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特開2024-83462誘導結合システムの離調検出および補償
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083462
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】誘導結合システムの離調検出および補償
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240614BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G06K7/10 156
G06K7/10 176
H04B1/59
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060849
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2022533502の分割
【原出願日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】16/704,252
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501427157
【氏名又は名称】アッサ アブロイ アーベー
【氏名又は名称原語表記】ASSA ABLOY AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピルヒ、ハンス-ユルゲン
(57)【要約】
【課題】誘導結合読取機を動作させるための好適な技術を提供する。
【解決手段】本開示は、誘導結合読取機を動作させるための技術を記載する。これらの技術には、誘導結合読取機の共振周波数の変化を検出すること、共振周波数の変化を閾値と比較すること、共振周波数の変化が閾値の範囲外であると判定すること、共振周波数の変化が閾値の範囲外であると判定したことに応答して、補償回路を起動して誘導結合読取機の共振周波数の変化をオフセットすること、を含む複数の動作を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
1つまたは複数のプロセッサが、誘導結合読取機の共振周波数の変化を検出すること、
前記1つまたは複数のプロセッサが、電流の予想電流量をメモリに記憶すること、
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記メモリから前記予想電流量を周期的に読み出すこと、
前記メモリから前記予想電流量を周期的に読み出すことに応答して、前記1つまたは複数のプロセッサが、前記誘導結合読取機に流されている電流量を前記メモリから読み出された前記予想電流量と比較することにより、前記共振周波数の前記変化を検出すること、
前記1つまたは複数のプロセッサが、補償回路を起動して前記誘導結合読取機の前記共振周波数の前記変化をオフセットすること、
を備える方法。
【請求項2】
前記共振周波数の前記変化が、前記誘導結合読取機に近接した外部金属材料によって引き起こされ、前記誘導結合読取機の範囲が、前記共振周波数の前記変化の結果として縮小される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共振周波数の前記変化を検出することが、
電流センサを用いて、前記誘導結合読取機に流されている前記電流量を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記誘導結合読取機に流されている前記電流量が、前記誘導結合読取機のアンテナに流されている電流を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のプロセッサが、異なる動作条件に基づいて、前記メモリに記憶された前記予想電流量を動的に更新することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記補償回路が、前記誘導結合読取機の共振回路に並列に結合される1つまたは複数のキャパシタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記誘導結合読取機に流されている現在の電流量を前記予想電流量と比較することによって、前記補償回路の起動後に、前記誘導結合読取機の適正な動作を確認することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記補償回路が第1補償回路を含み、
前記共振周波数の前記変化が第1閾値の範囲外かつ第2閾値の範囲内であると判定したことに応答して、前記1つまたは複数のプロセッサが、前記第1補償回路を起動すること、
前記共振周波数の前記変化が前記第1閾値および前記第2閾値の範囲外であると判定したことに応答して、前記1つまたは複数のプロセッサが、第2補償回路を起動することであって、前記第2補償回路は、前記共振周波数を前記第1補償回路よりも大きくオフセットさせる、前記第2補償回路を起動すること、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1補償回路の起動によって、前記誘導結合読取機の共振回路と並列に第1キャパシタが結合され、前記第2補償回路の起動によって、前記誘導結合読取機の前記共振回路と並列に、前記第1キャパシタよりも大きな第2キャパシタが結合される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2キャパシタが、前記第1キャパシタおよび少なくとも1つの別のキャパシタを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記誘導結合読取機を金属面に載せること、
前記誘導結合読取機に対する前記金属面の離調効果を測定すること、
測定した前記離調効果を補償するために前記オフセットを演算すること、
によって、前記補償回路により提供される前記オフセットを演算することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記補償回路が、
スイッチと、
前記誘導結合読取機の共振回路のキャパシタの第1端子に結合された第1端子および前記スイッチに結合された第2端子を有する1つまたは複数のキャパシタと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数のキャパシタが、ダイオードを介して前記スイッチに結合されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
システムであって、
複数の動作を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含む誘導結合読取機を備え、前記複数の動作は、
前記誘導結合読取機の共振周波数の変化を検出すること、
電流の予想電流量をメモリに記憶すること、
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記メモリから前記予想電流量を周期的に読み出すこと、
前記メモリから前記予想電流量を周期的に読み出すことに応答して、前記1つまたは複数のプロセッサが、前記誘導結合読取機に流されている電流量を前記メモリから読み出された前記予想電流量と比較することにより、前記共振周波数の前記変化を検出すること、
補償回路を起動して前記誘導結合読取機の前記共振周波数の前記変化をオフセットすること、
を含む、システム。
【請求項15】
前記共振周波数の前記変化が、前記誘導結合読取機に近接した外部金属材料によって引き起こされ、前記誘導結合読取機の範囲が、前記共振周波数の前記変化の結果として縮小される、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して無線自動識別(RFID : Radio Frequency Identification)システムに関し、より詳細には、RFIDシステムにおける有害な干渉効果を低減する技術に関するが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、無線周波数トランスポンダ(transponder)(たとえば、タグ)を用いて関心物品を識別するシステムである。各無線周波数トランスポンダは、対応する物品またはその近傍に取り付けられており、該物品を識別する情報を含む。識別を行う必要がある場合には、無線周波数読取機ユニット(たとえば、呼出器(インテロゲータ:interrogator))を使用して物品上のトランスポンダを励起(たとえば、呼出)すると、トランスポンダが識別信号(物品の識別情報を含む)を読取機ユニットに送り返す。その後、読取機ユニットは、トランスポンダから受信した識別情報を用いて、多くの異なるRFIDアプリケーションのいずれかを実行する。たとえば、識別情報を用いて、資産管理、在庫追跡、アクセス制御等の機能を実行可能である。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの特定の実施形態においては、誘導結合読取機(inductive coupling reader)を動作させるためのシステムおよび方法が提供される。開示のシステムおよび方法は、誘導結合読取機の共振周波数の変化を検出することと、共振周波数の変化を閾値と比較することと、共振周波数の変化が閾値を超えると判定することと、共振周波数の変化が閾値を超えると判定したことに応答して、補償回路を起動して(activating)誘導結合読取機の共振周波数の変化をオフセットする(offset)ことと、を含む複数の動作を実行する。
【0004】
いくつかの実施形態において、共振周波数の変化は、誘導結合読取機に近接した外部金属材料によって引き起こされ、誘導結合読取機の範囲が共振周波数の変化の結果として縮小される。
【0005】
いくつかの実施形態において、共振周波数の変化を検出することは、電流センサを用いて、誘導結合読取機に流されている電流量を測定することを含む。
いくつかの実施形態において、誘導結合読取機に流されている電流量は、予想電流量と比較される。このような場合には、電流量が予想電流量よりも所与の量だけ少ない場合に、共振周波数の変化が閾値を超えると判定される。
【0006】
いくつかの実施形態において、誘導結合読取機に流されている電流量は、誘導結合読取機のアンテナに流されている電流を含み、所与の量は、予想電流量の10パーセントを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、予想電流量は、ルックアップテーブルから読み出される。
いくつかの実施形態において、補償回路は、誘導結合読取機の共振回路に並列に結合された1つまたは複数のキャパシタを備える。
【0008】
いくつかの実施形態において、誘導結合読取機に流されている現在の電流量を予想電流量と比較することによって、補償回路の起動後に、誘導結合読取機の適正な動作が確認される。
【0009】
いくつかの実施形態において、閾値は第1閾値を含み、補償回路は第1補償回路を含む。このような場合、上記複数の動作は、共振周波数の変化が第1閾値を超え、第2閾値未満であると判定することと、共振周波数の変化が第1閾値を超え、第2閾値未満であると判定したことに応答して、第1補償回路を起動することと、共振周波数の変化が第1閾値および第2閾値を超えると判定することと、共振周波数の変化が第1閾値および第2閾値を超えると判定したことに応答して、第2補償回路を起動することであって、第2補償回路が、共振周波数を第1補償回路よりも大きくオフセットさせる、第2補償回路を起動することと、をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1補償回路の起動によって、誘導結合読取機の共振回路と並列に第1キャパシタが結合され、第2補償回路の起動によって、誘導結合読取機の共振回路と並列に、第1キャパシタよりも大きな第2キャパシタが結合される。
【0011】
いくつかの実施形態において、第2キャパシタは、第1キャパシタおよび少なくとも1つの別のキャパシタを含む。
いくつかの実施形態において、上記動作は、誘導結合読取機を金属面に載せることと、誘導結合読取機に対する金属面の離調効果を測定することと、測定した離調効果を補償するためにオフセット(offset)を演算することと、によって、補償回路により提供されるオフセットを演算することをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、補償回路は、スイッチと、誘導結合読取機の共振回路のキャパシタの第1端子に結合された第1端子およびスイッチに結合された第2端子を有する1つまたは複数のキャパシタと、を備える。
【0013】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のキャパシタは、ダイオードを介してスイッチに結合されている。
いくつかの実施形態において、補償回路は、スイッチを閉じて1つまたは複数のキャパシタの第2端子を接地することにより起動される。
【0014】
いくつかの実施形態において、スイッチは、トランジスタを備える。
いくつかの実施形態において、誘導結合読取機は、RFID読取機を含む。
従来のRFID読取機に近接した金属材料は、典型的には、この従来のRFID読取機の共振回路の共振周波数を変化させるため、RFID読取機の範囲を縮小させる。開示の実施形態では、誘導結合読取機の共振回路の干渉および離調を検出し、これに応答して、付加的な並列キャパシタンスに切り替わることで、このような離調を補償する。このように、RFID読取機等の誘導結合読取機の全体的な電力効率および範囲が改善され、このことが、コンピュータの全体効率および機能を向上させる。
【0015】
以上の概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図しており、本発明に係る主題の排他的または網羅的な説明を提供することは意図していない。以下の詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するためのものである。
【0016】
必ずしも原寸に比例して描画してはいない図面において、異なる図中の同じ番号は、類似の構成要素を表し得る。同じ番号でも接尾辞が異なれば、類似の構成要素の異なる例を表し得る。図面は概して、本明細書において論じる種々実施形態を例として示すが、何ら限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】種々実施形態に係る、RFIDシステムを示すブロック図である。
図2】種々実施形態に係る、RFIDシステムにおいて使用するための読取機ユニットを示すブロック図である。
図3】種々実施形態に係る、RFIDシステムにおいて使用するための読取機ユニットを示すブロック図である。
図4】種々実施形態に係る、誘導結合読取機を動作させるための例示的なプロセスを示すフロー図である。
図5】1つまたは複数の実施形態が実現され得るマシンの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は特に、誘導結合読取機を動作させるための技術を記載する。具体的には、開示の技術では、誘導結合読取機の共振回路の干渉および離調を検出し、これに応答して、付加的な並列キャパシタンスに切り替わることで、このような離調を補償する。このように、RFID読取機等の誘導結合読取機の全体的な電力効率および範囲が改善され、このことが、コンピュータの全体効率および機能を向上させる。
【0019】
RFIDシステムにおいては、呼出動作中に1つまたは複数の外部干渉信号がシステムの周波数帯域内に存在すると、問題が発生する。このような干渉は、関心物品(item-of-interest)の誤識別およびRFIDシステムにおける不具合報告の原因となることが多い。このような干渉は、対象システムの近くに配置された金属材料によって引き起こされることが多くなっている。このような金属材料は、特にRFID呼出器の共振回路の共振周波数を変化させるため、RFID呼出器の範囲を大幅に縮小させる。たとえば、誘導結合読取機(たとえば、13.56MHzRFID読取機)が金属面に載せられると、そのアンテナの見かけのインダクタンスが変化することになる。アンテナは、RFIDトランスポンダ(たとえば、RFIDタグ等のクレデンシャル)との通信に用いられる並列共振回路の一部であるため、この回路の離調によって、実際の性能(たとえば、読み取り範囲)が低下することになる。また、これによって、RFID読取機は、より多くの電力を所与のRFIDタグの読み取りに消費するため、システムリソースを浪費することになる。
【0020】
このような典型的シナリオの欠点に対処するために、開示の技術では、誘導結合読取機の共振回路が離調し、このような離調に対して補償がなされる状況を検出する。特に、開示の技術では、電流センサを用いて、誘導結合読取機の実際の電力消費を測定する。電力消費がある所定の閾値を満たさない場合(たとえば、閾値を超える場合、閾値を下回る場合、または閾値の範囲外となる場合)、システムは、(たとえば、誘導結合読取機に近接した金属材料の存在により)共振回路が離調したものと判定する。このような場合、誘導結合読取機は、該誘導結合読取機が付加的な並列キャパシタンスを追加して離調を緩和・補償できるようにする切替可能な同調キャパシタを採用する。これにより、誘導結合読取機の性能を回復・向上可能となり、このことが、誘導結合読取機の電力効率および範囲を改善させる。このため、コンピュータの全体効率および機能が向上する。
【0021】
図1は、いくつかの実施形態に係る、RFIDシステムを示すブロック図である。図示のように、RFIDシステム8は、RF読取機ユニット12(誘導結合読取機)と、対応する関心物品34、36、38、40、42、および44にそれぞれ取り付けられて関心物品の識別用に用いられる第1の複数のRF識別タグ16、18、20、22、24、26と、を具備する。関心物品34、36、38、40、42、および44としては、たとえば在庫、人員、資本資産、または特定の領域内で追跡(トラッキング)もしくは監視することが望ましいと考えられるその他任意の物体が挙げられる。特定の読取機が追跡可能な物品の数は、一般的には設計上の選択の問題である。
【0022】
RF読取機ユニット12としては、定置型ユニット(壁掛け式近接読取機等)も可能であるし、容易に移設可能な携帯型ユニットも可能である。通常、RF読取機ユニットが提供するカバー領域は、読取機の送信電力レベル、読取機送信アンテナのアンテナパターン、ならびに任意特定の時点における読取機の位置および向きの関数となる。
【0023】
図1の例示的なシステムの通常動作において、RF読取機ユニット12は、そのカバー領域52を周期的に呼出して、現在配置されている関心物品を識別する。すなわち、読取機ユニット12は、カバー領域52において、領域52内のRFタグ16~26それぞれが関連する関心物品を識別する識別信号を送信するための「リクエスト」となるRF呼出信号を周期的に送信する。カバー領域52内の複数のRFタグはそれぞれ、呼出信号を受信し、その識別信号を呼出読取機に送り返すことによって応答する。特定のカバー領域内のRFタグと読取機との間のチャンネルにおける信号の衝突を防止するために、複数のRFタグはそれぞれ、異なる疑似ランダム遅延時間の後で、それぞれの識別信号を送信可能である。RF読取機は、複数のRFタグのうちの1つから識別信号を受信すると、その識別情報が記録されたことを通知する確認信号を、該RFタグに送信する。確認信号を受信した後、識別されたRFタグは、その識別信号を再送信しない。RFタグが、その識別信号を送信してから所定の期間待機した後に確認信号を受信していない場合には、チャンネルにおいて衝突が発生したと仮定し、別の疑似ランダム遅延時間の後に該RFタグが識別信号を再送信することができる。これは、カバー領域中の複数のRFタグのそれぞれが読取機からの確認信号を受信するまで継続し得る。RF読取機ユニットは、そのカバー領域52内のすべてのRFタグから識別情報を受信した後、集まった情報を適切なエンティティに報告する。
【0024】
図1を参照して、当然のことながら、RF読取機ユニット12と金属材料との間で何らかの干渉が発生する可能性がある。たとえば、RF読取機ユニット12は、金属材料を含む壁に掛けられている可能性がある。このような金属材料は、RF読取機ユニット12の共振回路に影響を及ぼして、共振回路の共振周波数を変化させ得る。これにより、RF読取機ユニット12の範囲が縮小され、RF読取機ユニット12は、領域52内の、該RF読取機ユニット12から遠く離れた物品の識別を誤ったり、識別できなくなったりする可能性がある。すなわち、RF読取機ユニット12に近接して金属材料が存在する場合に、領域52のサイズが縮小され得る。また、RF読取機ユニット12の共振周波数が変化することから、RF読取機ユニット12の適正な動作に必要な電力量が増大する可能性もある。
【0025】
本開示によれば、RF読取機ユニット12の共振周波数の変化の原因であると判定された金属材料を補償することによってRFIDシステム内の干渉の悪影響を抑える方法および装置が提供される。
【0026】
図2は、本開示の一実施形態に係る、RF読取機ユニット12を示すブロック図である。図示のように、読取機ユニット12は、アンテナ60、整合・同調回路(matching and tuning circuit)62、送信機64および受信機66を含む共振回路210、コントローラ68、電流センサ70、コンパレータ72、補償回路220、ならびにユーザインターフェース74を具備する。図2においては、コンパレータ72が別個の物理的構成要素として描画されているが、コンパレータ72の機能の一部または全部をコントローラ68により実現することも可能である。すなわち、コンパレータ72の機能は、ハードウェア要素による実現ではなく、コントローラ68によりソフトウェアにて実現可能である。このような場合には、電流センサ70の出力が直接、コントローラ68に供給される。
【0027】
コントローラ68は、読取機ユニット12のカバー領域52内の関心物品に関する呼出、追跡、および報告のために、読取機ユニット12の動作を制御するように動作する。コントローラ68は、汎用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、縮小命令セットコンピュータ、複数命令セットコンピュータ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ等のデジタル処理デバイスを用いて実現される。また、図2に示すその他の機能ブロックのうちの1つまたは複数についても、コントローラ68と同じ(または、異なる)デジタルプロセッサにおいてデジタル的に実現可能である。
【0028】
送信機64は、呼出動作時にアンテナ60を介してカバー領域52に送り出す呼出信号を(コントローラ68の制御下で)生成するために用いられる。また、送信機64は、上述のとおり、識別情報が特定のRFタグから受信された後、該タグに送達する確認信号を生成するためにも使用可能である。受信機66は特に、カバー領域52内に配置されたRFタグから受信された識別信号を受信、復調、および復号化するとともに、その結果としての識別情報をコントローラ68に送達するように動作する。
【0029】
整合・同調回路62は、ドライバから利用可能な電力がアンテナ60に送達される効率を向上させるデバイスである。アンテナ60のインピーダンスは、低電圧ドライバが十分な電力を直接出力するには高すぎる可能性があり、このような場合には、整合ネットワークの使用によって、アンテナ60のインピーダンスを補償・整合する。誘導結合RFIDシステムの場合のインピーダンス整合のほか、整合・同調回路62は、アンテナ60の共振周波数を正しく設定するためにも使用可能である。
【0030】
コントローラ68は、対応するカバー領域52からタグ識別情報を集めると、ユーザインターフェース74を介して、データを適切なエンティティに報告する。あるいは、コントローラ68は、データを報告する前に、カバー領域52についてのすべてのタグ情報が収集されるまで待機可能である。ユーザインターフェース74は、システム内で行われる報告の種類に応じて、多くの異なる形態が可能である。たとえば、インターフェース74は、識別データをオペレータに表示するためのビデオディスプレイに結合可能である。あるいは、インターフェース74は、データをリモートコンピュータに転送して格納するためのモデムを含むことも可能である。いくつかの実施形態において、大型RFIDシステムの読取機ユニットは、インターフェース74を介して、識別情報の収集(アセンブル:assemble)、管理、および分析によってシステム全体のレポートを生成する中央制御プロセッサに通じる。また、中央制御プロセッサは、この情報を用いて、電気ドアロックの起動、ユーザディスプレイ(読取機自体のディスプレイを含む)へのメッセージ送信、アラームの鳴動、記録デバイス(たとえば、ビデオカメラ)の起動等、他のシステム機能を実行することも可能である。また、他の形態のユーザインターフェース74も使用可能である。
【0031】
いくつかの実施形態において、コントローラ68は、読取機12の共振周波数の変化を検出する。具体的には、コントローラ68は、共振回路210の共振周波数の変化を検出する。いくつかの実施態様において、コントローラ68は、読取機12に、具体的には共振回路210に流されている電流量に基づいて、共振周波数の変化を検出する。特に、電流センサ70が共振回路210に結合され、共振回路210に流される電流量を測定する。電流センサ70は、測定した電流値をコンパレータ72に提供する。コンパレータ72は、プリセット閾値にアクセスして、電流センサ70から受信した測定電流値が閾値の範囲外であるかどうかを判定する。場合により、コンパレータ72は、測定電流が閾値を下回るかどうかを判定する。場合により、コンパレータ72は、測定電流が閾値を超えるかどうかを判定する。場合により、コンパレータ72は、測定電流が閾値の範囲外であるかどうかを判定する。すなわち、閾値としては、特定の値(通常の電流よりも10%高い値または10%低い値等)も可能であるし、範囲(通常の電流の10%以内等)も可能である。
【0032】
コンパレータ72のプリセット閾値は、通常の動作で共振回路210により引き出される予想電流量を表す。電流がプリセット閾値の範囲外である場合、コンパレータ72は、コントローラ68に指示(indication)を供給する。この指示は、金属材料が読取機12に近接していることをコントローラ68に通知するものであってもよい。電流がプリセット値を上回るか、下回るか、または値の範囲外であるかどうかを判定したことに応答して、コントローラ68は、誘導結合読取機の共振周波数が閾値の範囲外となる量だけ変化したことを検出してもよい。このような場合、コントローラ68は、補償回路220を起動して、1つまたは複数のキャパシタを共振回路210と並列に結合することによって、共振周波数の変化をオフセットする。
【0033】
一例として、プリセット閾値は、読取機12に近接した金属材料が存在しない場合の共振回路210(たとえば、共振回路210のアンテナ)により引き出される電流の値よりも10%高い値に設定されていてもよいし、10%低い値に設定されていてもよい。プリセット閾値は、読取機12の製造時のルックアップテーブルもしくはメモリへプログラミングされていてもよく、または、さまざまな動作条件に基づき動的に更新されてもよく、また、その両方でもよい。コンパレータ72は、ルックアップテーブルまたはメモリからプリセット閾値を周期的または連続的に読み出して、電流センサ70により測定されている電流と比較してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、コントローラ68は、補償回路220を起動した後、電流センサ70に対して、共振回路210により引き出される電流の再測定を指示してもよい。再測定電流がコンパレータ72によってプリセット閾値と比較されることにより、共振回路210の共振周波数の変化が依然として閾値の範囲外であるかどうかが判定される。一例として、補償回路220の起動後、電流センサ70により測定された電流は、共振回路210に流されている通常の動作電流の5%以内であってもよい。プリセット閾値は、通常の動作電流よりも10%高い値または低い値に設定されていてもよく、このような場合、コントローラ68は、(たとえば、電流センサ70により測定された電流が共振回路210の通常の動作電流より10%を超えて高いわけでも低いわけでもないことから)共振回路210の共振周波数の変化がもはや閾値の範囲外ではないものと判定してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、コントローラ68は、補償回路220を起動した後、電流センサ70により測定された電流が、共振回路210に流されている通常の動作電流よりも12%高い可能性があるものと判定してもよい。すなわち、補償回路220が起動されても、共振回路210の共振周波数の変化は、依然として閾値の範囲外である可能性がある。このような場合、コントローラ68は、補償回路220に対して、(たとえば、共振回路210に結合される合計の並列キャパシタンスを増大させるために)1つまたは複数の付加的なキャパシタを共振回路210と並列に結合するよう指示してもよい。
【0036】
一例として、補償回路220は、第1補償回路および第2補償回路を含んでいてもよい。第1補償回路が第1キャパシタを含み、第2補償回路が第2キャパシタを含んでいてもよい。第1キャパシタは、サイズおよび値が第2キャパシタと同じであってもよい。このような場合、コントローラ68は、共振回路210の共振周波数の変化が第1閾値の範囲外ではあるものの、第2閾値の範囲内であるものと判定する。たとえば、第1閾値は、共振回路210により引き出される通常の動作電流よりも10%高い値に設定されていてもよく、第2閾値は、共振回路210により引き出される通常の動作電流よりも15%高い値に設定されていてもよい。コントローラ68は、共振回路210により引き出されている電流が共振回路210により引き出される通常の動作電流よりも12%高いものと判定する場合がある。このような場合、コントローラ68は、(共振回路210により引き出されている電流が通常の動作電流よりも12%だけ高いことの結果として)共振回路210の共振周波数の変化が第1閾値の範囲外ではあるものの、第2閾値の範囲内であるものと判定する。これに応答して、コントローラ68は、第1補償回路を起動する。第1補償回路を起動することにより、コントローラ68は、共振回路210と並列に第1キャパシタを結合する。
【0037】
場合によっては、第1補償回路の起動後または第1補償回路が起動される前のある時点で、共振回路210に流されている電流をコントローラ68が測定する。コントローラ68は、共振周波数の変化が第1閾値および第2閾値の範囲外であるものと判定する。たとえば、コントローラ68は、共振回路210により引き出されている電流が共振回路210により引き出される通常の動作電流よりも17%高いものと判定する場合がある。このような場合、コントローラ68は、(共振回路210により引き出されている電流が通常の動作電流よりも17%だけ高いことの結果として)共振回路210の共振周波数の変化が(たとえば、通常の動作電流よりも10%高い値に設定された)第1閾値および(たとえば、通常の動作電流よりも15%高い値に設定された)第2閾値の範囲外であるものと判定する。これに応答して、コントローラ68は、第2補償回路を起動する。第2補償回路を起動することにより、コントローラ68は、共振回路210と並列に第1キャパシタおよび第2キャパシタを結合する。
【0038】
いくつかの実施態様において、第1キャパシタは、第2キャパシタより小さくてもよい。このような場合には、第2補償回路の起動によって、より大きなキャパシタが共振回路210と並列に結合され、第1補償回路の小さい方のキャパシタが共振回路210から分離される。すなわち、補償回路ごとに異なるサイズのキャパシタが実現されている場合には、第1補償回路および第2補償回路の一方のみが共振回路210に結合される。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1補償回路または第2補償回路は、トランジスタ等のスイッチによって、共振回路210と並列に結合される。たとえば、コントローラ68が補償回路220のスイッチを起動した(閉じた)場合には、補償回路220の1つまたは複数のキャパシタが共振回路210と並列に結合されてもよい。スイッチが解除(開放)された場合には、1つまたは複数のキャパシタが共振回路210から分離される。
【0040】
いくつかの実施形態において、補償回路220のキャパシタまたはキャパシタンスの値は読取機12の製造時に決定される。一例においては、そのために、読取機12が金属面または金属材料に載せられる。そして、読取機12の共振回路210に対する離調効果が測定される。一例として、電流センサは、読取機12が金属面または金属材料に載せられていない場合に、共振回路210により引き出されている第1電流値を出力してもよい。この第1電流値は、通常の動作条件下で共振回路210により引き出される予想電流を表し得る。場合によっては、この予想電流の関数または係数として、閾値が演算されてもよい(たとえば、閾値が第1電流値よりも10%高い値に設定されてもよい)。場合によっては、読取機12が金属面または金属材料に載せられた後、電流センサは、共振回路210により引き出されている第2電流値を出力してもよい。このような実施態様において、閾値は、第2電流値の値に設定されていてもよいし、第2電流値に基づくか、または、第2電流値の関数でありながら、第2電流値よりも高低いずれかの何らかの値に設定されていてもよい。読取機12が金属面に載せられた後は、電流センサにより測定された電流を第1電流値へと実質的に近づけるキャパシタ値(capacitor value)が決定されるまで、1つまたは複数のキャパシタが共振回路210と並列に結合されてもよい。このキャパシタ値は、補償回路220のキャパシタ値の設定に用いられてもよい。このため、(たとえば、電流センサ70により測定された電流が閾値を超えていることにより判定されるとおり)読取機12が金属面に近接して動作している場合、コントローラ68は、補償回路220を起動して、キャパシタ値を共振回路210と並列に結合して共振回路210の共振周波数の変化をオフセットする。
【0041】
いくつかの実施形態において、キャパシタ値は、(たとえば、製造時に読取機12を実際に金属面に載せることなく)数学的に決定することが可能である。場合により、キャパシタ値は、読取機12が動作時にセットされることになる金属材料に基づいて決定可能である。
【0042】
図3は、種々実施形態に係る、RFIDシステムにおいて使用する読取機ユニットを示すブロック図である。図3に示すように、制御回路68は共振回路および補償回路に結合されていてもよい。制御回路68は、コントローラ68の機能を包含して実現または包含もしくは実現してもよい。制御回路68は、共振回路により引き出される電流を測定する。共振回路により引き出される電流が閾値を超える旨の判定に応答して、コントローラ68は、スイッチ320を起動する。結果として、補償キャパシタ310が共振回路と並列に結合される。すなわち、ダイオード330およびスイッチ320を介して、補償キャパシタ310の第1端子が接地される。スイッチが解除されると、補償キャパシタ310は、接地されなくなり、そのため、共振回路から分離される。スイッチ320が閉じられると、補償キャパシタ310の第1端子は、ダイオード330およびスイッチ320を介して接地される。補償キャパシタ310の第2端子は、共振回路の1つまたは複数のキャパシタの第1端子に結合される。共振回路の1つまたは複数のキャパシタの第2端子は、接地されている。このように、スイッチ320が起動された、すなわち閉じられた場合、補償キャパシタ310は共振回路のキャパシタと並列に結合され得る。
【0043】
図4は、種々実施形態に係る、誘導結合読取機を動作させるための例示的なプロセス400を示すフロー図である。
動作410において、誘導結合読取機は、該誘導結合読取機の共振周波数の変化を検出する。
【0044】
動作420において、誘導結合読取機は、共振周波数の変化を閾値と比較する。
動作430において、誘導結合読取機は、共振周波数の変化が閾値の範囲外であるものと判定する。
【0045】
動作440において、誘導結合読取機は、共振周波数の変化が閾値の範囲外であるものと判定したことに応答して、補償回路を起動して該誘導結合読取機の共振周波数の変化をオフセットする。
【0046】
図5は、本明細書に記載の技術(たとえば、方法論)のうちのいずれか1つもしくは複数を実行し得る、または上述の読取機に含むことができる、またはその両方である、例示的なマシン500のブロック図である。代替実施形態において、マシン500は、独立型の機器として動作してもよいし、他のマシンに接続(たとえば、ネットワーク化)されていてもよい。ネットワーク化された構成では、マシン500は、サーバマシン、クライアントマシンとしての能力で動作してもよいし、サーバ/クライアント両ネットワーク環境において動作してもよい。一例において、マシン500は、ピアツーピア(P2P : peer‐to‐peer)(または、他の分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作してもよい。マシン500は、パソコン(PC : personal computer)、タブレットPC、セットトップボックス(STB : set‐top box)、携帯情報端末(PDA : personal digital assistant)、携帯電話、ウェブアプライアンス、IoTデバイス、自動車システム、航空宇宙システム、または該マシンが起こすべきアクションを指定する命令(シーケンシャルまたはその他)を実行可能な任意のマシンであってもよい。さらに、単一のマシンのみを示しているが、用語「マシン」は、クラウドコンピューティング、サービス型ソフトウェア(SaaS : software as a service)、または他のコンピュータクラスタ構成等、1つ(または、複数)の命令セットを個別または共同で実行して、本明細書に記載の方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実行する任意のマシン群を含むとも考えられるものとする。
【0047】
例としては、本明細書に記載のとおり、ロジック、コンポーネント、デバイス、パッケージ、もしくは機構が挙げられてもよく、または、これらにより動作してもよい。回路構成は、ハードウェア(たとえば、単純回路、ゲート、ロジック等)を含む有形物において具体化された回路の集合体(たとえば、回路セット)である。回路構成の帰属関係(membership)は、時間と、基礎となるハードウェア変動性と、に応じて柔軟であってもよい。複数の回路は、動作時に単独または組み合わせにて特定のタスクを実行し得る複数のメンバを具備する。一例において、回路構成のハードウェアは、特定の動作を実行するように、イミュータブルに設計されていてもよい(たとえば、ハードワイヤードであってもよい)。一例において、回路構成のハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するように物理的な変更(たとえば、磁気的な変更、電気的な変更、不変質量粒子の可動配置による変更等)がなされたコンピュータ可読媒体を含む可変接続の物理的構成要素(たとえば、実行ユニット、トランジスタ、単純回路等)を具備していてもよい。物理的構成要素の接続においては、たとえば絶縁体から導体へ(または、その逆に)、ハードウェア構成物の基礎となる電気的特性が変化する。命令は、関与するハードウェア(たとえば、実行ユニットまたはローディング機構)が可変接続によって、ハードウェアの回路構成のメンバを生成することにより、動作時に特定のタスクの一部を実行できるようにする。したがって、コンピュータ可読媒体は、機器の動作中に、回路のその他の構成要素に対して通信可能に結合される。一例においては、2つ以上の回路構成の2つ以上のメンバにおいて、物理的構成要素のいずれかが用いられてもよい。たとえば、動作中、実行ユニットは、ある時点では第1回路構成の第1回路で使用され、別の時点では、第1回路構成の第2回路または第2回路構成の第3回路により再利用されてもよい。
【0048】
マシン(たとえば、コンピュータシステム)500は、ハードウェアプロセッサ502(たとえば、中央処理装置(CPU : central processing unit)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU : graphics processing unit)、ハードウェアプロセッサコア、またはこれらの任意の組み合わせ(メモリコントローラ等))、メインメモリ504、およびスタティックメモリ506を具備していてもよく、これらの一部または全部が相互リンク(たとえば、バス)508を介して互いに通信してもよい。マシン500は、表示装置510、英数字入力装置512(たとえば、キーボード)、およびユーザインターフェース(UI : user interface)ナビゲーション装置514(たとえば、マウス)をさらに具備していてもよい。一例において、表示装置510、英数字入力装置512、およびUIナビゲーション装置514は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。マシン500は、記憶装置522(たとえば、ドライブユニット)、信号発生装置518(たとえば、スピーカ)、ネットワークインターフェース装置520、1つまたは複数のセンサ516(全地球測位システム(GPS : Global Positioning System)センサ、翼センサ、機械素子センサ、温度センサ、ICPセンサ、ブリッジセンサ、オーディオセンサ、工業用センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサ等)、および1つまたは複数のシステム・イン・パッケージデータ取得装置590をさらに具備していてもよい。システム・イン・パッケージデータ取得装置590は、オフセット校正システム100の機能の一部または全部を実装していてもよい。マシン500は、シリアル(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB : universal serial bus))、パラレル、または他の有線もしくは無線(たとえば、赤外線(IR : infrared)、近距離無線通信(NFC : near field communication)等)接続等、1つまたは複数の周辺装置(たとえば、プリンタ、カード読取機等)との通信またはこれら装置の制御を行う出力コントローラ528を具備していてもよい。
【0049】
記憶装置522は、本明細書に記載の技術または機能のうちのいずれか1つもしくは複数の具現化またはこれらによる利用がなされる一組もしくは複数組のデータ構造または命令524(たとえば、ソフトウェア)が格納された、マシン可読媒体を含んでいてもよい。また、命令524は、マシン500による実行中に、全部または少なくとも一部がメインメモリ504内に、スタティックメモリ506内に、またはハードウェアプロセッサ502内に存在していてもよい。一例においては、ハードウェアプロセッサ502、メインメモリ504、スタティックメモリ506、および記憶装置521のうちの1つまたは任意の組み合わせがマシン可読媒体を構成していてもよい。
【0050】
マシン可読媒体は単一の媒体として示しているが、用語「マシン可読媒体」は、1つまたは複数の命令524を格納するように構成された単一の媒体を含んでいてもよいし、複数の媒体(たとえば、集中型もしくは分散型データベースまたは関連するキャッシュおよびサーバ)を含んでいてもよい。
【0051】
用語「マシン可読媒体」は、マシン500による実行のための一時的もしくは非一時的命令を格納、符号化、または運ぶことができ、本開示の技術のうちのいずれか1つまたは複数をマシン500に実行させる任意の一時的もしくは非一時的媒体、または、そのような命令による使用またはこのような命令との関連付けがなされるデータ構造を格納、符号化、または運ぶことができる任意の一時的もしくは非一時的媒体を含んでいてもよい。非限定的なマシン可読媒体の例としては、ソリッドステートメモリならびに光媒体および磁気媒体が挙げられる。一例において、有質量マシン可読媒体は、不変の(たとえば、静止)質量を有する複数の粒子を伴うマシン可読媒体を含む。したがって、有質量マシン可読媒体は、一時的な伝搬信号ではない。有質量(massed)マシン可読媒体の具体例としては、半導体メモリデバイス(たとえば、電気的プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM : Electrically Programmable Read‐Only Memory)、電気的消去・プログラム可能リードオンリーメモリ(EEPROM : Electrically Erasable Programmable Read‐Only Memory))およびフラッシュメモリデバイス等の不揮発性メモリ、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD‐ROMおよびDVD‐ROMディスク等が挙げられる。
【0052】
命令524(たとえば、ソフトウェア、プログラム、オペレーティングシステム(OS : operating system)等)または記憶装置521に格納された他のデータは、メインメモリ504によるアクセスによって、ハードウェアプロセッサ502が使用可能である。メインメモリ504(たとえば、DRAM)は、典型的には、高速だが揮発性であり、「オフ」状態を含む長期記憶に適した記憶装置521(たとえば、SSD)とは異なる種類のストレージである。命令524またはユーザもしくはマシン500が使用するデータは、典型的には、メインメモリ504にロードされて、ハードウェアプロセッサ502により使用される。メインメモリ504に空きがない場合には、記憶装置521の仮想空間の割り当てによって、メインメモリ504を補完可能である。ただし、記憶装置521は、典型的には、メインメモリ504よりも遅く、書き込み速度は、典型的には、読み取り速度の少なくとも2倍遅いので、仮想メモリを使用すると、(メインメモリ504(たとえば、DRAM)とは対照的に)記憶装置のレイテンシによって、ユーザエクスペリエンスが大幅に損なわれる可能性もある。さらに、仮想メモリを目的として記憶装置521を使用すると、記憶装置521の使用可能な寿命が大幅に短くなる可能性もある。
【0053】
命令524はさらに、多くの転送プロトコル(たとえば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP : internet protocol)、伝送制御プロトコル(TCP : transmission control protocol)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP : user datagram protocol)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP:hypertext transfer protocol)等)のうちのいずれか1つを利用するネットワークインターフェース装置520を介して、伝送媒体を使用する通信ネットワーク526上で送信または受信されてもよい。例示的な通信ネットワークとしては特に、ローカルエリアネットワーク(LAN : local area network)、ワイドエリアネットワーク(WAN : wide area network)、パケットデータネットワーク(たとえば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(たとえば、セルラーネットワーク)、基本電話サービス(POTS : Plain Old Telephone Service)ネットワーク、および無線データネットワーク(たとえば、米国電気電子学会(IEEE : Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格ファミリ(Wi‐Fi(登録商標)として知られる)、IEEE802.16規格ファミリ(WiMax(登録商標)として知られる)、IEEE 802.15.4規格ファミリ、ピアツーピア(P2P)ネットワーク)が挙げられる。一例において、ネットワークインターフェース装置520は、通信ネットワーク526に接続するための1つもしくは複数の物理的なジャック(たとえば、イーサネット、同軸、または電話ジャック)または1つもしくは複数のアンテナを具備していてもよい。一例において、ネットワークインターフェース装置520は、単入力多出力(SIMO : single‐input multiple‐output)、多入力多出力(MIMO : multiple‐input multiple‐output)、または多入力単出力(MISO : multiple‐input single‐output)技術を用いて無線通信を行うための複数のアンテナを具備していてもよい。用語「伝送媒体」は、マシン500が実行する命令を格納、符号化、または運ぶことができる任意の有形または無形媒体を含むと考えられるものとし、上記のようなソフトウェアの通信を容易化するデジタルもしくはアナログ通信信号または他の有形もしくは無形媒体を含む。
【0054】
本明細書に記載の非限定的な態様または例はそれぞれ、それ自体で成立してもよいし、その他の例のうちの1つまたは複数とさまざまな順列または組み合わせで結合されてもよい。
【0055】
上記の詳細な説明においては、添付の図面に言及しており、かかる図面は、詳細な説明の一部を構成する。図面は、本発明に係る主題が実現され得る特定の実施形態を例として示している。本明細書においては、これらの実施形態を「例」とも称する。このような例では、図示または記載以外の付加的な要素を含んでいてもよい。ただし、本発明者らは、図示または記載の要素のみが提供される例も想定している。さらに、本発明者らは、本明細書に図示または記載の特定の例(または、その1つもしくは複数の態様)または他の例(または、その1つもしくは複数の態様)に対して、図示または記載の要素の任意の組み合わせまたは順列を使用した例(または、その1つもしくは複数の態様)も想定している。
【0056】
本明細書と援用する任意の文献との間に矛盾がある場合、本明細書の用法が優先される。
本書において、特許文書で一般的なように、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」の任意の他の事例または用法とは独立して、1つまたは1つよりも多くを含むために、「1つ(の)」という用語を使用する。本書において、「または(もしくは)」は非排他的であることをいうために使用されるので、「AまたはB」は、別の指示がない限り、「AではあるがBではない」、「BではあるがAではない」および「AおよびB」を含む。本書において、「~を含み」および「これは(inwhich)」は、それぞれ「~を備え」および「~であって(wherein)」の用語の平易な英語の等価物として使用される。また、以下の請求項では、「~を含み(including)」および「~を備え(comprising)」は、非限定的、すなわち、請求項でそのような用語の後に挙げられるものの他に要素を含むシステム、デバイス、製品、組成、設計またはプロセスは、やはりその請求項の範囲内にあると見なされる。また、以下の請求項において、「第1」、「第2」および「第3」等の用語は単に呼び名として使用され、そのものに対して数的な要求事項を課す意図はない。
【0057】
本明細書に記載の方法の例は、少なくとも一部がマシンまたはコンピュータにより実施されてもよい。いくつかの例は、上記例で説明される方法を実施するために電子デバイスを構成するように動作可能な一時的もしくは非一時的な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体またはマシン可読媒体を含んでもよい。このような方法の実施態様は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コード等のコードを含んでもよい。該コードは、様々な方法を実施するための一時的もしくは非一時的なコンピュータ可読命令を含んでもよい。コードは、コンピュータプログラム製品の部分を形成してもよい。さらに、一例において、コードは、実行中または他のとき等に、1つまたは複数の揮発性の非一時的、または不揮発性の有形コンピュータ可読媒体に有形に格納されてもよい。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM : random access memory)、読み出し専用メモリ(ROM : read‐only memory)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
上記の説明は制限的なものではなく、例示的なものとして意図されている。例えば、前述の例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用してもよい。上記の説明を検討するにあたって、例えば当業者によって、他の例を使用してもよい。要約書は、米連邦規則法典第37巻§1.72(b)に準拠し、読者が技術的な開示の性質を素早く確認できるように提供される。これは、請求項の範囲または意味を解釈または制限するために使用されるものではないという了解のもとに提出される。また、上記詳細な説明において、開示を簡素化するために、様々な特徴を一緒にまとめていることがある。これは、請求されていないが開示されている特徴が任意の請求項に不可欠であるとの意図として解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、開示されている特定の実施形態の全部の特徴にあるとは限らないことがある。したがって、以下の請求項は、本明細書により例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、個別の実施形態として独立しており、該実施形態は、様々な組み合わせまたは入れ替えにおいて互いに組み合わせてもよいと想定される。本発明の主題の範囲は、添付の請求項を参照して、該請求項に権利が認められる均等物の完全な範囲とともに判断されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5