(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083570
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】薬物含有粒子
(51)【国際特許分類】
A61K 9/50 20060101AFI20240614BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240614BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240614BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240614BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240614BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240614BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240614BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20240614BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K9/50
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/04
A61K47/32
A61K47/10
A61K31/5383
A61P31/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064944
(22)【出願日】2024-04-12
(62)【分割の表示】P 2020539517の分割
【原出願日】2019-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2018159363
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591040753
【氏名又は名称】東和薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 豊
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 勇
(72)【発明者】
【氏名】本庄 達哉
(72)【発明者】
【氏名】平石 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】弓樹 佳曜
(57)【要約】
【課題】粒度分布がシャープであり、球形度が高く、流動性が良好な薬物含有粒子を効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】原料粒子とその外側に被覆層を有し、少なくとも1つの薬物を原料粒子および/または被覆層に含む薬物含有粒子の製造方法であって、原料粒子を高分子で被覆した粉末被覆用の核粒子と、薬物および/または薬学的に許容される添加剤とを含む混合物に、高分子を溶解し得る溶媒を噴霧しながら撹拌機能を有する造粒工程を含む製造方法。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料粒子を高分子により被覆した核粒子、該核粒子を使用した薬物含有粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品において、薬物を含有した球形顆粒は、苦味のマスキングや溶出制御や安定化の観点から有用である。例えば、同じ粒度であれば、球形である顆粒は球形でない顆粒に比べて表面積が小さいことから、効率良くコーティングを実施することができる。また同様に、粒度分布がシャープな顆粒は粒度分布がブロードな顆粒に比べて、均一にコーティングできるため、コーティング効率が向上する。このように、前記の特徴を有する顆粒は、コーティング剤の使用量を低減しても所望の効果を発揮することができるため、製造性やコスト削減の観点から極めて有用である。
【0003】
また、粒度分布がシャープな球形顆粒を用いた製剤において、顆粒剤、ドライシロップ等では優れた流動性を有するため、生産性に優れるとともに、製品も扱いやすいという利点を有する。さらに、カプセル剤、錠剤、口腔内崩壊錠(OD錠)等に用いる場合も、粒度分布がシャープな球形顆粒は流動性に優れることから、充填および打錠時の生産性が向上する。
【0004】
薬物を含有する球形顆粒を得る方法としては、流動層造粒装置または転動造粒装置に市販の球形の添加剤を仕込み、薬物の溶解液または分散液をスプレーし、球形の添加剤の周りにコーティングする手法が知られている。しかしながら、この手法ではコーティングに長時間を要するというデメリットがある。さらに、長時間にわたり薬物が水や溶媒に溶解または分散した状態となるため、薬物の結晶形が変化したり、薬物が分解したりするリスクがある。
【0005】
また、転動造粒装置に添加剤と薬物を粉末状態で仕込み、結合剤の溶液を噴霧し、コーティングする手法(例えば、特許文献1)が知られているが、この手法では、顆粒の粒度分布がシャープにならず、改良の余地がある。
【0006】
さらに、核となる粒子の表面に、より小さな粉体を結合剤により付着させて造粒する手法(有核造粒法)等も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-128774号公報
【特許文献2】特開平6-218266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、粒度分布がシャープであり、球形度が高く、流動性が良好な薬物含有粒子を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、原料粒子を高分子により被覆した核粒子に、薬物および/または薬学的に許容される添加剤を粉末形態で加え、高分子を溶解させることができる溶媒を噴霧しながら撹拌することで造粒するという簡便な手法により、所望の粒子径および粒度分布を有する薬物含有粒子を短時間で製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、
〔1〕原料粒子を高分子で被覆した、湿式法による粉末被覆用の核粒子、
〔2〕原料粒子が、D-マンニトール、乳糖、結晶セルロース、コーンスターチ、二酸化ケイ素、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、および薬物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、〔1〕記載の核粒子、
〔3〕高分子が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、アルファー化デンプン、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、およびエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも一種を含む、〔1〕または〔2〕記載の核粒子、
〔4〕原料粒子とその外側に被覆層を有し、少なくとも1つの薬物を原料粒子および/または被覆層に含む薬物含有粒子の製造方法であって、原料粒子を高分子で被覆した粉末被覆用の核粒子と、薬物および/または薬学的に許容される添加剤とを含む混合物に、高分子を溶解し得る溶媒を噴霧しながら撹拌機能を有する造粒工程を含む製造方法、
〔5〕35~100℃で加熱しながら撹拌造粒する工程を含む、〔4〕記載の製造方法、
〔6〕原料粒子と被覆層との間に不連続層を有する薬物含有粒子である、〔4〕または〔5〕記載の製造方法、
〔7〕薬物含有粒子のSpanが1.0以下である、〔4〕~〔6〕のいずれかに記載の製造方法、
〔8〕薬物含有粒子の圧縮度が14%以下である、〔4〕~〔7〕のいずれかに記載の製造方法、
〔9〕〔4〕~〔8〕のいずれかに記載の製造方法により製造される薬物含有粒子、に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉末被覆用核粒子の使用により、従来長時間を要した核粒子への粉末被覆工程を効率化できる。また、汎用性が高いため、様々な固形製剤の製造に利用できる。
【0012】
本発明の製造方法によれば、主薬や添加剤の溶液または懸濁液を準備する必要がなく、粉体と溶媒をそれぞれそのまま使用できるので、操作が簡便であり、かつ、従来の有核造粒法よりも製造時間を短縮することができ、さらに水や溶媒に不安定な主薬等であってもその影響を受けにくい。
【0013】
また、本発明の製造方法によれば、核粒子の組成により、薬物含有粒子に放出制御、苦味マスキング等の機能性を付与することができる。さらに、所望の粒子径および粒度分布を有する薬物含有粒子を設計し製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】原料粒子(セルフィアCP-102Y)の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図2】原料粒子(セルフィアCP-102Y)を水溶性高分子(HPC-L)で被覆した核粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図3A】実施例1の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図3B】実施例1の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図4A】実施例1の薬物含有粒子の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【
図4B】実施例1の薬物含有粒子の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【
図4C】実施例1の薬物含有粒子の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【
図5A】比較例1の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図5B】比較例1の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図6A】比較例2の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図6B】比較例2の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図7A】比較例3の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図7B】比較例3の薬物含有粒子の外観を示す電子顕微鏡写真である。
【
図8】実施例1の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図9】比較例1の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図10】比較例2の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図11】比較例3の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図12】原料粒子(セルフィアCP-102Y)の粒度分布を示すグラフである。
【
図13】実施例2の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図14】実施例3の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図15】実施例4の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図16】実施例5の薬物含有粒子の粒度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態である粉末被覆用の核粒子の作製を含む薬物含有粒子の作製手順について、以下に詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
【0016】
本実施形態において「平均粒子径」とは、粉体粒子の体積基準測定における累積50%粒子径(D50)を意味し、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置や音波振動式ふるい分け測定器を用いた質量基準により測定することができる。
【0017】
本実施形態において、粒子の流動性を表す圧縮度は、100mLのステンレスカップを用いて測定した比容積((loose(mL/g)、tap(mL/g))より、下記式により求められる。
(圧縮度(%))=((loose(mL/g))-(tap(mL/g))/(loose(mL/g))×100
【0018】
本実施形態において、粒度分布の広がりを表すSpanは、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置や音波振動式ふるい分け測定器を用いた質量基準測定における累積90%粒子径(D90)、累積10%粒子径(D10)、および累積50%粒子径(D50)より、下記式により求められる。
(Span)=(D90-D10)/D50
【0019】
<粉末被覆用核粒子およびその製造方法>
本実施形態に係る粉末被覆用核粒子(以下、単に核粒子と表記することもある)は、機能性を有する高分子により被覆されていることを特徴とする。このように、高分子を原料粒子の表面に局在化させた核粒子を用いることにより、薬物および/または薬学的に許容される添加剤を粉末形態で加え、高分子を溶解させることができる溶媒を噴霧しながら撹拌造粒するという簡便な手法により、所望の粒度分布のシャープな球形薬物含有粒子を短時間に製造することができる。
【0020】
結合剤の役割を果たす高分子がランダムに存在すると、原料粒子に薬物および/または薬学的に許容される添加剤を結合させる働きをするだけでなく、原料粒子同士や薬物および/または薬学的に許容される添加剤同士をも結合してしまい、顆粒の粒度分布をシャープにすることが難しい。本実施形態に係る粉末被覆用核粒子は、結合剤の役割を果たす高分子があらかじめ原料粒子に被覆されていることで、選択的に原料粒子と薬物および/または薬学的に許容される添加剤との結合に消費される。そして、攪拌しながら高分子を溶解させる溶媒を噴霧することで高分子が徐々に溶解し、そこに薬物および/または薬学的に許容される添加剤が付着していくことで、効率の良い球形造粒が進行すると考えられる。
【0021】
(原料粒子)
原料粒子としては、薬物、薬学的に許容される添加物またはそれらの混合物、また公知の造粒方法で得た造粒物等が使用可能である。これらの原料粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、原料粒子の成分と後記の高分子の成分の一部が重複していてもよい。なお、前記の添加物は、配合される薬物(有効成分)の効果を阻害しないことが必須であり、さらにその配合により造粒物へ付加機能を付与できることが好ましい。
【0022】
薬学的に許容される添加物としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香料、コーティング剤、安定化剤、着色剤、溶解補助剤、流動化剤等が挙げられる。
【0023】
賦形剤は、特に限定されないが、例えば、D-マンニトール、乳糖、結晶セルロース、アルファー化デンプン、カンテン、ゼラチン、白糖、コーンスターチ(トウモロコシデンプン)、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素等が挙げられ、D-マンニトール、乳糖、結晶セルロース、コーンスターチ、および二酸化ケイ素が好ましい。
【0024】
結合剤は、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、大豆レシチン等が挙げられ、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースが好ましい。
【0025】
崩壊剤は、特に限定されないが、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。好ましくは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンが挙げられ;より好ましくは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびクロスポビドンが挙げられる。
【0026】
滑沢剤は、特に限定されないが、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール等が挙げられ、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0027】
甘味剤は、特に限定されないが、例えば、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース等が挙げられ、アスパルテームが好ましい。
【0028】
香料は、特に限定されないが、例えば、ペパーミント、l-メントール等が挙げられ、ペパーミントが好ましい。
【0029】
コーティング剤は、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、エチルセルロース、酸化チタン等が挙げられ、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、エチルセルロース、および酸化チタンが好ましい。
【0030】
着色剤は、特に限定されないが、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄等が挙げられ、黄色三二酸化鉄および三二酸化鉄が好ましい。
【0031】
溶解補助剤は、特に限定されないが、例えば、ポリソルベート、マクロゴール等が挙げられ、ポリソルベートが好ましい。
【0032】
流動化剤は、特に限定されないが、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等が挙げられ、軽質無水ケイ酸が好ましい。
【0033】
薬物含有粒子に含まれる薬物としては、特に限定されず、塩基性、酸性、両性、中性等の性質や溶解度を問わず使用することができる。また、これらの薬物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
上記の原料粒子のなかでも、D-マンニトール、乳糖、結晶セルロース、コーンスターチ、二酸化ケイ素、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、および薬物からなる群から選択される少なくとも一種を含む原料粒子が好ましく;D-マンニトール、乳糖、結晶セルロース、コーンスターチ、二酸化ケイ素、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、および薬物からなる群から選択される少なくとも一種である原料粒子がより好ましい。また、D-マンニトール、乳糖、結晶セルロース、コーンスターチ、二酸化ケイ素、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、および薬物からなる群から選択される少なくとも一種と結合剤および/またはコーティング剤との組み合わせも好適な態様として挙げられる。
【0035】
原料粒子の平均粒子径は任意であり、原料粒子の種類等に応じて適宜設計することができ、例えば、5~1000μm、10~800μm、20~600μm、30~500μm、40~400μm、50~300μmの範囲とすることができる。
【0036】
原料粒子のSpanは、1.0以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.7以下が特に好ましい。
【0037】
(高分子および核粒子)
本実施形態に係る核粒子は、原料粒子を水溶性高分子や水不溶性高分子等の高分子により被覆することにより製造される。前記の高分子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
水溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体およびその塩;ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ポリビニルアルコール、コポリビドン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー等の水溶性ビニル誘導体;アルファー化デンプン、デキストリン、デキストラン、プルラン、アルギン酸、ペクチン、ゼラチン、加水分解ゼラチン、カンテン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、プルラン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、精製白糖、白糖等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、およびアルファー化デンプンからなる群から選択される少なくとも一種を含む水溶性高分子が挙げられ;より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、およびアルファー化デンプンからなる群から選択される少なくとも一種である水溶性高分子が挙げられ;さらに好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはポリエチレングリコールが挙げられる。これらの水溶性高分子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
水不溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタル酸エステル、部分アルファー化デンプン、硬化油、合成ワックス、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルデキストリン、大豆レシチン挙げられる。好ましくは、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、およびエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも一種を含む水不溶性高分子が挙げられ;より好ましくは、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、およびエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも一種である水不溶性高分子が挙げられ;さらに好ましくは、エチルセルロースおよび/またはアミノアルキルメタクリレートコポリマーが挙げられ;特に好ましくは、アミノアルキルメタクリレートコポリマーが挙げられる。これらの水不溶性高分子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
原料粒子の高分子による被覆に用いられる装置は、特に限定されないが、流動層造粒装置、転動造粒装置、転動流動層造粒装置、高速攪拌造粒装置、高速混合攪拌造粒装置、高速撹拌混合装置、連続直接顆粒化装置、複合型流動層造粒装置、乾式複合装置が用いられる。
【0041】
原料粒子の高分子による被覆は、例えば、原料粒子およびアエロジル等の流動化改善剤を、上記の複合型流動層造粒装置に仕込み、高分子を溶解させた液を噴霧することで行うことができる。
【0042】
被覆に用いる高分子の量は、原料粒子100質量部に対して5~300質量部が好ましく、10~200質量部がより好ましく、15~150質量部がさらに好ましく、20~100質量部が特に好ましい。
【0043】
<薬物含有粒子およびその製造方法>
本実施形態に係る薬物含有粒子は、原料粒子とその外側に被覆層を有し、少なくとも1つの薬物を原料粒子および/または被覆層に含むことを特徴とする。
【0044】
本実施形態に係る薬物含有粒子は、前記の核粒子と薬物および/または薬学的に許容される添加剤とを含む粉末状の混合物に、原料粒子を被覆した高分子を溶解し得る溶媒を添加、例えば、噴霧しながら造粒し、乾燥することにより製造することができる。すなわち、本実施形態に係る粉末被覆用核粒子は、湿式法による有核造粒法において好適に用いられる。
【0045】
薬物含有粒子の造粒に用いられる装置は、攪拌機能を有するものであれば適宜選択することができる。特に限定されないが、攪拌造粒装置、高速攪拌造粒装置、混合攪拌造粒装置、高速混合攪拌造粒装置、高速撹拌混合装置、転動造粒装置、転動流動層造粒装置が好ましい。この中でも高速攪拌造粒装置、混合攪拌造粒装置、転動造粒装置を用いることがより好ましい。
【0046】
薬物含有粒子の造粒は加熱下において行うこともできる。例えば、35~100℃、好ましくは40~90℃において行うことができる。
【0047】
乾燥方法としては、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、棚式乾燥機や流動層による乾燥等が挙げられる。
【0048】
本実施形態において「溶媒」とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の分野で許容される全ての溶媒を意味し、原料粒子を被覆した前記の高分子を溶解しうるものであれば特に限定されないが、製薬学的に許容される溶媒が好ましい。
【0049】
本実施形態において使用可能な溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0050】
原料粒子を被覆する高分子として水溶性高分子を使用する場合は、水が好適に用いられるが、作業性の改善に必要な含水エタノール等を用いてもよい。また、核粒子を被覆する高分子として水不溶性高分子を使用する場合は、エタノールが好適に用いられるが、溶解度に応じてその他のアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を使用することもできる。
【0051】
溶媒の使用量は、薬物、高分子の種類、量等により異なるが、通常、薬物含有粒子を構成する各成分の総量100重量部に対して、3~100重量部、好ましくは5~80重量部、より好ましくは5~60重量部、さらに好ましくは10~50重量部である。
【0052】
溶媒の噴霧は、通常造粒時に使用されるスプレーガンを用いて行うことができる。造粒物の収率を高くするため、造粒容器内の粉末以外の部分、つまり造粒容器内壁等へのスプレーができるだけ少なく、かつ、造粒容器内の粉末のできるだけ広い範囲に溶媒をスプレーすることが好ましい。
【0053】
薬学的に許容される添加剤としては、特に限定されず、例えば、前記の原料粒子として使用可能な薬学的に許容される添加剤が挙げられる。また、該添加剤が、前記の高分子に該当する場合であっても、用いられる溶媒に溶解しない場合には、本実施形態に係る高分子の機能を発揮することなく、添加剤として配合することができる。
【0054】
薬物含有粒子のSpanは、1.0以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.7以下が特に好ましい。
【0055】
核粒子の平均粒子径は、薬物および/または薬学的に許容される添加剤の平均粒子径に対して5倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、15倍以上がさらに好ましく、20倍以上が特に好ましい。薬物および/または薬学的に許容される添加剤の平均粒子径が上記の範囲にあることにより、薬物含有粒子の造粒が効率的に進行する。
【0056】
本実験形態に係る薬物含有粒子は,シャープな粒度分布を有しかつ球形であるため、良好な流動性を示す。ここにおいて「良好な流動性」とは圧縮度が14%以下であることを意味する。好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下である。良好な流動性を示す薬物含有粒子を様々な剤形の医薬品に適応することで、品質と製造性を向上させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係る薬物含有粒子は、原料粒子と被覆層との間に不連続層を有することを一態様とする。この「不連続層」とは、粒子中心に存在する原料粒子と原料粒子を包囲する被覆層との間に存在する層状の空隙を指し、例えば、電子顕微鏡や光学顕微鏡でその存在を確認することができる。
【0058】
本実施形態に係る薬物含有粒子は、医薬または医薬原料として有用であり、ヒトまたは動物に対して経口的または非経口的に投与することができる。なお、投与量は使用される薬物によって適宜選択することができる。
【0059】
本実施形態に係る薬物含有粒子は、使用目的に応じて各種剤形とすることができる。例えば、本実施形態に係る薬物含有粒子は、そのまま、顆粒剤、用時調製用の注射剤、体内埋め込み剤形等として使用することができる。また、任意の添加剤と混合し、打錠して錠剤(口腔内崩壊錠を含む)としたり、カプセルに充填してカプセル剤としたりすることもできる。さらに、懸濁剤(水性懸濁剤、油性懸濁剤)、乳剤等としても使用することができる。
【実施例0060】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
【0061】
以下、実施例および比較例において用いる各種薬品をまとめて示す。
原料粒子:結晶セルロース(旭化成(株)製、セルフィアCP-102Y)
水溶性高分子:ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製、HPC-L)
化合物A:レボフロキサシン0.5水和物(Cas No.:138199-71-0、ジェットミル粉砕品、平均粒子径:3.38μm)
【0062】
(実施例1)
複合型流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01/SFP)に原料粒子を525g投入し、給気温度70℃、ローター回転数1000rpmの条件下、水溶性高分子の3%水溶液を2.9g/mLで噴霧した。水溶性高分子を262.5g噴霧後、排気温度が50℃になるまで乾燥させた後、60メッシュで篩過し、核粒子を得た(平均粒子径:170μm)。
【0063】
得られた核粒子に、表1の仕込量に従い、化合物Aを加え、高速攪拌造粒装置((株)アーステクニカ製、LFS-GS-2J)を用い、表2に示す製造条件にて50%エタノール水溶液をスプレーしながら15分間造粒した(なお、表1の仕込量は、化合物Aの仕込量を基準とした分量を表示している)。流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01)を用いて排気温度が40℃になるまで乾燥し、30メッシュで篩過し、薬物含有粒子を得た。
【0064】
(比較例1)
水溶性高分子を原料粒子に被覆せず、表1の仕込量に従い、原料粒子に対し水溶性高分子と化合物Aを粉添加した以外は、実施例1と同様の方法で薬物含有粒子を得た。
【0065】
(比較例2)
水溶性高分子を原料粒子に被覆せず、表1の仕込量に従い、原料粒子に対し化合物Aを粉添加し、水溶性高分子を50%エタノール水溶液に溶解してスプレー噴霧した以外は、実施例1と同様の方法で薬物含有粒子を得た。
【0066】
(比較例3)
水溶性高分子を使用しない以外は、表1の仕込量に従い、実施例1と同様の方法で薬物含有粒子を得た。
【0067】
<粒度分布および粒度分布の広がりの指標(Span)の測定>
原料粒子の粒度分布(D10、D50、D90)は、レーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製、SALD-3000J)で質量基準により測定した。得られた薬物含有粒子の粒度分布(D10、D50、D90)は、音波振動式ふるい分け測定器((株)セイシン企業製、ロボットシフターPRS-95C)で質量基準により測定した。Spanは、下記式により求めた。結果を表1および表3に示す。Spanの値が小さいほど、粒度分布がシャープであることを示す。
(Span)=(D90-D10)/D50
【0068】
<粒子の外観および断面>
粒子の外観および断面は、走査型電子顕微鏡((株)キーエンス製、VE-7800)にて観察した(
図1~
図7B)。
【0069】
<比容積および圧縮度の測定>
比容積は、粉体の単位重量あたりの容積(mL/g)によって表される。薬物含有粒子を100mLのステンレスカップに自然落下で投入し、ステンレスカップから盛り上がった試料を平らな金属板ですり落とした後、試料の入ったステンレスカップの質量を測定することでloose(mL/g)を算出した。次に、前記のステンレスカップに、振動を加えて再度薬物含有粒子を加えることを体積変化が無くなるまで繰り返した。ステンレスカップから盛り上がった試料を平らな金属板ですり落とした後、試料の入ったステンレスカップの質量を測定することでtap(mL/g)を算出した。loose(mL/g)とtap(mL/g)の値から、下記式により粉体の圧縮度(%)を算出した。結果を表1に示す。圧縮度が小さいほど、粒子の流動性に優れることを示す。
(圧縮度(%))=((loose(mL/g))-(tap(mL/g))/(loose(mL/g))×100
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
実施例1の薬物含有粒子のSpanは1.0以下であり、粒度分布がシャープであることがわかる。また、原料粒子の粒度分布は100~150メッシュ(106~180μm)付近であるところ(
図12)、実施例1の薬物含有粒子は80メッシュ(180~250μm)付近にピークが存在し(
図8)、粒が成長しているのに対し、比較例1~3の薬物含有粒子は100~150メッシュ(106~180μm)付近にピークがあるか、またはブロードである(
図9、
図10、
図11)ことから、造粒が進んでいないか、進んでいたとしても均質でないということがわかる。
【0074】
また、電子顕微鏡による観察より、実施例1の薬物含有粒子は球形度においても優れており(
図3A~
図7B)、かつ不連続層を有していることがわかる。さらに、実施例1の薬物含有粒子は圧縮度が小さく、流動性が改善されていることがわかる。
【0075】
(実施例2)
複合型流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01/SFP)に、原料粒子を500g投入し、給気温度70℃、ローター回転数1000rpmの条件下、水溶性高分子の3%水溶液を2.9g/mLで噴霧した。水溶性高分子を150g噴霧後、排気温度が50℃になるまで乾燥させた後、60メッシュ(250μm)で篩過し、核粒子を得た(平均粒子径:170μm)。
【0076】
得られた核粒子に、表4の仕込量に従い、化合物Aを加え、高速撹拌混合装置(日本アイリッヒ(株)製、EL-1)を用い、表5に示す製造条件にて50%エタノール水溶液をスプレーしながら32分間造粒した(なお、表4の仕込量は、化合物Aの仕込量を基準とした分量を表示している)。流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01)を用いて排気温度が40℃になるまで乾燥し、薬物含有粒子を得た。
【0077】
【0078】
【0079】
薬物含有粒子の造粒において、高速攪拌造粒装置の代わりに高速撹拌混合装置を用いても、短時間で粒度分布がシャープであり、流動性も良好な薬物含有粒子が得られた。
【0080】
(実施例3)
クロスポビドン(ISP社製、ポリプラスドンINF-10)594g、および水溶性高分子6gを撹拌混合造粒装置((株)パウレック製、バーチカルグラニュレーターFM-VG-05)を用いて1分間混合後、15%エタノール水溶液613gをスプレー噴霧し、練合物を得た。得られた練合物を、0.3mmのスクリーンを装着した湿式押し出し造粒機マルチグラン(DALTON社製、MG-55-2)を用いて押し出し造粒し、球形整粒機マルメライザー(DALTON社製、QJ-230T-2)を用いて整粒した後、流動層造粒装置を用い、排気温度が45℃になるまで乾燥させた。得られた乾燥物を42メッシュ(355μm)と60メッシュ(250μm)の篩で篩過し、42メッシュを通過させ、60メッシュの上に残留したものを崩壊核(平均粒子径:298μm)とした。
【0081】
複合型流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01/SFP)に、前記の崩壊核を175g投入し、給気温度70℃、ローター回転数1000rpmの条件下、水溶性高分子の3%水溶液を2.9g/mLで噴霧した。水溶性高分子52.5gを噴霧後、排気温度が50℃になるまで乾燥させた後、42メッシュを通過させ、60メッシュの上に残留したものを核粒子とした(平均粒子径:295μm)。
【0082】
得られた核粒子に、表6の仕込量に従い、化合物Aを加え、高速撹拌混合装置(日本アイリッヒ(株)製、EL-1)を用い、表7に示す製造条件にて50%エタノール水溶液をスプレーしながら60分間造粒した(なお、表6の仕込量は、化合物Aの仕込量を基準とした分量を表示している)。流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01)を用いて排気温度が40℃になるまで乾燥し、薬物含有粒子を得た。
【0083】
【0084】
【0085】
原料粒子として賦形剤(結晶セルロース)の代わりに、崩壊剤(クロスポビドン)を、定法を用いて造粒したものを用いても、短時間で粒度分布がシャープであり、流動性も良好な薬物含有粒子が得られた。
【0086】
(実施例4)
シロスタゾール600g、および水溶性高分子150gを精製水2500gに添加し、シロスタゾールの懸濁液を調製した。連続式直接顆粒化装置((株)パウレック製、CTS-SGR)を用い、シロスタゾールの懸濁液をスプレーすることでシロスタゾールを造粒し、得られた造粒物を83メッシュ(180μm)と140メッシュ(106μm)で整粒し、83メッシュを通過させ、140メッシュの上に残留したものを薬物核(平均粒子径:137μm)とした。
【0087】
複合型流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01/SFP)に、前記の薬物核280gを投入し、給気温度75℃、ローター回転数1000rpmの条件下、水溶性高分子の3%水溶液を2.3g/mLで噴霧した。水溶性高分子84gを噴霧後、排気温度が50℃になるまで乾燥させた後、83メッシュと140メッシュで篩過し、核粒子を得た(平均粒子径:141μm)。
【0088】
得られた核粒子に、表8の仕込量に従い、タルク((株)勝光山鉱業所製、ビクトリライトSK-C、平均粒子径:3.23μm)を加え、高速撹拌混合装置(日本アイリッヒ(株)製、EL-1)を用い、表9に示す製造条件にて50%エタノール水溶液をスプレーしながら80分間造粒した(なお、表8の仕込量は、タルクの仕込量を基準とした分量を表示している)。流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01)を用いて排気温度が40℃になるまで乾燥し、薬物含有粒子を得た。
【0089】
【0090】
【0091】
原料粒子として賦形剤(結晶セルロース)の代わりに、薬物(シロスタゾール)を、定法を用いて造粒したものを用いても、短時間で粒度分布がシャープであり、流動性も良好な薬物含有粒子が得られた。
【0092】
(実施例5)
乾式複合化装置(ホソカワミクロン(株)製、ノビルタMini)を用いて、原料粒子とポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製、マクロゴール6000)を1分間混合後、モーター負荷動力100W前後になるようにローター回転数を調整しながら、ジャケット温度40℃条件下で、乾式複合処理した。得られた複合粒子を83メッシュ(180μm)と140メッシュ(106μm)で篩過し、83メッシュを通過させ、140メッシュの上に残留したものを核粒子とした(平均粒子径:130μm)。
【0093】
得られた核粒子に、表10の仕込量に従い、化合物Aを加え、高速攪拌造粒装置((株)アーステクニカ製、LFS-GS-2J)を用い、表11に示す製造条件にて50%エタノール水溶液をスプレーしながら30分間造粒した(なお、表10の仕込量は、化合物Aの仕込量を基準とした分量を表示している)。流動層造粒装置((株)パウレック製、マルチプレックスMP-01)を用いて排気温度が40℃になるまで乾燥し、42メッシュ(355μm)で篩過し、薬物含有粒子を得た。
【0094】
【0095】
【0096】
水溶性高分子としてヒドロキシプロピルセルロースの代わりにポリエチレングリコール用いても、短時間で粒度分布がシャープであり、流動性も良好な薬物含有粒子が得られた。