(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083382
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】配列用マスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240614BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
H05K3/34 509
H05K3/34 505E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051714
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2023054921の分割
【原出願日】2019-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 貴士
(72)【発明者】
【氏名】小林 良弘
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 強
(57)【要約】
【課題】優れた半田ボールの搭載率を確保しながら、張力付与時にも破損し難い、半田ボールの配列用マスクを得る。
【解決手段】ワーク3上の所定位置に半田ボール2を搭載する配列用マスクである。ボール挿入孔12の開口縁が、平面視で角丸多角形に形成されている。当該角丸多角形の各コーナー部に位置する部分円弧状のアール部17と、角丸多角形の辺部を構成してアール部17に接続する直線部16とを備えている。アール部17から直線部16にかけて下り傾斜する傾斜部が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配列パターンに対応したボール挿入孔(12)を備え、当該ボール挿入孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
ボール挿入孔(12)の開口縁が、平面視で角丸多角形に形成され、当該角丸多角形のコーナー部に位置する部分円弧状のアール部(17)と、角丸多角形の辺部を構成してアール部(17)に接続する直線部(16)とを備え、
アール部(17)から直線部(16)にかけて下り傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする配列用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、BGA(Ball Grid Array)方式の半田バンプの作成に使用される、半田ボールの配列用マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半田バンプは、電極に半田ペースト若しくはフラックスを塗布する工程と、電極上に半田ボールを搭載させる工程と、搭載された半田ボールを溶融させる工程を経て形成される。上述の電極上に半田ボールを搭載させる工程において、電極の配列パターンに対応した開口パターンを有する配列用マスクを用いることは公知であり、例えば、特許文献1、2には、円形状のボール挿入孔を有する配列用マスクが開示されており、特許文献3、4には、四角形開口や三角形開口などの多角形状のボール挿入孔を有する配列用マスクが開示されている。ボール挿入孔を有するマスク本体の外周縁に、当該マスク本体を支持するための枠体を設けることは、特許文献1、4などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-287215号公報
【特許文献2】特開2006-324618号公報
【特許文献3】特開2012-227466号公報
【特許文献4】特開2014-107282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2の配列用マスクのように、ボール挿入孔が円形状に形成されている構成では、半田ボールの球状外面と、挿入孔の円弧状の開口縁とが線接触して、半田ボールが傷付きやすい。また、半田ボールの外面と挿入孔の開口縁とが接触する部分が多くなるため、接触抵抗が増して、半田ボールを挿入孔内にスムーズに落下させることができず、搭載率が低下する不利もある。これに対して、特許文献3、4の配列用マスクのように、ボール挿入孔が四角形開口や三角形開口などの多角形状とされていると、円形状の挿入孔に比べて開口縁と半田ボールとが接触する機会を少なくすることができるので、半田ボールが傷付くことを効果的に防止することができる。また、挿入孔内によりスムーズに半田ボールを落下させて搭載率の向上を図ることができる。但し、特許文献3、4の配列用マスクでは、マスク本体を枠体へ装着したときに、多角形状に形成された挿入孔の劣角状のコーナー部に当該張力に由来する応力が集中しやすく、コーナー部に亀裂が生じて配列用マスクが破損するおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上のような従来の配列用マスクの抱える問題を解決するためになされたものであり、優れた半田ボールの搭載率を確保しながら、張力付与時にも破損し難い、半田ボールの配列用マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の配列パターンに対応したボール挿入孔12を備え、当該ボール挿入孔12内に半田ボール2を振り込むことで、ワーク3上の所定位置に半田ボール2を搭載する配列用マスクである。ボール挿入孔12の開口縁が、平面視で角丸正多角形に形成され、当該角丸正多角形の各コーナー部に部分円弧状のアール部17を有し、各コーナー部のアール部17のうち、少なくとも1つはアール部17の半径rが異なることを特徴とする。
【0007】
ここで、「部分円弧」とは、部分正円弧、部分楕円弧を含む概念である。また、角丸正多角形には、角丸正偶数角形(角丸正四角形、角丸正六角形、角丸正八角形など)と角丸正奇数角形(角丸正三角形、角丸正五角形、角丸正七角形など)がある。
【0008】
ボール挿入孔12内に半田ボール2を落とし込むためのスキージ25の移動方向において、スキージ移動方向の上流側に位置するコーナー部と、スキージ移動方向の下流側に位置するコーナー部とで、アール部17の半径rが異なることを特徴とする。
【0009】
ボール挿入孔12の開口縁は、角丸正偶数角形に形成されており、当該角丸正偶数角形が、当該角丸正偶数角形のコーナー部に位置するアール部17と、角丸正偶数角形の辺部を構成してアール部17に接続する直線部16とを備え、直線部16を延長することで形成される仮想正偶数角形18を規定し、当該仮想正偶数角形18の頂点部19と、当該頂点部19に臨む直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコーナー直線部20とを規定し、スキージ25の移動方向と、ボール挿入孔12の角丸正偶数角形の一対の向かい合う辺である2つの直線部16・16の伸び方向とが一致しており、スキージ25の移動方向の上流側に位置するアール部17aの半径raと、スキージ25の移動方向の下流側に位置するアール部17bの半径rbとが異なることを特徴とする。
【0010】
また、ボール挿入孔12内に半田ボール2を落とし込むためのスキージ25の移動方向において、スキージ移動方向の上流側に形成されたボール挿入孔12と、スキージ移動方向の下流側に形成されたボール挿入孔12とで、アール部17の半径rが異なることを特徴とする。
【0011】
スキージ移動方向の上流側から下流側に向かうにつれて、アール部17の半径rを徐々に異ならせていることを特徴とする。
【0012】
ボール挿入孔12の開口縁は、角丸正偶数角形に形成されており、当該角丸正偶数角形が、当該角丸正偶数角形のコーナー部に位置するアール部17と、角丸正偶数角形の辺部を構成してアール部17に接続する直線部16とを備え、直線部16を延長することで形成される仮想正偶数角形18を規定し、当該仮想正偶数角形18の頂点部19と、当該頂点部19に臨む直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコーナー直線部20とを規定し、スキージ25の移動方向と、ボール挿入孔12の角丸正偶数角形の一対の向かい合う辺である2つの直線部16・16の伸び方向とが一致しており、スキージ25移動方向の上流側から下流側に向かうにつれて、アール部17の半径rを徐々に異ならせていることを特徴とする。
【0013】
また、ボール挿入孔(12)の各コーナー部でアール部(17)の半径(r)を異ならせていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
一般的に、配列用マスクの製作過程で付与されてボール挿入孔12の開口縁に作用する応力は、ボール挿入孔12の開口縁形状が急激に変化する箇所(例えば角隅部)に集中する。このため、本発明のようにボール挿入孔12を正多角形のコーナー部が丸められた角丸正多角形に形成されていると、同角数の正多角形状ボール挿入孔の開口縁に比べて、コーナー部における開口縁形状の急激な変化を抑えて、丸められたコーナー部に応力を分散して作用させることができる。従って、本発明によれば、多角形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて、張力が付与されたときにも破損し難い配列用マスクを得ることができる。また、応力集中によるボール挿入孔12の変形に起因する配列用マスクのひずみを抑制することができるので、配列用マスクの平坦度を維持することができる利点もある。
【0015】
加えて、角丸正多角形は、当該角丸正多角形の各コーナー部に部分円弧状のアール部17を有し、各コーナー部のアール部17のうち、少なくとも1つはアール部17の半径rが異なるように設定することができる。例えば、この半径rが異なるアール部17の位置を各ボール挿入孔12のコーナー部で一致させれば、ボール挿入孔12を確認することで、配列用マスクの前後左右方向を確認することができる。また、ボール挿入孔12内に半田ボール2を落とし込むためのスキージ25の移動方向において、スキージ移動方向の上流側に位置するコーナー部と、スキージ移動方向の下流側に位置するコーナー部とで、アール部17の半径rが異なるように設定することで、スキージ移動方向の上流側と下流側(配列用マスクの左右方向)とを確認することができる。さらに、ボール挿入孔12の開口縁を角丸正偶数角形に形成し、当該角丸正偶数角形が、当該角丸正偶数角形のコーナー部に位置するアール部17と、角丸正偶数角形の辺部を構成してアール部17に接続する直線部16とを備えることで、ボール挿入孔12の開口縁をアール部17と直線部16とが滑らかに繋がるように構成することができるので、ボール挿入孔12の開口縁に応力が集中しやすい劣角状の屈曲部が形成されるのを解消できる。しかも、スキージ25の移動方向と、ボール挿入孔12の角丸正偶数角形の一対の向かい合う辺である2つの直線部16・16の伸び方向とを一致させることで、角丸正偶数角形のボール挿入孔12におけるスキージ移動方向の上流側と下流側との位置をより確実に把握した上でスキージによる半田ボールの投入作業を行うことができる。
【0016】
ボール挿入孔12内に半田ボール2を落とし込むためのスキージ25の移動方向において、スキージ移動方向の上流側に形成されたボール挿入孔12と、スキージ移動方向の下流側に形成されたボール挿入孔12とで、アール部17の半径rが異なるように設定することで、ボール挿入孔12(コーナー部)を確認することにより、配列用マスクにおけるスキージ移動方向の上流側と下流側の位置を確認することができる。また、スキージ移動方向の上流側から下流側に向かうにつれて、アール部17の半径rが徐々に異なるように設定することができる。例えば、ボール挿入孔12におけるアール部17の半径rを、スキージブラシ25の移動方向の上流側(一方)から下流側(他方)に向かうにつれて、徐々に小さくなるように設定することで、スキージの移動方向を視覚的に把握できるとともに、スキージ移動方向の上流側から下流側に向かうにつれてボール挿入孔12の開口面積が大きくなり、スキージブラシ25の移動に伴い各ボール挿入孔12に投入されてマスク本体10上から徐々に減少していく半田ボール2に対応した配列とでき、スキージ移動方向の下流側においても優れた半田ボール2の搭載率を確保することができる。さらに、ボール挿入孔12の開口縁を角丸正偶数角形に形成し、当該角丸正偶数角形が、当該角丸正偶数角形のコーナー部に位置するアール部17と、角丸正偶数角形の辺部を構成してアール部17に接続する直線部16とを備えることで、ボール挿入孔12の開口縁をアール部17と直線部16とが滑らかに繋がるように構成することができるので、ボール挿入孔12の開口縁に応力が集中しやすい劣角状の屈曲部が形成されるのを解消できる。しかも、スキージ25の移動方向と、ボール挿入孔12の角丸正偶数角形の一対の向かい合う辺である2つの直線部16・16の伸び方向とを一致させることで、角丸正偶数角形のボール挿入孔12におけるスキージ移動方向の上流側と下流側との位置をより確実に把握した上でスキージによる半田ボールの投入作業が行える。
【0017】
ボール挿入孔12の各コーナー部でアール部17の半径rが異なるように設定することで、ボール挿入孔12にはコーナー部の数に応じた様々なアール部17の半径rが存在することになるので、スキージ25を多様な方向に移動させてボール挿入孔内に半田ボールを振り込む場合に、各アール部17の半径rに特化した搭載、例えば、アール部17の半径が小さいコーナー部近辺では、ボール挿入孔12に半田ボール2を誘い込みやすくすることができ、アール部17の半径が大きいコーナー部近辺では、ボール挿入孔12に半田ボール2を落とし込みやすくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1に係る配列用マスクの要部の平面図である。
【
図4】(a)~(d)は配列用マスクの製造方法を示す説明図である。
【
図5】(a)~(d)は配列用マスクの製造方法を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施例2に係る配列用マスクの要部の平面図である。
【
図7】本発明の実施例3に係る配列用マスクの要部の平面図である。
【
図8】本発明の実施例4に係る配列用マスクの要部の平面図である。
【
図9】(a)~(c)は本発明に係る配列用マスクにおけるボール挿入孔の変形例を示す平面図である。
【
図10】本発明の実施例5に係る配列用マスクの要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
図1から
図5に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図1、
図2および
図3に示す交差矢印と、交差矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。なお、本実施例の各図における厚みや幅などの寸法は、実際の様子を示したものではなく、それぞれ模式的に示したものである。以下の各実施例の図においても同様である。
【0020】
この配列用マスク(以下「マスク」と記す。)1は、例えば、BGA方式の半田バンプ作成における半田ボール2の搭載工程において使用に供されるものである。
図2及び
図3において、符号3は、マスク1による半田ボール2の搭載対象となるワークを示す。このワーク3は、例えばガラスエポキシ基板のベース4に複数個の半導体チップ5を搭載し、ワイヤボンドで配線したのち、トランスファモールド封止してなるものであり、半導体チップ5を囲むように、ワーク3の上面には、入出力端子である電極6が所定のパターンで形成されている。なお、ワーク3は、半田バンプの作成後に個片に切断され、個々のLSIチップとされる。
【0021】
図2に示すように、マスク1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、銅、その他の金属を素材として形成されたマスク本体10と、このマスク本体10を囲むように接合された枠体11とからなる。マスク本体10の盤面中央部には、各半導体チップ5に対応して、半田ボール2を投入するための多数独立のボール挿入孔(以下「挿入孔」と記す。)12を有するパターン領域13が多数形成されている。
【0022】
挿入孔12は、ワーク3における各半導体チップ5の電極6の配列位置に対応した配列パターンに対応している。半田ボール2は、100μm以下の直径寸法を有するものであり、これに合わせて各挿入孔12の前後及び左右の寸法は、当該ボール2の直径寸法よりも僅かに大きな寸法を有している。
【0023】
図1に示すように、挿入孔12の開口縁は、平面視で角丸正四角形状(角丸正多角形状)に形成されている。より詳しくは、挿入孔12の開口縁は、前後及び左右方向に走る計4本の直線部16と、4つのコーナー部に形成された四分円弧状(部分円弧状)のアール部17とを有する、平面視で角丸正四角形状に形成されている。本実施例に係るマスク1では、4つのアール部17の半径寸法は同寸法に設定されている。また、各アール部17に対して、隣接する2つの直線部16・16は接線接続されている。すなわち、四分円弧状に形成されたアール部17に対して、隣り合う直線部16・16は接線接続となるように構成されており、アール部17と直線部16とは滑らかに繋がっている。挿入孔12は、角丸正四角形の前後辺である2つの直線部16・16の伸び方向が、後述するスキージブラシ(スキージ)25の移動方向(左右方向)と一致するように、マスク本体10に配置されていることが望ましい。
【0024】
正四角形状の辺寸法においてアール部17が占める割合、即ち正四角形状の各辺における非直線部分の占める割合は、1/2未満であることが好ましく、1/4~1/3(1/4以上、1/3以下)であることがより好ましい。より詳しくは、
図1において符号18は、直線部16を延長することで形成される仮想正四角形(仮想正多角形)を示しており、当該仮想正四角形18の辺寸法をDとする。この仮想正四角形18の頂点部19と、当該頂点部19に臨む直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコーナー直線部20を規定し、当該コーナー直線部20の長さ寸法をd1と規定する。このとき、当該コーナー直線部20の長さ寸法d1は、(d1<D/2)の不等式を満たすものであることが好ましく、より好ましくは、(D/4≦d1≦D/3)の不等式を満たすものであることが最適である。このコーナー直線部20の長さ寸法d1が、アール部17の半径寸法rとなる。本実施例では、コーナー直線部20の長さ寸法d1をD/4に設定した。なお、仮想正四角形18の辺寸法Dは、半田ボール2の直径寸法の1.05~1.15倍に設定することが好ましい。
【0025】
図2に示すように、マスク本体10には、該マスク本体10を支持する枠体11が接合されており、具体的には、枠体11をマスク本体10に接着剤等により直貼りした形態、あるいはテトロン(登録商標)などの紗を介して枠体11とマスク本体10とを接合した形態などがある。該枠体11は、マスク本体10の補強用部材を兼ねている。この枠体11は、アルミニウムやステンレス鋼の他、42アロイ、インバー材、スーパーインバー材、SUS430等の低熱線膨張係数の材質からなる左右横長の平板体であり、その盤面中央には、マスク本体10に対応する一つの左右横長の四角形状の開口が形成される。枠体11は、マスク本体10よりも肉厚の成形品であり、マスク本体10の外周縁と不離一体的に接合される。枠体11の厚み寸法は、例えば0.05~3mm程度である。なお、マスク1の全体厚みは、使用する半田ボール2の径に合わせて設計することができ、特にマスク本体10の厚み(後述する支持突起23を設ける場合は当該突起23の厚みも含む)は半田ボール2の直径と同程度とすることが好ましい。
【0026】
マスク本体10の下面側、すなわちワーク3に対する対向面側には、ワーク3との対向間隔を確保する支持突起23が、下方向に突出状に設けられている。支持突起23は逆円錐台状を呈しており、半田ボール2の配列作業時において、支持突起23の下端面をワーク3の表面に当接させてマスク1とワーク3との対向間隔を確保している。支持突起23は、パターン領域13を囲むように格子枠状に設けることができる。この時、支持突起23は、連続的に設けても断続的に設けても良い。また、支持突起23は、パターン領域13内外を点在するように設けることができる。なお、支持突起23は、マスク本体10と一体形成されているが、別体(例えば、樹脂)で形成したものをマスク本体10に一体的に接合することもできる。
【0027】
マスク1を用いた半田ボール2の配列作業は、以下のような手順で行われる。まず、ワーク3の電極6上にフラックス24を印刷塗布する(
図3参照)。次に、ボール挿入孔12と電極6とが一致するように、ワーク3上にマスク1を位置合わせしたうえで、マスク1を固定する。この位置合わせ作業は、実際には枠体11とワーク3との外周縁を位置合わせすることで行われる。なお、ワーク3の下方に磁石を配置することができ、位置合わせ作業が終了した後、該磁石の磁力吸引力によりマスク1をワーク3に不離一体的に固定することが可能である。この固定状態において、支持突起23の下端面がワーク3の表面に当接することで、マスク1は、
図3に示すようなワーク3との対向間隔が確保された離間姿勢に姿勢保持される。
【0028】
次に、枠体11の開口部分、すなわちマスク本体10上に多数個の半田ボール2を供給し、先端がブラシ状のスキージブラシ25を用いてマスク本体10上で半田ボール2を分散させて、挿入孔12内に一つずつ半田ボール2を投入する。本実施例では、左方向を上流側、右方向を下流側として、左から右に向ってスキージブラシ25を1回または複数回動かして(場合によっては、その後、右から左に向ってスキージブラシ25を動かして、1回または複数回往復動させる)半田ボール2を挿入孔12内に投入し、電極6上に半田ボール2を搭載させる。挿入孔12内に投入された半田ボール2はフラックス24で仮止め状に粘着保持される。最後に残余の半田ボール2をマスク1の上面から除去したのちに、マスク1を取り外し、半田ボール2を溶融させることで、ワーク3の電極6上に半田バンプを作成することができる。
【0029】
図4および
図5は、本実施例に係る配列用マスク1の製造方法を示す。まず、
図4(a)に示すように導電性を有する例えばステンレス鋼製や真ちゅう製の母型27の表面にフォトレジスト層28を形成する。このフォトレジスト層28は、ネガタイプの感光性ドライフォトレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成することができる。次いで、フォトレジスト層28の上に、逆円錐台状の支持突起23に対応する透光孔29aを有するパターンフィルム29(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外線ランプ30で紫外線光を照射して露光、現像、乾燥の各処理を行うことにより、未露光部分を溶解除去し、
図4(b)に示すように、支持突起23に対応するレジスト体31aを有する一次パターンレジスト31を母型27上に形成した。
【0030】
続いて、上記母型27を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、
図4(c)に示すようにレジスト体31aの高さの範囲内で、母型27のレジスト体31aで覆われていない表面にニッケルや銅、その他の電着金属を電鋳して、一次電鋳層32を形成した。ここでは、母型27の略全面にわたって、一次電鋳層32を形成した。次に、
図4(d)に示すように、一次パターンレジスト31を除去する。後段の剥離工程の作業性を向上させるため、一次電鋳層32の表面は一次パターンレジスト31除去後に研磨処理や剥離処理を施しておくことが望ましい。
【0031】
続いて、
図5(a)に示すように、一次電鋳層32および母型27の表面の全体に、フォトレジスト層35を形成したうえで、当該フォトレジスト層35の表面に、挿入孔12に対応する透光孔36aを有するパターンフィルム36(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ30で紫外線光を照射して露光、現像、乾燥の各処理を行うことにより、未露光部分を溶解除去し、
図5(b)に示すような挿入孔12に対応するレジスト体37aを有する二次パターンレジスト37を一次電鋳層32の表面に形成した。
【0032】
続いて、上記母型27を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、先のレジスト体37aの高さの範囲内で、母型27、及びレジスト体37aで覆われていない一次電鋳層32の表面にニッケルや銅、その他の電着金属を電鋳して、二次電鋳層38を形成した。次に、二次パターンレジスト37を溶解除去するとともに、母型27及び一次電鋳層32を二次電鋳層38から剥離(除去)することにより、
図5(d)及び
図3に示すようなマスク本体10を得た。そして、マスク本体10に枠体11を接合することで、
図2に示すようなマスク1を得ることができる。
【0033】
二次電鋳層38、すなわちマスク本体10は、それ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で枠体11に支持した形態を採ることができる。換言すれば、マスク本体10に張力を付与した状態で、該マスク本体10を枠体11で支持しており、かかる形態は母型27から二次電鋳層38を剥離する前に、二次電鋳層38(マスク本体10)と枠体11を接合することで実現できる。これによれば、周囲温度の変化に伴うマスク本体10の膨張分を、当該収縮方向へのテンションで吸収することができるので、ワーク3に対するマスク本体10の位置ズレを防ぐことができる。また、マスク本体10の全体に均一なテンションを与えることができるので、ワーク3に対して半田ボール2を位置精度良く搭載させることができる。
【0034】
以上のように、本実施例に係る配列用マスク1においては、半田ボール2が振り込まれる挿入孔12の開口縁を、平面視で角丸正四角形(角丸正多角形)に形成したので、枠体11への接合時においてマスク本体10に張力が付与されたときにも、当該マスク本体10が破損することを効果的に防ぐことができる。すなわち、一般的にマスク本体10の張力に由来して挿入孔12の開口縁に作用する応力は、挿入孔12の開口縁形状が急激に変化する箇所に集中しやすく、例えば、挿入孔を正四角形状とした場合には、直角の角隅部に応力が集中して、当該角隅部から破損しやすい。これに対して、本実施例のように、正四角形のコーナー部が丸められた角丸正四角形に挿入孔12が形成されていると、従来の四角形状の挿入孔の開口縁に比べて、コーナー部における開口縁形状の急激な変化を抑えて、丸められたコーナー部に応力を分散して作用させることができる。従って、本実施例によれば、四角形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて、張力が付与されたときにも破損し難い配列用マスク1を得ることができる。また、応力集中によるボール挿入孔12の変形に起因するマスク本体10(マスク1)のひずみを抑制して、配列用マスク1の平坦度を維持できる利点もある。また、円形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて開口縁と半田ボールとが接触する機会を少なくすることができるので、挿入孔12内によりスムーズに半田ボール2を落下させることが可能であり、配列用マスク1を使った半田ボール2の搭載率の向上を図ることもできる。
【0035】
また、本実施例においては、角丸正四角形のコーナー部に位置する四分円弧状(部分円弧状)のアール部17と、当該角丸正四角形の辺部を構成して当該アール部17に接線接続する直線部16とで、ボール挿入孔12の開口縁を構成したので、ボール挿入孔12の開口縁をアール部17と直線部16とが滑らかに繋がるように構成することができる。これにより、ボール挿入孔12の開口縁に応力が集中しやすい劣角状の屈曲部が形成されるのを解消できるので、応力集中による半田ボール2の配列用マスクの破損、および変形をより効果的に防止できる。
【0036】
仮想正四角形(仮想正多角形)18の辺寸法Dとコーナー直線部20の長さ寸法d1との関係を(d1<D/2)の不等式を満たすように構成すると、ボール挿入孔12の開口縁が円形にならない範囲内でアール部17の曲率をできるだけ小さくして、コーナー部において充分に応力を分散させることができる。上記各実施例では、仮想正四角形18の辺寸法Dとコーナー直線部20の長さ寸法d1との関係を(D/4≦d1≦D/3)の不等式を満たすように構成している。これは、長さ寸法d1がD/4未満であると、アール部17の曲率が大きいため、コーナー部において充分に応力を分散させることが困難となることに拠る。また、長さ寸法d1がD/3を超えると、直線部16が充分に確保されず、半田ボール2に傷が付きやすくなり、半田ボール2の搭載率の悪化も招く。
【0037】
(実施例2)
図6に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例2を示す。本実施例においては、スキージブラシ25の移動方向上流側(左辺側)に位置する二つのアール部17a(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1a(d1)(アール部17aの半径ra)を、スキージブラシ25の移動方向下流側(右辺側)に位置する二つのアール部17b(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1b(d1)(アール部17bの半径rb)よりも小さく設定した点が先の実施例1と異なる。アール部17aの長さ寸法d1aはD/4に設定し、アール部17bの長さ寸法d1bは、D/3に設定した。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0038】
上記のような挿入孔12によれば、スキージブラシ25の移動方向の上流側に位置する左辺部の直線部16の長さ寸法を大きくできる。これによれば、半田ボール2は平面視においてその重心位置がボール挿入孔12上に位置したとき、該ボール挿入孔12に落ち込もうとするので、スキージブラシ25の移動方向の上流側(左辺側)の直線部16の長さ寸法を大きくすることで、ボール挿入孔12に半田ボール2を誘い込みやすくすることができ、半田ボール2の搭載率の向上を図ることができる。
【0039】
また、上記のような挿入孔12によれば、スキージブラシ25の移動方向上流側に位置する二つのアール部17a(17)が仮想正四角形(仮想正多角形)18の頂点部19に近づいた配置となり、スキージブラシ25の移動方向上流側におけるボール挿入孔12の開口面積を大きくでき、半田ボール2の誘い込みの向上に寄与できる。また、スキージブラシ25の移動方向の下流側に位置する2つのアール部17bの長さ寸法d1bが大きい分、スキージブラシ25がその移動方向の下流側に位置する右辺部で引っ掛かるのを抑制して、スキージブラシ25がスムーズにボール挿入孔12上を通過できるようにすることができる。
【0040】
(実施例3)
図7に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例3を示す。本実施例においては、先の実施例2とは逆に、スキージブラシ25の移動方向上流側(左辺側)に位置する二つのアール部17a(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1a(d1)(アール部17aの半径ra)を、スキージブラシ25の移動方向下流側(右辺側)に位置する二つのアール部17b(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1b(d1)(アール部17bの半径rb)よりも大きく設定した。アール部17aの長さ寸法d1aはD/3に設定し、アール部17bの長さ寸法d1bは、D/4に設定した。こうした挿入孔12によれば、挿入孔12に半田ボール2を素早く落とし込むことができる。詳しくは、挿入孔12に落ち込む途中の半田ボール2の外面は、スキージブラシ25の移動方向下流側の挿入孔12の内面に接触しつつ落ち込む。そのため、スキージブラシ25の移動方向下流側の直線部16の長さ寸法を大きくすると、落ち込み途中における半田ボール2の外面と、挿入孔12の内面との接触面積を小さくして、半田ボール2が落ち込むときに両者間の摩擦によって落ち込み動作が制動されるのを抑えることができ、ボール挿入孔12に半田ボール2を素早く落とし込むことができる。これにより、落ち込み途中の半田ボール2がスキージブラシ25によってボール挿入孔12から掻き出されるのを抑制できる。
【0041】
また、平面視におけるボール挿入孔12の右側半分、つまり、スキージブラシ25の移動方向の下流側のボール挿入孔12の内面積(開口外周縁の長さ)を大きく確保すると、スキージブラシ25の移動方向上流側からボール挿入孔12内に落ち込んできた半田ボール2を、スキージブラシ25の移動方向下流側に広い範囲で形成されることになるボール挿入孔12の内面で受け止めて、半田ボール2をボール挿入孔12内に落とし込み、半田ボール2の搭載率の向上に寄与できる。
【0042】
(実施例4)
図8に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例4を示す。本実施例においては、アール部17の半径をスキージブラシ25の移動方向の上流側から下流側に向けて、徐々に変化するように形成した。具体的には、ボール挿入孔12におけるアール部17の半径r(コーナー直線部20の長さ寸法d1)を、スキージブラシ25の移動方向の上流側(一方)から下流側(他方)に向かうにつれて、徐々に小さくなるように設定した。このようにボール挿入孔12を配列すれば、スキージブラシ25の移動方向上流側から下流側に向かうにつれて、ボール挿入孔12の開口面積を大きくでき、スキージブラシ25の移動に伴い変化するマスク本体10上の半田ボール2の状況に応じた配列、すなわち、スキージブラシ25を上流側から下流側に移動させることによって、各ボール挿入孔12に投入されて減少していくマスク本体10上の半田ボール2に対応した配列にでき、マスク本体10におけるスキージブラシ25の移動方向下流側においても半田ボール2の搭載率の維持を図ることができる。なお、アール部17の半径r(コーナー直線部20の長さ寸法d1)をスキージブラシ25の移動方向の上流側から下流側に向けて徐々に小さくなるように設定する際、スキージブラシ25の移動方向において隣り合うボール挿入孔12ごとに徐々に小さくなるように設定しても良いが、これに限らず、例えば、マスク本体10の前後方向を列としてスキージブラシ25の移動方向に複数配列されているボール挿入孔12のうちの複数の列を一群として、該群単位でアール部17の半径r(コーナー直線部20の長さ寸法d1)を徐々に小さくなるように設定しても良い。もちろん、マスク本体10の前後方向を列としてスキージブラシ25の移動方向に複数設けられたパターン領域13のうちの一列または複数列を一群として徐々に小さくなるように設定することもできる。
【0043】
上記各実施例においては、直線部16とアール部17との接続部分は接線接続するように構成したが、両者の接続部分に僅かに劣角状の角部が形成されていてもよい。この場合には、応力集中を避けるために、当該角部の角度は180度に近づけることが望ましい。また、 各アール部17を四分円弧で構成したが、アール部17は四分楕円弧で構成することができる。この場合でも、アール部17に対して、隣り合う直線部16・16は接線接続となるように構成されて、アール部17と直線部16とが滑らかに繋がっていることが好ましい。この場合においても、コーナー直線部20の長さ寸法d1は、(D/4≦d1≦D/3)の不等式を満たすものであることが好ましい。また、スキージブラシ25の移動方向と直交する方向の一方側(前辺側)と他方側(後辺側)とにおいて、コーナー直線部20の長さ寸法d1を変えることが可能である。また、挿入孔12の各コーナー部で長さ寸法d1を異ならせてもよい。
【0044】
また、上記各実施例においては、ボール挿入孔12におけるアール部17の半径r(コーナー直線部20の長さ寸法d1)を、スキージブラシ25の移動方向の上流側(一方)から下流側(他方)に向けて徐々に小さくなるように設定したが、徐々に大きくなるように設定しても良い。また、スキージブラシ25の移動方向と直交する方向(前後方向)において徐々に小さく(大きく)なるように設定することができる。また、ボール挿入孔12におけるアール部17の半径r(コーナー直線部20の長さ寸法d1)は、角丸正四角形(角丸正多角形)のボール挿入孔12における全てのアール部17を徐々に小さく(大きく)なるように設定したが、角丸正四角形(角丸正多角形)のボール挿入孔12において、少なくとも一つのアール部17の半径rを徐々に小さく(大きく)なるように設定しても良く、二つのアール部17(スキージブラシ25の移動方向上流側に位置する二つのアール部17a、スキージブラシ25の移動方向下流側に位置する二つのアール部17b、対向位置に位置する二つのアール部など)、三つ以上のアール部17の半径rを徐々に小さく(大きく)なるように設定しても良い。また、ボール挿入孔12におけるアール部17の半径r(コーナー直線部20の長さ寸法d1)は、ボール挿入孔12の一端(スキージブラシ25の移動方向における上端側)と他端(スキージブラシ25の移動方向における下端側)とで異ならせても良い。また、角丸正四角形(角丸正多角形)のボール挿入孔12におけるアール部17の半径rは、それぞれのコーナー部で異ならせても良い。この場合、ボール挿入孔12にはコーナー部の数に応じた様々なアール部17の半径r(曲率)が存在することになるので、スキージ25を不特定な方向から移動させるようにしても、例えば、アール部17の半径rが小さいコーナー部(近辺)では、ボール挿入孔12に半田ボール2を誘い込みやすくすることができ、アール部17の半径rが大きいコーナー部(近辺)では、ボール挿入孔12に半田ボール2を落とし込みやすくすることができる。また、角丸正四角形(角丸正多角形)のボール挿入孔12は、直線部16を有さない、つまり、アール部17のみで構成することもできる。
【0045】
図9は、挿入孔12の変形例を示している。角丸正多角形としては、角丸正偶数角形と角丸正奇数角形とがあり、
図9(a)は、挿入孔12の開口縁を、平面視で角丸正三角形(角丸正多角形、角丸正奇数角形)としたものであり、
図9(b)は、挿入孔12の開口縁を、平面視で角丸正五角形(角丸正多角形、角丸正奇数角形)としたものであり、
図9(c)は、挿入孔12の開口縁を、平面視で角丸正六角形(角丸正多角形、角丸正偶数角形)としたものである。これらの変形例においても、部分円弧状に形成されたアール部17に対して、隣り合う直線部16・16は接線接続となるように構成されており、アール部17と直線部16とは滑らかに繋がっている。このように挿入孔12を形成する角丸正多角形は、上記各実施例に示した角丸正四角形に限られない。
【0046】
(実施例5)
図10に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例4を示す。本実施例においては、挿入孔12の開口縁が、正四角形(正多角形)の辺を構成する直線部41と、当該正四角形を構成する各頂点部42において外方向に向って膨出形成された部分円弧部43とを有する、異形正四角形(異形正多角形)に形成した。部分円弧部43の半径寸法Rは、挿入孔12の開口縁の形成する正四角形の辺の長さ寸法Lの1/8に設定されており、直線部41と部分円弧部43との接続部分は部分円弧部43の半径寸法Rより小さい半径寸法で丸められている。挿入孔12は、正四角形の前後辺である2つの直線部41・41の伸び方向が、スキージブラシ25の移動方向(左右方向)と一致するものと、正四角形の対向する2つの直線部41・41の伸び方向が、スキージブラシ25の移動方向(左右方向)に対して45度傾斜するものとが、千鳥状に交互に配置されている。なお、挿入孔12の開口縁を形成する正多角形は正四角形に限らず、例えば正三角形、正五角形等であってもよい。また、部分円弧部43の半径寸法Rは、(L/8<R≦L/2)の不等式を満たすように構成されていることが好ましい。
【0047】
上記のような挿入孔12によれば、ボール挿入孔12のコーナー部において、応力が集中しやすい劣角状の開口縁が形成されることによる影響を解消できる。従って、本発明によれば、同角数の多角形状のボール挿入孔の開口縁に比べて、コーナー部における開口縁形状の急激な変化を抑えることができるので、丸められたコーナー部に応力を分散して作用させることができ、多角形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて、張力が付与されたときにも破損し難い配列用マスクを得ることができる。円形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて開口縁と半田ボールとが接触する機会を少なくすることができるので、挿入孔12内によりスムーズに半田ボール2を落下させることが可能であり、半田ボール2の搭載率の向上を図ることもできる。また、部分円弧部43が半田ボール2の誘い込み部となり、部分円弧部43上に至った半田ボール2を挿入孔12へと誘導することができる。この時、部分円弧部43から直線部41にかけて下り傾斜する傾斜面を設けると、部分円弧部43による挿入孔12への誘導機能をより効果的に発揮させることができる。係る構成については、前記各実施例においても採用することができ、つまり、アール部17から直線部16にかけて下り傾斜する傾斜面を設けても良い。なお、少なくとも部分円弧部43で囲まれた領域は、有底状(非貫通)に形成されていてもよい。
【0048】
(参考例) 上記各実施例における挿入孔12は、正多角形を開口縁の基準形状として構成したが、開口縁の基準形状は長方形で構成することができる。また、凸多角形、凹多角形、星形多角形などで構成することもできる。また、円形、多角形、角丸多角形(円弧、直線、頂点)を組み合わせて構成することもできる。これらの場合における挿入孔12の開口縁は、少なくとも1個の半田ボール2を落とし込める大きさに設定する。
【符号の説明】
【0049】
1 配列用マスク
2 半田ボール
3 ワーク
12 ボール挿入孔
16 直線部
17 アール部
17a スキージの移動方向の上流側に位置するアール部
17b スキージの移動方向の下流側に位置するアール部
18 仮想正多角形(仮想正四角形)
19 頂点部
20 コーナー直線部
25 スキージ(スキージブラシ)
41 直線部
42 頂点部
43 部分円弧部
D 仮想正多角形の辺寸法
d1 コーナー直線部の長さ寸法
d1a アール部17aのコーナー直線部の長さ寸法
d1b アール部17bのコーナー直線部の長さ寸法
r アール部の半径