(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083478
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】電界発光表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/826 20230101AFI20240614BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20240614BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20240614BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240614BHJP
H10K 85/20 20230101ALI20240614BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20240614BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20240614BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240614BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20240614BHJP
【FI】
H10K50/826
H10K85/10
H10K71/60
H10K85/60
H10K85/20
H10K59/80
H10K59/124
G09F9/30 338
G09F9/30 365
H10K102:20
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061478
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022174015の分割
【原出願日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】10-2021-0191329
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】朴 泰 翰
(57)【要約】
【課題】封止機能を有するカソード電極を備える電界発光表示装置を提供する。
【解決手段】本出願による電界発光表示装置は、基板、アノード電極、発光層、カソード電極を含む。アノード電極は、基板上に配置される。発光層は、アノード電極の上に配置される。カソード電極は、発光層の上に配置される。カソード電極は、順に積層した少なくとも2つ以上の導電層を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と前記表示領域を囲む非表示領域とを含む基板と、
前記表示領域内に配置された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタを覆う平坦化層と、
前記表示領域内の前記平坦化層上に配置されたアノード電極と、
前記表示領域を覆う前記アノード電極上に配置された発光層と、
前記発光層を覆うとともに前記発光層よりも大きな面積を有するカソード電極とを含み、
前記カソード電極は、前記発光層に接触する第1カソード層、前記第1カソード層に接触する第2カソード層及び前記第2カソード層に接触する第3カソード層を含み、
前記第2カソード層は、導電性樹脂物質を含む、電界発光表示装置。
【請求項2】
前記第1カソード層は、酸化金属物質を含み、
前記第2カソード層は、金属物質を含み、
前記第3カソード層は、前記酸化金属物質を含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項3】
前記カソード電極は、前記第3カソード層上に第4カソード層をさらに含み、前記第4カソード層は、前記金属物質を含む、請求項2に記載の電界発光表示装置。
【請求項4】
前記第1カソード層は、金属物質を含み、
前記第2カソード層は、酸化金属物質を含み、
前記第3カソード層は、前記金属物質を含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項5】
前記カソード電極は、前記第3カソード層上に第4カソード層をさらに含み、前記第4カソード層は、前記酸化金属物質を含む、請求項4に記載の電界発光表示装置。
【請求項6】
前記第1カソード層は、金属物質を含み、
前記第2カソード層は、酸化金属物質を含み、
前記第3カソード層は、導電性樹脂物質を含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項7】
前記カソード電極は、前記第3カソード層上に第4カソード層をさらに含み、前記第4カソード層は、前記金属物質を含む。請求項6に記載の電界発光表示装置。
【請求項8】
前記カソード電極は、前記第4カソード層上に第5カソード層をさらに含み、前記第5カソード層は、前記酸化金属物質を含む、請求項7に記載の電界発光表示装置。
【請求項9】
前記第1カソード層は、酸化金属物質を含み、
前記第2カソード層は、金属物質を含み、
前記第3カソード層は、導電性樹脂物質を含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項10】
前記カソード電極は、前記第3カソード層上に第4カソード層をさらに含み、前記第4カソード層は、前記酸化金属物質を含む、請求項9に記載の電界発光表示装置。
【請求項11】
前記カソード電極は、前記第4カソード層上に第5カソード層をさらに含み、前記第5カソード層は、前記金属物質を含む、請求項10に記載の電界発光表示装置。
【請求項12】
前記金属物質が、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びバリウム(Ba)の中から選択されるいずれか1つを含み、
前記酸化金属物質は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)の中から選択されるいずれか1つを含む、請求項2~11のいずれか一項に記載の電界発光表示装置。
【請求項13】
前記金属物質を含む層は、前記酸化金属物質を含む層よりも厚い、請求項12に記載の電界発光表示装置。
【請求項14】
前記酸化金属物質を含む層の厚さは、10Å~200Åであり、
前記金属物質を含む層の厚さは、100Å~3,000Åである、請求項13に記載の電界発光表示装置。
【請求項15】
前記第2カソード層の厚さは、2μm以上4μm以下である、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項16】
前記導電性樹脂物質が、
Alq3、TmPyPB、Bphen、TAZ及びTPBの中のいずれか1つを含むドメイン物質と、
前記ドメイン物質に分散した、Li、Cs、Cs2O3、CsN3及びRb2などのアルカリ系金属物質またはC60からなるドーパントとを含む、請求項15に記載の電界発光表示装置。
【請求項17】
前記第1カソード層は、前記発光層よりも大きな面積を有するとともに前記発光層を完全に覆い、
前記第2カソード層は、前記第1カソード層上に配置されるとともに前記発光層を完全に覆い、
前記第3カソード層は、前記第2カソード層及び前記第1カソード層を完全に覆う、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項18】
前記第3カソード層は、前記第1カソード層及び前記第2カソード層の端部を覆う、請求項17に記載の電界発光表示装置。
【請求項19】
前記平坦化層は、前記表示領域を覆うとともに前記非表示領域へ延在し、
前記発光層は、前記平坦化層内に配置され、
前記第1カソード層は、前記平坦化層よりも大きな面積を有するとともに前記発光層及び前記平坦化層を完全に覆い、
前記第2カソード層は、前記平坦化層に配置されるとともに前記発光層を完全に覆い、
前記第3カソード層は、前記第2カソード層、前記発光層、保護膜及び前記第1カソード層を完全に覆う、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、封止(エンキャプスレーション(encapsulation))機能を有するカソード電極を備えた電界発光表示装置に関するものである。特に、本出願は、発光素子を保護する封止層を別途設けず、カソード電極自体で封止機能をする電界発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)及び電界発光素子(Luminescent Display)など様々な形態の表示装置が開発され発展している。このように多様な形態の表示装置は、それぞれの固有特性に合わせて、コンピュータ、携帯電話、銀行の入出金装置(ATM)及び車両のナビゲーションシステム等のような多様な製品の映像データ表示に使用されている。
【0003】
特に、自発光表示装置である電界発光表示装置は、外部から水分やガスなどの異物が素子内部に浸透する場合、有機素子が損傷して使用寿命が短くなる問題が発生し得る。このような問題を防止するために、有機発光素子を保護するための封止層を適用する技術が提案されている。
【0004】
封止層を設けるためには、別途の工程が必要であり、工程及び製造コストが上昇する。また、封止層が有機発光素子のカソード電極と界面特性が悪い場合、封止性能を完全に保証することができない。したがって、製造工程が単純であり、製造コストを削減しながらも、外部からの水分や異物が浸透することを防ぐことができる新しい構造の封止層に対する技術開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の目的は、従来技術の問題点を克服することであり、有機発光素子を保護する封止層を別途設けず、カソード電極自体で優れた封止性能を確保した電界発光表示装置を提供することにある。本出願の他の目的は、カソード電極が封止機能を有するように構成することにより、製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる電界発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本出願による電界発光表示装置は、基板、アノード電極、発光層、カソード電極を含む。アノード電極は、基板上に配置される。発光層は、アノード電極上に配置される。カソード電極は、発光層の上に配置される。カソード電極は、順に積層された少なくとも2つ以上の導電層を含む。
【0007】
一例として、導電層は、酸化金属物質からなる第1酸化金属層、金属物質からなる第1金属層、及び酸化金属物質からなる第2酸化金属層を含む。
【0008】
一例として、導電層は、第2酸化金属層上に積層され、金属物質からなる第2金属層をさらに含む。
【0009】
一例として、導電層は、金属物質からなる第1金属層、酸化金属物質からなる第1酸化金属層、及び金属物質からなる第2金属層を含む。
【0010】
一例として、導電層は、第2金属層上に積層され、酸化金属物質からなる第2酸化金属層をさらに含む。
【0011】
一例として、導電層は、金属物質からなる第1金属層、酸化金属物質からなる第1酸化金属層、及び導電性樹脂物質からなる樹脂層を含む。
【0012】
一例として、導電層は、樹脂層の上に積層され、金属物質からなる第2金属層をさらに含む。
【0013】
一例として、導電層は、第2金属層上に積層され、酸化金属物質からなる第2酸化金属層をさらに含む。
【0014】
一例として、導電層は、酸化金属物質からなる第1酸化金属層、金属物質からなる第1金属層、及び導電性樹脂物質からなる樹脂層を含む。
【0015】
一例として、導電層は、樹脂層上に積層され、酸化金属物質からなる第2酸化金属層をさらに含む。
【0016】
一例として、導電層は、第2酸化金属層上に積層され、金属物質からなる第2金属層をさらに含む。
【0017】
一例として、導電層は、発光層と接触する第1導電層、第1導電層と接触する第2導電層、及び第2導電層と接触する第3導電層を含む。
【0018】
一例として、第1導電層と第3導電層のそれぞれは、金属層と酸化金属層の中の少なくともいずれか1つを含む。金属層の厚さは、酸化金属層の厚さより厚い。
【0019】
一例として、酸化金属層の厚さは10Å~200Åである。金属層の厚さは100Å~3,000Åである。
【0020】
一例として、第2導電層は、導電性樹脂物質を含む。
【0021】
一例として、金属物質は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びバリウム(Ba)の中から選択されるいずれか1つを含む。酸化金属物質は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択されるいずれか1つを含む。
【0022】
一例として、導電性樹脂物質は、Alq3、TmPyPB、Bphen、TAZおよびTPBのいずれかを含むドメイン物質、およびドメイン物質内に分散した、Li、Cs、Cs2O3、CsN3、Rb2およびC60などのアルカリ系金属物質からなるドーパントを含む。
【発明の効果】
【0023】
本出願による電界発光表示装置は、有機発光素子を構成するカソード電極が少なくとも2層の導電層が順に積層した構造を有する。特に、アルミニウムなどの金属物質を含む第1導電層と、酸化アルミニウムなどの酸化金属層とを含む第2導電層が積層した構造を有する。したがって、カソード電極は、封止機能をさらに備えることにより、カソード電極を形成する単一工程で、カソード電極と封止層を一つの構造体に形成することができる。その結果、製造工程が単純で製造コストを削減することができる。また、多層導電物質からなる構造体で封止機能を有するカソード電極を形成するため、薄膜間の結合力に優れ、剥離現象等の損傷が発生しない。したがって、本出願は、外部から浸透する異物を遮断する性能に優れた封止機能を有するカソード電極を備える電界発光表示装置を提供することができる。
【0024】
本出願は、少なくとも三重層が積層されたカソード電極において、第1カソード電極層を半透明性を有するように構成することにより、相殺干渉による外部光反射を抑制する効果を有することができる。また、各種配線には透明導電物質を含む三重層構造を有することにより、配線部でも外光反射を抑制する効果をさらに有することができる。また、ブラックバンクおよび/またはカラーフィルタ拡張構造を適用することにより、外部光反射をさらに抑制する効果を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本出願による電界発光表示装置の概略構造を示す平面図である。
【
図2】本出願による電界発光表示装置を構成する一画素の回路構成を示す図である。
【
図3】本出願による電界発光表示装置に配置された画素の構造を示す平面図である。
【
図4】
図3のII-II’に沿って切り取った、本出願による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【
図5】
図1のI-I’に沿って切り取った、本出願による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【
図6】
図1のIII-III’に沿って切り取った、本出願による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【
図7A】
図4の四角領域(X)を拡大した、本出願の第1実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図7B】
図4の四角領域(X)を拡大した、本出願の第1実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図8】
図4の四角領域(X)を拡大した、本出願の第2実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図9】
図4の四角領域(X)を拡大した、本出願の第3実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図10】
図4の四角領域(X)を拡大した、本出願の第4実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図11】
図4の四角領域(X)を拡大した、本出願の第5実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図12】
図4の四角領域(X)を拡大した、本出願の第6実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図13】本出願の第7実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図14】本出願の第8実施例による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【
図15】本出願の第9実施例による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【
図16】本出願の第9実施例の他の例による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【
図17】本出願の一応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図18】本出願の他の応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図19】本出願のまた他の応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【
図20】本出願のまた他の応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本出願の例示的な実施例を添付の図を詳細に参照して説明する。図全体を通じて同じ参照番号は、同じまたは類似の構成要素を指すために使用される。本出願の明細書における他の図において、同様の構成要素を示すために既に使用されている類似の参照符号は、可能な限り1つの構成要素に使用される。以下の説明において、本出願が属する技術分野において通常の知識を有する者に公知の機能及び構成が、本出願の本質的な構成とは無関係である場合、その詳細な説明は省略することができる。本出願の明細書に記載されている用語は、以下のように理解されなければならない。
【0027】
本出願の利点および特徴、およびそれらを達成する方法は、添付の図と共に詳細に後述される実施例を参照することによって明らかになるであろう。しかしながら、本明細書は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で具現されるものであり、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に、本発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本明細書は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0028】
本出願の実施例を説明するための図に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものであり、本発明が示された事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。なお、本発明の説明において、関連する公知技術の具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0029】
本出願明細書で言及される「含む」、「有する」、「からなる」などが使用される場合、「~のみ」が使用されない限り、他の部分が追加され得る。構成要素を単数で表現した場合に、特に明示的な記載事項がない限り複数を含む場合を含む。
【0030】
構成要素を解釈する際に、別途の明示的記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0031】
位置関係の説明である場合、例えば、「~上」、「~上部に」、「~下部に」、「~隣に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が配置され得る。
【0032】
時間関係の説明である場合、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~の後に」、「~前に」などで時間的前後関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されていない限り、連続的でない場合も含めることができる。
【0033】
第1、第2などは様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、1つの構成要素のみを他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得る。
【0034】
本出願の構成要素を説明するために、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。この用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によってその構成要素の性質、順番、順序、または数などが限定されない。ひとつの構成要素が他の構成要素に「接続」、「結合」、または「接続」されていると記載されている場合、その構成要素は他の構成要素に直接に接続または連結することができるが、特に明示的な記載がない限り、間接的に接続または連結することができる各構成要素の間に、他の構成要素を「介在」させることができることを理解されなければならない。
【0035】
「少なくとも1つ」という用語は、1つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むことを理解されなければならない。例えば、「第1項目、第2項目、第3項目の中の少なくとも1つ」の意味は、第1項目、第2項目、または第3項目のそれぞれ、ならびに第1項目、第2項目、および第3項目の中の2つ以上から提示できるすべての項目の組み合わせを意味することができる。
【0036】
本出願のいくつかの例のそれぞれの特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動および駆動が可能であり、各例は互いに独立して実施可能であり、関連して一緒に実施することもできる。
【0037】
以下では、本出願に係る表示装置の例を添付の図を参照して詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を付加する際に、同一の構成要素については、異なる図に表示されていても、可能な限り同一の符号を有することができる。
【0038】
以下、添付の図を参照して本出願について詳細に説明する。
図1は、本出願による電界発光表示装置の概略構成を示す図である。
図1において、X軸はスキャン配線と平行な方向を示し、Y軸はデータ配線と平行な方向を示し、Z軸は表示装置の高さ方向を示す。
【0039】
図1を参照すると、本出願による電界発光表示装置は、基板110、ゲート(あるいはスキャン)駆動部200、データパッド部300、ソース駆動集積回路410、フレキシブル配線フィルム430、回路基板450、およびタイミング制御部500を含む。
【0040】
基板110は、絶縁材料、または柔軟性を有する材料を含むことができる。基板110は、ガラス、金属、またはプラスチックなどからなり得るが、これに限定されない。電界発光表示装置がフレキシブル表示装置である場合、基板110はプラスチックなどの柔軟な材料で構成することができる。例えば、透明ポリイミド材料を含むことができる。
【0041】
基板110は、表示領域(AA)と非表示領域(NDA)に区分することができる。表示領域(AA)は、画像が表示される領域であり、基板110の中央部を含む大部分の領域に定義することができるが、これに限定されない。表示領域(AA)には、スキャン配線(あるいはゲート配線)、データ配線および画素が形成される。画素は複数のサブ画素を含み、複数のサブ画素はそれぞれスキャン配線とデータ配線を含む。
【0042】
非表示領域(NDA)は、画像が表示されない領域であり、表示領域(AA)の全部または一部を囲むように基板110の端部に定義することができる。非表示領域(NDA)には、ゲート駆動部200とデータパッド部300が形成される。
【0043】
ゲート駆動部200は、タイミング制御部500から入力されるゲート制御信号によってスキャン配線にスキャン(あるいはゲート)信号を供給する。ゲート駆動部200は、基板110の表示領域(AA)の一側の外側の非表示領域(NDA)にGIP(gate driver in panel)方式で形成することができる。GIP方式は、ゲート駆動部200が基板110上に直接に形成される構造のことをいう。
【0044】
データパッド部300は、タイミング制御部500から入力するデータ制御信号によってデータ配線にデータ信号を供給する。データパッド部300は、駆動チップで製作され、フレキシブル配線フィルム430に実装され、TAB(tape automated bonding)方式で基板110の表示領域(AA)の一側の外側の非表示領域(NDA)に付着することができる。
【0045】
ソース駆動集積回路410は、タイミング制御部500からデジタルビデオデータとソース制御信号が入力する。ソース駆動集積回路410は、ソース制御信号によってデジタルビデオデータをアナログデータ電圧に変換して、データ配線に供給する。ソース駆動集積回路410がチップで作られている場合、COF(チップオンフィルム)またはCOP(チップオンプラスチック)方式で、フレキシブル配線フィルム430に実装することができる。
【0046】
フレキシブル配線フィルム430には、データパッド部300とソース駆動集積回路410を連結する配線、データパッド部300と回路基板450を連結する配線が形成され得る。フレキシブル配線フィルム430は、異方性導電フィルムを用いてデータパッド部300に付着し、これによりデータパッド部300とフレキシブル配線フィルム430の配線を接続することができる。
【0047】
回路基板450は、フレキシブル配線フィルム430に付着することができる。回路基板450は、駆動チップとして実装された複数の回路を備えることができる。例えば、回路基板450にタイミング制御部500を備えることができる。回路基板450は、プリント回路基板またはフレキシブルプリント回路基板であり得る。
【0048】
タイミング制御部500は、回路基板450のケーブルを介して、外部のシステム基板からデジタルビデオデータとタイミング信号が入力する。タイミング制御部500は、タイミング信号に基づいて、ゲート駆動部200の動作タイミングを制御するためのゲート制御信号とソース駆動集積回路410を制御するためのソース制御信号とを生成する。タイミング制御部500は、ゲート制御信号をゲート駆動部200に供給し、ソース制御信号をソース駆動集積回路410に供給する。製品によって、タイミング制御部500は、ソース駆動集積回路410と1つの駆動チップで形成され、基板110上に実装することもできる。
【0049】
図2は、本出願による電界発光表示装置を構成する一画素の回路構成を示す図である。
図3は、本出願による画素の構造を示す平面図である。
図4は、
図3のII-II’に沿って切り取った、本出願による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【0050】
図2~
図4を参照すると、発光表示装置の一画素はスキャン配線(SL)、データ配線(DL)及び駆動電流配線(VDD)によって定義される。発光表示装置の一画素内には、スイッチング薄膜トランジスタ(ST)、駆動薄膜トランジスタ(DT)、発光ダイオード(OLE)及び補助容量(Cst)を含む。駆動電流配線(VDD)には、発光ダイオード(OLE)を駆動するための高電位電圧が印加される。
【0051】
基板(SUB)上にスイッチング薄膜トランジスタ(ST)及び駆動薄膜トランジスタ(DT)が形成されている。例えば、スイッチング薄膜トランジスタ(ST)は、スキャン配線(SL)とデータ配線(DL)が交差する部分に配置することができる。スイッチング薄膜トランジスタ(ST)は、スイッチングゲート電極(SG)、スイッチング半導体層(SA)、スイッチングソース電極(SS)およびスイッチングドレイン電極(SD)を含む。スイッチング半導体層(SA)は、スイッチングゲート電極(SG)と重畳する。スイッチングゲート電極(SG)は、スキャン配線(SL)に接続している。スイッチングソース電極(SS)は、データ配線(DL)に接続し、スイッチングドレイン電極(SD)は、駆動薄膜トランジスタ(DT)に接続する。スイッチング薄膜トランジスタ(ST)は、駆動薄膜トランジスタ(DT)にデータ信号を印加し、駆動する画素を選択する機能を果たす。
【0052】
駆動薄膜トランジスタ(DT)は、スイッチング薄膜トランジスタ(ST)によって選択された画素の発光ダイオード(OLE)を駆動する機能をする。駆動薄膜トランジスタ(DT)は、駆動ゲート電極(DG)、駆動半導体層(DA)、駆動ソース電極(DS)及び駆動ドレイン電極(DD)を含む。駆動ゲート電極(DG)は、スイッチング薄膜トランジスタ(ST)のスイッチングドレイン電極(SD)に接続する。一例として、駆動ゲート電極(DG)を覆うゲート絶縁膜(GI)を貫通するドレインコンタクトホール(DH)を介して、スイッチングドレイン電極(SD)が接続している。 駆動半導体層(DA)は、駆動ゲート電極(DG)と重畳する。駆動ソース電極(DS)は、駆動電流配線(VDD)に接続し、駆動ドレイン電極(DD)は、発光ダイオード(OLE)のアノード電極(ANO)に接続する。駆動薄膜トランジスタ(DT)の駆動ゲート電極(DG)と発光ダイオード(OLE)のアノード電極(ANO)との間には、補助容量(Cst)が配置される。
【0053】
駆動薄膜トランジスタ(DT)は、駆動電流配線(VDD)と発光ダイオード(OLE)の間に配置される。駆動薄膜トランジスタ(DT)は、スイッチング薄膜トランジスタ(ST)のスイッチングドレイン電極(SD)に接続した駆動ゲート電極(DG)の電圧の大きさに応じて、駆動電流配線(VDD)から有機発光ダイオード(OLE)に流れる電流量を調整する。
【0054】
発光ダイオード(OLE)は、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)を含む。発光ダイオード(OLE)は、駆動薄膜トランジスタ(DT)によって調整される電流によって発光する。再び説明すると、発光ダイオード(OLE)は、駆動薄膜トランジスタ(DT)によって調整される電流によって発光量が調整されるので、電界発光表示装置の輝度を調整することができる。発光ダイオード(OLE)のアノード電極(ANO)は、駆動薄膜トランジスタ(DT)の駆動ドレイン電極(DD)に接続し、カソード電極(CAT)は、低電位電圧が供給される低電源配線(VSS)に接続する。すなわち、発光ダイオード(OLE)は、低電位電圧と駆動薄膜トランジスタ(DT)によって調整された高電位電圧によって駆動する。
【0055】
薄膜トランジスタ(ST、DT)が形成された基板110上には、保護膜(PAS)が積層されている。保護膜(PAS)は、酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機膜で形成することが好ましい。保護膜(PAS)上には、平坦化膜(PL)が積層されている。平坦化膜(PL)は、薄膜トランジスタ(ST、DT)が形成された基板110の表面が均一にならず、これを平坦化するための薄膜である。高さ差を均一にするために、平坦化膜(PL)は、有機物質で形成することができる。保護膜(PAS)と平坦化膜(PL)には、駆動薄膜トランジスタ(DT)のドレイン電極(DD)の一部を露出する画素コンタクトホール(PH)が形成されている。
【0056】
平坦化膜(PL)の上面には、アノード電極(ANO)が形成されている。アノード電極(ANO)は、画素コンタクトホール(PH)を介して、駆動薄膜トランジスタ(DT)のドレイン電極(DD)と接続している。アノード電極(ANO)は、発光ダイオード(OLE)の発光構造によって構成要素が変わり得る。一例として、基板110方向に光を提供する下部発光型の場合には、透明導電物質で形成することができる。他の例として、基板110と対向する上方向に発光する場合には、光反射率に優れた金属物質で形成することができる。
【0057】
本出願の場合、カソード電極がエンキャプスレーション(encapsulation)機能を備える特徴があるため、下部発光型に適した構造を有する。下部発光型の場合、アノード電極(ANO)は透明導電物質で形成することが好ましい。例えば、インジウム-亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)またはインジウム-スズ酸化物(Indium Tin Oxide)などの酸化導電物質を含むことができる。アノード電極は、単一層または多重層からなり得る。アノード電極(ANO)は、低反射材料を含むことができる。例えば、アノード電極(ANO)が低反射電極からなる場合、アノード電極(ANO)は、酸化モリブデン銅(MoCuOx)を含む下部層と銅(Cu)を含む上部層とからなり得る。
【0058】
アノード電極(ANO)の上には、バンク(BA)が形成されている。バンク(BA)は、アノード電極(ANO)の境界領域を覆い、中央領域の大部分を露出して発光領域を画定する。アノード電極(ANO)とバンク(BA)上には、発光層(EL)が積層されている。発光層(EL)は、アノード電極(ANO)とバンク(BA)を覆うように基板110の表示領域(AA)全体に形成することができる。一例による発光層(EL)は、白色光を放射するために垂直に積層された2つ以上の発光部を含むことができる。例えば、発光層(EL)は、第1光と第2光の混合によって白色光を放出するための第1発光部と第2発光部を含むことができる。
【0059】
他の例として、発光層(EL)は、画素に設定された色と対応する光を放出するための、青色発光部、緑色発光部、及び赤色発光部のいずれか1つを含むことができる。また、発光ダイオード(OLE)は、発光層(EL)の発光効率および/または寿命などを向上させるための機能層をさらに含むことができる。
【0060】
発光層(EL)上には、カソード電極(CAT)が配置される。カソード電極(CAT)は、発光層(EL)と面接触をなすように積層される。カソード電極(CAT)は、全画素に形成された発光層(EL)と共通に接続するように基板110全体に形成される。下部発光型の場合、カソード電極(CAT)は、光反射効率に優れた金属物質を含む。例えば、カソード電極(CAT)は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、またはバリウム(Ba)の中から選択されるいずれか1つの物質または2つ以上の合金物質からなり得る。
【0061】
本出願による表示装置は、カソード電極(CAT)がエンキャプスレーション機能をするため、発光ダイオード(OLE)上に別個のエンキャプスレーション層を設けない。カソード電極(CAT)がエンキャプスレーション機能を有するように構成するためには、本出願だけの固有の構造的特徴を有する。
【0062】
本出願による表示装置では、カソード電極(CAT)は、少なくとも2つのカソード電極層を含む。最も好ましくは、連続的に積層された3つのカソード電極層を含む。例えば、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)の中の少なくとも2つが順に積層されていてもよい。最も好ましくは、順に積層された第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、および第3カソード電極層(CAT3)のすべてを含む。
【0063】
第1カソード電極層(CAT1)は、発光層(EL)と直接に面接触するように最初に積層されている。第1カソード電極層(CAT1)は、無機物質を含むことができる。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、またはバリウム(Ba)の中から選択される金属物質から形成することができる。製造工程および製造コストを考慮して、第1カソード電極層(CAT1)は、アルミニウムで形成した場合を最も好ましい例として説明する。第1カソード電極層(CAT1)が金属物質で形成される場合、100Å~3,000Åの厚さで形成することが好ましい。100Åより薄いと、カソード電極(CAT)の面抵抗が高くなり、安定した共通電極を維持することが困難になり得る。3,000Å以上の厚さで形成することもできるが、厚すぎると製造時間が長くなり、製造コストが上昇し得る。
【0064】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含むことができる。導電性樹脂物質は、電子移動度の高い樹脂物質からなるドメイン物質とドメイン物質の障壁エネルギーを下げるドーパントとを含むことができる。電子移動度の高い樹脂物質としては、Alq3、TmPyPB、Bphen、TAZ、TPBの中から選択されたいずれか1つをふくむことができる。Alq3は、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウムの略称であり、Al(C9H6NO)3という化学式を有する錯体である。TmPyPBは、1,3,5-トリ(m-ピリド-3-イル-フェニル)ベンゼンという有機物質の略称である。Bphenは、バトフェナントロリン(Bathophenanthroline)という有機物質の略称である。TAZは、1,2,3-triazoleという有機物質の略称である。TPBは、トリフェニルビスムスという有機物質の略称のである。これらの有機物質は、電子移動度が高く、有機発光素子に用いることができる。
【0065】
ドーパント物質としては、アルカリ系ドーピング物質を含むことができる。一例として、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、酸化セシウム(Cs2O3)、窒化セシウム(CsN3)、ルビジウム(Rb)および酸化ルビジウム(Rb2O)のいずれか1つを含むことができる。他のドーパント物質としては、高い電子移動度特性を有するフラーレン(fullerene)を含むことができる。フラーレンは、炭素原子が球体、楕円体または円柱状に配置された分子を通称するものである。一例として、主に60個の炭素原子がサッカーボール形状に結合したバークミンスターフラーレン(C60;Buckminster-fullerene)を含むことができる。それ以外に、C70、C76、C78、C82、C90、C94およびC96などの高次フラーレンを含むことできる。
【0066】
第2カソード電極層(CAT2)は、発光層(EL)に含まれる電子輸送層あるいは電子注入層と同じ物質からなり得る。しかしながら、電子輸送層または電子注入層とは異なり、電子移動度が高いことが好ましい。例えば、電子輸送層または電子輸送層の場合、電子移動度が5.0×10-4(S/m)~9.0×10-1(S/m)であるのに対し、第2カソード電極層(CAT2)は、電子移動度が1.0×10-3(S/m)~9.0×10+1(S/m)であることが好ましい。このため、第2カソード電極層(CAT2)を構成する導電性樹脂物質は、ドーパントの含有量が電子輸送層または電子注入層よりも高いことが好ましい。
【0067】
一例として、電子輸送層あるいは電子注入層はドーパントのドーピング濃度が0%~5%であるのに対し、第2カソード電極層(CAT2)は、ドーパントのドーピング濃度が3%~30%の導電性樹脂物質であることが好ましい。特に、第2カソード電極層(CAT2)のドーピング濃度は、電子輸送層または電子注入層と同じかそれ以上であることが好ましい。ドーパントのドーピング濃度が0%のドメイン物質自体だけでは、電気伝導度が1.0×10-4(S/m)~5.0×10-3(S/m)であり得る。ドメイン物質にドーパントを3%~30%注入することにより、第2カソード電極層(CAT2)は、電気伝導度が1.0×10-3(S/m)~9.0×10+1(S/m)に向上し、カソード電極として用いることができる。
【0068】
場合によっては、第2カソード電極層(CAT2)は、発光層(EL)の電子機能層(電子輸送層および/または電子注入層)のような導電率を有することができる。この場合も、金属物質からなる第1カソード電極層(CAT1)により、カソード電極(CAT)全体の面抵抗を十分に低い値に維持することができる。
【0069】
第3カソード電極層(CAT3)は、無機物質を含むことができる。特に、第3カソード電極層(CAT3)が一番最後に積層される場合、酸化金属物質を含むことが好ましい。一例として、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化モリブデン(MoO)または酸化カルシウム(CaO)の中のいずれか1つを含むことができる。第1カソード電極層(CAT1)をアルミニウムで形成する場合、製造工程を考慮すると、第3カソード電極層(CAT3)は、酸化アルミニウムで形成することが好ましい。
【0070】
酸化金属物質は、外部から酸素が浸透するのを防止することができる。したがって、第3カソード電極層(CAT3)は、その下に形成された第2カソード電極層(CAT2)および第1カソード電極層(CAT1)を完全に覆うように形成することが好ましい。
【0071】
図5及び
図6を参照して、基板110全体の面積にわたって塗布されたカソード電極(CAT)の具体的な積層構造について説明する。
図5は、
図1の切取線I-I’で切り取った本出願による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
図6は、本出願による電界発光表示装置の構造を示す
図1の切取線III-III’で切断した断面図である。
【0072】
図5は、ゲート駆動部200を横切って切断した断面図である。
図5を参照すると、本出願による電界発光表示装置は、基板110上に形成された薄膜トランジスタ(ST、DT)を含む。薄膜トランジスタ(ST、DT)上には、保護膜(PAS)が塗布されている。保護膜(PAS)は、基板110の全面を覆うように積層されている。保護膜(PAS)上には、平坦化膜(PL)が塗布されている。平坦化膜(PL)は、薄膜トランジスタ(ST、DT)が形成されることで、表面が粗面化した基板110の表面を平坦にするために有機物質で形成することができる。有機物質は、水分や酸素に脆弱であるため、表示領域(AA)のみに形成することが好ましい。あるいは、
図5に示すように、平坦化膜(PL)が、表示領域(AA)から延長されてゲート駆動部200まで延びた構造を示している。いずれにしても、平坦化膜(PL)は、基板110の全面を覆わないように積層することが好ましい。
【0073】
平坦化膜(PL)上には、発光ダイオード(OLE)が形成されている。発光層(EL)は、表示領域(AA)に対応する面積に積層することが好ましい。場合によっては、発光層(EL)は、表示領域(AA)よりわずかに大きい大きさを有することができる。一方、カソード電極(CAT)は、発光層(EL)上で発光層(EL)より大きい面積で発光層(EL)を完全に覆うように積層されている。カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)が順に積層されている。
【0074】
第1カソード電極層(CAT1)は、発光層(EL)を完全に覆うように形成することができる。例えば、第1カソード電極層(CAT1)は、発光層(EL)の端部を完全に覆うように、発光層(EL)の面積よりも大きい面積に積層することができる。また、第1カソード電極層(CAT1)は、平坦化膜(PL)を完全に覆うように形成することが好ましい。例えば、発光層(EL)は、表示領域(AA)を全て覆っており、平坦化膜(PL)よりも小さい面積で塗布してもよい。第1カソード電極層(CAT1)は、平坦化膜(PL)の端部で垂直面を完全に覆い、平坦化膜(PL)の外部に露出した保護膜(PAS)の上面と面接触する断面プロファイル(profile)を有しながら積層することができる。
【0075】
第2カソード電極層(CAT2)は、特に第2カソード電極層(CAT2)が導電性樹脂物質で形成された場合、
図5に示すように、第1カソード電極層(CAT1)上で発光層(EL)を完全に覆って、平坦化膜(PL)より小さい面積で積層することができる。他の例として、第2カソード電極層(CAT2)は、第1カソード電極層(CAT1)よりも大きな面積を有し、第1カソード電極層(CAT1)の端部を完全に覆うように形成することもできる。
【0076】
第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)及び第2カソード電極層(CAT2)を完全に覆うように形成され得る。例えば、第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)及び第2カソード電極層(CAT2)の端部を完全に覆うように、第1カソード電極層(CAT1)及び第2カソード電極層(CAT2)よりも大きな面積で積層することができる。一例として、第2カソード電極層(CAT2)が、第1カソード電極層(CAT1)より小さい大きさで形成される場合、第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)を完全に覆うように形成することが好ましい。他の例として、第2カソード電極層(CAT2)が第1カソード電極層(CAT1)を完全に覆うように形成される場合、第3カソード電極層(CAT3)は、第2カソード電極層(CAT2)を完全に覆うように形成することが好ましい。
【0077】
図5と同様に、平坦化膜(PL)は、ゲート駆動部200を覆うように配置することができる。また、カソード電極(CAT)のうち、第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)は、ゲート駆動部200を完全に覆うように延長することもできる。場合によっては、平坦化膜(PL)は、ゲート駆動部200の前までのみ塗布することができる。この場合、ゲート駆動部200は、保護膜(PAS)によってのみ覆われた構造を有する。この場合、第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)は、ゲート駆動部200を覆ってもよく、ゲート駆動部200を覆わないように配置してもよい。素子保護側面では、第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)が、ゲート駆動部200を覆うことが好ましい。
【0078】
次に、
図6を参照して説明する。
図6は、データパッド部300を横切って切断した断面図である。
図6を参照すると、本出願による電界発光表示装置は、基板110上に形成された薄膜トランジスタ(ST、DT)を含む。薄膜トランジスタ(ST、DT)上には、保護膜(PAS)が塗布されている。保護膜(PAS)は、基板110の全面を覆うように積層されている。保護膜(PAS)上には、平坦化膜(PL)が塗布されている。平坦化膜(PL)は、薄膜トランジスタ(ST、DT)が形成されることで、表面が粗面化した基板110の表面を平坦にするために有機物質で形成することができる。有機物質からなる平坦化膜(PL)は、水分や酸素に脆弱であるため、表示領域(AA)のみに形成することができる。一方、無機物質からなる保護膜(PAS)は、水分や酸素の浸透を遮断する性能に優れるため、基板110全面に積層することが好ましい。
【0079】
平坦化膜(PL)上には、発光ダイオード(OLE)が形成されている。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)が順に積層されている。
【0080】
データパッド部300には、パッド電極301が配置されている。パッド電極301はゲート絶縁膜(GI)と保護膜(PAS)で覆われ、中央部は、パッドコンタクトホール(H)によって露出している。パッド電極301は、ゲート電極と同じ層に配置することができる。パッド電極301上には、パッド端子303が形成されている。パッド端子303は、保護膜(PAS)上に形成され、パッドコンタクトホール(H)によってパッド電極301と接続している。パッド端子303は、ソース-ドレイン電極またはアノード電極と同じ材料で形成することができる。
【0081】
パッド電極301は、データパッド電極、駆動電流パッド電極及び低電源パッド電極を含むことができる。データパッド電極は、データ配線(DL)の端部に配置することができる。駆動電流パッド電極は、駆動電流配線(VDD)の端部に配置することができる。低電源パッド電極は、低電源配線(VSS)の端部に配置することができる。
【0082】
パッド端子303は、データパッド電極に対応するデータパッド端子、駆動電流パッド電極に対応する駆動電流パッド端子、及び低電源パッド電極に対応する低電源パッド端子を含むことができる。パッド端子303は、パッド電極301に対応する独立した縞状に形成することができる。図には示していないが、低電源パッド端子は、カソード電極(CAT)に接続して低電源を供給してもよい。
【0083】
図6では、第1カソード電極層(CAT1)が、発光層(EL)を完全に覆うように形成されている。例えば、発光層(EL)は、表示領域(AA)を全て覆っており、平坦化膜(PL)よりも小さい面積で塗布することができる。第1カソード電極層(CAT1)は、平坦化膜(PL)の端部で垂直面を完全に覆い、平坦化膜(PL)の外部に露出した保護膜(PAS)の上面と面接触するように積層することもできる。
【0084】
第2カソード電極層(CAT2)は、第1カソード電極層(CAT1)よりも大きな面積を有し、第1カソード電極層(CAT1)の端部を完全に覆うように形成することができる。他の例として、第2カソード電極層(CAT2)は、第1カソード電極層(CAT1)よりも小さい面積を有して積層することができる。
図6では、第1カソード電極層(CAT1)よりも大きな面積に積層された第2カソード電極(CAT)2を示している。
【0085】
第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)及び第2カソード電極層(CAT2)を完全に覆うように形成することができる。例えば、第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)及び第2カソード電極層(CAT2)の端部を完全に覆うように、第1カソード電極層(CAT1)及び第2カソード電極層(CAT2)よりも大きな面積で積層することができる。
図6に示すように、第2カソード電極層(CAT2)が、第1カソード電極層(CAT1)を完全に覆うように形成する場合、第3カソード電極層(CAT3)は、第2カソード電極層(CAT2)を完全に覆うように形成することが好ましい。他の例として、第2カソード電極層(CAT2)が、第1カソード電極層(CAT1)よりも小さい大きさに形成する場合、第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)を完全に覆うように形成されることが好ましい。
【0086】
このように、第3カソード電極層(CAT3)は、第2カソード電極層(CAT2)及び第1カソード電極層(CAT1)の端部を完全に覆い、外部にさらに延びるように積層することができる。第3カソード電極層(CAT3)がその下に形成された全ての薄膜層を完全に覆うように形成されるので、外部から酸素や異物が浸透するのを防止するエンキャプスレーション機能をすることができる。
【0087】
また、カソード電極(CAT)の外部には、保護膜(PAS)が露出した構造を有する。保護膜(PAS)は、無機物質で形成されるため、外部から酸素や水分が浸透するのを防止することができる。カソード電極(CAT)は、基板110上に形成された全ての有機物質で形成された薄膜を完全に封止する構造を有するので、エンキャプスレーション機能を十分に確保することができる。
【0088】
酸化金属物質は、電子移動度が金属物質と比較して、非常に低い値を有することができる。例えば、酸化アルミニウムは、不導体物質として知られている。しかし、酸化アルミニウムを200Å以下の厚さに形成する場合、電子移動を妨げる仕事関数障壁を容易に越えることができる状態となるため、導電性の特徴を有することができ、共通電極として用いることができる。また、酸化金属物質の厚さが10Åより薄い場合には、薄膜層を全面に均一に形成せず、島状に分離した形状に積層することができる。したがって、酸化金属物質が表面全体に塗布されず、外部から浸透する酸素や異物を防止できないことがあり得る。したがって、第3カソード電極層(CAT3)を酸化金属物質で形成する場合、その厚さは10Å~200Åの間であることが好ましい。
【0089】
整理すると、本出願によるカソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)及び第3カソード電極層(CAT3)の中の少なくとも2つの層が、連続積層した構造を有することができる。このような、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)は、全て導電性薄膜層で構成されている。カソード電極(CAT)に含まれる金属物質は、比較的面抵抗の低いアルミニウムなどの金属物質を含むことが好ましい。カソード電極(CAT)に含まれる酸化金属物質は、電子移動度を確保するために10Å~200Åの厚さを有することが好ましい。また、カソード電極(CAT)に含まれる導電性樹脂物質は、電子移動度が発光層(EL)に含まれる電子輸送層および電子注入層の電子移動度よりも高いことが好ましい。このために、導電性樹脂物質は、電子移動度の高いドメイン樹脂物質にアルカリ系金属ドーパントをドーピング濃度3%~30%含むことが好ましい。
【0090】
場合によっては、導電性樹脂物質のドーピング濃度を発光層に含まれる電子機能層と同じレベルにすることができる。この場合には、必ず金属物質を含む第1カソード電極層(CAT1)の厚さを少なくとも500Å~3,000Åで積層し、カソード電極(CAT)全体の面抵抗を共通低電位電極の条件に合わせて設定することが好ましい。
【0091】
以上では、本出願による電界発光表示装置において最も基本的で好ましい構造を例に説明した。以下、図を参照して、本出願による表示装置におけるカソード電極(CAT)の様々な積層構造に対する実施例を説明する。
【0092】
<第1実施例>
図7A及び
図7Bを参照して、本出願の第1実施例による表示装置の構造を説明する。説明の便宜上、発光ダイオード(OLE)を中心に説明する。
図7A及び
図7Bは、本出願の第1実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【0093】
まず、
図7Aを参照すると、本出願の第1実施例による発光ダイオードは、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)と第2カソード電極層(CAT2)が順に積層した構造を有する。
【0094】
第1カソード電極層(CAT1)は、金属物質を含むことができる。一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含むことができる。第1カソード電極層(CAT1)は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。
【0095】
第2カソード電極層(CAT2)は、酸化金属物質を含むことができる。一例として、第2カソード電極層(CAT2)は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。第2カソード電極層(CAT2)は、10Å~200Åの厚さを有することができる。ここで、金属物質で形成する第1カソード電極層(CAT1)は、酸化金属物質で形成する第2カソード電極層(CAT2)の厚さより厚いことが好ましい。
【0096】
次に、
図7Bを参照すると、本出願の第1実施例による発光ダイオードは、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)と第2カソード電極層(CAT2)が順に積層した構造を有する。
【0097】
第1カソード電極層(CAT1)は、酸化金属物質を含むことができる。一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。第1カソード電極層(CAT1)は、10Å~200Åの厚さを有することができる。
【0098】
第2カソード電極層(CAT2)は、金属物質を含むことができる。一例として、第2カソード電極層(CAT2)は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含めることができる。第2カソード電極層(CAT2)は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。好ましくは、500Å~2,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する第2カソード電極層(CAT2)は、酸化金属物質で形成する第1カソード電極層(CAT1)の厚さより厚いことが好ましい。
【0099】
第1実施例では、第2カソード電極層(CAT2)が、第1上部に形成されるものであり、その後、エンキャプスレーション層あるいはこれにエンキャプスレーション機能をする追加の薄膜層は配置しない。ただし、他の目的の機能要素をさらに配置することができる。例えば、連続蒸着または連続塗布された機能層ではなく、接着層を使用して接着した付加素子をさらに配置することができる。
【0100】
第2カソード電極層(CAT2)は、第1上部に形成されるものであり、第1カソード電極層(CAT1)を完全に覆うように形成することが好ましい。
図5及び
図6で説明したように、第1カソード電極層(CAT1)は、表示領域(AA)を全て覆い、非表示領域(NDA)まで延長して塗布することができる。また、第1カソード電極層(CAT1)は、その下に形成された発光層(EL)を全て覆うように形成することが好ましい。すなわち、第1カソード電極層(CAT1)は、発光層(EL)の端を覆い、発光層(EL)の下に配置された薄膜層と面接触することが好ましい。
【0101】
第2カソード電極層(CAT2)は、表示領域(AA)を全て覆い、非表示領域(NDA)まで延長し、特に、第1カソード電極層(CAT1)よりも大きな面積で第1カソード電極層(CAT1)と発光層(EL)を完全に覆うように形成することが好ましい。すなわち、第2カソード電極層(CAT2)は、第1カソード電極層(CAT1)の端を覆い、第1カソード電極層(CAT1)から端部外側に露出した薄膜層と面接触することが好ましい。
【0102】
<第2実施例>
以下、
図8を参照して、本出願の第2実施例による電界発光表示装置の構造を説明する。説明の便宜上、電界発光ダイオード(OLE)を中心に説明する。
図8は、本出願の第2実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【0103】
図8を参照すると、第2実施例による電界発光表示装置の発光ダイオードは、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)および第2カソード電極層(CAT2)が、順に積層した構造を有する。
【0104】
第1カソード電極層(CAT1)は、酸化金属層10及び金属層20が連続積層した構造を有する。例えば、酸化金属層10は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。金属層20は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含むことができる。
【0105】
一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウムからなる酸化金属層10とアルミニウムからなる金属層20が、順に積層した構造を有することができる。酸化アルミニウムからなる酸化金属層10は、10Å~200Åの厚さを有することができる。アルミニウムからなる金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。前述したように、酸化アルミニウムは、10Å~200Åの比較的薄い厚さを有するので、電子移動障壁を容易に越えることができる状態となるため、導電層として用いることができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する酸化金属層10の厚さより厚いことが好ましい。
【0106】
第2カソード電極層(CAT2)は、第1カソード電極層(CAT1)と同じ積層構造を有することができる。すなわち、第2カソード電極層(CAT2)は、酸化金属層10と金属層20が連続積層した構造を有する。
【0107】
他の例として、図には示していないが、第1カソード電極層(CAT1)は、金属層20と酸化金属層10の積層順序を換えて積層することができる。また、第2カソード電極層(CAT2)も、金属層20と酸化金属層10の積層順序を換えて積層することができる。
【0108】
第2実施例では、第1カソード電極層(CAT1)と第2カソード電極層(CAT2)で、酸化金属層10と金属層20を積層する順序は多様に形成することができる。しかしながら、いずれの場合でも、第1カソード電極層(CAT1)は、発光層(EL)を完全に覆うように発光層(EL)よりも広い面積に積層することが好ましい。また、最も上部に積層する第2カソード電極層(CAT2)は、第1カソード電極層(CAT1)を完全に覆うように第1カソード電極層(CAT1)よりも広い面積で積層することが好ましい。
【0109】
<第3実施例>
図9を参照して、本出願の第3実施例による表示装置の構造を説明する。
図9は、本出願の第3実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【0110】
図9を参照すると、第3実施例による電界発光表示装置の発光ダイオードは、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)が順に積層した構造を有する。
【0111】
第1カソード電極層(CAT1)は、下部酸化金属層11、金属層20及び上部酸化金属層30が、連続積層した構造を有する。例えば、下部酸化金属層11は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。金属層20は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含むことができる。上部酸化金属層30は、下部酸化金属層11と同じ物質を含むことができる。
【0112】
一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウムからなる下部酸化金属層11、アルミニウムからなる金属層20、及び酸化アルミニウムからなる上部酸化金属層30が、順に積層した構造を有することができる。酸化アルミニウムからなる下部酸化金属層11および上部酸化金属層30のそれぞれは、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、500Å~5,000Åの厚さを有することができる。特に、アルミニウムで形成する金属層20は、酸化アルミニウムで形成する下部酸化金属層11および上部酸化金属層30の厚さより厚いことが好ましい。
【0113】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含むことができる。導電性樹脂物質は、電子移動度の高い樹脂物質からなるドメイン(Domain)物質と仕事関数障壁エネルギーを低下させるドーパント(dopant)を含むことができる。ドメイン物質である電子移動度の高い樹脂物質としては、Alq3、TmPyPB、Bphen、TAZ、およびTPBの中から選択したいずれか1つを含むことができる。
【0114】
ドーパント物質としては、アルカリ系ドーピング物質を含むことができる。一例として、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、酸化セシウム(Cs2O3)、窒化セシウム(CsN3)、ルビジウム(Rb)および酸化ルビジウム(Rb2O)の中のいずれか1つを含むことができる。他のドーパント物質としては、高い電子移動度特性を有する炭素原子60個がサッカーボール形状に結合したフラーレン(C60)を含むことができる。
【0115】
第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)と同じ積層構造を有することができる。一例として、第3カソード電極層(CAT3)は、酸化アルミニウムからなる下部酸化金属層11、アルミニウムからなる金属層20、及び酸化アルミニウムからなる上部酸化金属層30が、順に積層した構造を有することができる。酸化アルミニウムからなる下部酸化金属層11および上部酸化金属層30のそれぞれは、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、アルミニウムで形成する金属層20は、酸化アルミニウムで形成する下部酸化金属層11および上部酸化金属層30の厚さより厚いことが好ましい。
【0116】
一例として、金属層20は、500Åの厚さを有し、下部および上部酸化金属層11、30は50Åの厚さを有することができる。また、第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含み、2μm~4μmの厚さで形成することができる。第2カソード電極層(CAT2)は、無機物質のみからなる第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)の間に介在して無機薄膜層間の応力(stress)を緩和し、カソード電極(CAT)が破損することを防止することができる。
【0117】
図では示していないが、第1カソード電極層(CAT1)は、下部金属層、酸化金属層及び上部金属層が順に積層した構造を有することができる。また、第3カソード電極層(CAT3)も、下部金属層、酸化金属層および上部金属層が順に積層した構造を有することができる。すなわち、第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)は、同じ積層構造を有することもでき、互いに異なる積層構造を有することもできる。
【0118】
<第4実施例>
以下、
図10を参照して、本出願の第4実施例による電界発光表示装置の構造を説明する。
図10は、本出願の第4実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【0119】
図10を参照すると、第4実施例による電界発光表示装置の発光ダイオードは、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が、順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)が、順に積層した構造を有する。
【0120】
第1カソード電極層(CAT1)は、酸化金属層10と金属層20が連続積層した構造を有する。例えば、酸化金属層10は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。金属層20は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含むことができる。
【0121】
一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウムからなる酸化金属層10とアルミニウムからなる金属層20が、順に積層した構造を有することができる。酸化アルミニウムからなる酸化金属層10は、10Å~200Åの厚さを有することができる。アルミニウムからなる金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する酸化金属層10の厚さより厚いことが好ましい。
【0122】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含むことができる。導電性樹脂物質は、電子移動度の高い樹脂物質からなるドメイン(Domane)物質と仕事関数障壁エネルギーを下げるドーパント(dopant)を含むことができる。ドメイン物質である電子移動度の高い樹脂物質としては、Alq3、TmPyPB、Bphen、TAZ、およびTPBの中から選択したいずれか1つを含むことができる。
【0123】
ドーパント物質としては、アルカリ系ドーピング物質を含むことができる。一例として、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、酸化セシウム(Cs2O3)、窒化セシウム(CsN3)、ルビジウム(Rb)および酸化ルビジウム(Rb2O)の中のいずれか1つを含むことができる。他のドーパント物質としては、60個の炭素原子がサッカーボール形状に結合したフラーレン(C60)を含むことができる。
【0124】
一例として、第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)と同じ積層構造を有することができる。他の例として、第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)と逆に積層した構造を有することができる。一例として、第3カソード電極層(CAT3)は、アルミニウムからなる金属層20と酸化アルミニウムからなる酸化金属層10が、順に積層した構造を有することができる。酸化金属物質からなる酸化金属層10は、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、アルミニウムで形成する金属層20は、酸化アルミニウムで形成する酸化金属層10の厚さより厚いことが好ましい。
【0125】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含み、2μm~4μmの厚さで形成することができる。第2カソード電極層(CAT2)は、無機物質のみからなる第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)の間に介在して無機薄膜層間の応力を緩和し、カソード電極(CAT)が破損することを防止することができる。
【0126】
図には示していないが、第1カソード電極層(CAT1)は、金属層20と酸化金属層10が順に積層した構造を有することができる。また、第3カソード電極層(CAT3)は、酸化金属層10と金属層20が順に積層した構造を有することもできる。すなわち、第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)は、同じ積層構造を有することもでき、互いに異なる積層構造を有することもできる。
【0127】
<第5実施例>
以下、
図11を参照して、本出願の第5実施例による電界発光表示装置の構造を説明する。
図11は、本出願の第5実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【0128】
図11を参照すると、第5実施例による電界発光表示装置の発光ダイオードは、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)が順に積層した構造を有する。
【0129】
第1カソード電極層(CAT1)は、酸化金属層10と金属層20が連続積層した構造を有する。例えば、酸化金属層10は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。金属層20は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含むことができる。
【0130】
一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウムからなる酸化金属層10とアルミニウムからなる金属層20が、順に積層した構造を有することができる。酸化アルミニウムからなる酸化金属層10は、10Å~200Åの厚さを有することができる。アルミニウムからなる金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する酸化金属層10の厚さより厚いことが好ましい。
【0131】
第2カソード電極層(CAT2)は、第1カソード電極層(CAT1)と同じ積層構造を有することができる。一例として、第2カソード電極層(CAT2)は、酸化金属層10と金属層20が連続積層した構造を有する。酸化アルミニウムからなる酸化金属層10は、10Å~200Åの厚さを有することができる。アルミニウムからなる金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する酸化金属層10の厚さより厚いことが好ましい。
【0132】
第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)と同じ積層構造を有することができる。一例として、第3カソード電極層(CAT3)は、酸化金属層10と金属層20が連続積層した構造を有する。
【0133】
図には示していないが、第1カソード電極層(CAT1)と第2カソード電極層(CAT2)は、その積層構造が異なっていてもよい。また、第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)または第2カソード電極層(CAT2)とその積層構造が異なっていてもよい。
【0134】
<第6実施例>
以下、
図12を参照して、本出願の第6実施例による電界発光表示装置の構造を説明する。
図12は、本出願の第6実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
【0135】
図12を参照すると、第6実施例による電界発光表示装置の発光ダイオードは、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)が順に積層した構造を有する。
【0136】
第1カソード電極層(CAT1)は、酸化金属物質を含む単一層構造を有することができる。例えば、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。
【0137】
一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウムからなる単一層構造を有することができる。酸化金属物質からなる第1カソード電極層(CAT1)は、10Å~200Åの厚さを有することができる。
【0138】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含むことができる。導電性樹脂物質は、電子移動度の高い樹脂物質からなるドメイン(Domane)物質と仕事関数障壁エネルギーを下げるドーパント(dopant)を含むことができる。ドメイン物質である電子移動度の高い樹脂物質としては、Alq3、TmPyPB、Bphen、TAZ、およびTPBの中から選択したいずれか1つを含むことができる。
【0139】
ドーパント物質としては、アルカリ系ドーピング物質を含むことができる。一例として、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、酸化セシウム(Cs2O3)、窒化セシウム(CsN3)、ルビジウム(Rb)および酸化ルビジウム(Rb2O)の中のいずれか1つを含むことができる。その他のドーパント物質としては、高い電子移動度特性を有するフラーレンを含むことができる。一例として、炭素原子60個がサッカーボール形状に結合したフラーレン(C60)を含むことができる。
【0140】
第3カソード電極層(CAT3)は、酸化アルミニウムからなる下部酸化金属層11、アルミニウムからなる金属層20及び酸化アルミニウムからなる上部酸化金属層30が、順に積層した構造を有することができる。酸化アルミニウムからなる下部酸化金属層11および上部酸化金属層30のそれぞれは、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、アルミニウムで形成する金属層20は、酸化アルミニウムで形成する下部酸化金属層11および上部酸化金属層30の厚さより厚いことが好ましい。
【0141】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含み、2μm~4μmの厚さで形成することができる。第2カソード電極層(CAT2)は、無機物質のみからなる第1カソード電極層(CAT1)と第3カソード電極層(CAT3)の間に介在して無機薄膜層間の応力を緩和し、カソード電極(CAT)が破損することを防止することができる。
【0142】
図には示していないが、第3カソード電極層(CAT3)は、下部金属層、酸化金属層及び上部金属層が順に積層した構造を有することもできる。この場合、下部金属層および上部金属層のそれぞれは、100Å~3,000Åの厚さを有し、酸化金属層は、10Å~200Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成される上部金属層及び下部金属層は、酸化金属物質で形成される酸化金属層の厚さより厚いことが好ましい。
【0143】
上述した本出願による電界発光表示装置は、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が、順に積層した電界発光ダイオードを備える。特に、カソード電極(CAT)は、共通電圧の印加を受ける共通電極の機能だけでなく、外部から酸素や異物が発光層(EL)に浸透することを防止するエンキャプスレーション機能も備える。このために、カソード電極(CAT)は、複数の導電層が順に積層した構造を有する。カソード電極(CAT)は、導電性に優れた金属層を含む。金属層は、カソード電極(CAT)の面抵抗値を低く維持するために100Å~3,000Åの厚さ、好ましくは500Å以上の厚さに形成する。カソード電極(CAT)は、エンキャプスレーション機能のために酸化金属層を含む。酸化金属層も導電層として機能しなければならないので、10Å~200Åの薄い厚さを有することが好ましい。また、カソード電極(CAT)は、外力によるカソード電極の破損を防止するために、2μm~4μmの比較的厚く、弾性に優れた樹脂物質を含む。特に、樹脂物質は、導電層として機能しなければならないので、電子移動度の高いドメイン樹脂物質と電子移動度を向上させるためのアルカリ系金属ドーパントとを含む導電性樹脂物質からなる。
【0144】
これまでに説明した実施例は、カソード電極を構成する導電層の様々な積層構造において基本的な構造として説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、2つ以上の実施例を互いに組み合わせて多層構造のカソード電極を構成することができる。例えば、第1実施例による積層構造に、第2~第6実施例によるものの中のいずれか1による積層構造を加えて、複雑な積層構造を有するようにカソード電極を構成することができる。
【0145】
<第7実施例>
以上の実施例では、カソード電極がエンキャプスレーション機能を併せ持つことができる多層構造を有する場合を中心に説明した。以下では、カソード電極が、三重層積層構造を有しつつ、外光反射を抑制する機能をさらに含む場合について説明する。
【0146】
図13は、本出願の第7実施例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
図13を参照すると、本出願の第7実施例による電界発光表示装置は、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。
【0147】
特に、カソード電極(CAT)は、連続的に積層した3つのカソード電極層を含む。例えば、カソード電極(CAT)は、順に積層した第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)を全て含む。
【0148】
第1カソード電極層(CAT1)は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又は金(Au)のような面抵抗の低い金属物質で形成する。一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、100Å~200Åの厚さを有するアルミニウムで形成することができる。
【0149】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質で形成することができる。第2カソード電極層(CAT2)は、発光層(EL)に含まれる電子輸送層または電子注入層と同じ物質からなり得る。第2カソード電極層(CAT2)は、ドーパントのドーピング濃度が3%~30%の導電性樹脂物質であることが好ましい。一例として、第2カソード電極層(CAT2)は、500Å~900Åの厚さを有する導電性樹脂物質で形成することができる。
【0150】
第3カソード電極層(CAT3)は、カソード電極(CAT)全体の面抵抗を下げるために、面抵抗の低い金属物質を第1及び第2カソード電極層(CAT1、CAT2)より相対的に厚い厚さに形成することが好ましい。一例として、第3カソード電極層(CAT3)は、少なくとも2,000Åの厚さを有するアルミニウムで形成することができる。
【0151】
このような厚さと積層構造を有するカソード電極(CAT)は、下部(第1カソード電極層(CAT1))方向から入射する光に対する反射率を最小化することができる。
図13に示す光路を示す矢印を参照して説明する。
【0152】
カソード電極(CAT)下部から進入する入射光(1)は、透明なアノード電極(ANO)と発光層(EL)を透過し、第1カソード電極層(CAT1)の下面で一部反射して一次反射光(2)として基板(SUB)方向に進行する。第1カソード電極層(CAT1)は、200Å以下の薄い厚さを有するので、入射光(1)全てを反射することはできない。例えば、入射光(1)の40%程度だけ一次反射光(2)として反射し、残りの60%は第1カソード電極層(CAT1)を通過する。第1カソード電極層(CAT1)を通過した透過光(3)は、透明な第2カソード電極層(CAT2)をそのまま通過する。その後、透過光(3)は、第3カソード電極層(CAT3)によって反射する。第3カソード電極層(CAT3)は、2,000Å以上の厚さを有するので、透過光(3)全部が反射し、二次反射光(4)として基板(SUB)方向に進行する。
【0153】
ここで、第2カソード電極層(CAT2)の厚さを調整して、一次反射光(2)と二次反射光(4)の位相を互いに相殺するように調整することができる。その結果、カソード電極(CAT)の下部から入射して反射する反射光の強度(intensity)である反射光輝度(luminance)を2%レベルに低減することができる。
【0154】
一方、発光層(EL)から出光する光の中でも、カソード電極(CAT)方向に放射される光も、同じ光路によって基板(SUB)方向に反射する光量が2%程度に減少することができる。しかし、発光層(EL)から出光する光は、全方向に出光するため、カソード電極(CAT)によって減少する光量は、全光量の50%程度に過ぎず、残りの50%は基板(SUB)方向に出光する。
【0155】
第7実施例による電界発光表示装置は、三重層積層構造のカソード電極を備える下部発光型であり得る。また、三重層積層構造のカソード電極の構造により、外部光の反射率を最大限に抑制することができる。したがって、基板(SUB)の外部に外光反射を低減するための偏光素子を配置する必要がない。偏光素子は、外光反射を抑制する肯定的な効果があるが、発光層(EL)から出光する光量を少なくとも50%減少させる否定的な効果がある。
【0156】
第7実施例による電界発光表示装置は、三重層積層構造のカソード電極により発光層(EL)で発光する光量が50%程度減少するが、これは偏光素子による光量減少とほぼ同じである。したがって、本出願による電界発光表示装置は、高価な偏光素子を用いることなく、同じレベルを有する発光層(EL)の発光効率を提供しながら、外光反射を最小化することができる。
【0157】
また、必要であれば、第7実施例によるカソード電極(CAT)は、第2実施例~第6実施例と同様の複合構造をさらに含むことができる。
【0158】
<第8実施例>
第8実施例では、カソード電極に三重層積層構造を有することにより、カソード電極による外光反射を抑制する構造をさらに提供する。
図14を参照する第8実施例では、下部発光型電界発光表示装置において、カソード電極による外光反射抑制だけでなく、ゲート配線またはデータ配線のような金属配線による外光反射を抑制する構造について説明する。
図14は、本出願の第8実施例による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【0159】
図14は、本出願によるトップゲート構造の薄膜トランジスタを備えた下部発光型電界発光表示装置を示す。
図14において、薄膜トランジスタは、便宜上、駆動薄膜トランジスタ(DT)のみを示した。これに限定されるものではなく、
図4のようにスイッチング薄膜トランジスタも含むことができる。
【0160】
基板(SUB)上には、遮光層(LSD)が配置されている。遮光層(LSD)は、駆動薄膜トランジスタ(DT)の駆動半導体層(DA)を外部光から保護するための遮光素材であり得る。また、遮光層(LSD)は、データ配線または駆動電流配線(VDD)として用いることができる。この場合、遮光層(LSD)は、駆動薄膜トランジスタ(DT)の駆動ソース電極(DS)に連結している。
【0161】
遮光層(LSD)は、基板(SUB)の外部から駆動半導体層(DA)に入射する外部光による影響を防止するために、駆動半導体層(DA)と重畳するように配置することができる。遮光層(LSD)を駆動薄膜トランジスタ(DT)の駆動ソース電極(DS)に連続した駆動電流配線(VDD)として用いることができる。この目的のために、遮光層(LSD)は、銅(Cu)を含む金属物質を含むことが好ましい。
【0162】
遮光層(LSD)が金属物質である場合、基板(SUB)外部から入射する外部光が遮光層(LSD)によって反射し、使用者が反射光を認知して表示品質を低下させる原因となり得る。これを防ぐために、遮光層(LSD)に低反射金属層構造を適用することが好ましい。
【0163】
一例として、遮光層(LSD)は、三重層構造を有することができる。遮光層(LSD)は、順に積層した第1層(L1)、第2層(L2)、及び第3層(L3)を含む。第1層(L1)は、100Å~200Åの厚さを有するタンタル(tantalum:Ta)で形成することができる。第2層(L2)は、500Å~900Åの厚さを有する酸化モリブデン(Molybdenum Oxide:MoOx)で形成することができる。酸化モリブデンは、透明性を有する。第3層(L3)は、少なくとも2,000Åの厚さを有する銅(copper:Cu)などの面抵抗の低い金属物質を含むことができる。第3層(L3)は、銅とモリブデン-チタンが積層した二重金属層で形成することもできる。
【0164】
図に示していないが、他の例として遮光層(LSD)は、二重層構造を有することができる。この場合、遮光層は、順に積層した第1層および第2層を含むことができる。下部に位置する第1層は、500Å~900Åの厚さを有する酸化金属層からなり、上部に位置する第2層は、少なくとも2,000Åの厚さを有する銅(copper:Cu)などの面抵抗の低い金属物質からなり得る。具体的に説明すると、第1層は、透明性を有するモリブデン-チタン酸化物(MoTiOx)、酸化モリブデン-タンタル(MoOx:Ta)、酸化タングステン(WOx)及びモリブデン-銅酸化物(MoCuOx)のような物質で形成することができる。また、第2層は、銅からなる単一金属層、あるいは銅とモリブデン-チタン(MoTi)が積層した二重金属層からなり得る。
【0165】
遮光層(LSD)上には、バッファ層(BUF)が積層されている。バッファ層(BUF)上には、薄膜トランジスタが形成されている。薄膜トランジスタは、スイッチング薄膜トランジスタ(未図示)および駆動薄膜トランジスタ(DT)を含む。薄膜トランジスタが形成された基板(SUB)上には、保護膜(PAS)が積層されている。保護膜(PAS)上には、カラーフィルタ(CF)が形成されている。カラーフィルタ(CF)は、以後に形成される発光ダイオード(OLE)と完全に重畳するように配置することが好ましい。場合によって、カラーフィルタ(CF)は、発光ダイオード(OLE)よりも大きい大きさを有することができる。カラーフィルタ(CF)上には、平坦化膜(PL)が塗布されている。平坦化膜(PL)上には、発光ダイオード(OLE)が形成されている。
【0166】
このように遮光層(LSD)は、第7実施例で説明したカソード電極(CAT)と同じ構造を有することができる。すなわち、遮光層(LSD)は、薄い金属層と透明な導電層と厚い金属層が順に積層した共通点を有する。したがって、遮光層(LSD)は、第7実施例で説明した光路と同じ方式で外部から入射する光の反射率を2%レベルに最小化することができる。
【0167】
また、図では説明しなかったが、ゲート配線(GL)も遮光層(LSD)のような低反射構造を有することができる。駆動ゲート電極(DG)およびスイッチングゲート電極(SG)は、遮光層(LSD)によって覆われた構造を有することができる。しかし、ゲート配線(GL)は、データ配線(DL)及び駆動電流配線(VDD)として用いる遮光層(LSD)と直交するため、多くの部分が遮光層(LSD)によって覆われず、露出する。したがって、ゲート配線(GL)によって外部光が反射して表示品質が低下し得る。これを防止するために、ゲート配線(GL)も遮光層(LSD)のような三重層構造を有することができる。
【0168】
一例として、ゲート配線(GL)は、順に積層した第1層(L1)、第2層(L2)及び第3層(L3)を含む。第1層(L1)は、100Å~200Åの厚さを有するタンタル(tantalum:Ta)で形成することができる。第2層(L2)は、500Å~900Åの厚さを有する酸化モリブデン(Molybdenum Oxide:MoOx)で形成することができる。酸化モリブデンは、透明性を有する。第3層(L3)は、少なくとも2,000Åの厚さを有する銅(copper:Cu)などの面抵抗の低い金属物質を含むことができる。第3層(L3)は、銅とモリブデン-チタンが積層した二重金属層で形成することもできる。
【0169】
図には示していないが、他の例としてゲート配線は、二重層構造を有することができる。この場合、ゲート配線は、順に積層した第1層および第2層を含むことができる。下部に位置する第1層は、500Å~900Åの厚さを有する酸化金属層からなり、上部に位置する第2層は、少なくとも2,000Åの厚さを有する銅(copper:Cu)などの面抵抗の低い金属物質からなり得る。具体的に説明すると、第1層は、透明性を有するモリブデン-チタン酸化物(MoTiOx)、酸化モリブデン-タンタル(MoOx:Ta)、酸化タングステン(WOx)及びモリブデン-銅酸化物(MoCuOx)のような物質で形成することができる。また、第2層は、銅からなる単一金属層、あるいは銅とモリブデン-チタン(MoTi)が積層した二重金属層からなり得る。
【0170】
このような構造により、視感反射率を5%以下に低減することができる。この場合、バンク(BA)が白色有機物質であるため、視感反射率をそれ以上下げることができないことがあり得る。しかしながら、バンク(BA)を黒色有機物質で形成することにより、視感反射率をさらに下げて2%レベルを達成することができる。
【0171】
<第9実施例>
第9実施例では、カソード電極及び各種配線に三重層積層構造を有することにより、外光反射を抑制する効果をさらに提供する。
図15を参照する第9実施例では、下部発光型電界発光表示装置において、カソード電極や各種配線を除く領域でも外光反射を抑制する構造について説明する。
図15は、本出願の第9実施例による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【0172】
第7及び第8実施例によれば、カソード電極(CAT)と各種配線での外光反射を抑制したが、これらの領域を除いた部分で依然として外光反射可能性がある。特に、バンク(BA)部分を見ると、三重層構造のカソード電極(CAT)が配置されているが、カソード電極(CAT)による外光反射を2%レベルに下げることができる。しかし、2%のレベルも表示品質に大きな悪影響を与える可能性がある。
【0173】
第9実施例では、外光反射を最大限抑制するための追加構造をさらに提案する。一例として、バンク(BA)を黒色有機物質で形成することができる。黒色有機物質は、光吸収性に優れた有機物質を含むことが好ましい。その結果、発光ダイオード(OLE)が形成された部分では外光反射が2%レベルに低くなり、その他のバンク(BA)が覆われた部分では2%の外光反射をさらに吸収し、外光反射が1%未満のレベルにさらに下げることができる。
【0174】
また、下部発光型の場合、平坦化膜(PL)の下部にカラーフィルタを配置することができる。
図14では、カラーフィルタ(CF)は、発光ダイオード(OLE)が形成された発光領域のみを完全に重畳するように配置される。しかしながら、第9実施例では、カラーフィルタ(CF)を他の領域にまで拡張して配置することができる。
【0175】
一例として、赤色画素において、発光領域には赤色カラーフィルタが配置される。また、赤色画素では、発光領域以外にも赤色カラーフィルタを連続して配置することができる。青色画素では、発光領域に青色カラーフィルタを配置し、発光領域以外にも青色カラーフィルタを連続して配置することもできる。緑色画素では、発光領域に緑色カラーフィルタを配置し、発光領域以外にも緑色カラーフィルタを連続して配置することができる。
【0176】
カラーフィルタ(CF)を画素領域全体に拡張して配置する場合、バンク(BA)は白色バンクを使用することもでき、黒色バンクを使用することもできる。ブラックバンクを使用する場合、外光反射をさらに抑制することができる。
【0177】
また、カラーフィルタ(CF)を様々な方法で配置することができる。一例として、上述した場合は、基板(SUB)には多数の画素が配置されていて、1つの画素には少なくとも3つのサブ画素が割り当てられている。一例として、1つの画素は赤色サブ画素、緑色サブ画素、および青色サブ画素を備えることができる。赤色サブ画素には赤色カラーフィルタが配置され、緑色サブ画素には緑色フィルタが配置され、青色サブ画素には青色カラーフィルタが配置されている。
【0178】
1つのサブ画素は、発光ダイオードが占める発光領域と、配線及び薄膜トランジスタが配置された非発光領域とを含むことができる。上部発光型の場合、発光領域はサブ画素の大きさとほぼ同じ大きさを有することができる。しかしながら、下部発光型の場合、発光領域は、発光ダイオードの大きさと同じ大きさでのみ定義することができる。
【0179】
したがって、下部発光型では、カラーフィルタは、発光領域である発光ダイオードと重畳するように配置することができる。しかしながら、第9実施例では、カラーフィルタが該当するサブ画素全体、すなわち発光領域に加えて非発光領域にも配置するという特徴がある。例えば、赤色サブ画素には、発光領域と非発光領域の両方を含む赤色サブ画素領域全体に渡って赤色カラーフィルタを配置することができる。緑色サブ画素にも、発光領域と非発光領域の両方を含む緑色サブ画素領域全体に渡って緑色カラーフィルタを配置することができる。青色サブ画素にも、発光領域と非発光領域の両方を含む青色サブ画素領域全体に渡って青色カラーフィルタを配置することができる。
【0180】
他の方法としては、
図16に示すように、発光領域には該当するカラーフィルタを配置し、非発光領域には赤色、緑色および青色のカラーフィルタを一緒に配置することもできる。
図16は、本出願の第9実施例の他の例による電界発光表示装置の構造を示す断面図である。
【0181】
例えば、赤色サブ画素の発光領域には、赤色カラーフィルタ(CFR)を配置し、非発光領域には、赤色(CFR)、緑色(CFG)及び青色カラーフィルタ(CFB)を同一平面上で隣接して配置することができる。同様に、緑色サブ画素の発光領域には緑色カラーフィルタを配置し、非発光領域には赤色、緑色、青色のカラーフィルタを配置することができる。また、青色サブ画素の発光領域には青色カラーフィルタを配置し、非発光領域には赤色、緑色、青色のカラーフィルタを配置することができる。
【0182】
ここで、非発光領域に配置する赤色、緑色および青色のカラーフィルタは、同じ面積比で配置することができる。あるいは、外光反射率が相対的に低い青色カラーフィルタの面積率をより広く形成することもできる。他の例として、反射率だけでなく視感反射率を考慮する場合には、どのような視感反射率を具現するかによって、緑色や赤色カラーフィルタの面積比をより広く形成することもできる。
【0183】
以上、説明した本出願による電界発光表示装置について整理すると、カソード電極が導電性樹脂物質を含む多層構造を有することにより、別途のエンキャプスレーション要素のない単純構造を達成することができる。これまで説明した実施例は、最も代表的な場合を中心に説明した。特に、本出願の最も重要な構造は、カソード電極がエンキャプスレーション機能を内包しており、追加のエンキャプスレーション層がなくても電界発光表示装置を具現することができる。このための基本的な構造として、
図4に示したように、本出願は、カソード電極が少なくとも三重層構造を有するという特徴がある。
【0184】
本出願によるカソード電極が備える三重層構造は、第1層は、金属層あるいは導電性を有する酸化金属層を含み、第2層は導電性を有する樹脂層を含み、第3層はカソード電極の抵抗を下げるための低抵抗金属層を含む。ここで、第1層及び第3層の構成を多様にしたり、基本的な三重層構造に追加電極層を加えて多様に構成したりすることができる。以下では、図を参照して、本出願でさらに具現することができる具体的な応用例について説明する。
【0185】
図17は、本出願の一応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
図17を参照すると、一応用例による電界発光表示装置は、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、及び第3カソード電極層(CAT3)が順に積層した構造を有する。
【0186】
第1カソード電極層(CAT1)は、金属層20及び酸化金属層10が連続積層した構造を有する。例えば、金属層20は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含むことができる。酸化金属層10は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質からなり得る。
【0187】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含むことができる。導電性樹脂物質は、電子移動度の高い樹脂物質からなるドメイン(Domain)物質と仕事関数障壁エネルギーを低下させるドーパントを含むことができる。
【0188】
第3カソード電極層(CAT3)は、下部酸化金属層11、金属層20及び上部酸化金属層30が順に積層した構造を有することができる。酸化金属物質からなる下部酸化金属層11および上部酸化金属層30のそれぞれは、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する下部酸化金属層11および上部酸化金属層30の厚さより厚いことが好ましい。
【0189】
図18は、本出願の他の応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
図18を参照すると、他の応用例による電界発光表示装置は、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、第3カソード電極層(CAT3)、及び第4カソード電極層(CAT4)が順に積層した構造を有する。
【0190】
第1カソード電極層(CAT1)は、下部酸化金属層11、金属層20及び上部酸化金属層30が順に積層した構造を有することができる。酸化金属物質からなる下部酸化金属層11および上部酸化金属層30のそれぞれは、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する下部酸化金属層11および上部酸化金属層30の厚さより厚いことが好ましい。例えば、下部酸化金属層11は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質からなり得る。金属層20は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)の中から選択される金属物質からなり得る。上部酸化金属層30は、下部酸化金属層11と同じ物質からなり得る。
【0191】
第2カソード電極層(CAT2)は、導電性樹脂物質を含むことができる。導電性樹脂物質は、電子移動度の高い樹脂物質からなるドメイン(Domain)物質と仕事関数障壁エネルギーを低下させるドーパントを含むことができる。
【0192】
第3カソード電極層(CAT3)は、下部酸化金属層11、金属層20及び上部酸化金属層30が順に積層した構造を有することができる。酸化金属物質からなる下部酸化金属層11および上部酸化金属層30のそれぞれは、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する下部酸化金属層11および上部酸化金属層30の厚さより厚いことが好ましい。
【0193】
第4カソード電極層(CAT4)は、導電性樹脂物質を含むことができる。第4カソード電極層(CAT4)は、第2カソード電極層(CAT2)と同じ物質で形成することができる。
【0194】
図19は、本出願のまた他の応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
図19を参照すると、また他の応用例による電界発光表示装置は、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、第3カソード電極層(CAT3)、第4カソード電極層(CAT4)、及び第5カソード電極層(CAT5)が順に積層した構造を有する。
【0195】
図19によるカソード電極(CAT)の構造は、
図18によるカソード電極(CAT)に第5カソード電極層(CAT5)をさらに追加した構造を有する。第5カソード電極層(CAT5)は、金属物質からなる導電層であり、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びバリウム(Ba)の中から選択される金属物質からなり得る。第5カソード電極層(CAT5)は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。
【0196】
図20は、本出願のまた他の応用例による電界発光表示装置における発光ダイオードの積層構造を示す断面図である。
図20を参照すると、また他の応用例による電界発光表示装置は、アノード電極(ANO)、発光層(EL)及びカソード電極(CAT)が順に積層した構造を有する。特に、カソード電極(CAT)は、第1カソード電極層(CAT1)、第2カソード電極層(CAT2)、第3カソード電極層(CAT3)、第4カソード電極層(CAT4)、及び第5カソード電極層(CAT5)が順に積層構造を有する。
【0197】
第1カソード電極層(CAT1)は、酸化金属物質を含む単一層であり得る。一例として、第1カソード電極層(CAT1)は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)の中から選択される酸化金属物質を含むことができる。第1カソード電極層(CAT1)は、10Å~200Åの厚さを有することができる。
【0198】
第2カソード電極層(CAT2)は、金属物質を含む単一層であり得る。一例として、第2カソード電極層(CAT2)は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びバリウム(Ba)の中から選択される金属物質を含むことができる。第2カソード電極層(CAT2)は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。好ましくは、500Å~2,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する第2カソード電極層(CAT2)は、酸化金属物質で形成する第1カソード電極層(CAT1)の厚さより厚いことが好ましい。
【0199】
第3カソード電極層(CAT3)は、第1カソード電極層(CAT1)と同じ物質で同じ厚さを有するように形成することができる。また、第4カソード電極層(CAT4)は、第2カソード電極層(CAT2)と同じ物質で同じ厚さを有するように形成することができる。
【0200】
第5カソード電極層(CAT5)は、下部酸化金属層11、金属層20及び上部酸化金属層30が順に積層した構造を有することができる。酸化金属物質からなる下部酸化金属層11および上部酸化金属層30のそれぞれは、10Å~200Åの厚さを有することができる。金属層20は、100Å~3,000Åの厚さを有することができる。特に、金属物質で形成する金属層20は、酸化金属物質で形成する下部酸化金属層11および上部酸化金属層30の厚さより厚いことが好ましい。
【0201】
また、本出願は、少なくとも三重層が積層したカソード電極において、第1カソード電極層を半透明性を有するように構成することにより、相殺干渉による外部光反射を抑制する効果を有することができる。また、各種配線には透明導電物質を含む三重層構造を有することにより、配線部でも外光反射を抑制する効果をさらに有することができる。また、ブラックバンクおよび/またはカラーフィルタ拡張構造を適用することにより、外部光反射をさらに抑制する効果を有することができる。
【0202】
上記の本出願の例に記載された特徴、構造、効果などは、本出願の少なくとも1つの例に含まれ、必ずしも1つの例に限定されるものではない。さらに、本出願の少なくとも1つの例で例示される特徴、構造、効果などは、本出願が属する分野の通常の知識を有する者によって、他の例に対しても組み合わせまたは変形して実施可能である。したがって、これらの組み合わせと変形に関連する内容は、本出願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【0203】
以上、添付の図を参照して本出願の実施例をさらに詳細に説明したが、本明細書は必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本出願の技術思想から逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。したがって、本出願に開示された実施例は、本出願の技術思想を限定するのではなく説明するためのものであり、そのような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。したがって、上記で説明した実施例はすべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解されなければならない。本出願の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0204】
10 酸化金属層
11 下部酸化金属層
20 金属層
30 上部酸化金属層
110 基板
200 ゲート駆動部
300 データパッド部
430 フレキシブル配線フィルム
450 回路基板
ANO アノード電極
EL 発光層
CAT カソード電極