(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083386
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】医療用レーザシステム及びレーザ手術システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B1/00 621
A61B1/00 553
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052691
(22)【出願日】2024-03-28
(62)【分割の表示】P 2022507456の分割
【原出願日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】62/882,837
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/017,450
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブケソヴ セルゲー エイ
(72)【発明者】
【氏名】シュナッケンベルグ レイチェル ディ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン クルト ジー
(72)【発明者】
【氏名】タルボット ブライアン エム
(57)【要約】
【課題】組織安全を維持しながら、標的に選択的に外科用レーザを適用する。
【解決手段】レーザ源と、光ファイバと、制御回路と、を有し、制御回路は、標的から反射された反射信号を受取り、反射信号パラメータを生成することと、反射信号パラメータの値と、光ファイバの遠位端から標的の外面への標的間距離との間の関係を示す較正曲線を生成することと、標的間距離にわたる反射信号パラメータの値の変化率を決定することと、変化率と較正曲線との比較に基づき、標的がレーザ発射範囲内にあるかどうかを決定することと、標的がレーザ発射範囲内にあるかどうかの決定に基づき、レーザ源の出力設定又は標的に対する光ファイバの遠位端の位置を調整することと、を行うように構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用レーザシステムであって、
レーザエネルギを生成するように構成されたレーザ源と、前記レーザエネルギを標的に誘導する光ファイバと、
制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
電磁放射に応じて前記標的から反射された反射信号を受取ることと、
前記受取った反射信号に関連する反射信号パラメータを生成することと、
前記反射信号パラメータの値と、前記光ファイバの遠位端から前記標的の外面への
対応するファイバ標的間距離と、の間の関係を示す較正曲線を生成することと、
複数のファイバ標的間距離にわたる前記反射信号パラメータの値の変化率を決定することと、
前記決定した変化率と前記生成された較正曲線との比較に基づき、前記標的が特定のレーザ発射範囲内にあるかどうかを決定することと、
前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にあるかどうかの前記決定に少なくとも部分的に基づき、前記レーザ源の出力設定又は前記標的に対する前記光ファイバの前記遠位端の位置を制御可能に調整することと、
を行うように構成される、医療用レーザシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用レーザシステムであって、前記反射信号パラメータは、
前記標的の分光信号に関連する分光パラメータ、又は
前記標的の撮像信号に関連する画像パラメータ、
の1つ又は複数を含む、医療用レーザシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記レーザエネルギを誘導する前記光ファイバとは別の第1光ファイバを含み、
前記第1光ファイバは、前記標的からの前記反射信号を前記制御回路へ送信するように構成される、医療用レーザシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の医療用レーザシステムであって、
前記第1光ファイバは、光源からの前記電磁放射を前記標的に伝送するように更に構成される、医療用レーザシステム。
【請求項5】
請求項3に記載の医療用レーザシステムであって、
前記第1光ファイバ及び前記レーザエネルギを誘導する前記光ファイバと別の第2光ファイバを更に有し、前記第2光ファイバは、光源からの前記電磁放射を前記標的に伝送するように構成される、医療用レーザシステム。
【請求項6】
請求項3に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記反射信号パラメータを、前記第1光ファイバの外径又は前記第1光ファイバの遠位端の突出角度の1つ又は複数を更に使用して生成するように構成される、医療用レーザシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、ファイバ標的間距離の既知の変化量にわたる前記反射信号パラメータの変化率を決定し、前記生成された反射信号パラメータの値によって正規化された前記反射信号パラメータの前記決定された変更率に基づき、前記較正曲線を生成するように構成される、医療用レーザシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にあるかどうかの前記決定に少なくとも部分的に基づき、前記レーザ源の前記出力設定を調整するように構成され、
前記調整には、
前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にない場合は、前記レーザ源による前記標的に対するレーザエネルギの発射を不能とする、又は
前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にある場合は、前記レーザ源による前記標的に対するレーザエネルギの発射を可能とする、
ことを含む、医療用レーザシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にあるという前記決定に少なくとも部分的に基づき、前記光ファイバの前記遠位端の前記標的に対する位置を調整する又はユーザに調整するよう知らせるように構成される、医療用レーザシステム。
【請求項10】
請求項1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記反射信号パラメータに基づき、前記標的の識別を複数の構造タイプのうちの1つとして決定するように構成される、医療用レーザシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的の前記識別に更に基づき、前記レーザ源の前記出力設定又は前記光ファイバの前記遠位端の前記位置を調整するよう構成される、医療用レーザシステム。
【請求項12】
請求項10に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的の前記識別に少なくとも部分的に基づき、レーザ出力モードを決定するように構成され、前記レーザ出力モードは、前記標的が結石構造であると識別された場合は第1動作モード、前記標的が解剖学的構造であると識別された場合は第2動作モード、又は前記標的が結石構造でも解剖学的構造でもないと識別された場合は第3動作モード、のうちの1つを含む、医療用レーザシステム。
【請求項13】
レーザ手術システムであって、
レーザエネルギを生成するように構成されたレーザ源と、前記レーザエネルギを被術者の身体内の標的に誘導する光ファイバと、を含むレーザシステムと、
制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
電磁放射に応じて前記標的から反射された反射信号を受取ることと、
前記受取った反射信号から1つ又は複数のスペクトル特徴を生成することと、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴を使用し、それぞれ組成が異なる複数の構造タイプの1つとして前記標的を識別することと、
前記生成された1つ又は複数のスペクトル特徴によって正規化されたファイバ標的間距離の既知の変化量にわたる1つ又は複数のスペクトル特徴の正規化された変化率に基づき、(i)前記1つ又は複数のスペクトル特徴の値と、(ii)前記光ファイバの遠位端から前記標的の外面への対応するファイバ標的間距離と、の間の関係を示す較正曲線を生成することと、
前記較正曲線と前記生成された1つ又は複数のスペクトル特徴を使用して、前記標的の前記外面と前記光ファイバの前記遠位端との間のファイバ標的間距離を決定することと、
を行うように構成され、
前記ファイバ標的間距離を決定するため、前記制御回路は、
2つの異なるファイバ標的間距離で反射され前記受取った反射信号からそれぞれスペクトル特徴値を測定することと、
測定された前記スペクトル特徴値の差の、前記2つの異なるファイバ標的間距離の差に対する割合を使用し、前記受取った反射信号の正規化された勾配を決定することであって、前記割合は、測定された前記スペクトル特徴値の平均に正規化されることと、
前記正規化された勾配と、前記生成された較正曲線と、の比較に基づき、前記ファイバ標的間距離を決定することと、
前記標的の前記識別と前記決定されたファイバ標的間距離とに基づき、前記レーザシステムの動作モードを決定することと、
前記決定された動作モードに少なくとも部分的に基づき、前記レーザシステムを動作不能又は動作可能とするように前記レーザシステムをロック又はロック解除するように制御信号を生成することと、
を行うように構成される、レーザ手術システム。
【請求項14】
請求項13に記載のレーザ手術システムであって、
前記レーザシステムは、レーザパラメータ設定に従って、前記被術者の前記体内の前記標的に送達するレーザビームを生成するように構成される、レーザ手術システム。
【請求項15】
請求項13に記載のレーザ手術システムであって、
前記制御回路は、
前記受取った反射信号を使用して、複数の波長にわたる反射率強度を表す反射率スペクトルを生成することと、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴を生成することと、
を行うように構成され、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴を生成することには、前記反射率スペクトルから1つ又は複数のスペクトル特徴を抽出することを含み、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴は、
特定の波長での反射強度、
2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴、又は
前記反射率スペクトルの図形表現の図形特徴、
を含む、レーザ手術システム。
【請求項16】
請求項13に記載のレーザ手術システムであって、
前記制御回路は、前記レーザシステムの前記動作モードを決定するように構成され、前記動作モードは、前記標的が結石構造であると識別された場合は第1動作モード、前記標的が解剖学的構造であると識別された場合は第2動作モード、又は前記標的が結石構造でも解剖学的構造でもないと識別された場合は第3動作モード、のうちの1つを含む、レーザ手術システム。
【請求項17】
請求項13に記載の医療用レーザシステムであって、
前記レーザシステムに結合された内視鏡を含み、前記内視鏡は、前記制御回路と、少なくとも1本の光ファイバと、を含み、前記少なくとも1本の光ファイバは、前記レーザエネルギ、前記標的からの前記反射信号又は前記電磁放射のうちの1つ又は複数を伝送する、医療用レーザシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のレーザ手術システムであって、
前記少なくとも1本の光ファイバは、前記標的から反射された前記反射信号を前記制御システムに結合された分光センサに送信するよう構成された第1光ファイバを含む、レーザ手術システム。
【請求項19】
請求項18に記載のレーザ手術システムであって、
前記少なくとも1本の光ファイバは、前記第1光ファイバとは別の第2光ファイバを含み、前記第2光ファイバは前記レーザエネルギを前記標的に伝送するように構成される、レーザ手術システム。
【請求項20】
請求項13に記載のレーザ手術システムであって、
前記制御回路は、前記標的構造を照明する前記電磁放射に応じて前記標的から反射される反射信号を感知するように構成された撮像センサに結合される、レーザ手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2019年8月5日に出願された米国仮特許出願第62/882,837号、及び2020年4月29日に出願された米国仮特許出願第63/017,450号の優先権の利益を主張し、これらの出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本文書は、概してレーザ手術システムに関し、より具体的には、組織安全を維持しながら、標的に選択的に外科用レーザを適用するためのレーザ内視鏡検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
典型的には、内視鏡が使用されて患者の内部位置へのアクセスを提供することにより、医師は視覚的アクセスが提供される。いくつかの内視鏡が低侵襲手術において使用されることにより、患者の身体から欠陥のある組織又は異物を除去する。例えば、腎盂尿管鏡が臨床医によって腎臓系の検査に使用されることにより、直接的な視覚制御下での様々な手順を実行する。経皮的腎摘出術(PCNL)手順では、腎盂尿管鏡が患者の側腹部を通して腎盂内に配置される。例えば、泌尿器系、胆嚢、鼻孔、胃腸管、胃、又は扁桃腺等を含む身体の様々な領域からの結石又は塊が、可視化されて摘出され得る。
【0004】
レーザ又はプラズマシステムが、軟組織又は硬組織等の様々な標的治療領域に外科用レーザエネルギを送達するために使用されてきた。レーザ療法の例としては、切除、凝固、気化、断片化等が挙げられる。砕石術適用では、レーザが、腎臓、胆嚢、尿管内、別の結石形成領域中の結石構造を破壊する、又は大きい結石をより小さい断片に切除するために使用されてきた。内視鏡レーザ療法では、レーザが、標的治療構造(例えば、結石又は癌性組織)にのみ適用され、そして意図しないレーザ照射から非治療組織を免れさせることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本文書は、レーザ内視鏡検査手順等の医療手順中に、インビボで異なる組成を有する様々な組織又は結石タイプを識別し、そして識別された組織又は結石タイプに従って療法を自動的に調整するシステム、デバイス、及び方法を説明する。例示的な電気外科治療システムは、被術者の身体内の標的に送達するための電気外科エネルギを生成するように構成された電気外科エネルギシステムと、光源によって生成された電磁放射に応じて標的から反射された信号を受取り、反射信号から1つ又は複数の分光特性を生成するように構成されたコントローラ回路と、を備えている。コントローラ回路は、1つ又は複数の分光特性を使用して、それぞれの異なる組成を有する複数の構造タイプのうちの1つとして標的を識別し、そして標的の識別に基づいて電気外科エネルギシステムの動作モードを決定し得る。一例では、制御回路は、電気外科エネルギシステムを制御して、結石タイプ又は癌性組織等の関心の特定タイプの標的に向かって電気外科エネルギを送達し、そして分類された組織タイプ又は結石タイプに基づいてレーザ設定を調整してもよい。
【0006】
例1は、医療用レーザシステムであって、
レーザエネルギを生成するように構成されたレーザ源と、前記レーザエネルギを標的に誘導する光ファイバと、
制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
電磁放射に応じて前記標的から反射された反射信号を受取ることと、
前記受取った反射信号に関連する反射信号パラメータを生成することと、
前記反射信号パラメータの値と、前記光ファイバの遠位端から前記標的の外面への
対応するファイバ標的間距離と、の間の関係を示す較正曲線を生成することと、
複数のファイバ標的間距離にわたる前記反射信号パラメータの値の変化率を決定することと、
前記決定した変化率と前記生成された較正曲線との比較に基づき、前記標的が特定のレーザ発射範囲内にあるかどうかを決定することと、
前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にあるかどうかの前記決定に少なくとも部分的に基づき、前記レーザ源の出力設定又は前記標的に対する前記光ファイバの前記遠位端の位置を制御可能に調整することと、
を行うように構成される、医療用レーザシステム。
【0007】
例2は、例1に記載の医療用レーザシステムであって、前記反射信号パラメータは、
前記標的の分光信号に関連する分光パラメータ、又は
前記標的の撮像信号に関連する画像パラメータ、
の1つ又は複数を含む、医療用レーザシステム。
【0008】
例3は、例1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記レーザエネルギを誘導する前記光ファイバとは別の第1光ファイバを含み、
前記第1光ファイバは、前記標的からの前記反射信号を前記制御回路へ送信するように構成される、医療用レーザシステム。
【0009】
例4は、例3に記載の医療用レーザシステムであって、
前記第1光ファイバは、光源からの前記電磁放射を前記標的に伝送するように更に構成される、医療用レーザシステム。
【0010】
例5は、例3に記載の医療用レーザシステムであって、
前記第1光ファイバ及び前記レーザエネルギを誘導する前記光ファイバと別の第2光ファイバを更に有し、前記第2光ファイバは、光源からの前記電磁放射を前記標的に伝送するように構成される、医療用レーザシステム。
【0011】
例6は、例3に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記反射信号パラメータを、前記第1光ファイバの外径又は前記第1光ファイバの遠位端の突出角度の1つ又は複数を更に使用して生成するように構成される、医療用レーザシステム。
【0012】
例7は、例1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、ファイバ標的間距離の既知の変化量にわたる前記反射信号パラメータの変化率を決定し、前記生成された反射信号パラメータの値によって正規化された前記反射信号パラメータの前記決定された変更率に基づき、前記較正曲線を生成するように構成される、医療用レーザシステム。
【0013】
例8は、例1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にあるかどうかの前記決定に少なくとも部分的に基づき、前記レーザ源の前記出力設定を調整するように構成され、
前記調整には、
前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にない場合は、前記レーザ源による前記標的に対するレーザエネルギの発射を不能とする、又は
前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にある場合は、前記レーザ源による前記標的に対するレーザエネルギの発射を可能とする、
ことを含む、医療用レーザシステム。
【0014】
例9は、例1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的が前記特定のレーザ発射範囲内にあるという前記決定に少なくとも部分的に基づき、前記光ファイバの前記遠位端の前記標的に対する位置を調整する又はユーザに調整するよう知らせるように構成される、医療用レーザシステム。
【0015】
例10は、例1に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記反射信号パラメータに基づき、前記標的の識別を複数の構造タイプのうちの1つとして決定するように構成される、医療用レーザシステム。
【0016】
例11は、例10に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的の前記識別に更に基づき、前記レーザ源の前記出力設定又は前記光ファイバの前記遠位端の前記位置を調整するよう構成される、医療用レーザシステム。
【0017】
例12は、例10に記載の医療用レーザシステムであって、
前記制御回路は、前記標的の前記識別に少なくとも部分的に基づき、レーザ出力モードを決定するように構成され、前記レーザ出力モードは、前記標的が結石構造であると識別された場合は第1動作モード、前記標的が解剖学的構造であると識別された場合は第2動作モード、又は前記標的が結石構造でも解剖学的構造でもないと識別された場合は第3動作モード、のうちの1つを含む、医療用レーザシステム。
【0018】
例13は、レーザ手術システムであって、
レーザエネルギを生成するように構成されたレーザ源と、前記レーザエネルギを被術者の身体内の標的に誘導する光ファイバと、を含むレーザシステムと、
制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
電磁放射に応じて前記標的から反射された反射信号を受取ることと、
前記受取った反射信号から1つ又は複数のスペクトル特徴を生成することと、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴を使用し、それぞれ組成が異なる複数の構造タイプの1つとして前記標的を識別することと、
前記生成された1つ又は複数のスペクトル特徴によって正規化されたファイバ標的間距離の既知の変化量にわたる1つ又は複数のスペクトル特徴の正規化された変化率に基づき、(i)前記1つ又は複数のスペクトル特徴の値と、(ii)前記光ファイバの遠位端から前記標的の外面への対応するファイバ標的間距離と、の間の関係を示す較正曲線を生成することと、
前記較正曲線と前記生成された1つ又は複数のスペクトル特徴を使用して、前記標的の前記外面と前記光ファイバの前記遠位端との間のファイバ標的間距離を決定することと、
を行うように構成され、
前記ファイバ標的間距離を決定するため、前記制御回路は、
2つの異なるファイバ標的間距離で反射され前記受取った反射信号からそれぞれスペクトル特徴値を測定することと、
測定された前記スペクトル特徴値の差の、前記2つの異なるファイバ標的間距離の差に対する割合を使用し、前記受取った反射信号の正規化された勾配を決定することであって、前記割合は、測定された前記スペクトル特徴値の平均に正規化されることと、
前記正規化された勾配と、前記生成された較正曲線と、の比較に基づき、前記ファイバ標的間距離を決定することと、
前記標的の前記識別と前記決定されたファイバ標的間距離とに基づき、前記レーザシステムの動作モードを決定することと、
前記決定された動作モードに少なくとも部分的に基づき、前記レーザシステムを動作不能又は動作可能とするように前記レーザシステムをロック又はロック解除するように制御信号を生成することと、
を行うように構成される、レーザ手術システム。
【0019】
例14は、例13に記載のレーザ手術システムであって、
前記レーザシステムは、レーザパラメータ設定に従って、前記被術者の前記体内の前記標的に送達するレーザビームを生成するように構成される、レーザ手術システム。
【0020】
例15は、例13に記載のレーザ手術システムであって、
前記制御回路は、
前記受取った反射信号を使用して、複数の波長にわたる反射率強度を表す反射率スペクトルを生成することと、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴を生成することと、
を行うように構成され、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴を生成することには、前記反射率スペクトルから1つ又は複数のスペクトル特徴を抽出することを含み、
前記1つ又は複数のスペクトル特徴は、
特定の波長での反射強度、
2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴、又は
前記反射率スペクトルの図形表現の図形特徴、
を含む、レーザ手術システム。
【0021】
例16は、例13に記載のレーザ手術システムであって、
前記制御回路は、前記レーザシステムの前記動作モードを決定するように構成され、前記動作モードは、前記標的が結石構造であると識別された場合は第1動作モード、前記標的が解剖学的構造であると識別された場合は第2動作モード、又は前記標的が結石構造でも解剖学的構造でもないと識別された場合は第3動作モード、のうちの1つを含む、レーザ手術システム。
【0022】
例17は、例13に記載の医療用レーザシステムであって、
前記レーザシステムに結合された内視鏡を含み、前記内視鏡は、前記制御回路と、少なくとも1本の光ファイバと、を含み、前記少なくとも1本の光ファイバは、前記レーザエネルギ、前記標的からの前記反射信号又は前記電磁放射のうちの1つ又は複数を伝送する、医療用レーザシステム。
【0023】
例18は、例17に記載のレーザ手術システムであって、
前記少なくとも1本の光ファイバは、前記標的から反射された前記反射信号を前記制御システムに結合された分光センサに送信するよう構成された第1光ファイバを含む、レーザ手術システム。
【0024】
例19は、例18に記載のレーザ手術システムであって、
前記少なくとも1本の光ファイバは、前記第1光ファイバとは別の第2光ファイバを含み、前記第2光ファイバは前記レーザエネルギを前記標的に伝送するように構成される、レーザ手術システム。
【0025】
例20は、例13に記載のレーザ手術システムであって、
前記制御回路は、前記標的構造を照明する前記電磁放射に応じて前記標的から反射される反射信号を感知するように構成された撮像センサに結合される、レーザ手術システム。
【0026】
この要約は、本出願の教示の一部についての概要であり、本発明の主題の排他的又は網羅的な取り扱いを意図するものではない。本主題についての更なる詳細は、詳細な説明及び特許請求の範囲に記載されている。本開示の別の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部分を形成する図面を見ることにより当業者に明らかになるであろう。そしてこれらのそれぞれは、限定的な意味で考えられるべきではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって定義される。
【0027】
添付図面を参照して様々な実施形態が例示される。かかる実施形態は、実証的であり、本発明の主題の網羅的又は排他的な実施形態であることが意図されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】解剖学的構造又は結石構造等の身体内の標的構造にレーザ療法を提供するように構成されたレーザ治療システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】レーザフィードバック制御システム及び該システムが使用されてもよい環境の一部を示すブロック図である。
【
図3A】異なる腎臓結石タイプの正規化反射率スペクトルの例を示す図である。
【
図3B】異なる腎臓組織タイプの正規化反射率スペクトルの例を示す図である。
【
図4A】フィードバック制御型レーザ療法を提供するように構成された内視鏡の一例を示す図である。
【
図4B】フィードバック制御型レーザ療法を提供するように構成された内視鏡の一例を示す図である。
【
図4C】フィードバック制御型レーザ療法を提供するように構成された内視鏡の一例を示す図である。
【
図5A】フィードバック制御型レーザ療法を提供するように構成された例示的な内視鏡の一部分を示す図である。
【
図5B】フィードバック制御型レーザ療法を提供するように構成された例示的な内視鏡の一部分を示す図である。
【
図6】カメラフィードバックを受取るフィードバック制御型レーザ療法システムと統合された内視鏡を含むレーザ治療システムの一例を示す図である。
【
図7】分光センサフィードバックを受取るフィードバック制御型レーザ療法システムと統合された内視鏡を含むレーザ治療システムの一例を示す図である。
【
図8A】統合されたマルチファイバアクセサリを有する内視鏡を含むレーザ治療システムの一例を示す図である。
【
図8B】統合されたマルチファイバアクセサリを有する内視鏡を含むレーザ治療システムの一例を示す図である。
【
図8C】統合されたマルチファイバアクセサリを有する内視鏡を含むレーザ治療システムの一例を示す図である。
【
図9】専用の分光信号ファイバ及び別個の外科用レーザファイバを含むレーザ治療システムを示す図である。
【
図10】標的構造から反射されたフィードバック信号を使用して、分光反射信号強度と、ファイバの遠位端とターゲット構造との間の距離との間の関係を表す較正曲線の一例を示す図である。
【
図11】解剖学的構造又は結石構造等の、被術者の身体内の標的構造にレーザビームを送達するためのレーザシステムを制御するための方法を示すフローチャートである。
【
図12】本明細書で論じられる技術(例えば、方法論)のうちのいずれか1つ又は複数が実行し得る例示的な機械を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
レーザ内視鏡検査は、内部臓器での観察及び動作の医療手順であって、特定の診断又は療法効果を達成するために、標的身体領域に外科用レーザを送達する。レーザ内視鏡検査は、軟組織及び硬組織の治療(例えば、癌細胞を損傷又は破壊する)、又は結石破砕法適用において使用されてきた。例えば、PCNLにおいては、実施者は、患者の背中の切開を通して、患者の腎臓内に剛性スコープを挿入し得る。スコープによって、実施者は、比較的高電力の赤外レーザビームを使用して、結石を照明することにより、腎臓又は上部尿管内の特定の結石の所在を突き止めて、結石をより小さい破片に破壊し得る。レーザビームは、結石をより小さい破片に切断し得る。次いで、結石破片は、腎臓から引き出され得る。スコープは、内視鏡、腎盂尿管鏡、及び/又は膀胱鏡を含み得る。
【0030】
内視鏡レーザ療法では、異なる組織を認識し、標的治療構造(例えば、癌性組織、又は特定の結石タイプ)のみにレーザエネルギを適用し、又は非治療組織(例えば、正常組織)をレーザ照射に曝露することを回避又は減少させることが望ましい。従来、関心のある標的治療構造の認識は、内視鏡を介して標的手術部位及びその周囲環境を可視化すること等によって、オペレータによる手動で実行される。かかる手動手法は、限られた外科的視野しか提供しない手術部位への窮屈なアクセス等に起因して、少なくとも一部の場合に正確度を欠くことがあり、標的の組成を決定し得ないことがある。生検技術が、標的構造(例えば、組織)を身体から摘出するために使用されて、その組成をインビトロで分析してきた。しかしながら、多くの臨床適用では、インビボで組織組成を決定することにより、手術の時間及び複雑さを減少させて、療法効能を向上させることが望ましい。例えば、レーザを結石に適用して破壊するか又は粉塵化するレーザ砕石術では、特定のタイプ(例えば、腎臓又は膵胆管又胆嚢の結石の化学組成)の結石の自動的及びインビボでの認識、並びに周囲組織から結石を識別することが、医師が、標的結石に隣接する非治療組織を照射することを回避しながら、レーザ設定(例えば、電力、曝露時間、又は発射角度)を調整して標的結石をより効果的に切断することを可能にするであろう。
【0031】
従来の内視鏡レーザ療法は、また、組織タイプ(例えば、組成)が手順において連続的に監視され得ないという制限を有する。内視鏡手順中に動く多くの部分があり、内視鏡から見られる組織は、手順全体にわたって変化することがある。従来の生検技術は、組成を識別するための組織試料を切除する必要があるため、手順全体にわたって組織の組成を監視し得ない。内視鏡の先端における構造タイプ(例えば、軟組織タイプ、硬組織タイプ、正常組織対癌性組織、又は結石構造の組成)についての連続的な監視及び認識は、手順中の治療により良好に適合するためのより多くの情報を医師に与えることがある。例えば、医師が、軟中心部以外の硬表面を有する腎臓結石を粉塵化している場合には、内視鏡による連続組織組成情報は、医師が、連続的に検出された結石表面組成に基づいてレーザ設定を調整すること、例えば、結石の硬表面においてより良好に機能する第1設定から、結石の軟中心部においてより良好に機能する第2の異なる設定に調整することを可能にし得る。
【0032】
少なくとも上記の理由のために、本発明者らは、異なる構造タイプをそれぞれの異なる組成によってインビボで識別すること、及び構造タイプの識別に従って療法を調節することが可能であるシステム及び方法に対する未解決の必要性を認識した。
【0033】
本明細書では、インビボで異なる組成を有する異なる構造タイプを識別する、及びそれに従って医療手順において外科的レーザ出力を調整するシステム、デバイス、及び方法が記載されている。例示的なレーザ治療システムは、身体内の標的に送達するためのレーザビームを生成するように構成されたレーザシステムと、光源によって生成された電磁放射線に応じて標的から反射された信号を受取って、反射信号から1つ又は複数の分光特性を生成するように構成されたコントローラ回路と、を備えている。コントローラ回路は、1つ又は複数の分光特性を使用して、異なる組成を有する組織タイプ又は結石タイプ等の複数の構造タイプのうちの1つとして標的を識別し得る。レーザシステムは、標的識別に基づく動作モードで動作するように制御され得る。動作モードは、レーザビームの送達若しくは送達保留、又はレーザシステムのためのレーザパラメータ設定を含み得る。一例では、制御回路は、レーザシステムを制御して、結石タイプ又は癌性組織等の関心のある標的に向かってレーザビームを発射し、そして分類された組織タイプ又は結石タイプに基づいてレーザ設定を調整してもよい。
【0034】
本明細書で説明された様々な実施形態に従うシステム、デバイス、及び方法は、インビボでの改善された標的構造診断及びレーザ療法を提供する。本明細書に記載された特徴は、内視鏡、レーザ手術、レーザ砕石術、レーザ設定、及び/又は分光法に関連して使用されてもよい。標的及び適用の例としては、腎臓結石のレーザ砕石術、及び軟組織のレーザ切開又は気化が挙げられてもよい。本明細書に記載されたような特徴を組み込む内視鏡システムの一例では、組織若しくは結石タイプ又は組成がインビボで識別及び監視されてもよい。標的の化学組成等の組織タイプ又は結石タイプの自動的及びインビボの識別が使用されて、レーザエネルギの最適な送達のためのレーザ設定が調整されてもよい。組織タイプ又は結石タイプの連続的な監視及び識別の能力が、レーザ設定の即時の調整を可能にする。例えば、本明細書の様々な態様に従って、レーザシステムが、画像プロセッサ等の別のシステムへの入力データを提供してもよく、これにより、手順監視が、ユーザに医療手順に関する情報を表示してもよい。これの一例は、例えば、手順中の視野内の様々な軟組織、脈管構造、被膜組織、及び結石等の同じ標的内の様々な化学組成をより明確に識別することである。標的構造の改善された認識及び分類により、患者は、偶発的なレーザ発射又は誤配置されたレーザ発射から保護され得、そして改善された療法効果及び組織安全性が達成され得る。
【0035】
本明細書に記載された様々な実施形態に従うと、本明細書は、また、レーザファイバと標的構造との間の距離を推定して制御するための技術を提供する。例えば、適切な標的とされた要素(例えば、癌性病変又は結石)がレーザの範囲内にない場合には、レーザは、「ロックされる」、すなわち、発射を防止されてもよい。例えば、本技術がレーザ砕石術手順において使用されるとき、レーザは、結石がレーザ範囲内にない(例えば、組織のみがレーザ範囲内にある)場合、ロックされてもよい。このロック制御がまた使用されて、標的が最適な発射距離内にあることを確実にすることにより、既存のレーザ砕石術システムの性能を改善し、電力を節約し、患者の安全性を向上させ、結石切除の効能を改善する。
【0036】
図1は、解剖学的構造(例えば、軟組織、硬組織、若しくは癌性組織等の異常組織)、又は結石構造(例えば、腎臓、膵臓若しくは胆嚢結石)等の被術者の身体内の標的構造122にレーザ治療を提供するように構成されたレーザ治療システム100の一例を示すブロック図である。レーザ治療システム100は、レーザフィードバック制御システム101と、少なくとも1つのレーザシステム102と、を含んでもよい。レーザフィードバック制御システム101は、光源によって生成された電磁放射に応じて標的から反射された信号を受取り、標的からの反射信号を使用して1つ又は複数の分光特性を生成し、それぞれの異なる組成を有する複数の構造タイプ(例えば、結石タイプ又は組織タイプ)のうちの1つとして標的を識別し、識別された構造タイプに基づいてレーザシステムの動作モードを決定するように構成されてもよい。レーザフィードバック制御システム101は、軟(例えば、非石灰化)組織又は硬(例えば、石灰化)組織、或いは腎臓、膵臓又は胆嚢結石等の結石構造の治療のための工業的及び/又は医学的用途等の様々な用途に使用されてもよい。いくつかの例では、レーザ治療システム100は、組織又は別の解剖学的構造の正確に制御された療法治療(例えば、組織切除、凝固、気化等)、又は非解剖学的構造の治療(例えば、結石構造の切除又は粉塵化)を送達してもよい。
【0037】
レーザフィードバック制御システム101は、1つ又は複数のレーザシステムと動作的に通信してもよい。
図1は、第1レーザシステム102に、及び任意選択で(点線で示す)第2レーザシステム104に接続されたレーザフィードバックシステムを示す。追加のレーザシステムが、本開示の範囲内で企図されている。第1レーザシステム102は、第1レーザ源106と、電源、ディスプレイ、冷却システム等の関連構成要素と、を含んでもよい。第1レーザシステム102は、また、第1レーザ源106と動作的に結合された第1光学経路108を含んでもよい。一例では、第1光学経路108は、光ファイバを含む。第1光学経路108は、第1レーザ源106から標的構造122までレーザビームを伝送するように構成されてもよい。
【0038】
レーザフィードバック制御システム101は、標的構造122からのフィードバック信号130を分析して、第1レーザシステム102及び/又は第2レーザシステム104を制御することにより、所望の療法効果を提供するのに適切なレーザ出力を生成してもよい。例えば、レーザフィードバック制御システム101は、療法手順(例えば、腎臓結石等の結石をより小さい破片に切除する)中に標的構造122の特性を監視して、組織が別の療法手順(例えば、血管の凝固)の前に適切に切除されたか否かを決定してもよい。
【0039】
一例では、第1レーザ源106は、第1出力110を提供するように構成されてもよい。第1出力110は、標的構造122の吸収スペクトルの一部分に対応するもの等の第1波長範囲にわたって延在してもよい。第1出力110は、第1出力110が組織の吸収スペクトルに対応する波長範囲にわたって存在するので、標的構造122の有効な切除及び/又は炭酸化を提供してもよい。
【0040】
一例では、第1レーザ源106は、第1波長範囲において放出された第1出力110が、組織による入射第1出力110の高吸収(例えば、約250cm-1を超える)に対応するように構成されてもよい。例示的な態様では、第1レーザ源106は、約1900ナノメートル(nm)乃至約3000nm(例えば、水による高い吸収に対応する)の、及び/又は約400nm乃至約520nm(例えば、オキシ-ヘモグロビン及び/又はデオキシ-ヘモグロビンによる高吸収に対応する)の第1出力110を放出してもよい。明らかに、組織との光相互作用の2つの主要なメカニズム、すなわち吸収及び分散が存在する。組織の吸収が高い(250cm-1を超える吸収係数)とき、第1吸収機構が支配的であり、吸収が低い(250cm-1よりも小さい吸収係数)とき、例えば、800~1100nmの波長範囲のレーザでは、散乱機構が支配的である。
【0041】
様々な市販の医療グレードのレーザシステムが、第1レーザ源106に適することがある。例えば、約515nm乃至約520nmの、又は約370nm乃至約493nmの第1波長範囲内の第1出力110を提供するIn
xGa
1-xN半導体レーザ等の半導体レーザが使用されてもよい。その代替として、以下の表1に要約されたもの等の赤外(IR)レーザが使用されてもよい。
【表1】
【0042】
任意選択の第2レーザシステム104は、第2出力120を提供するための第2レーザ源116と、電源、ディスプレイ、冷却システム等の関連構成要素と、を含んでもよい。第2レーザシステム104は、第1レーザ源106から動作的に分離されているか、又は、択一的に動作的に結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2レーザシステム104は、第2出力120を伝送するために第2レーザ源116に動作的に結合された第2光ファイバ118(第1光学経路108から分離している)を含んでもよい。その代替として、第1光学経路108は、第1出力110と第2出力120の両方を伝送するように構成されてもよい。
【0043】
特定の態様では、第2出力120は、第1波長範囲と異なる、第2波長範囲にわたって延在してもよい。したがって、第1波長範囲と第2波長範囲との間に全く重複が存在しなくてもよい。その代替として、第1波長範囲と第2波長範囲とは、互いに少なくとも部分的に重複していてもよい。本開示の有利な態様では、第2波長範囲は、以前に切除又は炭化されていない組織によって入射放射が強く吸収される標的構造122の吸収スペクトルの部分に対応しなくてもよい。いくつかのかかる態様では、第2出力120は、有利に非炭化組織を切除しなくてもよい。更に、別の一実施形態では、第2出力120は、以前に切除された炭化組織を切除してもよい。更なる実施形態では、第2出力120は、追加の療法効果を提供してもよい。例えば、第2出力120は、組織又は血管を凝固させるのにより適していてもよい。
【0044】
図2は、レーザフィードバック制御システム200と、それが使用されてもよい環境の少なくとも一部と、を示すブロック図である。レーザフィードバック制御システム101の一例であるレーザフィードバック制御システム200は、フィードバックアナライザ240と、メモリ250と、レーザコントローラ260と、を含んでもよい。フィードバックアナライザ240は、本明細書に記載された主題の一態様に従って、標的構造122から反射された分光信号を感知して、反射信号から1つ又は複数の分光特性を生成するように構成された分光センサ242を含む。分光特性は、反射率、反射率スペクトル、吸収指数等の特性を含んでもよい。分光センサ242の例としては、とりわけ、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計、ラマン分光計、UV-VIS分光計、UV-VIS-IR分光計、又は蛍光分光計が挙げられてもよい。それぞれの分光センサ242は、分光技術に対応する。例えば、UV-VIS反射分光法が用いられて、眼から得られた情報、又は高解像度カメラにより作成された色画像に類似した対象物から反射された光から、しかしより定量的及び客観的に情報を収集してもよい。反射分光法は、材料に関する情報を提供してもよく、それが光の反射及び吸収がその化学組成及び表面特性に依存するからである。試料の表面特性とバルク特性の両方についての情報が、この技術を使用して取得されてもよい。反射分光法は、硬組織又は軟組織の組成を認識するために使用されてもよい。蛍光分光法は、試料からの蛍光を分析するタイプの電磁分光法である。材料化合物を励起して、材料化合物に典型的に可視又はIR領域の光を放出させることは、光、通常は紫外線のビームを使用することを含む。この方法は、硬組織及び軟組織等のいくつかの有機成分の分析に適用されてもよい。FTIR分光法が、迅速な材料分析に使用され、そして比較的良好な空間分解能を有し、材料の化学組成に関する情報を与えてもよい。ラマン分光法が、硬組織成分及び軟組織成分を識別するために使用されてもよい。それは、高空間分解能技術として、標的内の成分の分布を決定するのにも有用である。
【0045】
上記のような分光技術が単独で又は組合せて使用されることにより、標的構造122から反射されたフィードバック信号130を分析して分光フィードバックを作成し、そしてそれぞれの異なる組成を有する構造タイプを示す分光特性を抽出してもよい。
【0046】
フィードバックアナライザ240は、任意選択で、撮像センサ244を含んでもよい。撮像センサ244の例としては、一実施形態では、紫外(UV)、可視(VIS)、又は赤外(IR)波長に敏感なCCD又はCMOSカメラ等の撮像カメラが挙げられてもよい。いくつかの実施形態では、分光センサ242は、本明細書に列挙された単一タイプの分光計又は撮像カメラを超えるものを含むことにより、様々な特徴(例えば、炭化及び非炭化組織、脈管構造等)の検知及び検出を向上させる。
【0047】
いくつかの例では、分光センサ242は、本明細書に列挙された分光計のうちのいずれかを含んでもよく、そして療法手順中に使用される内視鏡の撮像能力に更に依存することがある。例えば、内視鏡が使用されて、療法手順中の解剖学的特徴(例えば、腫瘍のレーザ切除)を可視化してもよい。かかる場合に、内視鏡の撮像能力は、分光センサ242によって向上させられてもよい。例えば、従来の内視鏡は、解剖学的特徴(例えば、病変、腫瘍、脈管構造等)の視覚化の向上に適した狭帯域撮像を提供してもよい。分光センサ242と内視鏡撮像(白色光及び/又は狭帯域撮像)との組み合わせは、炭化の程度等の組織特性の検出を増大させることにより、療法治療の送達を正確に制御してもよい。
【0048】
一例では、分光センサ242は、信号伝送経路280に動作的に結合されてもよい。信号伝送経路280は、組織から反射された分光信号を分光センサ242まで伝送することに適した光学特性を有する光ファイバを含んでもよい。その代替として、分光センサ242は、第1レーザシステム102の第1光学経路108及び/又は第2レーザシステム104の第2光学経路118に動作的に結合され、それにより、第1光学経路108及び/又は第2光学経路118を介して分光信号を検出してもよい。
【0049】
フィードバックアナライザ240は、標的検出器246又は標的分類器248のうちの1つ又は複数を含んでもよい。標的検出器246は、任意選択で、任意選択の撮像センサ244によって感知された撮像特性との組み合わせで、分光センサ242によって生成される等の分光特性を使用して、標的構造122を複数の構造カテゴリのうちの1つとして識別するように構成されてもよい。一例では、標的検出器246は、1つ又は複数の分光特性を使用して、結石構造のカテゴリとして、又は解剖学的構造のカテゴリとして標的構造122を識別してもよい。結石構造の例として、泌尿器系、胆嚢、鼻孔、胃腸管、胃、又は扁桃腺等の様々な結石形成領域内の結石又は結石破片が挙げられてもよい。解剖学的構造の例としては、とりわけ、軟組織(例えば、筋肉、腱、靭帯、血管、筋膜、皮膚、脂肪、繊維組織)、骨等の硬組織、軟骨等の結合組織等が挙げられてもよい。
【0050】
一例では、フィードバックアナライザ240は、受取られた反射信号を使用して反射率スペクトルを生成し、そして反射率スペクトルから1つ又は複数のスペクトル特徴を抽出してもよい。反射率スペクトルは、複数の波長にわたる反射率強度を表す。反射率は、材料界面で反射された入射電磁パワーの一部分として決定され得る。これは、光源から放出された電磁放射等の放射エネルギを反射する際の材料表面の有効性を表す。反射率スペクトルは、データ配列として、又はスペクトル反射率曲線とも呼ばれる図形表現としてフォーマット化されてもよい。一例では、反射率スペクトルは、約400乃至1000nmの範囲内の波長にわたる反射率を表す。
【0051】
図3A~3Bを参照すると、異なるカテゴリの構造が、異なる反射率強度を有することがある。例えば、結石構造(例えば、腎臓結石)の反射率スペクトルは、解剖学的構造(例えば、被術者の軟組織又は硬組織)の反射率スペクトルと異なっていてもよい。例として、
図3Aは、異なる腎臓結石タイプの正規化反射率スペクトルの例を示す。反射率スペクトルは、約400nm乃至700nmの波長範囲に対応し、そして700nmにおける反射率強度に対して正規化されている。例として、
図3Bは、異なる腎臓組織タイプの正規化反射率スペクトルを示す。反射率スペクトルは、約400乃至900nmの波長範囲に対応し、そして900nmにおける反射率強度に対して正規化されている。
【0052】
図3Aに示すように、腎臓結石の反射率スペクトルは、波長が400から700nmまで増加するにつれて反射率のほぼ単調増加を示す。対照的に、
図3Bに示すように、腎臓組織の反射率スペクトルは、波長範囲400乃至650nmおいて反射率の有意な変動を示し、650nmから850nmまでの波長増加につれて反射率のほぼ単調減少を示す。
【0053】
1つ又は複数のスペクトル特徴は、
図3Aに示すような、既知の結石構造の反射率スペクトル又は正規化反射率スペクトル(以下、「結石反射率特徴」と呼ぶ)から抽出されてもよい。同様に、1つ又は複数のスペクトル特徴は、
図3Bに示されるような、既知の解剖学的構造の反射率スペクトル又は正規化反射率スペクトル(以下、「組織反射率特徴」と呼ぶ)から抽出されてもよい。特性反射率特徴の例としては、特定の波長における又は波長範囲にわたる反射率スペクトル(若しくは正規化反射率スペクトル)、反射率スペクトルから計算された統計値(例えば、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の変動、波長の範囲にわたる反射率の変化率等)、或いはスペクトル反射率曲線の少なくとも一部の形態を表す図形特徴(例えば、曲線の傾き、曲率、線分等)を含んでもよい。結石反射率特徴及び組織反射率特徴は、レーザフィードバック制御システム200のメモリ250に記憶されてもよい。
【0054】
標的構造122を結石構造又は解剖学的構造のいずれかとして識別するために、一例では、標的検出器246は、標的構造122から反射された分光信号から生成された反射率スペクトルから、1つ又は複数の標的反射率特徴を抽出してもよい。標的検出器246は、標的反射率特徴が特徴閾値を超えるか又は値範囲内にある場合、結石構造として、或いは標的反射率特徴が特徴閾値以下にあるか又は値範囲外にある場合、腎臓組織として、標的構造122を識別してもよい。前記特徴閾値又は値範囲は、結石反射率特徴及び組織反射率特徴を使用して決定されてもよい。一例では、特徴閾値は、結石反射特徴と組織反射特徴とを指定のマージンによって分離するものとして決定されてもよい。
【0055】
いくつかの例では、標的検出器246は、波長範囲にわたって標的構造122の反射率強度の傾向を示し、そして反射率強度の傾向(又は「反射率傾斜」)に基づいて標的構造122を識別してもよい。一例では、反射率傾向は、400乃至550nmの第1範囲内で生成され得る。標的構造122は、単調増加反射率傾向が第1波長範囲内に存在する場合、結石構造として識別されてもよい。標的構造122は、単調増加反射傾向が第1波長範囲内に存在しないならば、腎臓組織として識別されてもよい。別の一例では、反射率傾向は、650乃至700nmの第2範囲内で生成されてもよい。標的構造122は、単調増加反射率傾向が第2波長範囲内に存在するならば、結石構造として識別されてもよい。標的構造122は、単調減少傾向が第2波長範囲内に存在するならば、腎臓組織として識別されてもよい。
【0056】
別の一例では、標的検出器246は、テンプレートマッチング手法を使用して、結石構造又は解剖学的構造として標的構造122を識別してもよい。標的反射率特徴は、メモリ250に記憶された、結石反射率特徴のうちの少なくとも1つ、又は組織反射率特徴のうちの少なくとも1つと比較されて、マッチング基準が満たされるか否かを決定してもよい。例えば、標的構造122は、標的反射率特徴と結石反射率特徴との間の非類似度測定基準が第1類似度閾値未満であるならば、結石構造として識別されてもよく、又は標的反射率特徴と組織反射率特徴との間の非類似度測定基準が第2類似度閾値未満であるならば、腎臓組織として識別されてもよい。
【0057】
図3Aと
図3Bとにおいて示され、これらの間で対比されるように、結石構造と解剖学的構造との間等の反射率スペクトルにおけるカテゴリ間の差に加えて、同じカテゴリ内の異なる構造タイプが、反射率スペクトル等の異なる反射率特性を示してもよい。例として、
図3Aは、複数の結石タイプのうちの反射率スペクトルのカテゴリ内差の一例を示す。示されているように、400乃至700nmの波長範囲にわたって、ブラシュ石(これはリン酸カルシウム(CaP)結石のタイプである)311は、シュウ酸カルシウム二水和物(COD)結石312よりも高い正規化反射率を有し、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)結石313よりも高い正規化反射率を有し、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)結石314よりも高い正規化反射率を有する。例として、
図3Bは、複数の腎臓組織のタイプのうちの反射率スペクトルのカテゴリ内差を示す。そこに示すように、膀胱321の正規化反射率は、400乃至900nmの波長範囲にわたって、尿管322、腎杯323、髄質324、及び皮質325の正規化反射率よりも高い傾向がある。特定の波長範囲(例えば、450乃至500nm)内では、尿管322は、腎杯323よりも高い正規化反射率を有し、髄質324よりも高い正規化反射率を有し、皮質325よりも高い正規化反射率を有する。
【0058】
標的分類器248は、上記したように、同じカテゴリの異なる構造タイプのうちの反射率スペクトルのカテゴリ内差を使用して、解剖学的構造の識別されたカテゴリ内の特定の組織タイプ等の、同じカテゴリの複数の構造タイプのうちの1つとして、又は結石構造の識別されたカテゴリ内の特定の結石タイプとして、標的構造122を分類してもよい。一例では、標的分類器248は、識別された腎臓結石を、CaP結石、MAP結石、COM結石、COD結石、コレステロールベース結石、又は尿酸(UA)結石のうちの1つ等、異なる化学組成を有する結石タイプのうちの1つとして分類してもよい。分類は、特定の波長における反射率、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴(例えば、分散若しくは別の変化測定基準)、又は反射率スペクトルの図形表現から生成された図形特徴のうちの1つ又は複数に基づいてもよい。例えば、
図3Aに示すような様々な結石タイプのうちの異なる正規化反射率スペクトルに基づいて、標的分類器248は、特定の波長(例えば、550nm)又は波長範囲における正規化反射率を1つ又は複数の閾値と比較することにより、標的構造122を特定の結石タイプとして分類してもよい。
【0059】
別の一例では、標的分類器248は、1つ又は複数の分光特性を使用して、識別された解剖学的構造を複数の組織タイプの1つとして分類するように構成されてもよい。一例では、標的分類器248は、腎杯組織、皮質組織、髄質組織、又は尿管組織等の異なる解剖学的位置を有する組織タイプのうちの1つとして識別された腎臓組織を分類するように構成されてもよい。例えば、
図3Bに示すような様々な組織タイプのうちの異なる正規化反射率スペクトルに基づいて、標的分類器248は、特定の波長(例えば、480nm)又は波長範囲における正規化反射率と1つ又は複数の反射率閾値との間の比較に基づいて、標的構造122を特定の組織タイプとして分類してもよい。
【0060】
別の一例では、標的分類器248は、識別された解剖学的構造を正常組織又は異常組織(例えば、癌性組織)として分類するように構成されてもよい。正常及び癌性組織は、異なる形状、ピーク位置(すなわち、波長範囲にわたって反射率スペクトルがピーク値に到達する波長)を有する異なる反射率スペクトルを示してもよい。分類器248は、識別された解剖学的構造を、治療領域(例えば、除去が意図される腫瘍若しくはポリープ)又は非治療領域(例えば、血管、筋肉等)として分類するように構成されてもよい。分類は、特定の波長における反射率、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴(例えば、分散若しくは別の変動測定基準)、又は反射率スペクトルの図形表示から生成された図形特徴(例えば、傾斜)のうちの1つ又は複数に基づいてもよい。
【0061】
図2に戻って参照すると、レーザコントローラ260は、フィードバックアナライザ240及びレーザシステム202と動作的に通信していてもよい。レーザシステム202は、第1レーザシステム102、任意選択の第2レーザシステム104、及び/又は任意の追加のレーザシステムを表してもよい。レーザコントローラ260は、本明細書に記載された1つ又は複数の制御アルゴリズムに従ってそれに動作的に接続されたレーザシステム202を制御することにより、1つ又は複数のレーザシステムからのレーザ出力を制御して、標的構造122において所望の療法効果を生じさせてもよい。
【0062】
例示的な実施形態に従うと、レーザコントローラ260は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、アプリケーション特定集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等のプロセッサ、又は別の等価な集積回路若しくは離散論理回路、並びにレーザコントローラ260に起因する機能のうちの1つ又は複数を実行するためのかかる構成要素の任意の組み合わせを含んでもよい。任意選択で、レーザコントローラ260は、フィードバックアナライザ240及びレーザシステム202との有線又は無線接続によって結合されてもよい。レーザコントローラ260は、フィードバックアナライザ240(例えば、有線又は無線接続を介して)と通信してもよく、そして標的構造122の識別(標的検出器246によって決定されるような)に基づいて、又は標的構造122の分類(標的分類器248によって決定されるような)に基づいて、レーザシステム202の動作モードを決定してもよい。
【0063】
いくつかの例では、レーザシステム202は、レーザシステム202がレーザ出力を生成する第1状態と、レーザシステム202がレーザ出力を生成しない第2状態、という2つの異なる動作モード又は状態のうちの1つと関連していてもよい。例えば、第1レーザシステム102は、第1出力110(例えば、第1波長範囲にわたる)が生成される第1状態と、第1出力110が生成されない第2状態とを有してもよい。同様に、第2レーザシステム104は、第2出力120(例えば、第2波長範囲にわたる)が生成される第1状態と、第2出力120が生成されない第2状態と、を有してもよい。かかる実施形態では、レーザコントローラ260は、レーザシステムの動作状態を第1状態から第2状態に、又は第2状態から第1状態に変更する制御信号を送信することによって、レーザシステム220を制御してもよい。いくつかの例では、レーザシステム202は、追加の状態、例えば、異なるレーザ照射パラメータ設定(例えば、異なる波長範囲、及び/又は電力出力)に従うレーザ出力が生成される第3状態を有してもよい。従って、追加の制御信号がレーザコントローラ260によって1つ又は複数のレーザシステムに送信されることにより、それらの状態を現在の状態から1つ又は複数の追加の状態に(例えば、第1状態から第3状態に、第2状態から第3状態に、及び第3状態から第1状態に、第3状態から第2状態に)変更して、所望の療法効果を提供するレーザ出力を生成してもよい。
【0064】
一例では、レーザコントローラ260は、標的が結石構造として識別された場合、第1動作モードで動作するためのレーザシステム202への第1制御信号を生成し、標的が解剖学的構造として識別された場合、第2動作モードで動作するためのレーザシステムへの第2制御信号を生成し、標的が解剖学的構造及び結石構造のいずれでもないと識別された場合、第3動作モードで動作するためのレーザシステムへの第3制御信号を生成してもよい。一例では、第1動作モードは、レーザシステム202を作動させることを含んでもよく、それにより、第1照射パラメータ設定によってプログラムされたレーザビームを送達して、腎臓結石等の識別された結石を切除又は粉塵化する。一例では、第2動作モードは、レーザ送達を保留すること、又は、識別された組織に第1照射パラメータ設定とは異なる第2照射パラメータ設定によってプログラムされたレーザビームを送達することを含んでもよい。一例では、第3動作モードは、レーザエネルギの送達をしないようにレーザシステム202を不活性化することを含み得る。レーザ照射パラメータとしては、とりわけ、波長、パワー、パワー密度、パルスパラメータ(例えば、パルス幅、パルス速度、振幅、デューティサイクル)、曝露時間、総線量、又はエネルギ等が挙げられてもよい。
【0065】
いくつかの例では、レーザコントローラ260は、標的分類器248によって決定されるようなCaP結石、MAP結石、COM結石、COD結石、コレステロールベース結石、尿酸(UA)結石等の複数の結石タイプのうちの1つとしての標的構造122の分類に基づいてレーザシステム202の動作モードを決定してもよい。レーザコントローラ260は、結石タイプの分類に基づいて照射パラメータ設定を調整し、調整された照射パラメータ設定に従ってレーザシステム202を制御して、レーザエネルギを標的構造122に送達する制御信号を生成してもよい。
【0066】
いくつかの例では、レーザコントローラ260は、異なる解剖場所(例えば、
図3Bに示すような腎杯組織、皮質組織、髄質組織、若しくは尿管組織)における腎臓組識、正常又は異常組織(例えば、癌性組織)、治療領域(例えば、除去が意図される腫瘍若しくはポリープ)、又は非治療領域(例えば、血管、筋等)等の複数の組織タイプのうちの1つとして標的構造122を分類することに基づいて、レーザシステム202の動作モードを決定してもよい。レーザコントローラ260は、組織タイプの分類に基づいて照射パラメータ設定を調整し、そして調整された照射パラメータ設定に従って、識別された解剖学的構造にレーザエネルギを送達するレーザシステム202への制御信号を生成してもよい。
【0067】
いくつかの例では、照射パラメータ設定は、複数の結石タイプ及び/又は複数の組織タイプについてそれぞれ決定されてもよい。結石タイプ-照射パラメータ設定対応関係、又は組織タイプ-照射パラメータ設定対応関係が、作成されて、ルックアップテーブル、関連アレイ等でメモリ250に記憶されてもよい。レーザコントローラ260は、かかる記憶された対応関係のうちの1つを使用して、分類された結石タイプ又は分類された組織タイプに対応する照射パラメータ設定を決定してもよい。
【0068】
様々な例において、フィードバックアナライザ240は、標的構造122を連続的に監視し、フィードバック信号を収集して分析し、そしてレーザコントローラ260と連続的に通信してもよい。したがって、レーザコントローラ260は、フィードバックの変化が検出されるまでレーザシステムを1つ又は複数の状態(例えば、標的構造122の異なるカテゴリ、異なる組織タイプ、又は異なる結石タイプ)に維持し続けてもよい。フィードバックの変化が検出されると、レーザコントローラ260は、1つ又は複数のレーザシステムと通信し、それらの1つ又は複数の状態を変化させて所望の療法効果を供給してもよい。その代替又は追加として、レーザコントローラ260は、オペレータ(例えば、医療従事者)と通信して、フィードバック信号を示す1つ又は複数の出力システムを介して1つ又は複数の出力を表示してもよく、そして所望の療法効果を送達するために、第1レーザシステム及び/又は第2レーザシステムによる1つ又は複数の治療手順を実行するようにオペレータに任意選択で命令してもよい。
【0069】
本明細書において説明される例示的な例では、レーザコントローラ260は、それぞれのレーザシステムの動作状態を変更することによって、2つ以上のレーザシステムを制御してもよい。一態様に従うと、レーザコントローラ260は、それぞれのレーザシステムを独立して制御してもよい。例えば、レーザコントローラ260は、それぞれのレーザシステムに異なる制御信号を送信して、別のレーザシステムから独立してそれぞれのレーザシステムを制御してもよい。その代替として、レーザコントローラ260は、1つ又は複数のレーザシステムを制御するために共通信号を送信してもよい。
【0070】
レーザフィードバック制御システム200は、出力システム270と動作的に通信していてもよい。出力システム270は、フィードバックアナライザ240と通信してもよく、及び/又はそれによって受取られた信号とそれによって生成された情報をユーザに及び/又は療法治療に使用される潅注吸引/ポンプ輸送システム等の別のシステム、光学表示コントローラ、若しくは別のシステムに送達してもよい。送達された信号及び情報の例としては、フィードバック信号130(例えば、標的組織又は結石から反射された分光信号)、分光センサ242によって生成された分光特性、任意選択で、任意選択の撮像センサ244によって生成された撮像特性、標的検出器246によって生成された標的構造122の識別、又は標的分類器248によって生成された標的構造122の分類のうちの1つ又は複数が挙げられてもよい。一例では、出力システム270は、スクリーン(例えば、タッチスクリーン)等のディスプレイ272、又はその代替として視覚インジケータ(例えば、1つ又は複数の色のLEDライト)を含んでもよい。一例では、出力システム270は、聴覚信号を提供し得る聴覚出力システム274(例えば、スピーカ、警報システム等)を含んでもよい。出力システム270は、1つ又は複数の出力(例えば、第1色のLED光、スクリーン上の第1メッセージ、第1トーンのアラーム音)を提供することにより、所望の療法効果(例えば、腎臓結石等の結石構造の切除、又は癌性組織等の異常組織の炭酸化)が達成されたことを示してもよい。いくつかの例では、出力システム270は、所望の療法効果が達成されていないとき、1つ又は複数の異なる出力を提供してもよい。例えば、出力システム270は、1つ又は複数の出力(例えば、第2色のLED光、スクリーン上の第2メッセージ、第2トーンのアラーム音)を提供することにより、所望の療法効果が得られなかったことを示してもよい。いくつかの例では、異なる識別された構造カテゴリ(例えば、結石対解剖学的構造)、又は異なる分類された構造タイプ(例えば、
図3Aに示すような異なるタイプの結石、又は
図3Bに示すような異なるタイプの組織)における療法効果が、それぞれ異なる出力(例えば、異なる色のLED光、スクリーン上の異なるメッセージ、又はアラームの異なるトーン)を使用して、出力システム270に示されてもよい。かかる出力が、オペレータ(例えば、医療従事者)に、1つ又は複数のレーザシステムを使用して追加の治療を提供する等の適切な行為を行うように促してもよい。
【0071】
本発明の一態様によれば、レーザフィードバック制御システム101、又はレーザフィードバック制御システム200等のその変形例が、少なくとも部分的に医療手順で使用される内視鏡に実装されることにより、結石(例えば、腎臓若しくは膵臓若しくは胆嚢結石又は結石破片)又は腫瘍組織等の解剖学的構造を破壊して除去してもよい。レーザ砕石術手順は、腎盂尿管鏡を介して構成されてもよい。
図4Aは、例示的な内視鏡400の側面図である。
図4Bは、内視鏡400の遠位先端部の端面図である。内視鏡400の例としては、異なる用途を有する内視鏡の別の変種のもののうち腎盂尿管鏡、膀胱鏡、尿管鏡が挙げられてもよい。内視鏡は、患者の腎臓内に少なくとも部分的に挿入可能な本体402を含む。本体402は、ハンドル、ハブ、又は別の把持可能な近位部分404、把持可能な近位部分404から延在する細長い剛性部分406、及び細長い剛性部分406から遠位端410まで遠位に延在する可撓性遠位部分408を含み得る。関節運動コントローラ414は、把持可能な近位部分404に配置され得る。関節運動コントローラ414は、ヒトの手が把持可能な近位部分404を把持するとき、ヒトの手の親指によって作動可能であり得る。関節運動コントローラ414は、可撓性遠位部分408の位置を調節し得る。また、把持可能な近位部分404に位置するものは、本体402の遠位端410に位置する基板416(
図4Bに示すような)に(例えば、本体402に沿って延在する1つ又は複数のワイヤ126を介して)結合されてもよい電気ポート424を含んでもよい。基板416は、回路基板、ハイブリッドチップ、セラミック構成要素、又は別の適切な構成要素若しくは要素のうちの1つ又は複数を含んでもよい。電気ポート424は、基板416上の回路基板にパワーを供給するための電力を受け取り得る。回路基板等の基板416は、ユーザデバイス、ディスプレイ、コンピュータモニタ、ヘッドアップディスプレイ、ウェアラブルディスプレイ、仮想現実ディスプレイ、拡張現実ディスプレイ等の内視鏡400の外部にある表示デバイスにデジタルビデオ信号を無線で通信し得る。
【0072】
図1の第1光学経路108の一例である光ファイバ428は、
図4Bに示すように、内視鏡400に組み込まれてもよい。例えば、光ファイバ428は、内視鏡400の本体402内の作業チャネルに沿って延在してもよい。いくつかの例では、光ファイバ428は、内視鏡から分離されてもよい。例えば、光ファイバ428は、使用前に内視鏡の作動チャネルに沿って送られ、そして使用後に内視鏡の作動チャネルから回収されてもよい。
【0073】
光ファイバ428は、適切なコネクタを介して内視鏡400の外部のレーザ又はレーザエミッタに結合され、そして結石構造等の標的構造にレーザビームを送達してそれを結石破片に切除してもよい。レーザエミッタによって生成されたレーザビームは、2100nm、1942nm等のヒトの血液及び生理食塩水の吸収のスペクトルピークに対応する波長を有してもよい。例えば、1900nm乃至3000nmの範囲内の波長は、水が吸収しているスペクトル領域に対応してもよく、一方、400nm乃至520nmの波長は、オキシ-ヘモグロビン及び/又はデオキシ-ヘモグロビンが吸収しているスペクトル領域に対応してもよい。例えば、ツリウムファイバレーザは、1908nm又は1940nmの波長のレーザビームを生成し得、ツリウムYAGレーザは、2010nmの波長のレーザビームを生成し得、ホルミウムYAGレーザは、波長2120nmのレーザビームを生成し得、エルビウムYAGレーザは、波長2940nmのレーザビームを生成し得る。これらの範囲内の別の波長も使用され得る。一般に、血液及び生理食塩水に有意な吸収を有するレーザビームを送達することは、かかるレーザビームが周囲の組織における侵襲を最小限に抑えることができるので有益であり、これは、結石構造での又はその近傍での組織の損傷を低減又は排除し得る。レーザは、20ワット乃至120ワット、約20ワット乃至約120ワット等の出力電力の適切な範囲内にある出力電力を有する光を提供し得る。出力電力のこれら範囲は、単なる例であり、別の適切な出力電力又は出力電力の範囲も使用され得る。光ファイバ428は、マルチモードファイバ又はシングルモードファイバであり得る。
【0074】
レーザコントローラ432は、把持可能な近位部分404に位置し得る。レーザコントローラ432は、動作状態(「オン」)と非動作状態(「オフ」)との間でレーザビームの状態を切換え得る。例えば、レーザコントローラ432は、有線及び/又は無線信号を、内視鏡400の外部に位置するレーザに誘導し得る。信号は、レーザをオン又はオフにし得る。いくつかの実施形態では、実践者は、レーザのハウジングにおいて、出力パワー等のレーザの1つ又は複数の設定を調整し得る。いくつかの実施例では、実践者は、レーザコントローラ432を介してレーザの1つ又は複数の設定を調整し得る。
【0075】
典型的な手順中に、実践者は、レーザが1分、2分、3分、4分、又は任意の適切な長さの時間、動作可能であるようにレーザコントローラ432を操作し得る。レーザ動作の期間中、実践者は、本体402を操作して、送達されたレーザビームを結石構造の表面を横切って移動させることができる。いくつかの例では、レーザパワーレベル及び曝露時間は、機械化又は自動化された曝露機構の必要を伴わずに、実践者がレーザパワーを手動で安全にオン及びオフに切り替え得る。レーザパワーは、また、周囲の組織の偶発的な曝露が組織を損傷することがないように十分に低くてもよい。
【0076】
実践者は、結石構造の表面を粉塵化することによって、結石構造を切除し得る。粉塵化は、結石構造を制御された方式で摩耗させ得、結石構造を分解又は破砕することから取得される結石破片よりも小さくあり得る結石粒子を生成し得る。例えば、典型的な腎臓結石は、約1mm乃至約20mmの寸法であり得る。腎臓結石を分解又は破砕することが、大きさが数mm乃至約10mm未満等の結石の大きさよりも小さい大きさであり得る腎臓結石破片を生成し得る。腎臓結石の粉塵化は、大きさが約1mm未満の腎臓結石粒子を生成し得る。
【0077】
結石又は結石破片を除去するために、実践者は、内視鏡400内のオリフィスを通過し得るバスケット等の結石回収デバイスを使用し得る。実践者は、結石回収デバイスを使用して個々の破片を選択して除去し得る。結石回収装置に加えて又はその代わりに、内視鏡400は、結石破片を洗い流すための洗浄システムを含み得る。洗浄システムは、把持可能な近位部分404に設置された洗浄コントローラ438を含んでもよく、潅注管腔434を通る潅注流体の流れと、吸引管腔436を通る流体及び廃水の吸引と、を動作的に制御し得る。
【0078】
内視鏡400は、内視鏡400の本体内に、チューブ、チャンバ、追加の作業チャネル、又は別の通路440を任意選択で含み得る。実践者は、通路440を使用して、結石破砕装置、結石回収バスケット、又は別の適切なツール、器具等の別個のツール又は器具を配備し得る。
【0079】
内視鏡400は、本体402の遠位端410に可視化システムを含むことにより、オペレータが結石破片を視覚化することを可能にし得る。可視化システムは、結石(例えば、腎臓又は膵臓又は胆嚢結石)の作業領域を照明し得、結石の照明された領域のビデオ画像又は1つ又は複数の静止画像を生成し得る。可視化システムは、ビデオ画像をビデオモニタ等のディスプレイに誘導し得る。ディスプレイは、内視鏡400の外部にあり得、結石除去手順中、可視であってもよい。
【0080】
可視化システムは、基板416上に設置された少なくとも1つの光源418を含み得る。基板416は、光源418を機械的に支持し、電力を供給する回路基板であり得る。光源418の例としては、とりわけ、発光ダイオード(LED)、キセノンライトが挙げられてもよい。一例では、光源418は、本体402の遠位端410から離れる遠位方向に光を放出して、結石を照明し得る。いくつかの例では、外部光源(例えば、内視鏡400の外側にある)が使用されることにより、本体402を透過した光(内部の光学経路を経由して等)を提供して結石を照明してもよい。光源418は、白色光を放出して結石を照明し得る。白色光は、実践者が、本体402の遠位端410に近接した結石又は組織における変色又は別の色ベースの効果を観察することを可能にする。光源418は、青色光を放出して結石を照明し得る。青色光は、熱組織の広がりを示し、それにより組織の損傷を検出するのに適し得る。赤色、琥珀色、黄色、緑色等の別の色及び/又は色帯域が使用されてもよい。
【0081】
それぞれの光源418は、光源418から出力された光の角度調整が可能である任意選択のレンズ420(
図4B参照)に結合されてもよい。レンズ420は、光源418から出力された光を狭くし得る。レンズ420は、光源418から出力された光を広げ得る。かかる角度調整は、結石及び組織が指定の角度視野内で十分に照明されることを確実にするよう支援し得る。
【0082】
可視化システムは、基板416上に設置されたカメラ422(
図4B参照)を含み得る。基板416は、カメラ422を機械的に支持し、電力を供給する回路基板であり得る。カメラ422は、照明された結石のビデオ画像又は1つ又は複数の静止画像をキャプチャし得る。ビデオ画像は、処理に対して比較的短い待ち時間で、リアルタイムで、又はほぼリアルタイムであり得るので、実践者が本体402を操作して内視鏡400の制御を行うとき、実践者は、結石及び周囲の組織を観察し得る。カメラ422は、レンズと、レンズの焦点面に位置するマルチ画素センサと、を含み得る。センサは、ビデオ画像中のそれぞれの画素に対して赤色光、緑色光、青色光の強度値を与えるセンサ等の色センサであってもよい。回路基板は、照明された結石のキャプチャされたビデオ画像を表すデジタルビデオ信号を生成し得る。デジタルビデオ信号は、10Hz、20Hz、24Hz、25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、又は別の適切なビデオリフレッシュレートのビデオリフレッシュレートを有し得る。
【0083】
図4Cは、尿管鏡470としても知られている、尿管鏡検査手順で使用され得る内視鏡の別の例を示す。内視鏡400と同様に、尿管鏡470は、フィードバック制御型レーザ療法を提供するために使用されてもよい。尿管鏡470は、内視鏡400の把持可能部分404とは異なる把持可能な近位部分474を含む。尿管鏡470は、アクセスシースと共に使用されると、より小さい尿管へのスコープ挿入を助けて視覚化を最大にするスリムで細長いシャフト476を含んでもよい。
【0084】
図5~9は、レーザ治療システム100等のフィードバック制御型レーザ治療システムにおける内視鏡及びその使用についての様々な例を示す。
図5Aは、様々な構成要素を含む例示的な内視鏡510の細長い本体部分の切取図であり、
図5Bは、内視鏡510の細長い本体の断面図である。内視鏡510は、レーザファイバ512と、照明ライト514と、カメラ516と、を含んでもよい。レーザファイバ512は、レーザシステム102又はレーザシステム202の光学経路108の一例である。レーザファイバ512は、内視鏡510の細長い本体内の作業チャネル513に沿って延在してもよい。いくつかの例では、レーザファイバ512は、内視鏡から分離していてもよい。例えば、レーザファイバ512は、使用前に内視鏡の作業チャネルに沿って送られ、使用後に内視鏡の作業チャネルから回収されてもよい。
【0085】
照明ライト514は、オペレータが標的構造(例えば、組織又は結石構造)を可視化することを可能にする可視化システムの一部であってもよい。照明ライトの例としては、標的構造の視野を照明するために、内視鏡の細長い本体の遠位端から離れる遠位方向に光を放出するように構成された1つ又は複数のLEDが挙げられ得る。一例では、照明ライト514は、標的構造を照明するために白色光を放出してもよい。白色光は、実践者が、内視鏡の本体の遠位端に近接した結石又は組織における変色又は別の色ベースの効果を観察することを可能にし得る。一例では、照明ライト514は、標的構造を照明するために青色光を放出してもよい。青色光は、熱組織の広がりを示すことにより組織の損傷を検出するのに好適であり得る。赤色、琥珀色、黄色、緑色等の別の色及び/又は色帯も使用され得る。
【0086】
カメラ516は、可視化システムの一部である。カメラ516は、撮像センサ244の一例である。カメラ516は、照明された標的構造及び周囲環境のビデオ画像或いは1つ又は複数の静止画像をキャプチャし得る。ビデオ画像は、リアルタイム、又は処理に対して比較的短い待ち時間を伴うほぼリアルタイムであり得るので、実践者は、内視鏡を操作するときに標的構造を観察できる。カメラ516は、レンズと、レンズの焦点面に位置するマルチ画素センサと、を含み得る。センサは、ビデオ画像内のそれぞれの画素に対して赤色光、緑色光、青色光の強度値を与えるセンサ等の色センサであってもよい。回路基板は、照明された結石のキャプチャされたビデオ画像を表すデジタルビデオ信号を生成し得る。デジタルビデオ信号は、10Hz、20Hz、24Hz、25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、又は別の適切なビデオリフレッシュレートのビデオリフレッシュレートを有し得る。
【0087】
図6は、カメラフィードバックを受取るフィードバック制御型レーザ治療システム610と統合された内視鏡510を含むレーザ治療システム600の一例を示す。レーザ治療システム100の一例であるレーザ治療システム600は、内視鏡510と、フィードバック制御型レーザ治療システム610と、レーザ源620と、光源630と、を備える。様々な例では、フィードバック制御型レーザ治療システム610の一部又は全部が、内視鏡510に組み込まれてもよい。
【0088】
レーザフィードバック制御システム200の一例であるフィードバック制御型レーザ治療システム610は、分光器611(分光センサ242の一例)と、フィードバックアナライザ612(フィードバックアナライザ240の少なくとも一部の一例)と、レーザコントローラ613(レーザコントローラ260の一例)と、を備える。レーザ源620は、レーザシステム202の一例であり、レーザファイバ512に結合され得る。ファイバ集積型レーザシステムは、可撓性内視鏡を通してレーザエネルギを通過させて、硬組織及び軟組織を効果的に治療する能力に基づく内視鏡手順のために使用されてもよい。これらのレーザシステムは、UVからIR領域(200nm乃至10000nm)の広い波長範囲内のレーザ出力ビームを生成する。いくつかのファイバ集積型レーザは、軟組織又は硬組織によって高度に吸収される波長範囲、例えば、水吸収のための1900乃至3000nm、又はオキシ-ヘモグロビン及び/又はデオキシ-ヘモグロビン吸収のための400乃至520nmの波長範囲の出力を生成する。上記表1は、高水吸収範囲1900乃至3000nmで放出するIRレーザの概要である。
【0089】
いくつかのファイバ集積型レーザは、標的軟組織又は硬組織によって最小に吸収される波長範囲内の出力を生成する。これらのタイプのレーザは、小さい毛細管の直径5~10μmと同様である侵入深度に起因する有効な組織凝固を提供する。レーザ源620の例としては、とりわけ、515乃至520nmでの放出を有するGaNレーザ、370乃至493nmでの放出を有するInxGa1-xNレーザ、750乃至850nmでの放出を有するGaxAl1-xAsレーザ、又は904乃至1065nmの放出を有するInxGa1-xAsレーザ等のInxGa1-xN半導体レーザを放出するUV-VISを含んでもよい。
【0090】
光源630は、内視鏡の細長い本体に沿って延在する第1光学経路を経由して標的構造122に伝達され得る電磁放射信号を生成してもよい。第1光学経路は、作業チャネル513内に位置してもよい。一例では、第1光学経路は、レーザファイバ512とは別の光ファイバであってもよい。別の一例では、
図6に示すように、電磁放射信号は、レーザビームを伝送するのに使用されるのと同じレーザファイバ512を通して伝送されてもよい。電磁放射は、第1光学経路の遠位端から出て、標的構造及び周囲環境に投射する。
図6に示すように、標的構造は、内視鏡カメラ516の視野内にあることにより、標的構造及び周囲環境に投射する電磁放射に応じて、内視鏡カメラ516(CCD又はCMOSカメラ等)は、標的構造122から反射された信号を収集し、標的構造の撮像信号650を生成し、撮像信号をフィードバック制御型レーザ治療システム610に送達してもよい。
【0091】
カメラシステム516を通して生成されて送信されたフィードバック信号(例えば、撮像信号)に加えて又はその代わりに、場合によっては、標的構造から反射された信号は、追加又は代替として収集され、内視鏡510に関連付けられているような別個のファイバチャネル又はレーザファイバを通してフィードバック制御型レーザ治療システム610に送信されてもよい。
図7は、分光センサフィードバックを受取るように構成されたフィードバック制御型レーザ治療システム610と統合された内視鏡510を含むレーザ治療システム700の一例を示す。反射された分光信号750(
図1及び2のフィードバック信号130の一例である)は、光源630から標的構造まで電磁放射を伝送するために使用されるレーザファイバ512等と同じ光学経路を通ってフィードバック制御型レーザ治療システム610に進行して戻ってもよい。別の一例では、反射された分光信号750は、光源630から標的構造まで電磁放射を伝送する第1光ファイバとは別の光ファイバチャネル等の第2光学経路を通ってフィードバック制御レーザ型治療システム610まで進行してもよい。
【0092】
フィードバック制御型レーザ治療システム610は、1つ又は複数のフィードバック信号(例えば、標的構造の撮像信号650、又は反射された分光信号750)を分析して、レーザ源620についての動作状態を決定してもよい。分光器611は、分光センサ242に関して上記したように、FTIR分光計、ラマン分光計、UV-VIS分光計、UV-VIS-IR分光計、又は蛍光分光計のうちの1つ又は複数を用いること等によって、1つ又は複数のフィードバック信号から1つ又は複数の分光特性を生成してもよい。フィードバックアナライザ612は、標的検出器246又は標的分類器248のうちの1つ又は複数を用いること等によって、複数の構造カテゴリ又は構造タイプのうちの1つとして標的構造を識別又は分類するように構成されてもよい。レーザコントローラ613は、
図2に関して上記したように、レーザシステム620の動作モードを決定するように構成されてもよい。光源630は、UVからIRまでの光学範囲内の電磁放射を生成してもよい(以下の表2参照)。
【0093】
表は、本明細書で論じられた実施例に適用可能なような分光システムのための光源630の例を示している。
【表2】
【0094】
いくつかの例では、フィードバックアナライザ612は、レーザファイバ512の遠位端と標的構造122との間、又は反射信号を受取って分光器611に伝送して戻すための光学経路の遠位端と標的構造122との間の距離660(
図6に示すような)を決定してもよい。距離660は、分光器611によって生成される反射率スペクトル等の分光特性を使用して計算されてもよい。レーザコントローラ613は、距離660が閾値(d
th)以下、又は指定されたレーザ発射範囲内にある等の条件を満たす場合に、レーザ源620を制御してレーザエネルギを標的構造122に送達してもよい。一例では、標的構造122が意図された治療構造タイプ(例えば、指定された軟組織タイプ又は指定された結石タイプ)として識別されるが、標的構造122がレーザの範囲内にない(例えば、d>d
th)場合、レーザコントローラ613は、レーザ源620を「ロックする」(すなわち、レーザ源620の発射を防止する)ための制御信号を生成してもよい。距離660についての情報、及び標的構造がレーザの範囲外(d>d
th)にあるという指標が、実践者に提示されてもよく、実践者は、次いでレーザファイバ512の遠位端を標的に近づけるために再配置するように内視鏡510を調整してもよい。距離660だけでなく、標的構造タイプも監視され、連続的に決定され、そして実践者に提示されてもよい。標的が意図された治療構造タイプとして認識され、そしてレーザの範囲内(d≦d
th)にあるとき、レーザコントローラ613は、レーザ源620を「ロック解除」するための制御信号を生成し、レーザ源620は、レーザ動作モード(例えば、パワー設定)に従って標的構造122に狙いを定めて発射してもよい。
図10等を参照して、分光データから距離660を計算する方法についての例が以下に説明される。
【0095】
いくつかの例では、分光器611は、光源から標的まで電磁放射を伝送するように構成された光学経路の幾何学形状及び配置に関する情報を更に使用して、分光特性(例えば、反射率スペクトル)を生成するように構成されてもよい。例えば、レーザファイバ512の外径若しくは標的から反射された分光信号を分光器611に伝送するための別の光学経路の外径、又は内視鏡510からのファイバ若しくは経路の突出角度は、反射された信号の強度に影響を及ぼすことがある。外径及び/又は突出角度が測定され分光器611に提供されることにより、反射率スペクトルデータを取得してもよい。標的構造とファイバの遠位端との間の距離660は、上記のように、スペクトルデータ、ファイバ又は光学経路の測定された外径とその突出角度、及び/又は内視鏡画像プロセッサからの入力信号を使用して計算されてもよい。
【0096】
図8A~8Cは、統合されたマルチファイバアクセサリを有する内視鏡810と、フィードバック制御型レーザ治療システム610及びレーザ源620を含む外科用レーザシステムと、を含むレーザ治療システム800を示す。マルチファイバアクセサリは、分光信号を分光器611に伝送して戻すために、及びレーザ源620から標的構造まで表面レーザエネルギを伝送するために使用される光学経路816を含む。レーザコントローラ613は、レーザ発射のタイミングを制御することにより、分光信号の伝送とレーザエネルギの送達とが異なる時に行われるようにしてもよい。マルチファイバアクセサリは、また、内視鏡810の中に埋め込まれた、及びその細長い本体に沿って延在する複数の光源ファイバ814を含む。例であって限定ではないが、
図8Bは、内視鏡の細長い本体の半径方向断面上の光学経路816に対して円周に沿う等して、光学経路816の周りに放射状に分布する6つの光源ファイバ814を示す。
図8Bに示すような例では、光学経路816は、内視鏡810の細長い本体のほぼ中央長手軸に位置してもよい。別の数の光源ファイバ、及び/又は光学経路816に対する光源ファイバの別の位置が使用されてもよい。例えば、
図8Cは、光学経路816の両側に放射状に配置された2つの光源ファイバ814を示す。
【0097】
光源ファイバ814は、
図6~7に関して上述したように、光源630に結合されてもよい。その代替として、光源ファイバ814は、
図5A~5Bに示すように、照明ライト514に結合されてもよい。照明ライト514(例えば、1つ又は複数のLED)又は内視鏡の外部等にある遠隔光源630いずれかの内視鏡光源からの光は、標的を照明し、分光分析のために収集されてもよい、標的表面から反射された分光信号を生成するという機能を果たしてもよい。フィードバックアナライザ612は、
図6~7に示すのと同様に、内視鏡810の遠位端と標的構造122との間の距離660を決定してもよい。
【0098】
図9は、レーザ治療システム900を示しており、これは、レーザ治療システム800の変形例である。光学経路816を通してレーザエネルギを送達する代わりに、別の手術用レーザファイバ820が使用されて、レーザ源620から標的構造まで表面レーザエネルギを送達してもよい。光学経路816は、分光信号を分光器611に伝送して戻すための専用の分光信号ファイバとして用いられる。
【0099】
図10は、
図6~9に示すような標的構造から反射されたフィードバック信号を使用して、分光反射信号強度(例えば、電磁放射線に応じて標的構造から反射されたスペクトル信号)と、ファイバの遠位端と標的構造との間の距離660との間の関係を表す較正曲線1000を示す図である。較正曲線1000は、標的構造が特定の波長(例えば、450nm又は730nm)の電磁放射によって投射されるとき、組織と分光プローブ遠位端との間の異なる距離での反射光強度を測定することによって生成されてもよい。較正曲線を参照することによって、分光信号の分析が、距離の迅速な推定を可能にする。
【0100】
較正曲線を生成する例示的なプロセスは、以下の通りである。最初に、それぞれの距離についての基準値が計算されてもよい。較正曲線自体は、光の反射強度が試料の反射率等に依存するので、距離を識別するために使用されないことがある。試料の反射率の影響を打ち消すための基準値の一例は、以下の通りである。
【数1】
【0101】
インビボでの外科手術中に、オペレータは、標的組織組成の反射率スペクトルが検出され得るまで、分光フィードバックの連続記録によってファイバ又は内視鏡を移動させてもよい。
【0102】
図10を参照すると、第1スペクトルは、反射光強度がI
1である距離x
1において測定されてもよい。このとき、反射信号強度のx
1の実測値及び曲線は、未知である。次いで、ファイバ又は内視鏡遠位端(反射光検出器)は、連続的に移動させられ、距離x
2に対応する次の反射光強度I
2が測定されてもよい。x
2がx
1に近接していてもよく、その結果、x
1とx
2との間の曲線は、直線に近似されてもよい。このとき、反射信号強度のx
1、x
2、及び曲線は、未知である。比較値が、以下のように、I
1、I
2、及びdelta(x
2-x
1)を使用して計算されてもよい。
【数2】
【0103】
次いで、基準値は、比較値と同一であるものが探索される。式(2)で与えられた比較値と同一であることが判明した基準値(x
r)が1つしかない場合、x
rはx
1の距離として決定され得る。2つの基準値(x
r1、x
r2)が存在する場合に、ファイバ又は内視鏡遠位端(反射光検出器)が移動させられ続けてもよく、距離x
3に対応する次の反射光強度I
3が測定されてもよい。x
3は、x
2に近接していてもよく、その結果、x
2とx
3との間の曲線が線形として近似されてもよい。このとき、x
1、x
2、x
3、及び反射信号強度の曲線は、未知である。新たな比較値が、I
1、I
2、I
3、delta(x
2-x
1)、及びdelta(x
3-x
2)を使用して、以下のように計算され得る。
【数3】
【0104】
次いで、基準値は、xr1+delta(x2-x1)及びxr2+delta(x2-x1)と同一であるものが探索される。基準値は、式(3)で与えられる比較値と比較され得る。比較値により類似する基準値を有する距離が、実距離として推定される。
【0105】
インビボでの外科手術中に、例示的な方法は、標的組成の反射率スペクトルが検出されるまで、分光フィードバックの連続記録を使用してファイバ又は内視鏡を移動させることを含んでもよい。分光器遠位端が標的に向かって移動している主要な場合について、検出された反射光の強度は、最初は弱く、標的とファイバ端部との間の距離を減少させるとともに増加する。例えば、第1スペクトルは、反射光強度がI
1である距離d
1において測定された。反射データを連続的に収集しながら、ファイバ又は内視鏡遠位端を標的に向かって僅かに移動し続けると、方法は、距離d
2に対応する次の反射光強度I
2を測定してもよい。方法は、次いで、反射信号変化勾配の値=delta(I
2-I
1)/delta(d
2-d
1)[1]の計算を含んでもよい。計算された勾配の値を反射光強度から独立させるために、計算された勾配が正規化されてもよい。測定された距離における反射光の勾配を計算するための最終式は、以下のようである。
【数4】
【0106】
方法は、次いで、計算された勾配をライブラリ内の較正曲線における勾配と比較することにより、必要な距離を推定してもよい。全ての計算は、ソフトウェアを使用して高速に実行され得る。
【0107】
図11は、解剖学的構造(例えば、軟組織、硬組織、若しくは癌性組織等の変態)、又は結石構造(例えば、腎臓又は膵臓又は胆嚢結石)等の、被術者の身体内の標的構造にレーザビームを送達するためにレーザシステムを制御する方法1100を示すフローチャートである。方法1100は、レーザ治療システム100又はその変形、レーザフィードバック制御システム200等のレーザ治療システム内に実装され、それによって実行されてもよい。方法1100のプロセスが1つのフローチャートに描かれているけれども、それらは、特定の順序で実行される必要はない。様々な実施例において、プロセスのうちのいくつかは、本明細書に示されたものとは異なる順序で実行され得る。
【0108】
1110において、被検者の身体内の標的が、光源630等の光源によって生成された電磁放射によって照明される。光源は、UVからIRまでの光学的範囲内で電磁放射を生成してもよい。光源及びそれに対応する電磁放射波長の例が、上記の表2に示されている。電磁放射は、
図6~9を参照して上記したように、内視鏡の細長い本体に沿って延在する光学経路を介して標的構造に伝送されてもよい。その代替として、光源は、
図5A~5Bに示すように、内視鏡検査手順中に、内視鏡の遠位端に配置されて、標的構造及び周囲環境を照明するように構成された可視化システムの1つ又は複数のLED等の照明ライトを含んでもよい。
【0109】
1120において、電磁放射に応じて標的から反射された信号は、分光センサ242又はその変形を使用する等して、分光センサによって感知されてもよい。分光センサの例として、とりわけ、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計、ラマン分光計、UV-VIS分光計、UV-VIS-IR分光計、又は蛍光分光計が挙げられてもよい。反射信号は、
図2に示すような信号伝送経路250、又は
図8~9に示すような光学経路816等の光学経路を通して分光センサまで伝送されてもよい。光学経路は、組織から反射された分光信号の分光センサへの伝送に適した光学特性を有する。その代替として、分光センサは、
図1に示すような第1光学経路108若しくは第2光学経路118、
図6~7に示すレーザファイバ512、又は
図8A~8Cに示すような光学経路816等の、レーザビームを伝送するためのレーザファイバに動作可能に結合されてもよい。
【0110】
それに加えて又は代替として、電磁放射に応じた標的からの反射信号は、
図2に示すような撮像センサ244等の1つ又は複数の撮像センサを使用して感知されてもよい。撮像センサの例としては、実施形態において紫外(UV)、可視(VIS)、又は赤外(IR)波長を感知するCCD又はCMOSカメラ等の撮像カメラを含んでもよい。カメラが、
図5~7に示すように、内視鏡510に組み込まれたカメラ516のように内視鏡に嵌め込まれてもよい。
【0111】
1130において、1つ又は複数の分光特性が、
図2に示すようなフィードバックアナライザ240を使用する等して、感知された反射信号から生成されてもよい。分光特性は、反射率、反射率スペクトル、吸収指数等の特性を含んでもよい。分光特性は、構造カテゴリ(例えば、解剖学的組織若しくは結石)、又は標的構造の化学組成を示す特定の構造タイプを示してもよい。一例では、分光特性は、複数の波長にわたる反射強度を表す反射率スペクトルを含んでもよい。反射率は、材料界面で反射された入射電磁パワーの一部として決定され得る。これは、光源から放出された電磁放射のような放射エネルギを反射する際の材料表面の有効性を表す。反射率スペクトルは、データ配列、又はスペクトル反射率曲線とも呼ばれる図形表現としてフォーマットされてもよい。
【0112】
分光特性は、基準スペクトルから抽出された1つ又は複数の特有スペクトル特徴を含むことができる。特有反射率特徴の例としては、特定の波長における若しくは波長範囲にわたる反射率強度(又は正規化反射率スペクトル強度)、反射率スペクトルから計算された統計値(例えば、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の変動、波長の範囲にわたる反射率の変化率等)、或いはスペクトル反射率曲線の少なくとも一部(例えば、曲線の勾配、曲率、線分等)の形態を表す図形特徴が挙げられてもよい。
【0113】
いくつかの例では、分光特性(例えば、反射率スペクトル)は、内視鏡に関連した少なくとも1つの光学経路に関する幾何学形状及び配置情報を更に使用して生成されてもよく、そしてレーザビーム、標的から反射された信号、又は光源によって生成された電磁放射のうちの1つ又は複数を伝送するように構成されてもよい。幾何学形状及び配置情報は、少なくとも1つの光学経路の外径、及び/又は内視鏡に対する少なくとも1つの光学経路の遠位端の突出角度を含んでもよい。
【0114】
1140において、1つ又は複数の分光特性に基づいて、標的構造は、フィードバックアナライザ240を使用する等して、それぞれの組成を有する複数の構造タイプのうちの1つとして識別されてもよい。一例では、標的構造は、標的検出器246を使用する等して、結石構造のカテゴリ又は解剖学的構造のカテゴリとして識別されてもよい。結石構造の例としては、泌尿器系、胆嚢、鼻孔、胃腸管、胃、又は扁桃腺等の様々な結石形成領域内の結石又は結石破片が挙げられてもよい。解剖学的構造の例としては、とりわけ、軟組織(例えば、筋肉、腱、靭帯、血管、筋膜、皮膚、脂肪、及び繊維組織)、骨等の硬組織、軟骨等の結合組織等が挙げられてもよい。
図3A~3Bを参照して上記したように、結石構造(例えば、腎臓結石)及び解剖学的構造(例えば、被術者の軟組織又は硬組織)は、異なる反射率スペクトルを有する場合がある。標的構造の反射率スペクトルから抽出されたスペクトル特徴は、
図2及び3A~3Bを参照して上述したように、結石構造又は解剖学的構造(例えば、軟組織又は硬組織)のいずれかとして標的構造を分類するために使用されてもよい。
【0115】
それに加えて又は代替として、標的構造は、標的分類器248を使用する等して、複数の結石タイプのうちの1つとして、又は複数の組織タイプのうちの1つとして分類されてもよい。
図3A~3Bに示すように、同じカテゴリ(例えば、結石カテゴリ、又は解剖学的構造カテゴリ)内の異なる構造タイプが、異なる反射率特性を示すことがある。かかるカテゴリ内反射率スペクトル差は、解剖学的構造の識別されたカテゴリ内の特定の組織タイプ等の特定の組織タイプとして、又は、識別された結石構造のカテゴリ内の特定の結石タイプとして、標的構造を分類するために使用されてもよい。分類は、特定の波長における1つ又は複数の反射率、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴(例えば、分散若しくは別の変動測定基準)、又は反射率スペクトルの図形表現から生成された図形特徴に基づいていてもよい。一例では、識別された結石標的(例えば、腎臓結石)は、CaP結石、MAP結石、COM結石、COD結石、コレステロールベース結石、又は尿酸(UA)結石のうちの1つ等の、異なる化学組成を有する結石タイプのうちの1つとして分類されてもよい。一例では、識別された組織標的は、異なる解剖学的位置を有する組織タイプのうちの1つとして分類されてもよい。例えば、腎臓組織標的は、腎杯組織、皮質組織、髄質組織、又は尿管組織のうちの1つとして分類されてもよい。別の一例では、識別される組織標的は、正常組織又は異常組織(例えば、癌性組織)として分類されてもよい。更に別の一例では、識別される組織標的は、治療領域(例えば、除去が意図された腫瘍若しくはポリープ)、又は非治療領域(例えば、血管、筋肉等)として分類されてもよい。標的構造の反射率スペクトルから抽出されたスペクトル特徴は、
図2及び3A~3Bを参照して上述したように、特定の結石タイプ又は特定の組織タイプとして標的構造を分類するために使用されてもよい。
【0116】
1150において、制御信号が生成されて、レーザコントローラ260を使用する等して、標的の識別に基づく動作モードでレーザシステムを動作させてもよい。動作モードは、レーザビーム、又はレーザシステムのためのレーザパラメータ設定の送達又は送達保留を含んでもよい。一例では、レーザシステムは、標的が結石構造として識別される場合に第1動作モードで、標的が解剖学的構造として識別される場合に第2動作モードで、又は標的が解剖学的構造及び結石構造のいずれにも識別されない場合に第3動作モードで、動作してもよい。一例では、第1動作モードは、腎臓結石等の、識別された結石を切除又は粉塵化するための第1照射パラメータ設定によってプログラムされたレーザビームを送達するようにレーザシステムを起動させることに対応してもよい。一例では、第2動作モードは、識別された組織へのレーザエネルギの送達を保留すること、又は識別された組織を治療するために、第1照射パラメータ設定とは異なる第2照射パラメータ設定によってプログラムされたレーザビームを送達することに対応してもよい。一例では、第3動作モードは、レーザシステムがレーザエネルギの送達を不活性化することに対応してもよい。レーザ照射パラメータの例としては、とりわけ、波長、パワー、パワー密度、パルスパラメータ(例えば、パルス幅、パルスレート、振幅、デューティサイクル)、曝露時間、総線量、又はエネルギが挙げられてもよい。
【0117】
いくつかの例では、照射パラメータ設定は、複数の結石タイプ及び/又は複数の組織タイプについてそれぞれ決定されてもよい。結石タイプ照射パラメータ設定対応、又は組織タイプ照射パラメータ設定対応が作成されて、ルックアップテーブル、関連配列内に等、メモリ250に記憶されてもよい。レーザコントローラ260は、かかる記憶された対応のうちの1つを使用して、分類された結石タイプ又は分類された組織タイプに対応する照射パラメータ設定を決定してもよい。
【0118】
いくつかの例では、レーザシステムの動作モードの決定は、
図6~7に示すような、レーザファイバ512の遠位端と標的構造122との間、又は
図8~9に示すような、反射された信号を受取り及び伝送するための光学経路816の遠位端と標的構造122との間等の、標的構造と光学経路の遠位端との間の距離660に更に基づいてもよい。距離660は、反射率スペクトル等の分光特性を使用して計算されてもよい。それに加えて、いくつかの例では、ファイバ又は光学経路の測定された外径とその突出角度、及び/又は内視鏡画像プロセッサからの入力信号が使用されることにより、距離660を計算してもよい。
【0119】
レーザシステムは、距離660が閾値以下又は特定のレーザ発射範囲内にある等の条件を満たす場合、レーザビームを標的構造に送達するように制御されてもよい。一例では、標的構造が意図された治療構造タイプ(例えば、指定の軟組織タイプ又は指定の結石タイプ)として識別されるが、標的構造がレーザの範囲内にない(例えば、d>d
th)場合、制御信号が生成されてレーザ源を「ロック」し、それが標的に向けて発射することを防止するようにしてもよい。距離660についての、及び標的構造がレーザの範囲外にある(d>d
th)ことについての情報は、実践者に提示され、次いでレーザファイバの遠位端を再配置する等のために内視鏡を調整してもよい。距離660、及び標的構造タイプは、連続的に監視されて、実践者に提示されてもよい。標的が意図された治療構造タイプとして認識され、そしてレーザの範囲内にある(d≦d
th)とき、制御信号が生成されてレーザ源を「ロック解除」し、レーザ動作モード(例えば、パワー設定)に従って、レーザビームを標的構造に狙いを定めて発射してもよい。距離660は、
図10を参照して上述したように、分光反射信号強度と、ファイバの遠位端と標的構造との間の距離660との間の関係を表す予め生成された較正曲線を使用して計算されてもよい。
【0120】
図12は、概して、本明細書で説明された技術のうちのいずれか1つ又は複数(例えば、方法論)が実行されてもよい例示的な機械1200のブロック図である。この説明の一部は、レーザ治療システム100(例えば、レーザフィードバック制御システム101)、レーザフィードバック制御システム200、又は内視鏡400等の内視鏡に統合された制御回路の様々な部分の計算フレームワークに適用されてもよい。
【0121】
代替実施形態では、機械1200は、独立型デバイスとして動作してもよく、又は別の機械に接続(例えば、ネットワーク化)されてもよい。ネットワーク化された配備では、機械1200は、サーバクライアントネットワーク環境におけるサーバ機械、クライアント機械、又はその両方の能力内で動作してもよい。一例では、機械1200は、ピアツーピア(P2P)(又は別の分散)ネットワーク環境においてピア機械として動作することができる。機械1200は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブ機器、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はその機械によって実行されるべき作用を指定する命令(シーケンシャル又は別のもの)を実行できる任意の機械であってもよい。更に、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語は、また、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、別のコンピュータクラスタ構成等の本明細書で説明された方法のうちのいずれか1つ又は複数を実行するための命令のセット(又は複数のセット)を個別に又は共同で実行する機械の集合を含むと考えられるべきである。
【0122】
例は、本明細書に記載されたように、ロジック又は多数の構成要素若しくは機構を含んでもよく、或いはそれらによって動作してもよい。回路セットは、ハードウェア(例えば、単信回路、ゲート、ロジック等)を含む有形のエンティティに実装された回路の集合である。回路セットメンバーシップは、時間及び基礎的なハードウェア変動にわたって柔軟であり得る。回路セットは、動作時に、単独で又は組み合わせで、指定された動作を実行してもよい部材を含む。一例では、回路セットのハードウェアは、指定された動作(例えば、ハードワイヤード)を実行するように不変に設計されてもよい。一例では、回路セットのハードウェアは、指定の動作の命令を符号化するために、物理的に修正されたコンピュータ可読媒体(例えば、不変マス粒子の磁気的、電気的に移動可能な配置等)を含む可変に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単信回路等)を含んでもよい。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎となる電気的特性は、例えば、絶縁体から導体へ、又はその逆に変更される。命令は、埋め込まれたハードウェア(例えば、実行ユニット又はローディング機構)が、可変接続を介してハードウェア内の回路セットの部材を作成して、動作時に指定の動作の部分を実行することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、装置が動作しているときに、回路セット部材の別の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のうちのいずれかは、2つ以上の複数の回路セットのうちの2つ以上の部材において使用されてもよい。例えば、動作中、実行ユニットが、1つの時点において第1回路セットの第1回路内で使用され、第1回路セット内の第2回路によって、又は異なる時点において第2回路セット内の第3回路によって再使用されてもよい。
【0123】
機械(例えば、コンピュータシステム)1200は、ハードウェアプロセッサ1202(例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、又はそれらの任意の組み合わせ)、メインメモリ1204、及びスタティックメモリ1206を含んでもよく、これらの一部又は全部は、インターリンク(例えば、バス)1208を介して互いに通信してもよい。機械1200は、ディスプレイユニット1210(例えば、ラスタディスプレイ、ベクトルディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ等)と、英数字入力デバイス1212(例えば、キーボード)と、ユーザインタフェース(UI)ナビゲーションデバイス1214(例えば、マウス)と、を更に備える。一例では、ディスプレイユニット1210、入力デバイス1212、及びUIナビゲーションデバイス1214は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械1200は、記憶デバイス(例えば、駆動ユニット)1216、信号生成デバイス1218(例えば、スピーカ)、ネットワークインタフェースデバイス1220、及び地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、又は別のセンサ等の1つ又は複数のセンサ1221、を更に含んでもよい。機械1200は、1つ又は複数の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダ等)を通信又は制御するために、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、パラレル、又は別の有線若しくは無線(例えば、赤外(IR)、近距離無線通信(NFC)等)接続等の出力コントローラ1228を含んでもよい。
【0124】
記憶デバイス1216は、本明細書に記載された技術又は機能のうちのいずれか1つ又は複数によって具現化する又は利用されるデータ構造又は命令1224(例えば、ソフトウェア)の1つ又は複数のセットが記憶される機械可読媒体1222を含んでもよい。命令1224は、また、機械1200によるそれの実行中、メインメモリ1204内に、スタティックメモリ1206内に、又はハードウェアプロセッサ1202内に完全に又は少なくとも部分的に常駐してもよい。一例では、ハードウェアプロセッサ1202、メインメモリ1204、スタティックメモリ1206、又は記憶デバイス1216のうちの1つ又はそのいずれかの組み合わせが、機械可読媒体を構成してもよい。
【0125】
機械可読媒体1222は、単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つ又は複数の命令1224を記憶するように構成された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中又は分散データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含んでもよい。
【0126】
「機械可読媒体」という用語は、機械1200による実行のための命令を記憶、符号化、又は伝達し得、及び機械1200に本開示の技術のうちのいずれか1つ又は複数を実行させ、或いはかかる命令によって使用されるか又はそれらと関連したデータ構造を記憶、符号化、又は伝達し得るいずれかの媒体を含んでもよい。非限定的な機械可読媒体の例は、ソリッドステートメモリと、光学及び磁気媒体とを含んでもよい。一例では、マス機械可読媒体は、不変(例えば、休止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体を含む。したがって、マス機械可読媒体は、一時的に伝播する信号ではない。マス機械可読媒体の特定の例としては、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EPSOM))、及びフラッシュメモリデバイス等の不揮発性メモリ、中央ハードディスク及びリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクが挙げられてもよい。
【0127】
命令1224は、いくつかのトランスファプロトコル(例えば、フレームリレイ、インターロックプロトコル(IP)、トランスミッションコントロールプロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキストトランスファプロトコル(HTTP)等)のうちのいずれか1つを利用するネットワークインタフェースデバイス1220を介して伝送メディアを使用して通信ネットワーク1226を介して更に伝送又は受取られてもよい。例示的な通信ネットワークとしては、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、移動体通信ネットワーク)、プレインオールドテレフォン(POTS)ネットワーク、及び無線データネットワーク(例えば、WiFi(登録商標)として知られた規格の米国電気電子学会(IEEE)802.11ファミリ、WiMax(登録商標)として知られた規格のIEEE802.16ファミリ)、規格のIEEE802.15.4ファミリ、ピアツーピア(P2P)ネットワークが挙げられてもよい。一例では、ネットワークインタフェースデバイス1220は、1つ又は複数の物理ジャック(例えば、イーサネット、コアキシャル、又はフォンジャック)又は通信ネットワーク1226に接続するための1つ又は複数のアンテナを含んでもよい。一例では、ネットワークインタフェースデバイス1220は、単一入力多出力(SIMO)、多入力多出力(MIMO)、又は多入力単一出力(MISO)技術のうちの少なくとも1つを使用して無線通信するための複数のアンテナを含んでもよい。「伝送媒体」という用語は、機械1200による実行のための命令を記憶、符号化、又は伝達し得、そして、かかるソフトウェアの通信を容易にするためのデジタル若しくはアナログ通信信号又は別の無形媒体を含む、いずれかの無形媒体を含むと考えられるべきである。
【0128】
[付記]
上記の詳細な説明は、添付の図面への参照を含み、添付の図面は詳細な説明の一部を成す。図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態もまた、本明細書において「実施例」として参照される。そのような例は、示されているか又は記載されているものに加えて、要素を含み得る。しかし、また、本発明者は、示されているか又は記載されているそれらの要素のみが提供される例を検討する。更に、また、本発明者は、示されているか又は記載されているそれらの要素(又はそれらの1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は置換を、特定の例(又はそれらの1つ以上の態様)か、あるいは本明細書に示されているか又は記載されている別の例(又はそれらの1つ以上の態様)のどちらか一方に関して使用する例を検討する。
【0129】
本文献では、「a」又は「an」という用語は、任意の他の例、又は「少なくとも1つ」若しくは「1つ以上」の使用と無関係に、特許文献において一般的であるように、1つ又は2つ以上を含むように用いられる。本文献では、用語「又は(or)」は、包括的なものを指すように、又は別段の指示がない限り、「A又はB」が「AであるがBでない」、「BであるがAでない」、及び「A及びB」を含むように、用いられる。本文献では、「含んでいる(including)」及び「in which」という用語は、「含んでいる(comprising)」及び「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の同意義のものとして用いられる。また、下記の特許請求の範囲では、「含んでいる(including)」及び「含んでいる(comprising)」という用語はオープンエンドであり、すなわち請求項の範囲内でそのような用語の後に列挙されているものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又は工程が、依然として請求項の範囲内に入ると見なされる。更に、下記の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などという用語は単にラベルとして用いられており、それらの対象物に数的な要件を課することは意図されていない。
【0130】
上記説明は例示的であることが意図され、制限的であることは意図されていない。例えば、前述の例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記説明を検討する際に当業者によるなど、他の実施形態が使用され得る。要約は37C.F.R 1.72(b)に従うように提供され、読者が技術的開示の本質を迅速に確認することを可能にする。要約は、それが特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈するか又は制限するのに使用されないという理解の下に提示される。また、上記の発明を実施するための形態では、様々な特徴がグループ化されて、本開示を効率化し得る。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に不可欠であるよう意図していると見なされるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示される実施形態の全特徴より少ない特徴にある場合がある。したがって、下記の特許請求の範囲は、本明細書によって、発明を実施するための形態に、例又は実施形態として組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として自立しており、そのような実施形態は、様々な組み合わせ及び交換において互いに組み合わせられ得ると考えられる。本発明の範囲は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている同等物の完全な範囲とともに、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0131】
[付記2]
例1は、電気外科治療システムであり、該システムは、被術者の身体内の標的に送達するための電気外科エネルギを生成するように構成された電気外科エネルギシステムと、コントローラ回路であって、光源によって生成された電磁放射に応じて標的から反射された信号を受取ること、受取られた反射信号から1つ又は複数の分光特性を生成すること、1つ又は複数の分光特性を使用して、それぞれの異なる組成を有する複数の構造タイプのうちの1つとして標的を識別すること、及び標的の識別に基づいて電気外科エネルギシステムの動作モードを決定することであって、動作モードは、電気外科エネルギの送達若しくは送達保留、又は電気外科エネルギシステムのためのエネルギパラメータ設定を含む、決定すること、を行うように構成されたコントローラ回路と、を備えている。
【0132】
例2では、例1の主題は任意選択で、電気外科エネルギシステムが、被術者の身体内の標的に送達するためのレーザビームを生成するように構成されたレーザシステムを含み、エネルギパラメータ設定は、レーザパラメータ設定を含むことを含む。
【0133】
例3では、例2の主題は任意選択で、コントローラ回路が、受取られた反射信号を使用して反射率スペクトルを生成することであって、反射率スペクトルは、複数の波長にわたる反射率強度を表す、生成すること、及び反射率スペクトルから1つ又は複数のスペクトル特徴を抽出することを含む1つ又は複数の分光特性を生成することであって、スペクトル特徴は、特定の波長での反射率強度、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴、或いは反射率スペクトルの図形表現の図形特徴を含む、生成すること、を行うように構成されたコントローラ回路と、を含むことを含む。
【0134】
例4では、例3の主題は任意選択で、コントローラ回路が、1つ又は複数の分光特性を使用して、結石構造又は解剖学的構造のうちの1つとして標的を識別するように構成されていることを含む。
【0135】
例5では、例3~4のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、コントローラ回路は、1つ又は複数の分光特性を使用して、それぞれの異なる組成を有する複数の結石タイプのうちの1つとして標的を分類することと、標的の分類された結石タイプに基づいてレーザシステムのためのレーザパラメータ設定を調整することと、調整されたレーザパラメータ設定に従って、分類された結石タイプの標的にレーザビームを送達するために、レーザシステムへの制御信号を生成することと、を行うように構成されていることを含む。
【0136】
例6では、例5の主題は任意選択で、コントローラ回路が、腎臓結石タイプのうちの1つとして標的を分類するように構成され、腎臓結石タイプは、リン酸カルシウム(CaP)結石、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)結石、1水和物シュウ酸カルシウム(COM)結石、コレステロール系石材、2水和物シュウ酸カルシウム(COD)結石、又は尿酸(UA)結石のうちの少なくとも1つを含むことを含む。
【0137】
例7では、例3~6のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、コントローラ回路が、1つ又は複数の分光特性を使用して、複数の組織タイプのうちの1つとして標的を分類することと、標的の分類された組織タイプに基づいてレーザシステムの動作モードを決定することと、を行うように構成されていることを含む。
【0138】
例8では、例7の主題は任意選択で、コントローラ回路が、1つ又は複数の分光特性を使用して、治療領域又は非治療領域として標的を分類することと、治療領域にレーザビームを送達するため、及びレーザビームの非治療領域への送達を保留するために、レーザシステムへの制御信号を生成することと、を行うように構成されていることを含む。
【0139】
例9では、例7~8のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、コントローラ回路が、1つ又は複数の分光特性を使用して、正常組織又は癌性組織として標的を分類することと、分類された癌性組織の標的にレーザビームを送達するための、及び標的が正常組織として分類された場合にレーザビームの送達を保留するための、レーザシステムへの制御信号を生成することと、を行うように構成されていることを含む。
【0140】
例10では、例1~9のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、コントローラ回路が、標的が結石構造として識別された場合の第1動作モード、標的が解剖学的構造として識別された場合の第2動作モード、又は標的が解剖学的構造及び結石構造のいずれでもないと識別された場合の第3動作モードのうちの1つを含む電気外科エネルギシステムの動作モードを決定するように構成されていることを含む。
【0141】
例11では、例2~9のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、レーザシステムに結合された内視鏡を含み、内視鏡は、コントローラ回路と、レーザビーム、標的から反射された信号又は光源によって生成された電磁放射のうちの1つ又は複数を伝送するように構成された少なくとも1つの光学経路と、を含む。
【0142】
例12では、例11の主題は任意選択で、コントローラ回路が、1つ又は複数の分光特性のうちの少なくとも1つを使用して、標的と、少なくとも1つの光学経路の遠位端との間の距離を計算することと、
(1)標的が治療構造タイプとして識別される場合、及び(2)計算された距離が指定されたレーザ発射範囲内にある場合に、標的にレーザビームを送達することを含む、レーザシステムの動作モードを決定することと、
を行うように更に構成されていることを含む。
【0143】
例13では、例11~12のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、少なくとも1つの光学経路は、標的から反射された信号をコントローラ回路に結合された分光センサまで伝送するように構成された第1光学経路を含むことを含む。
【0144】
例14では、例13の主題は任意選択で、第1光学経路が、標的までレーザビームを伝送するように更に構成されていることを含む。
【0145】
例15では、例13~14のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、第1光学経路が、光源から標的まで電磁放射を伝送するように更に構成されていることを含む。
【0146】
例16では、例13~15のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、少なくとも1つの光学経路が、第1光学経路とは異なる第2光学経路を含み、第2光学経路が、標的までレーザビームを伝送するように構成されていることを含む。
【0147】
例17では、例11~16のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、コントローラ回路が、少なくとも1つの光学経路の外径に関する情報を更に使用して、1つ又は複数の分光特性を生成するように構成されていることを含む。
【0148】
例18では、例11~17のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、コントローラ回路が、内視鏡に対する少なくとも1つの光学経路の遠位端の突出角度に関する情報を更に使用して、1つ又は複数の分光特性を生成するように構成されていることを含む。
【0149】
例19では、例1~18のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、光源によって生成された電磁放射が、紫外波、可視光波、又は赤外波のうちの1つ又は複数を含むことを含む。
【0150】
例20では、例1~19のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、制御回路が、標的構造を照明する電磁放射に応じて標的から反射された信号を感知するように構成された分光センサに結合され、分光センサは、フーリエ変換赤外(FTIR)分光器、ラマン分光器、UV-VIS分光器、UV-VIS-IR分光計、又は蛍光分光器のうちの1つ又は複数を含むことを含む。
【0151】
例21では、例1~20のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、制御回路が、標的構造を照明する電磁放射に応じて標的から反射された信号を感知するように構成された撮像センサに結合されていることを含む。
【0152】
例22は、電気外科エネルギシステムを制御して、被術者の身体内の標的に電気外科エネルギを送達する方法であって、方法は、光源によって生成された電磁放射によって標的を照明することと、コントローラ回路に結合された分光センサを介して、電磁放射に応じて標的から反射された信号を感知することと、検出された反射信号を使用して、コントローラ回路を介して、1つ又は複数の分光特性を生成することと、1つ又は複数の分光特性を使用して、コントローラ回路を介して、それぞれの異なる組成を有する複数の構造タイプのうちの1つとして標的を識別することと、コントローラ回路を介して、標的の識別に基づく動作モードで電気外科エネルギシステムを動作させる制御信号を生成することであって、動作モードは、電気外科エネルギの送達若しくは送達保留、又は電気外科エネルギシステムのためのエネルギパラメータ設定を含む、生成することと、を含む。
【0153】
例23では、例22の主題は任意選択で、制御信号が、標的の識別に基づく動作モードでレーザシステムを動作させるように生成され、動作モードは、レーザビームの送達若しくは送達保留、又はレーザシステムのためのレーザパラメータ設定を含むこと含む。
【0154】
例24では、例22~23のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、感知された反射信号を使用して、反射率スペクトルを生成することを含み、反射率スペクトルは、複数の波長にわたる反射率強度を表し、1つ又は複数の分光特性を生成することは、反射率スペクトルから1つ又は複数のスペクトル特徴を抽出することを含み、スペクトル特徴は、特定の波長での反射強度、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴、又は反射率スペクトルの図形表現の図形特徴を含む。
【0155】
例25では、例23~24のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、1つ又は複数の分光特性を使用して、それぞれの異なる組成を有する複数の結石タイプのうちの1つとして標的を分類することと、標的の分類された結石タイプに基づいてレーザシステムのためのレーザパラメータ設定を調整することと、調整されたレーザパラメータ設定に従って、分類された結石タイプの標的にレーザビームを送達するためにレーザシステムへの制御信号を生成することと、を含む。
【0156】
例26では、例23~25のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、1つ又は複数の分光特性を使用して、複数の組織タイプのうちの1つとして標的を分類することと、標的の分類された組織タイプに基づいてレーザシステムの動作モードを決定することと、を含む。
【0157】
例27では、例26の主題は任意選択で、1つ又は複数の分光特性を使用して、治療領域又は非治療領域として標的を分類することと、治療領域にレーザビームを送達するため、及び非治療領域へのレーザビームの送達を保留するために、レーザシステムへの制御信号を生成することと、を含む。
【0158】
例28では、例26~27のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、1つ又は複数の分光特性を使用して、正常組織又は癌性組織として標的を分類することと、分類された癌性組織の標的にレーザビームを送達するため、及び標的が正常組織として分類された場合にレーザビームの送達を保留するために、レーザシステムへの制御信号を生成することと、を含む。
【0159】
例29では、例23~28のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、電気外科エネルギシステムの動作モードを決定することが、標的が結石構造として識別される場合の第1動作モード、標的が解剖学的構造として識別される場合の第2動作モード、又は標的が解剖学的構造でも結石構造でもないと識別される場合の第3動作モードのうちの1つを含むことを含む。
【0160】
例30では、例23~29のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、1つ又は複数の分光特性のうちの少なくとも1つを使用して、標的と、内視鏡に関連した光学経路の遠位端との間の距離を計算することと、(1)標的が治療構造タイプとして識別された場合、及び(2)計算された距離が指定されたレーザ発射範囲内にある場合に、標的にレーザビームを送達することを含むレーザシステムの動作モードを決定することと、を含む。
【0161】
例31では、例23~30のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、1つ又は複数の分光特性を生成することは、内視鏡に関連した、及びレーザビーム、標的から反射された信号、又は光源によって生成された電磁放射のうちの1つ又は複数を伝送するように構成された少なくとも1つの光学経路に関する幾何学形状及び配置情報を使用することを含み、幾何学形状及び配置情報は、少なくとも1つの光学経路の外径、又は内視鏡に対する少なくとも1つの光学経路の遠位端の突出角度のうちの少なくとも1つを含むことを含む。
【0162】
例32は、命令を含む少なくとも1つの非一時的機械可読記憶媒体であって、命令は、機械の1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、機械に動作を実行させ、動作は、光源によって生成された電磁放射によって被術者の身体内の標的を照明することと、電磁放射に応じて標的から反射された信号を受取ることと、反射信号を使用して、1つ又は複数の分光特性を生成することと、1つ又は複数の分光特性を使用して、それぞれの異なる組成を有する複数の構造タイプのうちの1つとして標的を識別することと、標的の識別に基づく動作モードで電気外科エネルギシステムを動作させるための制御信号を生成することであって、動作モードは、電気外科エネルギの送達若しくは送達保留、又は電気外科エネルギシステムのためのエネルギパラメータ設定を含む、生成することと、を含む、少なくとも1つの非一時的機械可読記憶媒体である。
【0163】
例33では、例32の主題は任意選択で、制御信号が、標的の識別に基づく動作モードでレーザシステムを動作させるように生成され、動作モードは、レーザビームの送達若しくは送達保留、又はレーザシステムのためのレーザパラメータ設定を含むことを含む。
【0164】
例34では、例32~33のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、命令が、受取られた反射信号を使用して、複数の波長にわたる反射率強度を表す反射率スペクトルを生成することを更に含む動作を機械に実行させ、1つ又は複数の分光特性を生成する動作は、反射率スペクトルから1つ又は複数のスペクトル特徴を抽出することを含み、スペクトル特徴は、特定の波長での反射率強度、2つ以上の異なる波長にわたる反射率の統計的特徴、又は反射率スペクトルの図形表現の図形特徴を含むことを含む。
【0165】
例35では、例32~34のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、複数の構造タイプのうちの1つとして標的を識別する動作は、1つ又は複数の分光特性を使用して、結石構造又は解剖学的構造のうちの1つとして標的を識別することを含むことを含む。
【0166】
例36では、例32~35のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、命令は、機械に動作を実行させ、動作は、1つ又は複数の分光特性を使用して、それぞれの異なる組成を有する複数の結石タイプのうちの1つとして標的を分類することと、標的の分類された結石タイプに基づいて電気外科エネルギシステムのためのレーザパラメータ設定を調整することと、調整されたレーザパラメータ設定に従って、分類された結石タイプの標的にレーザビームを送達するために電気外科エネルギシステムへの制御信号を生成することと、を更に含むことを含む。
【0167】
例37では、例32~36のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、命令は、機械に動作を実行させ、動作は、1つ又は複数の分光特性を使用して、複数の組織タイプのうちの1つとして標的を分類することと、標的の分類された組織タイプに基づいて、レーザシステムの動作モードを決定することと、を含むことを含む。
【0168】
例38では、例32~37のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、命令が、機械に動作を実行させ、動作は、1つ又は複数の分光特性のうちの少なくとも1つを使用して、標的と、内視鏡に関連した光学経路の遠位端との間の距離を計算することと、(1)標的が治療構造タイプとして識別される場合、(2)計算された距離が指定されたレーザ発射範囲内にある場合に、標的にレーザビームを送達することを含むレーザシステムの動作モードを決定することと、を更に含むことを含む。
【0169】
例39では、例32~38のうちのいずれか1つ又は複数の主題は任意選択で、1つ又は複数の分光特性を生成する動作は、内視鏡に関連した、及びレーザビーム、標的から反射された信号、又は光源によって生成された電磁放射のうちの1つ又は複数を伝送するように構成された少なくとも1つの光学経路に関する幾何学形状及び配置情報を使用することを含み、幾何学形状及び配置情報は、少なくとも1つの光学経路の外径、又は内視鏡に対する少なくとも1つの光学経路の遠位端の突出角度のうちの少なくとも1つを含むことを含む。