(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083323
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】薬剤棚卸支援装置、薬剤棚卸支援方法、および、薬剤棚卸支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240613BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015622
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2022196133の分割
【原出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】395011562
【氏名又は名称】三菱電機ITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大濱 由浩
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】棚卸の処理時間を短縮するとともに、棚卸の精度を向上させることを目的とする。
【解決手段】予製剤情報設定部110は、予製剤の薬袋ごとに、薬袋を識別する薬袋識別子であって患者を識別する情報と薬袋をその患者に同時に渡すことを示す連番からなる薬袋識別子と、薬袋に入れられる薬剤の名称と、薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報52に設定する。棚卸判定部120は、作業者により数を確認された予製剤以外の薬剤の数である実棚在庫を取得する。また、棚卸判定部120は、予製剤情報52から薬袋に入れられた薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得する。そして、棚卸判定部120は、実棚在庫と予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を薬剤の在庫数と判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬局における薬剤の棚卸を支援する薬剤棚卸支援装置において、
予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、前記薬袋を識別する薬袋識別子と前記薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報に設定する予製剤情報設定部と、
棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の前記薬剤の数である実棚在庫を取得し、前記予製剤情報から前記薬袋に入れられた前記薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得し、前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を前記薬剤の在庫数と判定する棚卸判定部と
を備え、
前記薬袋識別子は患者を識別する情報と連番とからなり、同時に渡す薬袋には連番が振られる薬剤棚卸支援装置。
【請求項2】
前記予製剤情報は、前記薬袋識別子ごとに棚卸が完了したか否かを示す棚卸完了情報を備え、
前記棚卸判定部は、
前記予製剤実棚数を取得すると、前記予製剤情報の前記薬袋識別子に対応する前記棚卸完了情報に基づいて前記予製剤実棚数が取得された薬袋について棚卸が完了したか否かを判定し、棚卸が完了したと判定すると、前記予製剤実棚数が取得された薬袋について棚卸が完了したことを示す情報を前記棚卸完了情報に設定する請求項1に記載の薬剤棚卸支援装置。
【請求項3】
前記棚卸判定部は、
前記棚卸完了情報に基づいて前記予製剤実棚数が取得された薬袋について棚卸が完了したか否かを判定し、棚卸が完了していると判定すると、棚卸が完了していることを示すメッセージを出力する請求項2に記載の薬剤棚卸支援装置。
【請求項4】
前記棚卸判定部は、
棚卸が開始されると、前記薬局における前記薬剤の在庫数を設定した在庫情報と前記予製剤情報とに基づいて、前記薬剤の棚卸日と、前記棚卸日における前記薬剤の論理在庫であって前記在庫情報に設定されている前記在庫数から前記予製剤情報に設定されている前記薬剤の前記予製数を減算した論理在庫と、前記棚卸日における予製剤論理数であって前記予製剤情報に設定されている前記薬剤の前記予製数である予製剤論理数とが設定された棚卸情報を生成する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薬剤棚卸支援装置。
【請求項5】
前記棚卸判定部は、
前記実棚在庫および前記予製剤実棚数を取得すると、取得した前記実棚在庫および前記予製剤実棚数を前記棚卸情報に設定する請求項4に記載の薬剤棚卸支援装置。
【請求項6】
前記棚卸判定部は、
前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数で前記在庫情報における前記薬剤の前記在庫数を更新する請求項4に記載の薬剤棚卸支援装置。
【請求項7】
薬局における薬剤の棚卸を支援する薬剤棚卸支援装置に用いられる薬剤棚卸支援方法において、
コンピュータが、予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、前記薬袋を識別する薬袋識別子と前記薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報に設定し、
コンピュータが、棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の前記薬剤の数である実棚在庫を取得し、前記予製剤情報から前記薬袋に入れられた前記薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得し、前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を前記薬剤の在庫数と判定する薬剤棚卸支援方法であって、
前記薬袋識別子は患者を識別する情報と連番とからなり、同時に渡す薬袋には連番が振られる薬剤棚卸支援方法。
【請求項8】
薬局における薬剤の棚卸を支援する薬剤棚卸支援装置に用いられる薬剤棚卸支援プログラムにおいて、
予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、前記薬袋を識別する薬袋識別子と前記薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報に設定する予製剤情報設定処理と、
棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の前記薬剤の数である実棚在庫を取得し、前記予製剤情報から前記薬袋に入れられた前記薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得し、前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を前記薬剤の在庫数と判定する棚卸判定処理と
をコンピュータに実行させる薬剤棚卸支援プログラムであって、
前記薬袋識別子は患者を識別する情報と連番とからなり、同時に渡す薬袋には連番が振られる薬剤棚卸支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤棚卸支援装置、薬剤棚卸支援方法、および、薬剤棚卸支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬局では、数日後に来局予定の患者のために予め調剤済の商品、すなわち予製剤が存在する。調剤には時間が掛かるため、例えば定期的に同じ薬剤が処方される患者の処方薬については、薬剤師が時間のある時に予め作り置きし、予製剤として薬局にて保管することが多い。
また、薬局では、商品の在庫数量を確認し、資産価値として評価する棚卸が実施される。棚卸では、薬局に存在する商品として予製剤に含まれる薬剤の数量も確認する必要がある。
通常、予製剤については目視にて数量を確認するか、あるいは数量確認が困難のため棚卸の期間内では予製剤を作成しないといった対応がとられている。
【0003】
特許文献1には、予製剤を作成し、患者の来訪時に予製データベースの情報を提示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調剤では、数種類の薬剤を混合する、あるいは複数の薬剤を一包化するといったことが行われる。よって、棚卸において調剤済みの予製剤を元の薬剤の数量として確認するには非常に時間が掛かり間違え易い、あるいは目視では確認できないという課題がある。特許文献1の技術では予製剤がデータ化されているが、そのデータを棚卸に利用することはできない。
【0006】
本開示では、予製剤のデータを棚卸に利用することにより、棚卸の処理時間を短縮させるとともに、棚卸の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るに薬剤棚卸支援装置は、薬局における薬剤の棚卸を支援する薬剤棚卸支援装置において、
予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、前記薬袋を識別する薬袋識別子と前記薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報に設定する予製剤情報設定部と、
棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の前記薬剤の数である実棚在庫を取得し、前記予製剤情報から前記薬袋に入れられた前記薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得し、前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を前記薬剤の在庫数と判定する棚卸判定部と
を備え、
前記薬袋識別子は患者を識別する情報と連番とからなり、同時に渡す薬袋には連番が振られる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る薬剤棚卸支援装置では、棚卸判定部が、棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の薬剤の数である実棚在庫を取得する。さらに、棚卸判定部が、患者を識別する情報と薬袋をその患者に同時に渡すことを示す連番からなる薬袋識別子と、薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として設定された予製剤情報から薬袋に入れられた薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得する。そして、棚卸判定部は、実棚在庫と予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を薬剤の在庫数と判定する。よって、本開示に係る薬剤棚卸支援装置によれば、予製剤のデータである薬袋管理情報を棚卸に利用することができ、棚卸の処理時間を短縮させるとともに、棚卸の精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る薬剤棚卸支援装置の構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る予製剤情報設定処理を示すフロー図。
【
図3】実施の形態1に係る在庫情報および予製剤情報の構成例を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る2次元コードが付加された薬袋の例を示す図。
【
図5】実施の形態1に係る予製剤情報設定処理を示すフロー図。
【
図6】実施の形態1に係る予製剤情報と棚卸情報におけるステップS201の状態を示す図。
【
図7】実施の形態1に係る予製剤情報と棚卸情報におけるステップS202の状態を示す図。
【
図8】実施の形態1に係る予製剤情報と棚卸情報におけるステップS206の状態を示す図。
【
図9】実施の形態1に係る予製剤情報と棚卸情報におけるステップS209の状態を示す図。
【
図10】実施の形態1に係る在庫情報におけるステップS209の状態を示す図。
【
図11】実施の形態1の変形例3に係る薬剤棚卸支援装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0011】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置100の構成例を示す図である。
薬剤棚卸支援装置100は、例えば、薬局などにおいて薬剤師が用いるレセプトコンピュータといった店舗端末装置に搭載されている。あるいは、薬剤棚卸支援装置100は、店舗端末装置とネットワークを介して通信する構成でもよい。
本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置100は、薬局における薬剤の棚卸を支援する装置である。
【0012】
薬剤棚卸支援装置100は、コンピュータである。薬剤棚卸支援装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0013】
薬剤棚卸支援装置100は、機能要素として、予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130と記憶部150を備える。記憶部150には、在庫情報51と予製剤情報52と棚卸情報53が記憶される。
【0014】
予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との機能は、ソフトウェアにより実現される。
記憶部150は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部150は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0015】
プロセッサ910は、薬剤棚卸支援プログラムを実行する装置である。薬剤棚卸支援プログラムは、予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うICである。プロセッサ910の具体例は、CPU、DSP、GPUである。ICは、Integrated Circuitの略語である。CPUは、Central Processing Unitの略語である。DSPは、Digital Signal Processorの略語である。GPUは、Graphics Processing Unitの略語である。
【0016】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM、あるいは、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略語である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略語である。
【0017】
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0018】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB端子である。なお、入力インタフェース930は、LANと接続されるポートであってもよい。USBは、Universal Serial Busの略語である。LANは、Local Area Networkの略語である。また、入力インタフェース930は、QRコード(登録商標)あるいは2次元バーコードといった2次元コードの読み取り機と接続されるポートである。QRは、Quick Responseの略語である。
【0019】
出力インタフェース940は、ディスプレイといった表示機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCDである。HDMI(登録商標)は、High Definition Multimedia Interfaceの略語である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略語である。また、出力インタフェース940は、QRコード(登録商標)あるいは2次元バーコードといった2次元コードを印刷するプリンタと接続されるポートである。
【0020】
通信装置950は、ネットワークを介して他の装置と通信する。通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、有線または無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNICである。NICは、Network Interface Cardの略語である。
【0021】
薬剤棚卸支援プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、薬剤棚卸支援プログラムだけでなく、OSも記憶されている。OSは、Operating Systemの略語である。プロセッサ910は、OSを実行しながら、薬剤棚卸支援プログラムを実行する。薬剤棚卸支援プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている薬剤棚卸支援プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、薬剤棚卸支援プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0022】
薬剤棚卸支援装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、薬剤棚卸支援プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、薬剤棚卸支援プログラムを実行する装置である。
【0023】
薬剤棚卸支援プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0024】
予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。薬剤棚卸支援プログラムは、予製剤情報設定処理と棚卸判定処理とコード生成処理といった薬剤棚卸支援処理を、コンピュータに実行させる。また、薬剤棚卸支援方法は、薬剤棚卸支援装置100が薬剤棚卸支援プログラムを実行することにより行われる方法である。
薬剤棚卸支援プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体または記憶媒体に格納されて提供されてもよい。また、薬剤棚卸支援プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0025】
***動作の説明***
図2から
図10を用いて、本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置100の動作について説明する。
薬剤棚卸支援装置100の動作手順は、薬剤棚卸支援方法および薬剤棚卸支援処理に相当する。また、薬剤棚卸支援装置100の動作を実現するプログラムは、薬剤棚卸支援プログラムに相当する。
【0026】
<予製剤情報設定処理>
図2は、本実施の形態に係る予製剤情報設定処理を示すフロー図である。
図3は、本実施の形態に係る在庫情報51および予製剤情報52の構成例を示す図である。
ステップS101において、予製剤情報設定部110は、予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、薬袋を識別する薬袋識別子520と、薬袋に入れられる薬剤の薬剤名521と、薬剤の数である予製数522とを薬袋管理情報528として予製剤情報52に設定する。
【0027】
ここで、
図3を用いて、在庫情報51および予製剤情報52の構成例を説明する。
在庫情報51には、薬局に保管されている薬剤の在庫数が設定される。
具体的には、在庫情報51には、薬剤名511と、薬剤名511が示す薬剤の在庫数512が設定される。
薬剤名511は、薬剤の名称である。
在庫数512は、薬剤において、薬局に保管されている全ての数を示す。すなわち、在庫数512は、実棚に保管されている未調剤の薬剤の数と、予製剤として薬袋に入れられた調剤済みの薬剤の数とを含む。
図3の在庫情報51の例では、薬局に、A錠が100錠、B錠が150錠、C錠が200錠、D錠が300錠、・・・の在庫が保管されていることを示している。
【0028】
予製剤情報52には、予製剤として作成された薬袋ごとに、薬袋識別子520と、薬剤名521と、予製数522と、棚卸完了情報523とが設定される。
薬袋識別子520は、薬袋を一意に識別する識別子である。
薬剤名521は、薬袋に入れられている薬剤の名称である。
予製数522は、薬袋に入れられている薬剤の数である。
棚卸完了情報523は、薬袋について棚卸が完了したか否かを示す情報である。棚卸完了情報523は、例えば、棚卸が完了していない場合は「0」、棚卸が完了した場合は「1」を設定するといったフラグである。棚卸完了情報523は棚卸完了フラグともいう。
薬剤名521が塗り薬等の場合は、予製数522は分量となる。複数の塗り薬が1つの容器に混ぜられて予製剤となる場合もある。
【0029】
薬袋とは、調剤された薬剤を患者に渡す際の袋である。薬袋識別子520は、患者を識別する患者識別子524と、患者に同時に渡す薬袋に振られる連番525とから構成される。患者ごとに、予製剤として複数の薬袋が存在する場合、薬袋ごとに連番を振る。つまり同一患者において同じ連番のものは、同一薬袋を示す。
また、薬袋管理情報528は、薬袋識別子520(患者識別子524、連番525)、薬剤名521、および予製数522から成る情報である。薬袋管理情報528は、薬袋ごとの薬袋識別子520(患者識別子524、連番525)、薬剤名521、および予製数522を指すものとする。
【0030】
図3の予製剤情報52の例では、患者「K100」に対しては予製剤として薬袋2つを渡す予定であることを示している。よって、患者「K100」に渡す2つの薬袋の薬袋識別子520は、患者識別子「K100」および連番「1」と、患者識別子「K100」および連番「2」となる。以下において、患者識別子「K100」および連番「1」から成る薬袋識別子を「K1001」と表記する。つまり、患者「K100」に渡す2つの薬袋の薬袋識別子520は、「K1001」と「K1002」である。
【0031】
図3の予製剤情報52の例では、薬袋識別子「K1001」の薬袋には、A錠が10錠、B錠が20錠入っていることが設定されている。また、棚卸完了情報523は「0」であるため、薬袋「K1001」について棚卸が完了していないことを示している。
また、
図3の予製剤情報52の例では、薬袋識別子「K1001」の薬袋の薬袋管理情報528は、薬袋識別子「K1001」、「A錠が10錠」、および「B錠が20錠」という情報である。
【0032】
薬剤師といった作業者は、予製剤を作成するタイミングで、入力インタフェース930を介して、作成した予製剤に関する情報を薬剤棚卸支援装置100に入力する。予製剤情報設定部110は、入力インタフェース930を介して、作業者より入力された予製剤に関する情報を取得する。
具体的には、予製剤情報設定部110は、入力インタフェース930を介して、薬袋ごとの患者識別子524、連番525、薬剤名521、および予製数522を薬袋管理情報528として予製剤情報52に設定する。また、予製剤情報設定部110は、薬袋ごとに薬袋管理情報528を出力する。
【0033】
ステップS102において、コード生成部130は、薬袋ごとに出力される薬袋管理情報528を取得し、薬袋ごとの薬袋管理情報528が格納された2次元コードを生成する。2次元コードは、QRコード(登録商標)あるいは2次元バーコードなどである。
コード生成部130は、出力インタフェース940を介して、2次元コードを薬袋に印刷することで、2次元コードを薬袋に付加する。あるいは、2次元コードはシールとして印刷され、シールの2次元コードが薬袋に付加されてもよい。また薬袋ごとの薬袋管理情報528が格納された1次元のコードを生成するように構成しても構わない。本実施の形態では、1次元のコードおよび2次元コードを含みコードと表する。
【0034】
図4は、本実施の形態に係る薬袋30の例を示す図である。
図4では、薬袋識別子「K1001」における薬袋管理情報528が格納された2次元コード31が、薬袋30に付加されている例を示している。ここでは、2次元コード31はQRコード(登録商標)である。なおこの薬袋30は、患者に薬剤を渡すときに用いる薬袋でもよいし、予製剤を保管するための袋であってもよい。
【0035】
<棚卸判定処理>
図5は、本実施の形態に係る棚卸判定処理を示すフロー図である。
棚卸判定処理では、棚卸判定部120は、棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の薬剤の数である実棚在庫を取得する。また、棚卸判定部120は、薬袋30に対応する薬袋管理情報528が格納された2次元コード31であって薬袋30に付加された2次元コード31を読み取ることにより、薬袋30に入れられた薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得する。そして、棚卸判定部120は、実棚在庫と予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を薬剤の在庫数と判定する。
具体的には、以下の通りである。
【0036】
ステップS201において、棚卸判定部120は、棚卸が開始されると、薬局における在庫情報51と予製剤情報52とに基づいて、棚卸情報53を生成する。また、棚卸判定部120は、予製剤情報52における棚卸完了情報523を初期化する。例えば、棚卸判定部120は、予製剤情報52におけるすべての棚卸完了情報523に「0」を設定することで、棚卸完了情報523を初期化する。
【0037】
図6は、本実施の形態に係る予製剤情報52と棚卸情報53におけるステップS201の状態を示す図である。
まず、棚卸情報53の構成例について説明する。
棚卸情報53には、棚卸日531と、薬剤名532と、論理在庫533と、予製剤論理数534と、実棚在庫535と、予製剤実棚数536とが設定される。
棚卸日531は、薬剤といった商品の棚卸の日である。
薬剤名532は、薬局に保管されている薬剤の名称である。棚卸判定部120は、在庫情報51の薬剤名511を用いて、薬剤名532を設定する。
【0038】
論理在庫533は、棚卸日における薬剤の論理的な在庫数、すなわち、在庫情報51と予製剤情報52とから算出される薬剤の数である。棚卸判定部120は、薬剤について、在庫情報51に設定されている在庫数512から、予製剤情報52に設定されている予製数522を減算した数を論理在庫533として設定する。例えば、薬剤A錠では、在庫情報51に設定されている在庫数512は「100」であり、予製剤情報52に設定されている予製数522は「10」である。よって、棚卸判定部120は、在庫数「100」から予製数「10」を減算した数「90」が、A錠の論理在庫533として設定される。また、薬剤C錠では、在庫情報51に設定されている在庫数512は「200」であり、予製剤情報52に設定されている予製数522は、薬袋識別子「K1001」で「30」、薬袋識別子「K2001」で「10」である。よって、棚卸判定部120は、在庫数「200」から予製数の合計数「40」を減算した数「160」を、C錠の論理在庫533として設定する。
【0039】
予製剤論理数534には、予製剤情報52に設定されている薬剤の予製数522が設定される。例えば、薬剤A錠では、予製剤情報52に設定されている予製数522は「10」である。よって、棚卸判定部120は、予製数「10」をA錠の予製剤論理数534として設定する。例えば、薬剤C錠では、予製剤情報52に設定されている予製数522は、薬袋識別子「K1001」で「30」、薬袋識別子「K2001」で「10」である。よって、棚卸判定部120は、C錠の全体の予製数として合計数「40」を算出し、「40」をC錠の予製剤論理数534として設定する。
【0040】
実棚在庫535には、棚卸を実施する作業者により実際に数が確認された、予製剤以外の薬剤の数が設定される。ステップS201の時点では、何も設定されていない。
予製剤実棚数536には、薬袋30に付加された2次元コード31を読み取ることにより取得される薬剤の予製数が設定される。ステップS201の時点では、何も設定されていない。
【0041】
また、
図6のステップS201の時点では、予製剤情報52におけるすべての棚卸完了情報523が「0」に初期化されている。
【0042】
次に、棚卸を実施する作業者により、調剤棚および倉庫といった実棚にある薬剤の数がカウントされ、数を確認される。実棚にある薬剤の数には、予製剤は含まれないものとする。つまり、ここでは予製剤以外の薬剤の棚卸が行われる。
ステップS202において、棚卸判定部120は、入力インタフェース930を介して、棚卸を実施する作業者により数が確認された薬剤の在庫数を受け付け、棚卸情報53の実棚在庫535に設定する。棚卸判定部120は、複数の作業者の各々から同じ薬剤の在庫数を受け付ける場合は、それらの在庫数を加算して実棚在庫535を更新する。
【0043】
図7は、本実施の形態に係る予製剤情報52と棚卸情報53におけるステップS202の状態を示す図である。
図7では、棚卸を実施する作業者による予製剤以外の薬剤の在庫数が設定された状態を示している。
図7の例において、薬剤Aでは、作業者が実際に数を確認した予製剤以外の数は「88」である。A錠では論理在庫が「90」であるため、実棚在庫「88」と相違している。これは前回の棚卸作業時から今回の棚卸作業時までの間に紛失や数の確認間違い等何らかの誤りがあったことを示している。このように、棚卸情報53に論理在庫533が設定されているため、論理在庫533と実棚在庫535との数の相違が明確となる。
【0044】
ステップS203において、棚卸判定部120は、薬袋30に付加された2次元コード31を読み取ることにより、薬袋30に入っている薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得する。
具体的には、作業者が予製剤の薬袋30に付加されている2次元コード31を、読み取り機を用いて読み取る。ここで読み取られる読み取り情報は、薬袋30に対応する薬袋管理情報である。棚卸判定部120は、入力インタフェース930を介して、2次元コード31に格納されている薬袋管理情報を取得する。薬袋管理情報には、
図4に示すように、薬袋識別子、薬剤名、予製数が格納されている。棚卸判定部120は、薬袋管理情報に含まれる薬剤名が示す薬剤の予製数を、当該薬剤の予製剤実棚数として取得する。例えば、
図4における2次元コード31を読み取った場合、棚卸判定部120は、薬袋管理情報を取得して、A錠の予製剤実棚数「10」およびB錠の予製剤実棚数「20」を取得する。
【0045】
ステップS204において、棚卸判定部120は、予製剤実棚数を取得すると、予製剤情報52の棚卸完了情報523に基づいて、予製剤実棚数が取得された薬袋30について棚卸が完了したか否かを判定する。
具体的には、棚卸判定部120は、取得した薬袋管理情報に含まれる薬袋識別子を用いて、予製剤情報52を参照し、薬袋識別子に対応する棚卸完了情報に「0」が設定されているか否かを判定する。
図4の例では、取得した薬袋管理情報に含まれる薬袋識別子は「K1001」である。よって、棚卸判定部120は、薬袋識別子「K1001」を用いて、予製剤情報52を参照し、薬袋識別子「K1001」の棚卸完了情報523に「0」が設定されているか否かを判定する。
【0046】
棚卸判定部120は、棚卸完了情報に「1」が設定されている、すなわち棚卸が完了していると判定すると、ステップS205に進む。
ステップS205において、棚卸判定部120は、既に棚卸が完了していることを示すメッセージを出力する。例えば、「この薬袋は既に棚卸完了済みです!!」といったメッセージを出力する。
【0047】
棚卸判定部120は、棚卸完了情報に「0」が設定されている、すなわち棚卸が完了していないと判定すると、ステップS206に進む。
ステップS206において、棚卸判定部120は、ステップS203にて取得した薬剤の予製剤実棚数を棚卸情報53の予製剤実棚数536に設定する。具体的には、作業者が薬袋30の2次元コード31を読み取るたびに、棚卸判定部120は、棚卸情報53の予製剤実棚数536を更新する。
そして、棚卸判定部120は、予製剤実棚数が取得された薬袋30について棚卸が完了したことを示す情報を棚卸完了情報523に設定する。具体的には、棚卸判定部120は、取得した薬袋管理情報に含まれる薬袋識別子に対応する棚卸完了情報523に「1」を設定する。
【0048】
図8は、本実施の形態に係る予製剤情報52と棚卸情報53におけるステップS206の状態を示す図である。
図8では、薬袋識別子「K1001」と薬袋識別子「K1002」まで処理が完了した状態を示している。
図8では、薬袋識別子「K1002」の薬袋30に付加されている2次元コード31から読み取られた「C錠が30錠」の情報までが棚卸情報53に設定されている。
【0049】
ステップS207において、棚卸判定部120は、予製剤情報52における棚卸完了情報523のすべてに「1」が設定されているかを判定する。すなわち、棚卸判定部120は、予製剤として作成されたすべての薬袋30について、棚卸が完了したかを判定する。
【0050】
棚卸完了情報523の中に「0」が存在する、すなわち予製剤として作成された薬袋30のうち棚卸が未完了のものがある場合、ステップS203に戻る。棚卸判定部120は、2次元コード31が読み取られた次の薬袋30の薬袋管理情報を取得し、ステップS203以降の処理を繰り返す。
【0051】
棚卸完了情報523のすべてに「1」が設定されている、すなわち予製剤として作成されたすべての薬袋30について、棚卸が完了した場合、ステップS208に進む。
ステップS208において、棚卸判定部120は、予製剤として作成されたすべての薬袋30について棚卸が完了したことを示すメッセージを出力する。例えば、「予製剤の薬袋の棚卸がすべて終わりました!」といったメッセージを表示機器に表示する。これにより、作業者は予製剤の薬袋の棚卸がすべて終わったことがわかり、2次元コードの読み取りを終了することができる。
【0052】
ステップS209において、棚卸判定部120は、棚卸情報53における実棚在庫535と予製剤実棚数536とを加算し、加算により得られた数で在庫情報51における薬剤の在庫数512を更新する。
【0053】
図9は、本実施の形態に係る予製剤情報52と棚卸情報53におけるステップS209の状態を示す図である。
図10は、本実施の形態に係る在庫情報51におけるステップS209の状態を示す図である。
図9および
図10では、作業者による予製剤以外の棚卸処理と、予製剤の薬袋30すべての棚卸処理とが完了し、棚卸情報53において実棚在庫535と予製剤実棚数536との設定が完了している。
棚卸判定部120は、棚卸情報53における実棚在庫535と予製剤実棚数536とを加算し、加算により得られた数で在庫情報51における薬剤の在庫数512を更新する。
【0054】
図9および
図10の例では、A錠の実棚在庫「88」と予製剤実棚数「10」とを加算し、加算により得られた数「98」で在庫情報51におけるA錠の在庫数512を「98」に更新している。A錠では、在庫数512が「100」から「98」に変わっている。同様に、C錠についても在庫情報51における在庫数512が「200」から「202」に変わっている。
【0055】
以上のように、薬剤棚卸支援処理により、予製剤の在庫がある場合についても棚卸が適切になされ在庫情報51を更新することができる。
【0056】
***他の構成***
<変形例1>
図5では、実棚在庫を取得する処理(ステップS202)の次に、予製剤の薬袋に付加された2次元コードから薬袋管理情報を読み取る処理(ステップS203)が実行されている。しかし、ステップS202とステップS203の順序は逆でもよいし、ステップS202とステップS203とを並行して実行してもよい。本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置の機能が実現可能であれば処理の順序は問わない。
【0057】
<変形例2>
棚卸情報53において実棚在庫535と予製剤実棚数536との設定がすべて完了すると、棚卸判定部120は、論理在庫533と実棚在庫535とを比較し、その差が予め設定されて閾値より大きい場合には、メッセージを表示する機能を有していてもよい。例えば、「論理在庫と実棚在庫とは100錠以上相違します!!」といったメッセージを表示してもよい。
また、棚卸情報53において実棚在庫535と予製剤実棚数536との設定がすべて完了すると、棚卸判定部120は、予製剤論理数534と予製剤実棚数536とを比較し、その差が予め設定されて閾値より大きい場合には、メッセージを表示する機能を有していてもよい。例えば、「予製剤論理数と予製剤実棚数は100錠以上相違します!!」といったメッセージを表示してもよい。
このような機能により、作業者による実棚在庫の数の確認漏れといったミス、あるいは販売時や調剤時の誤りや不正などを見つけ易くすることができる。
【0058】
<変形例3>
図11は、本実施の形態の変形例3に係る薬剤棚卸支援装置100の構成例を示す図である。
本実施の形態では、薬剤棚卸支援装置100における予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との機能がソフトウェアで実現される。しかし、変形例として、予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0059】
すなわち、
図11に示すように、
図1におけるプロセッサ910を電子回路909に置き換えてもよい。
電子回路909は、予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0060】
別の変形例として、予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との一部の機能が専用のハードウェアで実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0061】
プロセッサ910と、メモリ921と、電子回路909とを、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、予製剤情報設定部110と棚卸判定部120とコード生成部130との機能はプロセッシングサーキットリにより実現される。
【0062】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置によれば、予製剤のデータである薬袋管理情報を棚卸に利用することができ、棚卸の精度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置によれば、予製剤の薬袋に付加された2次元コードを読み取ることで予製剤の棚卸をすることができるので、棚卸の処理時間を短縮させることができるという効果を奏する。
【0063】
また、本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置では、棚卸情報に、在庫情報と予製剤情報とから算出された論理在庫を設定し、実際に作業者により数を確認された実棚在庫との比較が容易となる。よって、本実施の形態に係る薬剤棚卸支援装置によれば、棚卸や販売の際の誤りや不正を見つけることが容易になるという効果を奏する。
【0064】
以上の実施の形態1では、薬剤棚卸支援装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、薬剤棚卸支援装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。薬剤棚卸支援装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、薬剤棚卸支援装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、各部分の自由な組み合わせ、あるいは実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0065】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、フロー図あるいはシーケンス図を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【0066】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0067】
(付記1)
薬局における薬剤の棚卸を支援する薬剤棚卸支援装置において、
予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、前記薬袋を識別する薬袋識別子と前記薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報に設定する予製剤情報設定部と、
棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の前記薬剤の数である実棚在庫を取得し、前記予製剤情報から前記薬袋に入れられた前記薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得し、前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を前記薬剤の在庫数と判定する棚卸判定部と
を備え、
前記薬袋識別子は患者を識別する情報と連番とからなり、同時に渡す薬袋には連番が振られる薬剤棚卸支援装置。
(付記2)
前記予製剤情報は、前記薬袋識別子ごとに棚卸が完了したか否かを示す棚卸完了情報を備え、
前記棚卸判定部は、
前記予製剤実棚数を取得すると、前記予製剤情報の前記薬袋識別子に対応する前記棚卸完了情報に基づいて前記予製剤実棚数が取得された薬袋について棚卸が完了したか否かを判定し、棚卸が完了したと判定すると、前記予製剤実棚数が取得された薬袋について棚卸が完了したことを示す情報を前記棚卸完了情報に設定する付記1に記載の薬剤棚卸支援装置。
(付記3)
前記棚卸判定部は、
前記棚卸完了情報に基づいて前記予製剤実棚数が取得された薬袋について棚卸が完了したか否かを判定し、棚卸が完了していると判定すると、棚卸が完了していることを示すメッセージを出力する付記2に記載の薬剤棚卸支援装置。
(付記4)
前記棚卸判定部は、
棚卸が開始されると、前記薬局における前記薬剤の在庫数を設定した在庫情報と前記予製剤情報とに基づいて、前記薬剤の棚卸日と、前記棚卸日における前記薬剤の論理在庫であって前記在庫情報に設定されている前記在庫数から前記予製剤情報に設定されている前記薬剤の前記予製数を減算した論理在庫と、前記棚卸日における予製剤論理数であって前記予製剤情報に設定されている前記薬剤の前記予製数である予製剤論理数とが設定された棚卸情報を生成する付記1から付記3のいずれか1項に記載の薬剤棚卸支援装置。
(付記5)
前記棚卸判定部は、
前記実棚在庫および前記予製剤実棚数を取得すると、取得した前記実棚在庫および前記予製剤実棚数を前記棚卸情報に設定する付記4に記載の薬剤棚卸支援装置。
(付記6)
前記棚卸判定部は、
前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数で前記在庫情報における前記薬剤の前記在庫数を更新する付記4または付記5に記載の薬剤棚卸支援装置。(付記7)
薬局における薬剤の棚卸を支援する薬剤棚卸支援装置に用いられる薬剤棚卸支援方法において、
コンピュータが、予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、前記薬袋を識別する薬袋識別子と前記薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報に設定し、
コンピュータが、棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の前記薬剤の数である実棚在庫を取得し、前記予製剤情報から前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を前記薬剤の在庫数と判定する薬剤棚卸支援方法であって、
前記薬袋識別子は患者を識別する情報と連番とからなり、同時に渡す薬袋には連番が振られる薬剤棚卸支援方法。
(付記8)
薬局における薬剤の棚卸を支援する薬剤棚卸支援装置に用いられる薬剤棚卸支援プログラムにおいて、
予め調剤された予製剤の薬袋ごとに、前記薬袋を識別する薬袋識別子と前記薬袋に入れられる薬剤の名称と、前記薬剤の数である予製数とを薬袋管理情報として予製剤情報に設定する予製剤情報設定処理と、
棚卸を実施する作業者により数を確認された予製剤以外の前記薬剤の数である実棚在庫を取得し、前記予製剤情報から前記薬袋に入れられた前記薬剤の予製数である予製剤実棚数を取得し、前記実棚在庫と前記予製剤実棚数とを加算し、加算により得られた数を前記薬剤の在庫数と判定する棚卸判定処理と
をコンピュータに実行させる薬剤棚卸支援プログラムであって、
前記薬袋識別子は患者を識別する情報と連番とからなり、同時に渡す薬袋には連番が振られる薬剤棚卸支援プログラム。
【符号の説明】
【0068】
30 薬袋、31 2次元コード、51 在庫情報、52 予製剤情報、53 棚卸情報、100 薬剤棚卸支援装置、110 予製剤情報設定部、120 棚卸判定部、130 コード生成部、150 記憶部、511,521,532 薬剤名、512 在庫数、520 薬袋識別子、522 予製数、523 棚卸完了情報、524 患者識別子、525 連番、528 薬袋管理情報、531 棚卸日、533 論理在庫、534 予製剤論理数、535 実棚在庫、536 予製剤実棚数、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置。