IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗米装置 図1
  • 特開-洗米装置 図2
  • 特開-洗米装置 図3
  • 特開-洗米装置 図4
  • 特開-洗米装置 図5
  • 特開-洗米装置 図6
  • 特開-洗米装置 図7
  • 特開-洗米装置 図8
  • 特開-洗米装置 図9
  • 特開-洗米装置 図10
  • 特開-洗米装置 図11
  • 特開-洗米装置 図12
  • 特開-洗米装置 図13
  • 特開-洗米装置 図14
  • 特開-洗米装置 図15
  • 特開-洗米装置 図16
  • 特開-洗米装置 図17
  • 特開-洗米装置 図18
  • 特開-洗米装置 図19
  • 特開-洗米装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083501
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】洗米装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20240614BHJP
   B02B 1/06 20060101ALI20240614BHJP
   A47J 27/00 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
A47J27/14 N
A47J27/14 G
B02B1/06 D
A47J27/00 103D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062086
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2020079155の分割
【原出願日】2020-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宮川 沙千
(57)【要約】
【課題】
本発明では、洗米タンク内の上部でオーバーフローした水を排水する上部排水機構のメンテナンス性を向上するとともに、洗米タンク内の密閉性を向上できる洗米炊飯装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
貯米庫(A1)の底面をなすフロアパネル(a15)は、金属製の金属パネル部(a16)と、樹脂製の樹脂パネル部(a17)が組み合わされて構成されており、金属パネル部(a16)の中央側に設けられた開口(a18)に、樹脂パネル部(a17)が嵌合されて支持固定され、
樹脂パネル部(a17)は、貯米庫(A1)と洗米タンク(A2)とが接合時に、洗米タンク(A2)の上部に位置する蓋部(a19)を設け、洗米タンク(A2)の上部と接合する第1接合部(a22)と、オーバーフローボックス(a12)の上部と接合する第2接合部(a23)とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を貯留する貯米庫(A1)の下方に米を洗米する洗米タンク(A2)が配され、
貯米庫(A1)と洗米タンク(A2)とが接合分離自在に構成されるとともに、貯米庫(A1)に洗米タンク(A2)を着脱する着脱手段を備え、
洗米タンク(A2)内からオーバーフローした水を集積して排水するオーバーフローボックス(a12)を備え、
貯米庫(A1)の底面をなすフロアパネル(a15)は、金属製の金属パネル部(a16)と、樹脂製の樹脂パネル部(a17)が組み合わされて構成されており、金属パネル部(a16)の中央側に設けられた開口(a18)に、樹脂パネル部(a17)が嵌合されて支持固定され、
樹脂パネル部(a17)は、貯米庫(A1)と洗米タンク(A2)とが接合時に、洗米タンク(A2)の上部に位置する蓋部(a19)を設け、洗米タンク(A2)の上部と接合する第1接合部(a22)と、オーバーフローボックス(a12)の上部と接合する第2接合部(a23)とを備えたことを特徴とする洗米装置。
【請求項2】
樹脂パネル部(a17)は、オーバーフローボックス(a12)の上方に対応する位置に通気孔(a30)を設けたことを特徴とする請求項1記載の洗米装置。
【請求項3】
蓋部(a19)に、洗米タンク(A2)に設けるフック(a20)を掛止可能な被掛止部(a21)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗米装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米が可能な洗米装置に関するものであり、特に、業務用に適した大型の洗米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上方から順に、米を貯蔵する貯米装置、米を洗米する洗米装置、米を炊飯する炊飯装置を備えて、洗米から炊飯までの一連の工程を実行可能に構成された洗米炊飯装置が開示されている。さらに、この特許文献1に記載の洗米炊飯装置は、洗米装置の洗米タンクを、上部・下部タンクで構成し、ワンタッチクランプ金具によって下部タンクが上部タンクと接合分離自在に構成されたことを特徴としている。
【0003】
上記構成により、この特許文献1に記載の洗米炊飯装置は、下部タンクを取り外すことで、洗米タンクの洗浄を含むメンテナンスを容易に行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-192015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の洗米炊飯装置は、洗米タンク内の上部でオーバーフローした水を排水する上部排水機構として、上部タンクに設けられたオーバーフロー口及びこのオーバーフロー口と連結されたオーバーフローエルボを備えているが、この上部排水機構については、メンテナンス時において、下部タンクを取り外したとしても、その構造上、十分な視認性と作業性を確保することが困難であった。
【0006】
また、上部・下部タンクが接合分離自在に構成されたことにより、洗米タンク内の密閉性が低下する問題があった。ここで、洗米タンクの密閉性が低下すると、水漏れによる洗米品質の低下や洗米タンク外部の汚れの原因となる。
【0007】
そこで、本発明は、洗米タンク内の上部でオーバーフローした水を排水する上部排水機構のメンテナンス性を向上するとともに、洗米タンク内の密閉性を向上できる洗米炊飯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する第1の発明は、
米を貯留する貯米庫(A1)の下方に米を洗米する洗米タンク(A2)が配され、
貯米庫(A1)と洗米タンク(A2)とが接合分離自在に構成されるとともに、貯米庫(A1)に洗米タンク(A2)を着脱する着脱手段を備え、
洗米タンク(A2)内からオーバーフローした水を集積して排水するオーバーフローボックス(a12)を備え、
貯米庫(A1)の底面をなすフロアパネル(a15)は、金属製の金属パネル部(a16)と、樹脂製の樹脂パネル部(a17)が組み合わされて構成されており、金属パネル部(a16)の中央側に設けられた開口(a18)に、樹脂パネル部(a17)が嵌合されて支持固定され、
樹脂パネル部(a17)は、貯米庫(A1)と洗米タンク(A2)とが接合時に、洗米タンク(A2)の上部に位置する蓋部(a19)を設け、洗米タンク(A2)の上部と接合する第1接合部(a22)と、オーバーフローボックス(a12)の上部と接合する第2接合部(a23)とを備えたことを特徴とする洗米装置によって達成される。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
樹脂パネル部(a17)は、オーバーフローボックス(a12)の上方に対応する位置に通気孔(a30)を設けたことを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、
蓋部(a19)に、洗米タンク(A2)に設けるフック(a20)を掛止可能な被掛止部(a21)を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗米タンク内の上部でオーバーフローした水を排水する上部排水機構のメンテナンス性を向上するとともに、洗米タンク内の密閉性を向上する洗米炊飯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる洗米炊飯装置の略正面図である。
図2図2は、図1の洗米炊飯装置の略左側面図である。
図3図3は、図1の米供給装置及び洗米タンクの略縦断面図である。
図4図4は、図3の洗米タンク周辺の分解構成図である。
図5図5(A)は、架台の引き出しk3の要部拡大平面図である。図5(B)及び図5(C)は、要部拡大左側面図である。
図6図6は、持上支持部材の要部正面拡大図である。
図7図7は、洗米炊飯装置による一連の洗米炊飯の基本的な流れを示すフローチャートである。
図8図8は、洗米炊飯装置の制御部の制御ブロック図である。
図9図9は、炊飯条件設定データの内容を示す図である。
図10図10は、炊飯条件設定データの設定画面の例である。
図11図11(A)は、炊き分けモード設定データの内容を示す図である。図11(B)は、連続モード設定データの内容を示す図である。
図12図12は、炊飯予約データの内容を示す図である。
図13図13は、炊飯予約データの設定画面の例である。
図14図14は、制御部による炊き分けモード時の処理手順の例を示すフローチャートである。
図15図15は、制御部による連続モード時の処理手順の例を示すフローチャートである。
図16図16は、本実施形態の連続モードと炊き分けモードの炊飯時間を比較した比較図である。
図17図17は、別実施形態に係る洗米タンク周辺の概略正面図である。
図18図18(A)は、別実施形態に係る被掛止部及びフックの拡大正面図であり、図18(B)は、拡大側面図である。
図19図19は、別の実施形態に係る炊飯条件設定データの設定画面の例である。
図20図20(A)~(B)は、別の実施形態に係る炊飯条件設定データの設定画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態につき、詳細に説明を加える。
【0014】
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる洗米炊飯装置1の略正面図であり、図2は、図1に示された洗米炊飯装置1の略左側面図である。なお、以下の説明においては、図1の紙面手前方向を「前方」とし、紙面右側を「右方」、左側を「左方」として前後左右を表す。
【0015】
<1.全体構成>
洗米炊飯装置1は、図1および図2に示されるように、貯米庫A1及び洗米タンクA2を一体的に形成した米供給装置Aと、米を炊飯する炊飯装置Bと、米供給装置A及び炊飯装置Bを支持・載置する架台Kとを備えている。また、貯米庫A1の正面には、各種状態表示や各種設定等を行うためのタッチパネル液晶で構成された操作部Sが設けられている。
【0016】
<2.米供給装置>
貯米庫A1は、米を内部に貯留するとともに、貯留した米を洗米タンクA2へ排出する機能を果たし、架台Kの上部に配設される。貯米庫A1は、上部から米を投入でき、後述する制御部Cに制御される繰出弁用モータ(図示せず)の駆動により、内部の定量繰出弁a1が回動し、洗米タンクA2へ排出する米の量や排出のタイミングを制御可能となっており、制御部Cからの制御信号に基づいて、所定量の米を洗米タンクA2に排出する。
【0017】
洗米タンクA2は、米供給装置Aから受けた米を洗米して炊飯装置Bに供給する機能を果たし、貯米庫A1の下部に配設され、後述する供給位置切換手段AKによって、架台K上で貯米庫A1とともに左右移動可能となっている。
【0018】
図3は、米供給装置A及び洗米タンクA2の略縦断面図である。なお、図中の吹き出し部分は、各部の形状の理解を容易にするための部分拡大図を示している。
【0019】
洗米タンクA2は、米及び水を収容可能なタンク本体a2と、洗米タンクA2に水を供給する給水管a3と、タンク本体a2にエアを供給する給気管a4と、タンク本体a2の給排水用のジャケットa5と、ジャケットa5の下部に設けられた投下口a6を開閉する投下バルブa7と、制御部Cにより制御される攪拌部材用モータm2の駆動により鉛直軸まわりに回転してタンク本体a2内を攪拌する攪拌部材a8と、タンク本体a2の排水を集める排水箱a9と、を備える。
【0020】
タンク本体a2は、金属製であり、円筒状の円筒状部a10と、この円筒状部a10の下方に設けられた漏斗状の漏斗状部a11と、タンク本体a2内の上部でオーバーフローした水を排水する上部排水機構AOとを備えている。
【0021】
上部排水機構AOは、円筒状部a10の外周面上部に一体形成された上面開放型の箱形状をなすオーバーフローボックスa12の下端に、可撓性の管状部材である排水ホースa13の一端が接続され、この排水ホースa13の他端は、排水箱a9と接続されている。
【0022】
このオーバーフローボックスa12は、タンク本体a2内の上部からオーバーフローした水を集積し、これを排水ホースa13へと導いて、排水ホースa13から排水箱a9へと排水する機能を果たす。なお、この排水ホースa13は、オーバーフローボックスa12及び排水箱a9と着脱自在に接続されている。これにより、貯米庫A1から洗米タンクA2を取り外す際に、排水ホースa13を取り外し、メンテナンスや交換を容易に行えるようになっている。加えて、排水ホースa13を取り外すことで、オーバーフローボックスa12内部のメンテナンスも容易となっている。
【0023】
給水管a3は、一端が水供給源(図示せず)と接続されて、他端がジャケットa5と接続されて、ジャケットa5を介してタンク本体a2内に水を供給可能となっている。また、給水管a3には、制御部Cにより開閉制御可能な電磁バルブ(図示せず)が設けられており、これにより、タンク本体a2に供給する水量の制御が可能となっている。
【0024】
また、この給気管a3は、一端が空気供給源(図示せず)を接続され、他端がジャケットと接続されて、ジャケットa5を介してタンク本体a2内にエアを供給可能となっている。また、給気管a4から供給されるエアは、制御部Cにより制御可能となっている。
【0025】
ジャケットa5の上部は、タンク本体a2の下部と連通しており、ジャケットa5の下部には、炊飯装置Bへの洗米の投下を行うための投下口a6が設けられている。
【0026】
投下バルブa7は、制御部Cに駆動制御される投下バルブ用モータm1の駆動により、カムと連結されたロッドによって上下動し、ジャケットa5の投下口a6を開閉する。すなわち、上動すると投下口a6が投下バルブa7により封鎖されて閉状態となり、下動すると投下口a6が開放されて開状態となる。
【0027】
排水箱a9は、オーバーフローボックスa12から排水ホースa13を通過して流入した排水を受け、これを排水口a14に導いて排出する。また、排水箱a9は、ジャケットa5と排水エルボを介して連通しており、内部にこの排水エルボを開閉する弁体を備えている。これにより、タンク本体a2内の水をジャケットa5を介して排水箱a9側へと流し込んで排水することも可能となっている。
【0028】
<3.洗米タンク着脱構造>
図3を用いて、洗米タンクA2の着脱構造について以下に説明する。
【0029】
図3に示されるように、貯米庫A1の底面をなすフロアパネルa15は、金属製の金属パネル部a16と、樹脂製の樹脂パネル部a17が組み合わされて構成されており、金属パネル部a16の中央側に設けられた開口a18に、樹脂パネル部a17が嵌合されて支持固定されている。なお、金属パネル部a16は剛性で強度に優れ、樹脂パネル部a17は、軽量であるため、メンテナンス時の取り扱いが容易となっている。
【0030】
樹脂パネル部a17は、貯米庫A1に洗米タンクA2を着脱可能とする機能を果たし、タンク本体a2の上方をカバーする蓋部a19を備え、この蓋部a19に、フックa20を掛止可能な側面視略L字形状の被掛止部a21と、タンク本体a2の上部と接合する第1接合部a22と、オーバーフローボックスa12の上部と接合する第2接合部a23が設けられている。
【0031】
被掛止部a21は、タンク本体a2側に設けられたフックa20を掛止することで、洗米タンクA2を貯米庫A1に装着可能とするものであり、この被掛止部a21及びフックa20は、貯米庫A1に洗米タンクA2を着脱する着脱手段としての機能を果たす。ここで、タンク本体a2装着用のフックa20は、タンク本体a2に、その周方向に沿って、等間隔で複数設けられている。例えば、フックa20は、タンク本体a2の円筒状部a10の外周面に、その周方向に沿って120度の間隔を空けて3つ設けられており、被掛止部a21は、このフックa20の位置に対応して蓋部a19に3つ設けられている。
【0032】
第1接合部a22は、断面凸状をなし、蓋部a19の下面から下方へと延出形成され、タンク本体a2の円筒状部a10の上端と略同一の径を有する円筒状に形成されている。また、第1接合部a22のうち、オーバーフローボックスa12の上方に位置する部分は、切り欠きa24が設けられて他の部分よりも下垂する長さが短く設定されている。これにより、第1接合部a22は、貯米庫A1に洗米タンクA2を装着したとき、この切り欠きa24部分を除く下端が、平面視略C字状にタンク本体a2の上部と密に接合し、切り欠きa24部分は、タンク本体a2とオーバーフローボックスa12とを連通する連通口a25を形成するように構成されている。
【0033】
第2接合部a23は、断面凸状をなし、蓋部a19の下面から下方へと延出形成され、タンク本体a2のオーバーフローボックスa12の上部の形状に合わせ、断面略コの字状に第1接合部a22の外周から突出するように、第1接合部a22と一体形成されている。これにより、第2接合部a23は、平面視略コの字状にオーバーフローボックスa12の上部と密に接合するよう構成されている。
【0034】
第1接合部a22と接合するタンク本体a2の上部は、図3に示されるように、断面凹状に形成されて、その凹部にゴム等の弾性部材からなる第1パッキン部a26が嵌合された第1接合受部a27が設けられている。同様に、第2接合部a23と接合するタンク本体a2の上部は、断面凹状に形成されて、その凹部に弾性部材からなる第2パッキン部a28が嵌合された第2接合受部a29が設けられている。
【0035】
これにより、洗米タンクA2の装着時において、凹凸を嵌合するようにして、第1接合部a22が第1接合受部a27と、第2接合部a23が第2接合受部a29とそれぞれ接合する。さらに、このとき、第1パッキン部a26が第1接合受部a27と、第2パッキン部a28が第2接合部a23と、それぞれ、弾発接触するよう構成されている。その結果、貯米庫A1と洗米タンクA2との間に隙間が生じることを良好に防止して洗米タンクA2内の密閉性を向上できる。これにより、水漏れによる洗米品質の低下や洗米タンク外部の汚れを良好に防止できる。加えて、被掛止部a21とフックa20との間に、それぞれが離間する上下方向の弾性力を発生させることで掛止力を向上し、貯米庫A1に対する洗米タンクA2の固定強度を向上することができる。
【0036】
また、蓋部a19の下面には、第1接合部a22の内側において、攪拌部材a8の回転軸から外側に向かうほど天井面が低くなるように、逆さすり鉢状に緩やかな傾斜が設けられており、これにより、タンク本体a2内の水はけを向上し、衛生面を向上するよう構成されている。
【0037】
図4は、図3の洗米タンクA2周辺の分解構成図である。
【0038】
図4に示されるように、樹脂パネル部a17のオーバーフローボックスa12上方に位置する箇所には、通気孔a30が設けられ、その上部に送風可能なファン装置a31が設けられて、送風により、オーバーフローボックスa12周辺の乾燥が可能となっている。また、フロアパネルa15下面には、タンク本体a2上部の形状を合致する切り欠きが設けられたフロアパネル下カバーa32が取り付けられ、洗米タンクA2着脱時の位置決めが容易となるように構成されている。
【0039】
以上のように構成された貯米庫A1及び洗米タンクA2は、オーバーフローボックスa12がタンク本体a2と別体ではなく一体形成されているため、洗米タンクA2を取り外す操作により、オーバーフローボックスa12も貯米庫A1から取り外すことができ、これにより、オーバーフローボックスa12周りの清掃等を含むメンテナンスを従来よりも極めて容易に行うことができる。
【0040】
また、オーバーフローボックスa12は、上面開放型の箱形状をなしているため、洗米タンクA2を取り外すと、オーバーフローボックスa12の内部が露わとなり、これにより、視認性に優れ、メンテナンス性も向上する構成となっている。また、オーバーフローボックスa12に排水ホースa13を着脱可能にしたことによって、オーバーフローボックスa12の長さ寸法を短く設けることができ、メンテナンスをより容易に行うことができるよう構成されている。
【0041】
<4.炊飯装置>
炊飯装置Bは、米を炊飯する機能を果たし、図1及び図2に示されるように、上部が開口した炊飯装置本体b1と、同本体b1の上部開口を開閉する蓋体b2と、蓋体b2に設けられた投入口(図示せず)を開閉自在とする蓋開閉機構b3と、炊飯装置本体b1の内底部に設けられた電磁調理器IHとを備えている。制御部Cからの制御信号に基づいて、この電磁調理器IHにより炊飯装置本体b1を加熱することで、炊飯装置本体b1の内釜(図示せず)に収容した白米を炊飯することができる。なお、炊飯装置本体b1は、電磁調理器IHを有する構成としたが、既存のガスによるガス釜の構成であってもよい。ガス釜では、ガス調整機構や点火機構を制御部Cで制御することにより、同様の炊飯を行うことができる。
【0042】
架台Kは、炊飯装置Bを載置し、炊飯装置B上において米供給装置Aを支持する機能を有し、米供給装置Aを支持する支持フレーム部k1と、米供給装置Aの下方に炊飯装置Bをセット可能とする載置台k2とを備える。この載置台k2は、前後方向にスライド可能な引き出しk3上に炊飯装置Bを載置可能となっている。また、図2に示されるように、載置台k2は、引き出しk3,k3を左右にそれぞれ備えており、同時に2つ(2釜)の炊飯装置Bをセット(炊飯装置Bが、米供給装置Aから米を投下可能な位置に設置された状態)することができる。
【0043】
<5.供給位置切換手段>
洗米炊飯装置1は、図1及び図2に示されるように、米供給装置Aの米供給位置を切り換える供給位置切換手段AKを備えている。この供給位置切換手段AKによって、米供給装置Aは、炊飯装置Bに米を供給する米供給位置を、左側と右側の2位置で切り換え可能に構成されており、これにより、それぞれの位置で炊飯装置Bに米を供給可能となっている。
【0044】
なお、以下の説明においては、米供給装置Aから炊飯装置Bに米を供給する米供給位置のうち、左側の位置を左側供給位置L、右側の位置を右側供給位置Rと呼称し、左側供給位置Lに対応する炊飯装置Bの炊飯位置(炊飯工程を実行する位置のことを指す。以下、同じ。)を、左側炊飯位置L2とし、右側供給位置Rに対応する炊飯装置Bの炊飯位置を、右側炊飯位置R2とする。
【0045】
この供給位置切換手段AKは、詳細には、貯米庫A1の下部に、制御部Cにより制御されるローラ用モータ(図示せず)の駆動により正逆回転するローラa33を枢支し、支持フレーム部k1上に左右方向に亘って横架したレールa34を設け、このレールa34上でローラa33をガイドさせながら米供給装置Aを摺動自在に支持させて構成されている。これにより、ローラa33が回動すると、米供給装置Aの左右移動が可能となっている。このようにして、洗米炊飯装置1は、制御部Cからの制御信号に基づいて、供給位置切換手段AKにより、米供給装置Aの位置を左右に切り換えることが可能となっている。
【0046】
<6.炊飯装置持上手段>
図5(A)は、架台Kの引き出しk3の要部拡大平面図である。図5(B)及び図5(C)は、要部拡大左側面図である。なお、図5(B)においては、ペダルk4の踏込操作前、図5(B)においては、ペダルk4の踏込操作後の状態が図示されている。
【0047】
図5(A)~図5(C)に示されるように、架台Kは、ペダルk4の踏込操作により、炊飯装置本体b1を支持しながら持ち上げることができる炊飯装置持上手段KUを備えている。
【0048】
この炊飯装置持上手段KUは、ユーザが踏込操作するペダルk4と、炊飯装置本体b1を持ち上げ支持する持上支持部材k5と、この持ち上げ支持部材k5をガイドするガイド部材k6と、ペダルk4の踏込操作を持ち上げ支持部材k5の上下方向の動きに変換するリンク部材k7とを備えている。なお、リンク部材k7には、付勢力によりペダルk4の操作を補助する弾性バネk8が設けられている。また、持上支持部材k5の下部には図示しないダンパが設けられており、炊飯装置本体b1が急激に落下することを防止している。
【0049】
ユーザがペダルk4を踏込操作すると、図5(C)に示されるように、ガイド部材k6にガイドされながら持ち上げ支持部材k5が上昇し、支持部材k5に支持された炊飯装置本体b1が持ち上げられる。これにより、炊飯後に重量が増加した炊飯装置Bを、ペダルk4の踏圧により容易に持ち上げることが可能となり、ユーザの作業負担を大幅に軽減できるとともに、迅速な作業が可能となる。また、ペダルk4の前端が引き出しk3の前端よりも後方に配設されていることにより、ユーザがペダルk4で躓くことが防止される。
【0050】
また、炊飯装置持上手段は、リンク部材k7の動作を規制する第1のストッパk9、第2のストッパk10を備える。
【0051】
第1のストッパk9は、引き出しk3が前方へ引き出されていない状態、すなわち載置台k2に収納された状態において、リンク部材k7を係止して、ペダルk4を固定する。これにより、誤操作による故障を防止し、さらに、安全性を向上できる。この第1ストッパk9は、引き出しk3が前方へ引き出されると、リンク部材k7の係止を解除し、これにより、ペダルk4の踏込操作を可能とする。
【0052】
第2のストッパk10は、所定量ペダルk4が踏込操作されると、リンク部材k7を係止して、ペダルk4が踏み込まれた状態を維持する。これにより、持ち上げ支持部材k5によって炊飯装置本体b1が持ち上げられた状態を維持することができる。この状態で、再度、ペダルk4が踏込操作されると、第2のストッパk10のリンク部材k7の係止が解除され、持ち上げ支持部材k5が下降するよう構成されている。
【0053】
図6は、持上支持部材k5の要部正面拡大図である。図6に示されるように、持上支持部材k5は上端に左右外方へと延出した突起部k11が設けられ、この突起部k11により、炊飯装置本体b1に設けられた取っ手b4が斜め45度程度に傾斜した状態となり、ユーザが取っ手b4を把持しやすいようにして、ユーザのやけどを防止するよう構成されている。
【0054】
<7.洗米炊飯工程>
図7は、洗米炊飯装置1による一連の洗米炊飯工程の基本的な流れを示すフローチャートである。上記のように構成された洗米炊飯装置1は、一つの炊飯装置Bに対する一連の洗米炊飯工程において、以下の工程を順に行う。
【0055】
計量工程(S1)は、貯米タンクA1において、定量繰出弁a1を作動させて所定の設定量G1の米を洗米タンクA2に排出する。
【0056】
洗米工程(S2)は、洗米タンクA2において、所定の設定時間T1、給水管a2から洗浄水を供給しつつ、この洗浄水に給気管a3からエアを供給し、攪拌部材a5を回転して洗米した後、攪拌部材a5を停止して洗浄水を排水する。
【0057】
水加減工程(S3)は、洗米タンクA2において、ジャケットa4の下端部に設けられた投下口を閉鎖して、洗米タンクA2内に炊飯装置Bでの米の浸漬に必要な所定量G2の水を貯える。その後、投下口を開き、水加減処理した米を洗米タンクA2から炊飯装置Bに投下する。
【0058】
浸漬工程(S4)は、炊飯装置Bにおいて、所定の設定時間T2、投入された米を内釜の中で浸漬する。
【0059】
炊飯工程(S5)は、炊飯装置Bにおいて、所定の設定時間T3、電磁調理器IHにより内釜を加熱し、米に吸水させるための予熱処理、米を炊き上げる炊き上げ処理、余分な水の蒸発を同時に米の澱粉を糊化させながら内釜内の水を無くしていく沸騰維持処理を行う。さらに、沸騰維持処理後に、所定の設定時間T4、炊きあがった米を蒸らして内釜内の状態を均一に仕上げるむらし処理が行われ、一連の洗米炊飯が完了する。
【0060】
以上のように、図7に基づき、一連の洗米炊飯工程の基本的な流れを説明したが、洗米炊飯装置1は、供給位置切換手段により米供給装置Aの位置を左右に切り換え、架台Kに同時に2つ(2釜)の炊飯装置Bをセットすることができる2釜仕様であるから、米供給装置Aによる計量工程(S1)~水加減工程(S3)、炊飯装置Bによる浸漬工程(S4)~炊飯工程(S5)は、それぞれ独立して同時並行的に実行することができる。例えば、洗米炊飯装置1は、1つめの炊飯装置Bによる洗米炊飯のため、米供給装置Aによる計量工程(S1)~水加減工程(S3)を実行後、米供給装置Aを遊休させることなく、1つめの炊飯装置Bにおいて、浸漬工程(S4)~炊飯工程(S5)を行いながら、2つめの炊飯装置Bによる洗米炊飯を行うため、計量工程(S1)~水加減工程(S3)を実行することができる。
【0061】
<8.制御部>
図8は、洗米炊飯装置1の制御部Cの制御ブロック図である。
【0062】
制御部Cは、演算処理を行うCPUと、演算処理に必要な情報を読み書き可能なメモリとを備えて構成されており、メモリに記憶された各種制御プログラムに従ってCPUが動作することにより、それぞれのブロック中に示す各種の機能が実現される。
【0063】
制御部Cの入力側には、操作部Sに配設された各種操作ボタンs2、架台Kに配設された左右位置検知センサks、炊飯装置検知センサ(左)ks1、炊飯装置検知センサ(右)ks2が接続されている。
【0064】
各種操作ボタンs2は、操作部Sのタッチパネル液晶で構成された表示部s1にUI(ユーザインタフェース)として表示される疑似的なボタンやタブ等が含まれ、制御部Cは、各種操作ボタンs2の操作情報を取得可能となっている。なお、各種操作ボタンs2には、後述する操作エリアs21、s22、s23、s24等が含まれ(図10参照)、これらは、制御部Cからの出力信号により、表示部sに必要な情報とともに表示される。
【0065】
左右位置検知センサksは、米供給装置Aが左供給位置Lか、右供給位置Rかを検知して、制御部Cに出力する。
【0066】
炊飯装置検知センサ(左)ks1は、炊飯装置Bが左炊飯位置L2にセットされているか、炊飯装置検知センサ(右)ks2は、炊飯装置Bが右炊飯位置L2にセットされているかをそれぞれ検知して、制御部Cに出力する。
【0067】
制御部Cの出力側には、貯米庫A1、洗米タンクA2、炊飯装置B、供給位置切換手段AKが接続され、これらに制御信号を出力可能となっている。
【0068】
制御部Cは、炊飯条件設定部c1と、炊飯予約設定部c2と、洗米炊飯処理部c3と、洗米予約実行部c4と、設定情報記憶部c5と、計時部c6とを備えている。
【0069】
炊飯条件設定部c1は、洗米炊飯装置1に炊飯条件を設定する機能を有する。ここで、炊飯条件とは、洗米炊飯装置1による洗米炊飯の各工程(図7参照)において、制御対象となる機器の制御量を決定する条件のことを指す。この炊飯条件の設定は、炊飯条件設定部c1が、各種操作ボタンs2の操作を受け付け、ユーザから所望の炊飯条件の入力を受け付け、ユーザによって入力された炊飯条件を、炊飯条件設定データDsとして設定情報記憶部c5に記憶することにより行われる。なお、炊飯条件設定データDsについては、後述する。
【0070】
また、炊飯条件設定部c1は、洗米炊飯装置1に炊飯モードを設定する機能を有する。ここで、炊飯モードとは、洗米炊飯装置1の洗米炊飯実行時における制御方法(例えば、炊飯位置の選択方法や洗米炊飯の実行回数など)を決定するモードのことを指す。本実施形態の洗米炊飯装置1は、「通常モード」、「連続モード」、「炊き分けモード」の3つのモードを備えている。各炊飯モードの詳細は、後述する。
【0071】
この炊飯モードの設定は、炊飯条件設定部c1が、操作部Sの各種操作ボタンs2の操作を受け付け、ユーザに所望の炊飯モードを選択させることにより、炊飯モードが決定される。併せて、決定された炊飯モードにおける設定情報(例えば、洗米炊飯の実行回数など)が、連続モード設定データDr、炊き分けモード設定データDtとして設定情報記憶部c5に記憶される。なお、連続モード設定データDr及び炊き分けモード設定データDtについては、後述する。
【0072】
炊飯予約設定部c2は、洗米炊飯装置1に炊飯予約を設定する機能を有する。ここで、炊飯予約とは、洗米炊飯の開始や洗米炊飯の実行回数などを予約することを指す。この炊飯予約の設定は、炊飯予約設定部c2が、各種操作ボタンs2の操作を受け付け、ユーザに所望の炊飯予約を入力させ、ユーザによって入力された炊飯予約を、炊飯予約データDyとして設定情報記憶部c5に記憶することにより行われる。なお、炊飯予約データDyについては、後述する。
【0073】
洗米炊飯処理部c3は、洗米炊飯装置1の洗米炊飯に係る処理を実行する機能を有する。洗米炊飯処理部c3は、制御部Cの入力側に接続された機器から各種情報を取得し、設定情報記憶部c5及び洗米炊飯工程記憶部c6に必要な情報を読み書きし、制御部Cの出力側の機器に制御信号を出力することにより、洗米炊飯に係る処理を実行する。
【0074】
炊飯予約実行部c4は、後述する洗米工程記憶部c6に記憶された炊飯予約データDyに基づき、洗米炊飯処理部c3に、洗米炊飯に係る処理の実行を開始させる機能を有する。また、炊飯装置Bごとに、洗米炊飯工程を管理する機能を有している。
【0075】
設定情報記憶部c5は、各種設定情報が記憶され、例えば、後述する炊飯条件設定データDs、炊き分けモード設定データDt、連続モード設定データDr、炊飯予約データDyが記憶される。
【0076】
計時部c6は、計時回路を有し、この計時回路により、現在日時に関する情報を取得する機能を有する。
【0077】
<9.各種データと設定画面>
次に、設定情報記憶部c5に記憶される各種設定情報と設定画面について説明する。図9は、炊飯条件設定データDsの内容を示す図であり、図10は、炊飯条件設定データDsの設定画面の例である。なお、係る設定画面は、操作部Sに表示される。図9に示されるように、炊飯条件設定データDsには、例えば、次のようなフィールド(項目)が含まれている。
【0078】
「設定No」は、設定された炊飯条件を一意に識別するための主キーである。また、洗米炊飯処理においては、原則として設定Noの昇順に処理が実行されるようになっている。「設定No」は、図10に示される操作エリアs21によって、選択可能となっており、例えば、操作エリアs21の「メモリ1」を選択すると、「設定No」が1の炊飯条件について設定が可能である。なお、本実施形態においては、10つの炊飯条件が設定できるように構成されているが、これに限定されない。
【0079】
「炊き方」は、炊飯の仕上げを決定するものであり、本実施形態においては、「標準」か「おかゆ」が択一的に設定される。この設定された内容に基づき、炊飯工程(S5)において、炊飯装置Bの電磁調理器IHにより内釜を加熱し炊飯する設定時間T3や炊飯の温度が決定される。さらに、本実施形態においては、「おかゆ」が選択された場合に、所定の炊きあがった米を蒸らして炊飯装置Bの内釜内の状態を均一に仕上げるむらし処理の設定時間T4が、0(分)に決定される。
【0080】
「水加減」は、例えば、+5~-5の値が設定され、この値に基づき、水加減工程(S3)において、米の浸漬に必要な所定量G2の水が増減される(図7参照)。
【0081】
「炊飯量」は、例えば、任意の値(kg)が設定され、この値に基づき、計量工程(S1)において、洗米タンクAに排出される米の設定量G1が決定される(図7参照)。
【0082】
「洗い方」は、例えば、1~3の数値が設定され、この数値に対応した洗米処理が、洗米工程(S2)において行われる(図7参照)。
【0083】
「浸漬」は、例えば、任意の値(分)が設定され、この値に基づき、浸漬工程(S4)において、投入された米を炊飯装置Bの内釜の中で浸漬する設定時間T2が決定される(図7参照)。
【0084】
「点火」は、例えば、自動か手動が設定され、自動の場合、炊飯工程(S5)において、電磁調理器IHにより炊飯装置Bの内釜の加熱が自動で開始され、手動の場合はユーザの所定の操作により開始される。
【0085】
「むらし」は、例えば、任意の値(分)が予め設定され、この値に基づき、炊飯工程(S5)において、所定の炊きあがった米を蒸らして炊飯装置Bの内釜内の状態を均一に仕上げるむらし処理の設定時間T4が決定される。なお、上述の通り、本実施形態においては、「炊き方」の項目で「おかゆ」が選択された場合には、むらし処理の設定時間T4が、0(分)に設定される。
【0086】
なお、図10に示される設定画面において、「炊き方」の項目は操作エリアs22、「炊飯量」の項目は操作エリアs24、「水加減」「浸漬」「点火」「むらし」の項目は、操作エリアs24で入力・設定される。
【0087】
ここで、洗米炊飯装置1の、「通常モード」、「炊き分けモード」、「連続モード」の3つのモードについて説明する。「通常モード」は、上記のように設定された複数の炊飯条件のいずれかを、左側炊飯位置L2または右側炊飯位置R2にセットされた炊飯装置Bで炊飯するモードであり、ユーザの操作部Sの操作によって、実行される炊飯条件及び炊飯装置Bの炊飯位置が都度決定される。
【0088】
「炊き分けモード」は、炊飯条件設定データDsの「炊き方」の項目に応じて、炊飯装置Bの炊飯位置を決定するモードである。例えば、「炊き方」が「標準」の炊飯条件で洗米炊飯を実行するとき、炊飯装置Bの炊飯位置は左側炊飯位置L2と決定され、「炊き方」が「おかゆ」の炊飯条件で洗米炊飯を実行するとき、炊飯装置Bの炊飯位置は右側炊飯位置L2と決定される。この「炊き方」と炊飯装置Bの炊飯位置の紐付けは、ユーザが操作部Sから設定可能となっている。このように、炊飯条件の「炊き方」の項目により炊飯装置Bの炊飯位置を決定する「炊き分けモード」によれば、例えば、白ご飯は左側、おかゆは右側というように、ユーザが炊飯条件別に管理しやすい。
【0089】
「連続モード」は、一連の洗米炊飯ごとに動的に炊飯装置Bの炊飯位置を決定するモードである。すなわち、「連続モード」においては、セットが完了した左右いずれかの炊飯装置Bに順次炊飯位置を決定し、洗米炊飯処理を開始する。これにより、炊飯装置Bの遊休時間を削減し、効率よく洗米炊飯を行うことができる。
【0090】
これらの「通常モード」、「炊き分けモード」、「連続モード」は、操作部Sの操作により、切換え可能となっており、これにより、洗米炊飯装置1は、多様な炊飯に対応可能となっている。
【0091】
図11(A)は、炊き分けモード設定データDtの内容を示す図であり、図11(B)は、連続モード設定データDrの内容を示す図である。図11(A)に示されるように、炊き分けモード設定データDtは、「炊飯回数(左)」、「炊飯回数(右)」の項目を含む。ここで、「炊飯回数(左)」の項目は、「炊き分けモード」において、左側炊飯位置L2の洗米炊飯の実行回数を決定し、「炊飯回数(右)」の項目は、左側炊飯位置L2の洗米炊飯の実行回数を決定する数値が格納されるものであり、これらの実行回数は、ユーザによる操作部Sの操作により設定可能となっている。例えば、図11(A)の例では、炊飯装置Bが左側炊飯位置L2を炊飯位置として一連の洗米炊飯が3回実行され、炊飯装置Bが右側炊飯位置R2を炊飯位置として一連の洗米炊飯が4回実行される。
【0092】
図11(B)に示されるように、連続モード設定データDrは、「炊飯回数(全)」の項目を含む。ここで、「炊飯回数(全体)」の項目は、「連続モード」において、一連の洗米炊飯の実行回数を決定する数値が格納されるものであり、この実行回数は、ユーザによる操作部Sの操作により設定可能となっている。図11(B)の例では、炊飯装置Bが左側炊飯位置L2または右側炊飯位置R2を炊飯位置として、一連の洗米炊飯が4回実行される。
【0093】
図12は、炊飯予約データDyの内容を示す図であり、図13は、炊飯予約データDyの設定画面の例である。ユーザは、図13に示される操作ボタンs31により、炊き上がりの予定時間(炊飯工程(S5)の完了時間)を入力して、予約ボタンs32及び確定ボタンs33の操作により、炊飯予約データDyが設定情報記憶部c5に記憶される。これにより、炊飯予約実行部c4が、計時部c6から日時の情報を取得し、炊飯予約データDyに記憶された日時に1つめの炊飯装置Bの炊飯工程(S5)が完了するように、洗米炊飯処理部c3に洗米炊飯処理を開始させるよう構成されている。
【0094】
<10.炊き分けモードの処理>
図14は、制御部Cによる炊き分けモード時の処理手順の例を示すフローチャートである。なお、図14及び図15中の「:」の記号は、「すなわち」の意である。
【0095】
制御部Cは、最初に、実行する炊飯条件の設定Noを管理する変数Xに1を代入し、炊飯装置Bの左側炊飯位置L2における炊飯実行回数を管理する変数N1、炊飯装置Bの右側炊飯位置R2における炊飯実行回数を管理する変数N2に0をそれぞれ代入する(ステップS101)。
【0096】
次に、制御部Cは、予めユーザにより登録された設定に基づき、炊飯条件設定データDsの「炊き方」に応じた炊飯装置Bの炊飯位置を決定する(ステップS102)。例えば、「炊き方」が「標準」の場合は、炊飯装置Bの炊飯位置は左側炊飯位置L2とし、「炊き方」が「おかゆ」の炊飯条件の場合は、炊飯装置Bの炊飯位置を右側炊飯位置R2と決定する。以下では、ステップS102で上記のように炊飯位置が決定されたものとして説明する。
【0097】
続いて、制御部Cは、設定No(X)の炊飯条件を取得し(ステップS103)、設定No(X)の炊飯位置を判断する(ステップS104)。例えば、X=1の場合、設定No(1)の「炊き方」は「おかゆ」であるので(図9参照)、炊飯装置Bの炊飯位置を右側炊飯位置L2と判断する。
【0098】
次に、ステップS104で判断された設定No(X)の炊飯位置に炊飯装置Bがセット完了しているか判断する(ステップS105)。すなわち、X=1の場合、右側炊飯位置L2に炊飯装置Bがセット完了したか判断される。なお、このセット完了とは、浸漬工程開始前の炊飯装置Bが炊飯位置Bにセットされていることを指し、炊飯装置Bによる炊飯工程が完了して、新しい炊飯装置Bに交換された場合も含む。
【0099】
制御部Cは、炊飯装置Bが炊飯位置にセットされると、計量工程~洗米工程を実行し(ステップS106~ステップS107)、洗米工程が完了すると、供給位置切換手段AKにより、米供給装置Aを炊飯位置(X=1のとき、右側炊飯位置L2)に移動させる(ステップS108)。
【0100】
次に制御部Cは、米供給装置Aから炊飯装置Bに洗米後の米を供給させ、炊飯装置Bにおいて浸漬工程を実行する(ステップS109)。以降、図示されていないが、制御部Cは、図14に示される処理手順とは独立して、浸漬工程の実行を開始した炊飯装置Bにおいて、浸漬工程~炊飯工程までを順次実行する。なお、炊飯工程が完了した炊飯装置Bは、ユーザにより新しい炊飯装置Bに交換され、架台Kに炊飯装置Bがセットされると次の浸漬工程の実行が可能となる。
【0101】
制御部Cは、ステップS109により浸漬工程を実行後、実行回数をカウントする。左側炊飯位置L2の炊飯装置Bで浸漬工程を開始した場合、変数N1を+1し、右側炊飯位置R2の炊飯装置Bで浸漬工程を開始した場合、変数N2を+1する。例えば、X=1の場合、右側炊飯位置R2で浸漬工程を開始したため、変数N1=0、変数N2=1となる。
【0102】
次に、制御部Cは、炊き分けモード設定データDtの「炊飯回数(左)」、「炊飯回数(右)」の項目に設定された数値を参照し、左右の炊飯位置の炊飯回数がいずれも規定回数に達して、炊飯実行完了か否かを判断する(ステップS111)。
【0103】
炊飯実行完了である場合、処理を終了し、完了でない場合、次の設定Noの炊飯条件を実行するため、Xの値を+1し(ステップS112)、その結果、炊飯条件が取得できなかった場合は、Xの値を1とする(ステップS113)。
【0104】
次に、設定No(X)の炊飯条件を取得し(ステップS114)、設定No(X)の炊飯条件の「炊き方」から炊飯位置を判断し(ステップS115)、炊き分けモード設定データDtを参照して、その炊飯位置が、既に規定回数に達していた場合は(ステップS116、ステップS116´でYES)、次の設定Noの炊飯条件を実行するため、Xの値を+1して(ステップS117、ステップS117´)、ステップS114に戻る。規定回数に達していない場合は、ステップS105に戻る。
【0105】
<11.連続モードの処理>
図15は、制御部Cによる連続モード時の処理手順の例を示すフローチャートである。
【0106】
制御部Cは、最初に、実行する炊飯条件の設定Noを管理する変数Xに1を代入し、炊飯装置Bの炊飯実行回数を管理する変数Nに0を代入する(ステップS201)。
【0107】
制御部Cは、設定No(X)の炊飯条件を取得し(ステップS202)、左炊飯位置L2または右炊飯位置R2のいずれかに炊飯装置Bがセットされているか判断する(ステップS203)。
【0108】
制御部Cは、左炊飯位置L2または右炊飯位置R2のいずれかに炊飯装置Bがセットされている場合、設定No(X)の炊飯位置を決定し(例えば、左炊飯位置L2がセット完了しておらず、右炊飯位置R2がセット完了している場合は、右炊飯位置R2を炊飯位置に決定する)(ステップS204)、続いて、計量工程~洗米工程を実行し(ステップS205~ステップS206)、洗米工程が完了すると、供給位置切換手段AKにより、米供給装置AをステップS204において決定した炊飯位置に移動させる。なお、ステップS204において、左炊飯位置L2及び右炊飯位置R2に炊飯装置Bがセットされている場合は、所定の優先順位(例えば、右方を優先)に基づいて、設定No(X)の炊飯位置を決定する。
【0109】
次に、制御部Cは、米供給装置Aから炊飯装置Bに洗米後の米を供給させ、炊飯装置Bにおいて浸漬工程を実行する(ステップS208)。以降、図示されていないが、制御部Cは、図15に示される処理手順とは独立して、浸漬工程の実行を開始した炊飯装置Bにおいて、浸漬工程~炊飯工程までを順次実行する。なお、炊き分けモードの処理と同様、炊飯工程が完了した炊飯装置Bは、ユーザにより新しい炊飯装置Bに交換され、架台Kに炊飯装置Bがセットされると次の浸漬工程の実行が可能となる。
【0110】
制御部Cは、ステップS208により浸漬工程を実行後、実行回数をカウントする。すなわち、変数Nを+1する。
【0111】
次に、制御部Cは、連続モード設定データDrの「炊飯回数(全体)」の項目に設定された数値を参照し、炊飯回数が規定回数に達したか、すなわち炊飯実行完了か否かを判断する(ステップS210)。
【0112】
炊飯実行完了である場合、処理を終了し、完了でない場合、次の設定Noの炊飯条件を実行するため、Xの値を+1し(ステップS211)、その結果、炊飯条件が取得できなかった場合は、Xの値を1とする(ステップS212)とし、ステップS202に戻る。
【0113】
<12.連続モードと炊き分けモードの炊飯時間>
図16は、本実施形態の連続モードと炊き分けモードの炊飯時間を比較した比較図である。なお、図16に示される洗米炊飯は、図11に示される炊飯条件設定データDsの「設定No」が1~4の炊飯条件による洗米炊飯が実行されたものである。図16に示されるように、連続モードにおいては、炊き分けモードよりも迅速に洗米炊飯処理を完了させることができる。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上記に説明した実施形態等に限定されるものではない。したがって、本発明の要旨の範囲内において、実施形態は、種々の変形又は変更が可能である。例えば、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一または同一と見なせる構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0115】
<13.洗米タンク着脱構造の別実施形態>
図3において、側面視略L字形状の被掛止部a21に洗米タンクA2に設けたフックa20を掛止して、貯米庫A1に洗米タンクA2を装着する構成を示したが、被掛止部a21及びフックa20は、以下のように構成することもできる。
【0116】
図17は、別実施形態に係る洗米タンクA2周辺の概略正面図、図18(A)は、別実施形態に係る被掛止部a21´及びフックa20´の拡大正面図、図18(B)は、拡大側面図である。図17に示されるように、別実施形態に係るフックa20´は、洗米タンクA2の左右にそれぞれ配設され、操作用のハンドルa35と、ハンドルの操作により取付部a36を支点に回動するT字ロッドa37を備えている。
【0117】
別実施形態に係る被掛止部a21´は、図18(A)に示されるように、金属パネル部a16の下面に設けられ、正面視でT字ロッドa37上部を掛止可能に二股に分かれており、図18(B)に示されるように、側面視で側面視略L字形状をなしている。
【0118】
これにより、洗米タンクA2正面側からハンドルa35を操作して、T字ロッドa37上部を前後に回動して、被掛止部a21´に掛止し、あるいは、掛止された状態から取り外すことにより、洗米タンクA2の迅速な着脱が可能となる。なお、被掛止部a21´の先端は、掛止されたT字ロッドa37を保持するため、上方に向けて凸状に形成されている。
【0119】
<14.その他の実施形態>
上記実施形態においては、図1~4において、オーバーフローボックスa12を洗米タンク本体a2の背面側に設けるよう構成したが、オーバーフローボックスa12を洗米タンク本体a2右側あるいは左側に設けるよう設計変更することもできる。この場合、洗米炊飯装置1の正面からオーバーフローボックスa12のメンテナンスが可能となるため、メンテナンスがより容易となる。
【0120】
また、上記実施形態においては、図3において、掛止部a16と第1接合部a22を樹脂パネル部a17の下面にそれぞれ設けたが、これらを第1接合受部a27の前端上部を覆うように一体として樹脂パネル部a17の下面に形成してもよい。これにより、洗米タンク本体a2の位置合わせが容易となる。
【0121】
図10において、炊飯条件設定データDsの設定画面の例を示したが、図19に示されるように設定画面を構成してもよい。図19の設定画面の例では、「設定No」は、図19に示されるタブs21´によって、選択可能となっており、例えば、「1回目」のタブs21´を選択すると、「設定No」が1の炊飯条件について設定が可能である。また操作エリアs22´により炊飯条件設定データDsの各項目の設定が可能となっており、確定ボタンs23´の操作により、設定が完了する。これによれば、炊飯条件の設定が視覚的に把握しやすくなる。
【0122】
また、図20(A)及び図20(B)に示されるように、炊飯条件の設定画面をより簡素化した初心者モードによる設定画面を設けてもよい。初心者モードによる設定画面は、「設定No」は、エリアs21´´によって、選択可能となっており、操作ボタンs22´´の操作により、により炊飯条件設定データDsの各項目の設定が可能となっている。これによれば、炊飯条件の設定をより容易に行うことができる。
【0123】
また、洗米炊飯装置1に、炊飯装置Bの故障を検知する故障検知手段を設け、洗米炊飯処理中に、左右いずれかの炊飯装置Bの故障が検知された場合は、自動で故障していない方を炊飯装置Bの炊飯位置として洗米炊飯処理を実行するよう構成してもよい。これにより、左右片方の炊飯装置Bが故障した場合においても洗米炊飯処理を継続することができる。
【0124】
また、炊き分けモードについては、別途、左炊飯位置L2と右炊飯位置R2のそれぞれに1つの炊飯条件を設定できるようにし、さらに、左炊飯位置L2と右炊飯位置R2のそれぞれに洗米炊飯を実行する炊飯回数を設定できるように構成してもよい。
【0125】
また、連続モード及び炊き分けモードについては、図14及び図15で、1度の洗米炊飯が完了すると、原則として、設定Noを1増加させて(ステップS112、ステップS211等)、次の設定Noの炊飯条件を実行するように構成したが、それぞれの設定Noごとに、実行回数を設定できるように構成してもよい。例えば、設定No1の炊飯条件を3回実行すると、設定Noを1増加させて、設定No2の炊飯条件が実行されるように構成してもよい。
【0126】
また、炊飯位置は、左炊飯位置L2と右炊飯位置R2の2位置としたが、これに限られず、例えば、架台Kに、左、真ん中、右の3位置に炊飯装置Bをセット可能に構成し、これに対応して、米供給装置Aを3位置で米を供給するように構成することもできる。この場合において、「炊き分けモード」は、2位置の場合と同様、炊飯条件設定データDsの「炊き方」での項目に応じて、炊飯装置Bの炊飯位置を決定することができ、例えば、左、真ん中の炊飯位置は標準、右の炊飯位置はおかゆといった炊き分けが可能である。また、「連続モード」では、例えば、図15のステップS204において、左、真ん中、右の3位置の炊飯装置Bの中からセット完了しているものを炊飯位置として順次決定でき、より効率的な炊飯が可能となる。炊飯位置が3位置よりも多い場合についても同様である。
【符号の説明】
【0127】
1 洗米炊飯装置
A 米供給装置
A1 貯米庫
A2 洗米タンク
a1 定量繰出弁
a2 タンク本体
a3 給水管
a4 給気管
a5 ジャケット
a6 投下口
a7 投下バルブ
a8 攪拌部材
a9 排水箱
a10 円筒状部
a11 漏斗状部
a12 オーバーフローボックス
a13 排水ホース
a14 排水口
a15 フロアパネル
a16 金属パネル部
a17 樹脂パネル部
a18 開口
a19 蓋部
a20 フック
a21 被掛止部
a22 第1接合部
a23 第2接合部
a24 切り欠き
a25 連通口
a26 第1パッキン部
a27 第1接合受部
a28 第2パッキン部
a29 第2接合受部
a30 通気孔
a31 ファン装置
a32 フロアパネル下カバー
a33 ローラ
a34 レール
a35 ハンドル
a36 取付部
a37 T字ロッド
AK 供給位置切換手段
AO 上部排水機構
B 炊飯装置
b1 炊飯装置本体
b2 蓋体
b3 蓋開閉機構
b4 取っ手
C 制御部
c1 炊飯条件設定部
c2 炊飯予約設定部
c3 洗米炊飯処理部
c4 炊飯予約実行部
c5 設定情報記憶部
c6 計時部
IH 電磁調理器
K 架台
k1 支持フレーム部
k2 載置台
k3 引き出し
k4 ペダル
k5 持上支持部材
k6 ガイド部材
k7 リンク部材
k8 弾性バネ
k9 第1のストッパ
k10 第2のストッパ
S 操作部
s1 表示部
s2 各種操作ボタン
m1 投下バルブ用モータ
m2 攪拌部材用モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20