(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083584
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/40 20060101AFI20240614BHJP
B65D 47/10 20060101ALI20240614BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B65D47/40 100
B65D47/10 BRL
B65D47/08 100
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065660
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2020215792の分割
【原出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
(57)【要約】
【課題】 内容液の注出時に、液がキャップ本体の注出側に垂れても、垂れた液を簡単に拭き取ることができるヒンジキャップを提供すること。
【解決手段】 キャップ本体と蓋体とを備えるヒンジキャップであって、キャップ本体は容器の口部を挟んで垂設される内筒および外周壁部と、内筒と外周壁部とに連設される基壁部とを有し、外周壁部は注出側の所定円弧範囲にヒンジ側の上面よりも低い平坦面が形成される段凹部と、ヒンジ側の外周方向に沿って段凹部以外の円弧範囲に立設される背面外壁部と、背面外壁部と基壁部との間に形成され、底面が段凹部の平坦面と連続するスリット溝とを有し、段凹部は、外周壁部上面から下方に向けて切り欠き、平坦面を形成しない切り欠き凹部を有し、蓋体は頂壁と、頂壁の周縁から垂設される側周壁と、側周壁の注出側から垂設され、段凹部を覆う被覆壁とを有することを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して取り付けられる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、容器の口部を挟んで垂設される内筒および外周壁部と、内筒と外周壁部とに連設される基壁部とを有し、
外周壁部は、注出側の所定円弧範囲にヒンジ側の上面よりも低い平坦面が形成される段凹部と、ヒンジ側の外周方向に沿って段凹部以外の円弧範囲に立設される背面外壁部と、背面外壁部と基壁部との間に形成され、底面が段凹部の平坦面と連続するスリット溝とを有し、
段凹部は、外周壁部上面から下方に向けて切り欠き、平坦面を形成しない切り欠き凹部を有し、
蓋体は、頂壁と、頂壁の周縁から垂設される側周壁と、側周壁の注出側から垂設され、段凹部を覆う被覆壁とを有することを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
スリット溝は、背面外壁部上面からの深さがヒンジ側から注出側に向けて順次浅くなることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
スリット溝は、背面外壁部上面からの深さが一定であることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
外周壁部は、ヒンジの近傍からスリット溝の底面に向けて縦方向に形成された縦方向引き裂きラインと、縦方向引き裂きラインからスリット溝の底面に沿って形成された周方向引き裂きラインとからなる分別機構を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着されるヒンジキャップに関し、特に、注出側に垂れた液を簡単に拭き取ることができるヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、廃棄時に、開蓋した上蓋を引き上げることにより、容器からキャップ本体を分離する分別機構を備えるヒンジキャップが知られている。
この種のヒンジキャップでは、容器の口部に嵌合する筒部を破断するための種々の構造が提案されているが、容器口部に嵌合保持するための強度やシール性との兼ね合いから、当該筒部を破断する際にかなりの力を必要とした。
【0003】
このため、キャップ本体には、容器の口部との嵌合部をはさんで垂設された外筒および内筒と、外筒と内筒とに連設するとともに上蓋との係合部を上部に有する係合リングとを備える嵌合筒部を設け、ヒンジに連設する外筒には、ヒンジの近傍に縦方向に切り込み部が設けられた縦方向引き裂きラインが設けられ、外筒と係合リングの間には、縦方向引き裂きラインから所定円周角の円弧範囲にわたって上方に開口を有するスリット溝が設けられており、スリット溝の底面には、外筒と係合リングを連結する薄肉の連結部からなる周方向引き裂きラインが、縦方向引き裂きラインに接続して設けられているヒンジキャップが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のヒンジキャップでは、キャップ本体の注出筒からの注出時に、内容液が垂れてキャップ本体の嵌合筒部上面に形成されたスリット溝内に溜まり、簡単に拭き取ることができず、衛生上好ましくないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、内容液の注出時に、液がキャップ本体の注出側に垂れても、垂れた液を簡単に拭き取ることができるヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して取り付けられる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、キャップ本体は、容器の口部を挟んで垂設される内筒および外周壁部と、内筒と外周壁部とに連設される基壁部とを有し、外周壁部は、注出側の所定円弧範囲にヒンジ側の上面よりも低い平坦面が形成される段凹部と、ヒンジ側の外周方向に沿って段凹部以外の円弧範囲に立設される背面外壁部と、背面外壁部と基壁部との間に形成され、底面が段凹部の平坦面と連続するスリット溝とを有し、段凹部は、外周壁部上面から下方に向けて切り欠き、平坦面を形成しない切り欠き凹部を有し、蓋体は、頂壁と、頂壁の周縁から垂設される側周壁と、側周壁の注出側から垂設され、段凹部を覆う被覆壁とを有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ヒンジキャップの実施形態として、スリット溝は、背面外壁部上面からの深さがヒンジ側から注出側に向けて順次浅くなることを特徴とする構成を採用し、また、スリット溝は、背面外壁部上面からの深さが一定であることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
さらに、ヒンジキャップの具体的実施形態として、外周壁部は、ヒンジの近傍からスリット溝の底面に向けて縦方向に形成された縦方向引き裂きラインと、縦方向引き裂きラインからスリット溝の底面に沿って形成された周方向引き裂きラインとからなる分別機構を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、内容液の注出時に、液がキャップ本体の注出側に垂れても、注出側に溜まることがないので、垂れた液を簡単に拭き取ることができる。
【0011】
また、本発明のヒンジキャップは、スリット溝が、背面外壁部上面からの深さがヒンジ側から注出側に向けて順次浅くなるようにしたので、容器から分別する際に、外周壁部を引っ張る力が上向きとなって力が掛かり易くなり、外周壁部を蓋係合部から容易に切り離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施例であるヒンジキャップを装着した容器の閉蓋状態を示す側面断面図である。
【
図2】本発明の第1実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図であり、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図3】本発明の第1実施例の
図2(a)で示す要部の拡大図であり、(a)はO-X1線(ヒンジの中央から0°地点)、(b)はO-X2線(ヒンジの中央から45°地点)(c)はO-X3線(ヒンジの中央から60°地点)(d)はO-X4線(ヒンジの中央から90°地点)の側面断面図である。
【
図4】本発明の第1実施例であるヒンジキャップを装着した容器からヒンジキャップを分別する途中過程を示す上面図である。
【
図5】本発明の第2実施例であるヒンジキャップを装着した容器の閉蓋状態を示す側面断面図である。
【
図6】本発明の第2実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図であり、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図7】本発明の第3実施例であるヒンジキャップを装着した容器の閉蓋状態を示す側面断面図である。
【
図8】本発明の第3実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図であり、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図9】本発明の第4実施例であるヒンジキャップを装着した容器の閉蓋状態を示す側面断面図である。
【
図10】本発明の第4実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図であり、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明のヒンジキャップについて、実施例を示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1でみて、左方向を「注出側」とし、右方向を「背面側」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。
【実施例0014】
図1において、Aは容器、Bは容器Aに装着されるキャップ本体、Dはキャップ本体BにヒンジCを介して開閉可能に取り付けられる蓋体である。
容器Aは、上部に口部1を有し、口部1の外周面上部には、嵌合突条2が設けられ、嵌合突条2の外周上部は傾斜面2aとなっている。
【0015】
キャップ本体Bは、
図1および
図2に示すように、容器Aの口部1に嵌着される装着部3と、装着部3の内縁から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する上壁4と、上壁4を貫通する注出口4aと、注出口4aから僅かに拡径した径で上壁4の上面に立設される注出筒5とを備えている。
注出筒5は、内容液を注ぎ易くするために、本実施例では、注出側は、背面側(ヒンジC側)よりも高く形成され、リップ部5aは、ラッパ状に広がっている。
【0016】
装着部3は、蓋体Dと係合する環状の蓋係合部6と、蓋係合部6の内周側から垂設される内筒7と、蓋係合部6の外周側から垂設される外周壁部8とから構成されており、外周壁部8には、背面側上端にヒンジCが連設され、内周下部に容器Aの口部1の嵌合突条2と係合する係合突部9が設けられている。
なお、本実施例では、装着部3は、容器Aの口部1を挟んで垂設される内筒7および外周壁部8と、内筒7と外周壁部8とに連設される蓋係合部6とから構成されているが、内筒7と外周壁部8とを連設するのは、蓋係合部6に限らず、リング状の基壁部であればよく、この場合には、蓋係合部6は、上壁4の周縁部に設ければよい。
【0017】
蓋係合部6は、背面側の中央から左右に所定の範囲で上壁4上面と面一の高さに切り込まれた切り欠き部10を残して円弧状に蓋係合突部11が立設され、切り欠き部10内には、蓋係合突部11の両端部から等間隔の隙間を開けて複数配設される背面側突部12が突設されている。
蓋係合突部11の外周には係止突条13が設けられている。
【0018】
外周壁部8の上部には、注出側に、ほぼ180°の円弧範囲で円弧状に上から距離αの深さで外周から凹設された段凹部15が設けられ、残りの背面側は、上面8aが上壁4上面および切り欠き部10底面と面一の高さとなり、外周上端にヒンジCが連設される。
段凹部15は、上面8aから距離α下がった平坦面15aと、平坦面15aの内周縁から内側上方に傾斜する傾斜面15bと、平坦面15aの端部の両側から上面8aのそれぞれの両側に向って傾斜する傾斜側面15cとが形成されている。
【0019】
図2(a)に示すように、外周壁部8のヒンジCの左近傍には、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部16が下端部に薄肉底壁を残して上面8aから切り込まれている。
外周壁部8内周の係合突部9の外周切り込み部16に対応する位置には、図示しないが内周切り込み部が縦方向に刻設され、該部分の外周壁部8は内外から切り込まれ、薄肉となる縦方向引き裂きラインを構成する縦弱化部17が形成される。
【0020】
外周壁部8の背面側の外周切り込み部16よりヒンジC側では、
図2に示すように、端面16aの内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として円周方向に延びて上面8a右端側の段凹部15の傾斜側面15cまでと、さらに、段凹部15の先の傾斜側面15cから外周切り込み部16の近傍まで、スリット溝18が上面8aから凹設され、また、外周壁部8の外周切り込み部16のヒンジCと反対側の上面8aは、外周壁部8上部と蓋係合部6下部とが一体に連結した肉厚部19となっている。
【0021】
図3(a)に示すように、スリット溝18の底面20は、端面16a側からヒンジC(背面側)の中央部(
図2のO-X1線)までが底面20aとして、上面8aから距離βと一番深く凹設され、
図3(b)に示すように、ヒンジCの中央部から右側に向かって45°付近(
図2のO-X2線)が底面20bとなり、さらに、
図3(c)に示すように、ヒンジCの中央部から右側に向かって60°付近(
図2のO-X3線)が底面20cとなり、上面8aからの高さが距離βから徐々に浅くなるように形成され、最後は、
図3(d)に示すように、ヒンジCの中央部から右側に向かって90°付近(
図2のO-X4線)の段凹部15の傾斜側面15cを切り欠いて距離αの平坦面15a端部まで連なるよう形成されており、底面20の内周側は、
図2および
図3に示すように、端面16a側からヒンジCの中央部までの外周壁部8と蓋係合部6の下方の壁部分を連結する薄肉の下横弱化部21となり、ヒンジCの中央部から90°付近まで、上方に傾斜する底面20の内周縁から内側上方に向かって傾斜する円弧状の連結部22が設けられている。
また、外周壁部8の背面側のスリット溝18より外側部は、スリット溝18の底面20から上面8aまで立設する背面外壁部23となり、背面外壁部23の外周上端の所定の位置にヒンジCが連設される。
【0022】
外周壁部8の内周上部には、左側から背面側中央まで、
図2および
図3(a)に示すように、下横弱化部21より上部から内側上方に傾斜して、容器Aに装着時に嵌合突条2の傾斜面2aに当接する当接面部24が形成され、背面側中央から右側に、
図2(a)、
図3(b)および
図3(c)に示すように、傾斜する底面20の高さから上に、外側の連結部22の外側面と平行に内側上方に傾斜するとともに容器Aに装着時に嵌合突条2の傾斜面2aから離れるように形成される平行面25が設けられ、平行面25と連結部22外面との間は薄肉となって傾斜連結弱化部26が形成され、注出側には、段凹部15の範囲で
図1、
図2および
図3(d)に示すように、蓋係合部6の下面外周縁に下から上向き凹部27が凹設され、上向き凹部27と段凹部15の傾斜側面15cとの間は薄肉となって上横弱化部28が形成される。
また、下横弱化部21、傾斜連結弱化部26および上横弱化部28は、順に連続するように形成され、周方向引き裂きラインを構成している。
【0023】
蓋体Dは、
図1および
図2に示すように、キャップ本体Bの外周壁部8の外周上端に、ヒンジCを介して回動自在に取着されており、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設される側周壁31と、頂壁30の裏面から垂設され、注出筒5を密封する密封筒32とが設けられている。
頂壁30には、密封筒32の外周側に変形可能な薄肉部33が周設されている。
【0024】
側周壁31の下端部内周には、蓋係合部6の蓋係合突部11と係合して閉蓋状態を維持する係合凹部35が周設されている。
係合凹部35は、内向き面に、蓋係合突部11の係止突条13と係合する係止部36が設けられ、下向き面35aは、蓋係合突部11の上面および背面側突部12の上面と当接するようになっている。
また、側周壁31の係合凹部35より内側に、注出側中央部付近を除いて、閉蓋時に蓋係合突部11の内周上部と当接して側周壁31が外側に広がらないようにする係止凸片37が複数配設されている。
【0025】
側周壁31の外周には、注出側の下部に、周方向に円弧状の摘み部38が形成され、背面側の下端部にヒンジCが連設されている。
側周壁31下面の注出側外周縁には、閉蓋時にキャップ本体Bの外周壁部8の段凹部15を覆うように、段凹部15の平坦面15aに、下端が近接あるいは当接するように形成された円弧状の被覆壁39が垂設されている。
【0026】
密封筒32は、閉蓋時に注出筒5の内周面に挿入されて密封状態とする通常のシール部aが形成されるとともに、密封筒32の下部外周側が縮径された下部シール筒32aが設けられ、下部シール筒32aは、閉蓋時において、上壁4の注出口4aの内周面に近接あるいは当接するように形成されており、下部シール筒32aと注出口4aの内周面とで、シール部aの下にもう一つの仮シール部bが形成される。
【0027】
シール部aと仮シール部bとの二段のシールでヒンジキャップが密封されるので、衝撃により、片方のシール部が外れる場合にも、他方のシール部によりシールされ、内容液が漏れることがない。
また、シール部aと仮シール部bとの間に空間cが設けられ、容器Aの落下等による衝撃を受けて、仮シール部bに少量の内容液が侵入したときの空間cに内容液をとどめることができる。
【0028】
本実施例のヒンジキャップに、使用前の不正開封を防止するために、図示していないが、キャップ本体Bと蓋体Dとの間にシュリンクラベルや封緘部材等が設けられていてもよい。
【0029】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、最初に、
図2に示す状態で一体成形され、蓋体DをヒンジCを介して回動し、キャップ本体Bに被せ、
図1に示すように、閉蓋する。
【0030】
その際、蓋体Dの密封筒32の下部外周面が、キャップ本体Bの注出筒5の下部内周面に密着してシール部aとなる。
また、蓋体Dの側周壁31の係合凹部35とキャップ本体Bの蓋係合部6の蓋係合突部11が係合し、閉蓋が維持される。
【0031】
本実施例のヒンジキャップは、閉蓋して密封した後、密封したシールのリーク検査を行った際、キャップ本体Bの注出口4aに向けて下方からエアーを流し、キャップ本体Bの注出筒5と蓋体Dの密封筒32とのシールに不良があった場合、注出筒5より外方に漏れたエアーが、蓋体Dの係合凹部35の下向き面35aと当接するキャップ本体Bの蓋係合部6の背面側突部12を除いた切り欠き部10の間からエアーが流れ、係合凹部35の内向き面と背面側突部12の外側面との間から外にエアーが出て判るので、シール不良を判定し易くなっている。
【0032】
次に、
図1に示すように、閉蓋したヒンジキャップは、内容液が充填された容器Aの口部1に打栓して装着される。
打栓工程は、装着部3の内筒7と外周壁部8との間に形成された環状溝に容器Aの口部1を当てがい、蓋体Dの上から押圧力が加えられ、外周壁部8の係合突部9が口部1の嵌合突条2を乗り越えて嵌合し、容器Aの口部1が内筒7の外周と外周壁部8の内周、および蓋係合部6とによって挟持されることで装着される。
【0033】
本実施例のヒンジキャップは、内容液が高温充填された容器Aに打栓された場合、容器A内の圧力が上昇するが、頂壁30には密封筒32の外側に変形可能な薄肉部33が形成されているので、頂壁30は、薄肉部33の内周側のみが上昇して圧力を注出筒5より外側に逃がすので、蓋体Dの側周壁31の係合凹部35とキャップ本体Bの蓋係合部6との係合に支障がなく、閉蓋が維持されるので、内容液が高温だったときの内圧上昇により蓋体Dが開蓋してしまうことを防止できる。
また、閉蓋した状態で、倒立落下した際に、蓋体Dの頂壁30に衝撃力が加えられた場合でも、蓋体Dが受ける衝撃を薄肉部33が吸収し、密封筒32を注出筒5に対して押し込んだり、引き離したりしないので、密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5との密着に影響を及ぼさず、密封筒32と注出筒5との密着が外れたり、密封筒32と注出筒5が互いに傷付け合ったりすることを防止できる。
【0034】
容器A内の内容液を使用する際には、蓋体Dの摘み部38に手指を掛けて持ち上げると、蓋体Dの密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5とのシールが外れるとともに蓋体Dの側周壁31とキャップ本体Bの蓋係合部6との係合が外され、蓋体Dが開蓋され、容器Aを注出側に傾けると、容器A内の内容液をキャップ本体Bの注出口4aを通じて注出筒5から注出することができる。
【0035】
本実施例のヒンジキャップは、蓋体Dの側周壁31下面の注出側外周縁に被覆壁39が設けられているので、閉蓋中にキャップ本体Bの外周壁部8の段凹部15を隠し、また、開蓋の際には摘み部38の下に掛けた手指がぶつかり、蓋体Dの内方に接触することを防止しているので、キャップ内が清潔に保たれる。
【0036】
蓋体Dをキャップ本体Bに再び閉蓋することで、蓋体Dの密封筒32は、外周がキャップ本体Bの注出筒5の内周に密着してシールが形成され、容器A内を密封することができ、ヒンジキャップは、繰り返し蓋体Dを開閉して使用することができる。
【0037】
本実施例のヒンジキャップは、キャップ本体Bの外周壁部8の注出側に平坦面15aおよび傾斜面15bを形成した段凹部15を設けているので、内容液の使用中に容器Aを傾けた方向の注出筒5のリップ部5aから液が下の段凹部15に垂れても、傾斜面15bの傾斜により平坦面15aに流れ、また、平坦面15aが凹凸のない平面であるためティッシュ等で簡単に汚れを拭き取ることができる。
【0038】
次に、容器A内の内容液を全部使用した後、ヒンジキャップを分別廃棄する態様について説明する。
その際には、ヒンジキャップを開蓋し、蓋体Dを指で把持して外方に引っ張ると、ヒンジCを介して外周壁部8のヒンジCとの連設部となる背面外壁部23が引っ張られ、連なる外周壁部8の背面側を引っ張り、変形させていく。
外周壁部8の背面側の引っ張りにより、外周切り込み部16で形成される縦弱化部17が破断されていく。
さらに蓋体Dを引っ張ると、縦弱化部17に連設する端面16a側から下横弱化部21が周方向に切断されていき、次いで連続する傾斜連結弱化部26が破断し始める。
下横弱化部21が切断され、傾斜連結弱化部26の破断が進行すると、
図4に示すように、蓋体Dおよびそれに連なるキャップ本体Bの下横弱化部21および傾斜連結弱化部26で区画され、破断された外周壁部8の下側がキャップ本体Bから離されていく。
【0039】
次に、傾斜連結弱化部26が完全に破断すると、連続する上横弱化部28が右側端より破断されていき、最後は、段凹部15を通過して、肉厚部19で止められる。
さらに、破断された外周壁部8を引っ張ると、連結している外周壁部8の肉厚部19が外側に引っ張られ、キャップ本体Bの外周壁部8の係合突部9と容器Aの口部1の嵌合突条2との嵌合が外され、そのまま上方に上げると、肉厚部19で連設されている外周壁部8の上側およびその内方が持ち上げられキャップ本体Bが容器Aの口部1から外されるので、ヒンジキャップと容器Aとを分別廃棄することができる。
【0040】
本実施例のヒンジキャップは、傾斜連結弱化部26を切断する際に、底面20の傾斜に合わせて下から上の傾斜がついているので、外周壁部8の下部を引っ張る力が上向きとなって力が掛かり易く、また、傾斜連結弱化部26を形成する内周の平行面25が容器Aの嵌合突条2の傾斜面2aより離れていくので、切断する抵抗が少なくなり、破断し易くなっている。
また、注出側の上横弱化部28を切断する際に、該部分の内周面の上向き凹部27が容器Aの嵌合突条2の傾斜面2aより完全に離れるので、さらに、切断する抵抗が少なくなり、破断し易くなっている。
装着部45は、蓋体Daと係合する環状の蓋係合部6と、蓋係合部6の内周側から垂設される内筒7と、蓋係合部6の外周に内周上部が連設される外周壁部46とから構成されており、外周壁部46には、背面側上端にヒンジCが連設され、内周下部に容器Aの口部1の嵌合突条2と係合する係合突部9が設けられている。
外周壁部46には、上面46aが上壁4上面および切り欠き部10底面と面一の高さに形成され、注出側に中央から左右に向かいそれぞれ45°の円弧範囲で円弧状に上から背面側のスリット溝51の距離βより深い距離γで凹設される切り欠き凹部50が第1実施例の段凹部15の代わりに設けられている。
切り欠き凹部50は、上から下に延びる外周面50aと、外周面50aの下端から外周壁部46の外周に向かって緩く湾曲する湾曲面50bと、外周面50aおよび湾曲面50bの両側から外周壁部46の外周側面に向かって延びる側面50cとから形成されている。
なお、切り欠き凹部50は、傾斜面とすることも可能であり、湾曲面と傾斜面を組み合わせてもよい。
外周壁部46のヒンジCの左近傍には、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部16が下端部に薄肉底壁を残して上面46aから切り込まれ、外周壁部46内周の係合突部9の外周切り込み部16に対応する位置には、薄肉となる縦弱化部17が形成される。
外周壁部46の背面側の外周切り込み部16よりヒンジC側では、端面16aの内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として円周方向に延びて切り欠き凹部50の右側の側面50cまでと、さらに、切り欠き凹部50の左側の側面50cから外周切り込み部16の近傍まで、スリット溝51が上面46aから距離βで凹設され、また、外周壁部46の外周切り込み部16のヒンジCと反対側の上面46aは、外周壁部46上部と蓋係合部6下部とが一体に連結した肉厚部19となっている。
外周壁部46のスリット溝51の底面52の内側上部には、薄肉の横弱化部53が形成され、また、外周壁部46の背面側のスリット溝51より外側部は、底面52より上面46aまで上方に立設する背面外壁部54となり、背面外壁部54の外周上端の所定の位置にヒンジCが連設される。
外周壁部46の内周上部は、横弱化部53の高さより上部から内側上方に傾斜して、容器Aに装着時に嵌合突条2の傾斜面2aに当接する当接面部55が形成されている。
蓋体Daは、キャップ本体Baの外周壁部46の外周上端に、ヒンジCを介して回動自在に取着されており、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設される側周壁31と、頂壁30の裏面に垂設されて注出筒5を密封する密封筒32とが設けられている。
側周壁31の下面の注出側外周縁には、閉蓋時にキャップ本体Baの外周壁部46の切り欠き凹部50の少なくとも外周面50aを内面が覆うように切り欠き凹部50に係合する円弧状の被覆壁60が垂設されている。
本実施例のヒンジキャップは、キャップ本体Baの外周壁部46の注出側に緩く湾曲する湾曲面50bを形成した切り欠き凹部50を設けているので、内容液の使用中に容器Aを傾けた方向の注出筒5のリップ部5aから液が下の切り欠き凹部50に垂れても、湾曲面50bの傾斜により下に流れ落ち、また、湾曲面50bが凹凸のない緩い湾曲面であるためティッシュ等で簡単に汚れを拭き取ることができる。