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特開2024-83458ヒンジ接続型構成部材及びこのような構成部材を備える機械システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083458
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ヒンジ接続型構成部材及びこのような構成部材を備える機械システム
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20240614BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20240614BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20240614BHJP
   F16C 33/74 20060101ALI20240614BHJP
   F16J 15/3268 20160101ALI20240614BHJP
【FI】
F16C11/04 S
F16C17/02 Z
F16C33/10 Z
F16C33/74 Z
F16J15/3268
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060705
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2021500710の分割
【原出願日】2019-07-03
(31)【優先権主張番号】1856323
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】506126266
【氏名又は名称】イドロメカニーク・エ・フロットマン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・プロスト
(72)【発明者】
【氏名】ピエリック・パヴァリエ
(57)【要約】
【課題】摩耗及び固着に対する優れた耐久性並びに改善した耐用年数を有するヒンジ接続型構成部材を提供する。
【解決手段】本発明は、1の自由度を有するヒンジ接続型構成部材(1)に関し、このヒンジ接続型構成部材は、中心軸回りに互いに対して回転可能な少なくとも2つの同心状リング(10、20)を備え、これら少なくとも2つの同心状リングは、間に摩擦界面(40)を画成し、内側摩擦面(12)を有する外側リング(10)と、外側摩擦面(22)と、回転、振動及び/または平行移動において構成部材(1)によって案内される移動可能部材(2)を受けることを意図した内側摩擦面(24)と、を有する内側リング(20)と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の自由度を有するヒンジ接続型構成部材(1)であって、鋼鉄製の2つのみの同心状リング(10、20)を備え、前記同心状リングが中心軸(X1)回りに互いに対して回転可能であり、当該同心状リング間に摩擦界面を画成し、
-内側筒状摩擦面(12)を有する外側リング(10)と、
-外側筒状摩擦面(22)と、回転、振動及び/または平行移動において当該構成部材(1)によって案内される移動可能部材を受けることを意図した内側筒状摩擦面(24)と、を有する内側リング(20)と、
を有し、
前記摩擦界面が、前記外側リング(10)の前記内側筒状摩擦面(12)と前記内側リング(20)の前記外側筒状摩擦面(22)との間に直接画成されており、かつ、前記摩擦界面は潤滑剤(L)を受け、
前記外側リング(10)の内側筒状摩擦面(12)、及び、前記内側リング(20)の内側筒状摩擦面(24)は、前記リングのベース材料とは異なる物理特性を有する表面処理または被覆(16,26)、及び、潤滑剤の貯留部として機能できる配列(18;28)を備え、かつ
前記外側リング(10)に対する前記内側リング(20)の軸方向変位を制限する封止手段であって、前記摩擦界面の各側にあるフランジ(62,64)と、前記内側リング(20)と前記摩擦界面の各側における前記フランジとの間に介装されたワッシャ(66,68)と、を備える封止手段を備える
ことを特徴とするヒンジ接続型構成部材。
【請求項2】
請求項1に記載のヒンジ接続型構成部材(1)と、回転、振動及び/または平行移動において前記構成部材(1)によって案内される移動可能部材(2)と、を備えることを特徴とする機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの同心状リングを備えるヒンジ接続型構成部材に関し、この同心状リングは、互いに対して移動可能であり、これら同心状リング間に摩擦界面を画成する。本発明は、同様に、このような構成部材を備える機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、案内部材が連続的なまたは往復運動で平行移動におけるまたは回転における案内機能を提供する分野である。
【0003】
従来、このような案内部材は、リングを備えており、軸体すなわちシャフトのような素子を連接するかつ/または変位させることができるように装着されるよう設計されている。
【0004】
実際には、このような機械システムは、高圧、腐食、磨減、衝撃などの著しい動作ストレスを受ける。機械システムの耐用年数を改善するために、リングと軸体との間には潤滑剤が供給される。
【0005】
リングには、例えば出願人による特許文献1から特許文献3内で説明されているように、グリス貯留部として機能する配列が設けられ得る。
【0006】
機械システムが動作していると、グリスは、リングと軸棒との間の摩擦界面を潤滑化するために、配列から徐々に出てくる。このため、配列は、組立中のみのあるいは長い潤滑時間間隔での潤滑を可能とする。
【0007】
出願人は、案内部材の分野で優れた専門知識を有しており、既存のシステムを改善することを継続して摸索している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0987456号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/091123号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2014/091124号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ヒンジ接続型構成部材を提供することであり、このヒンジ接続型構成部材は、摩耗及び固着 (seizure) に対する優れた耐久性並びに改善した耐用年数を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、単一自由度を有するヒンジ接続型構成部材に関し、このヒンジ接続型構成部材は、中心軸回りに互いに対して回転移動可能な少なくとも2つの同心状リングを備え、これらリング間に摩擦界面を画成しており、このヒンジ接続型構成部材は、内側摩擦面を有する外側リングと、外側摩擦面と回転、振動及び/または平行移動において構成部材によって案内される移動可能部材を受けることを意図した内側摩擦面と、を有する内側リングと、を有する。
【0011】
このため、本発明は、耐久性があり小型で実施が簡素な構成部材を提供できる。構成部材は、単一のリングからなりかつ同様の寸法及び容積を揺する構成部材と比較すると、改善した耐用年数を有する。
【0012】
構成部材は、3つの摩耗面を形成する3つの摩擦面を有する。単一の内側摩擦面を有する単一のリングからなる構成部材と比較すると、本発明にかかる構成部材の耐用年数は、3倍になるだろう。驚くことに、構成部材のその耐用年数に関する経験は、少なくとも5倍であった。
【0013】
単一の連接リングの場合において、摩耗は、主として、円周の1/3にわたって延在する角度方向セクタにわたって局所化され、内側リングは、外側リングに対して回転し、これにより、潜在的な摩耗面、ひいては構成部材の耐用年数を大きく増加させる。
【0014】
実際には、分かり得ることは、2つのリング間の摩擦界面が優先されること、である。両摩擦面は、主摩耗面の機能を行う。この界面が固着すると、内側リングの内側摩擦面は、摩耗面としての機能を引き継ぐ。
【0015】
有利には、構成部材は、3つの摩擦面を有しており、これら摩擦面には、表面処理もしくは被覆及び/または潤滑剤の貯留部として機能できる配列が設けられ得る。このため、本発明は、構成部材の設計においてより大きな制御を提供し、用途ごとに構成部材の摩耗抵抗を調整できる。
【0016】
単独でまたは組み合わせて考慮され得る本発明の他の有利な特徴によれば:
-摩擦界面を区画する摩擦面は、筒状である;
-摩擦界面を区画する摩擦面は、若干湾曲している、摩擦面それぞれの絶対曲げ半径は、対象の摩擦界面の半径よりも完全に大きい;
-リング間の摩擦界面は、潤滑剤を受ける、構成部材は、摩擦界面から潤滑剤が漏洩することを防止するように設計された封止手段を備える;
-潤滑剤は、グリスである;
-構成部材は、外側リングに対する内側リングの軸方向及び角度方向の移動を制限する側部素子を備える;
-封止手段は、摩擦界面の第1側にあるフランジと、摩擦界面の第2側にある肩部と、を備える;
-封止手段は、摩擦界面の各側にあるフランジを備える;
-封止手段は、摩擦界面の各側において、一方で内側リングとフランジまたは肩部との間に介装されたワッシャを備える;
-ワッシャは、PTFEである;
-摩擦面のうちの少なくとも1つは、リングのベース材料とは異なる物理特性を有する表面処理または被覆を有する;
-表面処理または被覆は、多層または単層である;
-被覆は、物理気相成長法(PVD)を用いて生成されている;
-被覆は、化学気相成長法(CVD)を用いて生成されている;
-被覆は、溶射を用いて形成されている;
-被覆は、コールドスプレーを用いて形成されている;
-被覆は、粉体形状で噴霧されている;
-被覆は、液滴形状で噴霧されている;
-被覆は、高速酸素燃料(HVOF)を熱噴霧することを用いて生成される;
-被覆は、レーザクラッディングを用いて生成される;
-被覆は、固着防止されている;
-被覆は、特に1μm以上5μm以下の、例えば3μmの厚さを有するDLC(ダイアモンドライクカーボン)型の無定形炭素からなる外側層を備える;
-被覆は、特に樹脂及び/または例えばPTFE、MoS2または黒鉛タイプの充填材を含む織補強もしくは不織補強に基づいた、自己潤滑性複合材料からなる外側層を備える;
-被覆は、高分子ラッカーを含む;
-処理は、窒化することであり、摩擦面は、特に5μm以上50μm以下の、例えば20μmの厚さを有する化合物層(酸化物被覆)を有する;
-処理は、0.5μm以上4mm以下の、例えば2mmの厚さにわたって硬化することである;
-摩擦面のうちの少なくとも1つは、潤滑剤の貯留部として機能できる配列を備える;
-配列は、円状または胞状断面のキャビティを備える;
-キャビティは、マイクロキャビティであり、マイクロキャビティそれぞれは、2mm以上15mm以下の、例えば6mmの直径を有する;
-キャビティは、マイクロキャビティであり、マイクロキャビティそれぞれは、15μm以上100μm以下のより長い長さ及び50nm以上100μm以下の深さを有する;
-配列は、円状または螺旋状の溝部を備える;
-配列は、格子を備える;
-配列は、山形状模様を備える;
-同じ表面は、複数の様々なタイプのまたは1つのみのタイプの配列を備え得る;
-配列は、5%以上65%以下の表面密度を有し、表面は、表面密度は、配列によって覆われている全面積とこれら配列を含む上記領域の全面積との間の比率である;
-摩擦面それぞれは、リングのベース材料とは異なる物理特性及び/または潤滑剤を蓄積するように機能できる配列を備える;
-摩擦面のうちの少なくとも1つは、同時に、リングのベース材料とは異なる物理特性及び潤滑剤を蓄積するように機能できる配列を有する表面処理または被覆を備える;
-外側リング及び/または内側リングは、例えば鋼鉄、鋳鉄、アルミニウム、銅合金などの金属である;
-外側リング及び/または内側リングは、複合材料からなる;
-構成部材は、排他的に、2つの同心状リングを備え、摩擦界面は、外側リングの内側摩擦面と内側リングの外側摩擦面との間に直接画成されている;
-ヒンジ構成部材は、少なくとも3つの同心状リングを備える;
-ヒンジ構成部材は、3つのリングを備え、3つのリング間には、単一の摩擦界面が画成されている、すなわち、2つのリングは、例えば接着、溶接または他の技術を用いて、互いに対して取り付けられている;
-中間リングは、自己潤滑性である、より具体的には、中間リングの外側摩擦面及び/または内側摩擦面は、自己潤滑性である;
-中間リングは、繊維ストリップを巻回したものと充填材を含む樹脂とで構成され得、これら巻回したものと樹脂とは、一体的なリングを実施するように混合されており、ストリップは、フィラメントワインディング法を用いて複数層にわたって交差されている;
-ヒンジ構成部材は、3つのリングを備えており、各対のリング間には、摩擦界面が画成されている、すなわち、3つのリングは、互いに対して移動可能である;
-中間リングは、金属である;
-中間リングは、複合材料から形成されている;
-ヒンジ構成部材は、4以上のリングを備える。
【0017】
本発明は、同様に、機械システムに関し、この機械システムは、上述したヒンジ接続型構成部材と、回転、振動及び/または平行移動で構成部材によって案内される移動可能部材と、を備える。
【0018】
機械システムは、4つの摩擦面、すなわち、軸体の外面及びヒンジ接続型構成部材の3つの表面を備える。一のリング内に装着された軸体と比較して、機械システムの耐用年数は、大きく改善される。
【0019】
本発明は、非限定的な例としてのみ提供され以下の説明を添付の図面を参照して読むとより理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明にかかる機械システムを示す分解斜視図であって、この機械システムが、軸棒と、2つのリング及び封止手段からなるヒンジ接続型構成部材と、を備える、分解斜視図である。
図2図1の構成部材を示す側面図である。
図3図1の構成部材を示す斜視図である。
図4図2のVI-VI線に沿う横断面図である。
図5図4の詳細Vを示す拡大図である。
図6】本発明にかかる別の機械システムを示す分解斜視図であって、この機械システムが、軸棒と、変形例にかかるヒンジ接続型構成部材と、を備える、分解斜視図である。
図7図6の構成部材に関する図2と同様の図である。
図8図6の構成部材に関する図3と同様の図である。
図9図6の構成部材に関する図4と同様の図である。
図10図6の構成部材に関する図5と同様の図である。
図11】別の変形例にかかる構成部材に関する図4と同様の図であって、この構成部材が、それらの間に2つの摩擦界面を画成する3つのリングを備える、図である。
図12】別の変形例にかかる構成部材に関する図5と同様の図であって、この構成部材が、それらの間に2つの摩擦界面を画成する3つのリングを備える、図である。
図13】別の変形例にかかる構成部材に関する図4と同様の図であって、この構成部材が、それらの間に単一の摩擦界面を画成する3つのリングを備える、図である。
図14】別の変形例にかかる構成部材に関する図5と同様の図であって、この構成部材が、それらの間に単一の摩擦界面を画成する3つのリングを備える、図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図5には、本発明にかかる機械システムが示されており、この機械システムは、同様に本発明にかかるヒンジ接続型構成部材1と、構成部材1内に装着された軸棒2と、を備える。軸棒2は、回転(通常複数回転にわたる、一方向での回動)、振動(通常一回転のうちの一部にわたる、2つの交互方向での回動)及び/または平行移動(軸方向での移動)においてヒンジ接続型構成部材1によって案内される。
【0022】
ヒンジ接続型構成部材1は、2つの同心状リング10及び20を備え、これら同心状リングは、中心軸X1回りで互いに対して回転移動可能である。2つのリング10及び20は、これらリング間に摩擦界面40を画成し、この摩擦界面は、潤滑剤L,好ましくはグリスを受ける。
【0023】
2つのリング10及び20は、外側リング10及び内側リング20である。外側リング10は、内側筒状摩擦面12及び外側筒状摩擦面14を有する。内側リング20は、外側筒状摩擦面22及び内側筒状リング面24を有する。
【0024】
面12及び22は、これら面間に中心軸X1に対して径方向にある摩擦界面40を画成する。面14は、ボアホール内に外側リング10を装着するために設けられている。チャネル42は、面12及び14間でリング10を径方向で関して配設されており、それにより、界面40を潤滑させる。面24は、軸棒2、より正確には軸棒2の外側筒状面4を受けるために設けられている。このため、軸棒2は、回転、振動及び/または平行移動において構成部材1によって案内される。
【0025】
構成部材1は、摩擦界面40からの潤滑剤Lの漏洩を防止するように設計された封止手段60を備える。このため、構成部材1は、封止された潤滑構造を構成する。リング10及び20間の相対回転は、大きく容易にされ、固着する危険性を低減する。
【0026】
封止手段60は、外側リング10に対する内側リング20の軸方向変位を制限する横方向部材62、64、66及び68を備える。より具体的には、封止手段60は、界面40の第1側においてフランジ62及びワッシャ66を備え、摩擦界面40の第2側において肩部64及びワッシャ68を備える。素子62、64、66及び68は、環状であり、軸X1を中心としている。肩部64は、リング10の一部である。素子62、66及び68は、リング10及び20から分離している。ワッシャ68は、リング10に形成された溝部67内に装着されており、肩部64に当接している。素子62及び66は、この目的のためにリング10内に設けられた筐体61内に装着されており、肩部64とは反対側にある。
【0027】
あるいは、封止手段60は、構成部材1の両側に装着された2つの取り外し可能なフランジを備え得る。
【0028】
構成部材1は、非関節型である、すなわち、球面関節を構成しない。組み立てた構成部材1は、一自由度のみ、すなわち、中心軸X1回りにおけるリング10及び20間の回動接続を有している。リング10及び20は、軸X1回りに互いに対して自在に移動可能であるが、平行移動及び回転において、他の自由度に従って移動自在ではない。
【0029】
摩擦面12及び22は、筒状であり得る。
【0030】
あるいは、面12及び22は、若干湾曲し得る。すなわち、面12及び22は、回転面であり、円状セクション及び楕円状または放物線状の母面を有する。面12及び22(軸X1を含む径方向平面内とみなされる)それぞれの湾曲は、常に、摩擦界面40の半径(軸X1に対する横断方向の平面内とみなされる)よりも大きい半径を有する。
【0031】
好ましくは、摩擦面12/22/24のうちの少なくとも1つは、対応するリング10/20のベース材料とは異なる物理的性質を有する表面処理または被覆を備える。
【0032】
より好ましくは、摩擦面12/22/24のうちの少なくとも1つは、潤滑剤Lを蓄積するように機能できる配列を備える。
【0033】
依然として好ましくは、摩擦面12/22/24それぞれは、対応するリング10/20のベース材料とは異なる物理的性質を有する表面処理もしくは被覆、及び/または、潤滑剤Lの貯留部として機能できる配列、を備える。
【0034】
非限定的な例として、
-リング10及び20は、鋼鉄から形成されている、
-面12は、窒化処理を受けており、約20μmの化合物層(酸化物被覆)を有する窒化鋼の外側層16を有する、
-面12は、円状セクションキャビティの形態にある配列18を有し、この配列は、中心軸X1回りに均一に分布されており、リング10及び20間の界面40において潤滑剤Lを蓄積する様に機能できる、
-面22は、(例えばクロムまたは窒化クロムで構成された)副層を有してまたは有さないで、3μmのオーダーの厚さを有するDLCタイプの非晶質炭素の外側層26で被覆されている、かつ、
-面24は、円状溝部の形態にある配列28を有し、この配列は、中心軸X1回りに巻回しかつ中心軸X1に沿って一定の間隔をあけており、リング20と軸棒2との間の界面において潤滑剤Lを蓄積する様に機能できる。
【0035】
本発明は、弾性を有し、小型で実施が容易なヒンジ接続型構成部材を提供できるようにする。2つのリング10及び20を有する構成部材1は、単一のリングからなり同様の寸法及び容積を有する構成部材と比較して、改善した耐用年数を有する。
【0036】
単一の連接リングの場合において、摩耗は、主として、円周の1/3にわたって延在する角度方向セクタにわたって局所化され、内側リング20は、外側リング10に対して回転し、これにより、潜在的な摩耗面、ひいては構成部材の耐用年数を大きく増加させる。
【0037】
実際には、分かり得ることは、2つのリング10及び20間の摩擦界面40が、優先されること、である。両摩擦面12及び22は、主摩耗面の機能を行う。この界面40が固着すると、軸棒2の面4と接触する内側リング20の内側摩擦面24は、摩耗面としての機能を引き継ぐ。
【0038】
構成部材1は、3つの摩耗面を形成する3つの摩擦面12、22及び24を有し、これら摩擦面には、処理、被覆及び/または配列が設けられ得る。このため、本発明は、構成部材1の設計においてより大きな制御を提供し、用途ごとに構成部材の摩耗抵抗を調整できる。
【0039】
機械システムは、4つの摩擦面、すなわち、軸棒2の外側面4並びに構成部材1の3つの面12、22及び24を備える。単一のリング内に装着された軸棒と比較して、機械システムの耐用年数は、大きく改善される。
【0040】
本発明にかかる他の実施形態のヒンジ接続型構成部材1を図6から図14に示す。構成部材1の一部を形成する同じ素子は、上述した第1実施形態の素子と比較可能であり、簡素化を目的として、同じ参照符号を有する。
【0041】
図6から図10は、本発明にかかる別の機械システムを示しており、このシステムは、変形例の構成部材1と、構成部材1内に装着された軸棒2と、を備える。摩擦面12/22/24には、表面処理または被覆、及び、潤滑剤Lを貯留する配列がない。
封止手段60は、界面40の両側にあるフランジ62及び肩部64を備える。このため、構成部材1は、第1実施形態におけるよりも製造するのがより簡素でありかつ高価でない。処理、被覆または配列がないにもかかわらず、2つのリング10及び20を備える構成部材1は、単一のリングからなり同様の寸法及び容積を有する構成部材と比較して、改善した耐用年数を有する。
【0042】
図11及び図12は、変形例にかかるヒンジ接続型構成部材1を示しており、この構成部材は、互いに対して移動可能な3つの同心状リング10、20及び30を備える。リング30は、リング10及び20間に位置する。第1摩擦界面40は、リング10及び30間に画成される。第2摩擦界面50は、リング20及び30間に画成されている。構成部材1は、5つの摩耗面を形成する5つの摩擦面12、22、24、32及び34を有し、これら摩擦面には、処理、被覆及び/または配列が設けられ得る。
【0043】
図13及び図14は、変形例にかかるヒンジ接続型構成部材1を示しており、この構成部材は、3つの同心状リング10、20及び30を備える。リング30は、リング10及び20間に位置する。リング20及び30は、互いに移動可能であり、これらリング間に摩擦界面50を画成する。リング30は、例えば接着によって、リング10に取り付けられている。リング30は、繊維ストリップを巻回したものと充填材を含む樹脂とで構成され得、これら巻回したものと樹脂とは、一体的なリングを実施するように混合されており、ストリップは、フィラメントワインディング法を用いて複数層にわたって交差されている。構成部材1は、3つの摩耗面を形成する3つの摩擦面22、24及び32を有し、これら摩耗面には、処理、被覆及び/または配列が設けられ得る。
【0044】
実際には、ヒンジ接続型構成部材1は、本発明の範囲を越えずに、図1から図14とは異なって構成され得る。さらに、上述した様々な実施形態の技術的特徴は、全体としてまたは部分的に、互いに組み合わされ得る。このため、構成部材1は、コスト、機能性及び性能の観点で調整され得る。
【0045】
以下の表1から表5は、一連の試験を示しており、これら試験は、2つの参考リング(軸体を受ける単一のリング)と本発明にかかる様々な実施形態とを比較できる。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
一連の試験の結果は、以下の観測を可能とした。
-C-BH1型構成部材は、B1型リングのサイクル数の4.6倍と同等のサイクル数を完了した。
-C-BH2型構成部材は、B2型リングのサイクル数の3.6倍と同等のサイクル数を完了した。
-C-BH3型構成部材は、B2型リングのサイクル数の4倍と同等のサイクル数を完了した。
-C-B4型構成部材は、B2型リングのサイクル数の4.6倍と同等のサイクル数を完了した。
-C-BH5型構成部材のために行った試験は、500000サイクルで自発的に停止された。C-BH5型構成部材の耐用年数は、B2型リングの耐用年数よりもずっと大きい。
【0052】
このため、本発明は、耐久性があり小型かつ実施が簡素であるヒンジ接続型構成部材1を提供できる。複数のリングを備える構成部材1は、単一のリングからなり同様の寸法及び容積を有する構成部材と比較して、改善した耐用年数を有する。
【符号の説明】
【0053】
1 ヒンジ接続型構成部材、2 軸棒,移動可能部材、10 外側リング,同心状リング、12 内側筒状摩擦面、16 被覆,外側層、18 配列、20 内側リング,同心状リング、22 外側筒状摩擦面、24 内側筒状リング面、26 被覆,外側層、28 配列、30 同心状リング、40,50 摩擦界面、60 封止手段、62 フランジ,横方向部材,素子、64 肩部,横方向部材,素子、66,68 ワッシャ,横方向部材,素子、L 潤滑剤、X1 中心軸
図1
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【外国語明細書】