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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083473
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】機械的な静脈血餅回収
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061321
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2021531613の分割
【原出願日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】62/717,077
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521062457
【氏名又は名称】ザ ファウンドリー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン エス. ジフォード ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】エドワード デウィット ジフォード
(57)【要約】
【課題】機械的な静脈血餅回収の提供。
【解決手段】血管内、特に、静脈血管系内の治療部位からの血餅物質の除去のためのシステムおよび方法が、提供される。治療デバイスは、遠位部分を有するコア部材と、コア部材の遠位部分を包囲している内側コイルとを含むことができる。螺旋状の外側部材が、内側コイルの少なくとも一部を包囲し、可撓性材料のシートが、シートが内側コイルの周囲に螺旋状に延び、治療部位における血餅係合のための表面を提供するように、内側コイルと螺旋状の外側部材との間に延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年8月10日に出願された米国仮出願第62/717,077号の優先権の利益を主張する。
(技術分野)
【0002】
本技術は、血管管腔内からの機械的抽出を介した血餅の除去および/または回収に関する。
【背景技術】
【0003】
静脈血栓塞栓疾患は、外傷後、産後、および院内獲得性の罹患率および死亡率の主要原因の典型である。下肢、稀に、上肢において深部静脈血栓症(DVT)として生じる血餅は、四肢腫脹、組織壊疽、静脈弁系の慢性破壊、および四肢疲労、浮腫、および重感(集合的に、血栓後症候群、すなわち、PTSと称される)等の長期間の慢性症状を引き起こし得る。これは、大規模なDVTを患う患者間の生活の質に対する主要な損害の典型である。さらに、上肢または下肢内に出現する血餅は、肺塞栓症(PE)につながり得る血餅移動のリスクをもたらす。保守的管理(下肢挙上、圧縮、全身ヘパリン処置)を用いても改善しないDVTおよびPEの両方のための現在の療法は、主として、強力な静脈内および動脈内薬物治療を用いた血栓溶解、または血餅破壊を中心に展開している。これらは、さらに問題の血餅を溶解させるように試みるレオリティック機械的血栓除去と併せて使用されることができる。
【0004】
DVTおよび/またはPEを治療することに対する従来のアプローチは、血餅の低減および/または除去を含む。例えば、抗凝血剤が、罹患した脈管に導入され、追加の血餅が形成することを防止することができ、血栓溶解剤が、脈管に導入され、血餅を少なくとも部分的に分解させることができる。しかしながら、そのような薬剤は、典型的に、治療が有効になる前に長時間の期間(例えば、数時間、数日等)を要し、いくつかの事象において、出血を生じさせ得る。経カテーテル血餅除去デバイスも、存在するが、しかしながら、そのようなデバイスは、典型的に、非常に複雑である脈管に外傷を生じさせやすく、肺塞栓症部位までナビゲートしにくく、および/または、製造するために高価である。DVTおよびPEに対する現在の療法アプローチの大部分のものは、カテーテルベースの血栓溶解が採用された場合、12~72時間の一般的な集中治療室(ICU)滞在を伴う数日間の入院期間を伴う。機械的なものまたは血栓溶解を介したもののいずれかの破壊による血餅除去は、慢性瘢痕組織またはフィブリンに殆どまたは全く効果をもたらさず、患者の脈管径を狭め、血餅の早期の再蓄積または静脈ステントの再狭窄につながり得る。これまで、静脈内系からの慢性フィブリンの除去を特に標的化するデバイスは存在していない。
【0005】
故に、深部静脈血栓症および/または肺塞栓症の治療のための改良されたシステムおよび方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の実施形態は、深部静脈血栓症および/または肺塞栓症の治療のためのシステムおよび方法を対象とする。本技術は、例えば、図1-5を参照するものを含め、下で説明される種々の側面に従って図示される。本技術の側面の種々の例が、便宜上、付番される付記(1、2、3等)として説明される。これらの付記は、任意の順序で、かつ任意の組み合わせにおいて互いに組み合わせられ得る。これらは、例として提供され、本技術を限定するものではない。
【0007】
付記1.深部静脈血栓症または肺塞栓症の治療のためのデバイスであって、デバイスは、遠位部分を有するコア部材と、コア部材の遠位部分を包囲している内側部材であって、内側部材は、コア部材の遠位部分に沿ってスライド可能に伸縮可能である、内側部材と、内側部材の少なくとも一部を包囲している螺旋状の外側部材と、内側部材と螺旋状の外側部材との間に延びている可撓性材料とを備えている、デバイス。
【0008】
付記2.螺旋状の外側部材は、カテーテルを通した送達のための圧縮構成と、血管内の治療部位における展開のための非圧縮構成とを有し、非圧縮構成において、螺旋状の外側部材は、圧縮構成におけるより大きい半径方向寸法と小さい軸方向寸法とを有する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0009】
付記3.可撓性材料は、その中に形成された1つ以上の開口を伴うシートを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0010】
付記4.1つ以上の開口は、シート内のバッフルを画定する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0011】
付記5.バッフルは、治療部位において血餅物質に係合するように構成されている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0012】
付記6.可撓性材料の遠位部分は、クローズドセルフィルタを画定する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0013】
付記7.クローズドセルフィルタは、血餅物質の遠位塞栓化を防止するように構成されている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0014】
付記8.可撓性材料は、ポリマーを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0015】
付記9.ポリマーは、ウレタン、ポリエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(EPTFE)、またはポリエチレンテレフタラート(PET)のうちの少なくとも1つを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0016】
付記10.内側部材は、非拘束状態における第1のピッチを有するコイルを備え、螺旋状の外側部材は、非圧縮構成における第2のピッチを有し、第2のピッチは、第1のピッチより大きい、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0017】
付記11.デバイスは、送達シースを通した前進のための薄型構成と、治療部位における展開のための拡張構成とを有する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0018】
付記12.螺旋状の外側部材は、第1の点において内側部材に結合された近位端部分と、第2の点において内側部材に結合された遠位端部分とを有する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0019】
付記13.コア部材は、ガイドワイヤの上をスライド可能に前進させられるように構成されたポリマー管を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0020】
付記14.内側部材は、金属ワイヤコイルを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0021】
付記15.内側部材は、形状記憶材料を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0022】
付記16.内側部材は、ステンレス鋼またはニチノールを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0023】
付記17.螺旋状の外側部材は、金属ワイヤを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0024】
付記18.螺旋状の外側部材は、形状記憶材料を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0025】
付記19.螺旋状の外側部材は、ステンレス鋼またはニチノールを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0026】
付記20.螺旋状の外側部材は、脈管壁に接触するように構成された湾曲した半径方向外側表面と、血餅物質に係合するように構成された鋭い半径方向内向き縁とを有する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0027】
付記21.鋭い半径方向内側縁は、脈管壁から血餅物質を分離することを促進するように構成されている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0028】
付記22.深部静脈血栓症または肺塞栓症の治療のためのシステムであって、システムは、管腔を有するカバーシースと、治療部位への前進のために管腔内にスライド可能に受け取られるように構成された治療デバイスであって、治療デバイスは、遠位部分を有するコア部材と、コア部材の遠位部分を包囲している内側部材と、内側部材の少なくとも一部を包囲している螺旋状の外側部材であって、外側部材は、カテーテルを通した送達のための薄型構成と、治療部位における展開のための拡張構成とを有する、螺旋状の外側部材と、内側コイルと螺旋状の外側部材との間に延びている可撓性材料とを備えている、治療デバイスとを備えている、システム。
【0029】
付記23.カバーシースは、約6~9Frの直径を有する、先行付記のいずれか1項に記載のシステム。
【0030】
付記24.その中にカバーシースをスライド可能に受け取るように構成された管腔を有する送達シースをさらに備えている、先行付記のいずれか1項に記載のシステム。
【0031】
付記25.送達シースは、約12~14Frの直径を有する、先行付記のいずれか1項に記載のシステム。
【0032】
付記26.送達シースは、その遠位部分に配置された拡張可能部材を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のシステム。
【0033】
付記27.拡張可能部材は、拡張可能編組先端を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のシステム。
【0034】
付記28.ガイドワイヤをさらに備え、コア部材は、ガイドワイヤの上をスライド可能に前進させられるように構成されたポリマー管を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のシステム。
【0035】
付記29.深部静脈血栓症または肺塞栓症の治療のためのデバイスであって、デバイスは、治療部位またはそれに隣接して経血管的に位置付けられるように構成されたコア部材と、コア部材に結合された内側部材であって、内側部材は、第1の軸長から、第1のそれより大きい第2の軸長に移行するように構成されている、内側部材と、内側部材の少なくとも一部の周囲に螺旋状に巻き付いている外側部材であって、外側部材は、カテーテルを通した送達のための薄型構成と、治療部位における展開のための拡張構成とを有する、外側部材と、内側部材と外側部材との間に延びている可撓性材料であって、可撓性材料は、外側部材が拡張構成にあるとき、血餅物質に係合するように構成されている、可撓性材料とを備えている、デバイス。
【0036】
付記30.内側部材は、コイルを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0037】
付記31.内側部材は、ハイポチューブを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0038】
付記32.内側部材は、伸縮可能である、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0039】
付記33.内側部材は、コア部材に沿って軸方向に間隔を置かれた複数の別々の要素を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0040】
付記34.外側部材は、螺旋状に巻いているワイヤを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0041】
付記35.外側部材は、形状記憶材料を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0042】
付記36.外側部材は、脈管壁に接触するように構成された湾曲した半径方向外側表面と、血餅物質に係合するように構成された鋭い半径方向内向き縁とを有する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0043】
付記37.鋭い半径方向内側縁は、脈管壁から血餅物質を分離することを促進するように構成されている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0044】
付記38.可撓性材料は、その中に形成された1つ以上の開口を伴うシートを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0045】
付記39.開口のうちの1つ以上は、補強材料で裏打ちされている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0046】
付記40.補強材料は、金属材料を備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0047】
付記41.1つ以上の開口は、シート内のバッフルを画定する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0048】
付記42.バッフルは、治療部位において血餅物質に係合するように構成されている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0049】
付記43.可撓性材料の遠位部分は、クローズドセルフィルタを画定する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0050】
付記44.クローズドセルフィルタは、血餅物質の遠位塞栓化を防止するように構成されている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0051】
付記45.可撓性材料は、ポリマーを備えている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0052】
付記46.外側部材の長さは、薄型構成において、拡張構成にあるときより大きい、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0053】
付記47.外側部材の長さは、薄型構成において、拡張構成におけるそれの少なくとも2倍大きい、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0054】
付記48.外側部材の遠位端部分は、第1の点において内側部材に結合され、外側部材の近位端部分は、第2の点において内側部材に結合される、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0055】
付記49.外側部材が、薄型構成から拡張構成に移行すると、第1の点および第2の点は、より近接するように一緒に移動する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0056】
付記50.外側部材が、拡張構成から薄型構成に移行すると、第1の点および第2の点は、さらに離れるように移動する、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0057】
付記51.コア部材は、ガイドワイヤの上をスライド可能に前進させられるように構成されている、先行付記のいずれか1項に記載のデバイス。
【0058】
付記52.脈管管腔から血餅物質を除去する方法であって、方法は、先行付記のいずれか1項に記載のデバイスを脈管管腔内の治療部位まで前進させることと、血餅物質をデバイスと係合させることとを含む、方法。
【0059】
付記53.脈管管腔から血餅物質を除去する方法であって、方法は、カバーシース内に配置された治療デバイスを脈管管腔を通して血餅物質に隣接した治療部位まで前進させることであって、治療デバイスは、遠位部分を有するコア部材と、コア部材の遠位部分を包囲している内側部材と、内側コイルの少なくとも一部を包囲している螺旋状の外側部材と、内側部材と螺旋状の外側部材との間に延びている可撓性材料とを備え、螺旋状の外側部材は、カバーシース内に配置されている間、薄型構成にある、ことと、カバーシースから治療デバイスを解放し、それによって、螺旋状の外側部材を薄型構成から拡張構成に拡張させることとを含む、方法。
【0060】
付記54.カバーシースから治療デバイスを解放することは、治療デバイスに対してカバーシースを後退させることを含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0061】
付記55.カバーシースは、約6~9Frの直径を有する、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0062】
付記56.治療デバイスを解放することは、螺旋状の外側部材に血餅物質に係合させる、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0063】
付記57.治療デバイスを解放することは、螺旋状の外側部材に血餅物質に貫通させる、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0064】
付記58.螺旋状の外側部材を薄型構成から拡張構成に拡張させた後、可撓性材は、血餅物質を通して螺旋状に延びている、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0065】
付記59.螺旋状の外側部材を拡張させることは、血餅物質の少なくとも一部が螺旋状の外側部材の隣接する渦巻間に係合されるようにする、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0066】
付記60.可撓性材料は、開口を備え、螺旋状の外側部材を薄型構成から拡張構成に拡張させた後、血餅物質の少なくとも一部は、開口のうちの1つ以上を通して延びている、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0067】
付記61.カバーシースから治療デバイスを解放した後、治療デバイスを包囲している送達シースの中に後退させることをさらに含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0068】
付記62.治療デバイスを包囲している送達シースの中に後退させることは、血餅物質の少なくとも一部を取り除くことを含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0069】
付記63.治療デバイスを包囲している送達シースの中に後退させることは、血餅物質の少なくとも一部を除去することを含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0070】
付記64.包囲している送達シースは、拡張可能先端を備え、拡張可能先端は、治療デバイスが、包囲している送達シースの中に後退させられている間、拡張状態にある、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0071】
付記65.螺旋状の外側部材を拡張させることは、螺旋状の外側部材の少なくとも一部に脈管壁に接触させる、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0072】
付記66.螺旋状の外側部材を拡張させることは、螺旋状の外側部材に結合された遠位塞栓フィルタを拡張させることを含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0073】
付記67.カバーシースから治療デバイスを解放した後、治療デバイスを捻じることをさらに含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0074】
付記68.治療デバイスを捻じることは、治療デバイスの近位部分と係合されたトルクデバイスを操作することを含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0075】
付記69.カバーシースから治療デバイスを解放することは、治療デバイスを順次段階で解放することを含む、先行付記のいずれか1項に記載の方法。
【0076】
付記70.血管内系にわたる身体からの除去に先立った、血餅の段階的圧縮のためのシステムであって、システムは、遠位塞栓化を防止し、外部治療シースを介して持続的な止血を可能にする、および/または、複数の治療が生じ、血餅除去を最大化させることを可能にするように構成されている、システム。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
深部静脈血栓症または肺塞栓症の治療のためのデバイスであって、前記デバイスは、
遠位部分を有するコア部材と、
前記コア部材の前記遠位部分を包囲している内側部材であって、前記内側部材は、前記コア部材の前記遠位部分に沿ってスライド可能に伸縮可能である、内側部材と、
前記内側部材の少なくとも一部を包囲している螺旋状の外側部材であって、前記外側部材は、カテーテルを通した送達のための圧縮構成と、血管内の治療部位における展開のための非圧縮構成とを有し、前記非圧縮構成において、前記外側部材は、前記圧縮構成におけるより大きい半径方向寸法と小さい軸方向寸法とを有する、螺旋状の外側部材と、
前記内側部材と前記螺旋状の外側部材との間に延びている可撓性材料と
を備えている、デバイス。
(項目2)
前記可撓性材料は、その中に形成された1つ以上の開口を伴うシートを備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記1つ以上の開口は、前記シート内のバッフルを画定する、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記バッフルは、前記治療部位において血餅物質に係合するように構成されている、項目3に記載のデバイス。
(項目5)
前記可撓性材料の遠位部分は、クローズドセルフィルタを画定する、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
前記クローズドセルフィルタは、血餅物質の遠位塞栓化を防止するように構成されている、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
前記可撓性材料は、ポリマーを備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
前記ポリマーは、ウレタン、ポリエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(EPTFE)、またはポリエチレンテレフタラート(PET)のうちの少なくとも1つを備えている、項目7に記載のデバイス。
(項目9)
前記内側部材は、非拘束状態における第1のピッチを有するコイルを備え、前記螺旋状の外側部材は、前記非圧縮構成における第2のピッチを有し、前記第2のピッチは、前記第1のピッチより大きい、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
前記デバイスは、送達シースを通した前進のための薄型構成と、前記治療部位における展開のための拡張構成とを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
前記螺旋状の外側部材は、第1の点において前記内側部材に結合された近位端部分と、第2の点において前記内側部材に結合された遠位端部分とを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
前記コア部材は、ガイドワイヤの上をスライド可能に前進させられるように構成されたポリマー管を備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
前記内側部材は、金属ワイヤコイルを備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目14)
前記内側部材は、形状記憶材料を備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目15)
前記内側部材は、ステンレス鋼またはニチノールを備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目16)
前記螺旋状の外側部材は、金属ワイヤを備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目17)
前記螺旋状の外側部材は、形状記憶材料を備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目18)
前記螺旋状の外側部材は、ステンレス鋼またはニチノールを備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目19)
前記螺旋状の外側部材は、脈管壁に接触するように構成された湾曲した半径方向外側表面と、血餅物質に係合するように構成された鋭い半径方向内向き縁とを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目20)
前記鋭い半径方向内側縁は、前記脈管壁から前記血餅物質を分離することを促進するように構成されている、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
深部静脈血栓症または肺塞栓症の治療のためのシステムであって、前記システムは、
管腔を有するカバーシースと、
治療部位への前進のために前記管腔内にスライド可能に受け取られるように構成された治療デバイスと
を備え、
前記治療デバイスは、
遠位部分を有するコア部材と、
前記コア部材の遠位部分を包囲している内側部材と、
前記内側部材の少なくとも一部を包囲している螺旋状の外側部材であって、前記外側部材は、カテーテルを通した送達のための薄型構成と、前記治療部位における展開のための拡張構成とを有する、螺旋状の外側部材と、
内側コイルと前記螺旋状の外側部材との間に延びている可撓性材料と
を備えている、システム。
(項目22)
前記カバーシースは、約6~9Frの直径を有する、項目21に記載のシステム。
(項目23)
その中に前記カバーシースをスライド可能に受け取るように構成された管腔を有する送達シースをさらに備えている、項目21に記載のシステム。
(項目24)
前記送達シースは、約12~14Frの直径を有する、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記送達シースは、その遠位部分に配置された拡張可能部材を備えている、項目23に記載のシステム。
(項目26)
前記拡張可能部材は、拡張可能編組先端を備えている、項目25に記載のシステム。
(項目27)
ガイドワイヤをさらに備え、前記コア部材は、前記ガイドワイヤの上をスライド可能に前進させられるように構成されたポリマー管を備えている、項目21に記載のシステム。
(項目28)
深部静脈血栓症または肺塞栓症の治療のためのデバイスであって、前記デバイスは、
治療部位またはそれに隣接して経血管的に位置付けられるように構成されたコア部材と、
前記コア部材に結合された内側部材であって、前記内側部材は、第1の軸長から、第1のそれより大きい第2の軸長に移行するように構成されている、内側部材と、
前記内側部材の少なくとも一部の周囲に螺旋状に巻き付いている外側部材であって、前記外側部材は、カテーテルを通した送達のための薄型構成と、前記治療部位における展開のための拡張構成とを有する、外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材との間に延びている可撓性材料と
を備え、
前記可撓性材料は、前記外側部材が前記拡張構成にあるとき、血餅物質に係合するように構成されている、デバイス。
(項目29)
前記内側部材は、コイルを備えている、項目28に記載のデバイス。
(項目30)
前記内側部材は、ハイポチューブを備えている、項目28に記載のデバイス。
(項目31)
前記内側部材は、伸縮可能である、項目28に記載のデバイス。
(項目32)
前記内側部材は、前記コア部材に沿って軸方向に間隔を置かれた複数の別々の要素を備えている、項目28に記載のデバイス。
(項目33)
前記外側部材は、螺旋状に巻いているワイヤを備えている、項目28に記載のデバイス。
(項目34)
前記外側部材は、形状記憶材料を備えている、項目28に記載のデバイス。
(項目35)
前記外側部材は、脈管壁に接触するように構成された湾曲した半径方向外側表面と、血餅物質に係合するように構成された鋭い半径方向内向き縁とを有する、項目28に記載のデバイス。
(項目36)
前記鋭い半径方向内側縁は、前記脈管壁から前記血餅物質を分離することを促進するように構成されている、項目35に記載のデバイス。
(項目37)
前記可撓性材料は、その中に形成された1つ以上の開口を伴うシートを備えている、項目28に記載のデバイス。
(項目38)
前記開口のうちの1つ以上は、補強材料で裏打ちされている、項目37に記載のデバイス。
(項目39)
前記補強材料は、金属材料を備えている、項目34に記載のデバイス。
(項目40)
前記1つ以上の開口は、前記シート内のバッフルを画定する、項目37に記載のデバイス。
(項目41)
前記バッフルは、前記治療部位において血餅物質に係合するように構成されている、項目28に記載のデバイス。
(項目42)
前記可撓性材料の遠位部分は、クローズドセルフィルタを画定する、項目28に記載のデバイス。
(項目43)
前記クローズドセルフィルタは、血餅物質の遠位塞栓化を防止するように構成されている、項目42に記載のデバイス。
(項目44)
前記可撓性材料は、ポリマーを備えている、項目28に記載のデバイス。
(項目45)
前記外側部材の長さは、前記薄型構成において、前記拡張構成におけるより大きい、項目28に記載のデバイス。
(項目46)
前記外側部材の長さは、前記薄型構成において、前記拡張構成におけるそれの少なくとも2倍大きい、項目45に記載のデバイス。
(項目47)
前記外側部材の遠位端部分は、第1の点において前記内側部材に結合され、前記外側部材の近位端部分は、第2の点において前記内側部材に結合されている、項目28に記載のデバイス。
(項目48)
前記外側部材が前記薄型構成から前記拡張構成に移行すると、前記第1の点と前記第2の点とは、より近接するように一緒に移動する、項目28に記載のデバイス。
(項目49)
前記外側部材が前記拡張構成から前記薄型構成に移行すると、前記第1の点と前記第2の点とは、さらに離れるように移動する、項目28に記載のデバイス。
(項目50)
前記コア部材は、ガイドワイヤの上をスライド可能に前進させられるように構成されている、項目28に記載のデバイス。
(項目51)
脈管管腔から血餅物質を除去する方法であって、前記方法は、
カバーシース内に配置された治療デバイスを前記脈管管腔を通して前記血餅物質に隣接した治療部位まで前進させることであって、前記治療デバイスは、
遠位部分を有するコア部材と、
前記コア部材の前記遠位部分を包囲している内側部材と、
前記内側コイルの少なくとも一部を包囲している螺旋状の外側部材と、
前記内側部材と前記螺旋状の外側部材との間に延びている可撓性材料と
を備え、
前記螺旋状の外側部材は、前記カバーシース内に配置されている間、薄型構成にある、ことと、
前記カバーシースから前記治療デバイスを解放し、それによって、前記螺旋状の外側部材を前記薄型構成から拡張構成に拡張させることと
を含む、方法。
(項目52)
前記カバーシースから前記治療デバイスを解放することは、前記治療デバイスに対して前記カバーシースを後退させることを含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記カバーシースは、約6~9Frの直径を有する、項目51に記載の方法。
(項目54)
前記治療デバイスを解放することは、前記螺旋状の外側部材に前記血餅物質に係合させる、項目51に記載の方法。
(項目55)
前記治療デバイスを解放することは、前記螺旋状の外側部材に前記血餅物質を貫通させる、項目51に記載の方法。
(項目56)
前記螺旋状の外側部材を前記薄型構成から前記拡張構成に拡張させた後、前記可撓性材は、前記血餅物質を通して螺旋状に延びている、項目51に記載の方法。
(項目57)
前記螺旋状の外側部材を拡張させることは、前記血餅物質の少なくとも一部が前記螺旋状の外側部材の隣接する渦巻間に係合されるようにする、項目51に記載の方法。
(項目58)
前記可撓性材料は、開口を備え、前記螺旋状の外側部材を前記薄型構成から前記拡張構成に拡張させた後、前記血餅物質の少なくとも一部は、前記開口のうちの1つ以上を通して延びている、項目51に記載の方法。
(項目59)
前記カバーシースから前記治療デバイスを解放した後、前記治療デバイスを包囲している送達シースの中に後退させることをさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目60)
前記治療デバイスを前記包囲している送達シースの中に後退させることは、前記血餅物質の少なくとも一部を取り除くことを含む、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記治療デバイスを前記包囲している送達シースの中に後退させることは、前記血餅物質の少なくとも一部を除去することを含む、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記包囲している送達シースは、拡張可能先端を備え、前記拡張可能先端は、前記治療デバイスが前記包囲している送達シースの中に後退させられている間、拡張状態にある、項目59に記載の方法。
(項目63)
前記螺旋状の外側部材を拡張させることは、前記螺旋状の外側部材の少なくとも一部に脈管壁に接触させる、項目51に記載の方法。
(項目64)
前記螺旋状の外側部材を拡張させることは、前記螺旋状の外側部材に結合された遠位塞栓フィルタを拡張させることを含む、項目51に記載の方法。
(項目65)
前記カバーシースから前記治療デバイスを解放した後、前記治療デバイスを捻じることをさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目66)
前記治療デバイスを捻じることは、前記治療デバイスの近位部分と係合されたトルクデバイスを操作することを含む、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記カバーシースから前記治療デバイスを解放することは、前記治療デバイスを順次段階で解放することを含む、項目51に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本開示の多くの側面は、以下の図面を参照してより深く理解されることができる。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りではない。代わりに、本開示の原理を明確に図示することに重点が置かれている。
【0078】
図1図1は、本技術の側面による、治療システムを図示する。
【0079】
図2図2は、本技術の側面による、血餅と係合された治療デバイスを図示する。
【0080】
図3A図3Aは、本技術の側面による、治療デバイスの別の実施形態を図示する。
【0081】
図3B図3Bは、図3Aの線3B-3Bに沿って得られる螺旋状の外側部材の断面図を図示する。
【0082】
図4図4は、本技術の側面による、治療システムの近位端を図示する。
【0083】
図5図5は、本技術の側面による、治療デバイスを製造する方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本技術の実施形態は、深部静脈血栓症および/または肺塞栓症の治療のためのシステムおよび方法を対象とする。本技術のいくつかの実施形態の具体的詳細が、図1-5を参照して下で説明される。
【0085】
いくつかの実施形態によると、本明細書に説明されるような治療デバイスは、上肢および下肢静脈の血餅の血餅除去、および/または、肺塞栓症に続発する肺動脈からの血餅除去のために使用されることができる。治療デバイスは、上肢または下肢内での末梢静脈穿刺を介して、または内頸静脈の静脈穿刺を介してガイドワイヤ上で挿入されることができる。治療デバイスは、血餅または他の閉塞物質が除去されることが所望される循環器系の任意の他の静脈または動脈内でも使用され得る。
【0086】
デバイスは、複雑な技法または訓練の必要性を伴わず、医師による単純な展開および除去を介して、血餅に係合し、それを除去するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、デバイスは、比較的に大きい脈管を充填し得る血餅に係合し、その血餅をより長く、より小さい直径の形態に分割し、線形化するように構成され、それによって、血餅は、その大きい脈管より小さいシースを通して除去され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、治療システムは、臨床医が、手技中に包囲するシースにわたって持続的な止血を提供することを可能にする。送達シースに拡張可能先端を提供することによって、アセンブリ全体(血餅と、治療デバイスと、カバーシースと、送達シースとを含めた)が、12~14Frの外形で除去されることができる。これは、治療の全てがより大きい(例えば、16~18フレンチ)アクセスシースを通して実施されることを可能にする。したがって、血餅物質は、アクセス部位において静脈を拡張させることなく、繰り返される治療を介して除去されることができる。外側のアクセスシースは、未損傷のままであり、不必要な血液損失を防止する。
【0088】
下でより詳細に説明されるように、いくつかの実施形態において、治療デバイスは、管の上に搭載されるコイル等の内側部材と、内側部材を包囲する螺旋状に延びているワイヤ等の外側部材とを含むことができる。外側部材は、送達のための圧縮された薄型構成と、血餅との係合のためのより大きい半径方向寸法を伴う拡張させられた展開構成とをとり得る形状記憶材料であることができる。ポリマーシート等の可撓性材料が、内側部材と外側部材との間に、それらのそれぞれの長さの少なくとも一部に沿って延びていることができる。展開状態において、可撓性材料は、血餅物質の中に、それに隣接して延び、血餅物質に係合し、その抽出および除去を促進することができる。可撓性材料は、開口を有することができ、開口は、血餅物質との改良された係合を提供するためのバッフルを画定する。
(例示的治療システム)
【0089】
本明細書に開示される治療デバイスは、治療システムの1つの部分として提供されることができ、治療システムは、治療デバイス101と、カバーシース103と、回収プロセスにおいて血餅を収容するために拡張できる拡張可能な編組先端106を有し得る細長い送達シース105と、非外傷性の操向可能ガイドワイヤ107とを含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、カバーシース103は、送達シース105の管腔内にスライド可能に受け取られる。治療デバイスは、カバーシースの管腔内にスライド可能に受け取られることができ、ガイドワイヤ107は、治療デバイスの管腔内にスライド可能に受け取られることができる。いくつかの実施形態において、送達シース105は、約12~14Frの公称直径を有することができ、カバーシース103は、約6~9Frまたは約8Frの公称直径を有することができる。送達シース105は、その遠位部分に拡張可能先端106(例えば、2cmの編組先端、例えば、周囲の脈管壁に対して並置状態に拡張させられ得る編組またはバルーン)を有することができる。いくつかの実施形態において、カバーシース103は、その遠位部分に配置される拡張可能先端(例えば、2cmの編組先端)を有することができる。
【0091】
いくつかの実施形態によると、送達シース105および/またはカバーシース103の本体は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはTEFLON(登録商標))、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX)等の種々の熱可塑性物質から作製されることができ、それらは、随意に、ポリビニルピロリドン(PVP)またはいくつかの他のプラスチックコーティング等の親水性材料で内側表面または隣接表面上で裏打ちされることができる。加えて、いずれの表面も、所望の結果に応じて、異なる材料の種々の組み合わせでコーティングされることができる。
【0092】
図1は、包囲カバーシース103内にスライド可能に受け取られる治療デバイス101と、より大きい直径の送達シース105とを含む治療システム100を図示する。上で記載されるように、カバーシース103は、約6~9Frまたは約8Frの直径を有することができる。これは、下でより詳細に説明されるように、血餅を通して治療デバイス101を送達するために使用されるであろう。カバーシース103は、張力が治療デバイス101のシャフトに加えられ、血餅をより大きい直径の送達シース105の中に引き込むとき、治療デバイス101の機能性区分の近位に留まり得る。上で記載されるように、送達シース105は、いくつかの実施形態において、約12~14Frの直径を有することができ、随意に、血餅をさらに捕捉し、圧縮し、シームレスな抽出を可能にすることが可能である拡張可能先端106(例えば、2cmの編組先端)を含み得る。
(例示的治療デバイス)
【0093】
治療デバイス101(例えば、治療カテーテル)は、遠位に位置する機能性部分109を有する細長い管状シャフトを含むことができる。上で記載されるように、治療デバイス101は、ガイドワイヤの上でスライド可能に前進させられることができ、治療部位への前進のための包囲カバーシース103および/または送達シース105内にスライド可能に受け取られることもできる。カバーシース103内にある間、治療デバイス101の機能性部分109は、圧縮、非拡張、線形化、および/または薄型構成に拘束されることができる。カバーシースからの解放時、治療デバイス101の機能性部分109は、圧縮状態にあるときより大きい半径方向の最外寸法を有する非圧縮、拡張、展開および/または螺旋状構成をとることができる。
【0094】
治療デバイス101の機能性部分109は、ポリウレタンシート等の可撓性材料によって横方向に分離された1つ以上の螺旋状に延びている要素を含むことができる。可撓性材料は、実質的に連続的であり得るか、または、その長さに沿って1つ以上の開口を含むことができる。螺旋状に延びている要素は、一緒に、治療デバイス101の機能性部分109が事前に形成された略渦巻状または螺旋状の形状に向かうようにし得る。ヒト患者の血管内での展開の後、治療デバイス101の機能性部分109は、血管系を通過するように構成される薄型外形を有する送達状態と、螺旋状に延びている要素がアセンブリを標的血管の内壁との安定した並置状態に維持する半径方向に拡張させられた形状(例えば、略渦巻状/螺旋状またはコイル形状)を有する展開状態との間で変形可能である。
【0095】
図1に図示されるように、治療デバイス101の機能性部分109は、中心コア部材115の周囲に渦巻状に巻かれたコイル状の内側部材111を含む。螺旋状の外側部材113は、コイル状の内側部材111および中心管状部材の周囲に渦巻状に巻き、それらを包囲する。コイル状の内側部材111および/または螺旋状の外側部材113は、ニチノール、ステンレス鋼、硬質ポリマー、または他の好適な材料から作製されることができる。いくつかの実施形態において、拡張状態にある螺旋状の外側部材113の直径は、治療部位における静脈または脈管の直径とほぼ同一である。いくつかの実施形態において、螺旋状の外側部材113は、拡張させられた非拘束状態の約12~14mmの直径を有するが、より小さい直径の脈管によって、または血餅物質との係合に起因して拘束される場合であっても、機能し得る。代替として、螺旋状の外側部材113は、異なる標的脈管のために、異なるサイズで提供されることができる。
【0096】
螺旋状の外側部材113およびコイル状の内側部材111は、デバイスの機能性部分109の近位および遠位端において、一緒に接合されることができる。コア部材115は、ガイドワイヤの上(例えば、最小の0.035インチガイドワイヤの上)での通過を可能にする管腔を有する弾性ポリマー管であることができる。図示されるように、螺旋状の外側部材113は、より緊密に巻かれたコイル状の内側部材111よりかなり大きいピッチを有することができる。いくつかの実施形態において、コイル状の内側部材111は、コイル状の内側部材111の伸びおよび収縮が、コイル状の内側部材111の半径方向寸法を実質的に改変しない程度に構成されることができる。対照的に、螺旋状の外側部材113は、伸ばされると、螺旋状の外側部材113が低減させられた(例えば、外側部材113がコア部材115に実質的に平行に伸びるように完全または部分的に線形化された)半径方向寸法をとるように構成されることができる。螺旋状の外側部材113は、圧縮されると、または伸びから解放されると、図1に示されるように、増加させられた半径方向寸法を伴う展開構成をとり得る。いくつかの実施形態において、拡張させられた展開構成に拘束されていないとき、機能性部分109の長さは、約80mmである。カバーシース103内で線形化されると、螺旋状の外側部材113およびコイル状の内側部材111は、非拘束長の50~100%、長さにおいて増加し得る。
【0097】
可撓性材料のシート117が、治療デバイス101のコイル状の内側部材111および螺旋状の外側部材113の両方に結合される。シート117は、ポリマー、例えば、ウレタン、ポリエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(EPTFE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、または他の生体適合性ポリマーから作製されることができる。それは、細かいニチノールまたはステンレス鋼メッシュ等の可撓性金属メッシュまたはスクリーンからも作製され得る。いくつかの実施形態において、シート117は、伸ばされた(例えば、線形化された)状態にある間に螺旋状の外側部材113に取り付けられることができ、それによって、螺旋状の外側部材113が螺旋状または渦巻状構成をとるとき(デバイス展開の間等)、シート117も、渦巻状の螺旋状細片を形成する。いくつかの実施形態において、シートは、その長さに沿って1つ以上の開口119(例えば、細孔、穿孔、スライス、セグメント、捻じり部、カップ、または他の特徴)を有し、展開されると、血餅に係合することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、開口は、シート117が内側部材111と外側部材113との間に延びている複数の別々の区分を含むように、シート117の隣接部分を完全に分離し得る。開口119によって画定される残りの材料は、血餅物質に係合するように構成されるバッフル121を形成することができる。いくつかの実施形態において、シートの遠位部分は、開口を有しておらず、それによって、クローズドセルフィルタ123を形成する。このフィルタ123は、より多くの中心静脈、主肺動脈、または亜分節性肺動脈に対する血餅物質の遠位塞栓化を防止することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、治療デバイス101は、静脈内または動脈内血栓溶解剤と併せて使用され得る一方、他の実施形態において、治療デバイス101は、補助的処置の必要性を伴わずに機械的血栓除去を実施するように構成される。
【0099】
いくつかの実施形態において、治療デバイス101の近位端における機構が、治療デバイス101の展開を自動化し、段階的な比率の展開を可能にするために、提供され得、それによって、例えば、カバーシース103の1センチメートル毎の引き抜きに関して、3センチメートルの治療デバイス101が露出させられる。これは、螺旋状の外側部材113の半径方向の拡張を最適化し、血栓の場所における脈管壁との最大接触、したがって、治療の反復あたりの最大血餅回収を確実にし得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、シート117内に形成されるバッフル121が、中心血餅の最大包囲を可能にするであろうより小さい半径方向に向けられたニチノールワイヤで支持または製造されることができる。これは、次に、最終的な抽出のための血餅圧縮を最大化し得る。
【0101】
血餅回収がフィブリンの形態にある慢性血餅のかなりの負担を含む状況において、螺旋状の外側部材113へのプラスチックコーティングは、内側切断縁を伴い、脈管壁を保護するための外側軟質保護縁としての機能を果たすことができ、デバイス101が回転された場合、内側切断縁は、脈管壁から慢性フィブリンを分離し、血餅回収を促進し得る。
【0102】
治療デバイス101の代替実施形態は、単純な螺旋状の外側部材113使用して、ポリマーバッフル121を不要にし得、外側部材113は、中心ガイドワイヤまたは他の中心に配置されるアンカ部材の近位および遠位に取り付けられる。そのような場合において、オープンセルまたはクローズドセル塞栓保護キャップが、随意に、デバイス101の最遠位側面に位置付けられ得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、コイル状の内側部材111は、省略されるか、または、可撓性材料117のシートに結合するように構成された別の好適な内側アンカと置換されることができる。例えば、コイル状の内側部材111は、ハイポチューブ、一連の別々の管状要素またはリング、または、いくつかの自由度を伴うコア部の上に搭載される他の要素と置換され得る。
【0104】
本明細書に説明される寸法は、下肢静脈または肺動脈から結餅を除去するためのデバイスに関連する。しかしながら、これらの寸法は、全て、他の脈管を治療するための他のサイズのデバイスを作製するために変更され得る。例えば、0.035インチガイドワイヤの代わりに、デバイスは、0.018インチ、0.014インチ、または、さらに0.010インチのガイドワイヤの上での送達のために設計され得る。
【0105】
図2は、血餅物質CMを圧縮することに役立つために近位に引っ張られている螺旋状の外側部材113およびバッフル121によって封入されている血餅物質CMを図示する。血餅物質CMは、保護遠位フィルタ123によって遠位塞栓化から保護され、除去に備えて、最も外側の送達シース105によって近位に圧縮され始めている。血餅物質CMは、それが引き抜かれるときの螺旋状の外側部材113の線形化、およびコイル状の内側部材111の伸びによってかなり伸ばされ、それは、血餅物質CMの全径を実質的に低減させ、それがカバーシース103および/または送達シース105の中により効果的に引き込まれることを可能にし得る。螺旋状の外側部材が、線形化されるにつれて、螺旋状の外側部材およびコイル状部は、接近した並置状態に一緒に引っ張られる。その縁が螺旋状の外側部材およびコイル状の内側部材によって形成される材料の線形シートは、それによって、脈管から引き抜かれるにつれて、比較的に閉鎖された管状の袋を形成し、それは、血餅物質CMを封入し、保持する役割を果たす。
【0106】
図3Aは、慢性フィブリン含有血餅の除去のために構成される治療デバイス301の代替実施形態を図示する。図示される実施形態において、治療デバイス301は、デバイス301の遠位端において、一体的に形成される塞栓保護フィルタまたは傘303を含む。螺旋状の外側部材305は、図3Aに図示される螺旋状の外側部材305が耐久性ポリマーでコーティングされている点を除き、上で説明される螺旋状の外側部材113に類似し得る。図3Bの断面図に見られるように、螺旋状の外側部材305は、脈管壁に接触するように構成された平滑な湾曲した半径方向外側表面305aと、あまり湾曲していない内側表面305bとを有することができ、それによって、脈管壁から慢性血餅を分離することに役立ち得る2つの表面の接合部における前縁305cおよび後縁305dを提供する。いくつかの実施形態において、螺旋状の外側部材305は、その長さの一部または全部に沿って、縁305cまたは305dのうちの一方のみを含むことができる。いくつかの実施形態において、半径方向に内向きの対向表面305bは、平面状ではなく、ある湾曲を有し、内向き表面305bが湾曲した外側表面305aに接合する切断縁305cおよび/または305dをなおもさらに提供する。いくつかの実施形態において、螺旋状の外側部材305は、切断部材または切断縁を形成する隆起、突出、または他の突起要素を含むことができる。
【0107】
そのような切断縁は、特に、脈管壁から慢性フィブリン血餅を分離することにおいて有用であり、例えば、デバイスが静脈内切除術のために使用されることを可能にすることができる。いくつかの事例において、螺旋状の外側部材305は、拡張状態になると、切断縁が血餅物質の中に軸方向に前進させられるように、前方および/または後方に押し進められることができる。いくつかの実施形態において、切断縁は、一方の軸方向のみに面し、例えば、螺旋状の外側部材305に沿った任意の点において、または螺旋状の外側部材305の全てに沿って、遠位のみに面するか、または近位のみに面し得る。他の実施形態において、外側螺旋状部材305は、螺旋状の外側部材305の近位および遠位の両方の移動が、切断縁が血餅物に接触することを可能にするように、遠位に面する1つの切断縁と、近位に面する別の切断縁とを有することができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、螺旋状のコイルの近位部分において、一方向性支柱307があり、それは、近位に向けられ得、カバーシース103の除去時、開放するように構成されている。この支柱307は、カバーシース103が血餅回収に先立って前進させられているとき、壁から慢性血餅を解放することに役立ち得、血餅のための「逆流防止体」としての機能を果たす。
【0109】
図4は、治療システム100の近位部分を図示する。図示されるように、治療デバイス101の近位部分は、送達シース105および治療カテーテルの近位端を越えて近位に延び、臨床医が治療システム100の近位端を操作することを可能にすることができる。治療システム100の近位部分において、トルクデバイス401が、治療デバイス101の近位部分に係合し、脈管内でのデバイスのある回転を可能にし、螺旋状の外側部材113を脈管の外縁に沿って向け、最大の血餅回収を確実にすることに役立つことができる。いくつかの実施形態において、トルクデバイス401は、治療デバイス101の近位部分に恒久的に結合され得る一方、他の実施形態において、トルクデバイスは、除去可能である。
【0110】
加えて、治療システム100の近位部分は、患者の外部に位置付けられるように構成された第1のハブ403と、第2のハブ405とを含むことができる。第1および/または第2のハブは、送達シース105および/またはカバーシース103に結合されることができ、止血アダプタ、Tuohy Borstアダプタ、および/または他の好適な弁および/またはシールデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のハブは、シリンジまたは真空ポンプ等の陰圧発生デバイスに結合される吸引ラインをさらに含むことができる。加えて、いくつかの実施形態において、第1および/または第2のハブは、手技の前、間、および/または後に1つ以上の流体(例えば、造影剤、生理食塩水等)を受け取るように構成されるポートを含むことができる。
(動作の例示的方法)
【0111】
送達に先立って、治療デバイス101は、脈管の中への最初の送達のために、カバーシース103の中に引っ込められることができる。これは、螺旋状の外側部材113が薄型の圧縮構成をとるように、それを線形化する。その直径にほぼ等しいピッチを有する螺旋に関して、この螺旋は、それが線形化されると、その長さの3倍を超えて伸び得る。螺旋が、カバーシース103内で線形化されると、コイル状の内側部材111は、同等の長さだけ伸びることができる。
【0112】
例として、治療デバイスを使用するための手技は、以下のようなものであることができる。最初に、より大きい直径の送達シース105が、静脈または脈管の中に導入される。次いで、カバーシース103内に含まれた治療デバイス101が、中心ガイドワイヤの上を血餅を通して導入される。いくつかの実施形態において、螺旋状の外側部材113および/または内側部材111は、放射線不透過性マーカを含むことができるか、または、少なくとも部分的に蛍光透視法下での可視化を促進するための放射線不透過性材料から形成されることができる。カバーシース103の遠位端が、血餅を越えると、カバーシース103は、徐々に引き抜かれ、螺旋状の外側部材113が血餅の中に拡張することを可能にする。カバーシース103が引き抜かれるとき、治療デバイスを若干前進させることが、より好ましくあり得、それによって、螺旋状の外側部材113が拡張するとき、それは、血餅内で所望のピッチおよび直径を回復する。治療デバイス101の近位端におけるハンドルは、カバーシース103を後退させながら、治療デバイス101を同時に前進させる機構を有し得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、治療デバイスは、血餅内で、脈管壁と並置状態に拡張するように構成され得る。展開されると、わずかな捻じり運動、または前進または後退が、治療デバイス101のより完全な展開を可能にし得、ポリマーによって包まれた螺旋状の外側部材113の外側が、血餅の長さの全体を通して静脈壁に接触する。血餅は、螺旋状の外側部材113の拡張によって渦巻形状に切断され得、可撓性材料117の細片が螺旋状の外側部材113からコイル状の内側部材111まで延びているので、血餅は、可撓性材料117のこの細片によって係合されるであろう。
【0114】
回収が、次いで、治療デバイスを近位に引き戻すことによって開始し得る。カバーシース103も、それに伴って戻るように移動し、治療デバイスの機能性部分109をカバーシース103の外に残すであろう。この後退は、手動で、または螺旋状の外側部材113上での精密な張力を可能にするであろうカテーテルのハブにおける後退ハンドルを介して行われ得る。いくつかの実施形態において、治療デバイスを近位に引き戻すのではなく、カバーシース103および/または送達シース105が、治療デバイス101の上を遠位に前進させられ、治療デバイス101を再度捕捉または再度シース収納し得る。
【0115】
螺旋状の外側部材113およびコイル状の内側部材111が、より大きい送達シース105の中に後退させられるにつれて、それらは、両方、引き伸ばされるので、伸び、部分的に線形化するであろう。これは、螺旋状の外側部材113が脈管壁から離れるようにし、コイル状の内側部材111に近づくようにもし始めるであろう。コイル状の内側部材111と螺旋状の外側部材113との間の可撓性材料117内のバッフル121は、次いで、血餅に係合する傾向にあり、渦巻状の血餅を線形化し始め、回収を促進するであろう。治療デバイスは、次いで、より大きい送達シース105の中にゆっくりと引っ込められ得る。螺旋状の外側部材113、ポリマーバッフル121、およびクローズドセルポリマー塞栓保護フィルタ123の各々は、送達シース105の中に血餅を引き込むことを促進する。送達シース105は、代替として、血餅が捕捉されるにつれて、拡張する先端が回収された血餅をさらに捕捉および圧縮することに役立ち得るように、前方に前進させられ得る。治療デバイス101およびカバーシース103は、次いで、送達シース105を通して完全に引き抜かれ得るか、または、治療デバイス101を伴うカバーシース103および送達シース105の両方は、次いで、より大きいアクセスシースを通してワイヤの上で除去され、したがって、血餅回収を完了し得る。デバイスは、洗浄および再収容され、複数回の治療通過が行われることを可能にし得る。
(例示的製造方法)
【0116】
図5は、治療デバイスの機能性区分109のための製造プロセスを図示する。螺旋状の外側部材113(例えば、ワイヤまたは他の細長い構造)が、所望の螺旋形状に形成され、その近位および遠位端部分において、例えば、はんだ付け、溶接、接着剤、または他の好適な固定技法を介してコイル状の内側部材111に接合される。次いで、このアセンブリは、捻じられ、長手方向に引かれ、螺旋を解き、これを直線化することができ、直線化された螺旋は、図5に描写されるように、コイル状の内側部材111に平行に、それから適切な距離だけ離れた固定具内に保持される。ポリマー管が、次いで、コイル状の内側部材111の管腔に通され得る。いくつかの実施形態において、テフロン(登録商標)ブロッカ管が、このポリマー管の中心管腔の中に挿入され、少なくとも約0.040インチの内側ガイドワイヤ管腔直径が、0.035インチまたは0.038インチガイドワイヤの通過を促進することを確実にし得る。
【0117】
可撓性材料117のシートが、次いで、螺旋状の外側部材113およびコイル状の内側部材111に巻かれ、定位置にシールされることができる。シート117は、それ自体およびコア部材115に融合させられ、一緒アセンブリを保持し得る。シート117は、融合された後、切り揃えられることができ、ポリマーシートの任意の所望のスロット穿孔、バッフル化、捻じり、カップ形状化、穿孔、または他の処理が、実施され、その血餅係合能力を最適化することができる。
【0118】
このアセンブリは、固定具から解放された後、コイル状の内側部材111の周囲でその螺旋形状に戻り、それは、上で説明されるように、血餅回収のために好適な形状を形成する。ポリマーの遠位側面は、遠位塞栓フィルタ123を提供するためのバッフルを伴わないクローズドセル方式のままであり得る。アセンブリの近位端は、次いで、例えば、コイル状の内側部材111および/または螺旋状の外側部材113の近位延長部を治療デバイス101のシャフトの中に挿入し、接合することによって、治療デバイス101のシャフトに取り付けられ得る。
【0119】
図5に見られる楕円形窓119は、切り欠き窓の例であり、切り欠き窓は、バッフル121としての機能を果たす残りのポリウレタン「橋」を可能にし、バッフル121は、張力が治療デバイスの近位端上で引っ張られると、血餅に係合し、それを圧縮し、螺旋状の外側部材113を直線化し、コイル状の内側部材111を引き伸ばすことができる。切り欠き、穿孔、スライス、または他の開口部の種々の他のパターンが、提供され、血餅物質に係合する残りの可撓性材料117の性能を調整することができる。
(結論)
【0120】
実施形態の多くのものが、肺塞栓症の治療のためのシステム、デバイス、および方法に関して上で説明されているが、本技術は、他の用途および/または他のアプローチにも適用可能である。さらに、本明細書に説明されるものに加えて、他の実施形態も、本技術の範囲内である。加えて、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書に説明されるものと異なる構成、構成要素、または手順を有することができる。当業者は、したがって、故に、本技術が、追加の要素を伴う他の実施形態も有し得るか、または、本技術が、図1-5を参照して上で示され、説明される特徴のいくつかのものを伴わない他の実施形態も有し得ることを理解するであろう。
【0121】
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的であることも、本技術を上で開示される精密な形態に限定するようにも意図していない。文脈が許容する場合、単数形または複数形の用語は、それぞれ、複数形または単数形の用語も含み得る。本技術の具体的実施形態、およびそれに関する例が、例証的目的のために上で説明されているが、種々の同等な修正も、当業者が認識するであろうように、本技術の範囲内で可能性として考えられる。例えば、ステップは、所与の順序で提示されているが、代替実施形態は、異なる順序でステップを実施し得る。本明細書に説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するために組み合わせられ得る。
【0122】
ある範囲の値が提供される場合、文脈が明確に別様に指示しない限り、下限の単位の10分の1までのその範囲の上限と下限との間のまでの各介在値も、具体的に開示されることを理解されたい。記載される範囲内の任意の記載される値または介在値と、その記載される範囲内の任意の他の記載される、または介在値との間の各より小さい範囲も、本開示内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、範囲内に含まれる、または除外され得、その限界のいずれか、または両方がより小さい範囲内に含まれる、または全く含まれない、各範囲も、本開示内に包含され、記載される範囲内の任意の具体的に除外される制限を受ける。記載される範囲が、その制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。
【0123】
さらに、単語「または」が、2つ以上の物品のリストを参照して、他の物品から排他的な単一の物品のみを意味するように明示的に限定されていない限り、そのようなリストにおける「または」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の物品、(b)リスト内の物品の全て、または(c)リスト内の物品の任意の組み合わせを含むものと解釈されるものとする。加えて、用語「~を備えている」は、任意のより多い数の同一の特徴および/または追加のタイプの他の特徴が、除外されないように、少なくとも列挙される特徴を含むことを意味するために、全体を通して使用される。具体的な実施形態が例証の目的のために本明細書に説明されているが、種々の修正が本技術から逸脱することなく成され得ることも理解されたい。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられる利点が、それらの実施形態の文脈において説明されているが、他の実施形態も、そのような利点を示し得、全ての実施形態が、必ずしも本技術の範囲内に入るためにそのような利点を示す必要はない。故に、本開示および関連付けられる技術は、本明細書に明示的に示され、説明されていない他の実施形態も包含し得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管管腔から血餅を除去するための治療デバイスであって、
前記治療デバイスは、近位端と遠位端とを有する機能性部分を備え、
前記機能性部分は、
コア部材と、
前記コア部材の上に搭載されている内側部材と、
前記機能性部分の前記近位端および前記遠位端において前記内側部材に結合されている外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材とに結合されている可撓性材料であって、前記内側部材と前記外側部材との間に延びている可撓性材料と
を備え、
前記機能性部分は、(i)カテーテルの管腔の内部に位置付けられている間の送達状態と(ii)前記カテーテルの前記管腔の外に位置付けられている間の展開状態との間で変形するように構成されており、前記送達状態では、前記外側部材は、第1の長さと第1の半径方向寸法とを有し、かつ、前記外側部材は、少なくとも部分的に線形化されており、前記展開状態では、前記外側部材は、前記第1の長さ未満の第2の長さと前記第1の半径方向寸法より大きい第2の半径方向寸法とを有し、かつ、前記外側部材は、前記内側部材の周りに渦巻状に巻き付いており、
前記外側部材は、前記可撓性材料が前記血餅に係合するように、前記機能性部分が前記送達状態から前記展開状態に変形するとき、前記血餅の中へと拡張するように構成されている、治療デバイス。
【請求項2】
前記機能性部分が前記展開状態にあるとき、前記可撓性材料は、渦巻状の螺旋状細片を形成する、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項3】
前記機能性部分が前記送達状態にあるとき、前記可撓性材料は、閉鎖された管状の袋を形成する、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項4】
前記可撓性材料が前記展開状態において前記血餅に係合した後に、前記機能性部分は、前記可撓性材料が前記血餅を封入および保持するように、前記展開状態から前記送達状態に変形するように構成されている、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項5】
前記外側部材は、前記機能性部分が前記送達状態から前記展開状態に変形するとき、前記血餅を渦巻形状に切断するように構成されている、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項6】
前記外側部材が前記展開状態において前記血餅の中へと拡張した後に、前記機能性部分は、前記外側部材が線形化し、かつ、前記血餅が伸びて半径方向に圧縮するように、前記展開状態から前記送達状態に変形するように構成されている、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項7】
前記内側部材は、前記機能性部分が前記送達状態および前記展開状態にあるとき、実質的に一定の半径方向寸法を有する、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項8】
前記内側部材は、コイルを備える、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項9】
前記内側部材は、前記コア部材に沿って軸方向に間隔を置かれた複数の別々の要素を備える、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項10】
前記外側部材は、形状記憶材料を備える、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項11】
前記可撓性材料は、ポリマーまたは可撓性金属メッシュまたはスクリーンのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項12】
前記機能性部分が前記展開状態にあるとき、前記可撓性材料の遠位部分は、血栓物質の遠位塞栓化を防止するように構成されているフィルタを画定する、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項13】
前記外側部材は、内側切断縁または近位に面する切断縁または遠位に面する切断縁のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項14】
前記内側切断縁および前記近位に面する切断縁および前記遠位に面する切断縁は、前記血管管腔の壁から前記血餅を分離するために前記血餅に接触するように構成されている、請求項13に記載の治療デバイス。
【請求項15】
前記外側部材は、前記血管管腔の壁に接触するように構成されている外側軟質保護縁を含む、請求項1に記載の治療デバイス。