには、最適化された結果として得られる磁極モータ構成を有するモータ500Cが示されている。例えば、モータ500Cのような、本明細書に記載の結果として得られる磁極モータの構成の1つは、可変速度制御を提供する能力である。例えば、複数のステータ巻線を通じる電流を調整することによって、モータ500Cは、異なる速度で動作することがある。これは、正確な速度制御が重要である動力工具用途において特に有利なことがある。さらに、モータ500Cのような、本明細書に記載の結果として得られる磁極モータは、従来のモータよりも信頼性が高く、より細かい速度調整をもたらし、一般的によりコンパクトであることがある。幾つかの付加的な利点が図6および図7に示されており、以下により詳細に説明される。幾つかの実施態様において、結果として得られる磁極は、鉄磁極550であってよい。幾つかの実施態様において、結果として得られる磁極は、ロータ積層体から構成される。
【0048】
図5Dを参照すると、鉄磁極550を含むモータ500Cがさらに図示されている。鉄磁極550は、幅555および長さ560を有する。幾つかの実施態様において、鉄磁極550の長さ560または幅555は、モータ500Cの性能を制御するために使用される。例えば、5mmの鉄磁極の長さは、トルクリプル、コギングトルクなどに対する影響を有することがある。幾つかの例において、鉄磁極550は、1mm~12mmの長さ560を有する。例えば、鉄磁極550の長さ560は、有利には10mmのサイズであってよい。幾つかの例において、鉄磁極550のより長い長さ560は、鉄磁極550のより狭い長さ560と比較したときに、低減されたトルクリプルをもたらすことがある。他の測定は、モータ500Cの性能を変化させることがある。外側ロータの結果として得られる磁極モータは、鉄磁極550のサイズを操作することによって最適化されることができる。
【0049】
図6は、従来の外側ロータモータ(例えば、モータ500A、500B)および結果として得られる磁極モータの出力電力に対する鋼損失をグラフで示している。幾つかの例において、結果として得られる磁極モータは、結果として得られる磁極モータ500Cである。グラフ600は、モータの出力電力610と比較したモータの鋼損失605を示す。鋼損失は、例えば、ピーク電力レベルまでに亘るステータおよびロータの両方の損失の和である。グラフ600は、従来の外側ロータモータ615、従来の5磁石外側ロータモータ620、および結果として得られる磁極モータ625についての、出力電力に対する鋼損失のプロットを含む。幾つかの例において、従来の外側ロータモータ615と従来の5磁石外側ロータモータ620は、250ワット~300ワットの間のほぼ同じレベルの鋼損失605から始まる。幾つかの例において、従来の外側ロータモータ615の鋼損失は、出力電力610が増加するにつれて減少する。同様に、出力電力610が増加するにつれて、結果として得られる磁極モータ625の鋼損失605は減少する。逆に、幾つかの例において、出力電力610が増加するにつれて、鋼の損失605は従来の5磁石外側ロータモータ620において増加する。幾つかの例において、従来の外側ロータモータ615における鋼損失は、出力電力610が、例えば、約2500ワットを超え始めるにつれて、再び増加し始める。
【0050】
図7は、従来の外側ロータモータ(例えば、モータ500A、500B)および結果として得られる磁極モータの速度に対する鋼損失をグラフで示している。幾つかの例において、結果として得られる磁極モータは、結果として得られる磁極モータ500Cである。グラフ700は、モータのモータ速度710と比較したモータの鋼損失705を示す。グラフ700は、従来の外側ロータモータ715、従来の5磁石外側ロータモータ720、および結果として得られる磁極モータ725についての、出力電力に対する鋼損失のプロットを含む。グラフ700に示すモータの全部は、モータが毎分ゼロ回転(「RPM」)で停止する同じレベルの鋼損失705およびモータ速度710で開始する。幾つかの例では、モータ速度710が増加するにつれて、従来の外側ロータモータ715は、鋼損失705が減少し始める約18,000RPMおよび300ワットの鋼損失まで、鋼損失705の増加を受ける。鋼損失705は、ひとたびモータ速度が約28,000RPMに達し、鋼損失705が約175ワットに達すると、従来の外側ロータモータ715において再び増加し始める。幾つかの例では、モータ速度710が増加すると、従来の5磁石外側ロータモータ720は、鋼損失705が減少し始める約28,000RPMおよび540ワットの鋼損失まで、鋼損失705の増加を受ける。幾つかの例では、モータ速度710が増加すると、結果として得られる磁極モータ725は、鋼損失が水平状態に達する約20,000RPMおよび125ワットの鋼損失まで、鋼損失705の増加を受ける。鋼損失705は、約40,000ワットおよび200ワットの鋼損失で再び水平状態に達するまで、約30,000RPMで再び増加し始める。図示のように、結果として得られる磁極モータの鋼損失は、従来の外側ロータモータの場合よりも有意により少ない。
【0051】
図8は、従来の外側ロータモータにおける磁束流および結果として得られる磁極モータを示す。図示800は、従来の10磁石外側ロータモータ805と、従来の5磁石外側ロータモータ810と、外側ロータの結果として得られる磁極モータ815(例えば、モータ500C)とを含む。従来の10磁石外側ロータモータ805は、磁北極825および磁南極830によって生成される磁力線820を含む。従来の5磁石外側ロータモータ810は、モータ810の部分835によって強調される5個のより少ない磁石を有する。幾つかの実施態様において、これらの磁石の除去は、低い磁束線密度840およびより長い磁束経路845をもたらす。従来の外側ロータモータ805、810において、磁束流設計は、ステータからロータに半径方向外向きに移動する。磁束流は、ステータとロータとの間の空気スロットを横切り、ロータの磁場と反応し、反対極を通じて戻ることによって磁気回路を完成する。磁場の強度および位置は、典型的には、巻線および磁極の物理的セットアップに基づいて固定される。
【0052】
逆に、結果として得られる磁極外側ロータモータ815において、ステータは、物理極ごとに2つのセットの巻線を含むことがある。この構成において、磁極の数は、物理極の数を増加させることなく、効果的に2倍にされる。巻線に電圧が通電されると、それらは、重なり合う磁場を生成する。結果として得られる磁場は、各巻線によって生成される磁場の組み合わせである。幾つかの例において、結果として得られる磁極外側ロータモータ815における磁束流は、より動的であり、巻線内の電流を変化させることによって制御されることができる。先に記載したように、これは、磁場強度およびパターンの制御された変化を可能にし、ひいては、図9に示され且つ以下に記載されるように、結果として得られる磁極外側ロータモータ815の速度およびトルク特性を制御する。
【0053】
先に記載した従来の外側ロータモータ805、810と同様に、結果として得られる磁極外側ロータモータ815における磁束経路は、依然としてステータからロータに半径方向に移動するが、結果として得られる磁極設計における磁場の重なり合う調節可能な性質は、より多用途で制御可能な磁気相互作用をもたらす。幾つかの例において、外側ロータの結果として得られる磁極モータ815は、除去された磁石の代わりに結果として得られる磁極を含んで、均一な磁束密度850およびより短い磁束経路855を生成する。幾つかの実施形態において、外側ロータの結果として得られる磁極モータ815の要素は、十分な磁束が通過して、結果として得られる磁極を飽和させることなくループを完成するようにサイズ決定される。
【0054】
図9は、従来の外側ロータモータおよび結果として得られる磁極モータの性能をグラフで示している。グラフ900は、従来の外側ロータモータ905と、従来の5磁石外側ロータモータ910と、結果として得られる磁極モータ915(例えば、モータ500C)とを含む。幾つかの例において、3個のモータ905、910、915の効率は、それぞれ、出力トルクが0ニュートンメートル(「Nm」)であるほぼ同じレベルで始まる。従来の外側ロータモータ905の効率920は、0.5Nmで約85%のピークまで増加する。従来の5磁石外側ロータモータ915の効率は、0.25Nmで約70%のピークまで増加する。結果として得られる磁極モータ915の効率930は、0.4Nmで約85%のピークまで増加する。幾つかの例において、3個のモータ905、910、915の出力電力は、それぞれ、出力トルクが0Nmであるほぼ同じレベルで始まる。従来の外側ロータモータ905の出力電力935は、1.55Nmで約3325ワットのピークまで増加する。従来の5磁石外側ロータモータ910の出力電力940は、0.7Nmで約1900ワットのピークまで増加する。結果として得られる磁極モータ915の出力電力945は、1.15Nmで約2500ワットのピークまで増加する。
【0055】
幾つかの例において、従来の外側ロータモータ905および結果として得られる磁極モータ915の速度は、ほぼ同じレベルで始まり、ここで、速度は、39,000RPMである。従来の外側ロータモータ905の速度950は、約19,500RPMおよび1.5Nmまで着実に減少し、その後、速度950は、2.25Nmで0に達するまで、より速い速度で減少し始める。結果として得られる磁極モータ915の速度960は、1.2Nmで約19,500RPMまで減少し、その時点で、モータ915の速度955は、より高い速度で減少する。従来の5磁石外側ロータモータ910の速度960は、約19,500RPMおよび0.8Nmまで減少し、その後、速度960は、約1.05Nmで0に達するまで、より速い速度で減少する。グラフ900によって証明されるように、結果として得られる磁極モータ915および軽負荷領域965(例えば、約0.65Nm以下)の効率は、従来の外側ロータモータ905および従来の5磁石外側ロータモータ910よりも大きい。軽負荷領域965において、従来の5磁石外側ロータモータ910は、より高い速度を受けるが、負荷レベルが増加するにつれて、より大きな比率の速度低下を受ける。従来の5磁石外側ロータモータ910も、軽負荷領域965において僅かに大きい相対出力電力を受けるが、効率は低い。
【0056】
図10および図11は、幾つかの実施形態による、内側ロータモータ1000を示す。モータ1000は、第1のエンドキャップ1015および第2のエンドキャップ1020によってカプセル化されたロータスタック1010およびステータスタック1005を含む。幾つかの実施態様において、第1のエンドキャップ1015および第2のエンドキャップ1020は、ステータスタック1005のための単一の一体的な絶縁体として成形される。シャフト1025が、ロータスタック1010と機械的に接続し、ロータスタック1010を通じて延びる。第1のベアリング1030が、シャフト1025の第1の側1035に配置され、第2のベアリング1040が、シャフト1025の第2の端1045に配置される。冷却ファン1050が、シャフト1025の第1の側1035にあるシャフト1025の周囲に配置される。
【0057】
図11は、モータ1000の分解図である。モータ1000には、シャフト1025の第1の側1035で冷却ファン1050とロータスタック1010との間に位置付けられたOリング1055も含まれる。ブッシュ1060(bushing)が、シャフト1025の第2の端1045に配置される。加えて、ロータスタック1010内に配置された複数の磁石1065のうちの2つが示されている。幾つかの例において、磁石1065は、上述のコンポーネントの残りがシャフト1025に圧入される前に、ロータスタック1010内に接着される。
【0058】
図12は、空気流試験フレーム治具1200(air flow test frame fixture)内のモータを示す。モータ1100は、ベースプレート1205に取り付けられるように示されている。
【0059】
図13は、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータ1300の一部分を示す。ロータ1305が、積層体スタック1310および複数の磁石スロット1315を含む。プラスチック成形体1320が、積層体スタック1310の保持を高めるために積層体スタック1310に成形される。積層体スタック1310は、内側積層体部分1325および外側積層体部分1330を含む。内側積層体部分1325は、プラスチック成形体1320の第1の保持部分1340を保持するように構成された三角形溝部分1335を含む。第1の保持部分1340は、三角形溝部分1335内に嵌合して、プラスチック成形体1320を内側積層体部分1325に固定する。同様に、外側積層体部分1330は、プラスチック成形体1320の第2の保持部分1350を保持するように構成されたL字形部分1345を含む。L字形部分1345および第2の保持部分1350は、外側積層体部分1330をプラスチック成形体1320に固定するように構成される。幾つかの実施態様において、プラスチック成形体1320は、非磁性金属材料1355で構成される。例えば、幾つかの例において、プラスチック成形体は、アルミニウム、チタン、または他の非磁性金属または合金で作られることがある。
【0060】
図14は、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータ1400の一部分を示す。ロータ1405が、積層体スタック1410および複数の磁石スロット1415を含む。プラスチック成形体1420が積層体スタック1410に成形されて、積層体スタック1410の保持を高める。積層体スタック1410は、内側積層体部分1425および外側積層体部分1430を含む。内側積層体部分1425は、プラスチック成形体1420の第1の保持部分1440を保持するように構成された第1の蟻継ぎ溝部分1435を含む。前述のようなロータ1305と同様に、第1の保持部分1440は、第1の蟻継ぎ溝部分1435内に嵌合して、プラスチック成形体1420を内側積層体部分1425に固定する。外側積層体部分1430は、プラスチック成形体1420の第2の保持部分1450を保持するように構成された第2の蟻継ぎ部分1445を含む。第2の蟻継ぎ部分1445および第2の保持部分1450は、外側積層体部分1430をプラスチック成形体1420に固定するように構成される。幾つかの例において、内側積層体部分1425および外側積層体部分1430は、追加のまたは代替の保持構成(例えば、オーバーモールディング)を含んでよい。
【0061】
幾つかの実施態様において、ロータ1405は、内側積層体部分1425および外側積層体部分1430をプラスチック成形体1420に固定するように設計された溝部分の異なる構成を含む。例えば、内側積層体部分1425は、第1の蟻継ぎ溝部分1435および第1の複数の三角形溝部分1455の組み合わせを含んでよい。外側積層体スタックは、第2の複数の三角形溝部分1460を含んでよい。幾つかの例において、プラスチック成形体1420は、外側積層体保持部分1465、内側積層体保持部分1470、および磁石保持部分1475を含む。
【0062】
図15A図15Cは、幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータ1500A、1500B、1500Cを示している。幾つかの実施形態において、モータ1500A、1500B、1500Cは、動力工具100における使用のために構成される。図15Aを参照すると、モータ1500Aは、内部永久磁石構成を含む。モータ1500Aは、ステータ1505および複数のステータ巻線スロット1510を含む。複数のステータ巻線スロット1510は、複数の巻線を受け入れるように構成される。モータ1500Aは、ロータ1515も含む。幾つかの実施態様において、ロータは、22mmの外径を有する。ロータ1515は、複数のスロット1520を含み、各スロットは、磁石1530を受け入れるように構成された磁石ハウジング部分1525を含む。磁石1530は、長さ1535および幅1540を含む。幾つかの例において、長さ1535は、1.0mm~12.0mmの範囲であり、幅1540は、2.0mm~3.0mmの範囲である。例えば、磁石1530は、10mmの長さ1535および2.5mmの幅を有してよい。ロータ1515は、積層体スタック1545および空気スロット1550をさらに含む。幾つかの例において、空気スロット1550は、積層体スタック1545内に位置し、空気スロット1550は、ロータ1515に沿って軸方向に横断方向にロータ1515の長さに沿って延びる。空気スロット1550は、長さ1555および幅1560を含む。幾つかの実施形態において、空気スロット1550のサイズ、または空気スロット1550の長さ1555および幅1560は、磁石1530のサイズとともに増加または減少する。磁石1530の長さ1535は、例えば、モータ1500Aの製造コストを低減するために減少されてよい。従って、空気スロットの長さ1555は、減少した磁石サイズとともに増加されてよい。代替的に、幾つかの実施態様において、積層体スタック1545は、減少した磁石長さ1535の空間を占有するように構成される。
【0063】
図15Bは、幾つかの態様による、内部永久磁石モータの代替的な実施形態1500Bを示している。この実施形態では、2つの磁石1530のみが複数のスロット1520に挿入される。これらの磁石1530は、同じ磁気分極を有するように構成される。交換磁極は、結果として得られる磁極である。図15Cは、積層体スタック1545上に配置された結果として得られる磁極1565を含む内部永久磁石モータの実施形態1500Cを示している。結果として得られる磁極1565は、長さ1570および幅1575を有する。幾つかの例において、空気スロット1550の長さ1555は、結果として得られる磁極1565に向かう方向において、磁石1530の長さ1535から約45度の角度だけ離れて延びる。幾つかの例において、空気スロット1550の長さは、磁石1530の長さが短くなるにつれて長くなる。製造コストの減少に加えて、より大きな空気スロットは、モータ1500C材料における磁気飽和を妨げることがある。幾つかの環境において、磁気飽和は、磁石1530が完全に磁化されるときに生じることがある。空気スロット1550の長さ1555を増加させることによって、磁束密度をより効果的に管理することができ、飽和レベルに達するリスクを低減することができる。幾つかの実施形態において、結果として得られる磁極1565の長さ1570および幅1575は、モータ1500Cの性能を制御するように操作されることができる。
【0064】
図16は、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータおよび内部永久磁石モータにおける磁束流を示している。図示1600は、従来の4磁石内部永久磁石(「IPM」)モータ1605(例えば、モータ1500A)、従来の2磁石内部永久磁石(「2磁石IPM」)1610(例えば、モータ1500B)、および最適化された結果として得られる磁極モータ1615(例えば、モータ1500C)を含む。従来のIPMモータ1605は、磁性N極1625およびS極1630によって生成される磁力線1620を含む。従来の2磁石IPMモータ1610は、モータ1610の部分1635によって強調された、2つのより少ない磁石を有する。幾つかの実施態様において、これらの磁石の除去は、低い磁束線密度1640およびより長い磁束経路1645をもたらす。逆に、最適化された結果として得られる磁極モータ1615は、除去された磁石の代わりに、結果として得られる磁極を含んで、均一な磁束密度1650およびより短い磁束経路1655を生成する。
【0065】
図17は、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータ(例えば、モータ1500C)および内部永久磁石モータ(例えば、モータ1500A、1500B)の性能をグラフで示している。グラフ1700は、従来の内部永久磁石モータ1705(例えば、モータ1500A)、最適化された結果として得られる磁極モータ1710(例えば、モータ1500C)、および従来の2磁石内部永久磁石モータ1715(例えば、モータ1500B)を含む。幾つかの例において、3個のモータ1705、1710、1715の効率は、出力トルクが0Nmである、ほぼ同じレベルで始まる。従来のIPMモータ1705の効率1720は、0.2Nmで約85%のピークまで増加する。最適化されたCPMモータ1710の効率1725は、0.15Nmで約82%のピークまで増加する。2磁石IPMモータ1715の効率1730は、0.08Nmで約65%のピークまで増加する。幾つかの例において、3つのモータ1705、1710、1715の出力電力は、出力トルクが0Nmであるほぼ同じレベルで始まる。従来のIPMモータ1705の出力電力1735は、0.53Nmで約1400ワットのピークまで増加する。最適化されたCPMモータ1710の出力電力1740は、0.4Nmで約1200ワットのピークまで増加する。2磁石IPMモータ1715の出力電力1745は、0.3Nmで約600ワットのピークまで増加する。
【0066】
従来のIPMモータ1705の速度1750は、0.25Nmで約40,000 RPMまで非線形的に減少し、その後、速度1750は、より線形の速度で減少し始める。最適化されたCPMモータ1710の速度1755は、約40,000RPMおよび0.2Nmまで凹状に減少し、その後、速度1755は、より線形の速度で減少し始める。2磁石IPMモータ1715の速度1760は、全てのトルクに亘って急激に低下する。グラフ1700によって証明されるように、所望の動作領域1765(例えば、約0.2Nm以下)における従来のIPMモータ1705および最適化されたCPMモータ1710の効率は、ほぼ等しい。他方、2磁石IPMモータ1715の効率は、2磁石IPMモータ1715の効率1730が65%未満に急速に低下する0.05Nmまで、モータ1705および1710にほぼ等しい。所望の動作領域1765において、従来のIPMモータ1705および最適化されたCPMモータ1710は、ほぼ同じ出力電力を有する。2磁石IPMモータ1715の出力電力1745は、0.8Nmで約450ワットでモータ1705および1710から発散する。これは、従来のIPMモータ1705から2つの磁石を除去することが、効率および出力電力の両方を有意に減少させることを示す。しかしながら、最適化されたCPMモータ1710は、性能における同様の低下を受けないで、所望の動作領域1765内でのより良い性能が、(例えば、より少ない磁性材料を有する)従来のIPMモータ1705を使用せずに達成可能であることを示す。
【0067】
図18は、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータの速度に対する鋼損失をグラフで示している。グラフ1800には、従来の内部永久磁石(「IPM」)モータ(例えば、モータ1500A)鋼損失1805、結果として得られる磁極モータ(「CPM」)(例えば、モータ1500C)鋼損失1810、および従来の2磁石内部永久磁石(「2磁石IPM」)モータ1815が示されている。一般的に、全ての3つのモータタイプの速度損失は、速度が増加するにつれて増加する。従来の2磁石IPMモータにおいて、鋼損失は、概ね直線的であり、20,000RPM)で約40ワットから90,000RPMで150ワットまで増加する。逆に、CPM鋼損失1810は、42,500RPMで約65ワットまで減少する前に、30,000RPMで約75ワットまで初期的に増加する。そこから、CPM鋼損失1810は、約65,000RPMで110ワットでピークに達する前に、再び増加する。従来のIPMモータ鋼損失1805は、類似のパターンに従い、42,500RPMで65ワットまで減少する前に、35,000RPMで約70ワットまで初期的に増加する。ここから、従来のIPMモータ鋼損失1805は、約70,000RPMで120ワットでピークに達するまで増加する。
【0068】
図19は、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータの出力電力に対する鋼損失をグラフで示している。グラフ1900には、従来のIPMモータ(例えば、モータ1500A)の鋼損失1905、CPM(例えば、モータ1500C)の鋼損失1910、および従来の2磁石IPMモータ(例えば、モータ1500B)の鋼損失1915が示されている。従来のIPMモータと比較して、従来のIPMモータの鋼損失1905およびCPMの鋼損失1910は、ほぼ等しい。従来のIPMモータの鋼損失1905およびCPMの鋼損失1910の両方は、約300ワット~1300ワットの出力電力範囲について60ワット~80ワットの間である。
【0069】
図20A図20Bは、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータ2000A、2000Bを示している。図20Aを参照すると、モータ2000Aは、動力工具100における使用のために構成される。モータ2000Aは、内部永久磁石構成を含む。モータ2000Aは、ステータ2005および複数のステータ巻線スロット2010を含む。複数のステータ巻線スロット2010は、複数の巻線を受け入れるように構成される。モータ2000Aは、ロータ2015も含む。ロータ2015は、複数のスロット2020を含み、各スロットは、磁石2030を受け入れるように構成された磁石ハウジング部分2025も含む。磁石2030は、長さ2035および幅2040を含む。幾つかの例において、磁石2030の長さ2035は、約15mmであり、幅2040は、1.5mm~3.0mmの範囲である。ロータ2015は、積層体スタック2045および空気スロット2050をさらに含む。空気スロット2050は、長さ2055および幅2060を含む。幾つかの実施態様において、空気スロット2050のサイズ、または空気スロット2050の長さ2055および幅2060は、磁石2030のサイズとともに増加または減少する。例えば、磁石2030の長さ2035は、モータ2400の製造コストを低減するために減少されてよい。従って、空気スロットの長さ2055は、低減された磁石サイズとともに増加されてよい。代替的に、幾つかの実施態様において、積層体スタック2045は、減少した磁石長2035の空間を占めるように構成される。ロータ2015は、結果として得られる磁極2065を含む。長さ2070および幅2075のような結果として得られる磁極。幾つかの実施形態において、結果として得られる磁極2065の長さ2070または幅2075は、モータ2000Aの性能を制御するために制御されることができる。例えば、4mmの結果として得られる磁極の幅は、前述のように、トルクリプルに対する影響を有することがある。幾つかの例において、結果として得られる磁極2065は、1mm~12mmの幅2075を有する。例えば、図20Bに示されるように、モータ2000Bは、例えば、10.2mmの、結果として得られる磁極の幅2075を有する。他の測定値も、モータ2000A、2000Bの性能を変化させることがある。例えば、幾つかの例において、結果として得られる磁極2065が、10.2mmまで増加した幅2075を有するとき、空気スロットの長さ2055は減少される。
【0070】
前述のモータ1500A~1500Cと同様に、結果として得られる磁極モータ2000A、2000Bについて、空気スロット2050の長さ2055は、結果として得られる磁極2065に向かう方向において、磁石2030の長さ2035から約45度の角度だけ離れて延びる。幾つかの例において、空気スロット2055の長さ2055は、磁石2030の長さ2035が減少されるにつれて増大される。製造コストの低減に加えて、より大きな空気スロットは、モータ2000A、2000B材料における磁気飽和を防ぐことができる。幾つかの環境では、磁石2030が完全に磁化されると、磁気飽和が生じることがある。空気スロット2050の長さ2055を増加させることによって、磁束密度をより効果的に管理して、飽和レベルに達するリスクを低減することができる。
【0071】
図21は、幾つかの実施形態による、結果として得られる磁極モータの性能をグラフで示している。グラフ2100は、より高い磁極幅2110を持つ結果として得られる磁極モータ(例えば、モータ2000B)およびより低い磁極幅2105を持つ結果として得られる磁極モータ(例えば、モータ2000A)の性能比較を示す。グラフ2100に示されるように、より低い幅効率2115およびより高い幅効率2120は、0.2Nmでの約80%の効率まで、ほぼ同じ効率曲線に従う。この時点で、より低い幅効率2115は、効率が0.48Nmで約0%であるまで発散し、より高い幅効率2120は、5.6Nmで0%である。より低い幅の出力電力2125は、0.48Nmで0ワットまで低下する前に、0.35Nmで約1200ワットまで上昇する。より高い幅の出力電力2130は、0.56Nmで0ワットまで低下する前に、0.33Nmで約1250ワットまで上昇する。より低い幅速度2135およびより高い幅速度2140は、ほぼ同じ速度で減少し、より低い幅速度2135は、0RPMおよび0.48Nmで終わり、より高い幅速度2140は、0RPMおよび0.56Nmで終わる。グラフ2100によって観察されるように、より高い極幅2110を含む結果として得られる磁極モータは、一般に、より高いトルクレベルでより大きな最大出力電力および改良された効率を有する。
【0072】
図22は、幾つかの実施形態による、従来のIPMモータおよび結果として得られる磁極モータ2000A、2000Bのトルクリプルをグラフで示している。グラフ2200と同様に、結果として得られる磁極モータの結果として得られる磁極の幅は、トルクリプルに影響を及ぼし得る。グラフ2200には、狭い結果として得られる磁極トルクリプル2205が示されている。狭い結果として得られる磁極トルクリプル2205の振幅は、10度で、再び130度で、約0.35Nmでピークを有する。狭い結果として得られる磁極トルクリプル2205の振幅は、85度で、0.1Nmで最低である。他方、より広い結果として得られる磁極トルクリプル2210の振幅は、約5度、50度、125度および170度で、0.25Nmでピークを有する。グラフ2200は、従来の内部永久磁石トルクリプル2215を含む。グラフ2200に示されるように、全体のトルクリプルは、結果として得られる磁極を広げることによって低減される。幾つかの実施形態において、結果として得られる磁極を広げることによるトルクリプルの低減は、ノイズの減少、振動の減少、または結果として得られる磁極モータにおける他の性能向上効果をもたらすことがある。
【0073】
図23は、幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータロータ2300を示している。ロータ2300は、積層体スタック2305を含む。積層体スタック2305は、内側積層体部分2310および外側積層体部分2315を含む。ロータ2300は、複数のスロット2320を含み、各スロットは、磁石2330を受け入れるように構成された磁石ハウジング部分2325を含む。磁石2330は、長さ2335および幅2340を含む。ロータ2300は、ロータスリーブ2345も含む。幾つかの実施態様において、ロータスリーブ2345は、炭素繊維材料で作られる。幾つかの実施態様において、炭素繊維スリーブは、プラスチック、非磁性金属、ポリカーボネートなどのような、別の材料から作られる。
【0074】
図24A図24Cは、幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータロータ2400A、2400B、2400Cを示している。図24Aに示すように、ロータ2400Aは、積層体スタック2405を含む。積層体スタック2405は、内側積層体部分2410および外側積層体部分2415を含む。ロータ2400Aは、複数のスロット2420を含み、各スロット2420は、磁石2430を受け入れるように構成された磁石ハウジング部分2425を含む。磁石2430は、長さ2435および幅2440を含む。積層体スタック2405の内側積層体部分2410は、第1の軸方向支持部分2445を含む。積層体スタック2405の外側積層体部分2415は、第2の軸方向支持部分2450を含む。幾つかの実施態様では、プラスチック成形体2455が、積層体スタック2405の内側積層体部分2410および外側積層体部分2415を保持するように構成される。プラスチック成形体2455は、プラスチック成形体2455を内側積層体部分2410に保持するように構成された第1の保持部分2460と、プラスチック成形体を外側積層体部分2415に保持するように構成された第2の保持部分2465とを含んでよい。プラスチック成形体2455は、第1の保持部分2460および第2の保持部分2465を互いに接続し、それによって、内側積層体部分2410、外側積層体部分2415、および磁石2430を保持するための単一の固定要素を生成するように構成される、プレート2470も含む。
【0075】
図24Bは、永久磁石モータロータ2400Bを示している。この実施形態において、ロータ2400Bは、第1の軸方向支持部分2445、第1の保持部分2460、第2の保持部分2465、射出成形プラスチック製のプレート2470、第2の軸方向支持部分2450、およびステンレス鋼製のプレート部分2475を含む。ステンレス鋼プレート部分2475は、第2の軸方向支持部分2450に接続するように構成される。
【0076】
図24Cは、ロータ2400Cのための別の実施形態を示している。この実施形態において、第1の軸方向支持部分2445および第2の軸方向支持部分2450の両方は、ステンレス鋼で作られ、ステンレス鋼プレート部分2475に接続するように構成される。
【0077】
図25は、幾つかの実施形態による、モータ2500を示している。モータ2500は、ステータ2505および複数のステータ巻線スロット2510を含む。ステータは、ステータ歯2513も含む。複数のステータ巻線スロット2510は、ステータ歯2513の周囲に巻かれた複数の巻線を受け入れるように構成される。モータ2500は、ロータ2515も含む。ロータ2515は、永久磁石2525を受け入れるように構成された複数の永久磁石スロット2520を含む。ロータ2515は、複数の磁極2530を含む。磁極2530は、長さ2535および幅2540を有する。幾つかの実施形態において、磁極2530の長さ2535または幅2540は、モータ2500の性能に影響を及ぼすように制御される。磁極2530の寸法の影響は、図26に示されており、以下で詳細に説明される。モータ2500は、複数の磁石2525と磁極2530との間に空気スロット2545も含む。幾つかの実施態様において、空気スロットは、積層体スタック2555の外側リブ2550によって囲まれる。
【0078】
図26は、幾つかの実施形態による、モータ2500と比較した内部永久磁石(「IPM」)モータの性能をグラフで示している。グラフは、モータトルクと比較したときの、IPMモータ効率2605、IPMモータ出力電力2615、IPMモータ電流2625、およびIPMモータ速度2635を含む。グラフは、モータトルクと比較したときの、モータ効率2610、モータ出力電力2620、モータ電流2630、およびモータ速度2640も含む。グラフ2600は、IPMモータおよびモータ2500の両方が公称に動作する、強調表示された動作領域2645も含む。グラフ2600によって証明されるように、IPMモータおよびモータ2500の両方の性能は、動作領域2645内で同様である。幾つかの例において、グラフ2600に表されるIPMモータは、約55gの磁石質量を有する一方で、モータ2500は、動作領域2645内のモータ2500の性能に有意な影響を与えることなく約28%の質量低減を有する。
【0079】
図27は、幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータ2700を示している。モータ2700は、ステータ2705および複数のステータ巻線スロット2710を含む。ステータは、ステータ歯2713も含む。複数のステータ巻線スロット2710は、ステータ歯2713の周囲に巻かれた複数の巻線を受け入れるように構成される。ステータ2705は、複数のステータ巻線スロット2710の間に空気スロット2714を含む。モータ2700は、ロータ2715も含む。ロータ2715は、永久磁石2725を受け入れるように構成された複数の永久磁石スロット2720を含む。ロータ2715は、複数の結果として得られる磁極2730を含む。結果として得られる磁極2730は、長さ2735および幅2740を有する。幾つかの実施態様において、結果として得られる磁極2730の長さ2735または幅2740は、モータ2700の性能に影響を及ぼすように制御される。結果として得られる磁極2730の寸法の影響は、図28に示されており、以下に詳細に説明される。モータ2700は、複数の磁石2725と結果として得られる磁極2730との間に空気スロット2745も含む。幾つかの実施態様において、空気スロット2745は、積層体スタック2755の外側リブ2750によって囲まれる。
【0080】
図28は、内部永久磁石モータと結果として得られる磁極モータ2700との間の性能比較を示すグラフ2800を提供する。グラフは、モータトルクと比較したときの、IPMモータ効率2805、IPMモータ出力電力2815、IPMモータ電流2825、およびIPMモータ速度2835を含む。グラフは、モータトルクと比較したときの、結果として得られる磁極モータ効率2810、結果として得られる磁極モータ出力電力2820、結果として得られる磁極モータ電流2830、および結果として得られる磁極モータ速度2840も含む。グラフ2800は、約0.19Nmのターゲット動作負荷2845、および約42,000RPMのターゲット動作速度2850も含む。グラフ2800によって証明されるように、より高いトルクレベルで、IPMモータは、モータ2700効率2810および出力電力2820よりも高い効率2805および出力電力2815で動作する。しかしながら、IPMモータおよびモータ2700の両方の性能は、ターゲット動作負荷2845の領域内で同様である。幾つかの例において、グラフ2800に表されるIPMモータは、約79gの磁石質量を有する一方で、モータ2700は、ターゲット動作負荷2845の領域内のモータ2700の性能に重大な影響を与えることなく約36%の質量低減を有する。
【0081】
図29は、幾つかの実施形態による、内部永久磁石モータ2900を示している。モータ2900は、ステータ2905および複数のステータ巻線スロット2910を含む。ステータ2905は、ステータ歯2913も含む。複数のステータ巻線スロット2910は、ステータ歯2913の周囲に巻かれた複数の巻線を受け入れるように構成される。モータ2900は、ロータ2915も含む。ロータ2915は、複数のスロット2920を含み、各スロット2920は、磁石2930を受け入れるように構成された磁石ハウジング部分2925を含む。磁石2930は、長さ2935および幅2940を含む。ロータ2915は、内側積層体部分2950および外側積層体部分2955を含む、積層体スタック2945をさらに含む。積層体スタック2945の内側積層体部分2950は、第1の軸方向支持部分2960を含む。積層体スタック2945の外側積層体部分2955は、第2の軸方向支持部分2965を含む。幾つかの実施態様では、プラスチック成形体が、前述のように、図24A図24Cに示されるように、内側積層体部分および外側積層体部分を保持するように構成される。モータ2900は、さもなければ磁石2930を囲む外側鋼リブを含まない。
【0082】
図30は、従来の内部永久磁石モータとモータ2900との間の性能比較を示すグラフ3000を含む。グラフ3000は、モータトルクと比較したときの、従来のIPMモータ効率3005、従来のIPMモータ出力電力3015、従来のIPMモータ電流3025、および従来のIPMモータ速度3035を含む。グラフ3000は、モータトルクと比較したときの、モータ2900のモータ効率3010、出力電力3020、モータ電流3030、およびモータ速度3040も含む。グラフ3000によって証明されるように、従来のIPMモータは、モータ2900効率3010とほぼ同じ効率3005で動作する。しかしながら、モータ2900は、従来のIPMモータよりも約5%多くの電力を生成する。
【0083】
よって、本明細書に記載する実施形態は、結果として得られる磁極モータを含む動力工具を提供する。様々な構成および利点は、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【外国語明細書】