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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083526
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】液体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240614BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240614BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B41J2/165 203
B41J2/175 119
B41J2/01 451
B41J2/165 211
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063093
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2022084833の分割
【原出願日】2017-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】洞出 賢太
(57)【要約】
【課題】装着ケースにカートリッジが装着され、メンテナンス処理が受け付けられてから、メンテナンス処理が実行されるまでの時間を短くすることができる手段を提供する。
【解決手段】当該装置は、装着ケースにカートリッジが装着されたと判定し、且つ、ハイレベル信号を液面センサから受信した後S10において、メンテナンス処理を受け付けS12、ローレベル信号を液面センサから受信したことに基づいてS14、受け付けたメンテナンス処理を開始するS18。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留された第1液室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
上記装着ケースに装着された上記カートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、
一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、
上記流路と連通されるヘッドと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記コントローラは、
記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出した後、上記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定し、且つ、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が待機時間に到達する前に、上記メンテナンス処理を受け付け、
上記経過時間が上記待機時間に到達したことを条件として、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する液体排出装置。
【請求項2】
温度センサを更に備えており、
上記コントローラは、
上記温度センサから受信した信号による温度が低いほど長くなる上記待機時間を設定する請求項1に記載の液体排出装置。
【請求項3】
液体が貯留された第1液室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
上記装着ケースに装着された上記カートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、
一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、
上記流路と連通されるヘッドと、
インターフェースと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記コントローラは、
記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出した後、上記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定したことに応じて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室に貯留された液体の液量Vcを読み出し、
読み出した上記液量Vcがカートリッジ閾値未満であり、且つ、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が待機時間に到達する前に、上記メンテナンス処理を受け付け、
上記経過時間が上記待機時間に到達したことを条件として、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する液体排出装置。
【請求項4】
上記コントローラは、上記液量Vcが上記カートリッジ閾値未満であることを条件として、上記液量Vcに反比例して長くなるように上記待機時間を決定する請求項3に記載の液体排出装置。
【請求項5】
液体が貯留された第1液室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
上記装着ケースに装着された上記カートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、
一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、
上記流路と連通されるヘッドと、
インターフェースと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記コントローラは、
記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記第2液室に貯留されている液量Vsを算出し、
上記記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出した後、上記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定したことに応じて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室に貯留された液体の液量Vcを読み出し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着される前の上記液量Vsが第1タンク閾値未満であり、且つ、当該液量Vsと読み出した上記液量Vcとの和である総量Vtが総量閾値以上であることを条件として、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する液体排出装置。
【請求項6】
上記コントローラは、
上記第1液室から上記第2液室へ液体が流入する流量Qcを、読み出した上記液量Vcに基づいて決定し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間を上記流量Qcに乗じた液量を、上記装着ケースに上記カートリッジが装着される前の上記液量Vsに加えた更新液量Vsを算出し、
上記総量Vtが上記総量閾値未満であり、且つ上記更新液量Vsが上記第1タンク閾値以上であることに応じて、上記メンテナンス処理を実行する請求項5に記載の液体排出装置。
【請求項7】
上記コントローラは、
上記流量Qcが流量閾値未満であることを条件として、当該流量閾値と上記流量Qcとの差に、上記メンテナンス処理が実行される時間を乗じた液量Vthを、上記第1タンク閾値に加えた第2タンク閾値を算出し、
上記更新液量Vsが上記第2タンク閾値以上であることに応じて、上記メンテナンス処理を実行する請求項6に記載の液体排出装置。
【請求項8】
温度センサを更に備えており、
上記コントローラは、上記温度センサから受信した信号による温度が低いほど、小さくなる上記流量Qcを決定する請求項6又は7に記載の液体排出装置。
【請求項9】
ポンプと、
上記ポンプと接続されたキャップと、を更に具備しており、
上記コントローラは、上記メンテナンス処理の実行において、上記キャップが上記ヘッドのノズルを覆った状態で、上記ポンプを駆動させることによって、上記ヘッドのノズルから液体を排出する請求項1から8のいずれかに記載の液体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を排出する液体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着脱可能なメインタンクと、装着されたメインタンクから供給されたインクを貯留するサブタンクと、サブタンクに貯留されたインクを吐出して画像を記録する画像記録ユニットとを備えるインクジェットプリンタが知られている(例えば、特許文献1)。また、上記インクジェットプリンタは、メインタンク及びサブタンクの内部空間が大気に開放されている。そのため、メインタンクをインクジェトプリンタに装着すると、メインタンクの内部空間の水頭及びサブタンクの内部空間の水頭の差(以下、「水頭差」と表記する。)によって、メインタンク及びサブタンクのそれぞれのインクの液面が同一高さに揃うようにインクが移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-213162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記インクジェットプリンタは、画像記録ユニットに負圧又は正圧を付与することによって、画像記録ユニットからインクを排出するメンテナンス処理を実行する。このメンテナンス処理は、画像記録ユニットにおける流路の目詰まりや気泡の除去などを目的とする処理である。メンテナンス処理は、例えば、ユーザの入力に基づいて実行されたり、所定時間間隔毎や所定枚数の画像記録を実行した後に定期的に実行されたりする。
【0005】
メインタンクのインクが消費されると、メインタンクが交換される。メインタンクが交換されるとき、サブタンクのインクの液面は、交換されるメインタンクのインクの液面と同じである場合がある。また、メインタンクが交換されるとき、交換されるメインタンクが空になっていれば、交換されるメインタンクの液室の底より低い位置にサブタンクのインクの液面がある。初期充填量のインクを貯留するメインタンクがインクジェットプリンタに装着されると、当該メインタンクが装着された直後では、装着されたメインタンク及びサブタンクのそれぞれのインクの液面の高さが異なる。すなわち水頭差が生じる。水頭差を解消するように、メインタンクからサブタンクへインクが流入して、メインタンク及びサブタンクのそれぞれのインクの液面が同一高さに揃う。
【0006】
インクジェットプリンタにメインタンクが装着された直後にメンテナンス処理が受け付けられることがある。メンテナンス処理が実行されると、サブタンクのインクの液面が十分に上昇していない状態で、サブタンクからインクが流出する。サブタンクから画像記録ユニットへ流出するインクの流量が、メインタンクからサブタンクへ流入するインクの流量より大きければ、サブタンクのインクの液面が降下する。その結果、サブタンクから画像記録ユニットへ向かって空気が進入するおそれがある。したがって、メインタンクが交換された直後は、メンテナンス処理を受け付けても実行せず、メインタンク及びサブタンクのそれぞれのインクの液面が同一高さに揃うまで、受け付けたメンテナンス処理の実行を待機することが考えられる。
【0007】
しかしながら、インクジェットプリンタにメインタンクが装着され、メンテナンス処理が受け付けられてから、メンテナンス処理が実行されるまでの時間が長ければ、次の不具合が懸念される。すなわち、ユーザは、メンテナンス処理の受付や実行に不具合が生じたものと誤解するおそれがある。また、メンテナンス処理後にインクジェットプリンタが使用可能となるまでに、ユーザを長時間待たせることとなる。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装着ケースにカートリッジが装着され、メンテナンス処理が受け付けられてから、メンテナンス処理が実行されるまでの時間を短くすることができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る液体排出装置は、液体が貯留された第1液室を有するカートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、上記流路と連通されるヘッドと、液面センサと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出し、上記第2液室内の液面の位置が所定位置以上であることに応じて上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、上記記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出した後、上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置未満であることに応じて上記液面センサが出力する第2信号を、上記液面センサから受信し、上記第2信号を上記液面センサから受信した後において、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定し、且つ、上記第2信号を上記液面センサから受信した後において、上記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、上記第1信号を上記液面センサから受信したことに基づいて、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する。
【0010】
上記構成によれば、装着ケースにカートリッジが装着された後、液面センサから第1信号を受信する前にメンテナンス処理を受け付けたときに、液面センサから第1信号を受信するまでメンテナンス処理が実行されない。これにより、第2液室からヘッドへ向かって空気が進入することなく、メンテナンス処理を受け付けてから実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0011】
(2) 好ましくは、上記コントローラは、受け付けた上記メンテナンス処理を実行している間に、上記第2信号を上記液面センサから受信したことに応じて、実行している上記メンテナンス処理を中断し、実行している上記メンテナンス処理を中断した後に、上記第1信号を上記液面センサから受信したことに応じて、中断している上記メンテナンス処理を実行する。
【0012】
上記構成によれば、第1液室から第2液室への液体の流れが悪いなどを原因として、メンテナンス処理を実行している間に、第2液室の液面が所定位置未満となったときには、メンテナンス処理が中断されるので、第2液室からヘッドへ向かって空気が進入することが抑制される。
【0013】
(3) 好ましくは、上記コントローラは、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点から、上記第1信号を上記液面センサから受信するまでの第1経過時間が、第1時間に到達していることに応じて、上記第1信号を上記液面センサから受信しても上記メンテナンス処理を実行せず、上記第1信号を上記液面センサから受信してからの第2経過時間が、第2時間に到達したことに応じて、上記メンテナンス処理を実行する。
【0014】
上記構成によれば、第1液室から第2液室への液体の流量が少ないときには、装着ケースにカートリッジが装着されてメンテナンス処理を受け付けた後、メンテナンス処理を開始するタイミングを液面センサから第1信号を受信したときよりも遅くすることができる。これにより、第2液室からヘッドへ向かって空気が進入することが抑制される。
【0015】
(4) 好ましくは、上記液体排出装置は、報知機を更に備えており、上記コントローラは、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの第3経過時間が、上記第1時間より長い第3時間に到達したこと、且つ、上記第1信号を受信せずに上記第2信号を上記液面センサから受信したことに応じて、上記報知機を作動する。
【0016】
上記構成によれば、第1液室から第2液室への液体の流量が更に少ないときには、第1液室から第2液室への液体の流入に異常があることがユーザに知らされる。
【0017】
(5) 本発明に係る液体排出装置は、液体が貯留された第1液室を有するカートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、上記流路と連通されるヘッドと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、上記記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出した後、上記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定し、且つ、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が待機時間に到達する前に、上記メンテナンス処理を受け付け、上記経過時間が上記待機時間に到達したことを条件として、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する。
【0018】
上記構成によれば、装着ケースにカートリッジが装着された後、第4時間が経過する前に、メンテナンス処理を受け付けたときに、第2液室からヘッドへ向かって空気が進入することなく、メンテナンス処理を受け付けてから実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0019】
(6) 上記液体排出装置は、温度センサを更に備えており、上記コントローラは、上記温度センサから受信した信号による温度が低いほど長くなる上記待機時間を設定する。
【0020】
上記構成によれば、温度が低く液体の粘度が高いことにより、第1液室から第2液室への流量が少なくなれば、装着ケースにカートリッジが装着されてメンテナンス処理を受け付けた後、メンテナンス処理を実行するタイミングが遅くなるので、第2液室からヘッドへ向かって空気が進入することが抑制される。
【0021】
(7) 本発明に係る液体排出装置は、液体が貯留された第1液室を有するカートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、上記流路と連通されるヘッドと、インターフェースと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、上記記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出した後、上記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定したことに応じて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室に貯留された液体の液量Vcを読み出し、読み出した上記液量Vcがカートリッジ閾値未満であり、且つ、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が待機時間に到達する前に、上記メンテナンス処理を受け付け、上記経過時間が上記待機時間に到達したことを条件として、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する。
【0022】
上記構成によれば、装着ケースに装着されたカートリッジの第1液室の液量Vcがカートリッジ閾値未満であって、待機時間が経過する前に、メンテナンス処理を受け付けたときに、第2液室からヘッドへ向かって空気が進入することを抑制できる。また、メンテナンス処理を受け付けてから実行されるまでの時間を短くすることができる。装着ケースに装着されたカートリッジの第1液室の液量Vcがカートリッジ閾値以上であれば、直ちにメンテナンス処理を実行することが可能である。
【0023】
(8) 好ましくは、上記コントローラは、上記液量Vcが上記カートリッジ閾値未満であることを条件として、上記液量Vcに反比例して長くなるように上記待機時間を決定する。
【0024】
上記構成によれば、液量Vcに応じて、装着ケースにカートリッジが装着されてからメンテナンス処理を受け付けた後、実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0025】
(9) 本発明に係る液体排出装置は、液体が貯留された第1液室を有するカートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、上記流路と連通されるヘッドと、インターフェースと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、上記第2液室に貯留されている液量Vsを算出し、上記記録指示に基づいて上記ヘッドからインクを排出した後、上記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定したことに応じて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室に貯留された液体の液量Vcを読み出し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着される前の上記液量Vsが第1タンク閾値未満であり、且つ、当該液量Vsと読み出した上記液量Vcとの和である総量Vtが総量閾値以上であることを条件として、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する。
【0026】
上記構成によれば、装着ケースにカートリッジが装着されてメンテナンス処理を受け付けた後、実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0027】
(10) 好ましくは、上記コントローラは、上記第1液室から上記第2液室へ液体が流入する流量Qcを、読み出した上記液量Vcに基づいて決定し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間を上記流量Qcに乗じた液量を、上記装着ケースに上記カートリッジが装着される前の上記液量Vsに加えた更新液量Vsを算出し、上記総量Vtが上記総量閾値未満であり、且つ上記更新液量Vsが上記第1タンク閾値以上であることに応じて、上記メンテナンス処理を実行する。
【0028】
上記構成によれば、総量が総量閾値未満であるときに、装着ケースにカートリッジが装着されてメンテナンス処理を受け付けた後、実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0029】
(11) 好ましくは、上記コントローラは、上記流量Qcが流量閾値未満であることを条件として、当該流量閾値と上記流量Qcとの差に、上記メンテナンス処理が実行される時間を乗じた液量Vthを、上記第1タンク閾値に加えた第2タンク閾値を算出し、上記更新液量Vsが上記第2タンク閾値以上であることに応じて、上記メンテナンス処理を実行する。
【0030】
上記構成によれば、流量Qcに応じて、装着ケースにカートリッジが装着されてメンテナンス処理を受け付けた後、実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0031】
(12) 上記液体排出装置は、温度センサを更に備えており、上記コントローラは、上記温度センサから受信した信号による温度が低いほど、小さくなる上記流量Qcを決定する。
【0032】
上記構成によれば、温度が低く液体の粘度が高いことにより、第1液室から第2液室への流量が少なくなれば、決定される流量Qcも小さくなるので、第2液室からヘッドへ向かって空気が進入することが抑制される。
【0033】
(13) 上記液体排出装置は、ポンプと、上記ポンプと接続されたキャップと、を更に具備しており、上記コントローラは、上記メンテナンス処理の実行において、上記キャップが上記ヘッドのノズルを覆った状態で、上記ポンプを駆動させることによって、上記ヘッドのノズルから液体を排出する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、装着ケースにカートリッジが装着され、メンテナンス処理が受け付けられてから、メンテナンス処理が実行されるまでの時間を短くすることができる。また、装着ケースにカートリッジが装着された後に、メンテナンス処理が実行されることによって、第2液室からヘッドへ向けて空気が進入するおそれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、プリンタ10の外観斜視図であって、(A)はカバー87が閉塞位置である状態、(B)はカバー87が開放位置である状態を示す。
図2図2は、プリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
図3図3は、メンテナンス機構70の構成を模式的に示す図である。
図4図4は、装着ケース150の縦断面図である。
図5図5は、カートリッジ200の構造を示す図であって、(A)は前方斜視図を、(B)は縦断面図を示す。
図6図6は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態の縦断面図である。
図7図7は、プリンタ10のブロック図である。
図8図8は、第1実施形態のメンテナンス処理のフローチャートである。
図9図9(A)は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが全て消費された後の状態を示しており、図9(B)は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されて、液室210から液室171へインクが移動している状態を示す。
図10図10は、第2実施形態のメンテナンス処理のフローチャートである。
図11図11は、第3実施形態のメンテナンス処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下に説明される各実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の各実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、プリンタ10が使用可能に水平面に設置された使用姿勢を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の開口13が形成された面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から見て左右方向9が定義される。各実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
【0037】
[第1実施形態]
[プリンタ10の概要]
本実施形態に係るプリンタ10は、インクジェット記録方式でシートに画像を記録する液体排出装置の一例である。プリンタ10は、概ね直方体形状の筐体14を有している。また、プリンタ10は、ファクシミリ機能、スキャン機能、及びコピー機能などの機能を有する、所謂、「複合機」であってもよい。
【0038】
筐体14の内部には、図1から図3に示されるように、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ25と、複数のノズル29を有するヘッド21と、ヘッド21に対面するプラテン26と、排出ローラ27と、排出トレイ16と、カートリッジ200が着脱される装着ケース150と、ヘッド21及び装着ケース150に装着されたカートリッジ200を連通させるチューブ32と、メンテナンス機構70と、が位置している。
【0039】
プリンタ10は、給送ローラ23及び搬送ローラ25を駆動させて、給送トレイ15に支持されたシートをプラテン26の位置まで搬送する。次に、プリンタ10は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200からチューブ32を通じて供給されるインクを、ヘッド21にノズル29を通じて吐出させる。これにより、プラテン26に支持されたシートにインクが着弾して、シート上に画像が記録される。そして、プリンタ10は、排出ローラ27を駆動させて、画像が記録されたシートを排出トレイ16に排出する。
【0040】
より詳細には、ヘッド21は、搬送ローラ25によるシートの搬送向きと交差する主走査方向に往復移動するキャリッジに搭載されていてもよい。そして、プリンタ10は、主走査方向の一方から他方へキャリッジを移動させる過程で、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させてもよい。これにより、ヘッド21に対面するシートの一部の領域に画像が記録される。次に、プリンタ10は、次に画像が記録されるべき領域がヘッド21に対面するように、搬送ローラ25にシートを搬送させてもよい。そして、これらの処理を交互に繰り返し実行させることによって、1枚のシートに画像が記録される。
【0041】
なお、以下の説明においては、画像記録におけるヘッド21のノズル29からのインクの排出が「吐出」と称され、他方、パージにおけるヘッド21のノズル29からのインクの排出が「吐出」と称されない。しかし、「吐出」は「排出」に含まれる概念である。
【0042】
[メンテナンス機構70]
以下、図3を参照してメンテナンス機構70が説明される。メンテナンス機構70は、ヘッド21のメンテナンスを行うものである。より詳細には、メンテナンス機構70は、ノズル29内のインクや空気、及びノズル面に付着した異物を吸引するパージ動作を実行する。また、ノズル29内のインクや空気、及びノズル面に付着した異物のことを、以下ではインク等と表記する。メンテナンス機構70によって吸引除去されたインク等は、廃液タンク74に貯留される。
【0043】
メンテナンス機構70は、ヘッド21がシートに画像を記録する領域から主走査方向の一方(右方)に外れた位置(以下、「ホームポジション」とも称する。)にある。メンテナンス機構70は、キャップ71と、チューブ72と、ポンプ73とを備えている。
【0044】
キャップ71は、ゴムにより構成されている。キャップ71は、ヘッド21がホームポジションに位置するときに、ヘッド21に対面する。チューブ72は、キャップ71と廃液タンク74とを連通させるものである。チューブ72は、キャップ71からポンプ73を経由して廃液タンク74に至る。ポンプ73は、例えば、ロータリ式のチューブポンプである。ポンプ73は、不図示のモータに駆動されることによって、ノズル29内のインク等をキャップ71及びチューブ72を通じて吸引し、チューブ72を通じて廃液タンク74に排出する。
【0045】
キャップ71は、不図示の昇降機構によって、それぞれが上下方向7に離間した離間位置と、被覆位置との間を移動可能に構成されている。被覆位置のキャップ71は、ホームポジションのヘッド21のノズル面に密着して当該ノズル面を覆う。ノズル面には、複数のノズル29が開口する。一方、離間位置のキャップ71は、ノズル面から離間する。
【0046】
[カバー87]
図1に示されるように、筐体14の前面14Aで且つ左右方向9の右端部には、開口85が形成されている。筐体14は、さらにカバー87を備える。カバー87は、開口85を閉塞させる閉塞位置(図1(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(図1(B)に示される位置)との間を回動可能である。カバー87は、例えば、上下方向7における筐体14の下端近傍において、左右方向9に沿う回動軸線周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。そして、開口85の奥に広がる筐体14内部の収容空間86には、装着ケース150が位置している。
【0047】
[カバーセンサ88]
プリンタ10は、カバーセンサ88(図7参照)を有する。カバーセンサ88は、例えば、カバー87が接離するスイッチ等の機械式センサであってもよいし、カバー87の位置によって光が遮断或いは透過される光学式センサであってもよい。カバーセンサ88は、カバー87の位置に応じた信号をコントローラ130に出力する。より詳細には、カバーセンサ88は、カバー87が閉塞位置に位置していることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、カバーセンサ88は、カバー87が閉塞位置と異なる位置に位置していることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。換言すれば、カバーセンサ88は、カバー87が開放位置に位置していることに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
【0048】
[装着ケース150]
図4に示されるように、装着ケース150は、接点152と、ロッド153と、装着センサ154と、液面センサ155と、ロックピン156とを備えている。装着ケース150には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つのカートリッジ200が収容可能である。すなわち、装着ケース150は、接点152、ロッド153、装着センサ154、液面センサ155は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つずつ備えている。なお、装着ケース150に収容可能なカートリッジ200の数は、4つに限定されず、1つでも良いし、5つ以上でも良い。
【0049】
装着ケース150は、装着されたカートリッジ200を収容する内部空間を有する箱形状である。装着ケース150の内部空間は、上端を画定する天壁と、下端を画定する底壁と、前後方向8の後端を画定する奥壁と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁とで画定される。一方、装着ケース150の奥壁と対面する位置は、開口85となっている。すなわち、開口85は、カバー87を開放位置に位置したときに、装着ケース150の内部空間を、プリンタ10の外部に開放させる。
【0050】
そして、カートリッジ200は、筐体14の開口85を通じて、装着ケース150に挿入され、装着ケース150から抜かれる。より詳細には、カートリッジ200は、開口85を前後方向8に沿う後ろ向きに通過して、装着ケース150に装着される。装着ケース150から抜かれるカートリッジ200は、開口85を前後方向8に沿う前向きに通過する。
【0051】
[接点152]
接点152は、装着ケース150の天壁に位置している。接点152は、天壁から装着ケース150の内部空間へ向けて下方に突出している。接点152は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する電極248に接する位置に位置している。接点152は、導電性を有しており、さらに上下方向7に沿って弾性的に変形可能である。接点152は、コントローラ130に電気的に接続されている。接点152は、インターフェースの一例である。
【0052】
[ロッド153]
ロッド153は、装着ケース150の奥壁から前方へ突出している。ロッド153は、装着ケース150の奥壁において、後述するジョイント180より上方に位置している。ロッド153は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、カートリッジ200の後述する大気連通口221を通じて大気バルブ室214に進入する。ロッド153が大気バルブ室214に進入すると、後述する大気バルブ室214が大気に連通される。
【0053】
[装着センサ154]
装着センサ154は、装着ケース150の天壁に位置している。装着センサ154は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されているか否かを検出するためのセンサである。装着センサ154は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する遮光リブ245は、装着センサ154の発光部及び受光部の間に位置する。換言すれば、装着センサ154の発光部及び受光部は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の遮光リブ245を挟んで、互いに対向した状態で位置している。
【0054】
装着センサ154は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる信号(図中では、「装着信号」と表記する。)を出力する。装着センサ154は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、装着センサ154は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
【0055】
[液面センサ155]
液面センサ155は、後述するアクチュエータ190の被検出部194が検出位置に位置しているか否かを検出するためのセンサである。液面センサ155は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。換言すれば、液面センサ155の発光部及び受光部は、検出位置に位置した被検出部194を挟んで、互いに対向した状態で位置している。液面センサ155は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる信号(図中では、「液面信号」と表記する。)を出力する。液面センサ155は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液面センサ155は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。ローレベル信号が第1信号の一例である。ハイレベル信号が、第2信号の一例である。
【0056】
[ロックピン156]
ロックピン156は、装着ケース150の内部空間の上端で且つ開口85付近において、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックピン156の左右方向9の両端は、装着ケース150の一対の側壁に固定されている。ロックピン156は、4つのカートリッジ200が収納可能な4つの空間に亘って左右方向9に延びている。ロックピン156は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を、図6に示される装着位置に保持するためのものである。カートリッジ200は、装着ケース150に装着された状態で、ロックピン156に係合される。
【0057】
[タンク160]
プリンタ10は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つのタンク160を備える。4つのタンク160の構成は概ね共通するため、以下では、1つのタンク160を説明する。タンク160は、装着ケース150の奥壁よりさらに後方に位置している。タンク160は、図4に示されるように、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、不図示の一対の側壁とで構成されている。なお、前壁162は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成される。タンク160の内部は、液室171が形成されている。液室171は、第2液室の一例である。
【0058】
タンク160を構成する壁のうち、少なくとも液面センサ155に対面する壁は、透光性を有している。これにより、液面センサ155が出力した光は、液面センサ155に対面する壁を透過することができる。後壁164の少なくとも一部は、上壁161、下壁163、及び側壁の端面に溶着されるフィルムでもよい。また、タンク160の側壁は、装着ケース150と共通でもよいし、装着ケース150とは独立していてもよい。さらに、左右方向9に隣接するタンク160の間は、不図示の隔壁によって仕切られている。
【0059】
液室171は、流出口174を通じて不図示のインク流路に連通されている。流出口174の下端は、液室171の下端を画定する下壁163によって画定されている。流出口174は、ジョイント180(より詳細には、貫通孔184の下端)より上下方向7の下方に位置している。流出口174に連通された不図示のインク流路は、チューブ32(図2参照)に連通されている。これにより、液室171は、流出口174からインク流路及びチューブ32を通じて、ヘッド21と連通する。つまり、液室171に貯留されたインクは、流出口174からインク流路及びチューブ32を通じて、ヘッド21へ供給される。流出口174に連通されたインク流路及びチューブ32は、一端(流出口174)が液室171に連通され、且つ他端33(図2参照)がヘッド21に連通された流路となる。
【0060】
液室171は、大気連通室175を通じて大気に連通されている。より詳細には、大気連通室175は、前壁162を貫通する貫通孔176を通じて液室171に連通されている。貫通孔176は、半透膜178によって被覆されている。半透膜178は、大気を通過させるが、インクを通過させない性質を有する。または、半透膜178は、半透膜178を通過する大気よりも、半透膜178を通過するインクに対して、大きな抵抗を付与する性質を有していてもよい。また、大気連通室175は、大気連通ポート177及び大気連通ポート177に接続された不図示のチューブを通じて、プリンタ10の外部に連通されている。なお、大気連通室175は、大気連通ポート177及び不図示のチューブを通じて、大気に連通している。
【0061】
[ジョイント180]
図4に示されるように、ジョイント180は、ニードル181と、ガイド182とを備えている。ニードル181は、内部に流路が形成された管である。ニードル181は、液室171を画定する前壁162から前方へ突出している。ニードル181の前端には、開口183が形成されている。また、ニードル181の内部空間は、前壁162を貫通する貫通孔184を通じて液室171に連通されている。ガイド182は、ニードル181の周囲に配置された円筒形状の部材である。ガイド182は、前壁162から前方に突出して、前端が開口している。
【0062】
ニードル181の内部空間には、バルブ185と、コイルバネ186とが位置している。バルブ185は、ニードル181の内部空間において、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ185は、閉塞位置に位置すると開口183を閉塞する。またバルブ185は、開放位置に位置すると開口183を開放する。コイルバネ186は、バルブ185を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8の前向きに付勢している。
【0063】
[アクチュエータ190]
図4に示されるように、液室171には、アクチュエータ190が位置している。アクチュエータ190は、液室171内に配置された不図示の支持部材によって、矢印198、199の向きに回動可能に支持されている。アクチュエータ190は、図4の実線で示される位置及び破線で示される位置の間を回動することができる。さらに、アクチュエータ190は、不図示のストッパ(例えば、液室171の内壁)によって、実線の位置より矢印198の向きへの回動が規制される。アクチュエータ190は、フロート191と、軸192と、アーム193と、被検出部194とを備える。
【0064】
フロート191は、液室171に貯留されるインクより比重が小さい材料で形成されている。軸192は、フロート191の右面及び左面から左右方向9に沿って突出している。軸192は、支持部材に形成された不図示の孔に挿入されている。これにより、アクチュエータ190は、軸192を中心として回動可能に支持部材によって支持される。アーム193は、フロート191から略上方へ延びている。被検出部194は、アーム193の突出先端部に位置している。被検出部194は、上下方向7及び前後方向8に延びる板状の部材である。被検出部194は、液面センサ155の発光部から出力された光を遮光する材料又は色で形成されている。
【0065】
液室171内のインクの液面が所定位置P以上のとき、浮力によって矢印198の向きに回動されたアクチュエータ190は、ストッパによって図4の実線で示される検出位置に保持される。一方、インクの液面が所定位置P未満のとき、アクチュエータ190は、液面の降下に追従して矢印199の向きに回動する。これにより、被検出部194は、検出位置から外れた位置に移動する。すなわち、被検出部194は、液室171に貯留されたインクの量に対応する位置に移動する。
【0066】
所定位置Pは、上下方向7において、ニードル181の軸中心と同じ高さであり、且つ後述するインク供給口234の中心と同じ高さである。しかしながら、所定位置Pは、上下方向7における流出口174より上方の位置であれば、前述の位置に限定されない。他の例として、所定位置Pは、ニードル181の内部空間の上端や下端の高さでもよいし、インク供給口234の上端や下端の高さでもよい。
【0067】
液室171に貯留されたインクの液面が所定位置P以上のとき、液面センサ155の発光部から出力された光が被検出部194で遮られる。これにより、液面センサ155は、発光部からの光が受光部に到達しないので、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液室171に貯留されたインクの液面が所定位置P未満のとき、液面センサ155は、発光部から出力された光が被検出部194によって遮られない。これにより、液面センサ155は、発光部からの光が受光部に到達するので、ハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。すなわち、コントローラ130は、液室171内のインクの液面が所定位置P以上か否かを、液面センサ155から出力される信号によって検出することができる。
【0068】
[カートリッジ200]
カートリッジ200は、液体であるインクを内部に貯留可能な液室210(図2参照)を有する容器である。液室210は、例えば、樹脂製の壁によって画定されている。カートリッジ200は、図5(A)に示されるように、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。なお、異なる色のインクが貯留されるカートリッジ200の外形形状は、同一でもよいし、異なっていてもよい。カートリッジ200を構成する壁のうちの少なくとも一部は、透光性を有している。これにより、ユーザは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの液面をカートリッジ200の外部から視認することができる。
【0069】
カートリッジ200は、筐体201と、供給管230とを備える。筐体201は、後壁202と、前壁203と、上壁204と、下壁205と、一対の側壁206、207とで構成されている。なお、後壁202は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成されている。また、上壁204は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。さらに、下壁205は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。
【0070】
カートリッジ200の内部空間には、図5(B)に示されるように、液室210、インクバルブ室213、及び大気バルブ室214が形成されている。液室210は、上部液室211と、下部液室212とを有する。上部液室211、下部液室212、及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間である。一方、インクバルブ室213は、供給管230の内部空間である。液室210は、インクを貯留する。大気バルブ室214は、液室210とカートリッジ200の外部とを連通させる。液室210は、第1液室の一例である。
【0071】
液室210の上部液室211及び下部液室212は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁215によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び下部液室212は、隔壁215に形成された貫通孔216によって連通されている。また、上部液室211及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁217によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び大気バルブ室214は、隔壁217に形成された貫通孔218によって連通されている。さらに、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて下部液室212の下端に連通されている。
【0072】
大気バルブ室214は、カートリッジ200の上部において、後壁202に形成された大気連通口221を通じてカートリッジ200の外部に連通されている。すなわち、大気バルブ室214は、一端(貫通孔218)が液室210(より詳細には、上部液室211)に連通され、且つ他端(大気連通口221)がカートリッジ200の外部に連通された流路となる。なお、大気バルブ室214は、大気連通口221を通じて、大気に連通している。また、大気バルブ室214には、バルブ222と、コイルバネ223とが位置している。バルブ222は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ222は、閉塞位置に位置すると、大気連通口221を閉塞する。また、バルブ222は、開放位置に位置すると大気連通口221を開放する。コイルバネ223は、バルブ222を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8の後ろ向きに付勢している。
【0073】
また、大気バルブ室214は、隔壁224によって、前後方向8において2つの部屋に分けられている。前後方向8の後方に位置する部屋には、バルブ222及びコイルバネ223が設けられており、大気連通口221を通じて外部と連通している。前後方向8の前方に位置する部屋は、貫通孔218を通じて上部液室211と連通している。隔壁224には貫通孔225が形成されている。貫通孔225は、前後方向8に分かれた2つの部屋を連通している。貫通孔225は、半透膜226によって被覆されている。半透膜226は、大気を通過させるが、インクを通過させない性質を有する。または、半透膜226は、半透膜226を通過する大気よりも、半透膜226を通過するインクに対して、大きな抵抗を付与する性質を有していてもよい。
【0074】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロッド153が大気連通口221を通じて大気バルブ室214内に進入する。大気バルブ室214内に進入したロッド153は、閉塞位置のバルブ222をコイルバネ223の付勢力に抗して前向きに移動させる。そして、バルブ222が開放位置に移動することによって、上部液室211が大気に連通される。なお、大気連通口221を開放するための構成は、前述の例に限定されない。他の例として、大気連通口221を封止するフィルムをロッド153が突き破る構成でもよい。
【0075】
供給管230は、筐体201の下部において、後壁202から後方に突出している。供給管230は、その突出端(すなわち、後端)が開口されている。すなわち、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて連通された液室210と、カートリッジ200の外部とを連通させる。インクバルブ室213及びニードル181の内部空間は、一方(貫通孔219)が液室210(より詳細には下部液室212)と連通され、且つ他方(貫通孔184、図4参照)がタンク160の液室171と連通された流路の一例である。また、インクバルブ室213には、パッキン231と、バルブ232と、コイルバネ233とが位置している。
【0076】
パッキン231の中央には、前後方向8に貫通したインク供給口234が形成されている。インク供給口234の内径は、ニードル181の外径より僅かに小さい。バルブ232は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ232は、閉塞位置に位置すると、パッキン231と当接してインク供給口234を閉塞する。また、バルブ232は、開放位置に位置すると、パッキン231から離間してインク供給口234を開放する。コイルバネ233は、バルブ232を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8の後ろ向きに付勢している。また、コイルバネ233の付勢力は、コイルバネ186より大きい。
【0077】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、供給管230がガイド182内に進入し、やがてニードル181がインク供給口234を通じてインクバルブ室213に進入する。このとき、ニードル181は、パッキン231を弾性変形させつつ、インク供給口234を画定する内周面に液密に接触する。カートリッジ200が装着ケース150へさらに挿入されると、ニードル181は、バルブ232をコイルバネ233の付勢力に抗して前向きに移動させる。また、バルブ232は、ニードル181の開口183から突出するバルブ185を、コイルバネ186の付勢力に抗して後ろ向きに移動させる。
【0078】
これにより、図6に示されるように、インク供給口234及び開口183が開放されて、供給管230のインクバルブ室213と、ニードル181の内部空間とが連通される。すなわち、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、インクバルブ室213及びニードル181の内部空間は、カートリッジ200の液室210とタンク160の液室171とを連通させる流路を構成する。
【0079】
また、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、液室210の一部と、液室171の一部とは、水平方向から見て互いに重なる。その結果、液室210に貯留されたインクは、接続された供給管230及びジョイント180を通じて、水頭差によってタンク160の液室171に移動する。
【0080】
図5に示されるように、上壁204には、突起241が形成されている。突起241は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。突起241は、ロック面242と、傾斜面243とを有する。ロック面242及び傾斜面243は、上壁204より上方に位置している。ロック面242は、前後方向8の前方を向き且つ上下方向7及び左右方向9に延びている(すなわち、上壁204と概ね直交する)。傾斜面243は、上下方向7の上方及び前後方向8の後方を向くように、上壁204に対して傾斜している。
【0081】
ロック面242は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、ロックピン156に当接される面である。傾斜面243は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロックピン156をロック面242と当接する位置まで案内する面である。ロック面242とロックピン156とが当接した状態では、コイルバネ186、223、233の付勢力に抗して、カートリッジ200が、図6に示される装着位置に保持される。
【0082】
ロック面242より前方において上壁204から上方へと延びるようにして、平板状の部材が形成されている。この平板状の部材の上面は、カートリッジ200を装着ケース150から抜く際に、ユーザが操作する操作部244である。カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態で且つカバー87が開放位置に位置しているとき、操作部244は、ユーザに操作可能となる。操作部244が下方へ押されると、カートリッジ200が回動することによって、ロック面242がロックピン156より下方へ移動する。その結果、ユーザは、カートリッジ200が装着ケース150から抜くことが可能となる。
【0083】
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ突起241より後方には、遮光リブ245が形成されている。遮光リブ245は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。遮光リブ245は、装着センサ154の発光部から出力される光を遮光する材料又は色で形成されている。遮光リブ245は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、装着センサ154の発光部から受光部に至る光路上に位置する。すなわち、装着センサ154は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130に出力する。一方、装着センサ154は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていないことに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130に出力する。すなわち、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを、装着センサ154から出力される信号によって検出することができる。
【0084】
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ前後方向8における遮光リブ245及び突起241の間には、IC基板247が位置している。IC基板247には、電極248が形成されている。また、IC基板247は、不図示のメモリを備える。電極248は、IC基板247の上記メモリと電気的に接続されている。電極248は、IC基板247の上面において、接点152と導通可能に露出されている。すなわち、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態において、電極248は、接点152と導通する。コントローラ130は、接点152及び電極248を通じてIC基板247のメモリから情報を読み出し、接点152及び電極248を通じてIC基板247のメモリに情報を書き込むことができる。IC基板247のメモリが、カートリッジメモリの一例である。
【0085】
IC基板247のメモリは、インク量Vcと、カートリッジ200の個体を識別するための識別情報などを記憶する。以下、IC基板247のメモリに記憶されている情報を総称して、「CTG情報」と表記することがある。新品のカートリッジ200のIC基板247のメモリには、インク量Vcとして、初期インク量Vc0が記憶されている。初期インク量Vc0は、新品のカートリッジ200に貯留されているインクの量である。また、「新品」とは、いわゆる未使用品であり、製造されて販売されているカートリッジ200から、カートリッジ200内のインクが一度も外部へ流出していない状態を示す。初期カートリッジとは、液室210からインクが外部へ流出していない状態のものである。
【0086】
[コントローラ130]
図7に示されるように、コントローラ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。ROM132、RAM133、及びEEPROM134は、メモリの一例である。
【0087】
ASIC135は、給送ローラ23、搬送ローラ25、排出ローラ27、ヘッド21、及びポンプ73を動作させるためのものである。コントローラ130は、ASIC135を通じて不図示のモータを駆動させることによって、給送ローラ23、搬送ローラ25、及び排出ローラ27を回転させたり、ポンプ73を駆動させたりする。また、コントローラ130は、ASIC135を通じてヘッド21の駆動素子に駆動信号を出力することによって、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させる。ASIC135は、ノズル29を通じて吐出すべきインク滴の大きさに応じて、複数種類の駆動信号を出力可能である。
【0088】
また、ASIC135には、ディスプレイ17と、操作パネル22とが接続されている。ディスプレイ17は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、各種情報を表示する表示面を備える。ディスプレイ17は、報知機の一例である。但し、報知機の具体例はディスプレイ17に限定されず、スピーカ、LEDランプ、或いはこれらの組み合わせでもよい。操作パネル22は、ユーザによる操作に応じた操作信号をコントローラ130に出力する。操作パネル22は、例えば、押ボタンを有していてもよいし、ディスプレイに重畳されたタッチセンサを有していてもよい。
【0089】
さらに、ASIC135には、接点152と、カバーセンサ88と、装着センサ154と、液面センサ155とが電気的に接続されている。コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247のメモリに、接点152を通じてアクセスする。コントローラ130は、カバー87の位置をカバーセンサ88を通じて検出する。また、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを装着センサ154を通じて検出する。さらに、コントローラ130は、液室171内のインクの液面が所定位置P以上か否かを液面センサ155を通じて検出する。
【0090】
EEPROM134は、装着ケース150に装着される4つのカートリッジ200それぞれに対応付けて、換言すれば、カートリッジ200と連通されるタンク160それぞれに対応付けて、各種情報を記憶している。各種情報とは、例えば、液量の一例であるインク量Vc、Vsと、関数Fと、閾値となる各値T1,T2,T3や待機時間Tw1,Tw2,Tw3、識別情報など、を含む。時間T1は、第1時間の一例である。待機時間Tw1は、第2時間の一例である。時間T2は、第3時間の一例である。
【0091】
なお、IC基板247のメモリが記憶するインク量Vc及び識別情報は、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態で、接点152を通じてコントローラ130によって読み出される情報である。コントローラ130は、接点152を通じてIC基板247のメモリから読み出したインク量Vc及び識別情報を、EEPROM134に記憶する。関数Fは、EEPROM134に代えて、ROM132に記憶されていてもよい。
【0092】
インク量Vcは、カートリッジ200の液室210に貯留されているインクの量を示す。インク量Vsは、タンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す。インク量Vc、Vsは、例えば、関数Fによって算出される。関数Fは、インクの総量Vtと、インク量Vcと、インク量Vcとの対応関係を示す情報である。カートリッジ200の液室210のインクと、タンク160の液室171のインクとは、それぞれのインク液面の上下方向7の位置が一致した状態で平衡になる。つまり、平衡状態では、液室210と液室171との間でのインクの移動が停止する。例えば、インクの総量Vtとインク量Vsとの関係は、関数Fで近似することができる。したがって、インクの総量Vtが算出されると、インク量Vs及びインク量Vcが求められる。なお、インク量Vs及びインク量Vcは、関数Fの形式に限定されず、総量Vt毎に対応づけられたテーブルによって求められてもよい。
【0093】
[プリンタ10の動作]
図8を参照して、本実施形態に係るプリンタ10の動作を説明する。図8に示されるメンテナンス処理は、コントローラ130のCPU131によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、コントローラ130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。また、以下の各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0094】
コントローラ130は、操作パネル22にメンテナンス処理の実行がユーザにより入力されることにより、メンテナンス処理を実行する。また、コントローラ130は、予め設定された所定の時間毎に、メンテナンス処理を実行する。ユーザによってプリンタ10に記録指示が入力されると、コントローラ130は、ヘッド21からインクを排出して画像を記録する。ヘッド21がインクを排出している際、インクに溶存した気体が気泡となってヘッド21のノズル29に進入することがある。また、外力などによって、ノズル29においてインクのメニスカスが壊れることがある。その結果、ヘッド21の各ノズル29から所望のインクが排出されなくなる。いずれかのノズル29に異常が発生すると、シートに所望の画像が記録できなくなったり、記録された画像の品質が劣化したりする。
【0095】
いずれかのノズル29の異常に対して、メンテナンス処理が実行されることによって、ノズル29の状態が正常に復活される。メンテナンス処理の実行において、コントローラ130は、ヘッド21をホームポジションに位置させ、ヘッド21のノズル面をキャップで覆う。そして、ポンプ73を駆動して、ヘッド21のノズル29からインク等を吸引することにより、気泡などをノズル29から排出する。
【0096】
ヘッド21がインクを排出することに伴って、装着ケース150に装着されたカートリッジ200に貯留されているインクが消費される。ユーザは、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の液室210に貯留されたインクが全て消費されると、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を、別のカートリッジ200に交換する。別のカートリッジ200は、新品のカートリッジ200であったり、既に何割かのインクが消費されたカートリッジ200であったりする。
【0097】
図9(A)に示されるように、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の液室210に貯留されたインクが全て消費され、さらにタンク160の液室171内のインクの一部が消費されると、液室171内のインクの液面は所定位置P未満となる。液室171内のインクの液面が所定位置P未満になると、液面センサ155がハイレベル信号を出力する。液面センサ155からハイレベル信号を受信したコントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200がエンプティであることをディスプレイ17に表示する。このディスプレイ17の表示を見たユーザは、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を交換する。
【0098】
図9(B)に示されるように、カートリッジ200が交換されると、交換されたカートリッジ200の液室210内のインクの液面と、タンク160の液室171内のインクの液面とには差が生じる。この差は、いわゆる水頭差であり、当該水頭差によって、流量Qcで、液室210から液室171へインクが移動する。すなわち、液室171に流量Qcでインクが流入する。液室210のインクの液面と、液室171のインクの液面とが揃う前に、メンテナンス処理が実行されると、液室171から流量Qpでインクが流出する。仮に、流量Qpが流量Qcより大きい(流量Qp>流量Qc)メンテナンス処理が実行されると、液室171内のインクの液面が下降して、流出口174へ到達するおそれがある。液室171のインクの液面が流出口174へ到達すると、チューブ32及びヘッド21へ向かって気体が進入する。チューブ32及びヘッド21へ向かって気体が進入することを防止するために、コントローラ130は、ユーザによって、カートリッジ200が交換された後にメンテナンス処理の実行が入力されたときには、以下に示す制御を実行する。
【0099】
コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を受信したことに基づいて、図8に示される処理を実行する。コントローラ130は、その後に装着センサ154からローレベル信号を受信したかを判定する(S10)。コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したことに応じて(S10:Yes)、その時刻をEEPROM134に記憶する。なお、前記時刻は、実質的にカートリッジ200が装着ケース150に装着された時点の時刻である。また、コントローラ130が、装着センサ154からローレベル信号を受信している際は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されている。また、コントローラ130が、装着センサ154からハイレベル信号を受信している際は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていない。
【0100】
つづいて、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247のメモリから、識別情報やインク量VcなどのCTG情報を読み出す(S11)。コントローラ130は、読み出したCTG情報を、EEPROM134に記憶する。
【0101】
そして、コントローラ130は、操作パネル22にメンテナンス処理の実行が入力されたかを判定する(S12)。コントローラ130は、メンテナンス処理の実行が入力されていないと判定すると(S12:No)、液面センサ155から受信した信号がローレベル信号であるかを判定する(S13)。コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信していないと判定したことに応じて(S13:No)、S12を実行する。コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信したと判定したことに応じて(S13:Yes)、メンテナンス処理を含む制御を終了する。なお、コントローラ130が液面センサ155からローレベル信号を受信している際は、液室171内のインクの液面が所定位置P以上である。また、コントローラ130が液面センサ155からハイレベル信号を受信している際は、液室171内のインクの液面が所定位置P未満である。
【0102】
コントローラ130は、メンテナンス処理の実行が入力されたと判定すると(S12:Yes)、液面センサ155から受信した信号がローレベル信号であるかを判定する(S14)。図9(B)に示されるように、例えば、新品のカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、液室210から液室171へのインクの流入が開始する。インクの流入開始後に時間が経過すれば、液室171においてインクの液面が所定位置Pに到達して、液面センサ155がローレベル信号を出力することとなる。
【0103】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信していないと判定したことに応じて(S14:No)、時間ΔT2が、時間T2以上であるかを判定する(S15)。時間ΔT2は、装着センサ154からローレベル信号を受信した時刻から現在の時刻までの時間である。コントローラ130は、時間ΔT2が時間T2に到達していないと判定したことに応じて(S15:No)、S14を実行する。コントローラ130は、時間ΔT2が時間T2に到達したと判定したことに応じて(S15:Yes)、ディスプレイ17に、メンテナンス処理がエラーである旨を示す画面を表示させ(S16)、この制御を終了する。時間T2は、例えば、後述される時間T1より長い時間として予め設定されている。
【0104】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信したことに応じて(S14:Yes)、時間ΔT1が、時間T1以上であるかを判定する(S17)。時間ΔT1は、装着センサ154からローレベル信号を受信した(S10:Yes)時刻から、液面センサ155からローレベル信号を受信した(S14):Yes)時刻までの時間である。コントローラ130は、時間ΔT1が時間T1未満であると判定したことに応じて(S17:No)、メンテナンス処理を開始する(S18)。すなわち、ヘッド21のノズル29を通じた吸引動作を開始する。時間ΔT1が第1経過時間及び第2経過時間の一例である。
【0105】
コントローラ130は、時間ΔT1が時間T1以上であると判定したことに応じて(S17:Yes)、時間Tw1を待機した後(S19)、メンテナンス処理を開始する(S18)。時間Tw1を待機することは、第2経過時間が第2時間に到達したことの一例である。時間T1は、例えば、初期インク量Vc0のインクが液室210に貯留されているカートリッジ200が装着ケース150に装着されてから、液室210から空の液室171にインクが流出して、液室171の液面の位置が所定位置Pとなるに要する時間より長い時間として予め設定されている。
【0106】
時間ΔT1が時間T1以上であるときは、カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へインクが流出する速度(流量Qc)が、流出不良などの原因により遅くなり、通常より長い時間を要していると推定される。したがって、メンテナンス処理が開始された後の液室171へのインクの流量Qcが通常より少なくなる。そのような状態では、液室171の液面が所定位置Pに到達した後、さらに時間Tw1を待機することによって、液室171に十分な量のインクを貯留させ、その後にメンテナンス処理を所定の流量Qpで実行しても、液室171の液面が流出口174の直上付近に到達してしまうことを抑制できる。なお、プリンタ10の設計段階では、基準となる環境(温度や湿度など)において、初期インク量Vc0のインクが液室210に貯留されているカートリッジ200が装着された場合に、カートリッジ200の液室からタンク160の液室171へインクが流出する速度(流量Qc)と、メンテナンス処理によってタンク160に液室171からインクが流出する速度(流量Qp)とが次の関係となるように設計されている。すなわち、液面センサ155がローレベル信号を出力した後の流量Qcが、液面センサ155がローレベル信号を出力した後の流量Qpよりも速くなるように、メンテナンス処理が設定されている。
【0107】
コントローラ130は、メンテナンス処理を開始した後、液面センサ155からハイレベル信号を受信したかを判定する(S20)。コントローラ130は、液面センサ155からハイレベル信号を受信することなく(S20:No)、メンテナンス処理が終了したと判定すると(S21:Yes)、メンテナンス処理を含む制御を終了する。
【0108】
コントローラ130は、メンテナンス処理を開始した後、液面センサ155からハイレベル信号を受信したと判定したことに応じて(S20:Yes)、メンテナンス処理を停止する(S22)。また、S22において、コントローラ130は、液面センサ155からハイレベル信号を受信した時刻をRAM133に記憶する。そして、コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信したかを判定する(S23)。
【0109】
メンテナンス処理によって液室171からチューブ32及びヘッド21へインクが流出する。他方、カートリッジ200の液室210から液室171へインクが流入する。液室171へインクが流入する流量Qcより、液室171からインクが流出する流量Qpが大きくなれば、液室171の液面が下降して所定位置P未満となることがある。液室171の液面が所定位置P未満となると、液面センサ155が、コントローラ130にハイレベル信号を出力する。液室171へインクが流入する流量Qcより、液室171からインクが流出する流量Qpが大きい状況が継続すると、液室171の液面が、やがて流出口174の直上付近に到達するおそれがある。そこで、コントローラ130は、メンテナンス処理開始後に、ハイレベル信号を受信する(S20:Yes)と、メンテナンス処理を一時的に停止する。メンテナンス処理を一時的に停止している間、液室171内のインクの液面が上昇する。これにより、メンテナンス処理を継続することで、液室171内のインクの液面が、やがて流出口174付近まで下降してしまうことを抑制できる。
【0110】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信したことに応じて(S23:Yes)、時間Tw2(第2時間の一例)を待機した後(S24)、停止していたメンテナンス処理を再開する(S25)。メンテナンス処理を開始すると、液室171内のインクの液面が下降する状態なので、液室171の液面が所定位置Pに到達した後、さらに時間Tw2を待機することによって、液室171に十分な量のインクを貯留させることができる。そして、コントローラ130は、S20を実行する。
【0111】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信していないと判定したことに応じて(S23:No)、時間ΔT3が、時間T3(第3時間の一例)に到達したかを判定する(S26)。時間ΔT3は、装着センサ154からハイレベル信号を受信した時刻(S19:Yesの時刻)から現在の時刻(S26の処理を実行する時刻)までの時間である。コントローラ130は、時間ΔT3が時間T3に到達していないと判定したことに応じて(S26:No)、S23を実行する。コントローラ130は、時間ΔT3が時間T3に到達したと判定したことに応じて(S26:Yes)、ディスプレイ17に、メンテナンス処理がエラーである旨を示す画面を表示させ(S27)、メンテナンス処理を含む制御を終了する。時間T3は、例えば、後述される時間T1より長い時間として予め設定されている。
【0112】
[第1実施形態の作用効果]
上記第1実施形態によれば、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、液面センサ155からローレベル信号を受信する前にメンテナンス処理を受け付けたときに、液面センサ155からローレベル信号を受信するまでメンテナンス処理を実行しない。これにより、液室171からチューブ32やヘッド21へ空気が進入することなく、コントローラ130がメンテナンス処理を受け付けてから実行するまでの時間を短くすることができる。
【0113】
また、液室210から液室171へのインクの流れが悪いなどを原因として、コントローラ130がメンテナンス処理を実行している間に、液室171のインクの液面が所定位置P未満となったときには、コントローラ130がメンテナンス処理を一時的に停止する。これにより、液室171からチューブ32やヘッド21へ空気が進入することが抑制される。
【0114】
また、液室210から液室171へのインクの流量Qcが小さいときには、コントローラ130が、装着ケース150にカートリッジ200が装着されてメンテナンス処理を受け付けた後、時間Tw1を待機する。これにより、メンテナンス処理を開始するタイミングが、コントローラ130が液面センサ155からローレベル信号を受信したときよりも遅くなる。これにより、液室171からチューブ32やヘッド21へ空気が進入することが抑制される。
【0115】
また、液室210から液室171へのインクの流量Qcが更に少ないときには、コントローラ130が、ディスプレイ17を通じて、液室210から液室171へのインクの流出に異常があることをユーザに報知する。
【0116】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態が説明される。第2実施形態に係るプリンタは、第1実施形態に係るプリンタ10において液面センサ155を備えておらず、また、温度センサを備える構成である。温度センサは、プリンタが設定されている環境温度に応じた電気信号をコントローラ130へ出力する。また、EEPROM134には、所定温度についての閾値C0、及び待機時間Tkとして設定される時間T4,T5が記憶されている。第2実施形態においては、カートリッジ200が交換された後にメンテナンス処理を受け付けると、第1実施形態とは異なる制御が実行される。それ以外のプリンタの構成については、第1実施形態に係るプリンタ10と同様なので、詳細な説明が省略される。
【0117】
第1実施形態と同様に、コントローラ130は、プリンタ10の装着ケース150に装着されたカートリッジ200の液室210のインクが全て消費されて、カートリッジ200が装着ケース150から抜かれたときに、以下の制御を実行する。
【0118】
図10に示されるように、コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したかを判定する(S30)。なお、コントローラ130が、装着センサ154からローレベル信号を受信している際は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されている。また、コントローラ130が、装着センサ154からハイレベル信号を受信している際は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていない。
【0119】
つづいて、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247のメモリから、識別情報やインク量VcなどのCTG情報を読み出す(S31)。コントローラ130は、読み出したCTG情報をEEPROM134に記憶する。
【0120】
そして、コントローラ130は、操作パネル22にメンテナンス処理の実行が入力されたかを判定する(S32)。コントローラ130は、メンテナンス処理の実行が入力されていないと判定すると(S32:No)、装着センサ154からローレベル信号を受信した後から、待機時間Tkが経過したかを判定する(S33)。コントローラ130は、待機時間Tkが経過していないと判定したことに応じて(S33:No)、S32を実行する。コントローラ130は、待機時間Tkが経過したと判定したことに応じて(S33:Yes)、この制御を終了する。
【0121】
コントローラ130は、操作パネル22にメンテナンス処理の実行が入力されたと判定すると(S32:Yes)、IC基板247のメモリからインク量Vcとして初期インク量Vc0を読み出したかを判定する(S34)。新品であるカートリッジ200のIC基板247のメモリには、インク量Vcとして初期インク量Vc0が記憶されている。そして、カートリッジ200が使用されると、例えば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、画像記録やメンテナンス処理などのヘッド21を通じたインクの排出が実行されると、コントローラ130は、IC基板247のメモリに記憶されているインク量Vcを更新する。したがって、コントローラ130が、IC基板247のメモリに記憶されているインク量Vcとして初期インク量Vc0を読み出したカートリッジ200は、新品のカートリッジである。なお、インク量Vcの値に代えて、CTG情報に新品のカートリッジであることを示すフラグなどの値や情報が、IC基板247のメモリに記憶されていてもよい。この場合、コントローラ130は、IC基板247のメモリが記憶する上記値や情報を読み出すことによって、新品のカートリッジである否かを判定することとしてもよい。初期インク量Vc0は、カートリッジ閾値の一例である。
【0122】
コントローラ130は、IC基板247のメモリに記憶されたインク量Vcが初期インク量Vc0であると判定したことに応じて(S34:Yes)、メンテナンス処理を実行する(S39)。新品のカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、液室210から液室171へインクが流入する。そのときの流量Qcは、タンク160の液室171の液面とカートリッジ200の液室210の液面との差である水頭差が最大となるため、同種のカートリッジ200において最も速い。以下にその理由を説明する。
【0123】
初期インク量Vc0は、カートリッジ200の製造時に設定可能なインク量であり、所定範囲内で規格化できるので、流量Qcも所定範囲内とすることができる。つまり、新品のカートリッジ200においては、流量Qcが、メンテナンス処理において液室171から流出するインクの流量Qpより大きくなるように設定される。これにより、装着ケース150に新品のカートリッジ200が装着されて液室210から液室171インクが移動しているときに、メンテナンス処理が実行されても、液室171のインクの液面が下降しないようにすることができる。
【0124】
他方、新品のカートリッジ200でない、すなわち既に使用されて液室210に貯留されているインク量Vcが初期インク量Vc0より少ないカートリッジ200が装着ケース150に装着されたとする。装着ケース150に新品でないカートリッジ200が装着されたときの液室210と液室171との水頭差は、新品のカートリッジ200が装着されたときの液室210と液室171との水頭差より小さくなる。水頭差が小さくなるほど、流量Qcが少なくなる。その結果、メンテナンス処理において液室171から流出するインクの流量Qpより流量Qcが小さくなるおそれがある。流量Qcが流量Qpより小さければ、メンテナンス処理中に液室171の液面が下降して、流出口174の直上付近に至るおそれがある。したがって、新品でないカートリッジ200が装着ケース150に装着されたときには、コントローラ130は、メンテナンス処理を受け付けても直ちに実行しない。
【0125】
コントローラ130は、IC基板247のメモリから読み出したインク量Vcが初期インク量Vc0でないことに応じて(S34:No)、温度センサが出力する温度が閾値C0未満であるかを判定する(S35)。コントローラ130は、温度センサが出力する温度が閾値C0以上であると判定したことに応じて(S35:No)、待機時間Tkに時間T4を設定する(S36)。他方、コントローラ130は、温度センサが出力する温度が閾値C0未満であると判定したことに応じて(S35:Yes)、待機時間Tkに時間T5を設定する。時間T5は、時間T4より長い。
【0126】
プリンタ10が設置された環境温度が低ければ、装着ケース150に装着されたカートリッジ200に貯留されているインクの温度も低いと推定される。インクは、温度が低くなるに従って粘度が高くなる。したがって、環境温度が低くなるに従って、液室210から液室171へのインクの流量Qcが小さくなる傾向にある。そこで、コントローラ130は、温度Cが閾値C0未満であれば、時間T4より長い時間T5を待機時間Tkとして設定する。
【0127】
そして、コントローラ130は、待機時間Tkを待機した後(S38)、メンテナンス処理を実行する(S39)。待機時間Tkを待機している間に、カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へインクが流出して、液室171に貯留されているインクの液面が上昇する。待機時間Tkが長くなるに従って、液室171に貯留されるインクの液面が高くなる。つまり、仮に、メンテナンス処理中に液室171のインクの液面が下降したとしても、インクの液面が流出口174の直上に至るおそれが抑制される。
【0128】
[第2実施形態の作用効果]
上記第2実施形態によれば、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、メンテナンス処理の実行を受け付けると、IC基板247のメモリに記憶されたインク量Vcを読み出す。コントローラ130は、読み出したインク量Vcが初期インク量Vc0でなければ、待機時間Tkが経過した後にメンテナンス処理を実行する。これにより、液室171からチューブ32へ空気が進入することなくメンテナンス処理が実行されるまでの時間を短くすることができる。他方、コントローラ130は、初期インク量Vc0のインクを貯留するカートリッジ200が装着ケース150に装着された後にメンテナンス処理を受け付けたときには、待機時間Tkを待つことなく直ちにメンテナンス処理を実行する。
【0129】
また、プリンタ10が設置されている環境温度が低くインクの粘度が高いことにより、液室210から液室171への流量Qcが小さくなる。コントローラ130は、環境温度が閾値未満であるとき、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、メンテナンス処理を実行されるまでの待機時間Tkとして、時間T4より長い時間T5を設定するので、メンテナンス処理が実行されるタイミングが遅くなる。これにより、メンテナンス処理において、液室171からチューブ32へ空気が進入することが抑制される。
【0130】
[第2実施形態の変形例]
なお、第2実施形態において、コントローラ130は、IC基板247のメモリから読み出したインク量Vcが初期インク量Vc0でないときには、読み出したインク量Vcの値に反比例して長くなるように待機時間Tkを決定してもよい。すなわち、カートリッジ200の液室210内のインク量が多いほど待機時間Tkは短く、液室210内のインク量が少ないほど待機時間Tkは長い。例えば、時間T4,T5が、インク量Vcに反比例して長くなるテーブルや関数に基づいて、コントローラ130が時間Tkを決定する。
【0131】
また、第2実施形態において、IC基板247のメモリから読み出したインク量Vcが初期インク量Vc0であるかどうかの判定(S34)は省かれてもよい。つまり、IC基板247から読み出したインク量Vcの値に拘わらずに、コントローラ130は、カートリッジ200が交換されてから待機時間Tkを待機して、メンテナンス処理を実行することとしてもよい。
【0132】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態が説明される。第3実施形態に係るプリンタは、第2実施形態に係るプリンタと同様に液面センサ155を備えていない。また、EEPROM134には、閾値としての流量Qp(流量閾値の一例)、メンテナンス処理の実行時間Tp、タンク閾値Vth1(第1タンク閾値の一例)、閾値Vth2(総量閾値の一例)、及びインク量Vcと流量Qcとの関係を示す関数またはテーブルが記憶されている。第3実施形態においては、カートリッジ200が交換された後にメンテナンス処理を受け付けると、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる制御が実行される。それ以外のプリンタの構成については、第1実施形態に係るプリンタ10と同様なので、詳細な説明が省略される。
【0133】
第1実施形態と同様に、コントローラ130は、プリンタ10の装着ケース150に装着されたカートリッジ200の液室210のインクが全て消費されて、装着ケース150からカートリッジ200が抜かれた後に、ユーザからメンテナンス処理の実行を受け付けたときに、以下の制御を実行する。
【0134】
図11に示されるように、コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したかを判定する(S50)。そして、コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したことに応じて(S50:Yes)、その時刻をEEPROM134に記憶する。なお、前記時刻は、実質的にカートリッジ200が装着ケース150に装着された時点の時刻である。また、コントローラ130が、装着センサ154からローレベル信号を受信している際は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されている。また、コントローラ130が、装着センサ154からハイレベル信号を受信している際は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていない。
【0135】
つづいて、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247のメモリから、識別情報やインク量VcなどのCTG情報を読み出す(S51)。コントローラ130は、読み出したCTG情報をEEPROM134に記憶する。
【0136】
そして、コントローラ130は、操作パネル22にメンテナンス処理の実行が入力されたかを判定する(S52)。コントローラ130は、メンテナンス処理の実行が入力されていないと判定すると(S52:No)、装着センサ154からローレベル信号を受信した後から、待機時間Tkが経過したかを判定する(S53)。コントローラ130は、待機時間Tkが経過していないと判定したことに応じて(S53:No)、S52を実行する。コントローラ130は、待機時間Tkが経過したと判定したことに応じて(S53:Yes)、メンテナンス処理を含む制御を終了する。ここで、待機時間Tkは、例えば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、液室210のインクの液面と液室171のインクの液面とが同じ高さとなるに十分な時間として予め設定されている。
【0137】
コントローラ130は、操作パネル22にメンテナンス処理の実行が入力されたと判定すると(S52:Yes)、IC基板247のメモリから読み出したインク量Vcと、カートリッジ200が交換される前の液室171のインク量VsとしてEEPROM134に記憶されたインク量Vsとに基づいて、総量Vtを算出する(Vt=Vc+Vs:S54)。
【0138】
つづいて、コントローラ130は、カートリッジ200が交換される前の液室171のインク量Vsがタンク閾値Vth1未満であるかを判定する(S55)。タンク閾値Vth1は、例えば、装着ケース150に装着されたカートリッジ200に貯留されたインクが全て消費されたときに、液室171に貯留されているインク量に相当する値や、メンテナンス処理に必要な最大インク量である。これにより、メンテナンス処理の終了後に、液室171のインクの液面が下降して流出口174の直上に到達するか否かが判定される。コントローラ130は、カートリッジ200が交換される前の液室171のインク量Vsがタンク閾値Vth1未満でないと判定したことに応じて(S55:No)、受け付けたメンテナンス処理を開始する(S61)。
【0139】
コントローラ130は、カートリッジ200が交換される前の液室171のインク量Vsがタンク閾値Vth1未満であると判定したことに応じて(S55:Yes)、算出した総量Vtが総量閾値Vth2以上であるかを判定する(S56)。総量閾値Vth2は、例えば、カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へ流出するインクの流量Qcが、メンテナンス処理において液室171から流出するインクの流量Qpより小さくならない値が設定される。コントローラ130は、算出した総量Vtが総量閾値Vth2以上であると判定したことに応じて(S56:Yes)、受け付けたメンテナンス処理を開始する(S61)。
【0140】
コントローラ130は、算出した総量Vtが総量閾値Vth2未満であると判定したことに応じて(S56:No)、CTG情報に含まれるインク量Vcから流量Qcを決定する(S57)。装着ケース150にカートリッジ200が装着された後の液室210から液室171へのインクの流量Qcは、基準位置(例えば所定位置P)からの液室210の液面の高さと液室171の液面の高さとの差、すなわち水頭差によって変動する。
【0141】
例えば、カートリッジ200に貯留されたインクが全て消費された後にカートリッジ200が交換されると、タンク160の液室171の液面が所定位置Pに到達するまでは、流量Qcは、液室210の液面の高さ、すなわちインク量Vcに依存することとなる。したがって、インク量Vcと流量Qcとの関係を示す関数またはテーブルがEEPROM134に記憶されていれば、IC基板247のメモリから読み出したインク量Vcに基づいて流量Qcを決定することができる。
【0142】
つづいて、コントローラ130は、決定した流量Qcと、装着センサ154からローレベル信号を受信した時刻から現在までの時間ΔT1とを乗じて、液室171に貯留されたインク量Vsを算出する(S58)。そして、コントローラ130は、決定した流量Qcが閾値である流量Qp以上であると判定したことに応じて(S59:Yes)、算出したインク量Vsが閾値Vth3以上であるかを判定する(S60)。
【0143】
コントローラ130は、算出したインク量Vsが閾値Vth3未満であると判定すれば(S60:No)、所定の時間間隔でS58~S60を繰り返して実行する。算出したインク量Vsは、現在時刻が進むにつれて大きくなるので、やがて閾値Vth3以上となる(S60:Yes)。そして、コントローラ130は、インク量Vsが閾値Vth3以上であると判定したことに応じて(S60:Yes)、メンテナンス処理を開始する(S61)。
【0144】
コントローラ130は、メンテナンス処理を終了した後、メンテナンス処理後のインク量Vc,Vsを算出して、EEPROM134に記憶させる(S62)。また、算出したインク量VcをIC基板247のメモリに記憶させて(S63)、メンテナンス処理を含む制御を終了する。
【0145】
コントローラ130は、S59において、流量Qcが流量Qp未満であると判定したことに応じて(S59:No)、閾値Vth4を算出する(S64)。閾値Vth4は、流量Qpと流量Qcとの差に、メンテナンス処理を実行する時間Tpを乗じた値として算出される。流量Qcが流量Qp未満であれば、メンテナンス処理が実行される間に、液室171内のインクが減少する。流量Qpと流量Qcとの差は、メンテナンス処理において、単位時間当たりに液室171から減少するインク量に相当する。これに時間Tpを乗じた値が、メンテナンス処理において液室171から減少するインク量の総量に相当する。
【0146】
コントローラ130は、算出したインク量Vsが、閾値Vth3と閾値Vth4の和(第2タンク閾値の一例)以上であるかを判定する(S65)。コントローラ130は、算出したインク量Vsが、閾値Vth3と閾値Vth4との和未満であると判定すれば(S65:No)、所定の時間間隔でS58~S64を繰り返して実行する。算出したインク量Vsは、現在時刻が進むにつれて大きくなるので、やがてタンク閾値Vth1と閾値Vth4との和以上となる(S65:Yes)。そして、コントローラ130は、インク量Vsが、閾値Vth3と閾値Vth4との和以上であると判定したことに応じて(S65:Yes)、メンテナンス処理を開始し(S61)、また、S62、S63を実行する。
【0147】
[第3実施形態の作用効果]
上記第3実施形態によれば、装着ケース150にカートリッジ200が装着されてから、コントローラ130がメンテナンス処理を受け付けた後、メンテナンス処理が実行されるまでの時間を、算出された総量Vtや流量Qcに応じて短くすることができる。また、メンテナンス処理によって、液室171からチューブ32やヘッド21に空気が進入することを抑制できる。
【0148】
[第3実施形態の変形例]
前述した態様では、コントローラ130は、インク量Vcと流量Qcとの関係を示す関数またはテーブルを用いて、IC基板247のメモリから読み出したインク量Vcに基づいて流量Qcを決定することとしたが、これに限らない。例えば、プリンタ10がさらに温度センサを備え、コントローラ130は、温度センサの出力に応じて、複数の関数またはテーブルを選択してもよい。複数の関数またはテーブルは、温度センサが検知した温度が低いほど、流量Qcが小さくなるように設定されている。これにより、プリンタ10の環境温度が低く、インクの粘度が高いことにより、液室210から液室171への流量が少なくなれば、決定される流量Qcも小さくなる。したがって、メンテナンス処理によって、液室171からチューブ32やヘッド21に空気が進入することを抑制できる。
【0149】
[その他の変形例]
なお、前述された第1実施形態では、コントローラ130が、液面センサ155が出力する信号に基づいて、アクチュエータ190の被検出部194が検出位置に位置しているか否かを検出する構成である。しかし、液室171におけるインクの液面が検出できれば、液面センサ155の構成は特に限定されない。例えば、コントローラ130が、液室171の後壁164にインクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、液室171におけるインクの液面を光学的に検出するためのセンサであってもよい。また、液面センサ155は、液室171内に挿入された電極棒であってもよい。
【0150】
また、コントローラ130が、装着センサ154からローレベル信号を受信し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したことは、コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジが装着されたと判定したことの一例である。コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジ200が装着されたと判定する、他の例を以下に説明する。
【0151】
例えば、コントローラ130が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ130は、IC基板247のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM134に記憶された交換前のカートリッジ200の識別情報と比較する。IC基板247のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM134に記憶された識別情報とが異なると判定したことに応じて、コントローラ130は、装着ケース150においてインクカートリッジ30が交換されたと判定してもよい。つまり、「コントローラ130は、IC基板247のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM134に記憶された交換前のカートリッジ200の識別情報と比較する。その結果、IC基板247のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM134に記憶された識別情報とが異なると判定した」ことが、コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジ200が装着されたと判定することの一例である。この場合、コントローラ130は、S10において記憶する時刻として、IC基板247のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM134に記憶された交換前のカートリッジ200の識別情報と比較し、IC基板247のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM134に記憶された識別情報とが異なると判定した時刻をEEPROMに記憶する。もしくは、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信した時刻を、S15においてEEPROMに記憶しても良い。
【0152】
また、例えば、コントローラ130が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ130は、ディスプレイ17を通じてユーザに、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着をしたか、を示す確認画面を表示させる。コントローラ130は、ディスプレイ17に確認画面を表示させている一方で、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信する。受信した当該入力が、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着した、ことに対応していることに応じて、コントローラ130は、装着ケース150のインクカートリッジ30が交換されたと判定してもよい。つまり、「コントローラ130が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ130は、ディスプレイ17を通じてユーザに、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着をしたか、を示す確認画面を表示させる。コントローラ130は、ディスプレイ17に確認画面を表示させている一方で、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信する。受信した当該入力が、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着した、ことに対応している」ことが、コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジ200が装着されたと判定することの一例である。この場合、コントローラ130は、S10において記憶する時刻として、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信した時刻をEEPROMに記憶する。
【0153】
また、前述された各実施形態では、カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へ、水頭差によってインクが移動する態様が説明されたが、液室210から液室171へのインクの移動は水頭差によるものに限らない。例えば、タンク160の液室171が大気に開放され、且つカートリッジ200の液室210が大気に開放されていなくてもよい。この場合、液室210と液室171とが液体流路及び気体流路で接続されることによって、重力などによる液室171と液室210との気液交換が生じ、液室210から液室171へインクが移動する。
【0154】
また、前述された各実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、液体は、例えば、画像記録時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液でもよいし、ヘッド21を洗浄するための水でもよい。
【符号の説明】
【0155】
10・・・プリンタ(液体排出装置)
17・・・ディスプレイ(報知機)
21・・・ヘッド
130・・・コントローラ
132・・・ROM(メモリ)
133・・・RAM(メモリ)
134・・・EEPROM(メモリ)
150・・・装着ケース
155・・・液面センサ
160・・・タンク
171・・・液室(第2液室)
181・・・ニードル(流路)
200・・・カートリッジ
210・・・液室(第1液室)
213・・・インクバルブ室(流路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留された第1液室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
上記装着ケースに装着された上記カートリッジと接続される第2液室を有するタンクと、
一方が上記第2液室に連通し、他方が上記タンクに接続された上記カートリッジの上記第1液室と連通する流路と、
上記流路と連通されるヘッドと、
インターフェースと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記コントローラは
記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記第2液室に貯留されている液量Vsを算出し
記第2液室に貯留された液体を上記ヘッドから排出するメンテナンス処理を受け付け、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定したことに応じて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室に貯留された液体の液量Vcを読み出し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着される前の上記液量Vsが第1タンク閾値未満であり、且つ、当該液量Vsと読み出した上記液量Vcとの和である総量Vtが総量閾値以上であることを条件として、受け付けた上記メンテナンス処理を実行する液体排出装置。
【請求項2】
上記コントローラは、
上記第1液室から上記第2液室へ液体が流入する流量Qcを、読み出した上記液量Vcに基づいて決定し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間を上記流量Qcに乗じた液量を、上記装着ケースに上記カートリッジが装着される前の上記液量Vsに加えた更新液量Vsを算出し、
上記総量Vtが上記総量閾値未満であり、且つ上記更新液量Vsが上記第1タンク閾値以上であることに応じて、上記メンテナンス処理を実行する請求項に記載の液体排出装置。
【請求項3】
上記コントローラは、
上記流量Qcが流量閾値未満であることを条件として、当該流量閾値と上記流量Qcとの差に、上記メンテナンス処理が実行される時間を乗じた液量Vthを、上記第1タンク閾値に加えた第2タンク閾値を算出し、
上記更新液量Vsが上記第2タンク閾値以上であることに応じて、上記メンテナンス処理を実行する請求項に記載の液体排出装置。
【請求項4】
温度センサを更に備えており、
上記コントローラは、上記温度センサから受信した信号による温度が低いほど、小さくなる上記流量Qcを決定する請求項又はに記載の液体排出装置。
【請求項5】
ポンプと、
上記ポンプと接続されたキャップと、を更に具備しており、
上記コントローラは、上記メンテナンス処理の実行において、上記キャップが上記ヘッドのノズルを覆った状態で、上記ポンプを駆動させることによって、上記ヘッドのノズルから液体を排出する請求項1からのいずれかに記載の液体排出装置。