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特開2024-8339光源ユニット、光源装置及び光源ユニットの形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008339
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】光源ユニット、光源装置及び光源ユニットの形成方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240112BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20240112BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240112BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20240112BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20240112BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20240112BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20240112BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240112BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240112BHJP
【FI】
F21S2/00 375
F21S2/00 377
F21V23/06
F21V29/503
F21V29/67 100
F21V29/76
F21V29/83
B05C9/12
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110130
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾前 靖
(72)【発明者】
【氏名】金端 祥寛
【テーマコード(参考)】
3K014
4F042
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014HA04
4F042AA02
4F042AA06
4F042BA06
4F042BA13
4F042BA19
4F042DB48
(57)【要約】
【課題】照度均一性を向上させた光源ユニットを提供する。
【解決手段】光源ユニットは、複数の光源装置が連結されている。前記複数の光源装置は、それぞれ、複数の固体光源が配置された基板と、前記基板に接合された接合面、他の光源装置と連結された連結部、及び、前記基板の熱を放熱するための放熱フィンを含む放熱器と、前記放熱フィンの近傍に、前記気体を流通させるための第一開口を有し、前記放熱フィンを収容する、筐体と、前記放熱器に前記筐体の外の気体を流通させるファンと、を備える。異なる光源装置間で対向配置される前記第一開口の間に、前記気体を流通させるための隙間を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源装置が連結された光源ユニットであって、
前記複数の光源装置は、それぞれ、
複数の固体光源が配置された基板と、
前記基板に接合された接合面、他の光源装置と連結された連結部、及び、前記基板の熱を放熱するための放熱フィンを含む放熱器と、
前記放熱フィンの近傍に気体を流通させるための第一開口を有し、前記放熱フィンを収容する、筐体と、
前記放熱フィンに前記気体を流通させるファンと、を備え、
異なる光源装置間で対向配置される前記第一開口の間に、前記気体を流通させるための隙間を有することを特徴とする、光源ユニット。
【請求項2】
前記放熱フィンは板材を含み、前記板材は、前記第一開口を有する前記側面に対して交差する方向に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記筐体は、互いに対向する二つの側面のそれぞれに前記第一開口を有することを特徴とする、請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記複数の光源装置の少なくとも一つの光源装置は、さらに、前記基板に接合された放熱器を避けて前記基板に接合された、給電コネクタを備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記複数の光源装置の前記少なくとも一つの光源装置は、前記給電コネクタを複数備えることを特徴とする、請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記複数の光源装置の前記少なくとも一つの光源装置において、
前記複数の固体光源は第一方向及び前記第一方向に直交する第二方向に沿って配列され、前記第一方向の配列ピッチは前記第二方向の配列ピッチより大きく、前記複数の給電コネクタのうち少なくとも二つの給電コネクタは、前記第一方向に重なることを特徴とする、請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記複数の光源装置の前記少なくとも一つの光源装置は、前記筐体に、前記筐体に流入する気体と、前記筐体から排出される気体とが混入することを抑制する遮風部を備えていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記基板の光出射側に配置された透光部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記透光部を支持する支持部を有し、前記支持部の少なくとも一部は、前記固体光源からの出射光を反射する光反射機能を有することを特徴とする請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記透光部は、複数の前記光源装置に跨って配置される部材であることを特徴とする請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項11】
複数の固体光源が配置された基板と、
前記基板に接合された接合面、他の光源装置と連結するための連結部、及び、前記基板の熱を放熱するための放熱フィンを含む放熱器と、
前記放熱器を収容する筐体と、
前記放熱器に前記筐体の外の気体を流通させるファンと、を備え、
前記筐体は、前記筐体の側面に前記放熱フィンの近傍に前記気体を流通させるための第一開口を有し、
前記第一開口は前記連結部の内側に位置することを特徴とする、光源装置。
【請求項12】
前記光源装置は、前記基板に接合された放熱器を避けて前記基板に接合された、給電コネクタを備えることを特徴とする、請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記光源装置は、前記給電コネクタを複数備えることを特徴とする、請求項12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記光源装置において、
前記複数の固体光源は第一方向及び前記第一方向に直交する第二方向に沿って配列され、前記第一方向の配列ピッチは前記第二方向の配列ピッチより大きく、前記複数の給電コネクタのうち少なくとも二つの給電コネクタは、前記第一方向に重なることを特徴とする、請求項13に記載の光源装置。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか一項に記載の光源装置を複数準備し、
前記連結部を使用し複数の前記光源装置を相互に連結して、複数の光源装置が連結された光源ユニットを形成する、光源ユニットの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源ユニット、光源装置及び光源ユニットの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等の光源を用いた光源装置が、印刷用インクの硬化やディスプレイ基板の貼合わせ用接着剤の硬化などに利用されている。印刷用紙やディスプレイ基板の大きさ及び形状は多種多様である。そのため、印刷用紙やディスプレイ基板等の照射対象物の大きさ及び形状に合わせて照射エリアを柔軟に変更できるように、複数の光源装置を連結した光源ユニットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-171882号公報
【特許文献2】特開2017-177088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
市場から、光源ユニットの照射エリアの照度均一性の向上が期待されている。本発明は、照度均一性を向上させた光源ユニットと、当該光源ユニットに含まれる光源装置と、光源ユニットの形成方法と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
光源ユニットは、複数の光源装置が連結された光源ユニットであって、
前記複数の光源装置は、それぞれ、
複数の固体光源が配置された基板と、
前記基板に接合された接合面、他の光源装置と連結された連結部、及び、前記基板の熱を放熱するための放熱フィンを含む放熱器と、
前記放熱フィンの近傍に、気体を流通させるための第一開口を有し、前記放熱フィンを収容する、筐体と、
前記放熱フィンに前記気体を流通させるファンと、を備え、
異なる光源装置間で対向配置される前記第一開口の間に、前記気体を流通させるための隙間を有する。
【0006】
本発明者は、連結された光源装置間における基板の温度ばらつきが、連結された光源装置間の光出力に影響を与えていることに着目し、上記光源ユニットを案出した。詳細は後述するが、光源ユニットにおいて、異なる光源装置間で対向配置される前記第一開口の間の隙間によって、連結された各光源装置のそれぞれに、冷却のための気体を供給できる。その結果、光源ユニットを構成するいずれの光源装置においても基板の熱を効果的に放熱でき、連結された光源装置間における基板の温度ばらつきを小さくできる。斯くして、光源装置間における光出力のばらつきが抑制され、光源ユニットの照射エリアの照度均一性が向上する。
【0007】
本明細書において、放熱器とは、複数の固体光源が配置された基板と接合され、前記基板の熱を受け取り放熱するための部材である。本明細書において、基板と放熱器本体との間に、例えば、熱伝導板、熱伝導シート、及び熱伝導グリス等の伝熱材料が存在する場合、これらの伝熱材料は、放熱器を構成する部材とみなす。
【0008】
本発明の光源装置は、複数の固体光源が配置された基板と、
前記基板に接合された接合面、他の光源装置と連結するための連結部、及び、前記基板の熱を放熱するための放熱フィンを含む放熱器と、
前記放熱器を収容する筐体と、
前記筐体の外の気体を前記放熱フィンに流通させるファンと、を備え、
前記筐体は、前記筐体の側面に前記放熱フィンの近傍に前記気体を流通させるための第一開口を有し、前記第一開口は前記連結部の内側に位置する。
【0009】
前記連結部の内側に位置する光源装置を連結したときに、前記第一開口は、連結した他の光源装置の前記第一開口に対向配置される。前記第一開口は、前記連結部の内側に位置するので、対向配置される二つの前記第一開口の間に、前記気体を流通させるための隙間が形成される。そのため、連結された光源装置間における基板の温度ばらつきが小さくなる。その結果、光源装置間で光出力のばらつきが抑制され、光源ユニットの照射エリアの照度均一性が向上する。
【0010】
前記放熱フィンは板材を含み、前記板材は、前記開口を有する前記側面に対して交差する方向に延びても構わない。
【0011】
前記筐体は、前記筐体の少なくとも一つの側面に前記第一開口を有していればよい。しかしながら、前記筐体は、前記筐体の相互に対向する二つの側面それぞれに、前記放熱フィンの近傍に前記第一開口を有しても構わない。また、前記筐体は、前記筐体の四つの側面それぞれに、前記第一開口を有しても構わない。
【0012】
前記光源装置の少なくとも一つは、さらに、前記基板に接合された放熱器を避けて前記基板に接合された、給電コネクタを備えても構わない。前記複数の光源装置の前記少なくとも一つの光源装置、又は、前記光源装置は、前記給電コネクタを複数備えても構わない。
【0013】
前記光源装置の少なくとも一つにおいて、
前記複数の固体光源は第一方向及び前記第一方向に直交する第二方向に沿って配列され、前記第一方向の配列ピッチは前記第二方向の配列ピッチより大きく、前記複数の給電コネクタのうち少なくとも二つの給電コネクタは、前記第一方向に重なっても構わない。前記第一方向の配列ピッチは前記第二方向の配列ピッチと同じであっても構わない。
【0014】
前記光源装置の少なくとも一つは、前記筐体に、前記筐体に流入する気体と、前記筐体から排出される気体とが混入することを抑制する遮風部を備えていても構わない。
【0015】
前記光源装置の少なくとも一つは、前記複数の固体光源の光出射側に透光部が存在しても構わない。前記透光部は、複数の光源装置に跨って配置される部材であっても構わない。前記透光部は、前記光源装置の各々に配置される部材であっても構わない。
【0016】
前記光源装置の少なくとも一つは、それぞれ、前記透光部と、前記透光部を支持する支持部とを有し、前記支持部の少なくとも一部、特に前記複数の固体光源からの出射光が入射する領域は、光反射機能を有しても構わない。
【0017】
前記光源ユニットの形成方法は、前記光源装置を複数準備し、
前記連結部を使用して複数の前記光源装置を相互に連結し、複数の光源装置が連結された光源ユニットを形成する方法である。
【発明の効果】
【0018】
光源装置を連結して形成した照射エリアにおいて照度均一性を向上させた光源ユニットと、当該光源ユニットに含まれる光源装置と、当該光源ユニットの形成方法と、を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施形態の光源ユニットの斜視図である。
図2図1に示される光源ユニットのXZ平面における断面図である。
図3】一つの光源装置の出射側から基板を見た図を示す。
図4図3の線分D-Dにおける部分拡大断面図である。
図5】第二実施形態の光源ユニットの断面図である。
図6】第三実施形態の光源ユニットの断面図である。
図7】第四実施形態の光源ユニットの斜視図である。
図8】第四実施形態の光源ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照しながら光源ユニットの各実施形態を説明する。なお、本明細書に開示された各図面は、あくまで模式的に図示されたものである。すなわち、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しておらず、また、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
【0021】
図面はXYZ座標系を参照して説明される。本明細書において、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0022】
<第一実施形態>
[全体構成]
図1及び図2を参照しながら、光源ユニットの第一実施形態が説明される。図1は、光源ユニット100の斜視図である。図1に示されるように、光源ユニット100は複数の光源装置20を有し、複数の光源装置20は、X軸に沿って2列に並び、Y軸に沿って3列に並ぶ。光源ユニット100が有する光源装置20の数は特に限定されない。光源ユニット100は、例えば、光源装置20がX軸に沿って6列に並び、Y軸に沿って6列に並ぶ、36個の光源装置20を有しても構わない。複数の光源装置20は、後述する放熱器の連結部を使用して互いに連結されている。光源ユニット100の光は、-Z方向に出射される。
【0023】
図2は、図1に示される光源ユニット100のXZ平面における断面図である。図2は、X方向に並ぶ二つの光源装置20の断面を示す。図2に示されるように、光源装置20は、それぞれ、複数の固体光源1(図2では示していない。図3又は図4を参照されたい。)が配置された基板2と、基板2に接合された放熱器3と、放熱器3を収容する筐体4と、放熱器3に筐体4の外の気体を流通させるためのファン5とを含む。なお、図2では、基板2及びファン5に接続される電力線、光源装置20の制御部及び筐体4の外と内を電気的に接続するためのコネクタ等の記載を省略している。
【0024】
放熱器3は、基板2に接合される本体3aと、他の光源装置20と連結するための連結部3bと、基板2の熱を放熱するための放熱フィン3cとを含む。本体3aは、基板2に接合する接合面3sを有する。本実施形態において、各々の光源装置20が備える放熱フィン3cは、複数の板材がY方向に並んで構成される。各板材は、それぞれ、XZ平面に沿って延びている。
【0025】
連結部3bについて説明する。光源装置20と他の光源装置20とを連結する際、連結部3bを使用して、光源装置20の本体3aと、連結する他の光源装置20の本体3aとを互いに連結する。本実施形態において、連結部3bは、ネジ孔とネジから構成される。光源装置20の本体3aと、連結する他の光源装置20の本体3aは、それぞれにネジ孔を有しており、それぞれのネジ孔にニップル等のネジを取り付けることで連結できる。しかしながら、連結部3bは、これに限定されない。連結部3bは、例えば、隣接する本体3aが互いに噛み合う凹凸構造を有するものでも構わない。連結部3bは、複数の光源装置20を束ねて締め付け固定する型枠でも構わない。
【0026】
筐体4は、筐体4の内と外で気体を流通させるための、二種類の開口を有する。一つは、筐体4の側面に配置される第一開口(4h,4i)である。もう一つは、筐体4の上面(最も+Z側に位置する面)に配置される第二開口4jである。流通させる気体は、光源ユニット100が配置される環境に含まれる気体である。「環境に含まれる気体」は、通常、空気である。しかしながら、光源ユニット100自体を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下に配置する場合があり、その場合において「環境に含まれる気体」は、不活性ガスとなる。
【0027】
第一開口(4h,4i)は、放熱フィン3cの近傍に存在する。第一開口(4h,4i)が放熱フィン3cの近傍にあるので、第一開口(4h,4i)から流入した気体を直ちに放熱フィン3cに接触させることができる。放熱フィン3cを構成する板材は、第一開口(4h,4i)を有する筐体4の側面に対して交差する方向に延びている。本実施形態では、放熱フィン3cを構成する板材はX方向に延び、第一開口(4h,4i)を有する側面はYZ面に延びている。よって、放熱フィン3cと第一開口(4h,4i)は、直角を成すように交差している。
【0028】
本実施形態では、互いに対向する二つの側面のそれぞれに第一開口(4h,4i)を有する。具体的には、放熱フィン3cを挟んで相互に対向配置される二つの側面のうち、一つの側面に第一開口4hを配置し、もう一つの側面に第一開口4iを配置する。第一開口4hは、連結された光源装置20の外周に面する。第一開口4iは、連結された光源装置20の内部に位置する。一つの光源装置20の第一開口4iは、異なる光源装置20の第一開口4iとの間で、対向配置される。第一開口4hと第一開口4iの間には、開口自体の構造的な違いがない。光源装置20の配置の仕方によって、その開口が、連結された光源装置20の外周に接する第一開口4hになるか、又は、連結された光源装置20の内部に位置する第一開口4iになるか、が決定される。
【0029】
光源装置20は、内部に気体を流通させるための、少なくとも一つの第一開口(4h,4i)と第二開口4jとを有する。一つの光源装置20の中で、互いに対向する二つの側面のそれぞれに第一開口(4h,4i)を設けるとよい。これにより、光源装置20の内部に流入する気体の量が増加して、光源装置20の冷却効率が向上する。
【0030】
光源装置20を一方向に3つ以上並べる場合には、光源ユニット100の中で端に位置しない光源装置20(即ち、他の光源装置20に挟まれた光源装置20)が存在することになる。「端に位置しない光源装置20」が筐体4の内部に気体を流通させるためには、特に、互いに対向する二つの側面のそれぞれに、第一開口(4h,4i)を設けることが好ましい。
【0031】
図1は、第一開口4hが、それぞれ、単一開口によって構成されることを示す。図1は、第二開口4jが、大面積の単一開口が格子によって区切られた、複数の小開口によって構成されることを示す。このような第一開口4h及び第二開口4jの形状の特徴は、例示にすぎない。第一開口(4h,4i)及び第二開口4jの開口の形状の特徴、各開口の大きさ、及び開口の数は、特に限定されない。
【0032】
図2に示されるように、説明の都合上、気体を、当該気体の流れる場所によって、気体G1、気体G2及び気体G3に区別して表現される。当然ながら、気体(G1,G2,G3)は、同種の気体である。本実施形態のファン5は、放熱フィン3c近傍の気体を吸引することにより気体の流れを作り出す。気体の流れとは、第一開口(4h,4i)から筐体4の外にある気体G1を流入させ、流入した気体G2を+Z方向に送り出し、第二開口4jから気体G3として筐体4の外に放出する、という流れである。筐体4の外の冷たい気体G2が放熱フィン3cに接触し、放熱フィン3cは冷却される。
【0033】
本実施形態の光源装置20にとって、第一開口(4h,4i)は吸気口であり、第二開口4jは排気口である。変形例として、第二開口4jが吸気口となり、第一開口(4h,4i)が排気口となるように、ファン5を設計しても構わない。
【0034】
光源ユニット100は、異なる光源装置間で相互に対向配置される第一開口4iの間に、気体を流通させるための隙間C1(図2参照)を有する。光源装置20の単体で見たとき、第一開口4iが連結部3bの内側に位置することにより、隙間C1が形成される。光源ユニット100の外の気体は、隙間C1を通って、第一開口4iより筐体4の内部に気体が流入する。なお、光源ユニット100において、連結された光源装置20の外周に面する第一開口4hは、隙間C1を通ることなく、気体G1を筐体4内に流入させる。
【0035】
隙間C1、第一開口(4h,4i)及び第二開口4jの寸法等は、気体のコンダクタンスに関係するパラメータである。これらのパラメータ及びファン5の出力は、所望の吸気量に基づいて設計できる。光源ユニット100を構成する各光源装置20は、前記パラメータ及びファン5の出力を、同じ値に設定しても構わない。また、光源ユニット100を構成する各光源装置20の照度分布又は温度分布に基づいて、前記パラメータ及びファン5の出力を光源装置20ごとに個別設定しても構わない。
【0036】
[固体光源と基板]
図3は、一つの光源装置20について、出射側(-Z側)から基板2を見た図を示す。図3は、後述する透光部11及び支持部12を示していない。基板2の-Z側の主面である表面には、複数の固体光源1がX方向及びY方向に配列されている。本実施形態において、固体光源1は、紫外光を発するLEDである。
【0037】
固体光源1はLEDでなくても構わない。固体光源1として、例えば、半導体レーザ素子を使用しても構わない。本実施形態の固体光源1の発光波長は、例えば、250nm~450nmである。固体光源1の発光波長は、紫外域でなくても構わない。
【0038】
一つの基板2における固体光源1の数は特に限定されないが、例えば、100個以上であるとよく、200個以上であると好ましく、800個以下であるとよく、500個以下であると好ましい。
【0039】
本実施形態において、固体光源1は、ベアチップ品(基板上にLED素子を配置しただけの製品で、保護部材で覆われていない製品)を使用している。固体光源1は、パッケージ品(LED素子が保護部材で覆われた製品)を使用しても構わない。
【0040】
基板2の寸法は、X/Y方向それぞれに50mm以上であるとよく、80mm以上であるとより好ましい。基板2の寸法は、X/Y方向それぞれに150mm以下であるとよく、120mm以下であるとより好ましい。
【0041】
固体光源1は、一方向に一定のピッチで配列されている。本実施形態の固体光源1では、X方向の配列ピッチP1が、Y方向の配列ピッチP2より大きい。例えば、X方向の配列ピッチP1が、Y方向の配列ピッチに対して、1.1倍以上であるとよく、1.3倍以上であると更によい。X方向の配列ピッチP1が、Y方向の配列ピッチに対して、2倍以下であるとよく、1.7倍以下であると更によい。固体光源1は、X方向では疎に配置され、Y方向では密に配置される。なお、X方向の配列ピッチP1とY方向の配列ピッチP2とが実質的に同じ(例えば、ピッチの違いが5%以下)であっても構わない。
【0042】
[放熱器]
図4は、図3の線分D-Dにおける部分拡大断面図である。図4に示されるように、基板2の+Z側の主面である裏面には、放熱器3の本体3aと、給電コネクタ7と、温度センサ8とが配置される。給電コネクタ7及び温度センサ8には、それぞれ電力線9が接続されている。電力線9は電気エネルギー又は電気信号を伝達する。
【0043】
図3には、放熱器3の本体3aの接合面3sと、給電コネクタ7と、温度センサ8とが破線で示されている。接合面3sは、基板2の裏面の面積の大部分(例えば、基板の裏面の面積の90%以上)を占有する。これにより、基板2を効果的に放熱できる。図3では、接合面3sの大きさが、基板2の大きさに比べて僅かに小さいように示されているが、接合面3sの大きさと基板2の大きさが同じであっても構わない。接合面3sの大きさが、基板2の大きさに比べて僅かに大きくても構わない。給電コネクタ7及び温度センサ8は、それぞれ、放熱器3の本体3aの接合面3sを避けて、基板2の裏面に接合される。
【0044】
本実施形態において、光源装置20は、各固体光源1に電力を供給するための給電コネクタ7を複数備える。複数の給電コネクタ7を基板2上に分散して配置することで、一つの給電コネクタ7が供給する電流量を低下させて、給電コネクタ7の近傍における基板2の発熱量を低下させることができる。その結果、温度上昇による固体光源1の照度低下を抑制でき、照度均一性が向上する。ただし、斯かる給電コネクタ7の分散配置は必須ではなく、給電コネクタ7は一つであっても構わない。
【0045】
複数の給電コネクタ7のそれぞれは、基板2の裏面に接合された放熱器3の本体3aを避けて、基板2の裏面に接合される。本実施形態では、3つの給電コネクタ7が、基板2の裏面に接続されている。給電コネクタ7がX方向において重なる固体光源1の数は、給電コネクタ7がY方向において重なる固体光源1の数より多いと好ましい。本実施形態において、給電コネクタ7は、それぞれ、給電コネクタ7の長手方向がX方向に沿うように配置される。その結果、給電コネクタ7は、X方向において複数の固体光源1と重なり、Y方向において一つの固体光源1と重なる。
【0046】
Y方向は、X方向に比べて固体光源1が密に配置される方向である(以降、「Y方向」を「密の方向」ということがある)。X方向は、Y方向に比べて固体光源1が疎に配置される方向である(以降、「X方向」を「疎の方向」ということがある)。そして、給電コネクタ7が配置されている場所は、放熱器3の本体3aを配置できないために温度上昇しやすい場所である。そうすると、基板2において放熱器3の本体3aと接していない領域を、疎の方向に長く、かつ、密の方向に短くすることになり、固体光源1による基板2の温度上昇を抑制できる。
【0047】
図3に示されるように、給電コネクタ7は、密の方向に互いに重ならないようにするとよい。密の方向においては、放熱器3の本体3aを配置できない領域を短くする。これにより、固体光源1の温度上昇を抑制できる。図3では、給電コネクタ7は、疎の方向に、互いに重なっている。しかしながら、給電コネクタ7を、疎の方向においても互いに重ならないようにしても、構わない。
【0048】
上述したように、本実施形態では、固体光源1は一方向に一定のピッチで配列されているが、必ずしも、一方向に一定のピッチで配列されていなくてもよい。基板2において放熱器3の本体3aと接していない領域において固体光源1のピッチが大きくなるように(疎に配置されるように)しても構わない。また、固体光源1は、X方向の配列ピッチとY方向の配列ピッチが同じピッチであっても構わない。
【0049】
[ファン]
ファン5には様々な種類のファンが使用され得る。例えば、プロペラファン、シロッコファン、ターボファン又はその他のファンを使用しても構わない。本実施形態では、軸流冷却ファンを使用している。本実施形態において、ファン5は、筐体4の内に配置されるが、筐体4の外に配置されるファンを使用しても構わない。ファン5の回転数は、例えば、5,000rpm以上であるとよく、10,000rpm以上であるとより好ましい。ファン5の回転数は、例えば、30,000rpm以下であるとよく、20,000rpm以下であるとより好ましい。
【0050】
ファン5の回転数は、光源装置20の間で同じでもよく、意図的に異ならせてもよい。気体のコンダクタンスの相対的に低い光源装置20におけるファン5の回転数を、気体のコンダクタンスの相対的に高い光源装置20におけるファン5の回転数より高くしてもよい。また、温度センサ8で検出される温度に応じてファン5の回転数を制御し得るものでも構わない。
【0051】
[温度センサ]
図4に示される温度センサ8は、基板2の温度を測定するためのセンサである。温度センサ8は、熱電対であっても構わないし、測温抵抗体であっても構わない。
【0052】
[支持部と透光部]
図2及び図4に示されるように、光源ユニット100は、基板2の光出射側(-Z側)に透光部11を有する。透光部11は、固体光源1及び基板2を保護するカバーである。透光部11は、固体光源1からの出射光を透過する。透光部11は、支持部12によって支持される。本実施形態の場合、透光部11は、複数の光源装置20に跨って配置される共有部材である。
【0053】
本実施形態において、支持部12の内側面12s(図4参照)は、固体光源1からの出射光を反射する光反射機能を有する。内側面12sの正反射率は、50%以上であるとよく、好ましくは60%以上あるとよく、より好ましくは、70%以上あるとよい。支持部12にアルミニウム系材料を使用しても構わないが、支持部12の材料は特に限定されない。光反射機能は、例えば、内側面12sを鏡面研磨することによって形成しても構わないし、内側面12sに反射コーティング層を形成しても構わない。
【0054】
<第二実施形態>
第二実施形態の光源ユニットを説明する。第一実施形態の光源ユニットと相違する事項を中心に説明する。以下に説明の無い事項については、第一実施形態の光源ユニットと同様の特徴を有する。第三実施形態以降も同様に、既出の光源ユニットと同様の特徴を有する事項については、説明を省略する。
【0055】
図5は、第二実施形態の光源ユニット200の断面図である。光源ユニット200は複数の光源装置20を有する。光源装置20は、それぞれ、遮風部22を有する。遮風部22は、筐体4と隣の光源装置20の筐体4との間に配置される。遮風部22の作用について、図2図5を比較しながら説明する。図2に示されるように、隙間C1に流入する気体は、比較的同じ高さから流入する気体G1だけでなく、第二開口4j付近から流入する気体G1xが存在する。気体G1xには、光源装置20の内部を既に通過した比較的高温の気体G3が混入するおそれがある。
【0056】
そこで、図5に見られるように、気体G1xの流路を塞ぐ遮風部22を、気体G1xの流路に配置して、第二開口4j付近の気体が第一開口4i間の隙間C1に流入することを妨げる。これにより、光源装置20の内部を既に通過した比較的高温の気体G3が、再び光源装置20の内部に流入する気体G1に混入することを抑制できる。筐体4内に流入する気体G1の温度を低下できるので、冷却効率が向上する。
【0057】
遮風部22は、Z方向の気体の流れを妨げるが、Y方向の気体の流れを妨げないものであると好ましい。遮風部22を設けた場合においても、第一開口4i間の隙間C1において、Y方向の流れを有する気体G1を第一開口4iから流入させ得る。
【0058】
第二実施形態の光源装置20では、それぞれの光源装置20が、個別に透光部11を有している。各透光部11は、それぞれ、個別の支持部12に支持される。このように、必ずしも、各光源装置20が、共有の透光部11を有しなくても構わない。
【0059】
<第三実施形態>
図6は、第三実施形態の光源ユニット300の断面図である。光源ユニット300は、複数の光源装置30を有する。光源装置30は、隣の光源装置30の筐体4と接するように、第二開口4j付近の筐体4が突出している。これにより、遮風部22を筐体4の外周に配置しなくても、筐体4が、第二開口4j付近から流入する気体G1x(図2参照)の流路を塞ぐ。
【0060】
<第四実施形態>
図7は、第四実施形態の光源ユニット400の斜視図である。図8は、光源ユニット400の断面図である。光源ユニット400は、複数の光源装置40を有する。光源装置40は、それぞれ、筐体4の4つの側面全てに第一開口(4h,4i)を有する。そして、光源装置40は、ストリップ状の放熱フィン3cを有する。ストリップ状の放熱フィン3cは、X方向及びY方向から流入する気体に接触できる。放熱フィン3cは、柱状、又は針状でも構わない。
【0061】
第一開口4iは、互いにX方向に対向する筐体4の間だけでなく、互いにY方向に対向する筐体4の間にも存在する。よって、気体G1は、X方向に隣り合う光源装置40との隙間のみならず、Y方向に隣り合う光源装置40との隙間からも流入できる。これにより、光源装置40に流入可能な気体G1の量を増やすことができる。
【0062】
第四実施形態では、各光源装置40が有する第二開口4jは、格子状に形成されておらず、単一開口を形成する。格子がないために気体のコンダクタンスが向上する。
【0063】
以上で第一実施形態~第四実施形態と変形例を説明した。しかしながら、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上述の各実施形態又は変形例を組み合わせることができる。さらに、各実施形態及び変形例に対して、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変更又は改良を加えても構わない。
【符号の説明】
【0064】
1 :固体光源
2 :基板
3 :放熱器
3a :本体
3b :連結部
3c :放熱フィン
3s :接合面
4 :筐体
4h,4i:第一開口
4j :第二開口
5 :ファン
7 :給電コネクタ
8 :温度センサ
9 :電力線
11 :透光部
12 :支持部
12s :(支持部の)内側面
20,30,40:光源装置
22 :遮風部
100,200,300,400:光源ユニット
C1 :隙間
G1、G1x、G2、G3:気体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8