(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083605
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B41J2/01 301
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066918
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2020162964の分割
【原出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】下村 正樹
(57)【要約】
【課題】印刷装置の手前にメンテナンス部を引き出すためのスペースを確保しなければならず、キャップユニットの交換作業が行い難くなる虞がある。
【解決手段】プリンター1は、ラインヘッド40と、カバー部84と、排出トレイ21とを備える。ラインヘッド40は、傾斜する吐出面42からインクKを吐出することで媒体Mに記録する。カバー部84は、ラインヘッド40と対向する対向位置と、対向位置より下方に位置する非対向位置との間で移動可能に設けられ、対向位置においてラインヘッド40をメンテナンスする。排出トレイ21は、装置本体2に対しカバー部84の上方で着脱可能に設けられ、装置本体2への装着状態において媒体Mが載置される。プリンター1では、排出トレイ21が装置本体2から離脱された状態で、カバー部84が上方に取り出し可能となる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向と交差する交差方向に沿って傾斜する吐出面から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、
前記記録部と対向する対向位置と、前記吐出面から退避する位置であって前記対向位置より下方に位置する非対向位置との間で移動可能に設けられ、前記対向位置において前記記録部をメンテナンスするメンテナンス部と、
前記記録部及び前記メンテナンス部を備える装置本体に対し前記メンテナンス部の上方で着脱可能に設けられ、前記装置本体への装着状態において、排出される前記媒体が載置される載置部と、を備え、
前記載置部が前記装置本体から離脱された状態で、前記メンテナンス部が上方に取り出し可能となる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記メンテナンス部を第1メンテナンス部として、前記記録部をメンテナンスする第2メンテナンス部と、
前記第2メンテナンス部を前記記録部が移動される第1方向及び前記第1メンテナンス部が移動される第2方向の両方と交差する第3方向に案内する第1ガイド及び第2ガイドと、を更に備え、
前記第2ガイドは、前記第1ガイドより上方に位置し、
前記第1メンテナンス部は、前記記録部と前記第2ガイドとの間から上方に取り出し可能となる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記第1メンテナンス部は、前記対向位置に配置された状態で、前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間に位置する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の印刷装置において、
前記第2ガイドから前記吐出面の中央位置までの長さは、前記第1ガイドから前記中央位置までの長さより長い、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記第2メンテナンス部を前記第3方向に駆動する駆動部が設けられ、
前記第2メンテナンス部は、前記第1ガイドに案内される被ガイド部を有し、
前記被ガイド部は、前記駆動部から駆動力を受ける、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記記録部から前記第2ガイドまでの最短距離に相当する長さは、前記第1方向における前記メンテナンス部の幅に相当する長さより長い、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記記録部は、前記媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置から離れた退避位置とに移動可能に設けられ、
前記メンテナンス部の移動経路は、前記記録部の移動経路の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記載置部が前記装置本体から離脱された状態で、前記メンテナンス部は、前記載置部が前記装置本体から離脱されることで開放される空間から、上方に取出し可能となる、
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のインクジェット記録装置は、記録ヘッド部と、記録ヘッド部に当接可能なキャップを有するキャップユニットと、キャップユニットを移動させるキャップ移動機構とを備える。キャップユニットは、装置手前方向に移動され、着脱可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のインクジェット記録装置では、インクジェット記録装置の手前にキャップユニットを引き出すためのスペースを確保しなければならず、インクジェット記録装置の設置スペースに余裕が無い場合、キャップユニットの交換作業が行い難くなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る印刷装置は、鉛直方向と交差する交差方向に沿って傾斜する吐出面から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、前記記録部と対向する対向位置と、前記吐出面から退避する位置であって前記対向位置より下方に位置する非対向位置との間で移動可能に設けられ、前記対向位置において前記記録部をメンテナンスするメンテナンス部と、前記記録部及び前記メンテナンス部を備える装置本体に対し前記メンテナンス部の上方で着脱可能に設けられ、前記装置本体への装着状態において、排出される前記媒体が載置される載置部と、を備え、前記載置部が前記装置本体から離脱された状態で、前記メンテナンス部が上方に取り出し可能となることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るプリンターの媒体の搬送経路を示す図。
【
図2】実施形態に係るプリンターのラインヘッドの周辺の構造を示す斜視図。
【
図3】実施形態に係るプリンターのラインヘッドの斜視図。
【
図4】実施形態に係るプリンターの一方のサイドフレームを示す斜視図。
【
図5】実施形態に係るプリンターのラインヘッドが記録位置にある場合の各部の配置を示す概略図。
【
図6】実施形態に係るプリンターのラインヘッドが第1メンテナンス位置にある場合の各部の配置を示す概略図。
【
図7】実施形態に係るプリンターのワイパーユニットの斜視図。
【
図8】実施形態に係るプリンターの駆動ユニットを示す斜視図。
【
図9】実施形態に係るプリンターのラインヘッドが第2メンテナンス位置にある場合の各部の配置を示す概略図。
【
図10】実施形態に係るプリンターのラインヘッド、キャップユニット及びワイパーユニットの移動方向を示す概略図。
【
図11】実施形態に係るプリンターの取出部を通ってカバー部が取り出される状態を示す概略図。
【
図12】実施形態に係るプリンターにおいて各部の長さを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る印刷装置は、鉛直方向と交差する交差方向に沿って傾斜する吐出面から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、前記記録部と対向する対向位置と、前記吐出面から退避する位置であって前記対向位置より下方に位置する非対向位置との間で移動可能に設けられ、前記対向位置において前記記録部をメンテナンスするメンテナンス部と、前記記録部及び前記メンテナンス部を備える装置本体に対し前記メンテナンス部の上方で着脱可能に設けられ、前記装置本体への装着状態において、排出される前記媒体が載置される載置部と、を備え、前記載置部が前記装置本体から離脱された状態で、前記メンテナンス部が上方に取り出し可能となることを特徴とする。
本態様によれば、前記印刷装置において、前記載置部の上方には、前記記録部によって記録された前記媒体が排出される空間が存在する。そして、前記載置部が前記装置本体から離脱されることで、前記空間から見て、前記対向位置にある前記メンテナンス部が露呈される。このように、前記印刷装置の周辺部に作業空間を確保しなくても、前記印刷装置の前記載置部の上方の空間を利用して前記メンテナンス部を取り出せるので、前記メンテナンス部の交換作業を行い易くすることができる。
【0008】
第2の態様に係る印刷装置は、第1の態様において、前記メンテナンス部を第1メンテナンス部として、前記記録部をメンテナンスする第2メンテナンス部と、前記第2メンテナンス部を前記記録部が移動される第1方向及び前記第1メンテナンス部が移動される第2方向の両方と交差する第3方向に案内する第1ガイド及び第2ガイドと、を更に備え、前記第2ガイドは、前記第1ガイドより上方に位置し、前記第1メンテナンス部は、前記記録部と前記第2ガイドとの間から上方に取り出し可能となることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1メンテナンス部とは異なる前記第2メンテナンス部を備える構成であっても、前記記録部と前記第2ガイドとの間の空間を通して前記第1メンテナンス部を取り出すことができる。
【0009】
第3の態様に係る印刷装置は、第2の態様において、前記第1メンテナンス部は、前記対向位置に配置された状態で、前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記第1メンテナンス部が、前記対向位置に配置された状態で前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間に位置するので、前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間から前記第1メンテナンス部を取り出すことができる。そのため、前記第1メンテナンス部を前記対向位置とは異なる位置に移動させてから前記第1メンテナンス部を取り出す構成に比べて、前記第1メンテナンス部の取り出し作業を行い易くすることができる。
【0010】
第4の態様に係る印刷装置は、第2の態様又は第3の態様において、前記第2ガイドから前記吐出面の中央位置までの長さは、前記第1ガイドから前記中央位置までの長さより長いことを特徴とする。
本態様によれば、前記第2ガイドは、前記鉛直方向において前記第1ガイドより上方に位置する。そして、前記第2ガイドから前記吐出面の中央位置までの長さは、前記第1ガイドから前記中央位置までの長さより長い。これにより、前記第1ガイドが前記第2ガイドより上方に位置する構成に比べて、前記記録部と前記第2ガイドとの間隔をより大きく確保できるので、前記第1メンテナンス部を取り出し易くすることができる。
【0011】
第5の態様に係る印刷装置は、第4の態様において、前記第2メンテナンス部を前記第3方向に駆動する駆動部が設けられ、前記第2メンテナンス部は、前記第1ガイドに案内される被ガイド部を有し、前記被ガイド部は、前記駆動部から駆動力を受けることを特徴とする。
本態様によれば、前記被ガイド部は、前記第2ガイドに案内される部位より前記鉛直方向の下方に位置する。そして、前記被ガイド部が前記駆動部から駆動力を受けることで、前記第2メンテナンス部が前記第3方向に移動される。これにより、前記第2ガイドに案内される部位に駆動力が作用する構成に比べて、前記駆動部から前記被ガイド部に駆動力を伝達する構成と、取り出される前記第1メンテナンス部との干渉が抑制されるので、前記第1メンテナンス部の取り出し作業を行い易くすることができる。
【0012】
第6の態様に係る印刷装置は、第2の態様から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記記録部から前記第2ガイドまでの最短距離に相当する長さは、前記第1方向における前記メンテナンス部の幅に相当する長さより長いことを特徴とする。
本態様によれば、前記記録部を遠くに移動させなくても、前記記録部と前記第2ガイドとの間から前記メンテナンス部を取り出すことができる。
【0013】
第7の態様に係る印刷装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1つにおいて、前記記録部は、前記媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置から離れた退避位置とに移動可能に設けられ、前記メンテナンス部の移動経路は、前記記録部の移動経路の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
本態様によれば、前記メンテナンス部の移動経路が前記記録部の移動経路と重ならない構成に比べて、前記メンテナンス部と前記記録部とを近づけて配置することが可能となるので、前記印刷装置を小型化することができる。
【0014】
以下、本発明に係る印刷装置の一例としての実施形態のプリンター1を具体的に説明する。
図1に示されるように、プリンター1は、記録用紙に代表される媒体Mに対し、液体の一例であるインクKを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成される。なお、各図において表すX-Y-Z座標系は直交座標系である。
X方向は、プリンター1の操作者から見た装置幅方向であり、水平方向である。X方向のうち左に向かう方向を+X方向、右に向かう方向を-X方向とする。
Y方向は、媒体Mの搬送方向と交差する媒体Mの幅方向且つ装置奥行き方向であり、水平方向である。また、Y方向は、後述するA方向及びB方向の両方と交差する。Y方向の手前に向かう方向を+Y方向、奥に向かう方向を-Y方向とする。さらに、Y方向は、後述するワイパーユニット90が移動される第3方向の一例であり、Z方向、後述するA方向、及びB方向と交差する。
Z方向は、装置高さ方向であり、一例として、鉛直方向である。Z方向の上に向かう方向を+Z方向、下に向かう方向を-Z方向とする。なお、本実施形態において、「上方」は、鉛直方向における上方の成分を含む方向を意味する。「下方」は、鉛直方向における下方の成分を含む方向を意味する。
【0015】
プリンター1において、媒体Mは、破線で表す搬送経路Tを通って搬送される。X-Z面に示されるA-B座標系は、直交座標系である。
A方向は、搬送経路Tのうち後述するラインヘッド40と対向する領域における媒体Mの搬送方向である。A方向の上流に向かう方向を-A方向、下流に向かう方向を+A方向とする。また、A方向は、Z方向に対して交差する交差方向の一例である。さらに、A方向は、後述するキャップユニット80が移動される第2方向の一例である。
本実施形態において、A方向は、搬送経路Tの+A方向の位置が-A方向の位置より+Z方向に位置するように傾いた方向である。具体的には、A方向は、Z方向に対して20°~40°の範囲で傾斜し、より具体的には概ね30°傾斜する。換言すると、A方向は、X方向に対して概ね60°傾斜する。
【0016】
B方向は、後述する吐出面42と直交する直交方向の一例であり、後述するラインヘッド40が後述する搬送ユニット10に対し進退する方向である。また、B方向は、ラインヘッド40が移動される第1方向の一例である。さらに、B方向は、Z方向と交差する方向である。B方向においてラインヘッド40が搬送ユニット10に近づく方向を+B方向、搬送ユニット10から離れる方向を-B方向とする。B方向は、-B方向の位置が+B方向の位置より+Z方向に位置するように傾いた方向である。
【0017】
プリンター1は、装置本体2を有する。装置本体2には、外郭となる筐体が含まれる。装置本体2のZ方向の中央より+Z方向には、記録された媒体Mが排出される空間を含む排出部3が形成される。また、装置本体2には、複数の媒体カセット4が設けられる。
複数の媒体カセット4には、媒体Mが収容される。各媒体カセット4に収容された媒体Mは、ピックローラー6及び搬送ローラー対7、8によって搬送経路Tに沿って搬送される。搬送経路Tには、外部装置から媒体Mが搬送される搬送路T1と、装置本体2に設けられた手差トレイ9から媒体Mが搬送される搬送路T2とが合流する。
【0018】
搬送経路Tには、搬送ユニット10と、媒体Mを搬送する複数の搬送ローラー対11と、媒体Mが搬送される経路を切り替える複数のフラップ12と、媒体MのY方向の幅を検出する媒体幅センサー13とが配置される。
搬送ユニット10は、2つのプーリー14と、2つのプーリー14に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト15と、一方のプーリー14を駆動する不図示のモーターとを有する。媒体Mは、搬送ベルト15のベルト面に吸着されつつ、後述するラインヘッド40と対向する位置を+A方向に搬送される。
搬送経路Tは、媒体幅センサー13から+A方向に延びる。搬送経路Tにおける搬送ユニット10より下流には、排出部3に向かう搬送路T3及び搬送路T4と、媒体Mの表裏を反転させるための反転路T5とが設けられる。
【0019】
また、装置本体2内には、インクKを収容するインクタンク23と、インクKの廃液を貯留する廃液貯留部16と、プリンター1の各部の動作を制御する制御部26とが設けられる。インクタンク23は、不図示のチューブを介してラインヘッド40へインクKを供給する。廃液貯留部16は、後述するワイパーユニット90又はキャップユニット80において回収された廃液としてのインクKを貯留する。
制御部26は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成され、プリンター1における媒体Mの搬送や、ラインヘッド40及びワイパーユニット90を含む各部の動作を制御する。
【0020】
図2に示されるように、装置本体2の内部には、1組の側壁の一例として、サイドフレーム32及びサイドフレーム34が設けられる。サイドフレーム32とサイドフレーム34は、Y方向に間隔をあけて対向配置される。
サイドフレーム32は、一例として、板金で構成されており、装置本体2の内部においてA-B面に沿って直立される。また、サイドフレーム32は、装置本体2のY方向の中央に対する-Y方向に配置される。サイドフレーム32には、Y方向に貫通する貫通孔36が形成される。貫通孔36の大きさ及び形状は、後述するワイパーユニット90が貫通孔36をY方向に通過可能となる大きさ及び形状とされる。
【0021】
サイドフレーム34は、一例として、板金で構成されており、装置本体2の内部においてA-B面に沿って直立される。また、サイドフレーム34は、装置本体2のY方向の中央に対する+Y方向に配置される。サイドフレーム34には、貫通孔は形成されない。サイドフレーム32及びサイドフレーム34は、Y方向に延在する横フレーム38A、38B及び不図示の他の横フレームによって繋げられる。また、サイドフレーム32とサイドフレーム34との間の空間には、ラインヘッド40が配置される。
【0022】
プリンター1は、一例として、排出トレイ21(
図1)と、ガイド部33(
図6)と、ラインヘッド40と、駆動ユニット50と、レール部62と、ワイパーユニット90と、取出部120(
図11)と、キャップユニット80(
図1)とを備える。
【0023】
図1に示されるように、排出トレイ21は、ラインヘッド40及び後述するカバー部84(
図5)を備える装置本体2に対しカバー部84の上方で着脱可能に設けられる。排出トレイ21は、載置部の一例であり、装置本体2への装着状態において、搬送路T3、T4から排出される媒体Mが載置される。また、排出トレイ21は、媒体Mが排出される空間としての排出部3の底部を構成する。なお、排出トレイ21において、媒体Mが載置される面を載置面21Aとする。載置面21Aは、+X方向の端部が-X方向の端部より+Z方向に位置するように傾斜される。
排出トレイ21が装置本体2から離脱された状態で、後述するカバー部84(
図5)が上方に取り出し可能となる。
【0024】
図2に示されるように、ラインヘッド40は、記録部の一例であり、後述する記録位置と退避位置とに移動可能に装置本体2に設けられる。また、ラインヘッド40は、後述するヘッド移動ユニット66によってB方向に移動される。
ラインヘッド40の記録位置とは、ラインヘッド40によって媒体Mへの情報の記録が可能となるときのラインヘッド40が停止した位置(
図5)を意味する。なお、ラインヘッド40の記録位置は、不図示の調整ユニットによってB方向に位置の調整が可能であることにより、1つ以上存在する。
ラインヘッド40の退避位置とは、ラインヘッド40が、記録位置から-B方向に離れたときのラインヘッド40の停止位置を意味する。ラインヘッド40の退避位置には、ラインヘッド40を再び記録位置へ移動可能となる位置である待機位置と、ラインヘッド40を装置本体2の外側へ取り出し可能となる位置である不図示の交換位置と、ラインヘッド40がメンテナンスされるときのメンテナンス位置とが含まれる。
さらに、ラインヘッド40のメンテナンス位置には、ラインヘッド40がキャップユニット80(
図1)によってメンテナンスされる場合の位置である第1メンテナンス位置(
図9)と、ラインヘッド40がワイパーユニット90によって清掃される場合の位置である第2メンテナンス位置(
図10)とが含まれる。
【0025】
図3に示されるように、ラインヘッド40は、吐出面42を備える。吐出面42は、Z方向と交差するA方向に沿って傾斜する面であり、A-Y面に沿って配置される。また、吐出面42は、インクKが吐出される複数のノズルNを有する。複数のノズルNは、媒体MのY方向の全域をカバーする。そして、ラインヘッド40は、記録位置において、吐出面42の複数のノズルNから媒体Mに向けてインクKを吐出することで、媒体Mに記録する。
このように、ラインヘッド40は、媒体MのY方向への移動を伴わずに媒体MのY方向の全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成される。但し、インク吐出ヘッドの構成は、ラインヘッド40に限らず、キャリッジに搭載されて媒体MのY方向に移動しながらインクを吐出するシリアルタイプの構成でもよい。
【0026】
ラインヘッド40は、Y方向に延在される。ラインヘッド40のY方向の両端部には、それぞれ1つの支持フレーム43が取り付けられる。支持フレーム43は、A-B面に沿った側板として構成されており、ラインヘッド40から-B方向へ延びる。一対の支持フレーム43は、Y方向に延在する接続フレーム45によって接続される。
なお、ラインヘッド40及び支持フレーム43は、サイドフレーム32とサイドフレーム34(
図2)との間に配置される。つまり、ラインヘッド40は、サイドフレーム32とサイドフレーム34との間でB方向に移動可能とされる。
【0027】
2つの支持フレーム43には、Y方向の外側へ突出する突出部44がそれぞれ2つ設けられる。突出部44は、支持フレーム43からY方向の外側に延びる軸部46と、軸部46の先端部に回転可能に設けられたベアリング48とを有する。支持フレーム43において、-B方向のベアリング48と+B方向のベアリング48との間隔に相当する長さは、B方向における貫通孔36(
図2)の幅に相当する長さより長い。
【0028】
図2に示されるように、支持フレーム43には、ラック57が設けられる。ラック57は、Y方向を厚さ方向とする板状の部材であり、B方向に延びる。ラックの-A方向の端部には、B方向に並ぶ複数の歯部57Aが形成される。
ヘッド移動ユニット66は、ラインヘッド40を移動させる移動機構部の一例である。また、ヘッド移動ユニット66は、ラインヘッド40が搬送ベルト15(
図1)に対してB方向に進退するように、ラインヘッド40を、記録位置と退避位置とに移動可能に構成される。換言すると、ヘッド移動ユニット66は、ラインヘッド40の移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように、ラインヘッド40をB方向に移動させる。
ヘッド移動ユニット66は、ピニオン67と、ピニオン67を回転させる不図示のモーターとを含んで構成され、制御部26(
図1)によって駆動が制御される。ピニオン67の外周面に形成された歯部67Aは、歯部57Aと噛み合う。これにより、ピニオン67が正方向に回転された場合、ラインヘッド40が記録位置に移動され、ピニオン67が逆方向に回転された場合、ラインヘッド40が退避位置に移動される。
【0029】
図4に示されるように、サイドフレーム32には、ラインヘッド40(
図1)をB方向に案内するレール部62が設けられる。レール部62は、貫通孔36によって-B方向の部位と+B方向の部位とに分断される。具体的には、レール部62は、第1レール部材64と、第2レール部材72とで構成される。
第1レール部材64は、サイドフレーム32において、貫通孔36に対する-B方向の部位に設けられる。また、第1レール部材64は、縦レール65と、縦レール65に繋がるサブレール69とを有する。
【0030】
縦レール65は、ラインヘッド40に向けて+Y方向に開口されており、B方向から見て断面U字状に形成される。また、縦レール65は、B方向を案内方向としてほぼ直線状に延びる。
サブレール69は、+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、縦レール65と同様の幅を有する。また、サブレール69は、縦レール65との合流部位から+Z方向に延びる。ここで、ラインヘッド40は、-Y方向の2つのベアリング48(
図3)が、縦レール65及びサブレール69によって案内されることで、第1レール部材64から+Z方向に離脱可能である。
【0031】
第2レール部材72は、サイドフレーム32の貫通孔36に対する+B方向の部位に設けられる。また、第2レール部材72は、縦レール73と横レール74とを有する。
縦レール73は、B方向に延びる。横レール74は、A方向に延びる。つまり、縦レール73と横レール74とは直交する。
横レール74は、キャップユニット80(
図1)に向けて+Y方向に開口された断面U字状に形成され、A方向を案内方向として直線状に延びる。また、横レール74は、縦レール73との交差部において分断される。
縦レール65、73は、ベアリング48(
図3)をB方向に案内する。つまり、縦レール65、73は、ラインヘッド40をB方向に案内する。横レール74は、キャップユニット80をA方向に案内する。
【0032】
サイドフレーム34(
図3)には、不図示のガイド部材が設けられる。このガイド部材は、貫通孔36が無い点を除いて、装置本体2のY方向の中央を通り且つY方向と直交する不図示の仮想面に対して、レール部62とほぼ対称に構成される。このため、サイドフレーム34のガイド部材の図示及び説明は省略する。
【0033】
図5に示されるように、キャップユニット80は、後述する対向位置へ向けて、A方向に沿って移動可能に装置本体2に設けられる。具体的には、キャップユニット80は、ラック及びピニオンを含む不図示の駆動機構部によって、A方向の往復移動が可能とされる。
キャップユニット80は、ラインヘッド40が記録位置に移動される場合、ラインヘッド40に対して-A方向に退避される。また、キャップユニット80は、ラインヘッド40が後述する退避位置にある場合、複数のノズルNを覆うように+A方向に移動され、後述する対向位置において、ラインヘッド40をメンテナンスする。
キャップユニット80は、メンテナンス動作の一例として、複数のノズルNから吐出されたインクKを回収する動作を行う。キャップユニット80に回収されたインクKは、廃液貯留部16(
図1)に送られる。
【0034】
具体的には、キャップユニット80は、可動フレーム82と、可動フレーム82に着脱可能に設けられたカバー部84及び接続チューブ86とを含んで構成される。
可動フレーム82は、Y方向から見てL字状に形成される。可動フレーム82のY方向の両端面には、Y方向の外側に突出する不図示の突出部が設けられる。この突出部は、横レール74(
図4)によってA方向に沿って案内される。また、可動フレーム82の一部には、回収されるインクKが流れる不図示の回収路が形成される。
【0035】
カバー部84は、メンテナンス部及び第1メンテナンス部の一例であり、-B方向に開口する箱状に形成される。カバー部84の+B方向の底部は、可動フレーム82の一部に係合されることで可動フレーム82に装着される。また、カバー部84は、可動フレーム82の一部との係合が解除されることで、可動フレーム82からの離脱が可能である。
接続チューブ86は、可撓性を有する円筒状の部材であり、カバー部84の内部空間と繋がる。そして、接続チューブ86は、カバー部84の内部のインクKを、可動フレーム82の不図示の回収路へ案内する。接続チューブ86の軸方向の一端部は、可動フレーム82の一部に係合されることで可動フレーム82に装着される。また、接続チューブ86の軸方向の一端部は、可動フレーム82の一部との係合が解除されることで、可動フレーム82からの離脱が可能である。
【0036】
図6に示されるように、カバー部84が退避位置にあるラインヘッド40とB方向に対向するときのカバー部84の位置を対向位置とする。また、カバー部84が吐出面42から退避する位置であって対向位置より下方の位置を非対向位置とする。カバー部84は、対向位置と非対向位置との間で移動可能に設けられる。そして、カバー部84は、対向位置においてラインヘッド40をメンテナンスする。
カバー部84は、対向位置において、ノズルNを覆う状態となる。この状態において、ノズルNから吐出されたインクKがカバー部84内に回収される。なお、ノズルNから定期的にインクKを吐出させることで、ノズルN内のインクKの増粘が抑制される。
また、カバー部84は、対向位置に配置された状態で、後述する第1ガイドレール35と第2ガイドレール37との間に位置する。さらに、カバー部84は、ラインヘッド40と第2ガイドレール37との間から上方に取り出し可能である。
【0037】
図5に示されるように、カバー部84が対向位置に対して-A方向に離れた位置を、カバー部84の非対向位置とする。カバー部84の非対向位置では、ラインヘッド40とカバー部84とが干渉されないため、ラインヘッド40が搬送ユニット10に向けて+B方向に移動可能となる。
【0038】
図7に示されるように、装置本体2には、ワイパーユニット90をY方向に案内するガイド部33が設けられる。ガイド部33は、一例として、Y方向に沿って平行となるように配置された第1ガイドレール35と第2ガイドレール37とを備える。
第1ガイドレール35は、第1ガイドの一例であり、Y方向に沿って延びる。また、第1ガイドレール35は、ワイパーユニット90をY方向に案内する主軸として機能する。具体的には、第1ガイドレール35は、A-B面での断面形状がL字形状の板金から成り、板部35Aと板部35Bとを有する。
板部35Aは、B方向に所定の厚さを有し、A-Y面に沿ってY方向に延びる。板部35Aの-A方向の端部は、既述の不図示の横フレームに一体に形成される。
板部35Bは、板部35Aの+A方向の端部から+B方向に延びる。また、板部35Bは、A方向に所定の厚さを有し、B-Y面に沿ってY方向に延びる。板部35BのB方向の長さは、板部35AのA方向の長さより短い。
【0039】
第2ガイドレール37は、第2ガイドの一例であり、第1ガイドレール35と間隔をあけて配置され、Y方向に沿って延びる。また、第2ガイドレール37は、第1ガイドレール35に対する+A方向且つ+B方向の位置に配置される。換言すると、第2ガイドレール37は、Z方向において第1ガイドレール35より+Z方向即ち上方に位置する。さらに、第2ガイドレール37は、ワイパーユニット90をY方向に案内する副軸として機能する。具体的には、第2ガイドレール37は、A-B面での断面形状がL字形状の板金から成り、取付部37Aと、板部37Bとを有する。
取付部37Aは、A方向に所定の厚さを有し、B-Y面に沿ってY方向に延びる。取付部37Aの+B方向の端部は、一例として、横フレーム38Bに固定される。
板部37Bは、取付部37Aの-B方向の端部から-A方向に延びる。また、板部37Bは、B方向に所定の厚さを有し、A-Y面に沿ってY方向に延びる。板部37BのA方向の長さは、取付部37AのB方向の長さより短い。
【0040】
ワイパーユニット90は、ラインヘッド40(
図1)をメンテナンスする第2メンテナンス部の一例であり、吐出面42(
図3)を清掃する清掃部の一例として機能する。また、ワイパーユニット90は、駆動ユニット50(
図8)によってY方向に移動可能に設けられる。
ワイパーユニット90は、ラインヘッド40が記録位置に移動される場合、ラインヘッド40に対して-Y方向に退避される。また、ワイパーユニット90は、ラインヘッド40が退避位置にある状態において、一旦+Y方向に移動され、-Y方向に移動されながら吐出面42の清掃を行う。このように、ワイパーユニット90は、吐出面42に付着したインクKを吐出面42から掻き取る。
【0041】
図8に示されるように、駆動ユニット50は、駆動部の一例であり、ワイパーユニット90をY方向に駆動する。具体的には、駆動ユニット50は、1組のプーリー54と、タイミングベルト56と、一方のプーリー54を回転させるモーター部58とを有する。なお、
図8では、他方のプーリー54が示されており、一方のプーリー54の図示は省略される。タイミングベルト56は、2つのプーリー54に巻き掛けられる。タイミングベルト56の一部は、後述するワイパーキャリッジ98の第1被案内部108(
図7)に固定される。
【0042】
モーター部58が一方のプーリー54を正方向に回転させた場合、ワイパーユニット90が+Y方向に駆動される。また、モーター部58が一方のプーリー54を逆方向に回転させた場合、ワイパーユニット90が-Y方向に駆動される。このように、ワイパーユニット90は、Y方向に沿って、ラインヘッド40(
図3)に対する清掃動作が可能となるときの位置である清掃位置(
図9)と、清掃位置から離れた位置である非清掃位置(
図4)とに移動可能である。なお、ワイパーユニット90は、Y方向に見て、B方向と直交するA方向に沿った傾斜状態で配置される。
【0043】
図5に示されるように、ワイパーユニット90は、ラインヘッド40が記録位置に移動される場合、ラインヘッド40に対して-Y方向に退避されることで、非メンテナンス位置に配置される。
【0044】
図9に示されるように、ワイパーユニット90は、ラインヘッド40が退避位置にある状態において、一旦、+Y方向に移動された後で、-Y方向に移動されながらメンテナンス位置に到達し、吐出面42を清掃する。
【0045】
図7に示されるように、ワイパーユニット90は、ブレードユニット92と、ワイパーキャリッジ98とを備える。
ブレードユニット92は、一例として、ユニット本体94と、ブレード96とを含んで構成される。ユニット本体94は、インク収容部95を有する。ここで、ブレード96によって吐出面42(
図3)から掻き落とされたインクKは、インク収容部95に収容される。
ワイパーキャリッジ98は、B方向においてブレードユニット92を支持する。具体的には、ワイパーキャリッジ98は、第1フレーム部材102と、第2フレーム部材116とを備える。
第1フレーム部材102は、搭載部104と、第1被案内部108と、アーム部112と、第2被案内部114とを有する。第1被案内部108及び第2被案内部114をまとめて被案内部106とする。被案内部106は、ガイド部33との接触によりY方向に案内される。
【0046】
搭載部104には、ブレードユニット92が搭載される。
第1被案内部108は、被ガイド部の一例であり、搭載部104の-A方向の端部から-B方向に直立する。また、第1被案内部108には、タイミングベルト56(
図8)の一部が取り付けられる。換言すると、第1被案内部108は、駆動ユニット50(
図8)から駆動力を受ける。さらに、第1被案内部108は、第1ガイドレール35に案内されることで、Y方向に沿って移動される。
アーム部112は、搭載部104の+A方向の端部から+A方向に延びる。
【0047】
第2被案内部114は、アーム部112の+A方向の端部に形成される。また、第2被案内部114には、第2ガイドレール37と接触するコロ118が回転可能に設けられる。さらに、第2被案内部114は、第2ガイドレール37に案内される。
第2フレーム部材116は、第1被案内部108に取り付けられることで、第1被案内部108と共に第1ガイドレール35の一部をB方向に挟む。
このように、ワイパーキャリッジ98は、ブレードユニット92を搭載した状態でY方向の移動が可能に構成される。
【0048】
図10には、ラインヘッド40、キャップユニット80及びワイパーユニット90の配置関係がまとめて示される。
ラインヘッド40は、B方向に沿って記録位置と退避位置とに移動される。
ラインヘッド40が退避位置にある状態において、キャップユニット80は、A方向に沿って対向位置と非対向位置とに移動される。なお、キャップユニット80が対向位置にある状態において、ラインヘッド40が第1メンテナンス位置に移動されることで、吐出面42とカバー部84とがB方向に対向する。
ワイパーユニット90は、ラインヘッド40が既述の第2メンテナンス位置にある状態において、Y方向に沿って清掃位置と非清掃位置とに移動される。
【0049】
ラインヘッド40のY方向の中央が移動する経路であり且つ記録位置と退避位置とを結ぶ線分で表される経路をラインヘッド40の移動経路TBとする。カバー部84のY方向の中央が移動する経路であり且つ対向位置と非対向位置とを結ぶ線分で表される経路をカバー部84の移動経路TAとする。ワイパーユニット90のA方向の中央が移動する経路であり且つ清掃位置と非清掃位置とを結ぶ線分で表される経路をワイパーユニット90の移動経路TYとする。ここで、移動経路TA、TB、TYは、互いに一部が重なる。
図10では、移動経路TA、TB、TYの重なりが交点Qで表される。
【0050】
図11に示されるように、取出部120は、装置本体2に設けられる。また、取出部120は、排出トレイ21(
図1)が装置本体2から離脱されることで開放される空間の一例である。さらに、取出部120は、取出部120の開放状態において、カバー部84を既述の対向位置から排出部3に向けて取り出し可能とする。
また、取出部120は、サイドフレーム32とサイドフレーム34(
図3)との間の空間の一部であり、ラインヘッド40と第2ガイドレール37との間の空間を含む。さらに、取出部120は、第1ガイドレール35と第2ガイドレール37との間の空間を含む。
【0051】
ラインヘッド40が退避位置に退避された状態において、排出トレイ21が装置本体2から離脱されることで、第1ガイドレール35と第2ガイドレール37との間の少なくとも一部が露呈される。換言すると、排出部3から第1ガイドレール35及び第2ガイドレール37の一部が視認可能となる。また、排出部3からカバー部84へのアクセスが可能となる。
【0052】
図12に示されるように、Y方向から見て、ラインヘッド40が退避位置にある状態において、第2ガイドレール37の先端位置Eから、吐出面42のA方向の中央位置Cまでの長さL2〔mm〕は、第1ガイドレール35の先端位置Dから中央位置Cまでの長さL1〔mm〕より長い。
先端位置Dは、板部35Bの+B方向の端の位置である。先端位置Eは、板部37Bの-A方向の端の位置である。なお、
図12では、ワイパーユニット90(
図9)の図示を省略する。
また、退避位置にあるラインヘッド40から第2ガイドレール37の先端位置Eまでの最短距離に相当する長さL3〔mm〕は、B方向におけるカバー部84の幅に相当する長さL4〔mm〕より長い。
【0053】
次に、プリンター1の作用について、
図1から
図12までを参照して説明する。なお、個別の図番の記載を省略する。
プリンター1では、ラインヘッド40が退避位置にあり、且つワイパーユニット90が非清掃位置にある状態において、キャップユニット80が対向位置に配置される。
この状態において、排出トレイ21が装置本体2から取り外されることで、取出部120が開放され、カバー部84が露呈される。
可動フレーム82から取り外されたカバー部84は、取出部120を通って排出部3に取り出される。
【0054】
以上、説明した通り、プリンター1によれば、プリンター1において、排出トレイ21の上方には、ラインヘッド40によって記録された媒体Mが排出される空間としての排出部3が存在する。つまり、排出トレイ21の上方には、もともと空間が確保されている。そして、排出トレイ21が装置本体2から離脱されることで、排出部3から見て、対向位置にあるカバー部84が露呈される。このように、プリンター1の周辺部に作業空間を確保しなくても、プリンター1の排出トレイ21の上方の空間を利用してカバー部84を取り出せるので、カバー部84の交換作業を行い易くすることができる。
【0055】
プリンター1によれば、カバー部84とは異なるワイパーユニット90を備える構成であっても、ラインヘッド40と第2ガイドレール37との間の空間を通してカバー部84を取り出すことができる。
また、プリンター1によれば、カバー部84が、対向位置に配置された状態で第1ガイドレール35と第2ガイドレール37との間に位置するので、第1ガイドレール35と第2ガイドレール37との間からカバー部84を取り出すことができる。
そのため、カバー部84を対向位置とは異なる位置に移動させてからカバー部84を取り出す構成に比べて、カバー部84の取り出し作業を行い易くすることができる。
【0056】
プリンター1によれば、第2ガイドレール37は、Z方向において第1ガイドレール35より上方に位置する。そして、ラインヘッド40が退避位置にある状態において、第2ガイドレール37から吐出面42の中央位置Cまでの長さL2は、第1ガイドレール35から中央位置Cまでの長さL1より長い。これにより、第1ガイドレール35が第2ガイドレール37より上方に位置する構成に比べて、ラインヘッド40と第2ガイドレール37との間隔をより大きく確保できるので、カバー部84を取り出し易くすることができる。
【0057】
プリンター1によれば、第1被案内部108は、第2ガイドレール37に案内される第2被案内部114よりZ方向の下方に位置する。そして、第1被案内部108が駆動ユニット50から駆動力を受けることで、カバー部84がY方向に移動される。これにより、第2被案内部114に駆動力が作用する構成に比べて、駆動ユニット50から第1被案内部108に駆動力を伝達する構成と、取り出されるカバー部84との干渉が抑制されるので、カバー部84の取り出し作業を行い易くすることができる。
【0058】
プリンター1によれば、退避位置にあるラインヘッド40をさらに遠くに移動させなくても、ラインヘッド40と第2ガイドレール37との間からカバー部84を取り出すことができる。
プリンター1によれば、カバー部84の移動経路TAがラインヘッド40の移動経路TBと重ならない構成に比べて、カバー部84とラインヘッド40とを近づけて配置することが可能となるので、プリンター1を小型化することができる。
【0059】
本発明の実施形態に係るプリンター1は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0060】
プリンター1において、取出部120は、ラインヘッド40とガイド部33との間の空間を含まなくてもよい。また、取出部120は、第1ガイドレール35と第2ガイドレール37との間の空間を含まなくてもよい。
カバー部84は、対向位置に配置された状態で、第1ガイドレール35と第2ガイドレール37との間に位置しなくてもよい。
長さL2は、長さL1と同じか、あるいは長さL1より短くてもよい。
駆動ユニット50から駆動力を受けるのは、第1被案内部108に限らず、第2被案内部114であってもよい。
長さL3は、長さL4と同じか、あるいは長さL4より短くてもよい。この場合、例えば、ラインヘッド40を-B方向に移動させることで、取出部120の大きさを拡げればよい。
【0061】
ワイパーユニット90は、-Y方向ではなく+Y方向に退避してもよい。
メンテナンス部は、カバー部84に限らず、キャップユニット80全体であってもよい。また、メンテナンス部は、ワイパーユニット90であってもよい。
第1メンテナンス部としてワイパーユニット90又は他のユニットが用いられる場合、第2メンテナンス部は、カバー部84あるいはキャップユニット80であってもよい。
排出トレイ21は、装置本体2に対して着脱されるものに限らず、スライドしてカバー部84の上方から退避され、スライドしてカバー部84の上方に位置するものであってもよい。
移動経路TAは、移動経路TBの全部と重なってもよい。
ラインヘッド40は、B方向に移動されないものであってもよい。つまり、ラインヘッド40は筐体2の内部に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…プリンター、2…筐体、3…排出部、4…媒体カセット、6…ピックローラー、
7…搬送ローラー対、8…搬送ローラー対、9…手差トレイ、10…搬送ユニット、
11…搬送ローラー対、12…フラップ、13…媒体幅センサー、14…プーリー、
15…搬送ベルト、16…廃液貯留部、21…排出トレイ、21A…載置面、
23…インクタンク、26…制御部、32…サイドフレーム、33…ガイド部、
34…サイドフレーム、35…第1ガイドレール、35A…板部、35B…板部、
36…貫通孔、37…第2ガイドレール、37A…取付部、37B…板部、
38A…横フレーム、38B…横フレーム、40…ラインヘッド、42…吐出面、
43…支持フレーム、44…突出部、45…接続フレーム、46…軸部、
48…ベアリング、50…駆動ユニット、54…プーリー、56…タイミングベルト、
57…ラック、57A…歯部、58…モーター部、62…レール部、
64…第1レール部材、65…縦レール、66…ヘッド移動ユニット、67…ピニオン、
67A…歯部、69…サブレール、72…第2レール部材、73…縦レール、
74…横レール、80…キャップユニット、82…可動フレーム、84…カバー部、
86…接続チューブ、90…ワイパーユニット、92…ブレードユニット、
94…ユニット本体、95…インク収容部、96…ブレード、
98…ワイパーキャリッジ、102…第1フレーム部材、104…搭載部、
106…被案内部、108…第1被案内部、112…アーム部、114…第2被案内部、
116…第2フレーム部材、118…コロ、120…取出部、C…中央位置、
D…先端位置、E…先端位置、K…インク、L1…長さ、L2…長さ、L3…長さ、
L4…長さ、M…媒体、N…ノズル、Q…交点、T1…搬送路、T2…搬送路、
T3…搬送路、T4…搬送路、T5…反転路、TA…移動経路、TB…移動経路、
TY…移動経路
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向と交差する交差方向に沿って傾斜する吐出面から液体を吐出することで媒体に記録する記録部と、 前記記録部と対向する対向位置において前記記録部をメンテナンスするメンテナンス部と、 前記メンテナンス部を、前記対向位置と、前記対向位置から退避した非対向位置との間で移動させる移動機構と、 前記記録部及び前記メンテナンス部を備える装置本体に対し前記メンテナンス部の上方で着脱可能に設けられ、前記装置本体への装着状態において、排出される前記媒体が載置される載置部と、を備え、 前記載置部が前記装置本体から離脱された状態で、前記メンテナンス部が上方に取り出し可能となる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、 前記メンテナンス部は、前記移動機構から取外され、上方に取り出し可能である、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、 前記記録部は、前記媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置から離れた退避位置とに移動可能に設けられ、 前記メンテナンス部の移動経路は、前記記録部の移動経路の少なくとも一部と重なる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記載置部が前記装置本体から離脱された状態で、前記メンテナンス部は、前記載置部が前記装置本体から離脱されることで開放される空間から、上方に取出し可能となる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記メンテナンス部は、前記対向位置において前記吐出面を覆って、前記記録部をメンテナンスする、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記メンテナンス部は、前記対向位置において前記吐出面に沿って移動しながら、前記吐出面を清掃する、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記メンテナンス部を第1メンテナンス部として、前記記録部をメンテナンスする第2メンテナンス部と、 前記第2メンテナンス部を前記記録部が移動される第1方向及び前記第1メンテナンス部が移動される第2方向の両方と交差する第3方向に案内する第1ガイド及び第2ガイドと、を更に備え、 前記第2ガイドは、前記第1ガイドより上方に位置し、 前記第1メンテナンス部は、前記記録部と前記第2ガイドとの間から上方に取り出し可能となる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置において、 前記第1メンテナンス部は、前記対向位置に配置された状態で、前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間に位置する、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の印刷装置において、 前記第2ガイドから前記吐出面の中央位置までの長さは、前記第1ガイドから前記中央位置までの長さより長い、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の印刷装置において、 前記記録部から前記第2ガイドまでの最短距離に相当する長さは、前記第1方向における前記メンテナンス部の幅に相当する長さより長い、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記第2メンテナンス部を前記第3方向に駆動する駆動部が設けられ、 前記第2メンテナンス部は、前記第1ガイドに案内される被ガイド部を有し、 前記被ガイド部は、前記駆動部から駆動力を受ける、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記載置部が前記装置本体から離脱された状態で、前記第2メンテナンス部が上方に取り出し可能となる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項7から請求項12のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記記録部は、前記媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置から離れた退避位置とに移動可能に設けられ、 前記メンテナンス部の移動経路の少なくとも一部と、前記第2メンテナンス部の移動経路の少なくとも一部と、前記記録部の移動経路の少なくとも一部とが重なる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項14】
請求項7から請求項13のいずれか一項に記載の印刷装置において、 前記第2メンテナンス部は、前記第3方向に移動しながら、前記吐出面を清掃する、ことを特徴とする印刷装置。