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特開2024-83443バルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083443
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】バルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/30 20060101AFI20240614BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20240614BHJP
   E03D 3/02 20060101ALI20240614BHJP
   F16K 31/42 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
E03D1/30
E03D11/02 Z
E03D3/02
F16K31/42 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060153
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2020023963の分割
【原出願日】2020-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】黒木 恵子
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 隆
(57)【要約】
【課題】主弁体の挙動を安定化させることができるバルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器を提供する。
【解決手段】本発明のバルブユニット14は、上流側及び下流側にそれぞれ設けられる一次側給水路6a及び二次側給水路6bと、両給水路との間に連通可能に設けられた連通流路6cと、主弁座17bに対して閉止可能に設けられて連通流路の弁座開口部6dを開閉する主弁体17aと、この主弁体を圧力により開閉させる圧力室50と、この圧力室と二次側給水路とを連通するパイロット流路18a,52を開閉するパイロット弁体18bと、を有し、連通流路は、その弁座開口部から主弁体の開閉軸線A4方向の下流側に向かって延びるように形成された後に二次側給水路に接続されており、一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれは、平面視において、各流路軸線A1,A3方向が互いに平行になるように形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニットであって、
上流側及び下流側にそれぞれ設けられる一次側給水路及び二次側給水路と、
上記一次側給水路と上記二次側給水路との間に連通可能に設けられた連通流路であって、主弁座が形成される弁座開口部を備えた連通流路と、
上記主弁座に対して閉止可能に設けられて上記連通流路の弁座開口部を開閉する主弁体と、
この主弁体を圧力により開閉させる圧力室と、
この圧力室と上記二次側給水路とを連通するパイロット流路を開閉することにより上記圧力室を開閉して上記主弁体を開閉可能にするパイロット弁体と、を有し、
上記連通流路は、その弁座開口部から上記主弁体の開閉軸線方向の下流側に向かって延びるように形成された後に上記二次側給水路に接続されており、
上記一次側給水路及び上記二次側給水路のそれぞれは、平面視において、各流路軸線方向が互いに平行になるように形成されていることを特徴とするバルブユニット。
【請求項2】
上記一次側給水路及び上記二次側給水路のそれぞれは、上流側から下流側に向かって延びる各流路軸線方向が互いに同一方向になるように形成されている請求項1記載のバルブユニット。
【請求項3】
上記連通流路は、平面視において、その流路軸線が上記一次側給水路及び上記二次側給水路のそれぞれの流路軸線方向に対して直交する方向に延びており、上記二次側給水路は、上記連通流路の下流側端部から上記一次側給水路の流路軸線方向と同一方向に延びるように形成されている請求項1又は2に記載のバルブユニット。
【請求項4】
上記連通流路の下流側端部は、上記主弁体と対向する対向壁面を備えており、この対向壁面は、上記連通流路の下流端部の流路スペースを上記二次側給水路内の側壁面よりも上記連通流路の流路軸線方向の下流側に拡張させる拡張部を形成している請求項1乃至3の何れか1項に記載のバルブユニット。
【請求項5】
上記圧力室は、上記連通流路の弁座開口部に対して上記連通流路の流路軸線方向とは対向する側に配置されており、上記パイロット流路は、上記圧力室内の上方に連通可能に設けられて上記圧力室内と外部とを通気可能にする請求項1乃至4の何れか1項に記載のバルブユニット。
【請求項6】
上記パイロット流路及び上記二次側給水路のそれぞれは、上流側から下流側に向かって水平方向に延びるように形成されている請求項5記載のバルブユニット。
【請求項7】
上記請求項1乃至6の何れか1項に記載のバルブユニットを備えた水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器に関し、特に、水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニットとして、例えば、特許文献1に記載されているように、バルブユニットの上流側の一次側流路や圧力室と二次側流路とを連通するパイロット流路をパイロット弁により開閉することにより、一次側流路と二次側流路との連通口を開閉する主弁(ダイヤフラム弁)を備えているものが知られている。
このような従来のバルブユニットでは、一次側流路と二次側流路との連通口、すなわち、二次側流路の上流端の開口部には、主弁により閉止される主弁座が設けられており、一次側流路の流路方向と二次側流路の流路方向とが互いに直交している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-119328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のバルブユニットにおいては、一次側流路の流路方向と二次側流路の流路方向とが互いに直交していることにより、それぞれの流路を流れる洗浄水の流れについても互いにに直交する流れを形成する。
これにより、主弁が開弁し、一次側流路内の洗浄水が二次側流路との連通口(主弁座が設けられた二次側流路の開口部)に流入する際には、例えば、主弁の一次流路側の領域対して大きな水圧が作用する。よって、主弁に対して水圧が不均一に作用することにより、主弁体の開閉動作時において、主弁体が傾いたり、振動したりする等、主弁体の挙動が不安定になるという問題がある。
また、このような主弁体の開閉動作時における主弁体の傾きや振動によって、主弁体の圧力室内の気泡が、パイロット流路から排出しきれずに、主弁体の開閉動作を不安定にしたり、異音の発生を招いたりする等、主弁体の挙動に影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、主弁体の挙動を安定化させることができるバルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器を提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、水洗大便器に洗浄水を給水する給水路に設けられるバルブユニットであって、上流側及び下流側にそれぞれ設けられる一次側給水路及び二次側給水路と、上記一次側給水路と上記二次側給水路との間に連通可能に設けられた連通流路であって、主弁座が形成される弁座開口部を備えた連通流路と、上記主弁座に対して閉止可能に設けられて上記連通流路の弁座開口部を開閉する主弁体と、この主弁体を圧力により開閉させる圧力室と、この圧力室と上記二次側給水路とを連通するパイロット流路を開閉することにより上記圧力室を開閉して上記主弁体を開閉可能にするパイロット弁体と、を有し、上記連通流路は、その弁座開口部から上記主弁体の開閉軸線方向の下流側に向かって延びるように形成された後に上記二次側給水路に接続されており、上記一次側給水路及び上記二次側給水路のそれぞれは、平面視において、各流路軸線方向が互いに平行になるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、パイロット弁体がパイロット流路を閉止している状態では、圧力室内の圧力により主弁体が主弁座に対して押圧され、一次側給水路と二次側給水路をと連通する連通流路の弁座開口部が主弁体により閉止される。
そして、パイロット弁体が開弁してパイロット流路が開放されると、圧力室内の圧力がパイロット流路を介して二次側給水路側に圧抜きされることにより低下し、主弁体が開弁して連通流路の弁座開口部が開放される。
これにより、一次側給水路内の洗浄水は、主弁体側に流れ、主弁体により開放された連通流路の弁座開口部から連通流路内に流れ込んだ後、連通流路を通過し、二次側給水路へと流れることができる。
また、主弁体の開弁により、一次側給水路内から連通流路の弁座開口部に流れ込む際、洗浄水量が比較的大きいため、その比較的高い給水圧が主弁体に対しても作用することになる。
しかしながら、本発明によれば、一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれが、平面視において、各流路軸線方向が互いに平行になるように形成されているため、一次側給水路と二次側給水路との間の連通流路内の洗浄水についても、一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれの流路軸線方向と平行な方向に流動しようとする流れを形成しやすくなる。
したがって、連通流路内の洗浄水において、一次側給水路側から二次側給水路側に向かってスムーズに流動する流れを形成することができるため、主弁体における一次側給水路側の領域に対して、一次側給水路内の水圧が局所的に作用することを抑制し、主弁体の開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができる。
よって、主弁体に対して水圧が比較的均一に作用するようになるため、主弁体の安定した開閉動作が可能となり、主弁体の挙動を安定化させることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記一次側給水路及び上記二次側給水路のそれぞれは、上流側から下流側に向かって延びる各流路軸線方向が互いに同一方向になるように形成されている。
このように構成された本発明においては、一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれについて、上流側から下流側に向かって延びる各流路軸線方向が互いに同一方向になるように形成されているため、一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれを流れる洗浄水の流れの流路軸線方向の成分についても互いに同一方向になる。
したがって、主弁体の開弁により、一次側給水路内の洗浄水が連通流路の弁座開口部に流れ込み、連通流路を通過して二次側給水路へスムーズに向かうようになるため、主弁体における二次側給水路側の領域に対しても洗浄水が流動して水圧が作用するようになる。
よって、主弁体に対して水圧が比較的均一に作用するようになるため、主弁体の開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができ、主弁体のより安定した開閉動作が可能となる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記連通流路は、平面視において、その流路軸線が上記一次側給水路及び上記二次側給水路のそれぞれの流路軸線方向に対して直交する方向に延びており、上記二次側給水路は、上記連通流路の下流側端部から上記一次側給水路の流路軸線方向と同一方向に延びるように形成されている。
このように構成された本発明においては、主弁体の開弁により、一次側給水路から弁座開口部内に流れ込んだ洗浄水は、一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれの流路軸線方向に対して直交する方向に延びる連結流路に沿って流れることにより整流化された後に、連結流路の下流端部から一次側給水路の流路軸線方向と同一方向に延びる二次側給水路に流出することができる。
これにより、一次側給水路内から連通流路に流入した洗浄水が流れの乱れた状態で二次側給水路に流出することを抑制することができる。また、連通流路に流入した洗浄水が直後に二次側給水路に流出してしまうことにより、主弁体の一次側給水路側の領域に対して一次側給水路内の水圧が局所的に作用することを抑制することができる。
よって、主弁体に対して水圧が比較的均一に作用するようになるため、主弁体の開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができ、主弁体のさらにより安定した開閉動作が可能となる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記連通流路の下流側端部は、上記主弁体と対向する対向壁面を備えており、この対向壁面は、上記連通流路の下流端部の流路スペースを上記二次側給水路内の側壁面よりも上記連通流路の流路軸線方向の下流側に拡張させる拡張部を形成している。
このように構成された本発明においては、連通流路の下流側端部が主弁体と対向する対向壁面を備えており、この対向壁面が形成する拡張部により、連通流路の下流端部の流路スペース(容積)を二次側給水路内の側壁面よりも連通流路の流路軸線方向の下流側に拡張させることができる。
これにより、主弁体の開弁により、一次側給水路内から連通流路の弁座開口部に流入した洗浄水は、乱れた状態であっても、主弁体と対向する連通流路の下流側端部の対向壁面の拡張部において、拡張された流路スペース(容積)により洗浄水の乱れが抑制されて整流化される。
したがって、連通流路の下流側端部から整流化された洗浄水を二次側給水路へ流出させることができる。また、連通流路の下流側端部の対向壁面の拡張部と対向する主弁体に対しても、水圧が比較的均一に作用するようになるため、主弁体の開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができ、主弁体のさらにより安定した開閉動作が可能となる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記圧力室は、上記連通流路の弁座開口部に対して上記連通流路の流路軸線方向とは対向する側に配置されており、上記パイロット流路は、上記圧力室内の上方に連通可能に設けられて上記圧力室内と外部とを通気可能にする。
このように構成された本発明においては、連通流路の弁座開口部に対して連通流路の流路軸線方向とは対向する側に配置された圧力室内で気泡が発生して上昇したとしても、圧力室内の上方に連通可能に設けられたパイロット流路から外部に通気させることができる。
これにより、圧力室内で発生した気泡により主弁体の開閉動作が不安定になることを抑制することができると共に、主弁体の不安定な挙動による異音の発生を抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記パイロット流路及び上記二次側給水路のそれぞれは、上流側から下流側に向かって水平方向に延びるように形成されている
このように構成された本発明においては、パイロット流路及び二次側給水路のそれぞれが上流側から下流側に向かって水平方向に延びるように形成されているため、圧力室内からパイロット流路に流出した気泡や、このパイロット流路から二次側給水路に流出した気泡が圧力室側へ向かって逆流することを抑制することができる。
したがって、圧力室内で発生した気泡により主弁体の開閉動作が不安定になることを効果的に抑制することができると共に、主弁体の不安定な挙動による異音の発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
つぎに、本発明は、上記バルブユニットを備えた水洗大便器である。
このように構成された本発明においては、主弁体の安定した開閉動作が可能となり、主弁体の挙動を安定化させることができる水洗大便器を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバルブユニット、及び、それを備えた水洗大便器によれば、主弁体の挙動を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による水洗大便器の全体構成図である。
図2】本発明の一実施形態による水洗大便器の側面図である。
図3図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのIII-III線に沿った断面図である。
図4図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおけるIV-IV線に沿った断面図であり、通常時及び停電時における電磁弁ユニット及び主弁体の閉弁状態(止水状態)を示す。
図5図3に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのV-V線に沿った断面図である。
図6図5に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのVI-VI線に沿った断面図である。
図7】本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおける図4と同様な断面図であり、通常時において電磁弁を開弁操作して主弁体を開弁操作した状態(通水状態)を示す。
図8】本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおける図4及び図7と同様な断面図であり、停電時における主弁体を手動で開弁操作した状態(通水状態)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器について説明する。
まず、図1は、本発明の一実施形態による水洗大便器の全体構成図である。また、図2は、本発明の一実施形態による水洗大便器の側面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器1は、陶器製の便器本体2と、その後方側に設けられたタンク装置4と、を備えている。
また、便器本体2は、汚物を受けるボウル部2aと、このボウル部2aの底部から延びてボウル部2a内の汚物を排出する排水トラップ部(排水トラップ管2b)と、ボウル部2aの上縁に形成されるリム部2cと、を備えている。
さらに、タンク装置4の各構成要素については、詳細は後述するように、便器本体2に洗浄水を供給する給水ユニットU1の一部として機能するようになっている。
【0016】
つぎに、図1及び図2に示すように、タンク装置4は、その上流側及び下流側にそれぞれ接続された給水管6及び吐水管8をそれぞれ備えている。
給水管6の上流側は、水道等の外部の給水源(図示せず)に接続されている。
一方、給水管6の下流側は、タンク装置4の貯水タンク10に接続されている。これらにより、給水管6から貯水タンク10に洗浄水が供給されるようになっている。
また、給水管6には、上流側から下流側に向かって、止水栓12、バルブユニット14がそれぞれ設けられている。
さらに、バルブユニット14の上流側及び下流側のそれぞれには、一次側給水路6a及び二次側給水路6bがそれぞれ設けられている。
また、一次側給水路6aと二次側給水路6bとの間には、両給水路6a,6bを連通させる連通流路6c(詳細は後述する)が設けられている。
【0017】
つぎに、バルブユニット14は、詳細な構造については後述するが、一次側給水路6aに設けられた定流量弁16と、この定流量弁16の下流側にそれぞれ設けられた主弁ユニット17及び電磁弁ユニット18とをそれぞれ備えている。
また、主弁ユニット17は、主弁体(ダイヤフラム式の主弁体17a)と、この主弁体17aが閉止可能に設けられる主弁座17bとをそれぞれ含む。主弁座17bは、連通流路6cの流入口6dの口縁部に設けられ、主弁体17aにより開閉される弁座開口部を形成している。
さらに、電磁弁ユニット18は、詳細は後述するが、給水系機能部の一部であり、主弁体17aを圧力により開閉される圧力室(図示せず)を開閉することにより、主弁体17aを開閉することができるようになっている。
【0018】
つぎに、図1に示すように、タンク装置4は、さらに、給水管6のバルブユニット14の下流側に接続されている連結ユニット20と、この連結ユニット20の下流側に接続されて貯水タンク10を含むタンクユニット22とを備えている。
バルブユニット14において、給水管6内の洗浄水が定流量弁16により流量が一定に調整されるようになっている。
その後、電磁弁ユニット18が電磁的に開弁し、主弁体17aにより連通流路6cの流入口6dが開放されると、給水管6の一次側給水路6aから連通流路6cを経て二次側給水路6bに供給された洗浄水が連結ユニット20を経てタンクユニット22に給水されるようになっている。
【0019】
図1に示すように、連結ユニット20は、ハウジング24と、オーバーフロー管26と、逆止弁28と、を備えている。
また、ハウジング24は、その下方開口部24aがタンクユニット22の貯水タンク10の上方開口部10aに着脱可能に接続されている。
【0020】
つぎに、オーバーフロー管26は、ハウジング24の側壁の一部に設けられたオーバーフロー口24bと吐水管8とを接続している。
吐水管8は、その上流側がタンク装置4のポンプ30に接続された接続管(洗浄水供給管)であり、その下流側が便器本体2のリム部2cの内部のリム導水路2dに接続されている。
さらに、逆止弁28は、オーバーフロー口24bに設けられており、ハウジング24内の洗浄水がオーバーフロー口24bからオーバーフロー管26に流入することを可能にする一方、オーバーフロー管26内の洗浄水がハウジング24内へ逆流することを妨げることができるようになっている。
すなわち、これらのオーバーフロー口24b、オーバーフロー管26、及び、逆止弁28のそれぞれは、貯水タンク10からハウジング24内にオーバーフローした後、ハウジング24内の水位が所定水位以上(オーバーフロー口24bの下縁以上の水位)であるときに、ハウジング24のオーバーフロー口24bからオーバーフローした洗浄水をポンプ30の下流側の給水路(吐水管8)へバイパスさせるオーバーフロー流路部として機能するようになっている。
【0021】
つぎに、図1に示すように、タンクユニット22は、貯水タンク10と、ポンプ30と、フロートスイッチ32と、水抜き栓34と、を備えている。
ポンプ30は、吐水管8の上流側に接続されている通水管36の一部(途中)に設けられている。この通水管36の上流端36aは、貯水タンク10内に設けられた吸引管38の下流端38aに接続されている。
【0022】
貯水タンク10内に貯水されている洗浄水は、ポンプ30が作動することにより、吸引管38から通水管36内に吸引された後、ポンプ30を経て吐水管8に圧送されるようになっている。
これにより、貯水タンク10からポンプ30により吐水管8に供給された洗浄水のうちのすべてがリム導水路2dの入口2eからリム導水路2d内に供給されるようになっている。
そして、リム導水路2d内の洗浄水はリム導水路2dの下流端のリム吐水口2fからボウル部2a内に吐水され、便器洗浄(いわゆる、リム吐水100%による便器洗浄)が行われるようになっている。
すなわち、これらの通水管36及び吐水管8のそれぞれは、貯水タンク10からポンプ30によって圧送された洗浄水を便器本体2に供給する洗浄水供給管として機能するようになっている。
【0023】
フロートスイッチ32は、貯水タンク10内の水位を検知するものであり、バルブユニット14の電磁弁ユニット18の開閉動作は、フロートスイッチ32が検知した貯水タンク10内の水位に基づいてコントローラCにより制御されるようになっている。
また、ポンプ30の作動についても、フロートスイッチ32が検知した貯水タンク10内の水位に基づいてコントローラCにより制御されるようになっている。
例えば、フロートスイッチ32が検知した貯水タンク10内の水位が所定以下である場合には、電磁弁ユニット18が開弁して給水管6が開放され、ポンプ30が作動されるようになっている。
そして、貯水タンク10内の水位が所定水位まで到達すると、電磁弁ユニット18が閉弁して給水管6が閉鎖され、ポンプ30が停止されるようになっている。
【0024】
水抜き栓34は、貯水タンク10の底面に設けられている。この水抜き栓34は、通常時では、常時閉鎖されており、必要に応じて開放され、貯水タンク10内の洗浄水を外部に排出することができるようになっている。
【0025】
これらにより、上述した給水管6、吐水管8、バルブユニット14の各部16,17,18、連結ユニット20の各部24,26,28、タンクユニット22、及び、ポンプ30のそれぞれを含むタンク装置4は、便器本体2の上流側に設けられて便器本体2に洗浄水を供給する給水ユニットU1の一部として機能するようになっている。
【0026】
つぎに、図1図8を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットの詳細について説明する。
まず、図3は、図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのIII-III線に沿った断面図である。
図2及び図3に示すように、バルブユニット14は、便器本体2のボウル部2aよりも後方の領域(以下「便器本体2の後方領域R1」に設けられたタンク装置4の貯水タンク10の下端に設けられている。
すなわち、バルブユニット14は、便器本体2の後方領域R1におけるタンク装置4の貯水タンク10よりも下方且つ側方(便器本体2及びタンク装置4を前方側から見て左側)に設けられている。
また、バルブユニット14は、便器本体2の後方領域R1に対して左右一方側の側方(便器本体2及びタンク装置4を前方側から見て左側)に取り外し可能に設けられた一枚のカバー部材(外装パネルP)により覆われている。
なお、図2に示す水洗大便器1においては、外装パネルPについては、省略し、想像線のみで示している。
【0027】
つぎに、図4は、図2に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのIV-IV線に沿った断面図であり、通常時及び停電時における主弁体17a及び電磁弁ユニット18の閉弁状態(止水状態)を示す。
また、図5は、図3に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのV-V線に沿った断面図である。
さらに、図6は、図5に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットのVI-VI線に沿った断面図である。
まず、図1図4に示すように、バルブユニット14の電磁弁ユニット18は、パイロット穴(電磁弁側パイロット穴18a)と、この電磁弁側パイロット穴18aを開閉するパイロット弁体(電磁弁側パイロット弁体18b)と、この電磁弁側パイロット弁体18bを収容する電磁弁側パイロット弁室18cと、電磁弁側パイロット弁体18bを駆動させる駆動部であるソレノイド18dと、を備えている。
つぎに、図1図6に示すように、バルブユニット14は、上述した定流量弁16、ダイヤフラム式の主弁体17a及び電磁弁ユニット18以外に加えて、停電時においても便器洗浄を可能にする停電時手動給水操作装置40(詳細は後述する)を備えている。
また、停電時手動給水操作装置40は、後述する停電時手動排水操作装置42と共に、停電時においても便器洗浄を可能にする停電対策用の手動操作部として機能するようになっている。
さらに、図1図6に示すように、バルブユニット14の停電時手動給水操作装置40は、バルブユニット14の側方(便器本体2及びタンク装置4を前方側から見て左側)に回転可能に設けられたハンドル部44を備えている。
また、停電時手動給水操作装置40は、ハンドル部44に外側端部が固定された操作軸部(スピンドル46)を備えている。このスピンドル46は、ハンドル部44をその回転中心軸線(操作軸線A0)回りに回転させると、この操作軸線A0の軸線方向に移動(摺動)することができるようになっている。
なお、図4図6に示すように、操作軸線A0及び連通流路6cの流路軸線A2は、主弁体17aが開閉する方向の中心軸線(以下「主弁体17aの開閉軸線A4」)と同一又はほぼ同一軸線上に配置されている。
【0028】
つぎに、図4図6に示すように、バルブユニット14の本体部48の内部には、主弁体17aを圧力により開閉させる圧力室(主弁側圧力室50)が設けられている。
なお、スピンドル46は、停電時において手動操作により主弁側圧力室50を開閉して主弁体17aを開閉可能にする手動操作弁として機能するようにもなっている。
また、図4に示すように、バルブユニット14の本体部48の内部には、主弁側圧力室50と電磁弁側パイロット弁室18cとを互いに連通させるパイロット流路(圧力逃がし通路52)が設けられている。
さらに、図4及び図5に示すように、バルブユニット14の本体部48の内部の連通流路6cは、その流入口6dから水平左右方向(バルブユニット14の横方向)に延びる流路軸線A2の内側に向かって形成されている。
また、二次側給水路6bは、連通流路6cの下流端部の上方(連通流路6cの水平左右方向の内側且つ前端部の上方)から水平前後方向(バルブユニット14の長手方向)に延びる流路軸線A3の前側に向かって形成されている。
【0029】
ここで、図4に示すように、定流量弁16が設けられている一次側給水路6aは、水平前後方向に延びる流路軸線A1に沿って概ね前後方向に延びた後、主弁側圧力室50に向かって水平左右方向(バルブユニット14の横方向)の外側に向かって形成されている。
そして、連通流路6cの流路軸線A2と二次側給水路6bの流路軸線A3とは、互いに直交する方向に延びている。
また、二次側給水路6bは、その流路軸線A3が、図4の平面視において、一次側給水路6aの水平前後方向に延びる流路軸線A1とほぼ平行となるように形成されている。これにより、一次側給水路6a及び二次側給水路6bのそれぞれは、上流側から下流側に向かって延びる各流路軸線A1,A3の方向が互いに同一方向になるように形成されている。
【0030】
つぎに、図4及び図5に示すように、連通流路6cは、図4の平面視において、その流路軸線A2が一次側給水路及び二次側給水路のそれぞれの流路軸線A1,A3の方向に対して直交する方向に延びている。
また、図4に示すように、二次側給水路6bは、連通流路6cの下流側端部から一次側給水路6aの流路軸線A1の方向と同一方向に延びるように形成されている。
【0031】
さらに、図4及び図5に示すように、連通流路6cの下流側端部(水平左右方向の内側端部)は、主弁体17aと流路軸線A2方向に対向する対向壁面6eを備えている。
この対向壁面6eは、二次側給水路6b内の側壁面6fよりも連通流路6cの流路軸線A2の方向の下流側(水平左右方向の内側)に凹み、連通流路6cの下流端部の流路スペースを拡張させる拡張部Eを形成している。
【0032】
つぎに、図4及び図5に示すように、主弁側圧力室50は、連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)に対して連通流路6cの流路軸線A2の方向とは対向する側(反対側)に配置されている。
また、図4図6に示すように、パイロット流路(圧力逃がし通路52)は、主弁側圧力室50内の上方に対して連通可能に設けられ、その下流側が電磁弁側パイロット弁室18cまで延びている。ここで、「主弁側圧力室50内の上方」とは、主弁側圧力室50内の上端位置と下端位置との間の鉛直方向距離を二等分する中間位置よりも上方であればよい。
そして、電磁弁側パイロット弁体18bが開弁した状態では、主弁側圧力室50が、パイロット流路(圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット弁室18c及び電磁弁側パイロット穴18a)を介して、外部と通気可能となっている。
さらに、図4に示すように、パイロット流路(圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット穴18a)及び二次側給水路6bのそれぞれは、上流側から下流側に向かって水平前後方向に延びるように形成されている。
【0033】
つぎに、図4に示すように、バルブユニット14の本体部48の内部には、主弁側圧力室50から連通流路6cの流入口6dをバイパスするように延びて二次側給水路6bの途中に連通する連通路56が設けられている。この連通路56は、具体的には、主弁側圧力室50の側方のパイロット流路(主弁側パイロット穴54)からハンドル部44の操作軸線A0方向の外側に延びた後、前方側に延びる上流側連通路56aを備えている。
また、連通路56は、この上流側連通路56aの前端の屈曲部Bから二次側給水路6bに向かって内側に延びる下流側連通路56bを備えている。この下流側連通路56bは、電磁弁ユニット18の電磁弁側パイロット穴18aとも直交した状態で常時連通している。
【0034】
ここで、上流側連通路56aは、図4の平面において、スピンドル46の近傍の開口部56cから屈曲部Bまで、二次側給水路6bの流路軸線A3と平行に延びるように形成されている。
一方、下流側連通路56bは、屈曲部Bから下流端部まで二次側給水路6bの流路軸線A3と直交する方向に(連通流路6cの流路軸線A2と平行に)延びるように形成されている。
【0035】
つぎに、図7は、本発明の一実施形態による水洗大便器のバルブユニットにおける図4と同様な断面図であり、通常時において電磁弁を開弁操作して主弁体を開弁操作した状態(通水状態)を示す。
通常時において、コントローラCから送信された指令信号(開弁操作信号)により電磁弁ユニット18が作動し、図4に示す閉弁状態の電磁弁側パイロット弁体18bが、図7に示す開弁状態になると、主弁側圧力室50が、パイロット流路(圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット弁室18c及び電磁弁側パイロット穴18a)を経て連通路56と連通する。
これにより、主弁側圧力室50内と外部とが通気され、主弁体17aを押圧する主弁側圧力室50内の空気の圧力が一次側給水路6aの給水圧よりも低下すると、主弁体17aが開弁する方向に移動し、一次側給水路6aと二次側給水路6bとを連通させる連通流路6cの流入口6dが開放されるようになっている。
この結果、定流量弁16を通過した一次側給水路6aの洗浄水が連通流路6cの流入口6dから連通流路6c内に流入するようになっている。
【0036】
一方、図4に示すように、再び、コントローラCから送信された指令信号(閉弁操作信号)により、電磁弁ユニット18の電磁弁側パイロット弁体18bが電磁弁側パイロット穴18aを閉弁すると、主弁側圧力室50内の空気が圧力逃がし通路52に逃げる圧抜きができなくなる。
このとき、連通流路6cの流入口6dを形成する主弁座17bの周囲の一次側給水路6aの洗浄水の一部は、主弁体17aのブリード穴60を通過して主弁側圧力室50内に流入するため、主弁側圧力室50内の圧力が高められるため、主弁体17aが主弁側圧力室50内の圧力により主弁座17bに向かって押圧されるようになっている。これにより、連通流路6cの流入口6dを形成する主弁座17bが主弁体17aにより閉止された状態(止水状態)となっている。
ここで、スピンドル46の先端部46aの近傍の外周面には、Oリング62が設けられている。これにより、通常時の主弁体17aの閉弁状態においては、主弁側圧力室50と連通路56とが連通しないように、スピンドル46のOリング62によりシールされた状態となっている。
【0037】
つぎに、図8は、本発明の一実施形態による水洗大便器1のバルブユニット14における図4及び図7と同様な断面図であり、停電時における主弁体17aを停電時手動給水操作装置40により手動で開弁操作した状態(通水状態)を示す。
図8に示すように、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44は、バルブユニット14の本体部48の一部に螺合されている共に、スピンドル46の一端部に対して留め具64よって固定されている。
停電時においては、電磁弁ユニット18が作動しないため、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を操作軸線A0回りに一方向に回転操作することにより、スピンドル46が操作軸線A0の軸線方向外側(主弁側パイロット穴54に対して遠位側)に移動するようになっている。
そして、スピンドル46及びOリング62が、主弁側圧力室50と連通路56とが互いに連通する状態になるまで移動した状態になると、主弁側圧力室50内の空気が圧力逃がし通路52を通過した後、電磁弁側パイロット穴18aから連通路56に流出可能となっている。
これにより、主弁側圧力室50内の圧力が一次側給水路6aの給水圧よりも低下すると、主弁体17aが開弁する方向に移動し、連通流路6cの流入口6dが開放されるようになっている。
この結果、定流量弁16を通過した一次側給水路6aの洗浄水が連通流路6cの流入口6dから連通流路6c内に流入するようになっている。
【0038】
図4及び図8に示すように、停電時において、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を操作軸線A0回りに他方向に回転操作することにより、スピンドル46が操作軸線A0の軸線方向内側(主弁側パイロット穴54に対して近位側)に移動するようになっている。
これにより、主弁側圧力室50内の空気が圧力逃がし通路52及び連通路56に圧抜きすることができなくなる一方、主弁座17bの周囲の一次側給水路6aの洗浄水が主弁体17aのブリード穴60を通過して主弁側圧力室50内に流入するようになっている。
これにより、主弁側圧力室50内の圧力が高められ、ダイヤフラム式の主弁体17aが主弁側圧力室50内の圧力により主弁座17bに向かって押圧されるようになっている。
この結果、連通流路6cの流入口6dは、主弁体17aにより開放された通水状態(図8参照)から、主弁体17aにより閉止された止水状態(図4参照)となるようになっている。
したがって、停電時においては、図4及び図8に示すように、ハンドル部44の手動操作により、給水管6内の洗浄水が連結ユニット20を経てタンクユニット22へ給止水される操作(給止水操作)が可能となっている。
【0039】
ここで、図4図8に示すように、停電時手動給水操作装置40のスピンドル46の軸方向の外側端面46bは、ハンドル部44の軸方向の外側端面44aよりも常時外側に突出しており、スピンドル46の軸方向の外側端部がハンドル部44の軸方向の外側に突出した突出部となっている。
特に、図8に示すように、停電時において主弁体17aが開弁した状態では、ハンドル部44及びスピンドル46のそれぞれが、図4に示す主弁体17aが閉弁した状態よりも、軸方向の外側に移動した位置にある。
これにより、図8に示すように、停電時において主弁体17aが開弁した状態では、スピンドル46の軸方向の外側端面46bが外装パネルPの内側面に接触した状態となっており、外装パネルPと干渉する接触部となっている。
すなわち、停電時において主弁体17aが開弁した状態では、スピンドル46の軸方向の外側端面46b(接触部)が、外装パネルPの取付位置P0よりも左右方向の外側に突出している。
【0040】
つぎに、図1に示すように、便器本体2の排水トラップ管2bの下流側、すなわち、排水トラップ管2bの後方側且つ下端の出口部2gには、排水ソケット68(排水ソケット部)が設けられている。この排水ソケット68の内部には、その流路を開閉可能にする開閉弁70が設けられている。
また、停電時手動排水操作装置42は、排水ソケット68の開閉弁70に対して開閉操作可能に連結された操作ワイヤ72と、この操作ワイヤ72を摺動可能に保持し且つ便器本体2に対して固定する固定ユニット74と、を備えている。
【0041】
つぎに、操作ワイヤ72は、その排水ソケット側の端部が開閉弁70の一部に対して直接的又は間接的に連結されている。
また、操作ワイヤ72における、便器本体側(使用者側)の端部には、把持用のリング部材76が設けられており、使用者が把持可能となっている。
そして、停電時には、使用者がリング部材76を把持し、操作ワイヤ72を固定ユニット74に対して前後方向に摺動させることにより、排水ソケット68の開閉弁70の開閉操作が可能となっている。
【0042】
例えば、停電時の給排水操作の例として、まず、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を手動で回転操作することにより、バルブユニット14の開閉弁(主弁体17a)を開弁し、給水ユニットU1の貯水タンク10への給水を行う。
つぎに、停電時手動排水操作装置42の把持用のリング部材76を手動で操作し、排水ソケット68の開閉弁70を閉鎖する。
そして、貯水タンク10内の水位が所定水位以上になり、貯水タンク10の上方のハウジング24内まで上昇すると、ハウジング24内の洗浄水は、オーバーフロー管26からポンプ30の下流側の給水路(吐水管8)に洗浄水がバイパスされた後、便器本体2に供給される。
これにより、排水ソケット68の開閉弁70よりも上流側の排水ソケット68内の流路や便器本体2の排水トラップ管2b内において封水が可能となり、便器本体2のボウル部2a内において溜水が可能となる。
つぎに、再び、停電時手動排水操作装置42を操作して排水ソケット68の開閉弁70を開放すると、便器本体2のボウル部2a内の洗浄水を排水トラップ管2bから排水ソケット68を経て外部へ確実に排出することができる。
その後、停電時手動給水操作装置40のハンドル部44を手動で回転操作してバルブユニット14の開閉弁(主弁体17a)を閉弁すると、停電時における便器本体2に対する一連の給排水が完了する。
【0043】
つぎに、図1図8を参照して、上述した本発明の一実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1の作用について説明する。
本発明の一実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、通常時において電磁弁ユニット18の電磁弁側パイロット弁体18bがパイロット流路(電磁弁側パイロット穴18a)を閉止している状態(図4図5参照)では、主弁側圧力室50内の圧力により主弁体17aが主弁座17bに対して押圧され、一次側給水路6aと二次側給水路6bをと連通する連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)が主弁体17aにより閉止される。
そして、図7に示すように、電磁弁側パイロット弁体18bが開弁し、パイロット流路(電磁弁側パイロット穴18a)が開放されると、主弁側圧力室50内の圧力がパイロット流路(圧力逃がし通路52から電磁弁側パイロット弁室18c及び電磁弁側パイロット穴18a)を介して、連通路56(下流側連通路56b)経て二次側給水路6b側に圧抜きされる。
これにより、主弁側圧力室50内と外部との通気V1が行われ、主弁体17aを押圧する主弁側圧力室50内の空気の圧力が一次側給水路6aの給水圧よりも低下すると、主弁体17aが開弁する方向に移動し、一次側給水路6aと二次側給水路6bとを連通させる連通流路6cの流入口6dが開放される(図7参照)。
この結果、定流量弁16を通過した一次側給水路6aの洗浄水W1が連通流路6cの流入口6dから連通流路6c内に流入する。
また、一次側給水路6a内の洗浄水W1は、主弁体17a側に流れ、主弁体17aにより開放された連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)から連通流路6c内に流れ込んだ後、この連通流路6cを通過し、二次側給水路6bへと流れることができる。
また、主弁体17aの開弁により、一次側給水路6a内から連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)に流れ込む際、洗浄水量が比較的大きいため、その比較的高い給水圧が主弁体17aに対しても作用することになる。
しかしながら、図4及び図7に示すように、一次側給水路6a及び二次側給水路6bのそれぞれが、平面視において、各流路軸線A1,A3の方向が互いに平行になるように形成されている。
これにより、図7に示すように、一次側給水路6aと二次側給水路6bとの間の連通流路6c内の洗浄水W1についても、一次側給水路6a及び二次側給水路6bのそれぞれの流路軸線A1,A3の方向と平行な方向に流動しようとする流れを形成しやすくなる。
したがって、連通流路6c内の洗浄水W1において、一次側給水路6a側から二次側給水路6b側に向かってスムーズに流動する流れを形成することができる。よって、主弁体17aにおける一次側給水路6a側の領域に対して、一次側給水路6a内の水圧が局所的に作用することを抑制し、主弁体17aの開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができる。
よって、主弁体17aに対して水圧が比較的均一に作用するようになるため、主弁体17aの安定した開閉動作が可能となり、主弁体17aの挙動を安定化させることができる。
【0044】
つぎに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、一次側給水路6a及び二次側給水路6bのそれぞれについて、上流側から下流側に向かって延びる各流路軸線A1,A3の方向が互いに同一方向になるように形成されている。これにより、一次側給水路6a及び二次側給水路6bのそれぞれを流れる洗浄水W1の流れにおける流路軸線A1,A3の方向の成分についても互いに同一方向になる。
したがって、図7に示すように、主弁体17aの開弁により、一次側給水路6a内の洗浄水W1が連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)に流れ込み、連通流路6cを通過して二次側給水路6bへスムーズに向かうようになる。これにより、主弁体17aにおける二次側給水路6b側の領域に対しても洗浄水W1が流動して水圧が作用するようになる。
よって、主弁体17aに対して水圧が比較的均一に作用するようになるため、主弁体17aの開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができ、主弁体17aのより安定した開閉動作が可能となる。
【0045】
つぎに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、図7に示すように、主弁体17aの開弁により、一次側給水路6aから弁座開口部(流入口6d)内に流れ込んだ洗浄水W1は、一次側給水路6a及び二次側給水路6bのそれぞれの流路軸線A1,A3の方向に対して直交する方向に延びる連通流路6cに沿って流れることにより整流化される。その後、連通流路6cの下流端部から一次側給水路6aの流路軸線A1の方向と同一方向の流路軸線A3の二次側給水路6bに流出することができる。
これにより、一次側給水路6a内から連通流路6cに流入した洗浄水W1が流れの乱れた状態で二次側給水路6bに流出することを抑制することができる。また、連通流路6cに流入した洗浄水W1が直後に二次側給水路6bに流出してしまうことにより、主弁体17aの一次側給水路6a側の領域に対して一次側給水路6a内の水圧が局所的に作用することを抑制することができる。
よって、主弁体17aに対して水圧が比較的均一に作用するようになるため、主弁体17aの開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができ、主弁体17aのさらにより安定した開閉動作が可能となる。
【0046】
つぎに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、連通流路6cの下流側端部が主弁体17aと流路軸線A2方向に対向する対向壁面6eを備えている(図4図5図7参照)。
これにより、この対向壁面6eが、二次側給水路6b内の側壁面6fよりも連通流路6cの流路軸線A2の方向の下流側(水平左右方向の内側)に凹み、連通流路6cの下流端部の流路スペースを拡張させる拡張部Eを形成している。
よって、主弁体17aの開弁により、一次側給水路6a内から連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)に流入した洗浄水は、乱れた状態であっても、主弁体17aと対向する連通流路6cの下流側端部の対向壁面6eの拡張部Eにおいて、拡張された流路スペースにより洗浄水の乱れが抑制されて整流化される。
したがって、連通流路6cの下流側端部から整流化された洗浄水W1を二次側給水路6bへ流出させることができる。また、連通流路6cの下流側端部の対向壁面6eの拡張部Eと対向する主弁体17aに対しても、水圧が比較的均一に作用するようになる。これにおり、主弁体17aの開閉動作時の傾きや振動等を抑制することができ、主弁体17aのさらにより安定した開閉動作が可能となる。
【0047】
さらに、本実施形態によるバルブユニット14、及び、それを備えた水洗大便器1によれば、図4図6に示すように、連通流路6cの弁座開口部(流入口6d)に対して連通流路6cの流路軸線A2の方向とは対向する側(反対側)に配置された主弁側圧力室50内で気泡が発生して上昇したとしても、主弁側圧力室50内の上方にパイロット流路(圧力逃がし通路52)が連通可能に設けられている。
これにより、電磁弁側パイロット弁体18bが開弁した状態では、主弁側圧力室50は、パイロット流路(圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット弁室18c及び電磁弁側パイロット穴18a)を介して、外部と通気可能となる。
よって、主弁側圧力室50内で発生した気泡により主弁体17aの開閉動作が不安定になることを抑制することができると共に、主弁体17aの不安定な挙動による異音の発生を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態によるバルブユニット14を備えた水洗大便器1によれば、図4及び図6に示すように、パイロット流路(圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット穴18a)及び二次側給水路6bのそれぞれが上流側から下流側に向かって水平方向に延びるように形成されている。
これにより、電磁弁側パイロット弁体18bが開弁した状態において、主弁側圧力室50内からパイロット流路(圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット弁室18c、電磁弁側パイロット穴18a)に流出した気泡や、このパイロット流路(圧力逃がし通路52、電磁弁側パイロット弁室18c、電磁弁側パイロット穴18a)から連通路56(下流側連通路56b)を経て二次側給水路6bに流出した気泡が、主弁側圧力室50側へ向かって逆流することを抑制することができる。
したがって、主弁側圧力室50内で発生した気泡により主弁体17aの開閉動作が不安定になることを効果的に抑制することができると共に、主弁体17aの不安定な挙動による異音の発生を効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 水洗大便器
2 便器本体
2a ボウル部
2b 排水トラップ管
2c リム部
2d リム導水路
2e リム導水路の入口
2f リム吐水口
2g 排水トラップ管の出口部
2h 便器本体の底壁部
2i 取付穴
2j 便器本体の底壁部の上面
4 タンク装置
6 給水管
6a 一次側給水路
6b 二次側給水路
6c 連通流路
6d 連通流路の流入口(連通流路の弁座開口部)
6e 連通流路の対向壁面
6f 二次側流路内の側壁面
8 吐水管
8a 吐水管の出口部
10 貯水タンク
10a 上方開口部
12 止水栓
14 バルブユニット
16 定流量弁
17 主弁ユニット
17a ダイヤフラム式の主弁体(主弁体)
17b 主弁座
18 電磁弁ユニット
18a 電磁弁側パイロット穴(パイロット流路)
18b 電磁弁側パイロット弁体(パイロット弁体)
18c 電磁弁側パイロット弁室(パイロット流路)
18d ソレノイド
20 連結ユニット
22 タンクユニット
24 ハウジング
24a 下方開口部
24b オーバーフロー口
26 オーバーフロー管
28 逆止弁
30 ポンプ
32 フロートスイッチ
34 水抜き栓
36 通水管
36a 通水管の上流端
38 吸引管
38a 吸引管の下流端
40 停電時手動給水操作装置
42 停電時手動排水操作装置
44 ハンドル部
44a ハンドル部の軸方向の外側端面
46 スピンドル
46a スピンドルの先端部
46b スピンドルの軸方向の外側端面
48 バルブユニットの本体部
50 主弁側圧力室(圧力室)
52 圧力逃がし通路(パイロット流路)
54 主弁側パイロット穴(パイロット流路)
56 連通路
56a 上流側連通路
56b 下流側連通路
56c 上流側連通路のスピンドル近傍の開口部
60 ブリード穴
62 Oリング
64 留め具
68 排水ソケット
70 開閉弁
72 操作ワイヤ
74 固定ユニット
76 把持用のリング部材
A0 ハンドル部の操作軸線
A1 一次側給水路の流路軸線
A2 連通流路の流路軸線
A3 二次側給水路の流路軸線
B 連通路の屈曲部
C コントローラ
E 拡張部
P 外装パネル
P0 外装パネルの取付位置
R1 便器本体の後方領域
U1 給水ユニット
V1 通気
W1 洗浄水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8