(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083483
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】健康状態判断支援装置、健康状態判断支援方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20240614BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20240614BHJP
【FI】
G16H50/00
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061627
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022106002の分割
【原出願日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2022046959
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511147894
【氏名又は名称】一般社団法人日本救急医療教育機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100104396
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 信昭
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 雅浩
(57)【要約】
【課題】総合的かつ正確な病気診断を行いづらい状況を改善して、健康状態判断の正確性をより高める。
【解決手段】 データ取得手段が取得した、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPそれぞれと、基準範囲値データベースに格納された脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsそれぞれとを比較してそれぞれ所定の基準範囲に属するかを判定し、かつ、その判定結果に対応する当該解析パターンに沿って当該予測状態パターンデータベースに格納された予測状態の中から該当する状態を特定する。判定結果を解析パターに沿って該当する状態を特定するので、健康状態判断の正確性をより高める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPそれぞれを少なくとも取得するためのデータ取得手段と、
脈拍数もしくは心拍数、血圧値及び酸素飽和度それぞれについて、脈拍もしくは心拍基
準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsのそれぞれに関し、当該データ取得手段が少なくとも取得した脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPが予め定めた少なくとも3段階の基準範囲値の何れの段階に該当するかが検索特定可能に格納された基準範囲値データベースと、
当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、当該血圧基準範囲データBPs及び当該酸素飽和度基準範囲データSPsそれぞれの数値組み合わせにおいて、予め設定した解析パターンに沿って予測される予測健康状態を予測健康状態群の中からが検索特定可能に格納された予測状態データベースと、
当該脈拍数もしくは心拍数のデータHR、当該少なくとも収縮期の血圧値データBP及び当該酸素飽和度データSPそれぞれについて、当該予測状態データベースに格納された当該予測健康状態群の中から該当する予測健康状態を当該所定の解析パターンに沿って検索特定する状態特定手段と、
当該状態特定手段により特定された状態を表示させる表示手段と、を有し、
当該所定の解析パターンは、
(1)当該脈拍数もしくは心拍数のデータHRが、当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの何れの段階に該当するかを特定し、
(2)当該特定した脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの段階において、当該少なくとも収縮期の血圧値データBPが、当該血圧基準範囲データBPsの何れの段階に該当するかを特定し、
(3)当該特定した血圧基準範囲データBPsの段階において、当該酸素飽和度データSPが、酸素飽和度基準範囲データSPs何れの段階に該当するかを特定し、
(4)当該特定した酸素飽和度基準範囲データSPsの段階に対応する予測健康状態を特定
する、を含めて構成されている、
ことを特徴とする健康状態判断支援装置。
【請求項2】
前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群には、計測ミスを示すエラー状態が含まれ、
前記状態特定手段は、前記データ取得手段が取得した、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPの三者間の関係において現れる結果に生理的矛盾がある場合に、前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群の中からエラー状態を特定するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の健康状態判断支援装置。
【請求項3】
対象者の、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPそれぞれを少なくともデータ取得手段が取得するステップと、
脈拍数もしくは心拍数、血圧値及び酸素飽和度それぞれについて、脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsのそれぞれに関し、当該データ取得手段が少なくとも取得した脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPが予め定めた少なくとも3段階の基準範囲値の何れの段階に該当するかが検索特定可能に基準範囲値データベースに格納するステップと、
当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、当該血圧基準範囲データBPs及び当該酸素飽和度基準範囲データSPsそれぞれの数値組み合わせにおいて、予め設定した解析パターンに沿って予測される予測健康状態を予測健康状態群の中からが検索特定可能に予測状態データベースに格納するステップと、
当該脈拍数もしくは心拍数のデータHR、当該少なくとも収縮期の血圧値データBP及び当該酸素飽和度データSPそれぞれについて、当該予測状態データベースに格納された当該予測健康状態群の中から該当する予測健康状態を当該所定の解析パターンに沿って検索特定するステップと、
当該状態特定手段により特定された状態を表示手段に表示するステップと、を有し、
当該所定の解析パターンは、
(1)当該脈拍数もしくは心拍数のデータHRが、当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの何れの段階に該当するかを特定し、
(2)当該特定した脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの段階において、当該少なくとも収縮期の血圧値データBPが、当該血圧基準範囲データBPsの何れの段階に該当するかを特定し、
(3)当該特定した血圧基準範囲データBPsの段階において、当該酸素飽和度データSPが、酸素飽和度基準範囲データSPs何れの段階に該当するかを特定し、
(4)当該特定した酸素飽和度基準範囲データSPsの段階に対応する予測健康状態を特定する、を含めて構成されている、
ことを特徴とするコンピュータによる
健康状態判断支援方法。
【請求項4】
前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群には、計測ミスを示すエラー状態が含まれ、
前記所定の解析パターンに沿って検索特定するステップでは、前記データ取得手段が取得した、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPの三者間の関係において現れる結果に生理的矛盾がある場合に、前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群の中からエラー状態を特定するように構成されている、
ことを特徴とする請求項3記載のコンピュータによる
健康状態判断支援方法。
【請求項5】
請求項3又は4記載の健康状態判断支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は健康状態判断支援装置に関する。詳しくは、対象者の個人差を考慮したバイタルサイン、日々の体調、既往歴を反映して、判断者が精度の高い健康状態を判断するための支援ツールとして機能する健康状態判断支援装置、健康状態判断支援方法及びプログラムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、少なくとも体温、酸素飽和度、脈拍、脈圧、血圧、呼吸数、体重から選択される1つの情報を含むバイタル情報を、その計測日情報と共に記録しておき、問診記録等をも取り入れ病気解析フロー情報に基づき対象者が特定の病気であるか否かを判定・表示する病気診断装置(以下、「先行装置」という)を開示する。ここで、この病気解析フローは、例えば、消去法やマトリックス法、スコア法、枝分かれ法など既存の診断において活用される方法をもって設定されるものであってよい、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先行装置は、病気診断の指針の一つであるバイタル情報について、少なくとも体温、酸素飽和度、脈拍、脈圧、血圧、呼吸数、体重から選択される1つの情報を含むことになっているが、バイタル情報ひとつをとってみても、係るバイタル情報の背景には複雑な要素が絡んでいるため、正確な病気診断に寄与しない場合が考えられる。
【0005】
この点について、酸素飽和度を例に考えてみる。一般社団法人日本呼吸器学会のホームページに、概ね次の回答が記載されている。
【0006】
パルスオキシメータとは、皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定するための装置であり、赤い光の出る装置(プローブ)を指にはさむことで測定するものである。 肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれる。酸素飽和度(SpO2)とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)調べた値である。プローブにある受光部センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値からSpO2を計算し表示するようになっている。なお、皮膚を通した動脈血酸素飽和度(SpO2)のことを経皮的動脈血酸素飽和度と呼ぶところ、本願において「酸素飽和度」という。
【0007】
上記記載から理解されるように、パルスオキシメータのみを用いた場合、酸素飽和度の測定はできるが、パルスオキシメータ自体がそのように作られていないので脈拍や血圧との相関関係を見ることはできない。この点を考慮すると、肺機能低下の疑いを酸素飽和度が基準値範囲より低いことから見出すことは、少なくとも血圧値が基準範囲に属することが前提となる。言い換えると、同じ患者において、肺機能低下とは別の健康状態を判断するための指針にはなり得ない。
【0008】
別の状態に置き換えてみよう。脈拍は基準範囲内であったとして血圧が基準範囲より高い患者を想定する。ここで酸素飽和度が基準範囲に属していれば、少なくとも肺機能の健康状態に問題がないと判断しうる。しかし、先に述べたように患者の高血圧をその場で判断することはできない。これは、総合的かつ正確な健康状態判断を行いづらい状況と言わざるを得ない。これを改善して、健康状態判断の正確性をより高めることが本発明の課題である。
【0009】
一方、健康状態判断を別の観点から見ると、スポーツ選手やリハビリ途中の患者等(以下、適宜「スポーツ選手等」という)が、それらの運動能力状態の判断と置き換えることができる。すなわち、スポーツ選手等の心肺機能と酸素飽和度を判断することで、そのスポーツ選手等の現状や能力向上のために強化すべき事柄や強化の限界の見える化が可能になる。これを現実化するのが、本発明の付随的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る健康状態判断支援装置(以下、「請求項1の装置」という)は、対象者の、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPそれぞれを少なくとも取得するためのデータ取得手段と、
脈拍数もしくは心拍数、血圧値及び酸素飽和度それぞれについて、脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsのそれぞれに関し、当該データ取得手段が少なくとも取得した脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPが予め定めた少なくとも3段階の基準範囲値の何れの段階に該当するかが検索特定可能に格納された基準範囲値データベースと、当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、当該血圧基準範囲データBPs及び当該酸素飽和度基準範囲データSPsそれぞれの数値組み合わせにおいて、予め設定した解析パターンに沿って予測される予測健康状態を予測健康状態群の中からが検索特定可能に格納された予測状態データベースと、当該脈拍数もしくは心拍数のデータHR、当該少なくとも収縮期の血圧値データBP及び当該酸素飽和度データSPそれぞれについて、当該予測状態データベースに格納された当該予測健康状態群の中から該当する予測健康状態を当該所定の解析パターンに沿って検索特定する状態特定手段と、当該状態特定手段により特定された状態を表示させる表示手段と、を有し、当該所定の解析パターンは、(1)当該脈拍数もしくは心拍数のデータHRが、当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの何れの段階に該当するかを特定し、(2)当該特定した脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの段階において、当該少なくとも収縮期の血圧値データBPが、当該血圧基準範囲データBPsの何れの段階に該当するかを特定し、(3)当該特定した血圧基準範囲データBPsの段階において、当該酸素飽和度データSPが、酸素飽和度基準範囲データSPs何れの段階に該当するかを特定し、(4)当該特定した酸素飽和度基準範囲データSPsの段階に対応する予測健康状態を特定する、を含めて構成されている、ことを特徴とする。以上が請求項1の装置の特徴である。脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsは、脈拍、血圧、酸素飽和度のそれぞれの学会の発表、厚生労働省の発表などに基づく基準値を参考にすることが好ましい。この基準値は、その後の調査や研究などに伴い、変更されることがある。本明細書において「少なくとも収縮期の血圧データ」としたのは、一般に血圧という場合は収縮期の血圧(いわゆる「上の血圧」のこと)を指すからである一方、収縮期の血圧データに加えて拡張期の血圧データの採用を妨げないからである。
【0011】
請求項1の装置によれば、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPそれぞれと、当該基準範囲値データベースに格納された脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsそれぞれとを比較してそれぞれ何れの基準範囲値に属するかを判定し、かつ、その判定結果に対応する当該解析パターンに沿って当該予測状態パターンデータベースに格納された予測状態の中から該当する状態を特定する。つまり、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBPもしくは酸素飽和度データSPを単独対象として対象者の健康状態を特定するのではなく、これらのデータを組み合わせて対象とするため、より正確度の高い状態特定ができる。特定された状態は表示手段を介して外部の表示手段に表示される。
【0012】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る健康状態判断支援装置(以下、「請求項2の装置」という)は、請求項1の装置の好ましい態様として、前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群には、計測ミスを示すエラー状態が含まれ、前記状態特定手段は、前記データ取得手段が取得した、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPの三者間の関係において現れる結果に生理的矛盾がある場合に、前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群の中からエラー状態を特定するように構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項2の装置によれば、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPの三者間の関係において現れる結果に生理的矛盾があることを操作者が知ることができる。生理的矛盾の発生理由は、ほとんどの場合が、各データを計測する計測器の故障や装着ミスなどである。
【0014】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係るコンピュータによる健康状態判断支援方法(以下、「請求項3の方法」という)は、対象者の、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPそれぞれを少なくともデータ取得手段が取得するステップと、脈拍数もしくは心拍数、血圧値及び酸素飽和度それぞれについて、脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsのそれぞれに関し、当該データ取得手段が少なくとも取得した脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPが予め定めた少なくとも3段階の基準範囲値の何れの段階に該当するかが検索特定可能に基準範囲値データベースに格納するステップと、当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、当該血圧基準範囲データBPs及び当該酸素飽和度基準範囲データSPsそれぞれの数値組み合わせにおいて、予め設定した解析パターンに沿って予測される予測健康状態を予測健康状態群の中からが検索特定可能に予測状態データベースに格納するステップと、当該脈拍数もしくは心拍数のデータHR、当該少なくとも収縮期の血圧値データBP及び当該酸素飽和度データSPそれぞれについて、当該予測状態データベースに格納された当該予測健康状態群の中から該当する予測健康状態を当該所定の解析パターンに沿って検索特定するステップと、当該状態特定手段により特定された状態を表示手段に表示するステップと、を有し、当該所定の解析パターンは、(1)当該脈拍数もしくは心拍数のデータHRが、当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの何れの段階に該当するかを特定し、(2)当該特定した脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの段階において、当該少なくとも収縮期の血圧値データBPが、当該血圧基準範囲データBPsの何れの段階に該当するかを特定し、(3)当該特定した血圧基準範囲データBPsの段階において、当該酸素飽和度データSPが、酸素飽和度基準範囲データSPs何れの段階に該当するかを特定し、(4)当該特定した酸素飽和度基準範囲データSPsの段階に対応する予測健康状態を特定する、を含めて構成されている。以上が請求項3の方法の特徴である。
【0015】
請求項3の方法によれば、脈拍数もしくは心拍数データHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPそれぞれと、当該基準範囲値データベースに格納された脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsそれぞれとを比較してそれぞれ何れの基準範囲値に属するかを判定し、かつ、その判定結果に対応する当該解析パターンに沿って当該予測状態パターンデータベースに格納された予測状態の中から該当する状態を特定する。つまり、脈拍数もしくは心拍数データHR、少なくとも収縮期の血圧値データBPもしくは酸素飽和度データSPを単独対象として対象者の健康状態を特定するのではなく、これらのデータを組み合わせて対象とするため、より正確度の高い状態特定ができる。特定された状態は表示手段を介して外部の表示手段に表示される。
【0016】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係るコンピュータによる健康状態判断支援方法(以下、「請求項8の方法」という)は、請求項3の方法の好ましい態様として、前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群には、計測ミスを示すエラー状態が含まれ、前記所定の解析パターンに沿って検索特定するステップでは、前記データ取得手段が取得した、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPの三者間の関係において現れる結果に生理的矛盾がある場合に、前記予測状態データベースに格納された予測健康状態群の中からエラー状態を特定するように構成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項4の方法によれば、脈拍数もしくは心拍数のデータHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPの三者間の関係において現れる結果に生理的矛盾があることを操作者が知ることができる。生理的矛盾の発生理由は、ほとんどの場合が、各データを計測する計測器の故障や装着ミスなどである。
【0018】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係るプログラム(以下、「請求項5のプログラム」という)は、請求項3又は4の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0019】
請求項9のプログラムによれば、請求項4ないし6の方法をコンピュータで実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、総合的かつ正確な病気診断を行いづらい状況を改善して、健康状態判断の正確性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】健康状態判断支援装置の使用状態を示す概略図である。
【
図2】健康状態判断支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】基準範囲値データベースの中身を示す図である。
【
図4】予測状態データベースの中身を示す図である。
【
図5】予測状態データベースの中身を示す図である(
図4の続き)。
【
図6】予測健康状態の特定手順を示すフローチャートである。
【
図11】表示部の表示(エラー表示)を示す図である。
【
図12】他の実施例に係る健康状態判断支援装置の平面図である。
【
図13】対象者の使用態様(マラソン)を示す図である。
【
図14】対象者の使用態様(水泳)を示す図である。
【
図15】対象者の使用態様(リハビリ)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(健康状態判断支援装置の概略構成)
図1および2に基づいて説明する。本発明を適用した健康状態判断支援装置1(以下、単に「支援装置1」という)は、本発明に係るプログラムを導入した汎用の情報処理機器として実施可能である。また、このような情報処理機器は、本発明に係る方法の実施媒体として使用できる。支援装置1は、CPU(中央演算装置)などにより構成される演算部3と、作業用のメインメモリとなるRAM(Random Access Memory)やプログラム5aなどを格納するROM(Read Only Memory)などの記憶部5と、液晶画面等の表示部7や、スポーツ選手の運動時間やリハビリ患者の負荷時間等を計測するためのタイマ部8、タッチパネルやキーボード等の入力部9、さらにはインターネット等との通信を制御する通信部11、基準範囲値DB13および予測状態DB15などを備えている。表示部7は、上述したように液晶画面等のような視覚的表示方法のほか、アラームなどの聴覚的表示方法、さらに、装置自体を振動させる触覚的表示方法などがある。
【0023】
情報処理機器の典型例として、汎用のパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル(着用できる)端末等がある。
図1に示すように本実施形態では、表示部7がそのまま入力部9にもなり、通信部11(
図2)を介してインターネットNと通信可能なタブレット端末を採用した。また、情報処理機器としては、例えば、各種のヘルスケア機器や、病院や施設等に設置された医療システムや介護システムも対象となり、本発明を適用したプログラムがこれらに組み込まれて使用されるものでもよい。さらに本発明を適用したプログラムは、インターネット等を経由して使用者がアクセス可能な、クラウド・アプリケーションとすることもできる。なお、本明細書において支援装置1を用いた健康状態判断の支援対象となる人のことを「対象者」とよび、支援装置1を操作するものを「操作者」とよぶ。
【0024】
演算部3には、データ取得手段3aと状態特定手段3bが設けられている。データ取得手段3aは、対象者の、脈拍数もしくは心拍数データHR、少なくとも収縮期の血圧値データBP及び酸素飽和度データSPのようなバイタルサインを取得するためのものである。この他にも、たとえば、体温BT(Body Temperature)や意識レベル等のバイタルサインを取得できるようにしてもよい。なお、読みやすさのため、以下において酸素飽和度のことを単に「酸素飽和度」という。これにより酸素飽和度データSPは、「酸素飽和度データSP」となる。
【0025】
心拍数のデータHRは、脈拍数/心拍数センサー17を介して対象者からデータ取得手段3aを介して取得する。脈拍とは、心臓から送り出される血液によって生じた拍動が動脈に拍動として現れたもの(触診で得られる)のことをいう。一定の時間内に心臓が拍動する回数(心電図で得られる)である心拍とは計測対象の点で異なるが、心拍と脈拍はほとんど同じとなる。したがって、脈拍数データと心拍数データは何れかを選択的に用いて差し支えないところ、以下では、心拍数データHRに絞って説明を行う。よって、今後は脈拍数/心拍数センサー17のことを、心拍数センサー17と呼ぶことにする。
【0026】
基準範囲について述べる。脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsだけでなく、血圧基準範囲データBPsや酸素飽和度基準範囲データSPsの基準範囲値について、個人差があるため一義的に決めることは難しいが、各学会が発表する基準範囲値を参考にすることができる。同じバイタルサイン項目であっても基準範囲値が学会により異なる場合があり、同じ学会でも事後改定される場合があることに注意が必要である。もっとも、各学会が提示する基準範囲値は、健康と考えられる人の統計的値といえるから、これを基本にしながら環境差や個人差などを加味して適宜修正することも可能である。本実施形態では、後述のとおり、詳細に基準範囲値を設定している。なお、本願出願時に各学会が提唱している正常値を、参考に供するために紹介する。
【0027】
公益社団法人日本人間ドック学会の日本人間ドック学会判定区分 (2013年5月2日改定)によれば、脈拍数45回/分から85回/分)が基準範囲であるとされている。また、公益財団法人日本心臓財団発行の「心拍数と心臓病」には、心拍数の正常値の範囲は成人の場合は60ないし100とされている。
【0028】
血圧とは、心臓から送り出された血流が血管の内壁を押すときの圧力のことで、心臓が縮んだり広がったりすることで発生する。血圧の値は、心臓から押し出される血液量(心拍出量)と、血管の収縮の程度やしなやかさ(血管抵抗)によって決まる。収縮期の血圧は、心臓が収縮し血管にもっとも強い圧力がかかっているときの値(上の血圧値)であり、正式には収縮期血圧と呼ばれている。拡張期血圧値(いわゆる「下の血圧値」のこと)は、心臓が拡張しているときに血管にかかる圧力の値である。心臓拡張のとき、心臓から血液は出ないが、ふくらんでいた大動脈が元に戻り、その間もゆっくりと血液が先に送られる。つまり心臓が1回収縮し拡張するごとに上の血圧と下の血圧が生まれ、血液が体全体にスムーズに送られるのである。
【0029】
本発明の健康状態判断支援のためのバイタルサインとしては収縮期血圧でも拡張期血圧でも、どちらでもよいのであるが、一般に血圧といえば前者を指すので、以下は、適宜、収縮期血圧値に絞って説明を行う。収縮期の血圧値データBPは、
図1に示す血圧計19を介してデータ取得手段3aが取得する。特定非営利活動法人日本高血圧学会が発行した「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子」(2019年10月25日)によれば、病院などで測る診察室血圧・収縮期140mmHg、拡張期90mmHg(家庭血圧・収縮期135mmHg、拡張期85mmHgを超えたら高血圧と診断する旨が記載されている。また、公益社団法人日本人間ドック学会は、収縮期血圧129mmHg、拡張期血圧84mmHgを基準範囲としている。
【0030】
酸素飽和度データSPは、
図1に示すパルスオキシメータ21によりデータ取得手段3aが取得する。パルスオキシメータ21が脈拍センサー17の機能を兼ねる場合もある。酸素飽和度(SpO
2)とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)調べた値のことをいう。一般社団法人日本呼吸器学会のホームページ発表によれば、一般的に96~99%が基準値とされ、90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性があるため、適切な対応が必要としている。また、一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会「酸素療法マニュアル」(2017年10月1日改定)も、健常者の 酸素飽和度はおおむね 96~99%である旨を述べ、普段の酸素飽和度より3~4%低下していれば,急性増悪の存在を疑うべきであるとしている。
【0031】
上述した脈拍数センサー17、血圧計19及びパルスオキシメータ21といった計測機器群は、支援装置1に内蔵することを妨げないが、
図1に示すように本実施形態では外付けするようになっている。接続方法は、たとえば、Bluetooth(商標)などの汎用の無線通信技術を使い通信部11を介してデータ取得手段3aに接続する方法があり、この方法を採用すれば配線不要なので装置周りをスッキリさせること、支援装置1を持ち運びやすくまた、着用しやすくすることができる。もっとも各センサーと通信部を有線接続する方法を排除するものではない。さらに、各計測機器が表示した値を読み取った操作者が、入力部9を介して入力する方法を採用することもでき、この方法であれば、既存の計測機器群をそのまま活用することができる。
【0032】
本実施形態では、脈拍数センサー17、血圧計19及びパルスオキシメータ21が示す値を読み取った操作者(図示を省略)が、支援装置1(タブレット端末)のタッチパネル(入力部9)からデータ入力するようにした(
図1)。入力部9には、本発明に係るクラウド上のプログラム5aを立ち上げにより表示されたHR入力部25a、BP入力欄25b、SpO
2入力欄25c、計測時間入力欄25d、健康状態表示欄25e、クリアボタン25fおよび判定ボタン25gが表示されている。
【0033】
(基準範囲値データベースの構成)
図3に示す基準範囲値データベース13は、基準範囲値を検索可能に格納したデータベースである。脈拍、血圧値及び酸素飽和度それぞれについて、先に述べたような予め定めた、脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsが、状態特定手段3bによる検索ができるように格納されている。前述したように脈拍もしくは心拍基準範囲データHRs、血圧基準範囲データBPs及び酸素飽和度基準範囲データSPsのそれぞれは、各学会が提示した基準範囲そのものと、それより高いと低いとの少なくとも3段階が必要であるが、本実施形態ではより詳細な状態判定を行うためより細分化してある。
【0034】
図3に基づいて基準範囲値データベース13に格納された基準範囲について説明する。心拍基準範囲データHRsは、心拍数範囲15aが示すように、複数(たとえば、30~59回/分、60~80/分、81~100回/分、101~120回/分、121~150/分、151以上の6段階)のに分けた状態で格納されている。同じく血圧基準範囲データBPsは、血圧値範囲15bが示すように、複数(たとえば、151以上、150~130,129~120,119~90、89~60の5段階)の血圧値範囲15bに分けた状態で格納されている。同じく酸素飽和度基準範囲データSPs(SpO
2)は、酸素飽和度範囲15cが示すように、複数(酸素飽和度を、たとえば、96%以上、95~90%、89~80%、79%以下に分けた状態で格納されている。
【0035】
(予測状態データベースの構成)
図2、4及び5を参照する。予測状態データベース15には、基準範囲値データベース13に格納された心拍数範囲15a(心拍基準範囲データHRs)、血圧値範囲15b(血圧基準範囲データBPs)及び酸素飽和度範囲15c(酸素飽和度基準範囲データSPs)について、予め設定した解析パターン(後述)に沿って予測される予測状態が検索可能に格納されている。検索主体は、状態特定手段3bである。
【0036】
(解析パターン)
図6を参照する。状態特定手段3bが行う解析パターンは、次に示す(1)から(4)のステップからなっている。(5)は、表示手段(表示部)7が行うステップである。
(1) 当該脈拍数もしくは心拍数のデータHRが、当該脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの何れの段階に該当するかを特定する(S1)
(2) 当該特定した脈拍もしくは心拍基準範囲データHRsの段階において、当該少なくとも収縮期の血圧値データBPが、当該血圧基準範囲データBPsの何れの段階に該当するかを特定する(S3)
(3) 当該特定した血圧基準範囲データBPsの段階において、当該酸素飽和度データSPが、酸素飽和度基準範囲データSPs何れの段階に該当するかを特定する(S5)。
(4) 当該特定した酸素飽和度基準範囲データSPsの段階に対応する予測健康状態を特定する(S7)。
S7で特定された予測健康状態を表示する。
【0037】
上記の解析パターン(1)~(4)を採用する理由は、ポンプとして機能する心臓が動かない限り(心拍が発生しない限り)収縮時の血圧(拡張時の血圧も同じ)は発生せず、収縮時の血圧がなければ血流も発生せず(拡張がなければ繰り返しがない)、流れがなければ酸素は運ばれない、という生理的連鎖に則った解析になり、そうだからこそ、より適切な状態特定に寄与できるからである。
【実施例0038】
図1、4、5ないし10を参照しながら、支援装置1を用いた健康状態判断支援の実施例を説明する。操作者(図示を省略)は、
図1に示す支援装置1(タブレット端末)をインターネットNに接続してクラウド・アプリケーションにアクセスする。
図1に示す支援装置1の表示部7には、各種データを入力する準備が整っている。表示部7には、本発明に係るクラウド上のプログラム5aを立ち上げにより表示されたHR入力部25a、SP入力欄25b、SpO
2入力欄25c、計測時間表示ラン25d、健康状態表示欄25e、クリアボタン25fおよび検索ボタン25gが表示されている。今、
図1の対象者Pのバイタルサインを操作者が支援装置1に入力する状況である。
【0039】
心拍センサー17が示す心拍数データHRを読み取った操作者は、クリアボタン25fをタッチ操作して既存データをクリアしたのち、そのデータを表示部7のHR入力欄25aに入力する。具体的には、HR入力欄25aを操作者が指でタッチすると、6段階に分かれた心拍数データHRのメニュー(
図7)が表示され、その中の一つ(たとえば、101~120)をタッチ選択することにより、その一つがHR入力欄25aに入力されると同時にメニューが消滅する。次に操作者は、BP入力欄25bをタッチして収縮期の血圧値データBPのメニューを表示させ(
図8)、その中から血圧計19から読み取った収縮期血圧値データBP(たとえば、89~60)を選択する。選択された収縮期血圧値データBPはBP入力欄25bに表示され(
図9)、メニューが消滅する。さらに操作者は、SP入力欄25cをタッチして酸素飽和度データSPのメニューを表示させる(
図9)。操作者が酸素飽和度データSPをタッチ選択(たとえば、89~80)すると、選択した酸素飽和度データSPがSP入力欄25cに表示され、メニューが消滅する。こうして3種類のバイオデータ値の入力が完了する(
図10)。なお、
図10に示す計測時間記入欄25dに表示された「5分」は、対象者の運動時間等を計測した結果である。この計測の開始と終了は、図外の操作ボタンの操作により行われる。
【0040】
バイオデータ値の入力を終えた操作者は、判定ボタン25gを操作して支援装置1に判定を実行させる。判定ボタン25gが操作された時の状態特定手段3bは、基準範囲値データベース13と予測状態データベースに適宜アクセスし、入力されたバイオデータを先に説明した解析パターンに則って予測状態を特定する。特定された予想状態は、健康状態表示欄に表示させる。
図10に示すバイオデータにおいては、「心肺機能低下または循環血液量減少・・・」の予測状態が判定され、その結果は表示部7に表示される。
【0041】
図7~11を参照して別の入力例を示す。操作者は、HR入力欄25aに「30から59」を、BP入力欄25bに「151以上」を、さらに、SP入力欄25cに「89~80」を入力した。操作者が検索ボタン25gを操作すると健康状態表示欄25eに「計測ミスの可能性あり」と表示された(
図11)。すなわち、状態判定手段3b(
図2)によってエラー判定がなされた。なぜエラー判定なのかを推測すると、心拍数データHRが低く収縮期血圧値データBPが高いのに、酸素飽和度データSPが低いという組み合わせが生理的に矛盾しているからである。すなわち、収縮期血圧値データBPが高いから酸素飽和度データSPを計測する抹消まで、しっかりと血液が送られていると考えられる。もし単なる肺機能低下の問題であれば、より血液を送る必要があるので心拍数データHRが高くなるはずであるが、それはない。よって、計測機器の故障や装着ミスの発生が考える、という推測が成り立つのである。
【0042】
以上のとおり、心拍数データHR、収縮期血圧値データBP及び酸素飽和度データSPというバイオデータを、上記記載順に評価していくことにより、より適切な状態特定を行うことができる。あくまでも健康状態は医師の判断によるものとしても、その前段階として、医師を含む医療従事者の判断の漏れや誤りを少なくするための支援ツールとして有効である。
【0043】
(本実施例の変形例)
上述した支援装置1はタブレット端末によって構成してあるが、これをたとえば着用可能な支援装置51によって構成することもできる(
図11)。支援装置51であれば、マラソンやジョギング、さらに水泳等のスポーツを楽しむ対象者Pが、スポーツをしながら腕に付けられるので、そのときの健康状態を把握することができる(
図12、
図13)。また、同様な理由から、リハビリを行う対象者Pが、その最中に健康状態を把握するためにも支援装置51は有益である。なお、支援装置1にもタイマ部を設けることが好ましい。これをストップウォッチとして活用すれば便利だからである。好ましい支援装置51には、表示手段としてバイブレーター機能が設けられている。
【0044】
上述してきた健康状態は、たとえば、スポーツの開始前の健康状態と所定時間経過後の健康状態を比較することにより、その対象者を強化すべきポイントを把握することができる。たとえば、5キロメートルのランニング直後の対象者の健康状態と、ランニング前のそれとを比較したら、心拍数データHRと収縮期血圧値データBPの増加が比較的小さいまま酸素飽和度データSPの低下がみられないなら、この対象者の心肺機能は極めて正常でランニングに適していることが分かる。であれば、この対象者のランニングタイムを縮めるには、心肺機能を強化するよりランニングに必要な筋肉を強化することが好ましい、という事態が想定される。リハビリの対象者にも同じことが言える。なお、支援装置1、51による計測結果や判定記録などを、その日時等に紐づけて記憶部5(
図2)に記憶させておくことが好ましい。たとえばスポーツ選手やリハビリ患者が行ってきたことを追跡できるようになるので、対象者本人に加え、全社であればスポーツコーチが、後者であれば医療従事者による成果判断等に寄与することができる。
1,51:支援装置、3:演算部(CPU)、5:記憶部、5a:プログラム、7:表示部、9:入力部。11:通信部、13:基準範囲値DB(データベース)、15:予測状態DB(データベース)、15a:心拍数範囲、15b:血圧値範囲、15c:酸素飽和度範囲、17:心拍数センサー(脈拍数/心拍数センサー)、19:血圧計、21:パルスオキシメータ、25a:HR入力欄、25b:BP入力欄、25c:SpO2入力欄、25d:計測時間入力欄、25e:健康状態表示欄、25f:クリアボタン、25g:判定ボタン