(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008345
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】搬送装置、リワインダ、及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65H 23/198 20060101AFI20240112BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65H23/198
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110149
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】西垣 裕次
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 嘉洋
(72)【発明者】
【氏名】森下 悠理
【テーマコード(参考)】
3F048
3F105
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC02
3F048BA03
3F048BA14
3F048BB02
3F048BC09
3F048CB08
3F048DC06
3F048EA01
3F105AA01
3F105AB04
3F105BA01
3F105CB04
3F105DA42
3F105DA62
3F105DC03
(57)【要約】
【課題】搬送不良を正確に検知できる搬送装置、リワインダ、及び搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送装置の第一制御部は、リワインダの第二制御部との通信が可能であるか否かを判断する(S9)。第一制御部は、搬送装置とリワインダとの間で長尺媒体が接続されているか否かを判断する(S10)。第一制御部は、第二制御部との通信が可能であると判断し(S9:YES)、且つ搬送装置とリワインダとの間で長尺媒体が接続されていると判断した場合(S10:YES)、複合検知処理を開始する(S13)。第一制御部は、第二制御部との通信が可能でないと判断した場合(S9:NO)、又は搬送装置とリワインダとの間で長尺媒体が接続されていないと判断した場合(S10:NO)、単独検知処理(S6)を開始する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を巻き取って搬送する巻取部と、前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、巻取通信部とを備えるリワインダと通信可能な搬送装置において、
前記媒体を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、
前記巻取通信部と通信を行う搬送通信部と、
搬送制御部とを備え、
前記搬送制御部は、
前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、
前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、
搬送不良を検知する検知処理であって、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置における前記搬送不良を検知する前記検知処理と
を実行することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送制御部は、
搬送を停止する停止処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止し、且つ前記巻取部による前記媒体の巻取を停止し、
前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止する前記停止処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送制御部は、
前記停止処理において、前記検知処理にて検知された前記搬送不良に応じて、前記供給部からの前記媒体の供給を停止させる方法、又は前記巻取部による前記媒体の巻取を停止させる方法を変更することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
報知部を備え、
前記搬送制御部は、
前記報知部により報知する報知処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法、及び前記巻取部による前記媒体の巻取の復帰方法を前記報知部により報知し、
前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法を前記報知部により報知する前記報知処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送制御部は、
搬送の設定を初期化する初期化処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記搬送装置及び前記リワインダの搬送の設定を初期化し、
前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記搬送装置の搬送の設定を初期化する前記初期化処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記供給部から供給される前記媒体に張力を付与する張力付与部を備え、
前記搬送検知部は、前記媒体の情報として、前記張力付与部により前記媒体に付与される張力の大きさを検知することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項7】
媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、搬送通信部とを備える搬送装置と通信可能なリワインダであって、
前記媒体を巻き取って搬送する巻取部と、
前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、
前記搬送通信部と通信を行う巻取通信部と、
巻取制御部とを備え、
前記巻取制御部は、
前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、
前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、
搬送不良を検知する検知処理であって、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記リワインダにおける前記搬送不良を検知する前記検知処理と
を実行することを特徴とするリワインダ。
【請求項8】
前記巻取制御部は、
搬送を停止する停止処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止し、且つ前記巻取部による前記媒体の巻取を停止し、
前記検知処理において前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記巻取部による前記媒体の巻取を停止する前記停止処理を実行することを特徴とする請求項7に記載のリワインダ。
【請求項9】
前記巻取制御部は、
前記停止処理において、前記検知処理にて検知された前記搬送不良に応じて、前記供給部からの前記媒体の供給を停止させる方法、又は前記巻取部による前記媒体の巻取を停止させる方法を変更することを特徴とする請求項8に記載のリワインダ。
【請求項10】
報知部を備え、
前記巻取制御部は、
前記報知部により報知する報知処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法、及び前記巻取部による前記媒体の巻取の復帰方法を前記報知部により報知し、
前記検知処理において前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記巻取部による前記媒体の巻取の復帰方法を前記報知部により報知する前記報知処理を実行することを特徴とする請求項7に記載のリワインダ。
【請求項11】
前記巻取制御部は、
搬送の設定を初期化する初期化処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記搬送装置及び前記リワインダの搬送の設定を初期化し、
前記検知処理において前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記リワインダの搬送の設定を初期化する前記初期化処理を実行することを特徴とする請求項7に記載のリワインダ。
【請求項12】
前記巻取部により巻き取られる前記媒体に張力を付与する張力付与部を備え、
前記巻取検知部は、前記媒体の情報として、前記張力付与部により前記媒体に付与される張力の大きさを検知することを特徴とする請求項7に記載のリワインダ。
【請求項13】
媒体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に搬送された前記媒体を巻き取るリワインダとを備え、前記媒体を搬送する搬送システムにおいて、
前記搬送装置は、
前記媒体を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、
搬送通信部とを備え、
前記リワインダは、
前記媒体を巻き取って搬送する巻取部と、
前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、
前記搬送通信部と通信を行う巻取通信部とを備え、
前記搬送システムは、制御部を備え、
前記制御部は、
前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、
前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、
搬送不良を検知する検知処理であって、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置における前記搬送不良を検知する前記検知処理と
を実行することを特徴とする搬送システム。
【請求項14】
前記制御部は、
搬送を停止する停止処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止し、且つ前記巻取部による前記媒体の巻取を停止し、
前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止する前記停止処理を実行することを特徴とする請求項13に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記制御部は、
前記停止処理において、前記検知処理にて検知された前記搬送不良に応じて、前記供給部からの前記媒体の供給を停止させる方法、又は前記巻取部による前記媒体の巻取を停止させる方法を変更することを特徴とする請求項14に記載の搬送システム。
【請求項16】
報知部を備え、
前記制御部は、
搬送を復帰させる方法を前記報知部により報知する報知処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法、及び前記巻取部による前記媒体の巻取の復帰方法を前記報知部により報知し、
前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法を前記報知部により報知する前記報知処理を実行することを特徴とする請求項13に記載の搬送システム。
【請求項17】
媒体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に搬送された前記媒体を巻き取るリワインダとを備え、前記媒体を搬送する搬送システムにおいて、
前記搬送装置は、
前記媒体を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、
搬送通信部とを備え、
前記リワインダは、
前記媒体を巻き取って搬送する巻取部と、
前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、
前記搬送通信部と通信を行う巻取通信部とを備え、
前記搬送システムは、制御部を備え、
前記制御部は、
前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、
前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、
搬送不良を検知する検知処理であって、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、
前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記リワインダにおける前記搬送不良を検知する前記検知処理と
を実行することを特徴とする搬送システム。
【請求項18】
前記制御部は、
搬送を停止する停止処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止し、且つ前記巻取部による前記媒体の巻取を停止し、
前記検知処理において前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記巻取部による前記媒体の巻取を停止する前記停止処理を実行することを特徴とする請求項17に記載の搬送システム。
【請求項19】
前記制御部は、
前記停止処理において、前記検知処理にて検知された前記搬送不良に応じて、前記供給部からの前記媒体の供給を停止させる方法、又は前記巻取部による前記媒体の巻取を停止させる方法を変更することを特徴とする請求項18に記載の搬送システム。
【請求項20】
報知部を備え、
前記制御部は、
前記報知部により報知する報知処理であって、
前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法、及び前記巻取部による前記媒体の巻取の復帰方法を前記報知部により報知し、
前記検知処理において前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記巻取部による前記媒体の巻取の復帰方法を前記報知部により報知する前記報知処理を実行することを特徴とする請求項17に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、リワインダ、及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送装置及び巻取装置を備えるウェブ搬送システムが開示されている。搬送装置は、主軸モータ及び制御部を備える。主軸モータは連続紙を搬送する。制御部は、主軸モータの動作の制御及び後述のRWモータ制御部への指令を行う。巻取装置は、RWモータ及びRWモータ制御部を備える。RWモータは、搬送装置が搬送した連続紙を巻き取る。RWモータ制御部は、制御部からの指令を受けて、RWモータを制御する。搬送装置と巻取装置とは、通信ケーブルで接続される。通信ケーブルを介した通信により、搬送装置と巻取装置との間で、搬送装置が生成する指令(例えば、搬送停止指令)が共有される。
【0003】
特許文献2には、テープ印刷装置及び巻取装置を備える印刷システムが開示されている。テープ印刷装置は、送りモータ及び制御部を備える。送りモータはテープを搬送する。巻取装置は巻取部を備える。巻取部は、テープ印刷装置から送られたテープを巻き取る。テープ印刷装置の制御部は、テープが巻取部に送られる途中で切れているか否か、及びテープが巻取部に送られる途中でジャムを起こしているか否かを検出する。制御部は、テープが巻取部に送られる途中で切れていることを検出した場合、及びテープが巻取部に送られる途中でジャムを起こしていることを検出した場合の何れか一方の場合、送りモータを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-132327号公報
【特許文献2】特開2019-177532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送装置(テープ印刷装置)と巻取装置との間で、通信の接続、及び連続紙(テープ)の接続が行われるとき、それぞれが単独の判定条件で搬送不良(例えば、ジャム、破断)を判定する場合がある。この場合、搬送不良の種類を区別できない等、搬送不良を正確に検知できない可能性がある。一方、搬送装置と巻取装置との間で、通信の接続、及び連続紙の接続が行われるとき、搬送装置と巻取装置との判定条件で搬送不良を判定する場合がある。この場合、通信の接続、及び連続紙の接続が行われずに、それぞれが単独で動作するときには、搬送不良を正確に検知できない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、搬送不良を正確に検知できる搬送装置、リワインダ、及び搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係る搬送装置は、媒体を巻き取って搬送する巻取部と、前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、巻取通信部とを備えるリワインダと通信可能な搬送装置において、前記媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、前記巻取通信部と通信を行う搬送通信部と、搬送制御部とを備え、前記搬送制御部は、前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、搬送不良を検知する検知処理であって、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置における前記搬送不良を検知する前記検知処理とを実行することを特徴とする。
【0008】
第一態様によれば、搬送装置は、搬送通信部と巻取通信部との間の通信可能であるか否かと、供給部と巻取部との間の媒体が接続されているか否かに基づき、搬送装置における媒体の搬送不良の検知と、搬送装置及びリワインダおける搬送不良の検知とに切り替える。よって、搬送装置は、単独で媒体を搬送する場合、及びリワインダとの協働で媒体を搬送する場合の何れの場合においても、搬送不良を正確に検知できる。
【0009】
搬送装置において、前記搬送制御部は、搬送を停止する停止処理であって、前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止し、且つ前記巻取部による前記媒体の巻取を停止し、前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給を停止する前記停止処理を実行してもよい。搬送装置は、単独で媒体を搬送する場合と、リワインダとの協働で媒体を搬送する場合とで、媒体の搬送停止の処理を切り替える。よって、搬送装置は、単独で媒体を搬送する場合、及びリワインダとの協働で媒体を搬送する場合のそれぞれの場合に合わせて、媒体の搬送を停止できる。
【0010】
搬送装置において、前記搬送制御部は、前記停止処理において、前記検知処理にて検知された前記搬送不良に応じて、前記供給部からの前記媒体の供給を停止させる方法、又は前記巻取部による前記媒体の巻取を停止させる方法を変更してもよい。搬送装置は、検知された搬送不良の種類に応じて、供給部からの媒体の供給を停止させる方法、又は巻取部による媒体の巻取を停止する方法を変更する。よって、搬送装置は、搬送不良の種類に応じて適切に媒体の搬送を停止できる。
【0011】
搬送装置は、報知部を備え、前記搬送制御部は、前記報知部により報知する報知処理であって、前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法、及び前記巻取部による前記媒体の巻取の復帰方法を前記報知部により報知し、前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記供給部からの前記媒体の供給の復帰方法を前記報知部により報知する前記報知処理を実行してもよい。搬送装置は、単独で媒体を搬送する場合と、リワインダとの協働で媒体を搬送する場合とで、報知部により報知する復帰方法を切り替える。よって、搬送装置は、単独で媒体を搬送する場合、及びリワインダとの協働で媒体を搬送する場合のそれぞれの場合に合わせて、媒体の搬送を復帰させることができる。
【0012】
搬送装置において、前記搬送制御部は、搬送の設定を初期化する初期化処理であって、前記検知処理において前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良が検知された場合に、前記搬送装置及び前記リワインダの搬送の設定を初期化し、前記検知処理において前記搬送装置における前記搬送不良が検知された場合に、前記搬送装置の搬送の設定を初期化する前記初期化処理を実行してもよい。搬送装置は、単独で媒体を搬送する場合と、リワインダとの協働で媒体を搬送する場合とで、搬送の設定の初期化の処理を切り替える。よって、搬送装置は、単独で媒体を搬送する場合、及びリワインダとの協働で媒体を搬送する場合のそれぞれの場合に合わせて、初期化することができる。
【0013】
搬送装置は、前記供給部から供給される前記媒体に張力を付与する張力付与部を備え、
前記搬送検知部は、前記媒体の情報として、前記張力付与部により前記媒体に付与される張力の大きさを検知してもよい。搬送装置は、張力付与部により媒体に付与される張力の大きさを検知することで、搬送不良を検知する。これにより、搬送装置は、ジャム、媒体の破断等の搬送不良を検知できる。
【0014】
本発明の第二態様に係るリワインダは、媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、搬送通信部とを備える搬送装置と通信可能なリワインダであって、前記媒体を巻き取って搬送する巻取部と、前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、前記搬送通信部と通信を行う巻取通信部と、巻取制御部とを備え、前記巻取制御部は、前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、搬送不良を検知する検知処理であって、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記リワインダにおける前記搬送不良を検知する前記検知処理とを実行することを特徴とする。第二態様のリワインダは、第一態様の搬送装置と同様の効果を奏する。
【0015】
本発明の第三態様に係る搬送システムは、媒体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に搬送された前記媒体を巻き取るリワインダとを備え、前記媒体を搬送する搬送システムにおいて、前記搬送装置は、前記媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、搬送通信部とを備え、前記リワインダは、前記媒体を巻き取って搬送する巻取部と、前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、前記搬送通信部と通信を行う巻取通信部とを備え、前記搬送システムは、制御部を備え、前記制御部は、前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、搬送不良を検知する検知処理であって、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置における前記搬送不良を検知する前記検知処理とを実行することを特徴とする。第三態様の搬送システムは、第一態様の搬送装置と同様の効果を奏する。
【0016】
本発明の第四態様に係る搬送システムは、媒体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に搬送された前記媒体を巻き取るリワインダとを備え、前記媒体を搬送する搬送システムにおいて、前記搬送装置は、前記媒体を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記媒体の情報を検知する搬送検知部と、搬送通信部とを備え、前記リワインダは、前記媒体を巻き取って搬送する巻取部と、前記巻取部により巻き取られる前記媒体の情報を検知する巻取検知部と、前記搬送通信部と通信を行う巻取通信部とを備え、前記搬送システムは、制御部を備え、前記制御部は、前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であるか否かを判定する第一判定処理と、前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されているか否かを判定する第二判定処理と、搬送不良を検知する検知処理であって、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能であると判定され、且つ前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていると判定された場合に、前記搬送検知部により検知された前記媒体の情報、及び前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記搬送装置及び前記リワインダにおける前記搬送不良を検知し、前記第一判定処理において前記搬送通信部と前記巻取通信部との間で通信可能ではないと判定されるか、又は、前記第二判定処理において前記供給部と前記巻取部との間で前記媒体が接続されていないと判定された場合に、前記巻取検知部により検知された前記媒体の情報に基づき、前記リワインダにおける前記搬送不良を検知する前記検知処理とを実行することを特徴とする。第四態様の搬送システムは、第一態様の搬送装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】搬送システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】表示部13が表示する画像91を示す図である。
【
図9】表示部13が表示する画像92を示す図である。
【
図10】表示部13が表示する画像93を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る搬送システム1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0019】
図1に示すように、搬送システム1は、搬送装置10及びリワインダ20を備える。搬送装置10は、インクジェットプリンタであり、長尺媒体Mを搬送しながら印刷を行う。長尺媒体Mは、例えば、筒状の紙管K1、K2にロール状に巻回された長尺状の台紙である。長尺媒体Mには、複数の印刷媒体のそれぞれが、長手方向に沿って順番に並べられている。印刷媒体は、それぞれ、矩形状のラベル紙である。リワインダ20は、長尺媒体Mをロール状に巻き取る。
【0020】
搬送システム1において、搬送装置10は単独で長尺媒体Mに対して印刷を実行でき、リワインダ20は単独で長尺媒体Mの巻き取りを実行できる。又、搬送システム1において、搬送装置10とリワインダ20とが協働することで、搬送装置10は長尺媒体Mに対して印刷を行い、リワインダ20は搬送装置10により印刷された長尺媒体Mを巻き取ることができる(
図1参照)。
【0021】
図1、
図2を参照して、搬送装置10の構成を説明する。
図2に示すように、搬送装置10は、筐体11を備える。筐体11は、卓上に載置可能な大きさの直方体状である。筐体11の前面には、排出口12、表示部13、操作部14、接続部15が設けられる。排出口12は、上下方向において、筐体11の前面の上部に設けられる。排出口12は、正面視左右方向に長い矩形状に形成される孔である。搬送装置10により印刷された長尺媒体Mは、排出口12から筐体11の外側に排出される。
【0022】
表示部13及び操作部14は、排出口12の上方に設けられる。表示部13は、画像を表示する。操作部14は、表示部13の右方に設けられる。操作部14は、各種指示を入力する複数のボタンである。接続部15は、筐体11の前面の右下部に設けられる。接続部15は、ケーブル2(
図1参照)を接続するためのコネクタである。
【0023】
図1に示すように、搬送装置10は、筐体11の内部に、第一搬送部31、第二搬送部36、第三搬送部37、張力付与部35、媒体検出部53、及び印刷部38を収容する。第一搬送部31は、筐体11の内部の後下部に設けられる。第一搬送部31は、長尺媒体Mが巻回されたロールR1を保持する。ロールR1は、複数の印刷媒体が外方になるように長尺媒体Mを巻回する。第一搬送部31は、軸部32を備える。軸部32は、左右方向に延びる棒状であり、軸周りに回転可能に支持される。軸部32は、ロールR1の紙管K1を挿通する。ロールR1は、紙管K1を有さず、軸部32に装着可能にロール状に巻回されてもよい。
【0024】
第一搬送部31は、軸部32の正転時、ロールR1から長尺媒体Mを繰り出す。第一搬送部31は、軸部32の逆転時、長尺媒体MをロールR1に巻き取る。第一搬送部31から繰り出された長尺媒体Mは、筐体11の内部を搬送経路Q1に沿って搬送される。以下、筐体11の内側の搬送経路Q1に沿ってロールR1から長尺媒体Mを繰り出す方向を、順方向F1という。順方向F1と反対の方向であり、搬送経路Q1に沿って長尺媒体MをロールR1に巻き取る方向を、逆方向B1という。
【0025】
第二搬送部36は、搬送経路Q1において、第一搬送部31に対して順方向F1の下流に設けられる。第二搬送部36は、第一搬送部31の上方に設けられる。第二搬送部36は、上下に並ぶ一対のローラを有する。一対のローラは左右方向に延びる棒状であり、軸周りに回転可能に支持される。一対のローラは、長尺媒体Mを上下に挟む。第二搬送部36は、一対のローラの回転又は逆回転により、長尺媒体Mを順方向F1又は逆方向B1に搬送する。
【0026】
第三搬送部37は、搬送経路Q1において、第二搬送部36に対して順方向F1の下流に設けられる。第三搬送部37は、第二搬送部36の前方、且つ排出口12の後方に設けられる。第三搬送部37は、上下に並ぶ一対のローラを有する。一対のローラは左右方向に延びる棒状であり、軸周りに回転可能に支持される。一対のローラは、長尺媒体Mを上下に挟む。第三搬送部37は、一対のローラの回転又は逆回転により、長尺媒体Mを順方向F1又は逆方向B1に搬送する。第三搬送部37により順方向F1に搬送された長尺媒体Mは、排出口12を介して筐体11の外部に排出される。
【0027】
張力付与部35は、搬送経路Q1において、第一搬送部31に対して順方向F1の下流、且つ第二搬送部36に対して順方向F1の上流に設けられる。張力付与部35は、第一搬送部31の上方、且つ第二搬送部36の後方に設けられる。張力付与部35は、第一搬送部31と第二搬送部36との間の長尺媒体Mに当接してバックテンションを付与する。張力付与部35は、筐体11に対して前後方向に移動可能に設けられる。長尺媒体Mに付与されるバックテンションの大きさは、張力付与部35の前後方向の位置で変化する。張力付与部35が移動範囲の後側に位置するときに長尺媒体Mに付与されるバックテンションは、張力付与部35が移動範囲の前側に位置するときに長尺媒体Mに付与されるバックテンションよりも大きい。
【0028】
媒体検出部53及び印刷部38は、搬送経路Q1において、第二搬送部36に対して順方向F1の下流に設けられる。媒体検出部53は、第一搬送部7の前方、且つ長尺媒体Mの上方に設けられる。印刷媒体の先端を検知可能な公知の光学センサである。媒体検出部53は、発光部及び受光部を備える。発光部は発光する。受光部は発光部により発光された光を受光する。媒体検出部53は、受光部が光を受光したか否かに基づき、搬送される長尺媒体Mの印刷媒体の先端が通過したか否かを検出する。
【0029】
印刷部38は、媒体検出部53の前方、且つ長尺媒体Mの上方に設けられる。印刷部38は、搬送される印刷媒体に対して、画像を印刷する。印刷部38は、インクジェットヘッドである。印刷部38は、インクを下方に吐出する複数のノズルを備える。印刷部38は、複数のノズルからインクを吐出することで、印刷媒体に画像を印刷する。
【0030】
図1を参照して、リワインダ20の構成を説明する。リワインダ20は、筐体21を備える。図示しないが、筐体21は、卓上に載置可能な大きさの直方体状である。筐体21の後面には、挿入口22、接続部25が設けられる。挿入口22は、矩形状に形成される孔である。長尺媒体Mは、挿入口22から筐体21の内側に挿入される。接続部25は、ケーブル2を接続するためのコネクタである。リワインダ20と搬送装置10とは、ケーブル2を介して、電気的に接続される。
【0031】
リワインダ20は、筐体21の内部に、巻取部41、ローラ46及び張力付与部45を収容する。巻取部41は、筐体21の内部の前下部に設けられる。巻取部41は、長尺媒体Mが巻回されたロールR2を保持する。巻取部41は、軸部42を備える。軸部42は、左右方向に延びる棒状であり、軸周りに回転可能に支持される。軸部42は、ロールR2の紙管K2を挿通する。ロールR2は、紙管K2を有さず、軸部42に装着可能にロール状に巻回されてもよい。
【0032】
巻取部41は、軸部42の正転時、ロールR2から長尺媒体Mを繰り出す。巻取部41は、軸部42の逆転時、長尺媒体MをロールR2に巻き取る。巻取部41から繰り出された長尺媒体Mは、筐体21の内部を搬送経路Q2に沿って搬送される。以下、筐体21の内側の搬送経路Q2に沿ってロールR2から長尺媒体Mを繰り出す方向を、順方向F2という。順方向F2と反対の方向であり、搬送経路Q2に沿って長尺媒体MをロールR2に巻き取る方向を、逆方向B2という。
【0033】
ローラ46は、搬送経路Q2において、巻取部41に対して順方向F2の下流に設けられる。ローラ46は、巻取部41の前上方、且つ挿入口22の前方に設けられる。ローラ46は、左右方向に延びる棒状であり、軸周りに回転可能に支持される。
【0034】
張力付与部45は、搬送経路Q2において、巻取部41に対して順方向F1の下流、且つローラ46に対して順方向F1の上流に設けられる。張力付与部45は、巻取部41の後上方、且つローラ46の前上方に設けられる。張力付与部45は、巻取部41とローラ46との間の長尺媒体Mに当接してバックテンションを付与する。張力付与部45は、筐体21に対して上下方向に移動可能に設けられる。長尺媒体Mに付与されるバックテンションの大きさは、張力付与部45の上下方向の位置で変化する。張力付与部45が移動範囲の上側に位置するときに長尺媒体Mに付与されるバックテンションは、張力付与部45が移動範囲の下側に位置するときに長尺媒体Mに付与されるバックテンションよりも大きい。
【0035】
図3を参照し、搬送システム1の電気的構成を説明する。搬送装置10は、第一制御部50を備える。第一制御部50は、第一記憶部51、操作部14、表示部13、第一搬送駆動部61、第二搬送駆動部62、第三搬送駆動部63、張力駆動部64、エンコーダ66~69、印刷部38、媒体検出部53、張力検出部54、及び第一通信部52と電気的に接続される。
【0036】
第一制御部50は、搬送装置10の全体の制御を司るCPUを備える。第一制御部50は、CPUからの指示に応じて、印刷部38、第一搬送駆動部61、第二搬送駆動部62、第三搬送駆動部63、張力駆動部64、及び第一通信部52に対して駆動信号(例えば、駆動電流)を送信する所定の電気回路等を備える。
【0037】
第一記憶部51は、第一制御部50による各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータ等を記憶するROM、RAM及びフラッシュメモリ等を含む。第一記憶部51は、
図4~
図7で後述する初期処理等の処理を第一制御部50に実行させるためのプログラムを記憶する。第一制御部50は、第一記憶部51に記憶されたプログラムを展開することで、初期処理等の処理を実行するプロセッサの一例として機能する。
【0038】
第一搬送駆動部61は、第一搬送部31の軸部32を回転駆動する。第二搬送駆動部62は、第二搬送部36の一対のローラを回転駆動する。第三搬送駆動部63は、第三搬送部37の一対のローラを回転駆動する。張力駆動部64は、張力付与部35を駆動する。第一搬送駆動部61、第二搬送駆動部62、第三搬送駆動部63、及び張力駆動部64は、例えば、正逆回転可能なステッピングモータである。エンコーダ66~69は、それぞれ、第一搬送駆動部61、第二搬送駆動部62、第三搬送駆動部63、張力駆動部64の駆動量に応じた値を第一制御部50に入力する。以下、第一搬送駆動部61、第二搬送駆動部62、第三搬送駆動部63を総称する場合、単に搬送駆動部という。
【0039】
媒体検出部53は、印刷媒体の先端が通過したか否かを示す検出結果を第一制御部50に入力する。張力検出部54は、搬送経路Q1における第一搬送部31から第二搬送部36の間の長尺媒体Mに、張力付与部35により付与されたバックテンションの大きさに応じた検出結果を第一制御部50に入力する。第一通信部52は、リワインダ20の後述する第二制御部70と通信を行うための通信モジュールである。第一通信部52は、接続部15と電気的に接続される。接続部15は、リワインダ20との入出力インタフェースとして機能する。
【0040】
リワインダ20は、第二制御部70を備える。第二制御部70は、第二記憶部71、巻取駆動部81、張力駆動部82、エンコーダ86、87、張力検出部74、及び第二通信部72と電気的に接続される。
【0041】
第二制御部70は、リワインダ20の全体の制御を司るCPUを備える。第二制御部70は、CPUからの指示に応じて、巻取駆動部81、張力駆動部82、及び第二通信部72に対して駆動信号(例えば、駆動電流)を送信する所定の電気回路等を備える。
【0042】
第二記憶部71は、第二制御部70による各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータ等を記憶するROM、RAM及びフラッシュメモリ等を含む。第二制御部70は、第二記憶部71に記憶されたプログラムを展開することで、各種処理を実行するプロセッサの一例として機能する。
【0043】
巻取駆動部81は、巻取部41の軸部42を回転駆動する。張力駆動部82は、張力付与部45を駆動する。巻取駆動部81及び張力駆動部82は、例えば、正逆回転可能なステッピングモータである。エンコーダ86、87は、それぞれ、巻取駆動部81、張力駆動部82の駆動量に応じた値を第二制御部70に入力する。
【0044】
張力検出部74は、搬送経路Q2における巻取部41からローラ46の間の長尺媒体Mに、張力付与部45により付与されたバックテンションの大きさに応じた検出結果を第二制御部70に入力する。第二通信部72は、搬送装置10の第一制御部50と通信を行うための通信モジュールである。第二通信部72は、接続部25と電気的に接続される。接続部25は、搬送装置10との入出力インタフェースとして機能する。
【0045】
図4を参照して、搬送装置10の第一制御部50によって実行される初期処理について説明する。初期処理は、搬送装置10の単独、又は搬送装置10及びリワインダ20の双方を初期化する為の処理である。初期処理は、搬送装置10の電源投入時、又は操作部14から初期処理の実行の指示が入力された場合に実行される。
【0046】
第一制御部50は、初期処理が開始されると、初期制御処理を実行する(S1)。第一制御部50は、S1において、複合フラグの値を0にする。複合フラグは、第一記憶部51に記憶される。複合フラグは、搬送装置10とリワインダ20とが協働で長尺媒体Mを搬送する際(
図1参照)に値に1が記憶されてONになり、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを印刷する際に0が記憶されてOFFになる。以下、搬送装置10とリワインダ20とが協働で長尺媒体Mを搬送することを、協働搬送という。
【0047】
第一制御部50は、搬送方法を指定する指示の入力を、操作部14を介して受け付けたか否かを判断する(S2)。作業者は、今回の長尺媒体Mへの印刷に際し、搬送装置10が単独で印刷を行う指示、又はリワインダ20との協働搬送にて印刷を行う指示の何れかを操作部14に入力する。第一制御部50は、搬送方法を指定する指示の入力を受け付けていない場合(S2:NO)、処理をS2に戻す。
【0048】
第一制御部50は、搬送方法を指定する指示の入力を受け付けた場合(S2:YES)、受け付けた指示に基づき、リワインダ20との協働搬送を実行するか否かを判断する(S3)。
【0049】
第一制御部50は、搬送装置10が単独で印刷を行う指示を受け付け、リワインダ20との協働搬送を実行しない場合(S3:NO)、複合フラグをOFFにして(S4)、単独初期化処理を実行する(S5)。第一制御部50は、S5において、搬送装置10の単独での初期化を行う。第一制御部50は、エンコーダ66~69の初期化(値のリセット)、及びロールR1の径を推定する。第一制御部50は、搬送駆動部を制御してロールR1から長尺媒体Mを順方向F1に繰り出し、エンコーダ67が検出する第二搬送駆動部62の駆動量と、エンコーダ69が検出する張力駆動部64の駆動量とに基づき、ロールR1の径を推定する。
【0050】
ロールR1の径の推定は、例えば特開2021-095289号公報に記載される推定の手順により行われる。簡単に説明すると、第一制御部50は、基準時刻t0から現時刻tまでに長尺媒体Mが繰り出された搬送量L1(t)を、第二搬送部36のローラの半径rPと、ローラの回転位置θPFとに基づき、式L1(t)=rP・(θPF(t)-θPF(t0))により算出する。回転位置θPFは、エンコーダ67の値に基づき導出される。搬送装置10は、張力付与部35の位置X1(t)に基づき、ロールR1から第一搬送部7までの経路長D1(t)を導出する。位置X1は、エンコーダ69の値に基づき導出される。第一記憶部51は、位置X1と経路長D1との関係を示すテーブルを記憶する。第一制御部50は、経路長D1の変化量δD1を、式δD1(t)=D1(t)-D1(t0)により算出する。第一制御部50は、ロールR1の回転位置θSRの変化量δθ1を、式δθ1(t)=θSR(t)-θSR(t0)により算出する。回転位置θSRは、エンコーダ66の値に基づき導出される。第一制御部50は、ロールR1の径r1を式r1=(L1(t)+δD1(t))/δθ1(t)により推定する。
【0051】
第一制御部50は、単独検知処理を開始する(S6)。第一制御部50は、単独検知処理において、搬送経路Q1における搬送不良(例えば、ジャム、破断)の発生の有無を検知する。単独検知処理の詳細は後述する。第一制御部50は、初期処理を終了する。
【0052】
第一制御部50は、リワインダ20との協働搬送にて印刷を行う指示を受け付け、リワインダ20との協働搬送を実行する場合(S3:YES)、繰出処理を実行する(S7)。第一制御部50は、S7において、搬送駆動部を制御してロールR1から長尺媒体Mを順方向F1に繰り出す。第一制御部50は、媒体検出部53の検出結果に基づき、長尺媒体Mの先端を排出口12まで繰り出す。
【0053】
第一制御部50は、搬送装置10とリワインダ20との間での長尺媒体Mの接続が完了したことを示す接続信号を受け付けたか否かを判断する(S8)。作業者は、S7で排出口12まで繰り出された長尺媒体Mの先端をリワインダ20のロールR2に巻回された長尺媒体Mの先端と接続する。作業者は、操作部14を介して、接続信号を第一制御部50に入力する。第一制御部50は、接続信号を受け付けていないと判断した場合(S8:NO)、処理をS8に戻す。
【0054】
第一制御部50は、接続信号を受け付けたと判断した場合(S8:YES)、第二制御部70との通信が可能であるか否かを判断する(S9)。第一制御部50は、S9において、例えば第一通信部52と第二通信部72との間で3ウェイハンドシェイクを行った結果に基づき判断する。第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能でないと判断した場合(S9:NO)、処理をS4に移行する。
【0055】
第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能であると判断した場合(S9:YES)、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されているか否かを判断する(S10)。第一制御部50は、S10において、搬送駆動部を制御してロールR1から長尺媒体Mを順方向F1に繰り出す。第一制御部50は、第二制御部70を介して、巻取駆動部81を制御して長尺媒体Mを逆方向B2に搬送し、ロールR2に巻き取る。第一制御部50は、張力検出部54、74が検出したバックテンションの大きさに基づき、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されているか否かを判断する。
【0056】
第一制御部50は、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていないと判断した場合(S10:NO)、処理をS4に移行する。即ち、第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能でないと判断した場合(S9:NO)、又は搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていないと判断した場合(S10:NO)、単独初期化処理(S5)を実行し、単独検知処理を開始する。
【0057】
第一制御部50は、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていると判断した場合(S10:YES)、複合フラグをONにして(S11)、複合初期化処理を実行する(S12)。第一制御部50は、S12において、搬送装置10とリワインダ20との協働で初期化を行う。第一制御部50は、エンコーダ66~69の初期化、及びロールR1の径を推定する。第一制御部50は、第二制御部70を介して、エンコーダ86、87の初期化、及びロールR2の径を推定する。ロールR2の径の推定方法は、ロールR1の径の推定方法と同様でもよいし、違ってもよい。
【0058】
第一制御部50は、複合検知処理を開始する(S13)。第一制御部50は、複合検知処理において、搬送経路Q1、Q2における搬送不良発生の有無、及び発生した搬送不良の種類を検知する。複合検知処理の詳細は後述する。第一制御部50は、初期処理を終了する。
【0059】
図5を参照して、搬送装置10の第一制御部50によって実行される印刷開始処理について説明する。印刷開始処理は、搬送装置10による長尺媒体Mの印刷媒体への印刷を開始する為の処理である。印刷開始処理は、初期処理の実行後、操作部14から初期処理の実行の指示が入力された場合に実行される。
【0060】
第一制御部50は、印刷開始処理が開始されると、協働搬送の実行が設定されているか否かを判断する(S21)。第一制御部50は、S21において、複合フラグの状態に基づき判断する。第一制御部50は、複合フラグがOFFであり、協働搬送の実行が設定されてないと判断した場合(S21:NO)、処理をS32に移行する。
【0061】
第一制御部50は、協働搬送の実行が設定されていると判断した場合(S21:YES)、第一通信部52を介して、第二制御部70との通信が可能であるか否かを判断する(S22)。S22において、第二制御部70との通信が可能であるか否かを判断する方法は、S9(
図4参照)において実行される判断方法と同様でもよいし、違ってもよい。
【0062】
第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能であると判断した場合(S22:YES)、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されているか否かを判断する(S23)。S23において、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されているか否かを判断する方法は、S10(
図4参照)において実行される判断方法と同様でもよいし、違ってもよい。第一制御部50は、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていると判断した場合(S23:YES)、処理をS28に移行する。
【0063】
第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能でないと判断した場合(S22:NO)、又は搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていないと判断した場合(S23:NO)、未接続報知を実行する(S24)。第一制御部50は、S24において、表示部13を介して、リワインダ20と通信できない、又は搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていない状態であることを報知する。
【0064】
第一制御部50は、搬送方法を指定する指示の入力を、操作部14を介して受け付けたか否かを判断する(S25)。作業者は、搬送装置10が単独で印刷を行う指示、又はリワインダ20との協働搬送にて印刷を行う指示の何れかを操作部14に再入力する。第一制御部50は、搬送方法を指定する指示の入力を受け付けていない場合(S25:NO)、処理をS25に戻す。
【0065】
第一制御部50は、搬送方法を指定する指示の入力を受け付けた場合(S25:YES)、受け付けた指示に基づき、リワインダ20との協働搬送を実行するか否かを判断する(S26)。第一制御部50は、リワインダ20との協働搬送にて印刷を行う指示を受け付け、リワインダ20との協働搬送を実行する場合(S26:YES)、複合初期化処理を実行する(S27)。第一制御部50は、処理をS28に移行する。
【0066】
第一制御部50は、複合搬送を開始する(S28)。第一制御部50は、S28において、搬送駆動部を制御してロールR1から長尺媒体Mを順方向F1に繰り出す。第一制御部50は、第二制御部70を介して、巻取駆動部81を制御して長尺媒体Mを逆方向B2に搬送し、ロールR2に巻き取る。長尺媒体Mは、搬送装置10とリワインダ20との間で搬送される。第一制御部50は、処理をS32に移行する。
【0067】
第一制御部50は、搬送装置10が単独で印刷を行う指示を受け付け、リワインダ20との協働搬送を実行しない場合(S26:NO)、複合フラグをOFFにして(S29)、単独検知処理を開始する(S30)。第一制御部50は、単独搬送を開始する(S31)。第一制御部50は、S31において、搬送駆動部を制御してロールR1から長尺媒体Mを順方向F1に繰り出す。長尺媒体Mは、搬送装置10により単独で搬送される。第一制御部50は、処理をS32に移行する。
【0068】
第一制御部50は、複合搬送(S28)又は単独搬送(S31)を開始した後、印刷を開始する(S32)。第一制御部50は、印刷部38を制御して長尺媒体Mの印刷媒体への画像の印刷を開始する。印刷媒体に画像が印刷された長尺媒体Mは、協働搬送で搬送される場合、リワインダ20のロールR2に巻き取られる。印刷媒体に画像が印刷された長尺媒体Mは、搬送装置10により単独で搬送される場合、排出口12から排出される。第一制御部50は、印刷開始処理を終了する。
【0069】
図6を参照して、搬送装置10の第一制御部50によって実行される単独検知処理について説明する。単独検知処理は、搬送経路Q1における搬送不良の発生の有無を検知する為の処理である。単独検知処理は、S6(
図4参照)、S31(
図5参照)において開始される。
【0070】
第一制御部50は、単独検知処理が開始されると、張力が開放されたか否かを判断する(S41)。長尺媒体Mの破断又はジャムが発生した場合、バックテンションが張力付与部35により長尺媒体Mに付与されなくなる。このとき、張力検出部54が検出するバックテンションの大きさは0になる。第一制御部50は、バックテンションの大きさが0ではなく、張力が開放されていないと判断した場合(S41:NO)、処理をS41に戻す。
【0071】
第一制御部50は、バックテンションの大きさが0であり、張力が開放されていると判断した場合(S41:YES)、緊急停止を実行する(S42)。第一制御部50は、S42において、即座に搬送駆動部及び印刷部38の駆動を停止し、長尺媒体Mの搬送及び長尺媒体Mへの印刷を停止する。
【0072】
第一制御部50は、単独復帰方法報知を実行する(S43)。第一制御部50は、S43において、
図8に示す画像91を表示部13に表示する。画像91には、搬送不良が発生したこと、及び搬送不良からの復帰方法が掲示される。作業者は、画像91に掲示された復帰方法に沿って、長尺媒体Mを搬送経路Q1にセットする。
【0073】
第一制御部50は、搬送経路Q1に長尺媒体Mのセットが完了したか否かを判断する(S44)。作業者は、搬送経路Q1に長尺媒体Mのセットが完了したことを示す単独完了信号を、操作部14を介して第一制御部50に入力する。第一制御部50は、単独完了信号の入力を受け付けておらず、搬送経路Q1に長尺媒体Mのセットが完了していないと判断した場合(S44:NO)、処理をS44に戻す。
【0074】
第一制御部50は、単独完了信号の入力を受け付けて、搬送経路Q1に長尺媒体Mのセットが完了したと判断した場合(S44:YES)、単独初期化処理を実行し(S45)、単独検知処理を終了する。
【0075】
図7を参照して、搬送装置10の第一制御部50によって実行される複合検知処理について説明する。複合検知処理は、搬送経路Q1、Q2における搬送不良発生の有無、及び発生した搬送不良の種類を検知する為の処理である。複合検知処理は、S13(
図4参照)において開始される。
【0076】
第一制御部50は、複合検知処理が開始されると、搬送装置10において張力が開放されたか否かを判断する(S51)。第一制御部50は、S51において、張力検出部54が検出するバックテンションの大きさに基づき判断する。第一制御部50は、張力検出部54が検出するバックテンションの大きさが0ではなく、搬送装置10において張力が開放されていないと判断した場合(S51:NO)、処理をS51に戻す。
【0077】
第一制御部50は、張力検出部54がバックテンションの大きさが0であり、搬送装置10において張力が開放されていると判断した場合(S51:YES)、第一通信部52を介して、確認信号を第二制御部70に送信する(S52)。確認信号を受信した第二制御部70は、第二通信部72を介して、応答信号を第一制御部50に送信する。応答信号には、リワインダ20の張力検出部74が検出するバックテンションの大きさの情報が含まれる。
【0078】
第一制御部50は、第二制御部70から応答信号を受信したか否かを判断する(S53)。第一制御部50は、応答信号を受信していないと判断した場合(S53:NO)、処理をS53に戻す。
【0079】
第一制御部50は、応答信号を受信したと判断した場合(S53:YES)、リワインダ20において張力が開放されたか否かを判断する(S54)。第一制御部50は、S54において、張力検出部74が検出するバックテンションの大きさに基づき判断する。
【0080】
長尺媒体Mが搬送経路Q1、Q2で破断した場合、張力付与部35、45によるバックテンションが長尺媒体Mに付与されなくなる。このとき、張力検出部54、74が検出するバックテンションの大きさが何れも0になる。第一制御部50は、張力検出部74が検出するバックテンションの大きさが0であり、リワインダ20において張力が開放されていると判断した場合(S54:YES)、長尺媒体Mが破断したとして、S54の判断が行われた時点で印刷中の画像の印刷が完了したか否かを判断する(S55)。第一制御部50は、印刷中の画像の印刷が完了していないと判断した場合(S55:NO)、処理をS55に戻す。
【0081】
第一制御部50は、印刷中の画像の印刷が完了したと判断した場合(S55:YES)、搬送駆動部及び印刷部38の駆動を停止し、長尺媒体Mの搬送及び長尺媒体Mへの印刷を停止する(S56)。第一制御部50は、第一通信部52を介して、第二制御部70に巻取信号を送信する(S57)。
【0082】
巻取信号を受信した第二制御部70は、所定距離の長尺媒体Mを逆方向B2に搬送し、ロールR2に巻き取った後、長尺媒体Mの搬送を停止する。本実施形態において、所定距離は、搬送装置10の第三搬送部37から巻取部41までの長さに基づく距離である。第二制御部70は、第二通信部72を介して、第一制御部50に巻取完了信号を送信する。
【0083】
第一制御部50は、巻取信号を送信した後、第二制御部70から巻取完了信号を受信したか否かを判断する(S58)。第一制御部50は、第二制御部70から巻取完了信号を受信していないと判断した場合(S58:NO)、処理をS58に戻す。
【0084】
第一制御部50は、第二制御部70から巻取完了信号を受信した場合(S58:YES)、破断復帰方法報知を実行する(S59)。第一制御部50は、S59において、
図9に示す画像92を表示部13に表示する。画像92には、搬送不良として長尺媒体Mの破断が発生したこと、及び長尺媒体Mの破断からの復帰方法が掲示される。作業者は、画像92に掲示された復帰方法に沿って、長尺媒体Mを搬送経路Q1、Q2にセットする。第一制御部50は、処理をS63に移行する。
【0085】
搬送経路Q1、Q2においてジャムが発生した場合、長尺媒体Mを搬送できない状態で、搬送装置10の第一搬送部31がロールR1から長尺媒体Mを繰り出し、リワインダ20の巻取部41がロールR2に長尺媒体Mを巻き取る。このとき、張力検出部54が検出するバックテンションの大きさは0になり、張力検出部74が検出するバックテンションの大きさは0よりも大きくなる。
【0086】
第一制御部50は、張力検出部74が検出するバックテンションの大きさが0でなく、リワインダ20において張力が開放されていないと判断した場合(S54:NO)、ジャムが発生したとして、緊急停止を実行する(S60)。第一制御部50は、S60において、即座に搬送駆動部及び印刷部38の駆動を停止し、搬送装置10における長尺媒体Mの搬送及び長尺媒体Mへの印刷を停止する。
【0087】
第一制御部50は、第一通信部52を介して、第二制御部70に緊急停止信号を送信する(S61)。緊急停止信号を受信した第二制御部70は、即座に巻取駆動部81の駆動を停止し、リワインダ20における長尺媒体Mの搬送を停止する。
【0088】
第一制御部50は、ジャム復帰方法報知を実行する(S62)。第一制御部50は、S62において、
図10に示す画像93を表示部13に表示する。画像93には、搬送不良としてジャムが発生したこと、及びジャムからの復帰方法が掲示される。作業者は、画像93に掲示された復帰方法に沿って、長尺媒体Mを搬送経路Q1、Q2にセットする。第一制御部50は、処理をS63に移行する。
【0089】
第一制御部50は、搬送経路Q1、Q2に長尺媒体Mのセットが完了したか否かを判断する(S63)。作業者は、搬送経路Q1、Q2に長尺媒体Mのセットが完了したことを示す複合完了信号を、操作部14を介して第一制御部50に入力する。第一制御部50は、複合完了信号の入力を受け付けておらず、搬送経路Q1、Q2に長尺媒体Mのセットが完了していないと判断した場合(S63:NO)、処理をS63に戻す。
【0090】
第一制御部50は、複合完了信号の入力を受け付けて、搬送経路Q1、Q2に長尺媒体Mのセットが完了したと判断した場合(S63:YES)、複合初期化処理を実行し(S64)、複合検知処理を終了する。
【0091】
以上説明したように、搬送装置10の第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能であるか否かを判断する(S9)。第一制御部50は、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されているか否かを判断する(S10)。第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能であると判断し(S9:YES)、且つ搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていると判断した場合(S10:YES)、複合検知処理を開始する(S13)。複合検知処理は、搬送経路Q1、Q2における搬送不良発生の有無、及び発生した搬送不良の種類を検知する為の処理である。第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能でないと判断した場合(S9:NO)、又は搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていないと判断した場合(S10:NO)、単独検知処理(S6)を開始する。単独検知処理は、搬送経路Q1における搬送不良の発生の有無を検知する為の処理である。搬送装置10は、第二制御部70との通信が可能であるか否かと、搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されているか否かに基づき、単独検知処理と、複合検知処理とに切り替える。よって、搬送装置10は、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合、及び長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合の何れの場合においても、搬送不良を正確に検知できる。
【0092】
第一制御部50は、複合検知処理において、搬送経路Q1、Q2にて搬送不良が発生した場合、搬送駆動部及び印刷部38の駆動を停止し、長尺媒体Mの搬送及び長尺媒体Mへの印刷を停止する(S56)。第一制御部50は、第二制御部70に巻取信号を送信する(S57)。巻取信号を受信した第二制御部70は、所定距離の長尺媒体Mを逆方向B2に搬送し、ロールR2に巻き取った後、長尺媒体Mの搬送を停止する。第一制御部50は、単独検知処理において、搬送経路Q1にて搬送不良が発生した場合、緊急停止を実行する(S42)。搬送装置10は、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合とで、長尺媒体Mの搬送停止の処理を切り替える。よって、搬送装置10は、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合、及び長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合のそれぞれの場合に合わせて、長尺媒体Mの搬送を停止できる。
【0093】
第一制御部50は、搬送装置10及びリワインダ20において張力が開放された場合(S51:YES、S54:YES)、長尺媒体Mが破断したとして、S54の判断が行われた時点で印刷中の画像の印刷が完了した後、長尺媒体Mの搬送及び長尺媒体Mへの印刷を停止する(S56)。第一制御部50は、第二制御部70に巻取信号を送信する(S57)。巻取信号を受信した第二制御部70は、所定距離の長尺媒体Mを逆方向B2に搬送し、ロールR2に巻き取った後、長尺媒体Mの搬送を停止する。第一制御部50は、搬送装置10において張力が開放され(S51:YES)、且つリワインダ20において張力が開放されていないと判断した場合(S54:NO)、ジャムが発生したとして、緊急停止を実行する(S60)。第一制御部50は、第二制御部70に緊急停止信号を送信する(S61)。緊急停止信号を受信した第二制御部70は、即座に巻取駆動部81の駆動を停止し、リワインダ20における長尺媒体Mの搬送を停止する。搬送装置10は、検知された搬送不良の種類に応じて、搬送中の長尺媒体Mの搬送を停止する方法を変更する。よって、搬送装置10は、搬送不良の種類に応じて適切に長尺媒体Mの搬送を停止できる。
【0094】
第一制御部50は、搬送経路Q1、Q2にて搬送不良が発生した場合、破断復帰方法報知(S59)、又はジャム復帰方法報知(S62)を実行する。第一制御部50は、S59において、
図9に示す画像92を表示部13に表示する。第一制御部50は、S62において、
図10に示す画像93を表示部13に表示する。搬送経路Q1にて搬送不良が発生した場合、単独復帰方法報知を実行する(S43)。第一制御部50は、S43において、
図8に示す画像91を表示部13に表示する。搬送装置10は、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、長尺媒体Mをリワインダ20との協働搬送をする場合とで、表示部13により報知する復帰方法を切り替える。よって、搬送装置10は、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、長尺媒体Mをリワインダ20との協働搬送をする場合のそれぞれの場合に合わせて、長尺媒体Mの搬送を復帰させることができる。
【0095】
第一制御部50は、搬送経路Q1、Q2にて搬送不良が発生した場合、複合初期化処理を実行する(S64)。第一制御部50は、複合初期化処理において、搬送装置10とリワインダ20との協働で初期化を行う。第一制御部50は、搬送経路Q1にて搬送不良が発生した場合、単独初期化処理を実行する(S5)。第一制御部50は、単独初期化処理において、搬送装置10が単独で初期化を行う。搬送装置10は、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合とで、初期化の処理を切り替える。よって、搬送装置10は搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合のそれぞれの場合に合わせて、初期化することができる。
【0096】
搬送装置10は、長尺媒体Mにバックテンションを付与する張力付与部35を備える。張力検出部54は、長尺媒体Mが張力付与部35により付与されたバックテンションの大きさに応じた検出結果を第一制御部50に入力する。搬送装置10は、張力付与部35により長尺媒体Mに付与されるバックテンションの大きさを検知することで、搬送不良を検知する。これにより、搬送装置10は、ジャム、媒体の破断等の長尺媒体Mに付与される張力に起因する搬送不良を検知できる。
【0097】
上記実施形態において、長尺媒体Mが本発明の「媒体」に相当する。張力検出部74が本発明の「巻取検知部」に相当する。第二通信部72が本発明の「巻取通信部」に相当する。第一搬送部31が本発明の「供給部」に相当する。張力検出部54が本発明の「搬送検知部」に相当する。第一通信部52が本発明の「搬送通信部」に相当する。第一制御部50が本発明の「搬送制御部」に相当する。S9、S22を実行する第一制御部50が本発明の「第一判定処理」に相当する。S10、S23を実行する第一制御部50が本発明の「第二判定処理」に相当する。単独検知処理、複合検知処理を実行する第一制御部50が本発明の「検知処理」に相当する。S42、S56、S60を実行する第一制御部50が本発明の「停止処理」に相当する。表示部13が本発明の「報知部」に相当する。S45、S59、S62を実行する第一制御部50が本発明の「報知処理」に相当する。S45、S64を実行する第一制御部50が本発明の「初期化処理」に相当する。
【0098】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、第二制御部70が初期処理、印刷開始処理、単独検知処理、及び複合検知処理を実行してもよい。この場合、第二制御部70が本発明の「巻取制御部」に相当する。第一制御部50は、第二通信部72を介して送信される第二制御部70の指示に基づき、長尺媒体Mの搬送及び印刷媒体への印刷を行う。単独初期化処理(S5、S45)、単独検知処理、S31で開始される単独搬送(S31)、S42で実行される緊急停止、及びS43で実行される単独復帰方法報知は、リワインダ20において実行される。
【0099】
搬送システム1が搬送装置10及びリワインダ20を統括制御する制御装置を備え、当該制御装置が初期処理、印刷開始処理、単独検知処理、及び複合検知処理を実行してもよい。この場合、第一制御部50は、制御装置の指示に基づき、長尺媒体Mの搬送及び印刷媒体への印刷を行う。第二制御部70は、制御装置の指示に基づき、長尺媒体Mの搬送を行う。
【0100】
搬送装置10の初期処理等の各ステップは、第一制御部50のCPUによって実行される例に限定されない。初期処理等の各ステップの一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。初期処理等は、複数の電子機器(例えば、第二制御部70のCPU)によって分散処理されてもよい。搬送装置10上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が、第一制御部50からの指示に基づき初期処理等の一部又は全部を行う態様も、本発明の範囲に含まれる。
【0101】
初期処理等を実行するためのプログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、第一記憶部51に記憶されてもよい。初期処理等を実行するためのプログラムは、サーバに備えられたHDDなどの非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【0102】
搬送装置10は、印刷部38を備えなくてもよい。リワインダ20は、長尺媒体Mの印刷媒体に印刷を行う印刷部を備えてもよい。搬送システム1は、搬送装置10の排出口12から排出された長尺媒体Mの印刷媒体に印刷を行う印刷装置を備えてもよい。
【0103】
第一通信部52及び第二通信部72は、ケーブル2を介さず、搬送装置10とリワインダ20とを無線接続可能に構成されていてもよい。
【0104】
搬送装置10は、印刷部38として、インクジェットヘッドの他、サーマルプリントヘッド、LEDプリントヘッド等、種々のプリントヘッドを採用してもよい。
【0105】
上記実施形態において、第一搬送部31、第二搬送部36、第三搬送部37、巻取部48はローラを用いて構成されているが、例えば無端ベルトで長尺媒体Mを搬送するよう構成されていてもよい。
【0106】
上記実施形態において、媒体検出部53は、印刷媒体の先端の有無を検出したが、これに限らない。例えば、媒体検出部53は、長尺媒体Mの有無を検出してもよい。この場合、第一制御部50は、媒体検出部53による長尺媒体Mの有無の検出結果に基づき、長尺媒体Mの破断した位置を検出することができる。また、長尺媒体Mにおける印刷媒体のそれぞれの間にマーカが設けられる場合、媒体検出部53は該マーカの有無を検出してもよい。
【0107】
リワインダ20は第二制御部70に各種指示を入力する操作部を備えてもよい。リワインダ20は画像を表示する表示部を備えてもよい。この場合、破断復帰方法報知(S59)、又はジャム復帰方法報知(S62)の少なくとも一方において、搬送装置10の表示部13と共にリワインダ20の表示部が搬送不良からの復帰方法を報知してもよい。
【0108】
長尺媒体Mは、用紙に刻まれたミシン目に沿って折りたたまれているファンフォールド紙でもよい。長尺媒体Mは、ミシン目、切り込み、及び切れ目を有さなくてもよい。
【0109】
初期処理等の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略及び追加が可能である。例えば、S24~S27の処理を省略してもよい。この場合、第一制御部50は、第二制御部70との通信が可能でないと判断した場合(S22:NO)、又は搬送装置10とリワインダ20との間で長尺媒体Mが接続されていないと判断した場合(S23:NO)、処理をS29に移行してもよい。
【0110】
S42、S56、S60で実行される長尺媒体Mの搬送停止の処理が、同様の態様で実行されてもよい。即ち、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、及び長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合とで、同じ態様で長尺媒体Mの搬送が停止されてもよい。
【0111】
複合検知処理において、検知された搬送不良の種類に応じて搬送を停止する方法を変更しなくてもよい。この場合、S52~S54の処理を省略してもよい。
【0112】
S43、S59、S62で実行される搬送の復帰方法の報知の処理が、同様の態様で実行されてもよい。即ち、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、及び長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合とで、同じ態様で搬送の復帰方法が報知されてもよい。複合検知処理において、検知された搬送不良の種類に応じて搬送の復帰方法の報知を変更しなくてもよい。
【0113】
S5、S11、S27、S45、S64で実行される初期化の処理が、同様の態様で実行されてもよい。即ち、搬送装置10が単独で長尺媒体Mを搬送する場合と、及び長尺媒体Mをリワインダ20と協働搬送をする場合とで、同じ態様で初期化の処理が実行されてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 印刷システム
10 印刷装置
13 表示部
20 リワインダ
31 第一搬送部
35、45 張力付与部
41 巻取部
50 第一制御部
52 第一通信部
54、74 張力検出部
70 第二制御部
72 第二通信部
M 長尺媒体