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特開2024-83337画像生成方法及びプログラム及びシステム及び画像生成エンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083337
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】画像生成方法及びプログラム及びシステム及び画像生成エンジン
(51)【国際特許分類】
   G06T 13/80 20110101AFI20240614BHJP
【FI】
G06T13/80 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197559
(22)【出願日】2022-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】722014608
【氏名又は名称】高見 聖
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 聖
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA08
5B050BA08
5B050EA12
5B050EA19
5B050EA24
(57)【要約】
【課題】アニメーションにおいては、各画像内に存在する、背景及び背景以外の部分の個々の描画対象のそれぞれが時間的に連続して動くことが重要である。しかし、画像生成AIをはじめとする画像生成エンジンにおいては、生成される画像において描画されることになる描画対象の全てについて、ポージングなどの詳細な状態及び配置位置を指定する方法が本発明より前には無かった。このため、前後の原画の時間的に間の状態を表す中割り画像及び1枚の原画の時間的に前又は後の状態を表す中割り画像を画像生成エンジンで生成することをは本発明より前には困難であった。
【解決手段】アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、複数の画像を重ね合わせて又は1枚の画像を移動又は拡大又は縮小又は回転させて画像生成エンジンに入力するための入力用画像として生成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、
画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、
複数の画像を重ね合わせて画像を生成する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、重ね合わせる画像の1つ以上又は全部を拡大又は縮小させる方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、重ね合わせる画像の1つ以上又は全部を回転させる方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の方法であって、画像が1つも重ならなかった領域に対して、描画を補完する方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の方法であって、重ね合わせる画像の1つ以上又は全部を移動させる方法。
【請求項6】
アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、
画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、
1つの画像を移動させて画像を生成する方法。
【請求項7】
アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、
画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、
1つの画像を拡大又は縮小させて画像を生成する方法。
【請求項8】
アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、
画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、
1つの画像を回転させて画像を生成する方法。
【請求項9】
請求項6記載の方法であって、請求項7記載の方法である方法。
【請求項10】
請求項6又は請求項7又は請求項9のいずれか1項記載の方法であって、請求項8記載の方法である方法。
【請求項11】
請求項6ないし10のうちいずれか1項記載の方法であって、移動又は拡大又は縮小又は回転させた画像による描画が行われていない領域に対して、描画を補完する方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項13】
請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の方法を実施するシステム。
【請求項14】
請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の方法によって生成された入力用画像を元に画像を生成する画像生成エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成方法及びプログラム及びシステム及び画像生成エンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
描かれている対象の位置を少しずつ動かした複数枚の画像を連続で表示させることで、見た人には描かれている対象が動いて見える。これは一般にアニメーションと呼ばれる。
【0003】
古くからの手法では、アニメーション用の画像を一つずつ手書きで作成することで、アニメーションを作成した。しかし、その手法は、アニメーション用の画像を一つずつ手書きで作成しているために、アニメーションを作成するために、多くの労力や人的コストが必要となっていた。
【0004】
また、一般に、アニメーション用画像のうち、アニメーションの動きの要となるタイミングについて描いたものが特に「原画」と呼ばれ、複数の原画の間の時間的状態を描いたものを「中割り画像」と呼ばれる。一般に、「原画」が先に描かれ、前後の原画を参照して、その原画の間の時間的状態を描いた中割り画像が描かれる。
【0005】
また、必ずしも中割り画像に対して、その中割り画像が描画する時間よりも前の時間を描画する原画と後の時間を描写する原画の両方があるわけではない。それまでの描画対象の時間的変化(一例として、描画対象の動きなど)を踏まえて、1枚の原画を元に、その原画が描画する時間よりも後の時間における描画対象の状態を表す中割り画像が用意されることもある。反対に、その後の描画対象の時間的変化(一例として、描画対象の動きなど)を踏まえて、1枚の原画を元に、その原画が描画する時間よりも前の時間における描画対象の状態を表す中割り画像が用意されることもある。
【0006】
特許文献1には、中割り画像の作成を機械的に自動化するための手法が書かれている。この手法では、同じ色で彩色されることになる閉領域同士の境目(特許文献1内で「交点」と呼ばれる)の、前後の原画における位置に着目し、それぞれの交点が作成しようとしている中割り画像が表す時間的タイミングにおいて、どの位置にあるかを算出している。
【0007】
上記特許文献1の手法には下記の問題があった。
・前後の原画に同じ閉領域が必要であること。
・中割り画像だけに存在する閉領域を作成することができないこと。
・上記2点のことから、表そうとしている時間的に近く、動きも激しくない原画間の中割り画像しか作成できず、同じ閉領域が現れるまで原画の数を増やす必要が生じるため、用意する必要がある原画枚数が多くなること。
・また、中割り画像における交点の位置が、前後の原画における交点の位置から数学的計算によって導かれる位置になるが、これでは、人間的な構造を踏まえた人体のパーツの動きや髪の実世界における動きなどの自然な動作を取り入れられないこと。
【0008】
また、もちろん、特許文献1の手法では、時間的に前の状態を描画する原画と時間的に後の状態を描画する原画の両方が必要である。このため、特許文献1の手法では、それまでの描画対象の時間的変化を踏まえた、1枚の原画から、その後の時間的状態を描画した中割り画像を生成することができない。同様に、特許文献1の手法では、その後の描画対象の時間的変化を踏まえた、1枚の原画から、その前の時間的状態を描画する中割り画像を生成することができない。
【0009】
一方、近年になって、画像を生成する人工知能(AI)などの「画像生成エンジン」の発展がめざましい。その一例として、非特許文献1に紹介されている「NovelAI Diffusion」がある。
【0010】
これらの画像生成エンジンには、入力画像を元に、画像を生成する機能を持つものがある。この機能は、一般に「Image to Image」、「i2i」と呼ばれる。(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2017-215729号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】852話,“2022年11月末、今からAI画像生成を触りたい未経験者向け記事”,[online],令和4年11月28日,note,[令和4年12月11日検索],インターネット <URL:https://note.com/852wa/n/n524ff6b32429>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
画像生成AIをはじめとする画像生成エンジンを中割り画像の生成のために使用することができれば、閉領域を用いることなく、また、人体構造など描画対象の特徴に基づいて画像を生成できるため、上記特許文献1の手法の問題点を回避できる。
【0014】
つまり、画像生成エンジンを中割り画像の生成に使用することができれば、用意する原画の枚数を減らすこと及び構造上自然な中割り画像を生成可能となる。
【0015】
また、画像生成エンジンを用いて中割り画像を生成することが可能となった場合、それまでの描画対象の時間的状態の変化を踏まえて、1枚の原画から、その後の時間的状態を描画する中割り画像を生成できることとなる。
【0016】
同様に、画像生成エンジンを用いて中割り画像を生成することが可能となった場合、その後の描画対象の時間的状態の変化を踏まえて、1枚の原画から、その前の時間的状態を描画する中割り画像を生成できることとなる。
【0017】
一方、アニメーションにおいては、各画像内に存在する、背景及び背景以外の部分の個々の描画対象(一例として、画像内の各キャラクターや、一キャラクターの指一本ずつなど)、それぞれが時間的に連続して動くことが重要である。
【0018】
画像生成AIをはじめとする画像生成エンジンにおいては、生成される画像において描画されることになる描画対象の全てについて、ポージングなどの詳細な状態及び配置位置を指定する方法が本発明より前には無かった。このため、前後の原画の時間的に間の状態を表す中割り画像及び1枚の原画の時間的に前の状態を表す中割り画像及び1枚の原画の時間的に後の状態を表す中割り画像を画像生成エンジンで生成することをは本発明より前には困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様は、アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、複数の画像を重ね合わせて画像を生成する方法である。
本発明の一態様は、上記の方法であって、重ね合わせる画像の1つ以上又は全部を拡大又は縮小させる方法である。
本発明の一態様は、上記のいずれかの方法であって、重ね合わせる画像の1つ以上又は全部を回転させる方法である。
本発明の一態様は、上記のいずれかの方法であって、画像が1つも重ならなかった領域に対して、描画を補完する方法である。
本発明の一態様は、上記のいずれかの方法であって、重ね合わせる画像の1つ以上又は全部を移動させる方法である。
本発明の一態様は、アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、1つの画像を移動させて画像を生成する方法である。
本発明の一態様は、アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、1つの画像を拡大又は縮小させて画像を生成する方法である。
本発明の一態様は、アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、1つの画像を回転させて画像を生成する方法である。
本発明の一態様は、アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、1つの画像を移動させ、拡大又は縮小も行って画像を生成する方法である。
本発明の一態様は、アニメーション用の画像を画像生成エンジンに出力させるために、画像生成エンジンに入力するための入力用画像を生成する方法であって、1つの画像を移動又は拡大又は縮小させるか、移動させつつ拡大又は縮小を行って画像を生成する方法であって、画像を回転もさせる方法である。
本発明の一態様は、上記の画像を1枚用いる方法のいずれかであって、移動又は拡大又は縮小又は回転させた画像による描画が行われていない領域に対して、描画を補完する方法である。
本発明の一態様は、上記の方法のいずれかをコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明の一態様は、上記の方法のいずれかを実施するシステムである。
本発明の一態様は、上記の方法のいずれかの方法によって生成された入力用画像を元に画像を生成する画像生成エンジンである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は複数の画像を重ね合わせて入力画像を生成する一実施形態を示した説明図である。
図2図2は重ね合わせる画像を拡大又は縮小して入力画像を生成する一実施形態を示した説明図である。
図3図3は重ね合わせる画像を回転させて入力画像を生成する一実施形態を示した説明図である。
図4図4は重ね合わせる画像を移動及び縮小して入力画像を生成する際に、いずれの画像によっても描画されない領域を補完する一実施形態を示した説明図である。
図5図5は重ね合わせる画像を移動及び縮小して入力画像を生成する一実施形態を示した説明図である。
図6図6は画像を縮小して入力画像を生成する一実施形態を示した説明図である。
図7図7は画像を縮小及び回転して入力画像を生成する一実施形態を示した説明図である。
図8図8は画像を縮小して入力画像を生成する際に、画像によって描画されない領域を補完する一実施形態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態として、前後の原画画像に対する中割り画像又は1枚の原画画像の時間的に前の状態を表す中割り画像又は1枚の原画画像の時間的に後の状態を表す中割り画像を生成するために、画像生成エンジンに入力するための画像(以下、「入力用画像」とする)を、時間的に前後又は後又は前の原画画像から生成する方法又はシステム又は画像生成エンジンである実施形態がある。
【0022】
各図において、各原画及び入力用画像は白黒2値の画像として表されているが、これはあくまで数多くある実施形態のうち何個かの例示のためのものであって、実施形態によっては、各原画や原画から生成される入力用画像が着色又は彩色されていても良い。
【0023】
各原画及び入力用画像が着色又は彩色されていることにより、画像生成エンジンにより生成される中割り画像も、元の原画に近い状態で着色又は彩色されることになるため、別途着色又は彩色の工程を設けることなくアニメーション内の一動画画像として用いることができるため、アニメーション製作の労力の削減の効果を、その実施形態において得ることができる。
【0024】
[1] 原画を複数枚用いて入力用画像を生成する実施形態
図1は、本発明の「入力用画像」の生成方法の一実施形態を表す。以降全ての図において、点線は、元の原画に透明度をもたせた画像であることを示す。この実施形態において、原画1と原画2のそれぞれに透明度を持たせた状態で重ね合わせた画像を入力用画像とする。
【0025】
この実施形態において、この画像を入力用画像とすることで、画像生成エンジンに対して、原画1及び原画2における描画対象の詳細な状態及び配置位置を入力する効果が得られる。これにより、画像生成エンジンは原画1及び原画2における各描画対象の状態及び位置を参照しつつ、新たな画像を生成可能となる。結果、原画1及び原画2の両方に近い画像の生成、つまり、原画1と原画2の間の状態を描画した画像の生成が可能となる。
【0026】
図2は、本発明の「入力用画像」の生成方法の一実施形態を表す。この実施形態において、原画1及び原画2を拡大縮小させている。原画を拡大縮小させ、欲する中割り画像における描画対象の大きさに近づけた状態で重ね合わせて入力用画像を生成することで、欲する中割り画像をより効率的に画像生成エンジンに生成させることができる効果を得られる。
【0027】
なお、拡大縮小させる原画は必ずしも全てである必要はなく、1つ以上の任意の数の原画についてのみ拡大縮小させる実施形態も存在する。
【0028】
図3は、本発明の「入力用画像」の生成方法の一実施形態を表す。この実施形態において、原画1及び原画2を回転させている。この実施形態において、原画を回転させ、欲する中割り画像における描画対象の角度に近づけた状態で重ね合わせて入力用画像を生成することで、欲する中割り画像をより効率的に画像生成エンジンに生成させることができる効果を得られる。
【0029】
なお、回転させる原画は必ずしも全てである必要はなく、1つ以上の任意の数の原画についてのみ回転させる実施形態も存在する。
【0030】
本発明の実施形態によっては、各原画に対して、描画対象の移動、拡大縮小、回転などの操作をした結果、又は、原画を重ね合わせた結果、入力用画像にいずれの原画にも描画がなかった部分(以下、「余白部分」とする)が生じることがある。
【0031】
この余白部分が存在する入力用画像を画像生成エンジンに用いても、元の原画と大きく色の構成が異なる中割り画像が生成されてしまい、アニメーション用中割り画像として不適切なものとなることがある。
【0032】
この余白部分を解消するために、本発明の実施形態によっては、「原画の引き伸ばし」を実施する実施形態が存在する。
【0033】
図4は、原画の引き伸ばしを実施した一実施形態を例示したものである。この図において、原画1を右に移動させ、原画2を縮小させて左下に移動させることで、入力用画像を生成している。この結果、入力用画像画像の左部分には、そのままでは、いずれの原画にも描画がない部分、つまり余白部分が生じてしまう。
【0034】
この余白部分が無い、よりよい入力用画像を生成するために、図4においては、原画1と原画2を重ね合わせ画像の左部分を複製し、余白部分に描画することで、原画の引き伸ばしを実施している。。
【0035】
原画の引き伸ばし方法として、各原画の一部分(一例として、各原画の周辺部)を複製して余白部分に描画する(一例として、貼り付ける)実施形態の他に、各原画の周辺部の色で余白部分を塗る実施形態及び任意の色や原画以外の任意の画像を描画する実施形態がある。
【0036】
なお、本発明の一実施形態を表す図4においては、各原画の周辺部分に隣接する部分にのみ各原画を引き伸ばしているように表現してあるが、他の実施形態として、隣接しない余白部分や他の原画に隣接する余白部分に対して原画の引き伸ばしを実施する実施形態もある。
【0037】
また、本発明の一実施形態を表す図4においては、原画1の引き伸ばしについて、原画1の背景部分を表す「A」という部分と手を同じように複製し余白部分に描画することで余白部分への描画を行っているが、この他の実施形態として、背景部分のみ又は手などの任意の描画対象のみを複製し余白部分又は入力用画像の周辺部に描画する実施形態もある。
【0038】
また、本発明の一実施形態を表す図4においては、原画1と原画2の両方を複製し余白部分に描画することで余白部分への描画を行っているが、この他の実施形態として、いずれか1つ又は任意の原画のみを用いて余白部分又は入力用画像の周辺部に描画する実施形態もある。
【0039】
また、本発明の一実施形態を表す各図において、それぞれの原画で全体に同様の透明度を持たせる処理を行っている。しかし、その処理の場合、複数の画像を重ね合わせると、全ての画像が重ならない位置においては色が薄くなるなど画像の均一性が損なわれてしまい、画像生成エンジンにその入力用画像を入力しても、一部の色が薄くなるなど均一性が損なわれた画像が生成され、アニメーション用画像として連続性が低い、不適切なものとなってしまう。
【0040】
この問題を避けるために、本発明の実施形態として、入力用画像全体の濃さが元の原画と同じになるように入力用画像を生成する実施形態がある。その一実施形態として、全ての原画が重ならない位置においては、全ての原画が重なる位置と濃さが同じになるように、透明度を低減させて原画を重ね合わせる手法を用いる実施形態がある。
【0041】
図5は、本発明の「入力用画像」の生成方法の一実施形態を表す。この図において、原画1を右に移動させ、原画2を縮小させて左下に移動させることで、入力用画像を生成している。
【0042】
この実施形態において、それぞれの原画の描画対象の位置を揃えて入力用画像を生成することによって、欲する中割り画像をより効率的に画像生成エンジンに生成させることができる効果を得られる。
【0043】
また、各原画の描画対象の位置を任意の位置に移動させた状態で入力用画像を生成することで、任意の位置に描画対象が存在する中割り画像を画像生成エンジンに生成させることができる実施形態も存在する。
【0044】
各原画に描画された描画対象の位置を移動させて揃える実施形態の一つとして、各原画に対し、揃える位置を指定する実施形態がある。例えば、各原画における描画対象の両目の間の中心点の座標を求め、その中心点を重ね合わせる際の「基準点」とし、重ね合わせた後の画像において、基準点が同じ座標になるように各原画を移動させる方法がある。
【0045】
また、各原画に描画された描画対象の位置を移動させて揃える実施形態の一つとして、各原画に対して、2点の基準点を指定する実施形態がある。その一形態として、例えば、描画対象の目の左右の両端の点を取得する実施形態がある。
【0046】
この実施形態では、各原画に対して、2点の基準点を設けることで、入力用画像における各原画の位置を揃える効果を得られるだけでなく、2点間の距離を各原画で揃えることにより、各原画に対して行うべき拡大縮小の倍率を得ることができる効果も得られる。
【0047】
また、この実施形態では、各原画に対して、2点の基準点を設けることで、2点を結ぶ線の角度を揃えることで、各原画を同じ角度に回転させて揃えることができる。
【0048】
実施形態の1つとして、基準点を、生成する入力用画像で特に揃えたい部分に設ける実施形態がある。この実施形態では、例えば、描画対象の肘を各原画で基準点とすることもできる。この場合、画像生成エンジンが生成する中割り画像において、指定した部分が特に揃った中割り画像を得ることができる効果を得られる。
【0049】
各原画における基準点を求める一実施形態として、本発明を用いて入力用画像を生成しようとする者(以下、「オペレーター」)に入力させる実施形態がある。その中でも特に、各原画に対して、オペレーターが基準点をクリック又はタップといった手段を用いて、基準点を指定する実施形態がある。
【0050】
また、各原画における描画対象の位置を揃えるための移動距離及び移動方向を求める一実施形態として、機械的な判定を用いる実施形態もある。その中でも特に、各原画を移動させ重ね合わせた時に、最も両者の画像的差異が小さくなるよう移動距離及び移動方向を求める実施形態もある。
【0051】
また、各原画における基準点を求める一実施形態として、各原画における描画対象の座標を画像認識技術を用いて取得し、基準点を導く実施形態がある。その中でも特に、具体的には、画像に描画された目の座標を取得できる画像認識技術があるので、これを用いて目の座標を取得し、この座標を用いて重ね合わせるための基準点を算出する実施形態がある。
【0052】
[2] 原画を1枚用いて入力用画像を生成する実施形態
図6は、入力用画像を生成するために原画を1枚のみ使用する一実施形態である。この実施形態において、原画1よりも時間的に前の状態を表す中割り画像を生成したい。この実施形態において、この原画1よりも時間的に後の時間では、描画対象が右に移動し、拡大されていることから、原画1よりも時間的に前の時点では、描画対象は画面上の左に、縮小した状態で存在すると考えられる。
【0053】
そこで、この実施形態においては、原画1を縮小し、左に移動させることで入力用画像としている。この実施形態において、この画像を入力用画像とすることで、画像生成エンジンが、原画1よりも時間的に前の状態の中割り画像を生成することができる効果を得られる。
【0054】
移動距離を指定する一実施形態として、原画の一点を(一例として、クリックやタップによって)指定し、移動後の点を指定する実施形態がある。
【0055】
拡大縮小倍率や回転度合いを指定する一実施形態として、それらの倍率や角度を数値として入力する実施形態がある。
【0056】
なお、上記と同様に、1枚の原画のみ使用して、それまでの描画対象の時間的変化を考慮して、原画にある描画対象の位置を移動又は拡大縮小又は回転又はこれらの組み合わせ処理を行うことにより、その原画より時間的に後の状態を表す中割り画像を生成するための入力用画像を生成する実施形態もある。
【0057】
図7は、入力用画像を生成するために原画を1枚のみ使用する一実施形態である。この実施形態において、原画1よりも時間的に前の状態を表す中割り画像を生成したい。この実施形態において、この原画1よりも時間的に後の時間では、描画対象が右に移動し、拡大され、回転していることから、原画1よりも時間的に前の時点では、描画対象は画面上の左に、縮小し、逆方向に回転した状態で存在すると考えられる。
【0058】
そこで、この実施形態においては、原画1を縮小し、左に移動させ、時計回りに回転させることで入力用画像としている。この実施形態において、この画像を入力用画像とすることで、画像生成エンジンが、原画1よりも時間的に前の状態の中割り画像を生成することができる効果を得られる。
【0059】
図8は、入力用画像を生成するために原画を1枚のみ使用する一実施形態である。この実施形態において、原画1よりも時間的に前の状態を表す中割り画像を生成したい。この実施形態において、この原画1よりも時間的に後の時間では、描画対象が右に移動し、拡大されていることから、原画1よりも時間的に前の時点では、描画対象は画面上の左に、縮小した状態で存在すると考えられる。
【0060】
そこで、この実施形態においては、原画1を縮小し、左に移動させることで入力用画像としている。ここにおいて、原画を縮小していることから、縮小後の原画の周囲には余白部分が生じてしまっている。
【0061】
原画が複数枚ある場合の原画の引き伸ばしと同様に、原画が1枚であるこの実施形態においても、原画を引き伸ばして余白部分をなくすことができる。この実施形態において、この処理を行うことで、画像生成エンジンが、原画1よりも時間的に前の状態の中割り画像を、原画1と周辺部分においても近い色を配色して生成することができる効果を得られる。
【0062】
[3] 原画を1枚又は複数枚用いて入力用画像を生成する実施形態に関して
なお、アニメーション製作においては、背景にあたる部分以外と背景部分を分けて描き、後ほど合成させる手法が一般的である。
【0063】
本発明においても、背景にあたる部分以外全体や、画像内の個々の描画対象(一例として、画像内の一キャラクターや、一キャラクターの指一本など描画対象は細分化できる)、背景画像それぞれ単独又はそれらの組み合わせに対して、本発明を実施する実施形態が存在する。
【0064】
また、原画のいずれかのみ半透明にしたり、半透明にする度合いを前後の原画で変える実施形態もある。このような実施形態を取ることで、前後の原画のうち、任意の原画に対して、任意の近さで入力用画像を生成することが可能になり、結果、任意の原画に対して、狙った近さで中割り画像を生成することが可能になる。
【0065】
なお、本発明において、入力用画像を生成するために用いる原画については、本発明を用いて作成した入力用画像やその入力用画像を用いて作成した画像を、次なる入力用画像作成のための原画として使用する実施形態もある。
【0066】
また、本発明の一形態として、入力用画像を生成するための原画として3枚以上の原画を用いる形態もある。その場合、前述のとおり、均等の透明度合いで重ね合わせる実施形態の他に、任意の画像について、任意の透明度合いで重ね合わせる実施形態もある。
【0067】
また、本発明の各実施形態は、前後の原画で縦横比やピクセル数が異なっても実施できる。
【0068】
また、上記実施形態において、入力用画像を生成するために用いる画像として原画という呼称を用いた場合もあるが、原画でなくとも任意の画像を用いて入力用画像を生成できる実施形態もある。
【0069】
[4] 実施形態について
上記やその他の実施形態は、実施する方法という形態のみならず、その方法を実行させるプログラム又はその方法を実施するシステム又はその方法により生成された入力用画像を元に画像を生成する画像生成エンジンとしての実施形態も存在する。
【0070】
上記やその他の実施形態は、コンピュータに実行させるプログラムとしてインプリメントされていてもよい。プログラムの一部又は全部はオペレーティングシステムにより実行されてもよいし、ハードウエアによって実現されてもよい。
【0071】
このプログラムは、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、メモリーカード等の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0072】
上記やその他の実施形態において、手順の順序を入れ替えて実行されてもよい。
【0073】
上記やその他の実施形態は、ハードウエアの装置としてインプリメントされ得る。
【0074】
上記した実施形態は、請求項に記載された発明を限定するものではなく、例示として取り扱われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8