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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083417
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】車載機器等
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20240614BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
G08G1/01 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059393
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2020064367の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】上 三千洋
(72)【発明者】
【氏名】柏田 春光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶介
(72)【発明者】
【氏名】須野原 彰
(72)【発明者】
【氏名】松田 直紀
(57)【要約】
【課題】 車両の中の人にとっての表示内容の視認しやすさと、車両外の人物にとっての当該表示内容の視認しにくさとを両立させる。
【解決手段】 車載機器であるドライブレコーダー10は、カメラ17と、表示面19aを有する表示部19と、を備え、カメラ17が車両の外の撮影領域を撮影可能な第1方向を向けられたときに、表示面19は、車両の中の所定の乗車領域が存在する第2方向を向く。これにより、たとえドライブレコーダーがルームミラーの背面側に隠れるように配置されても、運転者は、表示部に対して浅い角度で見ることができ、表示内容を視認できる。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースにカメラと表示面を備えるドライブレコーダであって、
前記本体ケースが、本体ケースの外周面に対向し、回転可能な円の弧面を内周面に有するリング状部と、そのリング状部の外周面に一体に形成された連結部と連結部の先端に一体に形成された板状の取付部を備える取付部材によって、前記円の軸周りに回転可能に支持され、
本体ケースの周面の所定位置に平面部を設け、前記平面部は、長手方向の一端が前記本体ケースの前記取付部材の非装着側の側面に至り、その平面部に表示面を設けており、前記表示面の法線方向と前記カメラのレンズの光軸が所定角度で交差するように前記カメラと前記表示部が本体ケースに固定的に設けられており、前記表示面と前記カメラとのなす角が保持された状態で前記回転可能としていることを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記長手方向の一端が前記本体ケースの前記取付部材の非装着側の側面に至る平面部に設けられた表示面は、前記カメラを車両の進行方向に向けたときに、前記車両の進行方向の逆方向から下方に所定の角度だけ回転させた方向を向く構成としたことを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記長手方向の一端が前記本体ケースの前記取付部材の非装着側の側面に至る平面部に設けられた表示面を、前記カメラを車両の進行方向に向けたときに、前記車両の運転席側を向くように、前記車両の進行方向の逆方向に対して斜め横を向く構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記長手方向の一端が前記本体ケースの前記取付部材の非装着側の側面に至る平面部に設けられた表示面の周辺にスライド形式の操作部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
操作部としてタッチセンサ又は近接センサを用い、前記長手方向の一端が前記本体ケースの前記取付部材の非装着側の側面に至る平面部に設けられた表示面に重ねて操作部を配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
みちびきから災害情報を受信する機能を備え、
前記みちびきから受信した災害情報の内容に応じたアイコンを前記長手方向の一端が前記本体ケースの前記取付部材の非装着側の側面に至る平面部に設けられた表示面に表示して行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のドライブレコーダ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車載機器等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載機器の一例であるドライブレコーダーは、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1の段落[0035]には、「ドライブレコーダー100は、図2図4に示すように、本体101、ブラケット102、カメラ103、ディスプレイ104、ボタン105、ランプ106、音声出力口107、メモリカード収容部108、音声入力口109を有する。」と記載されている。そして、段落[0036]には、「本体101は、略直方体形状の筐体である。ブラケット102は、本体101を車両に取り付ける部材である。カメラ103は、車両の外部を撮像する装置である。カメラ103のレンズは、本体101の正面側に設けられている。ブラケット102は、一端が本体101の上部に取り付けられ、他端が車両のフロントガラスFG内の所定の位置に、カメラ103のレンズが車両の正面を向くように、両面テープ等を介して貼り付けられる(図5参照)。……」と記載され、段落[0037]には、「ディスプレイ104は、本体101の背面側に設けられ、各種の情報を表示する液晶等の表示装置である。……」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-139333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば進行方向ドライブレコーダーは、法令上の理由または走行中の運転者の視界の邪魔にならないようにすることなどの理由から、例えば、フロントガラスにおける上方側の領域に配置される場合がある。この場合、車両の中の人(例えば、運転者)にとって、表示部に表示された情報を視認しにくい場合がある。一方で、例えば後方車両の運転者からすれば、この表示部の表示面にほぼ正対する位置関係となることがある。このため、後方車両の運転者等に表示面に表示された情報が視認される、又は、後方車両の運転者に気が散る原因を与えてしまい、運転の妨げてしまう等の問題が生じ得る。そのため、車両の中の人にとっての表示内容の視認しやすさと、車両外の人物にとっての当該表示内容の視認しにくさとの両立が求められている。
【0005】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)カメラと、表示面を有する表示部と、を備え、前記カメラが車両の外の撮影領域を撮影可能な第1方向を向けられたときに、前記表示面は、前記車両の中の所定の乗車領域が存在する第2方向を向く車載機器が提供される。
【0007】
このようにすると、カメラが車両の外の撮影領域を撮影可能な第1方向に向けられたときに、必然的に、表示面は車両の中の所定の乗車領域が存在する第2方向を向くから、その乗車領域に居る人物にとって表示面の表示内容を視認しやすく、かつ車両の外からはその表示内容を視認しにくくすることができる。したがって、車両の中の人にとっての表示内容の視認しやすさと、車両外の人物にとっての当該表示内容の視認しにくさとが両立される。
【0008】
(2)前記第1方向と前記第2方向とが非平行であるとよい。
【0009】
このようにすると、カメラから見た車両の外の撮影領域が存在する方向と、表示面から見た車両の中の所定の乗車領域が存在する方向とが非平行である場合でも、当該乗車領域に居る人物にとって表示面の表示内容を視認しやすくすることができる。
【0010】
(3)前記撮影領域が、前記車両の進行方向に存在する場合、前記第2方向は、前記車両の進行方向の逆方向に対して所定の角度だけ傾くようにするとよい。
【0011】
このようにすると、車両の進行方向の撮影領域を撮影する場合において、その反対側に所定の乗車領域が存在しない場合でも、当該乗車領域から表示内容を視認しやすくすることができ、かつ後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、その表示内容を視認しにくくすることができる。
【0012】
(4)前記第2方向は、前記逆方向から前記車両の車幅方向における一方に前記所定の角度だけ回転させた方向であるとよい。
【0013】
このようにすると、表示面は、車両の進行方向の逆方向から車幅方向における一方に所定の角度だけ回転させた方向を向くから、当該乗車領域から表示内容を視認しやすくすることができ、かつ後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、その表示内容を視認しにくくすることができる。例えば、車載機器が車両のフロントガラス側において、車幅方向における中央付近に配置された場合にも、運転席又は助手席に座る人物にとって表示面の表示内容を視認しやすくすることができる。
【0014】
(5)前記第2方向は、前記逆方向から下方に前記所定の角度だけ回転させた方向であるとよい。
【0015】
このようにすると、表示面よりも下方に乗車領域に居る人の目が存在する場合でも、表示内容を視認することができ、かつ後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、その表示内容を視認しにくくすることがきる。例えば、車載機器が車両のフロントガラス側の領域に配置された場合、運転席又は助手席に座る人物にとって表示面の表示内容を視認しやすくすることができる。
【0016】
(6)前記乗車領域は、前記車両の運転席または助手席が配置された領域であるとよい。
【0017】
このようにすると、運転席又は助手席に居る人にとって、立ち上がったり表示面をのぞき込むような姿勢をとったりしなくとも、表示面の表示内容を視認しやすくすることができる。
【0018】
(7)前記表示面の視野角は、前記表示面の表示内容が、前記乗車領域から視認可能で、かつ前記車両の進行方向の逆方向からはそれよりも視認が困難となるように設定されているとよい。
【0019】
このようにすると、表示面の視野角が制限されている場合に、所定の乗車領域に居る人による表示内容の視認を妨げないようにしつつ、後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、その表示内容を視認されにくくすることができる。
【0020】
(8)前記車両のルームミラーよりも前記車両の進行方向側に配置されたときに、前記第2方向は、前記表示面が前記ルームミラーに対向しない方向であるとよい。
【0021】
このようにすると、車載機器がルームミラーの背後に配置されて車載機器の存在を目立たなくした場合に、所定の乗車領域から表示面の表示内容を視認することを妨げないようにすることができ、かつ後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、表示面がルームミラーで隠されるので、表示面の表示内容を視認されにくくすることができる。
【0022】
(9)前記表示面は、前記車両の中の第1乗車領域が存在する第2方向を向く第1表示面であり、前記表示部が、さらに、前記車両の中の第2乗車領域が存在する第3方向を向く第2表示面を有するとよい。
【0023】
このようにすると、第1乗車領域に居る人と、第2乗車領域に居る人のそれぞれが表示面の表示内容を視認することができる。例えば、運転席に居る人と、助手席に居る人との両方から表示内容を視認しやすくすることができる。
【0024】
(10)前記カメラ及び前記表示部が設けられたケースを有し、前記カメラのレンズおよび前記表示面は、前記ケースに対して固定的に設けられているとよい。
【0025】
このようにすると、カメラのレンズが向く方向と、表示面が向く方向との関係が固定的となるので、カメラのレンズが向く方向を調整すれば、表示面が向く方向がその表示内容を所定の乗車領域から視認しやすくなる方向に設定されるので、車載機器の位置や姿勢の調整を容易にすることができる。
【0026】
(11)前記第2方向を向く操作部を有するとよい。
【0027】
このようにすると、操作部が第2方向を向くので、所定の乗車領域に居る人にとって、表示面の表示内容を視認しやすくなることに加え、操作部を操作しやすくすることができる。
【0028】
(12)前記第2方向を撮影可能な第2カメラを有するとよい。
【0029】
このようにすると、第2カメラが第2方向を撮影可能であるから、表示面の表示内容を視認する人またはその周辺を正面側から撮影しやすくすることができる。
【0030】
(13)前記表示部は、災害に関連する災害情報を表示するとよい。
【0031】
このようにすると、車両の中の人に報知すべき重要度合いの高い情報の一つである災害に関連する情報を、所定の乗車領域に居る人に認識させやすくすることができる。
【0032】
(14)前記カメラで撮影された画像を記録するドライブレコーダーであるとよい。
【0033】
このようにすると、車両の中の人にとっての表示内容の視認しやすさと、車両外の人物にとっての当該表示内容の視認しにくさとを両立させることができる。
【0034】
(15)カメラと、表示面を有する表示部と、を備え、前記カメラのレンズが第1方向を向けられたときに、前記表示面は、前記第1方向とは逆方向の成分を有しかつ前記第1方向と非平行な方向である第2方向を向き、前記第1方向と前記第2方向とのなす角度が固定的である撮影装置が提供される。
【0035】
このようにすると、カメラのレンズが第1方向に向けられたときに、必然的に、第1方向とは逆方向の成分を有しかつ第1方向と非平行な方向である第2方向を向くから、所望する方向を撮影しつつ、第2方向からは表示面の表示内容を視認しやすく、かつレンズの反対側からはその表示内容を視認しにくくすることができる。
【0036】
上述した(1)から(15)の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)に示した発明の全部または一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。本願出願人は、これらの構成を含むものについても、補正・分割出願・意匠登録出願への変更出願等により特許権・意匠権等を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、例えば以下の少なくともいずれかの効果を奏する。車両の中の人にとっての表示内容の視認しやすさと、車両外の人物にとっての当該表示内容の視認しにくさとを両立させることができる。例えば、運転者等にとって表示部の表示内容を視認しやすく、かつ後方車両の運転者等によってその表示内容を視認されにくくすることができる。
【0038】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係る車載機器の一例であるドライブレコーダーの第一実施形態を示 す斜視図である。
図2】ケーブルを装着した状態のドライブレコーダーの一例を示す斜視図である。
図3】ブラケットを取り外した状態のドライブレコーダーの一例を示す斜視図であ る。
図4】そのドライブレコーダーを車両に取り付けた状態の一例を示す斜視図である 。
図5】そのドライブレコーダーを車両に取り付けた状態の一例を示す正面図である 。
図6】(a)はそのドライブレコーダーを示す正面図であり、(b)はその右側面 図である。
図7】(a)はそのドライブレコーダーを示す背面図であり、(b)はその左側面 図である。
図8】(a)はそのドライブレコーダーを示す平面図であり、(b)はその底側面 図である。
図9】(a)は第二実施形態のドライブレコーダーを示す正面図であり、(b)は その右側面図であり、(c)は図(a)中c-c線断面図である。
図10】ブラケットの一例を示す図である。
図11】取り付けた状態を示す図である。
図12】各方向から見た図である。
図13】作用を説明する図である。
図14】変形例を示す図である。
図15】変形例を示す図である。
図16】変形例を示す図である。
図17】変形例を示す図である。
図18】変形例を示す図である。
図19】第一実施形態のドライブレコーダーを示す六面図である。
図20】従来構成に係るドライブレコーダーの外観構成及びその配置例を示す図で ある。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0041】
[着想の経緯]
図20は、ドライブレコーダー90の外観構成及びその配置例を示す図である。ドライブレコーダー90は、従来構成に係るドライブレコーダーで、車両の進行方向を撮影するように配置されている。ドライブレコーダー90は、カメラのレンズと表示面が背中合わせで、相反する方向を向いている。この例では、レンズの光軸の方向および表示面の法線方向は、いずれも水平方向またはほぼ水平方向である。
【0042】
ドライブレコーダー90は、法令上の理由または走行中の運転者の視界の邪魔にならないようにすることなどの理由から、フロントガラスにおける上方側の領域に配置されることがある。また、ドライブレコーダーの取り付けに関して、ベストポジションの一つとして、ルームミラーの背後側がある。このようにすると、ドライブレコーダー90が運転者の進行方向の視界を遮らないし、車両の中の人からもドライブレコーダー90が視認されにくいため、美観上望ましい場合もあるからである。このため、ドライブレコーダー90を使用する者にとって、ルームミラーの背後側に配置したいという積極的な動機がある。しかし、このような配置をした場合、図20(a)~図20(c)に示すように、ドライブレコーダー90に備えられた表示部がルームミラーの後ろに隠れてしまう。運転者等の車両の中の人にとっては、表示部の表示内容を視認しにくくなってしまう。また、ドライブレコーダー90がルームミラーの背後側に配置されない場合でも、ドライブレコーダー90が比較的上方に存在するため、表示内容を見たいときには、運転者等が斜め上を見上げるような負担の掛かる姿勢をとる必要がある。
【0043】
例えば、スポーツカーのようにフロントガラスが急角度な斜めになっていることがある。この場合、フロントガラスにおける上方側の部位が、運転者の真上近くになってしまい場合、上記の問題はより顕著に現れる。
【0044】
一方、例えば後方車両の運転者からすると、ドライブレコーダーの表示部の表示面に、ほぼ正対する位置関係となることがある。このため、後方車両の運転者等に、表示面に表示された情報が視認される可能性がある。また、後方車両の運転者等にとって、表示部の表示内容が気になってこれを注視したり、眩しく感じたりする可能性もある。これらが、後方車両の運転者にとって、気が散る原因となってしまい、その運転の妨げてしまうこともあり得る。
【0045】
以上の理由により、ドライブレコーダーにおいては、車両の中の人にとっての表示内容の視認しやすさと、車両外の人物にとっての当該表示内容の視認しにくさとの両立が求められている、と本願の発明者らは考えた。
【0046】
[ドライブレコーダーの第一実施形態]
図1から図8及び図19は、ドライブレコーダー10の第一実施形態を示している。ドライブレコーダー10は、車載機器及び撮影装置の一例である。本形態のドライブレコーダー10は、扁平状で起立した本体ケース13を有し、その本体ケース13内に各種の回路基板・機器を実装する。本体ケース13は、取付部材の一例であるブラケット18を介して、取付部位の一例である例えば車両のフロントガラス2に貼り付け固定される。車両は、例えば自家用の自動車や事業用の自動車があり、車種も乗用車、バス、トラック、フォークリフト等の特殊自動車である。
【0047】
本体ケース13は、前後に二分割される第1ケース14と第2ケース15と連結することで構成される。第1ケース14と第2ケース15は、互いの対向面が開放した箱状であり、互いの先端面同士を付き合わせた状態で、所定の連結手段で連結する。連結手段は、例えば、第1ケース14と第2ケース15の一方に設けた突起と、他方に設けた当該突起と連係する凹部からなり、それら突起と凹部を嵌め合わせる構成とするとよく、ボルトナットやネジなどの締結手段を用いて固定すると特によい。
【0048】
第1ケース14と第2ケース15は、ともに横長で、ドライブレコーダー10を車両に配置した状態では、第1ケース14が車両の進行方向側に位置し、フロントガラス2に対向する。またドライブレコーダー10を車両に配置した状態では、第2ケース15が車両の後方側に位置し、車内側を向いた姿勢となる。
【0049】
本形態では、例えば車両の上下方向を垂直方向とし、その垂直方向に直交する方向が水平方向とする。よってその垂直方向に直交する水平平面内の360度のいずれの方向も水平方向となる。
【0050】
第1ケース14の表面14aは、平坦面からなり、その左右(例えば、車両に配置されたときの車幅方向)の長手方向の中央付近で、上下方向のやや上方位置に、カメラ17を配置する。カメラ17は、図示せぬ撮像素子(例えばCMOS又はCCD)およびレンズ17aなどを有する。カメラ17の向きであるレンズ17aの光軸の方向が、表面14aの法線方向と平行になるように、カメラ17は本体ケース13内に実装される。第1ケース14の表面14aが、例えば水平に車両の進行方向に向けられると、カメラ17のレンズ17aが車両の進行方向(前方)を向く。カメラ17は、車両の進行方向に存在する領域(以下「撮影領域」という。)を撮影する。撮影領域は、車両の外の領域である。なお、カメラ17(レンズ17a)の向く方向は、第1方向の一例である。
【0051】
第1ケース14は、第2ケース15より深い箱形であり、車両の前後方向に所定の長さを有する天面14bを有する。天面14bに、電源ケーブル27のプラグを装着するピンジャックへの挿入口28と、通信ケーブル29のminUSBコネクタ端子を装着する雌コネクタへの挿入口30を備える。
【0052】
天面14bに、ジョイントレール16を備える。ジョイントレール16は、前後方向に沿って延び、所定の間隔をおいて左右に2本設ける。この2本のジョイントレール16間に、ブラケット18を着脱自在に装着する。
【0053】
ブラケット18は、フロントガラス2に貼り付ける貼り付け面を有する平板状の取付部22と、その取付部22から一対に起立形成するボールスタッド23と、そのボールスタッド23の先端のボール部を装着するソケット部24と、ソケット部24の周囲に着脱自在に取り付けるナット26と、ソケット部24と一対に形成するベース部材25を有する。
【0054】
ソケット部24は、円周方向に所定角度間隔で先端側からベース部材25側に向かって伸びる切込部24aを有し、隣接する切込部24a間の小片部分が可撓性を有する。また、ソケット部24の外周には雄ねじ部を設け、ソケット部24の外周に当該雄ねじ部に嵌め合うナット26を装着する。これにより、ボールスタッド23のボール部をソケット部24内に装着した状態でナット26を締め付ける前は、ソケット部24はボール部の周面に沿って所望の方向に回転し取付部22の姿勢、位置を変位可能とし、ナット26を締めるとその角度位置が固定される。
【0055】
ブラケット18は、ベース部材25を一対のジョイントレール16間にスライドさせて着脱自在に装着する。そして、取付部22に両面接着テープ等の接着部材21を貼り付け、その接着部材21を介して車両のフロントガラス2に貼り付け固定する。
【0056】
本形態では、ブラケット18は、取付部22を、接着部材21を介してフロントガラスの上方側の幅方向の中央付近に貼り付けることで固定する。これにより、例えば図4に示すように、ブラケット18が装着されたドライブレコーダー10は、ルームミラー31よりも車両の進行方向側(以下、ルームミラー31背面側ということがある。)に位置し、車両に乗車した人がルームミラー31を正対した場合、ドライブレコーダー10の本体ケース13内のほぼ全体がルームミラー31によって隠れる。このようにすると、ドライブレコーダー10が運転者の進行方向側の視界を遮らないし、車両の中の人からもドライブレコーダー10が視認されにくいため、美観上望ましい場合がある。
【0057】
第2ケース15は、第1ケース14よりも浅い底浅の箱形からなる。第2ケース15の開口面と反対側の表面15aは、長手方向の左右で二分割され、車内側から表面15aを見て向かって左側の第1領域R1は、第1ケース14の表面14aと平行な平面となり、向かって右側の第2領域R2は、端に行くほど第1ケース14の表面14aに近づく傾斜面となる。第1領域R1は、第1ケース14の表面14aと平行であるため、例えば第1領域R1を基準にカメラ17(レンズ17a)の向きの位置合わせを行うことができる。レンズ17aは第1ケース14の外部に露出しているから、人は、レンズ17aを見ながら、所望の撮影領域を撮影可能なように、ドライブレコーダー10の位置や姿勢を調整することができる。
【0058】
また、係る位置合わせは、例えば、ブラケット18をフロントガラスに貼り付けるとともに、ブラケット18を本体ケース13に取り付けた状態で、ナット26を緩めることで行える。そして、第1領域R1の向き、ひいてはカメラ17のレンズ17aの向きを所望の向き、例えば車両の進行方向を向くようにし、その状態でナット26を締め付けることでカメラ17のレンズ17aが固定的に設けられている。
【0059】
本形態では、第2ケース15の表面15aにおける第1領域R1と第2領域R2は、異なる方向を向く。すなわち、第1領域R1は、第1ケース14の表面14aと平行な平面であるため、カメラ17の向きと同一直線上で反対方向を向く。よって、例えばドライブレコーダー10を車両に取り付けた際に、カメラ17の光軸を車両の進行方向を向くように配置すると、第1領域R1の表面15aは、車両方向の進行方向の逆方向を向くようになる。車両の進行方向を、水平方向とすると、車両の進行方向の逆方向も水平方向となる。この場合の、車両の進行方向の逆方向は、車両の真後ろともいえる。従って、例えば第1領域R1を基準面として利用し、第1領域R1が車両の進行方向を向くように配置すると、カメラ17のレンズ17aを車両の進行方向に向けることができる。
【0060】
第2ケース15の開口部は、その長辺が表面15aの第1領域R1と第2領域R2と平行に形成し、その長辺の長手方向の第1領域R1側が、第1ケース14の表面14aと平行な直線辺15dとなり、第2領域R2側が傾斜辺15eとなる。
【0061】
第1ケース14の開口面は、第2ケース15の開口面と符合するようにする。第1ケース14は、第1領域R1側の長手方向の一方側から中央を越える所定位置までは深さが均一で、他方側が徐々に浅くなる形態となる。これに伴い、第1ケース14の開口面は、その長辺の長手方向の一方側が、表面14aと平行な直線辺14dとなり、他方側が傾斜辺14eとなる。傾斜辺14eの傾斜角度は、第2ケース15の傾斜辺15eと等しくする。
【0062】
本形態では、第2ケース15の表面15aの第2領域R2の第1領域R1側は、第1領域R1よりも外側に突出した形状である。第2領域R2に、表示部19(表示面19a)が設けられている。表示面19aの表示内容は、例えば、文字、映像(例えば、ドライブレコーダーの機能で記憶したもの)、アイコンで例示される表示要素を含む。表示面19aは、矩形の表示領域であるが、これ以外の形状の領域であってもよい。表示面19aは、第2斜め横を向く。本形態では、表示面19aは、第2領域R2の向きと等しく、第1領域R1と同じ水平方向を向く。表示面19aの向く方向は、本形態では、表示面19aの法線方向である。表示面19aが向く方向は、カメラ17(レンズ17a)の向く方向とは非平行である。表示部19(表示面19a)の向く方向は、第2方向の一例である。本形態では、表示面19aは、車両の進行方向の逆方向から、車両の車幅方向における一方に、所定の角度だけ回転させた方向を向く。ここにおいては、車幅方向における一方は、運転席が存在する側の方向である。所定の角度は、例えば45度であるが、これに限られない。運転席は、車両の乗車領域に設けられた座席である。乗車領域は、車両の中の人が存在するまたは存在することのある領域である。車両の走行中においては、運転席には運転者が座っている。
【0063】
また、表示部19は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)で構成される。表示部19の表示面19aは、所定の視野角を有する。よって、表示面19aを視野角の外の斜めから見ると、表示内容が視認できないまたはほとんど視認できなくなる。本形態では、第2領域R2は、車内側から表面15aを見て向かって右側に配置しているため、右ハンドルの車両では運転席側に位置し、表示面19aは、車両の後方側に対して右斜めで運転席側を向くように配置される。よって、運転席に座った運転者は、表示面19aに対して例えばほぼ正対などすることになる。表示面19aには、視野角を制限する視野角制限部材として、例えば視野角制限シートが設けられてもよい。
【0064】
以上のように、カメラ17のレンズ17a及び表示部19の表示面19aは、ドライブレコーダー10のケースに対して固定的に設けられている。このようにすると、カメラ17のレンズ17aが向く方向を調整すれば、表示面19aが向く方向がその表示内容を運転席側から視認しやすくなる方向に設定されるので、ドライブレコーダー10の位置や姿勢の調整を容易にすることができる。
【0065】
また、運転者が座る運転席は、ドライブレコーダー10の車両の進行方向の逆方向よりも、やや車幅方向にずれた位置に配置されている。このような場合でも、運転者は、表示面19aを正面またはほぼ正面の視野角の範囲内で見ることができ、例えば立ち上がったり表示面をのぞき込むような姿勢をとったりしなくとも、表示面19aの表示内容を視認しやすくなる。特に、ドライブレコーダー10が、ルームミラー31の背後、換言すると、車両のフロントガラス側であって車幅方向における中央付近に配置された場合、運転席に座る人物にとって表示面の表示内容を視認しやすくすることができる。その一方で、後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、視野角外の方向からの視認になるので、その表示内容を視認しにくくすることができる。
【0066】
また、ドライブレコーダー10がルームミラー31の背面側(車両の進行方向側)に配置されたときに、表示面19aがルームミラー31に対向しない方向を向くように構成されている。このようにすると、ドライブレコーダー10が、ルームミラー31の背後に配置されてその存在を目立たなくなるとともに、運転席側から表示面19aの表示内容を視認することを妨げないようにすることができる。さらに、後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、表示面19aがルームミラー31で隠されるので、表示面19aの表示内容を視認されにくくすることができる。
【0067】
ドライブレコーダー10の本体ケース13をルームミラー31の背面側に隠れるように配置するのではなく、例えば、前後、左右方向にずらした場合でも、表示面19aが右斜めで運転席側を向き、表示面19aが車両の真後ろを向いていないため、車両の外からはその表示内容を視認しにくくすることができる。特に、後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、視野角外の方向であることに加え、距離も離れていることから、後方車両の運転者等が注視することもなく、眩しくも無く、気が散ることもなく、運転の妨げになることを抑制できる。
【0068】
ドライブレコーダー10の取り付けに関しては、以下のようにいうこともできる。運転席から見やすい方向に表示面19aを向けると、カメラ17が必然的に車両の進行方向等の適切な方向を向くようにすることもできる。例えばルームミラー31の背面側にドライブレコーダー10のケースが位置し、そのケースがルームミラー31により隠れてしまい、カメラ17の向きが合わせにくいような場合でも、表示面19aの向きに基づきカメラ17の向きを合わせることができる。
【0069】
[ドライブレコーダーの第二実施形態]
本形態のドライブレコーダーは、取付部位がフロントガラスにおける上方側の領域、レンズが車両の進行方向、人がドライブレコーダーの位置から見て、斜め下付近と位置関係がほぼ決まっているという知見に基づいてなされている。
【0070】
図9から図13は、ドライブレコーダー40の第二実施形態を示している。本形態では、カメラ41や表示部42等を実装する本体ケース43は、円筒状からなる。本体ケース43の円筒状の軸方向の一方端側に、取付部材の一例であるブラケット45を装着する。ブラケット45は、例えば本体ケース43の外周面に対向し、回転可能な円弧面を内周面に有するリング状部45aと、そのリング状部45aの外周面に一体に形成された連結部45bと連結部45bの先端に一体に形成された板状の取付部45cを備える。
【0071】
本形態では、本体ケース43の一端側の外径を小さくし、その小さくした部位にリング状部45aを装着する。これにより、外径の小さくした本体ケース43の一端側の部位は、その軸方向奥側に壁43dが形成され、当該部位に装着したリング状部45aの軸方向の一方の面が壁43dに突き当たる。そして、そのように本体ケース43の一端側にブラケット45を装着した状態で、固定部材46を本体ケース43の一端に取り付け、固定部材46と本体ケース43の壁43dとの間でブラケット45の軸方向の両側面を挟み込み固定する。本体ケース43とリング状部45aは相対的に回転自在に構成され、適宜の角度位置で固定するように構成する。係る所定角度の位置での固定は、例えば固定部材46の内周面に雌ねじ部を設け、本体ケース43の一端側の外周面に雄ねじ部を形成し、それら雌ねじ部と雄ねじ部を嵌め合わし、ねじを締めることで固定部材46の先端と、本体ケース43の壁43dとの距離を狭めることでリング状部45aを挟み込んで固定するようにしたり、例えばリング状部45aの内周面と本体ケース43の一端側の部位の外周面に嵌め込み可能な凹凸を設け、凹凸が嵌まった位置で角度が固定され、回転方向に力を加えると凹凸が離脱して回転可能になるように構成したりするなるなど、各種の構成を採るとよい。
【0072】
そして、取付部45cの連結部45bと非接続側の表面に、両面テープ等の接着部材47を貼付け、その接着部材47を用いてフロントガラス2の所定位置にブラケット45を取り付ける。これにより、ブラケット45に支持される本体ケース43は、フロントガラス2の所定位置に吊り下げ固定される。
【0073】
円筒状の本体ケース43の内部には、例えば、コネクタ53により連結された第1回路基板51と第2回路基板52を前後に重ねた姿勢で配置する。第1回路基板51は、例えばCPU、メモリ、カメラ41の撮像素子、表示部42の制御部などを備え、カメラ41のレンズ41aが本体ケース43の外表面に露出するように配置される。第1回路基板51は、接続部48を介して、表示部42と接続される。接続部48は、例えばフレキシブルなプリント配線基板(FPC)で構成される配線部あり、表示部42を駆動するための各種信号(例えば、走査線駆動信号やデータ線駆動信号)や表示内容を規定する信号(映像信号)を供給する。本形態において、レンズ41aが車両の進行方向に向けられることにより、カメラ41が、車両の進行方向(第1方向の一例)に存在する撮影領域を撮影する。撮影領域は、車両の外の領域である。なお、このように、カメラ41(レンズ41a)の向く方向は、第1方向の一例である。レンズ41aは本体ケース43の外部に露出しているから、人は、レンズ41aを見ながら、所望の撮影領域を撮影可能なように、ドライブレコーダー40の位置や姿勢を調整することができる。
【0074】
第2回路基板52は、例えば電源制御回路等を有し、例えば、電気二重層コンデンサ54、SDカード用コネクタ部55、操作スイッチ56等を備える。操作スイッチ56やSDカード用コネクタ部55は、本体ケース43の側面43a等に露出可能に配置し、側面43aから操作可能にするとよい。本形態では、車両の中の人である運転者等から見て右側の側面43a、この例ではブラケット45の装着側の側面43aに操作スイッチ56等を設けた。これにより、操作スイッチ56等が運転者側に配置され、運転者の操作性が向上する。
【0075】
本体ケース43の周面の所定位置に平面部43bを設ける。平面部43bは、長手方向の一端が、本体ケース43のブラケット45の非装着側の側面43cに至る。そして、その平面部43bに表示部42の表示面42aを配置する。表示面42aは、本体ケース43の軸方向に長い矩形の表示領域であるが、これ以外の形状の領域であってもよい。表示部42の表示面42aが向く方向は、カメラ41(レンズ41a)の向く方向とは非平行である。表示部42は、例えばLCDで構成される。表示部42の表示面42aの向き、すなわち表示面42aの法線方向L1と、カメラ41のレンズ41aの光軸L2が、所定角度で交差するように、カメラ41と表示部42が本体ケース43に固定的に設けられている。このため、例えば本体ケース43をブラケット45に装着した状態で軸周りに回転させると、カメラ41の向きは上下に振られ、表示部42の表示面42aとカメラ41(レンズ41a)とのなす角が保持された状態で回転する。
【0076】
本形態において、表示面42aは、車両の進行方向の逆方向から、下方に所定の角度だけ回転させた方向である。表示面42aは、レンズ41aが車両の進行方向に向けられたときに、斜め下方向(第2方向の一例)を向く(図9等参照)。表示面42aの向く方向は、本形態では、表示面42aの法線方向である。所定の角度は、例えば45度であるが、これに限られない。
【0077】
図11中の(A)、(B)、(C)、(D)の各方向からドライブレコーダー40を見た場合の見え方は、それぞれ図12(a)、(b)、(c)、(d)のようになる。図12(d)に示すように、カメラ41は例えば水平方向で、車両の進行方向を向いた状態において、図13から明らかなように、例えば運転席に座っている運転者が斜め上に視線を向ける(図12中(B)参照)と、表示面42aに正対し、浅い角度で画面を見ることができ、表示内容が見やすくなる。
【0078】
以上のように、カメラ41のレンズ41aの光軸の方向に対して、表示面42aを所定の角度だけ下方に回転させた方向に向けるだけで、従来構成の課題を解決できる。また、筒状の本体ケース43は、表示部42(例えば液晶ディスプレイ)に角度を付ける構造に向いていること、表示部42と第1回路基板51とを接続する接続部48はフレキシブルに形成されているから、無理な構造にはならない。また、表示部42を比較的安価な液晶ディスプレイとすると、このような液晶ディスプレイ視野角が比較的狭いので、見た目の画質も改善されるという効果が期待できる。
【0079】
また、カメラ41のレンズ41a及び表示部42の表示面42aは、ドライブレコーダー40の本体ケース43に対して固定的に設けられている。このようにすると、カメラ41のレンズ41aが向く方向を調整すれば、表示面42aが向く方向がその表示内容を下方からから視認しやすくなる方向に設定されるので、ドライブレコーダー40の位置や姿勢の調整を容易にすることができる。運転者は運転席に座っている状態であるから、ドライブレコーダー40よりも下方に、その運転者(運転者の目)は存在する。よって、運転者は表示面42aを正面等の視野角の範囲内で見ることができ、表示面42aの表示内容を視認しやすくなる。(図13中視点(B)参照)。表示面42aには、視野角を狭めるように制御する視野角制御部材として、例えば視野角制御シートが設けられてもよい。
【0080】
その一方で、後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側の人、例えば後方車両に乗車した人にとっては、真後ろから表示面42aを見ることになり、表示面42aに対して視野角外の方向から見ることになる(図11中(A)参照)。そのため、車両の外からはその表示内容を視認しにくくすることができる。特に、後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、視野角外の方向であることに加え、距離も離れていることから、後方車両の運転者等が表示面42aを注視することもなく、眩しくも無く、気が散ることもなく、運転の妨げになることを抑制できる。
【0081】
さらに、係る構成のドライブレコーダー40が、例えば図13に示すように、第一実施形態と同様にルームミラー31の背面側(車両の進行方向側)に配置されたときに、表示面42aは車両の進行方向の逆方向に対して下方を向く。このようにすると、ドライブレコーダー40がルームミラー31の背後に配置されてその存在を目立たなくなる。さらに、図12中の視点(A)に示すように、後方車両が存在することのある車両の進行方向の逆方向側からは、表示面42aがルームミラー31で隠されるので、表示面42aの表示内容を視認されにくくすることができる。
【0082】
さらに、表示面42aは、車両の進行方向の逆方向から下方に所定の角度だけ回転させた方向を向くが、例えば、背の高い人がドライブレコーダー40と水平に視線がくる場合と、フロントガラス2が寝ていてドライブレコーダー40が頭上付近にくる場合とを想定して45度すると、例えば表示面42aの視野角が上下60度であっても15度の余裕ができる。このため、例えば、フロントガラス2が寝ていてドライブレコーダー40が頭上付近に来るような場合でも、視認することができるのでよい。
【0083】
ドライブレコーダー40の取り付けに関しては、以下のようにいうこともできる。運転席から見やすい方向に表示面42aを向けると、カメラ41が必然的に車両の進行方向等の適切な方向を向くようにすることもできる。例えばルームミラー31の背面側にドライブレコーダー40のケースが位置し、そのケースがルームミラー31により隠れてしまい、カメラ41の向きが合わせにくいような場合でも、表示面42aの向きに基づきカメラ17の向きを合わせることができる。
【0084】
[ドライブレコーダーの各種の変形例]
表示部の表示面が向く方向を、車両の進行方向の逆方向に対して、車幅方向の一方に所定の角度だけ回転させ、かつ下方に所定の角度だけ回転させた方向としてもよい。例えば第二実施形態のように円筒形の本体ケース43を備えたドライブレコーダー40において、表示部42の表示面42aを、運転席側を向くように、車両の進行方向の逆方向に対して斜め横、例えば斜め右を向くように傾斜配置してもよい。例えば、図14において、本体ケース43に設ける平面部43bのうち、運転席側の領域が車両の進行方向の逆方向側に出っ張り、助手席側の領域が引っ込むように傾斜するとよい。このようにすると、運転者にとってはさらに表示面の表示内容を視認しやすくなり、かつ後方車両等から表示面の表示内容を視認しにくくすることが期待できる。
【0085】
また、例えば図15に示すように、表示部42が、左右に配置される2つの表示面42a,42b(第1表示面、第2表示面の一例)を有し、その2つのうちの一方の表示面42aが右ハンドルの車両の運転席側(第1乗車領域の一例)を向くように斜め方向(第2方向の一例)を向き、他方の表示面42bが右ハンドルの車両の助手席側(第2乗車領域の一例)を向くように斜め方向(第3方向の一例)を向くようにするとよい。図において、例えば2つの表示面42a,42bの間の部分が最も手前側に出っ張り、左右両側に行くに従って引っ込むように傾斜する平面部43bとするとよい。なお、助手席が配置された領域は、車両の中の人が存在するまたは存在し得る領域である乗車領域の一例である。
【0086】
このようにすると、運転席と助手席の何れに座った人からも表示内容を視認でき、また、左ハンドルの車両に対してもそのまま適用できる。2つの表示面42a,42bに表示する内容は、同じ内容でもよいし、異なる内容でもよい。異なる内容にすると、それぞれに対して適切な情報を提供できるのでよい。
【0087】
この場合の2つの表示面42a,42bは、それぞれ別々の液晶ディスプレイで構成してもよく、湾曲或いは折り曲げ可能な液晶ディスプレイ等を用い1枚の部材から構成してもよい。液晶ディスプレイ以外の表示部として、例えば有機ELディスプレイや電子ペーパー等が用いられてもよい。
【0088】
また、図16に示すように表示部42(表示面42a)の周辺に操作部57を備えるとよい。操作部57は表示面42aと同じ方向を向く。操作部57は、本体ケース43のうちの例えば表示面42aが設けられた面と同じ面に設けられる。操作部57は、例えば押下形式の物理ボタンであるが、スライド形式その他の方式の物理ボタンでもよい。操作部57の数は図16の例では3つであるが、これに限られない。このようにすると、表示内容が見えやすいことに加え、操作部も操作しやすくなるのでよい。操作部57が、表示面42aと同様に例えば運転席に座っている運転者の方向を向くため、運転者は操作部57の位置を確認しやすく、例えば操作部57が複数配置される場合でも、各操作部57の位置を座ったままで確認し、所望の操作部57をその位置から操作することが容易となる。例えば、運転者は運転席に座ったままで所望の操作部57を操作することができる場合もある。また、図示の例では、表示部42の表示面42aの外に操作部57を別途配置したが、例えば操作部としてタッチセンサ又は近接センサを用い、表示面42aに重ねて操作部を配置してもよい。また、このように入力手段ではなく、LEDその他の発光部等の情報を出力する出力手段を配置するとよい。表示部42の表示面42aを設けた平面部43bが運転者等の方向を向くため、発光部等もその発光状態が見やすくなる。
【0089】
さらにまた、例えば図17に示すように、表示面42aの周辺に第2カメラ58を配置するとよい。第2カメラ58は、表示面42aが向く方向を撮影可能に設けられている。第2カメラ58は、例えば、本体ケース43のうちの表示面42aが設けられた同じ面等の、表示面42aと第2カメラ58のレンズとを同時に視認可能な位置に設けられる。このようにすれば、第2カメラ58は、車両の中の特に運転席及びまたは助手席に座っている人又は周辺を正面側から撮影しやすくなる。よって、例えば運転者の姿態を撮影することで、例えば、運転者の居眠り検知やよそ見検知などのDMS(ドライバモニタリングシステム)の機能もドライブレコーダーに組み込むのに適する。また、第2カメラ58をサーモグラフィにし、運転者等のユーザの体温を計測し、記録することで、健康状態の管理も行えるのでよい。
【0090】
上述した実施形態並びに変形例では、本体ケース43の形状が円筒状をベースにしたものとしたが、その形状は任意であり、球体、半球体、直方体等各種の形状のものを用いるとよい。
【0091】
[災危警報機能]
上述した実施形態並びに変形例等におけるドライブレコーダーは、災危警報機能を備えるとよい。例えばドライブレコーダーの制御部は災害情報を取得する手段を備え、その取得した災害情報に基づく警告を表示面19aまたは42aに表示するように表示部を制御するとよい。災害情報は、災害に関連する情報である。災害情報は、すでに発生した災害(例えば、地震、土砂崩れ等)または発生が予想される災害(例えば、竜巻、台風等の天候に関する災害等)のいずれか一方または両方に関連する情報を含むとよい。
【0092】
災害情報を取得する手段は、例えば、みちびきから災害・危機情報(災害情報の一例)を受信する機能を備えるとよい。このようにすると、位置情報を取得するGPSユニットを兼用することができるのでよい。
【0093】
そして、制御部は、取得した災害・危機情報の発生場所が現在位置から離れている場合、災害情報の警告は行わず、例えば設定された距離の範囲内の場合に災害情報等の警告を発するようにするとよい。
【0094】
災害情報の警告は、表示面19aまたは42aに表示するとよい。例えば表示面が車両の真後ろを向いて、特にルームミラーの背面側に隠れるようにドライブレコーダーが配置されていると、災危通報を行うべく所定の通報画面を表示面に表示してもそれを見ることができない。これに対し、本形態では、表示面19aまたは42aが運転者等の方向を向き、たとえドライブレコーダー40がルームミラー31の背面側に位置していても、運転者等がその表示内容を容易に視認できるため、表示面19aまたは42aに通報画面を表示して災害情報に基づく警告を行うと、それを適切に運転者等に伝えることができる。そして、運転者は表示内容を視認し理解できるので、警告に応じて適切な動作が行える。
【0095】
さらに警告は、例えば災害・危機の内容に応じたアイコン60(図の例では津波をあらわすアイコン)を表示面19aまたは42aに表示するようにするとよい(図18等参照)。このようにすると、例えば、表示面19aまたは42aが小さい場合でも、運転者等に適切に災害・危機の発生並びにその内容を報知することができる。
【0096】
さらに、警告は、表示面19aまたは42aに加え音声を用いるとよい。警告は、例えば走行場所・速度等の状況に応じて変えるとよい。例えば地震警告で市街地道路を一定速度以下での移動中であれば、表示面19aまたは42aに地震に対応するアイコンを表示するとともに、スピーカーから例えば「安全と思われる場所の左端に車を止めてください」等の音声メッセージを出力する。さらにその警告の内容は、ユーザ設定により変えられるとよい。
【0097】
また制御部は、災害時、緊急避難場所を案内する機能を備えるとよい。津波の場合、緊急避難場所を案内するのではなく、近くにある安全な海抜高度の地点を案内する機能を備えるとよい。案内は、場所を報知することに加え、道案内のナビゲーションを行う機能を備えるとよい。
【0098】
さらに制御部は、災害情報を受信した場合、表示面19aまたは42aに「確認」ボタンなどを表示し、ユーザのタッチ操作後は、表示面19aまたは42aの画面を震災支援モードに強制的に切り替え、必要な情報を報知するとよい。また、震災支援モードは、所定のユーザ操作で通常画面に戻るようにするとよい。
【0099】
本形態によると、車両の中の人に報知すべき重要度合いの高い情報の一つである、発生した災害に関連する情報を、運転手その他の車両の中の人に認識させやすくすることができる。もちろん、災害情報以外の情報が表示面に表示されてもよい。
【0100】
上述した実施形態では、乗車領域の一例である運転席側(運転手)からの表示面19a,42aの視認について説明したが、助手席側(助手席に座る人)からの表示面19a,42aの視認に適用することもできる。この場合は、表示面19a,42aの向く方向が、助手席側になっていればよい。左ハンドルの車両に適用する場合も同様である。また、車両は、電車やモノレール、リニアモーターカー等の公共交通機関における車両等の各種のものであってもよい。人が乗車する車両であれば、車両の中の人である運転者が存在するまたは存在し得る領域である乗車領域が存在するからである。乗車領域には、座席が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。また、ドライブレコーダーの取付部位を、フロントガラスに限られず、車両の天井、サンバイザー、ダッシュボード上等の部位としたドライブレコーダーに本発明は適用されてもよい。
【0101】
本発明の車載機器は、カメラ及び表示部を有する機器であれば、ドライブレコーダー以外でもよい。
【0102】
以上説明した実施形態や変形例の内容に照らせば、本発明を以下のように把握することもできる。撮影装置は、カメラと、表示面を有する表示部と、を備え、前記カメラが第1方向を向けられたときに、前記表示面は、前記第1方向とは逆方向の成分を有しかつ前記第1方向と非平行な方向である第2方向を向き、前記第1方向と前記第2方向とのなす角度が固定的である。このような撮影装置は、車載機器であってもよいし、監視カメラその他の撮影装置でもよい。このようにすると、カメラのレンズが第1方向に向けられたときに、必然的に、第1方向とは逆方向の成分を有しかつ第1方向と非平行な方向である第2方向を向くから、所望する方向を撮影しつつ、第2方向からは表示面の表示内容を視認しやすく、かつレンズの反対側からはその表示内容を視認しにくくすることができる。
【0103】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0104】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0105】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0106】
2 :フロントガラス
10 :ドライブレコーダー
13 :本体ケース
17 :カメラ
17a :レンズ
18 :ブラケット
19 :表示部
19a :表示面
21 :接着部材
31 :ルームミラー
40 :ドライブレコーダー
41 :カメラ
41a :レンズ
42 :表示部
42a :表示面
42b :表示面
43 :本体ケース
45 :ブラケット
47 :接着部材
48 :接続部
57 :操作部
58 :第2カメラ
60 :アイコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20