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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083579
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】テープフィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065333
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2022534590の分割
【原出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 浩規
(72)【発明者】
【氏名】石川 賢三
(72)【発明者】
【氏名】山蔭 勇介
(57)【要約】
【課題】カバーテープを適正な張力でドラム部材に巻き取ることにより巻取り不良の発生を抑制する。
【解決手段】テープフィーダは、複数の部品を収容したキャリアテープ上にカバーテープが貼着されてなる部品供給テープをリールから引き出して所定の供給位置へ送り、供給位置の手前でキャリアテープからカバーテープを剥離することでキャリアテープ上の部品を露出させる。テープフィーダは、カバーテープを挟んで引き込むことによりキャリアテープからカバーテープを剥離する一対の回転部材と、一対の回転部材により引き込まれたカバーテープを回転しながら巻き取るドラム部材と、ドラム部材の回転軸に設けられたトルクリミッタと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容したキャリアテープ上にカバーテープが貼着されてなる部品供給テープをリールから引き出して所定の供給位置へ送り、前記供給位置の手前で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離することで前記キャリアテープ上の部品を露出させるテープフィーダであって、
前記カバーテープを挟んで引き込むことにより前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離する一対の回転部材と、
前記一対の回転部材により引き込まれたカバーテープを回転しながら巻き取るドラム部材と、
前記ドラム部材の回転軸に設けられたトルクリミッタと、
を備えるテープフィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のテープフィーダであって、
前記リールは、一対のリールフランジを有し、
前記ドラム部材は、フランジを有さない又は最大巻取径よりも小径のフランジを有する、
テープフィーダ。
【請求項3】
請求項2に記載のテープフィーダであって、
前記ドラム部材は、巻き取られた前記カバーテープの一部が前記一対のリールフランジ内に侵入するように該一対のリールフランジの外縁部に近接して配置されている、
テープフィーダ。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載のテープフィーダであって、
前記リールと前記一対の回転部材と前記ドラム部材とを収容するフィーダケースを備える、
テープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、テープフィーダについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテープフィーダとしては、部品を収容したキャリアテープから剥離したカバーテープを巻き取る巻取リールを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。巻取リールは、ボス部を有した駆動側のフランジである第1のフランジと、これに着脱自在に結合される第2のフランジと、第2のフランジに設けられた拡径可能な外周を有する巻取部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-296951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、設置スペースの制約等から巻取リールをフランジのない構成としたり最大巻取径よりも小径のフランジを用いた構成としたりする場合、巻取リールに巻き取られるカバーテープは、幅方向にガイドされない。このため、巻き取られるカバーテープの張力が適切でないと、カバーテープが幅方向にずれた状態でリール(ドラム部材)に巻き取られる場合が生じる。この場合、巻き取られたカバーテープがケースの内壁等に接触し、駆動源に過大な負荷が生じることにより巻取り不良が発生するおそれがある。
【0005】
本開示は、カバーテープを適正な張力でドラム部材に巻き取ることにより巻取り不良の発生を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のテープフィーダは、
複数の部品を収容したキャリアテープ上にカバーテープが貼着されてなる部品供給テープをリールから引き出して所定の供給位置へ送り、前記供給位置の手前で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離することで前記キャリアテープ上の部品を露出させるテープフィーダであって、
前記カバーテープを挟んで引き込むことにより前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離する一対の回転部材と、
前記一対の回転部材により引き込まれたカバーテープを回転しながら巻き取るドラム部材と、
前記ドラム部材の回転軸に設けられたトルクリミッタと、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示のテープフィーダは、カバーテープを挟んで引き込むことによりキャリアテープからカバーテープを剥離する一対の回転部材と、引き込まれたカバーテープを回転しながら巻き取るドラム部材と、を備える。ドラム部材の回転軸には、トルクリミッタが設けられる。トルクリミッタはドラム部材に規定を超えるトルクが生じるとスリップするため、ドラム部材に巻き取られるカバーテープに過大な張力が作用するのを抑制することができる。この結果、カバーテープを適正な張力でドラム部材に巻き取ることにより巻取り不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】部品実装機の概略構成図である。
図2】テープフィーダの概略構成図である。
図3】実装機用制御装置とフィーダ用制御装置との電気的な接続関係を示すブロック図である。
図4】カバーテープ巻取機構の概略構成図である。
図5】回収ドラムの断面図である。
図6】ドラム本体に巻き取られたカバーテープの断面図である。
図7】クランパを含む延長テープの概略構成図である。
図8】第2ブロックの断面図である。
図9】延長テープにカバーテープを接合する様子を示す説明図である。
図10】延長テープにカバーテープを接合する様子を示す説明図である。
図11】テープリールと回収ドラムとの配置を示す説明図である。
図12】テープリールの巻回半径と回収ドラムの巻回半径との和と、カバーテープの回収量との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、部品実装機の概略構成図である。図2は、テープフィーダの概略構成図である。図3は、実装機用制御装置とフィーダ用制御装置との電気的な接続関係を示すブロック図である。図4は、カバーテープ巻取機構の概略構成図である。図5は、回収ドラムの断面図である。図6は、ドラム本体に巻き取られたカバーテープの断面図である。図7は、クランパを含む延長テープの概略構成図である。図8は、第2ブロックの断面図である。なお、図1中、左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
【0012】
部品実装機10は、図1に示すように、実装機用制御装置11(図3参照)と基板搬送装置12とヘッド13とヘッド移動装置14とを含む実装機本体と、当該実装機本体に対して着脱可能なテープフィーダ20と、を備える。基板搬送装置12は、ベルトコンベアにより基板Sを搬送する。ヘッド13は、上下方向(Z軸方向)に昇降可能な吸着ノズルを備え、吸着ノズルに部品を吸着させて基板搬送装置12により搬送された基板Sに実装する。ヘッド移動装置14は、ヘッド13を水平方向(XY軸方向)に移動させる。また、実装機本体には、この他に、パーツカメラ15とマークカメラ16も備える。パーツカメラ15は、吸着ずれを検知するために吸着ノズルに吸着された部品を下方から撮像する。マークカメラ16は、ヘッド13やヘッド移動装置14に設置され、搬送された基板Sの位置を検知するために基板Sに付された基準マークを上方から撮像する。実装機用制御装置11は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成される。実装機用制御装置11は、基板搬送装置12やヘッド13、ヘッド移動装置14などに制御信号を出力し、パーツカメラ15やマークカメラ16からの撮像信号を入力する。
【0013】
テープフィーダ20は、図2に示すように、実装機本体の前側に設けられたフィーダ台(図示せず)に着脱可能に保持される。テープフィーダ20は、フィーダ用制御装置21(図3参照)と、コネクタ22と、テープリール30と、テープ送り機構40と、カバーテープ巻取機構50と、を備える。これらは、矩形状のフィーダケース20aに収容されている。
【0014】
フィーダ用制御装置21は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成される。図3に示すように、フィーダ用制御装置21は、テープ送り機構40(後述する駆動モータ42)やカバーテープ巻取機構50(後述する駆動モータ52)に駆動信号を出力する。また、フィーダ用制御装置21は、後述する張力検知センサ55からの検知信号を入力する。フィーダ用制御装置21は、コネクタ22を介してテープフィーダ20の装着先の部品実装機10の実装機用制御装置11と通信可能となっている。
【0015】
テープリール30は、キャリアテープ35の表面にカバーテープ36が貼着された部品供給テープ34が巻回される巻芯31と、巻芯31の両側に設けられた一対のリールフランジ32と、を有するキャリアテープ35には、その長手方向に所定間隔をおいて並ぶように複数のキャビティが形成されている。各キャビティには、部品が収容されている。これらの部品は、キャリアテープ35に貼着されたカバーテープ36によって保護されている。
【0016】
テープ送り機構40は、テープリール30からキャリアテープ35(部品供給テープ34)を引き出して部品供給位置へ送り出す。このテープ送り機構40は、キャリアテープ35に等間隔で形成されたスプロケット孔と係合する係合爪が外周に設けられたスプロケット41と、スプロケット41を回転駆動する駆動モータ42(例えばステッピングモータ)と、を有する。テープフィーダ20は、駆動モータ42によりスプロケット41を所定回転量ずつ駆動して、スプロケット41に係合されたキャリアテープ35を所定量ずつ送り出すことで、キャリアテープ35に収容された部品を順次、部品供給位置へと供給する。キャリアテープ35に収容された部品は、部品供給位置の手前でカバーテープ36が剥離されることで部品供給位置にて露出した状態となり、吸着ノズルにより吸着される。キャリアテープ35に貼着されたカバーテープ36は、部品供給位置の手前でキャリアテープ35の送り方向とは逆方向に折り返され、カバーテープ巻取機構50によって当該逆方向に送られることによりキャリアテープ35から剥離される。
【0017】
カバーテープ巻取機構50は、図4に示すように、一対の巻取ギヤ51a,51bと、駆動モータ52(例えば、ステッピングモータ)と、複数の第1伝達ギヤ53a~53cと、複数の第2伝達ギヤ54a~54dと、回収ドラム60と、を備える。
【0018】
一対の巻取ギヤ51a,51bは、互いに噛合しており、フィーダケース20a内においてキャリアテープ35の送り方向(図2中、右方向)における端部とは反対側に設置されている。一対の巻取ギヤ51a,51bのうち一方の巻取ギヤ51aは、駆動モータ52からのトルクが伝達されて回転する駆動ギヤである。他方の巻取ギヤ51bは、一方の巻取ギヤ51aの回転に伴って逆方向に回転させられる従動ギヤである。一対の巻取ギヤ51a,51bは、カバーテープ36を挟み込んだ状態で駆動モータ52からのトルクにより互いに逆方向に回転させられる。これにより、キャリアテープ35の送り方向とは逆方向に折り返されたカバーテープ36は、当該逆方向に送られてキャリアテープ35から剥離される。一対の巻取ギヤ51a,51bのカバーテープ36の送り方向における上流側には、カバーテープ36に所定張力を超える張力が作用したときにオン信号を出力する張力検知センサ55が設置されている。
【0019】
回収ドラム60は、図2に示すように、一対の巻取ギヤ51a,51bの下方において、リールフランジ32の外縁部に近接して設置されている。回収ドラム60は、図5に示すように、ドラム本体61と、ドラム本体61の回転軸をなすドラムシャフト62と、トルクリミッタ63(例えば、バネ式トルクリミッタ)と、を有する。ドラムシャフト62には、ドラムギヤ62aが取り付けられ、駆動モータ52からのトルクが伝達されるようになっている。ドラム本体61は、カバーテープ36が巻回される巻芯61aと、巻芯61aの両側に設けられた一対のドラムフランジ61b(小径フランジ)と、を有する。ドラム本体61は、駆動モータ52から伝達されるトルクにより回転させられることで、一対の巻取ギヤ51a,51bにより送られたカバーテープ36を巻芯61aに巻き取って回収する。
【0020】
駆動モータ52の回転軸に取り付けられたモータギヤ52aは、隣り合うギヤ同士が互いに噛合する複数の第1伝達ギヤ53a~53cを介して巻取ギヤ51aと噛合する。さらに、モータギヤ52aは、隣り合うギヤ同士が互いに噛合する複数の第2伝達ギヤ54a~54dを介してドラムギヤ62aと噛合する。これにより、駆動モータ52からのトルクは所定のトルク比で巻取ギヤ51aとドラムギヤ62aとに分配され、一対の巻取ギヤ51a,51bと回収ドラム60(ドラム本体61)とがそれぞれ回転させられる。本実施形態では、第1伝達ギヤ53a~53cおよび第2伝達ギヤ54a~54dは、駆動モータ52から巻取ギヤ51aに分配されるトルクがドラム本体61に分配されるトルクよりも大きく(駆動モータ52からドラム本体61に分配されるトルクが巻取ギヤ51aに分配されるトルクよりも小さく)なるように構成される。すなわち、第1伝達ギヤ53a~53cおよび第2伝達ギヤ54a~54dは、第2伝達ギヤ54a~54dの回転速度比(駆動モータ52側の回転速度に対するドラム本体61側の回転速度の比)が第1伝達ギヤ53a~53cの回転速度比(駆動モータ52側の回転速度に対する巻取ギヤ51a側の回転速度の比)よりも大きくなるように構成される。これにより、カバーテープ巻取機構50は、駆動源を共用しつつ、カバーテープ36をキャリアテープ35から剥離する際には剥離に適した張力をカバーテープ36に付与し、カバーテープ36を巻き取って回収する際には巻き取りに適した張力をカバーテープに付与することができる。
【0021】
トルクリミッタ63は、図5に示すように、ドラム本体61とドラムシャフト62との間に介在するように設置されている。このトルクリミッタ63は、ドラム本体61に規定トルクを超えるトルクが作用したときにスリップするものであり、例えばバネ式のトルクリミッタとして構成される。これにより、ドラム本体61にカバーテープ36を巻き取る際にカバーテープ36に過大な張力が作用しないようにすることができる。ここで、カバーテープ36がキャリアテープ35から剥離された際、カバーテープ36には、接着剤やテープ屑が付着していることがある。接触材やテープ屑が付着したカバーテープ36は、厚みが幅方向において均一でないため、トルクリミッタを備えない回収ドラム60Bにおいては、カバーテープ36が過大な張力でドラム本体61に巻き取られる場合がある。この場合、図6に示すように、カバーテープ36は、その厚みの不均一によって幅方向にズレが生じやすい。そして、ドラム本体61に巻き取られたカバーテープ36に幅方向にズレが生じると、カバーテープ36がフィーダケース20aの内壁等に摺接し、駆動モータ52に過負荷が生じて巻取り不良が発生するおそれがある。本実施形態では、カバーテープ巻取機構50は、駆動モータ52からドラム本体61に分配されるトルクを巻取ギヤ51aに分配されるトルクよりも小さくするのに加えて、ドラム本体61に過大なトルクが作用するとドラム本体61がスリップするよう構成される。これにより、適正な張力でカバーテープ36をドラム本体61に巻き取ることができ、巻取り不良の発生を防止することができる。
【0022】
図7に示すように、ドラム本体61のカバーテープ36が巻回される巻芯61aには、延長テープ65が接続されている。延長テープ65は、リーダ部カバーテープ長がカバーテープ36の剥離位置から回収ドラム60までの距離よりも短い場合に、その不足長を補うためのものである。特に、使いかけのテープリール30の場合は、リーダ部がないため、延長テープ65が必要である。
【0023】
延長テープ65の先端には、カバーテープ36の先端と接合するためのテープ接合用のクランパ70が設けられている。クランパ70は、延長テープ65の先端に固定された第1ブロック71と、第1ブロック71の先端に固定されたループ状(U字状)のワイヤ75と、ワイヤ75の延在方向にスライド可能な第2ブロック72と、を有する。第1ブロック71および第2ブロック72の片面には、一対の巻取ギヤ51a,51bの間を通過可能なように巻取ギヤ51aと噛み合うギヤ歯71a,72aが形成されている。第2ブロック72には、図8に示すように、幅方向に間隔をおいてワイヤ75の2本の直線部分が挿通される挿通孔72b,72cが形成されている。また、第2ブロック72には、挿通孔72b、72cと連通すると共にワイヤ75のループ先端が入り込む凹部72dが形成されている。延長テープ65の先端部とカバーテープ36の先端部との接合は、ワイヤ75のループ内にカバーテープ36の先端を通し(図9参照)、第2ブロック72をループの先端側にスライドさせてループを絞ることにより行なわれる。これにより、図10に示すように、カバーテープ36は、ワイヤ75のループで折り返されてその折り返し部分が第2ブロック72の凹部72d内に入り込むことでクランプされる。なお、第1ブロック71および第2ブロック72には、片面にギヤ歯71a,72aが形成されているため、延長テープ65の表裏を容易に判別することができる。ドラム本体61は、延長テープ65の先端部とカバーテープ36の先端部とが接合された状態で回転させられることで延長テープ65ごとカバーテープ36を巻き取って回収する。
【0024】
ドラム本体61の巻芯61aの両側には小径のドラムフランジ61bが設けられている。延長テープ65は、巻芯61aに巻き取られる際にドラムフランジ61bによってガイドされる。一方、ドラムフランジ61bは小径であるため、カバーテープ36が巻芯61aに巻き取られる際には、カバーテープ36は、ドラムフランジ61bにガイドされない。そして、ドラム本体61はリールフランジ32の外縁部に近接して設置されているため、カバーテープ36は、図5に示すように、一対のリールフランジ32の内部に侵入するように巻き進められる。これにより、テープフィーダ20をより小型化することができる。
【0025】
ここで、回収ドラム60を設置するにあたっては、回収ドラム60をテープリール30に近接させるほど、テープリール30と回収ドラム60との軸間距離L(図10参照)が短くなり、テープフィーダ20を小型化することができる。しかし、軸間距離Lは、テープの干渉を防止するために、テープリール30に残存する部品供給テープ34の巻回半径と回収ドラム60に回収されたカバーテープ36の巻回半径との和である合計半径Rよりも長く設定される必要がある。合計半径Rは、図12に示すように、回収ドラム60によるカバーテープ36の回収量が零のときではなく、所定量α回収が進んだときにピーク値Rpeakに到達する。このため、回収ドラム60は、軸間距離Lがピーク値Rpeakよりも長くなる範囲内でできる限りテープリール30に近接するように設置される。なお、合計半径Rのピーク値Rpeakは、回収ドラム60に回収したカバーテープ36が搭載したテープリール30に残存するテープと干渉することがないように、テープリール30に搭載可能な最長のテープの仕様をもとに算出されるものとすればよい。
【0026】
ここで、本実施形態の主要な要素と請求の範囲の欄に記載した主要な要素との対応関係について説明する。即ち、本実施形態のテープリール30が本開示のリールに相当し、一対の巻取ギヤ51a,51bが一対の回転部材に相当し、ドラム本体61がドラム部材に相当し、トルクリミッタ63がトルクリミッタに相当する。また、リールフランジ32がリールフランジに相当し、ドラムフランジ61bがフランジに相当する。
【0027】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0028】
例えば、上述した実施形態では、一対の巻取ギヤ51a,51bは、歯車により形成されたが、ローラにより形成されてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、ドラム本体61は、巻芯61aの両側に小径のドラムフランジ61bを有するものとしたが、ドラムフランジを有さないものとしてもよい。こうすれば、ドラム本体61をテープリール30により近づけることができ、テープフィーダ20を更に小型化することが可能である。
【0030】
以上説明したように、本開示のテープフィーダは、複数の部品を収容したキャリアテープ上にカバーテープが貼着されてなる部品供給テープをリールから引き出して所定の供給位置へ送り、前記供給位置の手前で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離することで前記キャリアテープ上の部品を露出させるテープフィーダであって、前記カバーテープを挟んで引き込むことにより前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離する一対の回転部材と、前記一対の回転部材により引き込まれたカバーテープを回転しながら巻き取るドラム部材と、前記ドラム部材の回転軸に設けられたトルクリミッタと、を備えることを要旨とする。
【0031】
この本開示のテープフィーダは、カバーテープを挟んで引き込むことによりキャリアテープからカバーテープを剥離する一対の回転部材と、引き込まれたカバーテープを回転しながら巻き取るドラム部材と、を備える。ドラム部材の回転軸には、トルクリミッタが設けられる。トルクリミッタはドラム部材に規定を超えるトルクが生じるとスリップするため、ドラム部材に巻き取られるカバーテープに過大な張力が作用するのを抑制することができる。この結果、適正な張力でカバーテープをドラム部材に巻き取ることができ、巻取り不良の発生を抑制することができる。
【0032】
こうした本開示のテープフィーダにおいて、前記リールは、一対のリールフランジを有し、前記ドラム部材は、フランジを有さない又は最大巻取径よりも小径のフランジを有すると更によい。こうすれば、ドラム部材をリールに近接させることで、テープフィーダを小型化することができる。また、適正な張力でカバーテープをドラム部材に巻き取ることができるため、フランジによるガイドがなくても、幅方向のズレを抑制しながらカバーテープをドラム部材に巻き取ることができる。この場合、前記ドラム部材は、巻き取られた前記カバーテープの一部が前記一対のリールフランジ内に侵入するように該一対のリールフランジの外縁部に近接して配置されていると更によい。こうすれば、テープフィーダを更に小型化することができる。
【0033】
また、本開示のテープフィーダにおいて、前記リールと前記一対の回転部材と前記ドラム部材とを収容するフィーダケースを備えるものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本開示は、テープフィーダや部品実装機の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 部品実装機、11 実装機用制御装置、12 基板搬送装置、13 ヘッド、14 ヘッド移動装置、15 パーツカメラ、16 マークカメラ、20 テープフィーダ、20a フィーダケース、21 フィーダ用制御装置、22 コネクタ、30 テープリール、31 巻芯、32 リールフランジ、34 部品供給テープ、35 キャリアテープ、36 カバーテープ、40 テープ送り機構、41 スプロケット、42 駆動モータ、50 カバーテープ巻取機構、51a,51b 巻取ギヤ、52 駆動モータ、52a モータギヤ、53a~53c 第1伝達ギヤ、54a~54d 第2伝達ギヤ、55 張力検知センサ、60,60B 回収ドラム、61 ドラム本体、61a 巻芯、61b ドラムフランジ、62 ドラムシャフト、62a ドラムギヤ、63 トルクリミッタ、65 延長テープ、70 クランパ、71 第1ブロック、71a ギヤ歯、72 第2ブロック、72a ギヤ歯、72b,72c 挿通孔、72d 凹部、75 ワイヤ、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容したキャリアテープ上にカバーテープが貼着されてなる部品供給テープをリールから引き出して所定の供給位置へ送り、前記供給位置の手前で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離することで前記キャリアテープ上の部品を露出させるテープフィーダであって、
記キャリアテープから剥離された前記カバーテープを回転しながら巻き取るドラム部材を備え
前記リールは、一対のリールフランジを有し、
前記ドラム部材は、フランジを有さない又は最大巻取径よりも小径のフランジを有し、
前記リールの回転軸と前記ドラム部材の回転軸との間の軸間距離が、前記リールに残存する前記部品供給テープの巻回半径と前記ドラム部材に巻き取られた前記カバーテープの巻回半径との和である合計半径のピーク値よりも長くなる範囲内で、前記ドラム部材に巻き取られた前記カバーテープの一部が前記一対のリールフランジ内に浸入するように、前記ドラム部材が、該一対のリールフランジの外縁部に近接して配置される、
テープフィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のテープフィーダであって、
前記カバーテープを挟んで引き込むことにより前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離する一対の回転部材を更に備え、
前記ドラム部材は、前記一対の回転部材により引き込まれた前記カバーテープを巻き取る、
テープフィーダ。