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特開2024-83336生産スケジュール管理装置及び生産スケジュール管理装置に係るコンピュータプログラム
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  • 特開-生産スケジュール管理装置及び生産スケジュール管理装置に係るコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083336
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】生産スケジュール管理装置及び生産スケジュール管理装置に係るコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20240614BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240614BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197558
(22)【出願日】2022-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】722014767
【氏名又は名称】かまちょっかい株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金城拓登
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】日報を効果的に運用し、効率的な生産スケジュールを作成する。
【解決手段】許諾端末にて入力された日報データの受信、蓄積、集計、数値処理、開示を行う手段と、許諾端末にて入力された受注データを受信し、過去の生産実績を参照して生産スケジュールを自動作成する手段を備えた生産スケジュール管理装置及び、その生産スケジュール管理装置を制御するコンピュータプログラムである。日報内の数値データを集計することで、在庫数及び製品1つの生産に掛かるサイクルタイムなどを取得できるため、蓄積した受注データから受注ロット数などの数値データを抽出すれば、受注製品の生産に掛かる日数を算出することが可能になる。前記の生産に掛かる日数と受注時の納期の数値データを用いて、設備利用率が高く、かつ納期までに作業を完了予定であることをともに実現する生産スケジュールを自動作成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに集計し、前記の許諾端末にて生産スケジュールが閲覧可能であるようにするスケジュール管理装置であって、
前記の許諾端末について入力された日報データを受信する日報受信手段と、
その日報受信手段が受信した日報データを蓄積する日報蓄積手段と、
日報蓄積手段が蓄積した日報データを他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手段と、
許諾端末にて入力された受注データを受信する受注受信手段と、
その受注受信手段が受信した受注データを蓄積する受注蓄積手段と、
生産スケジュールを作成する生産スケジュール作成手段と、
作成された生産スケジュールを所定の権限が付与された端末が閲覧可能であるように開示する機能を備えた生産スケジュール管理装置。
【請求項2】
所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに、前記の許諾端末にて前記の日報集計手段が集計した日報データが閲覧可能であるようにする生産スケジュール管理装置を制御するコンピュータプログラムであって、そのコンピュータプログラムは、
前記の許諾端末について入力された日報データを受信する日報受信手順と、
その日報受信手順が受信した日報データを蓄積する日報蓄積手順と、
その日報蓄積手順が蓄積した日報データを集計する日報集計手順と、
その日報集計手順が集計した日報データを他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手順と、
前記の許諾端末にて入力された受注データを受信する受注受信手順と、
その受注受信手順にて受信した受注データを蓄積する受注蓄積手順と、
その受注蓄積手順が蓄積した受注データから必要な生産量を算出する生産量算出手順と、
その生産量算出手順が算出した必要生産量に対し生産に掛かる日数を算出する生産日数算出手順と、
算出した生産日数などの数値データから生産スケジュールを作成する生産スケジュール作成手順と、
その生産スケジュール作成手順が作成した生産スケジュールが他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する生産スケジュール開示手順と、
を前記の生産スケジュール管理装置に実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場及び事業所などの組織内において組織構成員が記録する日報の効果的な運用と、効率的な生産スケジュールの作成に寄与する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
組織の管理者(主に管理職)は、組織構成員(主に従業員)の作業による生産量の管理のため、日報を記入することを義務化している場合が多い。日報は記入者名、日付、生産個数、不良数、不良の内訳など、組織の業務内容や発注元企業の品質管理の水準などに応じて様々な必要項目が記載された報告書であり、従来より多くは紙媒体で記入されてきた。
【0003】
日報で収集した製品ごとの日々の生産量や不良数のデータが十分に分析されていれば、直近の生産における原料や作業時間の無駄を省いた効率的な生産スケジュールの作成が可能となる。しかし、多くの中小製造業の工場では、日報データを生産スケジュールに反映する電子的なシステムが整っていない。その結果、十分な日報の分析が為されないまま、管理者の経験に頼って紙媒体で記入された生産スケジュールがホワイトボードに掲示される形で共有される場合が多い。
【0004】
理想としては、組織の独自性に合わせて自社で生産管理のソフトウェアを開発、または外部にオーダーすることが望ましいが、この場合、導入コストや手間が増大し、中小企業にとっては大きな負荷となる。そこで既存のパッケージ型ソフトウェアを用いて、日報システムの導入のコストや手間を省くことが考えられるが、統一されたパッケージでは組織の独自性が犠牲になるため、パッケージ内の利用しない機能にもコストが生じることとなる。このようにして、コストの問題からオーダー及びパッケージ型ソフトウェアのどちらも導入されず、手作業での日報の集計が継続され、収集したデータが十分に活用されない状態が続くこととなる。
【0005】
従来より、生産実績を把握し、生産計画を実績に合わせて管理する情報処理装置は存在する。例えば特許文献1には、生産実績の入力を簡易化させることでリアルタイムの生産状況を反映させた生産計画を作成する、とされる情報処理装置についての発明が記載されている。これを用いれば、リアルタイムで日報に記載された生産実績を可視化し、生産計画に反映させるという、必要とされる機能に絞った生産管理システムを作成できる。
ここで言う「生産スケジュール」とは、製品ごとの生産開始日や生産終了予定日などを指した大まかな生産に関わる予定のことである。一方で「生産計画」とは、生産スケジュールの中でも、製品を生産する工程ごとのより細かいステップでの生産予定を指している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-177104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、日報にて生産実績を取得する目的としては、原料や人員及び生産設備といったリソースの無駄を省き、効率の良い生産スケジュールを作成する、という中長期的なものが大きい。つまり、リアルタイムの生産状況が可視化され、直近の工程に関する生産計画に反映される装置があるとしても、前記の中長期的な日報管理の目的を達成したとは言えず、課題が残っている。
【0008】
中長期的な目線での日報の運用が困難となる理由は、前記のような日報の分析ツールと生産管理システムが接続されていない、という環境的なものだけではない。それを、日報を書く作業者A、日報の集計を行う事務作業員B、生産スケジュールを組む管理者Cについてまとめた図1を用いて説明する。
まず、多くの作業者は、出来る限り機械の稼働時間を長く取り、作業時間内の生産量を最大化することを常に念頭に置いている。そのため、連続的に生産される製品の検品や、次に生産する製品の準備といった目の前の作業に追われており、不良数を含め日報を書き続けることで、将来的に効率の良い生産スケジュールが実現できるという事実を忘れてしまいがちである。よって次第に日報を書き続ける意欲が失われ、日報には生産数量のみといった最低限の記録しか為されないケースが多くなる。そのような組織では、生産管理への意識が次第に低下していき、日報の集計作業は事務作業員が、最低限の数値処理によって累計生産数量を算出し、管理職がそれを確認するという程度で抑えられることとなる。
【0009】
このような過程で、中長期的な目的を意識した日報の運用が困難になる。そして、生産資源に関する無駄が改善されないまま、生産スケジュールが組まれ続けた結果、日々の生産状況や受注に応じて場当たり的に生産スケジュールを組み替え続ける必要が生まれる。すなわち、さらに短期的な目的ばかりを意識して日報が運用されることとなる。
【0010】
前記のような状況において、作業者としては日々の生産作業に追われており、記録した日報を事務作業員の代わりに分析するような時間的余裕は無く、そのような意欲も薄い。事務作業員としても、労務管理などの他の事務作業があり日報の分析に割く時間がない場合が多い。管理職も作業者と同様に生産作業が第一優先であるため、生産スケジュールの評価及び改善に割く時間は少ない。
【0011】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、日報を効果的に運用し、効率的な生産スケジュールを作成する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決するため、生産スケジュール管理装置に係る第一の発明、第一の発明に係る生産スケジュール管理装置を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0013】
(第一の発明)
第一の発明は、所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに集計し、前記の許諾端末にて生産スケジュールが閲覧可能であるようにする生産スケジュール管理装置であって、
すなわち、前記の許諾端末について入力された日報データを受信する日報受信手段と、
その日報受信手段が受信した日報データを蓄積する日報蓄積手段と、
日報蓄積手段が蓄積した日報データを他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手段と、
許諾端末にて入力された受注データを受信する受注受信手段と、
その受注受信手段が受信した受注データを蓄積する受注蓄積手段と、
生産スケジュールを作成する生産スケジュール作成手段と、
作成された生産スケジュールを所定の権限が付与された端末が閲覧可能であるように開示する機能を備えた生産スケジュール管理装置である。
【0014】
(用語説明)
「所定の権限に係る双方向通信」とは、日報や受注に関わる数値及びテキストデータの送信及び閲覧などに関し、事前に定められた権限に基づいてデータの送受信が可能である双方向通信のことを指す。たとえば、日報の送信、閲覧ができる権限や生産スケジュールの閲覧ができる権限などをIDやパスワードとともに事前に定めている(許諾端末に対して、生産スケジュール管理装置(サーバ)を介して、サーバ管理者が設定する)。
【0015】
「日報開示手段」は、日報データを入力および送信した許諾端末とは別の許諾端末にて閲覧可能である、としている。しかし、日報データを入力及び送信した許諾端末においても閲覧可能であるように設定することを妨げない。
同様に「生産スケジュール開示手段」は、受注データを入力及び送信した許諾端末とは別の許諾端末にて閲覧可能である、としているが、受注データを入力および送信した許諾端末においても閲覧可能であるように設定することを妨げない。
【0016】
「日報開示手段」は、日報に記録された日々の生産量や不良数などの日報内の数値データを用いて算出した、予定生産数量に対する進捗割合や全生産数に対する不良率などの数値データを図などにまとめて開示する。
生産スケジュール開示手段は、生産の開始日及び終了日、担当者、生産個数、生産設備の名称など、生産スケジュール作成手段が作成した生産に関する予定を、閲覧用にガントチャートなどの図にまとめて開示する。
【0017】
許諾端末にて入力された日報データを日報受信手段が受信し、受信したデータは日報蓄積手段が蓄積する。蓄積した日報データは日報開示手段において数値処理され、閲覧用に日報集計データとして集計された後、他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する。
【0018】
許諾端末にて入力された受注データを受注受信手段が受信し、受信したデータは受注蓄積手段が蓄積する。蓄積された受注データを用いて、生産スケジュール作成手段が生産スケジュールを作成する。生産スケジュールは他の許諾端末が閲覧可能であるように生産スケジュール開示手段が開示する。
【0019】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、カメラやセンサーなど自動で所定期間内の生産数量及び不良数をカウントする生産検知装置と、生産検知装置がカウントした生産個数及び不良数を、作業者の代わりに送信する自動送信手段を備え、その自動送信手段にて送信された数値データを前記の日報受信手段にて受信することとするのである。
【0020】
(用語説明)
「所定期間」とは、工場における3交代制勤務での「8時間」や、「1日間」といった生産に関わる区切りごとの時間を指す。
【0021】
(作用)
自動送信手段にて送信された日報は、日報受信手段が受信する。
作業者は検品などの作業に追われているため、「不良の内訳」などは日報にも特に記録されず、データとして活用されていない場合が多い。生産のカウント及び検品が自動化され、生産数量及び不良数が自動入力されることで、入力の際の人為的な間違い(数値の入力ミスや入力忘れなど)を減少させることが出来る上に、今まで収集できなかったデータの取得が可能になる。
【0022】
(第二の発明)
第二の発明は、所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに集計し、前記の許諾端末にて生産スケジュールが閲覧可能であるようにする生産スケジュール管理装置を制御するコンピュータプログラムであって、そのコンピュータプログラムは、
前記の許諾端末について入力された日報データを受信する日報受信手順と、
その日報受信手順が受信した日報データを蓄積する日報蓄積手順と、
その日報蓄積手順が蓄積した日報データを集計する日報集計手順と、
その日報集計手順が集計した日報データを他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手順と、
前記の許諾端末にて入力された受注データを受信する受注受信手順と、
その受注受信手順にて受信した受注データを蓄積する受注蓄積手順と、
その受注蓄積手順が蓄積した受注データから必要な生産量を算出する生産量算出手順と、
その生産量算出手順が算出した必要生産量に対し生産に掛かる日数を算出する生産日数算出手順と、
算出した生産日数などの数値データから生産スケジュールを作成する生産スケジュール作成手順と、
その生産スケジュール作成手順が作成した生産スケジュールが他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する生産スケジュール開示手順と、
を前記の生産スケジュール管理装置に実行させるコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
第一の発明によれば、日報の効果的な運用及び効率的な生産スケジュール作成に寄与する生産スケジュール管理装置を提供することができた。
第二の発明によれば、日報の効果的な運用及び効率的な生産スケジュール作成に寄与する生産スケジュール管理装置の制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来の工場における日報の運用に関して問題が発生する理由を、事務作業員、管理職、作業者の立場で説明する様子を示す概念図である。
図2】本発明における日報データの受信、蓄積、集計、集計された日報データの閲覧を行う際の構成を表現したブロック図である。
図3】本発明における受注データの受信、蓄積、生産スケジュールの作成、開示を行う際の構成を表現したブロック図である。
図4】本発明における日報開示手段が日報集計データを開示したことで閲覧できる画面(管理者の効率の良い進捗把握に寄与する画面)の一例である。
図5】本発明における生産スケジュール開示手段が生産スケジュールを開示したことで閲覧できる画面(ガントチャート)の一例である。
図6】本発明における生産スケジュール作成手段が生産スケジュールを作成する際の構成を表現したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明では、日報効果的に運用し、効率の良い生産スケジュールの作成に活用するという目的をコンピュータプログラムによる生産スケジュールの自動計算にて実現した。
以下、本発明を図面および実施形態に基づいて、説明する。ここで使用する図面は、図2から図6である。
【0026】
図2
図2に示した日報の集計及び開示の実施の一例について、以降で説明する。
ある会社組織に作業者Aおよび事務作業員B、そして管理職Cが在籍し、その会社組織が作業者に日々の生産数の把握のために日報の記入を義務づけていること、そしてその日報の電子データを生産スケジュール管理サーバにて管理している状況を前提としている。作業員Aは端末A(スマートフォン)を、事務作業員Bは端末B(ノートパソコン)を、管理職Cは端末C(スマートフォン)にて、生産スケジュール管理サーバとの双方向通信を行っている。
端末A、B、Cは、日報管理サーバとの通信の際に、メールアドレスとパスワードの入力を求めるなどして、本人である旨の個人認証を前提として双方向通信が可能となる。すなわち、メールアドレスとパスワードの入力をすれば、同じアカウントを共有する別の端末からも生産スケジュール管理サーバとの通信が可能となる。
作業員Aが日報として、生産数量や不良数といった数値データを、端末Aの日報入力手段を介して入力し、生産スケジュール管理サーバへ送信する。
生産スケジュール管理サーバでは、端末Aから送信される日報データを日報受信手段にて受信し、日報蓄積手段へ蓄積する。そして、日報開示手段によって閲覧用に数値処理し、端末A、B、Cが日報を閲覧可能な状態に開示する。
端末Bおよび端末Cが日報開示手段へアクセスして、社員Aが入力および送信した日報が集計された日報集計データを閲覧したとする。
この際、事務作業員Bや管理職Cが閲覧する画面は、作業者Aが入力した生産数量や不良数といった数値データだけでなく、数値データが日報開示手段によって処理され、閲覧用に加工された、生産進捗を表す円グラフや時間ごとの生産数を表現した棒グラフなども閲覧することが出来る。詳細な画面のイメージの一例は、図5に示してある。
【0027】
図3
図3に示した生産スケジュールの作成及び開示の実施の一例について説明する。
事務作業員Bは社外から発注を受けた際、発注元企業などのテキストデータや、ロット数及び納期といった数値データを端末Bの受注データ入力手段を介して入力し、生産スケジュール管理サーバへ送信する。生産スケジュール管理サーバでは、端末Bから送信される受注データを受注受信手段にて受信、受注蓄積手段にて蓄積する。所定期間が経過すると事務作業員Bが、生産スケジュールの自動作成を行うように端末Bから生産スケジュール管理サーバから指示を送信する。
指示を受けると生産スケジュール管理装置は、受注蓄積手段に蓄積された受注データ内の数値データを用いて生産量及び生産日数について数値処理を行う。そして、受注データ内の納期などの数値データなどと合わせて、生産スケジュール作成手段によって生産スケジュールを作成する。作成した生産スケジュールは生産スケジュール開示手段にて端末A、B、Cが閲覧可能な状態に開示する。生産スケジュールを作成する際に利用する数値データの一例を図6に示している。
また端末A、端末Bおよび端末Cが生産スケジュール開示手段へアクセスして、事務作業員Bが入力および送信した受注データによって作成された生産スケジュールを閲覧したとする。この際、作業員Aや事務作業員B、管理職Cが閲覧する画面は、どの生産設備を用いて何をどの期間に生産するのかを表現したガントチャートなどを閲覧することになる。詳細な画面のイメージの一例については、図5に示してある。
【0028】
図4
図4に、社員が端末を通じて日報開示手段にアクセスして閲覧する日報開示画面の一例を示している。
画面には生産設備ごとのカードが並んでおり、カード内の左側には生産の進捗を示す生産割合グラフが表示されている。カード内の右側には上から生産設備名、生産品名、生産数、生産担当者、納期に関するテキストデータが並んでいる。
生産割合グラフは、ある製品に関して作業者Aが入力した日報データ内の日々の生産数を、その品目を受注した際に事務作業員Bが入力した受注データ内のロット数で除するなどして日報開示手段が算出する。
【0029】
図5
本発明では、日報を効率的な生産スケジュール作成に活用するという目的を、収集した日報データの自動集計及び生産スケジュールの開示にて実現した。図5には、実施の一例として、社員が端末の生産スケジュール閲覧手段を通じて生産スケジュール開示手段にアクセスして閲覧する、生産スケジュール開示画面を示している。その一例について、以降で説明する。
画面上部には、閲覧日を起点とした日付が配置されている。画面ではおよそ1週間分のスケジュールを表示しているが、画面を左右に操作することで自由に過去、または未来の生産スケジュールを確認することが出来る。
生産スケジュールを開くと、まずは左の図のように、現在の生産設備ごとの稼働予定が表示される。画面上部には日程が横向きに並び、画面左側には生産設備の名称が縦に並べられている。そして生産設備ごとに、各製品の生産を行う期間をガントチャートによって可視化している。その後、生産設備を選択すると、右の図のように今後、生産予定の製品について、その作業開始と終了の予定日を表現したガントチャートが表示される。
【0030】
図6
図6には実施の一例として、生産スケジュール作成手段が生産スケジュールを作成する際に、どのようなデータを抽出するかを示している。以降でその一例について説明する。
生産スケジュールを作成する際は、製品の生産が指定された納期に間に合うことが必要である。従って受注時に入力される納期の数値データを受注蓄積手段より抽出する。
また、受注したロット数に対し、すべてを作る必要は無く、製品の在庫を一部引き当てることが出来る場合がある。日報開示手段が集計した日報データから在庫に関する数値データを抽出し、注文ロット数との差を取ることで、新しく生産する必要がある良品の個数が算出できる。品番のテキストデータによって過去に集計した日報データを検索すれば、ある製品の不良数を取得できる。これより、算出した良品の必要個数に加え、取得した不良率の数値データを考慮することで、実際に生産する必要がある生産量を算出することが出来る。
また事前に、組織ごとに「マスタ」と呼ばれる製品のデータベースを生産スケジュール管理装置に搭載しておけば、受注データ内の製品の品番のテキストデータによってマスタ内を検索し、製品を1つ生産するために掛かるサイクルタイムを抽出することが出来る。マスタが存在しない場合も、サイクルタイムは日報にて収集した生産数量と、機械の稼働時間から日報開示手段が算出することが出来る。その後、前記のように算出した生産量を、そのサイクルタイムで除することで、生産に掛かる日数を算出することが出来る。
生産スケジュール作成手段は、その生産に掛かる日数の数値データと、受注データ内の納期の数値データ、前記の日報開示手段にて集計した日報データから抽出した「機械の稼働時間以外の作業に掛かる時間」の数値データをもとに、出来る限り設備稼働率が高く、かつ納期に間に合う生産が可能なスケジュールを作成する。
各製品を生産可能な生産設備は、手動で事前に入力しておく、あるいは前記の日報開示手段が集計した日報データから、過去にどの製品をどの生産設備で生産したかというデータベースを作成し、抽出するなどで生産スケジュール管理装置に入力することが出来る。
【0031】
上記のような実施例において、スケジュール作成者は、機械の故障や急な追加発注など変更の必要がある場合に生産効率を落とすことなくスケジュールの組み換えが可能となる。また、スケジュールを作成する際の基準に単価などの要素を追加することで複数のスケジュールの中から、利益率や売り上げなど各社の基準に即した最適なスケジュールを選択することも可能となる。
同様の実施例において、事務作業員は時間の余裕が無いために、収集した日報に対し生産個数の集計を行う程度に留まるという問題があったが、日報の集計、グラフによる生産割合の可視化、サイクルタイムなど高度なデータ分析が自動で達成されることとなる。これにより事務作業員は、他の業務への時間の配分及び、さらなる効率化に向けた高度な分析などの選択肢を持つことが出来るようになる。
【0032】
図示は省略しているが、本発明を基にした生産スケジュール管理システムに含まれる主要な機能は、自らの組織に抱える必要は無く、インターネットを介してサービスを受けることが可能であり、保守や維持に関わるコストの観点からもそちらが望ましいと言える。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、組織内の日報を生産スケジュールに活用する情報通信サービス業、工場の生産データを用いて業務効率化に関わるコンサルティングを行うコンサルティングサービス業、などにおいて利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6