(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083556
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】アゾロピリミジン化合物の固体形態
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20240614BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240614BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240614BHJP
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A61P 9/00 20060101ALI20240614BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240614BHJP
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A61P 19/02 20060101ALI20240614BHJP
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A61P 43/00 20060101ALI20240614BHJP
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A61P 21/00 20060101ALI20240614BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240614BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K31/506
A61P1/04
A61P1/18
A61P7/06
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/10 101
A61P11/06
A61P13/12
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A61P17/04
A61P19/02
A61P19/10
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A61P29/00 101
A61P31/00
A61P35/00
A61P35/02
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A61P37/08
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A61P43/00 111
A61P29/00
A61K45/00
A61P21/00
A61P25/04
A61K45/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063946
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2021502476の分割
【原出願日】2019-07-17
(31)【優先権主張番号】62/700,064
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518242226
【氏名又は名称】アーカス バイオサイエンシズ インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェナ レイ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】マンモハン レディー レレティ
(72)【発明者】
【氏名】ディロン ハーディング マイルズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ パトリック パワーズ
(57)【要約】
【課題】3-〔2-アミノ-6-(1-{[6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル〕メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル〕-2-メチルベンゾニトリルの固体形態、溶媒和物および水和物、並びにそれらの製造および使用方法を提供すること。
【解決手段】幾つかの実施形態では、本発明は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.1 °2θ)に1つ以上のピークを有するX線粉末回析(XRPD)パターンによって特徴付けられる、化合物Iまたはその溶媒和物もしくは水和物の固体形態I(I形)を提供し、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は2018年7月18日に出願された米国仮出願第62/700,064号への優先権を主張し、そ
の出願の内容があらゆる目的で本明細書中に援用される。
【0002】
連邦政府支援による研究と開発のもとに行われた発明の権利に関する陳述
該当せず
コンパクトディスク上で提出される「配列表」、表、またはコンピュータ・プログラム一
覧付属物の参照
該当せず
【0003】
発明の背景
アデノシンは、アデニンとリボース糖分子(リボフラノース)との複合体を含むプリン
ヌクレオシド化合物である。アデノシンは哺乳動物に天然に存在し、エネルギー移動(ア
デノシン三リン酸およびアデノシン一リン酸として)やシグナル伝達(環状アデノシン一
リン酸として)をはじめとする幾つかの生化学的過程において重要な役割を果たしている
。アデノシンは、心臓血管拡張を含む血管拡張に関連した過程においても機能を果たし、
神経調節物質として作用する(例えば、睡眠を促進することに関与すると考えられる)。
これらの生化学的過程への関与に加えて、アデノシンは、例えば上室性頻拍症を治療する
ための抗不整脈治療薬として用いられる。本明細書で更に議論されるように、腫瘍は免疫
機能を阻害し寛容を促進することによって宿主応答を回避することから、アデノシンは、
腫瘍の免疫系回避を媒介する上で重要な役割を果たすことが示されている。種々の免疫細
胞サブセットおよび内皮細胞上に発現されるA2ARとA2BRを介したアデノシンシグナル
伝達は、炎症反応中に組織を保護する上で重要な役割を果たすとして確立されている。こ
のように、ある一定条件下では、アデノシンは腫瘍を免疫破壊から保護する(例えば、Fi
shman, P他(2009)HandbExp Pharmacol 193: 399-441を参照されたい)。
【0004】
アデノシン受容体は、内因性リガンドとしてアデノシンを有するプリン作動性Gタンパ
ク質共役レセプターの1クラスである。ヒトにおける4種類のアデノシン受容体は、A1
、A2A、A2BおよびA3と呼ばれる。A1の活性調節は、例えば、神経学的障害、喘息並び
に心不全と腎不全の管理と治療のために提案されている。A2Aアンタゴニストは、例えば
、パーキンソン病の管理と治療のために提案されており、A2Bの調節は、例えば喘息を含
む慢性肺疾患の管理と治療のために提案されており、A3の調節は、例えば喘息および慢
性閉塞性肺疾患、緑内障、癌および脳卒中の管理と治療のために提案されている。
【0005】
歴史的に、アデノシン受容体のモジュレータは非選択的である。これは、心臓組織の4
種のアデノシン受容体のすべてに対して作用する内因性アゴニストであるアデノシンが、
重篤な頻脈の治療のために非経口投与される場合のような、特定の適応症において許容さ
れうる。しかしながら、サブタイプ選択的アデノシン受容体アゴニストおよびアンタゴニ
ストの使用は、副作用を最小化または排除しながら所望のアウトカムを達成する可能性を
提供する。
【0006】
本明細書中で化合物Iとして指定され、例えば米国特許出願第15/875,106号およびPCT
出願第PCT/US18/14352号中に記載された化合物3-〔2-アミノ-6-(1-{[6-(
2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]メチル}-1H-1,2,3
-トリアゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル〕-2-メチルベンゾニトリルは、サ
ブタイプ選択的アデノシン受容体アンタゴニストであると報告されている。化合物Iは、
10 nM未満の、A2A受容体とA2B受容体に対する効力を有する、A2ARとA2BRの有力な
アンタゴニストである。医薬組成物において使用することができる化合物Iの安定な固体
形態が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
発明の簡単な概要
本発明は、アデノシンA2A受容体(A2AR)および/またはアデノシンA2B受容体(A
2BR)を調節する化合物、並びに該化合物を含有する組成物(例えば医薬組成物)に関す
る。そのような化合物を、その合成方法と組成物を含めて以下に詳細に説明する。
幾つかの実施形態では、本発明は、下式:
【0008】
【0009】
の化合物またはその水和物もしくは溶媒和物の固体形態を提供する。
【0010】
幾つかの実施形態では、本発明は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、1
6.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.1 °2
θ)に1つ以上のピークを有するX線粉末回析(XRPD)パターンによって特徴付けられる
、化合物Iまたはその溶媒和物もしくは水和物の固体形態I(I形)を提供し、ここでXR
PDはCuKα1放射線を使って行われる。
【0011】
本発明は更に、化合物Iと、C3~C5ケトン、ジクロロメタンまたはトルエンを含む溶
媒との混合物を形成させることにより、形態Iを調製するのに適当な条件下で、化合物I
の固体形態I(I形)を調製する方法を提供する。
【0012】
更に、本明細書中に記載の固体形態を含む医薬組成物も提供される。
【0013】
少なくとも一部はアデノシンA
2A受容体(A
2AR)またはアデノシンA
2B受容体(A
2B
R)により媒介される疾患、障害または状態を治療する方法であって、それを必要とする
対象に、治療有効量の化合物Iの固体形態を投与することを含む方法が提供される。幾つ
かの実施形態では、単独でまたは別の治療薬、例えば免疫チェックポイント阻害剤と組み
合わせて式Iの固体形態により治療することができる疾患、障害または状態は、癌である
。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
下記式:
【化1】
の化合物I、またはその水和物もしくは溶媒和物の固体形態。
(項目2)
6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ(±0.1°2θ)に1本以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目1に記載の固体形態。
(項目3)
6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ(±0.1°2θ)に2本以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目2に記載の固体形態。
(項目4)
6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ(±0.1°2θ)に3本以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目3に記載の固体形態。
(項目5)
6.9、8.2および15.7°2θ(±0.1°2θ)にピークを含み、XRPDがCuK
α1放射線を使って
行われる、項目1~4のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目6)
14.8、15.0、18.8または21.1°2θ(±0.1°2θ)に1本以上のピークを更に含み、XRPD
がCuK
α1放射線を使って行われる、項目5に記載の固体形態。
(項目7)
14.8、15.0、18.8または21.1°2θ(±0.1°2θ)に2本以上のピークを更に含み、XRPD
がCuK
α1放射線を使って行われる、項目5に記載の固体形態。
(項目8)
14.8、15.0、18.8または21.1°2θ(±0.1°2θ)に3本以上のピークを更に含み、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目5に記載の固体形態。
(項目9)
6.9、8.2、15.7および18.8°2θ(±0.1°2θ)にピークを有するX線粉末回折(XRPD)
パターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目1~8のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目10)
6.9、8.2、12.5、14.8、15.7および18.8°2θ(±0.1°2θ)にピークを有するX線粉末
回折(XRPD)パターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目1~9のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目11)
6.9、8.2、12.5、14.8、15.7、18.8および21.1°2θ(±0.1°2θ)にピークを有するX
線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目1~10のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目12)
6.9、8.2、12.5、14.8、15.7、18.8、20.6および21.1°2θ(±0.1°2θ)にピークを有
するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目1~11のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目13)
6.9、8.2、12.5、14.8、15.7、18.8、20.6、21.1および27.7°2θ(±0.1°2θ)にピー
クを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目1~12のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目14)
6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ(±0.1°2θ)にピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けられ、XRPDがCuK
α1放射線を使って行われる、項目1~13のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目15)
図1のものに実質的に一致したX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けられる、項目1~14のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目16)
次の位相:a=15.1880(7)Å;b=20.9125(11)Å;c=7.5242(4)Å;α=90°;β=90.7720(10)°;およびγ=90°の単結晶X線結晶学により決定されるような単位格子により特徴付けられる、項目1~15のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目17)
約193℃に吸熱を有する示差走査熱量測定(DSC)パターンにより特徴付けられる、項目1~16のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目18)
図2のものに実質的に一致した示差走査熱量測定(DSC)パターンにより特徴付けられ
る、項目1~17のいずれか1項に記載の固体形態。
(項目19)
項目1~18のいずれか1項に記載の固体形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
(項目20)
アデノシンA
2A受容体(A
2AR)またはアデノシンA
2B受容体(A
2BR)により少なくとも一部媒介される疾患、障害または状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に項目1~18のいずれか1項に記載の固体形態の治療有効量を投与することを含む方法。
(項目21)
前記疾患、障害または状態がA
2ARにより少なくとも一部媒介される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記疾患、障害または状態がA
2BRにより少なくとも一部媒介される、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記疾患、障害または状態がA
2AR受容体とA
2BR受容体の両方により少なくとも一部媒介される、項目20に記載の方法。
(項目24)
前記固体形態が、A
2AR媒介免疫抑制の進行を逆転または停止させるのに有効な量で投与される、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記疾患、障害または状態が癌である、項目20~24のいずれか1項に記載の方法。(項目26)
前記癌が、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、子宮癌、胃癌、子宮内膜癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、卵巣癌、精巣癌、頭部癌、頸部癌、皮膚癌(黒色腫と基底細胞癌を含む)、中皮内膜癌、白血球癌(リンパ腫と白血病を含む)、食道癌、乳癌、筋肉癌、結合組織癌、肺癌(小細胞肺癌と非小細胞肺癌を含む)、副腎癌、甲状腺癌、腎臓癌、骨髄腫であるか;またはグリア芽腫、中皮腫、腎細胞癌、胃癌、肉腫(カポジ肉腫を含む)、絨毛種、皮膚基底細胞癌、または精巣セミノーマである、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記癌が、黒色腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、白血病、脳腫瘍、リンパ腫、卵巣癌およびカポジ肉腫から成る群より選択される。項目25に記載の方法。
(項目28)
前記疾患、障害または状態が、免疫関連疾患、障害または状態である、項目20~24のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記免疫関連疾患、障害または状態が、関節リウマチ、腎不全、全身性紅斑性狼瘡(ループス)、ぜん息、乾癬、大腸炎、膵炎、アレルギー、線維症、貧血、線維筋痛、アルツハイマー病、うっ血性心不全、発作、大動脈弁狭窄、アテローム動脈硬化症、骨粗しょう症、パーキンソン病、感染症、クローン病、潰瘍性大腸炎、アレルギー性接触皮膚炎および他の皮膚炎、全身性硬化症および多発性硬化症から成る群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目30)
項目1~18のいずれか1項に記載の固体形態と少なくとも1つの追加の治療薬とを含む医薬組成物。
(項目31)
前記少なくとも1つの追加の治療薬が、化学療法剤、免疫および/または炎症調節薬、高コレステロール血症治療薬、抗炎症薬または放射線である、項目30に記載の医薬組成物。
(項目32)
前記少なくとも1つの追加の治療薬が免疫チェックポイント阻害剤である、項目30に記載の医薬組成物。
(項目33)
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD1、PDL1またはCTLA4の少なくとも1つの活性を遮断する、項目32に記載の医薬組成物。
(項目34)
対象において癌を治療する方法であって、項目1~18のいずれか1項に記載の固体形態と少なくとも1つの追加の治療薬の有効量を前記対象に投与することを含む方法。
(項目35)
前記少なくとも1つの追加の治療薬が免疫チェックポイント阻害剤である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD1、PDL1またはCTLA4の少なくとも1つの活性を遮断する、項目35に記載の方法。
(項目37)
化学療法剤を更に含む、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
前記固体形態、前記免疫チェックポイント阻害剤および/または前記化学療法剤が併用して投与される、項目34~37のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
前記固体形態、前記免疫チェックポイント阻害剤および前記化学療法剤の投与の治療期間が重複している、項目34~38のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
項目1~18のいずれか1項に記載の化合物の固体形態を調製する方法であって、化合物I:
【化2】
と、C
3~C
5ケトン、ジクロロメタンまたはトルエンを含む溶媒とを含む混合物を、化合物Iの固体形態を調製するのに適当な条件下で形成させることを含む、方法。
(項目41)
前記溶媒がアセトンまたは2-ブタノンを含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記溶媒を加熱することを更に含む、項目40または41に記載の方法。
(項目43)
前記加熱後に貧溶媒を添加することを更に含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記貧溶媒が、水、ペンタン、ヘプタンまたはメチルtert-ブチルエーテルを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
アセトンを含む溶媒中で化合物Iを加熱して化合物Iを溶解させ、次いで水を含む貧溶媒を添加することを含む、項目40に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、化合物IのI形(Form I)のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図2】
図2は、約193℃に発熱を示す、化合物IのI形の示差走査熱量測定(DSC)プロットを示す。
【
図3】
図3は、化合物IのI形の熱重量分析(TGA)を示す。
【
図4】
図4は、化合物IのI形の動的蒸気収着(DVS)等温線プロットを示す。
【
図5】
図5は、化合物IのII形(Form II)のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図6】
図6は、約193℃に発熱を示す、化合物IのII形の示差走査熱量測定(DSC)プロットを示す。
【
図7】
図7は、化合物IのIII形(Form III)の熱重量分析(TGA)を示す。
【
図8】
図8は、化合物IのIII形の動的蒸気収着(DVS)等温線プロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明を更に説明する前に、本発明は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない
ことが理解され、本明細書で使用される用語は特定の実施形態のみを説明するためのもの
であり、限定しようとするものではないことも理解すべきである。
【0016】
ある範囲の値が与えられる場合、明らかに文脈が別段を指示しない限り、その範囲の上
限と下限との間にある下限の単位の10分の1までの各介在値と、その表示された範囲内の
任意の別の表示の値または介在値が本発明に包含される。これらのより小さい範囲の上限
と下限は、独立に、そのより小さい範囲内に含まれてもよく、また、表示の範囲内の任意
の具体的な排除限界を設けることがある、本発明の中に包含される。表示の範囲が上下限
の一方または両方を含む場合、含まれる上下限の一方または両方を除く範囲も本発明に含
まれる。他に規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語と科学用語は、本
発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに
別段を指示しない限り、複数の指示対象を含む。請求項はあらゆる任意選択要素を排除す
るように作成できることにさらに留意されたい。従って、この記述は、請求項の要素の列
挙または「否定的」限定の使用に関連して、「専ら」、「唯一の」などのような排他的な
用語の使用のための先行詞として機能することが意図される。
【0018】
本明細書中で論じられる刊行物は、本出願の出願日以前のそれらの開示のためにのみ提
供される。さらに、提供される公開日は、実際に公開された日付とは異なる場合があり、
それは独立して確認する必要があるだろう。
【0019】
総論
化合物3-〔2-アミノ-6-(1-{[6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)
ピリジン-2-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリミジ
ン-4-イル〕-2-メチルベンゾニトリル(化合物I)は、アデノシンA2A受容体(A
2AR)および/またはアデノシンA2B受容体(A2BR)の選択的かつ有力なアンタゴニス
トである:
【0020】
【0021】
本発明は、化合物Iの固体形態の驚くべき発見に端を発し、その利点は本明細書中に記
載のような形態およびその固体形態を製造する方法に起因する。結晶性物質は通常物理的
および化学的に安定である。結晶性物質の優れた安定性は、それらを最終投与形態(剤形
)において使用するのにより適切にすることができる。何故なら、製品の保存可能期間は
安定性と直接関連があるからである。医薬品有効成分(API)の製造における晶析(結晶
化)工程は、不純物を処理溶媒から排除することにより薬物純度をアップグレードする機
会も意味する。
【0022】
定義
別段に断らない限り、次の用語は下記に示される意味を有すると意図される。他の用語
は明細書全体を通していずれかの箇所に定義される。
【0023】
「水和物」は化合物Iと水との組み合わせにより形成される複合体を指す。この用語は
化学量論的水和物に加えて非化学量論的水和物も包含する。
【0024】
「溶媒和物」は、化合物Iと溶媒との組み合わせにより形成される複合体を指す。
【0025】
「脱溶媒和」とは、本明細書中に記載の溶媒和物であって、それから溶媒分子が部分的
にまたは完全に除去されている化合物Iの形態を指す。脱溶媒和物形態を製造するための
脱溶媒和技術には、限定されないが、化合物Iの形態(溶媒和物)を真空に曝露すること
、溶媒和物を高温に曝すこと、溶媒和物を空気または窒素などのガスの流れに曝すこと、
またはその組み合わせが含まれる。よって、脱溶媒和化合物I形態は、無水であり、すな
わち溶媒分子を完全に含まず、または溶媒分子が化学量論量もしくは非化学量論量で存在
するように部分的に溶媒和であることができる。
【0026】
「アルコール」とは、ヒドロキシ基を有する溶媒を指す。代表的なアルコールは、任意
の適当な数の炭素原子、例えばC1~C6、および任意の適当な数のヒドロキシ基、例えば
1~3個のヒドロキシ基を有することができる。例示的なアルコールとしては、限定され
ないが、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール等が挙げられる
。
【0027】
「化合物Iの他の結晶形を実質的に含まない」とは、化合物Iの他の結晶形を10%未満
しか含まない化合物Iの結晶形を指す。例えば、実質的に含まないとは、化合物Iの他の
結晶形を9、8、7、6、5、4、3、2または1%未満しか含まない化合物Iの結晶形
を指すことができる。好ましくは、実質的に含まないとは、化合物Iの他の結晶形を5%
未満しか含まない化合物Iの結晶形を指す。好ましくは、実質的に含まないとは、化合物
Iの別の結晶形を1%未満しか含まない化合物Iの結晶形を指す。
【0028】
「薬学上許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物上に見つかる特定の置
換基に依存して、比較的非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を包含
することが意図される。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合には、塩基付加
塩は、かかる化合物の中性形態を、十分な量のニートのまたは適切な不活性溶媒中の所望
の塩基と接触させることにより得ることができる。
【0029】
薬学上許容される無機塩基から誘導される塩の例としては、アルミニウム、アンモニウ
ム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マ
ンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。
【0030】
薬学上許容される有機塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級および第三級ア
ミン(置換アミン、環状アミン、天然型アミンなどを含む)の塩が挙げられ、例えば、ア
ルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエ
チルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノー
ルアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミ
ン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグ
ルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン
、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタ
ミンなどが挙げられる。
【0031】
本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合には、酸付加塩は、かかる化合物の
中性形態を、十分な量の、ニートのまたは適切な不活性溶媒中の所望の酸と接触させるこ
とにより得ることができる。薬学上許容されうる酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素
酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素
、ヨウ化水素酸または亜リン酸などの無機酸に由来する塩、並びに、酢酸、プロピオン酸
、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタ
ル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸
などの比較的に非毒性の有機酸などから誘導される塩が挙げられる。アルギン酸塩などの
アミノ酸の塩、および、グルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も挙げられ
る(例えば、Berge,S.M.他 "Pharmaceutical Salts", Journal of Pharmaceutical Scie
nce, 1977, 66,1-19を参照されたい)。
【0032】
本発明の特定化合物は、塩基性と酸性の両方の官能基を含み、それにより、化合物を塩
基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換することができる。
【0033】
化合物の中性形態は、従来の方法で、塩を塩基または酸と接触させ、そして親化合物を
単離することによって再生することができる。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解度な
どの特定の物理的性質(物性)の点で様々な塩形態とは異なるが、それ以外は、塩は本発
明の目的上の化合物の親形態と同等である。
【0034】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態に加えて水和形態を含む溶媒和形態で存在する
ことができる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含
されることが意図される。本発明の特定の化合物は多結晶形または非晶質形で存在し得る
。一般に、全ての物理形態は、本発明によって企図される使用に関して同等であり、本発
明の範囲内にあることが意図される。
【0035】
本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子の1つ以上に、非天然の割合
で原子(元素)同位体を含むことができる。同位体の非天然の割合は、自然界に見出され
る量から問題の原子100%を構成する量までの範囲にあると定義することができる。例え
ば、化合物は、例えばトリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I) もしくは炭素-14(14C
)などの放射性同位体、または、重水素(2H)もしくは炭素-13(13C)などの非放射性
同位体を含むことができる。このような同位体の変種は、本願明細書内の他の箇所に記載
されたものに追加の有用性を提供することができる。例えば、本発明の化合物の同位体変
種は、限定されないが、診断および/または画像化試薬として、または、細胞傷害性/放
射能毒性治療薬としての追加の用途を見出すことができる。更に、本発明の化合物の同位
体変種は、治療中の安全性、忍容性または有効性の向上に寄与することができる、変更さ
れた薬物動態特性と薬力学特性を有することができる。本発明の化合物の全ての同位体変
種は、放射性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0036】
用語「患者」または「対象(被験者)」は、ヒトまたは非ヒト動物(例えば哺乳動物)
を指すために互換的に使用される。
【0037】
例えば、対象、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用される場合、「投与」、「
投与する」などの用語は、例えば、A2AR/A2BRの阻害剤、それを含む医薬組成物また
は診断薬を、対象、細胞、組織、器官または生物学的流体と接触させることを指す。細胞
との関連で、投与は、細胞への試薬の接触(例えばインビトロ(in vitro)またはエクスビ
ボ(exvivo)で)、並びに流体が細胞と接触しているような流体への試薬の接触を指す。
【0038】
「治療(処置)する」、「治療(処置)すること」、「治療(処置)」などの用語は、
対象を苦しめている疾患、障害または状態の根本的原因の少なくとも1つ、または対象を
苦しめている疾患、障害または状態に関連する症状の少なくとも1つを、一時的にもしく
は永久的にのいずれかで、排除し、低減し、抑制し、緩和し、または軽減するように、そ
の疾患、障害もしくは状態またはその症状が診断され観察されたりした後に開始される、
一連の行動(例えばA2AR/A2BRの阻害剤またはそれを含む医薬組成物を投与すること
)を指す。従って、治療(処置)には、活動性疾患を阻害すること(例えば、疾患、障害
もしくは状態またはそれに伴う臨床状態の発生もしくは更なる発達を阻止すること)が含
まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合の「治療(処置)を必要とする」という用語は、対象が治療
を必要とするかまたは治療から恩恵を受けるであろう医師または他の介護者によって行わ
れる判断を指す。この判断は、医師または介護人の専門知識の分野に存在する様々な要因
に基づいて行われる。
【0040】
用語「予防する」、「予防すること」、「予防」などは、一般的には、特定の疾患、障
害または状態を有しやすい傾向がある対象との関連で、該対象が疾患、障害、状態などを
発症する対象のリスクを、一時的にまたは永久的に予防し、抑制し、阻害しまたは軽減す
る(例えば、臨床症状がないことにより判定される)あるいはその発生を遅らせるような
形で開始される一連の行動(例えばA2AR/A2BR阻害剤またはそれを含む医薬組成物の
投与など)を指す。ある場合には、この用語はまた、疾患、障害もしくは状態の進行を遅
らせること、または、有害な状態または望ましくない状態へのそれの進行を阻止すること
を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合の「予防を必要とする」という用語は、対象が予防的ケア
を必要とするかまたはそれから恩恵を受けるであろう医師または他の介護人によって行わ
れる判断を指す。この判断は、医師または介護人の専門知識の分野に存在する様々な要因
に基づいて行われる。
【0042】
「治療有効量」という表現は、単独でまたは医薬組成物の一部としてそして単回投与で
または連続した投与の一部としてのいずれかで対象に投与すると、疾患、障害または状態
の任意の症状、局面または特徴に対する任意の検出可能なプラス効果を有することができ
る量で、薬剤を対象に投与することを指す。治療有効量は、関連する生理学的効果を測定
することにより確かめることができ、それは投薬レジメンや対象の状態の診断分析などと
連携して調整することができる。一例として、投与後の特定時点におけるA2AR/A2BR
阻害剤(または例えばそれの代謝産物)の血中濃度の測定が、治療有効量が適用されてい
るかどうかの指標となることができる。
【0043】
用語「阻害剤」および「アンタゴニスト(拮抗薬)」、または「活性化剤」および「ア
ゴニスト(作動薬)」は、それぞれ、例えばリガンド、受容体、補因子、遺伝子、細胞、
組織または臓器の活性化に対する、阻害性分子または活性化分子を指す。阻害剤は、例え
ば遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体または細胞の活性化を減少させる、遮断する、
防止する、遅延させる、不活性化する、感受性を抑える、または下方制御(ダウンレギュ
レーション)する分子である。活性化剤は、例えば遺伝子、タンパク質、リガンド、受容
体または細胞を増加させる、活性化する、促進する、活性化を強化する、感作する、また
は上方制御(アップレギュレーション)する分子である。阻害剤は、構成的活性を減少さ
せる、阻止するまたは不活性化する分子として定義することもできる。「アゴニスト(作
用薬)」は、標的と相互作用して標的の活性化の増加を引き起こすかまたは促進する分子
である。「アンタゴニスト(拮抗薬)」は、アゴニストの作用と拮抗する分子である。ア
ンタゴニストはアゴニストの活性化を防止し、減少させ、阻害し、または中和し、そして
アンタゴニストは更に、たとえ特定されたアゴニストが全く存在しなくても、標的(例え
ば標的受容体)の構成的活性を防止し、阻害しまたは減少させることができる。
【0044】
用語「調節(モジュレート)する」、「調節(モジュレーション)」等は、A2BR/A
2BRの機能または活性を直接的にもしくは間接的に増加または減少させる分子(活性化剤
または阻害剤)の能力を指す。モジュレーターは、単独で作用してもよく、またはそれは
補因子、例えばタンパク質、金属イオンもしくは小分子を使用してもよい。モジュレータ
ーの例としては、小分子化合物および他の生物有機分子が挙げられる。小分子化合物の多
数のライブラリー(例えばコンビナトリアル・ライブラリー)が商業的に入手可能であり
、それはモジュレーターを同定するための出発点として働くことができる。当業者は、そ
のような化合物ライブラリーをスクリーニングして所望の性質を有する1つ以上の化合物
を同定することができる1つ以上のアッセイ(例えば生化学アッセイまたは細胞ベースの
アッセイ)を開発することが可能であり;その後、熟練した医薬品化学者が、例えばそれ
の類似体と誘導体を合成し評価することにより、そのような1つ以上の化合物を最適化す
ることができる。合成および/または分子モデル化研究は、活性化因子(アクチベーター
)の同定に利用することもできる。
【0045】
分子の「活性」とは、該分子のリガンドへのまたは受容体への結合;触媒活性;遺伝子
発現または細胞のシグナル伝達、分化もしくは成熟を刺激する能力;抗原活性;別分子の
活性の調節;等を説明または言及することができる。用語「増殖活性」は、例えば、正常
細胞分割、並びに癌、腫瘍、異形成、細胞形質転換、転移および血管新生を促進するか、
それに必要であるか、またはそれと具体的に関連付けられる活性を包含する。
化合物Iの固体形態
【0046】
本発明は、結晶形と非晶質形、並びに溶媒和物および水和物形を包含する、化合物3-
〔2-アミノ-6-(1-{[6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2
-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル
〕-2-メチルベンゾニトリル(化合物I)の固体形態を提供する。幾つかの実施形態で
は、本発明は、次の構造を有する化合物Iの固体形態、例えば結晶形:
【0047】
【化3】
および、その溶媒和物または水和物を提供する。
【0048】
化合物Iは、例えば、限定されないが、I形(Form I)、II形(Form II)およびIII形
(Form III)を含む様々な固体形態の形をとることができる。化合物Iは、2以上の結晶
形の混合物を形成することができ、または他の結晶形を実質的に含まない単結晶形を形成
することができる。
【0049】
I形(Form I)
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.
7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または2
7.7 °2θ (± 0.1 °2θ)にピークを有するX線粉末回折パターン(ここでXRPDはCuKα1
放射線を使って行われる)により、または約193℃に吸熱を有する示差走査熱量測定 (DSC
) プロットにより、または前記XRPDとDSCの両方により、特徴付けることができる。
【0050】
化合物IのI形は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.
8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.1 °2θ)に1本以上、
例えば2本、3本、4本、5本またはそれ以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パ
ターン(ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる)により特徴付けることができる
。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態Iは、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8
、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2
θ (± 0.1 °2θ)に2本以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでX
RPDはCuKα1放射線を使って行われる)により特徴付けることができる。幾つかの実施形
態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、1
5.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7° 2θ (± 0
.1 ° 2θ)に3本以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでXRPDはCu
Kα1 放射線を使って行われる)により特徴付けることができる。幾つかの実施形態では
、化合物Iの固体形態Iは、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.
1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.1 °2θ)に4本
以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでXRPDはCuKα1 放射線を使
って行われる)により特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体
形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8
、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.1 °2θ)に5本以上の
ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行
われる)により特徴付けることができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.
7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または2
7.7 °2θ (± 0.1 °2θ)に6本以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(
ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる)により特徴付けることができる。幾つか
の実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8
、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2
θ (± 0.1 °2θ)に7本以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでX
RPDはCuKα1放射線を使って行われる)により特徴付けることができる。幾つかの実施形
態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、1
5.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.
1 °2θ)に8本以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでXRPDはCuK
α1 放射線を使って行われる)により特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、
化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.
8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.1 °2θ)
に9本以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでXRPDはCuKα1 放射
線を使って行われる)により特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、化合物I
の固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1
、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1または27.7°2θ (± 0.1 °2θ)に10本
以上のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン(ここでXRPDはCuKα1 放射線を使
って行われる)により特徴付けることができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.2および15.7 °2θ
(± 0.1 °2θ)にピークを有するXRPDパターンにより特徴づけられ、ここでXRPDはCuKα
1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、
14.8、15.0、18.8または21.1°2θ (± 0.1 °2θ)に1本以上のピークを更に含むX線
粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行わ
れる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、更に14.8、15.0、18.8
または21.1 °2θ(± 0.1 °2θ)に2本以上のピークを更に含むX線粉末回折(XRPD)
パターンにより特徴づけられ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つかの
実施形態では、化合物Iの固体形態Iは、14.8、15.0、18.8または21.1 °2θ (± 0.1
°2θ)に3本以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられ、こ
こでXRPDはCuKα放射線を使って行われる。
【0053】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.2、15.7および18.8
°2θ (±0.1 °2θ)にピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付け
ることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、
化合物Iの固体形態Iは、6.9、8.2、12.5、14.8、15.7および18.8 °2θ (± 0.1 °2θ
)にピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでX
RPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(
I形)は、6.9、8.2、12.5、14.8、15.7、18.8および21.1°2θ (± 0.1 °2θ)にピー
クを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCu
Kα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)
は、6.9、8.2、12.5、14.8、15.7、18.8、20.6および21.1°2θ (± 0.1 °2θ)にピー
クを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCu
Kα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)
は、6.9、8.2、12.5、14.8、15.7、18.8、20.6、21.1および27.7°2θ (± 0.1 °2θ)
にピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXR
PDはCuKα1放射線を使って行われる。
【0054】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、6.9、8.0、8.2、12.5、12.
7、14.8、15.0、15.7、16.8、18.1、18.8、19.2、20.6、21.1、21.8、24.9、27.1および2
7.7 °2θ (± 0.1 °2θ)にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、
ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体
形態I(I形)は、下表1中のピークに従うXRPDパターンにより特徴付けることができる
。
【0055】
【0056】
幾つかの実施形態において、化合物Iの固体形態I(I形)は、
図1のものに実質的に
従ったXRPDパターンにより特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、化合物Iの
固体形態Iは、化合物Iの別の固体形態を実質的に含まないことが可能である。幾つかの
実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、II形およびIII形を実質的に含まない
ことが可能である。
【0057】
化合物IのI形は、約193℃に吸熱を有する示差走査熱量分析(DSC)プロットにより特
徴付けることができる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、
図2
のものに実施的に従ったDSCパターンにより特徴付けることができる。
【0058】
化合物IのI形は、下表2に示される単結晶X線回折データの1つ以上の特性により特
徴付けることができる。
【0059】
【0060】
II形(Form II)
幾つかの実施形態では、化合物IのII形は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4、13.9、14.9、
15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、26.4または27.1
°2θ (±0.1 °2θ)に1本以上、例えば2本、3本、4本、5本またはそれ以上のピ
ークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDは
CuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形
)は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4、13.9、14.9、15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、
20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、26.4または27.1°2θ(± 0.1 °2θ)に2本以上のピー
クを有するX線粉末回折パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放
射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1
、7.8、8.2、8.7、12.4、13.9、14.9、15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.
4、22.2、25.0、25.6、26.4または27.1°2θ (± 0.1 °2θ) に3本以上のピークを有
するX線粉末回折パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を
使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、
8.2、8.7、12.4、13.9、14.9、15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2
、25.0、25.6、26.4または27.1°2θ (± 0.1 °2θ) に4本以上のピークを有するX線
粉末回折パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行
われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、8.2、8.7
、12.4、13.9、14.9、15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、
25.6、26.4または27.1°2θ (± 0.1 °2θ) に5本以上のピークを有するX線粉末回折
パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。
【0061】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4
、13.9、14.9、15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、
26.4または27.1 °2θ(± 0.1 °2θ)に6本以上のピークを有するX線粉末回折パター
ンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つか
の実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4、13.9、
14.9、15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、26.4また
は27.1 °2θ(± 0.1 °2θ) に7本以上のピークを有するX線粉末回折パターンにより
特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形
態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4、13.9、14.9、15
.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、26.4または27.1°
2θ (± 0.1 °2θ) に8本以上のピークを有するX線粉末回折パターンにより特徴付け
ることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化
合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4、13.9、14.9、15.3、15.6、
17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、26.4または27.1°2θ (± 0
.1 °2θ) に9本以上のピークを有するX線粉末回折パターンにより特徴付けることがで
き、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの
固体形態II(II形)は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4、13.9、14.9、15.3、15.6、17.5、18
.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、26.4または27.1°2θ (± 0.1 °2θ
) に10本以上のピークを有するX線粉末回折パターンにより特徴付けることができ、ここ
でXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。
【0062】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8および18.3 °2θ
(±0.1 °2θ)にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、ここでXRP
DはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II
形)は、8.7、13.9、14.9、15.6または22.2°2θ (± 0.1 °2θ) に1本以上のピーク
を更に含むX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCu
Kα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)
は、8.7、13.9、14.9、15.6または22.2°2θ (± 0.1 °2θ) に2本以上のピークを更
に有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuK
α1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は
、8.7、13.9、14.9、15.6または22.2°2θ (± 0.1 °2θ) に3本以上のピークを更に
含むX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1
放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、8.
7、13.9、14.9、15.6または22.2°2θ (± 0.1 °2θ) に4本以上のピークを有するX
線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を
使って行われる。
【0063】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、14.9および18.3
°2θ (±0.1 °2θ) にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、こ
こでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形
態II(II形)は、7.1、7.8、8.7、14.9および18.3°2θ (± 0.1 °2θ) にピークを更
に有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使っ
て行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、13.9
、14.9および18.3°2θ (± 0.1 °2θ) にピークを有するXRPDパターンにより特徴付け
ることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、
化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、13.9、14.9、15.6および18.3°2θ (± 0
.1 °2θ) にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCu
Kα1 放射線を使って行われる。
【0064】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、7.1、7.8、8.2、8.7、12.4
、13.9、14.9、15.3、15.6、17.5、18.3、19.3、19.8、20.2、21.4、22.2、25.0、25.6、
26.4または27.1 °2θ(± 0.1 °2θ) にピークを有するX線粉末回折パターンにより特
徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態
では、化合物Iの固体形態II(II形)は、下表3に記載のピーク一覧表により特徴付ける
ことができる:
【0065】
【0066】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態II(II形)は、
図5のものに実質的に従っ
たXRPDパターンにより特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体
形態II(II形)は、化合物Iの別の固体形態を実質的に含まないことが可能である。幾つ
かの実施形態は、化合物Iの固体形態II(II形)は、I形およびIII形を実質的に含まな
いことが可能である。
【0067】
化合物Iの形態IIは、約190℃に吸熱を有する示差走査熱量分析(DSC)プロットにより
特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I(I形)は、図
6のものに実質的に従ったDSCパターンにより特徴付けることができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態IIは、
図5のものに実質的に従ったXRPDパ
ターンと、約190℃に吸熱を有するDSCプロットとにより特徴付けることができる。
【0069】
III形(Form III)
化合物IのIII形は、10.8、12.2、12.6、13.7、15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1
、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、23.1、23.9、24.7、25.3または28.4°2θ (± 0.1
°2θ)に1本以上、例えば2本、3本、4本、5本またはそれ以上のピークを有するX線
粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使
って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2
、12.6、13.7、15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、
23.1、23.9、24.7、25.3または28.4°2θ (± 0.1 °2θ)に2本以上のピークを有する
X線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線
を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、
12.2、12.6、13.7、15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21
.3、23.1、23.9、24.7、25.3または28.4°2θ (± 0.1 °2θ)に3本以上のピークを有
するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1
放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、
10.8、12.2、12.6、13.7、15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20
.7、21.3、23.1、23.9、24.7、25.3または28.4°2θ (± 0.1 °2θ) に4本以上のピー
クを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCu
Kα1 放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形
)は、10.8、12.2、12.6、13.7、15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19
.5、20.7、21.3、23.1、23.9、24.7、25.3または28.4°2θ (± 0.1 °2θ)に5本以上
のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXR
PDはCuKα1放射線を使って行われる。
【0070】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、13.7
、15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、23.1、23.9、
24.7、25.3または28.4°2θ (± 0.1 °2θ) に6本以上のピークを有するX線粉末回折
パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、13.7、
15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、23.1、23.9、24
.7、25.3または28.4 °2θ(± 0.1 °2θ) に7本以上のピークを有するX線粉末回折パ
ターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つ
かの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、13.7、15.2
、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、23.1、23.9、24.7、
25.3または28.4 °2θ(± 0.1 °2θ) に8本以上のピークを有するX線粉末回折パター
ンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つか
の実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、13.7、15.2、
15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、23.1、23.9、24.7、25
.3または28.4 °2θ (±0.1 °2θ) に9本以上のピークを有するX線粉末回折パターン
により特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾つかの
実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、13.7、15.2、15
.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、23.1、23.9、24.7、25.3
または28.4 °2θ(± 0.1 °2θ) に10本以上のピークを有するX線粉末回折パターンに
より特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。
【0071】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、12.2、20.7および21.3
°2θ (±0.1 °2θ)にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、ここ
でXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態I
IIは、10.8、12.6、17.2または19.3°2θ (± 0.1 °2θ)に1本以上のピークを更に含
むX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放
射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10
.8、12.6、17.2または19.3°2θ (± 0.1 °2θ) に2本以上のピークを更に含むX線粉
末回折(XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使
って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.6
、17.2または19.3°2θ (± 0.1 °2θ) に3本以上のピークを更に含むX線粉末回折(
XRPD)パターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行わ
れる。
【0072】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、12.2、12.6、20.7および
21.3 °2θ (± 0.1°2θ) にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けることができ
、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固
体形態III(III形)は、12.2、17.2、20.7および21.3°2θ (± 0.1 °2θ)にピークを
有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って
行われる。 幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態IIIは、12.2、12.6、17.2、20.7
および21.3 °2θ(± 0.1 °2θ) にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けること
ができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物
Iの固体形態IIIは、10.8、12.2、12.6、17.2、20.7および21.3°2θ (± 0.1 °2θ)
にピークを有するXRPDパターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射
線を使って行われる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8
、12.2、12.6、17.2、19.3、20.7および21.3°2θ (± 0.1 °2θ) にピークを有するXR
PDパターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1放射線を使って行われる
。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、17.2
、19.3、20.7、21.3および23.9°2θ (± 0.1 °2θ)にピークを有するXRPDパターンに
より特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。 幾つかの実
施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、17.2、19.3、20.7
、21.3、23.9および24.7°2θ (± 0.1 °2θ) にピークを有するXRPDパターンにより特
徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。
【0073】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、10.8、12.2、12.6、13.7
、15.2、15.3、16.5、17.2、17.8、18.1、18.4、19.3、19.5、20.7、21.3、23.1、23.9、
24.7、25.3および28.4°2θ (± 0.1 °2θ) にピークを有するX線粉末回折(XRPD)パ
ターンにより特徴付けることができ、ここでXRPDはCuKα1 放射線を使って行われる。幾
つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、下表4に記載のピーク一覧表
により特徴付けることができる。
【0074】
【0075】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、
図7に示されるものから
選択された1つのパターンに実質的に従ったXRPDパターンにより特徴付けることができる
。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、化合物Iの他の固体形態
を実質的に含まないことが可能である。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III
(III形)は、I形およびII形を実質的に含まないことが可能である。
【0076】
化合物IのIII形は、約178℃と約193℃に1つ以上の吸熱を有する示差走査熱量分析(D
SC)プロットにより特徴付けることができる。幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形
態III(III形)は、約178℃に吸熱を有するDSCパターンにより特徴付けることができる。
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、
図8のものに実質的に従っ
たDSCパターンにより特徴付けることができる。
【0077】
幾つかの実施形態では、化合物Iの固体形態III(III形)は、
図7のものに実質的に従
ったXRPDパターンと、約178℃と約193℃に1つ以上の吸熱を有するDSCプロットとにより
特徴付けることができる。
【0078】
製造方法
本明細書中に提供される化合物Iの固体形態は、下記および実施例に記載されるような
方法により調製することができる。
出発材料の適切性
【0079】
一般に、化合物I出発物質の形態学は、化合物Iの固体形態の好結果の回収にとってあ
まり重要でないが、最初の溶解の速度論に影響を与え得る。例えば、凍結乾燥によって得
られる非晶質物質を用いて、所望の固体形態を得ることができる。あるいは、化合物Iの
1つの固体形態を用いて、化合物Iの別の固体形態を得ることができ、例えば安定性の低
い固体形態を用いてより安定な形態を得ることができる。
単一溶媒と二成分溶媒混合物
【0080】
溶媒は、溶液を形成するのに適する任意溶媒であることができる。典型的には、溶媒は
極性溶媒であることができ、幾つかの実施形態では、プロトン系溶媒である。別の適当な
溶媒は非極性溶媒を含む。単一溶媒と二成分溶媒混合物のいずれかの使用を通して、化合
物Iの所望の固体形態を作出するのに、様々な溶媒を用いることができる。単一溶媒の場
合、適度に濃縮された溶液を形成できる溶媒中で加熱することにより、出発化合物I材料
を溶解し、続いて冷却することにより、所望の結晶形態の形成を開始させる。適当な単一
溶媒としては、限定されないが、エーテル、例えば1,4-ジオキサン、ジエチルエーテ
ル、およびメチルtert-ブチルエーテル;アルカノエート、例えば酢酸エチル、酢酸プロ
ピル、酢酸イソプロピル、および酢酸ブチル;エチレングリコールおよびプロピレングリ
コール、例えばPEG400;ケトン、例えばC3~C5ケトン、例えばメチルエチルケトンおよ
びアセトン;アルコール、例えばC1~C3アルコール、例えばメタノール、イソプロパノ
ールおよびエタノール;芳香族化合物、例えばベンゼンおよびトルエン;ハロゲン化溶媒
、例えば塩化メチレン、クロロホルムおよび四塩化炭素;ジメチルスルホキシド(DMSO)
;およびジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。
【0081】
適当な溶媒中の物質の飽和溶液の緩徐な蒸発も、結晶性物質を得るのに効果的である。
適当な溶媒としては、限定されないが、エーテル、例えば1,4-ジオキサン、ジエチル
エーテルおよびメチルtert-ブチルエーテル;アルカノエート、例えば酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸イソプロピル、および酢酸ブチル;ケトン、例えばC3~C5ケトン、例え
ばメチルエチルケトンおよびアセトン;並びにアルコール、例えばC1~C3アルコール、
例えばメタノール、イソプロパノールおよびエタノールが挙げられる。
【0082】
二成分溶媒混合物の場合、出発物質は最初に上記に概説したような適度に濃縮された溶
液を形成できる溶媒中に溶解され、そして該溶液がまだ熱い間に、低極性溶媒、すなわち
該物質が容易に溶解せずに所望の物質の晶析(結晶化)を開始させる、貧溶媒が添加され
る。特定の例では、加熱しながら物質をアセトン中に溶解し、水を添加して所望の結晶形
態の形成を開始させる。適当な貧溶媒としては、限定されないが、C5~C7アルカン、例
えばn-ペンタンおよびn-ヘプタン;エーテル、例えば1,4-ジオキサン、ジエチル
エーテルおよびメチルtert-ブチルエーテル;アルカノエート、例えば酢酸イソブチル;
メチルエチルケトン;および水が挙げられる。
溶媒/貧溶媒比
【0083】
二成分溶媒混合物の場合、溶媒:沈殿用溶媒、すなわち化合物Iの過飽和溶液を形成さ
せるために添加される貧溶媒、の比は、化合物Iの固体形態の形成に大きくは影響を及ぼ
さないが、ただし生成物の晶析(結晶化)を開始させるのに十分な量の貧溶媒が添加され
るのを前提とする。溶媒:貧溶媒比は、化合物Iの出発量に対する結晶形の回収率に影響
を及ぼし得る。
溶媒/化合物比
【0084】
溶媒に対する化合物Iの比または濃度は、使用する溶媒または溶媒混合物に依存して変
動し得る。典型的な溶媒は200 mg/mL~10 mg/mLの範囲に及び、その範囲の上限の端点の
限定要因は、材料の溶解性、または結晶化が起こった後の材料の回収の容易性である。例
えば、約70 mgの化合物Iを1mLのアセトン中に溶解することができ、続いて水を添加し
て結晶形を提供することができる。
温度
【0085】
化合物Iの結晶形を調製する方法は、任意の適当な反応条件下で実施することができる
。例えば、化合物Iの結晶形を調製する方法は、任意の適当な温度、例えば限定されない
が、室温より低温、室温、または室温より高温で実施することができる。一般に、本明細
書中に記載の製造方法に用いられる温度は、約20℃から溶媒の還流温度までの範囲である
。典型的な温度は約50℃~約80℃の範囲である。いったん溶液が得られたら、そして必要
であれば、沈殿用溶媒、すなわち貧溶媒を添加し、混合物を室温に冷却する。冷却速度は
、化合物Iの単離される固体形態中の結晶のサイズ、形状および品質に影響を及ぼし得る
。
【0086】
晶析速度
幾つかの要因が晶析速度に有意に影響を与える。そのような要因としては、限定されな
いが、貧溶媒の添加速度、混合物の冷却速度、微粉末、種結晶、またはガラス表面上の欠
陥(傷)などの核形成部位の存在が挙げられる。これらのパラメータの変動が、化合物I
の単離される固体形態中の結晶のサイズ、形状および品質に影響を及ぼし得る。
【0087】
化合物Iの結晶形の調製方法は、任意の適当な時間に渡り実施できる。例えば、時間は
、数分間、数時間または数日間であることができる。幾つかの実施形態では、時間は数時
間、例えば一晩であることができる。化合物Iの結晶形の調製方法は、任意の適当な圧力
下で実施することもできる。例えば、圧力は、大気圧より低圧、ほぼ大気圧、または大気
圧より高圧であることができる。
【0088】
化合物Iの固体形態の単離
所望の固体形態、例えば結晶形を上清から単離するために幾つかの方法を使用すること
ができ、それにはろ過、デカンテーション、および溶媒の蒸発が含まれる。一般に、結晶
形は、真空ろ過により任意の形成された固体を回収し、次いで風乾し、続いて高真空に曝
露していずれかの残留溶媒を除去することにより得られる。
【0089】
I形(Form I)
幾つかの実施形態では、本発明は、本発明の化合物IのI形の調製方法を提供し、該方
法は、本発明の化合物Iと溶媒との混合物を、I形を調製するのに適当な条件下で形成さ
せることを含む。化合物IのI形を調製する方法において任意の適当な溶媒を使用するこ
とができる。幾つかの実施形態では、溶媒は、トルエン、エタノール、イソプロパノール
、メチルエチルケトン(すなわち2-ブタノン)、アセトン、アセトニトリル、酢酸イソ
ブチル、酢酸エチル、DMSOまたはジクロロメタンの少なくとも1つであることができる。
幾つかの実施形態では、溶媒はアセトン、エタノール、イソプロパノールまたはジクロロ
メタンの少なくとも1つであることができる。幾つかの実施形態では、溶媒はアセトン、
エタノールまたはイソプロパノールの1つを含み得る。幾つかの実施形態では、溶媒は、
水と組み合わせた、アセトン、エタノールまたはイソプロパノールの少なくとも1つであ
り得る。幾つかの実施形態では、溶媒はアセトンと水であり得る。
【0090】
幾つかの実施形態では、本発明は、化合物Iの結晶形I(I形)を調製するのに適当な
条件下で、化合物Iと、C3~C5ケトン、ジクロロメタンまたはトルエンを包含する溶媒
との混合物を形成させることにより、化合物Iの結晶形I(I形)を調製する方法を提供
する。C3~C5ケトンはアセトン、メチルエチルケトンまたは3-ペンタノンであること
ができる。幾つかの実施形態では、溶媒はアセトンとメチルエチルケトンの1つを含む。
【0091】
アセトンと水の任意の適当な比を使用できる。例えば、物質がアセトン中に溶解されそ
して貧溶媒として水が添加される場合、アセトン:水の比は約9:1から約1:9まで(
容積:容積)、例えば約3:1から約1:5までまたは約1:1から約1:6まで異なる
ことができる。幾つかの実施形態では、アセトン:水の比(容積:容積)は約9:1、8
:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1
:4、1:5、1:6、1:7、1:8または約1:9である。幾つかの実施形態では、
アセトン:水の比(容積:容積)は約1:3または約1:4である。
【0092】
II形(Form II)
本発明は、化合物IのII形を調製する方法も提供する。幾つかの実施形態では、本発明
は、化合物IのII形を調製するのに適当な条件下で、化合物Iとアセトニトリルとの混合
物を形成することによる、化合物IのII形を調製する方法を提供する。幾つかの実施形態
では、化合物IのII形を調製する方法は、化合物I、アセトニトリルおよび水の混合物を
形成させることを含む。
【0093】
アセトニトリルと水の任意の適当な比を使用できる。例えば、化合物Iがアセトニトリ
ル中に溶解されそして貧溶媒として水が添加される場合、アセトン:水の比は約9:1か
ら約1:9まで(容積:容積)、例えば約3:1から約1:5まで、または約1:1から
約1:6まで異なり得る。幾つかの実施形態では、アセトン:水の比(容積:容積)は約
9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、
1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、または約1:9である。幾つかの実
施形態では、アセトニトリル:水の比(容積:容積)は、約1:3または約1:4である
。
【0094】
幾つかの実施形態では、本発明は、本発明の化合物IのIII形(Form III)を調製する
方法であって、III形を調製するのに適当な条件下で、本発明の化合物Iと溶媒との混合
物を形成させることを含む方法を提供する。化合物IのIII形を調製する方法において任
意の適当な溶媒を調製することができる。幾つかの実施形態では、化合物IのIII形を調
製する方法は、化合物Iを溶媒中で加熱し、次いでその混合物を冷却してIII形を提供す
ることを含む。幾つかの実施形態では、溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、メチルエチルケトン(すなわち2-ブタノン)、アセトン、アセトニトリル、
酢酸イソブチル、酢酸エチル、またはメチルtert-ブチルエーテルの少なくとも1つであ
ることができる。幾つかの実施形態では、溶媒は、水、メタノール、イソプロパノールま
たはアセトニトリルの少なくとも1つであり得る。幾つかの実施形態では、溶媒は、水、
メタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルの1つを含むことができる。
【0095】
治療用途および予防用途
本発明は、広範囲の疾患、障害および/または状態、並びに/またはその症状の治療ま
たは予防における、本明細書中に記載の化合物Iの固体形態の使用を企図する。特定の用
途は以降に詳細に記載されるが、本発明がそれほど限定されないことを理解すべきである
。更に、特定の疾患、障害および状態の一般カテゴリーが下記に与えられるが、そのよう
な疾患、障害および状態は、複数のカテゴリーの一員である場合もあり、また開示された
カテゴリーのいずれの一員でもない場合もある。
【0096】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の疾患、障害および/または状態は、少なくと
も一部はアデノシンA2A受容体(A2AR)により媒介される。幾つかの実施形態では、本
明細書に記載の疾患、障害および/または状態は、少なくとも一部はアデノシンA2B受容
体(A2BR)により媒介される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の疾患、障害お
よび/または状態は、少なくとも一部はA2ARとA2BRの両方により媒介される。
【0097】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の化合物Iの固体形態は、A2AR媒介性免疫抑
制の進行を逆転させるかまたは停止させるのに有効な量で投与される。
【0098】
腫瘍学関連障害。本発明によれば、化合物Iの固体形態は、増殖性疾患または障害、例
えば癌、例えば子宮癌、頸癌、乳癌、前立腺癌、精巣癌、消化管癌(例えば食道癌、中咽
頭癌、胃癌、小腸または大腸癌、結腸癌または胆のう癌)、腎臓癌、腎細胞癌、膀胱癌、
骨肉腫、骨髄癌、皮膚癌、頭頸部癌、肝臓癌、膀胱癌、心臓癌、肺癌、膵臓癌、唾液腺癌
、副腎癌、甲状腺癌、脳腫瘍(例えば神経膠腫)、ガングリオン(結節腫)、中枢神経系
(CNS)および末梢神経系(PNS)の癌、並びに造血系および免疫系(例えば脾臓や胸腺)
の癌を、予防または治療するために用いることができる。本発明はまた、別の癌関連疾患
、障害または状態、例えば免疫原性腫瘍、非免疫原性腫瘍、潜伏性腫瘍、ウイルス誘発癌
(例えば、上皮細胞癌、内皮細胞癌、扁平細胞癌および乳頭腫ウイルス癌)、腺癌、リン
パ腫、癌腫、黒色腫、白血病、骨髄腫、肉腫、奇形腫、化学物質誘発癌、転移癌および血
管新生を治療または予防する方法も提供する。本発明は、例えば調節性T細胞および/ま
たはCD8+T細胞の活性を調節することにより、腫瘍細胞または癌細胞抗原に対する耐容性
を減少させることを図る(例えばRamirez-Montagut他(2003)Oncogene 22:3180-87;およ
びSawaya他(2003)NewEngl.J. Med. 349:1501-09を参照のこと)。特定の実施形態では
、腫瘍または癌が結腸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、肺癌、神経芽腫、または白血病である
。癌関連疾患、障害および状態という用語の使用は、広義には直接的または間接的に癌に
関連がある状態を指し、そして血管新生や前がん状態、例えば異形成を含むことを意図す
る。
【0099】
幾つかの実施形態では、癌は転移性であるかまたは転移性になるリスクがあり、あるい
は、血液または骨髄の癌(例えば白血病)を含む、びまん性組織に発生しうる。幾つかの
更なる実施形態では、本発明の化合物はT細胞忍容性を克服するために使用することがで
きる。
【0100】
幾つかの形態では、本発明は、増殖性状態、癌、腫瘍、または前癌状態を、化合物Iの
固体形態と少なくとも1つの追加の治療薬または診断薬(その例は本明細書中の他の箇所
に記載される)で治療する方法を提供する。
【0101】
免疫関連の障害および炎症関連の障害。本明細書中で用いる場合、「免疫疾患」、「免
疫状態」、「免疫障害」、「炎症性疾患」、「炎症状態」、「炎症」等の用語は、広義に
は免疫関連の状態(例えば自己免疫疾患)または、何らかの治療効果が得られるように化
合物Iの固体形態により治療することができる免疫成分を有する障害を包含するものであ
ると意図される。そのような状態はしばしば他の疾患、障害および状態と密接に絡み合う
。一例として、「免疫状態」は、例えば癌、腫瘍および血管新生といった増殖性状態;免
疫系による根絶に抵抗する感染症(急性と慢性)、腫瘍および癌を指すことができる。
【0102】
化合物Iの固体形態は、免疫応答を増加または増強するため;ワクチン効能を高めるこ
とを含む、免疫化を改善するため;および炎症を増加させるために用いることができる。
免疫不全性疾患に関連した免疫不全症、免疫抑制薬処置、急性および/または慢性感染、
並びに老化は、本明細書中に開示された化合物を使って治療することができる。化合物I
の固体形態は、医原的に誘導された免疫抑制を患っている患者、例えば骨髄移植、化学療
法または放射線療法を受けた者の免疫系を刺激するために用いることもできる。
【0103】
本開示の特定の実施形態では、化合物Iの固体形態は、アジュバント活性を提供するこ
とにより抗原に対する免疫応答を増加または強化するために用いられる。特定の実施形態
では、少なくとも1つの抗原またはワクチンが、該抗原またはワクチンに対する免疫応答
を延長するために化合物Iの少なくとも1つの固体形態と組み合わせて対象に投与される
。少なくとも1つの抗原性物質またはワクチン成分、例えば限定されないが、ウイルス、
細菌および真菌またはそれの部分、タンパク質、ペプチド、腫瘍特異的抗原、並びに核酸
ワクチンを、化合物Iの少なくとも1つの固体形態と組み合わせて含有する、治療組成物
も提供される。
【0104】
本発明の化合物および組成物を用いて治療または予防することができる免疫および炎症
関連疾患、障害および状態の非限定的リストとしては、関節炎(例えば関節リウマチ)、
腎不全、全身性紅斑性狼瘡、ぜん息、乾癬、大腸炎、膵炎、アレルギー、線維症、外科合
併症(例えば炎症サイトカインが治癒を妨げる場合)、貧血、線維筋痛が挙げられる。慢
性炎症に関連しうる他の疾患および障害には、アルツハイマー病、うっ血性心不全、発作
、大動脈弁狭窄、骨粗しょう症、パーキンソン病、感染症、炎症性腸疾患(例えばクロー
ン病および潰瘍性大腸炎)、アレルギー性接触皮膚炎および他の湿疹、全身性硬化症、移
植および多発性硬化症が含まれる。
【0105】
他の免疫関連疾患の中でも、A2AR/A2BR機能の阻害は、子宮内の胎児の拒絶反応の
免疫学的寛容および予防においても役割を果たすことができる。
【0106】
幾つかの実施形態では、A2AR/A2BR阻害剤化合物Iの固体形態は免疫エフェクター
細胞の数を減少させるために免疫抑制薬と併用することができる。
【0107】
A2AR/A2BR阻害剤化合物Iが特に有効である(例えば現行療法の制限のために)上
述の疾患、障害および状態の一部は、下記に更に詳細に記載される。
【0108】
一般に関節の内膜(滑膜)における慢性炎症により特徴づけられる関節リウマチ(RA)
は、米国の人口のほぼ1%を冒している(~2.1百万人)。更に、TNF-αおよびIL-1をは
じめとするサイトカインの炎症過程における役割を更に解明することにより、新規クラス
の疾患改善抗リウマチ薬(DMARD)の開発と導入が可能になった。そのような薬剤(一部
はRAの治療法と重複する)としては、ENBREL(エタネルセプト)、REMICADE(インフリキ
シマブ)、HUMIRA(アダリムマブ)およびKINERET(アナキンラ)が挙げられる。それら
の薬剤の一部は症状を緩和し、構造的損傷の進行を抑制し、そして特定の患者集団におい
て身体機能を改善するけれども、改善された効能、相補的作用機序、および少ない/小さ
い重篤な副作用を有する代替薬へのニーズが依然として存在する。
【0109】
様々な一般的な免疫媒介性慢性皮膚疾患である乾癬は、米国の4.5百万人超を冒してお
り、そのうちの1.5百万人は該疾患の中等度~重篤度形態を有すると考えられている。更
に、乾癬患者の10%以上が、関節の周りの骨と結合組織に損害を与える乾癬性関節炎を発
症する。乾癬の根本的な生理学の理解を高めることで、例えば疾患の炎症性質の原因とな
るTリンパ球およびサイトカインの活性を標的とする薬剤の採用がもたらされた。そのよ
うな剤には、TNF-α阻害剤(関節リウマチ(RA)の治療にも用いられる)、例えばENBREL
(エタネルセプト)、REMICADE(インフリキシマブ)、HUMIRA(アダリムマブ)およびT
細胞阻害剤、例えばAMEVIVE(アレファセプト)およびRAPTIVA(エファリズマブ)が挙げ
られる。それらの薬剤の幾つかは特定の患者集団で或る程度有効であるけれども、全ての
患者を効果的に治療することが証明されているものは1つもない。
【0110】
微生物関連疾患。本発明は、本明細書中に記載のA2AR/A2BR阻害剤である化合物I
の固体形態での治療が有益でありうる任意のウイルス性、細菌性、真菌性、寄生虫性また
は他の感染性疾患、障害および/または状態の治療および/または予防における化合物I
の固体形態の使用に関する。
【0111】
想定されるウイルス性疾患、障害および状態の例としては、限定されないが、B型肝炎
ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、HIV、AIDS(
悪液質、認知症および下痢などのその徴候を含む)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、エ
プスタイン・バーウイルス(EBV)、水痘帯状ウイルス、コクサッキーウイルス、および
サイトメガロウイルス(CMV)が挙げられる。
【0112】
そのような疾患および障害の例としては、ブドウ球菌(Staphylococcus)および連鎖球
菌(Streptococcus)感染〔例えば、それぞれ黄色ブドウ球菌スタフィロコッカス・アウ
レウス(Staphylococcusaureus)および口腔内連鎖球菌ストレプトコッカス・サンギニス(
Streptococcussanguinis)〕、リューシュマニア、トキソプラズマ、トリコモナス、ジア
ルジア、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、炭疽菌(Bacillus anthracis)
および緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)が挙げられる。本発明の化合物Iの固体形態は
敗血症の治療、細菌増殖の低減または阻害、炎症性サイトカインの減少または阻害に用い
ることができる。
【0113】
更なる実施形態は、寄生虫感染、例えば限定されないが、ドノバン・リーシュマニア(
Leishmaniadonovani)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、主要リーシュマ
ニア(Leishmaniamajor)、エチオピア・リーシュマニア(Leishmania aethiopica)、
メキシコ・リーシュマニア(Leishmania mexicana)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium
falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodiumvivax)、卵形マラリア原虫(Plasmodi
um ovale)または四日熱マラリア原虫(Plasmodiummalariae)を含む寄生虫感染の治療
を想定する。
【0114】
CNS関連および神経学的障害。本発明の実施形態は、化合物Iの固体形態によるA2A
R/A2BRの阻害が、認識機能や運動機能の障害に関連した疾患をはじめとする、中枢神
経系に何らかの関連がある神経学的、神経精神病学的、神経変性的または他の疾患、障害
および状態を有する患者に対する、重要な治療方針であることもできる。例としては、パ
ーキンソン病、錐体外路症候群(EPS)、ジストニア、座礁症、遅発性ジスキネジー、不
穏下肢症候群(RLS)、てんかん、睡眠時間周期的脚運動(PLMS)、注意欠陥障害、抑う
つ、不安、痴呆、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、脳虚血、出血性脳
卒中、くも膜下出血、外傷性脳損傷が挙げられる。
【0115】
脳と脊髄中のミエリンの炎症と瘢痕の多重領域を含む重症消耗性自己免疫疾患である、
多発性硬化症(MS)を罹患している対象は、特に現行療法が身体障碍の症状を緩和するま
たは進行を遅らせるだけであるので、化合物Iの固体形態が特に有効であり得る。
【0116】
同様に、化合物Iの固体形態は、神経変性疾患、例えば、患者の思考、記憶および言語
過程を深刻に冒す脳障害であるアルツハイマー病(AD);例えば異常行動、硬直および体
の揺れにより特徴づけられるCNSの進行性疾患であるパーキンソン病(PD)を罹患してい
る対象に特に有利である。それらの疾患は進行性で消耗性であり、治療薬は全く入手でき
ない。
【0117】
他の疾患。本発明の実施形態は、少なくとも或るレベルのA2AR/A2BR阻害から有益
となりうる他の任意の疾患の治療または予防のために、対象に本明細書に記載の化合物I
の固体形態を投与することを図る。そのような疾患、障害および状態としては、例えば、
心血管系(例えば心臓虚血)、胃腸(例えばクローン病)、代謝性(例えば糖尿病)、肝
臓(例えば肝線維症、NASH、NAFLD)、肺(例えばCOPDおよび喘息)、眼科(例えば糖尿
病性網膜症)および腎臓(例えば腎不全)の障害が挙げられる。
【0118】
医薬組成物
本発明の化合物Iの固体形態は、被験者への投与に適当な組成物の形であることができ
る。一般に、そのような組成物は、化合物Iの1または複数の固体形態と、1つ以上の薬
学的に許容されるまたは生理学的に許容される希釈剤、担体または賦形剤とを含む、「医
薬組成物」である。ある実施形態では、化合物Iの固体形態は治療上許容される量で存在
する。医薬組成物は、本明細書中に記載される治療法および予防法並びに使用法を実施す
るために、被験者に生体外(ex vivo)または生体内(in vivo)投与することができる。
【0119】
本発明の医薬組成物は、意図する投与方法または投与経路に適合するように製剤化する
ことができ;例示的な投与経路は本明細書に記載される。更に、医薬組成物は、本発明に
より意図される疾患、障害および状態を治療または予防するために、本明細書に記載のよ
うな他の治療活性のある剤または化合物と併用することができる。
【0120】
有効成分(例えばA2AR/A2BR機能の阻害剤化合物Iの固体形態)を含有する医薬組
成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、トローチ、ロゼンジ錠、水性もしくは油性懸濁液剤
、分散性粉剤または粒剤、乳剤、硬質もしくは軟質カプセル剤、シロップ、液剤、マイク
ロビーズ、またはエリキシル剤として、経口使用に適した形であることができる。経口使
用のための医薬組成物は、医薬組成物の製造のための当業界で既知の任意方法に従って調
製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練された口当たりの良い製剤を提供
するために、1つ以上の剤、例えば甘味剤、風味剤、着色剤および保存剤を含むことがで
きる。錠剤、カプセル剤等は、錠剤の製造に適する非毒性の医薬的に許容される賦形剤と
ともに有効成分を含有する。それらの賦形剤は、例えば、希釈剤、例えば炭酸カルシウム
、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;造粒剤お
よび崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばでんぷん、ゼラチ
ンまたはアカシア;および潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸また
はタルクであることができる。
【0121】
経口投与に適当な錠剤、カプセル剤等は、消化管における崩壊と吸収を遅らせ、それに
よって持続作用を提供するための既知技術によりコーティングされてもされなくてもよい
。例えば、グリセリルモノステアレートやグリセリルジステアレートのような時間遅延材
料を使用してよい。それらは更に、当該技術分野で既知の技術によりコーティングし、制
御放出用の浸透圧治療用錠剤を成形してもよい。追加の剤は、投与される組成物の送達を
制御するために、生物分解性または生体適合性粒子、またはポリマー物質、例えばポリエ
ステル、ポリアミン酸、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、ポリ無水物、ポリグリコー
ル酸、エチレン-酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プ
ロタミン、またはラクチド/グリコリドコポリマー、ポリラクチド/グリコリドコポリマ
ー、またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含む。例えば、経口薬剤は、コアセルベー
ション技術によりもしくは界面重合により、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチ
ン-マイクロカプセル、またはポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルの使用に
よりそれぞれ調製されたマイクロカプセル中に、あるいはコロイド状薬物送達システム(
DDS)において封入することができる。コロイド状分散系は、巨大分子複合体、ナノカプ
セル、マイクロスフェア、マイクロビーズ、並びに脂質ベースの系、例えば水中油型乳剤
、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む。上記製剤の調製方法は当業者に明白であ
ろう。
【0122】
経口用製剤は、有効成分が不活性固形希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、カオリンもしくは微結晶セルロースと混合されている硬質ゼラチンカプセルとして、
または有効成分が水もしくは油性媒質、例えば落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ
油と混合されている軟質ゼラチンカプセルとして、提供することもできる。
【0123】
水性懸濁液は、その製造に適当な賦形剤と混合した状態で活性物質を含有する。そのよ
うな賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリ
ドン、トラガカントガムおよびアカシアガム;分散剤または湿潤剤、例えば天然に存在す
るリン脂質(例えばレシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例
えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコー
ル(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸
およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えばポリエチ
レンソルビタンモノオレエート)であることができる。水性懸濁液は1または複数の保存
剤を含んでもよい。
【0124】
油性懸濁液は、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油中、また
は流動パラフィンなどの鉱物油中に有効成分を懸濁することにより製剤化することができ
る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含ん
でもよい。上記に挙げたような甘味剤や、矯味矯臭剤を添加して、口当たりの良い経口製
剤を提供することができる。
【0125】
水の添加による水性懸濁液の調製に適当である分散性の粉剤および粒剤は、分散剤もし
くは湿潤剤、懸濁化剤および1以上の保存剤(防腐剤)との混合物において有効成分を提
供する。適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は本明細書中に例示される。
【0126】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であることもできる。油性相は植物油、例
えばオリーブ油もしくは落花生油、または鉱物油、例えば流動パラフィン、またはそれら
の混合物であることができる。適当な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアゴムもしくは
トラガカントゴム;天然ホスファチド、例えば大豆、レシチン、および脂肪酸から誘導さ
れたエステルもしくは部分エステル;ヘキシトール無水物、例えばソルビタンモノオレエ
ート;および部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレ
ンソルビタンモノオレエートであることができる。
【0127】
医薬組成物は、典型的には、治療有効量の本発明に斯かる化合物Iの固体形態と、1以
上の薬学的におよび生理学的に許容される配合剤とを含む。適当な薬学的にまたは生理学
的に許容される希釈剤、担体または賦形剤としては、限定されないが、酸化防止剤(例え
ばアスコルビン酸および亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えばベンジルアルコール、メチ
ルパラベン、エチルもしくはn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸エステル)、乳化剤、
懸濁化剤、分散剤、溶剤、充填剤、増量剤、界面活性剤、緩衝剤、ビヒクル、希釈剤、お
よび/または補助剤(アジュバント)が挙げられる。例えば、適当な賦形剤は生理食塩水
、またはクエン酸緩衝食塩水であり、これらには非経口投与用医薬組成物において汎用さ
れる他の物質を補足することが可能である。中性緩衝化生理食塩水または血清アルブミン
と混合された生理食塩水は追加の例示的賦形剤である。当業者は、本発明に期待される医
薬組成物および剤形において使用することができる様々な緩衝剤を容易に理解するだろう
。典型的な緩衝剤としては、限定されないが、薬学的に許容される弱酸、弱塩基、または
それの混合物が挙げられる。一例として、緩衝剤成分は、水溶性物質、例えばリン酸、酒
石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン
酸およびそれらの塩であることができる。許容される緩衝剤には、例えば、トリス緩衝剤
、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N′-(2-エタンスルホン酸)(HEPES
)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタン
スルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)
、およびN-トリス〔ヒドロキシメチル〕メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS
)がある。
【0128】
医薬組成物を製剤化した後、それは溶液、懸濁液、ゲル、乳液、固体、または乾燥粉末
もしくは凍結乾燥粉末として無菌バイアル中に保存することができる。そのような製剤は
すぐ使用可能な形で、使用前に再構成を必要とする凍結乾燥形で、使用前に希釈を必要と
する液体の形で、または他の許容される形のいずれかで保存することができる。幾つかの
実施形態では、医薬組成物は使い捨て容器(例えば使い捨てバイアル、アンプル、シリン
ジ、または自己注射器(例えばEpiPen(登録商標)の様な))中に提供され、一方で他の
実施形態では複数回使用容器(例えば複数回使用バイアル)が提供される。
【0129】
製剤は、体内からの迅速な分解または排出に対して組成物を保護するための担体(キャ
リア)、例えば徐放性製剤、例えばリポソーム、ヒドロゲル、プロドラッグおよびマイク
ロカプセル化送達システムも含み得る。例えば、単独でのまたはワックスと組み合わせた
、モノステアリン酸グリセリルもしくはステアリン酸グリセリルなどの遅延材料を使用で
きる。任意の薬物送達システムを用いて、A2AR/A2BR阻害剤である化合物Iの固体形
態を送達することができ、例えばインプラント(例えば移植可能なポンプ)およびカテー
テル系、遅延注入ポンプおよびデバイスを使用でき、その全てが当業者に周知である。
【0130】
一般に皮下または筋肉内に投与されるデポー注射剤も、規定された期間に渡り本明細書
中に開示されるA2AR/A2BR阻害剤を放出することができる。デポー注射剤は通常、固
体または油性ベースのいずれかであり、通常本明細書中に与えられる製剤成分の少なくと
も1つを含む。当業者は、可能な製剤およびデポー注射剤の使用に精通している。
【0131】
医薬組成物は、無菌注射可能な水性または油脂性懸濁液剤の形であってよい。この懸濁
液剤は、本明細書中に言及される適当な分散剤もしくは湿潤剤と懸濁化剤とを使って、既
知の技術に従って製剤化することができる。無菌注射製剤は、非毒性の非経口的に許容さ
れる希釈剤または溶剤中の無菌注射液剤または懸濁液剤、例えば、1,3-ブタンジオー
ル中の溶液としてであることができる。使用することができる許容される希釈剤、溶剤お
よび分散媒としては、水、リンガー液、等張塩化ナトリウム溶液、Cremophor ELTM(商標
)(米国ニュージャージー(NJ)州、パーシッパニー)またはリン酸塩緩衝化生理食塩水
(PBS)、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および
液体ポリエチレングリコール)、およびその適当な混合物が挙げられる。加えて、無菌の
固定油が溶剤または懸濁媒として汎用される。この目的には、合成モノグリセリドやジグ
リセリドをはじめとする任意の無菌性の固定油を使用できる。更に、オレイン酸のような
脂肪酸が注射製剤の調製に利用される。特定の注射製剤の持続性吸収は、吸収を遅らせる
剤を含めることにより達成することができる(例えば、モノステアリン酸アルミニウムま
たはゼラチン)。
【0132】
本発明は、直腸投与用の坐剤の形で化合物Iの固体形態の投与を企図する。坐剤は、薬
物を、常温では固体であるが直腸温度で液体であり、従って直腸内で融解して薬物を放出
するような適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製することができる。そのよ
うな材料としては、限定されないが、ココアバターやポリエチレングリコールが挙げられ
る。
【0133】
本発明に係る化合物Iの固体形態は、現在既知のまたは将来開発される任意の他の適当
な医薬組成物(例えば鼻腔内または吸入用のスプレー)の形であってもよい。
投与経路
【0134】
本発明は、任意の適当な方法で化合物Iの固体形態およびその組成物を投与することを
図る。適当な投与経路としては、経口、非経口〔例えば筋肉内、静脈内、皮下(例えば注
射もしくはインプラント)、腹腔内、嚢内、関節内、腹腔内、脳内(実質内)および脳室
内〕、鼻腔内、室内、舌下、眼内、直腸内、局所(例えば経皮)、口腔および吸入が挙げ
られる。通常は皮下または筋肉内投与されるデポー注射剤を使用して、限定された時間に
渡り化合物Iの固体形態を放出させることも可能である。
【0135】
本発明の特定の実施形態は、経口投与を企図する。
【0136】
併用療法
本発明は、1つ以上の活性治療薬(例えば化学療法剤)または他の予防もしくは治療方
法(例えば放射線)と組み合わせた化合物Iの固体形態の使用に関する。そのような併用
療法では、様々な活性薬剤がしばしば異なる相補的な作用機序を有しうる。そのような併
用療法は、1つ以上の薬剤の投与量の減量を可能にし、1つ以上の薬剤に関連した有害事
象を低減または排除することにより、特に有利であることができる。更に、そのような併
用療法は、根本的な疾病、障害または状態に対する相乗的な治療効果または予防効果を有
することができる。
【0137】
本明細書中で用いる場合、「組み合わせ(併用)」とは、別々に投与することができる
、例えば個別の投与のために別々に処方される治療法(例えばキットで提供されるような
)および単一製剤において一緒に施すことができる治療法(例えば「同時処方」)を含む
ことを意味する。
【0138】
ある特定の実施形態では、化合物Iの固体形態は連続的に投与または適用され、例えば
1つの剤が1つ以上の別の剤の前に投与される。別の実施形態では、化合物Iの固体形態
は同時に投与され、例えば2以上の剤が同時にまたはほぼ同時に投与され;ここで前記2
以上の剤は別個の2以上の製剤中に存在するかまたは単一製剤の中に統合される(すなわ
ち同時処方)。2以上の剤が連続的にまたは同時に投与されるかどうかに関わらず、それ
らは本発明の目的のために併用して投与されると考えられる。
【0139】
本発明の化合物Iの固体形態は、少なくとも1つの別の(活性)剤と組み合わせて、そ
の状況下で適当な任意の方法で使用することができる。一実施形態では、少なくとも1つ
の活性剤と化合物Iの固体形態による処置が、一定期間に渡り維持される。別の実施形態
では、少なくとも1つの活性剤による処置が低減または中断され(例えば対象が安定して
いる時)、一方で本発明の化合物Iの固体形態での処置は一定の投薬レジメンにおいて維
持される。更なる実施形態では、少なくとも1つの活性剤での処置が低減または中断され
(例えば対象が安定している時)、一方で本発明の化合物Iの固体形態での処置が低減さ
れる(例えばより低用量、より低頻度の投薬、またはより短期間の治療レジメン)。更に
別の実施形態では、少なくとも1つの剤での処置が低減または中断され(例えば対象が安
定している時)、一方で化合物Iの固体形態での処置が増加される(例えばより高用量、
より高頻度の投薬、またはより長期間の治療レジメン)。更に別の実施形態では、少なく
とも1つの剤での処置が維持され、そして化合物Iの固体形態での処置が低減または中断
される(例えばより低用量、より低頻度の投薬、またはより短期間の治療レジメン)。更
に別の実施形態では、少なくとも1つの活性剤での処置と化合物Iの固体形態での処置が
低減または中断される(例えばより低用量、より低頻度の投薬、またはより短期間の治療
レジメン)。
【0140】
腫瘍関連疾患。本発明は、増殖性状態、癌、腫瘍、または前癌の疾患、障害もしくは状
態を、化合物Iと少なくとも1つの追加の治療薬または診断薬で治療および/または予防
する方法を提供する。幾つかの実施形態では、追加の治療薬または診断薬は放射線、免疫
調節薬または化学療法薬または診断薬である。本発明において使用できる免疫調節薬とし
ては、CD4OL、B7およびB7RP1;刺激性受容体に対する活性化モノクローナル抗体(mAb)
、例えば抗CD40、抗CD38、抗ICOS、および4-IBBリガンド;樹状細胞抗原負荷(インビト
ロまたはインビボ);抗癌ワクチン、例えば樹状細胞癌ワクチン;サイトカイン/ケモカ
イン、例えばILLIL2、IL12、IL18、ELC/CCL19、SLC/CCL21、MCP-1、IL-4、IL-18、TNF、
IL-15、MDC、IFNa/b、M-CSF、IL-3、GM-CSF、IL-13および抗IL-10;細菌リポ多糖(LPS)
;および免疫刺激性オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0141】
ある実施形態では、本発明は腫瘍増殖の腫瘍抑制のための方法であって、腫瘍増殖の相
加的または相乗的抑制を達成するためにシグナル伝達阻害薬(STI)と組み合わせた本発
明の化合物Iの固体形態の投与を含む方法を提供する。本明細書中で用いる場合、「シグ
ナル伝達阻害薬」という用語は、シグナル伝達経路の1つ以上のステップを選択的に阻害
する剤を指す。本発明のシグナル伝達阻害薬(STI)は、(i) bcr/ablキナーゼ阻害薬(例
えばGLEEVEC);(ii)キナーゼ阻害薬と抗体を含む表皮増殖因子(EGF)受容体阻害薬;(
iii) her-2/neu受容体阻害薬(例えばHERCEPTIN);(iv)AktファミリーキナーゼまたはA
kt経路の阻害薬(例えばラパマイシン);(v)細胞周期キナーゼ阻害薬(例えばフラボピ
リドール);(vi)ホスファチジルイノシトールキナーゼ阻害薬。免疫活性調節に関係す
る剤も、癌患者における腫瘍増殖の抑制のために本明細書中に記載のA2AR/A2BR阻害
剤と組み合わせて使用することができる。
【0142】
化学療法剤の例としては、限定されないが、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシク
ロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、イムプロスルファンおよ
びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレデパおよびウ
レドパ;エチレンイミンおよびメチルアメラミン、例えばアルトレタミン、トリエチレン
メラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロ
ールメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、
クロホスファミド(シクロホスファミド)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロ
レタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリ
ン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例え
ばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムス
チン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、ア
ザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルミ
ノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、
デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビ
シン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノー
ル酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、プロマ
イシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベル
シジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサー
トおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキ
サート、プレロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6
-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタ
ビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン
、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカ
ルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テ
ストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補
給剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリ
ン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミ
ン;デメコルチン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニ
ウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミト
グアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメ
ット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバ
ジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン
;2,2',2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;
マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラ
ビノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル
およびドキセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプト
プリン;メトトレキサート;白金および白金配位錯体、例えばシスプラチンおよびカルボ
プラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC
;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニ
ポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT11;トポ
イソメラーゼ阻害薬;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミ
シン;カペシタビン;アントラサイクリン並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩
、酸または誘導体が挙げられる。
【0143】
化学療法薬はまた、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害する作用を果たす抗ホ
ルモン剤、例えば抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマター
ゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、
ケオキシフェン、オナプリストンおよびトレミフェン;並びに抗アンドロゲン剤、例えば
フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン;並びに上記の
いずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。ある実施形態では、併用療法
は、1つ以上の化学療法薬を含む化学療法レジメンを包含する。ある特定の実施形態では
、併用療法はホルモンまたは関連ホルモン剤の投与を含む。
【0144】
化合物Iの固体形態と組み合わせて使用できる追加の治療法は、放射線療法、腫瘍抗原
に対するモノクローナル抗体、モノクローナル抗体と毒素との複合体、T細胞アジュバン
ト、骨髄移植片、または抗原提示細胞(例えば樹状細胞療法)も含む。
【0145】
免疫チェックポイント阻害薬。本発明は、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせた
本明細書に記載のA2AR/A2BR機能の阻害剤化合物Iの固体形態の使用を図る。
【0146】
全ての癌に特徴的である膨大な数の遺伝的およびエピジェネティック変化は、免疫系が
腫瘍細胞をそれらの正常な相当物から区別するために利用できる、多様な抗原セットを提
供する。T細胞の場合、T細胞受容体(TCR)による抗原認識を通して開始される免疫応
答の最終的な強度(例えば、サイトカイン産生または増殖のレベル)と質(例えば、サイ
トカイン産生のパターンなどの生じる免疫応答の種類)は、同時刺激シグナルと阻害シグ
ナルとの間のバランス(免疫チェックポイント)によって調節される。正常な生理学的条
件下では、免疫チェックポイントは、免疫系が病原体感染に応答している時に、自己免疫
の防止(すなわち自己免疫寛容の維持)にとって、更に損傷からの組織の保護にとっても
、極めて重要である。免疫チェックポイントタンパク質の発現は、重要な免疫抵抗性機構
として腫瘍により異常調節されうる。
【0147】
T細胞は、以下の理由で、内因性抗腫瘍免疫を療法的に操作するための取り組みの大き
な焦点となっている:i) 全ての細胞区画においてタンパク質から誘導されるペプチドの
選択的認識能力があるため;ii) 抗原発現細胞を直接認識して殺傷する能力があるため(
CD8+エフェクターT細胞により;細胞傷害性Tリンパ球(CTL)としても知られる));
およびiii) 適応的および先天的エフェクター機序をまとめる、CD4+ヘルパーT細胞によ
る多様な免疫応答を統合する能力があるため。
【0148】
臨床的状況において、免疫チェックポイントの遮断―これは抗原特異的T細胞応答の増
幅をもたらす―は、ヒト癌療法における有力なアプローチであることが証明されている。
【0149】
T細胞介在性免疫は多数の連続段階を含み、その各々が、応答を最適化するために刺激
シグナルと抑制シグナルの平衡化によって制御されている。免疫応答においてほぼ全ての
阻害シグナルが最終的に細胞内シグナル伝達経路を調節するが、多くは膜受容体を通して
開始され、そのリガンドは膜結合型か可溶性型(サイトカイン)のいずれかである。T細
胞活性化を調節する共刺激性および阻害性の受容体とリガンドは、しばしば正常組織に比
較して癌に過剰発現されることがなく、T細胞エフェクター機能を調節する阻害性リガン
ドと受容体は、腫瘍細胞上と、腫瘍微小環境に関連する非形質転換細胞上とに共通して過
剰発現される。可溶性および膜結合型受容体の機能、すなわちリガンド免疫チェックポイ
ントは、アゴニスト抗体(共刺激経路の場合)またはアンタゴニスト抗体(阻害経路の場
合)を使って調節することができる。よって、現在癌治療用に承認されている大部分の抗
体とは異なり、免疫チェックポイントを遮断する抗体は、腫瘍細胞を直接標的とせず、む
しろ、内因性抗腫瘍活性を増強するためにリンパ球受容体またはそれらのリガンドを標的
とする。〔Pardoll(2012年4月) Nature Rev. Cancer 12:252-64参照〕。
【0150】
種々の型の腫瘍細胞において一部が選択的にアップレギュレートされ、遮断の候補であ
る免疫チェックポイント(リガンドおよび受容体)の例としては、PD1(プログラム細胞
死タンパク質1);PDL1(PD1リガンド);BTLA(BおよびTリンパ球アテニュエーター
);CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4);TIM3(T細胞膜タンパク質3);LAG3
(リンパ球活性化遺伝子3);およびそれらの構造的特性に基づいて次の2クラスに分け
ることができるキラー細胞抑制阻害受容体:i)キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR
)およびii)C型レクチン受容体(II型膜貫通受容体ファミリーのメンバー)が挙げられ
る。他の十分に定義されていない免疫チェックポイントが文献に記載されており、受容体
〔例えば2B4(CD244としても知られる)受容体〕およびリガンド〔例えばある種のB7ファ
ミリー阻害性リガンド、例えばB7-H3(CD276としても知られる)とB7-H4(B7-S1、B7xお
よびVCTN1としても知られる)〕の両者を含む。[Pardoll(2012年4月) Nature Rev. Ca
ncer 12:252-64を参照のこと]。遮断薬の候補である追加の免疫チェックポイント薬には
、インターロイキン-2受容体サブユニットβ(IL2RB(CD122としても知られる))および
そのリガンドIL-2が含まれる。例えば、NKTR-214(IL-2のペグ化類似体)はCD122のアゴ
ニストであり、個体の免疫系(特定の抗腫瘍活性T細胞とNK細胞)を刺激して増殖性疾患
と戦う。
【0151】
本発明は、前述の免疫チェックポイント受容体とリガンドの阻害剤、並びにまだ未発表
の免疫チェックポイント受容体とリガンドの阻害剤と組み合わせた、本明細書に記載のA
2AR/A2BR機能の阻害剤化合物Iの固体形態の使用を企図する。免疫チェックポイント
の特定のモジュレーターは現在入手可能であるが、他のものは開発後期段階にある。例え
ば、2011年に黒色腫の治療用にそれが承認された際、完全にヒト化されたCTLA4モノクロ
ーナル抗体イピリムマブ(YERVOY; ブリストル・マイヤーズスクイブ社)が米国で規制当
局の承認を受ける最初の免疫チェックポイント阻害薬となった。CTLA4と抗体 (CTLA4-Ig;
アバトセプト(ORENCIA; ブリストル・マイヤーズスクイブ社)) を含む融合タンパク質
は、関節リウマチの治療に使用されており、他の融合タンパク質は、エプスタイン・バー
ウイルスに対して過敏である腎移植患者に効果的であることが示されている。PD1抗体は
開発中であり (例えばニボルマブ(ブリストル・マイヤーズスクイブ社)およびラムブロリ
ズマブ (メルク社))、抗PDL1抗体も評価中である(例えばMPDL3280A (ロシュ社))。ニボ
ルマブは、黒色腫、肺癌および腎臓癌の患者に有望であることが示されている。
【0152】
本発明の一態様において、請求項に係る化合物Iの固体形態は、(i) 刺激(共刺激を含
む)受容体のアゴニスト、または (ii) T細胞上の刺激(共刺激を含む)シグナルのアン
タゴニストである、免疫腫瘍薬(immune-oncology agent)と組み合わされ、その両者と
も抗原特異的T細胞応答を増幅させる。特定の刺激分子と阻害分子は、免疫グロブリンス
ーパーファミリー(IgSF)のメンバーである。共刺激または共阻害受容体に結合する膜結合
型リガンドの1つの重要なファミリーはB7ファミリーであり、それにはB7-1、B7-2、B7-H
1 (PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2 (ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5 (VISTA)およびB7-H6
が含まれる。共刺激または共阻害受容体に結合する膜結合型リガンドの別のファミリーは
、同族TNF受容体ファミリーメンバーに結合するTNFファミリーの分子であり、それにはCD
40とCD4OL、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD3OL、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL
/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn
14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LT13R、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI
/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンフォトキシンα/TNF13、TNFR
2、TNFa、LT13R、リンフォトキシンα1132、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRが含まれ
る。
【0153】
別の態様では、免疫腫瘍薬は、免疫応答を刺激するためにT細胞活性化を阻害するサイ
トカイン(例えばIL-6、IL-10、TGF-B、VEGFおよび他の免疫抑制サイトカイン)またはT
細胞活性化を刺激するサイトカインである。
【0154】
一態様では、T細胞応答は、開示されるA2AR/A2BR阻害剤と、(i) CTLA-4、PD-1、P
D-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、ガレクチン9、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGI
T、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1およびTIM-4などのT
細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニスト(例えば免疫チェックポイント阻害薬
)、および/または(ii)B7-1、B7-2、CD28、4-1BB (CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX
40、OX4OL、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3およびCD2などのT細胞活性化を刺激す
るタンパク質のアゴニストの1つまたは複数との組み合わせにより刺激することができる
。癌の治療のために本発明のA2AR/A2BR阻害剤と組み合わせることができる他の薬剤
としては、NK細胞上の阻害性受容体のアンタゴニスト、またはNK細胞上の受容体を活性化
するアゴニストが挙げられる。例えば、本明細書の化合物は、リリルマブなどのKIRアン
タゴニストと組み合わせることができる。
【0155】
併用療法のための更に別の薬剤としては、マクロファージまたは単球を阻害または枯渇
させる剤、例えば限定されないが、RG7155 (WO 11/070024、WO 11/107553、WO 11/131407
、WO13/087699、WO 13/119716、WO 13/132044) またはFPA-008 (WO 11/140249; WO 13/1
69264; WO14/036357)を含む、CSF-1Rアンタゴニスト抗体などのCSF-1Rアンタゴニストが
挙げられる。
【0156】
別の態様では、開示されるA2AR/A2BR阻害剤は、ポジティブ共刺激受容体を結合す
るアゴニスト剤、阻害性受容体を介してシグナル伝達を減弱させる遮断薬、アンタゴニス
ト、および抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増加させる1つ以上の剤、腫瘍微小環境内の個
別の免疫抑制経路を切り抜ける薬剤〔例えば、阻害性受容体の関与(例えばPD-Ll/PD-1相
互作用)を遮断する薬剤、Tregを枯渇または阻害する薬剤〔例えば抗CD25モノクローナル
抗体(例えばダクリズマブ)を使って、またはエクスビボ(生体外;ex vivo)での抗CD2
5ビーズの枯渇により〕またはT細胞アネルギーもしくは消耗を逆転/防止させる薬剤〕
、並びに腫瘍部位での自然免疫活性化および/または炎症を誘発する薬剤、のうちの1つ
または複数と共に使用することができる。
【0157】
一態様では、免疫腫瘍薬は、拮抗性CTLA-4抗体などのCTLA-4アンタゴニストである。適
当なCTLA-4抗体には、例えばYERVOY(イピリムマブ)またはトレメリムマブが含まれる。
【0158】
別の態様では、免疫腫瘍薬が拮抗性PD-1抗体などのPD-1アンタゴニストである。適当な
PD-1抗体には、例えばオプジーボ(OPDIVO)(ニボルマブ)、キートルダ(KEYTRUDA)(ペム
ブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514; W02012/145493)が含まれる。免疫腫瘍薬
は、ピジリズマブ(CT-011)を含む場合もあるが、PD-1結合に対するそれの特異性は疑問視
されている。PD-1受容体を標的とする別のアプローチは、AMP-224と呼ばれる、IgG1のFc
部分に融合したPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインで構成される組み換えタンパク質である。
【0159】
別の態様では、免疫腫瘍薬が拮抗性PD-L1抗体などのPD-Llアンタゴニストである。適切
なPD-Ll抗体には、例えば、MPDL3280A(RG7446; WO 2010/077634)、デュルバルマブ (MED
I4736)、BMS-936559(WO 2007/005874)、およびMSB0010718C (WO 2013/79174)が含まれる
。
【0160】
別の態様では、免疫腫瘍薬が拮抗性LAG-3抗体などのLAG-3アンタゴニストである。適切
なLAG3抗体には、例えば、BMS-986016(WO 10/19570、WO 14/08218)またはIMP-731もしく
はIMP-321(WO 08/132601、WO 09/44273)が含まれる。
【0161】
別の態様では、免疫腫瘍薬が作動性CD137抗体などのCD137 (4-1BB)アゴニストである。
適切なCD137抗体には、例えば、ウレルマブおよびPF-05082566(WO 12/32433)が含まれる
。
【0162】
別の態様では、免疫腫瘍薬が作動性CITR抗体などのGITRアゴニストである。適切なGITR
抗体には、例えば、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(WO 06/105021、WO 09/009116)お
よびMK-4166(WO 11/028683)が含まれる。
【0163】
別の態様では、免疫腫瘍薬が作動性OX40抗体などのOX40アゴニストである。適切なOX40
抗体には、例えば、MEDI-6383またはMEDI-6469が含まれる。
【0164】
別の態様では、免疫腫瘍薬が拮抗性OX4O抗体などのOX4OLアンタゴニストである。適切
なOX4OLアンタゴニストには、例えばRG-7888(WO 06/029879)が含まれる。
【0165】
別の態様では、免疫腫瘍薬が作動性CD40抗体などのCD40アゴニストである。更に別の実
施形態では、免疫腫瘍薬が拮抗性CD40抗体などのCD40アンタゴニストである。適当なCD40
抗体には、ルカツムマブまたはダセツズマブが含まれる。
【0166】
別の態様では、免疫腫瘍薬が作動性CD27抗体などのCD27アゴニストである。適当なCD27
抗体には、例えば、バリルマブが含まれる。
【0167】
別の態様では、免疫腫瘍薬がMGA271 (B7H3に対する) (WO 11/109400)である。
【0168】
本発明は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を包含する。
【0169】
代謝および心血管疾患。本発明は、特定の心血管および/または代謝関連疾患、障害お
よび状態、並びにそれらに関連する障害を、A2AR/A2B阻害剤化合物Iの固体形態と少
なくとも1つの追加の治療薬または診断薬とを用いて治療および/または予防する方法を
提供する。
【0170】
高コレステロール血症(およびアテローム性動脈硬化症)の治療のための併用療法に有
用な治療薬の例としては、コレステロールの酵素的合成を阻害するスタチン類(例えばク
レストール(CRESTOR)、レスコール(RESCOL)、リピトール(LIPOTOR)、メバコール(MEVACOR
)、プラバコール(PRAVACOL)、ゾコール(ZOCOR));コレステロールを封鎖し、その吸収を
阻止する胆汁酸樹脂(例えばコレスチド(COLESTID)、ロコレスト(LO-CHOLEST)、プレバラ
イト(PREVALITE)、ケストラン(QUESTRAN)、ウェルコール(WELCHOL));コレステロール吸
収を阻止するエゼチミベ(ZETIA);トリグリセリドを低下させ、HDLを適度に増加させる
フィブリン酸(例えばトリコール(TRICOL));LDLコレステロールとトリグリセリドを適
度に低下させるナイアシン(例えばナイアコール(NIACOR));および/または上記の組合
せ(例えば、ビトリン(VYTORIN)(エゼチミベとシンバスタチンの組み合わせ))が挙げ
られる。本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤との併用のための候補でありうる代替コ
レステロール治療には、様々なサプリメントやハーブ(例えばニンニク、ポリコサノール
、グッグル)が含まれる。
【0171】
本発明は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を包含する。
【0172】
免疫関連障害および炎症関連障害。本発明は、A2AR/A2B阻害剤化合物Iの固体形態
と少なくとも1種の追加の治療薬または診断薬とを用いて、免疫関連疾患、障害および状
態;並びに炎症性成分を有する疾患、障害、および状態を、治療および/または予防する
ための方法を提供する。
【0173】
併用療法に有用な治療薬の例としては、限定されないが、アスピリン、イブプロフェン
および他のプロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ
ン酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビ
プロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキ
サプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およ
びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナ
ック、クリダナック、ジクロフェナク、フェンクロフェナック、フェンクロジン酸、フェ
ンチアザック、フイロフェナック、イブフェナック、イソキセパック、オキシピナック、
スリンダック、チオピナック、トルメチン、ジドメタシンおよびゾメピラック)、フェナ
ミン酸誘導体(フルフェナミン酸、メクロフェナミン酸、メフェナミン酸、ニフルミン酸
、およびトルフェナミン酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサールおよびフル
フェニサール)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキ
シカム)、サリチレート(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン(
アパゾン、ベジペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェ
ニルブタゾン)といった非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。他の組み合わ
せはシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤を含む。
【0174】
組み合わせ用の別の活性薬剤としては、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレド
ニゾロン、ベータメタゾン、デキサメタゾンまたはヒドロコルチゾンなどのステロイド類
が挙げられる。そのような組み合わせは、ステロイドの必要量を漸減することにより、該
ステロイドの1以上の副作用を減少させることが可能であり、または排除することさえも
可能であるため、特に有利である。
【0175】
例えば関節リウマチを治療するために、併用することができる活性薬剤の追加の例とし
ては、サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAID);別のヒトサイトカインもしくは増殖因子
、例えばTNF、LT、IL-10、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-15、IL-16、IL-18、EMAP-II、GM
-CSF、FGFまたはPDGFに対する抗体またはアンタゴニストが挙げられる。
【0176】
活性薬剤の特定の組み合わせは、自己免疫およびその後の炎症カスケードにおける異な
る段階で干渉することがあり、その例としてTNFアンタゴニスト、例えばキメラ、ヒト化
またはヒトTNF抗体、REMICADE、抗TNF抗体フラグメント(例えばCDP870)および可溶性p55
もしくはp75TNF受容体、その誘導体であるp75TNFRIgG (ENBREL)もしくはp55TNFR1gG (LE
NERCEPT)、可溶性IL-13受容体(sIL-13)、および更にはTNFα変換酵素(TACE)阻害薬が挙げ
られ;同様に、IL-1阻害薬(例えばインターロイキン1変換酵素阻害剤)が有効であり得
る。他の組み合わせとしては、インターロイキン11、抗P7s およびp-セレクチン糖タンパ
クリガンド(PSGL)が挙げられる。本明細書に記載のA2AR/A2BR阻害剤との組み合わせ
に有用な薬剤の他の例としては、インターフェロン131α (AVONEX);インターフェロン13
lβ (BETASERON);コパキソン;高圧酸素;静注用免疫グロブリン;クラブリビン;並び
に別のヒトサイトカインまたは増殖因子に対する抗体またはそのアンタゴニスト(例えば
CD40リガンドおよびCD80に対する抗体)が挙げられる。
【0177】
微生物疾患。本発明は、A2AR/A2BR阻害剤化合物Iの固体形態と少なくとも1種の
追加の治療薬または診断薬(例えば1種以上の別の抗ウイルス剤および/または1種以上
のウイルス療法に関連しない剤)を用いて、ウイルス性、細菌性、真菌性および寄生虫性
の疾患、障害および状態、並びにそれらに関連する障害を治療および/または予防する方
法を提供する。
【0178】
このような併用療法は、様々なウイルス生活環の段階を標的とし、様々な作用機序を有
する抗ウイルス剤を包含し、そのようなものとしては特に限定されるものではないが、ウ
イルスの脱殻の阻害剤(例えばアマンタジンとリマンチジン);逆転写酵素阻害剤(例え
ばアシクロビル、ジドブジンおよびラミブジン);インテグラーゼを標的とする剤;ウイ
ルスDNAへの転写因子の付着を阻止する剤;翻訳に影響を及ぼす剤(例えばアンチセンス
分子)(例えばホミビルセン);翻訳/リボザイム機能を調節する剤;プロテアーゼ阻害
剤;ウイルス会合モジュレーター(例えばリファンピシン);抗レトロウイルス剤、例え
ばヌクレオシド類似体逆転写酵素阻害剤(例えばアジドチミジン(AZT)、ddl、ddC、3TC
、d4T);非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えばエファビレンツ、ネビラピン);ヌ
クレオチド類似体逆転写酵素阻害剤;およびウイルス粒子の放出を防止する剤(例えばザ
ナミビルとオセルタミビル)が挙げられる。ある種のウイルス感染症(例えばHIV)の治
療および/または予防は、しばしば抗ウイルス剤の一群(「カクテル」)を必要とする。
【0179】
化合物Iの固体形態との併用が期待される他の抗ウイルス剤としては、特に限定される
ものではないが、以下が含まれる:アバカビル、アデフォビル、アマンタジン、アンプレ
ナビル、アンプリジェン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、ボセプレビレルテ
ト、シドフォビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール
、エドクスジン、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル
、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、http://en.wikipedia.org/wiki
/Fusion_inhibitorガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イ
ミキモド、インジナビル、イノシン、種々のインターフェロン(例えば、ペグインターフ
ェロンα-2a)、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネル
フィナビル、ネキサビル、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキ
シン、ラルテグラビル、リバビリン、リトナビル、ピラミジン、サキナビル、スタブジン
、テラプレビル、テノフォビル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマン
タジン、トルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロック、ビダラビン
、ビラミジンおよびザルシタビン。
【0180】
本発明は、抗寄生虫剤と組み合わせた、本明細書に記載の化合物Iの固体形態の使用を
意図する。そのような薬剤には、特に限定されないが、チアベンダゾール、パモ酸ピラン
テル、メベンダゾール、プラジカンテル、ニクロサミド、ビチオノール、オキサムニキン
、メトリホネート、イベルメクチン、アルベンダゾール、エフロルニチン、メラルソプロ
ール、ペンタミジン、ベンズニダゾール、ニフルチモックスおよびニトロイミダゾールが
含まれる。当業者は、寄生虫疾患の治療に有用であり得る他の薬剤に精通している。
【0181】
本発明の実施形態は、細菌性疾患の治療または予防に有用な剤と組み合わせた化合物I
の固体形態の使用を図る。抗菌剤は、作用機序に基づいて、化学構造に基づいて、活性ス
ペクトルに基づいてなど、様々な方法で分類することができる。抗菌剤の例としては、細
菌細胞壁を標的とするもの(例えばセファロスポリンとペニシリン)または細胞膜を標的
とするもの(例えばポリミキシン)か、 あるいは重要な細菌酵素を妨害するもの(例え
ばスルホンアミド、リファマイシンおよびキノリン)が挙げられる。タンパク質合成を標
的とする大部分の抗菌剤(例えばテトラサイクリンとマクロライド)は静菌性であるが、
一方でアミノグリコシドなどの剤は殺菌性である。抗菌剤を分類する別の手段は、それら
の標的特異性に基づく;「狭域スペクトル」薬剤は、特定のタイプの細菌(例えば連鎖球
菌Streptococcusなどのグラム陽性細菌)を標的とし、「広域スペクトル」薬剤は、より
広範囲の細菌に対して活性を有する。当業者は、特定の細菌感染症における使用に適切な
抗菌剤の種類を十分認識している。
【0182】
本発明の実施態様は、真菌性疾患の治療または予防に有用な剤と組み合わせた本明細書
に記載のA2AR/A2BR阻害剤の使用を図る。抗真菌剤としては、ポリエン類(例えばア
ンホテリシン、ナイスタチンおよびピマリシン);アゾール類(例えばフルコナゾール、
イトラコナゾールおよびケトコナゾール);アリルアミン(例えばナフチフィンとテルビ
ナフィン)およびモルホリン類(例えばアモロルフィン);並びに代謝拮抗物質(例えば
5-フルオロシトシン)が挙げられる。
【0183】
本発明は、上記の薬剤(およびその薬剤クラスのメンバー)の薬学的に許容される塩、
酸または誘導体を包含する。
投薬
【0184】
本発明のA2AR/A2BR害剤化合物Iの固体形態は、例えば、投与の目的(例えば所望
の分解度);製剤を投与する予定である対象の年齢、体重、性別、並びに健康状態および
身体状態;投与経路;並びにその疾患、障害、状態または症状の性質に依存する量で対象
に投与することができる。投薬レジメンは、投与される薬剤に関連した任意の有害事象(
副作用)の存在、性質および程度を考慮に入れることもできる。有効量と投薬レジメンは
、例えば、安全性および用量漸増試験、インビボ研究(例えば動物モデル)、並びに当業
者に既知の他の方法から容易に決定することができる。
【0185】
一般に、投薬パラメータは、投与量が対象に対して不可逆的に毒性となり得る量より低
く(最大許容量(MTD))、かつ少なくとも対象に対して測定可能な効果を生じさせるのに
必要な量であることを決定づける。そのような量は、例えば、ADMEに関連付けられた薬物
動態的および薬力学的パラメータにより決定することができる。
【0186】
有効量(ED)は、それを投与される対象の幾らかの画分に治療効果または所望の効果を
生じる剤の用量または量である。薬剤の「メジアン(中央値)有効量」またはED50は、薬
剤が投与される集団の50%に治療応答または所望の効果を生じさせる薬剤の用量または量
である。ED50は薬剤の効果の合理的予測の尺度として一般に用いられているが、必ずしも
全ての関連のある因子を考慮して臨床医が適当であると判断する量である必要はない。よ
って、幾つかの状況では、有効量は計算値のED50より大きく、また別の状況では、有効量
は計算値のED50と同じである。
【0187】
加えて、本発明の化合物Iの固体形態の有効量は、対象に単回または複数回投与量で投
与されると、健全な対照に関して所望の結果をもたらす量であることができる。例えば、
特定の疾患を経験している対象の場合、有効量は、該疾患の診断パラメータ、尺度、マー
カー等を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、
少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくと
も約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%超だけ改善するものであり
、ここで100%は、正常な対象により提示される診断パラメータ、尺度、マーカー等とし
て定義される。
【0188】
ある特定の実施形態では、本発明に係る化合物Iの固体形態は、所望の治療効果を得る
ために、1日あたり対象の体重1kgあたり約0.01 mg/kg~約50 mg/kg、または約1 mg/kg
~約25mg/kgの投与レベルで、1日1回または複数回投与する(例えば経口的に)ことが
できる。
【0189】
経口製剤の投与の場合、組成物は、1.0~1000ミリグラム(mg)の活性(有効)成分、
特に1.0.3.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.
0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0mgの有効成分を含
有する錠剤、カプセル剤等の形で提供することができる。
【0190】
ある特定の実施形態では、化合物Iの固体形態の所望の用量が「単位投与形態」におい
て含まれる。「単位投与形態」という表現は、各単位が単独で、または1つ以上の追加の
剤と共に、所望の効果をもたらすのに十分である既定の量の固形分を含有している、物理
的に個別の単位を指す。単位投与形態のパラメータが特定の剤および達成すべき効果に依
存するだろうことは理解されよう。
【0191】
キット
本発明はまた、化合物Iの固体形態およびその医薬組成物を含むキットを提供すること
を意図する。キットは一般に、下記に記載されるように様々な構成要素を収容する物理的
構造の形態であり、そして例えば上記方法の実施において利用することができる。
【0192】
キットは、対象への投与に適した医薬組成物の形態であり得る、1以上の本明細書に開
示される化合物Iの固体形態を含むことができる(例えば滅菌容器中に提供される)。化
合物Iの固体形態は、すぐ使用できる形(例えば錠剤またはカプセル剤)または例えば、
投与前に再構成や希釈を必要とする形(例えば粉末)で提供することができる。化合物I
の固体形態が使用者による再構成や希釈の必要がある形の場合、キットは、化合物Iの固
体形態と共にまたは別々にパッケージングされた、希釈剤(例えば滅菌水)、緩衝液、薬
学的に許容される賦形剤等も含むことができる。併用療法が考慮される場合、キットは、
複数の薬剤を別々に含有してもよく、またはキット中に既に一緒に組み合わされていても
よい。キットの各構成要素は、個別の容器内に封入されてもよく、様々な容器の全部が単
一パッケージ内に存在してもよい。本発明のキットは、その中に収容された構成要素を適
切に維持するために必要な条件(例えば冷凍または凍結)に合わせて設計することができ
る。
【0193】
キットは、その中の構成要素の識別情報を含むラベルまたは添付文書、およびそれらの
使用説明書(例えば、有効成分の投与パラメータ、臨床薬理学、例えば作用機序、薬物動
態学および薬力学、有害作用、禁忌など)を含むことができる。ラベルまたは添付文書に
は、ロット番号と有効期限などの製造元情報を含めることができる。ラベルまたは添付文
書は、例えば、構成要素を収容している物理的構造の中に組み込まれてもよく、物理的構
造の内部に別々に収容されてもよく、またはキットの構成要素に添付されてもよい(例え
ばアンプル、チューブまたはバイアルに)。
【0194】
ラベルまたは添付文書は、ディスク(例えばハードディスク、カード、メモリーディス
ク)、CD-ROMまたはDVD-ROM/RAM、DVD、MP3などの光ディスク、磁気テープ、RAMやROMの
ような電子記憶媒体またはそれらのハイブリッド、例えば磁気/光学式記憶媒体、FLASH
(登録商標)媒体またはメモリーカードなどのコンピュータ可読媒体をさらに含むことが
できる。いくつかの実施形態では、実際の指示がキット中に存在せず、例えばインターネ
ットを介して、リモートソース(発信源)から指示を取得するための手段が用意される。
【実施例0195】
実験
以下の実施例は、本発明をいかに構成し使用するかについての完全な開示と説明を当業
者に提供するために提示されるものであり、発明者が発明と見なすものの範囲を限定する
ことを意図するものではなく、以下の実験が実施されたこと、またはそれらが実施される
可能性のある実験の全てであることを表すものでもない。現在時制で記載されている例示
的な記載は必ずしも実際に実施されたのではなく、むしろその記載がその中に説明された
性質のデータ等を生成するために実施できるということを、理解されたい。使用される数
字(例えば量、温度など)に関して正確さを保つために最善を尽くしたが、いくらかの実
験誤差や偏差を考慮に入れるべきである。
【0196】
特に別記しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセル
シウス度(℃)であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。以下のような標準的な略
語が使用される:wt=野生型;bp=塩基対;kb=キロ塩基;nt=ヌクレオチド;aa=アミ
ノ酸;sまたはsec=秒;min=分;hまたはhr=時間;ng=ナノグラム;μg=マイクログ
ラム;mg=ミリグラム;g=グラム;kg=キログラム;dlまたはdL=デシリットル;μlま
たはμL=マイクロリットル;mlまたはmL=ミリリットル;lまたはL=リットル;μM=マ
イクロモル濃度;mM=ミリモル濃度;M=モル濃度;kDa=キロダルトン;i.m.=筋肉内(
に);i.p.=腹腔内(に);SCまたはSQ=皮下(に);QD=毎日;BID=1日2回;QW=
毎週;QM=毎月;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;BW=体重;U=単位;ns=統計上
有意でない;PBS=リン酸緩衝化生理食塩水;IHC=免疫組織化学;DMEM=ダルベッコ改変
イーグル培地;EDTA=エチレンジアミン四酢酸。
【0197】
材料と方法
指摘される場合、次の汎用材料と方法を使用し、または以下の実施例に使用することが
できる。
【0198】
文献にはアッセイや他の実験技術が豊富に記載されており、それらは本明細書中に記載
の化合物の評価のための基礎として役立ちうる。
【0199】
X線粉末回折(XRPD)
XRPD分析は、試料を3~35°2θの間でスキャンすることにより、PANalyticalX'pert
pro上で実施した。固形物質を穏やかに粉砕して凝集物をばらばらにし、次いで試料を固
定するためのかプトン(Kapton;登録商標)またはマイラー(Mylar;登録商標)ポリマ
ーフィルムを用いてマルチウェルプレート上にマウントした。次いでそのマルチウェルプ
レートを回折計中に置き、40 kV/40 mAの発生器設定を用いて転送モード(ステップサイ
ズ0.0130°2θ)で操作し、CuK放射線(α1 λ=1.54060Å;α2=1.54443Å;β=1.39
225Å;α1:α2比=0.5)を使って分析した。
【0200】
偏光光学顕微鏡(PLM)
結晶性の存在(複屈折)は、Moticカメラと画像キャプチャソフトウェア(Motic Image
s Plus 2.0)を装備したオリンパス製BX50偏光顕微鏡を使って測定した。全ての画像は20
倍の対物レンズを使って記録した。
示差走査熱量測定(DSC)
【0201】
約5 mgの物質をアルミニウムDSC皿中に秤量し、穴の開いたアルミニウム蓋で非密封的
にシールした。冷却して20℃に維持されたセイコー製DSC6200(冷却器を装備した)中に
試料皿を装着した。安定な熱流応答が得られたら、試料と参照物質とを、10℃/分のスキ
ャン速度で230℃まで加熱し、そして得られた熱流応答をモニタリングした。パージガス
として50 cm3/分の流速で窒素を使用した。
【0202】
熱重量分析(TGA)
約5 mgの物質をオープン型アルミニウム皿中に秤量し、熱重量/示差熱同時分析器(TG
/DTA)に装着し、室温に保持した。次いで試料を20℃から300℃まで10℃/分の速度で加
熱していき、その期間の間、起こり得る示差熱現象(DTA)に沿って試料重量の変化を記
録した。パージガスとして300 cm3/分の流速で窒素を使用した。
【0203】
動的蒸気収着(DVS)
約10 mgの試料をメッシュ状の蒸気収着天秤皿に入れ、SurfaceMeasurement Systems社
によるDVS-1、DVSIntrinsicまたはDVS Advantage 動的水蒸気吸着測定装置中に装着した
。試料を40%から90%相対湿度(RH)まで10%増分での傾斜プロファイルにかけ、安定な
重量が達成されるまで各段階で試料を25℃にて維持した(dm/dt 0.004%、最小ステップ
長30分、最大ステップ長500分)。吸着サイクルの完了後、試料を同じ手順で0%RHに乾
燥させ、次いで2回目の吸着サイクルで40%RHに戻した。2サイクルを行った。収着/脱
着サイクル中に重量変化をプロットし、試料の吸水性を決定できるようにした。次いで保
持されたいずれかの固体に関してXRPD分析を実施した。
【0204】
重量蒸気収着(GVS)
約10~20mgの試料をメッシュ状の蒸気収着天秤皿に入れ、Hiden Analutical社によるI
GASorp 水蒸気収着測定装置の天秤に装着した。試料を10%増分で40~90%相対湿度(RH
)の傾斜プロファイルにかけ、安定な重量が達成されるまで各段階で試料を維持した(98
%ステップ完了、最小ステップ長30分、最大ステップ長60分)。収着サイクルの終了後、
同じ手順で試料を0%RHまで乾燥し、最後に40%RHの出発点に戻した。2サイクルを行っ
た。収着/脱着サイクル中に重量変化をプロットし、試料の吸湿性を決定できるようにし
た。
【0205】
高速液体クロマトグラフィー-紫外線検出(HPLC-UV)
装置:Agilent 1100
カラム:ZORBAX Eclipse Plus C18 150 mm×3.0 mm、粒径3.5μm
カラム温度: 35℃
オートサンプラー温度: 周囲温度
UV波長: 228 nm
注入量: 3μL
流速: 1 mL/分
移動相A: 水系(0.1%ギ酸含有の水:ACN(95:5))
移動相B: ACN(0.1%ギ酸含有)
勾配プログラム:
【0206】
【0207】
〔実施例〕
当業者は、特許請求の範囲に示される分子を調製するために利用可能な種々の方法が存
在することを認識するであろう。当該技術分野で公知の種々の方法が、本発明の化合物を
調製するために使用されており、その一部が実施例に例示される。
実施例1: 3-〔2-アミノ-6-(1-{[6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル
)ピリジン-2-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリミジ
ン-4-イル〕-2-メチルベンゾニトリル(化合物I)の合成
【0208】
【0209】
工程1:磁気攪拌棒を備えた250mL丸底フラスコに、ボロン酸エステル(3.89 g、16ミリ
モル)および2-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン (3.67 g、22.4ミリモル)を順次投
入した。無水エタノール(100 mL)を添加し、続いて、脱イオン水(19 mL)中のKHCO3 (4.
81 g、48ミリモル)溶液を添加した。得られた懸濁液を窒素で5分間脱気した。次いで、
PdCl2(PPh3)2(112 mg、1モル%)を添加し、そして混合物を窒素雰囲気下で78℃に3時
間加熱した。エタノールを減圧下にて蒸発させ、脱イオン水(150 mL)を添加した。懸濁液
をろ過し、固形分を追加の水(100 mL)で洗浄した。固形分をアセトン(220 mL)中に溶解し
、500 mL丸底フラスコに収集した。シリカとセライトの混合物(1:1、150g)を添加し、
減圧下で溶媒を除去した。得られた粗製物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ
ー(ジクロロメタン/酢酸エチル勾配0%~15%)により精製した。所望の生成物を白色
固体(1.91 g、49%)として得た。LCMS:方法A、保持時間=2.93分、C12H9ClN4について
のESI MS[M+H]+ 計算値245.7、実測値245.2。
【0210】
工程2:丸底フラスコ中で、5.1g (20.8ミリモル)のクロロピリミジンを、42 mLの脱気
済THF中で懸濁させた。この懸濁液に、8.68mL (62.4ミリモル)のEt3Nと5.95 mL (25.0ミ
リモル)のTIPS-アセチレンを添加した。反応混合物を5分間撹拌し、続いて219mg (0.31
2ミリモル)のPdCl2(PPh3)2および119mg (0.624ミリモル)のCuIを添加した。反応混合物
を50℃でN2下で5時間撹拌した。反応物を室温に冷却した後、溶媒を除去し、粗製物を10
0 mLのEtOAc中に再懸濁し、不溶性固体をろ過により除去した。ろ液を(1:1)NH4Cl/NH4OH
(2×100 mL)および10%Na2S2O4(1×100 mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4を用いて乾燥
し、濃縮し、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0211】
工程3:丸底フラスコ中で、前工程からの粗製TIPS生成物を42 mLの乾燥THF中に溶解し
、0℃に冷却した。これに、25mL (25.0ミリモル)のTBAF (THF中1.0 M)を添加した。反応
物を0℃で15分間撹拌した。飽和NH4Cl(100mL)を添加して反応物をクエンチングした。有
機物を水層からEtOAc(2×100 mL)で抽出した。合わせた有機層を(1:1) NH4Cl/NH4OH (2
×100 mL)および10%Na2S2O4(1×100 mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4を用いて乾燥し、
濃縮し、そして40%CH2Cl2/ヘキサンとともに粉砕することにより、淡褐色固体として純
粋な生成物5を得た。収量:3.71 g (76%、2段階)。
【0212】
工程4:臭化メチルマグネシウムの溶液(Et2O中3 M、40 mL、120ミリモル、4.0当量)
に、N2下で0℃にて2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-カルボン酸メチル(5.0 g
、29.9ミリモル)のTHF中溶液(70 mL、0.4 M)を30分間かけて添加した。得られた混合物
を室温に温め、そして3時間撹拌した。反応混合物をNH4Cl水溶液(55 mL)でクエンチング
し、EtOAc(50 mL)を添加した。有機相を分離し、水相をEtOAc (3×40 mL)で抽出した。
合わせた有機抽出物を飽和重亜硫酸ナトリウム水溶液 (7×20 mL)で洗浄し、次いで、乾
燥し(Na2SO4)、ろ過し、真空中で濃縮して、淡黄色液体として表題化合物を得た (3.45
g、収率69%;純度96%、LCMSにより判定)。LCMS:方法A、保持時間=0.722分および1.0
6分、C9H13NO2についてのESIMS [M+H]+ :計算値167.09、実測値167.2。
【0213】
工程5:2-ヒドロキシメチル-6-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)ピリジン
(5 g、29.9ミリモル、1.0当量)のPhMe中溶液(33mL、0.9 M)に、N2下で0℃にてジフ
ェニルホスホリルアジド(7.73 mL、35.9ミリモル、1.2当量)を添加し、続いて1,8-
ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(5.37mL、35.9ミリモル、1.2当量)を添
加した。得られた混合物を室温に温め、そして14時間撹拌した。完了時に、酢酸エチルで
希釈し、そして水で洗浄し、有機層を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、そして濃縮した。残留物
を1N HCl水溶液(2当量、60ミリモル)中に溶解し、そしてMTBE/ヘキサン (3:7、100
mL)で抽出し、有機層を水(50mL)で洗浄し、そして合わせた水性層を2N水性NaOHで中和し
、そして酢酸エチル(3×75 mL)で抽出し、有機層を乾燥し(Na2SO4)、綿のプラグを通し
てろ過し、そしてろ液を濃縮し、純粋な化合物を淡黄色液体として得た(3.75 g、75%)
。 LCMS: 方法A、保持時間=2.67分、C9H12N4OについてのESIMS [M+H]+ :計算値193.1
、実測値193.2。
【0214】
工程6:アジ化物(3.34g、17.4ミリモル)、アルキン(3.71 g、15.8ミリモル)、硫酸銅
(II) (39 mg;0.158ミリモル)およびアスコルビン酸ナトリウム(156mg、0.790ミリモ
ル)の2:1t-BuOH/H2O (158 mL)中の混合物を、60℃で13 時間加熱した。溶媒を真空中
で除去し、残渣をシリカゲル上に乾式ロードし、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサ
ン中0~ 100%EtOAc)により精製して、所望の生成物をオフホワイト色固体(6.08 g、90
%)として得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.69 (s, 1H), 7.90 (d, J=7.8 Hz, 1H)
, 7.80 (t,J=7.8 Hz, 1H), 7.76 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.61 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.51 (
t, J=7.8 Hz,1H), 7.28 (s, 1H), 7.10 (d, J=7.6 Hz, 2H), 6.90 (s, 2H), 5.81 (s, 2
H), 5.23 (s,1H), 2.55 (s, 3H), 1.38 (s, 6H)。C23H23N8OについてのESIMS [M+H]+
:計算値427.2、実測値427.3。
【0215】
実施例2: 3-〔2-アミノ-6-(1-{[6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル
)ピリジン-2-イル]メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリミジ
ン-4-イル〕-2-メチルベンゾニトリルの結晶性固体形態の調製
【0216】
実施例1の工程6からの生成物 (7.53 g) を加熱して還流させることによりアセトン(1
09 mL) 中に溶かし、その時点で水(218 mL) を10 mL/分の速度で添加して結晶化を開始
させた。混合物を冷却し、固体をろ過により集め、1:2 アセトン/水(109 mL)で洗浄し、
真空下で乾燥させて、白色固体として化合物IのI形を得た (7.08 g; 94%)。
【0217】
実施例3:3-〔2-アミノ-6-(1-{[6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル
)ピリジン-2-イル〕メチル}-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリミジ
ン-4-イル]-2-メチルベンゾニトリルの固体形態のスクリーニング
【0218】
化合物Iを1,4-ジオキサン中に溶かし、その後で凍結乾燥を行うことにより、非晶
質化合物Iを製造した。XRPDにおいて指標となるピークが欠如していることにより、非晶
質固体形態が確認された。非晶質化合物Iに、12×40 mg試料に溶媒を加え、熱循環用の
スラリーを調製した。この物質は12種の溶媒のうちの多数に易溶であり、従って幾つかの
試料を飽和溶液として熱循環させた。
【0219】
【0220】
次いで、スラリー/溶液を、室温で4時間に続いて40℃で4時間を、約72時間に渡り熱
循環させた(攪拌しながら)。温度循環後に残っている全ての固体材料をろ過し、単離さ
れた物質をXRPDおよびPLMによって分析した。任意の結晶性物質に関してTG/DTAも収集し
た。その際に物質の量を考慮に入れた。ろ過後または全く固形物が存在しない場合に残っ
ている12の飽和溶液を、均等に3分割し、以下を実施した:
- 約2℃での急冷:冷蔵庫内にバイアルを一晩置いた。
- 貧溶媒の添加:1 mLの貧溶媒を添加し(tBME) 、試料を一晩放置した。固体が単離され
なかった場合、溶媒を蒸発させ、物質をその元の溶媒に再溶解した後、1 mLのtBMEまたは
ヘプタンを貧溶媒として添加した。試料を一晩放置した。
- 蒸発:バイアルからキャップを取り外して溶媒の蒸発が起こるようにした。
この段階で単離されたいかなる固体もXRPD、PLMにより分析し、そして結晶質ならばTG/DT
Aを収集した(その際に物質の量を考慮に入れた)。
【0221】
熱循環後、次の溶媒は、固形物を全く含まない透明溶液を生成した:1,4-ジオキサ
ン、2-エトキシエタノールおよびTHF。
【0222】
化合物IのI形(FormI)は、25%アセトン:75%水;ジクロロメタン;およびトルエ
ンから製造した。I形の例示的なXRPDは
図1に示され、ピークの一覧は表1に示される。
【0223】
図5に従ったXRPDおよび
図6に従ったDSCパターンを有する化合物IのII形(FormII)
は、25%アセトニトリル:75%水から製造した。
図5のII形のXRPDのピーク一覧は表3に
示される。
【0224】
化合物IのIII形(FormIII)は、イソプロパノール、アセトニトリル、メタノールお
よび水試料から製造した。III形は、
図7に示されたものに従ったXRPDおよび
図8に従っ
たDSCパターンを有する。
図7のIII形のXRPDのピーク一覧は表4に示される。
【0225】
実施例4:化合物Iの更なる例示的な晶出(結晶化)条件
単一溶媒加熱、二成分溶媒混合物加熱、および緩徐な蒸発という方法を使用して、該化
合物の結晶形を生成する種々の条件が同定された。結晶化度(crystallinity)は、物質
の融解範囲から決定した。この場合には、結晶性化合物は非晶質と比較して比較的急峻で
高温の融解範囲を示す。凍結乾燥から得られた非晶質は、<100℃の融解範囲を示した。
選択された状態の要約を表6と表7に示す。
【0226】
【0227】
【0228】
異なる溶媒組み合わせから得られた物質に関する融点測定値は、その物質の少なくとも
2つの結晶形が得られる可能性があることを示唆している。観察された最高融点の融解形
態(形態I;FormI)は、約193~195℃で融解し、一般に二成分混合物から得られた。17
9~181℃で融解する追加の形態(形態III;FormIII)も観察され、それはアルコール溶
媒を含む二成分混合物の使用または単一溶媒の使用を通して一般に得られた。しばしば、
179~181℃での部分融解が観察され、続いて、193~195℃で融解する固体残が観察された
。さらに、ある種の試料では、179~181℃で完全な融解が観察され、続いて、再固化、お
よび193~195℃での二次融解が観察された。特定バッチのNMR分析は、ごく微量の溶媒の
みが存在することを示した。
【0229】
XRPD分析とDSC分析を通して、(結晶)形態の差異が確認された。XRPD分析は、それぞ
れの結晶形について2つの異なるパターンを示した。DSCデータも、観察された融点と一
致していた。
【0230】
形態I(融点193~195℃)は、178℃で転移が起こるIII形と比較して、相転移が194℃
で起こることを示すDSCデータに基づくと、より熱的に安定な多形である。2つの形態の
1:1スラリー比較競争実験は、種々の溶媒中でIII形がI形に変換されるので、安定性
への追加の裏付けを提供する。
【0231】
実施例5:化合物IのI形(Form I)の単結晶X線回折
単結晶X線回折研究は、Mo Kα線(λ=0.71073オングストローム(Å))を装備したBru
ker KappaAPEX-II(登録商標)CCD回折計上で行った。0.253×0.227×0.206 mm片の無色
ブロックを、Paratone(登録商標)オイルを使ってクライオループ(Cryoloop)上にマウ
ントした。データは、φおよびω軸スキャンを使って100(2)Kで窒素ガス流中で収集した
。結晶と検出器間の距離は40 mmであり、露光時間は2.0°のスキャン幅を用いて1フレー
ム当たり4秒であった。データ収集は、θで25.00°まで100%完全であった。-17≦h≦18
、-25≦k≦25、-7≦l≦9の指標全体をカバーする合計33406の反射を収集した。4373の反
射が対称性と無関係であり、Rintは0.0474であった。指数付けおよび単位格子の精密化は
、単斜晶系の基本格子であることを示した。空間群はP21/cであることが判明した。デー
タは、BrukerSAINT(登録商標)ソフトウェアプログラムを使用して積分され、SADABS(
登録商標)ソフトウェアプログラムを使用してスケーリングされた。直接法(SHELXT)に
よる解法は、提案された構造と一致する完全な位相モデルを導出した。化合物IのI形の
単結晶X線回折データは表2に示される。
【0232】
全ての非水素原子を、完全行列最小二乗法(SHELXT-2014)を用いて異方性因子により
精密化した。全ての炭素結合した水素原子をライディングモデルを使って配置させた。そ
れらの位置は、SHELXT-2014において適切なHFIXコマンドを用いて、それらの親原子に関
する束縛条件を導入した。他の全ての水素原子(H結合)を差分マップ中に配置した。そ
れらの相対位置を、DFLXコマンドを用いて拘束し、それらの熱を自由に精密化した。
実施例6:化合物IのI形(Form I)の安定性と吸湿性
【0233】
一定量の化合物IのI形を含むバイアルを、75%相対湿度(RH)で一週間、40℃の温度
にかけた。HPLCおよびXRPDによる分析は、分解や形態変化が全く観察されずに結晶性物質
が安定であることを示した。更に、一定量の結晶性物質を含むバイアルを、密閉バイアル
中で80℃の温度に一週間供した。HPLCおよびXRPDによる分析は、分解や形態変化が全く観
察されず、結晶性物質が安定であることを示した。
【0234】
一定量の化合物IのI形を動的蒸気収着(DVS)によって分析した。試料を40%~90%R
Hから10%増分で勾配プロファイルにかけ、25℃で安定重量が達成されるまで、試料を各
段階に維持した。収着サイクルの完了後、試料を同じ手順を用いて0%RHまで乾燥し、次
いで二回目の収着サイクルで40%RHに戻した。2サイクルを行った。収着/脱着サイクル
中の重量変化をプロットし、試料の吸湿性を決定できるようにした。次いで、得られた固
体に関してXRPD分析を行ったところ、形態変化は全く観察されなかった。DVSは、図に示
すように、90%相対湿度で1.1%水分の最大値を有する、0~90%相対湿度範囲における
可逆的水分吸収(吸水)を示した。この値は、微吸湿性物質であるが、4.22%の一水和物
の理論値より低いことを示す。この物質を循環させた時にヒステリシス(履歴現象)は全
く観察されなかった。
【0235】
本発明の特定の実施形態は、本発明を実施するための発明者に既知である最良の形態を
含み、本明細書で説明される。上記の説明を読めば、開示された実施形態の変形は当業者
に明白になるであろうし、当業者はそのような変更を適宜使用できることは予想される。
従って、本発明は、適用可能な法則によって許容されるように、本明細書に添付された特
許請求の範囲に記載された主題の全ての修正および均等物を含むことが意図される。更に
、本明細書に特に示されていない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、全ての可
能な変形における上記要素の任意組み合わせは、本発明に包含される。
【0236】
本明細書に引用された全ての刊行物、特許出願、受託番号および他の参考文献は、それ
ぞれの個々の刊行物または特許出願が、あたかも参照により本明細書に組み込まれている
と具体的かつ個別に指摘されているかのように、本明細書中に参考として援用される。