(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083477
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】化学発光基質
(51)【国際特許分類】
G01N 33/535 20060101AFI20240614BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240614BHJP
C07F 9/64 20060101ALI20240614BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
G01N33/535
C09K11/06
C07F9/64
C12N9/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061440
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022066314の分割
【原出願日】2017-06-30
(31)【優先権主張番号】62/357,091
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】レヌカ デ シルバ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エー. アイクホルト
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤ エス. コティ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディー. サンディソン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エル. シュム
(72)【発明者】
【氏名】ウェンファ シェ
(57)【要約】
【課題】化学発光基質を提供すること。
【解決手段】イムノアッセイにおいて使用するために迅速なインキュベート期間及び改善された安定性を示すアルカリホスファターゼの化学発光基質製剤が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンアラウンドタイム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年6月30日にPCT国際特許出願として出願されており、2016年6月30日に出願された米国特許仮出願第62/357,091号に対する優先権の利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
イムノアッセイにおいて使用するために迅速なインキュベート期間及び改善された安定性を示すアルカリホスファターゼの化学発光基質製剤が提供される。
【0003】
アルカリホスファターゼは、酵素結合免疫測定法においてマーカー又はラベルとして使用することができる加水分解酵素である。これら酵素の化学発光検出は、サンプル中の酵素の量の又は酵素で標識された分析物の量の定量的尺度を提供するための安全、簡便、かつ高感度の手段を提供する。
【0004】
アルカリホスファターゼの化学発光基質は、イムノアッセイにおいて検出系として使用される。いくつかのフォーマットでは、分析物は、ホスファターゼ酵素で標識されていてもよく、ホスファターゼで標識された特異的「結合パートナー」を介して特異的に検出されてもよい。ホスファターゼは、分析物結合化合物にラベルとして直接組み込むことができる。あるいは、分析物結合化合物を、当該分析物結合化合物についての少なくとも1つのホスファターゼで標識された特異的結合物質に結合させてもよい。あるいは、分析物結合性化合物を少なくとも1つの第2の特異的結合物質で標識してもよく、次いで、これを第2の特異的結合物質についてのホスファターゼで標識された結合パートナーに結合させる。性能及び安定性を含む様々な要因に応じて、いくつかの基質は、自動イムノアッセイシステムにおいてより有用である。
【0005】
アルカリホスファターゼ酵素に接触したときに化学発光を生じさせる化合物(又は分析物)は、米国特許第6,045,727号、同第6,090,571号、同第6,139,782号、同第6,218,137号、同第6,270,695号、及び同第6,296,787号に開示されており、これらはそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる。
【0006】
LUMI-PHOS 530(登録商標)(Lumigen,Southfield,Michigan)は、DxI and Access Systems(Beckman Coulter,Brea CA)を含む自動イムノアッセイシステムにおいて使用される市販のアルカリホスファターゼ化学発光基質製剤である。LUMI-PHOS 530(登録商標)は、所望の感度、開栓安定性(open bottle stability)、バックグラウンド化学発光、及び較正曲線ドリフトを有するが、これら自動系においてシグナルを発生させるために5~6分間のインキュベート時間を必要とする。これら自動系におけるターンアラウンドタイム(TAT)がより速いことが望ましい。
【0007】
Lumigen APS-5(Lumigen(Southfield,Michigan))は、別の市販のアルカリホスファターゼ基質製剤である。Lumigen APS-5は、アルカリホスファターゼ(AP)コンジュゲート分子のELISA検出のために使用されるアクリダンベースの化学発光基質組成物である。Lumigen APS-5は、LUMI-PHOS 530(登録商標)よりも少ない温度感受性光出力及び迅速なピーク強度を提供する。発光は、450nmにおいて最大である。Lumigen APS-5は、迅速なインキュベート期間及び良好な感度を示すが、開栓安定性、バックグラウンド化学発光、及び較正曲線ドリフトが若干制限されるため、自動イムノアッセイシステムにおいて使用するために修正することができない。したがって、APS-5は、LUMI-PHOS 530(登録商標)に比べて、保管中にシグナル強度が失われ、熱感受性が高くなるという問題がある。
図1に示すように、APS-5は、4℃で保管したとき、12ヶ月間で約35%のシグナル喪失を示す。
自動イムノアッセイシステムの性能及び効率を改善するために、LUMI-PHOS 530(登録商標)のより長い保管寿命及び改善された安定性を示すと同時に、APS-5によって示される速いターンアラウンドタイムを有するアルカリホスファターゼ基質を有することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,045,727号明細書
【特許文献2】米国特許第6,090,571号明細書
【特許文献3】米国特許第6,139,782号明細書
【特許文献4】米国特許第6,218,137号明細書
【特許文献5】米国特許第6,270,695号明細書
【特許文献6】米国特許第6,296,787号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
イムノアッセイシステム、特に自動イムノアッセイシステムにおいて使用するためのアルカリホスファターゼ化学発光基質製剤(「基質製剤」)が提供される。これら水性基質製剤は、ホスファターゼ酵素の存在下で化学発光を生じさせる。いくつかの実施形態では、迅速なシグナル生成を示す改善された基質製剤が提供される。本基質製剤は、現行の市販の基質製剤と比べて改善されたシグナル生成時間(又はターンアラウンドタイム)、改善された安定性(例えば、熱感受性の低下)、強化されたアルカリホスファターゼの特異性、及び/又は強化されたアッセイ感度のうちの1つ以上を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、以下を含む:
a)式Iの化学発光化合物又はその塩:
【0011】
【化1】
(式中、
Aは、C
1~6ハロアルキル、ナフチル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロアリールであり、置換フェニルは、1~3個のハロ、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルキル、C(O)R
15、CN、又はNO
2置換基を含み;R
1は、C
5~14アリール、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、及びC
5~14アラルキル基からなる群から選択され;R
7~R
14は、独立して、H、C
1~6アルコキシ、ハロ
、若しくはC
1~6アルキルであるか、又はR
7-R
8若しくはR
8-R
9若しくはR
9-R
10 R
11-R
12若しくはR
12-R
13若しくはR
13-R
14は、少なくとも1つの5又は6員環を含む炭素環式又は複素環式環系として互いに結合し得;R
15は、C
1~6アルキルであり;各Mは、独立して、H、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウム、ホスホニウム、有機アミンから形成される塩、又はアミノ酸から選択され;Zは、O又はSであり;nは、0、1、又は2である);
b)カチオン性芳香族化合物の非存在下で生じるものと比べて化学発光を増加させるのに有効な量のカチオン性芳香族化合物;
c)バックグラウンド低減剤;及び
d)エーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー。
【0012】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、(a)0.01mM~50mMの化合物I、(b)0.01~200μMのカチオン性芳香族化合物、(c)1μM~10mMのバックグラウンド低減剤、及び(d)0.05~20g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、化合物I(式中、ZはSであり;Arは、フェニル又は置換フェニルであり、置換フェニルは、1~3個のハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルキル置換基を含み;R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、又はt-ブチルであり;R7~R14は、独立して、H、C1~6アルコキシ、ハロであり;各Mは、Na又はHであり;nは、0、1、又は2である)を含む。
【0014】
特定の実施形態では、基質製剤は、以下からなる群から選択される化合物Iを含む:
【0015】
【0016】
【0017】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、カチオン性芳香族化合物(CAC)II:
【0018】
【化4】
(式中、Qは、ハロゲン、シアノ、--COOR’、--COSR’、--CONR
1R
2、--CON(R)SO
2R”、ナフチル、アントリル、N-C
1~4アルキルアクリジニル、ハロ置換N-C
1~4アルキルアクリジニルからなる群から選択され;Rは、C
1~4アルキルであり;R’、R”は、独立して、C
1~6アルキル、アリール、アルキル置換アリールから選択され;R
1、R
2は、独立して、H、C
1~6アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され;Z
-は、ハロゲン化物又は硝酸であり;Yは、H、ハロ、C
1~4アルキルから選択される)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、カチオン性芳香族化合物II(式中、Qは、N-メチルアクリジニル、ハロ置換N-メチルアクリジニル、ナフチル、又はアントリルであり;Rは、C1~4アルキルであり;Z-は、Cl-、Br、I-、NO3
-からなる群から選択され、Yは、H又はハロである)を含む。
【0020】
特定の実施形態では、基質製剤は、以下からなる群から選択されるカチオン性芳香族化合物IIを含む:
【0021】
【化5】
N,N’-ジメチル-9,9’-ビアクリジニウムジニトレート(ルシゲニン)、
【0022】
【0023】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、N,N’-ジメチルビアクリジニウムジニトレ
ート(ルシゲニン)であるカチオン性芳香族化合物IIを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸リチウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸リチウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;2,6-ビス(1,10-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、3-t-ブチル-4-ヒドロキシルアニソール、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシルアニソール、及び式Ar-B(OH)2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ヘテロ原子を含み得る又は含み得ない縮合芳香族環系、ヘテロ原子を含み得る又は含み得ない置換縮合芳香族環系であり、置換アリール基は、独立してC1~6アルキル、ハロ、アルコキシカルボニル、又はヒドロキシル基から選択される1~3個の置換基を有し得る)の芳香族ボロン酸からなる群から選択されるバックグラウンド低減剤を含む。特定の実施形態では、バックグラウンド低減剤は、フェニルボロン酸、4-トリルボロン酸、4-クロロボロン酸、4-ヨードボロン酸、及び3-メトキシカルボニルフェニルボロン酸、並びに亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、一般式(III)に係るエーテル結合した非イオン性界面活性剤:
【0026】
【化7】
(式中、Rは、C
6~22アルキル、シクロアルキル、C
6~22アルキル置換シクロアルキル、及びモノ-又はジ-C
6~22アルキル置換フェニルから選択され;nは、2~200の数であり;Xは、O又はSから選択され;Yは、H又はC
1~4アルキルから選択される)を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、式(III)に係るエーテル結合した非イオン性界面活性剤(式中、Rは、C8~20アルキル、C8~20置換シクロアルキル、又はモノ-若しくはジ-C8~20アルキル置換フェニルであり、nは、8~150の数であり、XはOであり、YはHである)を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、エーテル結合した非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル(BRIJ)、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル(TRITON)、又はポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(IGEPAL)から選択される。特定の実施形態では、基質製剤はエーテル結合した非イオン性界面活性剤を含む、はIGEPAL CO-990、IGEPAL DM-970、TRITON X-405、還元型TRITON X-405、BRIJ 78、及びBRIJ 700からなる群から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、式(IV)に係る親水性ポリマー:
【0030】
【化8】
(式中、X
1及びX
2は、独立して、O、S、N若しくはNHから選択されるか、又は存在せず;Y
1及びY
2は、独立して、H、H
2、又はC
1~4アルキルから選択され;
nは、20~12,000の数である)を含む。いくつかでは、120~5,000、又は250~2,500である。いくつかの態様では、nは>20の数である。
【0031】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、式(IV)に係る親水性ポリマー(式中、X1及びX2は、Oであり;Y1及びY2は、Hであり;nは>20の数である)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、1,000~511,000、6,000~218,000、又は12,000~108,000の範囲内から選択される平均Mwのポリ(エチレングリコール)から選択される親水性ポリマーを含む。いくつかの特定の実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(Mw=14,000)、ポリ(エチレングリコール)(Mw=35,000)及びポリ(エチレングリコール)(Mw=100,000)からなる群から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、C10~22アルキルサルフェート及びC10~22アルキルスルホネートからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を更に含む。特定の実施形態では、基質製剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、トリデシル硫酸ナトリウム(STS)、及びテトラデシル硫酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を含む。存在するとき、基質製剤は、0.01~10g/L、好ましくは、0.1~5g/Lのアニオン性界面活性剤を含有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、pH7~12、好ましくは8~11のアミンバッファを更に含む。特定の実施形態では、アミンバッファは、トリス(トロメタミン);AMPD(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール);DEA(ジエタノールアミン);AMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸);221-アミン(2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール);CHES(2-(N-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸);グリシン;又はpH7~12のTAPS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)バッファから選択される。特定の実施形態では、基質製剤は、トリス(トロメタミン)又はAMPD(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)から選択されるアミンバッファを含む。
【0035】
いくつかの特定の実施形態では、基質製剤は、0.01mM~50mMの化合物I、0.01~200μMのカチオン性芳香族化合物、1μM~10mMのバックグラウンド低減剤、0.05~20g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、0.01~10g/Lのアニオン性界面活性剤、及びpH7~12のアミンバッファを含む。
【0036】
いくつかの特定の実施形態では、基質製剤は、0.05mM~10mMの化合物I、0.05~50μMのカチオン性芳香族化合物、10μM~1000mMのバックグラウンド低減剤、0.1~10g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、0.1~5g/Lのアニオン性界面活性剤、及びpH8~11のアミンバッファを含む。
【0037】
いくつかの特定の実施形態の基質製剤では、化合物Iは、CPA(((4-クロロフェニル)チオ)(10-メチルアクリジン-9(10H)-イリデン)メチルホスフェート,二ナトリウム塩)であり;CACは、ルシゲニンであり;バックグラウンド低減剤は、亜硫酸ナトリウムであり;非イオン性界面活性剤は、IGEPAL(CO-990、DM-970)、TRITON(X-405、還元型X-405)、及びBRIJ(78、700)から選択され;アニオン性界面活性剤は、SDS又はSTSであり;アミンバッファは、TRIS又はAMPDである。
【0038】
いくつかの特定の実施形態では、基質製剤は、以下を含む:CPA;ルシゲニン;亜硫酸ナトリウム;ポリ(エチレングリコール)(Mw=14,000)、ポリ(エチレングリコール)(Mw=35,000)及びポリ(エチレングリコール)(Mw=100,000)から選択される親水性ポリマー;SDS又はSTSであるアニオン界面活性剤;TRIS又はAMPDであるアミンバッファ。
【0039】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、0.01mM~50mMの化合物I、0.01~200μMのカチオン性芳香族化合物、1μM~10mMのバックグラウンド低減剤、0.05~20g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、0.01~10g/Lのアニオン性界面活性剤、及びpH7~12のアミンバッファを含み、組成物は、以下のうちの1つ以上を示す:
a)アルカリホスファターゼ酵素に曝露した後、≦5分間、≦4分間、≦2分間、≦1分間、≦45秒間、≦30秒間、≦20秒間、≦10秒間、≦5秒間、≦4秒間、≦3秒間、又は≦2秒間に最高強度(Imax);
b)4℃で300日間保管した後にアルカリホスファターゼ酵素に曝露した後、元のRLUの≦10%の喪失;
c)4℃で300日間以上保管したとき、元のRLUと比べて≧90%又は>95%保持される活性(RLU);
d)4℃で400日間以上保管したとき、>90%保持される活性;
e)30℃で保管したとき<-0.50%/日の15日間後の1日あたりのシグナル変化率(%)。
【0040】
いくつかの実施形態では、以下を含む化学発光アッセイ手順によってサンプル中の分析物を検出する方法が提供される:
(a)サンプルを本発明の基質製剤と接触させることと、
(b)化学発光を測定することであって、化学発光の存在が分析物の存在と相関している、こと。
【0041】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、分析物は、ホスファターゼ酵素又はホスファターゼ酵素の阻害剤である。いくつかの実施形態では、当該方法は、サンプル中の分析物を、当該分析物に特異的に結合する分析物結合化合物と反応させることを更に含み、当該分析物結合化合物は、アルカリホスファターゼで標識されている。いくつかの実施形態では、分析物結合化合物は、抗体、抗原、ハプテン及び核酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、当該方法は、サンプル中の分析物を、当該分析物に特異的に結合する分析物結合化合物及び当該分析物結合化合物の少なくとも1つのホスファターゼ標識特異的結合基質と反応させることを更に含む。
【0042】
当該方法のいくつかの実施形態では、自動イムノアッセイ又は性能試験Bにおいて、化合物Iがホスファターゼ酵素と接触してから化学発光が生じるまでのターンアラウンドタイム(TAT)は2分間未満である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】4℃で約400日間保管したとき、経時的な元の性能強度の百分率の観点でAPS-5基質製剤の相対的安定性が保持されることを示す。
【
図2】1g/L TWEEN(登録商標)20を含むAPS-5製剤と比べた、APS-5製剤に様々な量のTWEEN(登録商標)20(0~5g/L)を添加した後のアッセイ性能に対する効果(性能%)を示す。
【
図3】様々な濃度レベルの非イオン性界面活性剤としてのBRIJ700を添加した改変APS-5製剤の、市販の標準的APS-5製剤の百分率(性能%)としてのシグナルを示す。
【
図4】実施例4に係る0.15CPAg/L及びTRITON X-405を含む基質製剤の4℃で12ヶ月にわたる安定性を示す。
【
図5】実施例6に記載の市販のLUMI-PHOS(登録商標)530 AP基質と比べた、0.15g/L CPAを含有する基質製剤SMS-PEG及びSMS-TRITONと共に基質アッセイスクリーニングで使用される商業的アッセイ及びアッセイフォーマットを示す。
【
図6A】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるジゴキシンスクリーニングRLUデータを示す。
【
図6B】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるPTH(IO)RLUデータを示す。
【
図6C】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるTSH(現行)スクリーニングRLUデータを示す。
【
図6D】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるTSH2 RLUデータを示す。
【
図6E】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるAccuTnI+3スクリーニングRLUデータを示す。
【
図6F】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるBNPスクリーニングRLUデータを示す。
【
図6G】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるCK-MBスクリーニングRLUデータを示す。
【
図6H】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)におけるミオグロビンスクリーニングRLUデータを示す。
【
図6I】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)における全BHCG(旧)スクリーニングRLUデータを示す。
【
図6J】L5(6.3分)におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べた、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤についてのL2(27秒)及びL5(6.3分)における全BHCG(新)スクリーニングRLUデータを示す。
【
図7】本発明の基質製剤における使用について調べられたアミンバッファの特徴を示す。
【
図8】AMPDバッファ系を含む参照基質製剤の%としての、様々なバッファ系を含む基質製剤のAPによる比較シグナルを示す。重炭酸塩、ホウ酸塩、及び炭酸塩バッファ系を含む試験基質製剤は、それぞれ、AMPD参照と比べてAPによるシグナルの減少を示した。グリシン及びTRIS-グリシンバッファを含む試験製剤は、AMPD参照と類似のAPによるシグナルを示した。AMPD-グリシンを含む試験基質製剤は、AMPD参照と比べてシグナルの増加を示した。
【
図9A】APS-5(A)、AMPD-10(B)、C13(C)、及びグリシン(D)の基質製剤についての、5℃で15日間保管中のCPAの喪失率を示す。
【
図9B】AMPD-10(B)、C13(C)、及びグリシン(D)の基質製剤についての、18℃で15日間保管中のCPAの喪失率を示す。
【
図9C】APS-5(A)、AMPD-10(B)、C13(C)、及びグリシン(D)の基質製剤についての、30℃で15日間保管中のCPAの喪失率を示す。
【
図10A】0.32%/日の1日あたりの失われた元のシグナルの強度の勾配を示す、AMPD-10-対照の9日間にわたるシグナルの相対発光単位(RLU)を示す。
【
図10B】0.87%/日の1日あたりの失われた元のシグナルの強度の勾配を示す、AMPD-10-p-クレゾールの9日間にわたるシグナルのRLUを示す。
【
図10C】0.02%/日の1日あたりの失われた元のシグナルの強度の勾配を示す、AMPD-10-4-TBAの9日間にわたるシグナルのRLUを示す。
【
図11】対応する4℃のサンプルに対する性能率として、30℃における(A)0.6×、(B)0.7×、(C)1×、及び(D)1.3×のルシゲニンを含む基質製剤の安定性を示す。より高いCAC濃度において安定性が低下する傾向がみられた。
【
図12】30℃で保管したときの0.3M TRIS(pH8.8)、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1g/L PEG(35K)、0.9g/L SDS、及び0.15g/L CPAを含む基質製剤の安定性を示す。
【
図13】市販のLUMI-PHOS(登録商標)530と比べた、実施例23の基質製剤の23種の自動イムノアッセイにおける結果が出るまでの時間を示す。実施例23の基質製剤では、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて自動イムノアッセイにおいて10%~40%の時間が節約された。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、アルカリホスファターゼと反応して迅速に化学発光シグナルを生じさせ、保管中に持続的なシグナル安定性を示す、改善された基質製剤を提供する。いくつかの実施形態では、基質製剤は、LUMI-PHOS(登録商標)530などの市販されている基質含有化合物と比べて、より速いターンアラウンドタイム(TAT)、並びに熱感受性の低下、ALPアッセイ特異性の強化、フライアー(fliers)の低減、及びアッセイ感度の増大のうちの1つ以上を示す。このような基質製剤は、手動及び自動の両イムノアッセイ、並びにアルカリホスファターゼ基質を使用する他のアッセイ、例えば、核酸プローブアッセイ、細胞受容体アッセイなどで使用するのに望ましい。
【0045】
定義
用語「a」及び「an」は、列挙される化合物の「1つ以上」を指す。例えば、「a」カチオン性芳香族化合物は、1つの化合物、又は2つ以上のカチオン性芳香族化合物を含む混合物を指す。本明細書に列挙される任意の濃度の範囲、百分率の範囲、又は比の範囲は、特に指定しない限り、その範囲内の任意の整数の濃度、百分率、又は比、及びその分数、例えば、整数の十分の一及び百分の一を含むと理解すべきである。また、任意の物理的特徴に関連する本明細書に列挙される任意の数の範囲は、特に指定しない限り、列挙される範囲内の任意の整数を含むと理解すべきである。
【0046】
用語「化学発光化合物」は、本明細書に提供される適切な条件下において、ホスファターゼ酵素及び酸素の存在下で化学発光を生じさせる化合物を指す。本発明の基質製剤中の化学発光化合物は、本明細書に記載の式Iの化合物である。
【0047】
用語「分析物」は、サンプル中でその存在が検出又は定量され得る物質を意味する。本方法によってアッセイされ得る分析物としては、ホスファターゼ酵素が挙げられるが、この場合、追加のホスファターゼ酵素を添加する必要があるであろう。分析物は、ホスファターゼ酵素の阻害剤であってもよい。分析物は、当該技術分野において一般的に知られており、イムノアッセイ、核酸プローブアッセイ、細胞受容体アッセイなどが挙げられるリ
ガンド-バインダーアッセイで検出され得る様々な分類の有機分子及び生体分子のいずれかであってよい。
【0048】
用語「バックグラウンド低減剤」は、その存在がホスファターゼ酵素の非存在下で生じる化学発光を低減する化合物を指す。
【0049】
用語「カチオン性芳香族化合物」(CAC)は、1つ以上の単離又は縮合芳香環を含み、正電荷がヘテロ原子のうちの1つ以上に実質的に局在する炭素以外の少なくとも1つの原子(ヘテロ原子)、好ましくは1つ以上の窒素原子を含有する芳香族複素環化合物を含む化合物を指す。CAC化合物は、本明細書に提供されるホスファターゼ反応において化学発光を増加させるのに好適な酸化/還元電位を有する。
【0050】
用語「エーテル結合した非イオン性界面活性剤」は、エーテル結合によって連結されているか又はエーテル結合を含む、疎水性基及び親水性基を含有する非イオン性有機化合物を指す。エーテル結合した非イオン界面活性剤は、硫酸、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸エステル基を含有しない。いくつかの実施形態では、エーテル結合した非イオン性界面活性剤は、式(III)に係る化合物である:
【0051】
【化9】
(式中、Rは、C
6~22アルキル、シクロアルキル、C
6~22アルキル置換シクロアルキル、及びモノ-又はジ-C
6~22アルキル置換フェニルから選択され;nは、2~200の数であり;Xは、O又はSから選択され;Yは、H又はC
1~4アルキルから選択される)。
【0052】
いくつかの実施形態では、エーテル結合した非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル(BRIJ)、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル(TRITON)、又はポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(IGEPAL)から選択される。エーテル結合した非イオン性界面活性剤の更なる例は、本明細書に提供される。
【0053】
用語「エステル結合した非イオン性界面活性剤」は、エステル結合によって連結されているか又はエステル結合を含む、疎水性基及び親水性基を含有する非イオン性有機化合物を指す。エステル結合した非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレングリコールソルビタンエステル(ポリソルベート、TWEEN)、ソルビタンアルキルエステル(Span)が挙げられる。エーテル結合した非イオン性界面活性剤の更なる例は、本明細書に更に提供される。
【0054】
用語「フライアー」、「フライアーズ」、「フライヤー」、又は「フライヤーズ」は、偽陽性のイムノアッセイ結果を指す。不要な手順及び反復試験を回避するためにフライヤーの減少が望ましい。
【0055】
用語「親水性ポリマー」は、疎水性アリールも>C4アルキル基も有しない反復C2~3アルキルエーテル官能基を有するポリマーを指す。親水性ポリマーは、硫酸、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸エステル基を含有しない。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)又はポリ(プロピレングリコール)(PPG)から選択される。好ましい実施形態では、親水性ポリマーは、1,000~511,000の範囲内で選択される平均Mwを有するポリ(エチレングリコール)である
。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、非イオン性である。親水性ポリマーの更なる例は、本明細書に提供される。
【0056】
用語「均質なアッセイ」は、分析物特異的反応物質と分析物非特異的反応物質との間の分離工程を必要とせずに検出可能なシグナルを調節又は作製するために分析物特異的結合反応を利用する液相の均質な反応を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物及び方法は、均質な液相アッセイにおいて使用することが可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物及び方法は、液相イムノアッセイにおいて使用することが可能である。
【0057】
用語「不均一性アッセイ」は、分析物に結合している及び遊離している(分析物に結合していない)検出可能に標識された特異的結合パートナーの物理的分離に頼る不均一なフォーマットを指す。分離は、典型的には、ある種の物理的プロセス、例えば、濾過、沈降、凝集、又は磁気分離を使用することができるようにある種の固体基材上に必須反応物質を固定化することを必要とし、典型的には、遊離している検出可能に標識された特異的結合パートナーを除去するための洗浄工程も必要とする。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物及び方法は、不均一なアッセイにおいて使用することが可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物及び方法は、不均一なイムノアッセイにおいて使用することが可能である。
【0058】
式Iの化合物が十分に酸性である場合、「その塩」は塩基塩である。いくつかの実施形態では、化合物Iは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウム、有機アミン塩、アミノ酸塩、又はホスホニウム塩から選択されるMを含む。化合物Iの例としては、例えばMがナトリウム、カリウム、又はリチウムから選択されるアルカリ金属塩、例えばMがカルシウム又はマグネシウムであるアルカリ土類金属塩、例えばMが亜鉛である遷移金属塩、例えばMがアンモニウムイオンNH4であるアンモニウム塩、又は例えばトリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミンから選択される有機アミンから誘導される一級、二級、三級、若しくは四級アンモニウム塩、例えばグリシン若しくはリジン塩などのアミノ酸塩、又はホスホニウム塩が挙げられるがこれらに限定されない。ホスホニウム塩の例としては、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,393,469号に開示されているように、水溶性ポリビニルホスホニウム塩ポリマーを含む水溶性ポリマーホスホニウム塩が挙げられるがこれらに限定されない。また、アンモニウム塩の例としては、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,978,614号に開示されているように、ポリ(ビニル四級アンモニウム塩)が挙げられる。いくつかの実施形態では、化合物Iは、H、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、NH4、HNEt3、HO(CH2)2NH4、[HO(CH2)2]2NH2、[HO(CH2)2]3NH、モルホリニウム、N-メチルピペリジニウム、N-エチルピペリジニウム、ジベンジルアンモニウム、グリシン、又はリジンの塩から選択されるMを含む。いくつかの実施形態では、化合物Iはを含み、各Mが、独立して、H、Na、K、及びLiからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、各Mは独立してH及びNaから選択される。
【0059】
語句「所望により置換される」は、語句「置換又は非置換の」と互換的に使用される。特に指定しない限り、所望により置換される基は、その基の各置換可能な位置に置換基を有し得、各置換は互いに独立している。また、置換基又は変数の組み合わせは、このような組み合わせから安定な化合物が得られる場合のみ許容可能である。更に、特に指定しない限り、官能基ラジカルは、独立して選択される。「所望により置換される」が読点によって分離された一連の基を修飾する場合(例えば、「所望により置換されるA、B、又はC」又は「~で所望により置換されるA、B、又はC」)、基(例えば、A、B、及びC
)のそれぞれが所望により置換されることを意図する。
【0060】
用語「PMP」は、微小粒子を含むアッセイ支持体を指す。特定の実施形態では、微小粒子は、例えば、強磁性酸化鉄Fe3O4又はFe2O3などの常磁性又は超常磁性材料を含む。用語「常磁性」及び「超常磁性」は、磁場勾配において力を受けるが、永久に磁化される訳ではない材料を指す。特定の実施形態では、支持体は、磁赤鉄鉱又はFe2O3の形態の鉄を含む。様々な実施形態では、微小粒子の平均直径は、100nm~22,900nmの範囲である。特定の実施形態では、微小粒子の平均直径は、約750nm~約3,000nmの範囲である。別の特定の実施形態では、微小粒子の平均直径は、約950nm~約1,150nmの範囲である。
【0061】
用語「RLU」は、APの存在下における化学発光シグナル(S)の観点の相対光単位を指す。いくつかの態様では、RLUは、AP、例えば、S-Bの非存在下におけるバックグラウンド化学発光(B)に対して補正され得る。
【0062】
用語「TAT」は、アルカリホスファターゼ基質がアルカリホスファターゼによって活性化され(と接触し)たときから、性能試験B又は自動APイムノアッセイにおいて発光シグナルのプラトーが生じたときまでのターンアラウンドタイムを指す。典型的には、本発明の基質製剤については、TAT時間が、LUMI-PHOS 530(登録商標)と比べて少なくとも2倍速い、好ましくは少なくとも5倍速い。あるいは、TAT時間は、2分間未満、好ましくは1分間未満、より好ましくは30秒間未満、最も好ましくは10秒間未満である。ターンアラウンドタイム(TAT)の短縮は、患者の満足度を高め、患者の流れを増大させ、無駄な時間を減らし、患者の害を減らすことができるので望ましい。
【0063】
用語「改善された安定性」は、4℃で12ヶ月間保管し、安定性試験Aによって試験したとき、標準的なAPS-5基質製剤よりも高い安定性を示すか又は約35%未満のシグナル喪失を示すAP基質製剤を指す。
【0064】
用語「低下した熱感受性」は、本開示の基質製剤に関するとき、APS-5基質と比べたとき、0日目と比べて30℃で15日間保管した後に1日あたりの蛍光変化率%によって測定される化合物Iの喪失が減少することを意味する。いくつかの実施形態では、本開示の基質製剤は、実施例9の表24に示すように、1日当たり0.265%の喪失を示すAPS-5と比べて、30℃で15日保管した後に1日あたり0.25%未満の蛍光喪失、1日あたり0.20%未満の蛍光喪失、又は好ましくは1日あたり0.10%未満の蛍光喪失を示す。
【0065】
本明細書に提供される基質製剤に関する用語「強化されたアッセイ特異性」は、同じAPアッセイにおいてAPS-5を用いて得られるものよりも、アルカリホスファターゼアッセイにおける特定の分析物について偽陽性が少ない又はフライヤーの数が少ないことを指す。
【0066】
用語「強化されたアッセイ感度」は、本開示の基質製剤に関するとき、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べてS0/ブランク比が高いことを意味する。実施例6Kに示すように、基質試験製剤のS0/ブランク比は、同じアッセイにおけるLUMI-PHOS(登録商標)530のS0/ブランク比よりも高かった。
【0067】
用語「より高いシグナル対ノイズ」は、本開示の基質製剤に関するとき、同じアッセイにおけるLP-530基質よりも、APアッセイにおけるキャリブレータのシグナル対ノイズ比が高いことを指す。一態様では、キャリブレータのシグナル対ノイズ比は、S/S
0値として計算することができ、「S」は、分析物を含有するキャリブレータによる化学発光アッセイシグナルであり、「S0」は、分析物の非存在下においてキャリブレータと共に同じアッセイフォーマットを使用した化学発光アッセイシグナルである。実施例6B~6J、表7~15のそれぞれに示すように、本開示の製剤は、LP-530基質よりも高いキャリブレータのシグナル対ノイズ比を示す。
【0068】
化学的定義
用語「脂肪族」又は「脂肪族基」は、本明細書で使用するとき、完全に飽和しているか若しくは不飽和の1つ以上の単位を含有する直鎖又は分枝鎖のC1~12炭化水素鎖、又は完全に飽和しているか若しくは不飽和の1つ以上の単位を含有するが芳香族ではなく(本明細書では「炭素環」又は「シクロアルキル」とも称される)、分子の残部への結合点を1つ有し、二環式環系における任意の個々の環が3~7個の員を有する単環式C3~8炭化水素又は二環式C8~12炭化水素を意味する。例えば、好適な脂肪族基としては、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、又は(シクロアルキル)アルケニルなどの直鎖又は分岐鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル基及びこれらのハイブリッドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
単独で使用されるか又はより大きな分子の一部として使用される用語「アルキル」、「アルコキシ」、「ヒドロキシアルキル」、「アルコキシアルキル」、及び「アルコキシカルボニル」は、特に指定しない限り、1~22個の炭素原子を含有する(C1~22)直鎖及び分枝鎖の両方を含む。単独で使用されるか又はより大きな分子の一部として使用される用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、2~12個の炭素原子を含有する直鎖及び分岐鎖の両方を含むものとする。
【0070】
単独で使用されるか又は他の用語と組み合わせて使用される用語「アリール」は、合計5~14個の環員を有する単環式、二環式、又は三環式の炭素環式環系であって、当該系における少なくとも1つの環が芳香族であり、当該系における各環が3~8個の環員を含有する環系を指す。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用され得る。用語「アラルキル」は、アリールによって置換されたアルキル基を指す。用語「アラルコキシ」は、アリールによって置換されたアルコキシ基を指す。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニル又はナフチルであり、本明細書に示されるように所望により置換され得る。
【0071】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、及び「ハロアルコキシ」は、アルキル、アルケニル、又はアルコキシを意味し、場合によっては、1つ以上のハロゲン原子で置換され得る。
【0072】
用語「ハロゲン」又は「ハロゲン化物」又は「ハロ」は、F、Cl、Br、又はIを意味する。
【0073】
用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素、又は硫黄を意味し、窒素及び硫黄の任意の酸化形態、並びに任意の塩基性窒素の四級化形態を含む。
【0074】
用語「複素環式環系」は、本明細書で使用するとき、1つ以上の環員がヘテロ原子である5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個の環員を有する単環式、二環式、又は三環式の縮合環系であって、当該系における各環が3、4、5、6、7、又は8個の環員を含有する環系を意味する。いくつかの実施形態では、複素環式環系は、単独で使用されるか又は他の用語と組み合わせて使用される「ヘテロアリール」を含み、合計5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個の環員を有する単環式、二環式、又は三環式の環系であって、1)当該系における少なくとも1つの環が芳香族であり
、2)当該系における少なくとも1つの環が1つ以上のヘテロ原子を含有し、かつ3)当該系における各環が3、4、5、6、又は7個の環員を含有する、環系を指す。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」又は用語「複素環式芳香族」と互換的に使用され得る。ヘテロアリール環の例としては、2-フラニル、3-フラニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、5-テトラゾリル、2-トリアゾリル、5-トリアゾリル、2-チエニル、3-チエニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、イソインドリル、アクリジニル、ベンゾアクリジニル、及びベンゾイソキサゾリルが挙げられるがこれらに限定されない。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されたアルキル基を指す。用語「ヘテロアリールアルコキシ」は、ヘテロアリールによって置換されたアルコキシ基を指す。
【0075】
いくつかの態様では、「複素環式環系」は、N、O及びS原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む少なくとも1つの5又は6員環を含有する所望により置換される複素環式系を指す。いくつかの態様では、複素環式環系は、ヘテロ原子としてN原子を1つだけ含有する少なくとも1つの5又は6員複素環式環を含む。好ましい実施形態では、複素環式環系は、アクリダン環系を含む。一態様では、複素環式環系は、N-C1~4アルキルアクリダン環系又は置換N-C1~4アルキルアクリダン環系を含む。置換複素環式環系は、C1~4アルキル、ハロ、C1~4アルコキシ、又は1若しくは2個の縮合ベンゾ置換基から選択される1~4個の置換基を含む。特定の態様では、複素環式環系は、N-メチルアクリダン環系を含む。
【0076】
「アリール」(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなど)又は「ヘテロアリール」(ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルコキシなど)基は、1つ以上の置換基を含有し得る。アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子における好適な置換基は、以下から選択される:ハロゲン;ハロアルキル;--CF3;--R;--OR;--SR;1,2-メチレンジオキシ;1,2-エチレンジオキシ;保護されたOH(例えば、アシルオキシ);フェニル(Ph);Rで置換されたPh;--O(Ph);Rで置換された--O-(Ph);--CH2(Ph);Rで置換された--CH2(Ph);--CH2CH2(Ph);Rで置換された--CH2CH2(Ph);--NO2;--CN;--N(R)2;--NRC(O)R;--NRC(O)N(R)2;--NRCO2R;--NRNRC(O)R;--NR--NRC(O)N(R)2;--NRNRCO2R;--C(O)C(O)R;--C(O)CH2C(O)R;--CO2R;--C(O)R;--C(O)N(R)2;--OC(O)N(R)2;--S(O)2R;--SO2N(R)2;--S(O)R;--NRSO2N(R)2;--NRSO2R;--C(=S)N(R)2;--C(=NH)--N(R)2;--(CH2)y NHC(O)R;--(CH2)yR;--(CH2)yNHC(O)NHR;--(CH2)yNHC(O)OR;--(CH2)yNHS(O)R;--(CH2)yNHSO2R;又は--(CH2)yNHC(O)CH((V)z--R)(R)(式中、各Rは、独立して、水素、所望により置換される脂肪族(好ましくはC1~6)、非置換ヘテロアリール、又は複素環式環(好ましくはC5~6)、フェニル(Ph)、--O(Ph)、又は--CH2(Ph)-CH2(Ph)から選択され、yは0~6であり;zは0~1であり;Vはリンカー基である)。Rが脂肪族であるとき、それは、--NH2、--NH(C1~4脂肪族)、--N(C1~4脂
肪族)2、--S(O)(C1~4脂肪族)、--SO2(C1~4脂肪族)、ハロゲン、(C1~4脂肪族)、--OH、--O--(C1~4脂肪族)、--NO2、--CN、--CO2H、--CO2(C1~4脂肪族)、--O(ハロC1~4脂肪族)、又は-ハロ(C1~4脂肪族)から選択される1つ以上の置換基で置換され得;各C1~4脂肪族は非置換である。
【0077】
脂肪族基又は非芳香族複素環式環は、1つ以上の置換基を含有し得る。脂肪族基又は非芳香族複素環式環の飽和炭素における好適な置換基は、アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素について上に列挙したもの、並びに以下から選択される:=O、=S、=NNHR、=NN(R)2、=N--、=NNHC(O)R、=NNHCO2(アルキル)、=NNHSO2(アルキル)、又は=NR(式中、各Rは、独立して、水素又は所望により置換される脂肪族(好ましくはC1~6)から選択される)。Rが脂肪族であるとき、それは、--NH2、--NH(C1~4脂肪族)、--N(C1-4脂肪族)2、ハロゲン、--OH、--O--(C1~4脂肪族)、--NO2、--CN、--CO2H、--CO2(C1~4脂肪族)、--O(ハロC1~4脂肪族)、又は-ハロ(C1~4脂肪族)から選択される1つ以上の置換基で置換され得;各C1~4脂肪族は非置換である。
【0078】
非芳香族複素環式環の窒素における置換基は、--R、--N(R)2、--C(O)R、--C(O)OR、--C(O)C(O)R、--C(O)CH2C(O)R、--SO2R、--SO2N(R)2、--C(=S)N(R)2、--C(=NH)--N(R)2、又は--NRSO2Rから選択され;式中、各Rは、独立して、水素、所望により置換される脂肪族(好ましくはC1~6)、所望により置換されるフェニル(Ph)、所望により置換される--O(Ph)、所望により置換される--CH2(Ph)、所望により置換される--CH2CH2(Ph)、又は非置換のヘテロアリール若しくは複素環式環(好ましくは5~6員)から選択される。RがC1~6脂肪族基又はフェニル環であるとき、それは、--NH2、--NH(C1~4脂肪族)、--N(C1~4脂肪族)2、ハロゲン、(C1~4脂肪族)、-OH、-O-(C1~4脂肪族)、-NO2、-CN、-CO2H、--CO2(C1~4脂肪族)、O(ハロC1~4脂肪族)、又は-ハロ(C1~4脂肪族)から選択される1つ以上の置換基で置換され得;各C1~4脂肪族は非置換である。
【0079】
用語「221-アミン」は、2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール(2-アミノ-2-メチルプロパノール)、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0080】
用語「AMPD」は、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0081】
用語「AMPSO」は、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0082】
用語「CHES」は、2-(N-シクロへキシルアミノ)エタンスルホン酸(N-シクロヘキシルタウリン)、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0083】
用語「BHT」は、ジブチルヒドロキシトルエン(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)を指す。
【0084】
用語「BHA」は、ブチル化ヒドロキシアニソール、一般的には2-及び3-tert-ブチル-4-メトキシフェノールの混合物を指す。
【0085】
用語「BRIJ(商標)78」は、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルを指す。
【0086】
用語「BRIJ(商標)700」は、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテルを指す。
【0087】
用語「DEA」は、ジエタノールアミン;2,2’-ジヒドロキシジエチルアミン、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0088】
用語「IGEPAL(登録商標)CO-990」は、ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル、分枝鎖を指す。
【0089】
用語「IGEPAL(商標)DM-970」は、ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテルを指す。
【0090】
用語「PEG」は、ポリエチレングリコール又はポリ(エチレングリコール)を指す。「PEG」の後の数は、平均分子量を指し、Mwは、重量平均分子量を指し、Mnは、数平均分子量を指す。
【0091】
用語「PLURONIC(登録商標)F68」は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを指す。
【0092】
用語「PLURONIC(登録商標)F108」は、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックポリ(エチレングリコール)、平均Mn約14,600を指す。
【0093】
用語「PLURONIC(登録商標)P103」は、平均Mw4950のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを指す。
【0094】
用語「PLURONIC(登録商標)P104」は、平均Mw5900のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを指す。
【0095】
用語「STS」は、トリデシル硫酸ナトリウム(C13H27OSO3Na)を指す。
【0096】
用語「TAPS」は、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]プロパン-1-スルホン酸)、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0097】
用語「4-TBA」は、4-トリルボロン酸、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0098】
用語「TRIS」又は「トリス」は、トロメタミン(別名トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)、又はその塩若しくは水和物を指す。
【0099】
用語「TRITON(商標)X-405」は、オクチルフェノールエトキシレートを指す。
【0100】
用語「還元型TRITON(商標)X-405」は、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルシクロへキシルエーテルを指す。
【0101】
用語TWEEN(登録商標)20は、ポリソルベート20としても知られているモノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを指す。
【0102】
アルカリホスファターゼ化学発光基質製剤
本発明の基質製剤は、式Iの化学発光化合物、カチオン性芳香族化合物(CAC)、エーテル系非イオン界面活性剤又は親水性ポリマー、及びバックグラウンド低減剤を含む。基質製剤は、所望により、アニオン性界面活性剤、バッファ、及び増強剤化合物を含有する。
【0103】
本発明の基質製剤は、性能試験Bのアッセイ条件を使用して測定されるLumigen
LUMI-PHOS 530(登録商標)よりも速いTAT時間を示すアルカリホスファターゼと接触して置いたとき、迅速に発光シグナルを生じさせることができる。TAT時間は、アルカリホスファターゼ基質がアルカリホスファターゼによって活性化され(と接触し)たときから、性能試験Bを使用してシグナルのプラトーが生じたときまで測定される。典型的には、高速基質のTATは、LUMI-PHOS 530(登録商標)と比べて少なくとも2倍速く、好ましくは3倍、4倍、又は5倍速い。あるいは、上記のこの時間は、2分間未満、好ましくは1分間未満、より好ましくは30秒間未満、最も好ましくは10秒間未満である。
【0104】
本明細書に提供される基質製剤は、先行技術の市販のアルカリホスファターゼ基質製剤と比べて、アルカリホスファターゼの存在下で迅速に化学発光シグナルを生じさせ、改善された安定性を示すことが示されている。いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼアッセイで使用するための1分間未満のシグナル生成時間を示す安定な基質製剤が提供される。いくつかの実施形態では、暗所において4℃で密閉保管したとき、アルカリホスファターゼアッセイで使用するために12ヶ月間にわたって<15%、<10%、<5%、又は≦3%のシグナル変化を示す安定な基質製剤が提供される。
【0105】
化学発光化合物
本製剤において有用な化学発光化合物は、アルカリホスファターゼと接触したとき、化学発光を生じさせることができる。このような化合物は、それぞれが参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,045,727号、同第6,090,571号、同第6,139,782号、同第6,218,137号、同第6,270,695号、及び同第6,296,787号に記載のとおり合成することができる。
【0106】
本基質製剤では、化学発光化合物又はその塩は、式(I)を有する:
【0107】
【化10】
(式中、Aは、C
1~6ハロアルキル、ナフチル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロアリールであり、置換フェニルは、1~3個のハロ、C
1~6アルキル、C
1~6アル
コキシ、C
1~6ハロアルキル、C(O)R
15、CN、又はNO
2置換基を含み;R
1は、C
5~14アリール、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、及びC
5~14アラルキル基からなる群から選択され;R
7~R
14は、独立して、H、C
1~6アルコキシ、ハロ、若しくはC
1~4アルキルであるか、又はR
7-R
8若しくはR
8-R
9若しくはR
9-R
10 R
11-R
12若しくはR
12-R
13若しくはR
13-R
14は、少なくとも1つの5又は6員環を含む炭素環式又は複素環式環系として互いに結合し得;R
15は、C
1~6アルキルであり;各Mは、独立して、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウム、有機アミン、又はアミノ酸から選択され;Zは、O又はSであり;nは、0、1、又は2である)。いくつかの実施形態では、各Mは、独立して、H、Li、Na、又はKから選択される。
【0108】
化合物Iの特定の実施形態では、R1はメチルであり、ZはO又はSであり、Aはフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ナフチルであり、当該置換基は、1~3個のハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシから選択され;R7~R14は、独立して、H、C1~4アルコキシ、ハロであり、各MはNaであり、nは2である。
【0109】
化合物Iは、化学発光シグナルを生じさせるのに有効な濃度、好ましくは基質製剤中0.01~50mM、より好ましくは0.05~10mM、最も好ましくは0.1~5mMで使用される。
【0110】
特定の実施形態では、化合物Iは、以下から選択される:
【0111】
【0112】
【0113】
式Iの化合物の調製は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,090,571号の実施例1~13に記載されている。
【0114】
好ましい実施形態では、化合物IはCPAであり、これは、下記スキーム1に示すように、アルカリホスファターゼに曝露されたときに蛍光剤を形成する。
【0115】
【0116】
N-メチルアクリドンからの蛍光の増加の測定は、機能的RLU試験に加えて、本発明の基質製剤の安定性試験のための有用なツールとして確立されている。
【0117】
本発明の化学発光化合物は、典型的には、100~200nmの広い発光帯にわたって光を発生させ、これは、電磁スペクトルの近紫外から可視の領域の波長で最大強度を示す。最大強度ラムダmaxの典型的な波長は、350~500nmの範囲内である。リン酸ビニル部分の二重結合と共役していない共有結合されたフルオロフォアを有する式Iのリン酸化合物は、励起された生成物VI*が形成されたとき、励起状態のフルオロフォアからより長い波長において発光させる分子内エネルギー移動を経験し得ると想到される。
【0118】
ホスファターゼ酵素の作用によって光を生じさせる方法において、1超の化学発光化合物Iを併用してもよい。いくつかの例では、2つ以上の式Iの化合物をホスファターゼ酵素と同時に反応させることが有益であり得る。2つ以上の化合物が異なる発光特性又は物性を有するとき、任意の1つの化合物の使用を通じて容易に達成することができない特徴を有する発光反応を生じさせるために2つの組み合わせが望ましい場合がある。化合物I間で異なり得る発光特性又は物性の例としては、発光スペクトル、発光の持続時間、酵素のターンオーバー、最大までの発光の上昇率、疎水性/親水性、及び溶解性が挙げられる。本方法では式Iの化合物によって具体的な発光特性が異なり得るが、特性のばらつきは化合物の基本的有用性を損なわせるものではなく、本明細書に記載される教示及び方法によって所望の特性を有する具体的な化合物を選択することができる。
【0119】
カチオン性芳香族化合物
上記反応系にカチオン性芳香族化合物(CAC)を添加することにより、発生する光の量及び/又は強度を大きく増大させることができる。更に、ホスファターゼ酵素の非存在下で式Iの化合物にCACを添加しても、対応して自発的(バックグラウンド)化学発光が増加することはないが、その理由は、CACが化合物Iから誘導される脱リン酸化された中間体に対してはその効果を発揮するが、化合物I自体には効果を発揮しないためである。ホスファターゼ酵素の検出の感度の大きな増大は、シグナル/バックグラウンドの増大によって生じる。発光は励起状態のVIから生じ続け、CACからは生じないことが重要である。
【0120】
様々なCACが、生成される光の量及び/又は強度を増大させる機能を有することが判明している。CACは、置換基が不飽和環原子と共役している限り、芳香環若しくは環系に少なくとも1つの正電荷を有するか、又は環のうちの1つにおける置換基に存在する芳香族化合物である。
【0121】
本発明のCACは、本発明の反応において化学発光の増大を引き起こすのに好適な酸化/還元電位を有する化合物である。CACとしての化合物の好適性は、以下の具体例に記
載される方法を用いて容易に決定することができる。任意の特定の機械論的解釈によって束縛されるものではないが、Iの脱リン酸化の中間生成物は、可逆的又は不可逆的であり得るレドックス反応を受けると考えられる。分子酸素は、CAC、CACの還元形態、あるいは化合物Iの脱リン酸化された中間体又はその酸化若しくは還元形態から選択される反応における反応種のうちの1つ以上と反応して、最終的に、化合物Iから誘導される酸素化反応生成物を形成する。酸素化反応生成物は化学発光反応を受けるが、これはO--O結合破壊反応である可能性が高い。
【0122】
本発明のCACは、正電荷がヘテロ原子のうちの1つ以上に実質的に局在する炭素以外の少なくとも1つの原子(ヘテロ原子)、好ましくは1つ以上の窒素原子を含有する1つ以上の単離又は縮合芳香環を含む芳香族複素環化合物であってよい。この分類のCACの例は、シアニン色素、チアシアニン色素、カルボシアニン色素、チアカルボシアニン色素、セレナカルボシアニン色素、アゾ色素、及び式IIのアクリジニウム誘導体である:
【0123】
【化14】
(式中、Qは、電子求引性基であり、Z-は、非干渉アニオン性対イオンであり、Rは、アルキル又はアラルキル基であり、これらはそれぞれ所望により非干渉置換基を含有し得、Yは任意の置換基である)。環水素の一部が他の置換基によって置換されたアクリジニウム誘導体も、機能性CACの範囲内である。電子求引性基Qは、ハロゲン、シアノ、カルボニル基、例えば、エステル基-COOR’、チオエステル基-COSR’、アミド基--CONR
1R
2、スルホンイミド基--CON(R)SO
2R’、又はアリール、N-C
1~4アルキルアクリジニル、又は置換N-C
1~4アルキルアクリジニル置換基から選択され得る。Yは、H、ハロ、C
1~4アルキルから選択される。いくつかの実施形態では、アリール置換基は、フェニル、ナフチル、又はアントリルから選択される。同様に、CACは、フェナントリジニウム又はフェナントロリニウム化合物の誘導体であってもよく、式中、R’、R”は、独立して、C
1~6アルキル、アリール、アルキル置換アリールから選択される。R
1、R
2は、独立して、H、C
1~6アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択される。いくつかの態様では、Z-は、ハロゲン化物又は硝酸である。
【0124】
いくつかの実施形態では、CACは、式IIの化合物である(式中、Qは、N-C1~4アルキルアクリジニウム、ハロ置換N-C1~4アルキルアクリジニル、ナフチル、アントリルであり;Rは、C1~4アルキルであり;Z-は、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-からなる群から選択され、Yは、H又はハロである)。
【0125】
いくつかの実施形態では、CACは、式IIの化合物である(式中、Qは、N-メチルアクリジニル、ナフチル、又はアントリルであり;Rは、C1~4アルキルであり;Yは、H又はClであり、Z-は、Cl-、Br-、I-、NO3
-からなる群から選択される)。
【0126】
いくつかの実施形態では、CACは、式IIの化合物である(式中、Qは、N-メチル
アクリジニルであり;Rは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、又はt-ブチルであり;Yは、H又はClであり、Z-は、Cl-、Br-、I-、NO3
-からなる群から選択される)。
【0127】
いくつかの実施形態では、CACは、式IIの化合物である(式中、Qは、N-メチルアクリジニルであり;Rはメチルであり;YはHであり;Z-はNO3
-である)。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明のCACは、カチオン性部位が芳香環と共役している限り、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つのカチオン性置換基を有する1つ以上の単離又は縮合炭素環式芳香環を含む芳香環化合物であり得る。後者の分類のCACでは、ヘテロ原子が窒素又は硫黄原子であることが好ましい。例としては、メチレンブルー(3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン-5-イウムクロリド)及びナイルブルー(5-アミノ-9-(ジエチルアミノ)ベンゾ(a)フェノキサジン-7-イウムクロリド)が挙げられる。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明のCACは、1超の正電荷を有し得る。例えば、ジカチオン性化合物は本発明の範囲内である。この種の例示的な化合物としては、一般的にルシゲニン(10,10’-ジメチル-9,9’-ビアクリジニウムジニトレート)として知られているN,N’-ジメチルビアクリジニウムジニトレート、及び一般的にメチルビオロゲンジクロリド又はパラコートジクロリドとして知られている1,1’-ジメチル-4,4’-ビピリジニウムジクロリドが挙げられる。
【0130】
本発明のCAC成分として有用な更なる化合物としては、一例であるが、アシッドイエロー、ベーシックブルー41、ベーシックブルー66、ベーシックレッド29、3-ベンジル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムクロリド、[2-[2-[2-クロロ-3-[(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]1,3,3-トリメチルインドリウムパークロレート、{IR-786パークロレート}、trans-4-[4-(ジブチルアミノ)スチリル]-1-メチルピリジニウムヨージド、5,5’-ジクロロ-11-ジフェニルアミノ-3,3’-ジエチル-10,12-エチレンチアトリカルボシアニンパークロレート、{IR-140}、3,3’-ジエチル-9-メチルチアカルボシアニンヨージド、1,1’-ジエチル-2,2’キノトリカルボシアニンヨージド、3,3’-ジエチルセレナカルボシアニンヨージド、3,3’-ジエチルチアシアニンヨージド、3,3’-ジエチルチアジカルボシアニンヨージド、2-[4-(ジメチルアミノ)スチリル]-3-エチルベンゾチアゾリウムヨージド、3,6-ジメチル-2-(4-ジメチルアミノフェニル)-ベンゾチアゾリウムブロミド、3,4-ジメチル-5-(2-ヒドロキシエチル)チアゾリウムヨージド、4-[2-[3-[(2,6-ジフェニル-4H-チオピラン-4-イリデン)エチリデン]-2-フェニル-1-シクロ-ヘキセン-1-イル]エテニル]-2,6-ジフェニル-チオピリリウムテトラフルオロボレート{IR-1040}、5-[3-エトキシ-4-(3-エチル-5-メチル-2(3H)-ベンゾチアゾリル-イデン)-2-ブテニリデン]-3-エチル-2-[(3-エチル-4,5-ジフェニル-2(3H)-チアゾリリデン)メチル]-4,5-ジヒドロ-4-オキソチアゾリウムヨージド、3-エチル-2-(2-ヒドロキシ-1-プロペニル)ベンゾチアゾリウムクロリド、3-エチル-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド、3-エチル-2-メチルベンズオキサゾリウムヨージド、1-エチル-3-メチル-1H-イミダゾリウムクロリド、メチレンブルー、ナイルブルーA、及びトリホスホピリジンヌクレオチド,ナトリウム塩水和物が挙げられる。
【0131】
CACは、基質製剤中で0.01~200μM、好ましくは、0.05~50μM、より好ましくは0.1~25μMの濃度で使用され得る。
【0132】
好ましい実施形態では、CACは、1つのカチオン性電荷又は2つのカチオン性電荷を有するアクリジニウム化合物である。一実施形態では、CACは、以下から選択される:
【0133】
【0134】
一態様では、CACは、一般的にルシゲニンとして知られているN,N’-ジメチル-9,9’-ビアクリジニウムジニトレート)である。
【0135】
バックグラウンド低減剤
基質製剤の課題の1つは、低いバックグラウンド化学発光を有することである。先行技術のAPS-5ベースの製剤におけるバックグラウンド化学発光は、一般的に、経時的にバックグラウンドを上昇させ得る溶液中の酸化種の存在によって引き起こされると考えられる。
【0136】
バックグラウンド低減剤(BRA)は、ホスファターゼ酵素の非存在下で組成物によって生成される化学発光を低減する化合物である。これら剤は、長期間にわたってバックグラウンド化学発光の蓄積を防止することによっても機能することができる。また、これら剤は、組成物とホスファターゼ酵素との反応によって生成される特異的シグナルのバックグラウンド化学発光に対する比を改善することによっても機能することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、バックグラウンド低減剤は、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸、重亜硫酸、及びメタ重亜硫酸のナトリウム、カリウム又はリチウム塩)、有機抗酸化剤ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;2,6-ビス(1,10-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、3-t-ブチル-4-ヒドロキシルアニソール、又は3-tert-ブチル-4-ヒドロキシルアニソールである。いくつかの特定の実施形態では、バックグラウンド低減剤としては、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む、亜硫酸、重亜硫酸、及びメタ重亜硫酸の塩が挙げられる。いくつかの態様では、バックグラウンド低減剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;2,6-ビス(1,10-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、3-t-ブチル-4-ヒドロキシルアニソール、又は3-tert-ブチル-4-ヒドロキシルアニソールである。
【0138】
いくつかの実施形態では、バックグラウンド低減剤は、Ar-B(OH)2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ヘテロ原子を含み得る縮合芳香環系、ヘテロ原子を含み得る置換縮合芳香環系であり、置換アリール基は、独立してC1~6アルキル、ハロ、ア
ルコキシカルボニル、又はヒドロキシル基から選択される1~3個の置換基を有し得る)の芳香族ボロン酸であってよい。芳香族ボロン酸の例としては、フェニルボロン酸、4-トリルボロン酸、4-クロロボロン酸、4-ヨードボロン酸、及び3-メトキシカルボニルフェニルボロン酸が挙げられる。
【0139】
いくつかの態様では、バックグラウンド低減剤は、フェニルボロン酸(PBA)、4-トリルボロン酸(4-TBA)、4-クロロフェニルボロン酸(4-CPBA)、4-ヨードフェニルボロン酸(4-IPBA)、又は3-メトキシカルボニルフェニルボロン酸(3-MCPBA)である。
【0140】
いくつかの実施形態では、化合物Iの製剤中に1つ以上のバックグラウンド低減剤が存在する。
【0141】
バックグラウンド低減剤は、1μM~10mM、好ましくは10~1000μMの濃度で使用され得る。いくつかの実施形態では、バックグラウンド低減剤は、0.1mg/mL~25mg/mL、1mg/mL~20mg/mL、又は5~15mg/Lから選択される濃度で製剤中に存在する。
【0142】
本発明の基質製剤での使用に加えて、亜硫酸ナトリウムに代えて又は加えて、アリールボロン酸がAPS-5ベースの製剤(6,045,727、6,090,571、6,139,782、6,218,137、6,270,695、及び6,296,787に記載されているものなど)のバックグラウンド化学発光を著しく低減することも判明した。いくつかの実施形態では、BRAは、フェニルボロン酸、4-トリルボロン酸、4-クロロボロン酸、4-ヨードボロン酸、及び3-メトキシカルボニルフェニルボロン酸から選択される。様々な程度に、シグナル化学発光は、より低いがそれほど著しくはないレベルであることが認められた。これは、低濃度のボロン酸で特に当てはまる。ボロン酸を使用することの1つの考えられる利点は、還元剤としてのみ機能し、酸化剤である潜在的リスクがないという事実にある。また、有機ボロン酸を添加すると、実施例に示すように、製剤の安定性が著しく改善されることも認められた。亜硫酸、重亜硫酸、及びメタ重亜硫酸の塩と組み合わせて使用されるとき、芳香族ボロン酸は、改善されたS/N比及び安定性を含む更なる効果をもたらす。
【0143】
非イオン性界面活性剤
いくつかの実施形態では、化合物I、カチオン性芳香族化合物、及びエーテル結合した非イオン性界面活性剤、又は親水性ポリマーを含む改善された基質製剤が提供される。
【0144】
非イオン性界面活性剤を含む基質製剤は、ピーク光強度に迅速に到達し、これを維持する増大した発光を提供する。
【0145】
一実施形態では、エーテル結合した非イオン性界面活性剤を含む基質製剤は、当該基質製剤の安定性を著しく改善した。いくつかの態様では、本明細書に提供される基質製剤は、エステル結合した非イオン性界面活性剤を含有しない。一態様では、本明細書に提供される基質製剤は、TWEEN(登録商標)20を含有しない。
【0146】
別の実施形態では、親水性ポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)を含む基質製剤は、市販の標準的な基質組成物と比べて改善された安定性及び他の性能効果を示した。
【0147】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、TWEEN(登録商標)20の代わりに、エーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマーを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、エーテル結合した非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、エーテル結合した非イオン性界面活性剤は、Igepal、TRITON、又はBRIJ界面活性剤から選択される。いくつかの実施形態では、基質製剤は、Igepal CO-990、Igepal DM-970、TRITON X-405、還元型TRITON X-405、BRIJ 78、及びBRIJ 700から選択される1つ以上のエーテル結合した非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、Igepal CO-990、Igepal DM-970、TRITON X-405、還元型TRITON X-405、BRIJ 78、及びBRIJ 700から選択されるエーテル結合した非イオン性界面活性剤の基質製剤製剤が提供される。いくつかの実施形態では、基質製剤は、IGEPAL、TRITON、及びBRIJ型のエーテル結合した非イオン性界面活性剤のうちの1つ以上を含み、当該製剤は、エステル結合した非イオン性界面活性剤を含有しない。
【0149】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、従来の界面活性剤構造に典型的な疎水性部分を有しない、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、これらの組み合わせ、又はこれらの誘導体から選択される親水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、基質製剤は、1,000~511,000の範囲内で選択される平均Mwを有する有するポリ(エチレングリコール)である親水性ポリマーを含む。2.5g/Lのポリ(エチレングリコール)(Mw=14,000)を含有する基質製剤は、参照物質に対して94%のシグナルを示し、4℃で13ヶ月間後のシグナル変化が非常に少なかった。分子量35,000及び100,000のポリ(エチレングリコール)を1.0g/L含有する類似の組成物は、類似の挙動を示した。
【0150】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、式(IV)に係る親水性ポリマーを含む:
【0151】
【化16】
(式中、X
1及びX
2は、独立して、O、S、N、若しくはNHから選択されるか、又は存在せず、Y
1及びY
2は、H、H
2、又は合計炭素数<4の小さなアルキル基であり、nは、20~12,000若しくは120~5,000若しくは250~2,500の数であるか、又はnは>20の数である)。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、1,000~511,000、6,000~218,000、又は12,000~108,000の範囲内から選択される平均分子量Mwのポリ(エチレングリコール)である。
【0152】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、ポリ(エチレングリコール)(Mw=14,000)、ポリ(エチレングリコール)(Mw=35,000)、及びポリ(エチレングリコール)(Mw=100,000)からなる群から選択される親水性ポリマーを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、基質製剤は、親水性ポリマーを含み、当該製剤は、エステル結合した非イオン性界面活性剤を含有しない。いくつかの実施形態では、基質製剤は、親水性ポリマーを含み、当該製剤は、TWEEN(登録商標)20を含有しない。
【0154】
好ましい非イオン性界面活性剤及びポリ(エチレングリコール)親水性ポリマーを含有する組成物は、強い化学発光シグナルを生成し、また、保管中に長期にわたって所望の安定性を示す。
【0155】
いくつかの実施形態では、ポロキサマー及び/又はポリソルベート界面活性剤を含有しない基質製剤が提供される。いくつかの実施形態では、ポロキサマー及び/又はポリソルベート界面活性剤を含有する基質製剤が提供される。特定の態様では、ポリソルベートを含有しない基質製剤が提供される。
【0156】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤及び親水性ポリマーの濃度は、本組成物において、0.05~20g/L、好ましくは0.1~10g/L、より好ましくは0.2~5g/Lの濃度で使用される。
【0157】
アニオン性界面活性剤
本発明の基質製剤は、所望により、アニオン性界面活性剤を含有し得る。アニオン性界面活性剤は、最高化学発光強度に達する速度を実質的に増大させる機能を有する。本製剤において有用なアニオン性界面活性剤は、少なくとも10個の炭素のアルキル基を有するアルキルサルフェート及びアルキルスルホネートを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、少なくとも10個の炭素原子を含有するアルキルサルフェート及び少なくとも10個の炭素原子を含有するアルキルスルホネートから選択される。いくつかの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、10~22個の炭素原子を含有するアルキルサルフェート及び10~22個の炭素原子を含有するアルキルスルホネートから選択される。いくつかの実施形態では、アニオン性界面活性剤はC12~C14アルキルサルフェートから選択される。特定の実施形態では、テトラデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及びトリデシル硫酸ナトリウム(STS)のうちの1つ以上がアニオン性界面活性剤として使用される。SDS及びSTSが、この目的のために好ましい2つの化合物である。好適な態様では、アニオン界面活性剤はSTSである。
【0159】
アニオン性界面活性剤は、好ましくは、0.01~10g/L、好ましくは0.1~5g/L、より好ましくは0.3~3g/Lの量で基質製剤において使用される。
【0160】
バッファ
本発明の基質製剤は、典型的には、水性である。アルカリホスファターゼ酵素は、通常、非リン酸塩基性バッファを必要とする。本発明において好ましいバッファは、pH7~12、8~11、又は9~10のpH値を有するアミンベースのバッファである。一態様では、バッファは、pH8.0超のアミンバッファである。いくつかの実施形態では、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)アミンバッファを含む基質製剤は、市販の標準品と比べて基質製剤における安定性を著しく改善する。
【0161】
本発明の基質製剤の性能は、バッファ系の影響を受け得る。pH及びモル濃度の変化は、シグナル、バックグラウンド、及び安定性に直接影響を与えることが判明している。化学的に類似しているバッファを用いた場合であっても、最適なpH及びモル濃度はバッファ系によって異なる。広範囲にわたって適合する(性能を有する)バッファは、特に安定性について、最適化のための最大の機会を可能にする。
【0162】
最適化されたTRIS及びAMPD系は、多くのアッセイにおいて現行の市販の標準品と比べて改善された結果が得られ、2~8℃及び30℃の両方において基質製剤の安定性を改善することが判明した。
【0163】
一実施形態では、基質製剤は、TRIS、AMPD、DEA、AMPSO、221-アミン、CHES、グリシン、若しくはTAPS、又はこれらのうちの2つ以上のアミンバッファの組み合わせから選択されるアミンバッファを含む。
【0164】
別の実施形態では、基質製剤は、AMPD、DEA、AMPSO、221-アミン、CHES、若しくはTAPS、又はこれらのうちの2つ以上のアミンバッファの組み合わせから選択されるアミンバッファを含む。
【0165】
一態様では、基質製剤は、アミンバッファを含み、当該製剤は、TRISを含有しない。
【0166】
アミンバッファを含有する実施形態では、アミンバッファのモル濃度は、0.025M~0.65M、0.05M~0.5M、又は0.1~0.3Mである。一態様では、アミンバッファのモル濃度は、0.1M及び0.2Mから選択される。
【0167】
増強剤化合物
所望により、発せられる光の量を増加させるために、本発明の基質製剤において少なくとも1つの増強剤化合物を使用することもできる。本方法において有効な増強剤は、光を発する励起状態の生成分子の割合を増加させることによって、励起状態で形成される生成分子の割合を増加させることによって、酵素の反応速度若しくはターンオーバーを増大させることによって、後続の化学反応工程の速度を増大させることによって、酵素の安定性を改善することによって、酵素と化合物Iとの会合を促進することによって、競合する非発光副反応を阻害若しくは防止することによって、又はこれら機序の任意の組み合わせによって機能し得る。増強剤は、化学発光を増強するのに有効な量、好ましくは最終反応溶液中0.001~5mg/mL、より好ましくは0.01~2.5mg/mLで使用される。
【0168】
本方法の実施において有効な増強剤化合物は、典型的には、界面活性剤化合物、すなわち、表面活性特性、例えば、表面張力の低下、表面の湿潤、又は洗浄力を示す化合物である。界面活性剤は、極性及び/若しくはイオン性基を含有する親水性領域、炭化水素基若しくはアルキレンオキシ基を主に含有する疎水性領域、又は両方を含む。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、及び双極性として分類され、単量体であっても重合体であってもよい。本発明の実施において有用であることが判明しているカチオン性界面活性剤増強剤は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,393,469号に開示されているペンダント四級ホスホニウム基を有するポリビニル型ポリマーを含む。この種の例示的なポリマーとしては、ポリビニルベンジルトリオクチルホスホニウムクロリド及び(ポリビニルベンジルトリブチルホスホニウムクロリド)を含むポリビニルベンジルトリブチルホスホニウムクロリドコポリマーが挙げられる。ペンダント四級アンモニウム基を有するポリビニル型ポリマーも、本発明において増強剤として有用である。このようなポリマーの例は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,112,960号に開示されており、ポリビニルベンジルベンジルジメチルアンモニウムクロリド及びポリビニルベンジルトリブチルアンモニウムクロリドを含む。
【0169】
塩
一実施形態では、アルカリホスファターゼとの化学発光反応のための基質製剤は、マグネシウム又は亜鉛の塩を更に含み得る。いくつかの態様では、塩は、酵素の活性を増大させるために、0.01~50mM、0.01~10mM、又は0.1~1.0mMの濃度で製剤中に存在する。いくつかの態様では、マグネシウム塩は、MgCl2又は酢酸マグネシウムである。いくつかの態様では、亜鉛塩は、ZnCl2である。いくつかの態様では、NaCl、KCl、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウムが製剤中に存在する。いくつかの態様では、基質製剤は、10μM、0.1mM、0.5mM、0.88mM、又は1mMのMgCl2を含む。いくつかの実施形態では、基質製剤は、0.01~10mM、0.05~0.5mM、又は0.1mMのZnCl2を含む。
【0170】
好ましい基質製剤
一態様では、アルカリホスファターゼアッセイで使用するための基質製剤であって、化合物I、カチオン性芳香族化合物、バックグラウンド低減剤、エーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、アニオン性界面活性剤、及びpH7~12、8~11、又は8.5~10のアミンバッファを含む製剤が提供される。
【0171】
一態様では、基質製剤のImaxは、ホスファターゼ酵素に曝露した後<5分間、<4分間、<2分間、<1分間、<45秒間、<30秒間、<20秒間、<10秒間、<5秒間、<4秒間、<3秒間、又は<2秒間に生じる。別の態様では、基質製剤は、4℃の保管条件下で安定であり、4℃で300日間保管した後、元のRLUの<10%の喪失を示す。
【0172】
いくつかの態様では、本開示の基質製剤は、4℃で300日間保管したとき、元のRLUと比べて>90%又は>95%保持された活性を示す。
【0173】
いくつかの態様では、本開示の基質製剤は、4℃で400日間以上保管したとき、>90%保持された活性を示す。
【0174】
別の態様では、本開示の基質製剤は、アルカリホスファターゼ酵素に曝露した後、30℃で保管したとき15日間後に<-0.60%/日、<-0.50%/日、<-0.40%/日、又は<-0.30%/日の1日あたりの化学発光シグナルの強度変化率(%)を示す。
【0175】
別の態様では、本開示の基質製剤は、アルカリホスファターゼ酵素に曝露した後、4℃で保管したとき12ヶ月後に≦-1.0%/月、≦-0.9%/月、又は≦-0.80%/月の1ヶ月あたりの化学発光シグナルの強度変化率(%)を示す。
【0176】
一態様では、基質製剤は、0.01mM~50mMの化合物I、0.01~200μMのカチオン性芳香族化合物、1μM~10mMのバックグラウンド低減剤、0.05~20g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、0.01~10g/Lのアニオン性界面活性剤、及び0.025M~0.65MのpH7~12のアミンバッファを含む。
【0177】
一態様では、基質製剤は、0.05mM~10mMの化合物I、0.05~50μMのカチオン性芳香族化合物、10μM~1000mMのバックグラウンド低減剤、0.1~10g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、0.1~5g/Lのアニオン性界面活性剤、及び0.05M~0.5MのpH8~11のアミンバッファを含む。
【0178】
一態様では、基質製剤は、0.1mM~5mMの化合物I、0.1~25μMのカチオン性芳香族化合物、50~500μMのバックグラウンド低減剤、0.2~5g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、0.1~5g/Lのアニオン性界面活性剤、及び0.1M~0.4MのpH8~11のアミンバッファを含む。
【0179】
いくつかの特定の実施形態では、基質製剤は、CPA(化合物Iとして)、ルシゲニン(CACとして)、亜硫酸ナトリウム(バックグラウンド低減剤)、IGEPAL(CO-990、DM-970)、TRITON(X-405、還元型X-405)、及びBRIJ(78、700)からなる群から選択されるエーテル結合した非イオン性界面活性剤、ポリ(エチレングリコール)(Mw=14,000)、ポリ(エチレングリコール)(
Mw=35,000)、及びポリ(エチレングリコール)(Mw=100,000)からなる群から選択される親水性ポリマー、SDS又はSTSであるアニオン性界面活性剤、0.025M~0.65Mの濃度及びpH8~11のTRIS又はAMPDであるアミンバッファを含む。
【0180】
一態様では、基質製剤は、0.30g/LのCPA、3.26mg/Lのルシゲニン、10mg/Lの亜硫酸ナトリウム、1.0g/LのPEG(Mw 35K)、1.0g/LのSDS、及び0.3MのTRISバッファ(pH9.2)を含む。
【0181】
別の態様では、基質製剤は、0.30g/LのCPA、3.26mg/Lのルシゲニン、5mg/Lの亜硫酸ナトリウム、2.0g/LのTRITON-X-405、1.0g/LのSDS、及び0.1MのAMPDバッファ(pH9.7)を含む。
【0182】
別の態様では、基質製剤は、0.30g/LのCPA、3.26mg/Lのルシゲニン、10mg/Lの亜硫酸ナトリウム、1.5g/LのBRIJ 78、1.0g/LのSDS、及び0.3MのTRISバッファ(pH9.35)を含む。
【0183】
別の態様では、基質製剤は、0.15g/LのCPA、3.26mg/Lのルシゲニン、10mg/Lの亜硫酸ナトリウム、2.0g/LのIGEPAL DM-970、1.0g/LのSDS、及び0.3MのTRISバッファ(pH9.35)を含む。
【0184】
一態様では、基質製剤は、0.15g/LのCPA、3.26mg/Lのルシゲニン、10mg/Lの亜硫酸ナトリウム、1g/LのPEG(35K)、0.9g/LのSDS、及び0.1MのAMPDバッファ(pH9.7)を含む。
【0185】
別の態様では、基質製剤は、0.15g/LのCPA、3.26mg/Lのルシゲニン、10mg/Lの亜硫酸ナトリウム、1g/LのPEG(Mw 35K)、0.5g/LのSTS、及び0.1MのAMPDバッファ(pH9.7)を含む。
【0186】
別の態様では、基質製剤は、TRISバッファ(pH 9.2)中にCPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG 100K(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)を含む。
【0187】
別の態様では、基質製剤は、0.30g/LのCPA、2.45mg/Lのルシゲニン、10mg/Lの亜硫酸ナトリウム、0.05mMの4-トリルボロン酸、1g/LのPEG(35K)、0.9g/LのSDS、及び0.1MのAMPDバッファ(pH9.7)を含む。
【0188】
別の態様では、基質製剤は、0.15g/LのCPA(((4-クロロフェニル)チオ)(10-メチルアクリジン-9(10H)-イリデン)メチルホスフェート二ナトリウム塩)、3.26mg/Lのルシゲニン、10mg/Lの亜硫酸ナトリウム、1g/LのPEG(35K)、0.9g/LのSDS、及び0.1MのAMPDバッファ(pH9.7)を含む。
【0189】
基質製剤の使用方法
したがって、本発明の別の態様は、検出可能な化学発光をホスファターゼ酵素との反応によって生じさせる方法における、式Iのいずれかの化合物及びCACの使用である。水性バッファ溶液中においてCACの存在下で式Iの化合物をホスファターゼ酵素と反応させると、容易に検出される化学発光が励起状態のVIから生じる。アルカリ性のpHで反応を実施したとき、室温で数秒間~数分間以内に光強度が最高レベルに達する。
【0190】
いくつかの実施形態では、天然又は組み換えアルカリホスファターゼと共に使用するのに適切な、アルカリホスファターゼアッセイで使用するための基質製剤が提供される。化学発光反応を受け得るホスファターゼ酵素は、大腸菌などの細菌源から単離されたアルカリホスファターゼ、又は哺乳動物のアルカリホスファターゼ、又は植物若しくは哺乳動物源由来の酸性ホスファターゼを含み得る。一態様では、アルカリホスファターゼは、天然アルカリホスファターゼ、例えば、天然子ウシ腸アルカリホスファターゼであってよい。別の態様では、ホスファターゼ酵素は、組み換えホスファターゼ酵素、例えば、組み換えアルカリホスファターゼであってよい。いくつかの実施形態では、アルカリホスファターゼは、Roche Diagnostics Corp.(Indianapolis,IN)又はSigma-Aldrich Corporation(St.Louis,MO)などの商業的供給業者から購入される。アルカリホスファターゼは、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)で発現する組み換えアルカリホスファターゼ、例えばRoche又はSigma-Aldrichから入手可能な、例えばピキア・パストリスで発現する組み換えウシアルカリホスファターゼであってよい。アルカリホスファターゼは、例えばArcticZymes(Tromso,Norway)から入手可能な、例えばピキア・パストリスで生成される組み換えエビアルカリホスファターゼであってよい。
【0191】
ホスファターゼ活性、すなわち、リン酸モノエステルを加水分解する能力を示す場合に限り、化学発光を生じさせる方法においてホスファターゼ酵素及び生体分子のコンジュゲートを使用することもできる。ホスファターゼ酵素の1つ以上の分子にコンジュゲートすることができる生体分子としては、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体断片、抗体-DNAキメラ、抗原、ハプテン、タンパク質、レクチン、アビジン、ストレプトアビジン、及びビオチンが挙げられる。生体分子に付着させるために官能化される、リポソーム、ミセル、ベシクル、及びポリマーなどのホスファターゼ酵素が含まれた又は組み込まれた複合体も、本発明の方法において使用され得る。
【0192】
化学発光を生じさせるための本発明の組成物とホスファターゼ酵素との反応は、ホスファターゼ酵素の存在又は量を検出するための迅速かつ高感度な方法を構成する。したがって、サンプルと式Iの化合物との反応によって生じる光の量又は強度を測定することによって、サンプル中のホスファターゼ酵素の存在又は量を決定する目的のために本方法を使用することができる。
【0193】
酵素アッセイを実施するための技術は周知である。本明細書に教示される実施例によって提供される指針によれば、サンプルを調製する、試薬、反応時間の適切な量及び比率を決定する、較正曲線を構築するためなどの手順の変形は、日常的な実験の問題として考案する当業者の能力の範囲内である。
【0194】
本発明の方法及び組成物は、タンパク質-タンパク質アフィニティアッセイ、タンパク質-リガンドアフィニティアッセイ、核酸アフィニティアッセイ、間接蛍光抗体アッセイ(IFA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び酵素イムノアッセイ(EIA)、磁気微小粒子に基づく化学発光酵素イムノアッセイ、直接又は間接アッセイ、競合アッセイ、サンドイッチアッセイなどを含むが、これらに限定されない、当該技術分野において公知の任意の好適なアッセイ、例えば、アルカリホスファターゼ及び基質製剤を有利に使用することができる当該技術分野において公知の任意の好適なアフィニティアッセイ又はイムノアッセイと共に使用することができる。好適なアッセイフォーマットとしては、本明細書における実施例で使用されるアッセイ及びフォーマットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
本発明の基質製剤は、以下を含む自動イムノアッセイシステムと共に使用することが可能である:Access 2 Immunoassay System;UniCel DxI 600 Access Immunoassay System;UniCel
DxI 800 Access Immunoassay System;UniCel DxC 600i Synchron Access Clinical System;UniCel DxC 660i Synchron Access Clinical System;UniCel DxC 680i Synchron Access Clinical System,;UniCel(登録商標)DxC 860i
Synchron(登録商標)Access(登録商標)Clinical Systems;UniCel(登録商標)DxC 880i Synchron(登録商標)Access(登録商標)Clinical Systems(全てBeckman Coulter(Brea,CA)から入手可能);Cobas Systems(Roche Diagnostics(Switzerland)から入手可能);Architect Systems(Abbott(Illinois)から入手可能);及びCentaur Systems(Siemens(Germany)から入手可能)。
【0196】
化合物Iとホスファターゼ酵素との反応から光を生じさせる好ましい方法では、当該反応は、5℃~50℃、好ましくは20℃~40℃の温度で、pH7~12、8~11、又は好ましくは8.5~10の水性バッファ溶液中で実施される。酵素は、好ましくは、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼコンジュゲートである。
【0197】
本方法によって発せられる光は、照度計、x線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラ、シンチレーションカウンタ、化学光量計、又は目視などの任意の好適な公知の手段によって検出することができる。各検出手段は、異なるスペクトル感度を有する。人間の目は、緑色光に対して最適に感受性であり、CCDカメラは、赤色光に対して最高感度を示し、UVから青色光又は緑色光に対して最大応答を有するx線フィルムが利用可能である。検出装置の選択は、用途、並びにコスト、利便性、及び永続的な記録の作成が必要かどうかについてを検討することによって決定される。
【0198】
最大発光をより長い波長にシフトする(レッドシフト)ために蛍光エネルギー受容体を使用できることが想到される。発光をレッドシフトさせるための様々な技術は、化学発光反応及びアッセイの技術分野において公知である。上記のように共有結合したフルオロフォアが一例である。別の種として反応溶液に蛍光剤を添加してもよい。蛍光剤を化合物に密接させるために、蛍光剤を、カチオン性ポリマーなどの増強剤物質に結合させてもよく、あるいはミセル又はポリマーなどの増強剤物質と会合させてもよい。あるいは、蛍光剤は、酵素反応期間中にリン酸基を除去することによって蛍光形態に変換可能な非蛍光形態で提供されてもよい。後者の種類の化合物の例としては、フルオレセインジホスフェート、4-メチルウンベリフェロンホスフェートなどのクマリンホスフェート、ATTOPHOS(登録商標)(JBL Scientific(San Luis Obispo,Calif.))などのベンゾチアゾールホスフェートが挙げられる。
【実施例0199】
実施例
安定性試験A
AP基質製剤のアリコート(100μL)を、マイクロタイタープレートのウェル(各製剤につき8つの複製物)に添加した。当該プレートを蛍光プレートリーダー(Luminoskan,Labtech)に入れ、各ウェルに、20μLのAP溶液(2ng/mL)を注入した。30秒間後に発光シグナルを読み取り、2秒間積分した(intergraded)。
【0200】
性能試験B
AP酵素溶液(2ng/mL)のアリコート(5μL)をポリエチレン製チューブに入れた。当該チューブを照度計(20/20e、Turner Designs)に入れ、100μLの基質を各ウェルに注入した。注入直後、発光シグナルを60秒間読み取った。
【0201】
APS-5製剤
Lumigen APS-5 AP化学発光基質試薬(「APS-5」、製品番号APS-5-101、Lumigen(Southfield,MI))は、0.1%(w/v)TWEEN(登録商標)20、ルシゲニン、SDS、及びNa2SO3を含有する0.3M TRISバッファ(pH9.35)中に化合物IとしてCPAを含む。
【0202】
実施例1.APS-5製剤の安定性
安定性試験Aを用いて、経時的な性能安定性について様々なロットのAPS-5を評価した。これら代表的なロットの相対安定性を
図1に示す。4℃で100日間後、性能の著しい低下がみられた。
【0203】
安定性の限界の主な原因となった製剤成分を特定するために、追加量(50%多い)の各成分をAPS-5の単一ロットに添加し、安定性試験Aを用いてこれら改変製剤を試験した。結果を表1に示す。
【0204】
【0205】
TWEEN(登録商標)20が、アッセイ性能に対して最大の影響を示した。様々な量のTWEEN(登録商標)20を用いて同じ実験を再度繰り返した。アッセイ性能を、1g/LのTWEEN(登録商標)20(0.1%w/v)を含む標準的なAPS-5製剤と比較した。
図2に示すように、0.5、0.75、0.9、1、1.5、及び2g/LのTWEEN(登録商標)20はそれぞれ、1g/LのTWEEN(登録商標)20と比べて少なくとも90%の性能を示した。
【0206】
APS-5の性能におけるTWEEN(登録商標)20の役割を確認するために、4℃で様々な日数保管され、様々な程度のシグナル劣化を示していた数ロットのLumigen APS-5に、更に0.5g/LのTWEEN(登録商標)20を添加した。TWEEN(登録商標)20の添加後、安定性試験Aを用いて改変APS-5を再度試験した。結果を表2に示す。
【0207】
【0208】
いずれの場合も、TWEEN(登録商標)20の添加によって性能が改善された。疑わしい不安定性の原因はAPS-5固体及びTWEEN(登録商標)20を含んでいたが、APS-5固体は<5%性能劣化/年の原因となり、一方、TWEEN(登録商標)20は>20%性能劣化/年を引き起こすことが判明した。
【0209】
次いで、APS-5製剤を表3に示すように改変し、安定性試験Aを用いて試験した。表3は、新たに調製された標準的なAPS-5と比較した改変APS-5の初期性能%を示す。
【0210】
【0211】
様々なより低いMnのPEGを評価することを含む他の改変を行ったが、それは示さない。PEG Mn14,000によって最良の性能が示された。TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)80、TRITON X、0.1M TRISを含む改変APS-5製剤は、それぞれ、元の濃度のTWEEN(登録商標)20を含む元のAPS-5製剤以下の性能安定性を示した。PEG、Pluronic、追加のTWEEN(登録商標)20、又はより低いpHを有する改変APS-5製剤は、未改変APS-5よりも優れた性能安定性を示した。
【0212】
改変APS-5製剤を使用して性能試験Bによりカスタマーサンプルを試験した。3つ
の異なるpHレベル(pH9.0、pH9.1、及びpH8.9pH)の2g/L TWEEN(登録商標)20を含むAPS-5製剤は全て、<30秒の時間枠の性能速度を示した。pH9.2の2.5g/L PEG Mn=14,000を含み、TWEEN(登録商標)20を含まない改変APS-5製剤は、<10秒の所望のシグナル強度プラトー(TAT)及び良好なリアルタイム安定性を示すことが判明し、4℃で13ヶ月間後に元の性能の99.7%を示す。要約すると、現行のAPS-5製剤の安定性の問題は、APS-5バッファ条件下におけるTWEEN(登録商標)20の劣化によって主に引き起こされることが判明した。
【0213】
実施例2.代替非イオン性界面活性剤
エーテル結合した非イオン性界面活性剤の安定性に対する効果を判定するために実験を実施した。以下の界面活性剤について調べた:Pluronic F68、Pluronic F108、Pluronic P103、及びPluronic P105、並びにIgepal CO-990、Igepal DM-970、TRITON X-405、還元型TRITON X-405、BRIJ 78、及びBRIJ 700を含むエーテル結合した非イオン性界面活性剤。
【0214】
以下からなる組成物を試験のために使用した:CPA(0.30g/L)、0.3M TRISバッファ(pH9.35)、ルシゲニン(3.26mg/L)、Na
2SO
3(10mg/L)、SDS(1g/L)、及び指定の濃度の非イオン性界面活性剤。組成物を4℃で保管し、保管中に時々試験した。試験組成物の参照標準組成物(市販のAPS-5)の百分率としての相対シグナル強度、シグナルプロファイル、及びバックグラウンドを決定した。試験組成物中0.25g/L、0.5g/L、1.0g/L、1.5g/L、2.0g/L、及び3.0g/Lの非イオン性界面活性剤で、各代替非イオン性界面活性剤を試験した。
図3に示すように、代表的なBRIJ700試験組成物は、APS-5と類似のシグナルプロファイル(すなわち、最高シグナル強度になるまでの時間、Imax;バックグラウンド)を示した。
【0215】
驚くべきことに、IGEPAL(CO-990、DM-970)、TRITON(X-405、還元型X-405)、及びBRIJ(78、700)を用いて調製された製剤からは、標準的なAPS-5以上のシグナル強度が生じたが、Pluronic(F68、F108、P103、及びP105)を用いて調製されたものからは、表4に示すように、標準的なAPS-5よりも低いシグナルが生じることが観察された。
【0216】
4℃で106又は124日間にわたってAPS-5中で代替非イオン性界面活性剤を使用して、各製剤について安定性試験を実施した。表4では、標準的なAPS-5のシグナル百分率としてデータを示す。
【0217】
【0218】
【0219】
エーテル結合した非イオン性界面活性剤を用いて調製された改変製剤はそれぞれ、TWEEN(登録商標)20を含有する市販の参照基質APS-5よりも優れた安定性を示した。シグナル強度は変化したが、これら全ての製剤が、TWEEN(登録商標)20を含む基質製剤と比べて、4℃で3ヶ月間保管した後に安定性の著しい改善を示した。代替非イオン性界面活性剤を含む改変製剤は、現行の製剤と比べて類似のバックグラウンド及びシグナルプロファイルを示した。試験した製剤のうち、IGEPAL、TRITON、及びBRIJ型の界面活性剤を含むものからは、TWEEN(登録商標)20以上のシグナル強度が得られた。最初の実験中に特定された最適濃度のIGEPAL、TRITON、及びBRIJ型の界面活性剤を含む製剤を、それぞれを対応する新たに調製された製剤と比較することによって、4℃で経時的にシグナル安定性に関して更にモニタリングした。試験した6つの製剤のうちの5つが、15ヶ月間後に10%未満のシグナル喪失を示した。
【0220】
基質製剤中で他の非イオン性界面活性剤を試験したが、シグナル強度及び保管安定性の
特徴を両方維持する組成物を提供することはできなかった。これら非イオン性界面活性剤としては、ポロキサマー型のPluronic界面活性剤F68、F108、P103、P105、ポリソルベート型の界面活性剤TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)40、及びTWEEN(登録商標)80が挙げられる。APS-5製剤は、0.1%w/v TWEEN(登録商標)20を含有する。TWEEN(登録商標)40又はTWEEN(登録商標)80で作製された組成物からは、TWEEN(登録商標)20以下のプロファイルが得られた。いくつかの実施形態では、ポロキサマー型のPluronic界面活性剤F68、F108、P103、P105、又はポリソルベート型の界面活性剤TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)40、及びTWEEN(登録商標)80を含有しない基質製剤が提供される。
【0221】
実施例3.APS-5製剤中の選択された非イオン性界面活性剤の更なる評価
表4中にイタリック体で示したエーテル結合した非イオン性界面活性剤を、更なる試験のために選択した。市販の標準的なAPS-5に対する活性の比較を表5に示す。
【0222】
【0223】
表5の6つの製剤を4℃で保管し、安定性試験Aに供した。結果を表6Aに示す。
【0224】
【0225】
2.5g/Lのポリ(エチレングリコール)(Mw=14,000)を含有する類似の組成物は、参照物質に対して94%のシグナル、及び4℃で13ヶ月間後に非常に小さなシグナル変化を示した。1.0g/Lの分子量35,000及び100,000を有するポリ(エチレングリコール)を含有する類似の組成物は、類似の挙動を示した。
【0226】
表6Aに示すように、エーテル結合した非イオン性界面活性剤を含む試験組成物は、4℃で保管したとき300日間後に>90%及び>95%保持された活性を示すか、又は4℃で400日間以上保管したとき、>90%保持された活性を示した。対照的に、
図1に示すように、市販の標準的な組成物APS-5は、4℃で300日間後に約65%の性能
しか保持しておらず、4℃で約400日間後に<65%の活性を保持していた。
【0227】
親水性部分及び疎水性部分がエーテル結合を介して連結している非イオン性界面活性剤でTWEEN(登録商標)20を置き換えると、安定性が著しく増大した。具体的には、エーテル結合した非イオン性界面活性剤を含む基質組成物は、
図1に示す市販の標準的なAPS-5と比べて、表6Aに示すように改善された保管安定性を示した。48個の新規製剤のうちの6個は、現行のAPS-5製剤と同等のシグナル強度を示し、連続してモニタリングしたところ、15ヶ月間で10%未満のシグナル喪失を示した。
【0228】
実施例4.2つの化合物I濃度において代替非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマーを用いた安定性試験
この実施例では、安定性試験のために,4つの新たに作製された製剤を調製した。0.3M TRIS(pH8.8)バッファの1つのロット(20L)を調製した。SDS、亜硫酸ナトリウム、及びルシゲニンを添加し、次いで、製剤を2つの部分に分割した。2種の濃度のCPAを添加した(0.15g/L及び0.33g/L)。これら2つの製剤を分割し、PEG100Kを製剤のうちの2つに添加し、1.5g/L TRITON X-405を他の2つの製剤に添加した。
【0229】
これら4ロットを、Spectramax-6L機器においてAPを用いて測定した(注入の30秒間後)。PMT(C)のみを使用した。ALPはBBI Solutions(コードALP1125、ロット1698ADR)から入手し、平底96ウェル白色プレート(Microlitre 1、Thermo Scientific Part 7416)を使用した。20マイクロリットルのALP溶液(1.5ng/mL)を、当該機器のマイクロタイターウェル内の200マイクロリットルの基質製剤に注入し、光子計数モード下で1秒間読み取ることによって試験を実施した。各製剤を、96ウェルプレートにおいて48個の複製物で試験した。
【0230】
製剤を4℃(2~8℃)で保管し、1ヶ月間隔で活性を評価した。PEG100を含む0.15CPA製剤は、1ヶ月あたり-0.7%の強度低下を示し、p値は0.002であった。
【0231】
図4は、TRITON X-405を含む0.15CPA製剤の安定性を示す。製剤を2~8℃で保管したとき、1ヶ月あたり-0.9%の強度低下の勾配(p値0.016)が決定された。代表的な
図4に示すように、親水性ポリマーPEG100K(データ不図示)又はエーテルベースの非イオン性界面活性剤TRITON X-405のいずれかを含む両製剤は、
図1に示すTWEEN(登録商標)20を含む標準的なAPS-5製剤と比べて改善された安定性を示した。
【0232】
【0233】
この実施例の基質組成物は、アルカリホスファターゼ酵素に曝露した後、4℃で保管したとき12ヶ月間後に、≦-1.0%/月、≦-0.9%/月、又は≦-0.80%/月の1ヶ月あたり蛍光シグナルの強度変化率(%)を示した。
【0234】
図4及び表6B~6Eに示すように、エーテル結合した非イオン性界面活性剤TRITONX-405及び親水性ポリマーPEG100Kを含む製剤は、4℃で保管したとき300日間後に>90%保持された活性を示した。対照的に、
図1に示すように、APS-5は、4℃で300日間後に約65%の性能しか保持していなかった。
【0235】
実施例5.代表的な基質製剤
以下の材料から様々な基質製剤を調製した。
【0236】
製剤A:0.30g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1.0g/L PEG(35K)、1.0g/L SDS、及び0.3M TRIS(pH9.2)バッファ。
【0237】
製剤B:0.30g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、5mg/L亜硫酸ナトリウム、2.0g/L TRITON-X-405、1.0g/L SDS、及び0.1M AMPD(pH9.7)バッファ。
【0238】
製剤C:0.30g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1.5g/L BRIJ 78、1.0g/L SDS、及び0.3M TRIS(pH9.35)バッファ。
【0239】
製剤D:0.15g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、2.0g/L IGEPAL DM-970、1.0g/L SDS、及び0.3M TRIS(pH9.35)バッファ。
【0240】
製剤E(AMPD-10):0.15g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1g/L PEG(35K)、0.9g/L SDS、及び0.1M AMPD(pH9.7)バッファ。
【0241】
製剤F:0.15g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1g/L PEG(35K)、0.5g/L STS、及び0.1M AMPD(pH9.7)バッファ。
【0242】
製剤G(SMS-PEG-TRIS):0.3M TRISバッファ(pH9.2)中0.15g/L CPA、10mg/L Na2SO3(10mg/L)、3.26mg/Lルシゲニン、1g/L PEG 100K、及び0.9g/L SDS。
【0243】
製剤H:0.30g/L CPA、2.45mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、0.05mM 4-トリルボロン酸、1g/L PEG(35K)、0.9g/L SDS、及び0.1M AMPD(pH9.7)バッファ。
【0244】
製剤I(SMS-PEG-AMPD):0.15g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1g/L PEG(35K)、0.9g/L
SDS、及び0.1M AMPD(pH9.7)バッファ。
【0245】
製剤J(SMS-PEG):0.15g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1.0g/L PEG(35K)、1.0g/L SDS、及び0.3 M TRIS(pH9.2)バッファ。
【0246】
製剤K(SMS-TRITON):0.15g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、2.0g/L TRITON-X-405、1.0g/L SDS、及び0.3M TRIS(pH9.2)バッファ。
【0247】
実施例6.基質アッセイスクリーニング
感度及び精度を維持しながら既存のイムノアッセイの実行可能性を証明するために基質製剤を評価した。それぞれ0.15g/L CPAを含有するSMS-PEG及びSMS-TRITONを用いてスクリーニングを行った。また、LUMI-PHOS(登録商標)530を対照として用いた。基質の添加後、それぞれL1=9秒、L2=27秒、L5=6.3分で発光シグナルを読み取る3つの照度計を備えるDxI 600019で基質製剤のスクリーニングを実施した。既存のアッセイプロトコルを
図5に列挙する。商業的イムノアッセイにおけるLUMI-PHOS(登録商標)530基質を2つの基質製剤に置き換え、L5=6.3分に加えて、L1=9秒及びL2=27秒においてもシグナルを読み取ったことを除いて、製造業者のプロトコルに従って旧BHCG、新BHCG、AccuTnI+3、ミオグロビン、CK-MB、BNP、ジゴキシン、TSH、TSH2、及びPTH(1O)の商業的アッセイを使用した。
図5中の「PMP」は、常磁性粒子を指す。LUMI-PHOS(登録商標)530を使用する標準的な商業的アッセイを比較のための対照として用いた。
【0248】
各基質製剤ごとに、S0キャリブレータの10個の複製物、全ての他のキャリブレータレベルの4個の複製物、Bio-Rad対照の5個の複製物、並びに各低及び高患者のプールされた血清サンプルの6個の複製物について実施した。
【0249】
表7~15に示すアッセイ結果のそれぞれについて、化学発光アッセイシグナル比Sx/S0(式中、xは、1、2、3、4、又は5から選択される)によって、キャリブレータのシグナル対ノイズ比(S/N)を計算した。したがって、それぞれ、「S1」のS/N比は、S1/S0を指し;「S2」は、S2/S0を指し;「S3」は、S3/S0を指し;「S4」は、S4/S0を指し;「S5」は、S5/S0を指す(式中、S0は、分析物を含まないキャリブレータであり、S1、S2、S3、S4、S5は、漸増量の分析物を含むキャリブレータである)。
【0250】
実施例6A.LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、BioRad Liquichek対照サンプル1、2、及び3、並びに血清プール1及び血清プール2のサンプルのジゴキシンスクリーニング比較を実施した。
図6Aに示すように、SMS-PEG及びSMS-TRITONの両基質製剤のL2及びL5におけるRLUは、L5におけるLUMI-PHOS(登録商標)530のRLUと比べて低下し、SMS-TRITONが最も低いRLUを示した。しかし、LUMI-PHOS(登録商標)530に類似のB/B0シグナルが観察された。品質管理分析は、全てのサンプルが両基質製剤について規定の範囲内であったことを示した(データ不図示)。
【0251】
実施例6B.
図6Bに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRad Specialty
LTA、BioRad Liquichekサンプル1、2、及び3、並びに血清プール1及び血清プール2のサンプルの副甲状腺ホルモンPTH(IO)スクリーニング比較を実施した。対照は、SMS-TRITON基質製剤と比べてSMS-PEGによるRLUシグナルにおいて若干異なる応答を示した。表7に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、両基質製剤において、S/S0として計算されたキャリブレータのシグナル対ノイズ比の改善がみられた。品質評価に関しては、全ての対照が両基質製剤について規定の範囲内に留まっていた。しかし、LUMI-PHOS(登録商標)530は、LTA及びレベル1サンプルについて範囲外であった。
【0252】
【0253】
実施例6C.LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRad QC 1、2、及び3、並びに血清プール1及び血清プール2のサンプルによるチロトロピン(甲状腺刺激ホルモン)TSHスクリーニング比較を実施した。
図6Cに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、SMS-PEG基質はより高いシグナルを示し、SMS-TRITONではより低いシグナルがみられた。表8に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、両基質製剤はより良好なシグナル対ノイズ比を示した。品質評価に関しては、全てのBioRad QC対照が本発明の両基質製剤について規定の範囲内に留まっていた。
【0254】
【0255】
実施例6D.LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRad QC 1、2、及び3、並びに血清プール1及び血清プール2のサンプルのチロトロピン(甲状腺刺激ホルモン)TSH2スクリーニングが比較を実施し、は実施した。
図6Dに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、SMS-PEGは類似のRLRを示し、一方、SMS-TRITON基質はより低いシグナルを示した。L2(27秒)は、両基質についてL5(6.3分)よりも高いシグナルを示す。表9に示すように、両基質製剤はより良好なシグナル対ノイズ比を示し、SMSがSMS-TRITONよりも優れていた。SMS-TRITONのQC2を除いて、全ての対照が範囲内に留まっていた。
【0256】
【0257】
実施例6E.LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRadCard-01、-02、及び-03、並びに血清プール-低、血清プール-高、及び陰性血清-全のサンプルによるAccuTnI+3スクリーニングを実施した。
図6Eに示すように、両基質製剤についてLUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、血清はキャリブレータと異なる応答を示し得る。L2と比べてL5におけるSMS-PEGでより高いS0がみられた。本発明の両基質製剤については、S0のばらつきがより大きかった。表10に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、両基質製剤はより良好なシグナル対ノイズを示した。
【0258】
【0259】
実施例6F.
図6Fに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BBNP-QC 1、BNP-QC
2、BNP-QC 3、並びに血清プール1及び血清プール2によるBNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)スクリーニングを実施した。表11に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、本発明の両基質製剤ではシグナル対ノイズ比の改善がみられた。血清サンプルは、本発明の両基質製剤についてキャリブレータと比べて低いRLUを示し、EDTA血漿が唯一の承認されたサンプル種であることが留意された。
【0260】
【0261】
実施例6G.
図6Gに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRad Cardiac 1、BioRad Cardiac 2、及びBioRad Cardiac 3、並びに血清プール1及び血清プール2によるCK-MB(クレアチンキナーゼ-MB)スクリーニングを実施した。
図6Gに示すように、両基質製剤について類似のS0 RLUがみられた。SMS-TRITONでは、全てのキャリブレータレベルについてはるかに低いRLU値がみられた。表12に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、両基質製剤ではより良好なシグナル対ノイズ比がみられた。
【0262】
【0263】
実施例6H.
図6Hに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRad Cardiac 1、BioRad Cardiac 2、及びBioRad Cardiac 3、並びに血清プール1及び血清プール2によるミオグロビンスクリーニングを実施した。LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、SMS-PEGによって全てのキャリブレータレベル、QC、及び血清サンプルでRLUシグナルの増加がみられた。表13に示すように、SP-530と比べて、本発明の両基質製剤でシグナル対ノイズ比の改善がみられた。このスクリーニングアッセイは、様々なスクリーニングアッセイのうち今までに観察された最も高いS0値を示した。全ての対照が、本発明の両基質製剤について規定の範囲内に留まっていた。
【0264】
【0265】
実施例6I.
図6Iに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRad-01、-02、-03、並びに陰性患者血清の全BHCG(旧)(ベータ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン)スクリーニングを実施した。LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて本発明の両基質製剤のRLUは低かった。表14に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、本発明の両基質製剤はシグナル対ノイズ比がより良好であった。全ての対照が、本発明の両基質製剤について規定の範囲内に留まっていた。
【0266】
【0267】
実施例6J.
図6Jに示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530市販基質製剤と比べて、SMS-PEG及びSMS-TRITONの基質製剤を用いて、キャリブレータS0、S1、S2、S3、S4、及びS5、対照BioRad-01、-02、-03、並びに陰性患者血清の全BHCG(新)スクリーニングを実施した。LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて本発明の両基質製剤のRLUは低かった。表15に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて、本発明の両基質製剤はシグナル対ノイズ比がより良好であった。全ての対照が、本発明の両基質製剤について規定の範囲内に留まっていた。
【0268】
【0269】
実施例6A~6J、表7~15のそれぞれにおいて、SMS-PEG及びSMS-TRITONを含む基質製剤は、LP-530基質よりも高いキャリブレータのシグナル対ノイズ比を示した。
【0270】
実施例6K.表16及び17に示すように、全てのアッセイは、Lumblank比よりも高いS0値を示す。各アッセイの結果を比較した結果、表17に示すように、TSH2は、LUMI-PHOS(登録商標)530で最も低いS0 RLUを示す。
【0271】
【0272】
【0273】
SMS-PEG及びSMS-TRITONの試験製剤を、AccuTnI+3、NextGenTnI+3、BNP、CKMB、Myoglobin、旧BHCG、新BHCG、PTH-IO、TSH、及びTSH2アッセイにおけるRLU S0/ブランク比の観点でLUMI-PHOS(登録商標)530と比較した。全ての場合において、S0 RLUはブランクRLUよりも高かった。本発明の基質製剤SMS-PEG及びSMS-TRITON試験製剤のS0/ブランク比は、CKMアッセイ(本発明の基質製剤から得られた比がLUMI-PHOS(登録商標)530から得られた比と等しかった)及び新BHCGアッセイ(本発明の基質製剤から得られた比がわずかに低かった、1.25対1.5)を除いて、全てLUMI-PHOS(登録商標)530よりも高かった。ミオグロビンは、本発明の基質製剤で最も高いS0/ブランク比を示した。高感度アッセイの開発には、S0/ブランク比が高い方が望ましい。
【0274】
サンドイッチアッセイによるシグナル対ノイズ比は、本発明の両基質製剤について現行のLUMI-PHOS(登録商標)530以上であった。高速基質RLU S0のばらつきは、ジゴキシン及び旧BHCGを除いてほとんどのアッセイでLUMI-PHOS(登録商標)530よりも高かった。
【0275】
本発明の両基質製剤SMS-PEG及びSMS-TRITONについてLUMI-PHOS(登録商標)530と比べた高及び低血清プールによる用量のばらつきを
図10に示し、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べた用量の差%についてのばらつきチャートを提供する。LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて低い用量の差%は、本発明の両基質製剤を用いて低い及び高い血清プールにおいてBNP、ジゴキシン、ミオグロビンでみられる。LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて高い用量の差%は、本発明の両基質製剤を用いてより低い及び高い血清プールにおいてAccu TnI+3、CKMB、PTH(IO)、TSH、及びTSH2でみられる。
【0276】
要約すると、RLUシグナルは、SMS-PEGを用いたミオグロビン及びTSHを除いて、本発明の両基質製剤についてのほとんどのアッセイでLUMI-PHOS(登録商標)530よりも低い。一般に、SMS-PEGは、全てのアッセイについてSMS-TRITONよりも高いRLUを示す。更に、L1(9秒)は、試験したアッセイのいずれかについてのシグナル生成のピークではない。
【0277】
バックグラウンドに関しては、LUMI-PHOS(登録商標)530と比べて本発明の両基質製剤は低いlumblankを示し、S0値はLumblankよりも決して低くならなかった。S0 RLUは、本発明の両基質製剤についてLUMI-PHOS(登録商標)530よりも低かった。シグナル対ノイズは、全てのアッセイについてLUMI
-PHOS(登録商標)530よりも良好であった。
【0278】
不正確さに関しては、本発明の両基質製剤についてより大きなLumblankのばらつきがみられた。サンドイッチアッセイは、SMS-PEGを用いた旧BHCGを除いて、本発明の両基質製剤でより大きなS0不正確さを示す。曲線適合は、全てのアッセイについて許容可能であることが判明した。しかし、いくつかのアッセイについて対照及び患者サンプルで用量バイアスがみられた。
【0279】
実施例7.代替バッファ系
アルカリホスファターゼ酵素は、通常、非リン酸塩基性バッファを必要とする。本発明において好ましいバッファは、8.0超のpH値を有するアミンベースのバッファである。安定性を改善し、シグナルを維持するために代替バッファについて調べた。
図7は、TRIS、AMPD、DEA、AMPSO、221-アミン、CHES、又はTAPS含む代替アミンバッファとして調べたバッファパラメータを示す。シグナルに対するモル濃度及びpHの影響を評価するために複数のバッファ系を調べた。この実験では、SpectraMaxプレート読み取り照度計においてシグナルを測定し、以下のように0.3M TRIS(pH8.8)を含む標準的な高速基質製剤と比べた。
【0280】
表18Aに示す様々なバッファ中CPA-0.15g/L、ルシゲニン-3.26mg/L、亜硫酸ナトリウム-10mg/L、PEG Mw=35K-1g/L、SDS-0.9g/Lを用いて様々なバッファ系を使用する製剤を調製した。表18Aは、0.3M
TRIS(pH8.8)中参照製剤に対するシグナル(%)を示す。
【0281】
【表18A】
*シグナルは、0.3M TRIS(pH8.8)中参照製剤に対する(%))
【0282】
pH及びモル濃度の使用可能な範囲が狭いことから、表18Bに示すようにこれら各バッファ系につき1つの製剤を選択した。
【0283】
【0284】
221-アミンの強度は、調製ごとに著しく変動したが、モル濃度に対する性能の依存度が最も高いことに起因している可能性が最も高い。TAPSバッファは、冷凍後に沈殿を引き起こした。AMPSOバッファは、試験において最も高いC.V.を示した。したがって、これら5つのTAPS、CHES、221-アミン、DEA、又はAMPSOバッファのいずれについても更には調べなかった。
【0285】
AMPDバッファは、表19に示すように、広範囲のpH及びモル濃度にわたってシグナル強度及びバックグラウンドの観点でTRISバッファと同等の性能を示した。
【0286】
【0287】
CPA(0.15g/L)、Na
2SO
3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)のみを含むAMPDバッファ系を、様々なバッファ:AMPD-グリシン、重炭酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、グリシン、及びトリス-グリシンと比較し、調べた。AMPD参照の%としてのAPによるシグナルを
図8に示す。重炭酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩は、それぞれ、AMPDと比べてAPによるシグナルが著しく減少した。グリシン及びトリス-グリシンバッファは、AMPDと類似のシグナルを示した。AMPD-グリシンは、AMPD参照と比べてシグナルの増加を示した。
【0288】
9つの異なるpH及びモル濃度の組み合わせでAMDPバッファ中CPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)を用いてAMPD製剤を調製し、表20に示すように30℃における安定性について試験した。
【0289】
【0290】
全ての勾配のp値が統計的有意性を示した。
【0291】
モル濃度及びpHに関して、TRISバッファを更に調べた。表21に示す指定のモル
濃度のTRISバッファ(pH9.2)中CPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)を含む組成物を調製した。1行目にイタリック体で示す対照TRISバッファに対する性能を表21に示す。
【0292】
【0293】
表21に示すように、TRISは、広範囲のpH及びモル濃度にわたって同等の性能を示した。pHは9.2に限定されていたが、その理由は、より高いpHはTRISの緩衝能の範囲外だったためである。4つの製剤の組み合わせを30℃で安定性について試験した。結果を表22に示す。
【0294】
【0295】
4つのバッファ系について更に調べた:10mg.L亜硫酸ナトリウムを含むAMPDバッファ;25mg/L亜硫酸ナトリウムを含むAMPDバッファ;トリス10mg/L亜硫酸ナトリウム;及びトリス25mg/L亜硫酸ナトリウム。一般に、TRISバッファを2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)バッファで置き換えると、本発明の基質製剤の安定性が改善した。
【0296】
実施例8.アルカリホスファターゼの比較
Biozyme ALP、組み換えALP、及び天然ALPを用いて、アルカリホスファターゼの比較を行った。SMF-PEG-AMPD(AMPD-10)又はSMF-PEG-TRISを含有する高速基質試験製剤の性能をLUMI-PHOS(登録商標)530と比べた。SMF-PEG-AMPD(AMPD-10)製剤は、0.1M AMPDバッファ(pH9.7)中にCPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG 35K(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)を含有していた。SMF-PEG-TRIS製剤は、0.3M TRISバッファ(pH9.2)中にCPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG 35K(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)を含有していた
【0297】
各製剤(200μL)を、24個の複製物を用いてSpectraMaxにおいて20
μLのALPを用いて試験した。Biozyme ALPは1.8ng/mLで使用し、組み換え及び天然ALPは2ng/mLで使用した。結果を表22A~Dに示す。
【0298】
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
本発明の各基質製剤は、Biozyme ALP、組み換えALP、又は天然ALPと共に使用することが可能であった。表22A~22Cに示すように、SMF-PEG-AMPD(AMPD-10)及びSMF-PEG-TRISを含む2つの基質製剤は、LUMI-PHOS(登録商標)530よりも低い%CVを示した。
【0303】
実施例9.代替アニオン性界面活性剤
元のAPS-5製剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)アニオン性界面活性剤を含む。AMPDバッファ並びにSDS又はSTSアニオン性界面活性剤を使用する代替製剤の比較安定性について調べた。表23は、CPAと共に使用するための本発明の3つの代替基質製剤を示す。
【0304】
【0305】
スキーム1に示すように、機序の研究は、N-メチルアクリドンが化合物I CPAの分解の生成物であることを示した。製剤中のN-メチルアクリドンの分解物の蛍光強度を、この試験において製剤安定性の別の指標として使用した。以下のとおり3つの試験製剤を調製し、APS-5製剤と比較した。
【0306】
製剤APS-5:CPA、0.3M TRISバッファ(pH9.35)、ルシゲニン、Na2SO3(10mg/L)、SDS(1g/L)、TWEEN(登録商標)20(w/v、2g/L);
製剤AMPD-10:CPA(0.15g/L)、0.1M AMPDバッファ(pH9.7)、ルシゲニン(3.26mg/L)、Na2SO3(10mg/L)、SDS(0.9g/L)、PEG(Mw 35K、1.0g/L);
製剤STS:CPA(0.15g/L)、0.1M AMPDバッファ(pH9.7)、ルシゲニン(3.26mg/L)、Na2SO3(10mg/L)、STS(0.5g/L)、PEG(Mw 35K、1.0g/L);
製剤グリシン:CPA(0.15g/L)、0.05M AMPD-グリシンバッファ(pH9.7)、ルシゲニン(2.0mg/L)、Na2SO3(5mg/L)、STS(0.5g/L)、PEG(Mw 35K、1.0g/L)。
【0307】
5℃、18℃、又は30℃で15日間にわたって保管したとき、AMPD-10、C13、及びグリシンの製剤をAPS-5と比較した。各時点における蛍光を0日目と比較した。4つの製剤:A=APS-5、B=AMPD-10、C=C13、及びD=グリシンのそれぞれについて、5℃、18℃、又は30℃で15日間、0日目と比べた蛍光のグラフとして結果を
図9A~9Cに示す。
【0308】
図9Aは、5℃で15日間保管中のCPA喪失率を示す。5℃では、グリシン製剤(勾配=0.0029% CPA喪失/日、R2 0.85、P<0.001)が、最も低いCPA喪失率%の観点で最良の安定性を示し、続いて、C13(勾配=0.0054、R2 0.97、P<0.001)、AMPD-10(勾配=0.0067、R2 0.96、P<0.001)、及びAPS-5(勾配0.030、R2 0.99、P<0.001)であった。
【0309】
図9Bは、18℃で15日間保管中のCPA喪失率を示す。18℃では、グリシン製剤(勾配=0.010% CPA喪失/日、R2 0.65、P<0.001)が、最も低いCPA喪失率%の観点で最良の安定性を示し、続いて、C13(勾配=0.018、R2 0.98、P<0.001)及びAMPD-10(勾配=0.022、R2 0.9
9、P<0.001)であった。
【0310】
図9Cは、30℃で15日間保管中のCPA喪失率を示す。30℃では、グリシン製剤(勾配=0.054% CPA喪失/日、R2 0.99、P<0.001)が、最も低いCPA喪失率%の観点で最良の安定性を示し、続いて、C13(勾配=0.082、R2 0.99、P<0.001)、AMPD-10(勾配=0.089、R2 0.99、P<0.001)、及びAPS-5(勾配0.265、R2 0.99、P<0.001)であった。
【0311】
30℃で15日間後の1日あたりの蛍光変化を表24に示す。
【0312】
【0313】
図9A~
図9Cに示し、表24に要約するように、APS-5製剤と比べて0日目からの蛍光変化が減少したことによって示されるとおり、TWEEN(登録商標)20を含まない代替AMPD-10、C13、及びグリシン製剤はそれぞれ、5℃、18℃、及び30℃で15日間にわたるCPA安定性の実質的な増大を示した。
【0314】
実施例10.AMPD-10中のボロン酸バックグラウンド低減剤
アリールボロン酸から選択されるバックグラウンド低減剤が添加されたAMPD-10製剤の安定性試験を実施した。フェニルボロン酸、4-トリルボロン酸、4-クロロボロン酸、4-ヨードボロン酸、及び3-メトキシカルボニルフェニルボロン酸を含むアリールボロン酸について調べた。
【0315】
以下のとおりAMPD-10製剤を調製し、ボロン酸を添加した:0.15g CPA、1.0g/L PEG 35K、0.9g/L SDS、10mg/L Na2SO3、3.26mg/Lルシゲニン、0.1M 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)(pH9.7)バッファ。ボロン酸は、0.25mM(DMF中原液から)で使用した。添加されたボロン酸の効果を表25に示す。
【0316】
【0317】
AMPD-10に添加されたとき、アリールボロン酸は、バックグラウンド及びCL(RLU)を両方低減した。バックグラウンド低減がより著しいので、改善されたS/N比が得られる。
【0318】
実施例11.ポリマーに結合したボロン酸
ポリマービーズを2.6~3.2mmol/gフェニルボロン酸でロードした。AMPD-10に(それぞれ、0.05、0.20、1.0、及び50mg/mLのポリマーに結合したフェニルボロン酸を添加することによって、4つの製剤を調製した。対照としてのAMPD-10と共にこれら4つの製剤を30℃に置いた。試験2、6、7、8、10、及び12日目において、30℃の製剤及び4℃のAMPDを取り出し、室温に平衡化した。試験後、ボトルを保管温度に戻した。5.0mg.mL以下のポリマーに結合したボロン酸を添加すると、シグナルRLUに著しい影響を与えることなくバックグラウンドRLUを低減したが、5mg/mLでさえも安定性に改善はみられなかった(データ不図示)。
【0319】
実施例12.AMPD-10中の4-トリルボロン酸の安定性試験
AMPD-10にそれぞれ0.05、0.25、1.0mMの4-トリルボロン酸(4-TBA)を添加することによって3つの製剤を調製した。製剤A:2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)バッファ(0.1M、pH9.7)中CPA(0.15g/L)、PEG(Mw=35K、1.0g/L)、SDS(0.9g/L)、Na2SO3(10mg/L)、及びルシゲニン(3.26mg/L)。
【0320】
対照としてのAMPD-10と共にこれら製剤を8mLの琥珀色HDPEボトルに入れ、30及び4℃に置き、様々な日に試験して30℃を4℃と比較した。表26は、30℃対4℃から得られたシグナルRLUの変化率として安定性を示す。
【0321】
【0322】
4-TBAが溶解しているAMPD-10は、AMPD-10対照に対して若干の改善を示した。
【0323】
実施例13.4-トリルボロン酸及びp-クレゾールを添加したAMPD-10の安定性試験
追加の候補バックグラウンド低減剤を含有するAMPD-10を用いてアイソクロナス試験を行った。本発明の3つの基質製剤を試験した:AMPD-10(DLS081114)、0.05mM p-クレゾールを含むAMPD-10、及び0.05mM 4-トリルボロン酸(4-TBA)を含むAMPD-10。これら製剤を8mL琥珀色HDPEボトルに入れた。ボトルを4℃から取り出し、様々な日数30℃に置いて、30℃で様々な時間保管した製剤を得た。37℃(30分間平衡)でBMGにおいてAPの存在下でRLUを読み取ることによって同じプレートでこれら製剤を試験した。0、1、2、3、6
、及び9日目に安定性を判定した。各製剤の平均シグナル及びバックグラウンドRLUを表27A~27Cに示す。
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
図10Aは、9日間モニタリングしたAMPD-10-対照シグナルRLUを示す。-0.32%/日の1日あたりの元のシグナル強度の喪失の勾配を示した。
【0328】
図10Bは、AMPD-10-p-クレゾールが、-0.87%/日の元のシグナル強度の喪失の勾配を示したことを示す。
【0329】
図10Cは、AMPD-10-4-TBAが、-0.02%/日の1日あたりの元のシグナル強度の喪失の勾配を示したことを示す。
【0330】
4-トリルボロン酸(4-TBA)では安定性及びS/Nの改善が示されたが、4-クレゾールではみられなかった。0.05mM 4-TBA基質製剤を含むAMPD-10は、AMPD-10-対照よりも約25~30%低いシグナルRLU、及び約45~50%低いバックグラウンドRLUを示した。AMPD-10-対照製剤と比べて、この試験方法下ではAMPD-10-4-TBA 0.05mM基質製剤で著しい安定性の改善が観察された。
【0331】
実施例14.代替バックグラウンド低減剤
以下の組成物を用いて、様々な追加のバックグラウンド低減剤(BRA)の試験を実施した:CPA(0.15g/L)、0.1M 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)バッファ(pH9.7)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(Mw=35,000、1.0g/L)、SDS(0.9g/L)、及び表28に示される指定濃度のBRA。
【0332】
【表28】
SS:亜硫酸ナトリウム;SBS:重亜硫酸ナトリウム;SMBS:メタ重亜硫酸ナトリウム;BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
【0333】
バックグラウンドRLU及びシグナルRLUを、表28中の対照10mg/L 亜硫酸ナトリウムと比較した。漸増濃度のSBS又はSMBSを使用すると、バックグラウンドが低くなっただけでなく、シグナルも若干減少した。
【0334】
CPA(0.15g/L)、0.1M 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)バッファ(pH9.7)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(Mw=35,000、1.0g/L)、SDS(0.9g/L)、及び指定濃度のBRAを用いて、様々なBRAを含有する典型的な組成物の安定性を実施した。30℃で保管中のシグナル変化率(%)を表29に示す。
【0335】
【0336】
また、BRAは、Ar-B(OH)2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ヘテロ原子であり得るか若しくはヘテロ原子を含み得る縮合芳香環系、又はヘテロ原子であり得るか若しくはヘテロ原子を含み得る置換縮合芳香環系である)の一般化学構造を有するものから選択されるアリールボロン酸を含む。亜硫酸、重亜硫酸、及びメタ重亜硫酸の塩と組み合わせて使用するとき、実施例10に示すように、これらアリールボロン酸は、改善されたS/N比及び安定性を含む更なる効果をもたらす。
【0337】
実施例15.AMPDバッファ中の様々な量のCPAによる安定性。
AMPDバッファ中の様々な量のCPAによる30℃における製剤安定性試験を実施した。以下のとおり製剤を調製した:AMPDバッファ(0.1M、pH9.7)中CPA(様々な濃度)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)。30℃で15日間後の1日あたりのシグナル変化率%として15日間後の結果を表30に示す。
【0338】
【0339】
実施例16.TRISバッファ中の様々な量のCPAによる安定性
TRISバッファ中の様々な量のCPAによる30℃における製剤安定性を決定した。以下から製剤を調製した:TRISバッファ(0.3M、pH9.2)中CPA(様々な濃度)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)。30℃で15日間後の1日あたりのシグナル変化率%として15日間後の結果を表31に示す。
【0340】
【0341】
各CPA濃度において、表30のAMPD製剤は、表31のTRIS製剤よりも安定であった。
【0342】
実施例17.TRISバッファ中の様々なPEGによる製剤安定性
TRISバッファ中様々なポリ(エチレングリコール)を用いて30℃で14日間の製剤安定性試験を実施した:TRISバッファ(0.3M、pH8.8)中CPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、上に指定したPEG及びSDS。結果を表32に示す。
【0343】
【0344】
実施例18.様々なアニオン性界面活性剤による30℃における製剤安定性
SDS又はSTSを含む製剤を以下のとおり調製した。製剤-SDS:AMPDバッファ(0.1M、pH9.7)中CPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSDS(0.9g/L)。製剤-STS:AMPDバッファ(0.1M、pH9.7)中CPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSTS(0.5g/L)。29日間後の評価の結果を表33に示す。
【0345】
【0346】
STS基質製剤は、対応するSDS製剤よりも高い安定性を示した。
【0347】
実施例19.AMPDバッファ中のSTSによる30℃における製剤安定性
表34に示す様々なモル濃度のAMPDバッファ(pH9.7)中CPA(0.15g
/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSTS(0.5g/L)を含むAMPDバッファ中で、30℃における基質製剤安定性試験を実施した。
【0348】
【0349】
12日目におけるRLU%としてのシグナル変化は、25mM~200mMのAMPDバッファのモル濃度にわたってかなり一貫していた。
【0350】
実施例20.様々なpHにおけるAMPD中のSTSによる安定性
様々なpHのAMPDバッファ中30℃で製剤安定性試験を実施した。表35に示す様々なpHの0.1M AMPDバッファ中CPA(0.15g/L)、Na2SO3(10mg/L)、ルシゲニン(3.26mg/L)、PEG(1.0g/L)、及びSTS(0.5g/L)。
【0351】
【0352】
9.63~9.85のより高いpHでは安定性がより高くなる傾向が示された。
【0353】
実施例21.代替カチオン性芳香族化合物(CAC)
N,N’-ジメチルビアクリジニウムジニトレート(一般的にルシゲニンとして知られている)のような1つのカチオン性電荷又は2つのカチオン性電荷のいずれかを有するアクリジニウム化合物が、特に好ましいCACである。表36に示すように製剤中で様々な代替CACを試験した。
【0354】
【0355】
表36に示すように、ルシゲニンは、試験したCACの中で最も高いImaxを示した。
【0356】
実施例22.様々な量のルシゲニンを含む製剤
安定性、バックグラウンド、及びシグナル強度に対する様々な量のルシゲニンの効果を判定するために、0.3Mトリスバッファ(pH9.2)中にCPA(0.15g/L)、35K PEG(1.0g/L)、SDS(0.9g/L)、Na2SO3(10mg/L)を含む試験組成物を、表37に示すように様々な量のCACルシゲニンを用いて調製した。バックグラウンド及びシグナルのRLUを表37に示すように評価した。最も高いCAC濃度において、バックグラウンドが高くなり、S/Nが若干低下する傾向がみられた。
【0357】
【表37】
*Turner 20/20及びSpectraMax-Lからそれぞれ得られたバックグラウンドRLU及びシグナルRLU
【0358】
0.6×、0.7×、1×、及び1.3×ルシゲニンを含有する試験組成物を調製し、1×ルシゲニン=3.26mg/Lを含む組成物と比較した。他の成分は、CPA(0.15g/L)、35K PEG(1.0g/L)、SDS(0.9g/L)、Na
2SO
3(10mg/L)、及び0.1M AMPDバッファ(pH9.7)であった。0.6×(1.96mg/L)、0.7×(2.28mg/L)、1×(3.26mg/L)、及び1.3×(4.24mg/L)ルシゲニンを含む製剤を、安定性試験で評価した。各製剤を4℃及び30℃で保管し、4時点で試験した。30℃における0.6×、0.7×、1×、及び1.3×ルシゲニンを含む基質製剤の安定性を、
図11における対応する4℃のサンプルに対する性能率として示す。図中、Aは、勾配(0.6×)=0.32%/日であり、Bは、勾配(0.7×)=0.35%/日であり、Cは、勾配(1×)=0.34%/日であり、Dは、勾配(1.3×)=0.40%/日である。より高いCAC濃度において安定性が低下する傾向がみられた。
【0359】
実施例23.高速基質製剤は、最初の結果が出るまでの時間を短縮する。
0.15g/L CPA、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1g/L PEG(35K)、0.9g/L SDS、及び0.1M AMPD(pH9.7)バッファ系を含む試験基質製剤を調製した。
【0360】
様々な分析物を定量的に測定するための製造業者のプロトコルに従って改良型自動UniCel DxI Access Immunoassay Systemにおいて、Lumi-Phos 530(登録商標)(Access Substrateカタログ番号81906、Beckman Coulter(Fullerton,CA,USA)の代替物として試験基質製剤を23種の自動アッセイで使用した:TSH-fast、TSH-Hypersensitive(チロトロピン、hTSH Reagent、Beckman Coulter Ref.33820)、FT4(Access Total Thyroxine(T4)Reagent、Beckman Coulter 33800)、Ferritin(Access Ferritin Reagent、Beckman Coulter Ref.33020)、AccuTnI(Cardiac Troponin I(cTbI)Reagent、33340、Beckman Coulter)、VitB12(Access Vitamin B12 Reagent、Beckman Coulter 33020)、PSA(Access Hybritech PSA Reagent、Beckman Coulter 37200)、FOL(Access Folate Reagent、Beckman Coulter A98032)、FT3(Access Total T3 Reagent、Beckman Coulter 33830)、TBhCG2(Access total beta human Chorionic Gonadotropin,hCG
Reagent、Beckman Coulter A85264)、CK-MB(Access Creatine Kinase-MB Reagent、386371、Beckman Coulter,Inc.)、BNP2(Access B-type
natriuretic peptide reagent、98200;Beckman Coulter,Inc.);AFP(Access alpha-fetoprotein reagent、33211、Beckman Coulter,Inc.)、CEA2(Access Carcinoembryonic Antigen Reagent、33200、Beckman Coulter,Inc.);Dil-hCG2(Access total beta human Chorionic Gonadotropin Reagent、33500、Beckman Coulter,Inc.);hFSH(Access human Follicle Stimulating Hormone Reagent、33520、Beckman Coulter,Inc.)、PTH(IO)(Access Parathyroid Hormone、intact-Intraoperativeモード、インサートA38412B、Beckman Coulter,Inc.)、PTH routine(Access intact Parathyroid Hormone Reagent、A16972、Beckman Coulter,Inc.)、hLH(Access human Luteinizing Hormone Reagent、33510、Beckman Coulter,Inc.);Testo(Access Testosterone Reagent、33560、Beckman Coulter,Inc.)、Cortisol(Access Cortisol Reagent、33600、Beckman Coulter,Inc.);E2(Access Estradiol Reagent、33540、Beckman Coulter,Inc.)、及びInhibinA(Access Inhibin A Reagent、A36097、Beckman Coulter,Inc.)。
【0361】
標準的なLUMI-PHOS 530アッセイ基質と比べて、試験基質製剤を用いて各自動アッセイにおける結果が出るまでの時間を判定した。結果を
図13に示す。
【0362】
本発明の基質製剤は、
図13に示すように、LUMI-PHOS(登録商標)530基質製剤と比べて、自動アッセイにおいて結果が出るまでの時間が10~41%短縮された。
図13に示すように、上位23種のアッセイのうちの8種において本発明の基質製剤を使用すると、LUMI-PHOS 530アッセイ基質系と比べて、最初の結果が出るまでの時間が少なくとも30%節約された。上位23種のアッセイで節約された時間率%を
図13にグラフで示す。
【0363】
実施例24.代表的な自動イムノアッセイ。
以下のプロトコルは、アルカリホスファターゼ(ALP)酵素を検出するために、LUMI-PHOS 530を本基質製剤で置換するのに好適な自動イムノアッセイの代表的なものである。
【0364】
いくつかの実施形態では、本質的に検出可能であるか又はコンジュゲートした検出可能なホスファターゼ酵素などのシグナル生成系に共有結合している検出可能なラベル(例えば、Free T4については競合イムノアッセイにおけるT4-ALP又はT3-ALP)は、捕捉リガンド(例えば、T4特異的モノクローナル抗体)に対する結合について分析物(例えば、流体サンプル中のFree T4)と競合する。
【0365】
この例では、Access Free T4アッセイ(BCI)は、2段階酵素イムノアッセイである。BCIのAccess Free T4アッセイシステム(BCI(Fullerton,Calif.))を使用して、被験体の血清又は血漿中のタンパク質
に結合していない遊離チロキシンの濃度を測定する。ビオチンにカップリングしているモノクローナル抗チロキシン(T4)抗体(BCI)、T4を含有する生体サンプル、安定化剤を含有する緩衝されたタンパク質溶液、及びストレプトアビジンでコーティングされた固相を反応容器に添加する。この第1のインキュベート中、ビオチンにカップリングしている抗T4抗体は、固相及びサンプル中の遊離T4に結合する。反応容器内でインキュベートした後、固相に結合している材料は磁場に保持されるが、結合していない材料は洗い流される。
【0366】
次に、緩衝されたタンパク質溶液及びトリヨードチロニン(T3)-アルカリホスファターゼコンジュゲートを反応容器内に添加する。T3-アルカリホスファターゼコンジュゲートは、空の抗T4抗体結合部位に結合する。反応容器内でインキュベートした後、固相に結合している材料は磁場に保持されるが、結合していない材料は洗い流される。
【0367】
そして、化学発光基質Lumi-Phos(登録商標)530(Lumigen Inc.(Southfield,MI))又は本発明の基質製剤を容器に添加し、反応によって生成される光を照度計で測定する。光生成は、サンプル中の遊離T4の濃度に逆比例する。サンプル中の分析物の量は、保存された多点較正曲線から決定される。血清及び血漿(ヘパリン)が、推奨サンプルである。
【0368】
BCIのAccess Free T4 A33070Aアッセイキットは、Access Free T4 Reagent Packカタログ番号33880:100回測定、2パック、50試験/パックを含む。これは、使用準備が整った状態で提供される。試薬パックは、以下の試薬A~Eを含んでいる。
【0369】
試薬A:タンパク質(トリ)、界面活性剤、0.125% NaN3、及び0.125% ProClin(登録商標)300(Rohm and Haas(Philadelphia,PA)から入手可能)を含むTRISバッファ中のストレプトアビジンでコーティングされたDynabeads(登録商標)常磁性粒子。
【0370】
試薬B:タンパク質(トリ)、界面活性剤、<0.1% NaN3、及び0.1% ProClin 300を含むTRIS緩衝整理食塩水。
【0371】
試薬C:タンパク質(トリ)、界面活性剤、0.125% NaN3、及び0.125% ProClin 300を含むTRIS緩衝整理食塩水。
【0372】
試薬D:タンパク質(トリ)、界面活性剤、<0.1% NaN3、及び0.1% ProClin 300を含むTRISバッファ中トリヨードサイロニン-アルカリホスファターゼ(ウシ)コンジュゲート。
【0373】
試薬E:タンパク質(トリ及びマウス)、界面活性剤及び安定剤、<0.125% NaN3、並びに0.125% ProClin(登録商標)300を含むTRISバッファ中のビオチンにカップリングしているマウスモノクローナル抗チロキシン(T4)。
【0374】
第1の反応は、反応容器に以下を逐次添加することを含む:
1)50μLの試薬E、
2)30μLの分析物含有サンプル、
3)30μLのシステム洗浄バッファ、
4)30μLの試薬B、
5)50μLの試薬A。
【0375】
インキュベート期間及び反応容器の洗浄後、第2の反応は、反応容器に以下を逐次添加することを含む:
6)220μLの試薬C、
7)50μLの試薬D、
8)80μLのシステム洗浄バッファ、
9)インキュベート、
10)LumiPhos-530又は本発明の基質製剤の添加、
11)6.3分間のインキュベート、
12)検出。
【0376】
インキュベート及び反応容器の洗浄後、サンプル中の遊離分析物の濃度を検出系を用いて測定する。
【0377】
実施例25.30℃におけるPEG 35Kによる製剤安定性
0.3Mトリス(pH8.8)、3.26mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウム、1g/L PEG(35K)、0.9g/L SDS、及び0.15g/L CPAを含む基質製剤を調製した。30℃における基質製剤の安定性を判定した。劣化プロファイルを
図12に示す。0.9g/L SDSと共にPEG 35Kを含む組成物について、勾配は、30℃において1日あたり-0.5%であると決定され、p値は<0.001であった。
【0378】
実施例26.様々な化学発光化合物Iを含む追加製剤
式Iの様々な化合物を用いて2つの基質製剤を調製した。第1の製剤は、APS-5と共に使用される先行技術の系に基づいており、1g/L SDS、1g/L Tween-20、3.25mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウムを含有する0.3Mトリス(pH9.35)を含有していた。第2の製剤は、本発明に基づいており、0.5g/L STS、1g/L PEG(Mw=35,000)、3.25mg/Lルシゲニン、10mg/L亜硫酸ナトリウムを含有する0.1M AMPD(pH9.70)を含んでいた。以下に示す様々な化学発光化合物Iを、0.15g/Lの各バッファの200mLのアリコートに添加した。
【0379】
【0380】
各製剤を半分の約100mLずつに分け、一方を約5℃で維持し、他方を約30℃で保持した。
【0381】
材料を2週間にわたって定期的に試験し、2つの保管条件間のシグナルRLUの相対変化を測定した。酵素/温度/日に関連するばらつきを減らすために、2つの温度で保管されたサンプルを比較することによって、96ウェルプレートで製剤を試験した。機器において37℃で30分間サンプルをインキュベートした。20μLの酵素(1mLのBeckman Coulter System Check ALPを640mLのSample Diluent Bufferと混合することによって調製される)を200μLの製剤に注入した。ALP溶液の注入後約29秒で速度シグナルを測定した。各バッファ/温度/時点について15~16データ点(ウェル)を測定した(ウェルA1は、注入体積がばらつくため除外する)。データを線形回帰でプロットし、30℃における表38に示すような1日あたりの喪失率%として勾配を報告した。
【0382】
【0383】
AMPDバッファ系で調製された製剤は、TRIS-Tweenバッファ系における対応する製剤よりも少ないシグナル喪失を示した。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
ホスファターゼ酵素の存在下で化学発光を生じさせる基質製剤であって、水溶液中に、
a)0.01mM~50mMの式Iの化学発光化合物又はその塩:
【化18】
(式中、
Aは、C
1~6ハロアルキル、ナフチル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロアリールであり、置換フェニルは、1~3個のハロ、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルキル、C(O)R
15、CN、又はNO
2置換基を含み、
R
1は、C
5~14アリール、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、及びC
5~14アラルキル基からなる群から選択され、
R
7~R
14は、独立して、H、C
1~6アルコキシ、ハロ、C
1~4アルキルであるか、又はR
7-R
8若しくはR
8-R
9若しくはR
9-R
10 R
11-R
12若しくはR
12-R
13若しくはR
13-R
14は、少なくとも1つの5又は6員環を含む炭素環式又は複素環式環系として互いに結合し得、
R
15は、C
1~6アルキルであり、
各Mは、独立して、H、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウム、ホスホニウム、有機アミン塩、アミノ酸塩から選択されるか、
Zは、O又はSであり;nは、0、1、又は2である)、
b)0.01~200μMのカチオン性芳香族化合物(CAC)、
c)1μM~10mMのバックグラウンド低減剤、及び
d)0.05~20g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、
を含む、基質製剤。
(項目2)
項目1に記載の基質製剤であって、
ZがSであり、
Aが、フェニル又は置換フェニルであり、置換フェニルが、1~3個のハロ、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、及びC
1~6ハロアルキル置換基を含み、
R
1が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、又はt-ブチルであり、
R
7~R
14が、独立して、H、C
1~6アルコキシ、ハロであり、
各Mが、独立して、H、Na、K、又はLiであり、
nが、0、1、又は2である基質製剤。
(項目3)
項目1に記載の基質製剤であって、前記式Iの化合物が、以下からなる群から選択される基質製剤:
【化19】
【化20】
(項目4)
項目1に記載の基質製剤であって、前記カチオン性芳香族化合物(CAC)が、式IIに係る化合物から選択される基質製剤:
【化21】
(式中、
Qは、ハロゲン、シアノ、--COOR’、--COSR’、--CONR
1R
2、--CON(R)SO
2R”、ナフチル、アントリル、N-C
1~4アルキルアクリジニル、ハロ置換N-C
1~4アルキルアクリジニルからなる群から選択され、
Rは、C
1~4アルキルであり、
R’、R”は、独立して、C
1~6アルキル、アリール、アルキル置換アリールから選択され、
R
1、R
2は、独立して、H、C
1~6アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、
Z
-は、ハロゲン化物又は硝酸であり、Yは、H、ハロ、C
1~4アルキルから選択される)。
(項目5)
項目4に記載の基質製剤であって、Qが、N-メチルアクリジニル、ハロ置換N-メチルアクリジニル、ナフチル、又はアントリルであり;Rが、C
1~4アルキルであり;Z-が、Cl
-、Br
-、I
-、NO
3
-からなる群から選択され、Yが、H又はハロである、基質製剤。
(項目6)
項目5に記載の基質製剤であって、前記CACが以下からなる群から選択される基質製剤:
【化22】
(項目7)
前記バックグラウンド低減剤が、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸リチウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸リチウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;2,6-ビス(1,10-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、3-t-ブチル-4-ヒドロキシルアニソール、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシルアニソール、及び式Ar-B(OH)
2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ヘテロ原子を含み得る縮合芳香族環系、ヘテロ原子を含み得る置換縮合芳香族環系であり、置換アリール基は、独立してC
1~6アルキル、ハロ、アルコキシカルボニル、又はヒドロキシル基から選択される1~3個の置換基を有し得る)の芳香族ボロン酸からなる群から選択される、項目1に記載の基質製剤。
(項目8)
前記バックグラウンド低減剤が、フェニルボロン酸、4-トリルボロン酸、4-クロロボロン酸、4-ヨードボロン酸、及び3-メトキシカルボニルフェニルボロン酸、並びに亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される、項目7に記載の基質製剤。
(項目9)
前記エーテル結合した非イオン性界面活性剤が、式(III)のものである、項目1に記載の基質製剤:
【化23】
(式中、Rは、C
6~22アルキル、シクロアルキル、C
6~22アルキル置換シクロアルキル、及びモノ-又はジ-C
6~22アルキル置換フェニルから選択され;nは、2~200の数であり;Xは、O又はSから選択され;Yは、H又はC
1~4アルキルから選択される)。
(項目10)
前記エーテル結合した非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル(BRIJ)、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル(TRITON)、又はポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(IGEPAL)からなる群から選択される、項目9に記載の基質製剤。
(項目11)
前記親水性ポリマーが、式(IV)に係る、項目1に記載の基質製剤:
【化24】
(式中、X
1及びX
2は、独立して、O、S、N若しくはNHから選択されるか、又は存在せず;Y
1及びY
2は、独立して、H、H
2、又はC
1~4アルキルから選択され;nは、20~12,000の数である)。
(項目12)
前記親水性ポリマーが、1,000~511,000の範囲内の平均Mwを有するポリ(エチレングリコール)である、項目11に記載の基質製剤。
(項目13)
C
10~22アルキルサルフェート及びC
10~22アルキルスルホネートからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を更に含む、項目1に記載の基質製剤。
(項目14)
前記アニオン性界面活性剤が、テトラデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及びトリデシル硫酸ナトリウム(STS)からなる群から選択される、項目13に記載の基質製剤。
(項目15)
項目1に記載の基質製剤であって、以下からなる群から選択されるアミンバッファを更に含む基質製剤:トリス(トロメタミン);AMPD(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール);DEA(ジエタノールアミン);AMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸);221-アミン(2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール);CHES(2-(N-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸);グリシン;及びpH7~12のTAPS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)バッファ。(項目16)
0.05mM~10mMの化合物I、0.05~50μMのカチオン性芳香族化合物、10μM~1000mMのバックグラウンド低減剤、0.1~10g/Lのエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、0.1~5g/Lのアニオン性界面活性剤、及びpH8~11のアミンバッファを含む、項目1に記載の基質製剤。
(項目17)
項目16に記載の基質製剤であって、前記化合物Iが、CPAであり、前記CACが、ルシゲニンであり、前記バックグラウンド低減剤が、亜硫酸ナトリウムであり、前記非イオン性界面活性剤が、IGEPAL(CO-990、DM-970)、TRITON(X-405、還元型X-405)、及びBRIJ(78、700)から選択され、前記親水性ポリマーが、ポリ(エチレングリコール)(Mw=14,000)、ポリ(エチレングリコール)(Mw=35,000)及びポリ(エチレングリコール)(Mw=100,000)から選択され、前記アニオン性界面活性剤が、SDS及びSTSから選択され、前記アミンバッファが、TRIS及びAMPDから選択される基質製剤。
(項目18)
項目1に記載の基質製剤であって、以下のうちの1つ以上を示す基質製剤:
a)アルカリホスファターゼ酵素に曝露した後、≦5分間、≦4分間、≦2分間、≦1分間、≦45秒間、≦30秒間、≦20秒間、≦10秒間、≦5秒間、≦4秒間、≦3秒間、又は≦2秒間に最高強度(Imax)を達成する、
b)4℃で300日間保管した後にアルカリホスファターゼ酵素に曝露した後、元のRLUの≦10%の喪失を示す、
c)4℃で300日間以上保管したとき、元のRLUと比べて≧90%又は>95%の保持された活性(RLU)を示す、
d)4℃で400日間以上保管したとき、≧90%の保持された活性を示す、
e)30℃で保管したとき15日間後に<-0.50%/日の1日あたりのシグナル変化率(%)を示す。
(項目19)
ホスファターゼ酵素の存在下で化学発光を生じさせる基質製剤であって、組成物が、水溶液中に、
a)式Iの化学発光化合物又はその塩:
【化25】
(式中、
Aは、C
1~6ハロアルキル、ナフチル、フェニル、置換フェニル、又はヘテロアリールから選択され、置換フェニルは、1~3個のハロ、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルキル、C(O)R
15、CN、又はNO
2置換基から選択され、
R
1は、C
5~14アリール、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、及びC
5~14アラルキル基からなる群から選択され、
R
7~R
14は、独立して、H、C
1~6アルコキシ、ハロ、若しくはC
1~4アルキルであるか、又はR
7-R
8若しくはR
8-R
9若しくはR
9-R
10 R
11-R
12若しくはR
12-R
13若しくはR
13-R
14は、少なくとも1つの5又は6員環を含む炭素環式又は複素環式環系として互いに結合し得、
R
15は、C
1~6アルキルであり、
Mは、独立して、H、Li、Na、又はKから選択され、
Zは、O又はSであり;nは、0、1、又は2である)、
b)カチオン性芳香族化合物の非存在下で生じるものと比べて化学発光を増加させるのに有効な量の前記カチオン性芳香族化合物、及び
c)バックグラウンド低減剤であって;
改善が含み、
d)前記水溶液中にエーテル結合した非イオン性界面活性剤又は親水性ポリマー、
を含み、
得られるターンアラウンドタイム(TAT)が、自動イムノアッセイ又は性能試験Bにおいてアルカリホスファターゼに曝露した後2分間未満である、基質製剤。