(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083527
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】無線機
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20240614BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H04B1/38
H01Q1/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063104
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2023026017の分割
【原出願日】2019-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 智宏
(72)【発明者】
【氏名】小田島 徹
(57)【要約】
【課題】回路基板の小型化に伴うアンテナ利得の低下を抑制することができる無線機を提供する。
【解決手段】無線機は、切り欠き部(第1切欠部203)を有する回路基板20と、回路基板に搭載される無線通信回路と、切り欠き部に配置される電池収容部であって、回路基板に接続される電池を収容する凸凹部113を備える。また、無線機は、回路基板の一端に接続され、切り欠き部を囲まないように配線される線状のアンテナ213と、回路基板のグランドに接続され電池を囲まないように配線される導体214を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に搭載される無線通信回路と、
前記回路基板に接続されるアンテナと、
本体ベース板とを備え、
前記回路基板は、前記本体ベース板の下に配置され、
前記回路基板の上面には、無線チャンネルの設定に使用される登録スイッチと、前記無線チャンネルの設定の消去に用いられる消去スイッチとが設置され、
前記本体ベース板は、
前記本体ベース板の上面側に突出し、前記本体ベース板の底面側に押し込み可能なように形成され、利用者により押し込まれると前記登録スイッチを押下する第1押込部と、
前記本体ベース板の上面側に突出し、前記本体ベース板の底面側に押し込み可能なように形成され、前記利用者により押し込まれると前記消去スイッチを押下する第2押込部とを有し、
前記第1押込部は前記第2押込部より前記本体ベース板の上面側に突出する
ことを特徴とする、無線機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線式の火災感知器が知られている。例えば、特許文献1には、アンテナを感知器カバーの内部に配置することができる火災感知器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災感知器の小型化を実現するために回路基板を小型化すると、無線通信回路のグランドの長さが短くなり、アンテナの利得が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、回路基板の小型化に伴うアンテナ利得の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る無線機は、切り欠き部を有する回路基板と、前記回路基板に搭載される無線通信回路と、前記切り欠き部に配置される電池収容部であって、前記回路基板に接続される電池を収容する電池収容部と、前記回路基板の一端に接続され、前記切り欠き部を囲まないように配線される線状のアンテナと、前記回路基板のグランドに接続される導体であって、前記電池を囲まないように配線される導体とを備える。
【0007】
前記無線機は、前記回路基板に搭載される火災検知部と、前記切り欠き部に配置されるとともに、前記回路基板に接続されるスピーカとをさらに備え、前記アンテナは前記火災検知部を囲むように配線され、前記導体は前記スピーカを囲むように配線されてもよい。
【0008】
前記導体は、前記回路基板の他端に接続されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回路基板の小型化に伴うアンテナ利得の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】カバー12を取った状態の煙感知器1の分解斜視図
【
図6】
図3に示す押込部117A及び117Bの拡大図
【
図11】カバー12を取った状態の煙感知器1の底面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
本発明の一実施形態に係る無線式の煙感知器1について、図面を参照して説明する。
1-1.構成
図1は、煙感知器1の底面図である。
図2は、煙感知器1の側面図である。
図3は、煙感知器1の平面図である。
図4は、カバー12を取った状態の煙感知器1の分解斜視図である。
【0012】
煙感知器1は、筺体10並びに筺体10に収容される回路基板20、スピーカ30及びアンテナ位置決め板40を備える。
【0013】
筺体10は、略円板形状を有し、樹脂製である。筺体10は、本体ベース板11及びカバー12を備える。
【0014】
図5は、本体ベース板11の底面図である。
本体ベース板11は、円形である。本体ベース板11は、底面111、上面112、凹凸部113、第1壁部114、第2壁部115、第3壁部116、押込部117A及び117B、アンテナ位置決め部118A乃至118C並びに押込部位置決め部119を備える。
【0015】
底面111は、回路基板20に対向する面である。
【0016】
上面112は、煙感知器1が設置される天井に対向する面である。
【0017】
凹凸部113は、円柱形状の電池を収容する電池収容部である。収容される電池は回路基板20に接続されて、各回路に対して電力を供給する。凹凸部113は、本体ベース板11の底面111側に凸となり、上面112側に凹となっている。上面112側の凹みに電池が収容される。凹凸部113は、底面視で、本体ベース板11の中心からその周縁にわたって径方向に延びている。
【0018】
凹凸部113は、半円筒部1131並びに底部1132及び1133を備える。底部1132及び1133は、半円形の板体である。底部1132及び1133は、半円筒部1131の両端部に設けられている。底部1132の方が底部1133よりも、底面視で、本体ベース板11の径方向内側に設けられている
【0019】
第1壁部114は、検煙空間を形成する。第1壁部114は、本体ベース板11の底面111から略垂直方向に突出している。第1壁部114は、底面視で、上底よりも下底の方が長い等脚台形の形状を有する。第1壁部114は、底面視で、凹凸部113に収容される電池の軸線上に形成されている。
【0020】
第1壁部114は、壁部1141、1142、1143及び1144を備える。壁部1141及び壁部1142は、底面視で、凹凸部113に収容される電池の軸線と略垂直に交わるように形成されている。壁部1141の方が壁部1142よりも短く、かつ、本体ベース板11の径方向内側に形成されている。壁部1143は、貫通孔1145(図示略)を備える。貫通孔1145は、後述する発光部208が検煙空間に発光する光を通す。壁部1144は、貫通孔1146(
図4参照)を備える。貫通孔1146は、後述する受光部209が検煙空間から受光する光を通す。
【0021】
次に、第2壁部115は、後述するスピーカ30の位置決めをする。第2壁部115は、本体ベース板11の底面111から略垂直方向に突出している。第2壁部115は、底面視で、略C字形状を有する。第2壁部115は、底面視で、凹凸部113に隣接するように形成されている。第2壁部115の端部1151及び1152は、底面視で、凹凸部113の底部1132と略同一線上に配置されている。端部1151及び1152のうち、端部1151の方が、本体ベース板11の径方向外側に配置されている。
【0022】
第3壁部116は、回路基板20の位置決めをする。第3壁部116は、本体ベース板11の底面111から略垂直方向に突出している。第3壁部116は、底面視で、略L字形状の領域を囲むように形成されている。
【0023】
第3壁部116は、壁部1161、1162及び1163を備える。壁部1161は、底面視で、その一端が第2壁部115の端部1151に接続され、本体ベース板11の周縁に沿って延び、その他端が第1壁部114の壁部1143に接続されている。壁部1162は、底面視で、その一端が第1壁部114の壁部1144に接続され、本体ベース板11の周縁に沿って延び、その他端が凹凸部113の底部1133に接続されている。壁部1163は、底面視で、その一端が壁部1162の他端に接続され、凹凸部113の半円筒部1131及び底部1132に沿って延び、その他端が第2壁部115に接続されている。
【0024】
次に、押込部117A及び117Bは、棒状の部材である。押込部117A及び117Bは、本体ベース板11の底面111側に押し込み可能なように形成されている。押込部117A及び117Bは、本体ベース板11に、底面視でU字状の貫通溝を形成することで形成されている。押込部117A及び117Bは、底面視で、凹凸部113に隣接するように形成されている。押込部117A及び117Bは、底面視で、凹凸部113を挟んで第2壁部115と反対側に形成されている。押込部117A及び117Bは、底面視で、凹凸部113に収容される電池の軸線に平行に並べて形成されている。
【0025】
図6は、
図3に示す押込部117A及び117Bの拡大図である。
押込部117Aは、棒状部材1171A及び凸部1172Aを備える。凸部1172Aは、棒状部材1171Aの端部において本体ベース板11の上面112側に突出している。押込部117Aの棒状部材1171Aは、後述する登録スイッチ211と接するように配置されており、押込部117Aが利用者により押し込まれると、登録スイッチ211が押下される。
【0026】
押込部117Bは、棒状部材1171B及び凸部1172Bを備える。凸部1172Bは、棒状部材1171Bの端部において本体ベース板11の上面112側に突出している。押込部117Bの棒状部材1171Bは、後述する消去スイッチ212と接するように配置されており、押込部117Bが利用者により押し込まれると、消去スイッチ212が押下される。
【0027】
押込部117Aの凸部1172Aと押込部117Bの凸部1172Bのうち、凸部1172Aの方が本体ベース板11の上面112側に突出している。そのため、凸部1172Aの方が押しやすく、凸部1172Bの方が押しにくくなっている。これは、消去スイッチ212の誤操作を防止するためである。
【0028】
次に、アンテナ位置決め部118A乃至118Cは、後述するアンテナ213の位置決めをする。アンテナ位置決め部118A乃至118Cは、矩形の板体であり、本体ベース板11の底面111の周縁から略垂直方向に突出している。
【0029】
アンテナ位置決め部118A乃至118Cのうち、アンテナ位置決め部118A及び118Bは、アンテナ位置決め板40に形成される貫通孔416A及び416B(
図10参照)に挿通されて、アンテナ位置決め板40の底面401側でアンテナ213の位置決めをするとともに、後述する通気孔407(
図10参照)に煙を案内する。アンテナ位置決め部118A及び118Bは、
図4に示すように、その先端にコ字状の溝部1181を備えている。
図7は、溝部1181の拡大図である。アンテナ位置決め部118A及び118Bは、溝部1181内に、一対の対向する凸部1182を備える。凸部1182は、溝部1181内でアンテナ213を挟持する。言い換えると、凸部1182は、アンテナ213を内側及び外側に押圧する。その結果、アンテナ213の揺動が防止される。
【0030】
アンテナ位置決め部118A及び118Bのうち、アンテナ位置決め部118Aは、底面視で、凹凸部113に収容される電池の軸線上に形成されている。アンテナ位置決め部118Aは、第1壁部114よりも本体ベース板11の径方向外側に形成されている。アンテナ位置決め部118Bは、底面視で、第3壁部116を構成する壁部1161に接して形成されている。
【0031】
一方、アンテナ位置決め部118Cは、
図4に示すように、その先端にコ字状の溝部1183及びU字状の溝部1184を備えている。溝部1183は、アンテナ213を位置決めする。一方、溝部1184は、後述するように、カバー12の底部122に形成された貫通孔内に、押込部1221(
図1参照)を位置決めする。溝部1183は、溝部1184よりも、本体ベース板11の径方向外側に形成されている。
【0032】
アンテナ位置決め部118Cは、底面視で、凹凸部113の底部1132と略同一線上に並べて形成されている。アンテナ位置決め部118Cは、底面視で、第3壁部116を構成する壁部1162に隣接して形成されている。
【0033】
次に、押込部位置決め部119は、カバー12の底部122に形成された貫通孔内に、押込部1221(
図1参照)を位置決めする。押込部位置決め部119は、
図4に示すように、その先端にU字状の溝部1191を備えている。溝部1191は、押込部1221の軸部を位置決めする。
【0034】
押込部位置決め部119は、底面視で、凹凸部113の底部1132と略同一線上に並べて形成されている。押込部位置決め部119は、底面視で、第3壁部116を構成する壁部1162に隣接して形成されている。
【0035】
次に、カバー12は、
図1及び
図2に示すように、有底筒状の形状を有する。カバー12は、その開口端が、本体ベース板11の底面111側の周縁に固定されている。カバー12は、円筒部121及び底部122を備える。
【0036】
円筒部121は、8個の通気孔1211を備える。通気孔1211は、円筒部121の底部122側に形成されている。通気孔1211は、円筒部121の周方向に4個、軸方向に2個並べて形成されている。各通気孔1211は、円筒部121の周方向に細長く延びている。各通気孔1211は、カバー12とアンテナ位置決め板40の間に形成される空間に煙を流入させる。
【0037】
底部122は、押込部1221を備える。押込部1221は、底面視で長円形状を有する板体であり、その一端側(カバー12の径方向外側)に軸部(図示略)を有する。押込部1221は、底部122に形成された貫通孔に押し込み可能なように取り付けられている。押込部1221は、後述する点検スイッチ210を押下可能なように配置されており、押込部1221が利用者により押し込まれると、点検スイッチ210が押下される。
【0038】
底部122の上面側(内面側)には、先端にU字状の溝部(図示略)を有する一対のカバー側位置決め部(図示略)が設けられている。この一対のカバー側位置決め部と、本体ベース板11のアンテナ位置決め部118Cの溝部1184及び押込部位置決め部119の溝部1191とにより、押込部1221の軸部を挟み込むことによって、押込部1221がカバー12の貫通孔内に位置決めされる。
【0039】
次に、回路基板20について説明する。
図8は、回路基板20の平面図である。
図9は、回路基板20の底面斜視図である。
回路基板20は、本体ベース板11の下に配置されている。回路基板20は、略円形の基板の一部を扇状に切り欠いて形成されている。回路基板20は、略L字形状を有する。回路基板20は、底面201、上面202、第1切欠部203、基部204、第1延設部205、第2延設部206、第2切欠部207、発光部208、受光部209、点検スイッチ210、登録スイッチ211、消去スイッチ212、アンテナ213、導体214、制御回路215(図示略)及び無線通信回路216(図示略)を備える。
【0040】
底面201は、アンテナ位置決め板40に対向する面である。
【0041】
上面202は、本体ベース板11に対向する面である。
【0042】
第1切欠部203は、中心角が略直角である扇状の切り欠きである。第1切欠部203は、本体ベース板11の凹凸部113とスピーカ30が配置される領域である。
【0043】
基部204は、略矩形の部分である。
【0044】
第1延設部205は、基部204の一端から延設された部分である。第1延設部205は、内縁部2051及び外縁部2052を備える。内縁部2051は、第1切欠部203に対向する直線状の縁部である。外縁部2052は、内縁部2051以外の縁部である。外縁部2052は、一部に直線状の部分を含む円弧状の縁部である。
【0045】
第2延設部206は、基部204の他端から延設された部分である。第2延設部206は、第1延設部205との間で第1切欠部203を挟んで略直角をなす。第2延設部206は、内縁部2061及び外縁部2062を備える。内縁部2061は、第1切欠部203に対向する略直線状の縁部である。外縁部2062は、内縁部2061以外の縁部である。外縁部2062は、一部に直線状の部分を含む円弧状の縁部である。
【0046】
第2延設部206の内縁部2061の先端側にはスピーカ30が接続されている。スピーカ30は、円板形状を有する。
【0047】
基部204、第1延設部205及び第2延設部206は、一体的に設けられている。
【0048】
第2切欠部207は、上底よりも下底の方が長い等脚台形の形状を有する切り欠きである。第2切欠部207は、第2延設部206の外縁部2062の後端側に形成されている。第2切欠部207は、本体ベース板11の第1壁部114が配置される領域である。
【0049】
発光部208は、具体的には例えば、発光ダイオードである。発光部208は、本体ベース板11の第1壁部114により形成される検煙空間内に光を発する。その際、発光部208は、第1壁部114の貫通孔1145を通じて検煙空間内に光を発する。発光部208は、回路基板20の上面202に配置されている。
【0050】
受光部209は、具体的には例えば、フォトダイオードである。受光部209は、発光部208により発光されて検煙空間内の煙により散乱された光を受光する。その際、受光部209は、第1壁部114の貫通孔1146を通じて散乱光を受光する。受光部209は、回路基板20の上面202に配置されている。
【0051】
発光部208と受光部209は、第2切欠部207に沿って互いに対向するように配置されている。ただし、互いの光軸が同一直線上とならないように配置されている。
発光部208と受光部209は、火災検知部を構成している。
【0052】
点検スイッチ210は、押下されると、内部回路(火災検知部等)の試験や電池寿命の試験が行われ、その結果がLED(図示略)により報知される。点検スイッチ210は、回路基板20の底面201に設置されている。点検スイッチ210は、第1延設部205の後端側に設置されている。
【0053】
登録スイッチ211は、煙感知器1が使用する無線チャンネルを設定するために使用されるスイッチである。登録スイッチ211は、回路基板20の上面202に設置されている。登録スイッチ211は、第1延設部205の先端寄りに設置されている。
【0054】
消去スイッチ212は、煙感知器1における無線チャンネルの設定を消去するために使用されるスイッチである。消去スイッチ212は、回路基板20の上面202に設置されている。消去スイッチ212は、第1延設部205の先端寄りに設置されている。
【0055】
アンテナ213は、金属線である。アンテナ213は、その一端が無線通信回路216に接続され、カバー12の内壁に沿って、底面視で、第1延設部205の外縁部2052から第2延設部206の外縁部2062にわたって延びている。
【0056】
アンテナ213は、直線部分2131及び円弧部分2132を備える。直線部分2131は、その一端が無線通信回路216に接続され、回路基板20の底面201から略垂直方向に延び、アンテナ位置決め板40に形成されているアンテナ孔417(
図10参照)に挿通されている。円弧部分2132は、その一端が直線部分2131の他端に接続され、底面視で、カバー12の内壁に沿って、第1延設部205の外縁部2052から第2延設部206の外縁部2062にわたって延びている。
【0057】
アンテナ213は、底面視で、略L字形状を有する回路基板20の一端側に接続され、第1切欠部203を囲まない一方で、第2切欠部207(言い換えると、火災検知部)を囲むように延びている。
【0058】
導体214は、金属線である。導体214は、その一端が回路基板20上のグランド(図示略)に接続され、底面視で、第2延設部206の内縁部2061から第1切欠部203を通って、カバー12の内壁に沿って第2延設部206の外縁部2062まで延びている。
【0059】
導体214は、直線部分2141及び円弧部分2142を備える。直線部分2141は、その一端が回路基板20上のグランドに接続され、底面視で、第2延設部206の内縁部2061から第1切欠部203を通るように延びている。円弧部分2142は、その一端が直線部分2141の他端に接続され、底面視で、カバー12の内壁に沿って第2延設部206の外縁部2062まで延びている。
【0060】
導体214は、底面視で、略L字形状を有する回路基板20の他端側に接続され、本体ベース板11の凹凸部113(言い換えると、電池)を囲まない一方で、スピーカ30を囲むように延びている。
【0061】
この導体214によりグランドの長さを長くすることで、この導体214を設けない場合と比較して、アンテナ213の利得が向上する。
また、この導体214は、底面視で、電池を囲まないように配線されているため、その点でさらにアンテナ213の利得が向上する。加えて、機器の外形を小型化することができる。さらに、電池をより外側に配置することで、内部基板等の有効サイズを拡大できる。
【0062】
制御回路215は、CPU、ROM、RAM等を備える。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを実行して、後述する火災検知処理、火災信号転送処理及び無線チャンネル設定処理を実行する。
【0063】
無線通信回路216は、アンテナ213を介して他の煙感知器1や中継装置との間で無線信号を送受信する。
【0064】
次に、アンテナ位置決め板40について説明する。
図10は、アンテナ位置決め板40の底面図である。
アンテナ位置決め板40は、回路基板20の下に配置されている。アンテナ位置決め板40は、略円形の板体の一部を切り欠いて形成されている。アンテナ位置決め板40は、略U字形状を有し、樹脂製である。アンテナ位置決め板40は、底面401、上面402(
図4参照)、切欠部403、基部404、第1延設部405、第2延設部406、通気孔407、ラビリンス壁408、アンテナ位置決め部409乃至415、貫通孔416A及び416B、アンテナ孔417、スピーカ孔418並びにスイッチ孔419を備える。
【0065】
底面401は、カバー12に対向する面である。
【0066】
上面402は、回路基板20に対向する面である。
【0067】
切欠部403は、略L字状の切り欠きである。切欠部403は、本体ベース板11の凹凸部113が配置される領域である。
【0068】
基部404は、略半円形の部分である。基部404は、円弧状の周縁部4041を備える。
【0069】
第1延設部405及び第2延設部406は、基部404から延設された部分である。第1延設部405及び第2延設部406は、切欠部403を挟んで互いに略平行に延びている。
【0070】
基部404、第1延設部405及び第2延設部406は、一体的に設けられている。
【0071】
通気孔407は、基部404の略中央に形成されている。通気孔407は、楕円形である。通気孔407は、本体ベース板11の第1壁部114により形成される検煙空間に連通している。通気孔407は、煙を検煙空間に流入させる。
【0072】
ラビリンス壁408は、通気孔407の周囲に形成されている。ラビリンス壁408は、アンテナ位置決め板40の底面401から略垂直方向に突出している。ラビリンス壁408は、煙を通気孔407に流入させる一方で、外光が通気孔407に入射することを阻止するように形成されている。
【0073】
通気孔407とラビリンス壁408は、光学台カバー420により覆われている(
図11参照)。光学台カバー420は、有底筒状の形状を有する。光学台カバー420の側壁には、複数の孔(図示略)が形成されている。光学台カバー420は、煙を通気孔407に流入させる一方で、外光が通気孔407に入射することを阻止する。
【0074】
アンテナ位置決め部409乃至415は、アンテナ213の位置決めをするとともに、煙を通気孔407に案内する。アンテナ位置決め部409乃至415は、板体であり、アンテナ位置決め板40の底面401から略垂直方向に突出している。アンテナ位置決め部409乃至415は、アンテナ位置決め板40の周縁部4041に沿って形成されている。アンテナ位置決め部409乃至415は、底面視で、ラビリンス壁408の周囲に、通気孔407を中心として放射状に延びるように形成されている。
【0075】
アンテナ位置決め部409乃至415は、それぞれ切欠部4091を備える。切欠部4091は、アンテナ213を通すための領域である。切欠部4091は、矩形の切り欠きであり、アンテナ位置決め部409乃至415の先端の周縁部4041側に形成されている。切欠部4091は、切欠部4091に通されたアンテナ213を外側に押圧するように形成されている。
【0076】
次に、貫通孔416Aは、本体ベース板11のアンテナ位置決め部118Aを挿通するための孔である。貫通孔416Aに挿通されたアンテナ位置決め部118Aは、アンテナ位置決め板40の底面401側でアンテナ213の位置決めをする。
【0077】
貫通孔416Bは、本体ベース板11のアンテナ位置決め部118Bを挿通するための孔である。貫通孔416Bに挿通されたアンテナ位置決め部118Bは、アンテナ位置決め板40の底面401側でアンテナ213の位置決めをする。
【0078】
貫通孔416A及び416Bにアンテナ位置決め部118A及び118Bを挿通することで、本体ベース板11に対するアンテナ位置決め板40の位置決めがなされる。
【0079】
アンテナ孔417は、アンテナ213を挿通するための貫通孔である。アンテナ孔417は、第2延設部406の周縁に形成されている。
【0080】
図11は、カバー12を取った状態の煙感知器1の底面図である。同図は、アンテナ位置決め板40の底面401に沿って配線されているアンテナ213を示している。アンテナ213は、本体ベース板11のアンテナ位置決め部118A乃至118Cにより位置決めされている。アンテナ位置決め部118A乃至118Cのうち、アンテナ位置決め部118A及び118Bは、アンテナ位置決め板40の貫通孔416A及び416Bに挿通された状態で、アンテナ213を位置決めする。また、アンテナ213は、アンテナ位置決め板40のアンテナ位置決め部409乃至415により位置決めされている。
【0081】
図10に示すアンテナ位置決め板40の説明に戻る。
スピーカ孔418は、第1延設部405の中央に形成されている。スピーカ孔418は、スピーカ30と対向するように形成されている。
【0082】
スイッチ孔419は、点検スイッチ210を挿通するための貫通孔である。スイッチ孔419は、第2延設部406の後端部に形成されている。
【0083】
1-2.動作
煙感知器1の動作について説明する。具体的には、火災検知処理、火災信号転送処理及び無線チャンネル設定処理について説明する。
【0084】
1-2-1.火災検知処理
火災により煙が発生し、発生した煙が天井に到達すると、その煙は通気孔1211を通って煙感知器1の内部に流入する。煙感知器1内に流入した煙は、本体ベース板11のアンテナ位置決め部118A及び118Bや、アンテナ位置決め板40のアンテナ位置決め部409乃至415により案内されて、光学台カバー420内に流入する。光学台カバー420内に流入した煙は、ラビリンス壁408の間を通り、通気孔407を通過して検煙空間に流入する。検煙空間に流入した煙の粒子は、発光部208が発する光と衝突し、散乱光を発生させる。この散乱光が受光部209により受光されると、受光部209は検知信号を制御回路215に出力する。制御回路215は、この検知信号が入力されると、スピーカ30から警報音を放音させるとともに、無線通信回路216から他の煙感知器1や中継装置に対して火災信号を送信させる。
【0085】
1-2-2.火災信号転送処理
他の煙感知器1が火災を検知し、この煙感知器1から送信された火災信号が無線通信回路216により受信されると、制御回路215はスピーカ30から警報音を放音させるとともに、さらに別の煙感知器1や中継装置に対して無線通信回路216から火災信号を再送信させる。これにより、システムを構成する装置間で火災信号を共有して、連動して火災警報をすることができる。
【0086】
1-2-3.無線チャンネル設定処理
本体ベース板11の押込部117Aが利用者により押し込まれ、登録スイッチ211が長押しされると、制御回路215は無線チャンネル設定モードに移行する。その後、制御回路215は、登録スイッチ211が短押しされるごとに無線チャンネルを変更する。制御回路215は、無線チャンネルが変更されるごとに、スピーカ30から無線チャンネルの番号を通知するガイド音声を放音させる。そして、登録スイッチ211が再度長押しされると、制御回路215は、選択中の無線チャンネルの番号を記憶し、無線チャンネル設定モードを終了する。
このように記憶された無線チャンネルの番号は、本体ベース板11の押込部117Bが利用者により押し込まれ、消去スイッチ212が長押しされると、消去される。
【0087】
以上説明した煙感知器1では、導体214により無線通信回路216のグランドの長さが延長される結果、この導体214を設けない場合と比較して、アンテナ213の利得が向上する。
また、導体214は、底面視で、電池を囲まないように配線されているため、その点でさらにアンテナ213の利得が向上する。加えて、機器の外形を小型化することができる。さらに、電池をより外側に配置することで、内部基板等の有効サイズを拡大できる。
また、この煙感知器1では、本体ベース板11のアンテナ位置決め部118A及び118Bが、アンテナ位置決め板40の貫通孔416A及び416Bに挿通された状態で、アンテナ213を位置決めする。そのため、本体ベース板11に対するアンテナ位置決め板40の位置決めがなされ、煙感知器1の組み立てが容易になる。
【0088】
2.変形例
上記の実施形態は以下のように変形してもよい。以下に記載する変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0089】
2-1.変形例1
本体ベース板11の形状及びその構成要素の配置は、
図5に示す例に限られない。これらは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0090】
2-2.変形例2
本体ベース板11に設けられるアンテナ位置決め部118A乃至118Cの形状及び数は、
図5に示す例に限られない。これらは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0091】
例えば、アンテナ位置決め部118A及び118Bの溝部1181に設けられる凸部1182(
図7参照)は、溝部1181の一部又は全部において省略されてもよい。凸部1182が省略された場合、アンテナ位置決め部118A及び118Bは、溝部1181に通されたアンテナ213を外側又は内側に押圧して位置決めする。
【0092】
別の例として、アンテナ位置決め部118Cの溝部1183内に、一対の対向する凸部を備えてもよい。この凸部は、溝部内でアンテナ213を挟持する。言い換えると、この凸部は、アンテナ213を内側及び外側に押圧する。その結果、アンテナ213の揺動が防止される。
【0093】
2-3.変形例3
回路基板20の形状及びその構成要素の配置は、
図8に示す例に限られない。これらは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0094】
例えば、回路基板20は、アンテナ位置決め部を備えてもよい。このアンテナ位置決め部は、アンテナ位置決め板40に形成される貫通孔(図示略)に挿通されて、アンテナ位置決め板40の底面401側でアンテナ213の位置決めをするとともに、煙を通気孔407(
図10参照)に案内する。このアンテナ位置決め部は、矩形の板体であり、回路基板20の底面201の周縁から略垂直方向に突出する。このアンテナ位置決め部は、その先端にコ字状の溝部を備え、その溝部内に、一対の対向する凸部を備える。この凸部は、溝部内でアンテナ213を挟持する。
【0095】
2-4.変形例4
アンテナ213の長さとその回路基板20への接続位置は、
図8に示す例に限られない。これらは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0096】
2-5.変形例5
導体214の長さとその回路基板20への接続位置は、
図8に示す例に限られない。これらは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0097】
例えば、導体214は、
図12に示すように、その他端が第2延設部206の先端に接続されてもよい。このように導体214の他端を第2延設部206に接続することで、導体214の位置が固定される。
【0098】
別の例として、
図13に示すように、導体214の一端を第2延設部206の内縁部2061に接続せずに、他端のみを第2延設部206の先端に接続するようにしてもよい。
【0099】
2-6.変形例6
アンテナ位置決め板40の形状及びその構成要素の配置は、
図10に示す例に限られない。これらは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0100】
2-7.変形例7
アンテナ位置決め部409乃至415の形状及び数は、
図10に示す例に限られない。これらは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0101】
例えば、アンテナ位置決め部409乃至415は、切欠部4091に代えて、コ字状の溝部を備え、この溝部内に、一対の対向する凸部を備えてもよい。この凸部は、溝部内でアンテナ213を挟持する。言い換えると、この凸部は、アンテナ213を内側及び外側に押圧する。その結果、アンテナ213の揺動が防止される。
【0102】
2-8.変形例8
特許請求の範囲に記載した発明は、煙感知器1以外の無線機に適用されてもよい。例えば、無線式の熱感知器や、無線式のフラッシュライトや、無線中継機に適用されてもよい。ここで、フラッシュライトとは、聴覚障害者に対して火災の発生を通知するための警報装置である。
【符号の説明】
【0103】
1…煙感知器、10…筺体、11…本体ベース板、12…カバー、20…回路基板、30…スピーカ、40…アンテナ位置決め板、111…底面、112…上面、113…凹凸部、114…第1壁部、115…第2壁部、116…第3壁部、117A、117B…押込部、118A~118C…アンテナ位置決め部、119…押込部位置決め部、121…円筒部、122…底部、201…底面、202…上面、203…第1切欠部、204…基部、205…第1延設部、206…第2延設部、207…第2切欠部、208…発光部、209…受光部、210…点検スイッチ、211…登録スイッチ、212…消去スイッチ、213…アンテナ、214…導体、215…制御回路、216…無線通信回路、401…底面、402…上面、403…切欠部、404…基部、405…第1延設部、406…第2延設部、407…通気孔、408…ラビリンス壁、409~415…アンテナ位置決め部、416A、416B…貫通孔、417…アンテナ孔、418…スピーカ孔、419…スイッチ孔、420…光学台カバー、1131…半円筒部、1132、1133…底部、1141、1142、1143、1144…壁部、1145、1146…貫通孔、1151、1152…端部、1161、1162、1163…壁部、1171A、1171B…棒状部材、1172A、1172B…凸部、1181…溝部、1182…凸部、1183…溝部、1184…溝部、1191…溝部、1211…通気孔、1221…押込部、2051…内縁部、2052…外縁部、2061…内縁部、2062…外縁部、2131…直線部分、2132…円弧部分、2141…直線部分、2142…円弧部分、4041…周縁部、4091…切欠部